JP2004305768A - 湿潤時に表面が潤滑性を有する医療用具 - Google Patents
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Abstract
【課題】湿潤時に潤滑性物質の脱離、剥離、溶出のない、安全で、しかも潤滑性が持続する潤滑層を医療用具基材表面に有するポリオレフィン系基材よりなる医療用具を提供する
【構成】ポリオレフィンまたは変性ポリオレフィンを主成分とする層を少なくとも外層に配置した単層または多層の医療用具基材の外表面に、該ポリオレフィンまたは変性ポリオレフィンに対して接着性を有する樹脂を主成分とする接着層と、反応性官能基を分子内に有し該反応性官能基同士が反応して分子間架橋を形成した親水性高分子の不溶化物を主成分とする表面潤滑層を形成させたことを特徴とする医療用具。
【選択図】なし
【構成】ポリオレフィンまたは変性ポリオレフィンを主成分とする層を少なくとも外層に配置した単層または多層の医療用具基材の外表面に、該ポリオレフィンまたは変性ポリオレフィンに対して接着性を有する樹脂を主成分とする接着層と、反応性官能基を分子内に有し該反応性官能基同士が反応して分子間架橋を形成した親水性高分子の不溶化物を主成分とする表面潤滑層を形成させたことを特徴とする医療用具。
【選択図】なし
Description
本発明は、湿潤時にハイドロゲルを形成する潤滑層を外表面に有する医療用具に関する。より詳しくは、カテーテルバルーン及び該カテーテルバルーンを装着した拡張カテーテルに関する。
近年、血管や気管支などの狭窄部を拡張するための医療用具として、バルーンを先端に有する拡張カテーテルが頻繁に使用されている。カテーテルバルーンを目的部位にアクセスするための操作性を向上させることや、血管内壁などへの組織損傷を低減させることを目的として、低摩擦材料をカテーテルバルーンに用いたり、カテーテルバルーン表面の低摩擦化のために、潤滑剤、低摩擦性樹脂、親水性重合体などをカテーテルバルーン基材にコーティングする方法が検討されている。
基材表面にフッ素樹脂やシリコン樹脂、シリコンオイル、オリーブオイル、グリセリンなどを塗布する方法は、簡便な方法ではあるが、潤滑性物質の基材表面からの脱離、剥離、溶出といった安全面や効果の持続性において問題があるものが多い。
近年では、親水性ポリマーをコーティングして反応させ、表面にハイドロゲルを形成させることにより、低摩擦性表面を作製する方法が研究されている。例えば、特許文献1では、イソシアネートを用いて親水性ポリマー(ポリビニルピロリドン)を基材表面にコートする方法が開示されている。また、イソシアネートを利用して、反応性官能基を共重合した親水性ポリマーをコートする方法(特許文献2)やポリエチレンオキサイド(特許文献3)をコートする方法が開示されている。また、特許文献4には、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、メルカプト基の少なくとも1種以上が存在している表面に、ポリイソシアネートを介してポリエーテル、ポリアミド、ポリシロキサン等の共重合体を結合させる方法が記載されている。これらの表面潤滑化方法は、イソシアネート化合物と親水性ポリマーの2種類の化合物を均一にコーティングしなければならなかったり、複数のコーティング操作(例えば、ポリイソシアナートなどの架橋性化合物のコーティングと親水性ポリマーのコーティング)を必要としており、操作性の面で好ましくなかった。また、イソシアネート基などの反応性官能基を分子内に複数有する化合物は、高い反応性を有しており、容易に空気中の水分や不純物と反応するため、工程や試薬の管理が煩雑であり、人体に対しても有害であるなどの問題点を有していた。
特許文献5には、反応性官能基を有するポリマー(A成分)を基材表面に塗布した後、該反応性官能基と反応しうる反応性官能基を有する親水性ポリマー(B成分)をコートする方法が記載されている。しかしながら、この方法は、(A成分)と(B成分)との反応により基材表面に(B成分)を保持させうる方法のため、(A成分)と(B成分)との接着性は良好となるが、(A成分)と基材との接着性が問題となる。特に、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンを基材とした場合、(A成分)と(B成分)との反応物が、煮沸等では剥離が見られなくても指でこすると容易に剥離してくる場合が多い。
