JP2004299668A - 車両用ガラスランチャンネルとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 窓ガラス表面との摺動抵抗を長期に亘って低く維持し得るガラスランチャンネル及びその製造方法、並びにガラスランチャンネル組立体を提供する。
【解決手段】 ガラスラン14は、リップ部26,27の表面の窓ガラス3に圧接する部分に粗面部251,252を有する。基底部21及び側壁部22,23の溝内側表面にも粗面部253〜255が設けられている。粗面部251〜255は、(a).ポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン等)の含有割合が50質量%以上であるオレフィン系熱可塑性エラストマー;(b).平均粒子径1〜100μmの固形粒子(球状シリコーン樹脂粒子等);及び(c).液状潤滑剤(シリコーンオイル等);を含む成形材料からなる。それらの粗面部は、表面が起伏した状態に形成され、その起伏面に固形粒子による多数の小凸部が形成されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、自動車等の車両に取り付けられるガラスランチャンネルに関し、詳しくは車両の窓ガラスに圧接するリップ部を備えたガラスランチャンネル及びその製造方法に関する。また、本発明は、そのようなガラスランチャンネルを備えたガラスランチャンネル組立体に関する。
自動車等の車両に装着される長尺状部材の一つとして、窓ガラスの移動を案内するとともにその装着部と窓ガラスとの間を遮蔽するガラスランチャンネルがある。一般に、このようなガラスランチャンネルは、車両の窓枠に沿って取り付けられて、窓枠内を移動する窓ガラスの縁部に接してその窓ガラスを案内する溝を有する。典型的には、溝の底に相当する基底部と、その基底部の幅方向の両端から立ち上がって溝の側壁に相当する一対の側壁部と、それら一対の側壁部から溝の内側に向けてそれぞれ張り出して窓ガラスの外表面と内表面(表面)に弾性的に圧接するリップ部とを備える。かかる構造のガラスランチャンネルは、オレフィン系その他の熱可塑性エラストマー(TPE)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)を主体とする合成ゴム等の、いわゆるエラストマー材料を押出成形することによって製造されている。
このようなガラスランチャンネルの溝に入って移動する窓ガラスは、リップ部の表面等に圧接しつつ移動(摺動(例えば昇降動))する。そこで、窓ガラスを移動させる際の摺動抵抗を低下させるために、リップ部の窓ガラス摺動面に摩擦係数の小さい層を設けることが知られている。例えば、ポリエチレン樹脂等の摺動材を共押出成形すること、ウレタン樹脂の塗膜を設けること、そのような塗膜に粒子状の滑剤を含有させること等が提案されている(例えば、下記特許文献1〜3を参照)。
特開2000−52780号公報 特開平10−166868号公報 特開平7−150074号公報
ところで近年、車両の使用期間は長期化する傾向にあり、これに伴いガラスランチャンネルその他の車両構成部品においても長期に亘ってその性能を維持することが望まれている。例えば、ガラスランチャンネルの場合には、長期間の使用により(即ち、窓ガラスを開閉する回数が多くなると)窓ガラスを移動させる際の摺動抵抗が変動(典型的には増加)しやすい。このため、かかる摺動抵抗の増加をより長期に亘って防止したいとの要望がある。しかし、上記特許文献1〜3に開示された技術は、摺動抵抗の増加を防ぐ効果の持続性という観点から、なお改善の余地のあるものであった。例えば、窓ガラスとの摺動回数が比較的少ないときは摺動抵抗が低くても、摺動回数が数千回を超えて多くなると摺動抵抗が増大しやすいものであった。
そこで本発明は、窓ガラスに対する摺動抵抗の増加を抑制する効果の持続性が高められたガラスランチャンネル及びその製造方法を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、そのようなガラスランチャンネルを含んで構成されたガラスランチャンネル組立体を提供することである。
本発明によって以下に列挙するガラスランチャンネルが提供される。
即ち、請求項1の発明は、車両の窓枠に沿って取り付けられて窓枠内を移動する窓ガラスの縁部に接して前記窓ガラスを案内する溝を有する長尺な車両用ガラスランチャンネルに関する。前記ガラスランチャンネルは、溝の底を構成する基底部と、その基底部の幅方向の両端から立ち上がって溝の側壁を構成する側壁部と、その側壁部から溝の内側に向けて張り出して前記窓ガラスの表面に弾性的に圧接するリップ部とを備える。そして、前記リップ部のうち少なくとも前記窓ガラス面と圧接する部分に、(a).ハードセグメントとしてのポリオレフィン樹脂の含有割合が全体の50質量%以上であるオレフィン系熱可塑性エラストマー;(b).平均粒子径が1〜100μmの範囲の固形粒子;及び(c).常温で液状の潤滑剤;を含む成形材料からなる粗面部を有する。その粗面部は、表面が起伏した状態に形成されているとともに、その起伏面に前記固形粒子による多数の小凸部が形成されている。
請求項1のガラスランチャンネルによれば、リップ部のうち窓ガラスの表面に圧接する部分に上記組成及び表面形状(多数の小凸部が形成された起伏面)を有する粗面部が設けられていることから、窓ガラスの表面との摺動抵抗が低く、かつ、その摺動抵抗が増加することを防止する効果の持続性(耐久性)に優れるという効果が得られる。例えば、長期使用等により窓ガラスを移動させる回数が多くなっても、窓ガラスの摺動抵抗を所定の目標値以下に維持することができる。
請求項2の発明は、請求項1のガラスランチャンネルにおいて、更に、前記基底部の溝内側表面に前記粗面部を設けたものである。
この基底部の溝内側表面は、前記窓ガラスの端面に圧接して摺動抵抗を発生させ得る。その摺動抵抗は、ガラスランチャンネルが窓ガラスの端縁の移動方向とほぼ平行に配置されるときには窓ガラスを移動させる際の摺動抵抗の一部となって表れ、またガラスランチャンネルが窓ガラスの端縁の移動方向とほぼ直交する方向に配置されるときには窓ガラスの移動が停止する直前に摺動抵抗の一部となって表れる。従って、かかる部分にも粗面部を設けることにより、摺動抵抗を更に低下させるとともに、そのように摺動抵抗の低い状態を長期に亘ってよりよく維持することができる。このように、請求項2のガラスランチャンネルによれば、請求項1のガラスランチャンネルの奏する効果をより高めることができる。
請求項3の発明は、請求項1又は2のガラスランチャンネルにおいて、更に、前記側壁部の溝内側表面と、該表面と対向する前記リップ部の裏面との少なくとも一方に前記粗面部を設けたものである。請求項3のガラスランチャンネルによると、請求項1又は2のガラスランチャンネルの奏する効果に加えて、更に次に挙げる効果のうち少なくとも一つの効果が得られる。
即ち、前記移動する窓ガラスによりリップ部が弾性変形して側壁部に近づくと、窓枠とガラスランチャンネルの形状の誤差(いわゆる建付誤差)と移動する窓ガラスの軌跡の誤差との累積によっては、リップ部が側壁部に押付けられる。このときリップ部の裏面が側壁部の内側面に接触するが、これらの部分の少なくとも一方に粗面部を設けることにより、側壁部の内側面とリップ部の裏面との粘着力を低下させることができる。
窓ガラスが後退移動して溝内からなくなると、側壁部に押付けられていたリップ部が元の形状に復帰しようとする。このとき、リップ部の裏面が側壁部の内側面に粘着様に付着していると、リップ部が側壁部から離れる際に異音(「ピチ」という剥離音)を生じることがある。これらの部分の少なくとも一方に粗面部を設けることにより、かかる事象の発生を防止する効果が得られる。
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかのガラスランチャンネルにおいて、前記オレフィン系熱可塑性エラストマーを構成するハードセグメントをポリプロピレン樹脂とし、ソフトセグメントをエチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)としたものである。請求項4のガラスランチャンネルによると、請求項1から3のガラスランチャンネルの奏する効果に加えて、更に上記表面形状を有する粗面部を形成しやすいという効果が得られる。
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかのガラスランチャンネルにおいて、前記潤滑剤をシリコーンオイルとしたものである。請求項5のガラスランチャンネルによれば、請求項1から4のいずれかのガラスランチャンネルの奏する効果に加えて、更に粗面部の押出成形時に上記表面形状を有する粗面部を形成しやすいという効果が得られる。
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれかのガラスランチャンネルにおいて、前記固形粒子を、前記粗面部の成形時に溶融しない材料からなる粒子としたものである。請求項6のガラスランチャンネルによれば、請求項1から5のいずれかのガラスランチャンネルの奏する効果に加えて、更に粗面部の成形時に固形粒子が溶融しないため、該粒子の形状(好ましくは球状の形状)を保ったまま粗面部を成形することができ、これにより所望の摺動性を付与することができるという効果が得られる。
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれかのガラスランチャンネルにおいて、前記固形粒子を、シリコーン樹脂粒子、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シリカ粒子、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂粒子、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂粒子からなる群から選択される一種又は二種以上の球状粒子としたものである。請求項7のガラスランチャンネルによれば、請求項1から6のいずれかのガラスランチャンネルの奏する効果に加えて、更に上記表面形状を有する粗面部を形成しやすいという効果が得られる。
請求項8の発明は、請求項1から7のいずれかのガラスランチャンネルにおいて、前記粗面部が、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー100質量部に対して前記固形粒子1〜20質量部及び前記潤滑剤1〜20質量部を含有するものである。請求項8のガラスランチャンネルによれば、請求項1から7のいずれかのガラスランチャンネルの奏する効果に加えて、更に上記表面形状を有する粗面部を形成しやすいという効果が得られる。
請求項9の発明は、請求項1から8のいずれかのガラスランチャンネルにおいて、前記(a)のオレフィン系熱可塑性エラストマーよりも低硬度のオレフィン系熱可塑性エラストマーを含む成形材料からなる長尺状の樹脂本体部を有し、該樹脂本体部の表面の少なくとも一部分に前記粗面部が設けられているものである。なお、ここで「硬度」とは、典型的には、JIS K 7215によるデュロメータ硬度をいう。また、この「樹脂本体部」という用語における「樹脂」とは、オレフィン系その他の熱可塑性エラストマー(TPE)等の、いわゆるエラストマー材料を含む概念である。
このように、相対的に硬質のエラストマーにより形成された粗面部を、相対的に軟質(低硬度)のエラストマーにより形成された樹脂本体部の表面の少なくとも一部分に設けた構成とすることにより、樹脂本体部のもつ弾力性によって粗面部を適度な弾力で窓ガラス面に圧接させることができる。従って、請求項9のガラスランチャンネルによれば、請求項1から8のいずれかのガラスランチャンネルの奏する効果に加えて、更に摺動抵抗と弾力とのバランスをとりつつそれらを両立させることが容易であるという効果が得られる。かかる構成とすることによる効果は、この発明の構成をリップ部に適用した場合に特によく発揮される。
