JP2004303880A - 入出力モジュール装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、信号線が接続される端子を前面に有する入出力モジュールを、水平方向に近接して複数個配列する入出力モジュール装置に改良を加えたものである。本装置は、入出力モジュール前面の上端にヒンジで結合され、このヒンジを支点として上下方向に回転して開閉する端子用の保護カバーを設けたことを特徴とするものである。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、信号線が接続される端子を前面に有する入出力モジュールを、水平方向に近接して複数個配列する入出力モジュール装置に関するものであり、詳しくは、端子に接続する信号線の接続を容易に変更できる入出力モジュール装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
入出力モジュール装置は、プラントの監視・制御に用いられたり、研究・開発中の製品の計測等にも用いられる。そして、多種多様な信号が、入出力モジュール装置に入出力される。例えば、入力信号の場合、熱電対からの電圧信号、電力測定の交流信号、パルス信号等である。また、出力信号の場合、外部機器への制御信号、アラーム信号等であり、入出力信号の場合、外部機器との通信等である。そして、これらの多種多様な信号を機能ごとにそれぞれのモジュールに割り当てている。
【0003】
もちろん、同一の入力信号であっても、例えば、温度測定では数十から数百点を同時に測定する必要があり、複数の温度測定用のモジュールが設置される。そして、このような入出力モジュールを一体化したユニットが入出力モジュール装置である。また、入出力モジュール装置への入出力信号は、外部の機器、例えば、パーソナルコンピュータや制御機器に送られデータ処理される(非特許文献1)。
【0004】
図10、図11は、このような入出力モジュール装置の従来例を示す構成図であり、同一のものには同一符号を付している。図10、図11において、測定モジュール10は、例えば、温度測定を行う入出力モジュールであり、複数の入出力用の端子11が前面に設けられる。この端子11は、例えば、信号線である図示しない熱電対が接続され、被測定対象からの信号(電圧)が入力される。
【0005】
通信モジュール12は、外部機器と通信を行う入出力モジュールであり、前面に通信用のコネクタ13が設けられ、信号線である図示しない通信ケーブルが接続される。コントロールモジュール14は、測定モジュール10、通信モジュール12に電力を供給すると共に、これらのモジュール10、12の動作を制御し、入出力モジュール装置に1個設けられる。また、コントロールモジュール14は、他の入出力モジュール装置と専用線を介して通信を行う。
【0006】
保護カバー20は、測定モジュール10の端子11を覆い隠すように取り付けられるカバーである。例えば、測定中にユーザが誤って端子に触れることを保護する。また、熱電対が接続される場合に、端子11が風にさらされ、端子温度が変化することを防ぎ温度測定の精度を上げている。また、保護カバー20は、測定モジュール10前面の上端、下端でネジによって固定される。
【0007】
ベース30は、前面に複数の接続用コネクタ31を有し、接続用コネクタ31は、水平方向に平行に配列されている。この接続用コネクタ31を介して、モジュール10、12、コントロールモジュール14の後面で電気的に接続される。すなわち、モジュール10、12、コントロールモジュール14は、水平方向に配列され、ネジ21で固定される。また、ベース30は、樹脂成型で製造される。
【0008】
目隠し板40は、モジュール10、12が取り付けられない接続用コネクタ31に誤って信号が入力されないように、またごみ等が付着してショートを起こさないように保護するものであり、ベース30にネジ21で固定される。
【0009】
このような入出力モジュール装置の動作を説明する。図示しない熱電対から測定モジュール10の端子11に信号が入力され、この入力信号を測定モジュール10が内部に設けられる図示しないAD変換器によってデジタルデータに変換して一時記憶する。そして、コントロールモジュール14からの指示によって、測定モジュール10がデジタルデータを通信モジュール12にベース30を介して出力する。さらに、通信モジュール12が各測定モジュール10からのデータを外部の機器に出力する。
