JP2004299378A - インクジェット被記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録後のコックリングが少なく、かつインク吸収性に優れたインクジェット被記録媒体を提供することにある。
【解決手段】木材パルプを主成分とする基紙に、少なくともアンカー層とインク受理層を有するインクジェット被記録媒体であって、該アンカー層と該インク受理層を設ける側の基紙表面にオレフィン系表面サイズ剤を含有することを特徴とするインクジェット被記録媒体。
【選択図】 なし。

Description

本発明はインクジェット被記録媒体に関するものであり、更に詳しくは、木材パルプを主成分とする基紙上にインク受理層を設け、インクジェット記録方式で高品質な画像の形成を可能にし、記録後のシートのコックリングが少なく、インク吸収性に優れたインクジェット被記録媒体に関するものである。
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの記録用紙に付着させ、画像・文字などの記録を行なうものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として種々の用途に於いて急速に普及している。更に、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能である。又、作成部数が少なくて済む用途に於いては、写真技術によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
インクジェット記録方式の欠点の一つとしてその印字速度の遅さがある。近年インクジェット記録方式の普及に伴い技術改良が進み、そのプリント速度は格段と早くなった。しかし、プリンターが高速印字なるにつれて、インクジェット被記録媒体が打ち込まれたインクによって印字部分が波打つ、コックリングが問題となっている。このコックリングが酷くなるとインクのインクジェット被記録媒体への着弾点にずれが生じるため、画像がぼやけてしまったり、インクジェット被記録媒体の盛り上がったところにプリンターインクヘッドが擦り、印字している画像が汚染されたり、インクジェット被記録媒体が破けて通紙が出来なくなることがある。
インクは溶剤タイプと水性タイプに分類されるが、価格、安全性、取り扱いの容易性等から水性インクが多くインクジェット用インクも水性インクに属する。基紙にまで到達した水性インクの溶媒によるコックリングの改良が重要な課題となっている。この課題に対する取り組みは十分に行われていないのが現状であり、インク吸収体としての機能を有する木材パルプを主体成分とする支持体を持つインクジェット被記録媒体に於いては、更に重要かつ早期に解決しなければならない課題となっている。
この現象を回避する手段として、原紙を十分厚くする方法或いは原紙を介したインク受理層と反対側にバックコート層を設け、原紙の伸縮を抑える方法などが知られている。しかしこれら手法は、最近のインク吐出量が増大している記録装置に対しては完全にコックリングを回避することは難しい。又、原紙を厚くし、原紙の剛性で対応するには、かなりの厚さが必要となり、通常使用する記録用紙の厚さ(例えば280μm以下)を大きく上回ることになる。その結果、原紙の剛性が高くなり該記録用紙の柔軟性が欠如すること、原紙が厚いことから、インクジェット記録装置内での搬送性が低下することになる。
又、インク受理層の吸収容量を増加し、インクが原紙に達しないようにする方法が考えられる。しかし、インク受理層の吸収容量を高めるためには、該インク受理層中のバインダー成分を減少させるか、該インク受理層の塗設量を増やす必要があり、これによりインク受理層と原紙の間の接着強度低下や画像を形成するドットの細りによる画像再現性の低下が発生するため良好な手段とは言い難い。
さらに、印字されたインクが原紙まで浸透しないように原紙とインク受理層との間にバリア層を設けたり、インクが浸透しても原紙が伸縮しないように耐水化を施す方法等が考えられる。しかし、これらの手法ではインクジェット被記録媒体のインク吸収容量が低下し、インクの溢れや滲みが発生してしまい、良好な画像を得ることが難しい。
このような問題に対していくつかの提案がなされてきた。例えば、バックコートを設けるインクジェット被記録媒体(例えば、特許文献1参照。)が、またインクジェット被記録媒体の透気度/密度の値が特定範囲内にあるインクジェット被記録媒体(例えば、特許文献2参照。)、支持体木材パルプに特定の電離放射線硬化性化合物を含浸させた後電離放射線を照射して硬化させたインクジェット被記録媒体(例えば、特許文献3参照。)が開示されている。また、支持体とインク受理層の間に澱粉粒子層を有するインクジェット被記録媒体(例えば、特許文献4参照。)、インク受理層面の原紙を介した反対面にサポート層を塗設されたインクジェット被記録媒体(例えば、特許文献5参照。)が開示されている。しかしながら、インク受理性とコックリングを同時に充分に改良するまでには至っていなかった。
特開平5−221115号公報 (4頁) 特開平6−143796号公報 (2〜3頁) 特開平8−169174号公報 (3〜5頁) 特開平8−258396号公報 (2〜3頁) 特開平11−301101号公報 (3〜4頁)
