JP2004299668A - 車両用ガラスランチャンネルとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ガラスラン14は、リップ部26,27の表面の窓ガラス3に圧接する部分に粗面部251,252を有する。基底部21及び側壁部22,23の溝内側表面にも粗面部253〜255が設けられている。粗面部251〜255は、(a).ポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン等)の含有割合が50質量%以上であるオレフィン系熱可塑性エラストマー;(b).平均粒子径1〜100μmの固形粒子(球状シリコーン樹脂粒子等);及び(c).液状潤滑剤(シリコーンオイル等);を含む成形材料からなる。それらの粗面部は、表面が起伏した状態に形成され、その起伏面に固形粒子による多数の小凸部が形成されている。
【選択図】 図2
Description
即ち、請求項1の発明は、車両の窓枠に沿って取り付けられて窓枠内を移動する窓ガラスの縁部に接して前記窓ガラスを案内する溝を有する長尺な車両用ガラスランチャンネルに関する。前記ガラスランチャンネルは、溝の底を構成する基底部と、その基底部の幅方向の両端から立ち上がって溝の側壁を構成する側壁部と、その側壁部から溝の内側に向けて張り出して前記窓ガラスの表面に弾性的に圧接するリップ部とを備える。そして、前記リップ部のうち少なくとも前記窓ガラス面と圧接する部分に、(a).ハードセグメントとしてのポリオレフィン樹脂の含有割合が全体の50質量%以上であるオレフィン系熱可塑性エラストマー;(b).平均粒子径が1〜100μmの範囲の固形粒子;及び(c).常温で液状の潤滑剤;を含む成形材料からなる粗面部を有する。その粗面部は、表面が起伏した状態に形成されているとともに、その起伏面に前記固形粒子による多数の小凸部が形成されている。
この基底部の溝内側表面は、前記窓ガラスの端面に圧接して摺動抵抗を発生させ得る。その摺動抵抗は、ガラスランチャンネルが窓ガラスの端縁の移動方向とほぼ平行に配置されるときには窓ガラスを移動させる際の摺動抵抗の一部となって表れ、またガラスランチャンネルが窓ガラスの端縁の移動方向とほぼ直交する方向に配置されるときには窓ガラスの移動が停止する直前に摺動抵抗の一部となって表れる。従って、かかる部分にも粗面部を設けることにより、摺動抵抗を更に低下させるとともに、そのように摺動抵抗の低い状態を長期に亘ってよりよく維持することができる。このように、請求項2のガラスランチャンネルによれば、請求項1のガラスランチャンネルの奏する効果をより高めることができる。
窓ガラスが後退移動して溝内からなくなると、側壁部に押付けられていたリップ部が元の形状に復帰しようとする。このとき、リップ部の裏面が側壁部の内側面に粘着様に付着していると、リップ部が側壁部から離れる際に異音(「ピチ」という剥離音)を生じることがある。これらの部分の少なくとも一方に粗面部を設けることにより、かかる事象の発生を防止する効果が得られる。
このように、相対的に硬質のエラストマーにより形成された粗面部を、相対的に軟質(低硬度)のエラストマーにより形成された樹脂本体部の表面の少なくとも一部分に設けた構成とすることにより、樹脂本体部のもつ弾力性によって粗面部を適度な弾力で窓ガラス面に圧接させることができる。従って、請求項9のガラスランチャンネルによれば、請求項1から8のいずれかのガラスランチャンネルの奏する効果に加えて、更に摺動抵抗と弾力とのバランスをとりつつそれらを両立させることが容易であるという効果が得られる。かかる構成とすることによる効果は、この発明の構成をリップ部に適用した場合に特によく発揮される。
