JP2004322377A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】タイムラグを削減しつつ走査速度のプロファイルを速度指令値に沿った滑らかな曲線とする。
【解決手段】インクを吐出するインクジェット記録ヘッドを搭載したキャリッジをモータによって駆動して記録媒体上で走査させて記録を行うインクジェット記録装置において、キャリッジの走査速度を検出し、予め設定された速度プロファイルに従って出力された速度指令値と前記走査速度との誤差に基づいてPID演算を行って前記モータを制御するようにし、PID演算における積分項2002の初期値を、定速領域において、キャリッジの摩擦力とほぼ釣り合う駆動力をモータに発生させるPWM値に設定する。
【選択図】 図20

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録装置に関し、特に、インクを吐出するインクジェット記録ヘッドを搭載したキャリッジをモータによって駆動して記録媒体上で走査させて記録を行うインクジェット記録装置におけるモータの制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ファクシミリ等に於ける情報出力装置として、所望される文字や画像等の情報を用紙やフィルム等シート状の記録媒体に記録を行うプリンタが広く使用されている。
【0003】
プリンタの記録方式としては様々な方式が知られているが、用紙等の記録媒体に非接触記録が可能である、カラー化が容易である、静粛性に富む、等の理由でインクジェット方式が近年特に注目されており、又その構成としては所望される記録情報に応じてインクを吐出する記録ヘッドをキャリッジに搭載すると共に用紙等の記録媒体の搬送方向と交差する方向に往復走査させながら記録を行なうシリアル型が安価で小型化が容易などの点から一般的に広く用いられている。
【0004】
近年は、キャリッジの駆動源としてDCモータ等を用い、キャリッジの位置を検出する手段として光学式等のリニアエンコーダを用いたシリアル型の記録装置が数多く製品化されている。このような構成の記録装置では、リニアエンコーダが検出した位置信号(パルス)と内蔵されたタイマによって計測された時間からキャリッジの走査速度を求め、速度指令値との差分に相当する速度誤差値を、PID演算という手法で算出してフィードバック制御する速度サーボ(以下、PID速度制御とも称する)が多く用いられている。
【0005】
また、記録装置に対してはデジタルカメラ等で撮影した自然画像を記録する機会が増えるにつれて画質の向上が強く望まれており、インクジェット記録装置においては、インク滴の着弾精度を一層向上させる必要がある。
【0006】
更に、記録装置の小型化も強く望まれており、シリアル型の記録装置では、キャリッジの移動範囲をできるだけ短くする必要がある。最大記録幅を保ったままキャリッジの移動範囲を短くするためには、キャリッジを目標速度に到達させるための加速領域をより短くすると共に、加速領域においても記録を行うようにする必要がある。
【0007】
加速領域において記録を行う場合には、加速領域におけるインク着弾精度を向上させるため、停止状態から目標速度までの加速領域の速度変化を滑らかにすることが求められる。上記のPID速度制御では、速度指令値の算出基準となる加速カーブに、より滑らかなカーブを適用するなどの工夫がなされている。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−91977号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような、キャリッジの移動範囲を短くしたシリアル型のインクジェット記録装置で、従来一般的に行われているPID速度制御を用いた場合、加速時のタイムラグが問題となる。
【0010】
従来のPID速度制御による速度指令値と実際の速度の変化の一例を表す図15のグラフを参照して、この「タイムラグ」について説明する。図15において、1501は速度指令値を示し、1502はキャリッジの移動速度を示している。速度指令値1501の加速カーブとしては滑らかな5次関数曲線を用いており、これに追従する速度1502も同様に滑らかな曲線となっている。しかしながら、速度指令値1501は時間0(sec)から上昇しているにもかかわらず、キャリッジの速度の値1502のが上昇するまでには、0.016(sec)程度の時間がかかっておりこれを「タイムラグ」と称する。
【0011】
A4サイズの記録媒体の記録が可能な一般的なインクジェット記録装置では、キャリッジの重量もある程度重く、加速領域の距離も長くとっているので、1回の走査にかかる時間は、1(sec)以上となり、走査時間に対するタイムラグの割合が2%以下となるため、特に問題とはならなかった。
【0012】
しかしながら、加速領域が短い、例えば、カードサイズの記録媒体に記録を行う小型の記録装置では、キャリッジの移動範囲は70mm以下になり、1回の走査にかかる時間も0.23(sec)程度となるので、タイムラグが0.016(sec)程度であると、走査時間に対するタイムラグの割合が約7%となってしまう。
【0013】
1枚の記録に要する全走査時間が35秒であると、タイムラグの合計時間はおよそ2.45秒となり、記録時間を短縮するためにはタイムラグを短縮することが不可欠となる。
【0014】
図16は、図15に示したPID速度制御におけるPWM値の変化を示すグラフである。このグラフから「タイムラグ」の発生する理由を説明する。PWM値とは、PWM(Pulse Width Modulation)制御と呼ばれる、モータへ供給するエネルギーの制御パラメータを意味している。この例ではPWM値が最大値である1000となると、印加電圧が常時モータにかかる状態になっていることを意味する。PWM値が大きくなれば、モータの発生するトルクが増大する。
【0015】
グラフ内の曲線1601は比例項、1602は積分項、1603はPI_Totalの値をそれぞれ表している。モータに与えられるPWM値は、比例項1601と積分項1602の和である1603で表わされるPI_Totalによって示される。比例項1601及び積分項1602については、ここでは詳述しない。
【0016】
