JP2004292839A - 酸化亜鉛膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子密度を制御することができる酸化亜鉛膜の製造方法を提供する。
【解決手段】成膜室で、ドーパントとして第3族元素またはその酸化物を用いて酸化亜鉛を被成膜材料に付着させて酸化亜鉛膜を製造する。このとき、予め把握した酸化亜鉛膜の電子密度と成膜室の酸素分圧の関係に基づいて、酸素分圧を調整して所定の電子密度を得る。また、所定の電子密度が8×1020/cm3以上の範囲において、電子密度と酸素分圧の負相関式に基づいて酸素分圧を調整する。
【選択図】 なし
【解決手段】成膜室で、ドーパントとして第3族元素またはその酸化物を用いて酸化亜鉛を被成膜材料に付着させて酸化亜鉛膜を製造する。このとき、予め把握した酸化亜鉛膜の電子密度と成膜室の酸素分圧の関係に基づいて、酸素分圧を調整して所定の電子密度を得る。また、所定の電子密度が8×1020/cm3以上の範囲において、電子密度と酸素分圧の負相関式に基づいて酸素分圧を調整する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化亜鉛膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化亜鉛膜は、ITO膜に比べると比抵抗が高い。このため、酸化亜鉛にAlやGa等の第3族元素をドーパントとして添加して比抵抗の低い膜を得ることが広く行われている。
【0003】
そして、比抵抗の低い膜を得るための製造条件として、例えば、スパッタ法で酸化亜鉛膜を主成分とする透明導電膜(以下、これも酸化亜鉛膜という。)を得る場合、無酸素雰囲気中で酸化亜鉛膜を成膜することが広く行われている。
【0004】
一方、比抵抗の高い絶縁性の酸化亜鉛膜を得るには、酸素雰囲気中で酸化亜鉛膜を成膜したり、Ni等の元素を添加して成膜することが広く行われている。
【0005】
また、イオンプレーティング法で比抵抗の低い酸化亜鉛膜を成膜する場合、上記Ga等の第3族元素を添加することで2×10−4Ωcm台の低い比抵抗の酸化亜鉛膜が得られることが知られている。
【0006】
ところで、例えば、化合物半導体を光吸収層に用いた薄膜太陽電池において、表面(上面)電極として、安価な酸化亜鉛膜を用いることが検討されている。この場合、酸化亜鉛膜は、光照射によって光吸収層内に生成した電子−正孔対のうちの電子を効率的に運搬するために比抵抗が低いことが求められるとともに、光吸収層に効率的に光を通すために光の透過率が高いことが求められる。
【0007】
一般に、透明電極が可視領域で透明であるためには、基礎吸収端が約0.4μm以下(光学ギャップが3eV以上)でなければならない。言いかえれば、光透過範囲の短波長(紫外領域)側の限界は、透明電極の材料が有する固有の光学ギャップ(バンドギャップ)によって一義的に決定されるものであり、酸化亜鉛膜の場合、光学ギャップは、約3.4eVである。
【0008】
これに対して、光透過範囲の長波長(赤外領域)側の限界は、光が強く吸収されるプラズマ共鳴波長によって決定される。このプラズマ共鳴波長は、キャリア密度(自由電子密度)の関数である。例えば金属(バルク)の場合、キャリア密度は1022/cm3程度と高いため、プラズマ共鳴波長は紫外領域となり光が全反射する。一方、半導体の場合、キャリア密度は1020〜1021/cm3程度であり、プラズマ共鳴波長が赤外領域に止まるため、可視域では透明となる。
【0009】
このため、透過率の高い膜を得るには、キャリア密度をある程度低くすることが必要となるが、この場合、通常、比抵抗の値が高くなることを避けることができない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記の透明電極の光透過性についての周知の知見から、酸化亜鉛膜の比抵抗や光透過率等の特性に関して、キャリア密度に着目することが有意と考えられるが、従来、酸化亜鉛膜については、このようなアプローチはほとんど行われていないものと思われる。
【0011】
また、キャリア密度を制御することによって透過率と比抵抗を所定のバランスに制御することができる可能性があることも分かるが、このようなアプローチも酸化亜鉛膜については行われていない。
