JP2004287241A - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】濃度階調のある画像であって、低画質感を与えることのない画像を確実に形成することができる電子写真方式の画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像後で且つ静電転写前のトナー像の中間調部平均粒状度推定値が0.15以下になり、且つ定着後のトナー像の中間調部平均粒状度が0.25以下になるようにした。中間調部平均粒状度は、トナー像の平均明度40〜80の箇所について、本発明者らが独自に発案した公式によってトナー像の粒状度を異なる平均明度の箇所で測定し、そのうち、平均明度40〜80の測定値を平均して求めたものである。中間調部平均粒状度推定値は、感光体1上におけるトナー像の中間調部平均粒状度を、本発明者らが独自に発案した方法によって推定したものである。
【選択図】 図9
【解決手段】現像後で且つ静電転写前のトナー像の中間調部平均粒状度推定値が0.15以下になり、且つ定着後のトナー像の中間調部平均粒状度が0.25以下になるようにした。中間調部平均粒状度は、トナー像の平均明度40〜80の箇所について、本発明者らが独自に発案した公式によってトナー像の粒状度を異なる平均明度の箇所で測定し、そのうち、平均明度40〜80の測定値を平均して求めたものである。中間調部平均粒状度推定値は、感光体1上におけるトナー像の中間調部平均粒状度を、本発明者らが独自に発案した方法によって推定したものである。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式によって画像を形成する画像形成方法及びこれを用いる画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式によって画像を形成する画像形成方法としては、特許文献1や特許文献2などに記載のものが知られており、例えば次のようなプロセスで画像を形成する。即ち、まず、感光体等の潜像担持体上に対して露光処理等を施して静電潜像を担持させた後、トナーの静電的な付着によってこの静電潜像を現像する。次いで、現像によって得られたトナー像を転写紙等の記録体に静電転写した後、定着ローラ等の加熱部材との密着によってそのトナー像を加熱して記録体に定着せしめる。
【0003】
かかる電子写真方式の画像形成方法においては、電子化された画像情報に基づいて画像を容易に形成し得るというメリットがある反面、オフセット印刷法に比べてどうしても画質が悪くなるというデメリットがあった。特に、写真や絵などといった濃度階調のある画像では、オフセット印刷法によるものに比べてザラツキ感が目立って、見た人に低画質であるという印象を与え易くなる。このため、電子写真方式では、如何にしてこの低画質感を抑えるかが、重要な課題となっている。
【0004】
画像のザラツキ感を表す指標としては、「ANSI PH−2.40−1985」で標準化されているRMS粒状度が知られており、これは次式に基づいて求められる。
【数1】
RMS粒状度σD=[(1/N)×Σ(Di−D)2]1/2
※但し、N:データ数、Di:濃度分布、D:平均濃度(D=1/NΣDi)
【0005】
また、ザラツキ感を示す指標として、Xerox社のDooley及びShawによって定義された粒状度GSも知られている。これは、「Winer Spectrum(以下、WS(f)という)」と、視覚の空間周波数特性(VTF:Visual Transfer Function)とのカスケード値が積分された数値である。また、WS(f)は、画像をミクロ濃度計で走査して得られた平均濃度からの濃度変動を、フーリエ変換して得られたフーリエスペクトルの二乗の集合平均である。粒状度GSは、次式によって求められる(詳細は「Dooley,Rshaw Noise Perception in Electrophotography,J.Appl.Photogr.Eng.5,4(1979),pp190−196」に記載されている)。
【数2】
粒状度GS=exp(−1.8D)∫(WS(f))1/2VTF(f)df
※但し、D:平均濃度、f:空間周波数[c/mm]、VTF(f):視覚の空間周波数特性
【0006】
【特許文献1】
特開2002−202638号公報
【特許文献2】
特開2002−287545号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、同じ画像形成装置によってプリントアウトされた画像であっても、これらRMS粒状度σDや粒状度GSが比較的良好なものと、そうでないものとが発生してしまう。このため、プリントアウトされた画像のRMS粒状度σDや粒状度GSに基づいてその画像形成装置の性能を評価することが困難であった。また、どのような画像であれば低画質感を与えないかという点について、十分な検討がなされていなかった。更に、現時点で市販されている電子写真方式の画像形成装置において、低画質感を与えることのない画像を確実に形成し得るものはない。
【0008】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、濃度階調のある画像であって、低画質感を与えることのない画像を確実に形成することができる電子写真方式の画像形成方法を提供することである。また、かかる画像を確実に形成することができる電子写真方式の画像形成装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、潜像担持体に潜像を担持させる工程と、トナーを用いて該潜像担持体上の潜像を現像する工程と、該潜像担持体上のトナー像を記録体に静電転写する工程と、該記録体上に静電転写されたトナー像に加熱部材を密着させて該トナー像を該記録体上に定着せしめる工程とを実施して、該記録体上にトナー像を形成する画像形成方法であって、現像後で且つ静電転写前の上記トナー像の中間調部平均粒状度推定値が0.15以下であり、且つ、定着後の上記トナー像の中間調部平均粒状度が0.25以下であることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、トナーを用いて該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、該潜像担持体上のトナー像を記録体に静電転写する転写手段と、該記録体上に静電転写されたトナー像に加熱部材を密着させて該トナー像を該記録体上に定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置であって、現像後で且つ静電転写前の上記トナー像の中間調部平均粒状度推定値が0.15以下であり、且つ、定着後の上記トナー像の中間調部平均粒状度が0.25以下であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置であって、上記トナーとして、形状係数SF−1が125以下、平均円形度0.96以上、且つ分散度1.35以下という条件を具備するものが指定されており、上記転写手段は、上記潜像担持体と、これに向けて上記記録体を押圧する押圧部材との間に20〜200[nA/mm2]の転写電流を流しつつ、該記録体を該潜像担持体に向けて0.20〜1.00[N/mm2]の圧力で押圧しながら、該潜像担持体上のトナー像を該記録体に静電転写せしめるものであり、且つ、上記定着手段は、上記加圧部材として、表面にシリコンゴムが被覆されたものを用いるものであることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2の画像形成装置であって、上記潜像担持体上の潜像の現像に用いられるトナーを収容するトナー収容手段を有し、上記トナーとして、形状係数SF−1が125以下、平均円形度0.96以上、且つ分散度1.35以下という条件を具備するものを該トナー収容手段に収容しており、上記転写手段は、上記潜像担持体と、これに向けて上記記録体を押圧する押圧部材との間に20〜200[nA/mm2]の転写電流を流しつつ、該記録体を該潜像担持体に向けて0.20〜1.00[N/mm2]の圧力で押圧しながら、該潜像担持体上のトナー像を該記録体に静電転写せしめるものであり、且つ、上記定着手段は、上記加圧部材として、表面にシリコンゴムが被覆されたものを用いるものであることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項2の画像形成装置であって、上記トナーとして、形状係数SF−1が120以下、平均円形度097以上、且つ分散度1.21以下という条件を具備するものが指定されており、上記転写手段は、上記潜像担持体と、これに向けて上記記録体を押圧する押圧部材との間に20〜200[nA/mm2]の転写電流を流しつつ、該記録体を該潜像担持体に向けて0.20〜1.00[N/mm2]の圧力で押圧しながら、該潜像担持体上のトナー像を該記録体に静電転写せしめるものであり、且つ、上記定着手段は、上記加圧部材として、表面にシリコンゴムが被覆されたものを用いるものであることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項2の画像形成装置であって、上記トナーとして、形状係数SF−1が115以下、平均円形度097以上、且つ分散度1.20以下という条件を具備するものが指定されており、上記転写手段は、上記潜像担持体と、これに向けて上記記録体を押圧する押圧部材との間に20〜200[nA/mm2]の転写電流を流しつつ、該記録体を該潜像担持体に向けて0.20〜1.00[N/mm2]の圧力で押圧しながら、該潜像担持体上のトナー像を該記録体に静電転写せしめるものであり、且つ、上記定着手段は、上記加圧部材として、表面にシリコンゴムが被覆されたもの、あるいは弾性層の上に四フッ化エチレン樹脂(Polytetrafluoroethylene)からなる表面層が被覆されたものを用いるものであることを特徴とするものである。
【0010】
本発明者らは、以下に説明するような鋭意研究を行って、これらの発明を完成させるに至った。即ち、まず、図1に示す600[dpi]、106線のスクリーン線にディザ処理を施した15の面積率階調のあるグレースケールの電子データを用意した。この15の面積率階調は、3、6、9、12.5、16、20、25、30、41、50、59、70、80、91、100[%]の面積率から構成されている。かかる電子データに基づいてパーソナルコンピュータのディスプレイにグレースケール映像における面積率階調中心付近箇所(面積率=41%)を拡大すると、図2のようになる。更に、この面積率階調中心付近箇所におけるスケール像を拡大すると図3に示すようになる。
【0011】
次に、本発明者らは、電子写真方式のプリンタの1号試験機を用いて、上記電子データに基づいたグレースケール画像をプリントアウトし、面積率毎にその平均明度LとRMS粒状度σDとを測定してみた。また、電子写真方式のプリンタの2号試験機を用いて、同様にしてグレースケール画像をプリントアウトし、面積率毎(ディスプレイ上の階調)に平均明度LとRMS粒状度σDとを測定してみた。なお、この2号試験機の解像度は1号試験機と同じ600[dpi]であるが、そのプリントアウト画像のザラツキ感を1号試験機によるものよりも大きくすることが事前の調査によってわかっている。また、平均明度Lは、各読み取り値L*の平均値である。
【0012】
図4は、上記1号試験機や2号試験機によってプリントアウトされたグレースケール画像の各階調における平均明度LとRMS粒状度σDとの関係を示すグラフである。図示のように、2つのグレースケール画像において、平均明度Lが20未満の箇所では互いのRMS粒状度σDに目立った差を生じないことがわかる。また、平均明度Lが80を超えた箇所でも、互いのRMS粒状度σDに目立った差を生じないことがわかる。これらは、次に説明する理由による。即ち、画像内における繰り返しパターンの密度の違いによって濃度階調を表現するデジタルプリントアウト画像では、画像のザラツキ感を左右する要因の一つとして、少量のトナー粒子を画像部周囲に不規則に付着させてしまうことが挙げられる。このトナー粒子の不規則な付着は、繰り返しパターンの密度が中程度である場合に起こり易い。繰り返しパターンの密度が所定の上限値を超えると、人間の目にはベタ部として見えてくるようになり、そのベタ部内の画像部(パターン1つ)と非画像部(パターン間)との識別が困難になってくる。このため、画像部周囲へのトナー粒子の不規則な付着がザラツキとして視認され難くなる。また、この逆に、繰り返しパターンの密度が所定の下限値を下回ると、パターン間の距離がかなり大きくなり、トナー粒子の不規則な付着がパターン間の汚れではなくパターン内に取り込まれて見えてくるため、ザラツキ感として視認され難くなる。よって、デジタルプリントアウト画像においては、その内部の画像部周囲にトナー粒子が不規則に付着しているか否かにかかわらず、平均明度Lが20未満の階調箇所や、平均明度Lが80を超える階調箇所がザラツキ感を与え難くなるのである。換言すれば、電子写真方式の画像形成装置では、その性能にかかわらず、平均明度Lが20未満の階調箇所や、平均明度Lが80を超える階調箇所を、ザラツキ感のない良好な画質にすることができる。
【0013】
一方、2つの上記グレースケール画像において、平均明度Lが20〜80の階調箇所(以下、中間調部という)では、互いのRMS粒状度σDに大きな差が生じている。1号試験機の方が明らかにザラツキ感の少ない良好なパターン(RMS粒状度σDの小さいパターン)を出力していることがわかる。このように、ザラツキ感は、平均明度Lが20〜80の中間調部で主に発生している。よって、同じ画像形成装置によってプリントアウトされた画像であっても、中間調部の面積率の比較的小さいものは良好な画質となるが、その面積率の比較的大きいものはザラツキ感の目立つ低画質となってしまう。なお、RMS粒状度σDの代わりに粒状度GSを求めてみても、同様の結果となった。同じ画像形成装置によってプリントアウトされた画像であっても、RMS粒状度σDや粒状度GSが比較的良好なものと、そうでないものとが発生してしまう理由は、このように、中間調部の面積率の違いによるものであることがわかった。
【0014】
これらのことから、電子写真方式の画像形成装置の性能を的確に知るためには、プリントアウトされた画像の全体でザラツキ感を評価するのではなく、その中間調部(平均明度L20〜80)だけでザラツキ感を評価する必要があると言える。
【0015】
次に、本発明者らは、上記RMS粒状度σDや粒状度GSとは異なった指標で、上記グレースケール画像のザラツキ感を評価してみることにした。具体的には、まず、出力されたグレースケール画像をスキャナー(ハイデンベルグ社製Nexscan4100)にて1200[dpi]の解像度で読み込んだ。そして、各面積率における平均明度Lと、粒状度とを調べてみた。粒状度については、上述のRMS粒状度σDや粒状度GSではなく、次に基づいて算出した。また、平均明度Lは、各読み取り値L*の平均値である。
【数3】
粒状度=exp(aL+b)∫(WSL(f))1/2VTF(f)df+c
※但し、L:平均明度、f:空間周波数[c/mm]、WSL(f):明度変動のパワースペクロトラム、VTF(f):視覚の空間周波数特性、a:係数(=0.1044)、b:係数(=0.8944)、c:係数(=−0.262)
【0016】
濃度Dの代わりに平均明度Lを用い、2次元でNWSを求めた後、1次元化してザラツキ感を評価するのである。この式によれば、濃度Dを用いた上述のRMS粒状度σDや粒状度GSよりも色空間のリニアリティーやカラー画像への適応性に優れたザラツキ感指標を求めることができた。なお、この粒状度の詳細は、「JapanHardcopy‘96”論文集p189「ハーフトーンカラー画像のノイズ評価方法」に記載されている。
【0017】
画像部の面積率と、平均明度Lと、上記数3の式による粒状度との関係の一例を次の表1に示す。
【表1】
【0018】
表1においても、平均明度40〜80の箇所の粒状度が他の箇所の粒状度よりも大きくなっていることがわかる。表1において、粒状度の平均値は0.32になる。これに対し、平均明度Lが40〜80の範囲になる6つのデータ(太字で示したもの)だけの平均を算出すると0.43になる。0.1以上もの差が出てしまうのである。
【0019】