図16のグラフから、1603で表わされるPI_Totalの初期値は0で、0.05(sec)くらいまでの加速領域において、800弱となるピークを持つことが読み取れる。グラフ中に(a)で示す時間は、上記で図15に関して説明した、実際に停止状態から加速状態に入るタイミング、すなわち、移動を開始するタイミングを示している。また、(b)は(a)のタイミングでのPWM値すなわちPI_Totalの値を示し、およそ250程度に達している。これから、PWM値がおよそ250以下であると、モータが発生するトルクが、キャリッジ駆動系の摩擦力に打ち勝つことができず、キャリッジは停止状態を維持することがわかる。摩擦力は、例えば、キャリッジが静止している状態では静止摩擦力、動作している状態では動摩擦力である。
【0017】
本従来例のPID速度制御では、PWMの初期値は0なので、摩擦力に打ち勝つPWM値(250を越える値)に到達するには、速度誤差に比例した比例項1601及び速度誤差を累積した積分項1602が十分に大きな値となるまでの時間を要する。さらに言えば、これらの値が十分な大きさとなる条件としては、比例項については、速度指令値が実際の速度より十分に大きい値となる必要があり、積分項については、速度誤差がプラスの状態が一定時間継続する必要がある。以上が上述の「タイムラグ」が発生する理由である。
【0018】
図17及び18は、従来の速度制御方法の別の例を説明するグラフである。図17は、速度指令値とキャリッジの走査速度の変化を示すグラフであり、図18はPWM値の変化を示すグラフである。図17において1701は速度指令値、1702はキャリッジの走査速度をそれぞれ表し、図18において1801は比例項、1802は積分項、1803はPI_Totalの値をそれぞれ表している。
【0019】
上記の従来例で問題となったタイムラグを解消するために、本例では積分項1802の初期値を、収束すると予想される積分項の値に設定する工夫をしている。記録装置のキャリッジ駆動においては、同じ速度での走査を繰り返すので、積分項の収束値は、前回の走査の演算結果から容易に予測できる。図18に示されるように、本従来例では、積分項の初期値を図16の定速領域における積分項1602の値532に設定している。
【0020】
図17のグラフを図15と比較すると明らかなように、上記の従来例(図15)で見られたようなタイムラグはなくなり、本従来例では速度指令値が与えられたタイミング(0秒)から、実際にキャリッジが加速状態に入っていることがわかる。ただし、この場合にはPWMの初期値が532に設定されているため、この値によって発生されるトルクは、設定された速度指令値1701をトレースするには過剰であり、このため加速開始直後から0.02(sec)までの間は、実際の速度が速度指令値をオーバーし、速度変化は図15のように滑らかなものとはならない。このような速度曲線の加速領域で記録を行うと、インクの着弾精度が低下するため画質が劣化する。
【0021】
以上のように、従来のPID速度制御方法では、積分項(PWM値)の初期値を0に設定した場合には、タイムラグが発生して記録時間が長くなってしまい、積分項の初期値を予想される収束値に設定した場合には、タイムラグがなくなり速やかな加速が得られるが、速度変化が滑らかとはならないという不都合が生じる。
【0022】
本発明は以上のような状況に鑑みてなされたものであり、インクジェット記録装置においてPID演算によるフィードバック制御を用いてキャリッジを駆動する際に、タイムラグを削減しつつ速度変化を滑らかにすることを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の一態様としてのインクジェット記録装置は、インクを吐出するインクジェット記録ヘッドを搭載したキャリッジを記録媒体上で走査させて記録を行うインクジェット記録装置であって、
前記キャリッジを駆動するモータと、
前記キャリッジの走査速度を検出する速度検出手段と、
予め設定された速度プロファイルに従って出力された速度指令値と前記走査速度との誤差に基づいてPID演算を行って前記モータを制御する駆動制御手段と、
前記PID演算における積分項の初期値を、定速領域において、前記キャリッジの摩擦力とほぼ釣り合う駆動力を前記モータに発生させる値に設定する初期値設定手段と、を備えている。
【0024】
すなわち、本発明では、インクを吐出するインクジェット記録ヘッドを搭載したキャリッジをモータによって駆動して記録媒体上で走査させて記録を行うインクジェット記録装置において、キャリッジの走査速度を検出し、予め設定された速度プロファイルに従って出力された速度指令値と前記走査速度との誤差に基づいてPID演算を行って前記モータを制御するようにし、PID演算における積分項の初期値を、定速領域において、キャリッジの摩擦力とほぼ釣り合う駆動力をモータに発生させる値に設定する。
【0025】
このようにすると、モータに速度指令値が与えられてからキャリッジが移動を開始するまでのタイムラグが削減されると共に走査速度のプロファイルを速度指令値に沿った滑らかな曲線とすることができる。
【0026】
従って、本発明を適用したシリアル型のインクジェット記録装置は、記録品質を維持しながら記録時間を短縮することができ、装置の走査方向サイズを短縮して装置を小型化することも可能となる。
【0027】
なお、本発明は上記のインクジェット記録装置の態様以外に、該記録装置に対応するインクジェット記録装置のモータ制御方法としても実現できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0029】
なお、以下に説明する実施形態では、インクジェット記録方式を用いた記録装置としてプリンタを例に挙げ説明する。
【0030】
本明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0031】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0032】
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
【0033】
なお、上述のように本発明は、インクを吐出するインクジェット記録ヘッドを搭載したキャリッジを記録媒体上で走査させて記録を行うインクジェット記録装置であって、キャリッジを駆動するモータと、キャリッジの走査速度を検出する速度検出手段と、予め設定された速度プロファイルに従って出力された速度指令値と走査速度との誤差に基づいてPID演算を行ってモータを制御する駆動制御手段と、PID演算における積分項の初期値を、定速領域において、キャリッジの摩擦力とほぼ釣り合う駆動力をモータに発生させる値に設定する初期値設定手段と、を備えるインクジェット記録装置であるが、以下で説明する実施形態は次のような特徴をも備えている。
【0034】
初期値設定手段は、定速領域における駆動パラメータの値、モータの目標速度、モータの特性値、及びモータの駆動回路の特性値から初期値を算出する。