即ち、請求項15の発明は、車両の窓枠に沿って取り付けられて窓枠内を移動する窓ガラスの縁部に接して前記窓ガラスを案内する溝を有する少なくとも二つの長尺な車両用ガラスランチャンネルと、該ガラスランチャンネルの長手方向の端末間を連結するジョイント部とを備える車両用ガラスランチャンネル組立体である。その組立体を構成するガラスランチャンネルは、該溝の底を構成する基底部と、その基底部の幅方向の両端から立ち上がって溝の側壁を構成する側壁部と、その側壁部から溝の内側に向けて張り出して前記窓ガラスの表面に弾性的に圧接するリップ部とを備える。ここで、前記組立体を構成するガラスランチャンネルの少なくとも一つは、前記リップ部のうち少なくとも前記窓ガラス面と圧接する部分に、(a).ハードセグメントとしてのポリオレフィン樹脂の含有割合が全体の50質量%以上であるオレフィン系熱可塑性エラストマー;(b).平均粒子径が1〜100μmの範囲の固形粒子;及び(c).常温で液状の潤滑剤;を含む成形材料からなる粗面部を有する。その粗面部は、表面が起伏した状態に形成されているとともに、その起伏面に前記固形粒子による多数の小凸部が形成されている。
このようなガラスランチャンネル組立体の典型例は、粗面部を有するガラスランチャンネルとして、上述したいずれかの請求項のガラスランチャンネルを用いたものである。この場合、上述したいずれかの請求項のガラスランチャンネルが奏する効果は、当然に、当該請求項のガラスランチャンネルを含む組立体においても発揮され得る。
請求項16のガラスランチャンネル組立体によれば、請求項15の組立体の奏する効果に加えて、更に次に挙げる効果のうち少なくとも一つの効果が得られる。即ち、前記ガラスランチャンネルの基底部の溝内側表面にも粗面部を設けることにより、請求項15の組立体の奏する効果を更に高めることができる。また、前記ガラスランチャンネルの前記側壁部の溝内側表面及び該表面と対向する前記リップ部の裏面の少なくとも一方に粗面部を設けることにより、仮に窓ガラスの端縁が側壁部内表面に接して摺動しても摺動抵抗を増加させない効果、リップ部の形状復元性を高める効果及びリップ部が側壁部から離れる際に異音が発生することを防止する効果のうち少なくとも一つの効果が得られる。
即ち、請求項17の発明は、車両の窓枠に沿って取り付けられて窓枠内を移動する窓ガラスの縁部に接して前記窓ガラスを案内する溝を有する長尺な車両用ガラスランチャンネルを製造する方法に関する。そのガラスランチャンネルは、該溝の底を構成する基底部と、その基底部の幅方向の両端から立ち上がって溝の側壁を構成する側壁部と、その側壁部から溝の内側に向けて張り出して前記窓ガラスの表面に弾性的に圧接するリップ部とを備える。そのリップ部は、少なくとも前記窓ガラス面と圧接する部分に設けられた粗面部を有する。本発明の製造方法では、(a).ハードセグメントとしてのポリオレフィン樹脂の含有割合が全体の50質量%以上であるオレフィン系熱可塑性エラストマー;(b).平均粒子径が1〜100μmの範囲の固形粒子;及び(c).常温で液状の潤滑剤;を含む粗面部形成用の成形材料を加熱溶融させて樹脂押出成形型から押し出すことにより、表面が起伏した状態に形成されているとともにその起伏面に前記固形粒子による多数の小凸部が形成されている該粗面部を形成する。
請求項18の製造方法によると、請求項17の製造方法の奏する効果に加えて、更に一つの押出成形型を用いて一度の押出工程により、樹脂本体部の表面の少なくとも一部分に粗面部が形成されたガラスランチャンネルを容易に製造することができるという効果が得られる。このような製造方法は、粗面部形成用の成形材料と樹脂本体部形成用の成形材料との成形温度が同一又は近似しているときに好適に適用することができる。なお、粗面部形成用の成形材料及び樹脂本体部形成用の成形材料を溶融させて、それら溶融した成形材料を予め成形された長尺状本体部(例えば、上記とは異なる組成の成形材料からなる樹脂本体部、金属製の本体部等)と共に樹脂押出成形型から押し出してもよい。