【0012】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、電子密度を制御することができる酸化亜鉛膜の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る酸化亜鉛膜の製造方法は、成膜室で、ドーパントとして第3族元素またはその酸化物を用いて酸化亜鉛を被成膜材料に付着させて酸化亜鉛膜を形成する酸化亜鉛膜の製造方法において、予め把握した酸化亜鉛の電子密度と成膜室の酸素分圧の関係に基づいて、酸素分圧を調整して所定の電子密度を得ることを特徴とする。
【0014】
これにより、酸化亜鉛膜の電子密度を制御することができる。また、電子密度を制御することを通じて、膜の透過率や比抵抗を、さらには、透過率と比抵抗のバランスを制御することができ、膜特性についての広範囲な要請に応じることが可能となる。
【0015】
この場合、前記所定の電子密度が8×1020/cm3以上の範囲において、前記電子密度と前記酸素分圧の負相関式に基づいて酸素分圧を調整して所定の電子密度を得ると、好適である。ここで、所定の電子密度の上限は、ドーパントを添加して得られる電子密度増加の限界として実質的に定まるものであり、例えば1022/cm3程度である。
【0016】
また、この場合、イオンプレーティング法により成膜して前記酸化亜鉛膜を形成すると、本発明の効果を好適に奏することができる。
【0017】
また、この場合、前記第3族元素がAl、Ga、InまたはBであり、前記酸化物がAl2O3、Ga2O3、In2O3またはB2O3であると好適である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に係る酸化亜鉛膜の製造方法の好適な実施の形態(以下、本実施の形態例という。)について、成膜法としてイオンプレーティング法を用いて酸化亜鉛膜を製造する場合を例にとり、図を参照して、以下に説明する。
【0019】
イオンプレーティング法は、成膜室に配設した電極部としてのハース等に、成膜材料として、ドーパントを含有する酸化亜鉛を配置し、この酸化亜鉛に例えばアルゴンプラズマを照射して酸化亜鉛を加熱し、蒸発させ、プラズマを通過した酸化亜鉛の各粒子をハース等に対向する位置に置かれた基板に成膜する方法である。
【0020】
イオンプレーティング法は、例えばスパッタ法に比べて、粒子の持つ運動エネルギが小さいため、粒子が衝突するときに基板や基板に積層して成膜される酸化亜鉛膜に与えるダメージが小さく、結晶性の良好な膜が得られることが知られている。
【0021】
本発明者等は、前記のように、酸化亜鉛膜の半導体としての性能を規定する電子密度(以下、キャリア密度という。)に着目し、製造条件との関係について鋭意検討した。その結果、主要な操作因子である成膜室の酸素分圧がキャリア密度と有意な関係があることを見出した。
【0022】
図1に、実験によって得られた酸素分圧とキャリア密度の関係を示す。また、図2には、キャリア密度と合わせて測定した導電率と酸素分圧との関係を示す。
【0023】
上記の実験では、酸素分圧以外の操作因子として、プラズマガスとしてアルゴンを用い、アルゴン流量を30sccmの一定値に保ちながら、酸素流量を0〜30sccmの範囲内で変化させることで、酸素分圧を変えた。また、プラズマの放射電流は100Aの一定値に保った。また、キャリアをドーピングするドーパントとして酸化ガリウム(Ga2O3)を2、3、4質量%の3水準で酸化亜鉛(ZnO)に添加したターゲット(成膜材料)を調製して用いた。また、酸化亜鉛膜の成膜厚みは、ほぼ200nmで一定とした。なお、酸化亜鉛膜が成膜される被成膜材料は、無アルカリガラス基板を用いた。
【0024】
図1および図2より、酸素分圧とキャリア密度の間には、酸素分圧が約1.5×10−4Torrの付近に変曲点を有するほぼ二次曲線状の有意な関係があることが分かる。また、図2より、酸素分圧と導電率との間にも同様の関係があることが分かる。
【0025】
ここで、酸素分圧とキャリア密度の関係を定量化することを目的として、また、後述する理由により、図1においてプロットした酸素分圧4×10−2Torr以上のときのキャリア密度のデータを省略するとともに、図1および図2にプロットされていない酸素分圧0Torr近傍(0.0035Pa)のときのキャリア密度のデータを加えて各データをプロットした結果を図3に示す。
