JP2004323460A - 植物病害防除剤及びそれを用いた植物の病害防除法 - Google Patents

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Abstract

【課題】植物病原菌による病害の発生を抑制するだけでなく、病害の症状を改善する効果を有し、人体に対して安全で、植物の生産環境に負荷を与えることのない植物病害防除剤及びそれを用いた植物の病害防除法を提供する。
【解決手段】植物病害防除剤の有効成分として、キチンを加水分解して得られる数平均分子量3,000〜50,000の低分子量キチンを含有させる。この植物病害防除剤は、根こぶ病及び/又は萎黄病の発病を抑制するために好ましく用いることができる。また、前記植物病害防除剤を、植物の苗に施与することが好ましい。更に、前記植物病害防除剤を、根こぶ病に罹病した植物に施与することが好ましい。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物病害、特にキャベツ等のアブラナ科植物に発生する根こぶ病や萎黄病の発病の抑制、更には病害の症状の改善効果を有する植物防除剤、及びそれを用いた植物の病害防除法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、植物の病害を防除する耕種的防除法の一つとして、有機質資材を投入することにより一定の効果が期待できることが知られている。例えば、キチンを多量に含むエビやカニ等の甲殻類の殻粉末を畑土壌に施用することにより、土壌伝染性病害の発生を回避できることが知られている。そして、キチンを含む有機質資材は、土壌中の微生物によって容易に分解されること、天然物であるために環境への負荷がなく、人体への安全性も非常に高いことなどから、植物の病害防除剤への利用が検討されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、キチン、キトサン類より選ばれた少なくとも1種の化合物を有効成分とする植物生長促進剤が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、キチンオリゴ糖と、キトサン、キトサンオリゴ糖及びそれらの塩から選ばれた少なくとも一種とを含有することを特徴とする植物活力剤が開示されている。
【0005】
これまで、カニ殻粉末の土壌施用による病害防除効果は、カニ殻に多量に含まれるキチンを分解する放線菌が増加し、その放線菌が分泌するキチナーゼが細胞壁にキチン質を持つ病原菌にも作用してこれを殺菌し、病原菌密度を低下させることによると考えられてきた。
【0006】
しかし、下記非特許文献1には、放線菌の密度が増加しても、細胞壁にキチン質を持つ植物病原菌(糸状菌)の密度は変化しないことが記載されており、カニ殻粉末の病害防除効果は放線菌の生産するキチナーゼによる殺菌効果ではなく、同キチナーゼによってキチンが分解される過程で生産される物質が宿主に何らかの作用を誘起して発病を抑制していると考えられる。
【0007】
一方、キチン分解物が植物に作用して誘導される機構として、下記非特許文献2には、キチンオリゴ糖がイネの植物細胞においてエリシター効果を有することが記載されており、下記非特許文献3には、トマトに対してエリシター効果を有することが記載されている。更に、キチンオリゴ糖は、植物が産生する病原菌細胞壁分解酵素であるキチナーゼの誘導因子にもなり得ることも明らかになってきた。
【0008】
例えば、下記非特許文献4には、キチンオリゴ糖(7量体あるいは8量体)が、イネのEL2及びEL3遺伝子を短時間のうちに活性化することが記載されており、下記非特許文献5、6には、それらの遺伝子は植物病原細菌のイネ親和性菌と非親和性菌とを認識する過程で発現に時間的違いがあることが記載されており、下記特許文献7には、キチンオリゴ糖(7量体あるいは8量体)が、シロイヌナズナ(アラビドプシス)の持つ抵抗性関連遺伝子を強く活性化することなどが記載されている。
【0009】
【特許文献1】
特開昭63−33310号公報
【特許文献2】
特開平9−143013号公報
【非特許文献1】
門田ら、日植病報、69,29−30、2003
【非特許文献2】
渋谷直人、日本農薬学会誌、19, 67−71, 1994
【非特許文献3】
G. Felix, M. Regenass, T. Boller. The Plant Journal, 4(2), 307−316, 1993
【非特許文献4】
E. Minami, Plant Cell Physiol., 37(4), 563−567, 1996
【非特許文献5】
Fang−Sik Che, et al., The Journal of Biological Chemistry Vol.275, No.41:32347−32356, 2000
【非特許文献6】
門田育生ら、日植病報67(2):204. 2001
【非特許文献7】
Bing Zhang, et al., Molecular Plant−Microbe Interactions 15,963−970, 2002