またカテーテルバルーンのように、ポリオレフィン樹脂を延伸処理して作製した成形物は、結晶性や配向性が強いため表面処理が難かしく、強固なハイドロゲル化する表面潤滑層を形成させることは困難であった。
本発明の目的は、湿潤時に潤滑性物質の脱離、剥離、溶出のない、安全で、しかも潤滑性が持続する潤滑層を表面に有するポリオレフィン系基材よりなる医療用具、特にカテーテルバルーンを提供することにある。
上記目的は、下記構成の本発明により達成される。
(1)ポリオレフィンまたは変性ポリオレフィンを主成分とする層を少なくとも外層に配置した単層または多層の医療用具基材の外表面に、(a)該ポリオレフィンまたは該変性ポリオレフィンに対して接着性を有する樹脂と反応性官能基を分子内に有する親水性高分子の不溶化物との混合物を主成分とする表面潤滑層を、形成させたことを特徴とする湿潤時にハイドロゲル層を外表面に形成する医療用具。
(2)ポリオレフィンまたは変性ポリオレフィンを主成分とする層を少なくとも外層に配置した単層または多層の医療用具基材の外表面に、(a)該ポリオレフィンまたは該変性ポリオレフィンに対して接着性を有する樹脂を主成分とする接着層と、(b)該接着層と接合し、かつ反応性官能基を分子内に有する親水性高分子の不溶化物を主成分とする表面潤滑層とを、形成させたことを特徴とする湿潤時にハイドロゲル層を外表面に形成する医療用具。
(1)ポリオレフィンまたは変性ポリオレフィンを主成分とする層を少なくとも外層に配置した単層または多層の医療用具基材の外表面に、(a)該ポリオレフィンまたは該変性ポリオレフィンに対して接着性を有する樹脂と反応性官能基を分子内に有する親水性高分子の不溶化物との混合物を主成分とする表面潤滑層を、形成させたことを特徴とする湿潤時にハイドロゲル層を外表面に形成する医療用具。
(2)ポリオレフィンまたは変性ポリオレフィンを主成分とする層を少なくとも外層に配置した単層または多層の医療用具基材の外表面に、(a)該ポリオレフィンまたは該変性ポリオレフィンに対して接着性を有する樹脂を主成分とする接着層と、(b)該接着層と接合し、かつ反応性官能基を分子内に有する親水性高分子の不溶化物を主成分とする表面潤滑層とを、形成させたことを特徴とする湿潤時にハイドロゲル層を外表面に形成する医療用具。
本発明において反応性官能基を有する親水性高分子とは、反応性官能基としてエポキシ基、酸クロリド基、アルデヒド基、イソシアネート基などを分子内に有し、水溶性または水を10%以上吸水し膨潤する高分子化合物である。表面潤滑性の発現は、親水性高分子が生理食塩水、緩衝液、血液などの水系溶媒を吸水することによって起こる。すなわち、材料表面に存在する水が、血管壁と接触した界面で流体潤滑による潤滑機能を発現することによって、起こると考えられる。従って、本発明における親水性高分子は、使用する温度(通常30〜40℃)領域で吸水率が100wt%以上であることが、潤滑性発現のためには好ましい。
反応性官能基を有する親水性高分子の製造方法は、反応性官能基を分子内に有する単量体と親水性単量体とを共重合することにより得ることができる。好ましくは、反応性官能基を有する単量体が集まって反応性ドメインを形成し、かつ親水性単量体が集まって親水性ドメインを形成しているブロック共重合体またはグラフト共重合体である。ブロック共重合体またはグラフト共重合体であると、表面潤滑層の強度や潤滑性において良好な結果が得られる。
