JP2004328822A - モータ制御装置、モータ装置、真空ポンプ、補正電流値計測装置、及びモータ制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】分子ポンプなどの真空ポンプで、モータ装置が発生する振動を低減すること。
【解決手段】モータの発生するトルクが一定となるような、各電磁石に供給する電磁石電流の補正値をロータを回転させながらロータの所定の角度ごとに求め、各相の電磁石電流を補正する。補正値は、モータの誘起電圧などを用いて、所定の数式により算出することができる。また、モータ駆動時に所定の角度ごとに補正値を算出してRAMに記憶し、モータ運転中は、RAMから補正値を読み出して電磁石電流を補正するように構成することもできる。
【選択図】 図1
【解決手段】モータの発生するトルクが一定となるような、各電磁石に供給する電磁石電流の補正値をロータを回転させながらロータの所定の角度ごとに求め、各相の電磁石電流を補正する。補正値は、モータの誘起電圧などを用いて、所定の数式により算出することができる。また、モータ駆動時に所定の角度ごとに補正値を算出してRAMに記憶し、モータ運転中は、RAMから補正値を読み出して電磁石電流を補正するように構成することもできる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はモータ制御装置などに関し、例えば、真空ポンプのロータを回転させるモータを制御するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
分子ポンプやドライポンプなどのようにロータをモータで回転駆動することにより排気作用を生む方式の真空ポンプは、排気能力が高く、高真空を容易に実現できるため、例えば、半導体製造装置の反応ガスの排気、電子顕微鏡の鏡筒の排気など、産業・研究分野で広く使用されている。
その真空ポンプの中でもターボ分子ポンプは、回転翼を形成したロータをモータで高速回転させ、高速回転する回転翼と筐体に固定した固定翼との作用により、排気作用を行う。
このモータには、DCブラシレスモータが一般に使用されている。DCブラシレスモータは、ステータ側に配設した電磁石に供給する電磁石電流を制御することにより、回転磁界を発生させ、これをロータ側に設けた永久磁石に作用させて回転させる。
DCブラシレスモータが発生するトルクは、例えば3相モータの場合、次の式(1)で表される。
【0003】
【数1】
【0004】
ここで、n=0、1、2であり、Kはトルク定数(誘起電圧定数)であり、Iは各相(U相、V相、W相)の電流振幅であり、θはロータ回転角である。これは、正弦駆動方式の場合である。
KとIはそれぞれ界磁の機構設計と回路の設計により定まる定数である。式(1)から、DCブラシレスモータが発生するトルクは定数となり、原理上トルク脈動とこれに起因する振動は発生しない。
DCブラシレスモータの振動を低減する従来の技術としては、例えば、次のものがある。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−356084
【0006】
この文献に記載の疑似正弦波の作成方法は、DCブラシレスモータのトルクリップルを低減するために、簡易な方法で疑似正弦波を作成するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のDCブラシレスモータは、界磁界の発生手段となる永久磁石の磁束密度が、初期(製作時)には、材料の組成や着磁によってばらつき、更にモータ運転中にはモータ巻き線が構成する電磁石が発生する磁界を受けて減磁してばらつき量が大きくなる。
また、モータロータとモータステータの同軸度誤差と、軸受に磁気軸受を用いる場合は軸受のロータ支持剛性がボールベアリングと比較して低いために、ロータはその重心を中心にして回転する。このため、ロータの重心と形状中心の位置がずれていると、回転中にロータとステータ間のギャップ量に変動が生じる。
これらの理由から、実際のDCブラシレスモータは、式(1)のK・sin(θ−2nπ/3)の値を高精度に設計値通りに管理することは困難であり、誤差Enを持つ。このEnを考慮すると、上の式(1)は、次の式(2)のようになる。
【0008】
【数2】
【0009】
式(2)によれば、モータが発生するトルクは一定の定数とはならず、トルク脈動が発生し、ステータはこのトルク脈動の反作用を受けて振動を発生する。
そして、この振動は、分子ポンプを接続した機器に問題を及ぼすことがあった。例えば、この振動が電子顕微鏡に伝播した場合、電子顕微鏡の画像が乱れ、分解能が低下することが考えられる。
図7は、従来のモータ制御装置により、3相DCブラシレスモータを運転した場合の波形図である。図5(a)〜(c)は、それぞれU相、V相、W相のモータ巻き線に生じる誘起電圧を表した波形図であり、本来は振幅が等しく位相が2π/3ずつずれた正弦波となるべきであるが、図に示したような誤差を持った正弦波となる。
図7(d)〜(f)は、それぞれU相、V相、W相のモータ巻き線に供給される電磁石電流を表した波形図であり、図に示したようにそれぞれ位相が2π/3ずつずれた正弦波になる。
図7(g)は、モータが発生するトルクを示した波形図である。原理上はトルクは一定になるはずであるが、実際は図に示したように脈動する。そして、ステータはこのトルク脈動の反作用を受けて振動を発生する。
【0010】
そこで、本発明の目的は、真空ポンプなどで、モータ装置が発生する振動を低減することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に記載した発明では、所定の極数の磁極が形成されたモータロータと、前記モータロータの周囲に配設され、モータ巻き線が巻回された電磁石と、を具備したモータを制御するモータ制御装置であって、前記モータロータの回転角度を検出する回転角度検出手段と、前記モータ巻き線に、前記検出した回転角に応じた所定相数の電流を供給する電流供給手段と、前記モータロータの発生するトルクと該トルクの理論値との差分を補償する前記モータロータの回転角度に対応した補正電流値を用いて、前記電流供給手段で前記モータ巻き線に供給する前記電流を補正する補正手段と、を具備したことを特徴とするモータ制御装置を提供する。
なお、前記補正電流値は、各相ごとに設けられており、前記補正手段は、各相の電流を対応する各相の補正電流値を用いて補正する。
前記回転角度検出手段の前記モータロータの回転角度の検出方法としては、例えば、前記モータロータが所定角度回転する毎に電気信号を発生する信号発生器を備え、前記電気信号の数を直接計測する方法と、前記電気信号を逓倍した信号の数を計測する方法などがあげられる。
請求項2に記載の発明では、前記電磁石が、各相ごとに複数存在し、かつ、前記電磁石は、それぞれ独立して前記電流供給手段から電流を供給され、前記補正手段は、前記電磁石ごとに電流を補正することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置を提供する。
請求項3に記載の発明では、前記補正手段は、前記取得した回転角度に対応する補正電流値を前記電流に加算することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のモータ制御装置を提供する。
請求項4に記載の発明では、前記モータロータの回転角度に対応した補正電流値を記憶する記憶手段を備え、前記補正手段は、前記取得した回転角度に対応する補正電流値を前記記憶手段から取得して前記電流に加算することを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のモータ制御装置を提供する。
請求項5に記載の発明では、各相の前記モータ巻き線の誘起電圧を取得する誘起電圧取得手段と、前記取得した誘起電圧を用いて、前記各相の前記モータロータの回転角度に対応する前記補正電流値を算出する補正電流値算出手段と、を備え、前記補正電流値算出手段は、前記取得した誘起電圧を用いて前記補正電流値を算定することを特徴とする請求項1から請求項4までのうちの何れか1の請求項に記載のモータ制御装置を提供する。
請求項6に記載の発明では、前記モータロータの角速度を取得する角速度取得手段を具備し、前記補正電流値算出手段は、Nを2以上の整数とし、N相の電流に対して、nを0からN−1までの整数値をとるものとし、Vn(単位V)を前記誘起電圧取得手段で取得した各相nの前記誘起電圧とし、ω(単位rad/sec)を前記角速度取得手段で取得した角速度とし、Fn(単位V・sec/rad)を前記モータロータの回転角度に対応した各相nの誘起電圧定数の理論値とし、EnをEn=Vn/ω−Fnの計算式によって算出された値とし、
In(単位A)を前記モータロータの回転角度に対応した各相nの前記電流値とし、Cn=−En・In/(Fn+En)の計算式によって、n番目の相の前記補正電流値Cnを算出することを特徴とする請求項5に記載のモータ制御装置を提供する。
前記角速度取得手段の前記角速度の取得方法としては、例えば、ωを検出するセンサを用いてωを直接計測する方法と、θの時間変化からωを算出する方法などがあげられる。
請求項7に記載の発明では、所定の極数の磁極が形成されたモータロータと、前記モータロータの周囲に配設されモータ巻き線が巻回された電磁石と、前記モータ巻き線に所定の相数の電流を供給する請求項1から請求項6までのうちの何れか1の請求項に記載のモータ制御装置と、を具備したことを特徴とするモータ装置を提供する。
請求項8に記載の発明では、円筒形状を有する筐体と、前記筐体の内周に設けられたポンプステータと、前記筐体と前記ポンプステータに対し相対的に回転自在に軸支された回転軸と、該回転軸が固設され前記ポンプステータの内周側に設けられたポンプロータと、前記ポンプロータを回転させる、請求項7に記載のモータ装置と、を具備したことを特徴とする真空ポンプを提供する。
請求項9に記載の発明では、所定の極数の磁極が形成されたモータロータと、前記モータロータの周囲に配設され、モータ巻き線が巻回された電磁石と、を具備したモータに供給する所定の相数の電流を補正する補正電流値を取得する補正電流値計測装置であって、前記モータロータの回転角度を検出する回転角度検出手段と、各相の前記モータ巻き線の誘起電圧を前記検出した回転角度に対応付けて取得する誘起電圧取得手段と、前記モータロータの発生するトルクと該トルクの理論値との差分を補償する前記モータロータの回転角度に対応した補正電流値を、前記取得した誘起電圧を用いて算出する補正電流値算出手段と、前記算出した補正電流値を出力する出力手段と、を具備したことを特徴とする補正電流値計測装置を提供する。
請求項10に記載の発明では、前記モータロータの角速度を取得する角速度取得手段を具備し、前記補正電流値算出手段は、Nを2以上の整数とし、N相の電流に対して、nを0からN−1までの整数値をとるものとし、Vn(単位V)を前記誘起電圧取得手段で取得した各相nの前記誘起電圧とし、ω(単位rad/sec)を前記角速度取得手段で取得した角速度とし、Fnを(単位V・sec/rad)を前記モータロータの回転角度に対応した各相nの誘起電圧定数の理論値とし、EnをEn=Vn/ω−Fnの計算式によって算出された値とし、In(単位A)を前記モータロータの回転角度に対応した各相nの前記電流値とし、Cn=−En・In/(Fn+En)の計算式によって、n番目の相の前記補正電流値Cnを算出することを特徴とする請求項9に記載の補正電流値計測装置を提供する。
