JP2004312344A - 歪補償装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】例えば、増幅器12により増幅される対象となる信号に対して増幅器12で発生する歪を低減するための歪を発生させる第1の歪発生手段をアナログの固定プリディストータ11により構成し、増幅器12により増幅される対象となる信号に基づいて当該信号に対して増幅器12で発生する歪について第1の歪発生手段により発生させられる歪により低減させられる成分以外の成分を低減するための歪を発生させる第2の歪発生手段を電圧可変減衰器9や電圧可変移相器10やデジタルのD/A変換器4、6などを用いて構成し、デジタル系のクロック周波数を低下させることを実現する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、信号を増幅する増幅器で発生する歪を補償する歪補償装置に関し、特に、第1の歪発生手段と第2の歪発生手段を備えて、歪補償の効率化を図る歪補償装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、W−CDMA(Wide−band Code Division Multiple Access:広帯域符号分割多元接続)方式を移動通信方式として採用する移動通信システムに備えられた基地局装置(CDMA基地局装置)では、物理的に遠く離れた移動局装置(CDMA移動局装置)の所まで無線信号を到達させる必要があるため、送信対象となる信号を増幅器(アンプ)で大幅に増幅して送信出力することが必要となる。
【0003】
しかしながら、増幅器はアナログデバイスであるため、その入出力特性は非線形な関数となる。特に、飽和点と呼ばれる増幅限界以降では、増幅器に入力される電力が増大しても出力電力がほぼ一定となる。そして、この非線形な出力によって非線形歪が発生させられる。
【0004】
例えば、増幅前の送信信号では希望信号帯域外の信号成分が帯域制限フィルタによって低レベルに抑えられられるが、増幅器通過後の信号では非線形歪が発生して希望信号帯域外(隣接チャネル)へ信号成分が漏洩する。特に、基地局装置では上記したように送信電力が高いため、このような隣接チャネルへの漏洩電力の大きさは厳しく規定されており、こうしたことから、このような隣接チャネル漏洩電力(ACP:Adjacent Channel leak Power)をいかにして削減するかが大きな問題となっている。
【0005】
上記のような隣接チャネル漏洩電力を削減するものとして、基地局装置には、適応プリディストーション(APD:Adaptive PreDistortion)の技術を用いて歪補償を行う機能が付された送信電力増幅部(適応プリディストータ付き送信電力増幅部)が備えられる。適応プリディストーションについては、高効率な増幅器を実現するための歪補償方式として、種々な検討が為されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−76785号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例で述べたような適応プリディストータ付き送信電力増幅部では、プリディストーション方式により予め歪が与えられる信号を扱うところ、このような歪を含む信号は広帯域の信号となってしまうため、D/A変換器やA/D変換器などのデジタル系のクロック信号の周波数(クロック周波数)を非常に速くしなければならないといった不具合があった。
【0008】
本発明は、上記のような従来の事情に鑑み為されたもので、信号を増幅する増幅器で発生する歪を補償することに関して、効率化を図ることができる歪補償装置を提供することを目的とする。
具体的には、本発明は、例えば、信号を増幅する増幅器で発生する歪を補償するに際して、従来と比べて、デジタルのデバイスのクロック周波数を低めることが可能な歪補償装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る歪補償装置では、次のようにして、信号を増幅する増幅器で発生する歪を補償する。
すなわち、第1の歪発生手段が、増幅器により増幅される対象となる信号に対して、増幅器で発生する歪を低減するための歪を発生させる。
また、第2の歪発生手段が、増幅器により増幅される対象となる信号に基づいて、当該信号に対して、増幅器で発生する歪について第1の歪発生手段により発生させられる歪により低減させられる成分以外の成分を低減するための歪を発生させる。
【0010】
なお、増幅器により増幅される信号に対して第1の歪発生手段により歪を発生させる処理と、当該信号に対して第2の歪発生手段により歪を発生させる処理との順序としては、特に限定はなく、実用上で有効な構成であれば、例えば、第1の歪発生手段の前段に第2の歪発生手段が備えられてもよく、或いは、第1の歪発生手段の後段に第2の歪発生手段が備えられてもよい。
また、本発明では、第1の歪発生手段と第2の歪発生手段を備える構成を示したが、例えば、更に他の歪発生手段が1又は複数備えられるような構成が用いられてもよい。
【0011】
従って、本発明に係る歪補償装置では、増幅器により増幅される対象となる信号に対して第1の歪発生手段と第2の歪発生手段によりそれぞれ歪を発生させて、これらの歪の総和により増幅器で発生する歪を低減することにより、歪補償の効率化を図ることが可能である。
【0012】
具体的には、例えば、理想的な歪補償を行う場合には、従来のように1つの歪発生手段のみを用いる構成では当該歪発生手段により増幅器で発生する歪を打ち消すための歪(逆特性を有する歪)を発生させることが必要であるが、本発明のように複数の歪発生手段を用いる構成では、それぞれの歪発生手段により発生させる歪の総和が増幅器で発生する歪を打ち消すための歪(逆特性を有する歪)となればよく、それぞれの歪発生手段により発生させる歪については種々な特性のものに設定することが可能である。
【0013】
ここで、増幅器により増幅される対象となる信号としては、種々な信号が用いられてもよい。
また、増幅器としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、1つの増幅器が用いられてもよく、或いは、複数の増幅器の組み合わせが用いられてもよい。
また、増幅器により信号を増幅するに際して当該増幅器で当該信号に発生する歪としては、例えば、振幅の歪や、位相の歪がある。
【0014】
また、歪を補償する精度としては、例えば実用上で有効な程度で、種々な精度が用いられてもよい。
また、第1の歪発生手段としては、種々な構成のものが用いられてもよく、例えば、固定的に設定された態様で歪を発生させるものや、或いは、フィードバック制御に基づいて歪を発生させるものなどを用いることができる。また、例えば、増幅器により増幅される対象となる信号に基づいて歪を発生させるような態様を用いることができる。
なお、固定的に設定された態様で歪を発生させるとは、例えば、非適応的なものを表しており、フィードバック制御に基づいて歪を発生させるとは、例えば、適応的なものを表している。
また、第2の歪発生手段としては、種々な構成のものが用いられてもよく、例えば、フィードバック制御に基づいて歪を発生させるものを用いることもできる。
【0015】
また、本発明に係る歪補償装置では、一構成例として、次のような構成とした。
すなわち、第1の歪発生手段は、アナログのデバイスを用いて構成される。また、第1の歪発生手段は、増幅器により増幅される対象となる信号に対して、固定的に設定された態様で歪を発生させる。
また、第2の歪発生手段は、クロック信号に基づいて動作を行うデジタルのデバイスを含んで構成される。また、第2の歪発生手段では、歪発生態様制御手段が、増幅器により増幅される対象となる信号に基づいて、歪の発生態様を制御し、そして、歪発生実行手段が、歪発生態様制御手段により制御される歪の発生態様で、増幅器により増幅される対象となる信号に対して歪を発生させる。
【0016】
従って、例えば、第2の歪発生手段により発生させる歪に含まれる高次の周波数成分が小さくなるように、第1の歪発生手段により発生させる歪を設定することにより、第2の歪発生手段に含まれるデジタルのデバイスに必要となるサンプリング周波数を低くすることができ、これにより、第2の歪発生手段に含まれるデジタルのデバイスに必要となるクロック信号の周波数を低くすることができる。
【0017】
この場合、例えば、増幅器で発生する歪から第1の歪発生手段により発生させられる歪により低減させられる成分が除かれた成分に含まれる高次の周波数成分が小さくなるように、第1の歪発生手段により発生させる歪の発生態様が設定される。
また、例えば、増幅器で発生する歪を可能な限りで或いは実用上で有効な程度で補償する歪を第1の歪発生手段により発生させるような設定を用いることも可能である。
【0018】
なお、高次の周波数成分としては、例えば、5次歪や7次歪やそれ以上の次数の周波数成分が用いられる。
また、高次の周波数成分が小さくなると、広帯域性が低減されて、つまり、周波数帯域の幅が狭くなるとみなすことができる。
【0019】
ここで、第1の歪発生手段は、例えば、アナログのデバイスのみを用いて構成される。
また、アナログのデバイスとしては、種々なものが用いられてもよい。
また、第2の歪発生手段は、例えば、デジタルのデバイスとアナログのデバイスとの両方を用いて構成されてもよく、或いは、デジタルのデバイスのみを用いて構成されてもよい。
また、デジタルのデバイスや、アナログのデバイスとしては、種々なものが用いられてもよい。
【0020】
また、歪の発生態様としては、例えば、振幅歪の発生態様や、位相歪の発生態様や、或いは、振幅と位相との両方の歪の発生態様を用いることができる。
また、歪発生実行手段としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、信号の振幅を変化させる手段や、信号の位相を変化させる手段や、或いは、信号の振幅と位相との両方を変化させる手段を用いることができる。
【0021】
また、本発明に係る歪補償装置では、一構成例として、次のような構成とした。
すなわち、第2の歪発生手段では、信号レベル検出手段が増幅器により増幅される対象となる信号のレベルを検出し、信号レベル歪発生態様対応記憶手段が信号のレベルと歪の発生態様との対応を記憶し、そして、歪発生制御実行手段が、信号レベル歪発生態様対応記憶手段の記憶内容に基づいて、信号レベル検出手段により検出される信号のレベルに対応する歪の発生態様で、増幅器により増幅される対象となる信号に対して歪を発生させる。