反応性官能基を有する単量体としては、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートなどの反応性複素環を分子内に有する単量体、アクリル酸クロリドやメタクリル酸クロリドなどの酸クロリドを分子内に有する単量体、アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基を分子内に有する単量体などを例示できる。好ましい反応性単量体としては、反応性基がエポキシ基であり、反応が熱により促進され、取り扱いも比較的容易であるグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートである。反応性ドメインは、これら反応性単量体と非反応性単量体との共重合体よりなるドメインであっても良い。
親水性単量体としては、アクリルアミドやその誘導体、ビニルピロリドン、アクリル酸やメタクリル酸及びそれらの誘導体で水溶性の単量体を主な構成成分とする重合体を例示できる。例えば、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、ビニルピロリドン、2−メタクロイルオキシエチルフォスフォリルコリン、2−メタクリロイルオキシエチル−D−グリコシド、2−メタクリロイルオキシエチル−D−マンノシド、ビニルメチルエーテルなどを好適に例示できるがこれらに限定されるものではない。
反応性官能基を有する親水性高分子としては、好ましくは、熱により反応が容易に促進されるエポキシ基を分子内に有する高分子である。反応性官能基を有する親水性高分子を医療用具基材に被覆した後、40℃以上で加熱処理を行うことにより、不溶化して容易に表面潤滑層を形成させることができる。加熱処理は、親水性高分子間での反応や、医療用具基材表面に親水性高分子と反応しうる官能基がある場合は医療用具基材との反応を促進する。その温度は、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは60℃以上である。反応を促進するために、熱以外にも触媒を加えても良く、例えば、エポキシ基に対しては、トリアルキルアミン化合物やピリジンなどの3級アミン化合物が好適に使用される。また、熱以外にも反応を促進させるため、光、電子線、放射線などを利用してもかまわない。
また、反応性官能基を有する親水性高分子に、該反応性官能基と反応する親水性高分子、例えば、反応性官能基がエポキシ基の場合、エポキシ基と反応するカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、無水カルボン酸、チオール基などを有する単量体を構成成分とする親水性高分子とを添加し、反応させて不溶化した表面潤滑層を形成させてもかまわない。
変性ポリオレフィンとは、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他の単量体との共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体)やオレフィンを主成分としたポリマーアロイである。共重合する単量体としては、無水マレイン酸、アクリル酸やその誘導体、メタクリル酸やその誘導体、ビニルオキシシラン、ケテンアセタール、ジオキソラン、酢酸ビニルなどを例示できる。
ポリオレフィンに対して接着性を有するポリマーとしては、ポリオレフィンへの接着性ポリマーとして市販されているポリマーや、ポリオレフィンとの相溶性や接着性を向上させるために合成された高分子であればよい。例えば、ポリオレフィンと無水マレイン酸、エチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、グリシジルメタクリレートなどとの共重合体が、良好な接着性を示すこととなる。
変性ポリオレフィンに対する接着性ポリマーとしては、基材と同様の構造を有する変性ポリオレフィンを初めとした前述の変性ポリオレフィン類を例示できる。
医療用具の外表面に被覆された表面潤滑層は、反応性官能基を有する親水性高分子よりなり、医療用具の外表面で、熱等により親水性高分子内の反応性官能基同士が反応し、分子間架橋を形成する。架橋された親水性高分子は、体液や生理食塩水と接触すると吸水して膨潤し、潤滑性を有するハイドロゲル層となる。