前記角速度取得手段の前記角速度の取得方法としては、例えば、ωを検出するセンサを用いてωを直接計測する方法と、θの時間変化からωを算出する方法などがあげられる。
請求項11に記載の発明では、所定の極数の磁極が形成されたモータロータと、前記モータロータの周囲に配設され、モータ巻き線により励磁される電磁石と、を具備したモータを制御するモータ制御方法であって、回転角度検出手段と、電流供給手段と、補正手段と、を備えたモータ制御装置で、前記回転角度検出手段で、前記モータロータの回転角度を検出する回転角度検出ステップと、前記電流供給手段で、前記モータ巻き線に、前記検出した回転角に応じた所定相数の電流を供給する電流供給ステップと、前記モータロータの発生するトルクと該トルクの理論値との差分を補償する前記モータロータの回転角度に対応した補正電流値を用いて、前記補正手段で、前記電流供給手段で前記モータ巻き線に供給する前記電流を補正する補正ステップと、から構成されたことを特徴とするモータ制御方法を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図1から図6を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施の形態のモータ制御装置は、モータの発生するトルクが理論値から求められる一定値となるような各電磁石に供給する電磁石電流の補正電流値(以下補正値)をロータを回転させながら所定の時間間隔で求め、電磁石電流にこの補正値を加算してモータ巻き線に出力する。
この補正値は、モータの誘起電圧などを用いて、後述する数式により算出することができる。
このように、本実施の形態では、モータを駆動しながら補正値を計算し、電磁石電流をリアルタイムで補正することができる。
【0013】
(2)実施形態の詳細
まず、本実施の形態で行うモータ制御方法の理論的な背景について説明する。
なお、本実施の形態の分子ポンプは3相正弦波駆動方式により駆動されるDCブラシレスモータを使用するものとする。
本実施の形態のモータ制御装置は、DCブラシレスモータに、各相の電磁石に供給する正弦波電流である電磁石電流I・sin(θ−2nπ/3)に補正成分Cnを加算し、モータが発生するトルクを一定となるようにする。まず、この条件を満たすCnを求める。ただし、n=0(U相)、1(V相)、2(W相)である。
式(2)において加算した補正成分Cnを考慮すると次の式(3)が得られる。
【0014】
【数3】
【0015】
ここで各相のトルク脈動及び振動の原因となる項、即ち式(3)の最右辺のΣで加算する項を各相ごとに0とおくと、次の式(4)を得る。
【0016】
【数4】
【0017】
この式(4)をCnについて解くと、次の式(5)を得る。
【0018】
【数5】
【0019】
各相ごとに式(5)で求めたCnが、各相の電磁石電流値に加算すべき補正値である。
次に、式(5)について更に考える。
式(5)において、θはモータに設けられたモータロータ回転角検出手段の検出結果から求まる。
また、モータ回転中に各相の誘起電圧Vn(=誘起電圧定数×回転速度ω)を検出し、これを回転速度検出手段の検出結果ωで除すことでK・sin(θ−2nπ/3)+Enが求まり、これから既知である設計値K・sin(θ−2nπ/3)を差し引くことでEnが求まる。
即ち、Enは、次の式(6)で表される。
【0020】
【数6】
【0021】
KとIは既知の設計値であることを考慮すると、以上の計算と式(5)によって補正値Cnが求まる。このCnを各相の電磁石電流値に加算すると、実際のモータが発生するトルクを表す式(2)は次の式(7)のようになり、トルク脈動を表す項が消去される。
【0022】
【数7】
【0023】
次に、本実施の形態のモータ制御装置1について説明する。
図1は、本実施の形態に係るモータ制御装置1の機能的な構成を示した図である。図1は、モータ制御装置1のもつ機能の相互関係を示したもので、必ずしも実際の回路構成を示したものではない。
なお、図1には、モータ制御装置1により制御されるモータ部3も図示されている。
モータ部3は、3相の正弦波電流により駆動されるDCブラシレスモータであり、モータ制御装置1によって回転を制御される。
【0024】
詳細な構造は後述するが、モータ部3は、ステータ側に電磁石が回転対称に設けてあり、モータ巻き線5a、5b、5cが巻いてある。モータ巻き線5a、5b、5cは直列に接続されず独立しており各相の電流は独立して流れる。各モータ巻き線5a、5b、5cは、それぞれU相、V相、W相の正弦波電流が供給され、電磁石はこれら正弦波電流により励磁される。
一方、モータロータ側には、永久磁石8が取り付けてあり、モータロータの周囲にN極とS極の磁極が形成されている。
モータ巻き線5a、5b、5cに3相交流を供給すると、永久磁石8の周囲に回転磁界が発生し、この回転磁界が永久磁石8を吸引してモータロータを回転させるようになっている。
【0025】
更に、モータ部3には回転角センサ9(回転角度検出手段)が取り付けてあり、モータロータの回転角度を検出できるようになっている。回転角センサ9は、例えば、ロータリエンコーダで構成される。
なお、本実施の形態では、回転角センサ9で検出した回転角度の時間変化からモータロータの角速度を演算するように構成した(角速度検出手段)が、これに限定するものではなく、モータロータの角速度を直接検出するセンサをモータ装置3に装備してもよい。
【0026】
回転角検出器11は、回転角センサ9の出力からモータロータの回転角度を検出し、これをディジタル信号に変換して電流制御部18に送る。
抵抗6a、6b、6cは、それぞれ抵抗値が等しい抵抗体であり、モータ巻き線5a、5b、5cと相似に結線されている。
このように抵抗体を配設して抵抗6a、6b、6cに発生している電圧を検出することにより、それぞれモータ巻き線5a、5b、5cに発生している誘起電圧を検出することができる(誘起電圧取得手段)。
【0027】
A/Dコンバータ10は、所定の時間間隔で各相のモータ巻き線5a、5b、5cのそれぞれに流れる電流値と、モータ巻き線5a、5b、5cの夫々に発生する誘起電圧をサンプリングし、ディジタルデータに変換して電流制御部18に送る。
電流制御部18は、演算部15、RAM12、ROM13、D/Aコンバータ14などから構成されている。
演算部15は、ROM13に格納されている各種プログラムにより演算を行う演算器である。後述するように、演算部15は、モータロータの回転に伴い、所定の時間間隔で補正後の電流指令値を計算して出力する。
RAM12は、演算部15が演算する際にワーキングエリアを提供する。
【0028】
演算部15は、演算結果として電流指令値をディジタル信号でD/Aコンバータ14に出力し、D/Aコンバータ14は、これをアナログ信号に変換し、電流指令値を電圧としてアンプ16に出力する(正弦波電流供給手段)。
本実施の形態では、演算部15を例えば、マイクロコンピュータで構成したが、これに限定するものではなく、例えば、高速な演算が可能なDSP(Digital Signal Processor)など、他の演算器を用いて構成することもできる。
アンプ16は、D/Aコンバータ14から受け取った電流指令値に応じた電流をモータ巻き線5a、5b、5cに供給する。
【0029】
ここで、演算部15の機能についてより詳細に説明する。
ROM13は、プログラムやデータを記憶した不揮発性のリードオンリーメモリであり、電流指令値取得機能、補正値算出機能、電磁石電流補正機能などを演算部15に発揮させるためのプログラムが格納されている。
演算部15は、電流指令値取得機能を発揮することにより、所定の時間間隔で次のような処理を行う。
まず、回転角検出器11からの信号により、モータロータの回転角度θ(永久磁石8の磁極の位置)を取得する。
そして、取得したθに応じた、モータ巻き線5a、5b、5cに対する電流指令値(補正前)を取得する。モータ巻き線5a、5b、5cに出力すべき、θに応じた電流指令値はROM13に記憶されており、演算部15は、ROM13から電流指令値を読み出して出力する。又は、演算部15がθに応じて電流指令値を演算するように構成してもよい。電磁石電流指令値は、θに応じた3相正弦波電流となる。
【0030】
演算部15は、補正値算出機能を発揮することにより、所定の時間間隔で次のような処理を行う(補正電流値算出手段)。
まず、回転角検出器11から取得されたモータロータの回転角度θを時間で微分してモータロータの角速度ωを算出する。
また、A/Dコンバータ10から各モータ巻き線5a、5b、5cの誘起電圧を取得する。
なお、設計値K・sin(θ−2nπ/3)など、予めわかっている値は、ROM13にθに応じて記憶してあり、これを用いる。
これら取得した値を用いて、式(5)及び式(6)に示した演算を行い、Cn(n=0、1、2)を求める。これにより現在のθにおけるCn(n=0、1、2)が得られる。
【0031】
演算部15は、電磁石電流補正機能を発揮することにより、次のような処理を行う(補正手段)。
まず、電流指令値取得機能により各相の補正前の電流指令値を取得する。次に、このときのθに対する各相の補正値を補正値算出機能により算出した後、これを各相の補正前の電流指令値にそれぞれ加算して、各相の電流指令値を補正する。そして、補正して得た補正後の電流指令値をD/Aコンバータ14に出力する。
この場合、アンプ16は、補正された電磁石電流をモータ部3に供給するため、モータロータのトルクが一定となる。
演算部15は、以上の補正処理を所定の時間間隔で行う。所定の時間としては、例えばA/Dコンバータ10のサンプリング周期や、演算部15を構成するマイクロコンピュータやDSPの演算周期などがあげられる。
【0032】
図2は、演算部15が、所定の時間間隔で、補正された電流指令値を算出する手順を説明するためのフローチャートである。
まず、演算部15は、モータ部3の駆動を開始する(ステップ105)。
次に、演算部15は、ROM13から設計値K、Iを取得する(ステップ110)。
次に、演算部15は、回転角検出器11からθを取得する(ステップ115)。
そして、演算部15は、θの時間変化から(例えば、複数個のθをサンプリングしてその時間変化から求める)ωを算出する(ステップ120)。なお、本実施の形態では、検出したθを用いてωを算出するように構成したが、これに限定するものではなく、ωを検出するセンサを用いてωを直接計測してもよい。ωを直接計測するとωを算出する時間を省略することができるため、処理を高速化することができる。
【0033】
次に、演算部15は、A/Dコンバータ10からモータ巻き線5a、5b、5cの誘起電圧を取得し(ステップ125)、これと、ステップ115で取得したθ及びステップ120で算出したωと、ステップ110で取得したKを用いて式(6)により各相の誤差Enを計算する(ステップ130)。
次に、演算部15は、ステップ130で算出したEn、及びステップ115で得たθ、ステップ110で得たK、Iを用いて式(5)により各相の補正値Cnを算出する(ステップ135)。
次に、演算部15は、ROM13から各相の補正前の電流指令値を読み出す(ステップ140)。
次に、演算部15は、補正前の電流指令値にステップ135で算出した補正値を各相ごとに加算する(ステップ145)。
次に、演算部15は、補正後の電流指令値をD/Aコンバータ14に出力する(ステップ150)。
次に、モータ部3の運転を継続する場合は(ステップ155;Y)、ステップ115に戻り、モータ部3の運転を停止する場合は(ステップ155;N)、モータ部3を停止し(ステップ160)、動作を停止する。
