JP2004316441A - パティキュレートフィルタの昇温方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】未処理の添加燃料により引き起こされる目詰まりの問題を確実に回避しながらポスト噴射による燃料添加を実現する。
【解決手段】触媒再生型のパティキュレートフィルタ12を排気管11の途中に装備し、ディーゼルエンジン1側でメイン噴射に続き圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射を行うことで排気ガス9中に燃料を未燃のまま添加し、その添加燃料がパティキュレートフィルタ12の酸化触媒上で酸化反応した時の反応熱によりパティキュレートフィルタ12の触媒床温度を上げる昇温方法に関し、排気ガス9が所定温度以下となる運転状態で、メイン噴射直後の燃焼可能なタイミングでアフタ噴射を行い且つ該アフタ噴射からポスト噴射までの間に膨張行程での温度低下を抑制し得る程度に残り火を継続せしめるプリポスト噴射を追加する。
【選択図】 図1
【解決手段】触媒再生型のパティキュレートフィルタ12を排気管11の途中に装備し、ディーゼルエンジン1側でメイン噴射に続き圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射を行うことで排気ガス9中に燃料を未燃のまま添加し、その添加燃料がパティキュレートフィルタ12の酸化触媒上で酸化反応した時の反応熱によりパティキュレートフィルタ12の触媒床温度を上げる昇温方法に関し、排気ガス9が所定温度以下となる運転状態で、メイン噴射直後の燃焼可能なタイミングでアフタ噴射を行い且つ該アフタ噴射からポスト噴射までの間に膨張行程での温度低下を抑制し得る程度に残り火を継続せしめるプリポスト噴射を追加する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パティキュレートフィルタの昇温方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンから排出されるパティキュレート(Particulate Matter:粒子状物質)は、炭素質から成る煤と、高沸点炭化水素成分から成るSOF分(Soluble Organic Fraction:可溶性有機成分)とを主成分とし、更に微量のサルフェート(ミスト状硫酸成分)を含んだ組成を成すものであるが、この種のパティキュレートの低減対策としては、排気ガスが流通する排気管の途中に、パティキュレートフィルタを装備することが従来より行われている。
【0003】
この種のパティキュレートフィルタは、コージェライト等のセラミックから成る多孔質のハニカム構造となっており、格子状に区画された各流路の入口が交互に目封じされ、入口が目封じされていない流路については、その出口が目封じされるようになっており、各流路を区画する多孔質薄壁を透過した排気ガスのみが下流側へ排出されるようにしてある。
【0004】
そして、排気ガス中のパティキュレートは、前記多孔質薄壁の内側表面に捕集されて堆積するので、目詰まりにより排気抵抗が増加しないうちにパティキュレートを適宜に燃焼除去してパティキュレートフィルタの再生を図る必要があるが、通常のディーゼルエンジンの運転状態においては、パティキュレートが自己燃焼するほどの高い排気温度が得られる機会が少ないため、例えばアルミナに白金を担持させたものに適宜な量のセリウム等の希土類元素を添加して成る酸化触媒を一体的に担持させた触媒再生型のパティキュレートフィルタの実用化が進められている。
【0005】
即ち、このような触媒再生型のパティキュレートフィルタを採用すれば、捕集されたパティキュレートの酸化反応が促進されて着火温度が低下し、従来より低い排気温度でもパティキュレートを燃焼除去することが可能となるのであり、更には、ディーゼルエンジン側でメイン噴射に続き圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射を行うことで排気ガス中に燃料を未燃のまま添加し、その添加燃料(炭化水素)がパティキュレートフィルタの酸化触媒上で酸化反応した時の反応熱によりパティキュレートフィルタの触媒床温度を上げて積極的に捕集済みパティキュレートを燃焼除去させたり、滞留サルフェートを脱離させたりすることが可能となるのである。
【0006】
尚、この種のディーゼルエンジン側でのポスト噴射による燃料添加の手法に関しては、下記の先行出願1や先行出願2にもとりあげられている。
【0007】
【先行出願1】
特願2001−355061号明細書
【先行出願2】
