JP2004283881A - アルミ押出加工用ダイス及びこれを用いたアルミ押出形材 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルミ押出形材における押出加工に伴うダイスに付着形成される酸化アルミ層が波打ち状になることに起因する線、筋目等のダイスラインを解消する。
【解決手段】ダイス孔11内周面をなすベアリング面12を僅少な段差によるコンテナ側の径大部13とボルスター側の径小部14による2段の段差面とするアルミ押出加工用ダイス1を形成し、該ダイス1によってアルミ押出形材9の押出加工を行う。ベアリング面12が区分されることによって径小部14に酸化アルミ層の形成がないか、あっても波打ち状となるのが防止され、アルミ押出形材9のダイスラインが解消できる。
【選択図】 図2
【解決手段】ダイス孔11内周面をなすベアリング面12を僅少な段差によるコンテナ側の径大部13とボルスター側の径小部14による2段の段差面とするアルミ押出加工用ダイス1を形成し、該ダイス1によってアルミ押出形材9の押出加工を行う。ベアリング面12が区分されることによって径小部14に酸化アルミ層の形成がないか、あっても波打ち状となるのが防止され、アルミ押出形材9のダイスラインが解消できる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアルミ押出加工に使用するアルミ押出加工用ダイス及びこれを用いたアルミ押出形材に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種アルミ押出加工用ダイスはその中央位置にダイス孔を備えたものとされるところ,一般に該ダイス孔はコンテナからのアルミを整流化する目的の座ぐりを介してその押出方向後方に又はこれを介することなくダイスを直接に貫通するように形材形状に応じてダイス孔の内周面をなすように押出方向に同一の面とされるベアリング面を備えたものとされており,該ダイスはバッカーとともにダイリングに嵌合装着し,該ダイリングをダイスライドに載置装着しその前方にダイリング受止め用のボルスターを配置することによって押出機にセットして,コンテナに装填したアルミビレットをステムで加圧してアルミをダイスのダイス孔に強制通過させることによってアルミ押出形材を所定形状に押出加工するものとされる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし押出加工用ダイスによって押出加工したアルミ押出形材には,その長手方向,即ち押出方向に向けて線や筋目のダイスラインが不可避的に発生するが,この場合常法の表面処理を施すに際してその陽極酸化工程の前工程で行われるエッチングによってアルミ押出形材の表面が溶解されるためにある程度ダイスラインの目立ちが抑制されるに至るが,建材等の各種製品とされた状態でもなおダイスラインが残るのが一般であり,これが製品の品質感を損なう原因となっており,例えばブラック等の濃色の電解着色を施したとき,一見目立ちはなくなるようにも見えるが,このダイスラインに対する光が反射する角度から見ると,無着色のものや淡色のものに比して目立ちが顕著になる傾向がある。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので,その解決課題とするところは,押出加工に伴うダイスラインの発生を可及的に防止して表面状態の良好なアルミ押出形材を押出加工することができるアルミ押出加工用ダイスを提供するにあり,またこれによって押出加工することによってダイスラインを肉視しえない程度に表面状態が良好なアルミ押出形材を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題に添って鋭意研究した結果,上記座ぐりの有無を問わずに,ダイス孔の内周面をなすベアリング面に押出方向に複数の段差面,特に押出方向前方,即ちコンテナ側においてベアリング面の径を大,押出方向後方,即ちボルスター側においてベアリング面の径を小とする複数の段差面を形成したダイスを使用して押出加工を行うと,アルミ押出形材のダイスラインが解消するか又は殆ど解消するに至り,これにエッチングを施すことによって,ダイスラインの肉視がなし得ない程度の高品質の製品とすることができるとの事実を見出した。
【0006】
即ちダイス孔はコンテナから高温のアルミを加圧通過させることによってその成形を行うが,そのベアリング面は径大のコンテナからのアルミの進行速度を調整して押出加工速度を適正化する速度調整機能とアルミをダイス孔から吐出することによる所定形状の付与の成形機能の双方を有するところ,上記ダイスラインの発生は,アルミがベアリング面に摺接するに際して開口側から奥行方向に向けてベアリング面に薄く付着形成された酸化アルミ層の押出方向への長さが異なって奥行方向先端が不均一な波打ち状をなすため,酸化アルミ層の波打ち状の先端がこれを通過するアルミに線や筋目を形成するためと見られる。
【0007】
上記ベアリング面に段差面を形成したときにこれがダイスラインの解消に有益な理由は必ずしも明らかではないが,ベアリング面を段差面とすることによって,該ベアリング面が上記速度調整機能部分と成形機能部分に区分され,酸化アルミ層の形成がコンテナ側からなされるため,その形成が速度調整機能部分でなされるも,段差を経てその後方に位置する成形機能部分にまで到達せずに段差によってアルミの流れに変化が生じることによって酸化アルミ層の形成が段差部分で遮断されるようになる一方,成形機能部分の成形加工はそれ自体高速でなされ,またその幅(押出方向の長さ)も比較的短いことによって,該成形機能部分における酸化アルミ層の付着形成が回避されることになるためと見られ,また成形機能部分にも更に酸化アルミ層が新規に形成されるものと仮定すると,その幅が比較的短いためにこれが波打ち状となることなく,成形機能部分の全面にこれが形成されるために,波打ち状の酸化アルミ層に起因するダイスラインの発生が抑制されるからと見られる。
