JP2004322789A - 収納用具 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成で、複数の座席列の乗員が共同で物品の収納空間を利用でき、配設位置とは異なる座席列の乗員に向けて空調空気を供給可能な収納用具を提供する。
【解決手段】コンソールボックス13の本体21を、外郭体24と、その外郭体24内に後方開口部24aを通して車両前後方向にスライド移動可能に収納される収納箱体25とで構成する。収納箱体25の車両後方側面25aに、後部座席の乗員の上半身に向かって空調空気を吹き出すリアフェイスレジスタ(RFレジスタ)28を設ける。このRFレジスタ28にスライドダクト29の外管33を接続し、インストルメントパネルの裏面側に設けられた空調装置にスライドダクト29の内管32を接続する。ここで、スライドダクト29は、その内管32に対して外管33が相対移動可能なものとする。
【選択図】 図3
【解決手段】コンソールボックス13の本体21を、外郭体24と、その外郭体24内に後方開口部24aを通して車両前後方向にスライド移動可能に収納される収納箱体25とで構成する。収納箱体25の車両後方側面25aに、後部座席の乗員の上半身に向かって空調空気を吹き出すリアフェイスレジスタ(RFレジスタ)28を設ける。このRFレジスタ28にスライドダクト29の外管33を接続し、インストルメントパネルの裏面側に設けられた空調装置にスライドダクト29の内管32を接続する。ここで、スライドダクト29は、その内管32に対して外管33が相対移動可能なものとする。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両の座席の間に装着されるコンソールボックス等の収納用具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、車室内における居住性の向上に対する要求が高まってきており、後部座席に着座する乗員の上半身に対応する位置に空調空気を吹き出すためのリアフェイスレジスタを有するコンソールボックスが注目されている。
【0003】
この種のコンソールボックスでは、例えばインストルメントパネルの内部に収容された空調装置と、コンソールボックスのリアフェイスレジスタとを、そのコンソールボックスの下方に配設されるダクトを介して接続し、空調装置からリアフェイスレジスタへと空調空気を導くようになっている。そして、前記コンソールボックスの底面には、前記ダクトに連通する冷風・温風導入用開口を設けられており、コンソールボックス内にも空調空気を供給して、そのコンソールボックス内の温度調整を行うようになっている。また、この構成では、コンソールボックスがドリンクホルダの機能を有しており、前記冷風・温風導入用開口を介して飲料容器の一部を空調用ダクト内に挿入して、その飲料容器内の飲料の保冷及び保温を図る構成となっている(第1従来構成、特許文献1参照。)。
【0004】
また、蓋体を主リッドと副リッドとに分割し、車両の後方側に配置される副リッドの背面に、後部座席に着座する乗員の上半身に対応する位置へと空調空気を吹き出す第1吹出口を設けたコンソールボックスも知られている。このコンソールボックスでは、前記副リッドがコンソール本体の後端部に枢支軸を中心に回動可能に軸支されている。この副リッドは、その前面に第2吹出口が設けられており、また内側に飲料容器を保持する円筒状凹部が形成されている。そして、副リッドは、前記枢支軸を中心に回動され倒立された状態で、後部座席に着座する乗員用のドリンクホルダの役割をなす。また、この状態では、後方側に配置される第2吹出口から、後部座席に着座する乗員の上半身に対応する位置へと空調空気が供給されるようになっている。
【0005】
ここで、この副リッドでは、全体が中空構造をなしており、内部が空調空気の通路となっている。そして、前記円筒状凹部の内壁面には、副リッド内の空調空気の通路と連通する複数の開口部が形成されており、前記円筒状凹部内に収容された飲料容器に空調空気が接触することにより、その飲料容器内の飲料が保冷または保温されるようになっている(第2従来構成、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
実開昭62−137844号公報(第5−7頁、第1,2図)
【特許文献2】
特開平9−207643号公報(第3−5頁、第1,4図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記第1従来構成では、後部座席に着座する乗員に向けて空調空気を吹き出させることができるとともに、コンソールボックス内に飲料容器を収容してその飲料容器内の飲料の保冷または保温することが可能となる。しかしながら、前記第1従来構成のコンソールボックスでは、後部座席に着座する乗員がコンソールボックスに対して物品を出し入れすることは、全く考慮されていない。このため、後部座席の乗員がコンソールボックス内に対して物品を出し入れしようとする場合には、前部座席に着座する乗員に依頼して出し入れを行う必要があった。このように、前記コンソールボックスは、後部座席の乗員にとって使い勝手が悪いという問題があった。
【0008】
一方、前記第2従来構成では、副リッドを閉じた状態では、飲料容器を副リッド内に収納することができず、飲料等の保冷及び保温ができないという問題があった。また、この従来構成においても、コンソール本体内の物品収納スペースは、後部座席の乗員による使用については、配慮されていない。さらに、コンソール本体の枢支軸と、その枢支軸に回動可能に係合する副リッドの係合部とに、副リッドの閉止状態と倒立状態と問わずコンソール本体に配設されるダクトと副リッドとの内部とを、空調空気の流通可能に連通させる必要がある。このため、この枢支軸と係合部との係合構成が複雑になるという問題があった。
【0009】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的としては、簡単な構成で、複数の座席列に着座する乗員が共同で物品の収納空間を利用することができ、かつ収納用具の配設位置とは異なる座席列の座席に着座する乗員の上半身と対応する位置に空調空気を供給することが可能な収納用具を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