【0034】
次に、以上のように構成したモータ部3、及びモータ制御装置1を用いて駆動される分子ポンプについて説明する。
図3は、本実施の形態に係る分子ポンプ101の構成を示した図であり、ロータ軸102の軸線方向の断面を示している。
分子ポンプ101のケーシング105は円筒状の形状をしており、その中心にロータ軸102が設置されている。ケーシング105は、ベース106と共に分子ポンプ101の筐体131を形成する。
ロータ軸102の軸線方向の上部と下部及び底部には、それぞれ磁気軸受部107、108、109が設けられている。ロータ軸102は、磁気軸受部107、108によってラジアル方向(ロータ軸102の径方向)に非接触で支持され、磁気軸受部109によってスラスト方向(ロータ軸102の軸方向)に非接触で支持されている。これらの磁気軸受部107、108、109は、いわゆる5軸制御型の磁気軸受を構成しており、ロータ軸102はロータ軸102の軸線周りの回転の自由度を有している。
【0035】
磁気軸受部107では、4つの電磁石がロータ軸102の周囲に、90°ごとに対向するように配置されている。ロータ軸102は、高透磁率材(鉄など)などにより形成され、これらの電磁石の磁力により吸引されるようになっている。
変位センサ110は、ロータ軸102のラジアル方向の変位を検出する。図示しない制御部は、変位センサ110からの変位信号によってロータ軸102がラジアル方向に所定の位置から変位したことを検出すると、各電磁石の磁力を調節してロータ軸102を所定の位置に戻すように動作する。このように電磁石の磁力の調節は、各電磁石の励磁電流をフィードバック制御することにより行われる。
【0036】
図示しない制御部は、変位センサ110の信号により磁気軸受部107の磁力をフィードバック制御する。これにより、ロータ軸102は、磁気軸受部107において電磁石から所定のクリアランスを隔ててラジアル方向に磁気浮上し、空間中に非接触で保持される。
磁気軸受部108の構成と作用は、磁気軸受部107と同様である。
磁気軸受部108では、ロータ軸102の周囲に、90°ごとに電磁石が4つ配置されており、これらの電磁石の磁力の吸引力により、ロータ軸102は、磁気軸受部108でラジアル方向に非接触で保持される。
【0037】
変位センサ111は、ロータ軸102のラジアル方向の変位を検出する。
図示しない制御部は、ロータ軸102のラジアル方向の変位信号を変位センサ111から受信すると、この変位を修正してロータ軸102を所定の位置に保持するように電磁石の励磁電流をフィードバック制御する。
制御部は、変位センサ111の信号により磁気軸受部108の磁力をフィードバック制御する。これにより、ロータ軸102は、磁気軸受部108において電磁石から所定のクリアランスを隔ててラジアル方向に磁気浮上し、空間中に非接触で保持される。
このように、ロータ軸102は、磁気軸受部107、108の2カ所でラジアル方向に保持される。
【0038】
ロータ軸102の下端に設けられた磁気軸受部109は、円板状の金属ディスク112、電磁石113、114、変位センサ115によって構成され、ロータ軸102をスラスト方向に保持する
金属ディスク112は、鉄などの高透磁率材で構成されており、その中心においてロータ軸102に垂直に固定されている。金属ディスク112の上には電磁石113が設置され、下には電磁石114が設置されている。電磁石113は、磁力により金属ディスク112を上方に吸引し、電磁石114は、金属ディスク112を下方に吸引する。制御部は、この電磁石113、114が金属ディスク112に及ぼす磁力を適当に調節し、ロータ軸102をスラスト方向に磁気浮上させ、空間に非接触で保持するようになっている。
【0039】
変位センサ115は、ロータ軸102のスラスト方向の変位を検出し、これを図示しない制御部に送信する。制御部は、変位センサ115から受信した変位検出信号によりロータ軸102のスラスト方向の変位を検出する。
ロータ軸102がスラスト方向のどちらかに移動して所定の位置から変位した場合、制御部は、この変位を修正するように電磁石113、114の励磁電流をフィードバック制御して磁力を調節し、ロータ軸102を所定の位置に戻すように動作する。制御部は、このフィードバック制御を連続的に行い、これらよりロータ軸102はスラスト方向に所定の位置で磁気浮上して保持される。
以上に説明したように、ロータ軸102は、磁気軸受部107、108によりラジアル方向に保持され、磁気軸受部109によりスラスト方向に保持されるため、ロータ軸102は軸線周りの回転の自由度を有している。
【0040】
ロータ軸102において、磁気軸受部107、108の間にはモータ部3が設けてある。本実施の形態では、一例としてモータ部3は、以下のように構成されたDCブラシレスモータであるとする。
モータ部3では、ロータ軸102の周囲に永久磁石8が固着してある。この永久磁石8は、ロータ軸102の周りに、例えばN極とS極が180°ごとに配置されるように固定されている。このように、モータ部3では、ロータ軸102がモータロータを構成している。
【0041】
永久磁石8の周囲には、ロータ軸102から所定のクリアランスを経て、例えば6個の電磁石が60°ごとにロータ軸102の軸線に対して対照的に対向するように配置されている。この電磁石には、モータ巻き線5a、5b、5cが巻いてあり、これらモータ巻き線5a、5b、5cに供給されるU相、V相、W相の電流により励磁される。
より詳細に述べると、6個の電磁石のうち、ロータ軸102を挟んで対向している電磁石もの同士が3つの組を形成しており、これら組となっている電磁石にU相、V相、W相の電流が供給される。
【0042】
また、ロータ軸102の下端には、図示しない回転角センサ9が取り付けられている。これにより、モータ制御装置1は、ロータ軸102の回転角を検出することができる。
ロータ軸102の上端にはロータ117が複数のボルト118により取り付けられている。
以下に説明するように、ロータ117のおおよそ中ほどから吸気口103側、即ち、図中上方向は分子ポンプ部となっており、おおよそ中ほどから図中下方向、即ち排気口104側はねじ溝式ポンプ部となっている。
【0043】
ロータ117の吸気口103側に位置する分子ポンプ部では、ロータ翼119がロータ軸102の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して、ロータ117から放射状に複数段取り付けてある。ロータ翼119は、ロータ117に固着されており、ロータ軸102と共に高速回転するようになっている。
ケーシング105の吸気口103側には、ステータ翼120が、ロータ軸102の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して、ケーシング105の内側に向けて、ロータ翼119の段と互い違いに配設されている。
【0044】
ロータ117がモータ部3により駆動されてロータ軸102と共に回転すると、ロータ翼119とステータ翼120の作用により、吸気口103から排気ガスが吸気される。
吸気口103から吸気された排気ガスは、ロータ翼119とステータ翼120の間を通り、図中下半に構成されたねじ溝ポンプ部へ移送される。このとき、ロータ翼119と排気ガスとの摩擦や、モータ部3で発生した熱の伝導などにより、ロータ翼119の温度は上昇するが、この熱は、輻射又は排気ガスの気体分子などによりステータ翼120に伝導される。
【0045】
スペーサ121はリング状の部材であり、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス、銅などの金属、又はこれらの金属を成分として含む合金などの金属によって構成されている。
スペーサ121は、ステータ翼120によって形成された段を所定の間隔に保つために、ステータ翼120の段の間に介在させられると共に、ステータ翼120を所定の位置に保持する。
各スペーサ121は、外周部で互いに接合しており、ステータ翼120がロータ翼119から受け取った熱、及び排気ガスとステータ翼120との摩擦によって発生した熱などを伝導する熱伝導路を構成している。
【0046】
ロータ117の排気口104側に形成されたねじ溝ポンプ部は、ロータ117とねじ溝スペーサ122から構成されている。
ねじ溝スペーサ122は、アルミニウム、銅、ステンレス、鉄、又はこれらの金属を成分とする合金などの金属によって構成された円筒状の部材であり、その内周面に螺旋状の複数のねじ溝123が複数条形成されている。
ねじ溝123の螺旋の方向は、ロータ117の回転方向に排気ガスの分子が移動したときに、該分子が排気口104の方へ移送される方向である。
ロータ117がモータ部3により駆動されて回転すると、排気ガスが図中上半の分子ポンプ部からねじ溝ポンプ部へ移送されてくる。この移送されてきた排気ガスは、ねじ溝123にガイドされながら、排気口104の方へ移送される。
【0047】
ベース106の底部の開口部に裏蓋126が取り付けられている。
この裏蓋126には、ポンプ内部基板125が配置されている。ポンプ内部基板125は、例えば、分子ポンプ101の運転時間、エラー履歴などを記憶する記憶装置が配設されており、分子ポンプ101の保守点検に用いられる。
【0048】
以上、本実施の形態のモータ制御装置1について説明したが、分子ポンプ101は、磁気軸受を用いてロータ軸102を支持するため、ボールベアリングに比べてロータ軸の支持剛性が低い。このため、ロータの不釣り合い力等により、ロータが回転している間にモータ部3でモータロータと電磁石とのクリアランスが変動することが考えられる。この場合、このクリアランスの変動による影響は、K・sin(θ−2nπ/3)の誤差Enとなって現われる。
なお、モータ制御装置1は3相以外のモータにも適用可能である。例えば、2相の場合は、式(5)は、次の式(8)のようになる。
【0049】
【数8】
【0050】
ただし、n=0、1である。また、より一般にN相の場合、式(5)は次の式(9)のようになる。
【0051】
【数9】
【0052】
ただし、n=0、1、…、N−1である。
【0053】
更に、図示しないが、各相ごとに複数個(k個)の電磁石をロータ軸102を挟んで対向配置し、モータ巻き線を直列に接続することなく各電磁石ごとに電流が独立して流れるように接続し、誘起電圧検出手段を各電磁石ごとに誘起電圧を検出するように構成し、上記と同様に、各電磁石ごとに電流値に補償値Cnjを次式(10)のように加算すれば、対向する電磁石がロータ軸102に及ぼすラジアル方向の力の反力、例えば1の電磁石がロータ軸102に及ぼすラジアル方向の力F1の反力と1の電磁石に対向する電磁石がロータ軸102に及ぼすラジアル方向の力F2の反力は、互いに大きさが高精度に等しく向きが反対となり高精度に相殺される。対向する全ての電磁石がこの関係を満たすので、ステータのラジアル方向の振動が低減する。
【0054】
【数10】
【0055】
(ただし、j=1、2、…kである)
【0056】
図4は、本実施の形態のモータ制御装置1を用いてモータ部3を駆動した場合の各種波形図である。
図4(a)〜(c)は、電流補正前のモータ巻き線5a、5b、5cの誘起電圧を示した図である。図に示したように、2π/3ずつずれた正弦波となる。ただし、これらの波形は正しい正弦波ではなく上述したように誤差を含んでいる。
図4(d)〜(f)は、それぞれモータ巻き線5a、5b、5cに供給する補正後の電磁石電流を示した波形図である。図に示したように、各相の電流ともリップル状の部分があり、正弦波からずれた形となっている。これは、各相の電流に補正値を加算したため、正弦からずれたものである。