また、第2の歪発生手段では、信号レベル歪発生態様対応内容変更手段が、増幅器により増幅された信号に基づいて、信号レベル歪発生態様対応記憶手段により記憶される信号のレベルと歪の発生態様との対応の内容を変更する。
【0022】
従って、第2の歪発生手段において、信号のレベルと歪の発生態様との対応に基づいて増幅器で発生する歪を補償するに際して、増幅器により増幅された信号に基づいて当該対応の内容を更新することにより、フィードバック制御により歪補償の精度を向上させることが可能である。
【0023】
ここで、信号レベル検出手段により検出される信号のレベルとしては、種々なレベルが用いられてもよく、例えば、振幅のレベルや、電力のレベルや、エンベロープのレベルなどを用いることができる。
また、信号のレベルと歪の発生態様との対応としては、種々な内容のものが用いられてもよい。なお、一般に、増幅器では、入力される信号のレベルに応じて出力される信号のレベルや位相が変化し得る。
また、信号レベル歪発生態様対応記憶手段としては、例えば、情報を記憶するメモリなどを用いて構成することができる。
【0024】
また、本発明に係る歪補償装置では、一構成例として、次のような構成とした。
すなわち、当該歪補償装置には、増幅器により増幅される対象となる信号として、無線周波数のアナログ信号が入力される。
また、第2の歪発生手段では、信号レベル検出手段が増幅器により増幅される対象となるアナログ信号のレベルを検出し、また、デジタル制御信号出力手段が、信号のレベルと歪の発生態様との対応を記憶する信号レベル歪発生態様対応記憶手段を有して、信号レベル検出手段により検出される信号のレベルに対応する歪の発生態様を実現するためのデジタル制御信号を出力する。そして、第2の歪発生手段では、制御信号D/A変換手段がデジタル制御信号出力手段により出力されるデジタル制御信号をアナログ制御信号へ変換し、また、振幅位相歪発生手段が、制御信号D/A変換手段により得られるアナログ制御信号に基づいて、増幅器により増幅される対象となるアナログ信号に対して、振幅及び位相の一方又は両方の歪を発生させる。
【0025】
また、第1の歪発生手段では、第2の歪発生手段を構成する振幅位相歪発生手段により歪が発生させられたアナログ信号に対して歪を発生させ、当該歪を発生させた当該アナログ信号を増幅器に対して出力する。
なお、第1の歪発生手段と増幅器とは、例えば、直接的に接続されてもよく、或いは、他の回路素子を介して間接的に接続されてもよい。
【0026】
従って、例えば、第1の歪発生手段を用いて、第2の歪発生手段を構成する振幅位相歪発生手段により発生させる歪を比較的に低次の周波数成分が主となるものとすることにより、当該振幅位相歪発生手段に対する制御信号の周波数帯域幅を比較的に狭くすることができ、これにより、制御信号D/A変換手段に必要なサンプリング周波数やクロック周波数を低くすることができる。
【0027】
なお、低次の周波数成分としては、例えば、3次歪の周波数成分が用いられる。
また、低次の周波数成分が主となって、高次の周波数成分が小さくなると、広帯域性が低減されて、つまり、周波数帯域の幅が狭くなるとみなすことができる。
【0028】
ここで、無線周波数としては、種々な周波数が用いられてもよい。
また、振幅位相歪発生手段は、アナログ制御信号に基づいて歪を発生させ、一例として、アナログ制御信号に含まれる高次の周波数成分により高次の歪を発生させ、アナログ制御信号に含まれる低次の周波数成分により低次の歪を発生させる。
また、振幅位相歪発生手段では、例えば、振幅の歪を発生させてもよく、位相の歪を発生させてもよく、或いは、振幅の歪と位相の歪との両方を発生させてもよい。
【0029】
また、振幅位相歪発生手段としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、信号の減衰量を可変に制御することが可能な減衰器(可変減衰器)や、信号の増幅量を可変に制御することが可能な増幅器(可変増幅器)や、信号の位相変化量(移相量)を可変に制御することが可能な移相器(可変移相器)などを用いることができ、また、例えば、可変減衰器と可変移相器との組み合わせなどを用いることもできる。
【0030】
また、本発明に係る歪補償装置では、他の構成例として、次のような構成とした。
すなわち、当該歪補償装置には、増幅器により増幅される対象となる信号として、I成分及びQ成分から成るデジタル信号が入力される。
また、第2の歪発生手段では、信号レベル検出手段が増幅器により増幅される対象となるデジタル信号のレベルを検出し、また、デジタル制御信号出力手段が、信号のレベルと歪の発生態様との対応を記憶する信号レベル歪発生態様対応記憶手段を有して、信号レベル検出手段により検出される信号のレベルに対応する歪の発生態様を実現するためのデジタル制御信号を出力する。そして、第2の歪発生手段では、振幅位相歪発生手段が、デジタル制御信号出力手段により出力されるデジタル制御信号に基づいて、増幅器により増幅される対象となるデジタル信号に対して、振幅及び位相の一方又は両方の歪を発生させる。
【0031】
また、当該歪補償装置では、信号D/A変換手段が、第2の歪発生手段を構成する振幅位相歪発生手段により歪が発生させられたデジタル信号をアナログ信号へ変換し、また、信号周波数変換手段が、信号D/A変換手段により得られるアナログ信号の周波数を無線周波数へ変換する。
【0032】
また、第1の歪発生手段では、信号周波数変換手段により得られる無線周波数のアナログ信号に対して歪を発生させ、当該歪を発生させた当該アナログ信号を増幅器に対して出力する。
なお、第1の歪発生手段と増幅器とは、例えば、直接的に接続されてもよく、或いは、他の回路素子を介して間接的に接続されてもよい。
【0033】
従って、例えば、第1の歪発生手段を用いて、第2の歪発生手段により歪が発生させられた信号を比較的に低次の周波数成分が主となるものとすることにより、信号D/A変換手段に対する信号の周波数帯域幅を比較的に狭くすることができ、これにより、信号D/A変換手段に必要なサンプリング周波数やクロック周波数を低くすることができる。
【0034】
なお、低次の周波数成分としては、例えば、3次歪の周波数成分が用いられる。
また、低次の周波数成分が主となって、高次の周波数成分が小さくなると、広帯域性が低減されて、つまり、周波数帯域の幅が狭くなるとみなすことができる。
【0035】
ここで、I成分及びQ成分から成るデジタル信号としては、例えば、ベースバンド(BB:Base Band)の信号が用いられる。
また、振幅位相歪発生手段では、例えば、振幅の歪を発生させてもよく、位相の歪を発生させてもよく、或いは、振幅の歪と位相の歪との両方を発生させてもよい。
また、振幅位相歪発生手段としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、I成分及びQ成分から成るデジタル信号に対して振幅の歪や位相の歪を与えるベクトル演算器などを用いることができる。
【0036】
以下で、更に、本発明に係る構成例を示す。
本発明に係る歪補償装置では、一構成例として、増幅信号一部取得手段が増幅器により増幅された信号の一部を取得し、歪成分抽出手段が増幅信号一部取得手段により取得される信号に含まれる歪成分を抽出し、そして、信号レベル歪発生態様対応内容変更手段が、歪成分抽出手段により抽出される歪成分が小さくなるように、信号レベル歪発生態様対応記憶手段により記憶される信号のレベルと歪の発生態様との対応の内容を変更する。
【0037】
更に、一構成例として、信号周波数低下手段が増幅信号一部取得手段により取得される信号の周波数を低下させ、歪成分抽出手段は信号周波数低下手段により周波数が低下させられた信号に含まれる歪成分を抽出し、歪成分A/D変換手段が歪成分抽出手段により抽出される歪成分をアナログ信号からデジタル信号へ変換し、そして、信号レベル歪発生態様対応内容変更手段は、歪成分A/D変換手段により得られる歪成分のデジタル信号に基づいて、信号レベル歪発生態様対応記憶手段により記憶される信号のレベルと歪の発生態様との対応の内容を変更する。
【0038】
ここで、増幅信号一部取得手段としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、結合器を用いることができる。
また、歪成分抽出手段としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、増幅器で発生する歪の成分に対応する周波数の信号成分を抽出するフィルタを用いることができる。
【0039】
また、信号レベル歪発生態様対応内容変更手段では、抽出される歪成分が小さくなるように制御する態様の一例として、抽出される歪成分が最小となるように制御する態様が用いられるのが好ましい。
また、信号周波数低下手段では、例えば、信号の周波数を無線周波数から中間周波数(IF:Intermediate Frequency)やベースバンド周波数へ低下させるような態様を用いることができる。
【0040】
また、本発明に係る歪補償装置では、一構成例として、増幅器により増幅される対象となる信号は、直交変調された信号である。
また、増幅信号一部取得手段が増幅器により増幅された信号の一部を取得し、信号復調手段が増幅信号一部取得手段により取得される信号を直交復調し、そして、信号レベル歪発生態様対応内容変更手段が、増幅器により増幅される対象となる信号と信号復調手段による直交復調により得られる信号との差が小さくなるように、信号レベル歪発生態様対応記憶手段により記憶される信号のレベルと歪の発生態様との対応の内容を変更する。
【0041】
更に、一構成例として、信号周波数低下手段が増幅信号一部取得手段により取得される信号の周波数を低下させ、信号フィルタリング手段が信号周波数低下手段により周波数が低下させられた信号をフィルタリングし、フィルタリング信号A/D変換手段が信号フィルタリング手段によりフィルタリングされた信号をアナログ信号からデジタル信号へ変換する。そして、信号復調手段は、フィルタリング信号A/D変換手段により得られる歪成分のデジタル信号に基づいて、直交復調を行う。
【0042】
ここで、増幅器により増幅される対象となる信号に施される変調の方式としては、種々な方式が用いられてもよく、例えば、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)やQAM(Quadrature Amplitude Modulation)などの変調方式を用いることができる。