【0010】
【非特許文献1】
佐藤哲也、他1名「データアクイジョンユニットDARWINシリーズ」、横河技報、横河電機株式会社、1996年、第40巻、第3号、p.95−98
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このような入出力モジュール装置は、被測定対象が決まり測定が開始されれば、測定モジュール10の端子11に接続される熱電対の接続が変更されることはほとんどない。
【0012】
しかしながら、工場に設置した際の測定モジュール10の調整、動作確認中や、研究・開発中の製品を測定している場合、測定モジュール10の端子11への信号線の取り付け、取り外し等の接続の変更が頻繁に行われる。
【0013】
ここで、端子の接続を変更する動作の説明をする。まず、工具を用いてネジを外し、保護カバー20を測定モジュール10から外す。この際、ネジと保護カバー20が紛失しないよう注意する必要がある。そして、端子11の熱電対の接続を変更した後、保護カバー20を測定モジュール10につけて、ネジを工具を用いて固定する。
【0014】
このように端子の接続の変更が発生するごとに、一連の作業を繰り返す必要がある。そのため、測定を再開するまでに非常に時間がかかるという問題がある。また、複数の測定モジュール10の接続を同時に変更する場合は、保護カバー20が混ざらないように注意する必要もある。
【0015】
また、このような保護カバー20の取り付け、取り外しの頻雑な作業を省略して、保護カバー20をつけずに測定を行うユーザもおり、測定が正しく行われないという問題も生じている。
【0016】
そこで本発明の目的は、端子に接続する信号線の接続を容易に変更できる入出力モジュール装置を実現することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、
信号線が接続される端子を前面に有する入出力モジュールを、水平方向に近接して複数個配列する入出力モジュール装置であって、
前記入出力モジュール前面の上端にヒンジで結合され、このヒンジを支点として上下方向に回転して開閉する前記端子用の保護カバーを設けたことを特徴とするものである。
【0018】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、
保護カバーは、前記入出力モジュール前面の下端にねじで固定されることを特徴とするものである。
【0019】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、
保護カバーは、前記入出力モジュール側の一方の面に、前記入出力モジュールの端子ナンバーの表記があることを特徴とするものである。
【0020】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、
端子ナンバーの表記は、印刷または端子ナンバーが表示されたシールが貼られることを特徴とするものである。
【0021】
請求項5記載の発明は、請求項3または4記載の発明において、
保護カバーは、半透明であり、閉じた状態において前記端子ナンバーの表記が確認できることを特徴とするものである。
【0022】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において
保護カバーは、レンズを有し、前記端子ナンバーの表記が拡大されて表示されることを特徴とするものである。
【0023】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、
ヒンジは、前記保護カバーと前記入出力モジュールとが接する円周上に、少なくとも凸部が一つあるストッパーを設けたことを特徴とするものである。
【0024】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の発明において、
信号線は、熱電対であり、
前記入出力モジュールは、前記熱電対が前記端子に接続され、温度測定を行うことを特徴とするものである。
【0025】
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の発明において、