特願2002−20374号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ポスト噴射により排気ガス中に添加した燃料がパティキュレートフィルタの酸化触媒上で酸化反応するに際しては、パティキュレートフィルタの後方部分に向かうにつれて酸化触媒との接触機会が増えて添加燃料の酸化反応が活発化することになるため、パティキュレートフィルタの前方部分は後方部分より温度が上がり難く、ただ単にパティキュレートフィルタの後方部分の触媒床温度を約600℃以上に上昇させるのに必要な量の燃料を添加するだけでは、排気ガスの温度が低い運転状態の場合に、あまり温度の高くない(触媒活性の低い)パティキュレートフィルタの前方部分で処理しきれない添加燃料が溜まり、これによりパティキュレートフィルタの前方部分がべたべたしたウェット状態となってパティキュレートが付着し易くなり、ここにパティキュレートが酸化処理されることなく溜まり続けてパティキュレートフィルタが早期に目詰まりを引き起こすという問題があった。
【0009】
本発明は、上述の実情に鑑みてなされたものであり、未処理の添加燃料により引き起こされる目詰まりの問題を確実に回避しながらポスト噴射による燃料添加を実現することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、触媒再生型のパティキュレートフィルタを排気管の途中に装備し、エンジン側でメイン噴射に続き圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射を行うことで排気ガス中に燃料を未燃のまま添加し、その添加燃料がパティキュレートフィルタの酸化触媒上で酸化反応した時の反応熱によりパティキュレートフィルタの触媒床温度を上げる昇温方法において、排気ガスが所定温度以下となる運転状態で、メイン噴射直後の燃焼可能なタイミングでアフタ噴射を行い且つ該アフタ噴射からポスト噴射までの間に膨張行程での温度低下を抑制し得る程度に残り火を継続せしめるプリポスト噴射を追加することを特徴とするものである。
【0011】
而して、このようにすれば、アフタ噴射による添加燃料が出力に転換され難いタイミングで燃焼することによりエンジンの熱効率が下がり、燃料の発熱量のうちの動力に利用されない熱量分が増えて気筒内での排気温度が上昇し、しかも、このアフタ噴射からポスト噴射までの間にプリポスト噴射が追加されることで、気筒内で失火せずに残り火が継続されて膨張行程での排気温度低下が抑制されるので、本来ならば排気温度が低いはずの運転状態にあっても、エンジンから排出される排気ガスの大幅な昇温化が図られることになる。
【0012】
そして、排気弁の開弁時に合わせて非着火のタイミングで行われるポスト噴射での添加燃料が高温の排気ガスに随伴されることになり、パティキュレートフィルタにおける前方部分の触媒床温度が上がり且つ添加燃料が排気ガス中で良好にガス化する結果、前記パティキュレートフィルタの前方部分にて添加燃料が効率良く酸化処理されて未処理のまま溜り続けるような虞れが回避され、ここにパティキュレートが付着することによる目詰まりの問題が起こらなくなる。
【0013】
また、本発明は、前段にフロースルー型の酸化触媒を付帯した触媒再生型のパティキュレートフィルタを排気管の途中に装備し、エンジン側でメイン噴射に続き圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射を行うことで排気ガス中に燃料を未燃のまま添加し、その添加燃料が前段の酸化触媒上で酸化反応した時の反応熱により後段のパティキュレートフィルタの触媒床温度を上げる昇温方法において、排気ガスが所定温度以下となる運転状態で、メイン噴射直後の燃焼可能なタイミングでアフタ噴射を行い且つ該アフタ噴射からポスト噴射までの間に膨張行程での温度低下を抑制し得る程度に残り火を継続せしめるプリポスト噴射を追加することを特徴とするものでもある。
【0014】
而して、このようにした場合も、アフタ噴射による添加燃料が出力に転換され難いタイミングで燃焼することによりエンジンの熱効率が下がり、燃料の発熱量のうちの動力に利用されない熱量分が増えて気筒内での排気温度が上昇し、しかも、このアフタ噴射からポスト噴射までの間にプリポスト噴射が追加されることで、気筒内で失火せずに残り火が継続されて膨張行程での排気温度低下が抑制されるので、本来ならば排気温度が低いはずの運転状態にあっても、エンジンから排出される排気ガスの大幅な昇温化が図られることになる。
【0015】
そして、排気弁の開弁時に合わせて非着火のタイミングで行われるポスト噴射での添加燃料が高温の排気ガスに随伴されることになり、前段の酸化触媒における前方部分の触媒床温度が上がり且つ添加燃料が排気ガス中で良好にガス化する結果、前記前段の酸化触媒の前方部分にて添加燃料が効率良く酸化処理されて未処理のまま溜り続けるような虞れが回避され、ここにパティキュレートが付着することによる目詰まりの問題が起こらなくなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1〜図3は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図1中における1はターボチャージャ2を装備したディーゼルエンジンを示しており、エアクリーナ3から導かれた吸気4が吸気管5を通し前記ターボチャージャ2のコンプレッサ2aへと送られ、該コンプレッサ2aで加圧された吸気4がインタークーラ6へと送られて冷却され、該インタークーラ6から更に吸気マニホールド7へと吸気4が導かれてディーゼルエンジン1の各気筒8(図1では直列6気筒の場合を例示している)に分配されるようになっている。
