JP2004298127A - キチナーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、プラスミド、それを含む微生物及びそれを用いたキチナーゼの製造方法 - Google Patents

キチナーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、プラスミド、それを含む微生物及びそれを用いたキチナーゼの製造方法 Download PDF

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崇 奥
Shizuka Fujishima
静 藤嶋
Naoko Yamano
尚子 山野
Akihiko Maruyama
明彦 丸山
Takanori Higashihara
孝規 東原
Takahisa Taguchi
隆久 田口
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Abstract

【課題】遺伝子操作により特定の菌株が生産するキチナーゼをコードするDNAを形成させ、これを用いてキチナーゼを大量に製造することを目的とする。
【解決手段】以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子で、この遺伝子を含む微生物を培養することによりキチナーゼを製造する。(a)特定の海洋低温細菌から取得されたキチナーゼ活性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質。(b)(a)に記載されたアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつキチナーゼ活性を有するタンパク質。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キチナーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、プラスミド、その遺伝子を含む微生物及びその微生物を用いてキチナーゼを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エビやカニ、プランクトン等の外殻を構成するキチンは、地球上においてセルロースに次ぐバイオマスであり、貧栄養環境下の海洋において主として海洋細菌により分解され、炭素源及び窒素源として重要である。
【0003】
この海洋細菌は菌体外にキチン分解酵素、すなわちキチナーゼを分泌し、キチンを分解することにより、これを自身の栄養源としているが、このキチンは、N‐アセチルグルコサミンを構成単位とするポリマーであり、その分解生成物、すなわちN‐アセチルグルコサミンやそのオリゴマー、あるいはキチンを脱アセチル化して得られるキトサンは、医薬原料、その中間体、食品素材及び化粧品素材として有用であるが、さらに低分子化キチンについては、生体適合性が優れることから皮膚被覆材料として、また保水性が良好なことから化粧品素材としての利用がキトサンについては生体適合性及び凝集性が優れていることから、医薬品徐放剤のキャリアー等としての利用が期待されている。また、キチナーゼをコードする遺伝子を植物細胞に組み込んで、植物の害虫に対する耐性を高めようとする試みが成されている。即ち、キチナーゼをコードする遺伝子も、重要な用途がある。
【0004】
ところで、これまでN‐アセチルグルコサミンのオリゴマーは、カニ、エビ等の甲殻を水酸化ナトリウム溶液内で熱処理しタンパク質を除去後、塩酸で灰分を除いて得られるキチンを原料とし、これを塩酸加水分解法によってグルコサミンのオリゴマーとし、これを無水酢酸によってアセチル化することにより製造されていた。しかしながら、このようにして得られるN‐アセチルグルコサミンオリゴマーは化学合成の過程を含むために、食品素材として使用できないし、また直接キチンを部分酸加水分解して得られるオリゴマーでは、N‐アセチル基の加水分解を完全に防ぐことができず、安定した物性が保証されないという欠点がある。
【0005】
一方、キチンを分解する酵素を生産し、栄養源としている微生物の存在が知られているが、このような酵素を用いると、基質特異性によりキチンの目的とする箇所のみに作用するため副生物が少なく、また温和な反応条件を有するため、コストを軽減できるという利点がある。しかし、現在市販されているキチナーゼは、微生物から採取されているため、少量しか得られず、コスト高になるのを免れない。
