JP2004324986A - ステーブクーラ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(i) 冷却水が流通するための給排水路3を内部に有する銅又は銅合金製のステーブクーラ本体1、(ii)給排水路3との間で冷却液体の授受を行うための給排水管8、(iii) ステーブクーラ本体1に締結されて固定されるとともに、給排水路3及び給排水管8に連通する貫通孔10b と、貫通孔10b の内壁面に段差状に設けられ、給排水管8を嵌合して固定するための嵌合部10a とを有する連結部材10、及び(iv)嵌合部10a に嵌合された給排水管8の外表面と、貫通孔10b の外縁部との間に円周状に設けられた溶接部15を備えるステーブクーラである。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば銅又は銅合金からなる圧延材や鍛造材として製造され、例えば高炉の炉壁を冷却するためのステーブクーラに関し、板状のステーブクーラ本体とこのステーブクーラ本体を冷却するための冷却液体を流す給排液管とを締結固定することにより、溶接部の亀裂を生じることなく、製造コストの上昇を抑制できるとともに運搬及び取付けを簡素化できるステーブクーラに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高炉の羽口からの微粉炭の吹き込み量が増加する傾向にあり、これに伴って、高炉の炉壁への熱負荷やその変動幅が増加するようになっている。この熱負荷から高炉の鉄皮を保護するため、従来の鋳鉄製のステーブクーラに代わって、耐火材料を備えた銅製のステーブクーラが採用され始めている。
【0003】
以下、銅製のステーブクーラ本体に銅製の冷却水管を溶接した従来のステーブクーラの構造について説明する。
図5は、特許文献1に記載されたステーブクーラを示す断面図である。
【0004】
同図に示すように、このステーブクーラは、圧延材や鍛造材として製造されるステーブクーラ本体1に穿孔加工を行って冷却水路3を形成し、開口を栓(プラグ)4で密封し、密封した栓4の端面を湾曲形状4’に加工して冷却水路3内の冷却水の流通を円滑化して冷却水の圧損を低減する。ステーブクーラ本体1の排水口5に冷却水を流す給排水管8が溶接部16を形成して溶接されており、炉内部に面する側には耐火材料2が装着されている。
【0005】
図6は、特許文献1に従来例として記載されたステーブクーラを示す断面図である。
このステーブクーラも図5に示すステーブクーラと同様に、鍛造または圧延された銅又は銅合金からなるステーブクーラ本体1にドリル加工を行って冷却水路3を設け、ステーブクーラ本体1に開孔された孔に直交する向きに設けられた排水口5に給排水管8を溶接部16を形成して溶接する。
【0006】
さらに、図7〜9は、それぞれ、特許文献2に従来例として記載されたステーブクーラ3を示す断面図、断面図、平面図である。
この発明におけるステーブクーラ本体1は、連続鋳造鋳型によってロッド状のインサートによって連続鋳造方向に冷却水路3が形成される。図7に示すように冷却水路3の上下の開放端は栓(プラグ)4により閉止され、給排水管8はステーブクーラ本体1に溶接により直交して取り付けられている。ステーブクーラ本体1は、固定ピン18及びスぺ−サ17によって所定間隙を保って鉄皮6に設置される。
【0007】
図10及び図11は、特許文献3に従来例として記載されたステーブクーラを示す平面図及び断面図である。この発明は、銅又は銅合金から成り、鍛造又は圧延される鋳塊から製造され、ステーブクーラ本体1の内部に冷却水路3が設けられたものである。図11の断面図には冷却水路3の下端を栓(プラグ)4としての溶接個所又はろう付け個所により密に閉鎖されている。冷却水の給水及び排水は、垂直に設けられた4つの冷却水路3と、上下に溶接もしくはろう付け接続される給排水管8を介して行われる。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−60817 号公報
【特許文献2】
特表2001−507630号公報
【特許文献3】
特開平8−269510号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