【0018】
更に、このディーゼルエンジン1の各気筒8から排出された排気ガス9は、排気マニホールド10を介しターボチャージャ2のタービン2bへと送られ、該タービン2bを駆動した排気ガス9が排気管11を介し車外へ排出されるようにしてある。
【0019】
また、この排気管11の途中には、酸化触媒を一体的に担持して成る触媒再生型のパティキュレートフィルタ12がフィルタケース13に抱持されて装備されており、図2に拡大して示す如く、このパティキュレートフィルタ12は、セラミックから成る多孔質のハニカム構造となっており、格子状に区画された各流路12aの入口が交互に目封じされ、入口が目封じされていない流路12aについては、その出口が目封じされるようになっており、各流路12aを区画する多孔質薄壁12bを透過した排気ガス9のみが下流側へ排出されるようにしてある。
【0020】
そして、フィルタケース13の入口部分には、排気ガス9の温度を計測する温度センサ14が装備されており、該温度センサ14の温度信号14aがエンジン制御コンピュータ(ECU:Electronic Control Unit)を成す制御装置15に対し入力されるようになっている。
【0021】
この制御装置15は、エンジン制御コンピュータを兼ねていることから燃料の噴射に関する制御も担うようになっており、より具体的には、アクセル開度をディーゼルエンジン1の負荷として検出するアクセルセンサ16(負荷センサ)からのアクセル開度信号16aと、ディーゼルエンジン1の機関回転数を検出する回転センサ17からの回転数信号17aとに基づき、ディーゼルエンジン1の各気筒8に燃料を噴射する燃料噴射装置18に向け燃料噴射信号18aが出力されるようになっている。
【0022】
ここで、前記燃料噴射装置18は、各気筒8毎に装備される複数のインジェクタ19により構成されており、これら各インジェクタ19の電磁弁が前記燃料噴射信号18aにより適宜に開弁制御されて燃料の噴射タイミング(開弁時期)及び噴射量(開弁時間)が適切に制御されるようになっている。
【0023】
他方、前記制御装置15では、アクセル開度信号16a及び回転数信号17aに基づき通常モードの燃料噴射信号18aが決定されるようになっている一方、ポスト噴射による燃料添加を行う必要が生じた際に、通常モードから再生モードに切り替わり、圧縮上死点(クランク角0゜)付近で行われる燃料のメイン噴射に続いて圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射を行うような燃料噴射信号18aが決定されるようになっている。
【0024】
つまり、このようにメイン噴射に続いて圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射が行われると、このポスト噴射により排気ガス9中に未燃の燃料(主として炭化水素)が添加されることになり、この未燃の燃料がパティキュレートフィルタ12表面の酸化触媒上で酸化反応し、その反応熱により触媒床温度が上昇してパティキュレートフィルタ12内のパティキュレートが燃焼除去されることになる。
【0025】
ただし、この制御装置15においては、アクセル開度信号16a及び回転数信号17a、更には、温度センサ14からの温度信号14aに基づいて、ディーゼルエンジン1からの排気ガス9の温度が、パティキュレートフィルタ12に担持された酸化触媒の活性を得るのに必要な目標温度(約300℃程度)に達しないほど低い運転状態にあるか否かを判定し、このような排気温度の低い運転状態にあると判定された条件下でポスト噴射を行うにあたり、図3に制御イメージを示す如く、メイン噴射A直後の燃焼可能なタイミングでアフタ噴射Bを行い且つ該アフタ噴射Bからポスト噴射Dまでの間に膨張行程での温度低下を抑制し得る程度に残り火を継続せしめるプリポスト噴射Cを追加するようにしてある。
【0026】
而して、斯かる制御装置15により排気浄化装置を運転すれば、アフタ噴射Bによる添加燃料が出力に転換され難いタイミングで燃焼することによりディーゼルエンジン1の熱効率が下がり、燃料の発熱量のうちの動力に利用されない熱量分が増えて気筒内での排気温度が上昇し、しかも、このアフタ噴射Bからポスト噴射Dまでの間にプリポスト噴射Cが追加されることで、気筒内で失火せずに残り火が継続されて膨張行程での排気温度低下が抑制されるので、本来ならば排気温度が低いはずの運転領域にあっても、ディーゼルエンジン1から排出される排気ガス9の大幅な昇温化が図られることになる。
【0027】