本発明は、木材パルプを主成分とする基紙に、その上にインク受理層を設けたインクジェット被記録媒体で、記録後のコックリングが少なく、かつインク吸収性に優れたインクジェット被記録媒体を提供することにある。本発明の他の目的は、更に光沢感の高いインクジェット被記録媒体を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって達成された。
(1)木材パルプを主成分とする基紙に、少なくともアンカー層とインク受理層を有するインクジェット被記録媒体であって、該アンカー層と該インク受理層を設ける側の基紙表面にオレフィン系表面サイズ剤を含有することを特徴とするインクジェット被記録媒体。
(2)該基紙の抄造方向(MD方向)に対して直交方向(CD方向)における浸水2分後の水浸伸長が2.0%以下である上記(1)のインクジェット被記録媒体。
(3)該アンカー層のJIS−P−8140で規定される蒸留水における30秒コッブ吸水度が5〜15g/m2である上記(1)のインクジェット被記録媒体。
(4)該アンカー層が、無機顔料とポリマーラテックスを含有する上記(1)のインクジェット被記録媒体。
(5)該インク受理層が、無機顔料と親水性バインダーを含有する上記(1)のインクジェット被記録媒体。
(6)該オレフィン系表面サイズ剤がオレフィンマレイン酸共重合体、オレフィン(メタ)アクリル酸共重合体、オレフィンスチレンマレイン酸共重合体、オレフィンスチレン(メタ)アクリル酸共重合体、の群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)のインクジェット被記録媒体。
(7)該基紙のTAPPI T529に規定される表面pHが4〜6である上記(1)請求項1に記載のインクジェット被記録媒体。
(8)該インク受理層の上に、更に光沢発現層を有する上記(1)のインクジェット被記録媒体。
本発明のインクジェット被記録媒体は、記録後のコックリングが少なく、かつインク吸収性に優れ、更に高い光沢感がある。
本発明の基紙に使用される木材パルプとしては、広葉樹漂白サルファイトパルプ(LBSP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)などが有利に用いられる。また、必要に応じて、木材パルプ以外に、非木材パルプ、合成パルプ、合成繊維或いは再生パルプなどを用いてもよい。本発明の基紙は、木材パルプを基紙全体の60質量%以上を占めるものである。
パルプは抄紙適性、ならびに、強度、平滑性、地合の均一性等といった紙の諸特性等を向上させるため、叩解機により叩解されるのが通常である。
叩解されたパルプスラリーは、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、または、丸網抄紙機等の抄紙機により抄紙される。この際、分散助剤、乾燥紙力増強剤、填料、サイズ剤、定着剤等の諸添加物は必要に応じて添加することが可能である。更に、必要であればpH調節剤、染料、有色顔料、および蛍光増白剤等も添加することが可能である。
本発明において、上記のようにして抄造された基紙の表面にオレフィン系表面サイズ剤を含有させる。オレフィン系表面サイズ剤は、少なくともアンカー層及びインク受理層が設けられる基紙表面に塗工あるいは含浸される。
オレフィン系表面サイズ剤を基紙表面に塗工もしくは含浸する方法としては、例えば、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スライドリップコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、ロールコーター、ビルブレードコーター、ショートドゥエルブレードコーター、サイズプレスなどが用いられる。本発明において、好ましくは、基紙を抄造した後オンマシンで連続してオレフィン系表面サイズ剤を含浸あるいは塗工することであり、更に好ましくはサイズプレス装置で含浸することである。
オレフィン系表面サイズ剤が塗工もしくは含浸された基紙は、アンカー層を設ける前に基紙表面を平滑化する目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダーなどのカレンダー処理を施すのが好ましい。
本発明に用いられるオレフィン系表面サイズ剤としては、オレフィンマレイン酸共重合体、オレフィン(メタ)アクリル酸共重合体、オレフィンスチレンマレイン酸共重合体、オレフィンスチレン(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。
本発明に用いられるオレフィン系表面サイズ剤について詳しく説明する。該オレフィン系表面サイズ剤は、オレフィン系モノマーを構成成分として少なくとも有する共重合体からなる表面サイズ剤である。かかるオレフィン系モノマーとしては、例えばエチレン、プロピレン、n−ブチレン、イソブチレン、オクテン、デセン等が挙げられる。共重合体の他の成分としては、アニオン性モノマー(親水性モノマー)が挙げられ、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のアクリル酸系モノマー、マレイン酸、メチルマレイン酸、フェニルマレイン酸、クロロマレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のマレイン酸モノマーが挙げられる。