また、医療用具基材を形成する変性ポリオレフィンや、接着層を形成する接着性ポリマーが、表面潤滑層を形成する親水性高分子と反応しうる官能基を有する場合は、親水性高分子と変性ポリオレフィンや接着性ポリマーとが反応して強固な表面潤滑層を形成する。さらに、医療用具基材が親水性高分子と反応しうる官能基を持たないポリオレフィンであっても、接着層としてポリオレフィンと接着性のある接着性ポリマーを用いているため、親水性高分子を主成分とする表面潤滑層の耐剥離性は向上することとなる。
接着層の形成は、共押出しやコーティングにより、予め医療用具基材上に接着性ポリマーを存在させても良いし、親水性高分子と共に接着性ポリマーを溶媒に溶解させ医療用具基材に塗布してもよい。また、接着性ポリマーの医療用具基材に対する耐剥離性を高めるには、基材が膨潤する溶媒に接着性ポリマーを溶解させて、被覆することが望ましい。そのような溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ヘキサン、塩化メチレンやそれらをベースとした混合溶媒を例示でき、基材の性質によって選定され、コート条件が設定される。
特に医療用具が拡張カテーテルバルーンの場合には、表面潤滑層はバルーン全体に形成する必要はなく、バルーンの先端側や基部側のテーパー部分等に、部分的に形成させてもよい。特に、血管を拡張する際、目的部位での保持を考えた場合は、バルーン全体を処理しないほうが好ましい。一方、拡張した血管の再狭窄を抑える目的で薬剤(抗血栓薬)を投与する場合は、全体に処理を行ったほうがよい。
また、カテーテルバルーン基材は、表面にオレフィンまたは変性ポリオレフィン層が存在していれば良く、多層バルーンであっても金属を含むバルーンであってもかまわない。多層化する場合は、耐圧性を向上させたり、圧力による変形を押さえたバルーン(ノンコンプライアントタイプ)にするため、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイト、ポリエーテルスルホン、ポリイミドなどとの多層化を例示できる。
さらにカテーテルバルーンの製造方法の代表的な例を以下に示す。
(1)ポリオレフィンまたは変性ポリオレフィンを主成分とする表面層を有するカテーテルバルーンを成形した。
(2)上記バルーンを基材として、該ポリオレフィンまたは該変性ポリオレフィンに対して接着性を有する樹脂と、反応性官能基を分子内に有する親水性高分子を少なくとも含む溶液を該基材に塗布した。
(3)該親水性高分子を熱等により反応させ、基材表面に潤滑層を有する表面潤滑化ポリオレフィンカテーテルバルーンを製造した。
(1)ポリオレフィンまたは変性ポリオレフィンを主成分とする表面層を有するカテーテルバルーンを成形した。
(2)上記バルーンを基材として、該ポリオレフィンまたは該変性ポリオレフィンに対して接着性を有する樹脂と、反応性官能基を分子内に有する親水性高分子を少なくとも含む溶液を該基材に塗布した。
(3)該親水性高分子を熱等により反応させ、基材表面に潤滑層を有する表面潤滑化ポリオレフィンカテーテルバルーンを製造した。
また、別の製造方法として
(1)ポリオレフィンまたは変性ポリオレフィンを主成分とする表面層を有するカテーテルバルーンを成形した。
(2)上記バルーンを基材として、該ポリオレフィンまたは該変性ポリオレフィンに対して接着性を有する樹脂を少なくとも含む溶液を該基材に塗布した。
(3)さらに反応性官能基を分子内に有する親水性高分子を少なくとも含む溶液を塗布した。
(4)該親水性高分子を熱等により反応させ、基材表面に潤滑層を有する表面潤滑化ポリオレフィンカテーテルバルーンを製造した。
(1)ポリオレフィンまたは変性ポリオレフィンを主成分とする表面層を有するカテーテルバルーンを成形した。
(2)上記バルーンを基材として、該ポリオレフィンまたは該変性ポリオレフィンに対して接着性を有する樹脂を少なくとも含む溶液を該基材に塗布した。
(3)さらに反応性官能基を分子内に有する親水性高分子を少なくとも含む溶液を塗布した。
(4)該親水性高分子を熱等により反応させ、基材表面に潤滑層を有する表面潤滑化ポリオレフィンカテーテルバルーンを製造した。
さらに、潤滑層の強化および機能向上のために、上記塗布工程を複数回行うことも可能である。