【0026】
前記のように、酸化亜鉛膜の成膜に関して、酸化亜鉛膜を半導体として捉えてそのキャリア密度等の特性を検討することは従来行われていない。また、同様に、この成膜現象を化学平衡論的観点からアプローチすることも従来は行われていないように思われる。
【0027】
本発明者等は、上記の点に着目し、化学平衡論的観点からのアプローチの妥当性について下記の要領で検討した。
【0028】
化学平衡論的アプローチが可能と仮定すると、下記式で示す反応式を得ることができる。
【0029】
Ga2O3→2GaZn+2e―+2Oo+1/2O2
上記の反応式において、GaZnは結晶格子のZnの位置に置換したGaを、Ooは結晶格子の酸素の位置を占有する酸素を、O2は気相中の酸素をそれぞれ示す。
【0030】
そして、上記の反応式から、下記の平衡式が得られる。
【0031】
[Ga2O3] /([GaZn]2[e―]2Po2 1/2)=K (a)
上記平衡式においてKは平衡定数(化学平衡定数)を示す。なお、平衡式において[Oo]の項が含まれていないのは、[Oo]はキャリア生成に寄与しないためである。また、 [Ga2O3]は定数項として式から除外でき、 [GaZn] および[e―]は、それぞれキャリア生成に等価的に寄与することから、さらに下記式を導くことができる。
【0032】
[e―]4Po2 1/2=[Ga]4Po2 1/2=K (b)
∴[e―]4=[Ga]4=K・Po2 ―1/2 (c)
∴[e―]=[Ga]=K・Po2 ―1/8 (d)
上記式(d)より、[e―]、言いかえれば、ドーピングされるキャリア密度は、酸素濃度の−1/8乗に比例することがわかる。
【0033】
図3において、酸素分圧とキャリア密度は負相関関係にある。さらにその関係を詳細に見ると、図3に挿入した、上記式(d)の酸素分圧の指数である−1/8乗に相当する勾配と、データ群の勾配とが近似する結果が得られた。上記式(d)では、Gaに比べて少ないものの、過剰なZnやO空隙からも生じ得るキャリアを考慮していないことによる誤差の存在や、使用した実験データ数が必ずしも十分でない点を含め、定量的な評価を厳密に行うまでには至っていないものの、上記した化学平衡論的アプローチの妥当性、および、それに基づく酸素分圧とキャリア密度の関係の把握の妥当性はある程度検証できたものと思われる。
【0034】
さらに、上記の知見から、成膜材料である酸化亜鉛に添加する成分として、Ga2O3のみでなくGaを、さらにまた、Ga2O3やGaのみでなく、Al、In、B、Al2O3In2O3またはB2O3を用いた場合においても酸素分圧とキャリア密度についての上記の関係を適用することができるものと思われる。
【0035】
ここで、上記の関係を検討するに際して酸素分圧4×10−2Torr以上のときのキャリア密度のデータを除いた理由を説明する。
【0036】
一般に、酸素分圧が過大な領域では、亜鉛の空孔が誘導され、これがキャリア(ドナー)を捕獲し、消費するいわゆるドナーキラーという現象を生じ、膜内のキャリア密度が急激に減少することが知られている。そして、本実験においても、酸素分圧4×10−2Torr以上の領域では、このドナーキラーの現象が現れているものと考えられる。ドナーキラーの現象が現れている領域では、当然に上記の平衡論的なアプローチを行うことはできない。このため、平衡論的なアプローチを行う前提としてドナーキラーの現象が現れている領域のデータを除いたものである。
【0037】
上記の新たな知見に基づき、本実施の形態例に係る酸化亜鉛膜の製造方法は、成膜室で、ドーパントとして第3族元素またはその酸化物を用いて酸化亜鉛を被成膜材料に付着させて酸化亜鉛膜を形成する酸化亜鉛膜の製造方法において、予め把握した酸化亜鉛膜のキャリア密度と成膜室の酸素分圧の関係に基づいて、酸素分圧を調整して所定のキャリア密度を有する酸化亜鉛膜(ドーピング酸化亜鉛膜)を得るものである。
【0038】
このとき、第3族元素として、好適にはAl、Ga、InまたはBを用い、酸化物として、好適にはAl2O3、Ga2O3、In2O3またはB2O3を用いる。
【0039】