具体的には、エチレン/アクリル酸共重合体、イソブチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/マレイン酸共重合体、n−ブチレン/(メタ)アクリル酸共重合体/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン/マレイン酸共重合体、プロピレン/マレイン酸共重合体が例示される。これらの共重合体はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩であってもよい。
また本発明のオレフィン系表面サイズ剤は、上記したオレフィン系モノマーとアニオン性モノマーの他にスチレン系モノマー、例えばスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、シアノスチレン等を共重合体成分として含有させた共重合体も用いることができる。
本発明で使用されるオレフィン系表面サイズ剤の重量平均分子量としては、1万〜10万であることが好ましい。また、本発明のオレフィン系表面サイズ剤は、水溶性タイプであってもエマルジョンタイプであってもよいが、好ましくは水溶性タイプである。
本発明のオレフィン系表面サイズ剤の基紙における含有量は、木材パルプに対して0.1〜3質量%の範囲が好ましく、特に0.2〜2質量%の範囲が好ましい。
本発明において、オレフィン系表面サイズ剤を基紙表面へ塗工あるいは含浸させる際の塗工液(サイズプレス液)には、オレフィン系表面サイズ剤とともに澱粉やポリビニルアルコール等のバインダーを用いるのが好ましい。塗工液には更に、エチレン−尿素樹脂等の寸法安定化剤、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機伝導剤、有機伝導剤、界面活性剤、顔料、染料を含有させることができる。
本発明に用いられる基紙は、抄紙機における抄造方向(MD方向)に対して直交方向(CD方向)における浸水2分後の水浸伸長が2.0%以下であるのが好ましい。本発明において水浸伸長の測定に用いられる基紙は、オレフィン系表面サイズ剤が塗工あるいは含浸されたものである。ここで、浸水2分後の水浸伸長とは、基紙を所定のサイズにカットした紙片を水に浸漬し、浸漬してから2分後の紙片の伸び率を意味し、以下の式によって算出される。
A=(L1−L0)/L0×100
式中、Aは水浸伸長(%)、L0は最初の長さ(mm)、L1は浸漬後の長さ(mm)を表す。
本発明における水浸伸長の測定は、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.27Bの測定原理に準じて測定することができるが、本発明では、emco社製動的浸透性テスターDPMに動的寸法変位測定モジュールを取り付けた装置で測定した。
上記のemco社製動的浸透性テスターDPMに動的寸法変位測定モジュールを取り付けた装置を用いた測定方法について詳細に説明する。基紙のサンプル紙片は、CD方向の測定初期長さ(L0)が50mm、幅方向長さ(MD方向)が50mmになるようにカットする。但し、CD方向の長さは、紙片の両端にそれぞれ把持代(約10mm)が設けられるように70mmとする。
上記のようにして準備した所定サイズのサンプル紙片のCD方向両端に、それぞれ約10mmの薄いステンレス製プレートを、測定長さが50mmになるように両面粘着テープで貼り付ける。紙片の両端に貼り付けられたプレートを把持して紙片に低い張力(0.5N)をかけた状態で水に浸漬し、センサーで紙片の寸法変位を連続的に測定し、浸漬してから2分後の寸法変位を求める。ここで、サンプル紙片にかけられる張力0.5Nは、紙片の寸法変位をセンサーで正確に測定するために、サンプル紙片を均一に張った状態に保つためのものであり、サンプル紙片を伸ばしてしまわないように設定された張力である。本発明に好ましく用いられる基紙の坪量に適応した張力である。
測定に用いられる基紙は、予め23℃50%(RH)の条件下で10時間以上シーズニングしておく必要がある。測定時にサンプル紙片を浸漬する水の温度は23℃である。
本発明に用いられる基紙の坪量は、好ましくは80〜280g/m2、より好ましくは80〜200g/m2の範囲のものである。更に好ましくは80〜150g/m2の範囲のものである。
本発明の基紙は、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法T512に規定される表面pHが4〜6の範囲であるのが好ましい。そのためには木材パルプを主成分とするスラリーから抄造された基紙を用いる場合、酸性紙であることが好ましい。ここで、表面pHの測定に用いられる基紙は、オレフィン系表面サイズ剤が塗工あるいは含浸されたものである。表面pH4〜6の基紙を用いることによって、コックリングが更に抑制される。
本発明のインクジェット被記録材は、オレフィン系表面サイズ剤が塗工あるいは含浸された基紙にアンカー層とインク受理層が塗設される。本発明のアンカー層は、顔料とポリマーラテックスを含有するのが好ましい。顔料としては無機顔料が好ましい。
アンカー層に用いられる顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、チサンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、気相法シリカ、α,β,γ,δ−等のアルミニウム酸化物、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリスチレン、尿素樹脂、メラミン樹脂の有機顔料等の白色顔料を1種類以上用いることができる。好ましくはカオリン、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、非晶質シリカの群から選ばれる少なくとも1種類の無機顔料を含有することである。特に、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムが好ましく、これらの顔料はアンカー層の全顔料に対して50質量%以上含有するのが好ましい。