【0035】
モータの特性値がモータの逆起電力定数及び電気子抵抗値を含み、モータの駆動回路の特性値がモータ回路印加電圧及びモータ駆動回路の抵抗値を含む。
【0036】
モータとして、DCモータを使用する。速度検出手段が、エンコーダ及びタイマを含む。
【0037】
駆動制御手段は、PWM信号によりモータを制御する。
【0038】
記録ヘッドは、熱エネルギーを利用してインクを吐出する記録ヘッドであって、インクに与える熱エネルギーを発生するための熱エネルギー変換体を備えている。
【0039】
<基本構成>
まず、図1から図14に基づいて、本発明に係る装置の基本構成について説明する。本実施形態の装置は、プリンタ内蔵カメラとして構成されており、その装置本体A001においては、カメラ部A100の背面側にプリンタ部(記録装置部)B100が一体的に組み込まれている。プリンタ部B100は、メディアパックC100から供給されるインクと記録媒体を用いて画像を記録する。
【0040】
本構成では、装置本体A001から外装を外して背面側から見た図5から明らかなように、装置本体A001の同図中の右手側にメディアパックC100が挿入され、装置本体A001の同図中左手側にプリンタ部B100が配置される。プリンタ部B100によって記録を行う場合には、カメラ部A100における後述の液晶表示部A105を上側、レンズA101を下側にするように、装置本体A001を置いた姿勢とすることができる。この記録姿勢において、プリンタ部B100における後述の記録ヘッドB120は、インクを下向きに吐出する姿勢となる。記録姿勢は、カメラ部A100による撮影状態の姿勢と同様の姿勢とすることも可能であり、上記の記録姿勢に限られることはない。記録動作の安定性の面からは、上記のインクを下向きに吐出する記録姿勢が好ましい。
【0041】
以下においては、本例の装置の機械的な基本構成をA:カメラ部、B:メディアパック、C:プリンタ部とに分けて説明し、また、信号処理系の基本構成は、D:信号処理系として説明する。
【0042】
A:カメラ部
カメラ部A100は、基本的には、一般的なデジタルカメラを構成するものであり、後述するプリンタ部B100と共に装置本体A001に一体的に組み合わせられることによって、図1から図3のような外観のプリンタ内蔵のデジタルカメラを構成する。図1から図3において、A101はレンズ、A102はファインダー、A102aはファインダー窓、A103はストロボ、A104はレリーズボタン、A105は液晶表示部(外部表示部)である。
【0043】
カメラ部A100は、後述するように、CCDを用いて撮像したデータの処理、コンパクトフラッシュ(登録商標)メモリカード(CFカード)A107への画像の記憶、画像の表示、プリンタ部B100との間の各種データの授受等をする。A109は、撮影された画像を後述の記録媒体C104に記録した場合に、画像が記録された記録媒体C104が排出される排出部である。図5に示されるA108は、カメラ部A100およびプリンタ部B100の電源としての電池である。
【0044】
B:メディアパック
メディアパックC100は、装置本体A001に対して着脱可能であり、本例の場合は、装置本体A001の挿入部A002(図3参照)から差し込まれることによって、図1のように装置本体A001に装着される。挿入部A002は、メディアパックC100が装着されていないときは図3のように閉じられており、それが装着されるときに開かれる。図5は、メディアパックC100が装着された装置本体A001から、外装を外した状態を示す。メディアパックC100のパック本体C101には、図4のように、シャッターC102が矢印D方向にスライド可能に備えられている。シャッターC102は、メディアパックC100が装置本体A001に装着されていないときには図4中の2点鎖線の位置にスライドしており、メディアパックC100が装置本体A001に装着されたときには、図4中の実線の位置にスライドする。
【0045】
パック本体C101には、インクパックC103と記録媒体C104が収容されている。図4において、インクパックC103は、記録媒体C104の下方に収容される。本例の場合、インクパックC103は、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)のインクを個別に収容するように3つ備えられており、また記録媒体C104は20枚程度重ねて収容されている。それらのインクと記録媒体C104は、画像の記録に最適な組合せのものが選択された上、同じメディアパックC100内に収容されている。
【0046】
従って、インクと記録媒体の組合せが異なる種々のメディアパックC100(例えば、超高画質用、ノーマル画質用、シール(分割シール)用等のメディアパック)を用意しておいて、記録すべき画像の種類、および画像が形成された記録媒体の用途などに応じて、それらのメディアパックC100を選択的に装置本体A001に装着することにより、最適な組合せのインクと記録媒体を用いて、目的に応じた画像を確実に記録することができる。また、メディアパックC100には後述するEEPROM(識別IC)が備えられており、そのEEPROMには、メディアパックが収容しているインクと記録媒体の種類や残量などの識別データが記憶される。
【0047】
インクパックC103は、メディアパックC100が装置本体A001に装着されたときに、Y,M,Cのインクのそれぞれに対応する3つのジョイントC105を通じて、後述する装置本体A001側のインク供給系に接続される。一方、記録媒体C104は、後述する給紙ローラC110(図9参照)によって取り出され図示しない分離機構によって一枚ずつ分離されて矢印C方向に送り出される。その給紙ローラC110の駆動力は、装置本体A001側に備わる後述の搬送モータM002(図9参照)から、連結部C110aを介して供給される。
【0048】
また、パック本体C101には、後述するプリンタ部の記録ヘッドをワイピングするためのワイパーC106と、その廃液ジョイント313から排出された廃インクを吸収するためのインク吸収体C107と、が備えられている。プリンタ部における記録ヘッドは、後述するように矢印Aの主走査方向に往復移動する。メディアパックC100が装置本体A001から外されているときは、シャッターC102が図4中の2点鎖線の位置にスライドして、ジョイントC105、ワイパーC106、およびインク吸収体C107などを保護する。
【0049】
C:プリンタ部
本例のプリンタ部B100は、インクジェット記録ヘッドを用いるシリアルタイプである。このプリンタ部B100については、C−1:プリント動作部、C−2:記録媒体搬送系、およびC−3:インク供給系に分けて説明する。