請求項10の発明は、請求項9のガラスランチャンネルにおいて、前記樹脂本体部が、前記基底部、前記側壁部及び前記リップ部を一体的に構成しているものである。かかる構成によると、基底部、側壁部及びリップ部を樹脂押出成形等によって容易に一体成形することができる。従って、請求項10のガラスランチャンネルによれば、請求項9のガラスランチャンネルの奏する効果に加えて、更にこのガラスランチャンネルの製造が容易であるという効果が得られる。
請求項11の発明は、請求項9又は10のガラスランチャンネルにおいて、前記樹脂本体部と前記粗面部とが相溶性を有し、その境界で溶着しているものである。このように粗面部と樹脂本体部とが相溶性を有していると、これらを共押出成形時の溶着により良好に接合することができる。従って、請求項11のガラスランチャンネルによれば、請求項9又は10のガラスランチャンネルの奏する効果に加えて、更に粗面部の剥がれ等が生じず耐久性に優れるという効果が得られる。
請求項12の発明は、請求項9から11のいずれかのガラスランチャンネルにおいて、前記粗面部は層状に形成されており、その平均厚さは10〜100μmであるものである。典型的には、ほぼ均一な厚さの層状に形成される。請求項12のガラスランチャンネルによれば、請求項9から11のいずれかのガラスランチャンネルの奏する効果に加えて、更に上記表面形状を有する粗面部を形成しやすいという効果が得られる。
請求項13の発明は、請求項9から11のいずれかのガラスランチャンネルにおいて、前記粗面部には長手方向に延びる筋状の***部が幅方向に間隔をあけて複数形成されており、かつ、その***部の表面は前記小凸部が形成された起伏面により構成されているものである。かかる構成によると、主として***部の先端(頂部)が窓ガラスと接触するので、粗面部と窓ガラスとの実質的な接触面積を減らすことができる。従って、請求項13のガラスランチャンネルによれば、請求項9から11のいずれかのガラスランチャンネルの奏する効果に加えて、更に摺動抵抗を低下させるという効果が得られる。また、***部の間は粗面部が***部よりも薄肉となっていて樹脂本体部の変形に追従しやすいため、そのような粗面部が設けられた部分を容易にかつ適切に弾性変形させることができるという効果が得られる。
請求項14の発明は、請求項9から11のいずれかのガラスランチャンネルにおいて、前記粗面部は長手方向に延びる線状に形成されており、複数本の線状粗面部が幅方向に間隔をあけて配設されているものである。請求項14のガラスランチャンネルによれば、請求項13のガラスランチャンネルと同様に、粗面部と窓ガラスとの実質的な接触面積を減らすことができる。このことによって、請求項9から11のいずれかのガラスランチャンネルの奏する効果に加えて、更に摺動抵抗を低下させるという効果が得られる。また、そのような粗面部が設けられていない部分、即ち粗面部よりも柔軟な樹脂本体部で変形を吸収するので、粗面部を有するガラスランチャンネルを容易にかつ適切に弾性変形させることができるという効果が得られる。
また本発明は、本明細書において開示されたガラスランチャンネルのいずれかを主体とするガラスランチャンネル組立体を提供する。
即ち、請求項15の発明は、車両の窓枠に沿って取り付けられて窓枠内を移動する窓ガラスの縁部に接して前記窓ガラスを案内する溝を有する少なくとも二つの長尺な車両用ガラスランチャンネルと、該ガラスランチャンネルの長手方向の端末間を連結するジョイント部とを備える車両用ガラスランチャンネル組立体である。その組立体を構成するガラスランチャンネルは、該溝の底を構成する基底部と、その基底部の幅方向の両端から立ち上がって溝の側壁を構成する側壁部と、その側壁部から溝の内側に向けて張り出して前記窓ガラスの表面に弾性的に圧接するリップ部とを備える。ここで、前記組立体を構成するガラスランチャンネルの少なくとも一つは、前記リップ部のうち少なくとも前記窓ガラス面と圧接する部分に、(a).ハードセグメントとしてのポリオレフィン樹脂の含有割合が全体の50質量%以上であるオレフィン系熱可塑性エラストマー;(b).平均粒子径が1〜100μmの範囲の固形粒子;及び(c).常温で液状の潤滑剤;を含む成形材料からなる粗面部を有する。その粗面部は、表面が起伏した状態に形成されているとともに、その起伏面に前記固形粒子による多数の小凸部が形成されている。
請求項15のガラスランチャンネル組立体によれば、その組立体を構成するガラスランチャンネルの少なくとも一つには、そのガラスランチャンネルのリップ部のうち窓ガラス面と圧接する部分に上記組成及び表面形状(多数の小凸部が形成された起伏面)を有する粗面部が設けられている。このことによって、窓ガラスとの摺動抵抗を低下させるとともに、その摺動抵抗の増加を抑制する効果の持続性(耐久性)に優れるという効果が得られる。
このようなガラスランチャンネル組立体の典型例は、粗面部を有するガラスランチャンネルとして、上述したいずれかの請求項のガラスランチャンネルを用いたものである。この場合、上述したいずれかの請求項のガラスランチャンネルが奏する効果は、当然に、当該請求項のガラスランチャンネルを含む組立体においても発揮され得る。
請求項16の発明は、請求項15のガラスランチャンネル組立体において、窓ガラスと圧接する部分に粗面部が設けられている前記ガラスランチャンネルには、更に、(1).前記基底部の溝内側表面、(2).前記側壁部の溝内側表面、及び(3).前記側壁部の溝内側表面と対向する前記リップ部の裏面、のうち少なくとも一箇所に前記粗面部が設けられているものである。
請求項16のガラスランチャンネル組立体によれば、請求項15の組立体の奏する効果に加えて、更に次に挙げる効果のうち少なくとも一つの効果が得られる。即ち、前記ガラスランチャンネルの基底部の溝内側表面にも粗面部を設けることにより、請求項15の組立体の奏する効果を更に高めることができる。また、前記ガラスランチャンネルの前記側壁部の溝内側表面及び該表面と対向する前記リップ部の裏面の少なくとも一方に粗面部を設けることにより、仮に窓ガラスの端縁が側壁部内表面に接して摺動しても摺動抵抗を増加させない効果、リップ部の形状復元性を高める効果及びリップ部が側壁部から離れる際に異音が発生することを防止する効果のうち少なくとも一つの効果が得られる。
更に、本発明によって以下のガラスランチャンネル製造方法が提供される。
即ち、請求項17の発明は、車両の窓枠に沿って取り付けられて窓枠内を移動する窓ガラスの縁部に接して前記窓ガラスを案内する溝を有する長尺な車両用ガラスランチャンネルを製造する方法に関する。そのガラスランチャンネルは、該溝の底を構成する基底部と、その基底部の幅方向の両端から立ち上がって溝の側壁を構成する側壁部と、その側壁部から溝の内側に向けて張り出して前記窓ガラスの表面に弾性的に圧接するリップ部とを備える。そのリップ部は、少なくとも前記窓ガラス面と圧接する部分に設けられた粗面部を有する。本発明の製造方法では、(a).ハードセグメントとしてのポリオレフィン樹脂の含有割合が全体の50質量%以上であるオレフィン系熱可塑性エラストマー;(b).平均粒子径が1〜100μmの範囲の固形粒子;及び(c).常温で液状の潤滑剤;を含む粗面部形成用の成形材料を加熱溶融させて樹脂押出成形型から押し出すことにより、表面が起伏した状態に形成されているとともにその起伏面に前記固形粒子による多数の小凸部が形成されている該粗面部を形成する。
請求項17の車両用ガラスランチャンネルの製造方法によると、所定の組成を有する粗面部形成用の成形材料を加熱溶融させて押出成形するという簡単な方法により、所定の表面形状(多数の小凸部が形成されている起伏面)を有する粗面部を形成することができる。かかる方法により好ましく製造されるガラスランチャンネルの典型例は、上述したいずれかの請求項のガラスランチャンネルである。
請求項18の発明は、請求項17の製造方法において、前記粗面部は長尺状の樹脂本体部の表面の少なくとも一部分に形成されており、前記粗面部形成用の成形材料及び樹脂本体部形成用の成形材料を加熱溶融させて、それら溶融した成形材料を前記樹脂押出成形型から同時に押し出すことにより前記樹脂本体部及び前記粗面部を成形するものである。
請求項18の製造方法によると、請求項17の製造方法の奏する効果に加えて、更に一つの押出成形型を用いて一度の押出工程により、樹脂本体部の表面の少なくとも一部分に粗面部が形成されたガラスランチャンネルを容易に製造することができるという効果が得られる。このような製造方法は、粗面部形成用の成形材料と樹脂本体部形成用の成形材料との成形温度が同一又は近似しているときに好適に適用することができる。なお、粗面部形成用の成形材料及び樹脂本体部形成用の成形材料を溶融させて、それら溶融した成形材料を予め成形された長尺状本体部(例えば、上記とは異なる組成の成形材料からなる樹脂本体部、金属製の本体部等)と共に樹脂押出成形型から押し出してもよい。
請求項19の発明は、請求項17の製造方法において、前記粗面部形成用の成形材料を加熱溶融させて、予め成形された長尺状本体部と共に前記樹脂押出成形型から押し出すことにより、該長尺状本体部の表面の少なくとも一部分に前記粗面部を形成するものである。
請求項19の製造方法によると、請求項17の製造方法の奏する効果に加えて、更に任意の長尺状本体部の表面の少なくとも一部分に容易に粗面部を形成することができるという効果が得られる。このような製造方法は、長尺状の本体部(例えば上述したような樹脂本体部)を形成する材料と、粗面部形成用の成形材料の成形温度が大きく異なるときに好適に適用することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば本発明に係るガラスランチャンネルの構造上及び/又は組成上の特徴)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、いずれも従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている事項と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明のガラスランチャンネルは、車両の窓枠に沿って取り付けられて窓枠内を移動する窓ガラスの縁部に接して前記窓ガラスを案内する溝を有するものであって、基底部と側壁部とリップ部とを備え、かつ、少なくともリップ部のうち窓ガラス面に圧接する箇所に所定の粗面部が設けられている限り、その他の構造や付加的エレメントの有無に限定されない。
また、ガラスランチャンネルの取り付け対象は自動車等の車両の窓枠(ドアパネルに設けられたものに限られない)であれば特に限定はない。ガラスランチャンネルの外形や本体部の形状(溝の断面形状を含む)は、窓枠側の装着部位や窓ガラス(縁部)の形状に適合するように決定すればよい。
以下、本発明のガラスランチャンネルに備えられる粗面部につき説明する。この粗面部は、所定の(a)オレフィン系熱可塑性エラストマー、(b)固形粒子、及び(c)潤滑剤を含む成形材料(粗面部形成用成形材料、以下「粗面部成形材料」ともいう。)からなる。
上記(a)成分は、ポリオレフィン樹脂をハードセグメントとするオレフィン系熱可塑性エラストマーである。このポリオレフィン樹脂(オレフィン成分)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ペンテン等が挙げられる。これらのうちポリエチレン及びポリプロピレンが好ましく、ポリプロピレンが特に好ましい。また、このオレフィン系熱可塑性エラストマーを構成するソフトセグメント(エラストマー成分)としては、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)等が挙げられる。これらのうちEPDMが特に好ましい。ハードセグメントとして二種以上の重合体を含有してもよく、ソフトセグメントについても同様であるが、ハードセグメントがポリプロピレンであり、ソフトセグメントがEPM又はEPDMであるオレフィン系熱可塑性エラストマーが特に好ましく用いられる。