アンカー層に用いられるポリマーラテックスとしては、広範なポリマーラテックスを用いることができる。例えば、エチレン性不飽和モノマーを構成成分として含むラテックスが挙げられる。適当なエチレン性不飽和モノマーとしてはアクリル酸エステル(メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート等)、α−置換アクリル酸エステル(メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルヘキシルメタクリレート等)、アクリルアミド(ブチルアクリルアミド、ヘキシルアクリルアミド等)、ビニルエステル(酢酸ビニル等)、ハロゲン化ビニル(塩化ビニル等)、ハロゲン化ビニリデン(塩化ビニリデン等)、ビニルエーテル(ビニルメチルエーテル、ビニルオクチルエーテル等)、スチレン、エチレン、ブタジエン、アクリロニトリル等を挙げることができる。
本発明に用いられるポリマーラテックスは、上記したビニルモノマーの単独あるいは共重合体を挙げることができ、また、上記したビニルモノマーと他のモノマー、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、またはスルホン酸基を有するビニルモノマーとの共重合体を挙げることができる。
アンカー層において、ポリマーラテックスの含有比率は、無機顔料に対する固形分質量比で5〜30質量%が好ましく、特に5〜20質量%が好ましく、更に7〜15質量%が好ましい。
アンカー層には、更に親水性バインダー、例えば、ポリビニルアルコール、シラノールあるいはカチオン変性のポリビニルアルコール、澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン等を含有することができる。これらの親水性バインダーを用いる場合は、ポリマーラテックスに対して50質量%以下で含有させるのが好ましい。
アンカー層の塗工量(乾燥塗工量)は、5〜30g/m2の範囲が好ましく、特に6〜20g/m2の範囲が好ましく、更に7〜15g/m2の範囲が好ましい。
また、塗布、乾燥されたアンカー層をカレンダー処理により、平滑化しても良い。その際のカレンダー処理装置としては、グロスカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー、熱カレンダー処理などが挙げられる。
本発明において、基紙上に設けられたアンカー層は、JIS−P−814で規定される蒸留水における30秒コッブ吸水度が5〜15g/m2であるのが好ましい。この範囲のコッブ吸水度のアンカー層を基紙とインク受理層との間に設けることによって一段とコックリングを抑制することができる。本発明においてアンカー層のコッブ吸水度は、基紙上にアンカー層が塗設された状態でのコッブ吸水度からアンカー層を塗設する前の基紙のコッブ吸水度を差し引いたものである。
本発明のインク受理層は、無機顔料と親水性バインダーを含有するのが好ましい。無機顔料としては、例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、チサンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、合成非晶質シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト等が挙げられる。これらの中でも、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、合成非晶質シリカが好ましく用いられる。これらの無機顔料の平均二次粒子径は0.5〜15μmが好ましく、特に1〜10μmが好ましい。
インク受理層に用いられる親水性バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、シラノール変性あるいはカチオン変性のポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、澱粉、大豆、寒天、キトサン等の天然ポリマー等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコールあるいは変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。
インク受理層における無機顔料に対する親水性バインダーの含有比率は、5〜80質量%の範囲が好ましく、特に10〜50質量%の範囲が好ましい。インク受理層には、親水性バインダーの他に前述したようなポリマーラテックスを含有することができ、ポリマーラテックスの含有比率は、親水性バインダーに対して50質量%以下の範囲で含有させるのが適当である。インク受理層には、更にカチオン性ポリマーを含有するのが好ましい。
インク受理層の乾燥塗工量は、1〜30g/m2の範囲が好ましく、特に5〜20g/m2の範囲が好ましい。
