JP2004294782A - 光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光半導体素子収納用パッケージのネジ止めにより、光半導体素子収納用パッケージに歪が生じるのを有効に抑制し、光結合効率の優れたものとする。
【解決手段】本発明の半導体素子収納用パッケージは、上側主面に光半導体素子11が載置される載置部1aが形成されているとともに四隅部にネジ取付部1bが形成された四角形状の金属製の基体1と、基体1の上側主面の外周部でネジ取付部1bよりも内側に載置部1aを囲繞するように接合され、側部に光ファイバ8を固定するための貫通穴2aが形成された金属製の枠体2と、貫通穴2aに嵌着されるかまたは貫通穴2aの枠体2外面側の開口の周囲に一端が接合された筒状の光ファイバ固定部材3とを具備しており、基体1は、貫通穴2aの側の一端とそれに対向する他端とが載置部1aよりも下側に位置するように反っている。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明の半導体素子収納用パッケージは、上側主面に光半導体素子11が載置される載置部1aが形成されているとともに四隅部にネジ取付部1bが形成された四角形状の金属製の基体1と、基体1の上側主面の外周部でネジ取付部1bよりも内側に載置部1aを囲繞するように接合され、側部に光ファイバ8を固定するための貫通穴2aが形成された金属製の枠体2と、貫通穴2aに嵌着されるかまたは貫通穴2aの枠体2外面側の開口の周囲に一端が接合された筒状の光ファイバ固定部材3とを具備しており、基体1は、貫通穴2aの側の一端とそれに対向する他端とが載置部1aよりも下側に位置するように反っている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光半導体素子を収容するための光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置に関し、特に外部電気回路基板への実装構造を改良したものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の光半導体素子を収納するための光半導体素子収納用パッケージ(以下、単にパッケージともいう)を図3,図4に示す。図3はパッケージの平面図、図4は図3のB−B’線における断面図である。これらの図において、21は四角形状の基体、22は枠体、23は光ファイバ固定部材(以下、単に固定部材ともいう)、24は入出力端子、26は蓋体を示し、これら基体21、枠体22および蓋体26とで、内部空間に光半導体素子31を収容する容器が基本的に構成される。
【0003】
基体21は、鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金や銅(Cu)−タングステン(W)合金等の金属から成り、その上側主面の中央部には、半導体レーザ(LD),フォトダイオード(PD)等の光半導体素子31を載置固定するための載置部21aが設けられる。また、基体21の四隅を同一面でもって外側に延出して設けられた延出部に貫通孔21cが形成されて成るネジ取付部21bが設けられている。この基体21は、貫通孔21cにネジを通して外部電気回路基板にネジ止めして固定される。
【0004】
基体21の上側主面の外周部には、載置部21aを囲繞するようにして接合され、側部に貫通穴22aが形成された枠体22が立設されている。この枠体22は、基体21と同様にFe−Ni−Co合金やCu−W合金等の金属から成り、基体21と一体成形される、または基体21に銀(Ag)ロウ等のロウ材を介してロウ付けされる、またはシーム溶接法等の溶接法により接合されることによって、基体21の上側主面の外周部に立設されている。
【0005】
また、枠体22の側部には、固定部材23が貫通穴22aに嵌着されて取り付けられている。固定部材23は、光ファイバ28を枠体22の側部に固定するための筒状の部材であり、Fe−Ni−Co合金やステンレス鋼(SUS)等の金属から成り、固定部材23には中心軸方向に形成された貫通孔23aが設けられており、固定部材23の外周面が枠体22の貫通穴22aの内面にロウ材を介して嵌着接合されている。
【0006】
さらに、枠体22の貫通穴22aが形成された側部に隣接する側部には入出力端子24を取り付けるための切欠き部または貫通孔から成る取付部22bが形成されている。この取付部22bには、アルミナ(Al2O3)質焼結体、窒化アルミニウム(AlN)質焼結体、ムライト(3Al2O3・2SiO2)質焼結体等のセラミックスから成る入出力端子24がロウ材を介して嵌着接合され、枠体22の内外を導通する多数の線路導体24aが被着形成されている。
【0007】
このようなパッケージは、枠体22および入出力端子24の上面に、Fe−Ni−Co合金等の金属から成るシールリング25がAgろう等のロウ材を介して接合される。また、載置部21aには光半導体素子31がペルチェ素子や回路基板等の基台30を介して載置され、光半導体素子31の各電極がボンディングワイヤ32を介して線路導体24aの枠体22内側の部位に電気的に接続される。そして、ホルダー27に固定された光ファイバ28が固定部材23に挿通されて、ホルダー27が固定部材23に溶接固定されることにより光ファイバ28の光入出力端面と光半導体素子31の光入出力端面とが光結合される。しかる後、シールリング25の上面にFe−Ni−Co合金等から成る蓋体26がシーム溶接法等の溶接法により接合されて光半導体素子31を気密に封止することによって、製品としての光半導体装置が完成される。
【0008】
この光半導体装置は、ネジ取付部21bの貫通孔21cにネジを通して基体21を外部電気回路基板(図示せず)にネジ止め固定し、入出力端子24の枠体22の外側の線路導体24aと外部電気回路とを電気的に接続した後、外部電気回路から電気信号によって光半導体素子31で光を励起させ、この光を光ファイバ28を介して外部に伝送することによって、または、外部から光ファイバ28を通って伝送してきた光信号を、光半導体素子31に受光させて光信号を電気信号に変換することによって光電変換素子として作動することができ、高速光通信等に使用される。
【0009】
しかしながら、このような光半導体装置は、貫通孔21cにネジを挿入して外部電気回路基板にネジ止め固定する際、ネジの締め付けによりネジ取付部21bに応力が発生し、この応力が基体21や枠体22に伝わってパッケージに歪みが生じ、その結果、光ファイバ28と光半導体素子31との光軸がずれて光結合効率が劣化するという問題点を有していた。
【0010】
このような問題点を解決するため、ネジ取付部21bを基体21と別体とし、基体21よりも縦弾性係数の低い材質、例えば、Cu,Cu合金,アルミニウム(Al),Al合金等で形成し、基体21にAgロウ付けした構成が提案されている(例えば、下記の特許文献1参照)。これにより、パッケージをネジ止め固定する際、ネジ取付部21bをネジで締め付けても、ネジ取付部21bが主に変形して基体21の変形が抑えられ、光半導体素子31と光ファイバ28との光結合効率の低下を抑制することができる。
【0011】
【特許文献1】