前記入出力モジュールを電気的に接続するマザーボードと、
このマザーボード、および入出力モジュールを固定するグランドプレートと
を有し、グランドプレートは異形材であることを特徴とするものである。
【0026】
請求項10記載の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の発明において、
前記入出力モジュールを電気的に接続するマザーボードと、
このマザーボード、および入出力モジュールを固定するグランドプレートと
を有し、グランドプレートは板金であることを特徴とするものである。
【0027】
請求項11記載の発明は、請求項1〜10のいずれかに記載の発明において、
ヒンジは、
半球形状の凸部と、
この凸部に嵌合する半球形状の凹部と
を有し、前記保護カバーは、前記凸部と前記凹部とが嵌合する方向に対して垂直な面に回転することを特徴とするものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例を示す構成図である。なお、通信モジュール12、ベース30の図示は省略する。また、コントロールモジュール14の説明は省略する。
【0029】
図1において、測定モジュール50は、測定モジュール10と同様に、例えば、温度測定を行う入出力モジュールであり、複数の端子51が前面に設けられる。この端子51は、例えば、信号線である図示しない熱電対が接続され、被測定対象からの信号(電圧)が入力される。
【0030】
また、測定モジュール50は、水平方向に近接するように設けられる。すなわち、入出力モジュール装置を小型化するため余分なスペースが生じないように測定モジュール50は出来る限り近づけて設けられる。
【0031】
保護カバー60は、保護カバー20と同様に測定モジュール50の端子51を覆い隠すように取り付けられるカバーである。例えば、測定中にユーザが誤って端子に触れることを保護する。また、熱電対が接続される場合に、端子51が風にさらされ、端子温度が変化することを防ぎ温度測定の精度を上げている。
【0032】
続いて、保護カバー60を詳細に説明する。保護カバー60は、ヒンジ61によって測定モジュール50と結合される。ヒンジ61は、測定モジュール50前面の上端の両端に設けられる。すなわち、ヒンジ61を支点として、上下方向に180度回転して保護カバー60を開閉することができる。
【0033】
一方、保護カバー60は、測定モジュール50前面の下端にネジ62で固定される。もちろん、ネジ62で固定されると保護カバー60は、開閉されない。ツメ63は、測定モジュール50前面の下端のネジ止め用の穴の近傍に設けられ、保護カバー60を仮に閉めておくものである。
【0034】
このような測定モジュール50に設けられる端子51の接続を変更する動作の説明をする。まず、保護カバー60の下面をもちツメ63を外し、保護カバー60を上方向に180度回転して、保護カバー60を開く。そして、端子51の熱電対の接続を変更した後、保護カバー60を180度下方向に回転して、保護カバー60を閉じる。
【0035】
そして、端子51の接続の変更が発生するごとに、一連の作業を繰り返し、最終的に接続が決定した場合、ネジ62を工具を用いて保護カバー60を固定する。
【0036】
このように、保護カバー60が、測定モジュール50の上端に設けられたヒンジ61を支点として上下方向に回転して開閉されるので、測定モジュール50が水平方向に近接して配置されていても、開閉を行うことができ、接続を変更するたびにネジの固定をする必要が無い。すなわち、端子に接続する熱電対の接続を容易に変更できる
【0037】
また、保護カバー60は、測定モジュール50の上端を支点として回転するので、保護カバー60自体の自重によって閉まろうとする。すなわち、強い力で保護カバー60を閉める必要が無く、さらに、閉め忘れによって端子51が開放されることを防ぐことができる。これにより、安全性が高まるとともに、温度測定において測定精度を上げることができる。
【0038】
また、接続が定まった後は、保護カバー60は、工具を用いてネジ62で固定されるので、従来の入出力モジュール装置同様に、工具がないと保護カバー60を開閉することができず、測定中の安全、測定精度を保つことができる。
【0039】
