JP2013192885A - 医療用具およびその製造方法 - Google Patents

医療用具およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013192885A
JP2013192885A JP2012065973A JP2012065973A JP2013192885A JP 2013192885 A JP2013192885 A JP 2013192885A JP 2012065973 A JP2012065973 A JP 2012065973A JP 2012065973 A JP2012065973 A JP 2012065973A JP 2013192885 A JP2013192885 A JP 2013192885A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
base material
substance
solution
material layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012065973A
Other languages
English (en)
Inventor
Sayaka Shinoda
さやか 篠田
Rikiya Omata
力也 小俣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Terumo Corp filed Critical Terumo Corp
Priority to JP2012065973A priority Critical patent/JP2013192885A/ja
Publication of JP2013192885A publication Critical patent/JP2013192885A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Media Introduction/Drainage Providing Device (AREA)

Abstract

【課題】表面潤滑層が島状の凸部を有し、優れた保水性を発揮する医療用具およびその製造方法を提供する。
【解決手段】親水性重合体に対して可溶性でありかつ物質Aに対して不溶性である溶媒中に、前記親水性重合体および前記物質Aを添加して溶液Bを調製し、前記溶液Bを基材層にコートして基材層上に皮膜を形成する工程と、前記親水性重合体に対して不溶性でありかつ前記物質Aに対して可溶性である溶液Cに、前記皮膜が形成された基材層を浸漬し、島状の凸部を有する表面潤滑層を形成する工程と、を含み、前記物質Aの平均粒径が、前記基材層上に形成される皮膜の厚さを超える、医療用具の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、表面潤滑層が島状の凸部を有する医療用具およびその製造方法に関する。
カテーテル・ガイドワイヤ等生体内に挿入される医療用具は、血管などの組織損傷を低減させ、かつ術者の操作性を向上させるため、優れた潤滑性を示すことが要求される。このため、潤滑性を有する親水性高分子を基材表面に被覆したガイドワイヤやカテーテルが開発され、実用化されている。
ここで、親水性高分子が潤滑性を発揮するには、親水性高分子が水系液体(生理食塩水や血液など)で膨潤している必要がある。しかし、潤滑性の要求される医療用具は必ずしも常にウェットな環境で使用されるわけではない。例えば消化器インターベンションの領域においてガイドワイヤが食道に挿入されるときの様にドライな環境下におかれた場合には、表面潤滑層が術中しだいに乾燥していき、操作が困難になるという問題が知られている。このような表面潤滑層の乾燥は、患者に苦痛および傷害を与える可能性がある。また心血管インターベンションのように体内においてはウェットな環境におかれる医療用具であっても、体外での表面潤滑層の乾燥を防止するために頻繁に生理食塩水等で医療用具を湿らせるといった煩雑な作業が要求されている。
このため、表面潤滑層は高い保水性を有していることが望ましい。表面潤滑層に高い保水性を付与する方法として、特許文献1には、基材の表面粗さを増加させることで、親水性コーティングと基材との接着を強固にし、保水性を改良した医療用具が開示されている。
また、基材上に凹凸を付与する方法としては、特許文献2に、コーティング液中の高分子が凝集体分散物となることで網目状の表面潤滑層を形成する方法が考案されている。
特表2011−516230号公報 特表2001−523759号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、基材を変形させる必要があるため、適応できる医療用具の種類が制限されるという問題があった。また、特許文献2では基材が表面に露出する部分があるため、湿潤化で十分な潤滑性を発現できないという問題があった。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、表面潤滑層が島状の凸部を有し、優れた保水性(潤滑維持性)を発揮する医療用具およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、(1)親水性重合体に対して可溶性でありかつ物質Aに対して不溶性である溶媒中に、前記親水性重合体および前記物質Aを添加して溶液Bを調製し、前記溶液Bを基材層にコートして基材層上に皮膜を形成する工程と、前記親水性重合体に対して不溶性でありかつ前記物質Aに対して可溶性である溶液Cに、前記皮膜が形成された基材層を浸漬し、島状の凸部を有する表面潤滑層を形成する工程と、を含み、前記物質Aの平均粒径が、前記基材層上に形成される皮膜の厚さを超える、医療用具の製造方法である。
また、上記目的を達成するための本発明は、(2)前記物質Aは無機塩または有機塩の粒子であり、前記溶液Cは水が主成分である、請求項1に記載の医療用具の製造方法である。
さらに、上記目的を達成するための本発明は、(3)基材層と、基材層の少なくとも一部を覆う親水性重合体からなる表面潤滑層と、を備え、前記表面潤滑層が、島状の凸部を有し、前記凸部の平均高さが、0.8〜5μmであり、前記表面潤滑層の表面粗さが、0.15μm以上である、医療用具である。
本発明は、表面潤滑層が島状の凸部を有し、優れた保水性を発揮する医療用具およびその製造方法を提供する。また、本発明の製造方法によれば、島状の凸部を有する表面潤滑層を簡便な手法で基材に固定化し、湿潤後、大気中においても優れた保水性(潤滑維持性)を発揮する医療用具が提供される。
本発明の島状の凸部が形成された表面潤滑層を有する医療用具(以下、単に医療用具とも略記する)の実施形態の表面の積層構成を模式的に表した部分断面図である。 本実施形態の応用例として、表面の積層構成の異なる構成例を模式的に表した部分断面図である。 本発明の医療用具の島状の凸部が形成された表面潤滑層の製造工程を表す模式図である。 実施例1で得られた医療用具(サンプル)の表面潤滑層の表面の超深度形状測定顕微鏡写真である。 図3Aの表面潤滑層の表面形状を3次元画像化したものである。 図3Bの3次元画像の直線部分x−xの粗さ曲線を表す図である。 比較例1で得られた医療用具(サンプル)の表面潤滑層の表面の超深度形状測定顕微鏡写真である 実施例1および2Cならびに比較例1および3で得られた医療用具(サンプル)の表面潤滑層の凸部高さの結果を示すグラフである。 実施例2A〜2Dならびに比較例2および3で得られた医療用具(サンプル)の表面潤滑層の表面粗さの結果を示すグラフである。 実施例および比較例で用いた保水性評価試験装置(摩擦測定機)の模式図である。 実施例2A〜2Dで得られた医療用具(サンプル)の表面潤滑層の保水性評価試験結果を示すグラフである。 比較例2および比較例3で得られた医療用具(サンプル)の表面潤滑層の保水性評価試験結果を示すグラフである。