前記目的を達成するために、本願請求項1に記載の発明は、複数の座席列を有する車両に装着される収納用具において、前記複数の座席列のうち1つの第1座席列の座席の間に本体を配設し、その本体内に、第1座席列の座席に着座する乗員と、その第1座席列と平行にかつ隣接して配置される第2座席列の座席に着座する乗員とが共に利用可能な物品の収納空間を内部に有する筐体を、第1座席列側位置と第2座席列側位置との間でスライドさせるスライド移動可能に収容し、前記筐体の第2座席列側の外側面には、前記車両の車室内を空調するための空調空気を前記第2座席列の座席に着座する乗員の上半身と対応する位置に向かって吹き出す吹出口を設けたことを要旨とするものである。
【0011】
この本願請求項1に記載の発明では、筐体を第1座席列と第2座席列とに間でスライド移動させることによって、その筐体内の収納空間を、第1座席列に着座する乗員と、第2座席列に着座する乗員とが共用することができ、便利である。しかも、第2座席列に着座する乗員の上半身に向けて、空調空気を吹き出すことができ、車室内の居住性を向上することができる。
【0012】
また、本願請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記空調空気は、前記収納空間を挟んで前記吹出口とは反対側に配置される空調装置から供給されるものであることを要旨とするものである。
【0013】
この本願請求項2に記載の発明では、前記請求項1に記載の発明の作用に加えて、通常、空調空気の到達しにくい第2座席列側に、空調装置からの空調空気を効率よく供給することができて、第2座席列における居住性を向上させることができる。
【0014】
また、本願請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の発明において、前記空調空気は、前記筐体における前記収納空間の下方または側方に配設された伸縮可能なダクトを介して供給されるものであることを要旨とするものである。
【0015】
この本願請求項3に記載の発明では、前記請求項2に記載の発明の作用に加えて、簡単な構成で、筐体のスライド機能を阻害することなく、筐体の収納空間を挟んで反対側に配置される空調装置から吹出口へと、空調空気を導くことができる。
【0016】
また、本願請求項4に記載の発明は、前記請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記収納空間内の温度調整を行う温度調整手段を設けたことを要旨とするものである。
【0017】
この本願請求項4に記載の発明では、前記請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、収納空間で、例えば飲料等の保冷または保温を行うことができて、便利である。また、第1座席列の乗員も、第2座席列の乗員も、収納空間内の飲料等を取り扱うことができて、使い勝手のよい収納用具とすることができる。
【0018】
また、本願請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の発明において、前記温度調整手段は、前記空調空気の少なくとも一部を前記収納空間に供給するものであることを要旨とするものである。
【0019】
この本願請求項5に記載の発明では、前記請求項4に記載の発明の作用に加えて、収納空間内に特段の冷却または加温装置を設けることなく、第2座席列側に導かれる空調空気の一部を利用して、内部の飲料等の保冷、保温等を行うことができる。
【0020】
また、本願請求項6に記載の発明は、前記請求項5に記載の発明において、前記温度調整手段は、前記筐体のスライド位置に応じて、前記収納空間への空調空気の供給通路を変更することを要旨とするものである。
【0021】
この本願請求項6に記載の発明では、前記請求項5に記載の発明の作用に加えて、筐体のスライド位置に応じて、収納空間内に空調空気をより適切に供給することができる。
【0022】
また、本願請求項7に記載の発明は、前記請求項5または請求項6に記載の発明において、前記温度調整手段は、前記筐体が第2座席列側位置にあるときには、前記筐体における第1座席側位置に対応する部分への空調空気の供給を遮断することを要旨とするものである。
【0023】
この本願請求項7に記載の発明では、前記請求項5または請求項6に記載の発明の作用に加えて、空調空気が収納空間の存在しない第1座席側位置に漏出することが抑制され、空調装置の効率低下を抑制することができる。
【0024】
また、本願請求項8に記載の発明は、前記請求項5〜請求項7のうちいずれか一項に記載の発明において、前記収納空間内に空調空気を供給する供給通路を開閉する開閉弁を設けたことを要旨とするものである。
【0025】
この本願請求項8に記載の発明では、前記請求項5〜請求項7のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、必要に応じて供給通路を開閉することで、収納用具の使い勝手を向上できるとともに、空調装置の効率低下を抑制することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の収納用具を、車両のコンソールボックスに具体化した一実施形態について図1〜図4に基づいて説明する。
【0027】
図1は、車両の車室11内において、第1座席列の座席としての前部座席12の間に配設されるコンソールボックス13を中心に示す斜視図である。
図1に示すように、車室11内における車両前方側には、インストルメントパネル14が取着されている。このインストルメントパネル14には、車両幅方向の中央部にセンタパネル部15が形成されている。前記前部座席12の間における車両ボディ16の床面17上には、前記センタパネル部15に連続するようにして、コンソールボックス13が装着されている。
【0028】
図2は、コンソールボックス13及びその周辺構成を示す断面図である。
図1及び図2に示すように、このコンソールボックス13は、箱状をなす本体21と、その上面開口部22を本体21の車両後方側上端部を中心に回動して開閉自在に覆う蓋体23とからなっている。前記本体21は、外郭体24と、内部に飲料容器等の物品20を収容する収納空間26を有する筐体としての収納箱体25とからなっている。前記外郭体24の車両後方側面には、後方開口部24aが形成されている。
【0029】
図3は、収納箱体25を車両の後方側に引き出した状態を示す断面図であり、この図3に示すように、前記収納箱体25は、前記外郭体24内に、その外郭体24の内側面24bによりスライドガイドされつつ、車両前後方向にスライド移動可能に収容されている。これにより、収納箱体25は、第2座席列の座席としての後部座席27に着座する乗員により、後方開口部24aを通して外郭体24に対し出し入れが可能な構成となっている。