また、保護カバー60は、ヒンジ61によって結合され、測定モジュール50から分離することがない。これによって、端子51の接続を変更する際に保護カバー60が紛失したり、異なる測定モジュール10の保護カバー60と取り違えることがない。
【0040】
なお、本発明はこれに限定されるものではなく、以下のようなものでもよい。
(1)図1に示す装置において、端子51は、測定モジュール50に複数設けられることが多いので、保護カバー60の後面、すなわち端子51側の面に、端子51の端子ナンバーの表記を行っても良い。この端子ナンバーの表記は、印刷または端子ナンバーが表示されたシールを貼るとよい。そして、保護カバー60を上方向に180度回転させて開けた状態で、端子51と表記された端子ナンバーを参照するようにしてもよい。
【0041】
このように、ヒンジ61で測定モジュール50と結合された保護カバー60の後面に端子ナンバーを表記するので、他の測定モジュール50の保護カバー60と取り違うことも無く配線の間違いが生じず、さらに保護カバー60を開けた状態で端子ナンバーを確認しながら作業を行える。
【0042】
また、保護カバー60を半透明とし、最終的に端子51の接続が決定した後、保護カバー60を閉じた状態において、端子51と端子ナンバーの表記が確認できるように、保護カバー60の後面に端子51の端子ナンバーの表記してもよい。これにより、ネジ62で固定された保護カバー62を工具を用いて開けなくても端子51の接続状態や、測定モジュール10に設けられている端子51の端子ナンバーの確認を行うことができる。
【0043】
さらに、端子51が多数有り、端子ナンバーの表記が小さく見づらい場合は、端子ナンバーが表記される部分ごとに、半透明の保護カバー60に曲率を持たせたレンズ加工を施し、端子ナンバーを拡大して表示させるとよい。これにより、小さい表記の端子ナンバーが見易くなる。
【0044】
(2)図1に示す装置において、保護カバー60は、ヒンジで結合される構成を示したが、ヒンジは、保護カバー60と測定モジュール50とが接する円周上に、凸部を有するストッパーを設けてもよい。図2は、ヒンジ61をコントロールモジュール14側から見た側面図である。ここで、図1と同一のものは同一符号を付し説明を省略する。図2において、凸部50a、61aは、測定モジュール50、保護カバー60とが接する円周上にそれぞれ設けられる。そして、図2(a)は、保護カバー60が閉まっている状態である。図2(b)は、保護カバー60がある程度、例えば100°程開いた状態で、保護カバー60の凸部61aと測定モジュール50の凸部50aによって支えられている状態の図である。
【0045】
このように、凸部50a、61aのストッパーによって保護カバー60が開いた状態で維持される。すなわち、図1に示す装置では、ユーザが保護カバー60を開けた状態で手を離すと、保護カバー60は、保護カバー60の自重で閉まろうとするが、図2に示す装置では、凸部50a、61aのストッパーで止まる。これにより、保護カバー60を上方向に必ず180°回転して、自重で落ちてこない状態にしてから手を離さなくてもよく、ユーザの作業効率が上がる。
【0046】
(3)図10、図11に示す装置において、ベース30は、樹脂成型で製造される例を示したが、引き抜き加工による異形材や板金でもよく、材質は軽量で、加工しやすく、熱伝導率の良いアルミニュームがよい。すなわち、図3に示すように構成してもよい。ここで、図1と同一のものは同一符号を付し、説明を省略する。図3において、ベース70は、グランドプレート71、マザーボード72を有し、コントロールモジュール14と一つ以上の測定モジュール50を電気的に接続すると共に、コントロールモジュール14と測定モジュール50を固定する。
【0047】
グランドプレート71は、材質がアルミニュームであり、マザーボード72、測定モジュール50、コントロールモジュール14を固定する。このグランドプレート71は、引き抜き加工による異形材や板金であり、容易に所望の長さに加工できる。また、測定モジュール50、コントロールモジュール14の放熱板としての機能もある。
【0048】
マザーボード72は、接続用コネクタ73を有し、コントロールモジュール14と一つ以上の測定モジュール50を電気的に接続する。接続用コネクタ73は、水平方向に平行に配列されている。この接続用コネクタ73を介して、測定モジュール50、コントロールモジュール14の後面で電気的に接続される。すなわち、測定モジュール50、コントロールモジュール14は、水平方向に配列される。もちろん、接続用コネクタ73の間隔は、測定モジュール50、コントロールモジュール14が水平方向に近接するように配置され、入出力モジュール装置の小型化が図られる。