これらの従来のステーブクーラでは、いずれも、銅又は銅合金製のステーブクーラ本体に給排水管が溶接される。給排水管8は、ステーブクーラ本体1と溶接接合上同材質の銅管が使用され、従来例のように給排水口5に給排水管8の端部を差し込み、ステーブクーラ本体1の給排水口の外縁部に開先をとってレ型隅肉溶接16により接合されているため、以下に列記する課題▲1▼及び▲2▼がある。
【0010】
▲1▼給排水管8の付け根の溶接部16に関して
炉内における熱負荷の変動に伴ってステーブクーラには塑性ひずみが生じ、この繰り返しによって熱疲労亀裂が発生する。亀裂が発生すると予想される部位は、ステーブクーラ本体1の背面の取付ボルトの(図示無し)付け根部と給排水管8の付け根の溶接金属部であり、曲げや引張りに対する溶接強度は必ずしも十分とはいえない。このように、ステーブクーラ本体1の母材と給排水管8を溶接接合することによる、溶接部の欠陥及び亀裂の誘発原因となる溶接残留ひずみが発生する。
【0011】
このため、このステーブクーラでは、ステーブクーラ本体1の給排水管8が鉄皮6を貫通する箇所を密封接合する際に、ベローズ22を介して行ない、鉄皮の炉外側にそのためのスペースが必要であった。
【0012】
▲2▼給排水管8がステーブクーラ本体1から複数個突出して設けられることに関して
ステーブクーラの製作工場から高炉の取付現場までの運搬・ハンドリングに際し、突き出した給排水管8の曲損や、突き出した給排水管8の付け根における溶接部の損傷等が生じるため、ステーブクーラ同士を積み重ねることができない。このため、広い仮置きスペースを確保する必要がある。また、ステーブクーラ本体1は、積み重ねできないために個別に取り扱う必要があり、運搬回数や運搬費用が多大となる。
【0013】
さらに、高炉の取付現場までの横持ちや吊り上げ上架の運搬ハンドリングに際しても、突き出した給排水管8の曲損等を生じないように、作業員に多大な取り扱い上の注意を要求する不便さがある。
【0014】
本発明の目的は、このような従来の技術が有する課題に鑑み、溶接部の亀裂を生じることなく、製造コストの上昇を抑制できるとともに運搬及び取付けも簡素化できるステーブクーラを提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、冷却液体が流通するための給排液路を内部に有する銅又は銅合金製のステーブクーラ本体、この給排液路との間で冷却液体の授受を行うための給排液管、及びステーブクーラ本体に締結されて固定されるとともに、給排液路及び給排液管に連通する貫通孔と、給排液管を嵌合して固定するための嵌合部とを有する連結部材を備えることを特徴とするステーブクーラである。
【0016】
この本発明に係るステーブクーラでは、嵌合部が、貫通孔の内壁面に段差状に設けられることが例示される。この場合、さらに、嵌合部に嵌合された給排液管の外表面と、貫通孔の外縁部との間に円周状に溶接部が設けられることが例示される。
【0017】
これらの本発明に係るステーブクーラでは、連結部材が、締結用ボルトが貫通するボルト孔を有し、このボルト穴を貫通する締結用ボルトがステーブクーラ本体に設けられた雌ネジ部に螺合することにより、ステーブクーラ本体に締結されることが例示される。
【0018】
また、これらの本発明に係るステーブクーラでは、給排液管がオーステナイト系ステンレス鋼からなることが例示される。
さらに、これらの本発明に係るステーブクーラでは、締結用ボルトと雌ネジ部との間にはヘリサートが挿着されることが望ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係るステーブクーラの実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以降の説明では、冷却液体が冷却水である場合を例にとる。これに伴って、「給排液路」は給排水路と表記するとともに「給排液管」は給排水管と表記する。
【0020】
図1は、本実施の形態のステーブクーラ1を示す部分断面図であり、図2は、図1におけるI−I矢視図である。なお、以降の説明では、上述した図5〜図11に示す各ステーブクーラの構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を適宜省略する。
【0021】
