JP2004319962A - フレックスリジッドプリント配線板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 リジッド配線板Rの両面それぞれに第1,第2の樹脂シート5a,5bを被着しフレキシブル部Fをこの第1,第2の樹脂シート5a,5bを一体化して形成した。また、リジッド配線板Rは配線パターン1bを備え、第1,第2の樹脂シート5a,5bの少なくとも一方に配線パターン7bを形成し、複数のリジッド配線板Rの配線パターン1b間を樹脂シート5a,5bに形成した配線パターン7bにより電気的に接続した。さらに、この樹脂シートの材質を、本硬化後にも可撓性を有する、エポキシ系,ポリオレフィン系またはポリイミド系樹脂にした。
【選択図】 図11
Description
フレックスリジッドプリント配線板の採用は、このような求めに対応するための1つの手段である。このフレックスリジッドプリント配線板を電子機器に用いることで、基板間の電気接続をする為のコネクターが削除できるので実装スペースが拡大し、配線長が短くなるのでより高速の信号処理が可能となり、部品実装後に折り曲げができるという特徴を生かした3次元的な配線板配置により機器内部の部品の自由なレイアウトが可能になるので電子機器をより小型化することができる。
1つは、フレキシブル基板の片面または両面の一部に、FR−4等のリジッド基板を貼り合わせたタイプ(以下、タイプAと称する)である。
もう1つは、フレキシブル基板の一部を、必要な剛性を確保しつつ所望の配線パターンを形成することができるように多層化してリジッド化を図った多層フレキ基板タイプ(以下、タイプBと称する)である。
このプリント配線板は、フレキシブルプリント配線板101の両面の一部に、これを挟むように接着シート102を介して硬質プリント配線基板104を接着一体化した構成のものである。
この多層フレキシブルプリント配線板は、片面銅張りフレキシブルプリント配線板材料204を4層に積層形成した2箇所の多層部208と、この多層部208間を電気的に接続するケーブルとして機能するように一部を2層のみにしたフレキシブル部207とからなる構成のものである。
ところで、リジッド基板でフレキシブル基板を挟んだタイプAで多層のフレックスリジッド基板を製作する工程においては、前工程として、リジッド基板を作成する工程とフレキシブル基板を作成する工程とがそれぞれ独立して必要である。
また、後工程として、
(イ) リジッド基板とフレキシブル基板とを接着層を介して接着する。
(ロ) スルーホールを設けて各層を電気的に接続する。
(ハ) 表層のパターニングを行う。
という工程が必要である。
従って、全工程が極めて長くコストアップになり、共用が困難なリジッド基板の生産設備とフレキシブル基板の生産設備とのそれぞれを導入する必要があって設備投資が多額になるという問題があった。
従って、各材料の熱膨張係数の違いが顕著であり、温度負荷によってスルーホールめっきの付き具合にばらつきが生じたり、各接続部分に剥離が生じるという信頼性に関わる問題があった。
加えて、各層の配線パターンの位置がずれてその整合性に欠けるという問題や、基板自体のそりやねじれが大きいことから部品の実装が困難になる場合があるという問題があった。
一方、ポリイミドのフレキシブル基板の一部を多層化してリジッド化するというタイプBの多層フレキシブルプリント配線板においては、まずタイプAの場合と同様に、異種材料を一体化して形成することから生じるめっきの付き具合にばらつきが生じたり、各接続部分に剥離が生じるという信頼性に関わる問題があった。
さらに、製造時の温度負荷によって、めっきの付着にばらつきが生じることなく、各接続部分に剥離が生じることなく、各層の配線パターンの位置がずれることなく整合性が得られ、基板自体のそりやねじれが少なく、部品の実装が確実に行えるというフレックスリジッドプリント配線板とその製造方法を提供することにある。
即ち、請求項1に係る発明は、配線パターンを有するリジッド配線板の複数枚を絶縁性及び可撓性を有する樹脂シートから成るフレキシブル部で連結した構成のフレックスリジッドプリント配線板であって、
前記複数のリジッド配線板(R)における一表面及び他の表面のそれぞれに第1及び第2の樹脂シート(5a),(5b)を被着し、前記フレキシブル部(F)を前記第1及び第2の樹脂シート(5a),(5b)を一体化して成る構成にしたことを特徴とするフレックスリジッドプリント配線板であり、
請求項2に係る発明は、前記一表面または前記他の表面の、前記フレキシブル部(F)と連結する側の縁に面取り(4)を形成して成ることを特徴とする請求項1記載のフレックスリジッドプリント配線板であり、
請求項3に係る発明は、前記面取り(4)は、前記リジッド配線板(R)の表面と成す角度をθとし、前記リジッド配線板(R)の前記フレキシブル部(F)側の端面における面取りされていない部分の厚さ方向の幅をαとしたときに、θが35°を越えない範囲であって、かつ、αが0.3mmを越えない範囲となるように形成されていることを特徴とする請求項2記載のフレックスリジッドプリント配線板であり、