特開平6−82659号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に示されるパッケージは、ネジ止め固定する際、ネジ取付部21bをネジで締め付けても、ネジ取付部21bが主に変形して基体21の変形が抑えられるものの、ネジ取付部21bと基体21との接合部には応力が集中し易く、その応力によりネジ取付部21bと基体21との接合部において剥離が生じ、パッケージが破損するという問題点を有していた。
【0013】
また、基体21と枠体22とがほぼ同一の平均線膨張係数であり、かつ基体21の上側主面に枠体22が接合されているため、パッケージを作製する際、加熱してロウ付けした後冷却する時に、枠体22側が拘束されて基体21が載置部21aを枠体22との接合部よりも下側に位置するように反り易くなる。そのため、このパッケージに光半導体素子31を搭載し、光ファイバ28と光軸を調整した後、パッケージを外部電気回路基板に搭載すると、基体21の反りの頂点が外部電気回路基板に接触し、この接触点を支点としてネジ取付部21bから基体21の反りを押し広げるように応力が加わって基体21が変形し、光半導体素子31と光ファイバ28との光結合効率が大きく劣化するという問題点をも有していた。
【0014】
従って、本発明は上記問題点に鑑み完成されたものであり、その目的は、光半導体素子収納用パッケージのネジ止めにより、光半導体素子収納用パッケージに歪が生じるのを有効に抑制し、LD,PD等の光半導体素子の光入出力端面と光ファイバの光入出力端面との間における光信号の授受を正常に維持させ、光結合効率の優れた光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上側主面に光半導体素子が載置される載置部が形成されているとともに四隅部にネジ取付部が形成された四角形状の金属製の基体と、該基体の前記上側主面の外周部で前記ネジ取付部よりも内側に前記載置部を囲繞するように接合され、側部に光ファイバを固定するための貫通穴が形成された金属製の枠体と、前記貫通穴に嵌着されるかまたは前記貫通穴の前記枠体外面側の開口の周囲に一端が接合された筒状の光ファイバ固定部材とを具備しており、前記基体は、前記貫通穴の側の一端とそれに対向する他端とが前記載置部よりも下側に位置するように反っていることを特徴とする。
【0016】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、基体の貫通穴の側の一端とそれに対向する他端とが載置部よりも下側に位置するように反っていることから、載置部に載置した光半導体素子と光ファイバとを光結合させた後、光半導体素子収納用パッケージを外部電気回路基板にネジ止めしても、基体の載置部が上に凸となるようにして反っているため、基体の枠体内側の部位は外部電気回路基板と接触することがなく、基体の反りを押し広げるような応力の支点は枠体内側の部位には存在しなくなる。即ち、基体が反った状態を維持しながら外部電気回路基板にネジ止めされることとなり、光半導体素子と光ファイバとの光結合効率の劣化を効果的に抑制することができる。
【0017】
また、ネジ取付部は基体と一体になっているため、ネジ取付部が基体から剥離することなく、枠体との接合部を支点として適度に変形することが可能となる。従って、ネジ取付部が外部回路基板の形状に合わせて適度に変形して、基体の枠体内側の部位に応力を伝えたり、歪みを発生させたりすることなく、光半導体素子収納用パッケージを外部電気回路基板にネジ止めすることが可能となり、光半導体素子の光入出力端面と光ファイバの光入出力端面との間における光信号の授受を正常に維持させ、光結合効率の優れたものとすることができる。
【0018】
本発明の光半導体装置は、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージと、前記光ファイバ固定部材に挿入され固定された光ファイバと、該光ファイバに光学的に結合するように前記載置部に載置された光半導体素子と、前記枠体の上面に接合された蓋体とを具備していることを特徴とする。
【0019】
本発明の光半導体装置は、上記の構成により、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージを用いた光結合効率の優れたものとなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の光半導体素子収納用パッケージについて以下に詳細に説明する。図1は本発明のパッケージについて実施の形態の一例を示す平面図、図2は図1のA−A’線における断面図である。これらの図において、1は基体、2は枠体、3は固定部材、4は入出力端子、5はシールリング、6は蓋体を示し、これら基体1、枠体2、入出力端子4および蓋体6とで、内部に光半導体素子11を収容する容器が基本的に構成される。
【0021】
本発明のパッケージは、上側主面に光半導体素子11が載置される載置部1aが形成されているとともに四隅部にネジ取付部1bが形成された四角形状の金属製の基体1と、この基体1の上側主面の外周部でネジ取付部1bよりも内側に載置部1aを囲繞するように接合され、側部に光ファイバ8を固定するための貫通穴2aが形成された金属製の枠体2と、貫通穴2aに嵌着されるかまたは貫通穴2aの枠体2外面側の開口の周囲に一端が接合された筒状の光ファイバ固定部材3とを具備しており、基体1は、貫通穴2aの側の一端とそれに対向する他端とが載置部1aよりも下側に位置するように反っている。
【0022】
基体1は、上側主面の載置部1aを頂点としてこの載置部1aから貫通穴2aの側の両端にわたって滑らかな曲面となるように反っているのがよい。これにより、パッケージを外部電気回路にネジ止めする際、基体1の枠体2の内側の部位を変形させたり歪ませたりすることなく、枠体2の外側の部位のみを外部電気回路基板の表面形状に合わせて適度に変形させることができる。
【0023】
基体1の反りの大きさ、即ち、基体1の上側主面の反りの頂点と枠体2の下面全面に接する平面貫通穴2aの側の両端同士で形成される平面との距離は、1乃至50μmであるのがよい。1μm未満であると、基体1の枠体2の内部領域の部位が外部電気回路基板と接触し、外部電気回路基板の歪みによって基体1が変形し易くなり、光半導体素子11と光ファイバ8との光軸がずれ易くなる。また、50μmを超えると、載置部1aに光半導体素子11を固定し難くなるとともに、パッケージを外部電気回路基板にネジ止めする際、基体1の枠体2の外側の部位が大きく変形し、この変形による応力が載置部1aに伝わって光半導体素子11と光ファイバ8との光軸がずれ易くなる。
【0024】
基体1は、Fe−Ni−Co合金、Cu−W合金等の金属材料から成り、そのインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことによって、所定形状に製作される。基体1の四隅には外側に延出したネジ取付部1bが形成されており、ネジ取付部1bにはネジ挿入用の貫通孔1cが形成されている。
【0025】