本発明の医療用具としては、特に血管内で使用されるカテーテルやガイドワイヤー類を好適に例示できるが、その他にも下記の医療器を例示できる。
1)胃管カテーテル、栄養カテーテル、経管栄養用(ED)チューブなどの経口ないし経鼻的に消化器管内に挿入ないし留置されるカテーテル類。
2)酸素カテーテル、酸素カヌラ、気管内チューブのチューブやカフ、気管切開チューブのチューブやカフ、気管内吸引カテーテルなど経口ないし経鼻的に気道ないし気管内に挿入ないし留置されるカテーテル類
3)尿道カテーテル、導尿カテーテル、バルーンカテーテルのカテーテルやバルーンなどの尿道ないし尿管内に挿入ないし留置されるカテーテル類
4)吸引カテーテル、排液カテーテル、直腸カテーテルなど各種体腔、臓器、組織内に挿入ないし留置されるカテーテル類。
5)留置針、IVHカテーテル、サーモダイリューションカテーテル、血管造影用カテーテル、血管拡張用カテーテル及びダイレーターあるいはイントロデユーサなどの血管内に挿入ないし留置されるカテーテル類。あるいは、これらのカテーテル用のガイドワイヤー、スタイレット等。
6)各種器官挿入用の検査器具や治療器具、コンタクトレンズ等
7)ステント類や人工血管、人口気管、人口気管支等。
8)体外循環治療用の医療器(人工心臓、人工肺、人工腎臓等)やその回路類。
1)胃管カテーテル、栄養カテーテル、経管栄養用(ED)チューブなどの経口ないし経鼻的に消化器管内に挿入ないし留置されるカテーテル類。
2)酸素カテーテル、酸素カヌラ、気管内チューブのチューブやカフ、気管切開チューブのチューブやカフ、気管内吸引カテーテルなど経口ないし経鼻的に気道ないし気管内に挿入ないし留置されるカテーテル類
3)尿道カテーテル、導尿カテーテル、バルーンカテーテルのカテーテルやバルーンなどの尿道ないし尿管内に挿入ないし留置されるカテーテル類
4)吸引カテーテル、排液カテーテル、直腸カテーテルなど各種体腔、臓器、組織内に挿入ないし留置されるカテーテル類。
5)留置針、IVHカテーテル、サーモダイリューションカテーテル、血管造影用カテーテル、血管拡張用カテーテル及びダイレーターあるいはイントロデユーサなどの血管内に挿入ないし留置されるカテーテル類。あるいは、これらのカテーテル用のガイドワイヤー、スタイレット等。
6)各種器官挿入用の検査器具や治療器具、コンタクトレンズ等
7)ステント類や人工血管、人口気管、人口気管支等。
8)体外循環治療用の医療器(人工心臓、人工肺、人工腎臓等)やその回路類。
本発明のカテーテルバルーンは、ポリオレフィンまたは変性ポリオレフィンよりなる基材表面に接着性ポリマーと親水性高分子の不溶化物との混合物を結合した材料であったり、基材表面に接着性ポリマーを介して親水性高分子の不溶化物を結合した材料であるため、基材表面に直接親水性高分子を結合した材料と比較して、親水性高分子よりなる表面潤滑層の耐剥離性が優れることとなる。また本発明のカテーテルバルーンは、潤滑性表面を有するため、目的部位への到達性や生体組織(血管内壁等)への低侵襲性に優れている。さらに、湿潤時にハイドロゲルを形成する表面潤滑層は、薬剤リザーバーとしての機能を有するため、薬剤投与用のバルーンカテーテルとしても有用となる。
以下実施例をあげて、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
<カテーテルバルーン基材の作製>変性ポリオレフィン(アクリル酸変性ポリエチレン A221M、 三菱油化(株)製)を外径1.1mm、内径0.7mmのチューブに成形した後、2軸延伸配向することにより、図1のようなバルーンを作製した。すなわち、チューブをチューブ軸方向に引っ張り延伸した後、バルーンの拡張状態の形状の凹部(キャビティー)を有する金型を用いて、チューブ内を加圧してチューブ半径方向に膨張させることにより、バルーン(外径3mm)形状に成形した。
(実施例1)
<カテーテルバルーン基材の作製>変性ポリオレフィン(アクリル酸変性ポリエチレン A221M、 三菱油化(株)製)を外径1.1mm、内径0.7mmのチューブに成形した後、2軸延伸配向することにより、図1のようなバルーンを作製した。すなわち、チューブをチューブ軸方向に引っ張り延伸した後、バルーンの拡張状態の形状の凹部(キャビティー)を有する金型を用いて、チューブ内を加圧してチューブ半径方向に膨張させることにより、バルーン(外径3mm)形状に成形した。