【0050】
C−1:プリント動作部
図6は、プリンタ部B100全体の斜視図、図7は、プリンタ部B100の一部を取り外した斜視図である。
【0051】
プリンタ部B100の本体内部の定位置には、図5のように、装置本体A001に装着されたメディアパックC100の先端部分が位置する。メディアパックC100から図6において矢印C方向に送り出された記録媒体C104は、後述する記録媒体搬送系におけるLFローラB101とLFピンチローラB102との間に挟まれつつ、プラテンB103上にて矢印Bの副走査方向に搬送される。B104は、ガイド軸B105とリードスクリューB106に沿って矢印Aの主走査方向に往復移動されるキャリッジである。
【0052】
キャリッジB104には、図8のように、ガイド軸B105用の軸受けB107と、リードスクリューB106用の軸受けB108が設けられている。キャリッジB104の定位置には、図7のように、軸受けB108の内側に突出するスクリューピンB109がばねB110によって取り付けられている。そして、リードスクリューB106の外周部に形成された螺旋溝に対して、スクリューピンB109の先端がはまり合うことによって、リードスクリューB106の回転がキャリッジB104の往復移動に変換される。
【0053】
また、キャリッジB104には、Y,M,Cのインクを吐出可能なインクジェット記録ヘッドB120と、その記録ヘッドB120に供給されるインクを収容するサブタンク(図示せず)が搭載されている。記録ヘッドB120には、矢印Aの主走査方向と交差する方向(本例の場合は、直交する方向)に沿って並ぶ複数のインク吐出口B121(図8参照)が形成されている。インク吐出口B121は、サブタンクから供給されたインクを吐出可能なノズルを構成する。インクを吐出させるためのエネルギーの発生手段としては、ノズル毎に備えた電気熱変換体を用いることができる。その電気熱変換体は、発熱駆動されることによってノズル内のインク中に気泡を発生させ、その発泡エネルギーによってインク吐出口B121からインク滴を吐出させる。
【0054】
サブタンクは、メディアパックC100に収容されているインクパックC103よりも小容量であり、少なくとも記録媒体C104の1枚分の画像記録に必要な量のインクを収容する大きさとなっている。サブタンクにおいて、Y,M,Cのインク毎のインク収容部分には、それぞれインク供給部と負圧導入部が形成されており、それらのインク供給部は対応する3つの中空のニードルB122に個別に接続され、また、それらの負圧導入部は共通の供給エアー口B123に接続されている。このようなサブタンクには、後述するように、キャリッジB104が図6のようなホームポジションに移動したときに、メディアパックC100のインクパックC103からインクが補給される。
【0055】
図8のキャリッジB104において、B124はニードルカバーであり、ニードルB122とジョイントC105とが連結していないときは、スプリングの力によって同図のように、ニードルB122を保護する位置に移動しており、ニードルB122とジョイントC105とが連結するときは、スプリングの力に抗して同図中の上方に押されてニードルB122の保護を解く。キャリッジB104の移動位置は、キャリッジB104側のエンコーダセンサB131と、プリンタ部B100の本体側のリニアスケールB132(図6参照)と、によって検出される。また、キャリッジB104がホームポジションに移動したことは、キャリッジB104側のHP(ホームポジション)フラグB133と、プリンタ部B100の本体側のHPセンサB134(図7参照)と、によって検出される。
【0056】
図7において、ガイド軸B105の両端には、その中心軸から偏心した位置に支軸(図示せず)が設けられている。ガイド軸B105は、その支軸を中心として回動調整されることにより、キャリッジ104の位置が調整されて、記録ヘッドB120と、プラテンB103上の記録媒体C104と、の間の距離(「紙間距離」ともいう)が調整される。また、リードスクリューB106は、スクリューギアB141、アイドラギアB142、およびモータギアB143を介して、キャリッジモータM001によって回転駆動される。また、B150は、後述する制御系と記録ヘッドB120とを電気的に接続するためのフレキシブルケーブルである。キャリッジモータM001はDCモータである。キャリッジB104走査中には、エンコーダセンサB131から得られる位置情報と、不図示の内臓タイマーによる時間情報から、走査速度情報を得て、その情報をフィードバックしてモータのパワーをコントロールし、目標となる速度指令値に速度制御している。
【0057】
記録ヘッドB120は、キャリッジB104と共に矢印Aの主走査方向に移動しつつ、画像信号に応じてインク吐出口B121からインクを吐出することによって、プラテンB103上の記録媒体に1行分の画像を記録する。このような記録ヘッドB120による1行分の記録動作と、後述する記録媒体搬送系による矢印Bの副走査方向における記録媒体の所定量の搬送動作と、が繰り返されることによって、記録媒体上に順次画像が記録される。
【0058】
C−2:記録媒体搬送系
図9は、プリンタ部B100における記録媒体搬送系の構成部分の斜視図である。図9において、B201は対の排紙ローラであり、同図中上側の一方の排紙ローラB201は、排紙ローラギアB202および中継ギアB203を介して、搬送モータM002により駆動される。同様に、前述したLFローラB101は、LFローラギアB204と中継ギアB203を介して、搬送モータM002により駆動される。排紙ローラB201およびLFローラB101は、搬送モータM002の正転時の駆動力によって、記録媒体C104を矢印Bの副走査方向に搬送する。
【0059】
一方、搬送モータM002が逆転したときは、切り替えスライダB211および切り替えカムB212を介して、圧板ヘッドB213と図示しないロック機構とが駆動されると共に、メディアパックC100側の給紙ローラC110に駆動力が伝達される。すなわち、圧板ヘッドB213は、搬送モータM002の逆転時の駆動力によって、メディアパックC100のシャッターC102の窓部C102A(図4参照)を通って、メディアパックC100内に集積されている記録媒体C104を図4中の下方に押圧する。これにより、図4中の最下位置の記録媒体C104がメディアパックC100内の給紙ローラC110上に押し付けられる。また、図示しないロック機構は、搬送モータM002の逆転時の駆動力によって作動状態とされ、装置本体A001に対してメディアパックC100をロックしてメディアパックC100の取り外しを禁止する。また、メディアパックC100側の給紙ローラC110は、搬送モータM002の逆転時の駆動力が伝達されることによって、図4中最下位置の1枚の記録媒体C104を矢印C方向に搬出する。