請求項4に係る発明は、前記第1又は第2の樹脂シート(5a),(5b)は、絶縁性及び可撓性を有する樹脂シートを複数枚積層して成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のフレックスリジッドプリント配線板であり、
請求項5に係る発明は、前記第1又は第2の樹脂シート(5a),(5b)に配線パターン(7b)を形成し、複数の前記リジッド配線板(R)の配線パターン(1b)間を、前記第1又は第2の樹脂シート(5a),(5b)に形成した前記配線パターン(7b)を介して電気的に接続してなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のフレックスリジッドプリント配線板であり、
請求項6に係る発明は、前記リジッド配線板(R)において、前記第1又は第2の樹脂シート(5a),(5b)を貫通する導電性貫通孔(82,9)を設け、前記第1及び第2の樹脂シート(5a),(5b)に形成した前記配線パターン(13b)と前記リジッド配線板(R)の配線パターン(1b)とを前記導電性貫通孔(82,9)を介して電気的に接続してなることを特徴とする請求項5記載のフレックスリジッドプリント配線板であり、
請求項7に係る発明は、前記第1又は第2の樹脂シート(5a),(5b)はエポキシ系樹脂から成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフレックスリジッドプリント配線板であり、
請求項8に係る発明は、前記第1又は第2の樹脂シート(5a),(5b)はポリオレフィン系樹脂から成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフレックスリジッドプリント配線板であり、
請求項9に係る発明は、前記第1又は第2の樹脂シート(5a),(5b)はポリイミド系樹脂から成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフレックスリジッドプリント配線板である。
即ち、請求項10に係る発明は、リジッド配線板(R)の複数枚を絶縁性及び可撓性を有する樹脂シート(5a),(5b)から成るフレキシブル部(F)で連結した構成のフレックスリジッドプリント配線板の製造方法であって、
所定形状のリジッド配線板(R)に前記フレキシブル部(F)に対応する間隙(3)を設ける第1の工程と、前記間隙3を設けた前記リジッド配線板(R)の一表面及び他の表面のそれぞれに前記間隙(3)を跨ぐように第1及び第2の樹脂シート(5a),(5b)を被着する第2の工程と、前記第1及び第2の樹脂シート(5a),(5b)を前記間隙(3)において一体化する第3の工程とを少なくとも含んでいることを特徴とするフレックスリジッドプリント配線板の製造方法であり、
請求項11に係る発明は、リジッド配線板(R)の複数枚を絶縁性及び可撓性を有する樹脂シート(5a),(5b)から成るフレキシブル部(F)で連結した構成のフレックスリジッドプリント配線板の製造方法であって、
所定形状のリジッド配線板(R)に前記フレキシブル部(F)に対応する間隙(3)を設ける第1の工程と、前記間隙(3)を設けた前記リジッド配線板(R)の一表面及び他の表面のそれぞれに前記間隙(3)を跨ぐように第1及び第2の樹脂シート(5a),(5b)を被着する第2の工程と、前記第1及び第2の樹脂シート(5a),(5b)を前記間隙(3)において一体化する第3の工程とを少なくとも含み、前記第1又は第2の樹脂シート(5a),(5b)は、エポキシ系樹脂,ポリオレフィン系樹脂またはポリイミド系樹脂から成り、前記第2の工程は、半硬化状態の前記第1及び第2の樹脂シート(5a),(5b)を被着する工程であり、前記第3の工程は、前記第1及び第2の樹脂シート(5a),(5b)を、圧着により前記間隙(3)において一体化するとともに加熱により本硬化させる工程であることを特徴とするフレックスリジッドプリント配線板の製造方法である。
図1は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板の第1実施例を示す概略斜視図であり、
図2は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板の第1実施例を製造する工程を説明する平面図であり、
図3は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板の第1実施例を製造する工程を説明する第1の断面図であり、
図4は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板の第1実施例を製造する工程を説明する第2の断面図であり、