<ブロックポリマー(親水性高分子)の合成>アジピン酸2塩化物72.3g中に50℃でトリエチレングリコール29.7gを滴下した後、50℃で3時間塩酸を減圧除去して得られたオリゴエステル22.5gにメチルエチルケトン4.5gを加え、水酸化ナトリウム5g,31%過酸化水素6.93g,界面活性剤ジオクチルホスフェート0.44g、水120gよりなる溶液中に滴下し、−5℃で20分間反応させた。得られた生成物は、水洗、メタノール洗浄を繰り返した後、乾燥させて分子内に複数のパーオキサイド基を有するポリ過酸化物を(PPO)を得た。続いて、このPPOを重合開始剤として0.5g、グリシジルメタクリレート(GMA)9.5gを、ベンゼン30gを溶媒として、80℃、2時間、減圧下で撹拌しながら重合した。反応物は、ジエチルエーテルで再沈して、分子内にパーオキサイド基を有するポリGMAを得た。続いて、このポリGMA1gを重合開始剤とし、親水性モノマーとしてジメチルアクリルアミド(DMAA)8gをDMSO中に仕込み、80℃、18時間重合させることにより、反応性ドメインとしてポリGMA、水膨潤性の親水性ドメインとしてポリDMAAを有するブロックコポリマー(親水性高分子)として、ジメチルアクリルアミド−グリシジルメタクリレート(モル比6:1)のブロックコポリマーを合成した。
<表面潤滑化カテーテルバルーンの作製>作製したバルーン基材を、変性ポリオレフィンであるエチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸3元共重合体(住化シーディーエフ化学社製:ボンダインAX−8390)が1%、ブロックポリマーが2%、触媒としてピリジンを1%含むクロロホルム/トルエン(重量比1:1)溶液に1分間浸漬した後、60℃のオーブンで18時間乾燥させた。
<表面潤滑性の評価試験方法>カテーテルバルーンの表面潤滑性として下記2つの指標を採用した。即ち、カテーテルバルーンの血管狭窄部(目的部位)への操作性指標として摩擦抵抗値を、カテーテルバルーンの血管狭窄部(目的部位)での保持性の指標としての引き抜き抵抗値を、さらに表面潤滑性の持続性の指標として摩擦抵抗値の変化(△摩擦抵抗値)を採用した。
(1)摩擦抵抗
図2に示すように、ポリプロピレン(ハイポール F401、三井石油化学工業株製)30重量部とポリブテン(ビューロン、三井石油化学工業株製)70重量部を2軸混練させ、内径0.85mm、外径1.00mmのシャフト2を作製し、実施例で作製したバルーン1をシャフト先端に接着したカテーテル3を作製した。次に図3に示すように、内径3mm外径5mmのポリエチレンパイプ7で、卷回部(内径30mmで一周半巻く)を作り、パイブ7内に水を充填させて、生体内の血管系を模倣した流路5を形成し、バルーン1を折り畳んだ状態のカテーテル3を流路5内に挿入し、バルーン1の先端部が卷回部の終了部分に位置するようにセットした。シャフト2の端部を島津製作所(株)製のオートグラフAGS−100Aのロードセル6にセットして、バルーン1をストローク長10mmの間で往復移動させた時の抵抗値を測定し、ストローク100回終了直後の抵抗値を摩擦抵抗値(gf)として採用した。結果を表1に示した。
(測定条件)
・ロードセル 5kgf
・ストローク長 10mm
・ストローク速度 100mm/min
・ストローク回数 100回
(2)引き抜き抵抗
図4に示すように、水中に浸漬した内径3mm外径5mmのポリエチレンパイプ9で流路8を構成し、上記と同様カテーテル3をバルーンを折り畳んだ状態で流路8内に挿入し、次にバルーン内に圧力をかけ、バルーンを膨張させた状態で流路8内に保持した。シャフト2の端部を島津製作所(株)製のオートグラフAGS−100Aのロードセル(図示せず)にセットして、引き抜き抵抗値(gf)を測定し、引き抜き時の最高抵抗値を採用した。結果を表1に示した。
(測定条件)
・ロードセル 5kgf
・クロス・ヘッド・スピード 10mm/min