なお、一般的な例として、送信対象となるデータをQPSKやQAMなどの変調によりI信号(I成分の信号)及びQ信号(Q成分の信号)へ変換し、これを直交変調により中間周波数(IF)信号へ変換し、これをアップコンバートして無線周波数(RF)信号へ変換する。また、一般的な例として、受信される無線周波数(RF)信号をダウンコンバートして中間周波数(IF)信号へ変換し、これを直交復調によりI信号及びQ信号へ変換し、これを復調してデータへ変換する。
また、増幅器の歪補償においては、例えば、I信号及びQ信号を用いて、適応的な制御のために、増幅器により増幅される対象となる信号と信号復調手段による直交復調により得られる信号との差を検出することが行われる。
【0043】
また、増幅信号一部取得手段としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、結合器を用いることができる。
また、信号レベル歪発生態様対応内容変更手段では、増幅器により増幅される対象となる信号と信号復調手段による直交復調により得られる信号との差が小さくなるように制御する態様の一例として、当該差が最小となるように制御する態様を用いることができる。
【0044】
また、信号周波数低下手段では、例えば、信号の周波数を無線周波数から中間周波数へ低下させるような態様を用いることができる。
また、信号フィルタリング手段としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、増幅器により増幅される対象となる信号の成分に対応する周波数の信号成分を抽出するフィルタを用いることができる。
【0045】
また、本発明に係る歪補償装置は、例えば、無線又は有線の通信装置、送信機、送受信機などに設けられ、増幅器により増幅される対象となる信号として送信対象となる信号が用いられる。
一例として、本発明に係る歪補償装置は、CDMA方式などを採用する無線通信システムの基地局装置に設けられ、増幅器により増幅される対象となる信号として移動局装置などに対して送信する対象となるマルチキャリアの信号が用いられる。
また、本発明に係る歪補償装置は、例えば、増幅器を備えた増幅装置に設けられる。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
まず、本発明を適用することが可能な適応プリディストータ付き送信電力増幅部の構成例や動作例を示す。
図13には、アナログのプリディストーションを行う適応プリディストータ付き送信電力増幅部の一構成例を示してある。
同図に示した適応プリディストータ付き送信電力増幅部の動作例を示す。
【0047】
すなわち、無線周波数(RF:Radio Frequency)のアナログ信号が、電力検出部51及び遅延部58に入力される。
電力検出部51では、例えば包絡線検波が行われて、入力信号の電力が検出される。当該検出結果を表す電圧が、A/D(Analog to Digital)変換器52によりアナログ信号からデジタル信号へ変換され、例えばメモリ53により構成される歪補償テーブルの参照引数として対応付けられる。
【0048】
メモリ53の歪補償テーブルには、プリディストーション方式により歪補償を行うためのテーブルが格納されている。当該テーブルには、補償対象となる振幅及び位相平面における非線形特性の逆特性の情報が記述されており、一般的には、入力信号の電力を指標とするAM(Amplitude Modulation)−AM変換やAM−PM(Phase Modulation)変換に関する情報が記述されている。ここで、AM−AM変換は振幅に関するものであり、AM−PM変換は位相に関するものである。
【0049】
メモリ53では、歪補償テーブルが参照されることにより、A/D変換器52からの入力(本例では、入力信号の電力)に対応して、一方のデジタル制御信号がD/A(Digital to Analog)変換器54へ出力され、他方のデジタル制御信号がD/A変換器56へ出力される。
【0050】
一方のデジタル制御信号は、D/A変換器54によりアナログ信号へ変換されて、LPF55により必要な周波数成分に帯域制限されて、AM−AM変換を補償する電圧可変減衰器59に入力されて、当該電圧可変減衰器59を制御する。
他方のデジタル制御信号は、D/A変換器56によりアナログ信号へ変換されて、LPF57により必要な周波数成分に帯域制限されて、AM−PM変換を補償する電圧可変移相器60に入力されて、当該電圧可変移相器60を制御する。
【0051】
また、入力信号は、遅延部58により遅延時間が与えられて、電圧可変減衰器59に入力される。当該遅延時間は、例えば、入力信号が電圧可変減衰器59に入力される時刻と、当該入力信号の電力に基づくD/A変換器54からの出力(制御信号)が当該電圧可変減衰器59に到達する時刻とが一致するように設定される。
【0052】
上記のようにして、プリディストータに相当する電圧可変減衰器59及び電圧可変移相器60においてプリディストーション方式により予め歪が与えられた信号は、増幅部61により増幅される。当該増幅部61からの出力信号(増幅信号)は、理想的な歪補償が行われる場合には、歪の無い信号となる。
【0053】
また、フィードバック制御を行うために、増幅部61からの出力信号の一部が方向性結合器62により取り出される。当該一部の信号が、適応テーブル制御部67により制御される発信器63からの発信信号を用いてミキサ64によりダウンコンバートされる。当該ダウンコンバート後の信号から帯域通過フィルタ(BPF:Band Pass Filter)65により歪の周波数帯域の成分が抜き出され、当該抽出結果がA/D変換器66によりアナログ信号からデジタル信号へ変換されて適応テーブル制御部67に入力される。
【0054】
このように、適応テーブル制御部67では、A/D変換器66から歪の電力に関する情報が取り込まれる。そして、適応テーブル制御部67では、当該歪の電力が小さくなるように、メモリ53に記憶された歪補償テーブルの内容を更新して、歪補償テーブルを適応的に制御する。これにより、増幅部61からの出力信号に残存する歪の成分が低減させられていく。
【0055】
図14には、デジタルのプリディストーションを行う適応プリディストータ付き送信電力増幅部の一構成例を示してある。
同図に示した適応プリディストータ付き送信電力増幅部の動作例を示す。
すなわち、I相の成分(I成分)及びQ相の成分(Q成分)から構成されるデジタル信号が、電力演算部71とベクトル演算部73と適応テーブル制御部83に入力される。また、当該入力信号は、例えば、マルチキャリアを扱う信号であり、適応プリディストータ付き送信電力増幅部に入力される前に直交変調されている。
【0056】
電力演算部71では、入力信号の電力が検出される。当該検出結果が、メモリ72により構成される歪補償テーブルの参照引数として対応付けられる。
メモリ72の歪補償テーブルには、プリディストーション方式により歪補償を行うためのテーブルが格納されている。当該テーブルには、補償対象となる振幅及び位相平面における非線形特性の逆特性の情報が記述されており、一般的には、入力信号の電力を指標とするAM−AM変換やAM−PM変換に関する情報が記述されている。
【0057】
ここで、AM−AM変換は振幅に関するものであり、AM−PM変換は位相に関するものである。
歪補償テーブルでは、例えば、AM−AM変換やAM−PM変換に関するベクトル演算を行うために、直交座標の形態(例えば、(x、y)や(I、Q)などの形態)を用いて制御情報が格納されている。
【0058】
メモリ72では、歪補償テーブルが参照されることにより、電力演算部71からの入力(本例では、入力信号の電力)に対応して、デジタル制御信号がベクトル演算部73へ出力される。
プリディストータに相当するベクトル演算部73では、歪補償テーブルの参照結果であるデジタル制御信号に従って、入力信号の振幅や位相を制御する。
【0059】
このようにしてベクトル演算部73によりプリディストーションされた入力信号が、D/A変換器74によりデジタル信号からアナログ信号へ変換されて、アップコンバータ75により無線周波数(RF)の信号へ周波数変換されて、当該周波数変換後の信号から帯域通過フィルタ(BPF)76により必要な周波数帯域外の不要信号が除去される。
【0060】
このような処理の後に、上記のようにしてベクトル演算部73においてプリディストーション方式により予め歪を与えられた信号が、増幅部77により増幅される。当該増幅部77からの出力信号(増幅信号)は、理想的な歪補償が行われる場合には、歪の無い信号となる。
【0061】
また、フィードバック制御を行うために、増幅部77からの出力信号の一部が方向性結合器78により取得される。当該一部の信号がダウンコンバータ79により低い周波数へ周波数変換され、当該周波数変換後の信号から低域通過フィルタ(LPF:Low Pass Filter)80により必要な周波数帯域外の不要信号が除去される。LPF80により帯域外の不要信号が除去された信号が、A/D変換器81によりアナログ信号からデジタル信号へ変換される。当該デジタル信号に基づいて直交復調部82により直交復調が行われ、当該直交復調の結果がフィードバック信号として適応テーブル制御部83に入力される。
【0062】
適応テーブル制御部83では、入力信号が入力されるとともに、直交復調部82からフィードバック信号が入力され、当該入力信号と当該フィードバック信号との誤差が小さくなるように、メモリ72に記憶された歪補償テーブルの内容を更新して、歪補償テーブルを適応的に制御する。これにより、増幅部77からの出力信号に残存する歪の成分が低減させられていく。
【0063】
次に、上記図13や上記図14に示したような適応プリディストータ付き送信電力増幅部に関して、本発明が解決しようとする課題に係る不具合を詳しく説明する。
図15には、D/A変換器からの出力の特性の一例を示してある。
同図には、周波数帯域幅がW[Hz]である信号がD/A変換器に入力され、サンプリング周波数がfs[Hz]である場合において、D/A変換器から出力される信号のスペクトルの一例を示してある。同図に示したグラフの横軸は周波数[Hz]を示しており、縦軸はスペクトルの強度を示している。
【0064】
同図に示されるように、説明の便宜上から、入力信号(実線で示す)の中心周波数が0[Hz]であるとみなすと、fs[Hz]、2fs[Hz]、・・・、nfs[Hz]の周波数にイメージ信号(点線で示す)が現れる。ここで、nは、1以上の任意の整数を表している。
【0065】