本発明において、インク受理層の上に更に光沢発現層を設けるのが好ましい。光沢発現層をインク受理層の上に設けることによって、インクジェット被記録媒体の光沢を高めることができる。しかしコックリングが発生すると光沢発現層による光沢向上効果を充分に享受することができない。従ってインク受理層の上に光沢発現層を設けた態様において、本発明の技術的意義は高い。光沢発現層は、平均二次粒子径が1μm以下、好ましくは10〜400nmの無機超微粒子を該層の全固形分に対して55質量%以上含有する層である。好ましくは上記無機超微粒子を60〜90質量%含有する層である。
上記無機超微粒子として、コロイダルシリカ、気相法シリカ、アルミナ及びアルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。本発明の光沢発現層は、好ましくは、無機超微粒子としてアルミナ水和物を合計の無機超微粒子に対して50質量%以上含有することである。
コロイダルシリカとしては、従来汎用の無変性コロイダルシリカの他に、シリカ表面をカルシウムやアルミナ等のイオンや化合物で被覆してイオン性やpH変動に対する挙動を変えた変性コロイダルシリカの何れも用いることができる。本発明に係わる市販のコロイダルシリカの例としては、日産化学工業製スノーテックス20、スノーテックスN、スノーテックスO、スノーテックスS、スノーテックス20L、スノーテックスAK、及びスノーテックスUP等、日本化学工業製シリカドール20、シリカドール20A、シリカドール20G、及びシリカドール20P等、旭電化工業製アデライトAT−20、アデライトAT−20N、アデライトAT−30A、及びアデライトAT−20Q等、デュポン社製ルドックスHS−30、ルドックスLS、ルドックスSM−30、ルドックスAS、及びルドックスAM等が挙げられる。
気相法シリカは乾式法シリカとの呼ばれ、気相法により合成された非晶質シリカ微粒子である。中でも平均一次粒子径が5nm〜30nmが凝集した平均二次粒子径としては、10nm〜400nmのものが好ましい。気相法シリカとして市販されている製品としては、アエロジル(テグサ社)がある。
気相法シリカは、高圧ホモジナイザーやメディアミル等で分散して平均二次粒子径が400nm以下、好ましくは200nm以下にまで分散したものである。
本発明に用いられるアルミナ微粒子は、酸化アルミニウムの結晶微粒子であり、種々の結晶型が存在する中、熱力学的に安定なα型とγ型の2種類に大別出来る。本発明に好ましく用いられるのは、さらにγグループとδグループに分けることが出来る。δグループの結晶形態を有する微粒子の方が好ましい。
γ型結晶微粒子のアルミナは、一次粒子の平均粒子径を10nm程度にまで小さくすることが可能であるが、一般に、一次粒子は二次凝集形態(二次粒子)を形成する。
γ型アルミナ結晶微粒子を得るには、通常、数千から数万nmの二次粒子となっているγ型アルミナ結晶をビーズミルや超音波ホモジナイザー、高圧式ホモジナイザー等の粉砕手段によって、平均粒子径が400nm以下、好ましくは200nm以下、更に好ましくは100nm以下の超微粒子になるまで粉砕する。粉砕手段としては、超音波ホモジナイザーや高圧式ホモジナイザーを用いる方法が好ましい。γ型アルミナ結晶微粒子は、インク吸収性に優れ、乾燥性、インク定着性等の印字品質もよく、超微粒子化することで、高比率でインク受容層に含有させても転写性に優れたインクジェット記録媒体を得ることができる。
γ型アルミナ結晶微粒子は、市販品として、δグループに属する酸化アルミニウムC(日本アエロジル(株)製)、γグループに属するAKP−G015(住友化学(株)製)などとして入手できる。
本発明に用いられるアルミナ水和物は、下記の一般式により表すことができる。
Al23・nH2
アルミナ水和物は組成や結晶形態の違いにより、ジプサイト、バイアライト、ノルストランダイト、ベーマイト、ベーマイトゲル(擬ベーマイト)、ジアスポア、無定形非晶質等に分類される。中でも、上記式中のnの値が1である場合はベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1を越え3未満である場合は擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが3以上では非晶質構造のアルミナ水和物を表す。特に、本発明に好ましいアルミナ水和物は、少なくともnが1を越え3未満のアルミナ水和物である。
アルミナ水和物が十分なインク吸収速度を有するには、アルミナ水和物の平均細孔半径が1乃至10nmであることが好ましく、特に、3乃至7nmであることが好ましい。細孔半径が小さすぎるとインクの吸収が困難となり、細孔半径が大きすぎると、インク中の染料の定着が悪くなり画像の滲みが発生する。
アルミナ水和物が十分なインク吸収容量を有するには、アルミナ水和物の細孔容積が0.3乃至0.8ml/gの範囲であることが好ましく、特に、0.4乃至0.6ml/gの範囲であることが好ましい。単位面積当たりのインク受容層の溶媒吸収量は5ml/m2以上、特に10ml/m2以上であることが好ましい。
アルミナ水和物がインク中の染料を十分に吸収し、定着するにはBET比表面積が70乃至300m2/gの範囲であることが好ましい。