ここで、メイン噴射Aとアフタ噴射Bの総量は、アクセルセンサ16からのアクセル開度信号16aに基づき必要な出力が得られるように制御装置15にて決定されるが、これを仮に一回のメイン噴射Aだけで実行してしまうと、図3中に二点鎖線で示すように、ピーク温度は高くなるものの直ぐに温度低下してしまう結果となり、しかも、この後にプリポスト噴射Cを追加しないと、そのまま温度低下し続けてしまうので、排気弁の開弁時に合わせて非着火のタイミングで行われるポスト噴射Dの実行時に、本形態例よりも大幅に低い気筒内温度となって温度差T(図3参照)が生じてしまうのである。
【0028】
これに対し、本形態例では、排気弁の開弁時に合わせて非着火のタイミングで行われるポスト噴射Dでの添加燃料が高温の排気ガス9に随伴されることになり、パティキュレートフィルタ12における前方部分の触媒床温度が上がり且つ添加燃料が排気ガス9中で良好にガス化する結果、前記パティキュレートフィルタ12の前方部分にて添加燃料が効率良く酸化処理されて未処理のまま溜り続けるような虞れが回避され、ここにパティキュレートが付着することによる目詰まりの問題が起こらなくなる。
【0029】
従って、上記形態例によれば、ポスト噴射Dによる燃料添加でパティキュレートフィルタ12の触媒床温度を上昇させるに際し、排気温度が低い運転状態にあっても、アフタ噴射Bによる動力に利用されない熱量分で排気温度を上昇し且つプリポスト噴射Cによる残り火の継続により膨張行程での排気温度低下を抑制してディーゼルエンジン1から排出される排気ガス9の大幅な昇温化を図ることができるので、パティキュレートフィルタ12の前方部分に添加燃料が未処理のまま溜り続ける虞れを解消することができ、この未処理の添加燃料により引き起こされる目詰まりの問題を確実に回避することができる。
【0030】
また、以上は酸化触媒を一体的に担持したパティキュレートフィルタ12を単独で使用する形態の場合を例示しているが、捕集済みパティキュレートの酸化反応を支援する目的でパティキュレートフィルタ12の前段にフロースルー型の酸化触媒20を備えた形態にも本発明が有効であることは勿論である。
【0031】
即ち、図4に示してある通り、その上段におけるパティキュレートフィルタ12の前段に酸化触媒20を備えた形態の場合も、その下段におけるパティキュレートフィルタ12を単独で使用する形態の場合も、最初に排気ガス9が流入する最上流側の端部から後方部分に向かうにつれて添加燃料の酸化反応が活発化して内部温度が上昇してくる理屈は同じであり、パティキュレートフィルタ12の前段に酸化触媒20を備えた形態では、この前段の酸化触媒20の前方部分で処理しきれない添加燃料が溜まり、これにより前段の酸化触媒20の前方部分がべたべたしたウェット状態となってパティキュレートが付着し易くなり、ここにパティキュレートが溜まることで早期に目詰まりを引き起こすことが懸念される。
【0032】
そこで、このようなパティキュレートフィルタ12の前段に酸化触媒20を備えた形態に関し、排気温度の低い運転状態にあると判定された条件下でポスト噴射Dを行うにあたり、メイン噴射A直後の燃焼可能なタイミングでアフタ噴射Bを行い且つ該アフタ噴射Bからポスト噴射Dまでの間に膨張行程での温度低下を抑制し得る程度に残り火を継続せしめるプリポスト噴射Cを追加するようにすれば、前述と同様に、ディーゼルエンジン1から排出される排気ガス9の大幅な昇温化を図ることができるので、前段の酸化触媒20の前方部分に添加燃料が未処理のまま溜り続ける虞れを解消することができ、この未処理の添加燃料により引き起こされる目詰まりの問題を確実に回避することができる。
【0033】
尚、本発明のパティキュレートフィルタの昇温方法は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、ポスト噴射により燃料を添加した後もアフタ噴射とプリポスト噴射を所定時間だけ継続させて排気温度を高く維持し続けることにより、パティキュレートフィルタ又はその前段の酸化触媒における前方部分のウェット状態を早期に解消させるようにしても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0034】
【発明の効果】
上記した本発明のパティキュレートフィルタの昇温方法によれば、ポスト噴射による燃料添加でパティキュレートフィルタの触媒床温度を上昇させるに際し、排気温度が低い運転状態にあっても、アフタ噴射による動力に利用されない熱量分で排気温度を上昇し且つプリポスト噴射による残り火の継続により膨張行程での排気温度低下を抑制してディーゼルエンジンから排出される排気ガスの大幅な昇温化を図ることができるので、パティキュレートフィルタ又はその前段の酸化触媒における前方部分に添加燃料が未処理のまま溜り続ける虞れを解消することができ、この未処理の添加燃料により引き起こされる目詰まりの問題を確実に回避することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す概略図である。
【図2】図1のパティキュレートフィルタの詳細を示す断面図である。
【図3】図1の制御装置による燃料噴射の制御イメージを示すグラフである。
【図4】本発明の別の形態例に関する説明図である。
【符号の説明】
1 ディーゼルエンジン(エンジン)