本発明は、親水性重合体に対して可溶性でありかつ物質Aに対して不溶性である溶媒中に、前記親水性重合体および前記物質Aを添加して溶液Bを調製し、前記溶液Bを基材層にコートして基材層上に皮膜を形成する工程と、前記親水性重合体に対して不溶性でありかつ前記物質Aに対して可溶性である溶液Cに、前記皮膜が形成された基材層を浸漬し、島状の凸部を有する表面潤滑層を形成する工程と、を含み、前記物質Aの平均粒径が、前記基材層上に形成される皮膜の厚さを超える、医療用具の製造方法に関する。
なお、本発明において「物質Aの平均粒径が、基材層上に形成される皮膜の厚さを超える」とは、物質Aの平均粒径が、皮膜を形成する工程において形成される皮膜の最も薄い部分の厚さを超えることを意味する。
また、本発明は、基材層と、基材層の少なくとも一部を覆う親水性重合体からなる表面潤滑層と、を備え、前記表面潤滑層が、島状の凸部を有し、前記凸部の平均高さが、0.8〜5μmであり、前記表面潤滑層の表面粗さが、0.15μm以上である、医療用具に関する。
本発明の製造方法によれば、まず、溶解状態の親水性重合体と、固体状態の物質Aと、を含む溶液Bが、基材層にコートされて、基材層上に、親水性重合体と物質Aとを含む皮膜が形成される。次に、当該基材層を、親水性重合体を溶解せず、物質Aを溶解する溶液Cに浸漬することで、皮膜中の物質Aが溶解し、島状の凸部を有する(言い換えれば、表面が凹凸構造となった)表面潤滑層が基材層上に形成される。基材層のコート溶液である溶液B中で「固体状態の物質A」とは、物質Aが溶液Bに不溶で、固体状態であることを意味する。本発明の方法では、基材層に、固体状態の物質Aを含む皮膜が形成され、次の工程で、皮膜に含まれる物質Aを溶解させることで、物質Aが鋳型のような役割を果たし、表面潤滑層に島状の凸部が形成される。また、物質Aの大きさによって、凸部の平均高さや表面潤滑層の表面粗さを容易に調節できる。本実施形態では、独立した島からなる不連続な島状凸構造が、表面潤滑層の表面一面に形成される。このような島状凸構造、すなわち凹凸構造の凹部に水を保持することができるため、本発明の製造方法により得られる医療用具は、湿潤時に優れた潤滑性を発揮できるとともに、湿潤後、大気環境下でも長時間潤滑性を維持することができる。また、本発明によると、親水性高分子を含む表面潤滑層を、基材層表面に簡便な手法で固定化することができ、優れた表面潤滑性および潤滑維持性を発揮することができる。
図1Aは、本実施形態の島状の凸部が形成された表面潤滑層を有する医療用具(以下、単に「医療用具」ともいう)の表面の積層構成を模式的に表した部分断面図である。図1Bは、本実施形態の応用例として、表面の積層構成の異なる構成例を模式的に表した部分断面図である。図1Aおよび図1Bに示されるように、本実施形態の医療用具10では、基材層1と、基材層1の少なくとも一部を覆う(図中では、図面内の基材層の全体を被覆した例を示す)表面潤滑層2と、を備え、表面潤滑層2が、固体状態の物質Aを含む皮膜を形成した後に、該物質Aが溶解する溶液Cに浸漬され、該物質Aを除去することで得られることを特徴とするものである。また、物質Aが鋳型のような役割を果たして、表面潤滑層の表面には島状の凸部が形成される。
以下、本実施形態の医療用具の製造方法を順に説明する。
<医療用具の製造方法>
本実施形態の医療用具の製造方法は、「親水性重合体に対して可溶性でありかつ物質Aに対して不溶性である溶媒(以下、「溶媒1」とも称する。)中に、親水性重合体および物質Aを添加して溶液Bを調製し、前記溶液Bを基材層にコートして基材層上に皮膜を形成する工程」(以下、当該工程を、「基材層に親水性重合体と物質Aとを含む溶液Bをコートする工程」とも称する。)と、「親水性重合体に対して不溶性でありかつ物質Aに対して可溶性である溶液Cに、該皮膜が形成された基材層を浸漬し、島状の凸部を有する表面潤滑層を形成する工程」(以下、当該工程を、「表面潤滑層に島状の凸部を形成する工程」とも称する。)と、を有する。
以下、「基材層に親水性重合体と物質Aとを含む溶液Bをコートする工程」と、「表面潤滑層に島状の凸部を形成する工程」と、に分けて述べる。
「基材層に親水性重合体を含む溶液Bをコートする工程」
(1)本工程は、まず、親水性重合体に対して可溶性でありかつ物質Aに対して不溶性である溶媒1に、親水性重合体および物質Aを添加して溶液Bを調製する。
(親水性重合体)
本実施形態の表面潤滑層として用いられる親水性重合体は、吸水して潤滑性を示すものであればどのようなものであってもよい。具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリアクリル酸、メチルビニルエーテル、およびそれらの誘導体といった親水性重合体であれば、湿潤時に吸水して潤滑性を発現することができる。これら親水性重合体を基材層に強固に固定化するためには、適量の架橋剤を添加するか、表面潤滑層を形成する親水性重合体に反応性官能基を導入するなどにより、親水性重合体を架橋させることが好ましい。
親水性重合体に反応性官能基を導入する方法としては、反応性官能基を有する単量体(以下、「反応性単量体」とも称する。)と、親水性単量体とを共重合させる方法が挙げられる。
ここで、反応性単量体とは、架橋反応等が可能な反応性官能基を有する単量体を意味する。反応性官能基は、特に制限されないが、エポキシ基、酸ハライド基、アルデヒド基、イソシアネート基、酸無水物基;などの官能基でありうる。そして、反応性単量体としては、具体的には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)、メチルグリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基を分子内に有する単量体;(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸ブロミド、(メタ)アクリル酸アイオダイドなどの酸ハライド基を分子内に有する単量体;(メタ)アクリルアルデヒドなどのアルデヒド基を分子内に有する単量体;アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネートなどのイソシアネート基を分子内に有する単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の酸無水物基を分子内に有する単量体;などを例示できる。これらのうち、反応性官能基を有する単量体としては、エポキシ基を有する単量体が好ましく、反応が熱等により促進され、取り扱いも比較的容易であるグリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートがより好ましい。これらの単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上用いる場合の重合体の形態は、ブロック共重合体でもよいしランダム共重合体でもよい。
また、親水性単量体としては、特に制限されないが、例えば、アクリルアミドやその誘導体、ビニルピロリドン、アクリル酸やメタクリル酸およびそれらの誘導体、ポリエチレングリコールアクリレートおよびその誘導体、糖やリン脂質を側鎖に有する単量体、無水マレイン酸などの水溶性の単量体などを例示できる。より具体的には、N−メチルアクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N,N’−ジメチルアミノエチルアクリレート、ビニルピロリドン、2−メタクリロイルオキシエチルフォスフォリルコリン、2−メタクリロイルオキシエチル−D−グリコシド、2−メタクリロイルオキシエチル−D−マンノシド、メチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルメタクリレートなどを好適に例示できる。合成の容易性や操作性の観点から、好ましくは、N,N’−ジメチルアクリルアミド、N,N’−ジメチルアミノエチルアクリレートであり、より好ましくはN,N’−ジメチルアクリルアミドである。これらの親水性単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上用いる場合の重合体の形態は、ブロック共重合体でもよいしランダム共重合体でもよい。