上記本実施の形態例に係る酸化亜鉛膜の製造方法により、成膜するときの成膜室の酸素分圧を制御することにより酸化亜鉛膜のキャリア密度を精密に制御することができる。また、キャリア密度を精密に制御することを通じて、膜の透過率や比抵抗を、さらには、透過率と比抵抗のバランスを制御することができ、例えばTFT(薄膜トランジスタ)の活性半導体層や太陽電池の電極等に酸化亜鉛膜を用いる場合等の膜特性についての広範囲な要請に応じることが可能となる。
【0040】
また、本実施の形態例に係る酸化亜鉛膜の製造方法において、所定のキャリア密度が8×1020/cm3以上の範囲で、キャリア密度と酸素分圧の負相関式に基づいて酸素分圧を調整すると、より精密にキャリア密度を制御することができる。特に、酸化亜鉛膜の広範な用途を検討する場合において、膜の透明性および非抵抗を実用的に許容できる範囲は、8×1020/cm3以上で例えば1021〜1022/cm3以下の範囲のキャリア密度に対応するものと考えられるため、この範囲のキャリア密度を精密に制御することは有用である。
【0041】
また、本実施の形態例に係る酸化亜鉛膜の製造方法において、成膜法は、特に限定するものではなく、スパッタ法や、真空蒸着法を用いることもできるが、より好ましくは、イオンプレーティング法により成膜する。
【0042】
【発明の効果】
本発明に係る酸化亜鉛膜の製造方法によれば、成膜室で、ドーパントとして第3族元素またはその酸化物を用いて酸化亜鉛を被成膜材料に付着させて酸化亜鉛膜を形成する酸化亜鉛膜の製造方法において、予め把握した酸化亜鉛の電子密度と成膜室の酸素分圧の関係に基づいて、酸素分圧を調整して所定の電子密度を得るため、酸化亜鉛膜の電子密度を精密に制御することができる。また、電子密度を精密に制御することを通じて、膜の透過率や比抵抗を、さらには、透過率と比抵抗のバランスを制御することができ、膜特性についての広範囲な要請に応じることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸素分圧とキャリア密度の関係を示す図である。
【図2】酸素分圧と導電率の関係を示す図である。
【図3】図1のデータを一部削除等して示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化亜鉛膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化亜鉛膜は、ITO膜に比べると比抵抗が高い。このため、酸化亜鉛にAlやGa等の第3族元素をドーパントとして添加して比抵抗の低い膜を得ることが広く行われている。
【0003】
そして、比抵抗の低い膜を得るための製造条件として、例えば、スパッタ法で酸化亜鉛膜を主成分とする透明導電膜(以下、これも酸化亜鉛膜という。)を得る場合、無酸素雰囲気中で酸化亜鉛膜を成膜することが広く行われている。
【0004】
一方、比抵抗の高い絶縁性の酸化亜鉛膜を得るには、酸素雰囲気中で酸化亜鉛膜を成膜したり、Ni等の元素を添加して成膜することが広く行われている。
【0005】
また、イオンプレーティング法で比抵抗の低い酸化亜鉛膜を成膜する場合、上記Ga等の第3族元素を添加することで2×10−4Ωcm台の低い比抵抗の酸化亜鉛膜が得られることが知られている。
【0006】
ところで、例えば、化合物半導体を光吸収層に用いた薄膜太陽電池において、表面(上面)電極として、安価な酸化亜鉛膜を用いることが検討されている。この場合、酸化亜鉛膜は、光照射によって光吸収層内に生成した電子−正孔対のうちの電子を効率的に運搬するために比抵抗が低いことが求められるとともに、光吸収層に効率的に光を通すために光の透過率が高いことが求められる。
【0007】
一般に、透明電極が可視領域で透明であるためには、基礎吸収端が約0.4μm以下(光学ギャップが3eV以上)でなければならない。言いかえれば、光透過範囲の短波長(紫外領域)側の限界は、透明電極の材料が有する固有の光学ギャップ(バンドギャップ)によって一義的に決定されるものであり、酸化亜鉛膜の場合、光学ギャップは、約3.4eVである。
【0008】