他方、キチナーゼについては、その遺伝子を単離する研究が進められてきたが、そのほとんどが細菌として中温性細菌ないし高温性細菌に分類されるものを用いて行われており、低温細菌を用いたものについてはこれまで知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情の下で、遺伝子操作により特定の菌株が生産するキチナーゼをコードするDNAを形成させ、これを用いてキチナーゼを大量に製造することを目的としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、キチナーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を形成させるために鋭意研究を重ねた結果、海洋においては大量のキチンが生産され、微生物によって分解され、海洋の生態系が維持されている点に着目し、海洋低温細菌ビブリオ(Vibrio)属に属する菌株が生産するキチナーゼをコードするDNAを作出し、これを組み換えることにより、キチナーゼを大量に生産しうることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、(a)配列表配列番号1に記載されたアミノ酸配列からなるタンパク質、又は(b)配列表配列番号1に記載されたアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつキチナーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、プラスミド、その遺伝子を含む微生物、及びこの微生物を培養することを特徴とするキチナーゼの製造方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の遺伝子は、海洋低温細菌ビブリオ(Vibrio)属に属する菌株P2K−5(寄託番号FERM BP−5769)から取得されたキチナーゼ遺伝子であるが、この海洋低温細菌P2K−5菌株は、以下の菌学的性質により同定される細菌である。
【0010】
1.形態的性質
(1)細胞形態:稈状(rod)
(2)鞭毛形態:極べん毛
(3)グラム染色:陰性
【0011】
2.生理的性質
(1)増殖温度:4℃+、25℃+、30℃+
(2)O−Fテスト:Fermentative
(3)塩類要求性:+
(4)色素生産:−
(5)オキシダーゼ:+
(6)カタラーゼ:+
【0012】
3.分離源
房総沖日本海溝の水深6000mの海水
【0013】
これらの菌学的性質は、1985年学会出版センター発行,駒形和男著,改訂版,長谷川武治編著,「微生物の分類と同定」下巻,第99〜161ページを参考にし、1990年,恒星社厚生閣発行,日本海洋学会編,絵面良男著,「沿岸環境調査マニュアルII(水質・微生物篇)」,第357〜364ページに記載された試験方法に従って行った。
【0014】
次に、この菌株からキチナーゼ遺伝子を取得するには、データベース上に公開されているビブリオ数種のキチナーゼのアミノ酸配列に基づき、よく保存されている領域に縮重プライマーを設計し、PCR法によって遺伝子の内部配列を得、次に得られた情報に基づきさらにプライマーを設計し、PCR法を用いてさらに外側の遺伝子配列を得る。その中の開始コドンATGからはじまり、終止コドンTAGで終了するキチナーゼ遺伝子の全配列を確認したところ配列表配列番号1のアミノ酸配列が得られた。
【0015】
この本発明のキチナーゼ遺伝子(DNA)は、これを微生物プラスミドに組み込むことにより、微生物によりDNAを発現させることができる。すなわち、本発明キチナーゼ遺伝子を他のDNA断片との組み換えDNAとしたのち、微生物細胞内に導入され形質転換する。そして、この形質転換した微生物を通常の微生物の培養の場合と同様に微生物の生育に適した培地及び条件下で培養、増殖すれば、この培地中からキチナーゼを採取することができる。このようにして採取された粗製のキチナーゼは、常法に従い他のタンパク質などから分離し、精製することができる。
【0016】
前記の組み換えDNAが導入される宿主微生物としては、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)すなわち大腸菌、バチラス・スブチリス(Bacillus subtilis)すなわち枯草菌、サッカロマイセス・セレビシュ(Saccharomyces cerevisiae)、アグロバクテリウム、・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、酵母菌などが用いられる。この中で大腸菌は、選択し、増幅した遺伝子を他の異なった微生物、例えばアグロバクテリウム・ツメファシエンスに導入させることができるので、特に好ましい宿主微生物である。
