JP2004328260A - 弾性表面波デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】回転XカットZ伝搬四硼酸リチウムを用いて構成した弾性表面波デバイスの周波数−温度特性を改善する手段を得ることを目的とする。
【解決手段】圧電基板の主表面上に表面波の伝搬方向に沿って少なくとも1つのIDT電極を備え、一次温度係数が零、二次温度係数が負の弾性表面波デバイスを、圧電基板の線膨張係数より大きな線膨張係数を有する材料で形成したパッケージに収容し、JIS−A30より硬度の大きな接着剤にて接着固定して構成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は弾性表面波デバイスに関し、特に弾性表面波デバイスの周波数−温度特性を改善した弾性表面波デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、弾性表面波デバイス(以下、SAWデバイスと称す)は通信分野で広く利用され、高性能、小型、量産性等の優れた特徴を有することから特に携帯電話、無線LAN等に多く用いられている。これらの機器に用いられる弾性表面波フィルタ(以下、SAWフィルタと称す)は小型軽量であること、高速・大容量のデータを伝送するため広帯域、低挿入損失であること、隣接キャリアを阻止する急峻な減衰傾度を有することが要求される。
【0003】
図2(a)、(b)はIFフィルタに用いられるトランスバーサル型SAWフィルタの構成を示す平面図と、Q−Qにおける断面図である。圧電基板21の主表面上に表面波の伝搬方向に沿って2つのIDT電極22、23を所定の間隔を隔して配置すると共に、該IDT電極22、23の間に電極24を配設して、トランスバーサル型SAWフィルタ25を形成する。IDT電極22、23はそれぞれ互いに間挿し合う複数の電極指を有する一対のくし形電極より構成され、電極24はシールド電極として機能する。トランスバーサル型SAWフィルタ25を、セラミックパッケージ26の凹陥部27内に収容し接着剤を用いて接着固定すると共に、IDT電極22、23のそれぞれのバスバーとパッケージ26の段差部に形成した端子電極28とをボンディングワイヤ29を用いて接続する。そして、シールド電極24とパッケージ26の段差部の中央に設けた接地用端子30とをボンディングワイヤ29に接続すると共に、圧電基板21の表面波伝搬方向である長辺方向の両端に不要反射波を吸収する粘着材31を塗布し、乾燥した後、パッケージ26の上部周縁部に形成したメタライズ部と、金属蓋32とを抵抗溶接等の手段にて溶接してトランスバーサル型SAWフィルタを構成する。ここで、IDT電極22、23の間に設けたシールド電極24は入出力端子間の直達波の遮蔽用として機能している。
【0004】
無線機のIFに使用されるSAWフィルタには、回転YカットX伝搬水晶基板(STカット水晶板)を用いたSAWフィルタが従来から用いられている。STカット水晶板を使用したSAWフィルタの温度係数は一次温度係数が零、二次温度係数が−3×10−8[/℃]で、周波数−温度特性は上に凸の二次曲線となる。常温における共振周波数をf、頂点温度(周波数変化量が温度tに対して二次曲線を呈する時の頂点の温度)をtpとすると、任意の温度tにおける周波数変化量(f−f)/fは、(f−f)/f=−3×10−8×(t−tp) の二次関数で表すことができる。そして、SAWフィルタの本来の温度特性を損なわないように、SAWフィルタをパッケージの凹陥部に接着固定する接着剤には、シリコン系接着剤の比較的硬度の小さい(柔らかい)接着剤を用いるのが一般的である。つまり、SAWフィルタを保持するパッケージの底部と圧電基板とが強固に固着すると、パッケージと圧電基板との線膨張係数の違いにより、高温あるいは低温時に圧電基板に歪みが生じ、SAWフィルタの温度特性が本来の特性から劣化するからである。また、圧電基板の厚みが0.30mmから0.50mm程度の比較的厚いものを用いることで、相互の線膨張係数の差よる圧電基板の歪みを小さくしている。
【0005】
STカット水晶板を用いたSAWフィルタの温度特性は上記のように良好であるが電気機械結合係数(k=0.0014)が小さく、広帯域フィルタが要求さる場合には適さない。そこで、広帯域フィルタに適した回転XカットZ方向伝搬四硼酸リチウム(X Z LiB4O、以下、LBOと称す)基板が開発され、実用に供されている。Proc.1981 IEEE Ultrason.,「LITHIUM TERABORATE A NEW TEMPERATURE COMPENSATED PIEZOELECTRIC SUBSTRATE MATERIAL FOR SURFACE ACOUSTIC WAVE DEVICES」Shorrocks,、あるいは米国特許USP4672255に、回転XカットZ方向伝搬LBO基板の主面に導電体が付着していない所謂自由表面状態における二次温度係数は−23×10−8[/℃]あるいは−28×10−8[/℃]であると開示されている。