良好な潤滑性を発現するためには、親水性重合体が、反応性官能基を有する単量体から形成されるブロック(反応性ブロック)と、親水性単量体から形成されるブロック(親水性ブロック)とを有するブロック共重合体であることが好ましい。こうしたブロック共重合体であると、表面潤滑層の強度や潤滑性において良好な結果が得られる。
また、本発明のより好ましい実施形態では、親水性重合体が、エポキシ基を有する単量体を少なくとも一つの構成単位とした反応性ドメインと、親水性単量体を少なくとも一つの構成単位とした親水性ドメインと、を有するブロック共重合体である。反応性官能基であるエポキシ基が、隣接するエポキシ基と反応することで、隣接する親水性重合体が架橋構造を形成させ、表面潤滑層の強度を高めることができる。
親水性重合体が、反応性官能基(好ましくはエポキシ基)を有する単量体を構成単位とする反応性ドメインと、親水性単量体を構成単位とする親水性ドメインとを有するブロック共重合体である場合の、反応性官能基を有する単量体と親水性単量体との組成は、特に制限されない。体液や生理食塩水と接触する際のハイドロゲル層の形成、さらには適度な潤滑性の発揮などを考慮すると、親水性単量体と反応性官能基を有する単量体とのモル比は、1:1〜100:1であることが好ましく、3:1〜50:1であることがより好ましく、5:1〜20:1であることがさらに好ましく、10:1〜15:1であることが特に好ましい。
親水性重合体を重合させる親水性重合体の製造法(重合法)については、特に制限されるものではなく、公知の重合方法が使用できるが、一般的には、重合開始剤を用いた溶媒中での重合や塊状重合等の方法により行なうことができる。また、本実施形態の親水性重合体がブロック共重合体またはグラフト共重合体である場合には、例えば、リビング重合、マクロモノマーを用いた重合、高分子重合開始剤を用いた重合、重縮合などが例示できるが、特に限定されない。
本実施形態の親水性重合体(表面潤滑層)としては、無水マレイン酸−メチルビニルエーテル共重合体、グリシジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド共重合体が好ましく、グリシジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド共重合体(特にブロック共重合体)がより好ましい。
(物質A)
物質Aとしては、平均粒径が、基材層上に形成される皮膜の厚さ(皮膜を形成する工程において形成される皮膜の最も薄い部分の厚さ)を超え、溶媒1には不溶性で溶液Cには可溶性であり、表面潤滑層に凸凹構造を与えられるものであれば特に制限されず、たとえば、無機粒子、有機粒子等が挙げられる。無機粒子としては、金属粒子、無機塩の粒子等が、有機粒子しては、ポリマー粒子、有機塩の粒子、その他の有機化合物の粒子等が挙げられる。本実施形態において、物質Aは、好ましくは無機塩または有機塩の粒子である。なお、本明細書中、物質が溶媒に対して不溶性(溶媒に溶解しない)とは、溶質が1g溶けるのに、溶媒を1L以上必要とすることを意味する。
金属粒子としては、鉄などの金属;SiO、Al、TiO、BaTiOなどの酸化物粒子;窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの窒化物粒子;等が挙げられる。
無機塩の粒子としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウム(NH )のハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、シアン酸塩またはチオシアン酸塩等の粒子が挙げられる。具体的には、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化アンモニウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等のハロゲン化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸アンモニウム等の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素アンモニウムなどの炭酸水素塩;リン酸三ナトリウム(NaPO)、リン酸三カリウム(KPO)等のリン酸塩;リン酸二水素ナトリウム(NaHPO)、リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)、リン酸二水素カリウム(KHPO)、リン酸水素二カリウム(KHPO)などのリン酸水素塩;硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸塩;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;硫酸水素ナトリウムなどの硫酸水素塩;シアン酸ナトリウム、シアン酸カリウム、シアン酸アンモニウム等のシアン酸塩;チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸カルシウム等のチオシアン酸塩等;の粒子が例示できる。
ポリマー粒子としては、乳酸、アクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、スチレンなどの重合体およびこれらの共重合体等の粒子が挙げられる。
有機塩の粒子としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属または有機化合物のカルボン酸塩(酢酸塩、コハク酸塩)、ヒドロキシ酸塩(クエン酸塩)、スルホン酸塩、塩酸塩等の粒子が挙げられる。具体的には、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどの酢酸塩;コハク酸ナトリウムなどのコハク酸塩;クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムなどのクエン酸塩;メタンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩;アルギニン塩酸塩などの塩酸塩;の粒子が例示できる。
その他の有機化合物の粒子としては、クエン酸、グリコール酸などのヒドロキシ酸、アミノ酸、単糖、オリゴ糖の粒子が挙げられる。
これらのうちでも、物質Aとしては、後述のように溶液Cに水を使用する場合の水への溶解性の観点から、無機塩もしくは有機塩の粒子が好ましく、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウムがより好ましい。