次に、画像形成装置の様々な試験機によってプリントアウトされた上記グレースケール画像について、同様にして平均明度Lと、上記数3の式による粒状度とを測定した。そして、15の面積率階調の全てについて粒状度を平均した結果と、平均明度が40〜80になる箇所(以下、中間調部という)だけの粒状度を平均した結果との関係を調べてみた。更に、各グレースケール画像について、複数の試験者によるザラツキ感の主観評価を行った。この結果を図5に示す。なお、この図においては、ザラツキ感のランク(1〜5)の数値が大きくなるほど、ザラツキ感のない良好な画像であることを示している。図示のように、15の面積率階調の全てについて粒状度を平均した評価法では、ザラツキ感のランクとその平均値との相関が悪く(相関係数=0.7527)、ザラツキ感の指標として適さないことがわかる。これに対し、中間調部だけについて粒状度を平均した評価法では、ザラツキ感のランクとその平均値との相関が極めて良好であり(相関係数=0.9124)、ザラツキ感の指標として優れていることがわかる。本明細書では、この平均値を中間調部平均粒状度として定義することにする。本発明者らの鋭意研究により、この中間調部平均粒状度が0.25以下になると、ザラツキ感を与えなくなることが判明した。よって、転写紙等の記録体上に定着された後における中間調部平均粒状度が0.25以下である画像であれば、人に低画質感を与えることがなくなる。
【0020】
一方、一般に、電子写真方式の画像形成装置において、現像直後のトナー像は、転写紙等の記録体に転写される際に少量のトナー粒子を記録体の画像部周囲に不規則に付着させて、画質を劣化させる。また、記録体上に転写されたトナー像も、加熱部材との密着によってそこに定着せしめられる際に、トナー粒子のつぶれ、光沢、付着領域の広がりなどといった現象を起こして画質を劣化させる。従って、人に低画質感を与えることのない定着済みのトナー像を得るためには、基本的には、現像した時点で中間調部平均粒状度が0.25以下であるトナー像を得る必要がある。
【0021】
現像直後のトナー像について、かかるものであるか否かを評価するためには、その中間調部平均粒状度を求める必要がある。そして、そのためには、感光体等の潜像担持体上でそのトナー像をスキャナー等の読み取り手段で読み取ってその画像情報を電子化しなければならない。しかし、潜像担持体上のトナー像を読み取るのは非常に困難である。潜像担持体の表面の湾曲によって所望の読み取り精度が得られなかったり、未定着のトナー像を擦って乱してしまったりするからである。そこで、本発明者らは、次のようにして、現像直後のトナー像の中間調部平均粒状度を推定してみることにした。即ち、まず、図6に示す2×2(=4)のドットからなるパターンがマトリクス状に70個並べられたパターン画像を電子写真方式のプリンタの試験機によって転写紙上にプリントアウト(転写及び定着)した。そして、得られたプリントアウト紙を上述のスキャナーで読み取った後、その電子データに基づいて上述の中間調部平均粒状度を測定した。次いで、電子データ上のマトリクスを図6に示したように格子状に等間隔に分割し、それぞれの分割区域データ(70個)について、図7に示すように2値化してからトナー付着部の面積を解析して、画像部面積の標準偏差σを算出した。かかる算出を、様々な種類の試験機によるプリントアウト紙についてそれぞれ実施して、標準偏差σと中間調部平均粒状度との関係を調べた。次に、同じパターン画像をそれぞれの試験機で現像した後、感光体から転写紙上に転写する前に機械を止めて数時間放置してから、感光体を試験機本体から取り外した。この転写紙の未定着像を乱さないように、スキャナーのコンタクトガラス上に読み取り箇所に対応する穴の空いた0.1[mm]厚のフィルムを置き、未定着像とコンタクトガラスとを接触させないように、そのフィルムの上に転写紙を置いてスキャナー読込した。そして、その画像部面積の標準偏差σと中間調部平均粒状度とを調べた後に、先に調べた定着後のデータとともに、全てのデータにおける上記標準偏差σと、中間調部平均粒状度とを2次元平面上にプロットして両者の近似直線を得た。
【0022】
なお、現像直後のパターン画像を感光体上で数時間放置してからそのσや平均粒状度を測定するのは、次の理由からである。即ち、潜像担持体として感光体を用いる場合には、現像直後のトナー像を担持している感光体を機械内部から外部の明るい場所に移してしまうと、感光体の地肌部(非露光部)の急激な電位変化に伴ってトナーを散らせてしまうことがある。そこで、数時間放置して地肌部の電荷を十分に減衰させてから、感光体を明るい外部に取り出すのである。
【0023】
上述の近似直線を図8に示す。同図に示すように、定着後の画像に基づく画像部面積の標準偏差σから推定される粒状度と、未定着の画像に基づく画像部面積の標準偏差σから推定される粒状度とは、良好に相関することがわかる。よって、感光体上の現像画像を顕微鏡撮影してその画像部面積の標準偏差σを算出し、算出結果を同図に示したグラフにあてはめることで、感光体上における現像後且つ転写前の画像における中間調部平均粒状度を推定することができる。本明細書では、この推定値を、現像後且つ転写前の画像における中間調部平均粒状度推定値と定義する。
【0024】
従って、現像後で且つ転写前のトナー像における中間調部平均粒状度推定値を0.15以下にし、且つ定着後のトナー像における中間調部平均粒状度推定値を0.25以下にする請求項1乃至6の発明では、定着後の濃度階調のある画像として、低画質感を与えることのない高画質のものを確実に形成することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を画像形成装置であるカラー電子写真プリンタ(以下、プリンタという)に適用した一実施形態について説明する。
まず、このプリンタの基本的な構成について説明する。図9は本実施形態に係るプリンタの概略構成図である。図において、潜像を担持する潜像担持体たる感光体1は、アモルファス等からなる有機感光層を表面に有する直径100[mm]のドラム状のもので、330[mm/sec]の線速で図中時計回りに回転駆動せしめられる。そして、その表面が帯電チャージャ2によって一様に帯電せしめられた後、レーザ光学装置16によって画像情報に基づいた走査露光処理によって静電潜像を担持する。この画像情報は、図示しないパーソナルコンピュータ等から送られている。感光体1上に形成された静電潜像は、現像手段たる現像装置20によって現像されてトナー像となった後、後述の転写ニップにて記録体たる転写紙P上に静電転写される。
【0026】
図10は、感光体1と現像装置20とを示す拡大構成図である。同図において、感光体1の側方に配設された現像装置20は、互いに着脱可能に構成されたトナー補給器21と現像器25とを備えている。トナー補給器21は、内部にトナーを収容するトナー収容手段として機能しており、アジテータ22、歯車状のトナー補給ローラ23、補給規制板24等を有している。そして、内部に収容しているトナーをアジテータ22の回転駆動によってほぐしながら、トナー補給ローラ23に送る。送られたトナーは、図示しない駆動系によって回転せしめられるトナー補給ローラ23に連れ回りながら補給規制板24によってローラ上での厚みが規制された後、現像器25内に補給される。
【0027】
上記現像器25は、現像ロール26、攪拌パドル27、攪拌ローラ28、規制ブレード29、搬送スクリュー30、トナー濃度センサ(以下、Tセンサという)31等を有している。また、現像ロール26の側方に配設されたセパレータ32も有している。現像器25内には、トナーと、直径50[μm]の球形フェライトからなる磁性キャリアとを含有する二成分現像剤が収容されている。上記トナー補給器21から現像器25内に補給されたトナーは、図示しない駆動系によって回転駆動される攪拌ローラ28上に落下する。攪拌ローラ28は、落下してくるトナーを二成分現像剤と混合攪拌しながら、攪拌パドル27に向けて送る。この際、新たに補給されたトナーが磁性キャリアや攪拌ローラ28などとの摺擦によって摩擦帯電せしめられる。図示しない駆動系によって回転駆動される攪拌パドル27は、器内の二成分現像剤を攪拌しながら、現像ロール26に向けて送る。現像ロール26は、その表面を上記対向位置にてドラム表面と同方向に660[mm/sec]の線速で移動させるように図示しない駆動系によって回転駆動される直径25[mm]の非磁性パイプ26aを有している。また、これに連れ回らないようにパイプ内部に固定され、且つ周方向に別れる複数の磁極が形成されたマグネットローラ26bも有している。これら複数の磁極のうち、後述の現像領域との対向位置に存在する現像主磁極のピーク磁力は120[mT]に調整されている。
【0028】
現像部材たる上記現像ロール26は、そのケーシングに設けられた開口から周面の一部を露出させて感光体1に対面させるように配設されている。そして、攪拌パドル27から送られてくる二成分現像剤を、マグネットローラ26bの発する磁力の影響によって非磁性パイプ26aの表面に担持する。担持された二成分現像剤は、非磁性パイプ26aとともに連れ回りながら、現像ロール26と所定の間隙を保持するように配設された規制ブレード29によってパイプ上の層厚が規制される。そして、感光体1との対面位置にである現像領域まで搬送される。非磁性パイプ26aには図示しない電源によって現像バイアスが印加されている。この印加により、現像領域では、非磁性パイプ26aと感光体1の静電潜像との間において、トナーをパイプ側からドラム側に静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。また、非磁性パイプ26aと感光体1の非画像部(非潜像部分)との間において、トナーをドラム側からパイプ側に静電移動させる非現像ポテンシャルが作用する。よって、現像領域まで搬送された二成分現像剤は、トナーを感光体1の静電潜像だけに付着させて、静電潜像をトナー像に現像する。現像ロール26の非磁性パイプ26aとの連れ回りに伴って現像領域を通過した二成分現像剤は、非磁性パイプ26aとの連れ回りに伴って現像器101内に回収される。
【0029】
上述のように、現像ロール26の非磁性パイプ26aに担持された二成分現像剤は、規制ブレード29によってパイプ上の層厚が規制される。この規制により、規制ブレード29よりもパイプ回転方向上流側には、非磁性パイプ26aとの連れ回りを阻止された二成分現像剤が滞留する。そして、後続の二成分現像剤に押されることで、現像ロール26の側方に配設されたセパレータ32の上に溢れる。溢れた二成分現像剤は、セパレータ32上面の傾斜に沿って移動することで、搬送スクリュー30に向けて案内される。搬送スクリュー30は、案内されてくる二成分現像剤をその軸線方向(図中奥行き方向)に向けて攪拌搬送する。これにより、二成分現像剤のいわゆる横攪拌が行われる。この横攪拌に対し、攪拌ロール26や、攪拌パドル27は、二成分現像剤をその回転周方向に搬送しながらかき回すいわゆる縦攪拌を行う。搬送スクリュー30は、二成分現像剤を横攪拌しながら、攪拌ローラ28上に落下させる。この落下により、現像器内における二成分現像剤の縦循環が実現している。
【0030】
上記攪拌ローラ28の下側には、Tセンサ31が配設されており、攪拌ローラ28によって攪拌搬送される二成分現像剤の透磁率に応じた信号を図示しない制御部に出力する。二成分現像剤のトナー濃度は、透磁率と相関するため、Tセンサ31は結果として二成分現像剤のトナー濃度を検知していることになる。上記制御部は、Tセンサ31からの出力信号を、所定の目標値に近づけるようにトナー補給器21を適宜動作させることで、現像に伴ってトナー濃度を低下させた二成分現像剤のトナー濃度を回復させる。但し、二成分現像剤の透磁率が湿度等の環境変化や二成分現像剤の嵩変化などによって変動するため、制御部は上記目標値を適宜補正する。具体的には、所定のタイミングで感光体1上に形成せしめた基準トナー像の画像濃度に応じて、上記目標値を補正する。この画像濃度については、例えば基準トナー像の光反射率を検知する反射型フォトセンサからの出力などによって把握される。
【0031】
上記感光体1の図中下方には、転写ローラ4等を有する転写手段が配設されている。この転写手段は、図示されている転写ローラ4の他、これを回転駆動させる駆動手段や、転写ローラ4に転写バイアスを印加する図示しない電源などを有している。転写ローラ4は、感光体1に所定の圧力で当接して転写ニップを形成しながら、当接部にてその表面を感光体1表面と同方向に移動させるように回転駆動される。この転写ニップにおいては、上記転写バイアスの影響によって転写電界が形成される。感光体1上で現像されたトナー像は、感光体1の回転に伴って転写ニップに進入する。
【0032】
上記転写手段の下方には、記録体たる転写紙Pを複数枚重ねて収容する複数の給紙カセット10が互いに鉛直方向に重なるように配設されている。これら給紙カセット10は、一番上の転写紙Pに押し当てている給紙ローラ10aを所定のタイミングで回転駆動させて、その転写紙Pを給紙搬送路に給紙する。給紙搬送路内では、送り出された転写紙Pが複数の搬送ローラ対11を経た後、レジストローラ対12のローラ間に挟まれて止まる。レジストローラ対12は、挟み込んだ転写紙Pを、上述のようにして感光体1上に形成されたトナー像に重ね合わせ得るタイミングで上記転写ニップに向けて送り出す。これにより、感光体1上のトナー像と、レジストローラ対12によって送り出された転写紙Pとが転写ニップで同期して密着せしめられる。そして、上述の転写電界やニップ圧(転写圧)の影響によって被押圧体たる転写紙P上に静電転写される。
【0033】
上記転写ローラの図中左側方には、2本のローラに張架した紙搬送ベルト13aを図中反時計回りに無端移動せしめる紙搬送ユニット13が配設されている。また、この紙搬送ユニット13の更に左側方には、定着手段14、排紙ローラ対15が順次配設されている。上述のトナー像が静電転写せしめられた転写紙Pは、感光体1や転写ローラ4の回転に伴って転写ニップから紙搬送ユニット13の紙搬送ベルト13a上に送られた後、定着手段14内に入る。この定着手段14は、内部にハロゲンランプ等の熱源を有し且つ互いに当接しながら等速で回転する定着ローラ14a対によって定着ニップを形成している。これら定着ローラ14aは、それぞれ図示しない表面温度センサによる検知結果に基づいて熱源への電源供給がON/OFF制御されることで、その表面温度が所定値(例えば165〜185[℃])に維持される。定着手段14内に入った転写紙Pは、上記定着ニップに挟まれて加熱処理及び加圧処理が施されることで、その表面にトナー像が定着せしめられる。そして、定着手段14内から排紙ローラ対15を経て機外へと排出される。
【0034】
上記転写ニップで転写紙P上に静電転写されずに感光体1表面に残留した転写残トナーは、感光体クリーナー17によって感光体1から除去される。このようにしてクリーニングされた感光体1表面は、図示しない除電手段によって除電された後、上記帯電チャージャによって一様帯電せしめられる。また、上記転写ニップで感光体1上から紙搬送ベルト13a上に転移してしまったトナーは、紙搬送ユニット13のベルトクリーニング装置13bによって紙搬送ベルト13a上から除去される。なお、感光体クリーナー17は、ステアリン酸亜鉛棒を引っ掻いて得たステアリン酸亜鉛粉末を感光体1表面に塗布するステアリン酸亜鉛塗布手段を有している。クリーニング後の感光体1表面にステアリン酸亜鉛粉末を塗布することで、感光体1の表面摩擦係数を低下させて転写性を向上させることができる。
【0035】
図11は、上記転写ニップとその周囲とを示す側面図である。感光体1に向けて押圧される転写ローラ4は、ステンレス、鉄等からなる直径20〜30[mm]の図示しない芯金ローラと、これに被覆されたEPDM、シリコーン、NBR、ウレタン等からなるソリッド状の第1弾性層4aとを有している。また、この第1弾性層4aの上に被覆された第2弾性層4b(第1弾性層よりも柔らかい)や、上記芯金ローラの両端面に突設せしめられた軸4cなども有している。両端の軸4cは、それぞれ軸受18によって回動可能に支持されており、これら軸受18はバネ19によって感光体1に向けて付勢されている。この付勢により、転写ローラ4が感光体1に向けて押圧される。
【0036】
上記第2弾性層4bは、厚み、硬度(AskerC/1kg荷重時)、体積固有抵抗が、それぞれ0.1[mm]、25[度]、1×109〜1×1011[Ωcm]に調整されている。また、上記第1弾性層4aは、厚み、硬度(AskerC/1kg荷重時)、体積固有抵抗が、それぞれ2.0[mm]、70[度]、第2弾性層4bよりも一桁小さい値に調整されている。第2弾性層4bの硬度が15[度]未満になると、永久変形を引き起こし易くなってしまう。また、第2弾性層4bの硬度が40[度]を超えると、弾性変形による上記エアーギャップの低減効果が急激に得られ難くなってくる。また、第1弾性層4aの硬度が60[度]未満で且つその厚みが0.5[mm]未満になると、転写ニップで転写紙Pと感光体1との密着性を向上させる効果が急激に弱まり始める。