図1及び図2に示すように、ステーブクーラ本体1は、炉壁を冷却する銅又は銅合金からなり、高炉の鉄皮6の内面に設置される。なお、図1及び図2では、ステーブクーラ本体1の上部のみ示しているが、下部も上部と略同様に構成されており、冷却水は図示しない下部の給水口から流入し、上部排水口5から流出する。ステーブクーラ本体1の背面には、ステーブクーラ本体1を鉄皮6に固定するための取り付けボルト(図示しない)が設けられている。高炉の内面を形成するステーブクーラの前面には凹凸状の溝を形成し、この溝に耐火材料2が装着されている。
【0022】
板状のステーブクーラ本体1には、ステーブ端面からドリル等を用いた穿孔加工によって、4本の給排水路3が形成され、ステーブ端面の開口は栓4により封止されている。
【0023】
本実施の形態では、給排水管8が、この給排水路3に連通する貫通穴10b を有するとともにステーブクーラ本体1に締結されて固定される連結部材10を介して、ステーブクーラ本体1に締結される。
【0024】
すなわち、ステーブクーラ本体1の外表面から給排水路3に連通する給排水口5が穿孔され、突き出し物のない板状のステーブクーラ本体1に、別置の後付けする連結部材10に固定された給排水管8を、気密を保たせるためのパッキン12を挟んで締結用ボルト11により締結固定する。
【0025】
給排水管8は、貫通孔10b の内壁面に同心円状かつ段差状に設けられた嵌合孔である嵌合部10a に嵌合されて固定される。そして、嵌合部10a に嵌合された給排水管8の外表面と貫通孔10b の外縁部10b’との間には、円周状に溶接部15が設けられている。このように、給排水管8は、嵌合部10a に嵌合され、さらに溶接部15を形成されることによって、連結部材10に強固に固定される。
【0026】
連結部材10の接合面の形状として、図1に典型的な全面座タイプを示すが、この全面座タイプの他に、平面座タイプやはめ込み座タイプ等の各種の形状が公知であり、適宜使用することができる。
【0027】
このため、板状のステーブクーラ本体1と、連結部材10に固定された給排水管8を別々に製作し、高炉での取付現場において簡単に接合できるため、従来例の課題であるステーブクーラ本体1の母材と冷却配管8とを溶接接合することに起因した、溶接部の欠陥及び亀裂誘発原因となる溶接残留ひずみの発生をともに防止できる。
【0028】
また、本実施の形態では、ステーブクーラ本体1と給排水管8とを連結部材10を介して接合する。この接合は、いわゆるフランジ接合に属するものであるが、このフランジ接合は、本来、内部を流通する流体が接合部から漏洩するのを防ぐためにフランジとフランジとの間にパッキン(ガスケット)を鋏み、ボルト及びナットを十分締めつけてその上に内圧以上の圧力を付与するものである。この場合、使用するボルトの直径は一般的に冷却管の壁の肉厚によって決められ、またその本数は冷却管の直径から算出されるが、既に規格があって内圧条件が決定されれば直ちに選定できる。
【0029】
本実施の形態では、流体すなわち冷却水の圧力は、せいぜい1MPa(10Kg/cm2)以下であり、フランジの肉厚、ボルト径及び本数も容易に選定できる。
ここで、炉内の熱負荷の変動に伴ってステーブクーラ本体1には塑性ひずみが生じて熱疲労亀裂が発生すると予想される部位は、従来のステーブクーラ本体の背面の取付ボルトの付け根部と冷却配管の付け根の銅同士の溶接金属部であり、曲げや引張りに対する溶接強度は必ずしも十分とはいえない。
【0030】
しかし、本実施の形態では、給排水管8の突き合わせ溶接をやめ、給排水管8を連結部材10の嵌合部10a に嵌合するとともに溶接部15を形成して溶接することにより、溶接部15に作用する応力を充分に低減しながら、給排水管8を連結部材10に強固に設置することができる。
【0031】
すなわち、従来例のように冶金的結合(溶接)をするためにステーブクーラ本体1と給排水管とは同材質の銅しか採用できなかったが、本実施の形態では、給排水管8を連結部材10の嵌合部10a に嵌合してボルト締結による機械的接合を主体として、さらに溶接を併用するため、機械的強度の高い鋼製フランジに強固に溶接接合された鋼製の給排水管8(鋼管)を、異種材料の銅製のステーブクーラ本体1に確実に固定することができる。
【0032】
これにより、従来問題となっていた炉内の熱負荷の変動に伴ってステーブクーラ1に塑性ひずみを生じ、この繰り返しによって給排水管8の付け根の溶接金属部に生じる熱疲労亀裂を抑制でき、機械的接合により充分に強度確保するとともに銅製のステーブクーラ本体1の信頼性を一層高めることができる。