図4(g)は、補正後の電磁石電流によりモータ部3を運転した場合に、モータ部3が発生するトルクを示した波形図である。図に示したように、トルクは一定値となっている。
【0057】
以上に説明した本実施の形態により以下のような効果を得ることができる。
DCブラシレスモータが発生する振動が製造後の初期だけでなく、減磁などの経時変化の後も大幅に低減されるので、本実施の形態を適用することでDCブラシレスモータを使用する分子ポンプ101の振動が大幅に低減される。また、分子ポンプ101を使用した電子顕微鏡などの画像の乱れを改善し、分解能の向上に寄与することができる。
【0058】
(変形例)
次に、本実施の形態の変形例について説明する。本変形例では、電流制御部18やモータ部3などの構成は実施の形態と同様であるので、対応する構成要素には、同じ符合を付して説明する。
上で説明した実施の形態では、電流制御部18は、モータ部3を駆動しながらリアルタイムで補正値を算出し、電流指令値を補正した。これに対し、本変形例では、モータ部3の駆動時に各所定角度について補正値を算出し、これをRAM12に記憶しておく。そして、演算部15は、ROM13から読み出した補正前の電流指令値を、RAM12に記憶した補正値で補正し、D/Aコンバータ14に補正後の電流指令値を出力する。
以下に、本変形例における演算部15の動作についてフローチャートを用いて説明する。
【0059】
図5は、演算部15が補正された電流指令値を算出する手順を説明するためのフローチャートである。RAM12には、各所定角度における各相ごとの補正値が記憶されているものとする。
演算部15は、以下の処理を所定角度ごとに連続的に行う。
まず、演算部15は、永久磁石8の磁極の位置を特定するために、回転角検出器11からθを取得し(ステップ5)、θが所定角度であるか確認する。
次に、演算部15は、θが所定角度であった場合、ROM13からこのθに対応する各相の電流指令値(補正前)を取得する(ステップ10)。
次に、演算部15は、RAM12からステップ5で取得したθに対応する各相の補正値を取得する(ステップ15)。
【0060】
次に、演算部15は、ステップ10で取得した電流指令値に、ステップ15で取得した補正値を各相ごとに加算し、補正後の電流指令値を取得する(ステップ20)。
次に、演算部15は、補正後の電流指令値をD/Aコンバータ14に出力し(ステップ25)、処理を終える。演算部15は、このθに関する処理を終えると、次にサンプリングしたθに関して同様の処理を行う。そして、この処理をモータ部3が稼動している間持続する。
一方、D/Aコンバータ14は、演算部15から出力された補正後の電流指令値をアナログ信号に変換してアンプ16に出力し、アンプ16はモータ巻き線5a、5b、5cのそれぞれに流れる電流値がD/Aコンバータ14が出力する電流指令値と等しくなるように制御する。
【0061】
次に、演算部15が補正値Cnを算出する手順について図6のフローチャートを用いて説明する。
この処理は、モータ部3を起動する際に行う。
まず、演算部15は、ROM13から設計値K、Iを取得する(ステップ30)。
次にカウンタiを0にセットする(ステップ35)。これは、補正値を複数回計測して、これを平均するため、計測回数をカウントするのに用いる。
次に、演算部15は、補正をかけずにモータ部3を駆動する(ステップ40)。
【0062】
次に、演算部15は、回転角検出器11からの信号からθが0となる時点を検出する(ステップ42)。この時点から各θに対する補正値の取得が開始される。
次に、演算部15は、回転角検出器11からθを取得する(ステップ45)。
次に、演算部15は、θの時間変化から(例えば、複数個のθをサンプリングしてその時間変化から求める)ωを算出する(ステップ50)。なお、本実施の形態では、検出したθを用いてωを算出するように構成したが、これに限定するものではなく、ωを検出するセンサを用いてωを直接計測してもよい。ωを直接計測するとωを算出する時間を省略することができるため、処理を高速化することができる。
【0063】
次に、演算部15は、A/Dコンバータ10からモータ巻き線5a、5b、5cの誘起電圧を取得し(ステップ55)、これと、ステップ45で取得したθ及びステップ50で算出したωと、ステップ30で取得したKを用いて式(6)により各相の誤差Enを計算する(ステップ60)。
次に、演算部15は、ステップ60で算出したEn、及びステップ45で得たθ、ステップ30で得たK、Iを用いて式(5)により各相の補正値Cnを算出し(ステップ65)、これらをRAM12に一時的に記憶する(ステップ70)。
次に、演算部15は、θが2π未満か否かを判断し(ステップ72)、θが2π未満である場合(ステップ72;Y)、θに2π/Mを加算してθを更新し(ステップ73)、ステップ45に処理を戻る。ここで、Mは360度をM分割したことを意味し、θ+(2π/M)・Nが所定角度となる。ただし、N=0、1、…、M−1である。
そして、ステップ45では、回転角検出器11からの出力が更新されたθに達したときに処理を開始する。
ステップ72でθが2π未満でないと判断した場合は(ステップ72;N)、演算部15は、ステップ75に処理を移行する。
このようにして、モータ制御装置1は、0から2πまで2π/Mおきに、θに対応する各相の補正値Cnを算出し、これをRAM12に記憶する。
【0064】
次に、演算部15はiが10未満であるか否かを判断する(ステップ75)。iが10未満であった場合(ステップ75;Y)、演算部15は、iを1だけインクリメントし(ステップ80)、ステップ45の処理に戻る。iが10未満でなかった場合(ステップ75;N)、演算部15は、RAM12に一時的に記憶していた補正値の算出値を、θごとに総和を求めこれを補正値算出の繰り返し回数(ここでは10回)で除して、θに対応する各相の補正値の平均値を求める(ステップ85)。
次に、演算部15は、この平均値を、モータ部3を運転する際の補正値としてRAM12に記憶し(ステップ90)、処理を終了する。
以上の計測は、モータ部3が定常回転に達した後でもよいし、モータ部3が定常回転に達するまでの間に行ってもよい。
【0065】
以上の手順で得た補正値Cnは、モータ部3が動作している間中使用し、モータ部3の動作が終了した場合にRAM12から消去する。そして、次回に再度モータ部3を起動する際に、演算部15は新たに補正値を算出しRAM12に記憶する。このように、モータ部3を起動する際にその都度補正値を取得するように構成することにより、モータ部3の経時変化により誤差Enが変化した場合でも対応することができる。
【0066】
なお、本変形例では、モータ部3の起動時に予め補正値を計測してRAM13に格納するように構成したが、これに限定せず、モータ部3を駆動しながら、所定時間間隔で補正値を算出し、補正値を更新しながらモータ部3を運転するように構成してもよい。
【0067】
また、補正値を予め工場出荷時に計測し、これをROM13に記憶しておくように構成してもよい。この場合、モータ部3の経時変化に対応することは困難であるが、モータ制御装置1は、補正値を算出するための構成要素(抵抗6a、6b、6c、A/Dコンバータ10など)を装備する必要が無くなり、コストの低減を図ることができる。モータ部3の経時変化による振動の発生が問題にならないような用途では、このようにモータ制御装置1を構成することができる。
【0068】
以上、本発明の1実施形態について説明したが、本発明は説明した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲において各種の変形を行うことが可能である。
例えば、説明した実施形態では、演算部15により、補正前の電流指令値と補正後の電流指令値を生成したが、補正前の電流指令値を別の素子で生成し、これに演算部15で算出した補正値を加算するように構成することもできる。
また、本実施の形態では、DCブラシレスモータを正弦波駆動方式で駆動する場合について説明したが、例えば、擬似的な正弦波駆動電流などに適用することもできる。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、真空ポンプなどにおいて、モータの発生する振動を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るモータ制御装置の機能的な構成を示した機能構成図である。
【図2】演算部が電流指令値を出力する手順を説明するためのフローチャートである。
【図3】本実施の形態に係る分子ポンプの構成を示した図である。
【図4】本実施の形態のモータ制御装置に係る波形図である。
【図5】変形例において、演算部が補正された電流指令値を算出する手順を説明するためのフローチャートである。
【図6】変形例において、演算部が補正値Cnを算出する手順を示したフローチャートである。
【図7】従来のモータ制御装置に係る波形図である。
【符号の説明】
1 モータ制御装置
3 モータ部
5 モータ巻き線
6 抵抗
10 A/Dコンバータ
11 回転角検出器
12 RAM
13 ROM
14 D/Aコンバータ
15 演算部
16 アンプ
18 電流制御部
【発明の属する技術分野】
本発明はモータ制御装置などに関し、例えば、真空ポンプのロータを回転させるモータを制御するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
分子ポンプやドライポンプなどのようにロータをモータで回転駆動することにより排気作用を生む方式の真空ポンプは、排気能力が高く、高真空を容易に実現できるため、例えば、半導体製造装置の反応ガスの排気、電子顕微鏡の鏡筒の排気など、産業・研究分野で広く使用されている。
その真空ポンプの中でもターボ分子ポンプは、回転翼を形成したロータをモータで高速回転させ、高速回転する回転翼と筐体に固定した固定翼との作用により、排気作用を行う。
このモータには、DCブラシレスモータが一般に使用されている。DCブラシレスモータは、ステータ側に配設した電磁石に供給する電磁石電流を制御することにより、回転磁界を発生させ、これをロータ側に設けた永久磁石に作用させて回転させる。
DCブラシレスモータが発生するトルクは、例えば3相モータの場合、次の式(1)で表される。
【0003】
【数1】
【0004】
ここで、n=0、1、2であり、Kはトルク定数(誘起電圧定数)であり、Iは各相(U相、V相、W相)の電流振幅であり、θはロータ回転角である。これは、正弦駆動方式の場合である。
KとIはそれぞれ界磁の機構設計と回路の設計により定まる定数である。式(1)から、DCブラシレスモータが発生するトルクは定数となり、原理上トルク脈動とこれに起因する振動は発生しない。
DCブラシレスモータの振動を低減する従来の技術としては、例えば、次のものがある。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−356084
【0006】
この文献に記載の疑似正弦波の作成方法は、DCブラシレスモータのトルクリップルを低減するために、簡易な方法で疑似正弦波を作成するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のDCブラシレスモータは、界磁界の発生手段となる永久磁石の磁束密度が、初期(製作時)には、材料の組成や着磁によってばらつき、更にモータ運転中にはモータ巻き線が構成する電磁石が発生する磁界を受けて減磁してばらつき量が大きくなる。