【0037】
本プリンタに用いられるトナーとしては、従来から公知の製造法によって製造されたものを用いることができる。例えば、粉砕法によるものを用いることができる。即ち、結着樹脂、磁性体、離型剤、着色剤、必要に応じて帯電制御剤等をミキサー等を用いて混合し、熱ロール、エクストルーダー等の混練機を用い混練する。そして、冷却固化し、これをジェットミル、ターボジェット、クリプトロン等の粉砕で粉砕した後、分級して得られたトナーである。また例えば、重合法によって製造されたトナーでもよい。なかでも、変性ポリエステル樹脂を基材として用いた重合法によって製造されたトナーが好適である。
【0038】
図12は、感光体1と、これに向けて十分な圧力で押圧される転写ローラ4とによって形成される転写ニップを示す拡大模式図である。同図に示すように、転写ローラ4が感光体1に向けて十分な圧力で押圧されてなる転写ニップでは、転写ローラ4の第1弾性層4aや第2弾性層4bが柔軟に弾性変形する。この弾性変形により、転写紙Pが、感光体1表面に担持されているトナー像Iの表層に接触するだけでなく、互いに隣り合っているトナー像Iの間の凹部に食い込むように押圧されて、感光体1表面やトナー像Iとの密着性が高められる。このことにより、感光体1と転写紙Pとの間に形成されるエアーギャップが低減されて、転写ニップ内やニップ前後における転写チリが抑えられる。
【0039】
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。
本発明者らは、以下に説明する実験例の実験結果に基づいて、本プリンタの特徴的な構成を創作するに至った。即ち、まず、A〜Fという6種類のトナーを製造した。
【0040】
トナーAについては、次のようにして製造した。
[トナーバインダーの合成]
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724重量部、イソフタル酸276重量部及びジブチルチンオキサイド2重量部を入れた。そして、常圧且つ230[℃]の条件下で8時間重縮合反応させた後、更に10〜15[mmHg]まで減圧して5時間反応させた。次いで、160[℃]まで冷却した後、32重量部の無水フタル酸を加えて2時間反応させた。そして、更に80[℃]まで冷却した後、酢酸エチル中にてイソフォロンジイソシアネート188重量部と2時間反応させてイソシアネート含有プレポリマーを得た。次に、このイソシアネート含有プレポリマー267重量部と、イソホロンジアミン14重量部とを50[℃]で2時間反応させて、重量平均分子量64000のウレア変性ポリエステル(1)を得た。一方、既に述べた手法と同様にして、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724重量部と、テレフタル酸276重量部とを常圧且つ230[℃]の条件下で8時間重縮合反応させた。そして、10〜15[mmHg]まで減圧して5時間反応させて、ピーク分子量5000の変性されていないポリエステル(a)を得た。次いで、酢酸エチルとメチルエチルケトン(以下、MEKという)との1:1混合溶剤を用意した。そして、上述のウレア変性ポリエステル(1)200重量部と、上述の変性されていないポリエステル(a)800重量部とを、この混合溶剤に溶解、混合して、トナーバインダー(A)の溶液を得た。次に、これを一部減圧乾燥して、トナーバインダー(A)を単離した。そのガラス転移温度(以下、Tgという)、酸化は、それぞれ62[℃]、10であった。
【0041】
[トナーの合成]
ビーカー内に上述のトナーバインダー(A)の溶液240重量部と、ペンタエリスリトールテトラベヘネート(融点81℃、溶融粘度25cps)20重量部と、カーボンブラック10重量部とを入れた。そして、60[℃]の温度環境下にてTK式ホモミキサーを用いて12000[rpm]の速度で攪拌して、それらを均一に溶解、分散させた。これをトナー材料溶液とした。次いで、他のビーカー内にイオン交換水706重量部と、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業社製のスーパタイト10)294重量部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2重量部とを入れて均一に溶解した。そして、これを60[℃]まで昇温せしめた後、TK式ホモミキサーにて12000[rpm]の速度で攪拌しながら、上述のトナー材料溶液を投入して10分間攪拌した。次に、この混合液を攪拌棒及び温度計の付設されたコルベンに移し、98[℃]まで昇温せしめて一部溶剤を除去した。そして、室温に戻してから上記TK式ホモミキサーにて12000[rpm]の速度で攪拌して、トナーの形状を整えた後、更に溶剤を完全に除去した。その後、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級して、母体トナー粒子を得た。更に、この母体トナー粒子100重量部に疎水性シリカ0.5重量部をヘンシェルミキサーにて混合して、トナーAを得た。このトナーAの形状係数SF−1は140、平均円形度は0.92、分散度は1.39、凝集度は25[%]であった。
【0042】
なお、形状係数SF−1は、粒子の丸さの度合いを示す指標であり、次のようにして求めることができる。即ち、例えば日立製作所製FE−SEM(S−800)などの顕微装置を用いて1000倍の拡大観察エリアを得る。そして、この拡大観察エリアにて、トナー粒子を無作為に100個サンプリングしながらその画像を順次撮影していく。そして、得られた撮影画像の電子データを、インターフェース経由で例えばニコレ社製LuzexIIIなどの画像解析装置に転送して、各粒子について径の絶対最大長MXLNGと投影面積AREAとを解析してそれらの平均値を算出する。この絶対最大長MXLNGとは、図13に示すように、トナー粒子の2次元投影画像において径が最大となる箇所の長さのことである。真の楕円であれば、長径の長さとなる。解析された絶対最大長MXLNGと投影面積AREAとを次に示す式に代入して、トナー粒子100個あたりの平均を算出すれば、形状係数SF−1を求めることができる。真球の形状係数SF−1は100である。
【数4】
SF−1=(MXLNG)2/AREA×(π/4)×100
【0043】
また、トナーの平均円形度については、株式会社SYSMEX製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて、次のようにして測定した。即ち、1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調整した後、これを0.45[μm]のフィルターで濾過する。得られた濾液50〜100[ml]に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加えた後、これに試料(トナー粉体)を1〜10[mg]加える。更に、超音波分散機にてトナー分散処理を1分間施して、5000〜15000[個/μl]のトナー濃度の被検材料を得た。この被検材料中のトナーをCCDカメラで撮像して得た2次元画像のトナー粒子面積と同一の面積を有する円の直径を円相当径として求める。そして、この円相当径で0.6[μm]以上のトナー粒子をCCDの撮影精度に鑑みた有効被検粒子としてその円形度を算出した。具体的には、CCDカメラによる2次元のトナー粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長を投影像の周囲長で除算することによって円形度を算出した。そして、各トナー粒子の円形度の累積値を全トナー粒子数で除算することで平均円形度を求めた。
【0044】
また、トナーの分散度については、トナーの重量平均径を個数平均径で除算することで求めた。これらの径については、Coulter MULTISIZER 2eを用い、これに100[μm]の径のアパーチャーをセットして測定した。
【0045】
また、トナーの凝集度については、パウダテスター(ホソカワミクロン株式会社製PT−N型)を用いて測定した。この測定における操作方法については基本的にテスターの取り扱い説明書に従ったが、次に列記する点については変更した。
・使用ふるい:75μm、45μm、22μmの3通りについて試験した
・振動時間:30秒
【0046】
トナーBについては、次のようにして製造した。
[トナーバインダーの合成]
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物334重量部と、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物334重量部と、イソフタル酸274重量部と、無水トリメリット酸20重量部とを混ぜ合わせた。そして、トナーAと同様にして、重縮合反応させた後、更にイソホロンジイソシアネート154重量部を反応させてプレポリマーを得た。そして、このプレポリマー213重量部と、イソホロンジアミン9.5重量部と、ジブチルアミン0.5重量部とをトナーAと同様に反応させて、重量平均分子量79000のウレア変性ポリエステル(2)を得た。次いで、このウレア変性ポリエステル(2)200重量部と、上述の変性されていないポリエステル(a)800重量部とを、酢酸エチルとMEKとの1:1混合溶剤2000重量部に溶解、混合して、トナーバインダー(B)の溶液を得た。そして、これを一部減圧乾燥して、トナーバインダー(B)を単離した。そのピーク分子量は5000、Tgは62℃、酸価は10であった。
【0047】
[トナーの合成]
溶解温度や分散温度を50[℃]に変えた点の他は、トナーAと同様にして、母体トナー粒子を得た。そして、この母体トナー粒子100重量部に、サリチル酸誘導体の亜鉛塩からなる帯電制御剤1.0重量部を混合し、加温雰囲気中で攪拌て粒子表面に帯電制御剤を固着させた。次に、このトナー粒子100重量部に疎水性シリカ1.0重量部と疎水性酸化チタン0.5重量部とをヘンシェルミキサーにて混合して、トナーBを得た。このトナーBの形状係数SF−1は130、平均円形度は0.92、分散度は1.37、凝集度は24[%]であった。
【0048】
トナーCについては、次のようにして製造した。
[トナーバインダーの合成]
上述のウレア変性ポリエステル(1)30重量部と、上述の変性されていないポリエステル(a)970重量部とを、酢酸エチルとMEKとの1:1混合溶剤2000重量部に溶解、混合した。これによって得たトナーバインダー(B)の溶液を一部減圧乾燥して、トナーバインダー(C)を単離した。そのピーク分子量は5000、Tgは62℃、酸価は10であった。
【0049】
[トナーの合成]
トナーバインダー(C)を用い、且つ、着色剤としてカーボンブラック8重量部を用いた点の他は、トナーBと同様にしてトナーCを得た。このトナーCの形状係数SF−1は125、平均円形度は0.96、分散度は1.35、凝集度は22%であった。
【0050】
トナーDについては、次のようにして製造した。
[トナーバインダーの合成]
上述のウレア変性ポリエステル(1)500重量部と、上述の変性されていないポリエステル(a)500重量部とを、酢酸エチルとMEKとの1:1混合溶剤2000重量部に溶解、混合した。これによって得たトナーバインダー(D)の溶液を一部減圧乾燥して、トナーバインダー(D)を単離した。そのピーク分子量は5000、Tgは62[℃]、酸価は10であった。
【0051】
[トナーの合成]
トナーバインダー(D)を用い、且つ、着色剤としてカーボンブラック8重量部を用いた点の他は、トナーAと同様にしてトナーDを得た。このトナーDの形状係数SF−1は120、平均円形度は0.97、分散度は1.21、凝集度は22[%]であった。
【0052】
トナーEについては、次のようにして製造した。
[トナーバインダーの合成]
上述のウレア変性ポリエステル(1)750重量部と、上述の変性されていないポリエステル(a)250重量部とを、酢酸エチルとMEKとの1:1混合溶剤2000重量部に溶解、混合した。これによって得たトナーバインダー(E)の溶液を一部減圧乾燥して、トナーバインダー(E)を単離した。そのピーク分子量は5000、Tgは62[℃]、酸価は10であった。
【0053】
[トナーの合成]
トナーバインダー(E)を用いた点の他は、トナーAと同様にしてトナーEを得た。このトナーEの形状係数SF−1は115、平均円形度は0.97、分散度は1.20、凝集度は18[%]であった。
【0054】
トナーFについては、次のようにして製造した。
[トナーの合成]
上記トナーバインダー(E)の母体トナー粒子100重量部に対し、疎水性シリカ1.5重量部をヘンシェルミキサーにて混合して、トナーFを得た。このトナーFの形状係数SF−1は115、平均円形度は0.97、分散度は1.20、凝集度は7[%]であった。
【0055】
重量平均粒径50[μm]の球形フェライトの表面に、シリコーン樹脂をコートした後、熱乾燥して磁性キャリアを得た。そして、上述の6種類のトナーを、それぞれこの磁性キャリアと混合して6種類の二成分現像剤を得た。なお、トナーと磁性キャリアとの混合比率については、3.0〜5.0[w%]に調整した。
【0056】
株式会社リコー社製の電子写真プリンタ(Imagio NEO750)を改造して、図9に示した構成と同様のプリンタ試験機を製造した。そして、上述の6種類の二成分現像剤をそれぞれ用いて、このプリンタ試験機でグレースケール画像(図1参照)を現像した。そして、それが転写紙P上に静電転写される前にプリント動作を中断させて、感光体1上における中間調部平均粒状度推定値を先に述べた方法と同様にして求めた。
【0057】
次に、上述の6種類の二成分現像剤をそれぞれ用いて同様にしてグレースケール画像を現像した後、転写紙P上に静電転写した。但し、その転写紙Pを上記定着手段14に進入させる前に試験機のプリント動作を停止させて、未定着のグレースケール画像を担持した転写紙P(以下、未定着転写紙という)を得た。同様の実験を、4段階の転写ニップ圧条件について、それぞれ転写電流条件を4段階に変化させて行って、合計で96枚の未定着転写紙を得た(トナー6種類×転写ニップ圧条件4段階×転写電流条件4段階)。なお、転写ニップ圧条件は、0.04、0.20、1.00、2.00[N/mm2]の4段階である。また、転写電流条件は、10、20、200、400[nA/mm2]の4段階である。
【0058】
得られた96枚の未定着転写紙について、それぞれグレースケール画像の中間調部平均粒状度を測定した。このとき、グレースケール画像が未定着であるため、そのままではスキャナーで読み取らせる際に擦って画質を乱してしまうおそれがある。そこで、まず、測定用の穴のあいた約0.1[mm]厚のフィルムを用意して、これを未定着転写紙の画像担持面に密着させた後、フィルム密着面をスキャナー(ハイデンベルグ社製Nexscan4100)の原稿載置面に密着させた。このように、フィルムをスペーサとして機能させてグレースケール画像の測定対象領域を原稿載置面に接触させないようにして、1200[dpi]の解像度で読み込んだ。そして、得られた電子データに基づいて、転写後且つ定着前のグレースケール画像の中間調部平均粒状度を求めた。
【0059】
また、次のようにして、転写後且つ定着前のグレースケール画像の転写率も求めた。即ち、まず、感光体1から転写紙Pにグレースケール画像が静電転写された時点でプリント動作を停止させ、それまでそのグレースケール画像が担持されていた感光体1領域に残留しているトナーを粘着テープで収集した。そして、この粘着テープの重量を測定し、この測定値から、トナー収集前に予め測定しておいた粘着テープだけの重量を差し引いた値を転写残トナー量とした。次に、トナー像が転写された転写紙Pを画像のある箇所で切り抜いて紙片とした後、その重量を測定した。そして、その紙片のグレースケール画像に圧縮エアーを吹きかけてトナーをほぼ全量吹き飛ばした後、再び紙片の重量を測定し、前者の重量から後者の重量を差し引いた値を、転写トナー量とした。このようにして求めた転写残トナー量と転写トナー量とを加算した値を、全トナー量とした。そして、次式とに基づいて転写率を求めた。
【数5】
転写率=転写トナー量/全トナー量×100[%]
【0060】