物質Aの粒子サイズは、表面潤滑層に形成される島状の凸部、すなわち凹凸構造の凸部の高さに相関する。優れた保水性を発現し得る凸部を形成するべく、物質Aの平均粒径は、溶液Bにより形成される皮膜の厚さ(皮膜を形成する工程において形成される皮膜の最も薄い部分の厚さ)よりも大きな粒径である必要があり、たとえば、物質Aの平均粒径が、皮膜の厚さに対して、1.01〜20倍のサイズであることが好ましく、より好ましくは1.5〜15倍、さらに好ましくは2〜10倍である。また、物質Aの平均粒径は0.7μmを超えることが好ましく、より好ましくは1.5〜100μmであり、さらに好ましく2〜75μmであり、特に好ましくは3〜50μmである。物質Aの平均粒径を皮膜の厚さよりも大きくすることで、表面潤滑層に形成される凹凸構造の凸部の大きさを十分確保することができるため、凹部での水の保持による保水性が発揮される。また、表面潤滑層の凹凸構造の凸部の高さを一定に保つため、物質Aの粒度分布が小さいことが好ましい。具体的には、CV値(変動係数;coefficient of variation)が1.0未満であることが好ましく、0.7未満であることがより好ましく、0.5未満であることがさらに好ましい。なお、本明細書中において、「粒径」とは、粒子の円相当径(粒子の投影面積と同じ面積の円の直径)を意味する。「平均粒径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒径の平均値として算出される値を採用するものとする。他の構成成分の粒径や平均粒径も同様に定義することができる。
本実施形態で用いられる物質Aは、合成してもよいし、市販品を用いることができる。また、たとえば、市販品の物質Aを、ミルなどを用いて粉砕したり、篩などを用いて分級したりして、所望の粒径および粒度分布となるよう調製してもよい。
(溶媒1)
本実施形態で用いられる溶液Bを構成する溶媒1は、親水性重合体に対して可溶性で、物質Aに対して不溶性であれば、特に制限されない。溶媒1としては、たとえば、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系有機溶剤;ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルイソブチルケトン等の非水溶性ケトン類;テトラヒドロフラン(THF)、ブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの脂肪族アルコール類;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、二硫化炭素等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用してもよいし、これらの溶媒を2種以上組み合わせた混合溶媒として使用してもよい。
(溶液B)
溶液Bとしては、上述の親水性重合体と、物質Aと、溶媒1と、を含む。この際、親水性重合体と物質Aとは、それぞれの溶媒1に対する溶解度の違いより、親水性重合体は、溶液B中に、溶解しており、物質Aは、溶液B中に、固体状態で分散されている。
溶液B中の親水性重合体の濃度は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.05〜15質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%である。親水性重合体の濃度が上記範囲であれば、得られる表面潤滑層の力学強度が十分発揮される。また、1回のコーティングで所望の厚さの均一な表面潤滑層を容易に得ることができ、作業性(例えば、コーティングのしやすさ)、生産効率の点で好ましい。ただし、上記範囲を外れても、本発明の作用効果に影響を及ぼさない範囲であれば、十分に利用可能である。
当該溶液B中の親水性重合体と物質Aとの質量比は、特に制限されないが、好ましくは20:1〜1:4、より好ましくは15:1〜1:4、さらに好ましくは10:1〜1:3である。親水性重合体と物質Aとの質量比が上記範囲であれば、得られる表面潤滑層に島状の凸部が容易に形成され、表面潤滑層の表面粗さが0.15μm以上となり、保水性が十分発揮される。ただし、上記範囲を外れても、本発明の作用効果に影響を及ぼさない範囲であれば、十分に利用可能である。溶媒1への物質Aの分散方法は、特に制限されないが、溶媒1に物質Aを添加し、スターラー等で撹拌することで調製される。
(2)次に、本工程では、該溶液Bを基材層にコート(「コーティング」または「被覆」とも称する。)して基材層上に皮膜を形成する。
(基材層)
本実施形態で用いられる基材層としては、いずれの材料から構成されてもよく、その材料は特に制限されない。具体的には、基材層1を構成(形成)する材料は、金属材料、高分子材料、およびセラミックス材料などが挙げられる。ここで、基材層1は、基材層1全体(全部)が上記いずれかの材料で構成(形成)されても、または、図1Bに示されるように、上記いずれかの材料で構成(形成)された基材層コア部1aの表面に他の上記いずれかの材料を適当な方法で被覆(コーティング)して、表面層1bを構成(形成)した構造を有していてもよい。後者の場合の例としては、高分子材料等で形成された基材層コア部1aの表面に金属材料が適当な方法(メッキ、金属蒸着、スパッタ等従来公知の方法)で被覆(コーティング)されて、表面層1bを形成してなるもの;金属材料やセラミックス材料等の硬い補強材料で形成された基材層コア部1aの表面に、金属材料等の補強材料に比して柔軟な高分子材料が適当な方法(浸漬(ディッピング)、噴霧(スプレー)、塗布・印刷等の従来公知の方法)で被覆(コーティング)あるいは基材層コア部1aの補強材料と表面層1bの高分子材料とが複合化(適当な反応処理)されて、表面層1bを形成してなるものなどが挙げられる。よって、基材層コア部1aが、異なる材料を多層に積層してなる多層構造体、あるいは医療用具の部分ごとに異なる材料で形成された部材を繋ぎ合わせた構造(複合体)などであってもよい。また、基材層コア部1aと表面層1bとの間に、さらに別のミドル層(図示せず)が形成されていてもよい。さらに、表面層1bに関しても異なる材料を多層に積層してなる多層構造体、あるいは医療用具の部分ごとに異なる材料で形成された部材を繋ぎ合わせた構造(複合体)などであってもよい。
上記基材層1を構成(形成)する材料のうち、金属材料としては、特に制限されるものではなく、カテーテル、ガイドワイヤ、留置針等の用途に一般的に使用される金属材料が使用される。具体的には、SUS304、SUS316、SUS316L、SUS420J2、SUS630などの各種ステンレス鋼(SUS)、金、白金、銀、銅、ニッケル、コバルト、チタン、鉄、アルミニウム、スズあるいはニッケル−チタン(Ni−Ti)合金、ニッケル−コバルト(Ni−Co)合金、コバルト−クロム(Co−Cr)合金、亜鉛−タングステン(Zn−W)合金等の各種合金などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。上記金属材料には、使用用途であるカテーテル、ガイドワイヤ、留置針等の基材として最適な金属材料を適宜選択すればよい。
また、上記基材層1を構成(形成)する材料のうち、高分子材料としては、特に制限されるものではなく、カテーテル、ガイドワイヤ、留置針等の用途に一般的に使用される高分子材料が使用される。具体的には、ポリアミド樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂(アリル樹脂)、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、アミノ樹脂(ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂)、ポリエステル樹脂、スチロール樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂(ケイ素樹脂)、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。上記高分子材料には、使用用途であるカテーテル、ガイドワイヤ、留置針等の基材として最適な高分子材料を適宜選択すればよい。
また、上記基材層の形状は、特に制限されることはなく、シート状、線状(ワイヤ)、管状(チューブ)など使用態様により適宜選択される。