請求項19の製造方法によると、請求項17の製造方法の奏する効果に加えて、更に任意の長尺状本体部の表面の少なくとも一部分に容易に粗面部を形成することができるという効果が得られる。このような製造方法は、長尺状の本体部(例えば上述したような樹脂本体部)を形成する材料と、粗面部形成用の成形材料の成形温度が大きく異なるときに好適に適用することができる。
また、ガラスランチャンネルの取り付け対象は自動車等の車両の窓枠(ドアパネルに設けられたものに限られない)であれば特に限定はない。ガラスランチャンネルの外形や本体部の形状(溝の断面形状を含む)は、窓枠側の装着部位や窓ガラス(縁部)の形状に適合するように決定すればよい。
本発明のガラスランチャンネルに備えられる粗面部は、その表面が起伏した状態に形成されている。粗面部表面の起伏状態は、その粗面部の長手方向に対してほぼ均一であることが好ましい。粗面部の長手方向及び幅方向(長手方向と直交する方向)のいずれに対してもほぼ均一であることがより好ましい。ここで、起伏状態がほぼ均一であるとは、例えば、起伏の平均高さ、起伏の密集度(稠密度)、起伏の形状等のうち一又は二以上の特性において、粗面部の一部と他部との間に顕著な差異が認められないことをいう。
そして、かかる起伏状態を構成する起伏面に多数の小凸部45が形成されている。これらの小凸部45は、粗面部40に含まれる固形粒子44の存在に起因して上記起伏面に形成された盛り上がりである。小凸部45の形成に寄与する固形粒子44の表面は、符号44aで示す固形粒子のように粗面部40を構成するマトリックス樹脂42(固形粒子44を分散させている連続相をいう。)から露出していてもよく、符号44bで示す固形粒子のようにマトリックス樹脂42で覆われていてもよい。図示するように、マトリックス樹脂42から露出している固形粒子44aと露出していない固形粒子44bとが混在していてもよい。これらの小凸部45は、粗面部40の長手方向にも幅方向(長手方向と直交する方向)にもほぼ均一に形成されていることがより好ましい。ここで、小凸部がほぼ均一に形成されているとは、例えば、小凸部の平均高さ、小凸部の密集度等のうち一又は二以上の特性において、粗面部(起伏面)の一部と他部との間に顕著な差異が認められないことをいう。
粗面部のこのような表面形状は、典型的には、上述した特定の組成の成形材料(粗面部成形材料)を例えば常法により押出成形することによって実現することができる。即ち、粗面部成形材料を押出成形する際に、その押出成形に伴って、表面に起伏形状を付与するための後処理を要することなく、上述の表面形状(小凸部が形成された起伏面)を有する粗面部を形成することができる。
また、本発明のガラスランチャンネルの他の好ましい態様では、基底部及び側壁部が長尺状の金属製本体部(例えば、金属板をロール成形してなるもの)により構成されている。その金属製本体部の側壁部から溝の内側に向けて長尺状の樹脂本体部が張り出してリップ部を構成している。その樹脂本体部(リップ部)の表面の所定部分に粗面部が設けられている。このようなガラスランチャンネルは、車両のドアパネル内(窓枠の下方)に設置されるガラスランチャンネル(サッシロアともいう。)として好適である。
なお、図11には樹脂本体部20の表面の所定部分に粗面部40を設けた例を示しているが、このように粗面部40に筋状***部41が形成された構成はリップ部全体が粗面部40によって構成されている場合にも適用し得る。
ガラスランチャンネルの複数箇所(例えばリップ部及び基底部)に複数の粗面部が設けられている場合、それらの粗面部は実質的に同一組成の成形材料から形成されていてもよく、相互に異なる組成の成形材料から形成されていてもよい。製造容易性の観点から、一つのガラスランチャンネルに設けられた粗面部は同一組成の成形材料からなることが好ましい。