次いで、上述の96枚の未定着転写紙をそれぞれ上記定着手段14に通して、プリントアウト紙を得た。更に、定着条件を変化させながら同様のプリントアウト紙を得た。先のプリントアウト紙のときと合わせると、合計で3段階の定着条件についてテストして、288枚のプリントアウト紙を得たのである。なお、これら定着条件については、定着ローラ14a対のうち、トナー像に密着する方(請求項に記載した加熱部材として機能する方)として、次に列記するものに順次変更することで、3段階に変化させた。
▲1▼芯金ローラ上に厚み1mm、硬度25[度](アスカーC/1kg荷重時)のシリコーンゴムからなる表面層を設けたもの(以下、シリコーン表面ローラという)。
▲2▼芯金ローラ上に厚み200[μm]のシリコーンゴムからなる中間層を設け、その上に厚み20[μm]の四フッ化エチレン樹脂(Polytetrafluoroethylene)からなる表面層を設けたもの。以下、これをテフ(商標名テフロンの略)表面弾性ローラという。また、このローラの芯金ローラ上における2層合成硬度は、70[度](アスカーC/1kg荷重時)であった。
▲3▼芯金ローラ上に四フッ化エチレン樹脂からなる表面層を設けたもの(以下、テフ表面剛性ローラという)。そして、得られたプリントアウト紙に基づいて、定着後のグレースケール画像における中間調部平均粒状度を測定した。
【0061】
次に示す表1は、トナーAの性状と、このトナーAを用いて得たグレースケール画像の現像後(転写前)における中間調部平均粒状度推定値とを示すものである。また、次に示す表2、表3、表4、表5、表6は、それぞれトナーB、C、D、E、Fについて、その性状と、グレースケール画像の現像後(転写前)における中間調部平均粒状度推定値との関係を示すものである。但し、これらには、転写率、転写後且つ定着前における中間調部平均粒状度、定着後における中間調部平均粒状度も関連付けて示している。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0062】
表2〜表7の間で、形状係数SF−1、平均円形度及び分散度と、感光体1上の現像後且つ転写前のグレースケール画像における中間調部平均粒状度推定値とを比較してみると、次のようなことがわかる。即ち、トナーとして、形状係数SF−1の小さなものを用いるほど、トナー像をザラツキ感のないものとして現像することができる。また、平均円形度が高いものを用いるほど、トナー像をザラツキ感のないものとして現像することができる。また、分散度の小さいものを用いるほど、トナー像をザラツキ感のないものとして現像することができる。よって、現像後且つ転写前のトナー像におけるザラツキ感をできるだけ抑えるためには、できるだけ形状係数SF−1が小さく、平均円形度が高く且つ分散度が小さいトナーを用いることが望ましい。
【0063】
表2に示したように、最も条件の悪いトナーAでも、現像後且つ転写前のトナー像(グレースケール画像)として、中間調部平均粒状度推定値が0.25を大きく下回る0.18のものを得ることができる。しかし、表2には示していないが、トナーAを用いた場合、最終的な定着後のグレースケール画像として、中間調部平均粒状度0.25以下のものを得ることはできなかった。また、表2に示したように、トナーBを用いた場合、現像後且つ転写前の画像として中間調部平均粒状度推定値0.17以下のものを得ることができる。しかし、これでも最終的な定着後の画像として、中間調部平均粒状度0.25以下のものを得ることはできなかった。最終的な定着後の画像として、中間調部平均粒状度0.25以下のものを得るためには、表4〜表7に示したように、現像後且つ転写前の画像として、中間調部平均粒状度推定値0.15以下のものを得なければならないことがわかる。
【0064】
表2〜表7で、静電転写による粒状度劣化値を比較してみると、次のようなことがわかる。即ち、静電転写だけに着目すれば、トナーの形状係数SF−1は転写後且つ定着前のトナー像における中間調部平均粒状度にそれほど影響を与えないことがわかる。また、平均円形度や分散度と、静電転写による粒状度劣化値とを比較してみても、静電転写だけに着目すれば、平均円形度や分散度は中間調部平均粒状度にそれほど影響を与えないことがわかる。静電転写の前段階の現像工程で形状係数SF−1、平均円形度、分散度がそれぞれ大きく影響しているので、結果として転写後且つ転写前の画像の中間調部平均粒状度が大きく異なってくるだけである。よって、静電転写だけに着目すれば、トナーの形状係数SF−1、平均円形度及び分散度はそれほど重要ではない。
【0065】
これに対し、表3〜表7で転写ニップ圧や転写電流と、静電転写による粒状度劣化値とを比較してみると、前者が後者に大きな影響を与えることがわかる。具体的には、転写ニップ圧、転写電流の何れも、低すぎたり高すぎたりすると、転写後のグレースケール画像の中間調部平均粒状度を大きく悪化させてしまう。
【0066】
転写ニップ圧が低すぎると転写後のグレースケール画像の中間調部平均粒状度が大きく悪化する理由は、次のように考えられる。即ち、既に述べたように、静電転写時においては、転写紙Pの画像部の周囲に少量のトナー粒子が付着して画像を乱す現象(以下、転写チリという)が少なからず起こる。従来、この転写チリは転写紙Pが転写ニップに挟まれていない状態において、転写ニップの前後で感光体1上のトナー像から少量のトナーが飛散して転写ニップに挟まれていない転写紙Pに付着することによるものと考えられていた。ところが、本発明者らは鋭意研究により、転写ニップの前後にて感光体1上のトナー像からトナーが飛散していないにもかかわらず、転写工程を経た後の転写紙P上に転写チリを引き起こしている現象を認めた。このことは、転写ニップ内においても転写チリの発生があることを示唆している。その理由は、転写ニップ内で微小ギャップが形成されることによるものと考えられる。具体的には、転写ニップ内において、感光体1表面のトナー担持領域が転写紙Pと密着していても、トナー担持領域の間のトナー非担持領域が転写紙Pに密着していないことがある。そして、このトナー非担持領域と転写紙Pとの間に微小ギャップが形成され、ここで転写チリが起こっていると考えられる。そこで、本プリンタでは、上記転写ローラ4として弾性層(第1弾性層4a、第2弾性層4b)を設けたものを用いている。そして、転写ニップにて、上記トナー担持領域とトナー非担持領域とによって形成される微妙な凹凸に追従させて弾性層を柔軟に変形させることで、上述の微小ギャップの形成を抑えるようにしている。しかしながら、せっかく上記弾性層を設けていても、転写ニップ圧を低く設定し過ぎると、それを柔軟に変形させることができず、上述の微小ギャップにて相当量の転写チリが発生してしまう。このことが転写ニップ圧を低く設定し過ぎると、転写後のグレースケール画像の中間調部平均粒状度を大きく悪化させる原因であると考えられるのである。
【0067】
また、転写ニップ圧が高すぎても転写後のグレースケール画像の中間調部平均粒状度が大きく悪化する理由は、次の通りである。即ち、転写ニップにおいては、トナー像の表面で感光体1に接触しているトナー粒子のうち、その下のトナー粒子とともに転写紙P側に転移しないで感光体1上に残ってしまうものが少なからず発生する。このトナー粒子の発生量は、転写ニップ圧が高まるほど多くなる傾向にあり、多くなり過ぎると転写後のトナー像中に白抜け部分を発生させるいわゆる版画という現象を引き起こしてしまう。転写ニップ圧が高すぎると、この版画がザラツキ感を視認させる程度まで悪化させてしまうのである。
【0068】
また、転写電流が低すぎると転写後のグレースケール画像の中間調部平均粒状度が大きく悪化する理由は、次の通りである。即ち、転写率は転写電流が大きくなるほど高くなる。そして、転写電流が低すぎると、ザラツキ感を与えない程度の量のトナー転写量が得られなくなり、中間調部平均粒状度を大きく悪化させてしまうのである。
【0069】
また、転写電流が高すぎても転写後のグレースケール画像の中間調部平均粒状度が大きく悪化する理由は、次の通りである。即ち、転写電流と、上述の転写チリの量とにも相関関係があり、前者が高くなるほど後者が多くなってくる。そして、転写電流が高すぎると、ザラツキ感を大きく与える程度の転写チリ量を発生させてしまうのである。
【0070】
よって、転写後且つ定着前のトナー像にて、ザラツキ感を与えることのない中間調部平均粒状度0.25以下の画質を得るためには、次のようにしなければならない。即ち、トナーとして適切な性状のものを用いて、現像後の中間調部平均粒状度推定値をできるだけ良好な現像を行うとともに、適切な転写ニップ圧及び転写電流で静電転写を行う必要がある。
【0071】
また、表3〜表7に示したように、転写後且つ定着前のトナー像は、転写紙Pに定着されるときにも、中間調部平均粒状度を劣化させることがわかる。定着に伴ってトナー像がつぶれたり、光沢を帯びたりすることによるものと考えられる。トナー像に密着させる方の定着ローラとしては、上記▲1▼のものがその劣化を最も抑え、上記▲3▼のものが最も劣化を大きくすることがわかる。これらのことを検討すると、最終的に(定着後に)中間調部平均粒状度0.25以下のトナー像を得るためには、次に掲げる条件1〜3の何れかを具備させなければならないことがわかる。
[条件1]
・トナーとして、形状係数SF−1が125以下、平均円形度0.96以上、及び分散度1.35以下という条件を具備するものを用いる。
・転写電流を20〜200[nA/mm2]に設定する。
・転写ニップ圧を0.20〜1.00[N/mm2]に設定する。
・定着ローラ対14aのうち、トナー像に密着させる方として、上記▲1▼のものを用いる。
[条件2]
・トナーとして、形状係数SF−1が120以下、平均円形度097以上、及び分散度1.21以下という条件を具備するものを用いる。
・転写電流を20〜200[nA/mm2]に設定する。
・転写ニップ圧を0.20〜1.00[N/mm2]に設定する。
・定着ローラ対14aのうち、トナー像に密着させる方として、上記▲1▼のものを用いる。
[条件3]
・トナーとして、形状係数SF−1が115以下、平均円形度097以上、及び分散度1.20以下という条件を具備するものを用いる。
・転写電流を20〜200[nA/mm2]に設定する。
・転写ニップ圧を0.20〜1.00[N/mm2]に設定する。
・定着ローラ対14aのうち、トナー像に密着させる方として、上記▲1▼又は▲2▼のものを用いる。
【0072】
そこで、本プリンタにおいては、トナーとして、条件1〜条件3の何れかに記載されたものを用いるようにユーザーに対して指定している。また、転写電流の値を20〜200[nA/mm2]に設定するとともに、転写ニップ圧を0.20〜1.00[N/mm2]に設定している。更に、条件1又は2に記載されたトナーを用いるように指定した場合には、定着ローラ対14aのうちトナー像に密着させる方として上記▲1▼のものを設けている。一方、条件3に記載されたトナーを用いるように指定した場合には、かかるローラとして、上記▲1▼又は▲2▼のものを設けている。よって、指定したトナーが用いられる限り、濃度階調のある画像として、定着後の状態で低画質感を与えることのない高画質のものを確実に形成することができる。なお、トナーの指定については、例えば、条件1〜3の何れかに記載されたトナーをプリンタ(画像形成装置)とともに梱包して出荷することによって行えばよい。また例えば、かかるトナーの製品番号や商品名などを、プリンタ本体やこの取扱説明書などに明記することによって行ってもよい。また例えば、ユーザーに対して書面や電子データ等をもって上記製品番号や商品名などを通知することによって行ってもよい。また例えば、かかるトナーを内部のトナー収容手段にセットした状態でプリンタ本体を出荷することによって行ってもよい。
【0073】
参考までに、重量平均粒径4.2、6.8、9.0[μm]のトナーによる転写後且つ定着前で、それぞれ中間調部平均粒状度が0.20、0.49、0.90となったグレースケール画像の拡大模式図を、それぞれ図14、図15、図16に示す。また、定着時における粒状度劣化値が0.04、0.10、0.15となったグレースケール画像の画像部の拡大模式図を、それぞれ図17、図18、図19に示す。
【0074】
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、現像後且つ転写前のトナー像の中間調部平均粒状度推定値が0.15以下であり、且つ、定着後のトナー像の中間調部平均粒状度が0.25以下であるので、定着後の濃度階調のある画像として、低画質感を与えることのない高画質のものを確実に形成することができる。
更に、上記条件1〜3の何れかを具備させるようにしている。よって、それぞれの条件で指定したトナーが用いられる限り、低画質感を与えることのない高画質のものを確実に形成することができる。
【0075】
【発明の効果】
請求項1乃至6の発明によれば、定着後の濃度階調のある画像であって、低画質感を与えることのない画像を確実に形成することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明者らの実験に用いられたグレースケール画像のディスプレイ上における映像を示す模式図。
【図2】同映像における面積率階調中心付近箇所の拡大図。
【図3】同面積率階調中心付近箇所におけるスケール像の拡大図。
【図4】グレースケール画像の各階調における平均明度LとRMS粒状度σDとの関係を示すグラフ。
【図5】テストプリントされたグレースケール画像に対するザラツキ感の主観的評価と、中間調部平均粒状度と、全階調の粒状度の平均値との関係を示すグラフ。
【図6】2×2のドットからなるパターンがマトリクス状に70個並べられたパターン画像を示す模式図。
【図7】同パターン画像をパターン毎に等間隔で分割する操作を説明する模式図。
【図8】画像の画像部面積の標準偏差σと、中間調部平均粒状度との関係を示すグラフ。
【図9】実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図10】同プリンタの感光体と現像装置とを示す拡大構成図。
【図11】同プリンタの転写ニップとその周囲とを示す側面図。
【図12】同プリンタの感光体と、これに向けて十分な圧力で押圧される転写ローラとによって形成される転写ニップを示す拡大模式図。
【図13】形状係数SF−1の算出方法を説明するための模式図。
【図14】重量平均粒径4.2[μm]のトナーによる転写後且つ定着前のグレースケール画像を示す拡大模式図。
【図15】重量平均粒径6.8[μm]のトナーによる転写後且つ定着前のグレースケール画像を示す拡大模式図。
【図16】重量平均粒径9.0[μm]のトナーによる転写後且つ定着前のグレースケール画像を示す拡大模式図。
【図17】定着時における粒状度劣化値が0.04グレースケール画像の画像部の拡大模式図。
【図18】定着時における粒状度劣化値が0.10グレースケール画像の画像部の拡大模式図。
【図19】定着時における粒状度劣化値が0.15グレースケール画像の画像部の拡大模式図。
【符号の説明】
1 感光体(潜像担持体)
4 転写ローラ(転写手段の一部)
14 定着手段
14a 定着ローラ対
20 現像装置(現像手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式によって画像を形成する画像形成方法及びこれを用いる画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式によって画像を形成する画像形成方法としては、特許文献1や特許文献2などに記載のものが知られており、例えば次のようなプロセスで画像を形成する。即ち、まず、感光体等の潜像担持体上に対して露光処理等を施して静電潜像を担持させた後、トナーの静電的な付着によってこの静電潜像を現像する。次いで、現像によって得られたトナー像を転写紙等の記録体に静電転写した後、定着ローラ等の加熱部材との密着によってそのトナー像を加熱して記録体に定着せしめる。
【0003】
かかる電子写真方式の画像形成方法においては、電子化された画像情報に基づいて画像を容易に形成し得るというメリットがある反面、オフセット印刷法に比べてどうしても画質が悪くなるというデメリットがあった。特に、写真や絵などといった濃度階調のある画像では、オフセット印刷法によるものに比べてザラツキ感が目立って、見た人に低画質であるという印象を与え易くなる。このため、電子写真方式では、如何にしてこの低画質感を抑えるかが、重要な課題となっている。
【0004】
画像のザラツキ感を表す指標としては、「ANSI PH−2.40−1985」で標準化されているRMS粒状度が知られており、これは次式に基づいて求められる。
【数1】
RMS粒状度σD=[(1/N)×Σ(Di−D)2]1/2