また、上記ミドル層(図示せず)に用いることができる材料としては、特に制限されるものではなく、基材層コア部1aと表面層1bとの結合機能を十分に発現し得る材料を適宜選択すればよい。例えば、上記基材層1の材料と同様の材料が使用できるが、これらに何ら限定されるものではない。
(コート方法)
溶液Bを基材層にコートする方法としては、特に制限されるものではなく、浸漬法(ディッピング法)、塗布・印刷法、噴霧法(スプレー法)、スピンコート法、混合溶液含浸スポンジコート法など、従来公知の方法を適用することができるが、本実施形態においては、浸漬法(ディッピング法)を用いるのが好ましい。
また、基材層の一部にのみ皮膜(表面潤滑層)を形成させる場合には、基材層の一部のみを溶液B中に浸漬して、該溶液Bを基材層の一部にコーティングすることで、基材層の所望の表面部位に、皮膜(表面潤滑層)を形成することができる。
基材層の一部のみを溶液B中に浸漬するのが困難な場合には、予め皮膜(表面潤滑層)を形成する必要のない基材層の表面部分を着脱(装脱着)可能な適当な部材や材料で保護(被覆等)した上で、基材層を溶液B中に浸漬して、該溶液Bを基材層にコートした後、皮膜(表面潤滑層)を形成する必要のない基材層の表面部分の保護部材(材料)を取り外し、その後、加熱操作等により反応させることで、基材層の所望の表面部位に皮膜(表面潤滑層)を形成することができる。ただし、本発明では、これらの形成法に何ら制限されるものではなく、従来公知の方法を適宜利用して、皮膜(表面潤滑層)を形成することができる。例えば、基材層の一部のみを混合溶液中に浸漬するのが困難な場合には、浸漬法に代えて、他のコーティング手法(例えば、医療用具の所定の表面部分に、溶液Bを、スプレー装置、バーコーター、ダイコーター、リバースコーター、コンマコーター、グラビアコーター、スプレーコーター、ドクターナイフなどの塗布装置を用いて、塗布する方法など)を適用してもよい。
以上のように、溶液Bを表面にコートした基材層を得た後、乾燥させ、基材層上に皮膜を形成させる。乾燥方法としては、特に制限されるものではなく、たとえば、加熱して乾燥することができる。乾燥処理温度(加熱炉などの加熱装置の設定温度)は、特に制限されるものではないが、たとえば、好ましくは40〜170℃、より好ましくは50〜150℃であり、乾燥処理時間は、特に制限されるものではないが、たとえば、好ましくは30分〜24時間、より好ましくは1〜10時間である。加熱手段(装置)としては、例えば、オーブン、ドライヤー等を利用することができる。
本実施形態において、親水性重合体が反応性単量体を含む場合、溶液Bを蒸発(乾燥)させる際に、反応性単量体の反応性官能基(好ましくはエポキシ基)は、隣接する反応性単量体の反応性官能基と反応し、架橋構造を形成しうる。これにより、基材層に強固に固定化され、強度の優れた表面潤滑層を形成することができる。親水性重合体が反応性単量体を含む場合に、反応性単量体の反応性官能基(好ましくはエポキシ基)を反応させる工程は、後述の溶液Cに浸漬した後の基材層を乾燥する際に行ってもよく、特に制限されないが、より強固に表面潤滑層を基材層に形成させるという観点から、溶液Bを乾燥させる際に行うのが好ましい。
その際の溶液Bを蒸発(乾燥)させる方法としては、反応性官能基が反応を進行(促進)し得るものであればよく、加熱処理を行うのが好ましい。たとえば、加熱処理温度(加熱炉などの加熱装置の設定温度)は、好ましくは40〜170℃、より好ましくは50〜150℃である。かような範囲であれば、所望の反応が十分に促進され、短時間で所望の効果が得られうる。加熱処理時間は、親水性重合体の反応が促進し得る範囲であればよく、特に制限されるものではないが、好ましくは30分〜24時間、より好ましくは1〜10時間である。加熱時間が上記範囲であれば、反応が効率的に進行し、表面潤滑層を基材層に強固に固定化することが可能となる。加熱処理時の圧力条件も何ら制限されるものではなく、常圧(大気圧)下で行うことができるほか、加圧ないし減圧下で行ってもよい。また、反応性単量体の反応性官能基がエポキシ基の場合、反応を促進することができるように、トリアルキルアミン系化合物やピリジン等の3級アミン系化合物などの反応触媒を、親水性重合体を溶解する溶液Aに適時適量添加して用いてもよい。加熱手段(装置)としては、例えば、オーブン、ドライヤー、マイクロ波加熱装置などを利用することができる。また、加熱処理以外にも反応性官能基の反応を促進させる方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、光照射、紫外線(UV)照射、電子線照射、放射線照射、プラズマ照射など、従来公知の方法を適用することができる。
また、本工程で形成される皮膜の厚さとしては、特に制限されないが、得られる表面潤滑層が基材層に強固に固定化され、かつ使用時の優れた表面潤滑性、および保水性(潤滑維持性)を発揮することができるだけの厚さを有することが好ましい。このような観点から、皮膜の厚さは、0.1〜10μm、好ましくは0.5〜5μmの範囲とするのが望ましい。このような厚さであれば、得られる表面潤滑層において、表面の潤滑性、および保水性(潤滑維持性)を十分発揮できる。
なお、前記皮膜の厚さは、基材層および皮膜に対して垂直に切断した断面をデジタルマイクロスコープで観察し、基材層表面から皮膜の最表部までの距離が最も短い部分の値、すなわち皮膜を形成する工程において形成される皮膜の最も薄い部分の厚さを意味する。
「表面潤滑層に島状の凸部を形成する工程」
本工程では、親水性重合体に対して不溶性でありかつ物質Aに対して可溶性である溶液Cに、皮膜が形成された基材層を浸漬し、島状の凸部(凹凸構造)を有する表面潤滑層を形成する。
(溶液C)
本実施形態で用いられる溶液Cとしては、親水性重合体に対して不溶性で、物質Aに対して可溶性であれば、特に制限されず、親水性重合体及び物質Aの種類に応じて適宜選択される。本実施形態において、溶液Cは、溶媒のみで構成されても、溶媒に他の成分を含んだ構成であってもよい。
本実施形態において、物質Aとして金属粒子を用いた場合、溶液Cとしては、酸性または塩基性水溶液、錯形成剤を含む溶液等が挙げられる。酸性水溶液としては、特に制限されないが、その水溶液のpHが7未満、好ましくは6以下である、塩酸、硝酸、過塩素酸、硫酸、酢酸、ギ酸、炭酸、リン酸、クエン酸等の水溶液が挙げられる。塩基性水溶液としては、特に制限されないが、その水溶液のpHが7より大きく、好ましくは7.5以上である、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、アンモニア等の水溶液が挙げられる。錯形成剤を含む溶液としては、金属イオンと結合して錯イオンを形成することのできる化合物を含む溶液であれば、特に制限されない。錯形成剤としては、たとえば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)等が挙げられる。
また、物質Aとして無機塩の粒子を用いた場合、溶液Cとしては、前記酸性または塩基性水溶液、水等が挙げられる。
また、物質Aとしてポリマー粒子を用いた場合、溶液Cとしては、前記酸性または塩基性水溶液、分解酵素を含む溶液、水、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系有機溶剤;ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルイソブチルケトン等の非水溶性ケトン類;テトラヒドロフラン(THF)、ブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの脂肪族アルコール類;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。
また、物質Aとして有機塩の粒子を用いた場合、溶液Cとしては、前記酸性または塩基性水溶液、水等が挙げられる。