・バルーン圧力 8kg/cm2
(3)△摩擦抵抗値
下式(A)により△摩擦抵抗値を計算し、結果を表1示した。
△摩擦抵抗値=(最終摩擦抵抗値)−(初期摩擦抵抗値) (A)
(1)摩擦抵抗
図2に示すように、ポリプロピレン(ハイポール F401、三井石油化学工業株製)30重量部とポリブテン(ビューロン、三井石油化学工業株製)70重量部を2軸混練させ、内径0.85mm、外径1.00mmのシャフト2を作製し、実施例で作製したバルーン1をシャフト先端に接着したカテーテル3を作製した。次に図3に示すように、内径3mm外径5mmのポリエチレンパイプ7で、卷回部(内径30mmで一周半巻く)を作り、パイブ7内に水を充填させて、生体内の血管系を模倣した流路5を形成し、バルーン1を折り畳んだ状態のカテーテル3を流路5内に挿入し、バルーン1の先端部が卷回部の終了部分に位置するようにセットした。シャフト2の端部を島津製作所(株)製のオートグラフAGS−100Aのロードセル6にセットして、バルーン1をストローク長10mmの間で往復移動させた時の抵抗値を測定し、ストローク100回終了直後の抵抗値を摩擦抵抗値(gf)として採用した。結果を表1に示した。
(測定条件)
・ロードセル 5kgf
・ストローク長 10mm
・ストローク速度 100mm/min
・ストローク回数 100回
(2)引き抜き抵抗
図4に示すように、水中に浸漬した内径3mm外径5mmのポリエチレンパイプ9で流路8を構成し、上記と同様カテーテル3をバルーンを折り畳んだ状態で流路8内に挿入し、次にバルーン内に圧力をかけ、バルーンを膨張させた状態で流路8内に保持した。シャフト2の端部を島津製作所(株)製のオートグラフAGS−100Aのロードセル(図示せず)にセットして、引き抜き抵抗値(gf)を測定し、引き抜き時の最高抵抗値を採用した。結果を表1に示した。
(測定条件)
・ロードセル 5kgf
・クロス・ヘッド・スピード 10mm/min
・バルーン圧力 8kg/cm2
(3)△摩擦抵抗値
下式(A)により△摩擦抵抗値を計算し、結果を表1示した。
△摩擦抵抗値=(最終摩擦抵抗値)−(初期摩擦抵抗値) (A)
(実施例2)実施例1と同様の方法で処理したバルーンを、さらに、ブロックポリマーが2%、触媒としてピリジンを1%含むテトラヒドロフラン溶液に1分間浸漬した後、60℃のオーブンで18時間乾燥させた。作製したバルーンを実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
(実施例3)実施例1で作製したバルーン基材を、実施例1で使用した変性ポリオレフィン(ボンダインAX−8390)の2%トルエン/ジメチルホルムアミド(重量比4:1)溶液に、50℃で2分間浸漬した後、60℃のオーブンで1時間乾燥させた。続いて、実施例1で合成したブロックポリマーが2%、触媒としてピリジンを1%含むテトラヒドロフラン溶液に1分間浸漬した後、60度のオーブンで18時間乾燥させた。作製したバルーンを実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
(比較例1)実施例1で作製したバルーン基材に対して、表面処理を行なわずに実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
(実施例4)直鎖状低密度ポリエチレン(ZF260−1、東ソー(株)製)よりなるチューブを実施例1と同様にバルーン状に成形した後、電子線架橋(500kv、30Mrad)を行った。作製したバルーン基材を、実施例1で使用した変性ポリオレフィン(ボンダインAX−8390)が1%、実施例1で合成したブロックポリマーが2%、触媒としてピリジンを1%含むクロロホルム/トルエン(重量比1:1)溶液に1分間浸漬した後、60℃のオーブンで18時間乾燥させた。作製したバルーンを実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