上記オレフィン系熱可塑性エラストマー((a)成分)に含まれるハードセグメント(オレフィン成分)の割合は、該エラストマー((a)成分)全体の50質量%以上(典型的には50〜90質量%)とすることが好ましく、より好ましくは60質量%以上(典型的には60〜85質量%)である。例えば、質量比で、60〜85部(更に好ましくは65〜80部)のポリプロピレンと、10〜30部(更に好ましくは15〜25部)のEPDMと、適当量(例えば5〜30部、好ましくは10〜20部)の軟化剤とを配合してなるオレフィン系熱可塑性エラストマーが上記(a)成分として好適である。軟化剤としては例えばプロセスオイル(典型的にはパラフィン系又はナフテン系)を用いることができる。必要に応じて適当な架橋剤(有機過酸化物等)を適量添加することができる。
粗面部を構成するオレフィン系熱可塑性エラストマー((a)成分)の硬度は、JIS K 7215によるデュロメータ硬度Dにおいて、40度(HDD40)以上であることが好ましく(典型的には40〜70度)、より好ましくは50度以上(典型的には50〜65度)、更に好ましくは55度以上(典型的には55〜60度)である。粗面部を構成するオレフィン系熱可塑性エラストマーの硬度が低すぎると、摺動抵抗を低くする効果及び/又は低い摺動抵抗を維持する効果が少なくなることがある。また、後述する樹脂本体部等との粘着性が増加することがある。
上記(b)成分としての固形粒子は、その成形材料(粗面部成形材料)の典型的な成形温度においても固体状態を維持する粒子である。ガラスランチャンネルの製造条件に応じて、その粗面部の形成時に(すなわち、粗面部の成形温度において)実質的に溶融しない材料からなる固形粒子を適宜選択することができる。平均粒子径が1〜100μmの範囲にある固形粒子が好ましく、より好ましい範囲は3〜20μmである。また、平均粒子径が3〜15μmの範囲にある固形粒子と、平均粒子径が25〜100μmの範囲にある固形粒子とを併用することも好ましい。固形粒子の粒子形状は概ね球状であることが好ましい。セラミックス材料(シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の酸化物;炭化珪素、炭化ホウ素等の炭化物;窒化珪素、窒化ホウ素等の窒化物等)、金属材料(モリブデン粒子等)、有機材料(ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等)のいずれかを主体とする固形粒子でもよく、これらの複合材料からなる固形粒子でもよい。その他、シリコーン樹脂、黒鉛、二硫化モリブデン、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、ケイソウ土、雲母粉、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム等を主体とする固形粒子も使用可能である。これらのうち一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。本発明における(b)成分としては、シリカ又はシリコーン樹脂を主体に構成された固形粒子を用いることが好ましい。いわゆる球状シリコーン樹脂粒子、同ガラスビーズ、同ガラスバルーン(中空ガラス粒子)、同シリカ粒子等を好ましく用いることができる。好ましく用いられる固形粒子の他の例としては、ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子、ポリエーテルエーテルケトン樹脂粒子等の比較的硬質な樹脂粒子類が挙げられる。
上記(c)成分としての潤滑剤は、常温で液状のものであって、例えばシリコーンオイル(ポリジメチルシリコーン等)を用いることができる。
本発明の好ましい態様では、粗面部に含まれる上記(a)〜(c)成分の割合が、質量比で、上記(a)成分100部に対して上記(b)成分1〜20部(好ましくは2〜15部)である。また、粗面部に含まれる上記(a)〜(c)成分の割合が、質量比で、上記(a)成分100部に対して上記(c)成分1〜20部(好ましくは2〜10部)である。上記(a)成分100部に対して上記(b)成分1〜20部(好ましくは2〜15部)及び上記(c)成分1〜20部(好ましくは2〜10部)を含有する組成の粗面部がより好ましい。このような組成によると、後述する表面状態(多数の小凸部が形成されている起伏面)を有する粗面部を容易に形成することができる。その結果、摺動抵抗の低さ及びその摺動抵抗の増加を防止する効果の持続性に優れたガラスランチャンネルを得ることができる。更に、シリコーンオイル等の液状潤滑剤としては、分子量の異なるものを混合して用いるのが好ましい。これにより、分子量の小さい潤滑剤は分子量の大きいものに比べて粗面部表面に早期にしみ出し、分子量の大きい潤滑剤はその後にしみ出してくるので、このようなしみ出し時期の違いを利用して摺動抵抗の増加を長期に亘って防止することができる。
本発明のガラスランチャンネルを構成する粗面部は、上記(a)成分に含まれるハードセグメント以外の熱可塑性樹脂を含有することができる。かかる熱可塑性樹脂の好適例としては、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン等のオレフィン系樹脂、ポリブテン、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、硬質又は軟質のポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ABS樹脂、ポリビニルアルコール、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。ガラス摺動性、耐摩耗性、耐衝撃性の維持或いは向上の観点から、高分子量ポリエチレン又は高密度ポリエチレンを適当量(好ましくは、質量比で、上記(a)成分100部に対して20〜60部)添加するとよい。高分子量ポリエチレンの添加が特に好ましい。
また、ガラスとの摺動性の維持或いは向上の観点から粗面部に含有させ得る他の材料としては、アクリルシリコーン樹脂、脂肪酸化合物等が挙げられる。アクリルシリコーン樹脂を含有させる場合には、質量比で、上記(a)成分100部に対して10部以下(典型的には1〜10部)の割合で含有させることが好ましい。また、脂肪酸化合物としては、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の、常温では固体であり成形温度では液体となる脂肪酸アミド類が好ましく用いられる。このような脂肪酸化合物を含有させる場合には、質量比で、上記(a)成分100部に対して5部以下(典型的には0.5〜5部)の割合で含有させることが好ましい。本発明の粗面部は、その他の補助成分として、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、難燃剤等の一般的な添加剤の一種又は二種以上を含有することができる。
次に、上記組成の成形材料からなる粗面部の詳細な表面形状につき説明する。
本発明のガラスランチャンネルに備えられる粗面部は、その表面が起伏した状態に形成されている。粗面部表面の起伏状態は、その粗面部の長手方向に対してほぼ均一であることが好ましい。粗面部の長手方向及び幅方向(長手方向と直交する方向)のいずれに対してもほぼ均一であることがより好ましい。ここで、起伏状態がほぼ均一であるとは、例えば、起伏の平均高さ、起伏の密集度(稠密度)、起伏の形状等のうち一又は二以上の特性において、粗面部の一部と他部との間に顕著な差異が認められないことをいう。
図10は、本発明の粗面部の表面状態を示す模式的断面図である。この図10には、リップ部を構成する樹脂本体部20の表面の所定部分に粗面部40が形成された場合を示している。図示するように、この粗面部40の表面は、相対的に高い部分40Hと、相対的に低い部分40Lとが混在した起伏状態に形成されている。
そして、かかる起伏状態を構成する起伏面に多数の小凸部45が形成されている。これらの小凸部45は、粗面部40に含まれる固形粒子44の存在に起因して上記起伏面に形成された盛り上がりである。小凸部45の形成に寄与する固形粒子44の表面は、符号44aで示す固形粒子のように粗面部40を構成するマトリックス樹脂42(固形粒子44を分散させている連続相をいう。)から露出していてもよく、符号44bで示す固形粒子のようにマトリックス樹脂42で覆われていてもよい。図示するように、マトリックス樹脂42から露出している固形粒子44aと露出していない固形粒子44bとが混在していてもよい。これらの小凸部45は、粗面部40の長手方向にも幅方向(長手方向と直交する方向)にもほぼ均一に形成されていることがより好ましい。ここで、小凸部がほぼ均一に形成されているとは、例えば、小凸部の平均高さ、小凸部の密集度等のうち一又は二以上の特性において、粗面部(起伏面)の一部と他部との間に顕著な差異が認められないことをいう。
小凸部45の高さ(図10中に記号h1で示すように、周囲の起伏面からの盛り上りの高さをいう。)は、その平均値として、通常は粗面部40に含まれる固形粒子44の平均粒子径の10〜300%に相当する高さとすることができ、25〜200%(より好ましくは50〜150%)に相当する高さであることが好ましい。また、起伏面を構成する起伏の高さ(図10中に記号h2で示すように、相対的に高い部分40Hと低い部分40Lとの差をいう。)は、その平均値として、通常は小凸部45の平均高さの2倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましい。
粗面部のこのような表面形状は、典型的には、上述した特定の組成の成形材料(粗面部成形材料)を例えば常法により押出成形することによって実現することができる。即ち、粗面部成形材料を押出成形する際に、その押出成形に伴って、表面に起伏形状を付与するための後処理を要することなく、上述の表面形状(小凸部が形成された起伏面)を有する粗面部を形成することができる。
このような粗面部は、リップ部のうち窓ガラス面に圧接する部分のほぼ全範囲を含む部分に設けられていてもよく、その一部範囲を含む部分に設けられていてもよい。通常は、窓ガラス面に圧接する部分のほぼ全範囲を含む部分に設けられていることが好ましい。また、かかる部分に粗面部が長手方向に沿って連続的に設けられていてもよく、複数の粗面部が互いに間隔をあけて不連続的に設けられていてもよい。リップ部の表面の所定部分に粗面部が設けられていてもよく、粗面部がリップ部の表面から裏面に回りこむ構成であってもよい。リップ部の表面の所定部分に粗面部が設けられていることが好ましい。或いは、リップ部自体(リップ部全体)が粗面部により構成されていてもよく、更に基底部又は側壁部の略全体が粗面部により構成されていてもよい。粗面部を設ける位置、粗面部の形状及び大きさは、ガラスランチャンネルの長手方向の前後で一定であってもよく、場所によって異なっていてもよい。
本発明の好ましい態様に係るガラスランチャンネルでは、リップ部が長尺状の樹脂本体部を有し、その樹脂本体部の表面の少なくとも一部分に粗面部が設けられている。少なくとも、窓ガラス面に圧接する部分に粗面部が設けられていることが好ましい。この長尺状の樹脂本体部は、エラストマーを主体に構成されていることが好ましい。樹脂本体部を構成するエラストマー(室温付近でゴム弾性を示す高分子化合物)としては、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、EPM、EPDM、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等の合成ゴムが挙げられる。なかでも、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系熱可塑性エラストマー(SBC)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPAE)等の熱可塑性エラストマーが好適である。特に、コスト、入手容易性、押出成形性の点からオレフィン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