そして、「サンプリング周波数fs≧入力信号の周波数帯域幅W」という条件によりサンプリング定理が満たされる。
当該条件を考慮すると、上記図13や上記図14に示した適応プリディストータ付き送信電力増幅部では、プリディストーション後の入力信号は、プリディストーション前の入力信号の周波数帯域と比べて広帯域になるため、必要なサンプリング周波数が非常に高くなってしまい、必要なクロック周波数が非常に高くなってしまう。
【0066】
例えば、3次歪の成分を考慮した場合には、プリディストーション後の入力信号の周波数帯域は、プリディストーション前の入力信号の周波数帯域の3倍以上となるため、必要なサンプリング周波数も3倍以上となってしまう。同様に、5次歪の成分を考慮した場合には、プリディストーション後の入力信号の周波数帯域は、プリディストーション前の入力信号の周波数帯域の5倍以上となるため、必要なサンプリング周波数も5倍以上となってしまう。
【0067】
次に、具体的に、上記図13に示した適応プリディストータ付き送信電力増幅部について説明する。
同図に示した適応プリディストータ付き送信電力増幅部では、D/A変換器54、56やA/D変換器52をはじめとするデジタル系のクロック周波数を非常に速くしなければならないといった不具合があった。
【0068】
図16(a)には、比較的に低いサンプリング周波数fs1[Hz]が用いられる場合においてD/A変換器54、56から出力される制御信号のスペクトルの一例を示してある。
また、図16(b)には、比較的に高いサンプリング周波数fs2[Hz]が用いられる場合においてD/A変換器54、56から出力される制御信号のスペクトルの一例を示してある。ここで、fs1<fs2である。
なお、同図(a)、(b)に示したグラフの横軸は周波数[Hz]を示しており、縦軸はスペクトルの強度を示している。
【0069】
また、同図(a)、(b)では、0[Hz]を中心周波数とする制御信号(実線で示す)のスペクトルと、fs1[Hz]やfs2[Hz]を中心周波数とするイメージ信号(点線で示す)のスペクトルを示してある。
同図(a)に示されるように、サンプリング周波数fs1が十分な値と比べて低い場合にはD/A変換器54、56から出力される制御信号とイメージ信号とが重なってしまって好ましくない。このため、同図(b)に示されるように、非常に高いサンプリング周波数fs2を用いることが必要となる。
【0070】
すると、D/A変換器54、56において非常に高いサンプリング周波数を用いることに伴って、その他のデジタル部についてもクロック周波数を非常に高くすることが必要となる。クロック周波数が高くなると、デバイスが高価となってしまい、技術的にも困難となってしまい、或いは、実現が不可能となってしまう。
【0071】
次に、具体的に、上記図14に示した適応プリディストータ付き送信電力増幅部について説明する。
同図に示した適応プリディストータ付き送信電力増幅部では、D/A変換器74やA/D変換器81をはじめとするデジタル系のクロック周波数を非常に速くしなければならないといった不具合があった。
【0072】
図17(a)には、比較的に低いサンプリング周波数fs1[Hz]が用いられる場合においてD/A変換器74から出力されるプリディストーション後の入力信号のスペクトルの一例を示してある。
また、図17(b)には、比較的に高いサンプリング周波数fs2[Hz]が用いられる場合においてD/A変換器74から出力されるプリディストーション後の入力信号のスペクトルの一例を示してある。ここで、fs1<fs2である。
なお、同図(a)、(b)に示したグラフの横軸は周波数[Hz]を示しており、縦軸はスペクトルの強度を示している。
【0073】
また、同図(a)、(b)では、0[Hz]と比べて高い周波数に位置するプリディストーション後の入力信号(実線で示す)のスペクトルと、fs1[Hz]やfs2[Hz]と比べて低い周波数に位置するイメージ信号(点線で示す)のスペクトルを示してある。
同図(a)に示されるように、サンプリング周波数fs1が十分な値と比べて低い場合にはD/A変換器74から出力されるプリディストーション後の入力信号とイメージ信号とが重なってしまって好ましくない。このため、同図(b)に示されるように、非常に高いサンプリング周波数fs2を用いることが必要となる。
【0074】
すると、D/A変換器74において非常に高いサンプリング周波数を用いることに伴って、その他のデジタル部についてもクロック周波数を非常に高くすることが必要となる。クロック周波数が高くなると、デバイスが高価となってしまい、技術的にも困難となってしまい、或いは、実現が不可能となってしまう。
【0075】
次に、本発明に係る実施例を説明する。
本発明に係る第1実施例を示す。
本例では、上記図13に示したような歪補償機能付きの増幅装置(適応プリディストータ付き送信電力増幅部)に本発明に係る歪補償装置を適用した場合を示し、固定プリディストータを用いることでデジタル系に必要となるクロック信号の周波数(クロック周波数)を例えば従来と比べて低下させることを図る。
【0076】
図1には、本例の増幅装置の構成例を示してある。
本例の増幅装置には、電力検出部1と、A/D変換器2と、歪補償テーブルを格納するメモリ3と、D/A変換器4と、低域通過フィルタ(LPF)5と、D/A変換器6と、低域通過フィルタ(LPF)7と、遅延部8と、電圧可変減衰器9と、電圧可変移相器10と、固定プリディストータ11と、増幅部12と、方向性結合器13と、発信器14と、ミキサ15と、帯域通過フィルタ(BPF)16と、A/D変換器17と、適応テーブル制御部18が備えられている。
【0077】
なお、本例の増幅装置の構成や動作は、例えば固定プリディストータ11を用いることでデジタル系に必要となるクロック周波数を低下させた点に関する部分を除いては、上記図13に示した増幅装置の構成や動作と同様である。
【0078】
本例の増幅装置の動作例を示す。
前段の処理部(図示せず)から本例の増幅装置に入力される信号は、2つの信号に分配されて、第1の分配信号が電力検出部1に入力され、第2の分配信号が遅延部8に入力される。
電力検出部1は、前段の処理部(図示せず)から入力される送信対象となる無線周波数(RF)の信号の電力を検出して、当該検出結果をA/D変換器2へ出力する。
A/D変換器2は、電力検出部1から入力される電力の検出結果を、アナログ信号からデジタル信号へ変換して、メモリ3へ出力する。
【0079】
メモリ3は、格納している歪補償テーブルの内容に基づいて、A/D変換器2から入力されるデジタル信号を指標として、当該歪補償テーブルを参照した結果をD/A変換器4、6へ出力する。具体的には、歪補償テーブルは、電力の検出結果を表すデジタル信号の値と、電圧可変減衰器9への制御値及び電圧可変移相器10への制御値とを対応付けて記憶している。そして、メモリ3は、歪補償テーブルを参照して、A/D変換器2から入力されるデジタル信号の値に対応する電圧可変減衰器9への制御値(デジタル制御信号)をD/A変換器4へ出力するとともに、当該A/D変換器2から入力されるデジタル信号の値に対応する電圧可変移相器10への制御値(デジタル制御信号)をD/A変換器6へ出力する。
【0080】
D/A変換器4は、メモリ3から入力されるデジタル制御信号をアナログ制御信号へ変換してLPF5へ出力する。
LPF5は、D/A変換器4から入力されるアナログ制御信号をフィルタリングして電圧可変減衰器9の制御端へ出力する。
D/A変換器6は、メモリ3から入力されるデジタル制御信号をアナログ制御信号へ変換してLPF7へ出力する。
LPF7は、D/A変換器6から入力されるアナログ制御信号をフィルタリングして電圧可変移相器10の制御端へ出力する。
【0081】
遅延部8は、前段の処理部(図示せず)から入力される送信対象となる無線周波数(RF)の信号を、当該入力信号に基づく制御信号が電圧可変減衰器9や電圧可変移相器10へ入力されるタイミングに合わせるように遅延させて、電圧可変減衰器9へ出力する。一例として、遅延部8は、入力される無線周波数(RF)の信号を、当該入力信号に基づく制御信号がD/A変換器4によりアナログ信号へ変換されるまでに要する時間と同じ時間だけ遅延させる。
【0082】
電圧可変減衰器9は、LPF5から入力されるアナログ制御信号に従った減衰量で、遅延部8から入力される遅延した入力信号の振幅を制御し、当該制御後の信号を電圧可変移相器10へ出力する。
なお、電圧可変減衰器9の代わりに、例えばアナログ制御信号に従った増幅量で信号の振幅を制御する電圧可変増幅器などを用いることも可能である。
【0083】
電圧可変移相器10は、LPF7から入力されるアナログ制御信号に従った位相変化量で、電圧可変減衰器9から入力される信号の位相を制御し、当該制御後の信号を固定プリディストータ11へ出力する。
なお、本例では、電圧可変減衰器9の後段に電圧可変移相器10を備える構成を示したが、例えば、電圧可変移相器10の後段に電圧可変減衰器9を備える構成のように、これらの並び順序として本例とは逆の順序が用いられてもよい。
【0084】
固定プリディストータ11は、例えば非線形な素子を用いて構成されており、電圧可変移相器10から入力される信号に対して歪を発生させ、当該歪を発生させた信号を増幅部12へ出力する。なお、固定プリディストータ11は、入力される信号のレベルに応じた歪を当該信号に発生させる。
このように、本例では、電圧可変減衰器9及び電圧可変移相器10を用いた適応的なプリディストーションと、固定プリディストータ11を用いた固定的なプリディストーション(非適応的なプリディストーション)との両方により、プリディストーション方式で歪補償を行う。
【0085】
増幅部12は、固定プリディストータ11から入力される信号を増幅して、当該増幅信号を例えば後段のアンテナ(図示せず)へ出力する。
なお、増幅部12では、信号に歪が発生し、本例では、当該歪が、電圧可変減衰器9により発生させられる振幅歪や、電圧可変移相器10により発生させられる位相歪や、固定プリディストータ11により発生させられる振幅歪や位相歪により、低減させられる。
【0086】
方向性結合器13は、増幅部12から出力される増幅信号の一部を取り出し、当該取り出した信号をミキサ15へ出力する。
発信器14は、適応テーブル制御部18により制御される周波数の信号を発振してミキサ15へ出力する。
ミキサ15は、方向性結合器13から入力される増幅信号と発信器14から入力される信号とを混合して、当該増幅信号の周波数を変換し、当該周波数変換後の増幅信号をBPF16へ出力する。
【0087】
BPF16は、ミキサ15から入力される信号の帯域を制限して、当該帯域制限後の信号をA/D変換器17へ出力する。