【0017】
次に、本発明のキチナーゼ遺伝子を組み込んだプラスミドを作製する方法について添付図面に従って説明する。
図1は、本発明のキチナーゼ遺伝子を組み込んだプラスミドを作製する手順の1例を示す工程図である。この図に示されるように、先ずビブリオ(P2K−5)を制限酵素BamHIとXhoIにより切断して、キチナーゼ中の第1番目から第586番目のアミノ酸配列をコードするDNA断片(K−1−586AmDNA)を調製する。
【0018】
他方、タンパク質発現用ベクター(pGEX6p−1)についても、同様の制限酵素処理を行ったのち、これを上記のDNA断片と混合し、連結反応を行ってベクターのマルチクローニング部位(Q)のBamHIとXhoIの間にキチナーゼ中の第1番目から第586番目までのアミノ酸配列をコードするDNA断片を導入する。
【0019】
この際、タンパク質発現用ベクターとして用いられるプラスミドは、細菌の染色体とは別に細胞内で自己増殖を行う寄生性レプリコンであり、例えば大腸菌から次のようにして分離することができる。
【0020】
すなわち、一晩培養して集菌した大腸菌を、ショ糖−トリス塩酸緩衝液(pH8.0)に懸濁し、室温下、リゾチーム溶液を加えたのち、EDTA溶液(pH8.0)を加えて、軽く振りまぜ、さらにトリトン溶液を加えて溶菌する。次に溶菌液を遠心分離し、上清に飽和フェノールとクロロホルムを加え、さらに遠心分離し、得られた上清にクロロホルムを加えて遠心分離し、上清にイソプロパノールを加えて生成したDNAを沈殿させる。
このようにして、制限酵素、例えば制限エンドヌクレアーゼにより簡単にマッピング可能な大腸菌プラスミドを得ることができる。
【0021】
以上は、大腸菌プラスミドのベクターについて説明したが、大腸菌プラスミドの代りに、シャロン(Charon)ファージやλgtWESのようなλファージベクターを用いることができる。このファージベクターは、例えば寒天培地上でファージプラークを形成させたのち、寒天培地又は液体培地で感染→増殖→溶菌を繰り返して調製することができる。
しかしながら、タンパク質発現用ベクターとしては多種多様のものが市販されているので、これらの中から適宜選択して使用するのが好ましい。
【0022】
一方、このプラスミド中に組み入れるDNA断片は、染色体を一定の部位で制限酵素、例えば制限エンドヌクレアーゼで切断することにより調製することができる。
すなわち、反応用緩衝液、例えばトリス塩酸−塩化マグネシウム‐2‐メルカプトエタノール溶液中でDNAと制限酵素を加え、酵素の至適温度においてDNAが完全に切断されるまで反応させたのち、例えばアガロースゲル電気泳動により目的のDNA断片を分離する。本発明の場合は、配列表配列番号1のアミノ酸配列において第1番目から第586番目までのアミノ酸配列をもつタンパク質をコードしうるDNA断片を採取し使用する。
【0023】
ところで、制限酵素には、付着末端を有するDNA断片を生じるものが多いが、この場合には、この酵素によって得られたプラスミドのDNA断片の間に異なった生物種のものであっても、同じ酵素を用いる限り水素結合対を形成し、DNAリガーゼを用いて共有結合させることにより組み換え体にすることができる。
【0024】
このDNAリガーゼは、また平滑末端をもつDNA断片の間を結合させる活性を有するので、平滑末端を生じる制限酵素により得られたDNA断片の間を結合させることができる。この場合は、使用する酵素の種類が異なっていても差しつかえない。さらに、付着末端を生じる制限酵素により得られたDNA断片についても、DNAポリメラーゼやSIヌクレアーゼ処理によって付着末端を平滑末端に変えれば、この酵素を用いて平滑末端を結合させることができる。
【0025】
この結合反応は、例えばATP−トリス塩酸緩衝液(pH7.6)と塩化マグネシウム溶液とジチオスレイトール溶液からなるリガーゼ緩衝液中に制限酵素で切断したDNA断片と酵母溶液を加えて混合したのち、エチルエーテル及び酢酸ナトリウムとエタノールを加えて放置後、遠心分離し、この沈殿をエタノールで洗浄する。
【0026】
次に、この沈殿を緩衝液に溶解し、DNA断片及びベクターとDNAリガーゼを加え、リガーゼ反応を行ったのち、アガロースゲル電気泳動により、もとのバンドが消失し、DNAバンドが数本認められるようになるまで反応を継続後、フェノール処理、エーテル処理を行い、透析又は分別沈殿して固体を回収する。
このようにして、キチナーゼ発現用プラスミドを構築することができる。
【0027】