基体1は、平板上の金属材料を金型等でプレスして変形させることによって、または金属射出成型等の方法で成型することによって、貫通穴2aの側の一端とそれに対向する他端とが載置部1aよりも下側に位置するように反らせることができる。あるいは、基体1の材料を枠体2よりも弾性率の低いものとすることにより、枠体2,入出力端子4および基体1を加熱接合した後の冷却時に基体1が大きく収縮する際、枠体2および入出力端子4は変形し難いのに対し、基体1は変形し易いために上に凸となるように反った状態にすることができる。
【0026】
基体1は、好ましくは、Cuを15%〜20%含有するCu−W合金とするのがよい。これにより、基体1を適度に軟らかくして貫通穴2aの側の一端とそれに対向する他端とが載置部1aよりも下側に位置するように容易に反らせることが可能となる。また、ネジ取付部1bを基体1と枠体2との接合部を支点として適度に変形し易くして、載置部1aに応力が伝わるのを抑制することができる。さらに、このような基体1は熱放散性にも優れるため、より安定に光半導体素子11を駆動させることができる。
【0027】
基体1は、貫通穴2aの側の一端とそれに対向する他端とが載置部1aよりも下側に位置するように反っていることから、載置部1aに載置した光半導体素子11と光ファイバ8とを光結合させた後、パッケージを外部電気回路基板にネジ止めしても、基体1の載置部1aが上に凸となるようにして反っているため、基体1の枠体2内側の部位は外部電気回路基板と接触することがなく、基体1の反りを押し広げるような応力の支点は枠体2内側の部位には存在しなくなる。即ち、基体1が反った状態を維持しながら外部電気回路基板にネジ止めされることとなり、光半導体素子11と光ファイバ8との光結合効率の劣化を効果的に抑制することができる。
【0028】
また、ネジ取付部1bは基体1と一体になっているため、ネジ取付部1bが基体1から剥離することなく、枠体2との接合部を支点として適度に変形することが可能となる。従って、ネジ取付部1bが外部回路基板の形状に合わせて適度に変形して、基体1の枠体2内側の部位に応力を伝えたり、歪みを発生させたりすることなく、パッケージを外部電気回路基板にネジ止めすることが可能となり、光半導体素子11の光入出力端面と光ファイバ8の光入出力端面との間における光信号の授受を正常に維持させ、光結合効率の優れたものとすることができる。
【0029】
ネジ取付部1bの平面視形状は、図1に示すように、基体1の対向する2つの辺部をそれぞれ枠体2よりも外側に延出させたものでもよく、また基体1の四隅をそれぞれ枠体2よりも外側に張り出すように延出させ、各延出部に1個ずつ貫通孔1cを形成したものでもよい。
【0030】
また、基体1の上面の載置部1aには、LD,PD等の光半導体素子11が載置固定される。基体1は、光半導体素子11が作動時に発する熱を外部に放熱させる放熱板としての役割も果たす。なお、光半導体素子11は、作動時に発生する熱を効率よく基体1を介して外部へ放熱させるために、ペルチェ素子や回路基板等の基台10に搭載された状態で載置部1aに載置固定されてもよい。
【0031】
なお、基体1の表面には、酸化腐食の防止や光半導体素子11の載置固定を良好にするために、厚さ0.5〜9μmのNi層や厚さ0.5〜5μmの金(Au)層からなる金属層をめっき法等により被着させておくとよい。
【0032】
枠体2は平面視形状が四角形の枠状体で、基体1の上側主面の外周部でネジ取付部1bよりも内側に載置部1aを囲繞するように接合され、側部に貫通穴2aおよび取付部2bが形成されている。貫通穴2aは固定部材3を支持するものであり、また、取付部2bは入出力端子4を支持するものである。このような枠体2は、基体1と同様にFe−Ni−Co合金やCu−Wの合金等から成り、基体1にAgロウ等のロウ材を介してロウ付けされる、またはシーム溶接法等の溶接法により接合されることにより、基体1の上側主面の外周部に立設される。
【0033】
枠体2は、基体1とともにその内側に光半導体素子11を収容する空所を形成するとともに、その側部の貫通穴2aに嵌着されるかまたは貫通穴2aの枠体2外側の開口の周囲に一端が接合された筒状の固定部材3を介して光ファイバ8を支持固定する。
【0034】
固定部材3は、光ファイバ8を枠体2の側部に固定するための円筒状等の筒状の部材であり、Fe−Ni−Co合金やステンレス鋼等の金属から成る。固定部材3は、中心軸方向に光ファイバ8を挿入するための貫通孔3aが設けられており、枠体2の側部の貫通穴2aの内面に外周面がロウ材を介して嵌着されるかまたは貫通穴2aの枠体2外側の開口の周囲に一端がロウ材を介して接合されることにより、枠体2の側部に固定される。
【0035】
入出力端子4は、長方形の平板部の上面に、四角柱状の立壁部が積層されており、Al2O3質セラミックス,AlN質セラミックス,3Al2O3・2SiO2質セラミックス等の誘電体から成る部材である。この入出力端子4は枠体2の取付部2aに嵌め込まれるとともに、入出力端子4と取付部3aとの隙間に溶融したAgろう等のロウ材を毛細管現象により充填させることで、枠体2に嵌着接合される。入出力端子4の平板部の上面には、枠体2内外を導通するW,モリブデン(Mo)等のメタライズ層から成る線路導体4aが被着形成されており、枠体2の一部となって枠体2内外を気密に仕切るとともに、枠体2内外を導通させる導電路としての機能を有する。
【0036】
ネジ取付部1bは、光ファイバ8が固定される貫通穴2aが形成された枠体2の側部側およびこの側部に対向する枠体2の側部側に設けられているのがよい。これにより、パッケージを外部電気回路基板にネジ止め固定した際に発生する応力が、光ファイバ8が固定されている枠体2の側部に加わるのを抑制することができる。即ち、互いに逆の方向に延出した2つのネジ取付部1bの間に位置する部分において基体1の曲げ応力が最も大きくなり易いのに対し、枠体2の同じ側部側にある2つのネジ取付部1bの間に位置する部分においては基体1の曲げ応力は小さく、この曲げ応力の小さい部分に対応する枠体2の側部で光ファイバ8を固定することにより、光ファイバ8の位置がずれるのを有効に抑制することができる。
【0037】
また、貫通孔1cの平面視形状は、図1に示すような円形である必要はなく、四角形や半円形等であってもよい。
【0038】
本発明の光半導体装置は、上記構成のパッケージと、固定部材3に挿入され固定された光ファイバ8と、この光ファイバ8に光学的に結合するように載置部1aに載置された光半導体素子11と、枠体2の上面に接合された蓋体6とを具備している。
【0039】
このような光半導体装置は以下のようにして作製される。先ず、上記構成のパッケージに光半導体素子11をペルチェ素子や回路基板等の基台10を介して載置部1aに載置固定した後、光半導体素子11の電極と、枠体2の側部または基体1に設けられた、パッケージの内外の導電路として機能する入出力端子4の枠体2内側の線路導体4aとを、ボンディングワイヤ12で電気的に接続し、枠体2の上部に接合されたシールリング5の上面にFe−Ni−Co合金等の金属,セラミックス,樹脂等から成る蓋体6をロウ付け法やシームウエルド法等の溶接法で接合することにより、光半導体素子11を気密に封止する。そして、光ファイバ8が挿通固定された枠状や筒状の金属製のホルダー7を、光半導体素子11の光入出力端面と光ファイバ8の光入出力端面とが対向し光結合するようにして固定部材3の枠体2外側の一端に溶接することにより、光半導体装置が作製される。