【0060】
このように、搬送モータM002が逆転することによって、メディアパックC100から記録媒体C104が1枚だけ図9において矢印C方向に取り出され、その後、搬送モータM002が正転することによって、その記録媒体C104が矢印B方向に搬送される。
【0061】
C−3:インク供給系
図10は、プリンタ部B100におけるインク供給系の構成部分の斜視図、図11は、そのインク供給系の構成部分にメディアパックC100が装着されたときの平面図である。
【0062】
プリンタ部B100に装着されたメディアパックC100のジョイントC105は、ホームポジションに移動したキャリッジB104側のニードルB122(図8参照)の下に位置する。プリンタ部B100の本体には、ジョイントC105の下方に位置するジョイントフォークB301(図10参照)が備えられており、そのジョイントフォークB301がジョイントC105を上動させることにより、ジョイントC105がニードルB122に接続される。これにより、メディアパックC100側のインクパックC103と、キャリッジB104側のサブタンクのインク供給部と、の間のインク供給路が形成される。
【0063】
また、プリンタ部B100の本体には、ホームポジションに移動したキャリッジB104の供給エアー口B123(図8参照)の下に位置する供給ジョイントB302が備えられている。この供給ジョイントB302は、供給チューブB303を介して、負圧発生源としてのポンプのポンプシリンダB304に接続されている。供給ジョイントB302は、ジョイントリフタB305によって上動されることにより、キャリッジB104側の供給エアー口B123に接続される。これにより、キャリッジB104側のサブタンクの負圧導入部と、ポンプシリンダB304と、の間の負圧導入路が形成される。ジョイントリフタB305は、ジョイントモータM003の駆動力によって、供給ジョイントB302と共にジョイントフォークB301を上下動させる。
【0064】
サブタンクの負圧導入部には、空気の通過を許容し、かつインクの通過を阻止する気液分離部材(図示せず)が備えられている。気液分離部材は、負圧導入路を通して吸引されるサブタンク内の空気の通過を許容し、これによりメディアパックC100からサブタンクにインクが補給される。そして、サブタンク内のインクが気液分離部材に達するまで、インクが充分に補給されたときに、その気液分離部材がインクの通過を阻止することにより、インクの補給が自動的に停止する。気液分離部材は、サブタンクのインク毎のインク収容部分におけるインク供給部に備えられており、それらのインク収容部分毎に、インクの補給を自動的に停止させる。
【0065】
また、プリンタ部B100の本体には、ホームポジションに移動したキャリッジB104側の記録ヘッドB120(図8参照)に対して、キャッピングが可能な吸引キャップB310が備えられている。吸引キャップB310は、その内部に、吸引チューブB311を通してポンプシリンダB304から負圧が導入されることによって、記録ヘッドB120のインク吐出口B121からインクを吸引排出(吸引回復処理)させることができる。また、記録ヘッドB120は、必要に応じて、画像の記録に寄与しないインクを吸引キャップB310内に吐出させる(予備吐出処理)。吸引キャップB310内のインクは、ポンプシリンダB304から、廃液チューブB312と廃液ジョイントB313を通して、メディアパックC110内のインク吸収体C107に排出される。
【0066】
ポンプシリンダB304は、それを往復駆動するためのポンプモータM004などと共にポンプユニットB315を構成する。ポンプモータM004は、ワイパーリフタB316(図10参照)を上下動させるための駆動源としても機能する。ワイパーリフタB316は、プリンタ部B100に装着されたメディアパックC100のワイパーC106を上動させることによって、そのワイパーC106を記録ヘッドB120のワイピングが可能な位置に移動させる。
【0067】
図10および図11において、B321は、ポンプシリンダB304によって構成されるポンプの動作位置がホームポジションにあることを検出するポンプHPセンサである。また、B322は、前述したインク供給路および負圧導入路が形成されたことを検出するジョイントHPセンサである。また、B323は、プリンタ部B100の本体を構成するシャーシである。
【0068】
D:信号処理系:
図12は、カメラ部A100とプリンタ部B100の信号処理系の概略のブロック図である。
【0069】
カメラ部A100において、101は撮像素子としてのCCD、102は音声入力のためのマイク、103はハードウェア処理を行なうASIC、104は画像データ等を一時的に記憶する第1メモリ、105は撮像画像を記憶するCFカード(CFカードA107に相当)、106は撮影画像または再生画像を表示するLCD(液晶表示部A105に相当)、120はカメラ部A100の制御をする第1CPU、である。
【0070】
プリンタ部B100において、210は、カメラ部A100とプリンタ部B100との間のインターフェース、201は画像処理部(画像を2値化する2値化処理部を含む)、202は画像処理を行なう上で使用する第2メモリ、203はバンドメモリ制御部、204はバンドメモリ、205はマスクメモリ、206はヘッド制御部、207は記録ヘッド(記録ヘッドB120に相当)、208はエンコーダ(エンコーダセンサB131に相当)、209はエンコーダカウンタ、220はプリンタ部B100を制御する第2CPU、221はモータドライバ、222はモータ(モータM001,M002,M003,M004に相当)、223はセンサ(HPセンサB134,B321,B322を含む)、224はメディアパックC100に内蔵されているEEPROM、230は音声エンコーダ部、250は装置全体に電源を供給する電源部(電池A108に相当)、である。
【0071】
図13は、カメラ部A100における信号処理の説明図である。撮影モードの時は、レンズ107を通してCCD101により撮像された画像は、ASIC103により信号処理(CCD信号処理)され、YUV輝度2色差信号に変換される。更に、所定の解像度にリサイズされ、JPEG圧縮されてCFカード105に記録される。また、音声に関しては、マイク102より入力され、ASIC103を介してCFカード105に記憶される。音声の記録に関しては、撮影時と同時、または、撮影後のアフレコとして記録させることができる。再生モードの時には、CFカード105よりJPEG画像が読み出され、ASIC103によりJPEG伸張され、更に表示用の解像度にリサイズされてLCD106に表示される。