このキチナーゼ発現用プラスミドを用いて形質転換した微生物を形成させるには、単一コロニーから単離した、形質転換用微生物例えば大腸菌を培養し、その培養液を遠心分離して集菌したのち、塩化ナトリウム−塩化マンガン−酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.6)に懸濁し、再び遠心分離して集菌し、塩化カルシウム−塩化マンガン−酢酸ナトリウム緩衝液に懸濁する。次いで、これにプラスミドDNAを加え氷水中で静置したのち、37℃でインキュベートし、さらに培地で培養する。
このようにして、形質転換された微生物は、通常の方法で培養し、増殖させれば、その培養液からキチナーゼを酵素溶液として取得することができる。
【0028】
このキチナーゼを含む酵素溶液を用いればキチンを原料として、1段階でN‐アセチルグルコサミンのオリゴマーを効率よく製造することができる。キチン原料としては、キチン粉末、コロイダルキチンやCMキチンなどの再生キチンが挙げられる。
【0029】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによりなんら限定されることはない。
【0030】
実施例1
(1)P2K−5由来キチナーゼ遺伝子の取得
データベース上に公開されているビブリオ数種のキチナーゼのアミノ酸配列を元に、非常によく保存されている領域に縮重プライマーを設計しPCR法によって遺伝子の内部配列を得た。PCRは20μlの容量で行い、プライマーは終濃度10pmol/μlになるように加えた。96℃20秒、55℃20秒、72℃2分を1サイクルとするPCRを35サイクル行って内部配列のDNA断片を得た。そのDNA断片の配列をシークエンスによって確認し内部配列の配列情報を得た。得られた情報を元にさらにプライマーを設計し同様のPCR法及びシークエンスを行い、さらに外側の遺伝子配列を得た。その中に開始コドンATGからはじまり、終止コドンTAGで終了するキチナーゼ遺伝子の全配列を確認した。
【0031】
PCRにはサーマルサイクラー(パーキンエルマー社製)を用いた。DNA配列の確認にはDNAシーケンサー(Model 3100、ABI社製)を用い、その塩基配列を解読した。またPCRの試薬としてはTaKaRa社のexTaqを使用した。またDNAシークエンスの試薬としては、ABI社のBigDyeTerminatorKit(Ver.2)を使用した。このようにしてキチナーゼ遺伝子が配列表配列番号1に示される構造を有することが確認された。
【0032】
(2)キチナーゼ発現用のプラスミドの構築及び大腸菌の作成
アマシャム社のGST融合タンパク質発現用ベクター(pGEX6p−1)のマルチクローニング部位のBamHIとXhoIの間にキチナーゼ中の1−586アミノ酸をコードする部位を挿入した。1−586アミノ酸を含む部位はVibrio sp.(P2K−5)のゲノムDNAを鋳型としてプライマー(cgcctcgagatgattcgatttaacctttgtgcagc)及び(cgcctcgagttaaccttcatgcattgcatttaggatatcaccg)を用いてPCRで増幅した。
【0033】
鋳型のゲノムDNAはビブリオ(P2K−5)の菌体を滅菌水で懸濁し95℃で5分間処理したものをそのまま用いた。得られたDNA断片はエタノール沈殿を行った後、TE緩衝液(10mM Tris−HCl pH8.0, 1mMEDTA)に溶解し、その後制限酵素BamHIとXhoIで両端の消化を行った。消化は20μlの容量で、37℃で2時間行った。またベクターの方も同様にして2μgを制限酵素による処理を行った。制限酵素処理後のDNA断片は等量(20μl)のTE飽和フェノールを加え、激しく撹拌することによって酵素を失活させた。フェノール処理後のDNA断片は1%アガロースゲルを用いて電気泳動を行い目的の断片を確認後、RecoCHIP(TaKaRa)を用いて電気泳動的にゲルより抽出を行った。抽出したDNA断片はベクターのDNA断片と混合し、ライゲーションパック(ニッポンジーン)による連結反応を行った。連結したDNAは形質転換用大腸菌と混合し、氷上で30分放置することによって形質転換を行った。形質転換した大腸菌は抗生物質として50μMのアンピシリン酸ナトリウムを含むLB寒天培地(10g ポリペプトン、5gイーストエキストラクト、10g NaCl/1リットル及び2%寒天)に塗布し、37℃で一晩培養した。出現したコロニーについては保持しているプラスミドDNAをアルカリ法で抽出することによりブラスミドGST−vChitSを得た。次にこれを制限酵素で処理し、アガロース電気泳動により、これがキチナーゼの部分配列を含むタンパク質発現用大腸菌であることを確認した。