【0030】
第2座席列側の外側面を構成する前記収納箱体25の車両後方側面25aには、吹出口としてのリアフェイスレジスタ(以下、「RFレジスタ」という。)28が設けられている。このRFレジスタ28は、ダクトとしてのスライドダクト29を介して、前記インストルメントパネル14の裏面側(車両前方側)に設けられ、ブロアユニット等を有する空調装置30に接続されている。
【0031】
ここで、この空調装置30は、車室11内を空調するためのものであり、図示しないダクトを介してインストルメントパネル14の側部及び中央に形成された複数のフロントフェイスレジスタ31に接続されている。また、この空調装置30は、図示しないダクトを介して、前部座席12及び後部座席27に着座する乗員の足元に空調空気を吹き出す吹出口(図示略)に接続されている。
【0032】
ところで、前記スライドダクト29は、コンソールボックス13と車両ボディ16の床面17との間に配設されており、その車両後方側のコンソールボックス13と対応する部分は、内管32と外管33とが摺動可能に連結された二重管構造をなしている。ここで、スライドダクト29の内管32は、前記車両ボディ16の床面に固定されている。一方、スライドダクト29の外管33は、前記収納箱体25に固定されたRFレジスタ28に固定されている。このため、前述のように、収納箱体25が図2に示す前部座席側位置から図3に示す後部座席側位置にスライド移動されると、外管33が収納箱体25の移動に伴って車両後方へと移動され、スライドダクト29は伸ばされる。逆に、収納箱体25が後部座席側位置から前部座席側位置にスライド移動されると、外管33が収納箱体25の移動に伴って車両前方へと移動され、スライドダクト29は縮められる。
【0033】
図4は、スライドダクト29が伸ばされた状態での、そのスライドダクト29の連結部分を拡大して示す断面図である。この図4に示すように、前記内管32の後端部分には、全周にわたって断面略W字状をなす内管ビード部34が形成されている。この内管ビード部34における中央の稜線部分の外周面上には、シール部35が設けられており、内管32はこのシール部35を介して外管33の内周面に摺接している。
【0034】
また、前記外管33の前端部分には、全周にわたって断面略W字状をなす外管ビード部36が形成されている。この外管ビード部36における中央の稜線部分の内周面上には、前記内管ビード部34と同様にシール部35が設けられており、外管33はこのシール部35を介して内管32の外周面に摺接している。
【0035】
ここで、前記シール部35は、内管32または外管33に貼着される弾性部材層37と、その弾性部材層37の表面に貼着される摺動フィルム38とからなっている。
【0036】
前記弾性部材層37は、主として内管32及び外管33内を通過する調和空気のスライドダクト29外への漏れを抑制する役割を担っている。この弾性部材層37は、例えばクロロプレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の合成ゴムあるいは天然ゴムのスポンジ、またはポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等、及びそれらの変性物、アロイ等の合成繊維あるいはセルロース、木綿、絹等の天然繊維あるいは半合成繊維等からなる不織布等で構成される。
【0037】
また、前記摺動フィルム38は、前記内管32と外管33との相互の摺動性を向上する役割を担っている。この摺動フィルム38は、例えばポリエステル、ポリアセタール、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート等、及びそれらの変性物、アロイ等からなるフィルムで構成される。これらの材料のうちで、ポリエステル、ポリアセタール、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン等は、特に優れた摺動性を有しており、この摺動フィルム38に好適である。
【0038】
図2に示すように、スライドダクト29の内管32及び外管33と、前記収納箱体25おける収納空間26の底壁39とには、収納箱体25が前部座席側位置に配置された状態で連続し、温度調整手段及び供給通路を構成する連通孔40a〜40cがそれぞれ開口されている。そして、収納箱体25の底壁39には、連通孔40cを開閉するための開閉弁41が設けられている。この開閉弁41は、乗員必要に応じて開閉する手動式の弁となっている。このように、収納箱体25が前部座席側位置に配置され、開閉弁41が開放された状態では、スライドダクト29内を流通する空調空気が、連通孔40a〜40cを介して収納空間26へと供給されるとともに、RFレジスタ28から後部座席27に着座する乗員の上半身に向かって吹き出される。
【0039】
ここで、収納箱体25が車両後方側の後部座席側位置に移動されたとき、外管33と収納箱体25とは連動しているため、開閉弁41が開けられた状態では、外管33の内部と収納箱体25内の収納空間26との連通は、連通孔40b、40cを介して確保されている。この一方で、前記連通孔40b、40cが内管ビード部34のシール部35を越えて車両の後方側へ移動されるため、内管32の連通孔40aは、外管33の壁面で塞がれることになる。この状態では、スライドダクト29内を流通する空調空気は、連通孔40b、40cを介して、後部座席側位置に配置された収納箱体25の収納空間26内に供給されるとともに、RFレジスタ28から後部座席27に着座する乗員の上半身に向かって吹き出される。この一方で、内管32の連通孔40aは外管33で閉止されており、また内管32と外管33との間には、シール部35が介在されている。このため、スライドダクト29内を流通する空調空気が、外郭体24の内部へと漏出するのが抑制される。
【0040】
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(イ) このコンソールボックス13では、前部座席12の間に配設され、前部座席側位置と後部座席側位置との間でスライド移動させて、前部座席12に着座する乗員と後部座席27に着座する乗員とが共に利用可能な物品20の収納空間26を内部に有する収納箱体25を備えている。そして、収納箱体25の車両後方側面25aには、後部座席27に着座する乗員の上半身に向かって、空調空気を吹き出すRFレジスタ28が設けられている。
【0041】