この樹脂本体部をドラム等に巻いておき、そのドラムから樹脂本体部を押出ダイに連続供給するとともに、粗面部を形成するための成形材料(粗面部成形材料)を加熱溶融状態でその押出ダイに供給し、それらを所定の横断面形状の押出口から押し出す。この押出成形によって樹脂本体部の表面の所定部分に長手方向に延びる粗面部を形成する。このとき形成される粗面部は、その表面が、多数の小凸部が形成された起伏面により構成されている。また、この押出成形の際に樹脂本体部の表面部が熱により溶融し、樹脂本体部と粗面部とが熱溶着により一体化する。
<第一実施例>
第一実施例として、図1に示す自動車のフロントドアパネル1の窓枠2に取り付けられるガラスランチャンネル組立体10及びその組立体を構成するガラスランチャンネル12,14,16,18につき図1〜図6を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施例に係るガラスランチャンネル組立体10は、4つの長尺状ガラスランチャンネル12,14,16,18と3つのジョイント部13,15,17とから構成されている。即ち、窓枠2の前方部分2aの下方(ドアパネル1の内部)に配置されるガラスランチャンネル12と、窓枠2の傾斜部分2b及び略水平に延びる部分(天井部分)2cに沿って配置されるガラスランチャンネル14と、窓枠2の後方垂直部分2dに沿って配置されるガラスランチャンネル16と、その後方垂直部分2dの下方(ドアパネル1の内部)に配置されるガラスランチャンネル18とを有する。各ガラスランチャンネル12,14,16,18はジョイント部13,15,17によって連結され、ガラスランチャンネル組立体10として一体となっている。かかるガラスランチャンネル組立体10は、図5に示すように、押出成形した二つのガラスランチャンネル14,16の端部同士の間に所定のジョイント部15を射出成形すると同時に両ガラスランチャンネル14,16を連結することによって製造することができる。
図2に示すように、本実施例に係る上部ガラスランチャンネル14は、窓枠2(2c)に取り付けられた際に長手方向に沿って延びる溝24を形成する樹脂本体部20を主要構成要素とする。ここで、溝24は、昇降する窓ガラス3が上昇したときにその縁部が入り込む開口を有する。樹脂本体部20は、溝24の底部に相当する基底部21と、その基底部21の幅方向の両端から立ち上がって溝24の側壁となる一対の側壁部22,23(即ち車内寄り側壁部22及び車外寄り側壁部23)と、側壁部22,23の自由末端部からそれぞれ溝の内側に向けて張り出して溝24に挟み込まれた窓ガラス3の表面に弾性的に圧接する一対のリップ部26,27とを備える。基底部21のうち溝24に面する側には、長手方向に延びる中空空間213によりクッション部212が設けられている。このクッション部212は、上昇する窓ガラス3が溝24に進入して基底部21に衝突する際の衝撃を緩和し得るように構成されている。これによって衝突音の発生を抑えることができる。側壁部22,23の外面には、窓枠側に設けられているガラスランチャンネル取付溝(図示せず)にガラスランチャンネル14を保持させるために窓枠内面側に引っ掛けられる抜止めリップ部28b,28cと、図示しない窓枠の端縁を覆い隠す遮蔽リップ部28a,28dとが設けられている。
かかる樹脂本体部20は、質量比で、ポリプロピレン樹脂25部と、EPDM40部と、プロセスオイル(パラフィン系又はナフテン系)30部とを配合してなるオレフィン系熱可塑性エラストマー(以下、「TPO(1)」と表記することもある。)を含み、この他に補助成分5部を含む成形材料(本体部成形材料)を用いて押出成形された部分(長尺状本体部)である。樹脂本体部20を構成する上記TPO(1)の硬度は、JIS K 7215によるデュロメータ硬度Aにおいて凡そ75度である。