樹脂本体部を構成するオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、粗面部を構成する上記(a)成分たるオレフィン系熱可塑性エラストマーと同様のもの等を使用可能である。ここで、上記(a)成分としてのオレフィン系熱可塑性エラストマーと、樹脂本体部を構成するオレフィン系熱可塑性エラストマーとは、ハードセグメント及びソフトセグメントの少なくとも一方(好ましくは両方)の種類が共通することが好ましい。このことによって、樹脂本体部と粗面部とを良好に接合(典型的には熱溶着)させることができる。例えば、これらのオレフィン系熱可塑性エラストマーのハードセグメントがいずれもポリプロピレンであり、ソフトセグメントがいずれもEPDMであることが好ましい。
上記(a)のオレフィン系熱可塑性エラストマーと樹脂本体部を構成するオレフィン系熱可塑性エラストマーとの間で、各エラストマー全体に占めるハードセグメント(オレフィン成分)の含有割合は同程度でもよく異なってもよい。通常は、粗面部を構成するオレフィン系熱可塑性エラストマー(上記(a)成分)全体に占めるハードセグメントの含有割合に比べて、樹脂本体部を構成するオレフィン系熱可塑性エラストマー全体に占めるハードセグメントの含有割合をより低くすることが好ましい。また、粗面部を構成するオレフィン系熱可塑性エラストマー(上記(a)成分)全体に占める軟化剤の含有割合に比べて、樹脂本体部を構成するオレフィン系熱可塑性エラストマー全体に占める軟化剤(典型的にはプロセスオイル)の含有割合をより高くすることが好ましい。例えば、樹脂本体部を構成するオレフィン系熱可塑性エラストマーの好適例として、質量比で、5〜45部(より好ましくは10〜35部、更に好ましくは20〜30部)のポリプロピレンと、20〜60部(より好ましくは30〜50部)のEPDMと、適当量(例えば20〜50部、好ましくは30〜40部)の軟化剤とを配合してなるものが挙げられる。必要に応じて適当な架橋剤(有機過酸化物等)を適量添加することができる。
この樹脂本体部を構成するエラストマー(好ましくはオレフィン系熱可塑性エラストマー)の硬度は、JIS K 7215によるデュロメータ硬度Aにおいて、90度(HDA90)以下であることが好ましく(典型的には50〜90度)、より好ましくは80度以下(典型的には60〜80度)である。かかる範囲の硬度を有するエラストマーにより構成された樹脂本体部によれば、その弾力性によって粗面部を適度な弾力(例えばシール性を保持し得るとともに窓ガラスとの摺動抵抗を過剰に増大させない程度の弾力)で窓ガラス面に圧接することができる。摺動抵抗と弾力とのバランスをとりやすいことから、樹脂本体部を構成するエラストマーとしては、上述した粗面部を構成するオレフィン系熱可塑性エラストマー((a)成分)よりもデュロメータ硬度の低いものが好ましい。
本発明のガラスランチャンネルの好ましい態様では、上述のような樹脂本体部がリップ部、基底部及び側壁部を一体的に構成している。そして、かかる樹脂本体部の表面の少なくとも一部分に粗面部が設けられている。このようなガラスランチャンネルは、車両の窓枠の側部から上部にかけて取り付けられる上部ガラスランチャンネルまたは車両の窓枠の側部に取り付けられる側部ガラスランチャンネルとして好適である。
また、本発明のガラスランチャンネルの他の好ましい態様では、基底部及び側壁部が長尺状の金属製本体部(例えば、金属板をロール成形してなるもの)により構成されている。その金属製本体部の側壁部から溝の内側に向けて長尺状の樹脂本体部が張り出してリップ部を構成している。その樹脂本体部(リップ部)の表面の所定部分に粗面部が設けられている。このようなガラスランチャンネルは、車両のドアパネル内(窓枠の下方)に設置されるガラスランチャンネル(サッシロアともいう。)として好適である。
上記粗面部は、その表面が多数の小凸部が形成された起伏面により形成されている一方、粗面部全体の形状(外形)としては層状(例えば、ほぼ均一な厚さの層状)とすることができる。かかる層状粗面部は、大まかにみて滑らかな表面を提供するように成形されている。そのような層状粗面部の平均厚さは、10〜100μmの範囲にあることが好ましく、25〜75μmの範囲にあることがより好ましい。例えば、リップ部を構成する樹脂本体部のうち窓ガラス側の表面のほぼ全域に亘って、その樹脂本体部の表面形状にならって平均厚さが10〜100μmの範囲の層状粗面部を設けることができる。図10に模式的に示す粗面部40は、そのような層状粗面部の一例である。
また、上記粗面部は、全体として、長手方向に延びる筋状の***部が幅方向に間隔をあけて複数形成された形状(外形)とすることができる。その***部の表面は、多数の小凸部が形成された起伏面により構成されている。即ち、この筋状の***部は、上述の小凸部及びその小凸部を包含する起伏よりも更に高次の構造である。***部の数、形成密度、断面形状等は、ガラスランチャンネルとしての機能を顕著に妨げることがない限り特に限定されない。通常は、***部に隣接する部分(或いは***部の裾部分)から***部の頂部までの高さを100〜2000μmの範囲とすることが好ましく、より好ましい範囲は500〜1500μmである。***部の形成密度は、粗面部の幅方向に対して5〜20本/cmとすることができ、7〜13本/cmとすることが好ましい。各***部の断面形状(長手方向に直交する断面形状)は、三角形状、四角形状等の多角形状とすることができる。また、周方向の一部が切り欠かれた円形状、楕円形状等であってもよい。***部の頂部が非平面状(凸面状)に形成されていると、窓ガラスとの接触面積が少なくなり好ましい。
図11には、リップ部を構成する樹脂本体部20の表面の所定部分に、上述のような筋状の***部を有する粗面部40が形成された状態を模式的に示している。図11の左右方向がリップ部の幅方向に相当し、紙面と直交する方向がリップ部の長手方向に相当する。なお、前述した図10と同様の機能を果たす部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図示するように、この粗面部40には、長手方向に延びる筋状***部41が、幅方向に間隔をあけて複数本(図11にはそれらのうちの一本のみを示している)設けられている。この筋状***部41の断面形状は三角形状である。そして、筋状***部41の表面は、相対的に高い部分40Hと、相対的に低い部分40Lとが混在した起伏状態に形成されている。その起伏面には、固形粒子44により形成された多数の小凸部45が散在している。
なお、図11には樹脂本体部20の表面の所定部分に粗面部40を設けた例を示しているが、このように粗面部40に筋状***部41が形成された構成はリップ部全体が粗面部40によって構成されている場合にも適用し得る。
上記粗面部は、粗面部が全体として(即ち、その粗面部自体が)長手方向に延びる線状の形状(外形)を呈するように形成することができる。例えば、そのような線状粗面部の複数本が本体部の表面の少なくとも一部分に、幅方向に間隔をあけて配設された構成とすることができる。例えば、リップ部を構成する樹脂本体部のうち窓ガラス側の表面に、幅方向に間隔をあけて複数本の線状粗面部を設けることができる。線状粗面部の数、その配置密度、断面形状等は、ガラスランチャンネルとしての機能を顕著に妨げることがない限り特に限定されない。通常は、樹脂本体部の表面(線状粗面部に隣接する表面)から線状粗面部の頂部までの高さを100〜2000μmの範囲とすることが好ましく、より好ましい範囲は500〜1500μmである。線状粗面部の配置密度は、本体部の幅方向に対して5〜20本/cmとすることができ、7〜13本/cmとすることが好ましい。各線状粗面部の断面形状(長手方向に直交する断面形状)は、三角形状、四角形状等の多角形状とすることができ、円形状、楕円形状等であってもよい。線状粗面部の頂部が非平面状(凸面状)に形成されていることが好ましい。
樹脂本体部の表面の少なくとも一部分に上記線状粗面部が設けられた構成では、その線状粗面部の裾部(樹脂本体部側の端部)と樹脂本体部とが接合していることが好ましい。例えば、溶着(典型的には熱溶着)、接着等の化学的接合がなされていることが好ましい。また、線状粗面部の裾部が樹脂本体部に埋設されていてもよい。この埋設された部分の幅は、樹脂本体部から露出して(突出して)いる部分の幅よりも広いことが好ましい。このような態様によると、樹脂本体部に埋設された部分が発揮するアンカー効果によって、樹脂本体部と線状粗面部との結合力を更に高めることができる。これにより粗面部の耐久性が向上し、ひいてはガラスランチャンネルの耐久性を向上させることができる。
本発明に係るガラスランチャンネルは、リップ部のうち窓ガラスと摺動可能な部分に粗面部を有する他、基底部の溝内側表面にも粗面部が設けられた構成とすることができる。また、側壁部の溝内側表面と、該表面と対向する前記リップ部の裏面とのいずれか一方又は両方に粗面部を設けてもよい。
ガラスランチャンネルの複数箇所(例えばリップ部及び基底部)に複数の粗面部が設けられている場合、それらの粗面部は実質的に同一組成の成形材料から形成されていてもよく、相互に異なる組成の成形材料から形成されていてもよい。製造容易性の観点から、一つのガラスランチャンネルに設けられた粗面部は同一組成の成形材料からなることが好ましい。
本発明のガラスランチャンネルは、従来から自動車用のガラスランチャンネルや各種モールディングを製造する場合に用いられている方法と同様の成形方法を採用することによって容易に製造することができる。典型的には、上記粗面部を形成するための樹脂成形材料(粗面部成形材料)と、必要に応じて他の成形材料及び/又は予め成形された成形体等を用いて一般的な押出成形を行うことにより、所望する形状(断面形状)のガラスランチャンネルを製造することができる。
所定の樹脂成形材料を用いて形成された長尺状の樹脂本体部の表面の少なくとも一部分に粗面部が設けられたガラスランチャンネルを製造する場合につき、その製造方法を説明する。
例えば、いわゆる二色押出成形(共押出成形)を実施することによって、樹脂本体部と粗面部とが長手方向に一体化してなるガラスランチャンネルを製造することができる。即ち、樹脂本体部を形成するための成形材料(本体部成形材料)の供給用の第一供給口と、粗面部を形成するための成形材料(粗面部成形材料)の供給用の第二供給口とを有する押出ダイに、各成形材料をそれぞれ加熱溶融状態で供給して合流させ、所定形状の押出口から共に押し出す。これにより、樹脂本体部と粗面部とが一つの押出ダイの内部で熱溶着して一体化されたガラスランチャンネルを押出成形することができる。この方法は、両成形材料の成形温度が略同一で且つ相溶性を有するときに好適に適用される。
或いは、上記ガラスランチャンネルを以下の方法によって製造することもできる。即ち、まず樹脂本体部を形成するための成形材料(本体部成形材料)を押出ダイに供給し、当該成形材料から所定の横断面形状を有する長尺状成形体を押出成形する。この押出成形によって上記樹脂本体部を予め成形する。
この樹脂本体部をドラム等に巻いておき、そのドラムから樹脂本体部を押出ダイに連続供給するとともに、粗面部を形成するための成形材料(粗面部成形材料)を加熱溶融状態でその押出ダイに供給し、それらを所定の横断面形状の押出口から押し出す。この押出成形によって樹脂本体部の表面の所定部分に長手方向に延びる粗面部を形成する。このとき形成される粗面部は、その表面が、多数の小凸部が形成された起伏面により構成されている。また、この押出成形の際に樹脂本体部の表面部が熱により溶融し、樹脂本体部と粗面部とが熱溶着により一体化する。