このように、LBO基板の温度係数は一次温度係数が零、二次温度係数が−23×10−8[/℃]〜−30×10−8 [/℃]で、STカット水晶板と同様に周波数−温度特性は上に凸の二次曲線となるが、周波数−温度特性はSTカット水晶板よりも8〜10倍程度劣る。しかし、電気機械結合係数(k=0.01)がSTカット水晶板の7倍強であることから、広帯域なフィルタが実現できる。さらに、電極膜としてアルミニウムを用いると表面波の反射係数が大きくなるので、SAWフィルタを小型化できる利点もある。
【0006】
45°回転XカットZ伝搬四硼酸リチウム(45°LBO)基板上に図2に示すように、2つのIDT電極を所定の間隙を隔して配置し、IDT電極の膜厚を励起する表面波の波長λの1%〜2%程度としたトランスバーサル型SAWフィルタを試作した。パッケージにはセラミックパッケージを用い、接着剤は比較的硬度の小さい(JIS A30前後)シリコン系接着剤にてパッケージの凹陥部に45°LBO基板を接着固定した。トランスバーサル型SAWフィルタの電極膜厚が1%〜2%λの範囲内では、二次温度係数は−27×10−8[/℃]程度であり、SAWフィルタの頂点温度tpは電極膜厚が1.7%λのとき22.5℃であった。SAWフィルタの使用動作温度範囲は−40℃〜+85℃であるので、周波数変化量は約1055ppm(8.4ppm/℃)となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、広帯域のSAWフィルタを実現すべく45°LBO基板を用いてトランスバーサル型SAWフィルタを構成し、使用温度範囲−40℃〜+85℃で動作させると、パスバンドの変化量は1055ppm(8.4ppm/℃)程度となり、設計時にパスバンドを広く設定しておいても製造時に切断角度、平面度、電極膜の厚さ、接着剤の硬度等のバラツキにより、設計した周波数−温度特性より劣化し、歩留まりが大幅に低下するという問題があった。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであって、45°LBO基板の二次温度係数を改善したSAWフィルタを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明に係る弾性表面波デバイスの請求項1記載の発明は、圧電基板の主表面上に表面波の伝搬方向に沿って少なくとも1つのIDT電極を備えた一次温度係数が零、二次温度係数が負の弾性表面波デバイスを、前記圧電基板の線膨張係数より大きな線膨張係数を有する材料で形成したパッケージに収容し、JIS−A30より硬度の大きな接着剤にて接着固定して構成することを特徴とする弾性表面波デバイスである。
請求項2記載の発明は、前記接着剤をJIS−A45より硬度の大きな接着剤にて接着固定して構成することを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波デバイスである。
請求項3記載の発明は、圧電基板の主表面上に表面波の伝搬方向に沿って少なくとも1つのIDT電極を備えた一次温度係数が零、二次温度係数が正の弾性表面波デバイスを、前記圧電基板の線膨張係数より小さな線膨張係数を有する材料で形成したパッケージに収容し、硬度の大きな接着剤にて接着固定して構成することを特徴とする弾性表面波デバイスである。
請求項4記載の発明は、前記接着剤にアクリル系あるいはエポキシ系の接着剤を用いたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の弾性表面波デバイスである。
請求項5記載の発明は、前記圧電基板の厚さを0.25mm以下に設定したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の弾性表面波デバイスである。
請求項6記載の発明は、前記圧電基板の表面波の伝搬方向における中央部の厚さを他の部分より薄く設定したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の弾性表面波デバイスである。
請求項7記載の発明は、前記パッケージの線膨張係数を8ppm/℃以上に設定したこと特徴とする請求項1に記載の弾性表面波デバイスである。
請求項8記載の発明は、前記パッケージの線膨張係数を7ppm/℃以下に設定したこと特徴とする請求項3に記載の弾性表面波デバイスである。