【0040】
本発明の光半導体装置は、ネジ取付部1bで外部電気回路基板にネジ止め固定され、入出力端子4の枠体2外側の線路導体4aにリード端子やリボン線の一端をロウ付けし、リード端子やリボン線の他端を外部電気回路に接続することにより、光半導体装置内部に収納した光半導体素子11が外部電気回路に電気的に接続され、光半導体素子11が高周波信号で作動することとなる。
【0041】
このような光半導体装置は、外部電気回路から供給される駆動信号によって光半導体素子11を光励起させ、励起したレーザ光等の光信号を光ファイバ8に入力させるとともに光ファイバ8内を伝送させることによって、または、外部から光ファイバ8を通って伝送してきた光信号を光半導体素子11に受光させて光信号を電気信号に変換することによって、大容量の情報を高速に伝送できる光電変換装置として機能し、光通信分野等に多く用いられる。
【0042】
【実施例】
本発明の半導体素子収納用パッケージの実施例を以下に説明する。
【0043】
図1の本発明のパッケージのサンプルを以下のようにして作成した。Cuの含有率の異なる数種のCu−W合金(表1参照)からなる縦30mm×横13mm×高さ1mmの基体1を用意した。
【0044】
そして、Fe−Ni−Co合金(平均線膨張係数:9.8×10−6/℃)からなる縦21mm×横13mm×高さ7mmで厚さ1mmの枠体2および、縦21mm×横13mm×高さ1mmで厚さ1mmのシールリング5、Al2O3質セラミックス(平均線膨張係数:7.8×10−6/℃)から成る幅4mm×高さ3.5mm×長さ18mmの入出力端子4を用意し、基体1、枠体2、入出力端子4、シールリング5をAg−Cuロウ(融点780℃)で接合し、これらを常温(25℃)まで均一に冷却することによりパッケージを作成した(サンプルP1〜P3)。
【0045】
これらのサンプルP1〜P3の基体1底面部の反りの大きさは表1に示すような値であった。なお、表1において、反りの大きさは基体1の貫通穴2aの側の一端とそれに対向する他端とを結ぶ面(基準面)と載置部1aとの距離(基体1の上面と基準面との最大距離)を示し、基体1の載置部1aが基準面からどの程度上側に反っているかを示す。即ち、数値がマイナスであるのは基体1が貫通穴の側の一端とそれに対向する他端とが載置部1aよりも上側に位置するように反っており、本発明の請求範囲外であることを示す。
【0046】
【表1】
【0047】
これらのサンプルP1〜P3を上面が平坦な外部電気回路基板にネジ止めした際の、載置部1a中心部の厚み方向の歪みによって発生した変位量を有限要素法による解析によって求めた。これらの評価結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
表2より、基体1の貫通穴2aの側の一端とそれに対向する他端とが載置部1aよりも上側に位置するように反っている本発明のサンプルP2およびP3における基体1の載置部1aの中心部に発生する変位は、1μm以下の値に大幅に低減させることができ、本発明のパッケージが光ファイバ8と光半導体素子11との光軸ずれを防止するのに有効であることが判った。
【0050】
本発明は以上の実施の形態の例および実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を施すことは何等支障ない。例えば、固定部材3は貫通穴2aの枠体2外側開口の周囲に一端がロウ付けまたは溶接されてもよく、これにより貫通穴2aの内面に固定部材3の外周面を嵌着させる必要がなくなるため、貫通穴2aの内径寸法および固定部材3の外形寸法の精度を比較的粗くすることができ、貫通穴2aや固定部材3の加工が容易になり作業効率が向上する。
【0051】
【発明の効果】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上側主面に光半導体素子が載置される載置部が形成されているとともに四隅部にネジ取付部が形成された四角形状の金属製の基体と、この基体の上側主面の外周部でネジ取付部よりも内側に載置部を囲繞するように接合され、側部に光ファイバを固定するための貫通穴が形成された金属製の枠体と、貫通穴に嵌着されるかまたは貫通穴の枠体外面側の開口の周囲に一端が接合された筒状の光ファイバ固定部材とを具備しており、基体は、貫通穴の側の一端とそれに対向する他端とが載置部よりも下側に位置するように反っていることから、載置部に載置した光半導体素子と光ファイバとを光結合させた後、光半導体素子収納用パッケージを外部電気回路基板にネジ止めしても、基体の載置部が上に凸となるようにして反っているため、基体の枠体内側の部位は外部電気回路基板と接触することがなく、基体の反りを押し広げるような応力の支点は枠体内側の部位には存在しない。即ち、基体が反った状態を維持しながら外部電気回路基板にネジ止めされることとなり、光半導体素子と光ファイバとの光結合効率の劣化を効果的に抑制することができる。
【0052】
また、ネジ止め部は基体と一体になっているため、ネジ止め部が基体から剥離することなく、枠体との接合部を支点として適度に変形することが可能となる。従って、ネジ止め部が外部回路基板の形状に合わせて適度に変形して、基体の枠体内側の部位に応力を伝えたり、歪みを発生させたりすることなく、光半導体素子収納用パッケージを外部電気回路基板にネジ止めすることが可能となり、光半導体素子の光入出力端面と光ファイバの光入出力端面との間における光信号の授受を正常に維持させ、光結合効率の優れたものとすることができる。
【0053】
本発明の光半導体装置は、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージと、光ファイバ固定部材に挿入され固定された光ファイバと、この光ファイバに光学的に結合するように載置部に載置された光半導体素子と、枠体の上面に接合された蓋体とを具備していることにより、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージを用いた光結合効率の優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光半導体素子収納用パッケージについて実施の形態の例を示す平面図である。
【図2】図1の光半導体素子収納用パッケージのA−A’線における断面図である。
【図3】従来の光半導体素子収納用パッケージの平面図である。
【図4】図3の光半導体素子収納用パッケージのB−B’線における断面図である。
【符号の説明】
1:基体
1a:載置部
1b:ネジ取付部
2:枠体
2a:貫通穴
2b:取付部
3:光ファイバ固定部材
4:入出力端子
4a:線路導体
6:蓋体
8:光ファイバ
11:光半導体素子
【発明の属する技術分野】