また、モータロータとモータステータの同軸度誤差と、軸受に磁気軸受を用いる場合は軸受のロータ支持剛性がボールベアリングと比較して低いために、ロータはその重心を中心にして回転する。このため、ロータの重心と形状中心の位置がずれていると、回転中にロータとステータ間のギャップ量に変動が生じる。
これらの理由から、実際のDCブラシレスモータは、式(1)のK・sin(θ−2nπ/3)の値を高精度に設計値通りに管理することは困難であり、誤差Enを持つ。このEnを考慮すると、上の式(1)は、次の式(2)のようになる。
【0008】
【数2】
【0009】
式(2)によれば、モータが発生するトルクは一定の定数とはならず、トルク脈動が発生し、ステータはこのトルク脈動の反作用を受けて振動を発生する。
そして、この振動は、分子ポンプを接続した機器に問題を及ぼすことがあった。例えば、この振動が電子顕微鏡に伝播した場合、電子顕微鏡の画像が乱れ、分解能が低下することが考えられる。
図7は、従来のモータ制御装置により、3相DCブラシレスモータを運転した場合の波形図である。図5(a)〜(c)は、それぞれU相、V相、W相のモータ巻き線に生じる誘起電圧を表した波形図であり、本来は振幅が等しく位相が2π/3ずつずれた正弦波となるべきであるが、図に示したような誤差を持った正弦波となる。
図7(d)〜(f)は、それぞれU相、V相、W相のモータ巻き線に供給される電磁石電流を表した波形図であり、図に示したようにそれぞれ位相が2π/3ずつずれた正弦波になる。
図7(g)は、モータが発生するトルクを示した波形図である。原理上はトルクは一定になるはずであるが、実際は図に示したように脈動する。そして、ステータはこのトルク脈動の反作用を受けて振動を発生する。
【0010】
そこで、本発明の目的は、真空ポンプなどで、モータ装置が発生する振動を低減することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に記載した発明では、所定の極数の磁極が形成されたモータロータと、前記モータロータの周囲に配設され、モータ巻き線が巻回された電磁石と、を具備したモータを制御するモータ制御装置であって、前記モータロータの回転角度を検出する回転角度検出手段と、前記モータ巻き線に、前記検出した回転角に応じた所定相数の電流を供給する電流供給手段と、前記モータロータの発生するトルクと該トルクの理論値との差分を補償する前記モータロータの回転角度に対応した補正電流値を用いて、前記電流供給手段で前記モータ巻き線に供給する前記電流を補正する補正手段と、を具備したことを特徴とするモータ制御装置を提供する。
なお、前記補正電流値は、各相ごとに設けられており、前記補正手段は、各相の電流を対応する各相の補正電流値を用いて補正する。
前記回転角度検出手段の前記モータロータの回転角度の検出方法としては、例えば、前記モータロータが所定角度回転する毎に電気信号を発生する信号発生器を備え、前記電気信号の数を直接計測する方法と、前記電気信号を逓倍した信号の数を計測する方法などがあげられる。
請求項2に記載の発明では、前記電磁石が、各相ごとに複数存在し、かつ、前記電磁石は、それぞれ独立して前記電流供給手段から電流を供給され、前記補正手段は、前記電磁石ごとに電流を補正することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置を提供する。
請求項3に記載の発明では、前記補正手段は、前記取得した回転角度に対応する補正電流値を前記電流に加算することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のモータ制御装置を提供する。
請求項4に記載の発明では、前記モータロータの回転角度に対応した補正電流値を記憶する記憶手段を備え、前記補正手段は、前記取得した回転角度に対応する補正電流値を前記記憶手段から取得して前記電流に加算することを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のモータ制御装置を提供する。
請求項5に記載の発明では、各相の前記モータ巻き線の誘起電圧を取得する誘起電圧取得手段と、前記取得した誘起電圧を用いて、前記各相の前記モータロータの回転角度に対応する前記補正電流値を算出する補正電流値算出手段と、を備え、前記補正電流値算出手段は、前記取得した誘起電圧を用いて前記補正電流値を算定することを特徴とする請求項1から請求項4までのうちの何れか1の請求項に記載のモータ制御装置を提供する。
請求項6に記載の発明では、前記モータロータの角速度を取得する角速度取得手段を具備し、前記補正電流値算出手段は、Nを2以上の整数とし、N相の電流に対して、nを0からN−1までの整数値をとるものとし、Vn(単位V)を前記誘起電圧取得手段で取得した各相nの前記誘起電圧とし、ω(単位rad/sec)を前記角速度取得手段で取得した角速度とし、Fn(単位V・sec/rad)を前記モータロータの回転角度に対応した各相nの誘起電圧定数の理論値とし、EnをEn=Vn/ω−Fnの計算式によって算出された値とし、
In(単位A)を前記モータロータの回転角度に対応した各相nの前記電流値とし、Cn=−En・In/(Fn+En)の計算式によって、n番目の相の前記補正電流値Cnを算出することを特徴とする請求項5に記載のモータ制御装置を提供する。
前記角速度取得手段の前記角速度の取得方法としては、例えば、ωを検出するセンサを用いてωを直接計測する方法と、θの時間変化からωを算出する方法などがあげられる。
請求項7に記載の発明では、所定の極数の磁極が形成されたモータロータと、前記モータロータの周囲に配設されモータ巻き線が巻回された電磁石と、前記モータ巻き線に所定の相数の電流を供給する請求項1から請求項6までのうちの何れか1の請求項に記載のモータ制御装置と、を具備したことを特徴とするモータ装置を提供する。
請求項8に記載の発明では、円筒形状を有する筐体と、前記筐体の内周に設けられたポンプステータと、前記筐体と前記ポンプステータに対し相対的に回転自在に軸支された回転軸と、該回転軸が固設され前記ポンプステータの内周側に設けられたポンプロータと、前記ポンプロータを回転させる、請求項7に記載のモータ装置と、を具備したことを特徴とする真空ポンプを提供する。
請求項9に記載の発明では、所定の極数の磁極が形成されたモータロータと、前記モータロータの周囲に配設され、モータ巻き線が巻回された電磁石と、を具備したモータに供給する所定の相数の電流を補正する補正電流値を取得する補正電流値計測装置であって、前記モータロータの回転角度を検出する回転角度検出手段と、各相の前記モータ巻き線の誘起電圧を前記検出した回転角度に対応付けて取得する誘起電圧取得手段と、前記モータロータの発生するトルクと該トルクの理論値との差分を補償する前記モータロータの回転角度に対応した補正電流値を、前記取得した誘起電圧を用いて算出する補正電流値算出手段と、前記算出した補正電流値を出力する出力手段と、を具備したことを特徴とする補正電流値計測装置を提供する。
請求項10に記載の発明では、前記モータロータの角速度を取得する角速度取得手段を具備し、前記補正電流値算出手段は、Nを2以上の整数とし、N相の電流に対して、nを0からN−1までの整数値をとるものとし、Vn(単位V)を前記誘起電圧取得手段で取得した各相nの前記誘起電圧とし、ω(単位rad/sec)を前記角速度取得手段で取得した角速度とし、Fnを(単位V・sec/rad)を前記モータロータの回転角度に対応した各相nの誘起電圧定数の理論値とし、EnをEn=Vn/ω−Fnの計算式によって算出された値とし、In(単位A)を前記モータロータの回転角度に対応した各相nの前記電流値とし、Cn=−En・In/(Fn+En)の計算式によって、n番目の相の前記補正電流値Cnを算出することを特徴とする請求項9に記載の補正電流値計測装置を提供する。
前記角速度取得手段の前記角速度の取得方法としては、例えば、ωを検出するセンサを用いてωを直接計測する方法と、θの時間変化からωを算出する方法などがあげられる。
請求項11に記載の発明では、所定の極数の磁極が形成されたモータロータと、前記モータロータの周囲に配設され、モータ巻き線により励磁される電磁石と、を具備したモータを制御するモータ制御方法であって、回転角度検出手段と、電流供給手段と、補正手段と、を備えたモータ制御装置で、前記回転角度検出手段で、前記モータロータの回転角度を検出する回転角度検出ステップと、前記電流供給手段で、前記モータ巻き線に、前記検出した回転角に応じた所定相数の電流を供給する電流供給ステップと、前記モータロータの発生するトルクと該トルクの理論値との差分を補償する前記モータロータの回転角度に対応した補正電流値を用いて、前記補正手段で、前記電流供給手段で前記モータ巻き線に供給する前記電流を補正する補正ステップと、から構成されたことを特徴とするモータ制御方法を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図1から図6を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施の形態のモータ制御装置は、モータの発生するトルクが理論値から求められる一定値となるような各電磁石に供給する電磁石電流の補正電流値(以下補正値)をロータを回転させながら所定の時間間隔で求め、電磁石電流にこの補正値を加算してモータ巻き線に出力する。
この補正値は、モータの誘起電圧などを用いて、後述する数式により算出することができる。
このように、本実施の形態では、モータを駆動しながら補正値を計算し、電磁石電流をリアルタイムで補正することができる。
【0013】
(2)実施形態の詳細
まず、本実施の形態で行うモータ制御方法の理論的な背景について説明する。
なお、本実施の形態の分子ポンプは3相正弦波駆動方式により駆動されるDCブラシレスモータを使用するものとする。
本実施の形態のモータ制御装置は、DCブラシレスモータに、各相の電磁石に供給する正弦波電流である電磁石電流I・sin(θ−2nπ/3)に補正成分Cnを加算し、モータが発生するトルクを一定となるようにする。まず、この条件を満たすCnを求める。ただし、n=0(U相)、1(V相)、2(W相)である。
式(2)において加算した補正成分Cnを考慮すると次の式(3)が得られる。
【0014】
【数3】
【0015】
ここで各相のトルク脈動及び振動の原因となる項、即ち式(3)の最右辺のΣで加算する項を各相ごとに0とおくと、次の式(4)を得る。
【0016】
【数4】
【0017】
この式(4)をCnについて解くと、次の式(5)を得る。
【0018】
【数5】
【0019】
各相ごとに式(5)で求めたCnが、各相の電磁石電流値に加算すべき補正値である。
次に、式(5)について更に考える。
式(5)において、θはモータに設けられたモータロータ回転角検出手段の検出結果から求まる。
また、モータ回転中に各相の誘起電圧Vn(=誘起電圧定数×回転速度ω)を検出し、これを回転速度検出手段の検出結果ωで除すことでK・sin(θ−2nπ/3)+Enが求まり、これから既知である設計値K・sin(θ−2nπ/3)を差し引くことでEnが求まる。
即ち、Enは、次の式(6)で表される。
【0020】
【数6】
【0021】
KとIは既知の設計値であることを考慮すると、以上の計算と式(5)によって補正値Cnが求まる。このCnを各相の電磁石電流値に加算すると、実際のモータが発生するトルクを表す式(2)は次の式(7)のようになり、トルク脈動を表す項が消去される。