図5は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板の第1実施例を製造する工程を説明する第3の断面図であり、
図6は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板の第1実施例を製造する工程を説明する第4の断面図であり、
図7は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板の第1実施例を製造する工程を説明する第5の断面図であり、
図8は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板の第1実施例を製造する工程を説明する第6の断面図であり、
図9は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板の第1実施例を製造する工程を説明する第7の断面図であり、
図10は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板の第1実施例を製造する工程を説明する第8の断面図であり、
図11は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板の第1実施例を製造する工程を説明する第9の断面図であり、
図12は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板における第2実施例を製造する工程を説明する第1の断面図であり、
図13は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板における第2実施例を製造する工程を説明する第2の断面図であり、
図14は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板における第2実施例を製造する工程を説明する第3の断面図であり、
図15は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板における第2実施例を製造する工程を説明する第4の断面図であり、
図16は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板における第2実施例を製造する工程を説明する第5の断面図であり、
図17は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板におけるその他の実施例を示す断面図であり、
図18は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板における別の実施例を示す概略斜視図であり、
図19は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板における第1実施例の変形例を示す断面図であり、
図20は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板における第3実施例を製造する工程を説明する第1の断面図であり、
図21は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板における第3実施例を製造する工程を説明する第2の断面図であり、
図22は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板における第3実施例を製造する工程を説明する第3の断面図であり、
図23は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板における第3実施例を製造する工程を説明する第4の断面図であり、
図24は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板における第1実施例の別の変形例を示す断面図である。
図25は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板の各実施例における面取りを説明する断面図である。
図26は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板における第1実施例の第3変形例を示す断面図である。
図27は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板における第4変形例を示す断面図である。
図28は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板における第5変形例を示す断面図である。
図29は、本発明のフレックスリジッドプリント配線板における第6変形例を示す断面図である。
ここで屈曲とは、急角度で折れ曲がる屈曲となだらかに曲がる湾曲との両方の意味を含んでおり、以下の説明でも同様である。