【0072】
図14は、プリンタ部B100における信号処理の説明図である。カメラ部A100側で再生された画像、即ちCFカード105より読み出された画像は、図13のように、ASIC103によってJPEG伸張され、プリントする解像度に適する解像度にリサイズされる。そして、リサイズされた画像データ(YUV)はインターフェース部210を介してプリンタ部B100へ送られる。プリンタ部B100は、図14のように、カメラ部A100より送られた画像データを画像処理部201により画像処理し、画像データのRGB信号への変換、カメラの特性に応じた入力γ補正、ルックアップテーブル(LUT)を用いての色補正および色変換、プリントするための2値化信号への変換をする。
【0073】
2値化処理の際には、誤差拡散(ED)処理を行うために、誤差メモリとして第2メモリ202を用いる。本例の場合、画像処理部201における2値化処理部は誤差拡散処理を行なっているが、ディザパターンを使った2値化処理等、他の処理を行うことも可能である。2値化されたプリントデータはバンドメモリ制御部203によって、一旦バンドメモリ204に記憶される。プリンタ部B100のエンコーダカウンタ209には、記録ヘッド207およびエンコーダ208を搭載したキャリッジB104が一定距離移動する毎に、エンコーダ208からのエンコーダパルスが入る。そして、このエンコーダパルスに同期して、バンドメモリ204とマスクメモリ205からプリントデータが読み出され、そのプリントデータに基づき、ヘッド制御部206が記録ヘッド207を制御して記録を行う。
【0074】
図14中のバンドメモリ制御について説明すると次のとおりである。記録ヘッド207における複数のノズルは、例えば、1200dpiの密度をなすように列状に形成されている。このような記録ヘッド207を用いて画像を記録すべく、キャリッジを1回走査させるときには、副走査方向(以下、「縦(Y方向)」ともいう)においてはノズル数分、主走査方向(以下、「横(X方向)」ともいう)においては記録領域分の記録データ(1走査分の記録データ)を、予め作成しておく必要がある。
【0075】
記録データは、画像処理部201にて作成されてから、バンドメモリ制御部203によってバンドメモリ204に一旦蓄えられる。バンドメモリ204に1走査分の記録データが蓄えられた後、キャリッジが主走査方向に走査される。その際、エンコーダ208より入力されたエンコーダパルスがエンコーダカウンタ209によってカウントされ、このエンコーダパルスに従ってバンドメモリ204から記録データが読み出され、その画像データに基づいて記録ヘッド207からインク滴が吐出される。
【0076】
記録ヘッド207の往走査時および復走査時に画像を記録(往路記録および復路記録)する双方向記録方式を採用した場合には、記録ヘッド207の走査方向に応じて、バンドメモリ204から画像データが読み出される。例えば、往路記録時は、バンドメモリ204から読み出される画像データのアドレスが順次インクリメントされ、復路記録時は、バンドメモリ204から読み出される画像データのアドレスが順次デクリメントされる。
【0077】
実際には、画像処理部201により作成された画像データ(C,M,Y)がバンドメモリ204に書き込まれて、1走査分の画像データが準備されたとき、記録ヘッド207の走査が可能となる。そして、記録ヘッド207を走査し、バンドメモリ204より画像データを読み出して、その画像データに基づいて記録ヘッド207が画像を記録する。記録動作の間に、次に記録すべき画像データが画像処理部201にて作成され、その画像データは、その記録位置に対応するバンドメモリ204の領域に書き込まれる。
【0078】
このように、バンドメモリ制御は、画像処理部201により作成された記録データ(C,M,Y)をバンドメモリ204に書込む作業と、キャリッジの走査動作に合わせて、記録データ(C,M,Y)をヘッド制御部206に送るために読み出す作業と、を切替えながら行なう。
【0079】
図14中のマスクメモリ制御について説明すると次のとおりである。このマスクメモリ制御は、マルチパス記録方式を採用した場合に必要となる。マルチパス記録方式の場合、記録ヘッド207のノズル列の長さに相当する幅をもつ1行分の記録画像は、記録ヘッド207の複数回の走査に分けて記録される。すなわち、副走査方向に間欠的に搬送される記録媒体の搬送量がノズル列の長さの1/Nとされ、例えば、N=2のときは、1行分の記録画像が2回の走査に分けて記録(2パス記録)され、N=4のときは、1行分の記録画像が4回の走査に分けて記録(4パス記録)される。同様に、N=8のときは8パス記録、N=16のときは16パス記録となる。したがって、1行分の記録画像が記録ヘッド207の複数回の走査によって完成されることになる。
【0080】
実際には、マスクメモリ205に、画像データを記録ヘッド207の複数回の走査に割り当てるためのマスクデータが格納されており、そのマスクデータと画像データとの論理積(AND)データに基づき、記録ヘッド207がインクを吐出して画像を記録する。
【0081】
また、図14において、CFカード105に記憶された音声データは、ASIC102により、画像データと同じように、インターフェース210を介してプリンタ部B100へ送られる。プリンタ部B100に送られた音声データは、音声エンコーダ230においてコード化(エンコード)されて、プリントする画像の中にコードデータとして記録される。プリント画像に音声データを入れる必要の無い時、または、音声データの無い画像をプリントする際には、当然に、コード化された音声データはプリントされず、画像のみがプリントされる。
【0082】
本実施形態においては、カメラ部A100とプリンタ部B100が一体となったプリンタ内蔵カメラとして説明を行なってきた。しかし、カメラ部A100とプリンタ部B100を分離した別々の装置とし、それらをインターフェース210により接続した構成においても同様に構成して、同様の機能を実現することが可能である。
【0083】
<速度制御>
以下、上記のような構成の装置における、キャリッジの走査速度の制御について説明する。
【0084】