【0022】
【数7】
【0023】
次に、本実施の形態のモータ制御装置1について説明する。
図1は、本実施の形態に係るモータ制御装置1の機能的な構成を示した図である。図1は、モータ制御装置1のもつ機能の相互関係を示したもので、必ずしも実際の回路構成を示したものではない。
なお、図1には、モータ制御装置1により制御されるモータ部3も図示されている。
モータ部3は、3相の正弦波電流により駆動されるDCブラシレスモータであり、モータ制御装置1によって回転を制御される。
【0024】
詳細な構造は後述するが、モータ部3は、ステータ側に電磁石が回転対称に設けてあり、モータ巻き線5a、5b、5cが巻いてある。モータ巻き線5a、5b、5cは直列に接続されず独立しており各相の電流は独立して流れる。各モータ巻き線5a、5b、5cは、それぞれU相、V相、W相の正弦波電流が供給され、電磁石はこれら正弦波電流により励磁される。
一方、モータロータ側には、永久磁石8が取り付けてあり、モータロータの周囲にN極とS極の磁極が形成されている。
モータ巻き線5a、5b、5cに3相交流を供給すると、永久磁石8の周囲に回転磁界が発生し、この回転磁界が永久磁石8を吸引してモータロータを回転させるようになっている。
【0025】
更に、モータ部3には回転角センサ9(回転角度検出手段)が取り付けてあり、モータロータの回転角度を検出できるようになっている。回転角センサ9は、例えば、ロータリエンコーダで構成される。
なお、本実施の形態では、回転角センサ9で検出した回転角度の時間変化からモータロータの角速度を演算するように構成した(角速度検出手段)が、これに限定するものではなく、モータロータの角速度を直接検出するセンサをモータ装置3に装備してもよい。
【0026】
回転角検出器11は、回転角センサ9の出力からモータロータの回転角度を検出し、これをディジタル信号に変換して電流制御部18に送る。
抵抗6a、6b、6cは、それぞれ抵抗値が等しい抵抗体であり、モータ巻き線5a、5b、5cと相似に結線されている。
このように抵抗体を配設して抵抗6a、6b、6cに発生している電圧を検出することにより、それぞれモータ巻き線5a、5b、5cに発生している誘起電圧を検出することができる(誘起電圧取得手段)。
【0027】
A/Dコンバータ10は、所定の時間間隔で各相のモータ巻き線5a、5b、5cのそれぞれに流れる電流値と、モータ巻き線5a、5b、5cの夫々に発生する誘起電圧をサンプリングし、ディジタルデータに変換して電流制御部18に送る。
電流制御部18は、演算部15、RAM12、ROM13、D/Aコンバータ14などから構成されている。
演算部15は、ROM13に格納されている各種プログラムにより演算を行う演算器である。後述するように、演算部15は、モータロータの回転に伴い、所定の時間間隔で補正後の電流指令値を計算して出力する。
RAM12は、演算部15が演算する際にワーキングエリアを提供する。
【0028】
演算部15は、演算結果として電流指令値をディジタル信号でD/Aコンバータ14に出力し、D/Aコンバータ14は、これをアナログ信号に変換し、電流指令値を電圧としてアンプ16に出力する(正弦波電流供給手段)。
本実施の形態では、演算部15を例えば、マイクロコンピュータで構成したが、これに限定するものではなく、例えば、高速な演算が可能なDSP(Digital Signal Processor)など、他の演算器を用いて構成することもできる。
アンプ16は、D/Aコンバータ14から受け取った電流指令値に応じた電流をモータ巻き線5a、5b、5cに供給する。
【0029】
ここで、演算部15の機能についてより詳細に説明する。
ROM13は、プログラムやデータを記憶した不揮発性のリードオンリーメモリであり、電流指令値取得機能、補正値算出機能、電磁石電流補正機能などを演算部15に発揮させるためのプログラムが格納されている。
演算部15は、電流指令値取得機能を発揮することにより、所定の時間間隔で次のような処理を行う。
まず、回転角検出器11からの信号により、モータロータの回転角度θ(永久磁石8の磁極の位置)を取得する。
そして、取得したθに応じた、モータ巻き線5a、5b、5cに対する電流指令値(補正前)を取得する。モータ巻き線5a、5b、5cに出力すべき、θに応じた電流指令値はROM13に記憶されており、演算部15は、ROM13から電流指令値を読み出して出力する。又は、演算部15がθに応じて電流指令値を演算するように構成してもよい。電磁石電流指令値は、θに応じた3相正弦波電流となる。
【0030】
演算部15は、補正値算出機能を発揮することにより、所定の時間間隔で次のような処理を行う(補正電流値算出手段)。
まず、回転角検出器11から取得されたモータロータの回転角度θを時間で微分してモータロータの角速度ωを算出する。
また、A/Dコンバータ10から各モータ巻き線5a、5b、5cの誘起電圧を取得する。
なお、設計値K・sin(θ−2nπ/3)など、予めわかっている値は、ROM13にθに応じて記憶してあり、これを用いる。
これら取得した値を用いて、式(5)及び式(6)に示した演算を行い、Cn(n=0、1、2)を求める。これにより現在のθにおけるCn(n=0、1、2)が得られる。
【0031】
演算部15は、電磁石電流補正機能を発揮することにより、次のような処理を行う(補正手段)。
まず、電流指令値取得機能により各相の補正前の電流指令値を取得する。次に、このときのθに対する各相の補正値を補正値算出機能により算出した後、これを各相の補正前の電流指令値にそれぞれ加算して、各相の電流指令値を補正する。そして、補正して得た補正後の電流指令値をD/Aコンバータ14に出力する。
この場合、アンプ16は、補正された電磁石電流をモータ部3に供給するため、モータロータのトルクが一定となる。
演算部15は、以上の補正処理を所定の時間間隔で行う。所定の時間としては、例えばA/Dコンバータ10のサンプリング周期や、演算部15を構成するマイクロコンピュータやDSPの演算周期などがあげられる。
【0032】
図2は、演算部15が、所定の時間間隔で、補正された電流指令値を算出する手順を説明するためのフローチャートである。
まず、演算部15は、モータ部3の駆動を開始する(ステップ105)。
次に、演算部15は、ROM13から設計値K、Iを取得する(ステップ110)。
次に、演算部15は、回転角検出器11からθを取得する(ステップ115)。
そして、演算部15は、θの時間変化から(例えば、複数個のθをサンプリングしてその時間変化から求める)ωを算出する(ステップ120)。なお、本実施の形態では、検出したθを用いてωを算出するように構成したが、これに限定するものではなく、ωを検出するセンサを用いてωを直接計測してもよい。ωを直接計測するとωを算出する時間を省略することができるため、処理を高速化することができる。
【0033】
次に、演算部15は、A/Dコンバータ10からモータ巻き線5a、5b、5cの誘起電圧を取得し(ステップ125)、これと、ステップ115で取得したθ及びステップ120で算出したωと、ステップ110で取得したKを用いて式(6)により各相の誤差Enを計算する(ステップ130)。
次に、演算部15は、ステップ130で算出したEn、及びステップ115で得たθ、ステップ110で得たK、Iを用いて式(5)により各相の補正値Cnを算出する(ステップ135)。
次に、演算部15は、ROM13から各相の補正前の電流指令値を読み出す(ステップ140)。
次に、演算部15は、補正前の電流指令値にステップ135で算出した補正値を各相ごとに加算する(ステップ145)。
次に、演算部15は、補正後の電流指令値をD/Aコンバータ14に出力する(ステップ150)。
次に、モータ部3の運転を継続する場合は(ステップ155;Y)、ステップ115に戻り、モータ部3の運転を停止する場合は(ステップ155;N)、モータ部3を停止し(ステップ160)、動作を停止する。
【0034】
次に、以上のように構成したモータ部3、及びモータ制御装置1を用いて駆動される分子ポンプについて説明する。
図3は、本実施の形態に係る分子ポンプ101の構成を示した図であり、ロータ軸102の軸線方向の断面を示している。
分子ポンプ101のケーシング105は円筒状の形状をしており、その中心にロータ軸102が設置されている。ケーシング105は、ベース106と共に分子ポンプ101の筐体131を形成する。
ロータ軸102の軸線方向の上部と下部及び底部には、それぞれ磁気軸受部107、108、109が設けられている。ロータ軸102は、磁気軸受部107、108によってラジアル方向(ロータ軸102の径方向)に非接触で支持され、磁気軸受部109によってスラスト方向(ロータ軸102の軸方向)に非接触で支持されている。これらの磁気軸受部107、108、109は、いわゆる5軸制御型の磁気軸受を構成しており、ロータ軸102はロータ軸102の軸線周りの回転の自由度を有している。
【0035】
磁気軸受部107では、4つの電磁石がロータ軸102の周囲に、90°ごとに対向するように配置されている。ロータ軸102は、高透磁率材(鉄など)などにより形成され、これらの電磁石の磁力により吸引されるようになっている。
変位センサ110は、ロータ軸102のラジアル方向の変位を検出する。図示しない制御部は、変位センサ110からの変位信号によってロータ軸102がラジアル方向に所定の位置から変位したことを検出すると、各電磁石の磁力を調節してロータ軸102を所定の位置に戻すように動作する。このように電磁石の磁力の調節は、各電磁石の励磁電流をフィードバック制御することにより行われる。
【0036】
図示しない制御部は、変位センサ110の信号により磁気軸受部107の磁力をフィードバック制御する。これにより、ロータ軸102は、磁気軸受部107において電磁石から所定のクリアランスを隔ててラジアル方向に磁気浮上し、空間中に非接触で保持される。
磁気軸受部108の構成と作用は、磁気軸受部107と同様である。
磁気軸受部108では、ロータ軸102の周囲に、90°ごとに電磁石が4つ配置されており、これらの電磁石の磁力の吸引力により、ロータ軸102は、磁気軸受部108でラジアル方向に非接触で保持される。
【0037】
変位センサ111は、ロータ軸102のラジアル方向の変位を検出する。
図示しない制御部は、ロータ軸102のラジアル方向の変位信号を変位センサ111から受信すると、この変位を修正してロータ軸102を所定の位置に保持するように電磁石の励磁電流をフィードバック制御する。
制御部は、変位センサ111の信号により磁気軸受部108の磁力をフィードバック制御する。これにより、ロータ軸102は、磁気軸受部108において電磁石から所定のクリアランスを隔ててラジアル方向に磁気浮上し、空間中に非接触で保持される。
このように、ロータ軸102は、磁気軸受部107、108の2カ所でラジアル方向に保持される。
【0038】
ロータ軸102の下端に設けられた磁気軸受部109は、円板状の金属ディスク112、電磁石113、114、変位センサ115によって構成され、ロータ軸102をスラスト方向に保持する
金属ディスク112は、鉄などの高透磁率材で構成されており、その中心においてロータ軸102に垂直に固定されている。金属ディスク112の上には電磁石113が設置され、下には電磁石114が設置されている。電磁石113は、磁力により金属ディスク112を上方に吸引し、電磁石114は、金属ディスク112を下方に吸引する。制御部は、この電磁石113、114が金属ディスク112に及ぼす磁力を適当に調節し、ロータ軸102をスラスト方向に磁気浮上させ、空間に非接触で保持するようになっている。