8 気筒
9 排気ガス
11 排気管
12 パティキュレートフィルタ
15 制御装置
18 燃料噴射装置
20 酸化触媒
【発明の属する技術分野】
本発明は、パティキュレートフィルタの昇温方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンから排出されるパティキュレート(Particulate Matter:粒子状物質)は、炭素質から成る煤と、高沸点炭化水素成分から成るSOF分(Soluble Organic Fraction:可溶性有機成分)とを主成分とし、更に微量のサルフェート(ミスト状硫酸成分)を含んだ組成を成すものであるが、この種のパティキュレートの低減対策としては、排気ガスが流通する排気管の途中に、パティキュレートフィルタを装備することが従来より行われている。
【0003】
この種のパティキュレートフィルタは、コージェライト等のセラミックから成る多孔質のハニカム構造となっており、格子状に区画された各流路の入口が交互に目封じされ、入口が目封じされていない流路については、その出口が目封じされるようになっており、各流路を区画する多孔質薄壁を透過した排気ガスのみが下流側へ排出されるようにしてある。
【0004】
そして、排気ガス中のパティキュレートは、前記多孔質薄壁の内側表面に捕集されて堆積するので、目詰まりにより排気抵抗が増加しないうちにパティキュレートを適宜に燃焼除去してパティキュレートフィルタの再生を図る必要があるが、通常のディーゼルエンジンの運転状態においては、パティキュレートが自己燃焼するほどの高い排気温度が得られる機会が少ないため、例えばアルミナに白金を担持させたものに適宜な量のセリウム等の希土類元素を添加して成る酸化触媒を一体的に担持させた触媒再生型のパティキュレートフィルタの実用化が進められている。
【0005】
即ち、このような触媒再生型のパティキュレートフィルタを採用すれば、捕集されたパティキュレートの酸化反応が促進されて着火温度が低下し、従来より低い排気温度でもパティキュレートを燃焼除去することが可能となるのであり、更には、ディーゼルエンジン側でメイン噴射に続き圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射を行うことで排気ガス中に燃料を未燃のまま添加し、その添加燃料(炭化水素)がパティキュレートフィルタの酸化触媒上で酸化反応した時の反応熱によりパティキュレートフィルタの触媒床温度を上げて積極的に捕集済みパティキュレートを燃焼除去させたり、滞留サルフェートを脱離させたりすることが可能となるのである。
【0006】
尚、この種のディーゼルエンジン側でのポスト噴射による燃料添加の手法に関しては、下記の先行出願1や先行出願2にもとりあげられている。
【0007】
【先行出願1】
特願2001−355061号明細書
【先行出願2】
特願2002−20374号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ポスト噴射により排気ガス中に添加した燃料がパティキュレートフィルタの酸化触媒上で酸化反応するに際しては、パティキュレートフィルタの後方部分に向かうにつれて酸化触媒との接触機会が増えて添加燃料の酸化反応が活発化することになるため、パティキュレートフィルタの前方部分は後方部分より温度が上がり難く、ただ単にパティキュレートフィルタの後方部分の触媒床温度を約600℃以上に上昇させるのに必要な量の燃料を添加するだけでは、排気ガスの温度が低い運転状態の場合に、あまり温度の高くない(触媒活性の低い)パティキュレートフィルタの前方部分で処理しきれない添加燃料が溜まり、これによりパティキュレートフィルタの前方部分がべたべたしたウェット状態となってパティキュレートが付着し易くなり、ここにパティキュレートが酸化処理されることなく溜まり続けてパティキュレートフィルタが早期に目詰まりを引き起こすという問題があった。
【0009】
本発明は、上述の実情に鑑みてなされたものであり、未処理の添加燃料により引き起こされる目詰まりの問題を確実に回避しながらポスト噴射による燃料添加を実現することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、触媒再生型のパティキュレートフィルタを排気管の途中に装備し、エンジン側でメイン噴射に続き圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射を行うことで排気ガス中に燃料を未燃のまま添加し、その添加燃料がパティキュレートフィルタの酸化触媒上で酸化反応した時の反応熱によりパティキュレートフィルタの触媒床温度を上げる昇温方法において、排気ガスが所定温度以下となる運転状態で、メイン噴射直後の燃焼可能なタイミングでアフタ噴射を行い且つ該アフタ噴射からポスト噴射までの間に膨張行程での温度低下を抑制し得る程度に残り火を継続せしめるプリポスト噴射を追加することを特徴とするものである。
【0011】