※但し、N:データ数、Di:濃度分布、D:平均濃度(D=1/NΣDi)
【0005】
また、ザラツキ感を示す指標として、Xerox社のDooley及びShawによって定義された粒状度GSも知られている。これは、「Winer Spectrum(以下、WS(f)という)」と、視覚の空間周波数特性(VTF:Visual Transfer Function)とのカスケード値が積分された数値である。また、WS(f)は、画像をミクロ濃度計で走査して得られた平均濃度からの濃度変動を、フーリエ変換して得られたフーリエスペクトルの二乗の集合平均である。粒状度GSは、次式によって求められる(詳細は「Dooley,Rshaw Noise Perception in Electrophotography,J.Appl.Photogr.Eng.5,4(1979),pp190−196」に記載されている)。
【数2】
粒状度GS=exp(−1.8D)∫(WS(f))1/2VTF(f)df
※但し、D:平均濃度、f:空間周波数[c/mm]、VTF(f):視覚の空間周波数特性
【0006】
【特許文献1】
特開2002−202638号公報
【特許文献2】
特開2002−287545号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、同じ画像形成装置によってプリントアウトされた画像であっても、これらRMS粒状度σDや粒状度GSが比較的良好なものと、そうでないものとが発生してしまう。このため、プリントアウトされた画像のRMS粒状度σDや粒状度GSに基づいてその画像形成装置の性能を評価することが困難であった。また、どのような画像であれば低画質感を与えないかという点について、十分な検討がなされていなかった。更に、現時点で市販されている電子写真方式の画像形成装置において、低画質感を与えることのない画像を確実に形成し得るものはない。
【0008】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、濃度階調のある画像であって、低画質感を与えることのない画像を確実に形成することができる電子写真方式の画像形成方法を提供することである。また、かかる画像を確実に形成することができる電子写真方式の画像形成装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、潜像担持体に潜像を担持させる工程と、トナーを用いて該潜像担持体上の潜像を現像する工程と、該潜像担持体上のトナー像を記録体に静電転写する工程と、該記録体上に静電転写されたトナー像に加熱部材を密着させて該トナー像を該記録体上に定着せしめる工程とを実施して、該記録体上にトナー像を形成する画像形成方法であって、現像後で且つ静電転写前の上記トナー像の中間調部平均粒状度推定値が0.15以下であり、且つ、定着後の上記トナー像の中間調部平均粒状度が0.25以下であることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、トナーを用いて該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、該潜像担持体上のトナー像を記録体に静電転写する転写手段と、該記録体上に静電転写されたトナー像に加熱部材を密着させて該トナー像を該記録体上に定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置であって、現像後で且つ静電転写前の上記トナー像の中間調部平均粒状度推定値が0.15以下であり、且つ、定着後の上記トナー像の中間調部平均粒状度が0.25以下であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置であって、上記トナーとして、形状係数SF−1が125以下、平均円形度0.96以上、且つ分散度1.35以下という条件を具備するものが指定されており、上記転写手段は、上記潜像担持体と、これに向けて上記記録体を押圧する押圧部材との間に20〜200[nA/mm2]の転写電流を流しつつ、該記録体を該潜像担持体に向けて0.20〜1.00[N/mm2]の圧力で押圧しながら、該潜像担持体上のトナー像を該記録体に静電転写せしめるものであり、且つ、上記定着手段は、上記加圧部材として、表面にシリコンゴムが被覆されたものを用いるものであることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2の画像形成装置であって、上記潜像担持体上の潜像の現像に用いられるトナーを収容するトナー収容手段を有し、上記トナーとして、形状係数SF−1が125以下、平均円形度0.96以上、且つ分散度1.35以下という条件を具備するものを該トナー収容手段に収容しており、上記転写手段は、上記潜像担持体と、これに向けて上記記録体を押圧する押圧部材との間に20〜200[nA/mm2]の転写電流を流しつつ、該記録体を該潜像担持体に向けて0.20〜1.00[N/mm2]の圧力で押圧しながら、該潜像担持体上のトナー像を該記録体に静電転写せしめるものであり、且つ、上記定着手段は、上記加圧部材として、表面にシリコンゴムが被覆されたものを用いるものであることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項2の画像形成装置であって、上記トナーとして、形状係数SF−1が120以下、平均円形度097以上、且つ分散度1.21以下という条件を具備するものが指定されており、上記転写手段は、上記潜像担持体と、これに向けて上記記録体を押圧する押圧部材との間に20〜200[nA/mm2]の転写電流を流しつつ、該記録体を該潜像担持体に向けて0.20〜1.00[N/mm2]の圧力で押圧しながら、該潜像担持体上のトナー像を該記録体に静電転写せしめるものであり、且つ、上記定着手段は、上記加圧部材として、表面にシリコンゴムが被覆されたものを用いるものであることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項2の画像形成装置であって、上記トナーとして、形状係数SF−1が115以下、平均円形度097以上、且つ分散度1.20以下という条件を具備するものが指定されており、上記転写手段は、上記潜像担持体と、これに向けて上記記録体を押圧する押圧部材との間に20〜200[nA/mm2]の転写電流を流しつつ、該記録体を該潜像担持体に向けて0.20〜1.00[N/mm2]の圧力で押圧しながら、該潜像担持体上のトナー像を該記録体に静電転写せしめるものであり、且つ、上記定着手段は、上記加圧部材として、表面にシリコンゴムが被覆されたもの、あるいは弾性層の上に四フッ化エチレン樹脂(Polytetrafluoroethylene)からなる表面層が被覆されたものを用いるものであることを特徴とするものである。
【0010】
本発明者らは、以下に説明するような鋭意研究を行って、これらの発明を完成させるに至った。即ち、まず、図1に示す600[dpi]、106線のスクリーン線にディザ処理を施した15の面積率階調のあるグレースケールの電子データを用意した。この15の面積率階調は、3、6、9、12.5、16、20、25、30、41、50、59、70、80、91、100[%]の面積率から構成されている。かかる電子データに基づいてパーソナルコンピュータのディスプレイにグレースケール映像における面積率階調中心付近箇所(面積率=41%)を拡大すると、図2のようになる。更に、この面積率階調中心付近箇所におけるスケール像を拡大すると図3に示すようになる。
【0011】
次に、本発明者らは、電子写真方式のプリンタの1号試験機を用いて、上記電子データに基づいたグレースケール画像をプリントアウトし、面積率毎にその平均明度LとRMS粒状度σDとを測定してみた。また、電子写真方式のプリンタの2号試験機を用いて、同様にしてグレースケール画像をプリントアウトし、面積率毎(ディスプレイ上の階調)に平均明度LとRMS粒状度σDとを測定してみた。なお、この2号試験機の解像度は1号試験機と同じ600[dpi]であるが、そのプリントアウト画像のザラツキ感を1号試験機によるものよりも大きくすることが事前の調査によってわかっている。また、平均明度Lは、各読み取り値L*の平均値である。
【0012】
図4は、上記1号試験機や2号試験機によってプリントアウトされたグレースケール画像の各階調における平均明度LとRMS粒状度σDとの関係を示すグラフである。図示のように、2つのグレースケール画像において、平均明度Lが20未満の箇所では互いのRMS粒状度σDに目立った差を生じないことがわかる。また、平均明度Lが80を超えた箇所でも、互いのRMS粒状度σDに目立った差を生じないことがわかる。これらは、次に説明する理由による。即ち、画像内における繰り返しパターンの密度の違いによって濃度階調を表現するデジタルプリントアウト画像では、画像のザラツキ感を左右する要因の一つとして、少量のトナー粒子を画像部周囲に不規則に付着させてしまうことが挙げられる。このトナー粒子の不規則な付着は、繰り返しパターンの密度が中程度である場合に起こり易い。繰り返しパターンの密度が所定の上限値を超えると、人間の目にはベタ部として見えてくるようになり、そのベタ部内の画像部(パターン1つ)と非画像部(パターン間)との識別が困難になってくる。このため、画像部周囲へのトナー粒子の不規則な付着がザラツキとして視認され難くなる。また、この逆に、繰り返しパターンの密度が所定の下限値を下回ると、パターン間の距離がかなり大きくなり、トナー粒子の不規則な付着がパターン間の汚れではなくパターン内に取り込まれて見えてくるため、ザラツキ感として視認され難くなる。よって、デジタルプリントアウト画像においては、その内部の画像部周囲にトナー粒子が不規則に付着しているか否かにかかわらず、平均明度Lが20未満の階調箇所や、平均明度Lが80を超える階調箇所がザラツキ感を与え難くなるのである。換言すれば、電子写真方式の画像形成装置では、その性能にかかわらず、平均明度Lが20未満の階調箇所や、平均明度Lが80を超える階調箇所を、ザラツキ感のない良好な画質にすることができる。
【0013】
一方、2つの上記グレースケール画像において、平均明度Lが20〜80の階調箇所(以下、中間調部という)では、互いのRMS粒状度σDに大きな差が生じている。1号試験機の方が明らかにザラツキ感の少ない良好なパターン(RMS粒状度σDの小さいパターン)を出力していることがわかる。このように、ザラツキ感は、平均明度Lが20〜80の中間調部で主に発生している。よって、同じ画像形成装置によってプリントアウトされた画像であっても、中間調部の面積率の比較的小さいものは良好な画質となるが、その面積率の比較的大きいものはザラツキ感の目立つ低画質となってしまう。なお、RMS粒状度σDの代わりに粒状度GSを求めてみても、同様の結果となった。同じ画像形成装置によってプリントアウトされた画像であっても、RMS粒状度σDや粒状度GSが比較的良好なものと、そうでないものとが発生してしまう理由は、このように、中間調部の面積率の違いによるものであることがわかった。
【0014】
これらのことから、電子写真方式の画像形成装置の性能を的確に知るためには、プリントアウトされた画像の全体でザラツキ感を評価するのではなく、その中間調部(平均明度L20〜80)だけでザラツキ感を評価する必要があると言える。
【0015】
次に、本発明者らは、上記RMS粒状度σDや粒状度GSとは異なった指標で、上記グレースケール画像のザラツキ感を評価してみることにした。具体的には、まず、出力されたグレースケール画像をスキャナー(ハイデンベルグ社製Nexscan4100)にて1200[dpi]の解像度で読み込んだ。そして、各面積率における平均明度Lと、粒状度とを調べてみた。粒状度については、上述のRMS粒状度σDや粒状度GSではなく、次に基づいて算出した。また、平均明度Lは、各読み取り値L*の平均値である。
【数3】
粒状度=exp(aL+b)∫(WSL(f))1/2VTF(f)df+c
※但し、L:平均明度、f:空間周波数[c/mm]、WSL(f):明度変動のパワースペクロトラム、VTF(f):視覚の空間周波数特性、a:係数(=0.1044)、b:係数(=0.8944)、c:係数(=−0.262)
【0016】
濃度Dの代わりに平均明度Lを用い、2次元でNWSを求めた後、1次元化してザラツキ感を評価するのである。この式によれば、濃度Dを用いた上述のRMS粒状度σDや粒状度GSよりも色空間のリニアリティーやカラー画像への適応性に優れたザラツキ感指標を求めることができた。なお、この粒状度の詳細は、「JapanHardcopy‘96”論文集p189「ハーフトーンカラー画像のノイズ評価方法」に記載されている。
【0017】
画像部の面積率と、平均明度Lと、上記数3の式による粒状度との関係の一例を次の表1に示す。
【表1】
【0018】
表1においても、平均明度40〜80の箇所の粒状度が他の箇所の粒状度よりも大きくなっていることがわかる。表1において、粒状度の平均値は0.32になる。これに対し、平均明度Lが40〜80の範囲になる6つのデータ(太字で示したもの)だけの平均を算出すると0.43になる。0.1以上もの差が出てしまうのである。
【0019】
次に、画像形成装置の様々な試験機によってプリントアウトされた上記グレースケール画像について、同様にして平均明度Lと、上記数3の式による粒状度とを測定した。そして、15の面積率階調の全てについて粒状度を平均した結果と、平均明度が40〜80になる箇所(以下、中間調部という)だけの粒状度を平均した結果との関係を調べてみた。更に、各グレースケール画像について、複数の試験者によるザラツキ感の主観評価を行った。この結果を図5に示す。なお、この図においては、ザラツキ感のランク(1〜5)の数値が大きくなるほど、ザラツキ感のない良好な画像であることを示している。図示のように、15の面積率階調の全てについて粒状度を平均した評価法では、ザラツキ感のランクとその平均値との相関が悪く(相関係数=0.7527)、ザラツキ感の指標として適さないことがわかる。これに対し、中間調部だけについて粒状度を平均した評価法では、ザラツキ感のランクとその平均値との相関が極めて良好であり(相関係数=0.9124)、ザラツキ感の指標として優れていることがわかる。本明細書では、この平均値を中間調部平均粒状度として定義することにする。本発明者らの鋭意研究により、この中間調部平均粒状度が0.25以下になると、ザラツキ感を与えなくなることが判明した。よって、転写紙等の記録体上に定着された後における中間調部平均粒状度が0.25以下である画像であれば、人に低画質感を与えることがなくなる。
【0020】
一方、一般に、電子写真方式の画像形成装置において、現像直後のトナー像は、転写紙等の記録体に転写される際に少量のトナー粒子を記録体の画像部周囲に不規則に付着させて、画質を劣化させる。また、記録体上に転写されたトナー像も、加熱部材との密着によってそこに定着せしめられる際に、トナー粒子のつぶれ、光沢、付着領域の広がりなどといった現象を起こして画質を劣化させる。従って、人に低画質感を与えることのない定着済みのトナー像を得るためには、基本的には、現像した時点で中間調部平均粒状度が0.25以下であるトナー像を得る必要がある。
【0021】
現像直後のトナー像について、かかるものであるか否かを評価するためには、その中間調部平均粒状度を求める必要がある。そして、そのためには、感光体等の潜像担持体上でそのトナー像をスキャナー等の読み取り手段で読み取ってその画像情報を電子化しなければならない。しかし、潜像担持体上のトナー像を読み取るのは非常に困難である。潜像担持体の表面の湾曲によって所望の読み取り精度が得られなかったり、未定着のトナー像を擦って乱してしまったりするからである。そこで、本発明者らは、次のようにして、現像直後のトナー像の中間調部平均粒状度を推定してみることにした。即ち、まず、図6に示す2×2(=4)のドットからなるパターンがマトリクス状に70個並べられたパターン画像を電子写真方式のプリンタの試験機によって転写紙上にプリントアウト(転写及び定着)した。そして、得られたプリントアウト紙を上述のスキャナーで読み取った後、その電子データに基づいて上述の中間調部平均粒状度を測定した。次いで、電子データ上のマトリクスを図6に示したように格子状に等間隔に分割し、それぞれの分割区域データ(70個)について、図7に示すように2値化してからトナー付着部の面積を解析して、画像部面積の標準偏差σを算出した。かかる算出を、様々な種類の試験機によるプリントアウト紙についてそれぞれ実施して、標準偏差σと中間調部平均粒状度との関係を調べた。次に、同じパターン画像をそれぞれの試験機で現像した後、感光体から転写紙上に転写する前に機械を止めて数時間放置してから、感光体を試験機本体から取り外した。この転写紙の未定着像を乱さないように、スキャナーのコンタクトガラス上に読み取り箇所に対応する穴の空いた0.1[mm]厚のフィルムを置き、未定着像とコンタクトガラスとを接触させないように、そのフィルムの上に転写紙を置いてスキャナー読込した。そして、その画像部面積の標準偏差σと中間調部平均粒状度とを調べた後に、先に調べた定着後のデータとともに、全てのデータにおける上記標準偏差σと、中間調部平均粒状度とを2次元平面上にプロットして両者の近似直線を得た。