図21は、本実施形態の装置における走査速度制御系の構成を示すブロック図である。図において、b1は速度指令部であって、ここには経過時間に従って目標速度が変化する所定の加減速指令カーブが設定されている。b2は速度誤差算出部であり、ここでは現在の目標速度とキャリッジの走査速度との差分が計算される。b3はPID演算部(調整部)であり、ここでは後述するPID演算によって時々刻々とモータ(DCモータ)b5へ与えられるべき電圧が計算される。b4はモータb5と共に駆動手段を構成するモータ駆動回路であって、ここでは与えられるべき電圧がPWM(Pulse Width Modulation)によって変調されて供給される。
【0085】
また、モータb5には入力された電圧と必要とするモータの回転数とによって決定される電流(操作量)が供給され、その電流値に応じた回転力を発生させる。そして、ここで発生した回転力は、ギアトレインb6を介して、リードスクリューb7を回転させ、そのリードスクリューの回転力は、直線往復運動に変換され、キャリッジb8を往復走査させる。なお、前記ギアトレインb6とリードスクリューb7とによって動力伝達部が構成されている。
【0086】
また、キャリッジb8の走査位置は、エンコーダb9によって検出され、速度換算部b10において、エンコーダb9から出力される位置信号の時間間隔を計測して速度に換算し、元の速度誤差算出部b2に連結され、フィードバックループを形成している。
【0087】
図21に示した部分と、上記装置に関して説明した部分との対応を説明すると、モータb6はM001、ギアトレインb6はB141,B142,及びB143のギア、リードスクリューb7はB106、キャリッジb8はB104、エンコーダb9はB131のエンコーダセンサにそれぞれ対応している。
【0088】
図22は、本実施形態の走査速度制御系におけるPID演算部b3での動作を示すブロック図である。
【0089】
速度誤差算出部b2から入力された速度誤差値は、比例演算部d1(Proportional section)、積分演算部d2(Integral Section)、微分演算部d3(Differential Section)と称する3つの部分にそれぞれ供給され、比例、積分、微分の各演算が施され、その結果の和が加算部d4にて求められた後、増幅されて出力される。
【0090】
より具体的には、比例演算部d1では速度誤差値にゲインGpを乗じ、積分演算部d2では速度誤差値を積分し、その積分値にゲインGiを乗じ、微分演算部d3では速度誤差値を微分し、その微分値にゲインGdを乗じる。そして、d1、d2、d3の各演算部から出力された値は、加算部d4にて合計されると共にゲインGが乗じられ、モータに与えるべき電圧値として、モータドライバに出力される。
【0091】
以下、本実施形態において積分項の初期値として設定する値の算出方法を説明する。
【0092】
変数として、
キャリッジ目標走査速度:Vcom(mm/sec)
モータ回転量とキャリッジ走査量の比:Rcm(mm/round)
モータ目標回転速度:ωcom(=Vcom/Rcm)(rad/sec)
モータ逆起電力定数:Ke(mV/(rad/sec)
モータ回路印加電圧:E(V)
電気子抵抗値:Ra(Ω)
モータ駆動回路抵抗値(モータ回路に電圧を印加する回路の電気子抵抗を除いた抵抗値):Rc(Ω)
速度収束時のPWM値:PWMcom
PWM値の最大値:PWMmax
を設定する。
【0093】
モータ逆起電力定数(Ke)及び電気子抵抗値(Ra)はモータの特性値であり、モータ回路印加電圧(E)及びモータ駆動回路抵抗値(Rc)は、モータの駆動回路の特性値である。また、速度収束時のPWM値(PWMcom)は定速領域におけるPWM値(駆動パラメータ)であり、モータ目標回転速度(ωcom)はモータの目標速度を表している。
【0094】
目標速度に収束したときにモータに発生する逆起電力は、
Ke×ωcom …(1)
で表わされ、電気子へ印加される実効的な最大電圧は、
E×Ra/(Ra+Rc) …(2)
となる。これから、PWM値としてPWMcomが与えられた状態で、目標速度に収束した電気子へ印加される実効的な電圧は、
E×Ra/(Ra+Rc)×PWMcom/PWMmax …(3)
で表わされる。
【0095】
目標速度に収束した状態で、キャリッジの摩擦力と拮抗する(釣り合う)モータ駆動力を発生させる実効印加電圧は、
(電気子への実効印加電圧)−(逆起電力)
であるので、式(3)−式(1)、すなわち、
E×Ra/(Ra+Rc)×PWMcom/PWMmax−Ke×ωcom …(4)
となる。ここで式(4)の電圧に相当するPWM値は、
(E×Ra/(Ra+Rc)×PWMcom/PWMmax−Ke×ωcom)÷(E×Ra/(Ra+Rc))×PWMmax=PWMcom−PWMmax×Ke×ωcom/(E×Ra/(Ra+Rc))…(5)
となる。本実施形態では、式(5)の値が、PID演算の初期値となるように、積分項の累積値の初期値を設定する。
【0096】
すなわち、目標速度に収束した定速領域において、キャリッジの摩擦力と釣り合う駆動力をモータに発生させるPWM値を、定速領域におけるPWM値(駆動パラメータ:PWMcom)、モータの目標速度(ωcom)、モータの特性値(Ke及びRa)、モータの駆動回路の特性値(E及びRc)から求めて、PID演算の積分項の初期値として設定する。
【0097】
なお、この初期値の算出及び設定は、図12に示したプリンタ部のCPU220によって行われる。
【0098】
図19は、本実施形態のキャリッジの走査速度の変化を示すグラフであり、1901は速度指令、1902はキャリッジの走査速度をそれぞれ表している。また、図20は、本実施形態のPID速度制御におけるPWM値の変化を示すグラフであり、2001は比例項、2002は積分項、2003はPI_Totalの値をそれぞれ表している。本実施形態では上記のような計算によって、積分項の初期値を239に設定している。
【0099】
図19の速度指令1901のプロファイルは、図15の速度指令1501及び図17の速度指令1701と同じであり、図19における走査速度1902のプロファイルを、図15の走査速度1502及び図17の走査速度1702のプロファイルと比較すると、1902は1502と比べてタイムラグがほとんどなく、1702と比べて速度指令1901に沿った滑らかな形状となっていることがわかる。
【0100】
なお、速度収束時のPWM値(PWMcom)は、例えば、装置の出荷前にキャリッジの動作テストを行ってその結果から取得するようにしてもよく、あるいは直前に行った走査での収束値を用いるようにしてもよい。直前の走査での収束値を用いるようにすると、例えば、記録中に記録装置の姿勢を変えてキャリッジの摩擦力が変化した場合などにおいても、積分項の初期値を最適な値に設定することができる。
【0101】