これに対して、光透過範囲の長波長(赤外領域)側の限界は、光が強く吸収されるプラズマ共鳴波長によって決定される。このプラズマ共鳴波長は、キャリア密度(自由電子密度)の関数である。例えば金属(バルク)の場合、キャリア密度は1022/cm3程度と高いため、プラズマ共鳴波長は紫外領域となり光が全反射する。一方、半導体の場合、キャリア密度は1020〜1021/cm3程度であり、プラズマ共鳴波長が赤外領域に止まるため、可視域では透明となる。
【0009】
このため、透過率の高い膜を得るには、キャリア密度をある程度低くすることが必要となるが、この場合、通常、比抵抗の値が高くなることを避けることができない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記の透明電極の光透過性についての周知の知見から、酸化亜鉛膜の比抵抗や光透過率等の特性に関して、キャリア密度に着目することが有意と考えられるが、従来、酸化亜鉛膜については、このようなアプローチはほとんど行われていないものと思われる。
【0011】
また、キャリア密度を制御することによって透過率と比抵抗を所定のバランスに制御することができる可能性があることも分かるが、このようなアプローチも酸化亜鉛膜については行われていない。
【0012】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、電子密度を制御することができる酸化亜鉛膜の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る酸化亜鉛膜の製造方法は、成膜室で、ドーパントとして第3族元素またはその酸化物を用いて酸化亜鉛を被成膜材料に付着させて酸化亜鉛膜を形成する酸化亜鉛膜の製造方法において、予め把握した酸化亜鉛の電子密度と成膜室の酸素分圧の関係に基づいて、酸素分圧を調整して所定の電子密度を得ることを特徴とする。
【0014】
これにより、酸化亜鉛膜の電子密度を制御することができる。また、電子密度を制御することを通じて、膜の透過率や比抵抗を、さらには、透過率と比抵抗のバランスを制御することができ、膜特性についての広範囲な要請に応じることが可能となる。
【0015】
この場合、前記所定の電子密度が8×1020/cm3以上の範囲において、前記電子密度と前記酸素分圧の負相関式に基づいて酸素分圧を調整して所定の電子密度を得ると、好適である。ここで、所定の電子密度の上限は、ドーパントを添加して得られる電子密度増加の限界として実質的に定まるものであり、例えば1022/cm3程度である。
【0016】
また、この場合、イオンプレーティング法により成膜して前記酸化亜鉛膜を形成すると、本発明の効果を好適に奏することができる。
【0017】
また、この場合、前記第3族元素がAl、Ga、InまたはBであり、前記酸化物がAl2O3、Ga2O3、In2O3またはB2O3であると好適である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に係る酸化亜鉛膜の製造方法の好適な実施の形態(以下、本実施の形態例という。)について、成膜法としてイオンプレーティング法を用いて酸化亜鉛膜を製造する場合を例にとり、図を参照して、以下に説明する。
【0019】
イオンプレーティング法は、成膜室に配設した電極部としてのハース等に、成膜材料として、ドーパントを含有する酸化亜鉛を配置し、この酸化亜鉛に例えばアルゴンプラズマを照射して酸化亜鉛を加熱し、蒸発させ、プラズマを通過した酸化亜鉛の各粒子をハース等に対向する位置に置かれた基板に成膜する方法である。
【0020】
イオンプレーティング法は、例えばスパッタ法に比べて、粒子の持つ運動エネルギが小さいため、粒子が衝突するときに基板や基板に積層して成膜される酸化亜鉛膜に与えるダメージが小さく、結晶性の良好な膜が得られることが知られている。
【0021】
本発明者等は、前記のように、酸化亜鉛膜の半導体としての性能を規定する電子密度(以下、キャリア密度という。)に着目し、製造条件との関係について鋭意検討した。その結果、主要な操作因子である成膜室の酸素分圧がキャリア密度と有意な関係があることを見出した。
【0022】
図1に、実験によって得られた酸素分圧とキャリア密度の関係を示す。また、図2には、キャリア密度と合わせて測定した導電率と酸素分圧との関係を示す。
【0023】