ここで本硬化とは、樹脂材料の構造が最終的に安定した状態になることを意味し、剛体化することを意味するものではない。以下の説明でも同様である。
<第1実施例>
まず、(工程1)〜(工程5)を、(工程5)の段階を示した図3を用いて説明する。
この状態でリジッド部Rの配線パターン1b表面からの樹脂シート5a,5bの厚さは約50μmである。また、銅箔7の厚さは、例として12μmである。
加熱及び加圧の条件例としては、エポキシ系樹脂,ポリオレフィン系樹脂,ポリイミド系樹脂のいずれの材質であっても120℃,7kg/cm2である。
熱処理条件の例としては、エポキシ系樹脂シートでは180℃,60分、ポリオレフィン系樹脂シートでは170℃,60分、ポリイミド系樹脂シートでは200℃,60分の放置を行う。
この本硬化により、樹脂シート5a,5bはビルドアップ絶縁層として多層積層板1と一体化する。多層積層板1の表面に配線パターンが形成されている場合はこの樹脂シート5a,5bによって少なくともその一部が覆われてその部分の絶縁がなされる。このように樹脂シート5a,5bを多層積層板1等の表面に重ねて一体化することを被着と称して説明している。
この工程により樹脂シート5a,5bはフレキシブル部においても完全に硬化するが可撓性を有し屈曲可能となっている。
また、この熱処理において、熱処理炉内に多層積層板1を平置きすると、樹脂シート5a,5bのフレキシブルとなる部分(フレキ開口部3に相当する部分)の面積が広い場合に、その部分の樹脂シート5a,5b(銅箔7を含めて)が自重で垂れ下がることがある。そこで、保持治具等により多層積層板1を立てた状態で熱処理するのが好ましい。
この程度の段差があると、通常使用する露光用のドライフィルムをこの段差に追従して密着させることが難しい場合がある。
そこで、表面の段差Hによる凹凸に追従できるように、液状で電着タイプのフォトレジストを使用するのが好ましい。このフォトレジストの例として、関西ペイント株式会社製のゾンネEDUV376を使用することができる。
そこで、露光装置は被写界深度の深い投影タイプのものを使用することが好ましい。
このソルダーレジスト層10の材料としては、屈曲性と感光性とを有する通常のフレキシブル基板用のカバーレイ材料を使用することができる。
ラミネートには真空ラミネーターを使用し、ラミネート後のパターニングに上述の投影タイプの露光器を使用することで所定の開口パターン10aを有するソルダーレジスト層10を良好に形成することができる。
<第2実施例>
この第2実施例は、良好な耐熱性と熱処理後の剥離性とを有するキャリアフィルム(図示せず)にラミネートした樹脂シートを用いる。この樹脂シートは、硬化後にも可撓性を有して屈曲可能な半硬化状態の、エポキシ系樹脂,ポリオレフィン系樹脂またはポリイミド系樹脂からなり、その厚さは例として70μmである。
この樹脂シートの上には銅箔7を重ねずに、キャリアフィルムが最も外側になるようにして2枚の樹脂シートを熱圧着する。その後、キャリアフィルムを剥離し、表面にめっきによる銅層を設けてこれをパターニングして得るフレックスリジッドプリント配線板51である。
この加圧は、フレキ開口部3に相応して凹む部分にも十分及ぶように、圧縮空気によって内圧を高めた硬質ゴムのダイヤフラムによって行なうとよい。
加熱及び加圧の条件例としては、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂のいずれも120℃,7kg/cm2である。
熱処理条件の例としては、エポキシ系樹脂では180℃,60分、ポリオレフィン系樹脂では170℃,60分、ポリイミド系樹脂では200℃,60分の放置である。
この本硬化により、樹脂シート5a,5bはビルドアップ絶縁層として多層積層板1と一体化する。
また、この熱処理において、熱処理炉内に多層積層板1を平置きすると、樹脂シート5a,5bのフレキシブルとなる部分(フレキ開口部3に相当する部分)の面積が広い場合に、その部分の樹脂シート5a,5bが自重で垂れ下がることがある。そこで、保持治具等により多層積層板1を立てた状態で熱処理するのが好ましい。
そこで、表面の段差Hによる凹凸に追従できるように、液状で電着タイプのフォトレジストを使用するのが好ましい。このフォトレジストの例として、関西ペイント株式会社製のゾンネEDUV376を使用することができる。
そこで、露光装置は被写界深度の深い投影タイプのものを使用することが好ましい。そして、この装置を使用して露光し、その後に現像及びエッチング処理をすることで、フレキシブル部Fにおいてライン幅/スペース幅がそれぞれ75μm/75μmの配線パターン13bが形成できる。また、リジッド部Rにおいては、同じく50μm/50μmの配線パターン(図示せず)が形成できる(図15参照)。
このソルダーレジスト層10の材料としては、屈曲性と感光性とを有する通常のフレキシブル基板用のカバーレイ材料を使用することができる。