以上説明したように本実施形態によれば、速度指令値が与えられてからキャリッジが移動を開始するまでのタイムラグを削減しつつ走査速度のプロファイルを速度指令値に沿った滑らかな曲線とすることができる。
【0102】
従って、本発明を適用したシリアル型記録装置は、記録品質を維持しながら記録時間を短縮することができ、装置の走査方向サイズを短縮して装置を小型化することも可能となる。
【0103】
<変形例>
上記の実施形態では、キャリッジの走査速度制御において、検出したキャリッジの速度情報をフィードバックしてモータの駆動パラメータ(PWM値)を制御する、いわゆる速度サーボに本発明を適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、検出した位置情報をフィードバックして位置指令値との誤差に基づいてモータの駆動パラメータを制御する、いわゆる位置サーボに適用することができる。
【0104】
また、上記の実施形態ではシリアル式インクジェット記録装置におけるキャリッジの走査速度制御を例に挙げて説明したが、本発明はこれ以外のモータの制御にも適用することができる。例えば、記録媒体搬送用のモータの制御にフィードバック制御を用いる場合にも、同様のタイムラグが発生し、本発明を搬送用モータの制御に適用することにより、このタイムラグを削減することができる。
【0105】
更に、上記実施形態では、モータとしてDCモータを用いた場合を説明したが、本発明は、超音波モータ等、フィードバック速度制御の可能なモータであればあらゆるモータに適用可能である。
【0106】
速度指令値のプロファイルについても、上記実施形態で用いた5次関数曲線にに限定されるものではなく、3次関数などの曲線を適用しても一向に構わない。
【0107】
速度情報を検出する手段として、上記実施形態ではキャリッジに搭載したエンコーダセンサーとリニアスケールからなるエンコーダと内蔵のタイマを例示したが、例えば、モータに取り付けたロータリーエンコーダ、あるいは、レーザー式の速度検出器などの他の手段によって速度を検出しても一向に構わない。
【0108】
上記実施形態では、積分項の初期値を、上記で説明した式によって一義的に決定される値としたが、本発明の趣旨はこれに限定されるものではなく、例えば、上記の式によって算出される値に0.9を乗じた値とする等、上記の式によって算出された値を中心とした所定範囲内の値としても一向に構わない。
【0109】
また、上記実施形態では、モータの駆動パラメータとしてPWM値を用いる場合を例に挙げて説明したが、モータの制御に用いるパラメータとしてこれ以外の駆動パラメータを用いてもよい。例えば、モータに印加される電圧レベルを変化させる場合には、電圧値が駆動パラメータとして用いられる。
【0110】
[他の実施形態]
本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0111】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0112】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROMなどを用いることができる。
【0113】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0114】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0115】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、速度指令値が与えられてからキャリッジが移動を開始するまでのタイムラグを削減しつつ走査速度のプロファイルを速度指令値に沿った滑らかな曲線とすることができる。
【0116】
従って、本発明を適用したシリアル型記録装置は、記録品質を維持しながら記録時間を短縮することができ、装置の走査方向サイズを短縮して装置を小型化することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプリンタ内蔵カメラの正面図である。
【図2】図1のカメラの斜め前方からの斜視図である。
【図3】図1のカメラの斜め後方からの斜視図である。
【図4】図1のカメラに装着可能なメディアパックの斜視図である。
【図5】図1のカメラの内部における主要構成部の配置関係を示す斜視図である。
【図6】図5のプリンタ部の斜視図である。
【図7】図6のプリンタ部の一部を取り外した斜視図である。
【図8】図6のプリンタ部におけるキャリッジの斜視図である。
【図9】図6のプリンタ部における記録媒体搬送系の構成部分の斜視図である。
【図10】図6のプリンタ部におけるインク供給系の構成部分の斜視図である。
【図11】図10のインク供給系の構成部分にメディアパックが装着された状態を示す平面図である。
【図12】図1のカメラにおけるカメラ部とプリンタ部の概略構成を示すブロック図である。
【図13】図12のカメラ部における信号処理を説明する図である。
【図14】図12のプリンタ部における信号処理を説明する図である。
【図15】従来の速度制御方法による走査速度の変化を表すグラフである。
【図16】従来例の速度制御方法によるPWM値の変化を示すグラフである。
【図17】従来の速度制御方法による走査速度の変化を表すグラフである。
【図18】従来の速度制御方法によるPWM値の変化を示すグラフである。
【図19】本発明の実施形態の速度制御方法による走査速度の変化を表すグラフである。
【図20】本発明の実施形態の速度制御方法によるPWM値の変化を示すグラフである。
【図21】本発明の実施形態の走査速度制御系の構成を示すブロック図である。
【図22】図21のPID演算部における処理を示すブロック図である。

Claims (1)

  1. インクを吐出するインクジェット記録ヘッドを搭載したキャリッジを記録媒体上で走査させて記録を行うインクジェット記録装置であって、
    前記キャリッジを駆動するモータと、
    前記キャリッジの走査速度を検出する速度検出手段と、
    予め設定された速度プロファイルに従って出力された速度指令値と前記走査速度との誤差に基づいてPID演算を行って前記モータを制御する駆動制御手段と、
    前記PID演算における積分項の初期値を、定速領域において、前記キャリッジの摩擦力とほぼ釣り合う駆動力を前記モータに発生させる値に設定する初期値設定手段と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
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