請求項9記載の発明は、前記圧電基板に回転XカットZ伝搬四硼酸リチウムを用いたことを特徴とする請求項1あるいは2、または請求項4乃至9のいずれかに記載の弾性表面波デバイスである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面に示した実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1(a)、(b)は本発明に係るトランスバーサル型SAWフィルタの構成を示す平面図と、Q−Qにおける断面図である。圧電基板1の主表面上に表面波の伝搬方向に沿って2つのIDT電極2、3を所定の間隔を隔して配置すると共に、該IDT電極2、3の間にシールド電極4を配設して、トランスバーサル型SAWフィルタ5を形成する。IDT電極2、3はそれぞれ互いに間挿し合う複数の電極指を有する一対のくし形電極より構成される。トランスバーサル型SAWフィルタ素子5を、セラミックパッケージ6の凹陥部7に接着剤Aを用いて接着固定すると共に、IDT電極2、3のそれぞれのバスバーとパッケージ6の段差部に形成した端子電極8とをボンディングワイヤ9を用いて接続する。そして、シールド電極4とパッケージ6の段差部の中央に設けた接地用端子電極10とをボンディングワイヤ9にて接続すると共に、圧電基板1の表面波伝搬方向である長辺方向の両端に不要反射波を吸収する粘着材11を塗布し、乾燥した後、パッケージ6の上部周縁部に形成したメタライズ部と、金属蓋12とを抵抗溶接等の手段にて溶接してトランスバーサル型SAWフィルタを構成する。
【0010】
本発明の特徴は圧電基板と、該圧電基板を収容するパッケージと、パッケージの凹陥部に圧電基板を接着固定する接着剤との組み合わせにより、SAWデバイスの周波数−温度特性を従来のものより改善したことにある。即ち、ある方位に切断された圧電基板は、該圧電基板上に付着したIDT電極の電極膜厚、材質等に若干左右されるが、切断角度に固有の周波数−温度特性を有する。そして、温度変化により圧電基板、パッケージともそれぞれ固有の線膨張係数により膨張、収縮する。この温度によるパッケージの膨張、収縮が圧電基板固有の温度特性にどのように影響するかは接着剤の硬度により左右されることになる。
【0011】
STカット水晶板の表面波の伝搬方向への線膨張係数は約14ppmであり、セラミックパッケージの線膨張係数は7〜8ppm程度である。22.5℃を基準とすると、パッケージは+85℃の高温時に表面波の伝搬方向に440〜500ppm程度膨張し、−40℃の低温時には400〜500ppm程度収縮する。一方、STカット水晶板は+85℃の高温時に表面波の伝搬方向に対して870ppm程度膨張し、−40℃の低温時に870ppm程度収縮する。STカット水晶板がパッケージに強固に固着されると、パッケージの線膨張係数と圧電基板のそれとの違いにより、高温時には基板の主面に対して凸に歪み、低温時には逆に凹に歪むことになる。
【0012】
周知のように、圧電基板の硬さc’(effective stiffness)、密度ρ(density)、位相速度v(velocity)の間にはc’=ρvの関係があり、位相速度vはv=(c’/ρ)1/2で表される。圧電基板の硬さc’、密度ρは温度tが変化すると変動するため、圧電基板上を伝搬する表面波の位相速度vは温度tによって変化することになる。例えば、STカット水晶板上を伝搬する表面波の位相速度vは、温度tに関する負の二次式となることが計算により求められている。図3はSTカット水晶板の表面波の位相速度と温度との関係を求めた図で、位相速度vは温度tに関し、負の二次式で近似される。
一方、周波数f、位相速度v、波長λの間にはf=v/λの関係がある。圧電基板の膨張、収縮は温度tに関して一次式で表され、温度変化は伝搬する表面波の波長λに影響する。しかし、温度変化による波長λの1次温度係数は、位相速度の二次温度係数に比べて小さいので、温度tによる周波数の変化は位相速度の温度変化に大きく左右され、温度に関し負の二次式で表されることになる。
【0013】
セラミックパッケージに実装されたSAWデバイスの周波数−温度特性は、圧電基板固有の周波数−温度特性に、セラミックパッケージの温度による膨張、収縮が接着剤を介して及ぼす効果が加算された結果である。即ち、温度変化による圧電基板の硬さ及び密度の変動に起因して、位相速度が変化しそのため周波数が変化する。これに、パッケージの線膨張係数と圧電基板のそれとの差が、温度変化により接着剤を介して圧電基板に歪を起こさせ、これに起因して位相速度が変化し、周波数が変動する。これら二つの周波数変動要因が互い加算されてSAWデバイスの周波数−温度特性が決まることになる。その際、二つの要因が同符号で加算されるか、異符号で加算されるかで、周波数−温度特性は大きく異なることになる。
【0014】