【0034】
(3)粗酵素溶液の調製
キチナーゼ遺伝子の部分配列を組み込んだプラスミド(GST−vChitS)を保持した大腸菌[菌株BL21(DE3)]を抗生物質として50μMのアンピシリン酸ナトリウムを加えたLB液体培地10mlに植菌し、37℃で一晩振とう培養した。その大腸菌溶液を1リットルの同様の培地に移し、大腸菌の増殖をモニターしながら37℃で振とう培養した。大腸菌の増殖のモニターは分光光度計(ファルマシア、ウルトラスペック)を用いて600nMの波長における光学密度(一般にOD;optical density)を経時的に測定して行った。ODが0.4に達したところで1mMのIPTG(イソプロピル‐β‐チオ‐ガラクトピラノシド)を培地に添加してさらに培養を6時間継続した。培養が終了した培養液を遠心によって大腸菌を回収した。回収した大腸菌は1%のトライトンX100を含むPBS緩衝液10mlで再懸濁した。超音波破砕機(ブランソン)を用い、約80%の出力で20秒間照射し40秒静置を5回繰り返すことによって大腸菌を破砕し、その後10000回転で10分の遠心によって上清を回収し発現したキチナーゼを含む粗酵素溶液を調製した。
【0035】
(4)キチンの分解
1.5ml容量のテストチューブ中に20mgのキチン粉末及び1mlの粗酵素溶液を加え、37℃で8時間振とうさせながら反応を行った。反応終了後に15000回転で5分間遠心分離し、未反応のキチンを除去し、その上清を回収した。160μlの上清に1%濃度のセルラーゼ溶液(市販のセルラーゼを滅菌水に溶解したもの、特に種類は問わないが直前に調整する)を40μl添加し、終濃度0.2%として37℃で1時間反応させ、N‐アセチルグルコサミンオリゴマーをモノマーまでに完全分解を行った。その後、反応溶液中に含まれるN‐アセチルグルコサミンをモルガン−エルソン法(1968年、共立出版株式会社発行、「生物化学実験 第11巻、糖質実験法」)で定量した。その結果、粗酵素溶液1ml当り0.9mgのN‐アセチルグルコサミンを検出した。
【0036】
(5)液体クロマトグラフィーによる生成オリゴマーの分析
20mgのキチン粉末に1mlの粗酵素溶液を加え、37℃で8時間振とうさせながら反応させた。反応終了後に未反応のキチンを遠心分離し、その上清を回収してサンプルとした。高速液体クロマトグラフィーによりサンプル中に含まれるキチン分解産物であるN‐アセチルグルコサミンのオリゴマーの分析を行った。カラムはショーデックス アサヒパック NH2P−50を用いた。1〜6量体のN‐アセチルグルコサミンオリゴマーを標準物質として用いた結果、本酵素液によるキチン分解物は、ほとんどがN‐アセチルグルコサミンの2量体であった。単量体は検出されず、本酵素溶液に含まれるキチナーゼはエンド型の活性を有することが分かった。
【0037】
【発明の効果】
本発明のキチナーゼ遺伝子及びプラスミドは新規な物質であり、これを用いることにより、キチンを原料として1段階で効率よくN‐アセチルグルコサミンのオリゴマーを製造するための酵素を生成することができる。
【0038】
【配列表】
Figure 2004298127
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【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のキチナーゼ遺伝子を組み込んだベクターを作製する工程図。

Claims (5)

  1. 以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子。
    (a)配列表配列番号1に記載されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
    (b)配列表配列番号1に記載されたアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつキチナーゼ活性を有するタンパク質。
  2. 請求項1の遺伝子を含む微生物。
  3. エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)である請求項2記載の微生物。
  4. タンパク質発現用ベクターにキチナーゼ中の第1番目から第586番目までのアミノ酸をコードするDNA断片を導入してなるプラスミド。
  5. 請求項2又は3記載の微生物を培養することを特徴とするキチナーゼの製造方法。
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