A/D変換器17は、BPF16から入力される信号を、アナログ信号からデジタル信号へ変換して、適応テーブル制御部18へ出力する。
適応テーブル制御部18は、A/D変換器17から入力されるデジタル信号に基づいて、メモリ3に格納される歪補償テーブルの内容を更新し、また、発信器14により発振させる信号の周波数を制御する。
【0088】
ここで、本例では、BPF16により増幅信号に含まれる歪成分を抽出して、当該歪成分のレベルが小さくなるように適応テーブル制御部18により歪補償テーブルの内容を更新する制御が行われており、BPF16の通過帯域の特性や、発信器14により発振させる信号の周波数は、このような制御が適切に為されるように設定或いは制御される。
【0089】
次に、図9〜図11を参照して、本例の増幅装置において、固定プリディストータ11を用いてクロック周波数を低下させる原理を示す。
なお、歪補償テーブルでは一般に振幅に関するテーブル及び位相に関するテーブルを有するが、ここでは説明を簡略化するために、振幅に関するテーブルのみに着目して説明する。位相に関するテーブルについても、振幅に関するテーブルと同様である。
【0090】
図9には、固定プリディストータ11が備えられないとした場合における、電圧可変減衰器9や電圧可変移相器10を用いた適応プリディストータの理想的な歪補償テーブルの特性例を示してある。同図に示したグラフの横軸は電力を示しており、縦軸は制御信号の電圧(制御電圧)を示している。
【0091】
また、図10には、固定プリディストータ11が備えられた場合における、固定プリディストータ11による歪補償の特性例と、電圧可変減衰器9や電圧可変移相器10を用いた適応プリディストータの理想的な歪補償テーブルの特性例を示してある。同図に示したグラフの横軸は電力を示しており、縦軸は制御信号の電圧(制御電圧)を示している。
【0092】
上記図10に示した特性では、固定的なプリディストーション(固定PD)の特性と、適応的なプリディストーション(適応PD)の特性とを合わせたものが、上記図9に示した理想的なプリディストーション(理想PD)の特性と一致するのが理想的であり好ましい。
【0093】
図11(a)には、固定プリディストータ11が備えられないとした場合において、メモリ3の歪補償テーブルが上記図9に示した理想的な特性を有するときに、D/A変換器4(或いは、D/A変換器6についても同様)から出力される制御信号のスペクトルの一例を示してある。
また、図11(b)には、固定プリディストータ11が備えられた場合において、メモリ3の歪補償テーブルが上記図10に示した理想的な適応プリディストーション(適応PD)の特性を有するときに、D/A変換器4(或いは、D/A変換器6についても同様)から出力される制御信号のスペクトルの一例を示してある。
【0094】
なお、図11(a)、(b)に示したグラフの横軸は周波数[Hz]を示しており、縦軸はスペクトルの強度を示している。
また、同図(a)、(b)では、0[Hz]を中心周波数とする制御信号(実線で示す)のスペクトルと、サンプリング周波数fs[Hz]を中心周波数とするイメージ信号(点線で示す)のスペクトルを示してある。
【0095】
上記図11(a)、(b)に示されるように、固定プリディストータ11を備えない場合にはD/A変換器4から出力される制御信号とイメージ信号とが重なってしまうようなサンプリング周波数fsであっても、固定プリディストータ11を備えることにより、D/A変換器4から出力される制御信号の周波数帯域幅を比較的に小さく(狭く)することが可能であり、当該制御信号とイメージ信号とが重なってしまうことを回避することが可能である。
【0096】
このため、本例のように固定プリディストータ11を備えた構成では、例えば上記図13に示したように固定プリディストータを備えない場合と比較して、サンプリング周波数fsを低くすることが可能であり、これにより、D/A変換器4、6などのデジタル系のクロック周波数を低くすることが可能である。
【0097】
なお、固定プリディストータ11としては、アナログのデバイスが用いられており、このため、サンプリングレート(サンプリング周波数)とは特に関係がない。本例では、このような固定プリディストータ11を用いることにより、適応プリディストータにより発生させる歪成分のスペクトル強度を減衰させ、これにより、サンプリング周波数fs及びクロック周波数を低下させることを実現している。
【0098】
次に、図2〜図5を参照して、本例の増幅装置により得られる効果の具体例として、計算機シミュレーションにより得られた結果を示す。
なお、ここでは、固定プリディストータ11を備えた本例の増幅装置に対して、上記図13に示した増幅装置のように固定プリディストータを備えないものを比較例として、説明する。
【0099】
また、歪補償テーブルでは一般に振幅に関するテーブル及び位相に関するテーブルを有するが、ここでは説明を簡略化するために、振幅に関するテーブルのみに着目して説明する。位相に関するテーブルについても、振幅に関するテーブルと同様である。
図2には、比較例に係る歪補償テーブルの特性例(a)と、本例のメモリ3に格納される歪補償テーブルの特性例(b)を示してある。同図に示したグラフの横軸は電力を示しており、縦軸は制御信号の電圧(制御電圧)を示している。
【0100】
図3には、サンプリング周波数fs=約60[MHz]と設定した場合における、比較例に係るD/A変換器54(或いは、D/A変換器56についても同様)からの制御電圧のスペクトルの一例(a)を示してあるとともに、本例のD/A変換器4(或いは、D/A変換器6についても同様)からの制御電圧のスペクトルの一例(b)を示してある。同図に示したグラフの横軸は周波数[MHz]を示しており、縦軸はスペクトルの強度(レベル)[dB]を示している。
【0101】
同図において、比較例(a)と本例(b)とでは、直流(DC:Direct Current)の成分については同一のスペクトル強度を有しており、それ以外の周波数成分については本例(b)の方が比較例(a)と比較してスペクトル強度が約10[dB]低くなっている。この理由は、本例の歪補償テーブルの特性の方が、比較例に係る歪補償テーブルの特性と比較して、直線に近いためである。例えば、比較例(a)では15[MHz]以上においても歪補償に必要な成分を含むが、本例(b)では十分に減衰している。
【0102】
また、図4には、サンプリング周波数fs=約40[MHz]と設定した場合における、比較例に係るD/A変換器54(或いは、D/A変換器56についても同様)からの制御電圧のスペクトルの一例(a)を示してあるとともに、本例のD/A変換器4(或いは、D/A変換器6についても同様)からの制御電圧のスペクトルの一例(b)を示してある。同図に示したグラフの横軸は周波数[MHz]を示しており、縦軸はスペクトルの強度(レベル)[dB]を示している。
【0103】
サンプリング周波数fs=40[MHz]である場合には、サンプリング周波数fs=60[MHz]である場合と比べて、D/A変換器からの出力のイメージ信号の影響が強くなる。
同図において、本例(b)では制御信号とイメージ信号とのスペクトルが重なる約20[MHz]において約−40[dB]にまでスペクトル強度が減衰しているが、比較例(a)では約−25[dB]と大きく、歪補償に必要な信号成分がイメージ信号の影響を受けてしまう。
【0104】
なお、図5には、比較例に関して、サンプリング周波数fs=約40[MHz]と設定した場合におけるD/A変換器54(或いは、D/A変換器56についても同様)からの制御電圧のスペクトルの一例(a)を示してあるとともに、サンプリング周波数fs=約60[MHz]と設定した場合におけるD/A変換器54(或いは、D/A変換器56についても同様)からの制御電圧のスペクトルの一例(b)を示してある。同図に示したグラフの横軸は周波数[MHz]を示しており、縦軸はスペクトルの強度(レベル)[dB]を示している。約20[MHz]において、サンプリング周波数の違いによるスペクトルの違いが確認できる。fs=約40[MHz]では約20[MHz]で、すでにイメージ信号の影響を受けていることが分かる。
【0105】
以上のように、本例の増幅装置では、電圧可変減衰器9や電圧可変移相器10やD/A変換器4、6などから構成される適応プリディストータを備えるとともに、広帯域信号の影響を低減するために他のプリディストータを備えた。
ここで、当該他のプリディストータとしては、例えば当該適応プリディストータのように適応制御用のものが用いられてもよいが、本例では、予め歪を補償するための歪の情報が設定された固定用のもの(固定プリディストータ11)を用いた。また、本例では、デジタル処理を行わないアナログ用の固定プリディストータ11を用いた。
【0106】
また、本例の増幅装置では、固定プリディストータ11の入出力特性を、増幅部12を構成する増幅器で発生する歪が補償されるように調節して設定した。そして、固定プリディストータ11は、プリディストーション方式により、増幅部12で発生する歪を補償し、この結果として、例えば従来と比べて、適応プリディストータにおけるメモリ3の歪補償テーブルの非線形性が小さくなり、D/A変換器4、6からの出力(制御信号)の高周波数側及び低周波数側のスペクトル強度が小さくなる。
【0107】
このように、本例の増幅装置では、アナログのデバイスから成る固定プリディストータ11により粗く歪補償を行うことで、歪成分が広帯域に広がる影響を低減させて広帯域信号の影響を軽減し、これとともに、デジタル処理を伴う適応プリディストータにより、温度などの環境変化や経年変化に適応して、精度の良い歪補償を行う。そして、本例の増幅装置では、固定プリディストータ11を用いることにより負荷が分散されて、適応プリディストータにおける制御信号のスペクトル強度が小さくなることにより、デジタル系のサンプリングレート(サンプリング周波数)を低下させることができ、適応プリディストータなどにおけるクロック周波数を低くすることができる。
【0108】
従って、本例の増幅装置では、例えば従来と比べて、高速なデバイスを用いることが必ずしも必要ではなくなり、回路構成が技術的に容易に実施できて安価に実施が可能なものとなる。また、本例の増幅装置では、例えば従来と比べて、歪補償テーブルの内容を更新する適応プリディストータによる歪補償の収束速度を速くすることができる。また、本例の増幅装置では、例えば、必要に応じて、制御信号が通過するLPF5、7の通過周波数帯域を狭くすることも可能である。このように、本例の増幅装置は、非常に有効性が高い。