本発明は、光半導体素子を収容するための光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置に関し、特に外部電気回路基板への実装構造を改良したものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の光半導体素子を収納するための光半導体素子収納用パッケージ(以下、単にパッケージともいう)を図3,図4に示す。図3はパッケージの平面図、図4は図3のB−B’線における断面図である。これらの図において、21は四角形状の基体、22は枠体、23は光ファイバ固定部材(以下、単に固定部材ともいう)、24は入出力端子、26は蓋体を示し、これら基体21、枠体22および蓋体26とで、内部空間に光半導体素子31を収容する容器が基本的に構成される。
【0003】
基体21は、鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金や銅(Cu)−タングステン(W)合金等の金属から成り、その上側主面の中央部には、半導体レーザ(LD),フォトダイオード(PD)等の光半導体素子31を載置固定するための載置部21aが設けられる。また、基体21の四隅を同一面でもって外側に延出して設けられた延出部に貫通孔21cが形成されて成るネジ取付部21bが設けられている。この基体21は、貫通孔21cにネジを通して外部電気回路基板にネジ止めして固定される。
【0004】
基体21の上側主面の外周部には、載置部21aを囲繞するようにして接合され、側部に貫通穴22aが形成された枠体22が立設されている。この枠体22は、基体21と同様にFe−Ni−Co合金やCu−W合金等の金属から成り、基体21と一体成形される、または基体21に銀(Ag)ロウ等のロウ材を介してロウ付けされる、またはシーム溶接法等の溶接法により接合されることによって、基体21の上側主面の外周部に立設されている。
【0005】
また、枠体22の側部には、固定部材23が貫通穴22aに嵌着されて取り付けられている。固定部材23は、光ファイバ28を枠体22の側部に固定するための筒状の部材であり、Fe−Ni−Co合金やステンレス鋼(SUS)等の金属から成り、固定部材23には中心軸方向に形成された貫通孔23aが設けられており、固定部材23の外周面が枠体22の貫通穴22aの内面にロウ材を介して嵌着接合されている。
【0006】
さらに、枠体22の貫通穴22aが形成された側部に隣接する側部には入出力端子24を取り付けるための切欠き部または貫通孔から成る取付部22bが形成されている。この取付部22bには、アルミナ(Al2O3)質焼結体、窒化アルミニウム(AlN)質焼結体、ムライト(3Al2O3・2SiO2)質焼結体等のセラミックスから成る入出力端子24がロウ材を介して嵌着接合され、枠体22の内外を導通する多数の線路導体24aが被着形成されている。
【0007】
このようなパッケージは、枠体22および入出力端子24の上面に、Fe−Ni−Co合金等の金属から成るシールリング25がAgろう等のロウ材を介して接合される。また、載置部21aには光半導体素子31がペルチェ素子や回路基板等の基台30を介して載置され、光半導体素子31の各電極がボンディングワイヤ32を介して線路導体24aの枠体22内側の部位に電気的に接続される。そして、ホルダー27に固定された光ファイバ28が固定部材23に挿通されて、ホルダー27が固定部材23に溶接固定されることにより光ファイバ28の光入出力端面と光半導体素子31の光入出力端面とが光結合される。しかる後、シールリング25の上面にFe−Ni−Co合金等から成る蓋体26がシーム溶接法等の溶接法により接合されて光半導体素子31を気密に封止することによって、製品としての光半導体装置が完成される。
【0008】
この光半導体装置は、ネジ取付部21bの貫通孔21cにネジを通して基体21を外部電気回路基板(図示せず)にネジ止め固定し、入出力端子24の枠体22の外側の線路導体24aと外部電気回路とを電気的に接続した後、外部電気回路から電気信号によって光半導体素子31で光を励起させ、この光を光ファイバ28を介して外部に伝送することによって、または、外部から光ファイバ28を通って伝送してきた光信号を、光半導体素子31に受光させて光信号を電気信号に変換することによって光電変換素子として作動することができ、高速光通信等に使用される。
【0009】
しかしながら、このような光半導体装置は、貫通孔21cにネジを挿入して外部電気回路基板にネジ止め固定する際、ネジの締め付けによりネジ取付部21bに応力が発生し、この応力が基体21や枠体22に伝わってパッケージに歪みが生じ、その結果、光ファイバ28と光半導体素子31との光軸がずれて光結合効率が劣化するという問題点を有していた。
【0010】
このような問題点を解決するため、ネジ取付部21bを基体21と別体とし、基体21よりも縦弾性係数の低い材質、例えば、Cu,Cu合金,アルミニウム(Al),Al合金等で形成し、基体21にAgロウ付けした構成が提案されている(例えば、下記の特許文献1参照)。これにより、パッケージをネジ止め固定する際、ネジ取付部21bをネジで締め付けても、ネジ取付部21bが主に変形して基体21の変形が抑えられ、光半導体素子31と光ファイバ28との光結合効率の低下を抑制することができる。
【0011】
【特許文献1】
特開平6−82659号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に示されるパッケージは、ネジ止め固定する際、ネジ取付部21bをネジで締め付けても、ネジ取付部21bが主に変形して基体21の変形が抑えられるものの、ネジ取付部21bと基体21との接合部には応力が集中し易く、その応力によりネジ取付部21bと基体21との接合部において剥離が生じ、パッケージが破損するという問題点を有していた。
【0013】
また、基体21と枠体22とがほぼ同一の平均線膨張係数であり、かつ基体21の上側主面に枠体22が接合されているため、パッケージを作製する際、加熱してロウ付けした後冷却する時に、枠体22側が拘束されて基体21が載置部21aを枠体22との接合部よりも下側に位置するように反り易くなる。そのため、このパッケージに光半導体素子31を搭載し、光ファイバ28と光軸を調整した後、パッケージを外部電気回路基板に搭載すると、基体21の反りの頂点が外部電気回路基板に接触し、この接触点を支点としてネジ取付部21bから基体21の反りを押し広げるように応力が加わって基体21が変形し、光半導体素子31と光ファイバ28との光結合効率が大きく劣化するという問題点をも有していた。
【0014】
従って、本発明は上記問題点に鑑み完成されたものであり、その目的は、光半導体素子収納用パッケージのネジ止めにより、光半導体素子収納用パッケージに歪が生じるのを有効に抑制し、LD,PD等の光半導体素子の光入出力端面と光ファイバの光入出力端面との間における光信号の授受を正常に維持させ、光結合効率の優れた光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上側主面に光半導体素子が載置される載置部が形成されているとともに四隅部にネジ取付部が形成された四角形状の金属製の基体と、該基体の前記上側主面の外周部で前記ネジ取付部よりも内側に前記載置部を囲繞するように接合され、側部に光ファイバを固定するための貫通穴が形成された金属製の枠体と、前記貫通穴に嵌着されるかまたは前記貫通穴の前記枠体外面側の開口の周囲に一端が接合された筒状の光ファイバ固定部材とを具備しており、前記基体は、前記貫通穴の側の一端とそれに対向する他端とが前記載置部よりも下側に位置するように反っていることを特徴とする。