【0033】
また、ステーブクーラ本体1から突出している給排水管8はステーブクーラ本体1と連結部材10との接合によって曲げや引張りの機械的強度が向上するので、ステーブクーラ本体1に給排水管8が鉄皮6を貫通する箇所を密封接合する際に、鉄皮の貫通部の密封も簡単なものでよく、従来用いられていた鉄皮を貫通する給排水管8のベローズ22を用いる必要がなくなり、ベローズ22を省略できる。このため、図1に示すように、ステーブクーラ本体1から突出する部分を給排水管8よりも径の大きい鋼管を用いて2重管のようにシール金物7とすることによって補強効果を得ることができ、これにより、給排水管8の鉄皮6の外側での長さを短縮することができ、設置スペースを小さくすることができる。
【0034】
また、板状のステーブクーラ本体1と、連結部材10を装着された給排水管8とを別々に製作し、高炉での取付現場で接合することができるため、製造コストを低減でき、運搬やハンドリング等の取扱い作業を簡素化できる。また、ステーブクーラの製作工場から高炉の取付現場までの運搬・ハンドリングに際し、給排水管8がステーブクーラ本体1から突き出していないため、この板状のステーブクーラ同士を積み重ねることができ、広い仮置きスペースも不要となり、運搬費用も低減できる。
【0035】
また、連結部材10に給排水管8を取り付ける作業も、嵌合部10a に給排水管8を嵌め込んでからその周囲を溶接して溶接部15を形成するだけで済むため、例えば、給排水管8の位置決めのための専用治具等を用いる必要もなく、作業も簡単である。ステーブクーラの設置数は極めて多いが、本実施の形態によれば、高炉の休風時間内に確実に作業を行うことができる。
【0036】
さらに、連結部材10と給排水管8との間の気密性は、嵌合部10a に給排水管8を嵌め込んで溶接部15を形成するだけ、確実に確保できる。このため、シール部材装着といった余分な作業を行う必要もなく、この点からも、本実施の形態によれば、高炉の休風時間内に確実に作業を行うことができる。
【0037】
このように、本実施の形態のステーブクーラによれば、(i) 冷却水が流通するための給排水路3を内部に有する銅又は銅合金製のステーブクーラ本体1、(ii)給排水路3との間で冷却液体の授受を行うための給排水管8、(iii) ステーブクーラ本体1に締結されて固定されるとともに、給排水路3及び給排水管8に連通する貫通孔10b と、貫通孔10b の内壁面に段差状に設けられ、給排水管8を嵌合して固定するための嵌合部10a とを有する連結部材10、及び(iv)嵌合部10a に嵌合された給排水管8の外表面と、貫通孔10b の外縁部との間に円周状に設けられた溶接部15を備えるため、よりよい接合を提供でき、これにより、給排水管8とステーブクーラ本体1との固定部が炉外から見えないことに起因した信頼性の低下を解消することができる。
【0038】
ところで、本実施の形態では、銅製のステーブクーラ本体1に鋼製の締結用ボルト11をねじ込むことにより、ステーブクーラ本体1と給排水管8とを固定する。このため、銅製の雌ネジ部の強度に不安がある。すなわち、銅又は銅合金からなるステーブクーラ本体1に連結部材10の締結用ボルトのねじ孔について、母材が銅製のステーブクーラ本体1に鋼製もしくはオーステナイト系ステンレス鋼製の締結用ボルト11をねじ込む場合、雌ネジ部に強度上の不安がある。本実施の形態の信頼性を一層高めるポイントは、機械的強度が小さい銅製のステーブクーラ本体1の雌ネジ部の強度確保である。
【0039】
そこで、締結用ボルト11と雌ネジ部との間にヘリサートを挿着することが望ましい。これにより、(i) 強度上不安のある鋳鉄、銅や軽合金等の母体の雌ネジ部を強化でき、(ii)耐久性のある結合ができ、摩耗、腐食さらには振動等からねじ山の破損を防止することができ、頻繁に組立分解を行っても破損することがない耐久性のある結合が得られ、(iii) 疲れ限度を増すことができ、ねじのかみ合いの接触率が向上し、ナット座面からの第一ねじ山が負担する負荷量を減らすことができる。
【0040】
図3は、締結用ボルト19と雌ネジ部20と間にヘリサート21を挿着した状態の一例を示す説明図である。
この例では、ヘリサートタップ孔を雌ネジ部20を母体としてステーブクーラ本体1に穿孔し、ステンレス鋼製のヘリサート21を雌ねじ部20に挿着する。なお、ヘリサート21をステンレス鋼製としているのは、耐食性、耐熱性及び電気的防食性が全てマッチしているためである。