【0109】
ここで、本例では、電圧可変移相器10と増幅部12との間に固定プリディストータ11を備えたが、固定プリディストータ11を備える位置としては、例えば、アナログ領域であって増幅部12の前段の信号を処理する位置であれば任意の位置が用いられても同様な効果を得ることができ、増幅部12への入力信号にプリディストーション方式による歪補償特性が与えられればよい。
【0110】
具体的には、固定プリディストータ11は、例えば、入力信号が電力検出部1側と遅延部8側とに分岐される前における位置(図1中の“a”の位置)や、入力信号が電力検出部1側と遅延部8側とに分岐された後であって遅延部8の前段の位置(図1中の“b”の位置)や、遅延部8と電圧可変減衰器9との間の位置(図1中の“c”の位置)や、電圧可変減衰器9と電圧可変移相器10との間の位置(図1中の“d”の位置)に、備えることも可能である。
【0111】
また、例えば、固定プリディストータ11の歪補償特性を、電圧可変減衰器9と電圧可変移相器10とのいずれか一方或いは両方に持たせるような構成とすることも可能である。
また、電圧可変減衰器9の代わりに、電圧可変増幅器などを用いることも可能である。
また、適応プリディストータとしては、本例のものに限られず、種々なものが用いられてもよい。
【0112】
なお、本例の増幅装置では、増幅部12の増幅器が歪補償対象となり、増幅部12により増幅される対象となる信号として無線周波数のアナログ信号が用いられている。
また、本例の増幅装置では、固定プリディストータ11の機能により第1の歪発生手段が構成されており、適応プリディストータの機能により第2の歪発生手段が構成されている。
【0113】
また、本例の増幅装置では、電力検出部1の機能により信号レベル検出手段が構成されており、歪補償テーブルを格納するメモリ3の機能により信号レベル歪発生態様対応記憶手段やデジタル制御信号出力手段が構成されており、D/A変換器4、6の機能により制御信号D/A変換手段が構成されており、電圧可変減衰器9の機能及び電圧可変移相器10の機能により振幅位相歪発生手段が構成されている。
【0114】
また、本例の増幅装置では、方向性結合器13の機能により増幅信号一部取得手段が構成されており、発信器14の機能やミキサ15の機能により信号周波数低下手段が構成されており、BPF16の機能により歪成分抽出手段が構成されており、A/D変換器17の機能により歪成分A/D変換手段が構成されており、適応テーブル制御部18の機能により信号レベル歪発生態様対応内容変更手段が構成されている。
【0115】
また、本例の増幅装置に備えられた適応プリディストータは、例えば、入力信号に基づいて歪の発生態様を制御する歪発生態様制御手段と、当該制御に従って歪を発生させる歪発生実行手段を用いて構成されるととらえることや、或いは、例えば、入力信号に基づく歪の発生態様で歪を発生させる歪発生制御実行手段を用いて構成されるととらえることも可能である。
【0116】
本発明に係る第2実施例を示す。
本例では、上記図14に示したような歪補償機能付きの増幅装置(適応プリディストータ付き送信電力増幅部)に本発明に係る歪補償装置を適用した場合を示し、固定プリディストータを用いることでデジタル系に必要となるクロック信号の周波数(クロック周波数)を例えば従来と比べて低下させることを図る。
【0117】
図6には、本例の増幅装置の構成例を示してある。
本例の増幅装置には、電力演算部21と、歪補償テーブルを格納するメモリ22と、ベクトル演算部23と、D/A変換器24と、アップコンバータ25と、帯域通過フィルタ(BPF)26と、固定プリディストータ27と、増幅部28と、方向性結合器29と、ダウンコンバータ30と、低域通過フィルタ(LPF)31と、A/D変換器32と、直交復調部33と、適応テーブル制御部34が備えられている。
【0118】
なお、本例の増幅装置の構成や動作は、例えば固定プリディストータ27を用いることでデジタル系に必要となるクロック周波数を低下させた点に関する部分を除いては、上記図14に示した増幅装置の構成や動作と同様である。
【0119】
本例の増幅装置の動作例を示す。
前段の処理部(図示せず)から本例の増幅装置に入力される信号は、3つの信号に分配されて、第1の分配信号が電力演算部21に入力され、第2の分配信号がベクトル演算部23に入力され、第3の分配信号が適応テーブル制御部34に入力される。
電力演算部21は、前段の処理部(図示せず)から入力される送信対象となるI成分及びQ成分の信号の電力を検出して、当該検出結果をメモリ22へ出力する。
【0120】
なお、本例の増幅装置では、入力信号は入力されるまでに直交変調方式により変調されているとするが、他の構成例として、ベクトル演算部23とD/A変換器24との間の位置などの当該増幅装置内に直交変調手段を備えて、直交変調されていない信号を入力して当該信号を直交変調手段により直交変調するような構成とすることも可能である。
【0121】
メモリ22は、格納している歪補償テーブルの内容に基づいて、電力演算部21から入力されるデジタル信号を指標として、当該歪補償テーブルを参照した結果をベクトル演算部23へ出力する。具体的には、歪補償テーブルは、電力の検出結果を表すデジタル信号の値と、ベクトル演算部23への制御値とを対応付けて記憶している。そして、メモリ22は、歪補償テーブルを参照して、電力演算部21から入力されるデジタル信号の値に対応する制御値(デジタル制御信号)をベクトル演算部23へ出力する。
【0122】
ベクトル演算部23は、メモリ22から入力されるデジタル制御信号に従った振幅変化量及び位相変化量で、前段の処理部(図示せず)から入力される送信対象となるI成分及びQ成分の信号の振幅及び位相を制御し、当該制御後の信号をD/A変換器24へ出力する。
D/A変換器24は、ベクトル演算部23から入力される信号を、デジタル信号からアナログ信号へ変換して、アップコンバータ25へ出力する。
【0123】
アップコンバータ25は、D/A変換器24から入力される信号の周波数を無線周波数(RF)へ変換し、当該周波数変換後の信号をBPF26へ出力する。
BPF26は、アップコンバータ25から入力される信号の帯域を制限して、当該帯域制限後の信号を固定プリディストータ27へ出力する。
【0124】
固定プリディストータ27は、例えば非線形な素子を用いて構成されており、電BPF26から入力される信号に対して歪を発生させ、当該歪を発生させた信号を増幅部28へ出力する。なお、固定プリディストータ27は、入力される信号のレベルに応じた歪を当該信号に発生させる。
このように、本例では、ベクトル演算部23を用いた適応的なプリディストーションと、固定プリディストータ27を用いた固定的なプリディストーション(非適応的なプリディストーション)との両方により、プリディストーション方式で歪補償を行う。
【0125】
増幅部28は、固定プリディストータ27から入力される信号を増幅して、当該増幅信号を例えば後段のアンテナ(図示せず)へ出力する。
なお、増幅部28では、信号に歪が発生し、本例では、当該歪が、ベクトル演算部23により発生させられる振幅歪や位相歪や、固定プリディストータ27により発生させられる振幅歪や位相歪により、低減させられる。
【0126】
方向性結合器29は、増幅部28から出力される増幅信号の一部を取り出し、当該取り出した信号をダウンコンバータ30へ出力する。
ダウンコンバータ30は、方向性結合器29から入力される増幅信号の周波数を低い周波数へ変換し、当該周波数変換後の増幅信号をLPF31へ出力する。
【0127】
LPF31は、ダウンコンバータ30から入力される信号の帯域を制限して、当該帯域制限後の信号をA/D変換器32へ出力する。
A/D変換器32は、LPF31から入力される信号を、アナログ信号からデジタル信号へ変換して、直交復調部33へ出力する。
直交復調部33は、A/D変換器32から入力される信号を直交復調し、当該直交復調結果に相当するデジタル信号を適応テーブル制御部34へ出力する。
【0128】
適応テーブル制御部34は、前段の処理部(図示せず)から入力される送信対象となるI成分及びQ成分の信号と、直交復調部33から入力される直交復調結果の信号(I成分及びQ成分の信号)とに基づいて、メモリ22に格納される歪補償テーブルの内容を更新する。
【0129】
ここで、本例では、LPF31により入力信号に対応する信号成分を抽出して、当該抽出される信号成分と元の入力信号との誤差が小さくなるように適応テーブル制御部34により歪補償テーブルの内容を更新する制御が行われており、ダウンコンバータ30による周波数変換の特性や、LPF31の通過帯域の特性は、このような制御が適切に為されるように設定或いは制御される。
【0130】
次に、上記図9、上記図10及び図12を参照して、本例の増幅装置において、固定プリディストータ27を用いてクロック周波数を低下させる原理を示す。
なお、歪補償テーブルでは一般に振幅に関するテーブル及び位相に関するテーブルを構成するが、ここでは説明を簡略化するために、歪補償テーブルがメモリ22と等価な極座標表現を用いて構成されているとし、振幅に関するテーブルのみに着目して説明する。位相に関するテーブルについても、振幅に関するテーブルと同様である。
【0131】
上記図9には、固定プリディストータ27が備えられないとした場合における、ベクトル演算部23を用いた適応プリディストータの理想的な歪補償テーブルの特性例を示してある。同図に示したグラフの横軸は電力を示しており、縦軸は振幅に関する制御信号の値(振幅制御値)を示している。
【0132】
また、上記図10には、固定プリディストータ27が備えられた場合における、固定プリディストータ27による歪補償の特性例と、ベクトル演算部23を用いた適応プリディストータの理想的な歪補償テーブルの特性例を示してある。同図に示したグラフの横軸は電力を示しており、縦軸は振幅に関する制御信号の値(振幅制御値)を示している。
【0133】
上記図10に示した特性では、固定的なプリディストーション(固定PD)の特性と、適応的なプリディストーション(適応PD)の特性とを合わせたものが、上記図9に示した理想的なプリディストーション(理想PD)の特性と一致するのが理想的であり好ましい。
【0134】
図12(a)には、固定プリディストータ27が備えられないとした場合において、メモリ22の歪補償テーブルが上記図9に示した理想的な特性を有するときに、D/A変換器24から出力される信号のスペクトルの一例を示してある。