【0022】
なお、現像直後のパターン画像を感光体上で数時間放置してからそのσや平均粒状度を測定するのは、次の理由からである。即ち、潜像担持体として感光体を用いる場合には、現像直後のトナー像を担持している感光体を機械内部から外部の明るい場所に移してしまうと、感光体の地肌部(非露光部)の急激な電位変化に伴ってトナーを散らせてしまうことがある。そこで、数時間放置して地肌部の電荷を十分に減衰させてから、感光体を明るい外部に取り出すのである。
【0023】
上述の近似直線を図8に示す。同図に示すように、定着後の画像に基づく画像部面積の標準偏差σから推定される粒状度と、未定着の画像に基づく画像部面積の標準偏差σから推定される粒状度とは、良好に相関することがわかる。よって、感光体上の現像画像を顕微鏡撮影してその画像部面積の標準偏差σを算出し、算出結果を同図に示したグラフにあてはめることで、感光体上における現像後且つ転写前の画像における中間調部平均粒状度を推定することができる。本明細書では、この推定値を、現像後且つ転写前の画像における中間調部平均粒状度推定値と定義する。
【0024】
従って、現像後で且つ転写前のトナー像における中間調部平均粒状度推定値を0.15以下にし、且つ定着後のトナー像における中間調部平均粒状度推定値を0.25以下にする請求項1乃至6の発明では、定着後の濃度階調のある画像として、低画質感を与えることのない高画質のものを確実に形成することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を画像形成装置であるカラー電子写真プリンタ(以下、プリンタという)に適用した一実施形態について説明する。
まず、このプリンタの基本的な構成について説明する。図9は本実施形態に係るプリンタの概略構成図である。図において、潜像を担持する潜像担持体たる感光体1は、アモルファス等からなる有機感光層を表面に有する直径100[mm]のドラム状のもので、330[mm/sec]の線速で図中時計回りに回転駆動せしめられる。そして、その表面が帯電チャージャ2によって一様に帯電せしめられた後、レーザ光学装置16によって画像情報に基づいた走査露光処理によって静電潜像を担持する。この画像情報は、図示しないパーソナルコンピュータ等から送られている。感光体1上に形成された静電潜像は、現像手段たる現像装置20によって現像されてトナー像となった後、後述の転写ニップにて記録体たる転写紙P上に静電転写される。
【0026】
図10は、感光体1と現像装置20とを示す拡大構成図である。同図において、感光体1の側方に配設された現像装置20は、互いに着脱可能に構成されたトナー補給器21と現像器25とを備えている。トナー補給器21は、内部にトナーを収容するトナー収容手段として機能しており、アジテータ22、歯車状のトナー補給ローラ23、補給規制板24等を有している。そして、内部に収容しているトナーをアジテータ22の回転駆動によってほぐしながら、トナー補給ローラ23に送る。送られたトナーは、図示しない駆動系によって回転せしめられるトナー補給ローラ23に連れ回りながら補給規制板24によってローラ上での厚みが規制された後、現像器25内に補給される。
【0027】
上記現像器25は、現像ロール26、攪拌パドル27、攪拌ローラ28、規制ブレード29、搬送スクリュー30、トナー濃度センサ(以下、Tセンサという)31等を有している。また、現像ロール26の側方に配設されたセパレータ32も有している。現像器25内には、トナーと、直径50[μm]の球形フェライトからなる磁性キャリアとを含有する二成分現像剤が収容されている。上記トナー補給器21から現像器25内に補給されたトナーは、図示しない駆動系によって回転駆動される攪拌ローラ28上に落下する。攪拌ローラ28は、落下してくるトナーを二成分現像剤と混合攪拌しながら、攪拌パドル27に向けて送る。この際、新たに補給されたトナーが磁性キャリアや攪拌ローラ28などとの摺擦によって摩擦帯電せしめられる。図示しない駆動系によって回転駆動される攪拌パドル27は、器内の二成分現像剤を攪拌しながら、現像ロール26に向けて送る。現像ロール26は、その表面を上記対向位置にてドラム表面と同方向に660[mm/sec]の線速で移動させるように図示しない駆動系によって回転駆動される直径25[mm]の非磁性パイプ26aを有している。また、これに連れ回らないようにパイプ内部に固定され、且つ周方向に別れる複数の磁極が形成されたマグネットローラ26bも有している。これら複数の磁極のうち、後述の現像領域との対向位置に存在する現像主磁極のピーク磁力は120[mT]に調整されている。
【0028】
現像部材たる上記現像ロール26は、そのケーシングに設けられた開口から周面の一部を露出させて感光体1に対面させるように配設されている。そして、攪拌パドル27から送られてくる二成分現像剤を、マグネットローラ26bの発する磁力の影響によって非磁性パイプ26aの表面に担持する。担持された二成分現像剤は、非磁性パイプ26aとともに連れ回りながら、現像ロール26と所定の間隙を保持するように配設された規制ブレード29によってパイプ上の層厚が規制される。そして、感光体1との対面位置にである現像領域まで搬送される。非磁性パイプ26aには図示しない電源によって現像バイアスが印加されている。この印加により、現像領域では、非磁性パイプ26aと感光体1の静電潜像との間において、トナーをパイプ側からドラム側に静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。また、非磁性パイプ26aと感光体1の非画像部(非潜像部分)との間において、トナーをドラム側からパイプ側に静電移動させる非現像ポテンシャルが作用する。よって、現像領域まで搬送された二成分現像剤は、トナーを感光体1の静電潜像だけに付着させて、静電潜像をトナー像に現像する。現像ロール26の非磁性パイプ26aとの連れ回りに伴って現像領域を通過した二成分現像剤は、非磁性パイプ26aとの連れ回りに伴って現像器101内に回収される。
【0029】
上述のように、現像ロール26の非磁性パイプ26aに担持された二成分現像剤は、規制ブレード29によってパイプ上の層厚が規制される。この規制により、規制ブレード29よりもパイプ回転方向上流側には、非磁性パイプ26aとの連れ回りを阻止された二成分現像剤が滞留する。そして、後続の二成分現像剤に押されることで、現像ロール26の側方に配設されたセパレータ32の上に溢れる。溢れた二成分現像剤は、セパレータ32上面の傾斜に沿って移動することで、搬送スクリュー30に向けて案内される。搬送スクリュー30は、案内されてくる二成分現像剤をその軸線方向(図中奥行き方向)に向けて攪拌搬送する。これにより、二成分現像剤のいわゆる横攪拌が行われる。この横攪拌に対し、攪拌ロール26や、攪拌パドル27は、二成分現像剤をその回転周方向に搬送しながらかき回すいわゆる縦攪拌を行う。搬送スクリュー30は、二成分現像剤を横攪拌しながら、攪拌ローラ28上に落下させる。この落下により、現像器内における二成分現像剤の縦循環が実現している。
【0030】
上記攪拌ローラ28の下側には、Tセンサ31が配設されており、攪拌ローラ28によって攪拌搬送される二成分現像剤の透磁率に応じた信号を図示しない制御部に出力する。二成分現像剤のトナー濃度は、透磁率と相関するため、Tセンサ31は結果として二成分現像剤のトナー濃度を検知していることになる。上記制御部は、Tセンサ31からの出力信号を、所定の目標値に近づけるようにトナー補給器21を適宜動作させることで、現像に伴ってトナー濃度を低下させた二成分現像剤のトナー濃度を回復させる。但し、二成分現像剤の透磁率が湿度等の環境変化や二成分現像剤の嵩変化などによって変動するため、制御部は上記目標値を適宜補正する。具体的には、所定のタイミングで感光体1上に形成せしめた基準トナー像の画像濃度に応じて、上記目標値を補正する。この画像濃度については、例えば基準トナー像の光反射率を検知する反射型フォトセンサからの出力などによって把握される。
【0031】
上記感光体1の図中下方には、転写ローラ4等を有する転写手段が配設されている。この転写手段は、図示されている転写ローラ4の他、これを回転駆動させる駆動手段や、転写ローラ4に転写バイアスを印加する図示しない電源などを有している。転写ローラ4は、感光体1に所定の圧力で当接して転写ニップを形成しながら、当接部にてその表面を感光体1表面と同方向に移動させるように回転駆動される。この転写ニップにおいては、上記転写バイアスの影響によって転写電界が形成される。感光体1上で現像されたトナー像は、感光体1の回転に伴って転写ニップに進入する。
【0032】
上記転写手段の下方には、記録体たる転写紙Pを複数枚重ねて収容する複数の給紙カセット10が互いに鉛直方向に重なるように配設されている。これら給紙カセット10は、一番上の転写紙Pに押し当てている給紙ローラ10aを所定のタイミングで回転駆動させて、その転写紙Pを給紙搬送路に給紙する。給紙搬送路内では、送り出された転写紙Pが複数の搬送ローラ対11を経た後、レジストローラ対12のローラ間に挟まれて止まる。レジストローラ対12は、挟み込んだ転写紙Pを、上述のようにして感光体1上に形成されたトナー像に重ね合わせ得るタイミングで上記転写ニップに向けて送り出す。これにより、感光体1上のトナー像と、レジストローラ対12によって送り出された転写紙Pとが転写ニップで同期して密着せしめられる。そして、上述の転写電界やニップ圧(転写圧)の影響によって被押圧体たる転写紙P上に静電転写される。
【0033】
上記転写ローラの図中左側方には、2本のローラに張架した紙搬送ベルト13aを図中反時計回りに無端移動せしめる紙搬送ユニット13が配設されている。また、この紙搬送ユニット13の更に左側方には、定着手段14、排紙ローラ対15が順次配設されている。上述のトナー像が静電転写せしめられた転写紙Pは、感光体1や転写ローラ4の回転に伴って転写ニップから紙搬送ユニット13の紙搬送ベルト13a上に送られた後、定着手段14内に入る。この定着手段14は、内部にハロゲンランプ等の熱源を有し且つ互いに当接しながら等速で回転する定着ローラ14a対によって定着ニップを形成している。これら定着ローラ14aは、それぞれ図示しない表面温度センサによる検知結果に基づいて熱源への電源供給がON/OFF制御されることで、その表面温度が所定値(例えば165〜185[℃])に維持される。定着手段14内に入った転写紙Pは、上記定着ニップに挟まれて加熱処理及び加圧処理が施されることで、その表面にトナー像が定着せしめられる。そして、定着手段14内から排紙ローラ対15を経て機外へと排出される。
【0034】
上記転写ニップで転写紙P上に静電転写されずに感光体1表面に残留した転写残トナーは、感光体クリーナー17によって感光体1から除去される。このようにしてクリーニングされた感光体1表面は、図示しない除電手段によって除電された後、上記帯電チャージャによって一様帯電せしめられる。また、上記転写ニップで感光体1上から紙搬送ベルト13a上に転移してしまったトナーは、紙搬送ユニット13のベルトクリーニング装置13bによって紙搬送ベルト13a上から除去される。なお、感光体クリーナー17は、ステアリン酸亜鉛棒を引っ掻いて得たステアリン酸亜鉛粉末を感光体1表面に塗布するステアリン酸亜鉛塗布手段を有している。クリーニング後の感光体1表面にステアリン酸亜鉛粉末を塗布することで、感光体1の表面摩擦係数を低下させて転写性を向上させることができる。
【0035】
図11は、上記転写ニップとその周囲とを示す側面図である。感光体1に向けて押圧される転写ローラ4は、ステンレス、鉄等からなる直径20〜30[mm]の図示しない芯金ローラと、これに被覆されたEPDM、シリコーン、NBR、ウレタン等からなるソリッド状の第1弾性層4aとを有している。また、この第1弾性層4aの上に被覆された第2弾性層4b(第1弾性層よりも柔らかい)や、上記芯金ローラの両端面に突設せしめられた軸4cなども有している。両端の軸4cは、それぞれ軸受18によって回動可能に支持されており、これら軸受18はバネ19によって感光体1に向けて付勢されている。この付勢により、転写ローラ4が感光体1に向けて押圧される。
【0036】
上記第2弾性層4bは、厚み、硬度(AskerC/1kg荷重時)、体積固有抵抗が、それぞれ0.1[mm]、25[度]、1×109〜1×1011[Ωcm]に調整されている。また、上記第1弾性層4aは、厚み、硬度(AskerC/1kg荷重時)、体積固有抵抗が、それぞれ2.0[mm]、70[度]、第2弾性層4bよりも一桁小さい値に調整されている。第2弾性層4bの硬度が15[度]未満になると、永久変形を引き起こし易くなってしまう。また、第2弾性層4bの硬度が40[度]を超えると、弾性変形による上記エアーギャップの低減効果が急激に得られ難くなってくる。また、第1弾性層4aの硬度が60[度]未満で且つその厚みが0.5[mm]未満になると、転写ニップで転写紙Pと感光体1との密着性を向上させる効果が急激に弱まり始める。
【0037】
本プリンタに用いられるトナーとしては、従来から公知の製造法によって製造されたものを用いることができる。例えば、粉砕法によるものを用いることができる。即ち、結着樹脂、磁性体、離型剤、着色剤、必要に応じて帯電制御剤等をミキサー等を用いて混合し、熱ロール、エクストルーダー等の混練機を用い混練する。そして、冷却固化し、これをジェットミル、ターボジェット、クリプトロン等の粉砕で粉砕した後、分級して得られたトナーである。また例えば、重合法によって製造されたトナーでもよい。なかでも、変性ポリエステル樹脂を基材として用いた重合法によって製造されたトナーが好適である。
【0038】
図12は、感光体1と、これに向けて十分な圧力で押圧される転写ローラ4とによって形成される転写ニップを示す拡大模式図である。同図に示すように、転写ローラ4が感光体1に向けて十分な圧力で押圧されてなる転写ニップでは、転写ローラ4の第1弾性層4aや第2弾性層4bが柔軟に弾性変形する。この弾性変形により、転写紙Pが、感光体1表面に担持されているトナー像Iの表層に接触するだけでなく、互いに隣り合っているトナー像Iの間の凹部に食い込むように押圧されて、感光体1表面やトナー像Iとの密着性が高められる。このことにより、感光体1と転写紙Pとの間に形成されるエアーギャップが低減されて、転写ニップ内やニップ前後における転写チリが抑えられる。
【0039】
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。
本発明者らは、以下に説明する実験例の実験結果に基づいて、本プリンタの特徴的な構成を創作するに至った。即ち、まず、A〜Fという6種類のトナーを製造した。
【0040】
トナーAについては、次のようにして製造した。
[トナーバインダーの合成]
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724重量部、イソフタル酸276重量部及びジブチルチンオキサイド2重量部を入れた。そして、常圧且つ230[℃]の条件下で8時間重縮合反応させた後、更に10〜15[mmHg]まで減圧して5時間反応させた。次いで、160[℃]まで冷却した後、32重量部の無水フタル酸を加えて2時間反応させた。そして、更に80[℃]まで冷却した後、酢酸エチル中にてイソフォロンジイソシアネート188重量部と2時間反応させてイソシアネート含有プレポリマーを得た。次に、このイソシアネート含有プレポリマー267重量部と、イソホロンジアミン14重量部とを50[℃]で2時間反応させて、重量平均分子量64000のウレア変性ポリエステル(1)を得た。一方、既に述べた手法と同様にして、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724重量部と、テレフタル酸276重量部とを常圧且つ230[℃]の条件下で8時間重縮合反応させた。そして、10〜15[mmHg]まで減圧して5時間反応させて、ピーク分子量5000の変性されていないポリエステル(a)を得た。次いで、酢酸エチルとメチルエチルケトン(以下、MEKという)との1:1混合溶剤を用意した。そして、上述のウレア変性ポリエステル(1)200重量部と、上述の変性されていないポリエステル(a)800重量部とを、この混合溶剤に溶解、混合して、トナーバインダー(A)の溶液を得た。次に、これを一部減圧乾燥して、トナーバインダー(A)を単離した。そのガラス転移温度(以下、Tgという)、酸化は、それぞれ62[℃]、10であった。