【0041】
また、連結部材10、締結用ボルト11及び給排水管8の材質について、従来のようにステーブクーラ本体1と同材質の銅を用いるよりも、銅よりも引張強度が2.5 倍以上もあり機械的強度が高い鋼を用いることが望ましい。
【0042】
さらに望ましいのは、連結部材10、締結用ボルト11および給排水管8には、オーステナイト系ステンレス鋼を用いるのが好適である。オーステナイト系ステンレス鋼は線膨張率が17.3×10−6/℃と、銅の線膨張率17.1×10−6/℃に極めて近く、銅との間に熱応力を発生し難い。また、ステーブクーラの給排水管8や連結部材10の耐食性を向上させることもできる。
【0043】
また、各種金属材料はそれぞれ固有の電位を呈しており、金属材料が湿った環境の中で腐食する場合、その大部分は電気化学的な反応によるものある。金属がイオンとなって溶解するときの電位はそれぞれの金属によって異なる。例えば、鉄鋼材料の防食電位は−0.77(V.SCE) であり、銅又は銅合金では−0.35〜−0.5(V.SCE)であり、さらにステンレス鋼では−0.4 〜−0.7(V.SCE)である。異種金属、すなわち異なった電位の金属を電解質中(水中や海水中)で組み合わせると、イオン化傾向の相違により、低電位の金属が腐食することがよく知られている。例えば、銅と鉄を組み合わせた場合、電位が卑な金属「鉄」がアノード(陽極)、貴な金属「銅」がカソード(陰極)となって電池を形成し、アノード側の金属「鉄」が腐食する。
【0044】
従来例では、銅製のステーブクーラの給排水管を銅製とし、炉外側で各ステーブクーラ間を連絡する管に安価な鋼管を用いていたが、銅管と鋼管とを溶接出来ないこともあり、フランジ接合としていた。しかし、上述した電気化学的腐食を回避するために両フランジの合わせ面のパッキンには電気的絶縁可能な、例えばゴムパッキンを使用せざるを得なかった。さらに、フランジ接合のボルトにはプラスチックの絶縁スリーブを使用せざるを得なかった。
【0045】
しかし、本実施の形態において、強度部材側である連結部材10と給排水管8とにオーステナイト系ステンレス鋼を用いれば、銅及びオーステナイト系ステンレス鋼それぞれの防食電位値が近いため、両金属を組み合わせても電気化学的な腐食進行は極めて少なく、電気的絶縁を行う必要もない。
【0046】
また、本実施の形態によれば、給排水管8に鋼管を使用できるので、各ステーブクーラ間を連絡する配管をエルボ9等を介して溶接で接合できる。そのため、従来のように、銅製のステーブクーラ本体を鉄皮6に取付けた後に、銅製の給排水管8の端面にフランジを溶接接合し、このフランジと鋼製の連絡配管のフランジと締結する煩わしさも解消できる。
【0047】
さらに、図1において、ステーブクーラ本体1の穿孔端面と、連結部材10の接合面との間の気密を保たせるためのパッキン12の材質は、フランジ面の損傷を避けるために連結部材10よりも柔らかいものを用いるのが望ましい。温度条件により、適宜石綿入りの金属パッキンや高温・高圧用に多く用いられる金属パッキンを用いることができる。
【0048】
以上述べたように、本実施の形態のステーブクーラは、給排水管8をステーブクーラ本体1に溶接するのではなく、連結部材10を用いて給排水管8をステーブクーラ本体1に固定するため、以下に列記する効果が奏せられる。
【0049】
(a)炉内の熱負荷の変動に伴ってステーブクーラ本体1に塑性ひずみを生じ、この繰り返しによって冷却配管の付け根における溶接金属部の熱疲労による亀裂を防止でき、銅製のステーブクーラの信頼性を一層高めることができる。
【0050】
(b)ステーブクーラ本体1から突出している給排水管は、強度上不安のある鋳鉄、銅や軽合金等の母体の雌ネジ部分を強化できるため、フランジ及びボルト接合により機械的強度が向上するので、従来用いられていたようなベローズを用いる必要はない。このため、ステーブクーラ本体1から突出する部分をこの給排水管よりも径の大きい鋼管で2重管のようにシール金物7とすることによって補強効果を高めることができ、そのため、給排水管の鉄皮の外側における長さを短縮でき、鉄皮の貫通部の密封も簡単なものでよく、スペースを小さくできる。
【0051】