このため、後部座席27に着座する乗員の上半身に向けた空調空気を吹き出しを確保しつつ、収納箱体25内の収納空間26を前部座席12に着座する乗員と後部座席27に着座する乗員とが共用することができる。従って、コンソールボックス13の利便性を向上することができるとともに、車室11内の居住性を向上することができる。
【0042】
(ロ) 通常空調装置30は、車両前方のインストルメントパネル14の内部に配置されている。このような構成において、車両前方のフロントフェイスレジスタ31からの空調空気は、後部座席27には直接は到達しにくいものである。これに対して、このコンソールボックス13では、空調装置30が収納箱体25の収納空間26を挟んでRFレジスタ28とは反対側に配設されていたとしても、空調空気がスライドダクト29を介してRFレジスタ28に導かれる。そして、そのRFレジスタ28を介して後部座席27着座する乗員の上半身に向かって吹き出される。このように、空調装置30からの空調空気を効率よく供給することができて、後部座席27における居住性を向上させることができる。
【0043】
(ハ) このコンソールボックス13では、空調装置30からの空調空気は、収納箱体25の収納空間26の下方に配設された伸縮可能なスライドダクト29を介して供給されるようになっている。このため、簡単な構成で、収納箱体25のスライド機能を阻害することなく、車両前方の空調装置30からRFレジスタ28へと、空調空気を導くことができる。また、収納箱体25の収納空間26内を後部座席側に供給される空調空気を利用して温度調整する際に、簡単な構成で収納空間26内に空調空気を導くことが可能となり、設計の自由度を向上させることができる。
【0044】
(ニ) このコンソールボックス13では、収納箱体25の収納空間26内の温度調整を行うために、スライドダクト29内を流通する空調空気の一部を収納箱体25内に導く連通孔40a〜40cが設けられている。このため、収納箱体25の収納空間26に、例えば飲料等を収納して、その飲料等の保冷または保温を行うことができて、便利である。しかも、前部座席12の乗員と後部座席27の乗員とがともに、収納空間26内の飲料等を取り扱うことができるようになっているため、一層使い勝手のよいコンソールボックス13とすることができる。また、後部座席27側に導かれる空調空気の一部を利用することで、コンソールボックス13及び収納空間26内に特段の冷却または加温装置を設けることなく、内部に収納した飲料等の保冷、保温等を行うことができる。
【0045】
(ホ) このコンソールボックス13では、収納箱体25のスライド位置に応じて、各連通孔40a〜40cの連通状態を変更して、収納箱体25の収納空間26への空調空気の供給通路を変更するようになっている。つまり、例えば収納箱体25が後部座席27側に配置された状態で収納箱体25が存在せず、飲料等の物品20の保冷、保温に寄与しない外郭体24の内部とスライドダクト29内との連通が遮断されるようになっている。このため、収納箱体25のスライド位置に応じて、収納空間26内に空調空気をより適切に供給することができる。これにより、例えば収納箱体25が後部座席27側に配置された状態で、外郭体24の内部に空調空気が漏出することが抑制される。そして、空調装置30がむだな仕事をすることが抑制され、空調装置30の効率低下を抑制することができる。
【0046】
(ヘ) このコンソールボックス13では、収納箱体25の収納空間26内に空調空気を供給する連通孔40cを開閉する開閉弁41が設けられている。このため、必要に応じて連通孔40cを開閉することで、コンソールボックス13の使い勝手を向上できるとともに、空調装置30の効率低下を抑制することができる。
【0047】
(変形例)
なお、本発明の実施形態は、以下のように変形して具体化してもよい。
・ 前記実施形態では、RFレジスタ28と空調装置30とを接続するスライドダクト29を一部、二重管構造にして伸縮可能な構成としたが、例えば一部蛇腹部を設けるなどして、RFレジスタ28と空調装置30とを接続するダクトを伸縮可能な構成としてもよい。
【0048】
・ 前記実施形態では、スライドダクト29を収納箱体25の下方に配設する構成としたが、収納箱体25の下方に配設する構成としてもよい。
・ 収納箱体25の内部に飲料容器等の物品20の転倒を防止するようなホルダを設けてもよい。
【0049】
・ 3列の座席がある車両においては、本発明のコンソールボックス13をセカンドシートの間に配設して、セカンドシートに着座する乗員とサードシートに着座する乗員とで、収納箱体25を共用する構成としてもよい。
【0050】
・ 前記実施形態において、開閉弁41を省略してもよい。
・ 前記実施形態において、収納箱体25の開口部を開閉可能に覆う中蓋を設けてもよい。収納箱体25を後部座席側位置に引き出した状態における保冷性、保温性を高めることができるとともに、空調装置30の効率低下をさらによく制することができる。なお、この場合、収納箱体25が前部座席側位置、すなわち収納箱体25が外郭体24内に収容された状態では、前記中蓋が蓋体23の開閉動作に連動して開閉するようにすれば、コンソールボックス13の使い勝手を向上することができる。
【0051】
・ 前記実施形態において、収納箱体25の収納空間26を複数の部屋に区画してもよい。この場合、区画した各部屋に空調空気を供給してもよいし、空調空気を供給する部屋と、供給しない部屋とを設けるようにしてもよい。また、収納箱体25の開口部に、例えばトレー等を係合させて、前記収納空間26とは異なる小物入れ等の収納空間を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンソールボックスの一実施形態を示す斜視図。
【図2】図1の収納箱体が前部座席側位置にある状態を示す断面図。
【図3】図1の収納箱体が後部座席側位置にある状態を示す断面図。
【図4】図3のスライドダクトの連結部分を拡大して示す断面図。
【符号の説明】
11…車室、12…第1座席列の座席としての前部座席、20…物品、21…本体、25…筐体としての収納箱体、25a…第2座席列側の外側面をなす車両後方側面、26…収納空間、27…第2座席列の座席としての後部座席、28…吹出口としてのリアフェイスレジスタ、29…ダクトとしてのスライドダクト、30…空調装置、40a〜40c…温度調整手段及び供給通路を構成する連通口、41…開閉弁。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両の座席の間に装着されるコンソールボックス等の収納用具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、車室内における居住性の向上に対する要求が高まってきており、後部座席に着座する乗員の上半身に対応する位置に空調空気を吹き出すためのリアフェイスレジスタを有するコンソールボックスが注目されている。