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば、カニ殻粉末の土壌施用により、十分な病害防除効果を得るためには、多量(カニ殻粉末200kg/10a以上)に投入する必要があることや、数年間連続して施用することによってようやく効果が現れること(野村ら、日本植物病理学会報、66, 268, 2000)等から、同資材の農業分野での積極的な活用には至っていない。
【0011】
また、キトサンやキトサンオリゴ糖を主成分とする従来の植物病害防除剤は、該成分の有する植物病原菌に対する抗菌活性に着眼したものであるが、通常の使用濃度では土壌中に生息する植物病原菌を殺菌することは困難であり、十分な防除効果が得られるとは言い難いものであった。
【0012】
更に、水溶性のキチンオリゴ糖(単量体〜6量体)は、本発明者らの試験によれば、植物病原菌に対する抗菌活性は全く認められず、該オリゴ糖の単独での使用では防除効果がほとんどないことが明らかとなった。
【0013】
したがって、本発明の目的は、植物病原菌による病害の発生を抑制するだけでなく、病害の症状を改善する効果を有し、人体に対して安全で、植物の生産環境に負荷を与えることのない植物病害防除剤及びそれを用いた植物の病害防除法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、特定の分子量範囲のキチン分解物、すなわち低分子量キチンが植物の病害を効果的に防除することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明の植物病害防除剤は、キチンを加水分解して得られる数平均分子量3,000〜50,000の低分子量キチンを有効成分として含有することを特徴とする。
【0016】
本発明の植物病害防除剤は、数平均分子量3,000〜50,000の低分子量キチンを有効成分として含有することにより、病原菌による植物の発病を抑制することができる。なお、上記低分子量キチンによる発病抑制機構は明確には分からないが、該低分子量キチンは、植物が持つ本来の抵抗性機構を活性化し、病害抵抗性を高める病害抵抗性誘導活性を有しているものと考えられる。
【0017】
また、本植物病害防除剤の有効成分は、生物に由来するキチンから調製されたものであるので、安価に製造することができ、人体に対して安全性が高く、植物や土壌に散布しても微生物によって容易に分解され、長期間残存することもなく、農業環境に負荷をかけることがない。
【0018】
本発明の植物病害防除剤は、根こぶ病及び/又は萎黄病の発病を抑制するために用いられることが好ましい。この態様によれば、アブラナ科植物の最も大きな生産阻害要因である根こぶ病及び/又は萎黄病の発病を効果的に抑制することができる。また、根こぶ病に罹病した植物の症状を効果的に改善して、健全な根の発育を促進することもできる。
【0019】
また、本発明の植物の病害防除法の一つは、前記植物病害防除剤を、植物の苗に施与することを特徴とする。
【0020】
この方法によれば、移植前の苗に上記植物病害防除剤を施与することにより、少ない施与量で植物の病害抵抗性を強力に誘導することができる。その結果、該苗を病原菌に汚染された圃場に植え付けても、病原菌の植物体への進入や増殖を顕著に抑制することができ、該植物の発病を効果的に抑制することができる。
【0021】
また、本発明の植物の病害防除法のもう一つは、前記植物病害防除剤を、根こぶ病に罹病した植物に施与することを特徴とする。
【0022】
この方法によれば、根こぶ病に罹病した植物に対して、新たに健全な根の発育を促進することができるので、該植物の生育を回復させることができる。なお、この作用は、低分子量キチンが植物ホルモン的活性を有することに起因するためであると考えられる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の植物病害防除剤の有効成分である低分子量キチン(以下、LM−キチンと略記する)は、カニ、エビ等の甲殻類の殻等から常法によって調製されるキチンを、酸又は酵素で部分加水分解することによって得られる、数平均分子量3,000〜50,000、好ましくは数平均分子量5,000〜20,000のキチン分解物をいう。
【0024】
このようなLM−キチンは、例えば、以下のようにして調製することができる。すなわち、原料キチンを約3.5倍量の濃塩酸に分散させた後、更に原料キチンと等量の濃塩酸を加え、40℃で10〜20分間分解を行う。濃塩酸と等量の水を加えて反応停止し、アルカリで中和した後、濾過して残渣を回収し、賦形剤を適宜添加して乾燥することにより、LM−キチンを得ることができる。
【0025】
また、上記分子量のLM−キチンを主成分として含むキチン分解物は市販されており、例えば、商品名「低分子キチン」(焼津水産化学工業株式会社製)等をそのまま用いることができる。
【0026】
本発明の植物病害防除剤は、上記分子量のLM−キチンを5質量%以上含むことが好ましく、10質量%以上含むことがより好ましい。
【0027】
本発明の植物病害防除剤は、他の成分として、例えば、賦形剤、増量剤等を含むことができる。また、粉状、顆粒状、液状等のいずれの形態で製品化してもよい。