また、前記製造方法に代わる製造方法について説明すると、まず上記本体部成形材料を第一の押出ダイに供給し、この第一の押出ダイを用いて樹脂本体部を押出成形する。次いで、かかる樹脂本体部を別途の第二の押出ダイに連続供給するとともに、上記粗面部成形材料を加熱溶融状態でその押出ダイに供給し、図2又は図3に示す断面形状の押出口から押し出す。これにより、予め成形された樹脂本体部を構成する成形材料と、加熱溶融状態で供給された粗面部成形材料とが長手方向に溶着・接合し、樹脂本体部20と粗面部251〜255とが一体化してなるガラスランチャンネル14,16を得ることができる。この後者の方法は、両方の材料が相溶性を有しているが、それぞれの材料の成形温度が異なっているときに好適に適用することができる。
なお、図2,図3においてガラスランチャンネル14,16の断面形状は窓枠2に装着されたときの形状を図示しているが、窓枠2の図示は省略している。
[成形材料(2)] 上記球状シリコーン樹脂粒子に代えて、平均粒子径の異なる球状シリコーン樹脂粒子(GE東芝シリコーン株式会社製の商品名「トスパール(商標)」、平均粒子径約6μm)5部を用いた。その他の組成は成形材料(1)と同様である。
[成形材料(3)] 上記球状シリコーン樹脂粒子に代えて、平均粒子径の異なる球状シリコーン樹脂粒子(GE東芝シリコーン株式会社製の商品名「トスパール(商標)」、平均粒子径約3μm)5部を用いた。その他の組成は成形材料(1)と同様である。
[成形材料(5)] 上記球状シリカ粒子に代えて、平均粒子径の異なる球状シリカ粒子(電気化学工業株式会社製の商品名「デンカ溶融シリカ FB−35」、平均粒子径約8μm)5部を用いた。その他の組成は成形材料(4)と同様である。
[成形材料(7)] 質量比で、上記TPO(2)100部と、上記シリコーンオイル2.5部と、エルカ酸アミド2部と、高分子量ポリエチレン40部と、高分子量ポリエチレンパウダー10部とを含有する成形材料を用いた。なお、この成形材料(7)は、上記固形粒子に相当する成分(球状シリコーン樹脂粒子、球状シリカ粒子等)を実質的に含有しない。
[成形材料(9)] 固形粒子のうち、上記球状ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂粒子に代えて、平均粒子径の異なる球状PMMA樹脂粒子(ガンツ化成株式会社製の商品名「ガンツパールGM5003」、平均粒子径約50μm)10部を用いた。その他の組成は成形材料(8)と同様である。
[成形材料(10)] 固形粒子のうち、上記球状PMMA樹脂粒子に代えて、平均粒子径の異なる球状PMMA樹脂粒子(ガンツ化成株式会社製の商品名「ガンツパールGM9005」、平均粒子径約85μm)10部を用いた。その他の組成は成形材料(8)と同様である。
{(後期の摺動抵抗値−初期の摺動抵抗値)/初期の摺動抵抗値}×100
図15は、図14の初期(摺動回数:1000回まで)の部分を拡大したグラフである。成形体8及び成形体10では、いずれもこの範囲の摺動抵抗値がより低く維持されていることが判る。成形体9の摺動抵抗値は、摺動回数1000回までの間(約600回)に一度ピークを迎えるが、そのピークにおける摺動抵抗値も10N/100mm以下に抑えられている。また、ピーク以降の摺動抵抗値は低い値で推移していることが判る。
この第二実施例は、リップ部に設けられた粗面部の全体形状(外形形状)が第一実施例とは異なる一つの例である。以下、第一実施例の構成と相違する点を中心に説明する。