【0049】
ここで、ベース70は、測定モジュール10の取り付け個数ごとに異なる長さのものが用意される。図3においては、測定モジュール10が6個、3個、1個取り付けられる場合のベース70を図示している。
【0050】
このように、ベース70のグランドプレート71が、引き抜き加工による異形材、または板金で作成されるので、測定モジュール10の取り付け個数ごとにベース70を用意することが出来る。すなわち、樹脂成型の場合は、型の作成に数十万、数百万円かかるのが一般的である。そのため、測定モジュール10の取り付け個数ごとに型をおこすのは初期コストでみると非常に高額となり、実際には図11に示すように、使わない接続用コネクタ31を目隠し板40で覆って使用する。しかし、これにより入出力モジュール装置が大型となり、スペースに無駄が生じるが、異形材、若しくは板金の場合は、グランドプレート71を加工後、所望の長さで切断すればよい。これにより、初期コストを安く抑えると共に、入出力モジュール装置の小型化を図ることができる。もちろん、マザープレート72はプリント基板なので、複数の種類の長さのものを用意してもコストはほとんど変わらない。
【0051】
(4)図1に示す装置において、入出力モジュールの例として、温度測定用の測定モジュール50の構成を示したが、入出力モジュールは、熱電対の代わりに電力、ひずみ等を測定するための信号線が端子51に接続され、これらの信号(電圧、電流)を測定するモジュールでもよい。
【0052】
(5)図1〜図3に示す装置において、入出力モジュールの例として、熱電対が接続される温度測定用の測定モジュール50を例に挙げた。そして、保護カバー60は、測定モジュール50の端子51が風にさらされることによる端子温度の変化を防ぎ、温度測定の精度を上げる構成を示したが、更に温度測定の精度を上げるために、測定モジュール50の内部に熱遮蔽板を設けるとよい。ここで、図4、図5を用いて説明する。また、図1、図2と同一のものは同一符号を付し、説明を省略する。
【0053】
図4は、図5と差異を明確にするために熱遮蔽板を設けない測定モジュール50の構成を示した図であり、図5は熱遮蔽板を設けた測定モジュール50の構成を示した図である。また、図4(a)は、保護カバー60を外した測定モジュール50の斜視図であり、また、端子51の数を図1に示す装置よりも少なく図示している。図4(b)は、図4(a)に示す測定モジュール50の内部を示した組み立て断面図である。
【0054】
図4、図5において、電気回路基板52は、測定モジュール60内に設けられ、コンデンサ、抵抗、AD変換器などの電子部品、電気回路を有し、端子51からの信号処理等を行う。端子用基板53は、端子51近傍に設けられ、基準接点温度を測定する温度センサ(図示せず)を有する。また、端子51、端子用基板53は、電気回路用基板52の端にはんだ付けされ固定される。
【0055】
図4に示す測定モジュール10における熱電対による温度測定では、(A)熱電対による、測定対象の温度と端子51との温度差から発生する起電力、(B)温度センサからの基準接点温度に比例した電圧、の(A)、(B)を足し合わせて測定される。そして、端子51の温度と基準接点温度とに温度差がある場合、その差は測定誤差となる。
【0056】
つまり、電気回路基板52上の電気部品、電気回路の発熱によりその周囲の空気が暖められ、測定モジュール50内で対流が生じ、暖かい空気が端子51に当たり、端子51の温度が上がる。そして、端子51の温度が高い場合、熱容量の大きな熱電対(たとえば、太い熱電対や、取り付け用チップのついた熱電対)を端子51に取り付けると、端子51の温度は熱電対によって熱が伝導して急激に温度が下がる。これにより、測定誤差は熱電対によって振られ、測定精度が悪くなる。
【0057】
そこで、図5に示す構成にするとよい。すなわち、図5において、熱遮蔽板54は、電気回路用基板52の発熱部と端子51との間に設けられる。そして、電気回路用基板52に対して垂直に設けられる。これにより、熱遮蔽板54が、電気回路用基板52の電子回路からの発熱により測定モジュール50内で対流が生じても、この高温の空気が端子51にあたるのを防ぐので、端子51の温度上昇を防ぐことができ、測定精度を向上することができる。