【0039】
変位センサ115は、ロータ軸102のスラスト方向の変位を検出し、これを図示しない制御部に送信する。制御部は、変位センサ115から受信した変位検出信号によりロータ軸102のスラスト方向の変位を検出する。
ロータ軸102がスラスト方向のどちらかに移動して所定の位置から変位した場合、制御部は、この変位を修正するように電磁石113、114の励磁電流をフィードバック制御して磁力を調節し、ロータ軸102を所定の位置に戻すように動作する。制御部は、このフィードバック制御を連続的に行い、これらよりロータ軸102はスラスト方向に所定の位置で磁気浮上して保持される。
以上に説明したように、ロータ軸102は、磁気軸受部107、108によりラジアル方向に保持され、磁気軸受部109によりスラスト方向に保持されるため、ロータ軸102は軸線周りの回転の自由度を有している。
【0040】
ロータ軸102において、磁気軸受部107、108の間にはモータ部3が設けてある。本実施の形態では、一例としてモータ部3は、以下のように構成されたDCブラシレスモータであるとする。
モータ部3では、ロータ軸102の周囲に永久磁石8が固着してある。この永久磁石8は、ロータ軸102の周りに、例えばN極とS極が180°ごとに配置されるように固定されている。このように、モータ部3では、ロータ軸102がモータロータを構成している。
【0041】
永久磁石8の周囲には、ロータ軸102から所定のクリアランスを経て、例えば6個の電磁石が60°ごとにロータ軸102の軸線に対して対照的に対向するように配置されている。この電磁石には、モータ巻き線5a、5b、5cが巻いてあり、これらモータ巻き線5a、5b、5cに供給されるU相、V相、W相の電流により励磁される。
より詳細に述べると、6個の電磁石のうち、ロータ軸102を挟んで対向している電磁石もの同士が3つの組を形成しており、これら組となっている電磁石にU相、V相、W相の電流が供給される。
【0042】
また、ロータ軸102の下端には、図示しない回転角センサ9が取り付けられている。これにより、モータ制御装置1は、ロータ軸102の回転角を検出することができる。
ロータ軸102の上端にはロータ117が複数のボルト118により取り付けられている。
以下に説明するように、ロータ117のおおよそ中ほどから吸気口103側、即ち、図中上方向は分子ポンプ部となっており、おおよそ中ほどから図中下方向、即ち排気口104側はねじ溝式ポンプ部となっている。
【0043】
ロータ117の吸気口103側に位置する分子ポンプ部では、ロータ翼119がロータ軸102の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して、ロータ117から放射状に複数段取り付けてある。ロータ翼119は、ロータ117に固着されており、ロータ軸102と共に高速回転するようになっている。
ケーシング105の吸気口103側には、ステータ翼120が、ロータ軸102の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して、ケーシング105の内側に向けて、ロータ翼119の段と互い違いに配設されている。
【0044】
ロータ117がモータ部3により駆動されてロータ軸102と共に回転すると、ロータ翼119とステータ翼120の作用により、吸気口103から排気ガスが吸気される。
吸気口103から吸気された排気ガスは、ロータ翼119とステータ翼120の間を通り、図中下半に構成されたねじ溝ポンプ部へ移送される。このとき、ロータ翼119と排気ガスとの摩擦や、モータ部3で発生した熱の伝導などにより、ロータ翼119の温度は上昇するが、この熱は、輻射又は排気ガスの気体分子などによりステータ翼120に伝導される。
【0045】
スペーサ121はリング状の部材であり、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス、銅などの金属、又はこれらの金属を成分として含む合金などの金属によって構成されている。
スペーサ121は、ステータ翼120によって形成された段を所定の間隔に保つために、ステータ翼120の段の間に介在させられると共に、ステータ翼120を所定の位置に保持する。
各スペーサ121は、外周部で互いに接合しており、ステータ翼120がロータ翼119から受け取った熱、及び排気ガスとステータ翼120との摩擦によって発生した熱などを伝導する熱伝導路を構成している。
【0046】
ロータ117の排気口104側に形成されたねじ溝ポンプ部は、ロータ117とねじ溝スペーサ122から構成されている。
ねじ溝スペーサ122は、アルミニウム、銅、ステンレス、鉄、又はこれらの金属を成分とする合金などの金属によって構成された円筒状の部材であり、その内周面に螺旋状の複数のねじ溝123が複数条形成されている。
ねじ溝123の螺旋の方向は、ロータ117の回転方向に排気ガスの分子が移動したときに、該分子が排気口104の方へ移送される方向である。
ロータ117がモータ部3により駆動されて回転すると、排気ガスが図中上半の分子ポンプ部からねじ溝ポンプ部へ移送されてくる。この移送されてきた排気ガスは、ねじ溝123にガイドされながら、排気口104の方へ移送される。
【0047】
ベース106の底部の開口部に裏蓋126が取り付けられている。
この裏蓋126には、ポンプ内部基板125が配置されている。ポンプ内部基板125は、例えば、分子ポンプ101の運転時間、エラー履歴などを記憶する記憶装置が配設されており、分子ポンプ101の保守点検に用いられる。
【0048】
以上、本実施の形態のモータ制御装置1について説明したが、分子ポンプ101は、磁気軸受を用いてロータ軸102を支持するため、ボールベアリングに比べてロータ軸の支持剛性が低い。このため、ロータの不釣り合い力等により、ロータが回転している間にモータ部3でモータロータと電磁石とのクリアランスが変動することが考えられる。この場合、このクリアランスの変動による影響は、K・sin(θ−2nπ/3)の誤差Enとなって現われる。
なお、モータ制御装置1は3相以外のモータにも適用可能である。例えば、2相の場合は、式(5)は、次の式(8)のようになる。
【0049】
【数8】
【0050】
ただし、n=0、1である。また、より一般にN相の場合、式(5)は次の式(9)のようになる。
【0051】
【数9】
【0052】
ただし、n=0、1、…、N−1である。
【0053】
更に、図示しないが、各相ごとに複数個(k個)の電磁石をロータ軸102を挟んで対向配置し、モータ巻き線を直列に接続することなく各電磁石ごとに電流が独立して流れるように接続し、誘起電圧検出手段を各電磁石ごとに誘起電圧を検出するように構成し、上記と同様に、各電磁石ごとに電流値に補償値Cnjを次式(10)のように加算すれば、対向する電磁石がロータ軸102に及ぼすラジアル方向の力の反力、例えば1の電磁石がロータ軸102に及ぼすラジアル方向の力F1の反力と1の電磁石に対向する電磁石がロータ軸102に及ぼすラジアル方向の力F2の反力は、互いに大きさが高精度に等しく向きが反対となり高精度に相殺される。対向する全ての電磁石がこの関係を満たすので、ステータのラジアル方向の振動が低減する。
【0054】
【数10】
【0055】
(ただし、j=1、2、…kである)
【0056】
図4は、本実施の形態のモータ制御装置1を用いてモータ部3を駆動した場合の各種波形図である。
図4(a)〜(c)は、電流補正前のモータ巻き線5a、5b、5cの誘起電圧を示した図である。図に示したように、2π/3ずつずれた正弦波となる。ただし、これらの波形は正しい正弦波ではなく上述したように誤差を含んでいる。
図4(d)〜(f)は、それぞれモータ巻き線5a、5b、5cに供給する補正後の電磁石電流を示した波形図である。図に示したように、各相の電流ともリップル状の部分があり、正弦波からずれた形となっている。これは、各相の電流に補正値を加算したため、正弦からずれたものである。
図4(g)は、補正後の電磁石電流によりモータ部3を運転した場合に、モータ部3が発生するトルクを示した波形図である。図に示したように、トルクは一定値となっている。
【0057】
以上に説明した本実施の形態により以下のような効果を得ることができる。
DCブラシレスモータが発生する振動が製造後の初期だけでなく、減磁などの経時変化の後も大幅に低減されるので、本実施の形態を適用することでDCブラシレスモータを使用する分子ポンプ101の振動が大幅に低減される。また、分子ポンプ101を使用した電子顕微鏡などの画像の乱れを改善し、分解能の向上に寄与することができる。
【0058】
(変形例)
次に、本実施の形態の変形例について説明する。本変形例では、電流制御部18やモータ部3などの構成は実施の形態と同様であるので、対応する構成要素には、同じ符合を付して説明する。
上で説明した実施の形態では、電流制御部18は、モータ部3を駆動しながらリアルタイムで補正値を算出し、電流指令値を補正した。これに対し、本変形例では、モータ部3の駆動時に各所定角度について補正値を算出し、これをRAM12に記憶しておく。そして、演算部15は、ROM13から読み出した補正前の電流指令値を、RAM12に記憶した補正値で補正し、D/Aコンバータ14に補正後の電流指令値を出力する。
以下に、本変形例における演算部15の動作についてフローチャートを用いて説明する。
【0059】
図5は、演算部15が補正された電流指令値を算出する手順を説明するためのフローチャートである。RAM12には、各所定角度における各相ごとの補正値が記憶されているものとする。
演算部15は、以下の処理を所定角度ごとに連続的に行う。
まず、演算部15は、永久磁石8の磁極の位置を特定するために、回転角検出器11からθを取得し(ステップ5)、θが所定角度であるか確認する。
次に、演算部15は、θが所定角度であった場合、ROM13からこのθに対応する各相の電流指令値(補正前)を取得する(ステップ10)。
次に、演算部15は、RAM12からステップ5で取得したθに対応する各相の補正値を取得する(ステップ15)。
【0060】
次に、演算部15は、ステップ10で取得した電流指令値に、ステップ15で取得した補正値を各相ごとに加算し、補正後の電流指令値を取得する(ステップ20)。
次に、演算部15は、補正後の電流指令値をD/Aコンバータ14に出力し(ステップ25)、処理を終える。演算部15は、このθに関する処理を終えると、次にサンプリングしたθに関して同様の処理を行う。そして、この処理をモータ部3が稼動している間持続する。
一方、D/Aコンバータ14は、演算部15から出力された補正後の電流指令値をアナログ信号に変換してアンプ16に出力し、アンプ16はモータ巻き線5a、5b、5cのそれぞれに流れる電流値がD/Aコンバータ14が出力する電流指令値と等しくなるように制御する。
【0061】
次に、演算部15が補正値Cnを算出する手順について図6のフローチャートを用いて説明する。
この処理は、モータ部3を起動する際に行う。
まず、演算部15は、ROM13から設計値K、Iを取得する(ステップ30)。
次にカウンタiを0にセットする(ステップ35)。これは、補正値を複数回計測して、これを平均するため、計測回数をカウントするのに用いる。
次に、演算部15は、補正をかけずにモータ部3を駆動する(ステップ40)。
【0062】