また、物質Aとしてその他の有機化合物の粒子を用いた場合、溶液Cとしては、水、メタノール、エタノール等が挙げられる。
上記の中でも、溶液Cの入手のしやすさと取り扱いが容易であるという観点から、物質Aは無機塩または有機塩の粒子であり、溶液Cは水が主成分である組み合わせが好ましい。「溶液Cは水が主成分である」とは、溶液C中の水の含有率が80質量%以上であることを意味する。物質Aとして水への溶解性が高い無機塩あるいは有機塩の粒子を選択することで、溶液Cに水を主成分とする溶液を選択することが可能である。
(凸部の形成方法)
皮膜が形成された基材層を、溶液Cに浸漬する方法としては、特に制限されるものではなく、従来公知の浸漬法(ディッピング法)を適用することができる。浸漬する際の溶液Cの温度としては、特に制限されるものではないが、好ましくは10〜50℃、より好ましくは20〜30℃である。また、浸漬する時間としては、好ましくは5〜60分間、より好ましくは10〜30分間である。
溶液Cが溶媒以外の成分を含む場合、たとえば、酸性水溶液などの溶液Cを用いた場合は、表面潤滑層を溶液Cに浸漬し、物質Aを溶解させた後、さらに、親水性重合体を溶解しない溶媒に表面潤滑層を浸漬し、洗浄するのが好ましい。
以上のように、皮膜が形成された基材層を溶液Cに浸漬した後、当該基材層を乾燥させ、基材層上に島状の凸部(凹凸構造)を有する表面潤滑層を形成させる。乾燥方法としては、特に制限されるものではなく、たとえば、大気中で乾燥することができる。乾燥処理温度(加熱炉などの加熱装置の設定温度)は、特に制限されるものではないが、たとえば、好ましくは15〜170℃、より好ましくは20〜150℃であり、乾燥処理時間は、特に制限されるものではないが、たとえば、好ましくは1分〜24時間、より好ましくは5分〜10時間である。乾燥手段(装置)としては、大気中での乾燥に加えて、例えば、オーブン、ドライヤー等を利用することができる。
本実施形態において、親水性重合体が反応性単量体を含む場合、溶液Cを蒸発(乾燥)させる際に、反応性単量体の反応性官能基(好ましくはエポキシ基)を、隣接する反応性単量体の反応性官能基と反応させ、架橋構造を形成させることができる。これにより、基材層に強固に固定化され、強度の優れた表面潤滑層を形成することができる。親水性重合体が反応性単量体を含む場合に、反応性単量体の反応性官能基(好ましくはエポキシ基)を反応させる方法は、溶液Bを乾燥させる際に行う場合と同様の方法が適用できる。
このようにして表面潤滑層を形成させた後には、余剰の親水性重合体等を、適用な溶剤で洗浄し、表面潤滑層が基材層に強固に固定化されてなる、架橋構造体のみを残存させることも可能である。
また、本工程で形成される表面潤滑層の厚さとしては、特に制限されないが、得られる表面潤滑層が基材層に強固に固定化され、かつ使用時の優れた表面潤滑性、および保水性(潤滑維持性)を発揮することができるだけの厚さを有することが好ましい。このような観点から、表面潤滑層の厚さは、0.1〜10μm、好ましくは0.5〜5μmの範囲とするのが望ましい。このような厚さであれば、得られる表面潤滑層において、表面の潤滑性、および保水性(潤滑維持性)を十分発揮できる。
なお、前記表面潤滑層の厚さは、基材層および表面潤滑層に対して垂直に切断した断面をデジタルマイクロスコープで観察し、基材層表面から表面潤滑層最表部までの距離が最も短い部分の値、すなわち表面潤滑層に島状の凸部を形成する工程において形成される表面潤滑層の最も薄い部分の厚さを意味し、前記皮膜の厚さが反映される。
図2は、本実施形態の表面潤滑層が形成される工程を模式的に表した図である。図2(a)には、基材層11上に、物質A 13を含む皮膜12が形成された医療用具20が示されている。当該皮膜12が溶液Cへ浸漬されることで、皮膜中の物質Aが溶解し、物質Aの存在領域が凸部となり、島状の凸部14aが形成される。その結果、図2(b)に示されるように、島状の凸部14a、すなわち凸部14aと凹部14bとを有する凹凸構造の表面潤滑層14が形成される。以上のように、本実施形態の製造方法によれば、医療用具の表面潤滑層に、物質Aの粒径に相関した凸部が形成されることがわかる。
また、本実施形態において、表面潤滑層に形成される凸部(具体的には、島状の凸部)の高さと表面潤滑層の表面粗さは、溶液Bにより形成される皮膜の厚さに対する物質Aの平均粒径と、皮膜中の物質Aの親水性重合体に対する比率と、にも相関する。皮膜の厚さに対して物質Aの平均粒子径が大きいほど、凸部の高さは高くなる傾向があり、物質Aの親水性重合体に対する比率が高いほど、表面潤滑層の表面粗さは粗くなる傾向がある。
(表面潤滑層)
以上のように、本実施形態の製造方法によれば、島状の凸部を有する表面潤滑層が形成される。すなわち、本実施形態の医療用具は、基材層と、基材層の少なくとも一部を覆う親水性重合体からなる表面潤滑層と、を備え、前記表面潤滑層が、島状の凸部を有し、前記凸部の平均高さが、0.8〜5μmであり、前記凸部の表面粗さが、0.15μm以上である。
島状の凸部(凹凸構造)において、凸部の断面形状は特に制限されず、円錐状、三角錐状、四角錐状(ピラミッド状)、円錐台形状、三角錐台状、四角錐台状、テーパー状など、本発明の目的を損なわない範囲で任意の形状の凸部(凹凸構造)であってよい。
本実施形態において、凸部の平均高さは、0.8〜5μm、好ましくは1〜5μmである。凸部の平均高さが、上記範囲内であれば、形成される凹部の中に水を十分に保持することができるため、大気中に放置されても、保水性の効果が発揮される。凸部の平均高さが0.8μm未満では、凹部に水を保持することができず、5μmを超えると、表面潤滑層の耐久性が低下する。なお、本明細書中、凸部の平均高さは、以下の方法で算出する。超深度形状測定顕微鏡を用いて対物レンズ50倍で観察される表面潤滑層上の直線領域(200μm)における粗さ曲線平均高さRc値を、JISB0601:2001に基づき測定する。この測定は表面潤滑層上の任意の10箇所にて行い、それぞれ測定されたRc値を相加平均した平均値を、凸部の平均高さとする。
本実施形態において、表面潤滑層の表面粗さは、0.15μm以上、好ましくは0.17〜0.5μmである。表面潤滑層の表面粗さが、上記範囲内であれば、形成される凹部の中に水を十分に保持することができるため、大気中に放置されても、保水性の効果が発揮される。表面潤滑層の表面粗さが0.15μm未満では、凹部に保持できる水の量が十分でなく、保水性が向上しない。なお、本明細書中、表面潤滑層の表面粗さは、以下の方法で算出する。超深度形状測定顕微鏡を用いて対物レンズ50倍で観察される表面潤滑層上の20μm×200μmの領域における算術平均粗さRa値を、JISB0601:2001に基づき測定する。この測定は表面潤滑層上の任意の10箇所にて行い、それぞれ測定されたRa値を相加平均した平均値を、表面潤滑層の表面粗さとする。
<医療用具>
こうして形成された表面潤滑層は、表面潤滑性および保水性(潤滑維持性)を発現するものである。
本発明の表面潤滑性および保水性を有する医療用具としては、上記実施形態のいずれにおいても、体液や生理食塩水などの水系液体と接触して用いる器具のことであり、水系液体から離脱した際に潤滑維持性を確実に発揮し、表面潤滑性を長時間発揮することが可能なものである。具体的には、血管内で使用されるガイドワイヤやカテーテル等が挙げられるが、その他にも以下の医療用具が示される。
(1)内視鏡用ガイドワイヤ、胃管挿入用ガイドワイヤや胃管カテーテル、栄養カテーテル、経管栄養用チューブなどの経口もしくは経鼻的に消化器官内に挿入ないし留置されるガイドワイヤやカテーテル類。
(2)酸素カテーテル、酸素カヌラ、気管内チューブ、気管切開ガイドワイヤや気管切開チューブ、気管内吸引カテーテルなどの経口または経鼻的に気道ないし気管内に挿入ないし留置されるガイドワイヤやカテーテル類。