【0003】
この種のコンソールボックスでは、例えばインストルメントパネルの内部に収容された空調装置と、コンソールボックスのリアフェイスレジスタとを、そのコンソールボックスの下方に配設されるダクトを介して接続し、空調装置からリアフェイスレジスタへと空調空気を導くようになっている。そして、前記コンソールボックスの底面には、前記ダクトに連通する冷風・温風導入用開口を設けられており、コンソールボックス内にも空調空気を供給して、そのコンソールボックス内の温度調整を行うようになっている。また、この構成では、コンソールボックスがドリンクホルダの機能を有しており、前記冷風・温風導入用開口を介して飲料容器の一部を空調用ダクト内に挿入して、その飲料容器内の飲料の保冷及び保温を図る構成となっている(第1従来構成、特許文献1参照。)。
【0004】
また、蓋体を主リッドと副リッドとに分割し、車両の後方側に配置される副リッドの背面に、後部座席に着座する乗員の上半身に対応する位置へと空調空気を吹き出す第1吹出口を設けたコンソールボックスも知られている。このコンソールボックスでは、前記副リッドがコンソール本体の後端部に枢支軸を中心に回動可能に軸支されている。この副リッドは、その前面に第2吹出口が設けられており、また内側に飲料容器を保持する円筒状凹部が形成されている。そして、副リッドは、前記枢支軸を中心に回動され倒立された状態で、後部座席に着座する乗員用のドリンクホルダの役割をなす。また、この状態では、後方側に配置される第2吹出口から、後部座席に着座する乗員の上半身に対応する位置へと空調空気が供給されるようになっている。
【0005】
ここで、この副リッドでは、全体が中空構造をなしており、内部が空調空気の通路となっている。そして、前記円筒状凹部の内壁面には、副リッド内の空調空気の通路と連通する複数の開口部が形成されており、前記円筒状凹部内に収容された飲料容器に空調空気が接触することにより、その飲料容器内の飲料が保冷または保温されるようになっている(第2従来構成、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
実開昭62−137844号公報(第5−7頁、第1,2図)
【特許文献2】
特開平9−207643号公報(第3−5頁、第1,4図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記第1従来構成では、後部座席に着座する乗員に向けて空調空気を吹き出させることができるとともに、コンソールボックス内に飲料容器を収容してその飲料容器内の飲料の保冷または保温することが可能となる。しかしながら、前記第1従来構成のコンソールボックスでは、後部座席に着座する乗員がコンソールボックスに対して物品を出し入れすることは、全く考慮されていない。このため、後部座席の乗員がコンソールボックス内に対して物品を出し入れしようとする場合には、前部座席に着座する乗員に依頼して出し入れを行う必要があった。このように、前記コンソールボックスは、後部座席の乗員にとって使い勝手が悪いという問題があった。
【0008】
一方、前記第2従来構成では、副リッドを閉じた状態では、飲料容器を副リッド内に収納することができず、飲料等の保冷及び保温ができないという問題があった。また、この従来構成においても、コンソール本体内の物品収納スペースは、後部座席の乗員による使用については、配慮されていない。さらに、コンソール本体の枢支軸と、その枢支軸に回動可能に係合する副リッドの係合部とに、副リッドの閉止状態と倒立状態と問わずコンソール本体に配設されるダクトと副リッドとの内部とを、空調空気の流通可能に連通させる必要がある。このため、この枢支軸と係合部との係合構成が複雑になるという問題があった。
【0009】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的としては、簡単な構成で、複数の座席列に着座する乗員が共同で物品の収納空間を利用することができ、かつ収納用具の配設位置とは異なる座席列の座席に着座する乗員の上半身と対応する位置に空調空気を供給することが可能な収納用具を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
前記目的を達成するために、本願請求項1に記載の発明は、複数の座席列を有する車両に装着される収納用具において、前記複数の座席列のうち1つの第1座席列の座席の間に本体を配設し、その本体内に、第1座席列の座席に着座する乗員と、その第1座席列と平行にかつ隣接して配置される第2座席列の座席に着座する乗員とが共に利用可能な物品の収納空間を内部に有する筐体を、第1座席列側位置と第2座席列側位置との間でスライドさせるスライド移動可能に収容し、前記筐体の第2座席列側の外側面には、前記車両の車室内を空調するための空調空気を前記第2座席列の座席に着座する乗員の上半身と対応する位置に向かって吹き出す吹出口を設けたことを要旨とするものである。
【0011】
この本願請求項1に記載の発明では、筐体を第1座席列と第2座席列とに間でスライド移動させることによって、その筐体内の収納空間を、第1座席列に着座する乗員と、第2座席列に着座する乗員とが共用することができ、便利である。しかも、第2座席列に着座する乗員の上半身に向けて、空調空気を吹き出すことができ、車室内の居住性を向上することができる。
【0012】
また、本願請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記空調空気は、前記収納空間を挟んで前記吹出口とは反対側に配置される空調装置から供給されるものであることを要旨とするものである。
【0013】
この本願請求項2に記載の発明では、前記請求項1に記載の発明の作用に加えて、通常、空調空気の到達しにくい第2座席列側に、空調装置からの空調空気を効率よく供給することができて、第2座席列における居住性を向上させることができる。
【0014】
また、本願請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の発明において、前記空調空気は、前記筐体における前記収納空間の下方または側方に配設された伸縮可能なダクトを介して供給されるものであることを要旨とするものである。
【0015】