【0041】
[トナーの合成]
ビーカー内に上述のトナーバインダー(A)の溶液240重量部と、ペンタエリスリトールテトラベヘネート(融点81℃、溶融粘度25cps)20重量部と、カーボンブラック10重量部とを入れた。そして、60[℃]の温度環境下にてTK式ホモミキサーを用いて12000[rpm]の速度で攪拌して、それらを均一に溶解、分散させた。これをトナー材料溶液とした。次いで、他のビーカー内にイオン交換水706重量部と、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業社製のスーパタイト10)294重量部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2重量部とを入れて均一に溶解した。そして、これを60[℃]まで昇温せしめた後、TK式ホモミキサーにて12000[rpm]の速度で攪拌しながら、上述のトナー材料溶液を投入して10分間攪拌した。次に、この混合液を攪拌棒及び温度計の付設されたコルベンに移し、98[℃]まで昇温せしめて一部溶剤を除去した。そして、室温に戻してから上記TK式ホモミキサーにて12000[rpm]の速度で攪拌して、トナーの形状を整えた後、更に溶剤を完全に除去した。その後、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級して、母体トナー粒子を得た。更に、この母体トナー粒子100重量部に疎水性シリカ0.5重量部をヘンシェルミキサーにて混合して、トナーAを得た。このトナーAの形状係数SF−1は140、平均円形度は0.92、分散度は1.39、凝集度は25[%]であった。
【0042】
なお、形状係数SF−1は、粒子の丸さの度合いを示す指標であり、次のようにして求めることができる。即ち、例えば日立製作所製FE−SEM(S−800)などの顕微装置を用いて1000倍の拡大観察エリアを得る。そして、この拡大観察エリアにて、トナー粒子を無作為に100個サンプリングしながらその画像を順次撮影していく。そして、得られた撮影画像の電子データを、インターフェース経由で例えばニコレ社製LuzexIIIなどの画像解析装置に転送して、各粒子について径の絶対最大長MXLNGと投影面積AREAとを解析してそれらの平均値を算出する。この絶対最大長MXLNGとは、図13に示すように、トナー粒子の2次元投影画像において径が最大となる箇所の長さのことである。真の楕円であれば、長径の長さとなる。解析された絶対最大長MXLNGと投影面積AREAとを次に示す式に代入して、トナー粒子100個あたりの平均を算出すれば、形状係数SF−1を求めることができる。真球の形状係数SF−1は100である。
【数4】
SF−1=(MXLNG)2/AREA×(π/4)×100
【0043】
また、トナーの平均円形度については、株式会社SYSMEX製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて、次のようにして測定した。即ち、1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調整した後、これを0.45[μm]のフィルターで濾過する。得られた濾液50〜100[ml]に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加えた後、これに試料(トナー粉体)を1〜10[mg]加える。更に、超音波分散機にてトナー分散処理を1分間施して、5000〜15000[個/μl]のトナー濃度の被検材料を得た。この被検材料中のトナーをCCDカメラで撮像して得た2次元画像のトナー粒子面積と同一の面積を有する円の直径を円相当径として求める。そして、この円相当径で0.6[μm]以上のトナー粒子をCCDの撮影精度に鑑みた有効被検粒子としてその円形度を算出した。具体的には、CCDカメラによる2次元のトナー粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長を投影像の周囲長で除算することによって円形度を算出した。そして、各トナー粒子の円形度の累積値を全トナー粒子数で除算することで平均円形度を求めた。
【0044】
また、トナーの分散度については、トナーの重量平均径を個数平均径で除算することで求めた。これらの径については、Coulter MULTISIZER 2eを用い、これに100[μm]の径のアパーチャーをセットして測定した。
【0045】
また、トナーの凝集度については、パウダテスター(ホソカワミクロン株式会社製PT−N型)を用いて測定した。この測定における操作方法については基本的にテスターの取り扱い説明書に従ったが、次に列記する点については変更した。
・使用ふるい:75μm、45μm、22μmの3通りについて試験した
・振動時間:30秒
【0046】
トナーBについては、次のようにして製造した。
[トナーバインダーの合成]
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物334重量部と、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物334重量部と、イソフタル酸274重量部と、無水トリメリット酸20重量部とを混ぜ合わせた。そして、トナーAと同様にして、重縮合反応させた後、更にイソホロンジイソシアネート154重量部を反応させてプレポリマーを得た。そして、このプレポリマー213重量部と、イソホロンジアミン9.5重量部と、ジブチルアミン0.5重量部とをトナーAと同様に反応させて、重量平均分子量79000のウレア変性ポリエステル(2)を得た。次いで、このウレア変性ポリエステル(2)200重量部と、上述の変性されていないポリエステル(a)800重量部とを、酢酸エチルとMEKとの1:1混合溶剤2000重量部に溶解、混合して、トナーバインダー(B)の溶液を得た。そして、これを一部減圧乾燥して、トナーバインダー(B)を単離した。そのピーク分子量は5000、Tgは62℃、酸価は10であった。
【0047】
[トナーの合成]
溶解温度や分散温度を50[℃]に変えた点の他は、トナーAと同様にして、母体トナー粒子を得た。そして、この母体トナー粒子100重量部に、サリチル酸誘導体の亜鉛塩からなる帯電制御剤1.0重量部を混合し、加温雰囲気中で攪拌て粒子表面に帯電制御剤を固着させた。次に、このトナー粒子100重量部に疎水性シリカ1.0重量部と疎水性酸化チタン0.5重量部とをヘンシェルミキサーにて混合して、トナーBを得た。このトナーBの形状係数SF−1は130、平均円形度は0.92、分散度は1.37、凝集度は24[%]であった。
【0048】
トナーCについては、次のようにして製造した。
[トナーバインダーの合成]
上述のウレア変性ポリエステル(1)30重量部と、上述の変性されていないポリエステル(a)970重量部とを、酢酸エチルとMEKとの1:1混合溶剤2000重量部に溶解、混合した。これによって得たトナーバインダー(B)の溶液を一部減圧乾燥して、トナーバインダー(C)を単離した。そのピーク分子量は5000、Tgは62℃、酸価は10であった。
【0049】
[トナーの合成]
トナーバインダー(C)を用い、且つ、着色剤としてカーボンブラック8重量部を用いた点の他は、トナーBと同様にしてトナーCを得た。このトナーCの形状係数SF−1は125、平均円形度は0.96、分散度は1.35、凝集度は22%であった。
【0050】
トナーDについては、次のようにして製造した。
[トナーバインダーの合成]
上述のウレア変性ポリエステル(1)500重量部と、上述の変性されていないポリエステル(a)500重量部とを、酢酸エチルとMEKとの1:1混合溶剤2000重量部に溶解、混合した。これによって得たトナーバインダー(D)の溶液を一部減圧乾燥して、トナーバインダー(D)を単離した。そのピーク分子量は5000、Tgは62[℃]、酸価は10であった。
【0051】
[トナーの合成]
トナーバインダー(D)を用い、且つ、着色剤としてカーボンブラック8重量部を用いた点の他は、トナーAと同様にしてトナーDを得た。このトナーDの形状係数SF−1は120、平均円形度は0.97、分散度は1.21、凝集度は22[%]であった。
【0052】
トナーEについては、次のようにして製造した。
[トナーバインダーの合成]
上述のウレア変性ポリエステル(1)750重量部と、上述の変性されていないポリエステル(a)250重量部とを、酢酸エチルとMEKとの1:1混合溶剤2000重量部に溶解、混合した。これによって得たトナーバインダー(E)の溶液を一部減圧乾燥して、トナーバインダー(E)を単離した。そのピーク分子量は5000、Tgは62[℃]、酸価は10であった。
【0053】
[トナーの合成]
トナーバインダー(E)を用いた点の他は、トナーAと同様にしてトナーEを得た。このトナーEの形状係数SF−1は115、平均円形度は0.97、分散度は1.20、凝集度は18[%]であった。
【0054】
トナーFについては、次のようにして製造した。
[トナーの合成]
上記トナーバインダー(E)の母体トナー粒子100重量部に対し、疎水性シリカ1.5重量部をヘンシェルミキサーにて混合して、トナーFを得た。このトナーFの形状係数SF−1は115、平均円形度は0.97、分散度は1.20、凝集度は7[%]であった。
【0055】
重量平均粒径50[μm]の球形フェライトの表面に、シリコーン樹脂をコートした後、熱乾燥して磁性キャリアを得た。そして、上述の6種類のトナーを、それぞれこの磁性キャリアと混合して6種類の二成分現像剤を得た。なお、トナーと磁性キャリアとの混合比率については、3.0〜5.0[w%]に調整した。
【0056】
株式会社リコー社製の電子写真プリンタ(Imagio NEO750)を改造して、図9に示した構成と同様のプリンタ試験機を製造した。そして、上述の6種類の二成分現像剤をそれぞれ用いて、このプリンタ試験機でグレースケール画像(図1参照)を現像した。そして、それが転写紙P上に静電転写される前にプリント動作を中断させて、感光体1上における中間調部平均粒状度推定値を先に述べた方法と同様にして求めた。
【0057】
次に、上述の6種類の二成分現像剤をそれぞれ用いて同様にしてグレースケール画像を現像した後、転写紙P上に静電転写した。但し、その転写紙Pを上記定着手段14に進入させる前に試験機のプリント動作を停止させて、未定着のグレースケール画像を担持した転写紙P(以下、未定着転写紙という)を得た。同様の実験を、4段階の転写ニップ圧条件について、それぞれ転写電流条件を4段階に変化させて行って、合計で96枚の未定着転写紙を得た(トナー6種類×転写ニップ圧条件4段階×転写電流条件4段階)。なお、転写ニップ圧条件は、0.04、0.20、1.00、2.00[N/mm2]の4段階である。また、転写電流条件は、10、20、200、400[nA/mm2]の4段階である。
【0058】
得られた96枚の未定着転写紙について、それぞれグレースケール画像の中間調部平均粒状度を測定した。このとき、グレースケール画像が未定着であるため、そのままではスキャナーで読み取らせる際に擦って画質を乱してしまうおそれがある。そこで、まず、測定用の穴のあいた約0.1[mm]厚のフィルムを用意して、これを未定着転写紙の画像担持面に密着させた後、フィルム密着面をスキャナー(ハイデンベルグ社製Nexscan4100)の原稿載置面に密着させた。このように、フィルムをスペーサとして機能させてグレースケール画像の測定対象領域を原稿載置面に接触させないようにして、1200[dpi]の解像度で読み込んだ。そして、得られた電子データに基づいて、転写後且つ定着前のグレースケール画像の中間調部平均粒状度を求めた。
【0059】
また、次のようにして、転写後且つ定着前のグレースケール画像の転写率も求めた。即ち、まず、感光体1から転写紙Pにグレースケール画像が静電転写された時点でプリント動作を停止させ、それまでそのグレースケール画像が担持されていた感光体1領域に残留しているトナーを粘着テープで収集した。そして、この粘着テープの重量を測定し、この測定値から、トナー収集前に予め測定しておいた粘着テープだけの重量を差し引いた値を転写残トナー量とした。次に、トナー像が転写された転写紙Pを画像のある箇所で切り抜いて紙片とした後、その重量を測定した。そして、その紙片のグレースケール画像に圧縮エアーを吹きかけてトナーをほぼ全量吹き飛ばした後、再び紙片の重量を測定し、前者の重量から後者の重量を差し引いた値を、転写トナー量とした。このようにして求めた転写残トナー量と転写トナー量とを加算した値を、全トナー量とした。そして、次式とに基づいて転写率を求めた。
【数5】
転写率=転写トナー量/全トナー量×100[%]
【0060】
次いで、上述の96枚の未定着転写紙をそれぞれ上記定着手段14に通して、プリントアウト紙を得た。更に、定着条件を変化させながら同様のプリントアウト紙を得た。先のプリントアウト紙のときと合わせると、合計で3段階の定着条件についてテストして、288枚のプリントアウト紙を得たのである。なお、これら定着条件については、定着ローラ14a対のうち、トナー像に密着する方(請求項に記載した加熱部材として機能する方)として、次に列記するものに順次変更することで、3段階に変化させた。
▲1▼芯金ローラ上に厚み1mm、硬度25[度](アスカーC/1kg荷重時)のシリコーンゴムからなる表面層を設けたもの(以下、シリコーン表面ローラという)。
▲2▼芯金ローラ上に厚み200[μm]のシリコーンゴムからなる中間層を設け、その上に厚み20[μm]の四フッ化エチレン樹脂(Polytetrafluoroethylene)からなる表面層を設けたもの。以下、これをテフ(商標名テフロンの略)表面弾性ローラという。また、このローラの芯金ローラ上における2層合成硬度は、70[度](アスカーC/1kg荷重時)であった。
▲3▼芯金ローラ上に四フッ化エチレン樹脂からなる表面層を設けたもの(以下、テフ表面剛性ローラという)。そして、得られたプリントアウト紙に基づいて、定着後のグレースケール画像における中間調部平均粒状度を測定した。
【0061】
次に示す表1は、トナーAの性状と、このトナーAを用いて得たグレースケール画像の現像後(転写前)における中間調部平均粒状度推定値とを示すものである。また、次に示す表2、表3、表4、表5、表6は、それぞれトナーB、C、D、E、Fについて、その性状と、グレースケール画像の現像後(転写前)における中間調部平均粒状度推定値との関係を示すものである。但し、これらには、転写率、転写後且つ定着前における中間調部平均粒状度、定着後における中間調部平均粒状度も関連付けて示している。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0062】
表2〜表7の間で、形状係数SF−1、平均円形度及び分散度と、感光体1上の現像後且つ転写前のグレースケール画像における中間調部平均粒状度推定値とを比較してみると、次のようなことがわかる。即ち、トナーとして、形状係数SF−1の小さなものを用いるほど、トナー像をザラツキ感のないものとして現像することができる。また、平均円形度が高いものを用いるほど、トナー像をザラツキ感のないものとして現像することができる。また、分散度の小さいものを用いるほど、トナー像をザラツキ感のないものとして現像することができる。よって、現像後且つ転写前のトナー像におけるザラツキ感をできるだけ抑えるためには、できるだけ形状係数SF−1が小さく、平均円形度が高く且つ分散度が小さいトナーを用いることが望ましい。
【0063】
表2に示したように、最も条件の悪いトナーAでも、現像後且つ転写前のトナー像(グレースケール画像)として、中間調部平均粒状度推定値が0.25を大きく下回る0.18のものを得ることができる。しかし、表2には示していないが、トナーAを用いた場合、最終的な定着後のグレースケール画像として、中間調部平均粒状度0.25以下のものを得ることはできなかった。また、表2に示したように、トナーBを用いた場合、現像後且つ転写前の画像として中間調部平均粒状度推定値0.17以下のものを得ることができる。しかし、これでも最終的な定着後の画像として、中間調部平均粒状度0.25以下のものを得ることはできなかった。最終的な定着後の画像として、中間調部平均粒状度0.25以下のものを得るためには、表4〜表7に示したように、現像後且つ転写前の画像として、中間調部平均粒状度推定値0.15以下のものを得なければならないことがわかる。