STカット水晶板は圧電基板の歪みにより二次温度係数が大きくなることが実験的に確かめられている。このことから、温度変化による圧電基板の歪に起因する位相速度の変化と、温度変化による圧電基板の硬さ及び密度の変動に起因する位相速度の変化とが、同符号で加算されることが分かる。即ち、温度を一定とし、圧電基板を主表面に対し凹の状態から凸の状態まで歪ませれば、表面波の位相速度は負の二次係数を有することが容易に推測できる。従って、パッケージとSTカット水晶板とをシリコン系接着剤に代表される比較的柔らかい接着剤(硬度がJIS A30前後もしくはそれ以下)を用いて接着することで、温度変化によるパッケージの膨張、収縮がSTカット水晶板に与える影響を低減し、周波数変化量を少なくする。
【0015】
一方、45°LBO基板では、温度変化による圧電基板の硬さ及び密度の変動に起因する位相速度の変化は、STカット水晶板と同様に負の二次係数を有し、周波数−温度特性は温度tの二次式で表されることが理論的にも実験的にも求められている。しかし、45°LBO基板の伝搬方向における線膨張係数は約−4ppmであり、+85℃の高温時に表面波の伝搬方向に対して250ppm程度収縮し、−40℃の低温時に250ppm程度膨張する。従って、45°LBO基板がパッケージに強固に固着されると、STカット水晶板とは逆に、高温時には圧電基板の主面表面に対し凹に歪み、低温時には凸に歪むことになる。パッケージと45°LBO基板との線膨張係数の違いにより、接着剤を介して45°LBO基板を歪ませることになる。この歪みによる表面波の位相速度の変化は正の二次温度係数を有し、温度tの二次式で表せると推測される。従って、45°LBO基板の場合には、温度変化による歪に起因する位相速度の変化と、圧電基板の硬さ及び密度の変動に起因する位相速度の変化とが互いに打ち消し合うように作用するため、周波数−温度特性の二次温度係数は小さくなり、温度変化による周波数変化量が小さくなる。つまり、周波数−温度特性は改善されることになる。
【0016】
以上のことを実験的に確かめるため、45°LBO基板上に膜厚が表面波の波長λの1.7%程度のアルミニウム電極膜からなるIDT電極を付着し、温度を変化させて45°LBO基板を歪ませた。パッケージと45°LBO基板とを強固に固着でさせるために、シリコン系接着剤よりも硬度の大きいアクリル系接着剤(硬度 JIS D50前後 、これはJIS A80〜A90に相当する)を用いてSAWフィルタを試作し、該SAWフィルタの周波数−温度特性を測定した。その結果、二次温度係数は約−20×10−8[/℃]であり、頂点温度tpは17.5℃であることが判明した。動作温度範囲−40℃〜+85℃における周波数変化量は910ppm(7.3ppm/℃)となる。この結果は、圧電基板の歪みに起因する表面波の位相速度の変化は正の二次係数を有することを意味している。以上のように、硬度の大きな接着剤を用いて45°LBO基板をパッケージに強固に固着することにより、−40℃〜+85℃の動作温度範囲内で周波数変化量は8.4ppm/℃から7.3ppm/℃に改善されることが確認された。また、IDT電極のアルミニウム膜厚を1.5%λ、1.9%λと変えてSAWフィルタを試作し、周波数−温度特性を測定したが、二次温度係数はほぼ同様の結果が得られた。
【0017】
上述のように、硬い接着剤を用いて45°LBO基板を歪ませなくとも、他の手段にて45°LBO基板を歪ませることができれば、二次温度係数を改善できること推測できる。例えば、
1) 従来は0.30mm以上の厚さの45°LBO基板が使用されていたが、この厚さを薄くする。例えば厚さを0.25mm以下の圧電基板を用い、硬度の大きな接着材を用いることによりパッケージの熱膨張もしくは収縮によって圧電基板が容易に歪むようになる。
2) 接着剤の厚みを、例えば10μm以下と十分に薄くする。弾性のある接着剤を用いてもその厚さが薄くなれば弾性の影響は小さくなり、パッケージの熱膨張もしくは収縮が圧電基板に伝わり易くなり、圧電基板が容易に歪むようになる。
3) 従来のセラミック材の線膨張係数より大きな線膨張係数の材料を用いてパッケージを形成する。パッケージの膨張、収縮はより大きくなるため、圧電基板は容易に歪むようになる。
4) 接着剤の塗布面積あるいは硬化後の接着剤の面積が圧電基板の面より大きくし、パッケージと圧電基板とが固着する面積をできるだけ大きくする。このように接着面を大きくすることで圧電基板は容易に歪むようになる。
5) 図1(c)に示すように表面波の伝搬方向における圧電基板のIDT電極を付着する面と対向する面の中央部の厚さを、エッチングもしくは研磨等の手段を用いて、他の部分の厚さより薄くする。このように中央部を薄くすることにより圧電基板は容易に歪むようになる。
【0018】
45°LBO基板をさらに強く歪ませることができれば、二次温度係数がより改善されることが推測される。例えば、