【0016】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、基体の貫通穴の側の一端とそれに対向する他端とが載置部よりも下側に位置するように反っていることから、載置部に載置した光半導体素子と光ファイバとを光結合させた後、光半導体素子収納用パッケージを外部電気回路基板にネジ止めしても、基体の載置部が上に凸となるようにして反っているため、基体の枠体内側の部位は外部電気回路基板と接触することがなく、基体の反りを押し広げるような応力の支点は枠体内側の部位には存在しなくなる。即ち、基体が反った状態を維持しながら外部電気回路基板にネジ止めされることとなり、光半導体素子と光ファイバとの光結合効率の劣化を効果的に抑制することができる。
【0017】
また、ネジ取付部は基体と一体になっているため、ネジ取付部が基体から剥離することなく、枠体との接合部を支点として適度に変形することが可能となる。従って、ネジ取付部が外部回路基板の形状に合わせて適度に変形して、基体の枠体内側の部位に応力を伝えたり、歪みを発生させたりすることなく、光半導体素子収納用パッケージを外部電気回路基板にネジ止めすることが可能となり、光半導体素子の光入出力端面と光ファイバの光入出力端面との間における光信号の授受を正常に維持させ、光結合効率の優れたものとすることができる。
【0018】
本発明の光半導体装置は、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージと、前記光ファイバ固定部材に挿入され固定された光ファイバと、該光ファイバに光学的に結合するように前記載置部に載置された光半導体素子と、前記枠体の上面に接合された蓋体とを具備していることを特徴とする。
【0019】
本発明の光半導体装置は、上記の構成により、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージを用いた光結合効率の優れたものとなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の光半導体素子収納用パッケージについて以下に詳細に説明する。図1は本発明のパッケージについて実施の形態の一例を示す平面図、図2は図1のA−A’線における断面図である。これらの図において、1は基体、2は枠体、3は固定部材、4は入出力端子、5はシールリング、6は蓋体を示し、これら基体1、枠体2、入出力端子4および蓋体6とで、内部に光半導体素子11を収容する容器が基本的に構成される。
【0021】
本発明のパッケージは、上側主面に光半導体素子11が載置される載置部1aが形成されているとともに四隅部にネジ取付部1bが形成された四角形状の金属製の基体1と、この基体1の上側主面の外周部でネジ取付部1bよりも内側に載置部1aを囲繞するように接合され、側部に光ファイバ8を固定するための貫通穴2aが形成された金属製の枠体2と、貫通穴2aに嵌着されるかまたは貫通穴2aの枠体2外面側の開口の周囲に一端が接合された筒状の光ファイバ固定部材3とを具備しており、基体1は、貫通穴2aの側の一端とそれに対向する他端とが載置部1aよりも下側に位置するように反っている。
【0022】
基体1は、上側主面の載置部1aを頂点としてこの載置部1aから貫通穴2aの側の両端にわたって滑らかな曲面となるように反っているのがよい。これにより、パッケージを外部電気回路にネジ止めする際、基体1の枠体2の内側の部位を変形させたり歪ませたりすることなく、枠体2の外側の部位のみを外部電気回路基板の表面形状に合わせて適度に変形させることができる。
【0023】
基体1の反りの大きさ、即ち、基体1の上側主面の反りの頂点と枠体2の下面全面に接する平面貫通穴2aの側の両端同士で形成される平面との距離は、1乃至50μmであるのがよい。1μm未満であると、基体1の枠体2の内部領域の部位が外部電気回路基板と接触し、外部電気回路基板の歪みによって基体1が変形し易くなり、光半導体素子11と光ファイバ8との光軸がずれ易くなる。また、50μmを超えると、載置部1aに光半導体素子11を固定し難くなるとともに、パッケージを外部電気回路基板にネジ止めする際、基体1の枠体2の外側の部位が大きく変形し、この変形による応力が載置部1aに伝わって光半導体素子11と光ファイバ8との光軸がずれ易くなる。
【0024】
基体1は、Fe−Ni−Co合金、Cu−W合金等の金属材料から成り、そのインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことによって、所定形状に製作される。基体1の四隅には外側に延出したネジ取付部1bが形成されており、ネジ取付部1bにはネジ挿入用の貫通孔1cが形成されている。
【0025】
基体1は、平板上の金属材料を金型等でプレスして変形させることによって、または金属射出成型等の方法で成型することによって、貫通穴2aの側の一端とそれに対向する他端とが載置部1aよりも下側に位置するように反らせることができる。あるいは、基体1の材料を枠体2よりも弾性率の低いものとすることにより、枠体2,入出力端子4および基体1を加熱接合した後の冷却時に基体1が大きく収縮する際、枠体2および入出力端子4は変形し難いのに対し、基体1は変形し易いために上に凸となるように反った状態にすることができる。
【0026】
基体1は、好ましくは、Cuを15%〜20%含有するCu−W合金とするのがよい。これにより、基体1を適度に軟らかくして貫通穴2aの側の一端とそれに対向する他端とが載置部1aよりも下側に位置するように容易に反らせることが可能となる。また、ネジ取付部1bを基体1と枠体2との接合部を支点として適度に変形し易くして、載置部1aに応力が伝わるのを抑制することができる。さらに、このような基体1は熱放散性にも優れるため、より安定に光半導体素子11を駆動させることができる。
【0027】
基体1は、貫通穴2aの側の一端とそれに対向する他端とが載置部1aよりも下側に位置するように反っていることから、載置部1aに載置した光半導体素子11と光ファイバ8とを光結合させた後、パッケージを外部電気回路基板にネジ止めしても、基体1の載置部1aが上に凸となるようにして反っているため、基体1の枠体2内側の部位は外部電気回路基板と接触することがなく、基体1の反りを押し広げるような応力の支点は枠体2内側の部位には存在しなくなる。即ち、基体1が反った状態を維持しながら外部電気回路基板にネジ止めされることとなり、光半導体素子11と光ファイバ8との光結合効率の劣化を効果的に抑制することができる。
【0028】
また、ネジ取付部1bは基体1と一体になっているため、ネジ取付部1bが基体1から剥離することなく、枠体2との接合部を支点として適度に変形することが可能となる。従って、ネジ取付部1bが外部回路基板の形状に合わせて適度に変形して、基体1の枠体2内側の部位に応力を伝えたり、歪みを発生させたりすることなく、パッケージを外部電気回路基板にネジ止めすることが可能となり、光半導体素子11の光入出力端面と光ファイバ8の光入出力端面との間における光信号の授受を正常に維持させ、光結合効率の優れたものとすることができる。
【0029】