そして、上記押出口から押し出された成形体を冷却装置により冷却した後、引取装置を介して引き取り、切断装置で切断することにより、所望する長さのガラスランチャンネルが得られる。この製造方法は、樹脂本体部を構成する成形材料と粗面部成形材料との成形温度が大きく異なる場合や、それらの成形材料を構成する樹脂が相溶性に乏しい場合に好ましく採用される。なお、上記相溶性が無いか乏しい場合には、押出ダイに供給される樹脂本体部の粗面部と固着する表面に予め接着剤を塗布しておくことができる。これにより、樹脂本体部と粗面部との接着性を向上させ得る。
なお、上記製造方法では、予め押出成形された樹脂本体部をドラムに巻き取って使用したが、樹脂本体部を成形するための第一の押出ダイと粗面部を成形するための第二の押出ダイとを直列に配置し、第一の押出ダイによって成形された樹脂本体部がそのまま第二の押出ダイに連続的に供給されるように構成することもできる。この場合には、樹脂本体部の保管等が不要となる。
また、本発明に係るガラスランチャンネルを含むガラスランチャンネル組立体は、従来のガラスランチャンネル組立体と同様の方法によって製造することができる。典型的には、押出成形等によって予め製造されている長尺状ガラスランチャンネルの端部同士に所定のジョイント部を射出成形によって成形する。即ち、所定のジョイント部成形用金型のキャビティ内にガラスランチャンネルの長手方向の端部同士を所定の間隙(キャビティ)を保って配置するとともに所定の成形材料を当該キャビティ内に射出する。これにより、ガラスランチャンネルの各端部に結合した状態で、所望する形状のジョイント部が形成される。なお、かかる射出成形方法自体は本発明を何ら特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
以下に説明する実施例によって、本発明を更に詳細に説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<第一実施例>
第一実施例として、図1に示す自動車のフロントドアパネル1の窓枠2に取り付けられるガラスランチャンネル組立体10及びその組立体を構成するガラスランチャンネル12,14,16,18につき図1〜図6を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施例に係るガラスランチャンネル組立体10は、4つの長尺状ガラスランチャンネル12,14,16,18と3つのジョイント部13,15,17とから構成されている。即ち、窓枠2の前方部分2aの下方(ドアパネル1の内部)に配置されるガラスランチャンネル12と、窓枠2の傾斜部分2b及び略水平に延びる部分(天井部分)2cに沿って配置されるガラスランチャンネル14と、窓枠2の後方垂直部分2dに沿って配置されるガラスランチャンネル16と、その後方垂直部分2dの下方(ドアパネル1の内部)に配置されるガラスランチャンネル18とを有する。各ガラスランチャンネル12,14,16,18はジョイント部13,15,17によって連結され、ガラスランチャンネル組立体10として一体となっている。かかるガラスランチャンネル組立体10は、図5に示すように、押出成形した二つのガラスランチャンネル14,16の端部同士の間に所定のジョイント部15を射出成形すると同時に両ガラスランチャンネル14,16を連結することによって製造することができる。
次に、各ガラスランチャンネルの構造について詳細に説明する。図2は、図1におけるII−II線に沿う断面図であって、傾斜部分2b及び天井部分2cに配置される上部ガラスランチャンネル14の長手方向に直交する平面における断面図である。
図2に示すように、本実施例に係る上部ガラスランチャンネル14は、窓枠2(2c)に取り付けられた際に長手方向に沿って延びる溝24を形成する樹脂本体部20を主要構成要素とする。ここで、溝24は、昇降する窓ガラス3が上昇したときにその縁部が入り込む開口を有する。樹脂本体部20は、溝24の底部に相当する基底部21と、その基底部21の幅方向の両端から立ち上がって溝24の側壁となる一対の側壁部22,23(即ち車内寄り側壁部22及び車外寄り側壁部23)と、側壁部22,23の自由末端部からそれぞれ溝の内側に向けて張り出して溝24に挟み込まれた窓ガラス3の表面に弾性的に圧接する一対のリップ部26,27とを備える。基底部21のうち溝24に面する側には、長手方向に延びる中空空間213によりクッション部212が設けられている。このクッション部212は、上昇する窓ガラス3が溝24に進入して基底部21に衝突する際の衝撃を緩和し得るように構成されている。これによって衝突音の発生を抑えることができる。側壁部22,23の外面には、窓枠側に設けられているガラスランチャンネル取付溝(図示せず)にガラスランチャンネル14を保持させるために窓枠内面側に引っ掛けられる抜止めリップ部28b,28cと、図示しない窓枠の端縁を覆い隠す遮蔽リップ部28a,28dとが設けられている。
かかる樹脂本体部20は、質量比で、ポリプロピレン樹脂25部と、EPDM40部と、プロセスオイル(パラフィン系又はナフテン系)30部とを配合してなるオレフィン系熱可塑性エラストマー(以下、「TPO(1)」と表記することもある。)を含み、この他に補助成分5部を含む成形材料(本体部成形材料)を用いて押出成形された部分(長尺状本体部)である。樹脂本体部20を構成する上記TPO(1)の硬度は、JIS K 7215によるデュロメータ硬度Aにおいて凡そ75度である。
図2に示すように、車内側リップ部26及び車外側リップ部27の表側(窓ガラス3に圧接する側)の表面には、それぞれ粗面部251,252が長手方向に一体に形成されている。粗面部251,252の全体形状は層状(薄膜状)であり、その平均厚さは凡そ50μmである。それらの粗面部251,252の表面は、微視的にみると、図10に模式的に示す粗面部40と同様に、相対的に高い部分と、相対的に低い部分とが混在した起伏状態となっている。かかる起伏状態にある起伏面に、固形粒子による多数の小凸部が形成されている。
かかる粗面部251,252は、ポリプロピレン樹脂70部と、EPDM15部と、プロセスオイル(パラフィン系又はナフテン系)15部とを配合してなるオレフィン系熱可塑性エラストマー(以下、「TPO(2)」と表記することもある。)を含む粗面部成形材料を用いて形成された部分である。即ち、このTPO(2)は、ハードセグメントとしてのポリプロピレンを全体の50質量%以上(70質量%)の割合で含有するオレフィン系熱可塑性エラストマーである。このTPO(2)の硬度は樹脂本体部20の硬度よりも高く、JIS K 7215によるデュロメータ硬度Dにおいて凡そ58度である。そして、上記粗面部成形材料は、質量比で、TPO(2)100部と、固形粒子としての球状のシリコーン樹脂粒子(GE東芝シリコーン株式会社製の球状シリコーン樹脂粒子、商品名「トスパール(商標)」、平均粒子径約12μm)5部と、液状潤滑剤としてのシリコーンオイル(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のジメチルシリコーンオイル、商品名「SH200」)8部と、アクリルシリコーン樹脂(信越化学工業株式会社製のシリコーンアクリル共重合体樹脂パウダー、商品名「X−22−8171」)5部と、エルカ酸アミド(日本油脂株式会社製)2部とを含有する。
また、この上部ガラスランチャンネル14には、リップ部26,27の表側の他、基底部21(クッション部212)の溝内側表面(溝24に面する側の表面)に粗面部253が設けられている。更に、側壁部22,23の溝内側表面にそれぞれ粗面部254,255が設けられている。これらの粗面部253〜255は、リップ部に設けられた粗面部251,252と同じ粗面部成形材料を用いて成形された部分である。これらの粗面部251,252,253,254,255は、リップ部の粗面部251,252の平均厚さは1〜100μmの範囲(ここでは50μm)、基底部の粗面部253の平均厚さは300〜1000μmの範囲、側壁部の粗面部254,255の平均厚さは100〜300μmのそれぞれ異なる厚さで、リップ部26,27、基底部21、側壁部22,23の表面の所定部分にそれぞれ長手方向に一体に形成されている。なお、本実施例に係るガラスランチャンネル14に設けられた粗面部251〜255は、それぞれ樹脂本体部20の対応する箇所(リップ部、基底部及び側壁部)と相溶性を有し、共押出時に溶着している。
次に、後方垂直部分2dに沿って配置される側部ガラスランチャンネル16の構造につき説明する。図3は、図1におけるIII−III線に沿う断面図であって、後方垂直部分2dに配置される側部ガラスランチャンネル16の長手方向に直交する平面における断面図である。なお、上述した上部ガラスランチャンネル14と同様の機能を果たす部分については同じ符号を付し、その説明を省略する。
図3に示すように、側部ガラスランチャンネル16は、窓枠2(2d)に取り付けられた際に長手方向に沿って延びる溝24を形成する樹脂本体部20を主要な構成要素とする。この溝24は、昇降する窓ガラス3の後方縁部が入る開口を有する。窓ガラス3は、側部ガラスランチャンネル16の長手方向(図3の紙面と直交する方向)に沿って昇降動する。樹脂本体部20は、上部ガラスランチャンネル14と同じ本体部成形材料からなり、基底部21と、一対の側壁部22,23と、各側壁部22,23から張り出した一対のリップ部26,27とを備える。この側部ガラスランチャンネル16においては、窓ガラス3の端縁とガラスランチャンネルの基底部21とは1.3〜3.5mm程度の隙間を有するように設計されるが、窓ガラスの外形寸法の誤差や窓枠の建付誤差等により、窓ガラスが昇降動するときにその端縁が基底部21に接して摺動することがある。但し、上部ガラスランチャンネル14とは異なり、窓ガラス3の端縁が基底部21に衝突するように接することはない。従って、側部ガラスランチャンネル16の樹脂本体部20の基底部21には、前述した上部ガラスランチャンネル14とは異なり、クッション部(図2中に符号212で示す部分)は形成されていない。即ち、この基底部21は、図3に示すように、大まかにいえば平板状に形成されている。
この側部ガラスランチャンネル16にも、上部ガラスランチャンネル14(図2参照)と同様に、そのリップ部26,27の表側、基底部21の溝内側表面及び側壁部22,23の溝内側表面に、上部ガラスランチャンネル14と同様の粗面部成形材料を用いてなる粗面部251〜255が設けられている。それらの粗面部251〜255は、上部ガラスランチャンネル14を構成する粗面部251〜255と同様の外形形状及び表面形状に成形されており、それぞれ樹脂本体部20の所定箇所に同様に溶着している。
以上で説明した上部ガラスランチャンネル14及び側部ガラスランチャンネル16は、例えば図13に示すように、樹脂本体部を成形する材料用の第一供給口81a及び粗面部を成形する材料用の第二供給口を81bを有する押出ダイ82に第一押出機80及び第二押出機83が連結された装置を用いて、共押出成形により容易に製造することができる。即ち、第一供給口81a及び第二供給口81bから上記本体部成形材料及び上記粗面部成形材料をそれぞれ加熱溶融状態で供給して押出ダイ82内で合流させ、それらを図2又は図3に示す断面形状の押出口から押出成形してガラスランチャンネル材84を得る。この製造方法は、それぞれの材料の成形温度が同一又は近似しており、かつ両材料が互いに相溶性を有しているときに好適に適用することができる。