この本願請求項3に記載の発明では、前記請求項2に記載の発明の作用に加えて、簡単な構成で、筐体のスライド機能を阻害することなく、筐体の収納空間を挟んで反対側に配置される空調装置から吹出口へと、空調空気を導くことができる。
【0016】
また、本願請求項4に記載の発明は、前記請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記収納空間内の温度調整を行う温度調整手段を設けたことを要旨とするものである。
【0017】
この本願請求項4に記載の発明では、前記請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、収納空間で、例えば飲料等の保冷または保温を行うことができて、便利である。また、第1座席列の乗員も、第2座席列の乗員も、収納空間内の飲料等を取り扱うことができて、使い勝手のよい収納用具とすることができる。
【0018】
また、本願請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の発明において、前記温度調整手段は、前記空調空気の少なくとも一部を前記収納空間に供給するものであることを要旨とするものである。
【0019】
この本願請求項5に記載の発明では、前記請求項4に記載の発明の作用に加えて、収納空間内に特段の冷却または加温装置を設けることなく、第2座席列側に導かれる空調空気の一部を利用して、内部の飲料等の保冷、保温等を行うことができる。
【0020】
また、本願請求項6に記載の発明は、前記請求項5に記載の発明において、前記温度調整手段は、前記筐体のスライド位置に応じて、前記収納空間への空調空気の供給通路を変更することを要旨とするものである。
【0021】
この本願請求項6に記載の発明では、前記請求項5に記載の発明の作用に加えて、筐体のスライド位置に応じて、収納空間内に空調空気をより適切に供給することができる。
【0022】
また、本願請求項7に記載の発明は、前記請求項5または請求項6に記載の発明において、前記温度調整手段は、前記筐体が第2座席列側位置にあるときには、前記筐体における第1座席側位置に対応する部分への空調空気の供給を遮断することを要旨とするものである。
【0023】
この本願請求項7に記載の発明では、前記請求項5または請求項6に記載の発明の作用に加えて、空調空気が収納空間の存在しない第1座席側位置に漏出することが抑制され、空調装置の効率低下を抑制することができる。
【0024】
また、本願請求項8に記載の発明は、前記請求項5〜請求項7のうちいずれか一項に記載の発明において、前記収納空間内に空調空気を供給する供給通路を開閉する開閉弁を設けたことを要旨とするものである。
【0025】
この本願請求項8に記載の発明では、前記請求項5〜請求項7のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、必要に応じて供給通路を開閉することで、収納用具の使い勝手を向上できるとともに、空調装置の効率低下を抑制することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の収納用具を、車両のコンソールボックスに具体化した一実施形態について図1〜図4に基づいて説明する。
【0027】
図1は、車両の車室11内において、第1座席列の座席としての前部座席12の間に配設されるコンソールボックス13を中心に示す斜視図である。
図1に示すように、車室11内における車両前方側には、インストルメントパネル14が取着されている。このインストルメントパネル14には、車両幅方向の中央部にセンタパネル部15が形成されている。前記前部座席12の間における車両ボディ16の床面17上には、前記センタパネル部15に連続するようにして、コンソールボックス13が装着されている。
【0028】
図2は、コンソールボックス13及びその周辺構成を示す断面図である。
図1及び図2に示すように、このコンソールボックス13は、箱状をなす本体21と、その上面開口部22を本体21の車両後方側上端部を中心に回動して開閉自在に覆う蓋体23とからなっている。前記本体21は、外郭体24と、内部に飲料容器等の物品20を収容する収納空間26を有する筐体としての収納箱体25とからなっている。前記外郭体24の車両後方側面には、後方開口部24aが形成されている。
【0029】
図3は、収納箱体25を車両の後方側に引き出した状態を示す断面図であり、この図3に示すように、前記収納箱体25は、前記外郭体24内に、その外郭体24の内側面24bによりスライドガイドされつつ、車両前後方向にスライド移動可能に収容されている。これにより、収納箱体25は、第2座席列の座席としての後部座席27に着座する乗員により、後方開口部24aを通して外郭体24に対し出し入れが可能な構成となっている。
【0030】
第2座席列側の外側面を構成する前記収納箱体25の車両後方側面25aには、吹出口としてのリアフェイスレジスタ(以下、「RFレジスタ」という。)28が設けられている。このRFレジスタ28は、ダクトとしてのスライドダクト29を介して、前記インストルメントパネル14の裏面側(車両前方側)に設けられ、ブロアユニット等を有する空調装置30に接続されている。
【0031】
ここで、この空調装置30は、車室11内を空調するためのものであり、図示しないダクトを介してインストルメントパネル14の側部及び中央に形成された複数のフロントフェイスレジスタ31に接続されている。また、この空調装置30は、図示しないダクトを介して、前部座席12及び後部座席27に着座する乗員の足元に空調空気を吹き出す吹出口(図示略)に接続されている。
【0032】
ところで、前記スライドダクト29は、コンソールボックス13と車両ボディ16の床面17との間に配設されており、その車両後方側のコンソールボックス13と対応する部分は、内管32と外管33とが摺動可能に連結された二重管構造をなしている。ここで、スライドダクト29の内管32は、前記車両ボディ16の床面に固定されている。一方、スライドダクト29の外管33は、前記収納箱体25に固定されたRFレジスタ28に固定されている。このため、前述のように、収納箱体25が図2に示す前部座席側位置から図3に示す後部座席側位置にスライド移動されると、外管33が収納箱体25の移動に伴って車両後方へと移動され、スライドダクト29は伸ばされる。逆に、収納箱体25が後部座席側位置から前部座席側位置にスライド移動されると、外管33が収納箱体25の移動に伴って車両前方へと移動され、スライドダクト29は縮められる。
【0033】