(3)尿道ガイドワイヤ、尿道カテーテル、導尿カテーテル、尿道バルーンカテーテルのカテーテルやバルーンなどの尿道ないし尿管内に挿入ないし留置されるガイドワイヤやカテーテル類。
(4)吸引カテーテル、排液カテーテル、直腸カテーテルなどの各種体腔、臓器、組織内に挿入ないし留置されるカテーテル類、あるいは、これらのカテーテル用のガイドワイヤ。
(5)留置針、IVHカテーテル、サーモダイリューションカテーテル、血管造影用カテーテル、血管拡張用カテーテルおよびダイレーターあるいはイントロデューサーなどの血管内に挿入ないし留置されるカテーテル類、あるいは、これらのカテーテル用のガイドワイヤ、スタイレットなど。
(6)人工気管、人工気管支など。
(7)体外循環治療用の医療器具(人工肺、人工心臓、人工腎臓など)やその回路類。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
<作製方法>
(実施例1)
親水性ブロックとしてポリジメチルアクリルアミド(DMAA)を、反応性ブロックとしてポリグリシジルメタクリレート(GMA)を有するブロック共重合体[p(DMAA−b−GMA)](DMAA:GMA(モル比)=12:1)を4.0質量%の割合で溶解したDMF溶液に、平均粒径8.5μmの硫酸ナトリウム微粒子(三田尻化学工業株式会社製)を8.0質量%分散させたコート液を作製した(親水性重合体と硫酸ナトリウム微粒子との質量比は1:2)。そのコート液にナイロンエラストマーシート(エムエスケー・ジャパン株式会社製、グリルアミドELG5660グレード、10×50×1mm)を浸漬してディップコートし、130℃のオーブン中で3時間乾燥させ、シート上に皮膜(厚さ2.0μm)を形成した。その後、当該シートを、水の中に15分間浸漬し、25℃で60分間風乾することで、表面潤滑層に島状の凸部(凸凹構造)を持つシート(表面潤滑層の厚さ2.0μm)を作製した。
実施例1で得られた表面潤滑層の表面状態を、超深度形状測定顕微鏡(製品名VK−X100、キーエンス社製)を用いて観察した結果を図3Aと図3Bに示す。図3Aは、表面潤滑層の表面の超深度画像写真であり、図3Bは、図3Aの表面潤滑層の表面形状を3次元画像化したものである。図3Bの3次元画像により、表面の凹凸の形状がわかり、表面潤滑層の表面に、島状の凸部が形成されていることがわかる。図3Cは、図3Bの3次元画像の直線部分x−x(200μm)において、基材層および表面潤滑層に対して垂直に切断した断面での表面潤滑層の粗さ曲線を示す図である。
(実施例2)
ナイロンエラストマー(エムエスケー・ジャパン株式会社製、グリルアミドELG5660グレード)を定法により押出成形し、外径0.88mm、内径0.76mm、長さ50mmの単層チューブを作製した。
親水性ブロックとしてポリジメチルアクリルアミド(DMAA)を、反応性ブロックとしてポリグリシジルメタクリレート(GMA)を有するブロック共重合体[p(DMAA−b−GMA)](DMAA:GMA(モル比)=12:1)を4.0質量%の割合で溶解したDMF溶液に、平均粒径8.5μmの硫酸ナトリウム微粒子(三田尻化学工業株式会社製)をそれぞれ0.5、2.0、8.0、12.0質量%分散させたコート液を作製した(親水性重合体と硫酸ナトリウム微粒子との質量比はそれぞれ8:1、2:1、1:2、1:3)。そのコート液に上記単層チューブを浸漬してディップコートし、130℃のオーブン中で3時間乾燥させ、チューブの外周に皮膜(厚さ1.8μm、前記4つの質量比の平均値)を形成した。その後、当該チューブを、水の中に15分間浸漬し、25℃で60分間風乾することで、表面潤滑層に島状の凸部(凸凹構造)を持つチューブを作製した。これらのチューブのうち、硫酸ナトリウム微粒子の比率が低い順に、実施例2A〜2Dとする。なお、2A〜2Dのチューブの表面潤滑層の厚さは、1.8μm(2A〜2Dの平均値)であった。
(比較例1)
コート液に硫酸ナトリウム微粒子を分散させないこと以外は、実施例1と同様の方法で表面潤滑層を持つシートを作製した。比較例1で得られた表面潤滑層の表面状態を、超深度形状測定顕微鏡(製品名VK−X100、キーエンス社製)を用いて観察した結果を図4に示す。なお、図4は、表面潤滑層の表面状態の写真である。
(比較例2)
コート液に硫酸ナトリウム微粒子を分散させないこと以外は、実施例2と同様の方法で外周に表面潤滑層を持つチューブを作製した。
(比較例3)
親水性ブロックとしてポリジメチルアクリルアミド(DMAA)を、反応性ブロックとしてポリグリシジルメタクリレート(GMA)を有するブロック共重合体[p(DMAA−b−GMA)](DMAA:GMA(モル比)=12:1)を4.0質量%の割合で溶解したDMF溶液に、平均粒径0.7μmの炭酸カルシウム微粒子(ソフトン3200、備北粉化工業株式会社製)を8.0質量%分散させたコート液を作製した(親水性重合体と炭酸カルシウム微粒子との質量比は1:2)。このコート液に実施例2の単層チューブを浸漬してディップコートし、130℃のオーブン中で3時間乾燥させ、チューブの外周に皮膜(厚さ1.9μm)を形成した。その後、当該チューブを、0.1mol/L塩酸の中に15分間浸漬した後、水で洗浄し、25℃で60分間風乾することで、比較例3の表面潤滑層に島状の凸部(凸凹構造)を持つチューブ(表面潤滑層の厚さ1.9μm)を作製した。
<凸凹構造>
上記実施例1、実施例2C、比較例1、比較例3で作製したシートもしくはチューブ(サンプル)の凸部高さを、以下の方法により算出した。
各サンプルについて超深度形状測定顕微鏡(製品名VK−X100、キーエンス社製)を用いて対物レンズ50倍で観察し、各サンプルの表面潤滑層上の直線領域(200μm)における粗さ曲線平均高さRc値を、JISB0601:2001に基づき測定した。この測定は表面潤滑層上の任意の10箇所にて行い、それぞれ測定されたRc値を相加平均した平均値を、凸部の平均高さとした。結果を図5に示す。
また、上記実施例2A〜2D、比較例2、比較例3で作製したチューブ(サンプル)の表面粗さを、以下の方法により算出した。
各サンプルについて超深度形状測定顕微鏡(製品名VK−X100、キーエンス社製)を用いて対物レンズ50倍で観察し、各サンプルの表面潤滑層上の20μm×200μmの領域における算術平均粗さRa値を、JISB0601:2001に基づき測定した。この測定は表面潤滑層上の任意の10箇所にて行い、それぞれ測定されたRa値を相加平均した平均値を、表面潤滑層の表面粗さとした。結果を図6に示す。
<保水性評価>
実施例2A〜2D、比較例2、比較例3で作製したチューブ(サンプル)を用いて、保水性評価を行った。
図7に示すように、ガラスシャーレ31に両面テープを貼り付け、その接着面に、芯金32を挿入したサンプル35を固定した。シャーレ31中をPBSで満たし、1分間浸漬した後、PBSを除去した。その後、速やかに摩擦測定機30(トリニティーラボ社製、ハンディートライボマスターTL201)の試料台にセットし、重り34によりSUS製球状接触端子33に荷重を印加して、繰り返し往復運動させた際の摺動抵抗値を経時的に測定した。大気中で表面潤滑層が乾燥するにつれ、潤滑性は失われ、摺動抵抗値が上昇する。このとき、摺動抵抗値が5gfを超えるまでを潤滑性保持時間として、測定を行った。
実施例2A〜2Dで作製したチューブの保水性評価結果を図8Aに示し、比較例2、3で作製したチューブの保水性評価結果を図8Bに示す。比較例2および3は潤滑性保持時間が約150秒であった。それに対して、実施例2Aでは、約1.7倍長時間潤滑性が維持された。硫酸ナトリウム微粒子の添加量の多い実施例2B〜2Dは、さらに長時間潤滑性が維持された。
以上の結果より、本発明の実施例のように島状の凸部(凸凹構造)を作製することで、大気中においても潤滑性が長時間維持される表面潤滑層を製造できることが示された。
1 基材層、
1a 基材層コア部、
1b 表面層、