ネジ取付部1bの平面視形状は、図1に示すように、基体1の対向する2つの辺部をそれぞれ枠体2よりも外側に延出させたものでもよく、また基体1の四隅をそれぞれ枠体2よりも外側に張り出すように延出させ、各延出部に1個ずつ貫通孔1cを形成したものでもよい。
【0030】
また、基体1の上面の載置部1aには、LD,PD等の光半導体素子11が載置固定される。基体1は、光半導体素子11が作動時に発する熱を外部に放熱させる放熱板としての役割も果たす。なお、光半導体素子11は、作動時に発生する熱を効率よく基体1を介して外部へ放熱させるために、ペルチェ素子や回路基板等の基台10に搭載された状態で載置部1aに載置固定されてもよい。
【0031】
なお、基体1の表面には、酸化腐食の防止や光半導体素子11の載置固定を良好にするために、厚さ0.5〜9μmのNi層や厚さ0.5〜5μmの金(Au)層からなる金属層をめっき法等により被着させておくとよい。
【0032】
枠体2は平面視形状が四角形の枠状体で、基体1の上側主面の外周部でネジ取付部1bよりも内側に載置部1aを囲繞するように接合され、側部に貫通穴2aおよび取付部2bが形成されている。貫通穴2aは固定部材3を支持するものであり、また、取付部2bは入出力端子4を支持するものである。このような枠体2は、基体1と同様にFe−Ni−Co合金やCu−Wの合金等から成り、基体1にAgロウ等のロウ材を介してロウ付けされる、またはシーム溶接法等の溶接法により接合されることにより、基体1の上側主面の外周部に立設される。
【0033】
枠体2は、基体1とともにその内側に光半導体素子11を収容する空所を形成するとともに、その側部の貫通穴2aに嵌着されるかまたは貫通穴2aの枠体2外側の開口の周囲に一端が接合された筒状の固定部材3を介して光ファイバ8を支持固定する。
【0034】
固定部材3は、光ファイバ8を枠体2の側部に固定するための円筒状等の筒状の部材であり、Fe−Ni−Co合金やステンレス鋼等の金属から成る。固定部材3は、中心軸方向に光ファイバ8を挿入するための貫通孔3aが設けられており、枠体2の側部の貫通穴2aの内面に外周面がロウ材を介して嵌着されるかまたは貫通穴2aの枠体2外側の開口の周囲に一端がロウ材を介して接合されることにより、枠体2の側部に固定される。
【0035】
入出力端子4は、長方形の平板部の上面に、四角柱状の立壁部が積層されており、Al2O3質セラミックス,AlN質セラミックス,3Al2O3・2SiO2質セラミックス等の誘電体から成る部材である。この入出力端子4は枠体2の取付部2aに嵌め込まれるとともに、入出力端子4と取付部3aとの隙間に溶融したAgろう等のロウ材を毛細管現象により充填させることで、枠体2に嵌着接合される。入出力端子4の平板部の上面には、枠体2内外を導通するW,モリブデン(Mo)等のメタライズ層から成る線路導体4aが被着形成されており、枠体2の一部となって枠体2内外を気密に仕切るとともに、枠体2内外を導通させる導電路としての機能を有する。
【0036】
ネジ取付部1bは、光ファイバ8が固定される貫通穴2aが形成された枠体2の側部側およびこの側部に対向する枠体2の側部側に設けられているのがよい。これにより、パッケージを外部電気回路基板にネジ止め固定した際に発生する応力が、光ファイバ8が固定されている枠体2の側部に加わるのを抑制することができる。即ち、互いに逆の方向に延出した2つのネジ取付部1bの間に位置する部分において基体1の曲げ応力が最も大きくなり易いのに対し、枠体2の同じ側部側にある2つのネジ取付部1bの間に位置する部分においては基体1の曲げ応力は小さく、この曲げ応力の小さい部分に対応する枠体2の側部で光ファイバ8を固定することにより、光ファイバ8の位置がずれるのを有効に抑制することができる。
【0037】
また、貫通孔1cの平面視形状は、図1に示すような円形である必要はなく、四角形や半円形等であってもよい。
【0038】
本発明の光半導体装置は、上記構成のパッケージと、固定部材3に挿入され固定された光ファイバ8と、この光ファイバ8に光学的に結合するように載置部1aに載置された光半導体素子11と、枠体2の上面に接合された蓋体6とを具備している。
【0039】
このような光半導体装置は以下のようにして作製される。先ず、上記構成のパッケージに光半導体素子11をペルチェ素子や回路基板等の基台10を介して載置部1aに載置固定した後、光半導体素子11の電極と、枠体2の側部または基体1に設けられた、パッケージの内外の導電路として機能する入出力端子4の枠体2内側の線路導体4aとを、ボンディングワイヤ12で電気的に接続し、枠体2の上部に接合されたシールリング5の上面にFe−Ni−Co合金等の金属,セラミックス,樹脂等から成る蓋体6をロウ付け法やシームウエルド法等の溶接法で接合することにより、光半導体素子11を気密に封止する。そして、光ファイバ8が挿通固定された枠状や筒状の金属製のホルダー7を、光半導体素子11の光入出力端面と光ファイバ8の光入出力端面とが対向し光結合するようにして固定部材3の枠体2外側の一端に溶接することにより、光半導体装置が作製される。
【0040】
本発明の光半導体装置は、ネジ取付部1bで外部電気回路基板にネジ止め固定され、入出力端子4の枠体2外側の線路導体4aにリード端子やリボン線の一端をロウ付けし、リード端子やリボン線の他端を外部電気回路に接続することにより、光半導体装置内部に収納した光半導体素子11が外部電気回路に電気的に接続され、光半導体素子11が高周波信号で作動することとなる。
【0041】
このような光半導体装置は、外部電気回路から供給される駆動信号によって光半導体素子11を光励起させ、励起したレーザ光等の光信号を光ファイバ8に入力させるとともに光ファイバ8内を伝送させることによって、または、外部から光ファイバ8を通って伝送してきた光信号を光半導体素子11に受光させて光信号を電気信号に変換することによって、大容量の情報を高速に伝送できる光電変換装置として機能し、光通信分野等に多く用いられる。
【0042】
【実施例】
本発明の半導体素子収納用パッケージの実施例を以下に説明する。
【0043】
図1の本発明のパッケージのサンプルを以下のようにして作成した。Cuの含有率の異なる数種のCu−W合金(表1参照)からなる縦30mm×横13mm×高さ1mmの基体1を用意した。
【0044】
そして、Fe−Ni−Co合金(平均線膨張係数:9.8×10−6/℃)からなる縦21mm×横13mm×高さ7mmで厚さ1mmの枠体2および、縦21mm×横13mm×高さ1mmで厚さ1mmのシールリング5、Al2O3質セラミックス(平均線膨張係数:7.8×10−6/℃)から成る幅4mm×高さ3.5mm×長さ18mmの入出力端子4を用意し、基体1、枠体2、入出力端子4、シールリング5をAg−Cuロウ(融点780℃)で接合し、これらを常温(25℃)まで均一に冷却することによりパッケージを作成した(サンプルP1〜P3)。
【0045】
これらのサンプルP1〜P3の基体1底面部の反りの大きさは表1に示すような値であった。なお、表1において、反りの大きさは基体1の貫通穴2aの側の一端とそれに対向する他端とを結ぶ面(基準面)と載置部1aとの距離(基体1の上面と基準面との最大距離)を示し、基体1の載置部1aが基準面からどの程度上側に反っているかを示す。即ち、数値がマイナスであるのは基体1が貫通穴の側の一端とそれに対向する他端とが載置部1aよりも上側に位置するように反っており、本発明の請求範囲外であることを示す。