また、前記製造方法に代わる製造方法について説明すると、まず上記本体部成形材料を第一の押出ダイに供給し、この第一の押出ダイを用いて樹脂本体部を押出成形する。次いで、かかる樹脂本体部を別途の第二の押出ダイに連続供給するとともに、上記粗面部成形材料を加熱溶融状態でその押出ダイに供給し、図2又は図3に示す断面形状の押出口から押し出す。これにより、予め成形された樹脂本体部を構成する成形材料と、加熱溶融状態で供給された粗面部成形材料とが長手方向に溶着・接合し、樹脂本体部20と粗面部251〜255とが一体化してなるガラスランチャンネル14,16を得ることができる。この後者の方法は、両方の材料が相溶性を有しているが、それぞれの材料の成形温度が異なっているときに好適に適用することができる。
なお、図2,図3においてガラスランチャンネル14,16の断面形状は窓枠2に装着されたときの形状を図示しているが、窓枠2の図示は省略している。
次に、ドアパネル1に内蔵されるガラスランチャンネル(サッシロア)12,18の構造につき説明する。図4は、図1におけるIV−IV線に沿う断面図であって、後方垂直部分2dの下方に配置されるサッシロア18の長手方向に直交する平面における断面図である。窓枠の前方端部の下方に配置されるガラスランチャンネル12も同様の構造を有している。なお、上述した上部ガラスランチャンネル14と同様の機能を果たす部分については同じ符号を付し、その説明を省略する。
図4に示すように、ガラスランチャンネル18は、金属板(金属板ストリップ材)をロール成形してなる金属製本体部38を備える。その本体部38は、長手方向に沿って延びる溝24を形成しており、溝24の底部に相当する基底部381と、その基底部381の幅方向の両端から立ち上がって溝24の側壁となる一対の側壁部382,383とを備える。窓ガラス3は、ガラスランチャンネル18の長手方向(図4の紙面に直交する方向)に沿って昇降動する。側壁部382,383の自由末端部には、その長手方向に沿って、その側壁部382,383からそれぞれ張り出して溝24に挟み込まれた窓ガラス3の表面に弾性的に圧接する一対のリップ部36,37とを備える。リップ部36,37は、長尺状の樹脂本体部30と、その窓ガラス3の表面に圧接する側の表面の所定部分に設けられた粗面部351,352とを有する。樹脂本体部30は上部ガラスランチャンネル14を構成する樹脂本体部20と同じ本体部成形材料からなり、粗面部351,352は上部ガラスランチャンネル14(図2参照)と同様の粗面部成形材料からなる。粗面部351,352は、上部ガラスランチャンネル14を構成する粗面部251〜255と同様の外形形状及び表面形状に成形されており、それぞれリップ部36,37と溶着している。また、基底部381の溝内側表面には、側部ガラスランチャンネル16の基底部21と同様に、粗面部353が一体的に形成されている。
上記ガラスランチャンネル18は、図12に例示したような装置を用いて容易に製造することができる。即ち、まず金属板70を複数の成形ロール間に通過させるロール成形により金属製本体部71を形成して、この金属製本体部71を押出ダイ72に連続供給するとともに、二台の押出機73a,73bから上記本体部成形材料及び粗面部成形材料をそれぞれ加熱溶融状態で押出ダイ72に供給し、これらを共に押出口から押し出してガラスランチャンネル材(中間成形体)74を形成する。これにより、図4に示す金属製本体部38と樹脂本体部30とが結合した中間成形体74が得られる。次いで、かかる中間成形体74を冷却装置75に送って冷却し、冷却された中間成形体74を引取機76で引き取って、切断機77で所定の長さに切断する。これにより、中間成形体74に備えられる樹脂本体部30の成形材料と、加熱溶融状態で供給された粗面部成形材料とが長手方向に溶着・接合し、樹脂本体部30と粗面部351,352及び353とが一体化してなる本実施例に係るガラスランチャンネル18を得ることができる。
上記構成のガラスランチャンネル12,14,16,18によると、リップ部26,27,36,37の窓ガラス圧接面に所定の組成及び表面形状を有する粗面部251,252及び351,352が設けられているので、リップ部26等と窓ガラス3との摺動抵抗を低下させ、かつその低い摺動抵抗を長期に亘って(多数回の摺動に対しても)維持することができる。上記組成を有する粗面部成形材料を使用することによって、かかる表面形状を有する粗面部251等を容易に(押出成形と同時に)実現することができる。この粗面部251等は、該粗面部よりも柔軟性に優れた成形材料からなる樹脂本体部20,30の表面の所定部分に形成されている。従って、窓ガラス3の表面にリップ部26等を適度な弾力で圧接させることができる。粗面部251等を構成するオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO(1))と樹脂本体部20等を構成するオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO(2))とは、ハードセグメントの種類(ポリプロピレン)及びソフトセグメントの種類(EPDM)が共通しており、両材料の相溶性により溶着性が良好である。従って、押出成形時の熱等を利用して、樹脂本体部20等と粗面部251等とを適切に溶着させることができる。このように両者がその境界で溶着していることから、上記実施例に係るガラスランチャンネル12等は、粗面部251等の耐久性が良好である。例えば、樹脂本体部20等から粗面部251等が剥離することが効果的に防止されている。
上部ガラスランチャンネル14、側部ガラスランチャンネル16及びサッシロア18では、リップ部に加えて基底部21,381の溝24に面する側の表面にも粗面部253,353が設けられているので、窓ガラス3との摺動抵抗を低下させる効果及びその低い摺動抵抗を維持する効果がいっそう高められている。窓ガラス3とリップ部26等との摺動抵抗とともに、窓ガラス3(特にその端面)と基底部21との摺動抵抗を長期に亘って低く維持することができるので、この摺動抵抗に起因するガラスランチャンネル14,16の位置ズレを抑制することができる。即ち、側部ガラスランチャンネル16では、窓ガラス3の表面と接するリップ部26,27に、及び、窓ガラス3の端面と接することのある基底部21に共に粗面部が形成されているので、窓ガラス3の昇降動の際の低い摺動抵抗を長期に亘って維持でき、側部ガラスランチャンネル16が窓枠内で上又は下方向に位置ズレを起こすことを防止することができる。一方、上部ガラスランチャンネル14では、窓枠2の傾斜部分2bに配置される部分では、窓ガラス3が上昇して先ずリップ26,27に接し、次いで基底部21に接して上昇が停止する際の停止の直前に、窓ガラス3の端面が基底部21に接してこれを斜め上に押し上げようとする力が作用するが、基底部21に粗面部253が設けられていると窓ガラス3の端面は基底部21の長手方向に沿ってスリップする。これによって上部ガラスランチャンネル14においても、ガラスランチャンネル14が窓枠2内で位置ズレを起こすことを防止できる。更に、これらのガラスランチャンネル14,16では、側壁部22、23の溝24に面する側の表面にも粗面部254,255が設けられている。これらの粗面部254,255によって、リップ部26,27の裏面が側壁部22,23に粘着することが防止されるので、リップ部26,27が側壁部22,23から離れるときに異音が発生することが防止される。これらのガラスランチャンネル12,14,16,18を用いて構成されたガラスランチャンネル組立体10においても、各ガラスランチャンネルの奏する効果が有効に発揮される。
なお、上述のように、樹脂本体部等を構成するオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO(1))に比べて粗面部等を構成するオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO(2))の硬度が高いことから、この粗面部をガラスランチャンネルの基底部及び/又は側壁部の形状維持性、弾力性、線膨張係数等の少なくとも一つの特性を調整するための芯材としても利用することができる。かかる目的のためには、上記基底部及び/又は側壁部における粗面部の厚さを100〜1000μm(より好ましくは、基底部で300〜1000μm、側壁部で100〜300μm)の範囲とすることが適当である。一般にこれらの部分にはリップ部ほど高い弾力性(柔軟性)が要求されないからである。芯材機能を兼ね備える粗面部を基底部に設けることが特に好ましい。一般に窓ガラスの端面は、研磨されているものの表面ほどの滑らかさはなく、ミクロ的に見れば粗化された状態である。このために窓ガラスの端面が接する基底部は他の部分に比べて磨耗しやすいので、この部分の粗面部の厚さを他の部分よりも厚くしておくことは、長期に亘って低い摺動抵抗を維持するうえで有効である。
ガラスランチャンネル14を構成する樹脂本体部20と同じ組成の本体部成形材料からなる樹脂本体部の表面に、以下に示す成形材料(1)〜(10)を用いて表面層(上記粗面部に該当する場合を含む)を形成して対応する成形体1〜10を作製し、それらの成形体と窓ガラスとの摺動抵抗値を評価した。
[成形材料(1)] 上記ガラスランチャンネル14に備えられる粗面部251〜255の形成に用いた粗面部成形材料と同じ組成の成形材料を使用した。即ち、質量比で、上記TPO(2)100部と、固形粒子としての上記球状シリコーン樹脂粒子(GE東芝シリコーン株式会社製の商品名「トスパール(商標)」、平均粒子径約12μm)5部と、液状潤滑剤としての上記シリコーンオイル8部と、上記アクリルシリコーン樹脂5部と、エルカ酸アミド2部とを含有する成形材料を用いた。
[成形材料(2)] 上記球状シリコーン樹脂粒子に代えて、平均粒子径の異なる球状シリコーン樹脂粒子(GE東芝シリコーン株式会社製の商品名「トスパール(商標)」、平均粒子径約6μm)5部を用いた。その他の組成は成形材料(1)と同様である。
[成形材料(3)] 上記球状シリコーン樹脂粒子に代えて、平均粒子径の異なる球状シリコーン樹脂粒子(GE東芝シリコーン株式会社製の商品名「トスパール(商標)」、平均粒子径約3μm)5部を用いた。その他の組成は成形材料(1)と同様である。
[成形材料(4)] 質量比で、上記TPO(2)100部と、固形粒子としての球状シリカ粒子(電気化学工業株式会社製の商品名「デンカ溶融シリカ FB−35」、平均粒子径約11μm)5部と、上記シリコーンオイル2.5部と、エルカ酸アミド2部と、高分子量ポリエチレン40部と、高分子量ポリエチレンパウダー10部とを含有する成形材料を用いた。
[成形材料(5)] 上記球状シリカ粒子に代えて、平均粒子径の異なる球状シリカ粒子(電気化学工業株式会社製の商品名「デンカ溶融シリカ FB−35」、平均粒子径約8μm)5部を用いた。その他の組成は成形材料(4)と同様である。
[成形材料(6)] 質量比で、上記TPO(2)100部と、固形粒子としての上記球状シリコーン樹脂粒子(平均粒子径約12μm)5部と、上記アクリルシリコーン樹脂5部と、エルカ酸アミド2部とを含有する成形材料を用いた。なお、この成形材料(6)は、上記液状潤滑剤に相当する成分(例えばシリコーンオイル)を実質的に含有しない。
[成形材料(7)] 質量比で、上記TPO(2)100部と、上記シリコーンオイル2.5部と、エルカ酸アミド2部と、高分子量ポリエチレン40部と、高分子量ポリエチレンパウダー10部とを含有する成形材料を用いた。なお、この成形材料(7)は、上記固形粒子に相当する成分(球状シリコーン樹脂粒子、球状シリカ粒子等)を実質的に含有しない。
[成形材料(8)] 質量比で、上記TPO(2)100部と、上記シリコーンオイル4.5部と、エルカ酸アミド3部と、高分子量ポリエチレン40部と、固形粒子としての球状シリコーン樹脂粒子(GE東芝シリコーン株式会社製の商品名「トスパール(商標)」、平均粒子径約6μm)5部および球状ポリメチルメタクリレート樹脂粒子(ガンツ化成株式会社製の商品名「ガンツパールGM2801」、平均粒子径約28μm)10部とを含有する成形材料を用いた。