図7は、本実施例に係る上部及び側部の各ガラスランチャンネル14,16のリップ部26を拡大して示すもので、長手方向に直交する断面を示す模式的断面図である。リップ部26の表面には、窓ガラス3の表面に圧接する部分に、第一実施例と同様の粗面部成形材料により形成された粗面部257が形成されている。この粗面部257は、リップ部26の樹脂成形体20の表面の所定部分に設けられている。粗面部257には、長手方向に延びる筋状の***部257aが、幅方向に間隔をあけて複数形成されている。各***部257aの横断面形状は略三角形状である。相互に隣接する***部257aは、ベース部257bにより連結されている。各ベース部257bの幅は、例えば約0.5〜5mmとすることができる。また、ベース部257bの厚さは、例えば約5〜50μmとすることができる。ベース部257bの表面から***部257の頂部257cまでの平均高さは、例えば約100〜2000μmとすることができる。***部257aの形成密度は、粗面部257の幅方向に対して、例えば約5〜20本/cmとすることができる。そして、図11に示す模式図のように、各***部257aの表面は、多数の相対的に高い部分40Hと、多数の相対的に低い部分40Lとが混在した起伏面(40H,40L,40H,40L・・・)となっており、そのような起伏面の上に更に多数の小凸部45が形成されている。なお、粗面部257と樹脂本体部20とはその境界で熱溶着している。
この第三実施例は、リップ部に設けられた粗面部の全体形状(外形形状)が第一実施例及び第二実施例とは異なる一つの例である。以下、第一実施例及び第二実施例の構成と相違する点を中心に説明する。
図8は、本実施例に係る上部及び側部の各ガラスランチャンネル14,16のリップ部26を拡大して示すもので、その横断面を示す模式的横断面図である。リップ部26は、窓ガラス3の表面に圧接する部分に、第一実施例と同様の粗面部成形材料により形成された複数の粗面部258を有する。これらの粗面部258は、全体として線状の外形形状に形成されており、リップ部26を構成する樹脂本体部20の表面の所定部分に幅方向に間隔をあけて複数本設けられている。樹脂本体部20と各粗面部258とはその境界で熱溶着している。各粗面部258の長手方向に直交する断面形状は略三角形状であり、裾部(根元部分)258aは樹脂本体部20に埋め込まれてアンカー作用も働くようにしてある。隣接する粗面部258の間隔は、それらの粗面部258の底面において、例えば約0.5〜5mmとすることができる。また、樹脂本体部20の表面から粗面部258の頂部258bまでの平均高さは、例えば約100〜2000μmとすることができる。粗面部258の形成密度は、樹脂本体部20の幅方向に対して、例えば約5〜20本/cmとすることができる。なお、各粗面部258の表面は多数の小凸部が形成された起伏面により構成されている。
(1)車両の所定の装着部に取り付けられる長尺状樹脂成形部材であって、
該装着部に隣接する車両構成部分に弾性的に圧接する圧接部を備え、
少なくとも前記圧接部のうち前記車両構成部分と直接接触し得る箇所に、以下の(a)〜(c)の成分:
(a).ハードセグメントとしてのポリオレフィン樹脂の含有割合が全体の50質量%以上であるオレフィン系熱可塑性エラストマー;
(b).平均粒子径が1〜100μmの範囲の固形粒子;及び
(c).常温で液状の潤滑剤;
を含む成形材料からなる粗面部を有し、
その粗面部は、表面が起伏した状態に形成されているとともに、その起伏面に前記固形粒子による多数の小凸部が形成されている長尺状樹脂成形部材。
(2)前記圧接部は窓ガラスに圧接することを特徴とする、前記(1)に記載の長尺状樹脂成形部材。
(3)前記(2)に記載の長尺状樹脂成形部材において、前記圧接部は移動する前記窓ガラスに圧接する長尺状樹脂成形部材。
(4)前記圧接部は車体パネルに圧接することを特徴とする、前記(1)に記載の長尺樹脂成形部材。
(5)前記(4)に記載の長尺状樹脂成形部材において、前記圧接部は前記車体パネルと圧接して移動可能な装着部に取り付けられている長尺状樹脂成形部材。
また、本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独で或いは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
3:窓ガラス
10:ガラスランチャンネル組立体