【0028】
本発明の植物病害防除剤は、例えば、アブラナ科植物であるハクサイ、カブ、キャベツ、ダイコン等の根こぶ病や萎黄病等の発生を効果的に抑制することができるだけでなく、根こぶ病に罹病した植物の発病した根より上部から、健全な根の発現を促進することができ、その生育を回復させることができる。
【0029】
なお、「根こぶ病」は、カビの1種であるプラスモディオフォラ・ブラシケ(Plasmodiophora brassicae)によって、アブラナ科植物に発生する病害である。この病害は、アブラナ科植物を連作すると発生しやすくなり、アブラナ科植物の最も大きな生産阻害要因の一つである。罹病した植物は、根がこぶ状に肥大し、水分や養分を吸収できなくなり、発育が停滞して枯死してしまう。また、病原菌は長期にわたり土壌中に生存するため、農作業に伴う土の移動や降雨等を通じ発生畑から周辺へ広がることが多く、また、一旦発生すると防除が困難なため、キャベツ等の栽培上最も恐れられている土壌伝染性の病害である。
【0030】
また、「萎黄病」は、カビの1種であるフザリウム(Fusarium)属菌のフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)によって、アブラナ科植物に発生する病害である。例えば、ダイコンやカブの萎黄病の病原菌として、フザリウム・オキシスポラム f. sp.ラファニ(Fusarium oxysporum f.sp.raphani)、キャベツやカブの萎黄病の病原菌として、フザリウム・オキシスポラム f. sp.コングルチナンス(Fusarium oxysporum f. sp. conglutinans)等が知られている。この病害は、幼苗が発病すると子葉が黄色になって立枯れ症状を呈し、本畑で発生すると初め株の片側が下葉から黄変する。被害葉は主脈を中心に片側が黄変して発病した側の葉身の生育が止まるため、主脈は黄変した側へ曲がり、葉はねじれたり、奇形になったりする。ひどくなると黄変が進み、葉が次第に脱落して、新葉だけが残る。
【0031】
本発明の植物病害防除剤の施与方法は、特に制限されず、例えば、土壌や培養基に直接散布してもよいが、例えば、上記LM−キチンを0.01〜1.0質量%、好ましくは0.1〜0.5質量%となるように水等の適当な溶媒に懸濁した懸濁液を、植物の根元に灌注することが好ましい。施与量は、通常、1m当たり(72穴セルトレイ(30cm×60cm)の約6枚分)、上記LM−キチン換算で2〜20gが好ましく、4〜10gがより好ましい。施与量が少なすぎると十分な防除効果が期待できず、多すぎると発病が促進される場合がある。
【0032】
また、本植物病害防除剤の施与時期やその期間は、特に制限されないが、本発明においては、植物の苗に施与することが好ましい。具体的には、圃場に移植される前のセルトレイやポット等で育苗されている苗に施与することが好ましい。この場合、圃場に移植される前の少なくとも1〜2日前から本植物病害防除剤を施与することが好ましい。これにより、植物の病害抵抗性を強力に誘導することができ、該苗を病原菌に汚染された圃場に植え付けても、病原菌の植物体への進入や増殖を顕著に抑制することができ、該植物の発病を効果的に抑制することができる。
【0033】
また、本植物病害防除剤を、根こぶ病に罹病した植物に施与することもできる。例えば、上記LM−キチンを0.01〜1.0質量%、好ましくは0.1〜0.5質量%となるように水等の適当な溶媒に懸濁した懸濁液を、根こぶ病に罹病した植物の根元に数回灌注することにより、発病した根より上部から、健全な根が新たに発現し、植物の生育を回復させることができる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0035】
製造例
原料キチン1.0kgを、3.5倍量の濃塩酸に分散させた後、更に原料キチンと等量の濃塩酸を加え、40℃で15分間分解を行った後、濃塩酸と等量の水を加えて反応停止した。アルカリで中和した後、濾過して残渣を回収して、デキストリン2.3kgを添加した後、乾燥し、キチン分解物(LM−キチン)を3.1kg得た。得られたLM−キチンの組成を表1に示す。
【0036】
【表1】
Figure 2004323460
【0037】
そして、得られたLM−キチンを1mg/mlとなるように水に懸濁して懸濁液(以下、LM−キチン懸濁液という)とし、これを以下の実施例で、植物病害防除剤として用いた。なお、主要成分は非水溶性であることから、植物体や土壌に施用する際には、直前に十分かき混ぜて主要成分をできるだけ均一に分散させてから用いた。
【0038】
実施例1
キャベツ萎黄病菌(Fusarium oxysporum f. sp. conglutinans)を常法にしたがってふすま培地で培養し、この培養液を試験圃場に散布して土壌と混和して汚染圃場とした。
【0039】
一方、キャベツ種子を、育苗培土を詰めた72穴セルトレイに播種し、約1ヶ月間温室で育苗した。これらの苗を汚染圃場に移植する前日に、上記LM−キチン懸濁液をキャベツ苗1個体当たり約3mlずつ苗の根元の土壌に灌注した。その翌日、苗を汚染圃場に植え付けて発病経過を観察した。