【0058】
(6)図1に示す装置において、保護カバー60は、ヒンジ61で結合される構成を示したが、このヒンジ61は、概略半球形状の凸部と、この凸部に嵌合する半球形状の凹部とを設けるとよい。ここで、図6〜図9を用いて説明する。また、図1、図2と同一のものは同一符号を付し、説明を省略する。図6はヒンジ61の詳細な構成を示した図である。図6(a)は測定モジュール50側であり、図6(b)は保護カバー60側である。図7はヒンジ61の断面図である。図8は保護カバー60に外力Fが加わる方向の一例を示した図である。図9は、従来のヒンジの構成図である。
【0059】
図6、図7において、ヒンジ61は、保護カバー60に概略半球形状の凸部60bが設けられ、測定モジュール50に凸部60bに嵌合する半球形状の凹部50bが設けられる。また、凹部50bおよび凸部60bのそれぞれは、測定モジュール50、保護カバー60から突出した部分に設けられる。そして、保護カバー60は、凸部60bを回転軸として、凸部60bと凹部50bが嵌合する方向に対して垂直な面に回転する。もちろん、半球形状の凸部60bを測定モジュール50に設け、半球形状の凹部50bを保護カバー60に設けても良い。
【0060】
このようなヒンジ61に外力Fが加わった場合の動作を図8を用いて説明する。図8に示すように、保護カバー60は、保護カバー60の下面をもちツメ63を外し、保護カバー60を上方向に180度回転して開くが、保護カバー60が開放された状態でさらに、測定モジュール50の後面の開放方向(回転軸と垂直な方向)に外力Fが加わる場合(例えば、端子51の接続中に作業者が誤って押す場合)がある。この場合、凸部60b、凹部50bは、半球形状であるため、回転軸と垂直な方向に外力Fが加わっても容易にヒンジ61の結合が外れ、保護カバー60も測定モジュール50から外れる。また、凹部50bおよび凸部60bのそれぞれは、測定モジュール50、保護カバー60から突出した部分に設けられるので、この突出した部分の根元が変形しつつ、凸部60b、凹部51bのヒンジ61が外れる。従って、ヒンジ61を損傷せずに、保護カバー60が外れる。
【0061】
すなわち、図9に示す従来のヒンジは、円柱状のピン81、円柱状のピン81に嵌合する穴82、ピン81を穴82に押し付けるばね83によって構成される。そして、ピン81を回転軸として保護カバーが上下方向に回転される。しかし、図8に示す方向に外力Fが加わると、ピン81が折れて破断してしまう。
【0062】
このように、ヒンジ61は、半球形状の凸部60bと、この凸部60bに嵌合する半球形状の凹部50bからなり、凸部60bを回転軸として、凸部60bと凹部50bとが嵌合する方向に対して垂直な面に回転するので、回転軸と垂直な方向(せん断方向)に外力Fが加わっても円柱状のピン81と比較して、容易に保護カバー60が外れ、ヒンジ61が壊れにくい。従って、ヒンジ61のせん断強度が高い。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、以下のような効果がある。
請求項1〜11によれば、保護カバーが、入出力モジュール前面の上端に設けられたヒンジを支点として上下方向に回転して開閉されるので、入出力モジュールが水平方向に近接して配置されていても、保護カバーの開閉を行うことができ、端子の接続を変更するたびにネジの固定をする必要が無い。すなわち、端子に接続する信号線の接続を容易に変更できる
【0064】
また、請求項9によれば、グランドプレートが、引き抜き加工による異形材なので、入出力モジュールの取り付け個数ごとにグランドプレートを用意することが出来る。これにより、樹脂成型と比較して初期コストを安く抑えると共に、不要なスペースを減少して入出力モジュール装置の小型化を図ることができる。
【0065】
また、請求項10によれば、グランドプレートが、板金により製造されるので、入出力モジュールの取り付け個数ごとにグランドプレートを用意することが出来る。これにより、樹脂成型と比較して初期コストを安く抑えると共に、不要なスペースを減少して入出力モジュール装置の小型化を図ることができる。
【0066】