アルミナ水和物の形状は、平板状、繊維状、針状、球状、棒状等のいずれでもよく、インク吸収性の観点から好ましい形状は平板状である。平板状のアルミナ水和物は、平均アスペクト比3〜8であり、好ましくは平均アスペクト比が3〜6である。アスペクト比は、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で表される。ここで粒子の直径とは、アルミナ水和物を電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積に等しい円の直径を表す。
アルミナ水和物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等公知の方法によって製造することができる。また、アルミナ水和物の粒子径、細孔径、細孔容積、比表面積等の物性は、析出温度、熟成温度、熟成時間、液のpH、液の濃度、共存化合物等の条件によって制御することができる。
アルコキシドからアルミナ水和物を得る方法としては、特開昭57−88074号公報、同62−56321号公報、特開平4−275917号公報、同6−64918号公報、同7−10535号公報、同7−267633号公報、米国特許第2,656,321号明細書等にアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法として開示されている。これらのアルミニウムアルコキシドとしてはイソプロポキシド、2−ブトキシド等が挙げられる。
また、特開昭54−116398号公報、同55−23034号公報、同55−27824号公報、同56−120508号公報には、アルミニウムの無機塩またはその水和物を原料として使用する方法が開示されている。原料としては、例えば塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、アンモニウムミョウバン、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、水酸化アルミニウム等の無機塩およびその水和物を挙げることができる。
更に別の方法として、特開昭56−120508号公報に記載されている如き、pHを酸性側乃至塩基性側に交互に変動させ、アルミナ水和物の結晶を成長させる方法、特公平4−33728号公報に記載されている如き、アルミニウムの無機塩から得られるアルミナ水和物と、バイヤー法で得られるアルミナとを混合し、アルミナを再水和する方法もある。
光沢発現層には、上記した無機超微粒子とともに親水性バインダーを含有するのが好ましい。親水性バインダーとしては、前述したインク受理層の親水性バインダーと同様なものが用いられ、好ましくはポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールである。光沢発現層における親水性バインダーの含有比率は、無機超微粒子に対して、5〜50質量%の範囲が好ましく、特に8〜40質量%の範囲が好ましい。光沢発現層には更にカチオン性ポリマーを含有するのが好ましい。
本発明のアンカー層、インク受理層、及び光沢発現層には、更にその他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、レベリング剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、酸化防止剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、発泡剤、浸透剤、離型剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤及びpH調節剤等の各種添加剤を適宜組合わせて添加しても良い。
本発明における支持体のインク受容層を設ける反対側の面には、帯電防止、搬送性、カール防止、筆記性、糊付け性等のために、各種のバックコート層を塗設することができる。かかるバックコート層には、無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、滑剤、マット化剤、界面活性剤等を適宜組み合わせて添加しても良い。また、反対側の面にも、前述したアンカー層、インク受理層、あるいは光沢発現層を設けることができる。
本発明におけるインク受理層等の塗工層を塗布する方法は、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、カーテンコーター、ショートドウェルコーター、サイズプレス等の各種装置をオンマシン或いはオフマシンで用いることができる。又、塗布乾燥後に、マシンカレンダー、TGカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を用いて平坦化でき、光沢付与仕上げすることで、さらに平坦化したインク受理層を形成出来る。
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。又、実施例に於いて示す「部」および「%」は、特に明示しない限り質量部及び質量%を示す。
<基紙1の作成>
濾水度450mlCSFのLBKP70部、濾水度450mlCSFのNBKP30部から成る木材パルプ100部に、タルク20部、硫酸バンド3部、市販ロジンサイズ剤0.2部、市販カチオン化澱粉0.3部を調成しスラリーpHを5に調整後、長網抄紙機を用いて坪量100g/m2で抄造した後、酸化澱粉6部、オレフィン系表面サイズ剤(オレフィン・マレイン酸共重合体)0.5部、及び水94部を含むサイズプレス液を乾燥付着量が5g/m2となるようにインクラインドサイズプレスし、乾燥して基紙1を得た。なお、基紙表面のpHは、5.3であった。
<アンカ−層1塗布液の作成>