(実施例5)実施例4で作製したバルーン基材を、実施例1と同様な変性ポリオレフィンの2%トルエン/ジメチルホルムアミド(重量比4:1)溶液に、50℃で2分間浸漬した後、60℃のオーブンで1時間乾燥させた。続いて、実施例1と同様なブロックポリマーが2%、触媒としてピリジンを1%含むテトラヒドロフラン溶液に1分間浸漬した後、60℃のオーブンで18時間乾燥させた。作製したバルーンを実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
(比較例2)実施例4で作製したバルーン基材を、実施例1と同様なブロックポリマーが2%、触媒としてピリジンを1%含むトルエン/ジメチルホルムアミド(4:1)溶液に、50℃で2分間浸漬した後、60℃のオーブンで18時間乾燥させた。作製したバルーンを実施例1と同様に評価し、表1に示した。
(比較例3)実施例4で基材として用いたバルーンに対して、表面処理を行なわずに実施例1と同様に評価し、結果を表1に示した。
1 カテーテルバルーン
2 シャフト
3 カテーテル
4 接着部位
5、8 流路
6 オートグラフのロードセル
7、9 ポリエチレンパイプ
2 シャフト
3 カテーテル
4 接着部位
5、8 流路
6 オートグラフのロードセル
7、9 ポリエチレンパイプ
Claims (6)
- ポリオレフィンまたは変性ポリオレフィンを主成分とする層を少なくとも外層に配置した単層または多層の医療用具基材の外表面に、該ポリオレフィンまたは変性ポリオレフィンに対して接着性を有する樹脂を主成分とする接着層と、反応性官能基を分子内に有し該反応性官能基同士が反応して分子間架橋を形成した親水性高分子を主成分とする表面潤滑層を形成させたことを特徴とする医療用具。
- 前記接着性を有する樹脂が、オレフィンと無水マレイン酸、エチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、グリシジルメタクリレート、ビニルオキシシラン、ケテンアセタール、ジオキソラン、酢酸ビニルのいずれかとの共重合体からなることを特徴とする請求項1に記載の医療用具。
- 前記反応性官能基が、エポキシ基、酸クロリド基、アルデヒド基、イソシアネート基のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の医療用具。
- 前記親水性高分子が、反応性官能基を分子内に有する単量体と親水性単量体とを共重合することにより得られたことを特徴とする請求項1に記載の医療用具。
- 前記医療用具がカテーテルもしくはガイドワイヤであることを特徴とする請求項1に記載の医療用具。
- 前記医療用具がカテーテルバルーンであることを特徴とする請求項1に記載の医療用具。
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JP2004213794A JP2004305768A (ja) | 2004-07-22 | 2004-07-22 | 湿潤時に表面が潤滑性を有する医療用具 |
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WO2016158584A1 (ja) * | 2015-03-27 | 2016-10-06 | テルモ株式会社 | 拡張カテーテル、および拡張カテーテルの製造方法 |
WO2017183605A1 (ja) * | 2016-04-20 | 2017-10-26 | 株式会社カネカ | バルーンカテーテル及びバルーンカテーテルの製造方法 |
-
2004
- 2004-07-22 JP JP2004213794A patent/JP2004305768A/ja active Pending
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US10980986B2 (en) | 2016-04-20 | 2021-04-20 | Kaneka Corporation | Balloon catheter and balloon catheter manufacturing method |
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