また、図12(b)には、固定プリディストータ27が備えられた場合において、メモリ22の歪補償テーブルが上記図10に示した理想的な適応プリディストーション(適応PD)の特性を有するときに、D/A変換器24から出力される信号のスペクトルの一例を示してある。
【0135】
なお、図12(a)、(b)に示したグラフの横軸は周波数[Hz]を示しており、縦軸はスペクトルの強度を示している。
また、同図(a)、(b)では、0[Hz]と比べて高い周波数に位置する信号(実線で示す)のスペクトルと、サンプリング周波数fs[Hz]と比べて低い周波数に位置するイメージ信号(点線で示す)のスペクトルを示してある。
【0136】
上記図12(a)、(b)に示されるように、固定プリディストータ27を備えない場合にはD/A変換器24から出力される信号とイメージ信号とが重なってしまうようなサンプリング周波数fsであっても、固定プリディストータ27を備えることにより、D/A変換器24から出力される信号の周波数帯域幅を比較的に小さく(狭く)することが可能であり、当該信号とイメージ信号とが重なってしまうことを回避することが可能である。
【0137】
このため、本例のように固定プリディストータ27を備えた構成では、例えば上記図14に示したように固定プリディストータを備えない場合と比較して、サンプリング周波数fsを低くすることが可能であり、これにより、D/A変換器24などのデジタル系のクロック周波数を低くすることが可能である。
【0138】
なお、固定プリディストータ27としては、アナログのデバイスが用いられており、このため、サンプリングレート(サンプリング周波数)とは特に関係がない。本例では、このような固定プリディストータ27を用いることにより、適応プリディストータにより発生させる歪成分のスペクトル強度を減衰させ、これにより、サンプリング周波数fs及びクロック周波数を低下させることを実現している。
【0139】
次に、上記図2及び図7を参照して、本例の増幅装置により得られる効果の具体例として、計算機シミュレーションにより得られた結果を示す。
なお、ここでは、固定プリディストータ27を備えた本例の増幅装置に対して、上記図14に示した増幅装置のように固定プリディストータを備えないものを比較例として、説明する。
【0140】
また、歪補償テーブルでは一般に振幅に関するテーブル及び位相に関するテーブルを構成するが、ここでは説明を簡略化するために、歪補償テーブルがメモリ22と等価な極座標表現を用いて構成されているとし、振幅に関するテーブルのみに着目して説明する。位相に関するテーブルについても、振幅に関するテーブルと同様である。
【0141】
上記図2には、比較例に係る歪補償テーブルの特性例(a)と、本例のメモリ22に格納される歪補償テーブルの特性例(b)を示してある。同図に示したグラフの横軸は電力を示しており、縦軸は振幅に関する制御信号の値(振幅制御値)を示している。
【0142】
図7には、CDMA方式により変調された2キャリアの信号を処理する場合における、比較例に係るD/A変換器74からの信号のスペクトルの一例(a)を示してあるとともに、本例のD/A変換器24からの信号のスペクトルの一例(b)を示してある。同図に示したグラフの横軸は周波数[MHz]を示しており、縦軸はスペクトルの強度(レベル)[dB]を示している。
【0143】
同図に示されるように、本例(b)では、比較例(a)と比較して、適応プリディストータにより発生させる歪成分のスペクトル強度が減衰する。
ここで、サンプリング周波数について考えると、まず、隣接チャネル漏洩電力(ACP)等のように装置に要求される特性により歪補償の精度が決定され、これにより、D/A変換器24からの出力に必要な精度(例えば、対キャリア電力[dBc])が決定される。
【0144】
一例として、歪補償に必要な精度が−60[dBc]である場合には、比較例(a)では、約90[MHz]の周波数帯域が必要であり、D/A変換器74のクロック周波数としてはその2倍の約180[MHz]が必要となるが、本例(b)では、約60[MHz]の周波数帯域が必要となるだけで、D/A変換器24のクロック周波数としてはその2倍の約120[MHz]が必要となるだけである。
【0145】
また、本例(b)では、例えば、中間周波数(IF)を低くすることが可能であり、また、フィルタ(例えば、BPF26)の帯域を狭くすることが可能である。
また、本例(b)では、D/A変換器24及び他のデジタル処理系のクロック周波数を低下させることが可能であり、クロック周波数を低下させても、例えば比較例(a)と同程度の歪補償精度を得ることができる。
【0146】
以上のように、本例の増幅装置では、ベクトル演算部23などから構成される適応プリディストータを備えるとともに、広帯域信号の影響を低減するために他のプリディストータを備えた。
ここで、当該他のプリディストータとしては、例えば当該適応プリディストータのように適応制御用のものが用いられてもよいが、本例では、予め歪を補償するための歪の情報が設定された固定用のもの(固定プリディストータ27)を用いた。また、本例では、デジタル処理を行わないアナログ用の固定プリディストータ27を用いた。
【0147】
また、本例の増幅装置では、固定プリディストータ27の入出力特性を、増幅部28を構成する増幅器で発生する歪が補償されるように調節して設定した。そして、固定プリディストータ27は、プリディストーション方式により、増幅部28で発生する歪を補償し、この結果として、例えば従来と比べて、適応プリディストータにおけるメモリ22の歪補償テーブルの非線形性が小さくなり、D/A変換器24からの出力(適応プリディストーション後の信号)の高周波数側及び低周波数側のスペクトル強度が小さくなる。
【0148】
このように、本例の増幅装置では、アナログのデバイスから成る固定プリディストータ27により粗く歪補償を行うことで、歪成分が広帯域に広がる影響を低減させて広帯域信号の影響を軽減し、これとともに、デジタル処理を伴う適応プリディストータにより、温度などの環境変化や経年変化に適応して、精度の良い歪補償を行う。そして、本例の増幅装置では、固定プリディストータ27を用いることにより負荷が分散されて、適応プリディストータにより歪が与えられた信号のスペクトル強度が小さくなることにより、デジタル系のサンプリングレート(サンプリング周波数)を低下させることができ、適応プリディストータなどにおけるクロック周波数を低くすることができる。
【0149】
従って、本例の増幅装置では、例えば従来と比べて、高速なデバイスを用いることが必ずしも必要ではなくなり、回路構成が技術的に容易に実施できて安価に実施が可能なものとなる。また、本例の増幅装置では、例えば従来と比べて、歪補償テーブルの内容を更新する適応プリディストータによる歪補償の収束速度を速くすることができる。また、本例の増幅装置では、例えば、必要に応じて、プリディストーション後の信号が通過するBPF26の通過周波数帯域を狭くすることも可能である。このように、本例の増幅装置は、非常に有効性が高い。
【0150】
ここで、本例では、BPF26と増幅部28との間に固定プリディストータ27を備えたが、固定プリディストータ27を備える位置としては、例えば、アナログ領域であって増幅部28の前段の信号を処理する位置であれば任意の位置が用いられても同様な効果を得ることができ、増幅部28への入力信号にプリディストーション方式による歪補償特性が与えられればよい。
【0151】
具体的には、固定プリディストータ27は、例えば、D/A変換器24とアップコンバータ25との間の位置(図6中の“a”の位置)や、アップコンバータ25とBPF26との間の位置(図6中の“b”の位置)に、備えることも可能である。
また、適応プリディストータとしては、本例のものに限られず、種々なものが用いられてもよい。
【0152】
なお、本例の増幅装置では、増幅部28の増幅器が歪補償対象となり、増幅部28により増幅される対象となる信号として例えばベースバンド(BB)や中間周波数(IF)のI成分及びQ成分から成るデジタル信号が用いられている。
また、本例の増幅装置では、固定プリディストータ27の機能により第1の歪発生手段が構成されており、適応プリディストータの機能により第2の歪発生手段が構成されている。
【0153】
また、本例の増幅装置では、電力演算部21の機能により信号レベル検出手段が構成されており、歪補償テーブルを格納するメモリ22の機能により信号レベル歪発生態様対応記憶手段やデジタル制御信号出力手段が構成されており、ベクトル演算部23の機能により振幅位相歪発生手段が構成されており、D/A変換器24の機能により信号D/A変換手段が構成されており、アップコンバータ25の機能により信号周波数変換手段が構成されている。
【0154】
また、本例の増幅装置では、方向性結合器29の機能により増幅信号一部取得手段が構成されており、ダウンコンバータ30の機能により信号周波数低下手段が構成されており、LPF31の機能により信号フィルタリング手段が構成されており、A/D変換器32の機能によりフィルタリング信号A/D変換手段が構成されており、直交復調部33の機能により信号復調手段が構成されており、適応テーブル制御部34の機能により信号レベル歪発生態様対応内容変更手段が構成されている。
【0155】
また、本例の増幅装置に備えられた適応プリディストータは、例えば、入力信号に基づいて歪の発生態様を制御する歪発生態様制御手段と、当該制御に従って歪を発生させる歪発生実行手段を用いて構成されるととらえることや、或いは、例えば、入力信号に基づく歪の発生態様で歪を発生させる歪発生制御実行手段を用いて構成されるととらえることも可能である。
【0156】
本発明に係る第3実施例を示す。
本例では、本発明に係る歪補償装置を適用した増幅装置の一例として、概略化した構成例を示す。本例の増幅装置では、概略化している構成部分については、種々な構成を実施することが可能である。
【0157】
図8には、本例の増幅装置の構成例を示してある。
本例の増幅装置には、適応的なプリディストーション処理を行う適応プリディストーション部(適応PD部)41と、固定的なプリディストーション処理を行う固定プリディストーション部(固定PD部)42と、歪補償の対象となる増幅部43と、適応PD部41を制御する制御部44が備えられている。
【0158】
本例の増幅装置の動作例を示す。
前段の処理部(図示せず)から入力される信号は、2つの信号に分配され、第1の分配信号は適応PD部41に入力され、第2の分配信号は制御部44に入力される。
適応PD部41は、前段の処理部(図示せず)から入力される信号に対して適応プリディストーション方式による歪を発生させ、当該歪を発生させた当該信号を固定PD部42へ出力する。