而して、このようにすれば、アフタ噴射による添加燃料が出力に転換され難いタイミングで燃焼することによりエンジンの熱効率が下がり、燃料の発熱量のうちの動力に利用されない熱量分が増えて気筒内での排気温度が上昇し、しかも、このアフタ噴射からポスト噴射までの間にプリポスト噴射が追加されることで、気筒内で失火せずに残り火が継続されて膨張行程での排気温度低下が抑制されるので、本来ならば排気温度が低いはずの運転状態にあっても、エンジンから排出される排気ガスの大幅な昇温化が図られることになる。
【0012】
そして、排気弁の開弁時に合わせて非着火のタイミングで行われるポスト噴射での添加燃料が高温の排気ガスに随伴されることになり、パティキュレートフィルタにおける前方部分の触媒床温度が上がり且つ添加燃料が排気ガス中で良好にガス化する結果、前記パティキュレートフィルタの前方部分にて添加燃料が効率良く酸化処理されて未処理のまま溜り続けるような虞れが回避され、ここにパティキュレートが付着することによる目詰まりの問題が起こらなくなる。
【0013】
また、本発明は、前段にフロースルー型の酸化触媒を付帯した触媒再生型のパティキュレートフィルタを排気管の途中に装備し、エンジン側でメイン噴射に続き圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射を行うことで排気ガス中に燃料を未燃のまま添加し、その添加燃料が前段の酸化触媒上で酸化反応した時の反応熱により後段のパティキュレートフィルタの触媒床温度を上げる昇温方法において、排気ガスが所定温度以下となる運転状態で、メイン噴射直後の燃焼可能なタイミングでアフタ噴射を行い且つ該アフタ噴射からポスト噴射までの間に膨張行程での温度低下を抑制し得る程度に残り火を継続せしめるプリポスト噴射を追加することを特徴とするものでもある。
【0014】
而して、このようにした場合も、アフタ噴射による添加燃料が出力に転換され難いタイミングで燃焼することによりエンジンの熱効率が下がり、燃料の発熱量のうちの動力に利用されない熱量分が増えて気筒内での排気温度が上昇し、しかも、このアフタ噴射からポスト噴射までの間にプリポスト噴射が追加されることで、気筒内で失火せずに残り火が継続されて膨張行程での排気温度低下が抑制されるので、本来ならば排気温度が低いはずの運転状態にあっても、エンジンから排出される排気ガスの大幅な昇温化が図られることになる。
【0015】
そして、排気弁の開弁時に合わせて非着火のタイミングで行われるポスト噴射での添加燃料が高温の排気ガスに随伴されることになり、前段の酸化触媒における前方部分の触媒床温度が上がり且つ添加燃料が排気ガス中で良好にガス化する結果、前記前段の酸化触媒の前方部分にて添加燃料が効率良く酸化処理されて未処理のまま溜り続けるような虞れが回避され、ここにパティキュレートが付着することによる目詰まりの問題が起こらなくなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1〜図3は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図1中における1はターボチャージャ2を装備したディーゼルエンジンを示しており、エアクリーナ3から導かれた吸気4が吸気管5を通し前記ターボチャージャ2のコンプレッサ2aへと送られ、該コンプレッサ2aで加圧された吸気4がインタークーラ6へと送られて冷却され、該インタークーラ6から更に吸気マニホールド7へと吸気4が導かれてディーゼルエンジン1の各気筒8(図1では直列6気筒の場合を例示している)に分配されるようになっている。
【0018】
更に、このディーゼルエンジン1の各気筒8から排出された排気ガス9は、排気マニホールド10を介しターボチャージャ2のタービン2bへと送られ、該タービン2bを駆動した排気ガス9が排気管11を介し車外へ排出されるようにしてある。
【0019】
また、この排気管11の途中には、酸化触媒を一体的に担持して成る触媒再生型のパティキュレートフィルタ12がフィルタケース13に抱持されて装備されており、図2に拡大して示す如く、このパティキュレートフィルタ12は、セラミックから成る多孔質のハニカム構造となっており、格子状に区画された各流路12aの入口が交互に目封じされ、入口が目封じされていない流路12aについては、その出口が目封じされるようになっており、各流路12aを区画する多孔質薄壁12bを透過した排気ガス9のみが下流側へ排出されるようにしてある。
【0020】
そして、フィルタケース13の入口部分には、排気ガス9の温度を計測する温度センサ14が装備されており、該温度センサ14の温度信号14aがエンジン制御コンピュータ(ECU:Electronic Control Unit)を成す制御装置15に対し入力されるようになっている。
【0021】
この制御装置15は、エンジン制御コンピュータを兼ねていることから燃料の噴射に関する制御も担うようになっており、より具体的には、アクセル開度をディーゼルエンジン1の負荷として検出するアクセルセンサ16(負荷センサ)からのアクセル開度信号16aと、ディーゼルエンジン1の機関回転数を検出する回転センサ17からの回転数信号17aとに基づき、ディーゼルエンジン1の各気筒8に燃料を噴射する燃料噴射装置18に向け燃料噴射信号18aが出力されるようになっている。