2 表面潤滑層、
3 凸部、
10 医療用具、
11 基材層、
12 皮膜、
13 物質A、
14 表面潤滑層、
14a 凸部、
14b 凹部、
20 医療用具、
30 摩擦測定機、
31 シャーレ、
32 芯金
33 SUS製球状接触端子、
34 重り、
35 サンプル。

Claims (3)

  1. 親水性重合体に対して可溶性でありかつ物質Aに対して不溶性である溶媒中に、前記親水性重合体および前記物質Aを添加して溶液Bを調製し、前記溶液Bを基材層にコートして基材層上に皮膜を形成する工程と、
    前記親水性重合体に対して不溶性でありかつ前記物質Aに対して可溶性である溶液Cに、前記皮膜が形成された基材層を浸漬し、島状の凸部を有する表面潤滑層を形成する工程と、
    を含み、
    前記物質Aの平均粒径が、前記基材層上に形成される皮膜の厚さを超える、医療用具の製造方法。
  2. 前記物質Aは無機塩または有機塩の粒子であり、前記溶液Cは水が主成分である、請求項1に記載の医療用具の製造方法。
  3. 基材層と、
    基材層の少なくとも一部を覆う親水性重合体からなる表面潤滑層と、を備え、
    前記表面潤滑層が、島状の凸部を有し、
    前記凸部の平均高さが、0.8〜5μmであり、
    前記表面潤滑層の表面粗さが、0.15μm以上である、医療用具。
JP2012065973A 2012-03-22 2012-03-22 医療用具およびその製造方法 Pending JP2013192885A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012065973A JP2013192885A (ja) 2012-03-22 2012-03-22 医療用具およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012065973A JP2013192885A (ja) 2012-03-22 2012-03-22 医療用具およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013192885A true JP2013192885A (ja) 2013-09-30

Family

ID=49392522

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012065973A Pending JP2013192885A (ja) 2012-03-22 2012-03-22 医療用具およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013192885A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016174913A1 (ja) * 2015-04-28 2016-11-03 株式会社カネカ ディップコーティング装置およびコーティングされた部材の製造方法
WO2021053996A1 (ja) * 2019-09-17 2021-03-25 テルモ株式会社 医療器具および医療器具の製造方法
WO2021059780A1 (ja) * 2019-09-26 2021-04-01 テルモ株式会社 医療器具および医療器具の製造方法
WO2022130632A1 (ja) * 2020-12-18 2022-06-23 朝日インテック株式会社 ガイドワイヤの製造方法およびガイドワイヤ
WO2023114112A1 (en) * 2021-12-16 2023-06-22 Piraeus Medical, Inc. Catheter devices and methods of use
WO2023114731A1 (en) * 2021-12-13 2023-06-22 Piraeus Medical, Inc. Catheter systems and methods of use
WO2023220571A1 (en) * 2022-05-10 2023-11-16 Piraeus Medical, Inc. Catheter systems and methods of use

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016174913A1 (ja) * 2015-04-28 2016-11-03 株式会社カネカ ディップコーティング装置およびコーティングされた部材の製造方法
JPWO2016174913A1 (ja) * 2015-04-28 2018-02-22 株式会社カネカ ディップコーティング装置およびコーティングされた部材の製造方法
US10625298B2 (en) 2015-04-28 2020-04-21 Kaneka Corporation Dip coating device and method for producing coated member
WO2021053996A1 (ja) * 2019-09-17 2021-03-25 テルモ株式会社 医療器具および医療器具の製造方法
WO2021059780A1 (ja) * 2019-09-26 2021-04-01 テルモ株式会社 医療器具および医療器具の製造方法
WO2022130632A1 (ja) * 2020-12-18 2022-06-23 朝日インテック株式会社 ガイドワイヤの製造方法およびガイドワイヤ
WO2023114731A1 (en) * 2021-12-13 2023-06-22 Piraeus Medical, Inc. Catheter systems and methods of use
WO2023114112A1 (en) * 2021-12-16 2023-06-22 Piraeus Medical, Inc. Catheter devices and methods of use
WO2023220571A1 (en) * 2022-05-10 2023-11-16 Piraeus Medical, Inc. Catheter systems and methods of use

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9782521B2 (en) Medical device and method for producing medical device
JP2013192885A (ja) 医療用具およびその製造方法
JP6619360B2 (ja) 医療用具およびその製造方法
EP2392362B1 (en) Medical device which has lubricating surface when wet
JP2001509052A (ja) 医療器具表面コーティング用の結合層
WO2015029641A1 (ja) 医療用具およびその製造方法
JP6776029B2 (ja) 医療用具
JP5923313B2 (ja) 医療用具およびその製造方法
JP5770727B2 (ja) 医療用具の製造方法
JP3599784B2 (ja) 湿潤時に表面が潤滑性を有する医療用具
JP5932358B2 (ja) 管腔挿入具およびその製造方法
JP2013169283A (ja) 医療用具の製造方法および医療用具
JP2016150163A (ja) 医療用具の製造方法
JP2012161372A (ja) 医療用具およびその製造方法
WO2019059106A1 (ja) 医療用具の製造方法
JP7003619B2 (ja) 医療機器および医療機器の製造方法
WO2014123077A1 (ja) 医療用コーティング材料および医療用具
JP2024010351A (ja) 医療用具
JP2023005465A (ja) 医療機器および医療機器の製造方法