上述した実施例1,2においては、フレキシブル部とリジッド部とを同じ生産設備を用いて一連の工程で作成できるので、これらを別々の設備と工程で作成することがなくコストダウンとなり、また、製造するための設備投資が少なくて済む。
上述した実施例では、リジッド部Rとフレキシブル部Fとの境界部に段差Hがあるので、フレキシブル部Fの表面にこの段差Hを跨ぐように配線パターンを設ける場合にそのパターン幅を微細にすることが難しい場合がある。
そこで、この段差Hを小さくしてより微細な配線パターンをフレキシブル部Fの表面に形成することができる例を第3実施例として以下に説明する。
このフレックスリジッドプリント配線板51を作成する工程の内、途中までは上述した(工程1)〜(工程9)と同じである。よって、それ以降の工程について符号Bを工程末尾に付与して図20乃至図23を用いて説明する。
この感光性樹脂フィルムとして一般的なフォトレジスト材料が使用可能であり、例えば、日立化成工業株式会社製の「レイテックFR−5000」を用いることができる(「レイテック」は日立化成工業株式会社の登録商標である)。
この際の加圧は、フレキ開口部3に相応して凹む部分にも十分及ぶように、圧縮空気によって内圧を高めた硬質ゴムのダイヤフラムによって行なうとよい。加熱及び加圧の条件としては、80℃,5kg/cm2である。
加熱及び加圧の条件例としては、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂のいずれも120℃,7kg/cm2で行うことができる。
その工程を実行する際、このフレックスリジッドプリント配線板54のフレキシブル部Fとリジッド部Rの表面との段差H3(図22参照)は片側約0.10mmの極めて小さい段差なので、(工程14A)においては、通常使用する露光用のドライフィルムを容易に密着させることができる。もちろん、液状で電着タイプのフォトレジストを使用することもできる。
また、露光装置も被写界深度が特に深いタイプを使用することなく通常のものが使用できる。
以上詳述した第1乃至第3実施例は、樹脂シート5a,5bによるビルドアップ層を両面に各1層ずつ形成した例であるが、もちろんこの樹脂シートを2層以上にしてビルドアップ層を形成したフレックスリジッド基板52としてもよい。
その場合には、フレキシブル部Fの最も外側の樹脂シート5Aa,5Abが、その一層下の配線パターン7b等を保護するカバーレイの機能を果たすので、ソルダーレジスト層10Aをリジッド部R上のみに形成してもよい。この構成においてソルダーレジスト層10Aは屈曲することがないので、可撓性のない材料を使用することができる(図17参照)。
また、(工程10A)においては、キャリアフィルムが上述の銅箔7と同様の作用をするので安定した厚さを確保することができる。
樹脂シート5a,5bの一体化は熱圧着に限るものではなく、そのシートに最適な方法を適宜選択して一体化するのが好ましい。
この面取り4について、図25を用いて詳述する。
例えば、厚さが0.6mmのリジッド配線板1に面取り4を形成しなかった場合、図25(c)に示すように開口部3の端部で樹脂シート5a,5bは急激に屈曲して一体化される。
樹脂シート5a,5bは、この一体化される熱圧着以前において半硬化状態なので、ある程度は形状が追従して本硬化されるものの、開口部3の端面に完全には追従できず、空隙15が生じてしまう可能性がある。
また、屈曲した肩部16の肉厚が薄くなる傾向があり、繰り返し曲げ強度が樹脂シート全体で均一に確保されないという可能性がある。
これについて表1を用いて説明する。
また、リジッド配線板1は、板厚が0.2mm,0.3mm,0.4mm,0.6mm,0.8mmの5種のものを用いてそれぞれ試作した。
評価は、◎:特優,○:優,◇:良の上,△:良 とし、この順が強度の優劣の順である。もちろん、良であっても実用上十分な強度を有していることは言うまでもない。
また、θ=0°は面取りを形成しない場合を示し、θが20°〜45°の評価は、その幅αを越える板厚を有するリジッド配線板の場合の評価を示している。例えば、θ=30°でα=0.3における評価◎は、板厚が0.4mm以上の3種類のリジッド配線板での評価を示している。
面取り角度が40°以下の場合における面取り無し(θ=0°)の評価は、面取り有りの評価を下回るか同等であって上回る場合はなく、面取り4を形成することが好ましいということがわかる。
また、面取り角度θ、幅αともより好ましい範囲の上限があることがわかる。
即ち、θが35°を越えず、かつ、αが0.3mmを越えない範囲でθとαとを組み合わせた形態が最も好ましい面取りの形態であることがわかる。
この範囲について視覚的に表したものを図25(d)に示す。当図において、斜線の囲んだ内側の範囲が最も好ましい面取り形態のθとαとの範囲である。
この面取り4を形成して樹脂シート5a,5bを一体化すれば、図25(b)に示すように、開口部3端部に空隙が生じることもなく、また、肩部16付近においても一定の肉厚で形成されるので、部位によらずに樹脂シート全体にわたって極めて均一な繰り返し強度を確保することができる。