(c)板状のステーブクーラ本体1と、連結部材10を備えた給排水管8とを別々に製作し、高炉での取付現場で接合できるので、製造コストを低減でき運搬ハンドリングや取扱い作業も簡素化できる。
【0052】
(d)ステーブ製作工場から高炉での取付現場までの運搬ハンドリングに際し、給排水管が突き出していない箱状のステーブクーラ同士を積み重ねることができるので、広い仮置きスペースが不要となり、運搬費用も低減できる。
【0053】
(第2の実施の形態)
さらに、第2の実施の形態を説明する。なお、以降の説明では、上述した第1の実施の形態と相違する部分を説明し、同一の部分には同一の符号を付すことにより重複する説明を省略する。
【0054】
図4は、本実施の形態のステーブクーラの断面図である。
本例は、ステーブクーラ本体1の穿孔端面と連結部材10の接合面との間の気密を保つためにOリング14を用いている。Oリング14は、往復動のすべり面、固定面の漏れ止め用として用いられるものであり、断面円形の簡単な取り扱いが簡便で廉価である。このため、例えば、板状のステーブクーラ本体1の冷却水路3の設置間隔を狭くしたい場合等に好適である。
【0055】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明により、溶接部の亀裂を生じることなく、製造コストの上昇を抑制できるとともに運搬及び取付けを簡素化できるステーブクーラを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態のステーブクーラを示す断面図である。
【図2】図1におけるI−I矢視図である。
【図3】締結用ボルトと雌ネジ部と間にヘリサートを挿着した状態の一例を示す説明図である。
【図4】第2の実施の形態のステーブクーラの断面図である。
【図5】特許文献1に記載されたステーブクーラを示す断面図である。
【図6】特許文献1に従来例として記載されたステーブクーラを示す断面図である。
【図7】特許文献2に従来例として記載されたステーブクーラを示す断面図である。
【図8】特許文献2に従来例として記載されたステーブクーラを示す断面図である。
【図9】特許文献2に従来例として記載されたステーブクーラを示す平面図である。
【図10】特許文献3に従来例として記載されたステーブクーラを示す平面図である。
【図11】特許文献3に従来例として記載されたステーブクーラを示す断面図である。
【符号の説明】
1:ステーブ本体、 2:耐火材料、
3:冷却水路、 4:栓(プラグ)
5:排水口(給排水口) 6:鉄皮、
7:シール金物、 8:冷却水配管、
9:エルボ、 10:連結部材
10a :嵌合部 10b 貫通孔
11:ボルト、 12:パッキン、
13:Oリング、 14:Oリング溝
15:溶接部、 16:配管溶接部、
17:スペーサー、 18:ネジ孔、
19:おねじ、 20:めねじ、
21:ヘリサート、 22:ベローズ
Claims (6)
- 冷却液体が流通するための給排液路を内部に有する銅又は銅合金製のステーブクーラ本体、
前記給排液路との間で前記冷却液体の授受を行うための給排液管、及び
前記ステーブクーラ本体に締結されて固定されるとともに、前記給排液路及び該給排液管に連通する貫通孔と、前記給排液管を嵌合して固定するための嵌合部とを有する連結部材
を備えることを特徴とするステーブクーラ。 - 前記嵌合部は、前記貫通孔の内壁面に段差状に設けられる請求項1に記載されたステーブクーラ。
- 前記嵌合部に嵌合された前記給排液管の外表面と、前記貫通孔の外縁部との間に円周状に溶接部が設けられる請求項2に記載されたステーブクーラ。
- 前記連結部材は、締結用ボルトが貫通するボルト孔を有し、該ボルト穴を貫通する締結用ボルトが前記ステーブクーラ本体に設けられた雌ネジ部に螺合することにより、前記ステーブクーラ本体に締結される請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載されたステーブクーラ。
- 前記給排液管はオーステナイト系ステンレス鋼からなる請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載されたステーブクーラ。
- 前記締結用ボルトと前記雌ネジ部との間にはヘリサートが挿着される請求項4又は請求項5に記載されたステーブクーラ。
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