6) 硬度の大きなアクリル系接着剤を用いると共に、上記1乃至5の方法を用いる。
7) アクリル系接着剤よりも更に硬度の大きい接着剤、例えばエポキシ系接着剤を用いてパッケージと圧電基板とを接着する。パッケージと圧電基板とが強固に固着されるため、圧電基板がより歪むことになる。
【0019】
零温度特性を有し、周波数−温度特性の二次温度係数が負となる圧電基板では、温度変化による圧電基板の硬さ及び密度の変動に起因する位相速度の変化が、負の二次温度係数を有する。そこで、圧電基板の線膨張係数よりも大きな線膨張係数を有する材料にてパッケージを形成し、圧電基板とパッケージとの接着固定に接着硬度の大きな接着剤を用いると、温度変化によって生ずる歪みに起因する位相速度の変化は正の二次温度係数を有することになり、その結果、周波数−温度特性が改善されることになる。
【0020】
これとは逆に、零温度特性を有し、二次温度係数が正となる圧電基板では、温度変化による圧電基板の硬さ及び密度の変動に起因する位相速度の変化は、正の二次温度係数を有するので、圧電基板の線膨張係数よりも小さい線膨張係数を有する材料を用いてパッケージを形成し、該パッケージに圧電基板を強固に接着すれば周波数−温度特性は改善されることになる。
以上の実施例はトランスバーサル型SAWフィルタの例についてのみ示したが、本発明はIDT電極が1つのSAW共振子やIDT電極が3つ以上のSAWデバイスについても適用可能であることは説明するまでもない。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成したので、請求項1乃至9に記載の発明は従来改良が困難と考えられていた周波数−温度特性を改善するという優れた効果を表す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るトランスバーサル型SAWフィルタの構成を示す、(a)は平面図と、(b)、(c)は断面図である。
【図2】従来のトランスバーサル型SAWフィルタの構成を示す、(a)は平面図と、(b)は断面図である。
【図3】STカット水晶板の位相速度と温度との関係を示す図である。
【符号の説明】
1、1’・・圧電基板
2、3・・IDT電極
4・・シールド電極
5・・トランスバーサル型SAWフィルタ素子
6・・パッケージ
7・・凹陥部
8・・パッケージの端子電極
9・・ボンディングワイヤ
10・・接地用端子電極
11・・粘着材
12・・金属蓋
A・・接着剤

Claims (9)

  1. 圧電基板の主表面上に表面波の伝搬方向に沿って少なくとも1つのIDT電極を備えた一次温度係数が零、二次温度係数が負の弾性表面波デバイスを、前記圧電基板の線膨張係数より大きな線膨張係数を有する材料で形成したパッケージに収容し、JIS−A30より硬度の大きな接着剤にて接着固定して構成することを特徴とする弾性表面波デバイス。
  2. 前記接着剤をJIS−A45より硬度の大きな接着剤にて接着固定して構成することを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波デバイス。
  3. 圧電基板の主表面上に表面波の伝搬方向に沿って少なくとも1つのIDT電極を備えた一次温度係数が零、二次温度係数が正の弾性表面波デバイスを、前記圧電基板の線膨張係数より小さな線膨張係数を有する材料で形成したパッケージに収容し、硬度の大きな接着剤にて接着固定して構成することを特徴とする弾性表面波デバイス。
  4. 前記接着剤にアクリル系あるいはエポキシ系の接着剤を用いたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の弾性表面波デバイス。
  5. 前記圧電基板の厚さを0.25mm以下に設定したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の弾性表面波デバイス。
  6. 前記圧電基板の表面波の伝搬方向における中央部の厚さを他の部分より薄く設定したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の弾性表面波デバイス。
  7. 前記パッケージの線膨張係数を8ppm/℃以上に設定したこと特徴とする請求項1に記載の弾性表面波デバイス。
  8. 前記パッケージの線膨張係数を7ppm/℃以下に設定したこと特徴とする請求項3に記載の弾性表面波デバイス。
  9. 前記圧電基板に回転XカットZ伝搬四硼酸リチウムを用いたことを特徴とする請求項1あるいは2、または請求項4乃至9のいずれかに記載の弾性表面波デバイス。
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