【0064】
表2〜表7で、静電転写による粒状度劣化値を比較してみると、次のようなことがわかる。即ち、静電転写だけに着目すれば、トナーの形状係数SF−1は転写後且つ定着前のトナー像における中間調部平均粒状度にそれほど影響を与えないことがわかる。また、平均円形度や分散度と、静電転写による粒状度劣化値とを比較してみても、静電転写だけに着目すれば、平均円形度や分散度は中間調部平均粒状度にそれほど影響を与えないことがわかる。静電転写の前段階の現像工程で形状係数SF−1、平均円形度、分散度がそれぞれ大きく影響しているので、結果として転写後且つ転写前の画像の中間調部平均粒状度が大きく異なってくるだけである。よって、静電転写だけに着目すれば、トナーの形状係数SF−1、平均円形度及び分散度はそれほど重要ではない。
【0065】
これに対し、表3〜表7で転写ニップ圧や転写電流と、静電転写による粒状度劣化値とを比較してみると、前者が後者に大きな影響を与えることがわかる。具体的には、転写ニップ圧、転写電流の何れも、低すぎたり高すぎたりすると、転写後のグレースケール画像の中間調部平均粒状度を大きく悪化させてしまう。
【0066】
転写ニップ圧が低すぎると転写後のグレースケール画像の中間調部平均粒状度が大きく悪化する理由は、次のように考えられる。即ち、既に述べたように、静電転写時においては、転写紙Pの画像部の周囲に少量のトナー粒子が付着して画像を乱す現象(以下、転写チリという)が少なからず起こる。従来、この転写チリは転写紙Pが転写ニップに挟まれていない状態において、転写ニップの前後で感光体1上のトナー像から少量のトナーが飛散して転写ニップに挟まれていない転写紙Pに付着することによるものと考えられていた。ところが、本発明者らは鋭意研究により、転写ニップの前後にて感光体1上のトナー像からトナーが飛散していないにもかかわらず、転写工程を経た後の転写紙P上に転写チリを引き起こしている現象を認めた。このことは、転写ニップ内においても転写チリの発生があることを示唆している。その理由は、転写ニップ内で微小ギャップが形成されることによるものと考えられる。具体的には、転写ニップ内において、感光体1表面のトナー担持領域が転写紙Pと密着していても、トナー担持領域の間のトナー非担持領域が転写紙Pに密着していないことがある。そして、このトナー非担持領域と転写紙Pとの間に微小ギャップが形成され、ここで転写チリが起こっていると考えられる。そこで、本プリンタでは、上記転写ローラ4として弾性層(第1弾性層4a、第2弾性層4b)を設けたものを用いている。そして、転写ニップにて、上記トナー担持領域とトナー非担持領域とによって形成される微妙な凹凸に追従させて弾性層を柔軟に変形させることで、上述の微小ギャップの形成を抑えるようにしている。しかしながら、せっかく上記弾性層を設けていても、転写ニップ圧を低く設定し過ぎると、それを柔軟に変形させることができず、上述の微小ギャップにて相当量の転写チリが発生してしまう。このことが転写ニップ圧を低く設定し過ぎると、転写後のグレースケール画像の中間調部平均粒状度を大きく悪化させる原因であると考えられるのである。
【0067】
また、転写ニップ圧が高すぎても転写後のグレースケール画像の中間調部平均粒状度が大きく悪化する理由は、次の通りである。即ち、転写ニップにおいては、トナー像の表面で感光体1に接触しているトナー粒子のうち、その下のトナー粒子とともに転写紙P側に転移しないで感光体1上に残ってしまうものが少なからず発生する。このトナー粒子の発生量は、転写ニップ圧が高まるほど多くなる傾向にあり、多くなり過ぎると転写後のトナー像中に白抜け部分を発生させるいわゆる版画という現象を引き起こしてしまう。転写ニップ圧が高すぎると、この版画がザラツキ感を視認させる程度まで悪化させてしまうのである。
【0068】
また、転写電流が低すぎると転写後のグレースケール画像の中間調部平均粒状度が大きく悪化する理由は、次の通りである。即ち、転写率は転写電流が大きくなるほど高くなる。そして、転写電流が低すぎると、ザラツキ感を与えない程度の量のトナー転写量が得られなくなり、中間調部平均粒状度を大きく悪化させてしまうのである。
【0069】
また、転写電流が高すぎても転写後のグレースケール画像の中間調部平均粒状度が大きく悪化する理由は、次の通りである。即ち、転写電流と、上述の転写チリの量とにも相関関係があり、前者が高くなるほど後者が多くなってくる。そして、転写電流が高すぎると、ザラツキ感を大きく与える程度の転写チリ量を発生させてしまうのである。
【0070】
よって、転写後且つ定着前のトナー像にて、ザラツキ感を与えることのない中間調部平均粒状度0.25以下の画質を得るためには、次のようにしなければならない。即ち、トナーとして適切な性状のものを用いて、現像後の中間調部平均粒状度推定値をできるだけ良好な現像を行うとともに、適切な転写ニップ圧及び転写電流で静電転写を行う必要がある。
【0071】
また、表3〜表7に示したように、転写後且つ定着前のトナー像は、転写紙Pに定着されるときにも、中間調部平均粒状度を劣化させることがわかる。定着に伴ってトナー像がつぶれたり、光沢を帯びたりすることによるものと考えられる。トナー像に密着させる方の定着ローラとしては、上記▲1▼のものがその劣化を最も抑え、上記▲3▼のものが最も劣化を大きくすることがわかる。これらのことを検討すると、最終的に(定着後に)中間調部平均粒状度0.25以下のトナー像を得るためには、次に掲げる条件1〜3の何れかを具備させなければならないことがわかる。
[条件1]
・トナーとして、形状係数SF−1が125以下、平均円形度0.96以上、及び分散度1.35以下という条件を具備するものを用いる。
・転写電流を20〜200[nA/mm2]に設定する。
・転写ニップ圧を0.20〜1.00[N/mm2]に設定する。
・定着ローラ対14aのうち、トナー像に密着させる方として、上記▲1▼のものを用いる。
[条件2]
・トナーとして、形状係数SF−1が120以下、平均円形度097以上、及び分散度1.21以下という条件を具備するものを用いる。
・転写電流を20〜200[nA/mm2]に設定する。
・転写ニップ圧を0.20〜1.00[N/mm2]に設定する。
・定着ローラ対14aのうち、トナー像に密着させる方として、上記▲1▼のものを用いる。
[条件3]
・トナーとして、形状係数SF−1が115以下、平均円形度097以上、及び分散度1.20以下という条件を具備するものを用いる。
・転写電流を20〜200[nA/mm2]に設定する。
・転写ニップ圧を0.20〜1.00[N/mm2]に設定する。
・定着ローラ対14aのうち、トナー像に密着させる方として、上記▲1▼又は▲2▼のものを用いる。
【0072】
そこで、本プリンタにおいては、トナーとして、条件1〜条件3の何れかに記載されたものを用いるようにユーザーに対して指定している。また、転写電流の値を20〜200[nA/mm2]に設定するとともに、転写ニップ圧を0.20〜1.00[N/mm2]に設定している。更に、条件1又は2に記載されたトナーを用いるように指定した場合には、定着ローラ対14aのうちトナー像に密着させる方として上記▲1▼のものを設けている。一方、条件3に記載されたトナーを用いるように指定した場合には、かかるローラとして、上記▲1▼又は▲2▼のものを設けている。よって、指定したトナーが用いられる限り、濃度階調のある画像として、定着後の状態で低画質感を与えることのない高画質のものを確実に形成することができる。なお、トナーの指定については、例えば、条件1〜3の何れかに記載されたトナーをプリンタ(画像形成装置)とともに梱包して出荷することによって行えばよい。また例えば、かかるトナーの製品番号や商品名などを、プリンタ本体やこの取扱説明書などに明記することによって行ってもよい。また例えば、ユーザーに対して書面や電子データ等をもって上記製品番号や商品名などを通知することによって行ってもよい。また例えば、かかるトナーを内部のトナー収容手段にセットした状態でプリンタ本体を出荷することによって行ってもよい。
【0073】
参考までに、重量平均粒径4.2、6.8、9.0[μm]のトナーによる転写後且つ定着前で、それぞれ中間調部平均粒状度が0.20、0.49、0.90となったグレースケール画像の拡大模式図を、それぞれ図14、図15、図16に示す。また、定着時における粒状度劣化値が0.04、0.10、0.15となったグレースケール画像の画像部の拡大模式図を、それぞれ図17、図18、図19に示す。
【0074】
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、現像後且つ転写前のトナー像の中間調部平均粒状度推定値が0.15以下であり、且つ、定着後のトナー像の中間調部平均粒状度が0.25以下であるので、定着後の濃度階調のある画像として、低画質感を与えることのない高画質のものを確実に形成することができる。
更に、上記条件1〜3の何れかを具備させるようにしている。よって、それぞれの条件で指定したトナーが用いられる限り、低画質感を与えることのない高画質のものを確実に形成することができる。
【0075】
【発明の効果】
請求項1乃至6の発明によれば、定着後の濃度階調のある画像であって、低画質感を与えることのない画像を確実に形成することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明者らの実験に用いられたグレースケール画像のディスプレイ上における映像を示す模式図。
【図2】同映像における面積率階調中心付近箇所の拡大図。
【図3】同面積率階調中心付近箇所におけるスケール像の拡大図。
【図4】グレースケール画像の各階調における平均明度LとRMS粒状度σDとの関係を示すグラフ。
【図5】テストプリントされたグレースケール画像に対するザラツキ感の主観的評価と、中間調部平均粒状度と、全階調の粒状度の平均値との関係を示すグラフ。
【図6】2×2のドットからなるパターンがマトリクス状に70個並べられたパターン画像を示す模式図。
【図7】同パターン画像をパターン毎に等間隔で分割する操作を説明する模式図。
【図8】画像の画像部面積の標準偏差σと、中間調部平均粒状度との関係を示すグラフ。
【図9】実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図10】同プリンタの感光体と現像装置とを示す拡大構成図。
【図11】同プリンタの転写ニップとその周囲とを示す側面図。
【図12】同プリンタの感光体と、これに向けて十分な圧力で押圧される転写ローラとによって形成される転写ニップを示す拡大模式図。
【図13】形状係数SF−1の算出方法を説明するための模式図。
【図14】重量平均粒径4.2[μm]のトナーによる転写後且つ定着前のグレースケール画像を示す拡大模式図。
【図15】重量平均粒径6.8[μm]のトナーによる転写後且つ定着前のグレースケール画像を示す拡大模式図。
【図16】重量平均粒径9.0[μm]のトナーによる転写後且つ定着前のグレースケール画像を示す拡大模式図。
【図17】定着時における粒状度劣化値が0.04グレースケール画像の画像部の拡大模式図。
【図18】定着時における粒状度劣化値が0.10グレースケール画像の画像部の拡大模式図。
【図19】定着時における粒状度劣化値が0.15グレースケール画像の画像部の拡大模式図。
【符号の説明】
1 感光体(潜像担持体)
4 転写ローラ(転写手段の一部)
14 定着手段
14a 定着ローラ対
20 現像装置(現像手段)
Claims (6)
- 潜像担持体に潜像を担持させる工程と、トナーを用いて該潜像担持体上の潜像を現像する工程と、該潜像担持体上のトナー像を記録体に静電転写する工程と、該記録体上に静電転写されたトナー像に加熱部材を密着させて該トナー像を該記録体上に定着せしめる工程とを実施して、該記録体上にトナー像を形成する画像形成方法であって、
現像後で且つ静電転写前の上記トナー像の中間調部平均粒状度推定値が0.15以下であり、且つ、定着後の上記トナー像の中間調部平均粒状度が0.25以下であることを特徴とする画像形成方法。 - 潜像を担持する潜像担持体と、トナーを用いて該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、該潜像担持体上のトナー像を記録体に静電転写する転写手段と、該記録体上に静電転写されたトナー像に加熱部材を密着させて該トナー像を該記録体上に定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置であって、
現像後で且つ静電転写前の上記トナー像の中間調部平均粒状度推定値が0.15以下であり、且つ、定着後の上記トナー像の中間調部平均粒状度が0.25以下であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2の画像形成装置であって、
上記トナーとして、形状係数SF−1が125以下、平均円形度0.96以上、且つ分散度1.35以下という条件を具備するものが指定されており、
上記転写手段は、上記潜像担持体と、これに向けて上記記録体を押圧する押圧部材との間に20〜200[nA/mm2]の転写電流を流しつつ、該記録体を該潜像担持体に向けて0.20〜1.00[N/mm2]の圧力で押圧しながら、該潜像担持体上のトナー像を該記録体に静電転写せしめるものであり、
且つ、上記定着手段は、上記加圧部材として、表面にシリコンゴムが被覆されたものを用いるものであることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2の画像形成装置であって、
上記潜像担持体上の潜像の現像に用いられるトナーを収容するトナー収容手段を有し、
上記トナーとして、形状係数SF−1が125以下、平均円形度0.96以上、且つ分散度1.35以下という条件を具備するものを該トナー収容手段に収容しており、
上記転写手段は、上記潜像担持体と、これに向けて上記記録体を押圧する押圧部材との間に20〜200[nA/mm2]の転写電流を流しつつ、該記録体を該潜像担持体に向けて0.20〜1.00[N/mm2]の圧力で押圧しながら、該潜像担持体上のトナー像を該記録体に静電転写せしめるものであり、
且つ、上記定着手段は、上記加圧部材として、表面にシリコンゴムが被覆されたものを用いるものであることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2の画像形成装置であって、
上記トナーとして、形状係数SF−1が120以下、平均円形度097以上、且つ分散度1.21以下という条件を具備するものが指定されており、
上記転写手段は、上記潜像担持体と、これに向けて上記記録体を押圧する押圧部材との間に20〜200[nA/mm2]の転写電流を流しつつ、該記録体を該潜像担持体に向けて0.20〜1.00[N/mm2]の圧力で押圧しながら、該潜像担持体上のトナー像を該記録体に静電転写せしめるものであり、
且つ、上記定着手段は、上記加圧部材として、表面にシリコンゴムが被覆されたものを用いるものであることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2の画像形成装置であって、
上記トナーとして、形状係数SF−1が115以下、平均円形度097以上、且つ分散度1.20以下という条件を具備するものが指定されており、
上記転写手段は、上記潜像担持体と、これに向けて上記記録体を押圧する押圧部材との間に20〜200[nA/mm2]の転写電流を流しつつ、該記録体を該潜像担持体に向けて0.20〜1.00[N/mm2]の圧力で押圧しながら、該潜像担持体上のトナー像を該記録体に静電転写せしめるものであり、
且つ、上記定着手段は、上記加圧部材として、表面にシリコンゴムが被覆されたもの、あるいは弾性層の上に四フッ化エチレン樹脂(Polytetrafluoroethylene)からなる表面層が被覆されたものを用いるものであることを特徴とする画像形成装置。
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Date | Code | Title | Description |
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