顔料として軽質炭酸カルシウム100部、接着剤としてスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを固形分で10部を水に混合分散し、固形分濃度45%のアンカー層1塗布液を調製した。
<インク受理層1塗布液の作成>
非晶質シリカ(平均粒子径3.5μm)100部、ポリビニルアルコール30部、及びカチオン性ポリマー(スミレッズレジン1001:住友化学(株)製)15部を水に混合分散し、固形分濃度15%に調整してインク受理層1塗布液を得た。
基紙1の上にアンカー層1塗布液をロッドコーターで乾燥塗工量10g/m2塗工した後、インク受理層1塗布液をエアーナイフコーターで乾燥塗工量10g/m2となるように塗工し、これをスーパーカレンダー処理して実施例1のインクジェット被記録媒体を作製した。
実施例1の基紙1を下記の基紙2に変更する以外は、実施例1と同様にしてインクジェット被記録媒体を作製した。
<基紙2の作成>
上記基紙1において、オレフィン系表面サイズ剤をオレフィン・スチレン・アクリル酸共重合体に変更する以外は基紙1同様にして作製した。なお、基紙表面のpHは、5.5であった。
実施例1の基紙1を下記の基紙3に変更する以外は、実施例1と同様にしてインクジェット被記録媒体を作製した。
<基紙3の作成>
上記基紙1において、オレフィン系表面サイズ剤を0.2部に変更した以外は基紙1と同様に作成した。なお、基紙表面のpHは、4.8であった。
実施例1の基紙1を下記の基紙4に変更する以外は、実施例1と同様にしてインクジェット被記録媒体を作製した。
<基紙4の作成>
濾水度450mlCSFのLBKP90部、濾水度450mlCSFのNBKP10部から成る木材パルプ100部に、軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウムの比率が1:1の顔料20部、市販アルキルケテンダイマー0.10部、カチオン系アクリルアミド0.03部、カチオン化澱粉1.0部、硫酸バンド0.5部を調成しスラリーpHを8に調整後、長網抄紙機を用いて坪量100g/m2で抄造した後、酸化澱粉6部、オレフィン系表面サイズ剤(オレフィン・マレイン酸共重合体)0.5部、及び水94部を含むサイズプレス液を乾燥付着量が5g/m2となるようにインクラインドサイズプレスし、乾燥して基紙4を得た。なお、基紙表面のpHは、9.0であった。
実施例1のアンカー層の乾燥塗工量を5g/m2に変更する以外は、実施例1と同様にしてインクジェット被記録媒体を作製した。
実施例1の基紙1を下記の基紙5に変更する以外は、実施例1と同様にしてインクジェット被記録媒体を作製した。
<基紙5の作成>
基紙1において、坪量を120g/m2とした以外は基紙1と同様に作製した。なお、基紙表面のpHは、5.5であった。
(比較例1)
実施例1の基紙1を下記の基紙6に変更する以外は、実施例1と同様にしてインクジェット被記録媒体を作製した。
<基紙6の作成>
基紙1において、サイズプレス液からオレフィン系表面サイズ剤を除いた以外は、基紙1と同様にして作成した。なお、基紙表面のpHは、4.5であった。
(比較例2)
実施例1の基紙1を下記の基紙7に変更する以外は、実施例1と同様にしてインクジェット被記録媒体を作製した。
<基紙7の作成>
基紙1において、オレフィン系表面サイズ剤をロジンサイズ剤に変更した以外は基紙1と同様にして作製した。なお、基紙表面のpHは、5.7であった。
(比較例3)
実施例1と同様にしてインクジェット被記録媒体を作製した。但し、アンカー層を設けずに、インク受理層のみを乾燥塗工量が20g/m2となるように塗工した。
(比較例4)
実施例1と同様にしてインクジェット被記録媒体を作製した。但し、インク受理層を設けずに、アンカー層のみを乾燥塗工量が20g/m2となるように塗工した。
上記のようにして作製した被記録媒体について、インク受理性、及びコックリングを評価した。その結果を表1に示す。
<インク受理性の評価>
インクジェットプリンタ(PM10000:セイコーエプソン株式会社製)を用いて、写真画像を被記録媒体上に記録し、インクの溢れ程度と画像のニジミ程度を目視で判定し、以下の基準で評価した。
A:インクの溢れがなく、画像のニジミもない。
B:画像のニジミが僅かに認められる。
C:インクの溢れ及び画像のニジミともに認められるが程度は小さい。
D:インクの溢れ及び画像のニジミともその発生程度は大きい。
<コックリングの評価>
コックリングはレーザー変位計を用いて測定した表面の伸び率で評価した。
表面伸び率とは、インクを吸収することにより発生したインクジェット記録シートの局所的な伸びに起因する、巨視的な凹凸を評価する手段であり、具体的には、インクジェット記録シートの任意に決められた2点間(直線距離A)で、該記録シートが伸びたために生じた該記録シート表面の凹凸に沿ったインク受理層表面の長さ(B)を測定し、
(B−A)/A×100(%)をもって表面伸び率とする。この伸び率が大きいほどコックリング(波打ち)が大きいことを意味する。
三角測距方式を用いたレーザー変位計と、該レーザー変位計に正確な位置情報を採取できるXYステージとを組み合わせた装置で測定した。
評価グレードと伸び率の関係を以下に示す。
A:伸び率が0.45%以下で、コックリングはほとんどない。
B:伸び率が0.45%より大きく0.6%以下で、コックリングは僅かにあるが、あまり目立たない。
C:伸び率が0.6%より大きく、コックリングが目立つ。