そして、請求項11によれば、ヒンジは、半球形状の凸部と、この凸部に嵌合する半球形状の凹部からなり、凸部を回転軸として、凸部と凹部とが嵌合する方向に対して垂直な面に回転するので、回転軸と垂直な方向(せん断方向)に外力が加わっても円柱状のピンと比較して、容易に保護カバーが外れ、ヒンジが壊れにくい。従って、ヒンジのせん断強度が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示した構成図である。
【図2】図1に示す装置の要部を詳細に示した構成図である。
【図3】測定モジュール10の取り付け個数ごとのベース70の構成を示した図である。
【図4】図1に示す装置の測定モジュール50の外形、断面(熱遮蔽板なし)を示した図である。
【図5】図1に示す装置の測定モジュール50の断面(熱遮蔽板あり)を示した図である。
【図6】ヒンジ61の詳細な構成を示した図である。
【図7】図6に示すヒンジ61の断面図である。
【図8】保護カバー60に外力Fが加わる方向の一例を示した図である。
【図9】従来のヒンジの構成図である。
【図10】従来の入出力モジュール装置の構成図である。
【図11】測定モジュール10の組み立てを示した図である。
【符号の説明】
14 コントロールモジュール
50 測定モジュール
50a、61a 凸部
50b 半球形状の凸部
51 端子
60 保護カバー
60b 半球形状の凹部
61 ヒンジ
62 ネジ
70 ベース
71 グランドプレート
72 マザーボード
73 接続用コネクタ
Claims (11)
- 信号線が接続される端子を前面に有する入出力モジュールを、水平方向に近接して複数個配列する入出力モジュール装置であって、
前記入出力モジュール前面の上端にヒンジで結合され、このヒンジを支点として上下方向に回転して開閉する前記端子用の保護カバーを設けたことを特徴とする入出力モジュール装置。 - 保護カバーは、前記入出力モジュール前面の下端にねじで固定されることを特徴とする請求項1記載の入出力モジュール装置。
- 保護カバーは、前記入出力モジュール側の一方の面に、前記入出力モジュールの端子ナンバーの表記があることを特徴とする請求項1または2記載の入出力モジュール装置。
- 端子ナンバーの表記は、印刷または端子ナンバーが表示されたシールが貼られることを特徴とする請求項3記載の入出力モジュール装置。
- 保護カバーは、半透明であり、閉じた状態において前記端子ナンバーの表記が確認できることを特徴とする請求項3または4記載の入出力モジュール装置。
- 保護カバーは、レンズを有し、前記端子ナンバーの表記が拡大されて表示されることを特徴とする請求項5記載の入出力モジュール。
- ヒンジは、前記保護カバーと前記入出力モジュールとが接する円周上に、少なくとも凸部が一つあるストッパーを設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずかに記載の入出力モジュール装置。
- 信号線は、熱電対であり、
前記入出力モジュールは、前記熱電対が前記端子に接続され、温度測定を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の入出力モジュール装置。 - 前記入出力モジュールを電気的に接続するマザーボードと、
このマザーボード、および入出力モジュールを固定するグランドプレートと
を有し、グランドプレートは異形材であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の入出力モジュール装置。 - 前記入出力モジュールを電気的に接続するマザーボードと、
このマザーボード、および入出力モジュールを固定するグランドプレートと
を有し、グランドプレートは板金であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の入出力モジュール装置。 - ヒンジは、
半球形状の凸部と、
この凸部に嵌合する半球形状の凹部と
を有し、前記保護カバーは、前記凸部と前記凹部とが嵌合する方向に対して垂直な面に回転することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の入出力モジュール装置。
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