12,14,16,18:ガラスランチャンネル
13,15,17:ジョイント部
20:樹脂本体部
21:基底部
22,23:側壁部
24:溝
251,252,253,254,255,257,258:粗面部
257a:***部
257b:ベース部
257c:頂部
258a:裾部
258b:頂部
26,27:リップ部
30:樹脂本体部
351,352,353:粗面部
36,37:リップ部
38:金属製本体部
40:粗面部
41:***部
44:固形粒子
45:小凸部
Claims (19)
- 車両の窓枠に沿って取り付けられて窓枠内を移動する窓ガラスの縁部に接して前記窓ガラスを案内する溝を有する長尺な車両用ガラスランチャンネルであって、
前記ガラスランチャンネルは、該溝の底を構成する基底部と、その基底部の幅方向の両端から立ち上がって溝の側壁を構成する側壁部と、その側壁部から溝の内側に向けて張り出して前記窓ガラスの表面に弾性的に圧接するリップ部とを備え、
前記リップ部のうち少なくとも前記窓ガラス面と圧接する部分に、以下の(a)〜(c)の成分:
(a).ハードセグメントとしてのポリオレフィン樹脂の含有割合が全体の50質量%以上であるオレフィン系熱可塑性エラストマー;
(b).平均粒子径が1〜100μmの範囲の固形粒子;及び
(c).常温で液状の潤滑剤;
を含む成形材料からなる粗面部を有し、
その粗面部は、表面が起伏した状態に形成されているとともに、その起伏面に前記固形粒子による多数の小凸部が形成されている車両用ガラスランチャンネル。 - 更に、前記基底部の溝内側表面に前記粗面部が設けられている、請求項1に記載のガラスランチャンネル。
- 更に、前記側壁部の溝内側表面と、該表面と対向する前記リップ部の裏面との少なくとも一方に前記粗面部が設けられている、請求項1又は2に記載のガラスランチャンネル。
- 前記オレフィン系熱可塑性エラストマーを構成するハードセグメントはポリプロピレン樹脂であり、ソフトセグメントはエチレン−プロピレン−ジエン共重合体である、請求項1から3のいずれか一項に記載のガラスランチャンネル。
- 前記潤滑剤はシリコーンオイルである、請求項1から4のいずれか一項に記載のガラスランチャンネル。
- 前記固形粒子は、前記粗面部の成形時に溶融しない材料からなる、請求項1から5のいずれか一項に記載のガラスランチャンネル。
- 前記固形粒子は、シリコーン樹脂粒子、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シリカ粒子、ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子、ポリエーテルエーテルケトン樹脂粒子からなる群から選択される一種又は二種以上の球状粒子である、請求項1から6のいずれか一項に記載のガラスランチャンネル。
- 前記粗面部は、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー100質量部に対して前記固形粒子1〜20質量部及び前記潤滑剤1〜20質量部を含有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のガラスランチャンネル。
- 前記(a)のオレフィン系熱可塑性エラストマーよりも低硬度のオレフィン系熱可塑性エラストマーを含む成形材料からなる長尺状の樹脂本体部を有し、該樹脂本体部の表面の少なくとも一部分に前記粗面部が設けられている、請求項1から8のいずれか一項に記載のガラスランチャンネル。
- 前記樹脂本体部は、前記基底部、前記側壁部及び前記リップ部を一体的に構成している、請求項9に記載のガラスランチャンネル。
- 前記樹脂本体部と前記粗面部とは相溶性を有し、その境界で溶着している、請求項9又は10に記載のガラスランチャンネル。
- 前記粗面部は層状に形成されており、その平均厚さは10〜100μmである、請求項9から11のいずれか一項に記載のガラスランチャンネル。