Figure 2004299378
表1の結果から明らかなように、本発明である実施例1〜6は、インク受理性及びコックリングともに良好である。また、実施例1〜6の中でも基紙の表面pHが低い方がよりコックリングに優れていることが分かる(実施例1の方が実施例4に比べコックリングが選りすぐれている)。一方、比較例1〜4はインク受理性とコックリングを同時に満足することができない。
水浸伸長の異なる2種の基紙を用意した。1つの基紙は実施例1の基紙1で、その水浸伸長は1.6%であった。もう一つの基紙(基紙8)は、基紙1の木材パルプを濾水度が350mlCSFの木材パルプに変更する以外は同様にして作製したものである。この基紙8の水浸伸長は2.5%であった。こららの2種の基紙に実施例1のアンカー層とインク受理層を実施例1と同様に塗工して、2種類のインクジェット被記録媒体を作製した。
上記の2種類のインクジェット被記録材について、インク受理性とコックリングを上記と同様にして評価した。その結果、基紙1を用いた被記録媒体は、実施例1と同様な結果が得られ、一方基紙8を用いた被記録媒体は、コックリングはB、インク受理性はAであった。この結果より、基紙の水浸伸長を2.0%以下にすることによってコックリング抑制効果が更に向上することが分かる。
コッブ吸水度が異なる2種のアンカー層を用意し、実施例1の基紙1の上にそれぞれのアンカー層を乾燥塗工量10g/m2で塗布し、更に実施例1のインク受理層を乾燥塗工量10g/m2で塗布して2種類のインクジェット被記録媒体を作製した。1つのアンカー層は実施例1のアンカー層1であり、そのコッブ吸水度は9g/m2であった。もう一つのアンカー層(アンカー層2)は以下の組成からなるもので、コッブ吸水度は25g/m2であった。
<アンカー層2塗布液の作成>
顔料として非晶質シリカ(平均二次粒子径4μm)100部、接着剤としてスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを固形分で10部を水に混合分散し、固形分濃度35%のアンカー層2塗布液を調製した。
上記の2種類のインクジェット被記録材について、インク受理性とコックリングを上記と同様にして評価した。その結果、アンカー層1を用いた被記録媒体は、実施例1と同様な結果が得られ、一方アンカー層2を用いた被記録媒体は、コックリングはB、インク受理性はAであった。この結果より、コッブ吸水度5〜15g/m2のアンカー層を用いることによってコックリング抑制効果が更に向上することが分かる。
実施例1及び比較例3で作製したインクジェット被記録媒体のインク受理層の上に更に下記の光沢発現層を乾燥塗工量8g/m2で塗工して、実施例9と比較例5の2種類のインクジェット被記録媒体を作製した。
<光沢発現層>
アルミナ水和物(アスペクト比5の平板状の擬ベーマイト型アルミナ水和物、平均二次粒子径100nm)60部、カチオン性コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製のST−AK、平均一次粒子径10〜20nm)40部、ポリビニルアルコール15部、カチオン性ポリマー(ポリフィックス601:昭和高分子(株)製)1部を水に混合分散して、固形分濃度14%の光沢発現層の塗布液を得た。
上記の2種類のインクジェット被記録材について、インク受理性とコックリングを上記と同様にして評価した。その結果、実施例9の被記録媒体は、コックリング及びインク受理性ともAであったが、一方比較例5の被記録媒体は、コックリングはC、インク受理性はAであった。
更に、目視による光沢感を評価した。実施例9は光沢発現層本来の光沢性向上効果を享受し高い光沢感があったが、比較例5はコックリング発生の影響で充分に光沢発現層の効果が得られず、実施例9に比べて劣っていた。

Claims (8)

  1. 木材パルプを主成分とする基紙に、少なくともアンカー層とインク受理層を有するインクジェット被記録媒体であって、該アンカー層と該インク受理層を設ける側の基紙表面にオレフィン系表面サイズ剤を含有することを特徴とするインクジェット被記録媒体。
  2. 該基紙の抄造方向(MD方向)に対して直交方向(CD方向)における浸水2分後の水浸伸長が2.0%以下である請求項1に記載のインクジェット被記録媒体。
  3. 該アンカー層のJIS−P−8140で規定される蒸留水における30秒コッブ吸水度が5〜15g/m2である請求項1に記載のインクジェット被記録媒体。
  4. 該アンカー層が、無機顔料とポリマーラテックスを含有する請求項1に記載のインクジェット被記録媒体。
  5. 該インク受理層が、無機顔料と親水性バインダーを含有する請求項1に記載のインクジェット被記録媒体。
  6. 該オレフィン系表面サイズ剤がオレフィンマレイン酸共重合体、オレフィン(メタ)アクリル酸共重合体、オレフィンスチレンマレイン酸共重合体、オレフィンスチレン(メタ)アクリル酸共重合体、の群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のインクジェット被記録媒体。
  7. 該基紙のTAPPI T529に規定される表面pHが4〜6である請求項1に記載のインクジェット被記録媒体。
  8. 該インク受理層の上に、更に光沢発現層を有する請求項1に記載のインクジェット被記録媒体。

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