上記の実験では、酸素分圧以外の操作因子として、プラズマガスとしてアルゴンを用い、アルゴン流量を30sccmの一定値に保ちながら、酸素流量を0〜30sccmの範囲内で変化させることで、酸素分圧を変えた。また、プラズマの放射電流は100Aの一定値に保った。また、キャリアをドーピングするドーパントとして酸化ガリウム(Ga2O3)を2、3、4質量%の3水準で酸化亜鉛(ZnO)に添加したターゲット(成膜材料)を調製して用いた。また、酸化亜鉛膜の成膜厚みは、ほぼ200nmで一定とした。なお、酸化亜鉛膜が成膜される被成膜材料は、無アルカリガラス基板を用いた。
【0024】
図1および図2より、酸素分圧とキャリア密度の間には、酸素分圧が約1.5×10−4Torrの付近に変曲点を有するほぼ二次曲線状の有意な関係があることが分かる。また、図2より、酸素分圧と導電率との間にも同様の関係があることが分かる。
【0025】
ここで、酸素分圧とキャリア密度の関係を定量化することを目的として、また、後述する理由により、図1においてプロットした酸素分圧4×10−2Torr以上のときのキャリア密度のデータを省略するとともに、図1および図2にプロットされていない酸素分圧0Torr近傍(0.0035Pa)のときのキャリア密度のデータを加えて各データをプロットした結果を図3に示す。
【0026】
前記のように、酸化亜鉛膜の成膜に関して、酸化亜鉛膜を半導体として捉えてそのキャリア密度等の特性を検討することは従来行われていない。また、同様に、この成膜現象を化学平衡論的観点からアプローチすることも従来は行われていないように思われる。
【0027】
本発明者等は、上記の点に着目し、化学平衡論的観点からのアプローチの妥当性について下記の要領で検討した。
【0028】
化学平衡論的アプローチが可能と仮定すると、下記式で示す反応式を得ることができる。
【0029】
Ga2O3→2GaZn+2e―+2Oo+1/2O2
上記の反応式において、GaZnは結晶格子のZnの位置に置換したGaを、Ooは結晶格子の酸素の位置を占有する酸素を、O2は気相中の酸素をそれぞれ示す。
【0030】
そして、上記の反応式から、下記の平衡式が得られる。
【0031】
[Ga2O3] /([GaZn]2[e―]2Po2 1/2)=K (a)
上記平衡式においてKは平衡定数(化学平衡定数)を示す。なお、平衡式において[Oo]の項が含まれていないのは、[Oo]はキャリア生成に寄与しないためである。また、 [Ga2O3]は定数項として式から除外でき、 [GaZn] および[e―]は、それぞれキャリア生成に等価的に寄与することから、さらに下記式を導くことができる。
【0032】
[e―]4Po2 1/2=[Ga]4Po2 1/2=K (b)
∴[e―]4=[Ga]4=K・Po2 ―1/2 (c)
∴[e―]=[Ga]=K・Po2 ―1/8 (d)
上記式(d)より、[e―]、言いかえれば、ドーピングされるキャリア密度は、酸素濃度の−1/8乗に比例することがわかる。
【0033】
図3において、酸素分圧とキャリア密度は負相関関係にある。さらにその関係を詳細に見ると、図3に挿入した、上記式(d)の酸素分圧の指数である−1/8乗に相当する勾配と、データ群の勾配とが近似する結果が得られた。上記式(d)では、Gaに比べて少ないものの、過剰なZnやO空隙からも生じ得るキャリアを考慮していないことによる誤差の存在や、使用した実験データ数が必ずしも十分でない点を含め、定量的な評価を厳密に行うまでには至っていないものの、上記した化学平衡論的アプローチの妥当性、および、それに基づく酸素分圧とキャリア密度の関係の把握の妥当性はある程度検証できたものと思われる。
【0034】
さらに、上記の知見から、成膜材料である酸化亜鉛に添加する成分として、Ga2O3のみでなくGaを、さらにまた、Ga2O3やGaのみでなく、Al、In、B、Al2O3In2O3またはB2O3を用いた場合においても酸素分圧とキャリア密度についての上記の関係を適用することができるものと思われる。
【0035】
ここで、上記の関係を検討するに際して酸素分圧4×10−2Torr以上のときのキャリア密度のデータを除いた理由を説明する。
【0036】