図4は、スライドダクト29が伸ばされた状態での、そのスライドダクト29の連結部分を拡大して示す断面図である。この図4に示すように、前記内管32の後端部分には、全周にわたって断面略W字状をなす内管ビード部34が形成されている。この内管ビード部34における中央の稜線部分の外周面上には、シール部35が設けられており、内管32はこのシール部35を介して外管33の内周面に摺接している。
【0034】
また、前記外管33の前端部分には、全周にわたって断面略W字状をなす外管ビード部36が形成されている。この外管ビード部36における中央の稜線部分の内周面上には、前記内管ビード部34と同様にシール部35が設けられており、外管33はこのシール部35を介して内管32の外周面に摺接している。
【0035】
ここで、前記シール部35は、内管32または外管33に貼着される弾性部材層37と、その弾性部材層37の表面に貼着される摺動フィルム38とからなっている。
【0036】
前記弾性部材層37は、主として内管32及び外管33内を通過する調和空気のスライドダクト29外への漏れを抑制する役割を担っている。この弾性部材層37は、例えばクロロプレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の合成ゴムあるいは天然ゴムのスポンジ、またはポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等、及びそれらの変性物、アロイ等の合成繊維あるいはセルロース、木綿、絹等の天然繊維あるいは半合成繊維等からなる不織布等で構成される。
【0037】
また、前記摺動フィルム38は、前記内管32と外管33との相互の摺動性を向上する役割を担っている。この摺動フィルム38は、例えばポリエステル、ポリアセタール、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート等、及びそれらの変性物、アロイ等からなるフィルムで構成される。これらの材料のうちで、ポリエステル、ポリアセタール、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン等は、特に優れた摺動性を有しており、この摺動フィルム38に好適である。
【0038】
図2に示すように、スライドダクト29の内管32及び外管33と、前記収納箱体25おける収納空間26の底壁39とには、収納箱体25が前部座席側位置に配置された状態で連続し、温度調整手段及び供給通路を構成する連通孔40a〜40cがそれぞれ開口されている。そして、収納箱体25の底壁39には、連通孔40cを開閉するための開閉弁41が設けられている。この開閉弁41は、乗員必要に応じて開閉する手動式の弁となっている。このように、収納箱体25が前部座席側位置に配置され、開閉弁41が開放された状態では、スライドダクト29内を流通する空調空気が、連通孔40a〜40cを介して収納空間26へと供給されるとともに、RFレジスタ28から後部座席27に着座する乗員の上半身に向かって吹き出される。
【0039】
ここで、収納箱体25が車両後方側の後部座席側位置に移動されたとき、外管33と収納箱体25とは連動しているため、開閉弁41が開けられた状態では、外管33の内部と収納箱体25内の収納空間26との連通は、連通孔40b、40cを介して確保されている。この一方で、前記連通孔40b、40cが内管ビード部34のシール部35を越えて車両の後方側へ移動されるため、内管32の連通孔40aは、外管33の壁面で塞がれることになる。この状態では、スライドダクト29内を流通する空調空気は、連通孔40b、40cを介して、後部座席側位置に配置された収納箱体25の収納空間26内に供給されるとともに、RFレジスタ28から後部座席27に着座する乗員の上半身に向かって吹き出される。この一方で、内管32の連通孔40aは外管33で閉止されており、また内管32と外管33との間には、シール部35が介在されている。このため、スライドダクト29内を流通する空調空気が、外郭体24の内部へと漏出するのが抑制される。
【0040】
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(イ) このコンソールボックス13では、前部座席12の間に配設され、前部座席側位置と後部座席側位置との間でスライド移動させて、前部座席12に着座する乗員と後部座席27に着座する乗員とが共に利用可能な物品20の収納空間26を内部に有する収納箱体25を備えている。そして、収納箱体25の車両後方側面25aには、後部座席27に着座する乗員の上半身に向かって、空調空気を吹き出すRFレジスタ28が設けられている。
【0041】
このため、後部座席27に着座する乗員の上半身に向けた空調空気を吹き出しを確保しつつ、収納箱体25内の収納空間26を前部座席12に着座する乗員と後部座席27に着座する乗員とが共用することができる。従って、コンソールボックス13の利便性を向上することができるとともに、車室11内の居住性を向上することができる。
【0042】
(ロ) 通常空調装置30は、車両前方のインストルメントパネル14の内部に配置されている。このような構成において、車両前方のフロントフェイスレジスタ31からの空調空気は、後部座席27には直接は到達しにくいものである。これに対して、このコンソールボックス13では、空調装置30が収納箱体25の収納空間26を挟んでRFレジスタ28とは反対側に配設されていたとしても、空調空気がスライドダクト29を介してRFレジスタ28に導かれる。そして、そのRFレジスタ28を介して後部座席27着座する乗員の上半身に向かって吹き出される。このように、空調装置30からの空調空気を効率よく供給することができて、後部座席27における居住性を向上させることができる。
【0043】
(ハ) このコンソールボックス13では、空調装置30からの空調空気は、収納箱体25の収納空間26の下方に配設された伸縮可能なスライドダクト29を介して供給されるようになっている。このため、簡単な構成で、収納箱体25のスライド機能を阻害することなく、車両前方の空調装置30からRFレジスタ28へと、空調空気を導くことができる。また、収納箱体25の収納空間26内を後部座席側に供給される空調空気を利用して温度調整する際に、簡単な構成で収納空間26内に空調空気を導くことが可能となり、設計の自由度を向上させることができる。
【0044】