各実施例の説明において記載したエポキシ系樹脂,ポリオレフィン系樹脂またはポリイミド系樹脂から成る可撓性を有し屈曲可能な樹脂シート材は、これらを満足して極めて好ましいものである。
(1) 絶縁材料で形成され絶縁層としても機能する。
(2) 熱処理による本硬化後に繰り返し折り曲げにも対応する可撓性及び耐折性を有する。
(3) 厚さの一例として、半硬化(いわゆるBステージ)状態で約70μmの厚さを、また、導体パターン上にこの樹脂シート材をラミネートし、熱処理した後の本硬化状態で、導体パターン上において約50μmの厚さを有する。
(4) 銅めっきの良好な密着性を有する。第2実施例に示す用途では、シート表面上にめっきする銅との良好な密着を得るための過マンガン酸カリウム等による表面粗化が可能であること。
(5) 多層基板の絶縁材料及びフレキシブル基板の材料として好適な、レーザや機械による良好な被加工性,耐薬品性,耐熱性,難燃性等を有する。
(6) 耐絶縁性,耐マイグレーション性,適度な熱膨張率を有し低吸水性である。
(7) 基板材料として適当な電気特性(特に比誘電率及び誘電正接)を有すること。
実施例で説明したように、間隙3は完全に分離させる間隙を意味するだけではなく、実施例で説明した一枚の板に設けた開口部3も間隙3に含まれるものである。
また、例えば、フレキシブル部Fの一方端をリジッド配線板1ではなく自由端としてもよい。この自由端側にプラグを搭載すれば、ワイヤーを用いることなく、リジッド配線板1に対して離れた位置にあるコネクタに自由な形態で接続することができる。
図18に示すように複数のフレキシブル部F1,F2を備えることで、より自由な形で電子機器内に配置したり可動部に使用したりすることが可能になる。
この例において、樹脂シート5a,5bはリジッド部Rの配線パターン7bの全てを覆うことなく、その一部を覆ってその部分の絶縁をするものとして機能する。
この場合の樹脂シート5a,5bは絶縁層ではないので、樹脂シートの厚さを必要最小限に薄くすることが可能である。従って、さらに優れた屈曲性が得られる。
図26(a)は、リジッド配線板1の表面に配線パターン1bを設けた例であり、図26(b)は、リジッド配線板1の内部に配線パターン1bを設けた例を示している。
また、スルーホールに限らず、層間接続手段として周知のインナービアホール(IVH)やレーザビアホール(LBH)を形成し、これらを介してリジッド配線板1の内部または表面に形成された配線パターン1bと樹脂シート5a,5bの表面に形成した配線パターン13bとを電気的に接続する構成のフレックスリジッド配線板としてもよいことは言うまでもない。
このように形成することで、面取り83を設けた側への屈曲の方が他方側への屈曲よりも容易に行える。即ち、フレキシブル部Fの屈曲に方向性(当図の矢印方向)を持たせることができる。この方向性の付与により、このフレックスリジッド基板の装置への取り付け時に、このプリント配線板の表裏を逆装着してしまうことを防止できる。
また、上述した表1に示す評価結果は、この例においても同様に得られることは言うまでもない。
さらに、樹脂シート5a,5bに対して負荷をかけつつこれを圧着させ、略円弧状の屈曲部85を設けるようにしてもよい。〔図27(b)参照〕。これにより、屈曲部85の凹面側(当図の矢印方向)への屈曲が容易となり、屈曲に方向性を付与することができる。
図28(平面図)にその一例を示す。図28(a)は、端部に狭幅部80aを形成した例であり、図28(b)は、一部に開口部80bを設けた例である。
これにより、屈曲において、リジッド部Rとフレキシブル部Fとの境界に応力集中が生じるのを防止することができ、屈曲の繰り返し強度が向上して高い信頼性が得られる。
さらに、この形態は、捩りに対しても同様に応力集中を防ぎ、捩り繰り返し強度が向上するものである。
図29にその一例を模式的に断面図で示す。図29(a)は、樹脂シート5a、5bの圧着時に、リブ81を形成する部分の圧力を部分的に弱めて凸状に形成するものである。
また、図29(b)のように、圧着する一対の治具に凹凸を形成して樹脂シート5a,5bに厚さをほぼ一定としたリブ81を形成してもよい。
このリブにより、やや曲げにくくなるものの、ねじれ性にはほとんど影響がなく、また、屈曲やねじれの繰り返し動作で生じる端部からの疲労亀裂進展をこのリブで阻止できるので、当図のように、このリブ81の内側に配線パターン13bを形成しておけば、パターンの断線を防止することができ、極めて信頼性の高いフレックスリジッド配線板とすることができる。
また、この樹脂シート5a,5bを複数枚積層する場合、異なる材質の樹脂シートを積層してもよい。
1a 銅箔層
1b 配線パターン
1c 銅層
2 樹脂
3 フレキ開口部(間隙)
4 面取り
5,5a,5b,5a1,5b1 樹脂シート(絶縁層)
5c 絶縁層
6 インナービアホール(IVH)
7 銅箔(銅層)
7b 配線パターン