- 前記粗面部には長手方向に延びる筋状の***部が幅方向に間隔をあけて複数形成されており、かつ、その***部の表面は前記小凸部が形成された起伏面により構成されている、請求項9から11のいずれか一項に記載のガラスランチャンネル。
- 前記粗面部は長手方向に延びる線状に形成されており、複数本の該線状粗面部が幅方向に間隔をあけて配設されている、請求項9から11のいずれか一項に記載のガラスランチャンネル。
- 車両の窓枠に沿って取り付けられて窓枠内を移動する窓ガラスの縁部に接して前記窓ガラスを案内する溝を有する少なくとも二つの長尺な車両用ガラスランチャンネルと、
該ガラスランチャンネルの長手方向の端末間を連結するジョイント部とを備える車両用ガラスランチャンネル組立体であって、
前記ガラスランチャンネルは、該溝の底を構成する基底部と、その基底部の幅方向の両端から立ち上がって溝の側壁を構成する側壁部と、その側壁部から溝の内側に向けて張り出して前記窓ガラスの表面に弾性的に圧接するリップ部とを備え、
前記ガラスランチャンネルの少なくとも一つは、前記リップ部のうち少なくとも前記窓ガラス面と圧接する部分に、以下の(a)〜(c)の成分:
(a).ハードセグメントとしてのポリオレフィン樹脂の含有割合が全体の50質量%以上であるオレフィン系熱可塑性エラストマー;
(b).平均粒子径が1〜100μmの範囲の固形粒子;及び
(c).常温で液状の潤滑剤;
を含む成形材料からなる粗面部を有し、
その粗面部は、表面が起伏した状態に形成されているとともに、その起伏面に前記固形粒子による多数の小凸部が形成されている車両用ガラスランチャンネル組立体。 - 窓ガラスと圧接する部分に粗面部が設けられている前記ガラスランチャンネルには、更に、
(1).前記基底部の溝内側表面、
(2).前記側壁部の溝内側表面、及び
(3).前記側壁部の溝内側表面と対向する前記リップ部の裏面、
の少なくとも一箇所に前記粗面部が設けられている、請求項15に記載のガラスランチャンネル組立体。 - 車両の窓枠に沿って取り付けられて窓枠内を移動する窓ガラスの縁部に接して前記窓ガラスを案内する溝を有する長尺な車両用ガラスランチャンネルを製造する方法であって、
前記ガラスランチャンネルは、該溝の底を構成する基底部と、その基底部の幅方向の両端から立ち上がって溝の側壁を構成する側壁部と、その側壁部から溝の内側に向けて張り出して前記窓ガラスの表面に弾性的に圧接するリップ部とを備え、前記リップ部は少なくとも前記窓ガラス面と圧接する部分に設けられた粗面部を有し、
以下の(a)〜(c)の成分:
(a).ハードセグメントとしてのポリオレフィン樹脂の含有割合が全体の50質量%以上であるオレフィン系熱可塑性エラストマー;
(b).平均粒子径が1〜100μmの範囲の固形粒子;及び
(c).常温で液状の潤滑剤;
を含む粗面部形成用の成形材料を加熱溶融させて樹脂押出成形型から押し出すことにより、表面が起伏した状態に形成されているとともにその起伏面に前記固形粒子による多数の小凸部が形成されている該粗面部を形成することを特徴とする、車両用ガラスランチャンネルの製造方法。 - 前記粗面部は長尺状の樹脂本体部の表面の少なくとも一部分に形成されており、前記粗面部形成用の成形材料及び樹脂本体部形成用の成形材料を加熱溶融させて、それら溶融した成形材料を前記樹脂押出成形型から同時に押し出すことにより前記樹脂本体部及び前記粗面部を成形する、請求項17に記載の製造方法。
- 前記粗面部形成用の成形材料を加熱溶融させて、予め成形された長尺状本体部と共に前記樹脂押出成形型から押し出すことにより、該長尺状本体部の表面の少なくとも一部分に前記粗面部を形成する、請求項17に記載の製造方法。
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