(ニ) このコンソールボックス13では、収納箱体25の収納空間26内の温度調整を行うために、スライドダクト29内を流通する空調空気の一部を収納箱体25内に導く連通孔40a〜40cが設けられている。このため、収納箱体25の収納空間26に、例えば飲料等を収納して、その飲料等の保冷または保温を行うことができて、便利である。しかも、前部座席12の乗員と後部座席27の乗員とがともに、収納空間26内の飲料等を取り扱うことができるようになっているため、一層使い勝手のよいコンソールボックス13とすることができる。また、後部座席27側に導かれる空調空気の一部を利用することで、コンソールボックス13及び収納空間26内に特段の冷却または加温装置を設けることなく、内部に収納した飲料等の保冷、保温等を行うことができる。
【0045】
(ホ) このコンソールボックス13では、収納箱体25のスライド位置に応じて、各連通孔40a〜40cの連通状態を変更して、収納箱体25の収納空間26への空調空気の供給通路を変更するようになっている。つまり、例えば収納箱体25が後部座席27側に配置された状態で収納箱体25が存在せず、飲料等の物品20の保冷、保温に寄与しない外郭体24の内部とスライドダクト29内との連通が遮断されるようになっている。このため、収納箱体25のスライド位置に応じて、収納空間26内に空調空気をより適切に供給することができる。これにより、例えば収納箱体25が後部座席27側に配置された状態で、外郭体24の内部に空調空気が漏出することが抑制される。そして、空調装置30がむだな仕事をすることが抑制され、空調装置30の効率低下を抑制することができる。
【0046】
(ヘ) このコンソールボックス13では、収納箱体25の収納空間26内に空調空気を供給する連通孔40cを開閉する開閉弁41が設けられている。このため、必要に応じて連通孔40cを開閉することで、コンソールボックス13の使い勝手を向上できるとともに、空調装置30の効率低下を抑制することができる。
【0047】
(変形例)
なお、本発明の実施形態は、以下のように変形して具体化してもよい。
・ 前記実施形態では、RFレジスタ28と空調装置30とを接続するスライドダクト29を一部、二重管構造にして伸縮可能な構成としたが、例えば一部蛇腹部を設けるなどして、RFレジスタ28と空調装置30とを接続するダクトを伸縮可能な構成としてもよい。
【0048】
・ 前記実施形態では、スライドダクト29を収納箱体25の下方に配設する構成としたが、収納箱体25の下方に配設する構成としてもよい。
・ 収納箱体25の内部に飲料容器等の物品20の転倒を防止するようなホルダを設けてもよい。
【0049】
・ 3列の座席がある車両においては、本発明のコンソールボックス13をセカンドシートの間に配設して、セカンドシートに着座する乗員とサードシートに着座する乗員とで、収納箱体25を共用する構成としてもよい。
【0050】
・ 前記実施形態において、開閉弁41を省略してもよい。
・ 前記実施形態において、収納箱体25の開口部を開閉可能に覆う中蓋を設けてもよい。収納箱体25を後部座席側位置に引き出した状態における保冷性、保温性を高めることができるとともに、空調装置30の効率低下をさらによく制することができる。なお、この場合、収納箱体25が前部座席側位置、すなわち収納箱体25が外郭体24内に収容された状態では、前記中蓋が蓋体23の開閉動作に連動して開閉するようにすれば、コンソールボックス13の使い勝手を向上することができる。
【0051】
・ 前記実施形態において、収納箱体25の収納空間26を複数の部屋に区画してもよい。この場合、区画した各部屋に空調空気を供給してもよいし、空調空気を供給する部屋と、供給しない部屋とを設けるようにしてもよい。また、収納箱体25の開口部に、例えばトレー等を係合させて、前記収納空間26とは異なる小物入れ等の収納空間を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンソールボックスの一実施形態を示す斜視図。
【図2】図1の収納箱体が前部座席側位置にある状態を示す断面図。
【図3】図1の収納箱体が後部座席側位置にある状態を示す断面図。
【図4】図3のスライドダクトの連結部分を拡大して示す断面図。
【符号の説明】
11…車室、12…第1座席列の座席としての前部座席、20…物品、21…本体、25…筐体としての収納箱体、25a…第2座席列側の外側面をなす車両後方側面、26…収納空間、27…第2座席列の座席としての後部座席、28…吹出口としてのリアフェイスレジスタ、29…ダクトとしてのスライドダクト、30…空調装置、40a〜40c…温度調整手段及び供給通路を構成する連通口、41…開閉弁。
Claims (8)
- 複数の座席列を有する車両に装着される収納用具において、前記複数の座席列のうち1つの第1座席列の座席の間に本体を配設し、その本体内に、第1座席列の座席に着座する乗員と、その第1座席列と平行にかつ隣接して配置される第2座席列の座席に着座する乗員とが共に利用可能な物品の収納空間を内部に有する筐体を、第1座席列側位置と第2座席列側位置との間でスライドさせるスライド移動可能に収容し、前記筐体の第2座席列側の外側面には、前記車両の車室内を空調するための空調空気を前記第2座席列の座席に着座する乗員の上半身と対応する位置に向かって吹き出す吹出口を設けたことを特徴とする収納用具。
- 前記空調空気は、前記収納空間を挟んで前記吹出口とは反対側に配置される空調装置から供給されるものであることを特徴とする請求項1に記載の収納用具。
- 前記空調空気は、前記筐体における前記収納空間の下方または側方に配設された伸縮可能なダクトを介して供給されるものであることを特徴とする請求項2に記載の収納用具。
- 前記収納空間内の温度調整を行う温度調整手段を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の収納用具。
- 前記温度調整手段は、前記空調空気の少なくとも一部を収納空間に供給するものであることを特徴とする請求項4に記載の収納用具。
- 前記温度調整手段は、前記筐体のスライド位置に応じて、前記収納空間への空調空気の供給通路を変更することを特徴とする請求項5に記載の収納用具。
- 前記温度調整手段は、前記筐体が第2座席列側位置にあるときには、前記筐体における第1座席側位置に対応する部分への空調空気の供給を遮断することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の収納用具。
- 前記収納空間内に空調空気を供給する供給通路を開閉する開閉弁を設けたことを特徴とする請求項5〜請求項7のうちいずれか一項に記載の収納用具。
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