【0022】
ここで、前記燃料噴射装置18は、各気筒8毎に装備される複数のインジェクタ19により構成されており、これら各インジェクタ19の電磁弁が前記燃料噴射信号18aにより適宜に開弁制御されて燃料の噴射タイミング(開弁時期)及び噴射量(開弁時間)が適切に制御されるようになっている。
【0023】
他方、前記制御装置15では、アクセル開度信号16a及び回転数信号17aに基づき通常モードの燃料噴射信号18aが決定されるようになっている一方、ポスト噴射による燃料添加を行う必要が生じた際に、通常モードから再生モードに切り替わり、圧縮上死点(クランク角0゜)付近で行われる燃料のメイン噴射に続いて圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射を行うような燃料噴射信号18aが決定されるようになっている。
【0024】
つまり、このようにメイン噴射に続いて圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射が行われると、このポスト噴射により排気ガス9中に未燃の燃料(主として炭化水素)が添加されることになり、この未燃の燃料がパティキュレートフィルタ12表面の酸化触媒上で酸化反応し、その反応熱により触媒床温度が上昇してパティキュレートフィルタ12内のパティキュレートが燃焼除去されることになる。
【0025】
ただし、この制御装置15においては、アクセル開度信号16a及び回転数信号17a、更には、温度センサ14からの温度信号14aに基づいて、ディーゼルエンジン1からの排気ガス9の温度が、パティキュレートフィルタ12に担持された酸化触媒の活性を得るのに必要な目標温度(約300℃程度)に達しないほど低い運転状態にあるか否かを判定し、このような排気温度の低い運転状態にあると判定された条件下でポスト噴射を行うにあたり、図3に制御イメージを示す如く、メイン噴射A直後の燃焼可能なタイミングでアフタ噴射Bを行い且つ該アフタ噴射Bからポスト噴射Dまでの間に膨張行程での温度低下を抑制し得る程度に残り火を継続せしめるプリポスト噴射Cを追加するようにしてある。
【0026】
而して、斯かる制御装置15により排気浄化装置を運転すれば、アフタ噴射Bによる添加燃料が出力に転換され難いタイミングで燃焼することによりディーゼルエンジン1の熱効率が下がり、燃料の発熱量のうちの動力に利用されない熱量分が増えて気筒内での排気温度が上昇し、しかも、このアフタ噴射Bからポスト噴射Dまでの間にプリポスト噴射Cが追加されることで、気筒内で失火せずに残り火が継続されて膨張行程での排気温度低下が抑制されるので、本来ならば排気温度が低いはずの運転領域にあっても、ディーゼルエンジン1から排出される排気ガス9の大幅な昇温化が図られることになる。
【0027】
ここで、メイン噴射Aとアフタ噴射Bの総量は、アクセルセンサ16からのアクセル開度信号16aに基づき必要な出力が得られるように制御装置15にて決定されるが、これを仮に一回のメイン噴射Aだけで実行してしまうと、図3中に二点鎖線で示すように、ピーク温度は高くなるものの直ぐに温度低下してしまう結果となり、しかも、この後にプリポスト噴射Cを追加しないと、そのまま温度低下し続けてしまうので、排気弁の開弁時に合わせて非着火のタイミングで行われるポスト噴射Dの実行時に、本形態例よりも大幅に低い気筒内温度となって温度差T(図3参照)が生じてしまうのである。
【0028】
これに対し、本形態例では、排気弁の開弁時に合わせて非着火のタイミングで行われるポスト噴射Dでの添加燃料が高温の排気ガス9に随伴されることになり、パティキュレートフィルタ12における前方部分の触媒床温度が上がり且つ添加燃料が排気ガス9中で良好にガス化する結果、前記パティキュレートフィルタ12の前方部分にて添加燃料が効率良く酸化処理されて未処理のまま溜り続けるような虞れが回避され、ここにパティキュレートが付着することによる目詰まりの問題が起こらなくなる。
【0029】
従って、上記形態例によれば、ポスト噴射Dによる燃料添加でパティキュレートフィルタ12の触媒床温度を上昇させるに際し、排気温度が低い運転状態にあっても、アフタ噴射Bによる動力に利用されない熱量分で排気温度を上昇し且つプリポスト噴射Cによる残り火の継続により膨張行程での排気温度低下を抑制してディーゼルエンジン1から排出される排気ガス9の大幅な昇温化を図ることができるので、パティキュレートフィルタ12の前方部分に添加燃料が未処理のまま溜り続ける虞れを解消することができ、この未処理の添加燃料により引き起こされる目詰まりの問題を確実に回避することができる。
【0030】
また、以上は酸化触媒を一体的に担持したパティキュレートフィルタ12を単独で使用する形態の場合を例示しているが、捕集済みパティキュレートの酸化反応を支援する目的でパティキュレートフィルタ12の前段にフロースルー型の酸化触媒20を備えた形態にも本発明が有効であることは勿論である。