【0159】
固定PD部42は、適応PD部41から入力される信号に対して固定プリディストーション方式による歪を発生させ、当該歪を発生させた当該信号を増幅部43へ出力する。
増幅部43は、固定PD部42から入力される信号を増幅し、当該増幅信号を例えば後段のアンテナ(図示せず)へ出力する。
【0160】
また、増幅部43から出力される増幅信号の一部が取得されて、制御部44に入力される。
制御部44は、前段の処理部(図示せず)から入力される信号と、増幅部43からフィードバックされる増幅信号との一方又は両方に基づいて、適応PD部41により行われる適応プリディストーション処理に関する制御を行う。
【0161】
以上のように、本例の増幅装置では、適応PD部41と共に他のPD部(本例では、固定PD部42)を備えることにより、例えば適応PD部41などに必要となるクロック周波数を低くすることができ、歪補償の効率化を図ることができる。
【0162】
なお、本例の増幅装置では、増幅部43の増幅器が歪補償対象となり、固定PD部42の機能により第1の歪発生手段が構成されており、適応PD部41の機能により第2の歪発生手段が構成されている。
また、本例の増幅装置に備えられた適応プリディストータでは、例えば、入力信号に基づいて歪の発生態様を制御する歪発生態様制御手段が制御部44の機能により構成され、当該制御に従って歪を発生させる歪発生実行手段が適応PD部41により構成されているととらえることも可能である。
【0163】
ここで、本明細書では、増幅器への入力に対してアナログ的な非線形性を与える装置を「固定プリディストータ」と表現して説明したが、例えば、「リニアライザ」やその他の呼称で表現される場合であっても、同様な装置であれば、本発明に包含される。
【0164】
また、本発明に係る歪補償装置や増幅装置や通信装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。なお、本発明は、例えば本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムなどとして提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
【0165】
また、本発明に係る歪補償装置や増幅装置や通信装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【0166】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る歪補償装置によると、例えばアナログのデバイスから成る第1の歪発生部が増幅器により増幅される対象となる信号に対して増幅器で発生する歪を低減するための歪を発生させ、これとともに、第1の歪発生部の前段や後段において、例えばデジタルのデバイスを含む第2の歪発生部が増幅器により増幅される対象となる信号に対して増幅器で発生する歪について第1の歪発生部による歪では低減させられない成分を低減するための歪を発生させて、信号を増幅する増幅器で発生する歪を補償するようにしたため、歪補償の効率化を図ることが可能であり、具体的には、例えば従来と比べて、デジタルのデバイスに必要となるサンプリング周波数やクロック周波数を低くして、実現が容易で安価な実施を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る増幅装置の構成例を示す図である。
【図2】歪補償テーブルの特性の一例を示す図である。
【図3】D/A変換器から出力される制御信号のスペクトルの一例を示す図である。
【図4】D/A変換器から出力される制御信号のスペクトルの一例を示す図である。
【図5】D/A変換器から出力される制御信号のスペクトルの比較の一例を示す図である。
【図6】本発明の第2実施例に係る増幅装置の構成例を示す図である。
【図7】D/A変換器から出力される信号のスペクトルの比較の一例を示す図である。
【図8】本発明の第3実施例に係る増幅装置の構成例を示す図である。
【図9】理想的な歪補償テーブルの特性の一例を示す図である。
【図10】固定プリディストーションと適応プリディストーションを用いる場合における歪補償テーブルの特性の一例を示す図である。
【図11】D/A変換器から出力される制御信号のスペクトルの一例を示す図である。
【図12】D/A変換器から出力される信号のスペクトルの一例を示す図である。
【図13】適応プリディストータ付き送信電力増幅部の構成例を示す図である。
【図14】適応プリディストータ付き送信電力増幅部の構成例を示す図である。
【図15】D/A変換器からの出力の特性の一例を示す図である。
【図16】D/A変換器から出力される制御信号のスペクトルの一例を示す図である。
【図17】D/A変換器から出力される信号のスペクトルの一例を示す図である。
【符号の説明】
1、51・・電力検出部、
2、17、32、52、66、81・・A/D変換器、
3、22、53、72・・メモリ(歪補償テーブル)、
4、6、24、54、56、74・・D/A変換器、
5、7、31、55、57、80・・LPF、 8、58・・遅延部、
9、59・・電圧可変減衰器、 10、60・・電圧可変移相器、
11、27・・固定プリディストータ、
12、28、43、61、77・・増幅部、
13、29、62、78・・方向性結合器、 14、63・・発信器、
15、64・・ミキサ、 16、26、65、76・・BPF、
18、34、67、83・・適応テーブル制御部、
21、71・・電力演算部、 23、73・・ベクトル演算部、
25、75・・アップコンバータ、 30、79・・ダウンコンバータ、
33、82・・直交復調部、
41・・適応プリディストーション部(適応PD部)、
42・・固定プリディストーション部(固定PD部)、 44・・制御部、
Claims (5)
- 信号を増幅する増幅器で発生する歪を補償する歪補償装置において、
増幅器により増幅される対象となる信号に対して増幅器で発生する歪を低減するための歪を発生させる第1の歪発生手段と、
増幅器により増幅される対象となる信号に基づいて、当該信号に対して、増幅器で発生する歪について第1の歪発生手段により発生させられる歪により低減させられる成分以外の成分を低減するための歪を発生させる第2の歪発生手段と、
を備えたことを特徴とする歪補償装置。 - 請求項1に記載の歪補償装置において、
第1の歪発生手段は、アナログのデバイスを用いて構成され、増幅器により増幅される対象となる信号に対して固定的に設定された態様で歪を発生させる機能を有し、
第2の歪発生手段は、クロック信号に基づいて動作を行うデジタルのデバイスを含んで構成され、
当該第2の歪発生手段は、増幅器により増幅される対象となる信号に基づいて歪の発生態様を制御する歪発生態様制御手段と、歪発生態様制御手段により制御される歪の発生態様で増幅器により増幅される対象となる信号に対して歪を発生させる歪発生実行手段とを用いて構成された、
ことを特徴とする歪補償装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の歪補償装置において、
第2の歪発生手段は、増幅器により増幅される対象となる信号のレベルを検出する信号レベル検出手段と、信号のレベルと歪の発生態様との対応を記憶する信号レベル歪発生態様対応記憶手段と、信号レベル歪発生態様対応記憶手段の記憶内容に基づいて信号レベル検出手段により検出される信号のレベルに対応する歪の発生態様で増幅器により増幅される対象となる信号に対して歪を発生させる歪発生制御実行手段と、増幅器により増幅された信号に基づいて信号レベル歪発生態様対応記憶手段により記憶される信号のレベルと歪の発生態様との対応の内容を変更する信号レベル歪発生態様対応内容変更手段とを用いて構成された、
ことを特徴とする歪補償装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の歪補償装置において、
当該歪補償装置には、増幅器により増幅される対象となる信号として、無線周波数のアナログ信号が入力され、
第2の歪発生手段は、増幅器により増幅される対象となるアナログ信号のレベルを検出する信号レベル検出手段と、信号のレベルと歪の発生態様との対応を記憶する信号レベル歪発生態様対応記憶手段を有して信号レベル検出手段により検出される信号のレベルに対応する歪の発生態様を実現するためのデジタル制御信号を出力するデジタル制御信号出力手段と、デジタル制御信号出力手段により出力されるデジタル制御信号をアナログ制御信号へ変換する制御信号D/A変換手段と、制御信号D/A変換手段により得られるアナログ制御信号に基づいて増幅器により増幅される対象となるアナログ信号に対して振幅及び位相の一方又は両方の歪を発生させる振幅位相歪発生手段とを用いて構成され、
第1の歪発生手段は、第2の歪発生手段を構成する振幅位相歪発生手段により歪が発生させられたアナログ信号に対して歪を発生させ、当該歪を発生させた当該アナログ信号を増幅器に対して出力する、
ことを特徴とする歪補償装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の歪補償装置において、
当該歪補償装置には、増幅器により増幅される対象となる信号として、I成分及びQ成分から成るデジタル信号が入力され、
第2の歪発生手段は、増幅器により増幅される対象となるデジタル信号のレベルを検出する信号レベル検出手段と、信号のレベルと歪の発生態様との対応を記憶する信号レベル歪発生態様対応記憶手段を有して信号レベル検出手段により検出される信号のレベルに対応する歪の発生態様を実現するためのデジタル制御信号を出力するデジタル制御信号出力手段と、デジタル制御信号出力手段により出力されるデジタル制御信号に基づいて増幅器により増幅される対象となるデジタル信号に対して振幅及び位相の一方又は両方の歪を発生させる振幅位相歪発生手段とを用いて構成され、
当該歪補償装置は、第2の歪発生手段を構成する振幅位相歪発生手段により歪が発生させられたデジタル信号をアナログ信号へ変換する信号D/A変換手段と、信号D/A変換手段により得られるアナログ信号の周波数を無線周波数へ変換する信号周波数変換手段とを備え、
第1の歪発生手段は、信号周波数変換手段により得られる無線周波数のアナログ信号に対して歪を発生させ、当該歪を発生させた当該アナログ信号を増幅器に対して出力する、
ことを特徴とする歪補償装置。
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