一般に、酸素分圧が過大な領域では、亜鉛の空孔が誘導され、これがキャリア(ドナー)を捕獲し、消費するいわゆるドナーキラーという現象を生じ、膜内のキャリア密度が急激に減少することが知られている。そして、本実験においても、酸素分圧4×10−2Torr以上の領域では、このドナーキラーの現象が現れているものと考えられる。ドナーキラーの現象が現れている領域では、当然に上記の平衡論的なアプローチを行うことはできない。このため、平衡論的なアプローチを行う前提としてドナーキラーの現象が現れている領域のデータを除いたものである。
【0037】
上記の新たな知見に基づき、本実施の形態例に係る酸化亜鉛膜の製造方法は、成膜室で、ドーパントとして第3族元素またはその酸化物を用いて酸化亜鉛を被成膜材料に付着させて酸化亜鉛膜を形成する酸化亜鉛膜の製造方法において、予め把握した酸化亜鉛膜のキャリア密度と成膜室の酸素分圧の関係に基づいて、酸素分圧を調整して所定のキャリア密度を有する酸化亜鉛膜(ドーピング酸化亜鉛膜)を得るものである。
【0038】
このとき、第3族元素として、好適にはAl、Ga、InまたはBを用い、酸化物として、好適にはAl2O3、Ga2O3、In2O3またはB2O3を用いる。
【0039】
上記本実施の形態例に係る酸化亜鉛膜の製造方法により、成膜するときの成膜室の酸素分圧を制御することにより酸化亜鉛膜のキャリア密度を精密に制御することができる。また、キャリア密度を精密に制御することを通じて、膜の透過率や比抵抗を、さらには、透過率と比抵抗のバランスを制御することができ、例えばTFT(薄膜トランジスタ)の活性半導体層や太陽電池の電極等に酸化亜鉛膜を用いる場合等の膜特性についての広範囲な要請に応じることが可能となる。
【0040】
また、本実施の形態例に係る酸化亜鉛膜の製造方法において、所定のキャリア密度が8×1020/cm3以上の範囲で、キャリア密度と酸素分圧の負相関式に基づいて酸素分圧を調整すると、より精密にキャリア密度を制御することができる。特に、酸化亜鉛膜の広範な用途を検討する場合において、膜の透明性および非抵抗を実用的に許容できる範囲は、8×1020/cm3以上で例えば1021〜1022/cm3以下の範囲のキャリア密度に対応するものと考えられるため、この範囲のキャリア密度を精密に制御することは有用である。
【0041】
また、本実施の形態例に係る酸化亜鉛膜の製造方法において、成膜法は、特に限定するものではなく、スパッタ法や、真空蒸着法を用いることもできるが、より好ましくは、イオンプレーティング法により成膜する。
【0042】
【発明の効果】
本発明に係る酸化亜鉛膜の製造方法によれば、成膜室で、ドーパントとして第3族元素またはその酸化物を用いて酸化亜鉛を被成膜材料に付着させて酸化亜鉛膜を形成する酸化亜鉛膜の製造方法において、予め把握した酸化亜鉛の電子密度と成膜室の酸素分圧の関係に基づいて、酸素分圧を調整して所定の電子密度を得るため、酸化亜鉛膜の電子密度を精密に制御することができる。また、電子密度を精密に制御することを通じて、膜の透過率や比抵抗を、さらには、透過率と比抵抗のバランスを制御することができ、膜特性についての広範囲な要請に応じることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸素分圧とキャリア密度の関係を示す図である。
【図2】酸素分圧と導電率の関係を示す図である。
【図3】図1のデータを一部削除等して示す図である。
Claims (4)
- 成膜室で、ドーパントとして第3族元素またはその酸化物を用いて酸化亜鉛を被成膜材料に付着させて酸化亜鉛膜を形成する酸化亜鉛膜の製造方法において、
予め把握した酸化亜鉛膜の電子密度と成膜室の酸素分圧の関係に基づいて、酸素分圧を調整して所定の電子密度を得ることを特徴とする酸化亜鉛膜の製造方法。 - 前記所定の電子密度が8×1020/cm3以上の範囲において、前記電子密度と前記酸素分圧の負相関式に基づいて酸素分圧を調整することを特徴とする請求項1記載の酸化亜鉛膜の製造方法。
- イオンプレーティング法により成膜して前記酸化亜鉛膜を形成することを特徴とする請求項1または2記載の酸化亜鉛膜の製造方法。
- 前記第3族元素がAl、Ga、InまたはBであり、前記酸化物がAl2O3、Ga2O3、In2O3またはB2O3であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸化亜鉛膜の製造方法。
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