次に、演算部15は、回転角検出器11からの信号からθが0となる時点を検出する(ステップ42)。この時点から各θに対する補正値の取得が開始される。
次に、演算部15は、回転角検出器11からθを取得する(ステップ45)。
次に、演算部15は、θの時間変化から(例えば、複数個のθをサンプリングしてその時間変化から求める)ωを算出する(ステップ50)。なお、本実施の形態では、検出したθを用いてωを算出するように構成したが、これに限定するものではなく、ωを検出するセンサを用いてωを直接計測してもよい。ωを直接計測するとωを算出する時間を省略することができるため、処理を高速化することができる。
【0063】
次に、演算部15は、A/Dコンバータ10からモータ巻き線5a、5b、5cの誘起電圧を取得し(ステップ55)、これと、ステップ45で取得したθ及びステップ50で算出したωと、ステップ30で取得したKを用いて式(6)により各相の誤差Enを計算する(ステップ60)。
次に、演算部15は、ステップ60で算出したEn、及びステップ45で得たθ、ステップ30で得たK、Iを用いて式(5)により各相の補正値Cnを算出し(ステップ65)、これらをRAM12に一時的に記憶する(ステップ70)。
次に、演算部15は、θが2π未満か否かを判断し(ステップ72)、θが2π未満である場合(ステップ72;Y)、θに2π/Mを加算してθを更新し(ステップ73)、ステップ45に処理を戻る。ここで、Mは360度をM分割したことを意味し、θ+(2π/M)・Nが所定角度となる。ただし、N=0、1、…、M−1である。
そして、ステップ45では、回転角検出器11からの出力が更新されたθに達したときに処理を開始する。
ステップ72でθが2π未満でないと判断した場合は(ステップ72;N)、演算部15は、ステップ75に処理を移行する。
このようにして、モータ制御装置1は、0から2πまで2π/Mおきに、θに対応する各相の補正値Cnを算出し、これをRAM12に記憶する。
【0064】
次に、演算部15はiが10未満であるか否かを判断する(ステップ75)。iが10未満であった場合(ステップ75;Y)、演算部15は、iを1だけインクリメントし(ステップ80)、ステップ45の処理に戻る。iが10未満でなかった場合(ステップ75;N)、演算部15は、RAM12に一時的に記憶していた補正値の算出値を、θごとに総和を求めこれを補正値算出の繰り返し回数(ここでは10回)で除して、θに対応する各相の補正値の平均値を求める(ステップ85)。
次に、演算部15は、この平均値を、モータ部3を運転する際の補正値としてRAM12に記憶し(ステップ90)、処理を終了する。
以上の計測は、モータ部3が定常回転に達した後でもよいし、モータ部3が定常回転に達するまでの間に行ってもよい。
【0065】
以上の手順で得た補正値Cnは、モータ部3が動作している間中使用し、モータ部3の動作が終了した場合にRAM12から消去する。そして、次回に再度モータ部3を起動する際に、演算部15は新たに補正値を算出しRAM12に記憶する。このように、モータ部3を起動する際にその都度補正値を取得するように構成することにより、モータ部3の経時変化により誤差Enが変化した場合でも対応することができる。
【0066】
なお、本変形例では、モータ部3の起動時に予め補正値を計測してRAM13に格納するように構成したが、これに限定せず、モータ部3を駆動しながら、所定時間間隔で補正値を算出し、補正値を更新しながらモータ部3を運転するように構成してもよい。
【0067】
また、補正値を予め工場出荷時に計測し、これをROM13に記憶しておくように構成してもよい。この場合、モータ部3の経時変化に対応することは困難であるが、モータ制御装置1は、補正値を算出するための構成要素(抵抗6a、6b、6c、A/Dコンバータ10など)を装備する必要が無くなり、コストの低減を図ることができる。モータ部3の経時変化による振動の発生が問題にならないような用途では、このようにモータ制御装置1を構成することができる。
【0068】
以上、本発明の1実施形態について説明したが、本発明は説明した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲において各種の変形を行うことが可能である。
例えば、説明した実施形態では、演算部15により、補正前の電流指令値と補正後の電流指令値を生成したが、補正前の電流指令値を別の素子で生成し、これに演算部15で算出した補正値を加算するように構成することもできる。
また、本実施の形態では、DCブラシレスモータを正弦波駆動方式で駆動する場合について説明したが、例えば、擬似的な正弦波駆動電流などに適用することもできる。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、真空ポンプなどにおいて、モータの発生する振動を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るモータ制御装置の機能的な構成を示した機能構成図である。
【図2】演算部が電流指令値を出力する手順を説明するためのフローチャートである。
【図3】本実施の形態に係る分子ポンプの構成を示した図である。
【図4】本実施の形態のモータ制御装置に係る波形図である。
【図5】変形例において、演算部が補正された電流指令値を算出する手順を説明するためのフローチャートである。
【図6】変形例において、演算部が補正値Cnを算出する手順を示したフローチャートである。
【図7】従来のモータ制御装置に係る波形図である。
【符号の説明】
1 モータ制御装置
3 モータ部
5 モータ巻き線
6 抵抗
10 A/Dコンバータ
11 回転角検出器
12 RAM
13 ROM
14 D/Aコンバータ
15 演算部
16 アンプ
18 電流制御部
Claims (11)
- 所定の極数の磁極が形成されたモータロータと、前記モータロータの周囲に配設され、モータ巻き線が巻回された電磁石と、を具備したモータを制御するモータ制御装置であって、
前記モータロータの回転角度を検出する回転角度検出手段と、
前記モータ巻き線に、前記検出した回転角に応じた所定相数の電流を供給する電流供給手段と、
前記モータロータの発生するトルクと該トルクの理論値との差分を補償する前記モータロータの回転角度に対応した補正電流値を用いて、前記電流供給手段で前記モータ巻き線に供給する前記電流を補正する補正手段と、
を具備したことを特徴とするモータ制御装置。 - 前記電磁石は、各相ごとに複数存在し、かつ、前記電磁石は、それぞれ独立して前記電流供給手段から電流を供給され、前記補正手段は、前記電磁石ごとに電流を補正することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
- 前記補正手段は、前記取得した回転角度に対応する補正電流値を前記電流に加算することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のモータ制御装置。
- 前記モータロータの回転角度に対応した補正電流値を記憶する記憶手段を備え、前記補正手段は、前記取得した回転角度に対応する補正電流値を前記記憶手段から取得して前記電流に加算することを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のモータ制御装置。
- 各相の前記モータ巻き線の誘起電圧を取得する誘起電圧取得手段と、
前記取得した誘起電圧を用いて、前記各相の前記モータロータの回転角度に対応する前記補正電流値を算出する補正電流値算出手段と、を備え、
前記補正電流値算出手段は、前記取得した誘起電圧を用いて前記補正電流値を算定することを特徴とする請求項1から請求項4までのうちの何れか1の請求項に記載のモータ制御装置。 - 前記モータロータの角速度を取得する角速度取得手段を具備し、
前記補正電流値算出手段は、Nを2以上の整数とし、
N相の電流に対して、nを0からN−1までの整数値をとるものとし、
Vnを前記誘起電圧取得手段で取得した各相nの前記誘起電圧とし、
ωを前記角速度取得手段で取得した角速度とし、
Fnを前記モータロータの回転角度に対応した各相nの誘起電圧定数の理論値とし、
EnをEn=Vn/ω−Fnの計算式によって算出された値とし、
Inを前記モータロータの回転角度に対応した各相nの前記電流値とし、
Cn=−En・In/(Fn+En)の計算式によって、n番目の相の前記補正電流値Cnを算出することを特徴とする請求項5に記載のモータ制御装置。 - 所定の極数の磁極が形成されたモータロータと、
前記モータロータの周囲に配設されモータ巻き線が巻回された電磁石と、
前記モータ巻き線に所定の相数の電流を供給する請求項1から請求項6までのうちの何れか1の請求項に記載のモータ制御装置と、
を具備したことを特徴とするモータ装置。 - 円筒形状を有する筐体と、
前記筐体の内周に設けられたポンプステータと、
前記筐体と前記ポンプステータに対し相対的に回転自在に軸支された回転軸と、
該回転軸が固設され前記ポンプステータの内周側に設けられたポンプロータと、
前記ポンプロータを回転させる、請求項7に記載のモータ装置と、
を具備したことを特徴とする真空ポンプ。 - 所定の極数の磁極が形成されたモータロータと、前記モータロータの周囲に配設され、モータ巻き線が巻回された電磁石と、を具備したモータに供給する所定の相数の電流を補正する補正電流値を取得する補正電流値計測装置であって、
前記モータロータの回転角度を検出する回転角度検出手段と、
各相の前記モータ巻き線の誘起電圧を前記検出した回転角度に対応付けて取得する誘起電圧取得手段と、
前記モータロータの発生するトルクと該トルクの理論値との差分を補償する前記モータロータの回転角度に対応した補正電流値を、前記取得した誘起電圧を用いて算出する補正電流値算出手段と、
前記算出した補正電流値を出力する出力手段と、
を具備したことを特徴とする補正電流値計測装置。 - 前記モータロータの角速度を取得する角速度取得手段を具備し、
前記補正電流値算出手段は、
Nを2以上の整数とし、
N相の電流に対して、nを0からN−1までの整数値をとるものとし、
Vnを前記誘起電圧取得手段で取得した各相nの前記誘起電圧とし、
ωを前記角速度取得手段で取得した角速度とし、
Fnを前記モータロータの回転角度に対応した各相nの誘起電圧定数の理論値とし、
EnをEn=Vn/ω−Fnの計算式によって算出された値とし、
Inを前記モータロータの回転角度に対応した各相nの前記電流値とし、
Cn=−En・In/(Fn+En)の計算式によって、n番目の相の前記補正電流値Cnを算出することを特徴とする請求項9に記載の補正電流値計測装置。 - 所定の極数の磁極が形成されたモータロータと、前記モータロータの周囲に配設され、モータ巻き線により励磁される電磁石と、を具備したモータを制御するモータ制御方法であって、
回転角度検出手段と、電流供給手段と、補正手段と、を備えたモータ制御装置で、
前記回転角度検出手段で、前記モータロータの回転角度を検出する回転角度検出ステップと、
前記電流供給手段で、前記モータ巻き線に、前記検出した回転角に応じた所定相数の電流を供給する電流供給ステップと、
前記モータロータの発生するトルクと該トルクの理論値との差分を補償する前記モータロータの回転角度に対応した補正電流値を用いて、前記補正手段で、前記電流供給手段で前記モータ巻き線に供給する前記電流を補正する補正ステップと、
から構成されたことを特徴とするモータ制御方法。
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