【0046】
【表1】
【0047】
これらのサンプルP1〜P3を上面が平坦な外部電気回路基板にネジ止めした際の、載置部1a中心部の厚み方向の歪みによって発生した変位量を有限要素法による解析によって求めた。これらの評価結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
表2より、基体1の貫通穴2aの側の一端とそれに対向する他端とが載置部1aよりも上側に位置するように反っている本発明のサンプルP2およびP3における基体1の載置部1aの中心部に発生する変位は、1μm以下の値に大幅に低減させることができ、本発明のパッケージが光ファイバ8と光半導体素子11との光軸ずれを防止するのに有効であることが判った。
【0050】
本発明は以上の実施の形態の例および実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を施すことは何等支障ない。例えば、固定部材3は貫通穴2aの枠体2外側開口の周囲に一端がロウ付けまたは溶接されてもよく、これにより貫通穴2aの内面に固定部材3の外周面を嵌着させる必要がなくなるため、貫通穴2aの内径寸法および固定部材3の外形寸法の精度を比較的粗くすることができ、貫通穴2aや固定部材3の加工が容易になり作業効率が向上する。
【0051】
【発明の効果】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上側主面に光半導体素子が載置される載置部が形成されているとともに四隅部にネジ取付部が形成された四角形状の金属製の基体と、この基体の上側主面の外周部でネジ取付部よりも内側に載置部を囲繞するように接合され、側部に光ファイバを固定するための貫通穴が形成された金属製の枠体と、貫通穴に嵌着されるかまたは貫通穴の枠体外面側の開口の周囲に一端が接合された筒状の光ファイバ固定部材とを具備しており、基体は、貫通穴の側の一端とそれに対向する他端とが載置部よりも下側に位置するように反っていることから、載置部に載置した光半導体素子と光ファイバとを光結合させた後、光半導体素子収納用パッケージを外部電気回路基板にネジ止めしても、基体の載置部が上に凸となるようにして反っているため、基体の枠体内側の部位は外部電気回路基板と接触することがなく、基体の反りを押し広げるような応力の支点は枠体内側の部位には存在しない。即ち、基体が反った状態を維持しながら外部電気回路基板にネジ止めされることとなり、光半導体素子と光ファイバとの光結合効率の劣化を効果的に抑制することができる。
【0052】
また、ネジ止め部は基体と一体になっているため、ネジ止め部が基体から剥離することなく、枠体との接合部を支点として適度に変形することが可能となる。従って、ネジ止め部が外部回路基板の形状に合わせて適度に変形して、基体の枠体内側の部位に応力を伝えたり、歪みを発生させたりすることなく、光半導体素子収納用パッケージを外部電気回路基板にネジ止めすることが可能となり、光半導体素子の光入出力端面と光ファイバの光入出力端面との間における光信号の授受を正常に維持させ、光結合効率の優れたものとすることができる。
【0053】
本発明の光半導体装置は、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージと、光ファイバ固定部材に挿入され固定された光ファイバと、この光ファイバに光学的に結合するように載置部に載置された光半導体素子と、枠体の上面に接合された蓋体とを具備していることにより、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージを用いた光結合効率の優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光半導体素子収納用パッケージについて実施の形態の例を示す平面図である。
【図2】図1の光半導体素子収納用パッケージのA−A’線における断面図である。
【図3】従来の光半導体素子収納用パッケージの平面図である。
【図4】図3の光半導体素子収納用パッケージのB−B’線における断面図である。
【符号の説明】
1:基体
1a:載置部
1b:ネジ取付部
2:枠体
2a:貫通穴
2b:取付部
3:光ファイバ固定部材
4:入出力端子
4a:線路導体
6:蓋体
8:光ファイバ
11:光半導体素子
Claims (2)
- 上側主面に光半導体素子が載置される載置部が形成されているとともに四隅部にネジ取付部が形成された四角形状の金属製の基体と、該基体の前記上側主面の外周部で前記ネジ取付部よりも内側に前記載置部を囲繞するように接合され、側部に光ファイバを固定するための貫通穴が形成された金属製の枠体と、前記貫通穴に嵌着されるかまたは前記貫通穴の前記枠体外面側の開口の周囲に一端が接合された筒状の光ファイバ固定部材とを具備しており、前記基体は、前記貫通穴の側の一端とそれに対向する他端とが前記載置部よりも下側に位置するように反っていることを特徴とする光半導体素子収納用パッケージ。
- 請求項1記載の光半導体素子収納用パッケージと、前記光ファイバ固定部材に挿入され固定された光ファイバと、該光ファイバに光学的に結合するように前記載置部に載置された光半導体素子と、前記枠体の上面に接合された蓋体とを具備していることを特徴とする光半導体装置。
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JP2003087340A JP2004294782A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置 |
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JP2003087340A Pending JP2004294782A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2013128728A1 (ja) * | 2012-03-02 | 2013-09-06 | 株式会社フジクラ | 光モジュール及びその製造方法 |
JP2014098926A (ja) * | 2014-01-22 | 2014-05-29 | Fujikura Ltd | 光モジュールの製造方法 |
-
2003
- 2003-03-27 JP JP2003087340A patent/JP2004294782A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2013128728A1 (ja) * | 2012-03-02 | 2013-09-06 | 株式会社フジクラ | 光モジュール及びその製造方法 |
JP2013183074A (ja) * | 2012-03-02 | 2013-09-12 | Fujikura Ltd | 光モジュール |
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