【0031】
即ち、図4に示してある通り、その上段におけるパティキュレートフィルタ12の前段に酸化触媒20を備えた形態の場合も、その下段におけるパティキュレートフィルタ12を単独で使用する形態の場合も、最初に排気ガス9が流入する最上流側の端部から後方部分に向かうにつれて添加燃料の酸化反応が活発化して内部温度が上昇してくる理屈は同じであり、パティキュレートフィルタ12の前段に酸化触媒20を備えた形態では、この前段の酸化触媒20の前方部分で処理しきれない添加燃料が溜まり、これにより前段の酸化触媒20の前方部分がべたべたしたウェット状態となってパティキュレートが付着し易くなり、ここにパティキュレートが溜まることで早期に目詰まりを引き起こすことが懸念される。
【0032】
そこで、このようなパティキュレートフィルタ12の前段に酸化触媒20を備えた形態に関し、排気温度の低い運転状態にあると判定された条件下でポスト噴射Dを行うにあたり、メイン噴射A直後の燃焼可能なタイミングでアフタ噴射Bを行い且つ該アフタ噴射Bからポスト噴射Dまでの間に膨張行程での温度低下を抑制し得る程度に残り火を継続せしめるプリポスト噴射Cを追加するようにすれば、前述と同様に、ディーゼルエンジン1から排出される排気ガス9の大幅な昇温化を図ることができるので、前段の酸化触媒20の前方部分に添加燃料が未処理のまま溜り続ける虞れを解消することができ、この未処理の添加燃料により引き起こされる目詰まりの問題を確実に回避することができる。
【0033】
尚、本発明のパティキュレートフィルタの昇温方法は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、ポスト噴射により燃料を添加した後もアフタ噴射とプリポスト噴射を所定時間だけ継続させて排気温度を高く維持し続けることにより、パティキュレートフィルタ又はその前段の酸化触媒における前方部分のウェット状態を早期に解消させるようにしても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0034】
【発明の効果】
上記した本発明のパティキュレートフィルタの昇温方法によれば、ポスト噴射による燃料添加でパティキュレートフィルタの触媒床温度を上昇させるに際し、排気温度が低い運転状態にあっても、アフタ噴射による動力に利用されない熱量分で排気温度を上昇し且つプリポスト噴射による残り火の継続により膨張行程での排気温度低下を抑制してディーゼルエンジンから排出される排気ガスの大幅な昇温化を図ることができるので、パティキュレートフィルタ又はその前段の酸化触媒における前方部分に添加燃料が未処理のまま溜り続ける虞れを解消することができ、この未処理の添加燃料により引き起こされる目詰まりの問題を確実に回避することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す概略図である。
【図2】図1のパティキュレートフィルタの詳細を示す断面図である。
【図3】図1の制御装置による燃料噴射の制御イメージを示すグラフである。
【図4】本発明の別の形態例に関する説明図である。
【符号の説明】
1 ディーゼルエンジン(エンジン)
8 気筒
9 排気ガス
11 排気管
12 パティキュレートフィルタ
15 制御装置
18 燃料噴射装置
20 酸化触媒
Claims (2)
- 触媒再生型のパティキュレートフィルタを排気管の途中に装備し、エンジン側でメイン噴射に続き圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射を行うことで排気ガス中に燃料を未燃のまま添加し、その添加燃料がパティキュレートフィルタの酸化触媒上で酸化反応した時の反応熱によりパティキュレートフィルタの触媒床温度を上げる昇温方法において、排気ガスが所定温度以下となる運転状態で、メイン噴射直後の燃焼可能なタイミングでアフタ噴射を行い且つ該アフタ噴射からポスト噴射までの間に膨張行程での温度低下を抑制し得る程度に残り火を継続せしめるプリポスト噴射を追加することを特徴とするパティキュレートフィルタの昇温方法。
- 前段にフロースルー型の酸化触媒を付帯した触媒再生型のパティキュレートフィルタを排気管の途中に装備し、エンジン側でメイン噴射に続き圧縮上死点より遅い非着火のタイミングでポスト噴射を行うことで排気ガス中に燃料を未燃のまま添加し、その添加燃料が前段の酸化触媒上で酸化反応した時の反応熱により後段のパティキュレートフィルタの触媒床温度を上げる昇温方法において、排気ガスが所定温度以下となる運転状態で、メイン噴射直後の燃焼可能なタイミングでアフタ噴射を行い且つ該アフタ噴射からポスト噴射までの間に膨張行程での温度低下を抑制し得る程度に残り火を継続せしめるプリポスト噴射を追加することを特徴とするパティキュレートフィルタの昇温方法。
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