[成形材料(9)] 固形粒子のうち、上記球状ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂粒子に代えて、平均粒子径の異なる球状PMMA樹脂粒子(ガンツ化成株式会社製の商品名「ガンツパールGM5003」、平均粒子径約50μm)10部を用いた。その他の組成は成形材料(8)と同様である。
[成形材料(10)] 固形粒子のうち、上記球状PMMA樹脂粒子に代えて、平均粒子径の異なる球状PMMA樹脂粒子(ガンツ化成株式会社製の商品名「ガンツパールGM9005」、平均粒子径約85μm)10部を用いた。その他の組成は成形材料(8)と同様である。
成形体1〜10は以下のようにして作製した。即ち、まず上述の本体部成形材料(質量比で、上記TPO(1)100質量部及び補助成分5部を含有する成形材料)及び上記成形材料(1)〜(10)を加熱溶融状態で共押出用押出ダイに供給し、それらを共に押出口から押し出した。これにより、厚さ約1.5mmの樹脂成形体の一方の表面に上記成形材料(1)〜(10)からなる表面層が厚さ約50μmの層状に形成された成形体1〜10を得た。これらの成形体に備えられた表面層の外観を目視により観察したところ、成形体6の表面層は比較的光沢を有しており、表面粗度の低い状態に形成されていた。これに対して、成形体1〜5および成形体8〜10の表面層は艶消し状態となっており、より詳細に観察したところ、図10に模式的に示すように、多数の小凸部45を有するユズ肌(オレンジピール)状に形成された起伏面40H,40L,40H,40L・・・が形成され、表面粗度が大きい状態に形成されていた。成形体1〜5および成形体8〜10においてユズ肌状の起伏面が形成されるのは、押出成形中のダイの中で圧縮状態で流動する粗面部形成用の溶融材料(成形材料)の流動速度が部分的に変動することに因ると推定される。即ち、ダイの流路面に接する部分にシリコーンオイル層が存在しないときはミクロ的に一部の材料がダイの流路面と直接接して相対的に遅く流れ、シリコーンオイル層が存在するときは液状潤滑剤としてのシリコーンオイルが滑り層として働き相対的に速く流れる現象が生じていると考えられる。更に、成形材料(1)〜(5)および成形材料(8)〜(10)が固形粒子を含有することとの相互作用によって、成形体1〜5および成形体8〜10では、図10に示すような多数の小凸部を有する起伏面が良好に形成されたものと推察される。
これらの成形体1〜10とガラス面との摺動抵抗を測定した。即ち、幅100mm、高さ50mm、厚さ3.5mmの強化ガラス板(自動車用側面窓ガラスに相当する表面仕上が施されたもの)を用意した。一方、上記成形体1〜7を300mmの長さにカットして試験片を作製した。図6に示すように、レール96に沿って往復移動可能に構成された摺動抵抗測定機98に強化ガラス板92を保持させ、その強化ガラス板92の表面のうち下端から20mmの範囲を試験片94の表面(表面層が形成された側)に9.8Nの荷重で押し付けつつ、試験片94の長手方向に長さ150mmの範囲で繰り返して往復移動させた。試験片94に対するガラス板92の摺動速度は200mm/sとした。各成形体1〜10につき、ガラス板92の往復移動回数が1000回に達したときの摺動抵抗(初期摺動抵抗)及び20000回に達したときの摺動抵抗(後期摺動抵抗)を測定した。その結果を表1に示す。この表1には、各成形体に備えられた表面層の大まかな組成及び表面状態を併せて示している。
Figure 2004299668
表1から判るように、表面層として本発明の組成及び表面形状を有する粗面部が形成されている成形体1〜5では、初期の摺動抵抗の値を低く(例えば10N/100mm以下に)することができるとともに、その低い摺動抵抗値(例えば10N/100mm以下)を後期に至るまで維持することができた。具体的には、成形体1〜5では、初期(摺動回数:1000回)の摺動抵抗値と、後期(摺動回数:20000回)の摺動抵抗値との増加率がいずれも30%以下であった。ここで、摺動抵抗値の増加率(%)とは、以下の式により算出した数値をいう。
{(後期の摺動抵抗値−初期の摺動抵抗値)/初期の摺動抵抗値}×100
また、表面層として本発明の組成及び表面形状を有する粗面部が形成されている成形体8〜10においても、初期の摺動抵抗の値を低く(例えば10N/100mm以下、特に6N/100mm以下に)することができるとともに、その低い摺動抵抗値(例えば10N/100mm以下、特に6N/100mm以下)を後期に至るまで維持することができた。具体的には、成形体8〜10では上記摺動抵抗値の増加率がいずれも5%以下であった。
図14は、成形体1及び成形体6〜10につき、上記摺動試験の結果をグラフに表したものである。グラフの横軸は摺動回数(往復移動の回数)を、縦軸は摺動抵抗値を示している。このグラフからも判るように、本発明の粗面部を有する成形体1では、初期から後期に至るまで摺動抵抗の値が低く(10N/100mm以下に)維持されていることが判る。一方、液状潤滑剤を含有せず本発明の粗面部が形成されていない成形体6では、初期から後期に至るまで、成形体1に比べて明らかに摺動抵抗の高い状態が続いている。また、固形粒子を含有せず本発明の粗面部が形成されていない成形体7では、初期の摺動抵抗値は成形体1と同程度であるものの、摺動回数が多くなると、成形体1に比べて摺動抵抗が顕著に増加している。例えば、摺動回数が約10000回以上になると摺動抵抗が10N/100mmを超える値となっている。
また、比較的平均粒子径の大きな固形粒子を添加(平均粒子径および材質の異なる二種類の固形粒子を併用)した成形体8〜10によると、成形体1よりもさらに良好な結果が得られた。すなわち、初期における摺動抵抗の値をより低くすることができた。また、後期における摺動抵抗値の増加をよりよく抑制することができた。これらの成形体では、粒径の大きい粒子をさらに添加することにより表面粗度が上がり(大きくなり)、ガラスとの接触面積が小さくなって摺動抵抗の上昇がより効果的に抑えられたものと考えられる。
図15は、図14の初期(摺動回数:1000回まで)の部分を拡大したグラフである。成形体8及び成形体10では、いずれもこの範囲の摺動抵抗値がより低く維持されていることが判る。成形体9の摺動抵抗値は、摺動回数1000回までの間(約600回)に一度ピークを迎えるが、そのピークにおける摺動抵抗値も10N/100mm以下に抑えられている。また、ピーク以降の摺動抵抗値は低い値で推移していることが判る。
<第二実施例>
この第二実施例は、リップ部に設けられた粗面部の全体形状(外形形状)が第一実施例とは異なる一つの例である。以下、第一実施例の構成と相違する点を中心に説明する。
図7は、本実施例に係る上部及び側部の各ガラスランチャンネル14,16のリップ部26を拡大して示すもので、長手方向に直交する断面を示す模式的断面図である。リップ部26の表面には、窓ガラス3の表面に圧接する部分に、第一実施例と同様の粗面部成形材料により形成された粗面部257が形成されている。この粗面部257は、リップ部26の樹脂成形体20の表面の所定部分に設けられている。粗面部257には、長手方向に延びる筋状の***部257aが、幅方向に間隔をあけて複数形成されている。各***部257aの横断面形状は略三角形状である。相互に隣接する***部257aは、ベース部257bにより連結されている。各ベース部257bの幅は、例えば約0.5〜5mmとすることができる。また、ベース部257bの厚さは、例えば約5〜50μmとすることができる。ベース部257bの表面から***部257の頂部257cまでの平均高さは、例えば約100〜2000μmとすることができる。***部257aの形成密度は、粗面部257の幅方向に対して、例えば約5〜20本/cmとすることができる。そして、図11に示す模式図のように、各***部257aの表面は、多数の相対的に高い部分40Hと、多数の相対的に低い部分40Lとが混在した起伏面(40H,40L,40H,40L・・・)となっており、そのような起伏面の上に更に多数の小凸部45が形成されている。なお、粗面部257と樹脂本体部20とはその境界で熱溶着している。
図7中には、このような全体形状の粗面部257を有するリップ部26が窓ガラス3によって幅方向に変形した様子を二点鎖線で示している。図示するように、粗面部257は断面三角形状の筋状***部257aを有することから、窓ガラス3の表面と粗面部257(リップ部26)とは、主としてその***部257aの頂部257cにおいて、典型的には線状に接触(線接触)する。従って、この粗面部が層状の全体形状を有する場合に比べて、本実施例の形態によると、粗面部257と窓ガラス3の表面との接触面積が少なくなる。これにより摺動抵抗を更に低下させることができる。また、この粗面部257には、長手方向に延びる***部257a(厚肉部分)とベース部257b(薄肉部分)とが、その幅方向に対して交互に設けられている。かかる構成を有する粗面部257は、主としてベース部257bの薄肉部分の変形により、幅方向に容易に弾性変形させる(例えば、図7で二点鎖線で示す形状に弾性変形させる)ことができる。即ち、窓ガラス3が移動してリップ部26が二点鎖線で示す形状に弾性変形する際に、薄肉なベース部257bが実質的な変形を受け持つことになる。従って、樹脂本体部20のオレフィン系熱可塑性エラストマーよりも高硬度のオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いて形成された粗面部257を備えるリップ部26においても、その粗面部257を樹脂本体部20とともに適切に弾性変形(主として幅方向への変形)させて、リップ部26の機能を十分に発揮させることができる。
<第三実施例>
この第三実施例は、リップ部に設けられた粗面部の全体形状(外形形状)が第一実施例及び第二実施例とは異なる一つの例である。以下、第一実施例及び第二実施例の構成と相違する点を中心に説明する。
図8は、本実施例に係る上部及び側部の各ガラスランチャンネル14,16のリップ部26を拡大して示すもので、その横断面を示す模式的横断面図である。リップ部26は、窓ガラス3の表面に圧接する部分に、第一実施例と同様の粗面部成形材料により形成された複数の粗面部258を有する。これらの粗面部258は、全体として線状の外形形状に形成されており、リップ部26を構成する樹脂本体部20の表面の所定部分に幅方向に間隔をあけて複数本設けられている。樹脂本体部20と各粗面部258とはその境界で熱溶着している。各粗面部258の長手方向に直交する断面形状は略三角形状であり、裾部(根元部分)258aは樹脂本体部20に埋め込まれてアンカー作用も働くようにしてある。隣接する粗面部258の間隔は、それらの粗面部258の底面において、例えば約0.5〜5mmとすることができる。また、樹脂本体部20の表面から粗面部258の頂部258bまでの平均高さは、例えば約100〜2000μmとすることができる。粗面部258の形成密度は、樹脂本体部20の幅方向に対して、例えば約5〜20本/cmとすることができる。なお、各粗面部258の表面は多数の小凸部が形成された起伏面により構成されている。
図9は、このような全体形状の粗面部257を有するリップ部26が窓ガラス3によって幅方向に変形した様子を示している。図示するように、リップ部26には断面三角形状の線状粗面部258が長手方向に設けられていることから、窓ガラス3の表面とリップ部26とは、主としてその粗面部258の頂部258bにおいて、典型的には線状に接触(線接触)する。従って、この粗面部が層状の全体形状を有する場合に比べて、本実施例の形態によると、粗面部258と窓ガラス3の表面との接触面積が少なくなる。これにより摺動抵抗を更に低下させることができる。また、樹脂本体部20には、長手方向に延びる粗面部258が設けられた部分と、かかる粗面部258が設けられていない部分とが、その幅方向に対して交互に設けられている。かかる構成を有するリップ部26は、主として粗面部258が設けられていない部分の樹脂本体部20の変形により、幅方向に容易に弾性変形させることができる。従って、樹脂本体部20のオレフィン系熱可塑性エラストマーよりも高硬度のオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いて形成された粗面部257を備えるリップ部26においても、そのリップ部26を適切に弾性変形させて十分に機能を発揮させることができる。