8 コンフォーマルマスク
9 レーザーブラインドビアホール(LBH)
9c 銅層
10,10A ソルダーレジスト
10a 開口パターン
11 カバーレイ
12 ビアホール
13 銅層
13b 配線パターン
14a,14b 感光性樹脂フィルム
15 空隙
16 肩部
50〜59 フレックスリジッドプリント配線板
80a 狭幅部
80b 開口部
81 リブ
82 スルーホール
83 面取り
85 屈曲部
F,F1,F2 フレキシブル部
L 傾斜範囲
R リジッド部(リジッド配線板)
H,H2,H3 段差
α (厚さ方向の)幅
θ 面取り角度
Claims (11)
- 配線パターンを有するリジッド配線板の複数枚を絶縁性及び可撓性を有する樹脂シートから成るフレキシブル部で連結した構成のフレックスリジッドプリント配線板であって、
前記複数のリジッド配線板における一表面及び他の表面のそれぞれに第1及び第2の樹脂シートを被着し、前記フレキシブル部を前記第1及び第2の樹脂シートを一体化して成る構成にしたことを特徴とするフレックスリジッドプリント配線板。 - 前記一表面または前記他の表面の、前記フレキシブル部と連結する側の縁に面取りを形成して成ることを特徴とする請求項1記載のフレックスリジッドプリント配線板。
- 前記面取りは、前記リジッド配線板の表面と成す角度をθとし、前記リジッド配線板の前記フレキシブル部側の端面における面取りされていない部分の厚さ方向の幅をαとしたときに、θが35°を越えない範囲であって、かつ、αが0.3mmを越えない範囲となるように形成されていることを特徴とする請求項2記載のフレックスリジッドプリント配線板。
- 前記第1又は第2の樹脂シートは、絶縁性及び可撓性を有する樹脂シートを複数枚積層して成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のフレックスリジッドプリント配線板。
- 前記第1又は第2の樹脂シートに配線パターンを形成し、
複数の前記リジッド配線板の配線パターン間を、前記第1又は第2の樹脂シートに形成した前記配線パターンを介して電気的に接続してなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のフレックスリジッドプリント配線板。 - 前記リジッド配線板において、前記第1又は第2の樹脂シートを貫通する導電性貫通孔を設け、前記第1及び第2の樹脂シートに形成した前記配線パターンと前記リジッド配線板の配線パターンとを前記導電性貫通孔を介して電気的に接続してなることを特徴とする請求項5記載のフレックスリジッドプリント配線板。
- 前記第1又は第2の樹脂シートはエポキシ系樹脂から成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフレックスリジッドプリント配線板。
- 前記第1又は第2の樹脂シートはポリオレフィン系樹脂から成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフレックスリジッドプリント配線板。
- 前記第1又は第2の樹脂シートはポリイミド系樹脂から成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフレックスリジッドプリント配線板。
- リジッド配線板の複数枚を絶縁性及び可撓性を有する樹脂シートから成るフレキシブル部で連結した構成のフレックスリジッドプリント配線板の製造方法であって、
所定形状のリジッド配線板に前記フレキシブル部に対応する間隙を設ける第1の工程と、
前記間隙を設けた前記リジッド配線板の一表面及び他の表面のそれぞれに前記間隙を跨ぐように第1及び第2の樹脂シートを被着する第2の工程と、
前記第1及び第2の樹脂シートを前記間隙において一体化する第3の工程とを少なくとも含んでいることを特徴とするフレックスリジッドプリント配線板の製造方法。 - リジッド配線板の複数枚を絶縁性及び可撓性を有する樹脂シートから成るフレキシブル部で連結した構成のフレックスリジッドプリント配線板の製造方法であって、
所定形状のリジッド配線板に前記フレキシブル部に対応する間隙を設ける第1の工程と、
前記間隙を設けた前記リジッド配線板の一表面及び他の表面のそれぞれに前記間隙を跨ぐように第1及び第2の樹脂シートを被着する第2の工程と、
前記第1及び第2の樹脂シートを前記間隙において一体化する第3の工程とを少なくとも含み、
前記第1又は第2の樹脂シートは、エポキシ系樹脂,ポリオレフィン系樹脂またはポリイミド系樹脂から成り、
前記第2の工程は、半硬化状態の前記第1及び第2の樹脂シートを被着する工程であり、
前記第3の工程は、前記第1及び第2の樹脂シートを、圧着により前記間隙において一体化するとともに加熱により本硬化させる工程であることを特徴とするフレックスリジッドプリント配線板の製造方法。
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