【0040】
比較例1
上記LM−キチンの代わりにキチンオリゴ糖(平均分子量400〜3,000、商品名「NA−COS−Y」、焼津水産化学工業社製)を用いた以外は実施例1と同様にしてキャベツ苗を処理した後、汚染圃場に植え付けて発病経過を観察した。
【0041】
比較例2
汚染圃場の一部に、純化キチン(ナカライテスク社製)を4kg/aとなるように施用し、無処理の苗を移植して発病経過を観察した。
【0042】
比較例3
無処理の苗を汚染圃場に移植して発病経過を観察した。
【0043】
図1に、上記実施例1及び比較例1〜3における萎黄病の発病の結果を示す。なお、図1中、発病度は下記式にしたがって求めた。
【0044】
【数1】
Figure 2004323460
【0045】
図1から、LM−キチンを施与したキャベツ苗は、萎黄病菌汚染圃場に移植しても萎黄病の発病が抑制されていることが分かる。一方、キチンオリゴ糖やキチンを施与しても萎黄病の発病は抑制できないことが分かる。
【0046】
実施例2
キャベツ根こぶ病菌(Plasmodiophora brassicae)の汚染圃場から土壌を採取し、2,000分の1aポットに詰めた。
【0047】
一方、キャベツ種子を、育苗培土を詰めた72穴セルトレイに播種し、約1ヶ月間温室で育苗した。これらの苗を汚染圃場に移植する前日に、上記LM−キチン懸濁液をキャベツ苗1個体当たり約3mlずつ苗の根元の土壌に灌注した。その翌日、苗を汚染ポットに植え付け、植え付け約1ヶ月後に同懸濁液をキャベツ1株当たり約5mlずつ根元の土壌に1回灌注した。そして、発病経過を観察するとともに、根の発病や発根程度を調査した。
【0048】
比較例4
上記LM−キチンの代わりにキチンオリゴ糖(平均分子量400〜3,000、商品名「NA−COS−Y」、焼津水産化学工業社製)を用いた以外は実施例2と同様にしてキャベツ苗を処理した後、汚染ポットに植え付け、植え付け約1ヶ月後にキチンオリゴ糖懸濁液をキャベツ1株当たり約5mlずつ根元の土壌に灌注した。そして、発病経過を観察するとともに、根の発病や発根程度を調査した。
【0049】
比較例5
上記LM−キチンの代わりにキトサンオリゴ糖(平均分子量400〜4,000、商品名「COS−Y」、焼津水産化学工業社製)を用いた以外は、実施例2と同様にした。
【0050】
比較例6
上記LM−キチン懸濁液の代わりに水を用いた以外は実施例2と同様にした。
【0051】
上記実施例2及び比較例4〜6の根の状態(汚染ポットに移植後40日目)を図2に示す。図2から、LM−キチン(図中、「キチン分解物」)を施与したキャベツは、根こぶ病菌汚染ポットに移植しても、根こぶ病の発病が抑制され、健全な根が生長していることが分かる。一方、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖を施与しても根こぶ病の発病は抑制できないことが分かる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、特定の分子量の低分子量キチンを有効成分として含有することにより、植物の病害抵抗性を強力に誘導して、根こぶ病や萎黄病等の病原菌による植物の発病を抑制することができる。また、本植物病害防除剤の有効成分は、生物に由来するキチンから調製されたものであるので、安価に製造することができ、人体に対して安全性が高く、植物や土壌に散布しても微生物によって容易に分解され、長期間残存することもなく、農業環境に負荷をかけることがない。
【0053】
そして、本植物病害防除剤を、植物の苗に施与することにより、植物病原菌に汚染された圃場に移植しても、効果的に発病を抑制することができる。また、根こぶ病に罹病した植物においても、本植物病害防除剤を施与することにより、新たに健全な根の発達を促進することができるので、生育を回復させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】低分子量キチン又はキチンオリゴ糖で処理したキャベツ苗をキャベツ萎黄病菌で汚染された圃場で栽培、あるいは無処理のキャベツ苗をキチンを施用した該汚染圃場で栽培した際における発病度を示す図表である。
【図2】低分子量キチン、キチンオリゴ糖又はキトサンオリゴ糖で処理したキャベツ苗を、キャベツ根こぶ病菌で汚染されたポットで栽培した際における各キャベツの根の状態を示す写真である。

Claims (4)

  1. キチンを加水分解して得られる数平均分子量3,000〜50,000の低分子量キチンを有効成分として含有することを特徴とする植物病害防除剤。
  2. 根こぶ病及び/又は萎黄病の発病を抑制するために用いられる、請求項1に記載の植物病害防除剤。
  3. 請求項1又は2に記載の植物病害防除剤を、植物の苗に施与することを特徴とする植物の病害防除法。
  4. 請求項1又は2に記載の植物病害防除剤を、根こぶ病に罹病した植物に施与することを特徴とする植物の病害防除法。
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