以上、いくつかの実施例を挙げて本発明の車両用ガラスランチャンネル及び該ガラスランチャンネルを備えた組立体を説明したが、本発明はこれら実施例に示した形状・用途に限定されない。例えば、車両の平滑面(窓ガラス、車体パネル等)に弾性的に圧接する圧接部(リップ部等)を備えた他の車両構成部品にも適用することができる。そのような車両構成部品(典型的には長尺状樹脂成形部材)としては、いわゆるウェザーストリップ類、例えば、移動可能なガラスに接してガラス出入口の縁に取り付けられるインナー(車内側)ベルトモールディング、アウター(車外側)ベルトモールディング等のベルトモールディング類、車体パネルに弾性的に圧接する圧接部を備えるフロントウィンドウモールディング、サンルーフモールディング等が例示される。
即ち、本明細書により開示される技術には以下のものが含まれる。
(1)車両の所定の装着部に取り付けられる長尺状樹脂成形部材であって、
該装着部に隣接する車両構成部分に弾性的に圧接する圧接部を備え、
少なくとも前記圧接部のうち前記車両構成部分と直接接触し得る箇所に、以下の(a)〜(c)の成分:
(a).ハードセグメントとしてのポリオレフィン樹脂の含有割合が全体の50質量%以上であるオレフィン系熱可塑性エラストマー;
(b).平均粒子径が1〜100μmの範囲の固形粒子;及び
(c).常温で液状の潤滑剤;
を含む成形材料からなる粗面部を有し、
その粗面部は、表面が起伏した状態に形成されているとともに、その起伏面に前記固形粒子による多数の小凸部が形成されている長尺状樹脂成形部材。
(2)前記圧接部は窓ガラスに圧接することを特徴とする、前記(1)に記載の長尺状樹脂成形部材。
(3)前記(2)に記載の長尺状樹脂成形部材において、前記圧接部は移動する前記窓ガラスに圧接する長尺状樹脂成形部材。
(4)前記圧接部は車体パネルに圧接することを特徴とする、前記(1)に記載の長尺樹脂成形部材。
(5)前記(4)に記載の長尺状樹脂成形部材において、前記圧接部は前記車体パネルと圧接して移動可能な装着部に取り付けられている長尺状樹脂成形部材。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独で或いは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
実施例に係るガラスランチャンネル組立体がフロントドアパネルに取り付けられた状態の自動車を示す側面図である。 第一実施例に係るガラスランチャンネルを示すもので、図1のII−II線断面図である。 第一実施例に係るガラスランチャンネルを示すもので、図1のIII−III線断面図である。 第一実施例に係るガラスランチャンネルを示すもので、図1のIV−IV線断面図である。 二つのガラスランチャンネルがジョイント部で連結された状態を示す一部破断斜視図である。 摺動抵抗の測定方法を模式的に示す説明図である。 第二実施例に係るガラスランチャンネルの要部を示す断面図である。 第三実施例に係るガラスランチャンネルの要部を示す断面図である。 第三実施例に係るガラスランチャンネルの要部を示す断面図である。 粗面部の表面形状を示す模式的断面図である。 粗面部の表面形状を示す模式的断面図である。 本発明のガラスランチャンネルの一製造例を模式的に示す説明図である。 本発明のガラスランチャンネルの一製造例を模式的に示す説明図である。 摺動抵抗の測定結果を示す特性図である。 摺動抵抗の測定結果を示す特性図である。
符号の説明
1:フロントドアパネル
3:窓ガラス
10:ガラスランチャンネル組立体
12,14,16,18:ガラスランチャンネル
13,15,17:ジョイント部
20:樹脂本体部
21:基底部
22,23:側壁部
24:溝
251,252,253,254,255,257,258:粗面部
257a:***部
257b:ベース部
257c:頂部
258a:裾部
258b:頂部
26,27:リップ部
30:樹脂本体部
351,352,353:粗面部
36,37:リップ部
38:金属製本体部
40:粗面部
41:***部
44:固形粒子
45:小凸部

Claims (19)

  1. 車両の窓枠に沿って取り付けられて窓枠内を移動する窓ガラスの縁部に接して前記窓ガラスを案内する溝を有する長尺な車両用ガラスランチャンネルであって、
    前記ガラスランチャンネルは、該溝の底を構成する基底部と、その基底部の幅方向の両端から立ち上がって溝の側壁を構成する側壁部と、その側壁部から溝の内側に向けて張り出して前記窓ガラスの表面に弾性的に圧接するリップ部とを備え、
    前記リップ部のうち少なくとも前記窓ガラス面と圧接する部分に、以下の(a)〜(c)の成分:
    (a).ハードセグメントとしてのポリオレフィン樹脂の含有割合が全体の50質量%以上であるオレフィン系熱可塑性エラストマー;
    (b).平均粒子径が1〜100μmの範囲の固形粒子;及び
    (c).常温で液状の潤滑剤;
    を含む成形材料からなる粗面部を有し、
    その粗面部は、表面が起伏した状態に形成されているとともに、その起伏面に前記固形粒子による多数の小凸部が形成されている車両用ガラスランチャンネル。
  2. 更に、前記基底部の溝内側表面に前記粗面部が設けられている、請求項1に記載のガラスランチャンネル。
  3. 更に、前記側壁部の溝内側表面と、該表面と対向する前記リップ部の裏面との少なくとも一方に前記粗面部が設けられている、請求項1又は2に記載のガラスランチャンネル。
  4. 前記オレフィン系熱可塑性エラストマーを構成するハードセグメントはポリプロピレン樹脂であり、ソフトセグメントはエチレン−プロピレン−ジエン共重合体である、請求項1から3のいずれか一項に記載のガラスランチャンネル。
  5. 前記潤滑剤はシリコーンオイルである、請求項1から4のいずれか一項に記載のガラスランチャンネル。
  6. 前記固形粒子は、前記粗面部の成形時に溶融しない材料からなる、請求項1から5のいずれか一項に記載のガラスランチャンネル。
  7. 前記固形粒子は、シリコーン樹脂粒子、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シリカ粒子、ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子、ポリエーテルエーテルケトン樹脂粒子からなる群から選択される一種又は二種以上の球状粒子である、請求項1から6のいずれか一項に記載のガラスランチャンネル。
  8. 前記粗面部は、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー100質量部に対して前記固形粒子1〜20質量部及び前記潤滑剤1〜20質量部を含有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のガラスランチャンネル。
  9. 前記(a)のオレフィン系熱可塑性エラストマーよりも低硬度のオレフィン系熱可塑性エラストマーを含む成形材料からなる長尺状の樹脂本体部を有し、該樹脂本体部の表面の少なくとも一部分に前記粗面部が設けられている、請求項1から8のいずれか一項に記載のガラスランチャンネル。
  10. 前記樹脂本体部は、前記基底部、前記側壁部及び前記リップ部を一体的に構成している、請求項9に記載のガラスランチャンネル。
  11. 前記樹脂本体部と前記粗面部とは相溶性を有し、その境界で溶着している、請求項9又は10に記載のガラスランチャンネル。
  12. 前記粗面部は層状に形成されており、その平均厚さは10〜100μmである、請求項9から11のいずれか一項に記載のガラスランチャンネル。
  13. 前記粗面部には長手方向に延びる筋状の***部が幅方向に間隔をあけて複数形成されており、かつ、その***部の表面は前記小凸部が形成された起伏面により構成されている、請求項9から11のいずれか一項に記載のガラスランチャンネル。
  14. 前記粗面部は長手方向に延びる線状に形成されており、複数本の該線状粗面部が幅方向に間隔をあけて配設されている、請求項9から11のいずれか一項に記載のガラスランチャンネル。
  15. 車両の窓枠に沿って取り付けられて窓枠内を移動する窓ガラスの縁部に接して前記窓ガラスを案内する溝を有する少なくとも二つの長尺な車両用ガラスランチャンネルと、
    該ガラスランチャンネルの長手方向の端末間を連結するジョイント部とを備える車両用ガラスランチャンネル組立体であって、
    前記ガラスランチャンネルは、該溝の底を構成する基底部と、その基底部の幅方向の両端から立ち上がって溝の側壁を構成する側壁部と、その側壁部から溝の内側に向けて張り出して前記窓ガラスの表面に弾性的に圧接するリップ部とを備え、
    前記ガラスランチャンネルの少なくとも一つは、前記リップ部のうち少なくとも前記窓ガラス面と圧接する部分に、以下の(a)〜(c)の成分:
    (a).ハードセグメントとしてのポリオレフィン樹脂の含有割合が全体の50質量%以上であるオレフィン系熱可塑性エラストマー;
    (b).平均粒子径が1〜100μmの範囲の固形粒子;及び
    (c).常温で液状の潤滑剤;
    を含む成形材料からなる粗面部を有し、
    その粗面部は、表面が起伏した状態に形成されているとともに、その起伏面に前記固形粒子による多数の小凸部が形成されている車両用ガラスランチャンネル組立体。
  16. 窓ガラスと圧接する部分に粗面部が設けられている前記ガラスランチャンネルには、更に、
    (1).前記基底部の溝内側表面、
    (2).前記側壁部の溝内側表面、及び
    (3).前記側壁部の溝内側表面と対向する前記リップ部の裏面、
    の少なくとも一箇所に前記粗面部が設けられている、請求項15に記載のガラスランチャンネル組立体。
  17. 車両の窓枠に沿って取り付けられて窓枠内を移動する窓ガラスの縁部に接して前記窓ガラスを案内する溝を有する長尺な車両用ガラスランチャンネルを製造する方法であって、
    前記ガラスランチャンネルは、該溝の底を構成する基底部と、その基底部の幅方向の両端から立ち上がって溝の側壁を構成する側壁部と、その側壁部から溝の内側に向けて張り出して前記窓ガラスの表面に弾性的に圧接するリップ部とを備え、前記リップ部は少なくとも前記窓ガラス面と圧接する部分に設けられた粗面部を有し、
    以下の(a)〜(c)の成分:
    (a).ハードセグメントとしてのポリオレフィン樹脂の含有割合が全体の50質量%以上であるオレフィン系熱可塑性エラストマー;
    (b).平均粒子径が1〜100μmの範囲の固形粒子;及び
    (c).常温で液状の潤滑剤;
    を含む粗面部形成用の成形材料を加熱溶融させて樹脂押出成形型から押し出すことにより、表面が起伏した状態に形成されているとともにその起伏面に前記固形粒子による多数の小凸部が形成されている該粗面部を形成することを特徴とする、車両用ガラスランチャンネルの製造方法。
  18. 前記粗面部は長尺状の樹脂本体部の表面の少なくとも一部分に形成されており、前記粗面部形成用の成形材料及び樹脂本体部形成用の成形材料を加熱溶融させて、それら溶融した成形材料を前記樹脂押出成形型から同時に押し出すことにより前記樹脂本体部及び前記粗面部を成形する、請求項17に記載の製造方法。
  19. 前記粗面部形成用の成形材料を加熱溶融させて、予め成形された長尺状本体部と共に前記樹脂押出成形型から押し出すことにより、該長尺状本体部の表面の少なくとも一部分に前記粗面部を形成する、請求項17に記載の製造方法。
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