【0008】
本発明はかかる知見に基づいてなされたもので,即ち請求項1に記載の発明は,押出方向前方を押出速度調整用に径大部とし押出方向後方を押出成形用に径小部とするようにダイス孔のベアリング面を複数の段差面としてなることを特徴とするアルミ押出加工用ダイスとしたものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,上記ベアリング面の表面に窒化処理を施してこれを硬質とすることが,ダイスラインの解消を更に確実になし得ることから,これを,上記ベアリング面の表面を窒化処理して硬質としてなることを特徴とする請求項1に記載のアルミ押出加工用ダイスとしたものである。
【0010】
請求項3に記載の発明は,上記押出加工用ダイスを使用して押出成形したアルミ押出形材は,高品位にして建材等の各種製品に好適な形材とし得ることから,これを,請求項1又は2に記載のアルミ押出加工用ダイスを用いて押出加工することによって押出加工したことを特徴とするアルミ押出形材としたものである。
【0011】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【0012】
なお本発明においてベアリング面の径,径大,径大部,径小部等にいう径とは,アルミ押出形材を成形するダイス孔の外接円の径を意味し,もとよりアルミ押出形材の複雑形状に添ったダイス孔の形状が円形であることを意味するものではない。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下アルミ押出部分のモデルを示す図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば,1はアルミ押出加工用ダイス,3は該ダイス1をバッカー2とともに円形透孔に嵌合装着するダイリング,4はダイス1とバッカー2を装着したダイリング3を載置支持するダイスライド,5はダイリング2の受止め用のボルスター,6はコンテナ,7は押出用ディスク,8はアルミビレット,9はアルミ押出形材を示し,該アルミ押出形材9は,常法に従って,例えば450℃程度の高温に加熱したアルミビレット8をコンテナ6に装填し,2×107N程度の加圧力によってステム7を押圧進行させ,アルミビレット8の高温アルミをダイス1によって押出成形するものとしてある。
【0014】
押出加工用ダイス1は,例えば直径20cm程度にして厚さ5cm程度のブロックをなし,中央にベアリング面12によって外周を区画した押出形材9の形状に添うダイス孔11を透設し,またその後方に該ダイス孔11を相似的に押出方向に傾斜拡大した押出形材9の非接触孔16を透設してある。
【0015】
このとき押出加工用ダイス1は,そのダイス孔11のベアリング面12を,押出方向前方を押出速度調整用に径大部13とし押出方向後方を押出成形用に径小部14とするように複数の段差面としてあり,本例にあって該段差面は各単一の径大部13と径小部14の2段構成のものとしてあり,このとき本例の上記ベアリング面12は,その表面を窒化処理して硬質としたものとしてあり,該窒化処理は,ダイス1をアンモニアガス等の窒素を含む媒剤中で加熱して行なうことによって,上記ベアリング面12のみならず,これを含むダイス1表面全体を硬質化したものとしてある。
【0016】
本例の押出加工用ダイス1は,例えばH字形状のアルミ押出形材9を押出加工するようにH字形状のダイス孔11を備えたものとしてあるところ,そのベアリング面12もこの形状のものとされた上,該形状による径大部13と径小部14との2段の段差面によって形成されたものとしてある。
【0017】
本例にあってベアリング面12は,押出加工用ダイス1の厚さから上記非接触孔16の厚さ(押出方向長さ)を除いた,例えば1cm程度の幅(同上)のものとしてあり,このとき上記径大部13と径小部14の幅の比は,3対1程度とし,6〜7mm程度以上を径大部13,数mm程度以下を径小部14とするように微小の段差面を形成するものとしてある。
【0018】
径大部13と径小部14の間には垂直の段差壁15を配置し,径小部14に対して直角のエッジをなすようにしてあり,本例にあって該段差壁15は最大でも1mmを超えない僅少の高さとしてある。該段差壁15の高さは可及的に僅少とするのが好ましく,例えば1mm程度とすると,アルミの流れがスムーズになされず押出不良の原因となる傾向が強くなるので,これを避ける必要があり,例えば0.5mm程度以下とするのが押出成形の形状に影響を与えずに後述のダイスラインを解消する上で好ましい。
【0019】
段差壁15を介した径大部13と径小部14による段差面を有するダイス孔11の透設は,この種押出加工用ダイス1の製作に使用される放電加工によってこれを容易になし得るので特殊なダイスの製作加工方法を採用する必要はない。
【0020】
このように形成した押出加工用ダイス1を用いて上記常法による押出加工を行うと,一般に見られる線や筋目のダイスラインが解消した,少なくとも肉視し得ない程度に表面状態が良好なアルミ押出形材9を押出成形することができる。従って一般になされる表面処理を施せば,そのエッチング工程が更にアルミ押出形材9の表面をエッチングすることによって極めて表面状態が良好な高品質な建材等の各種製品を得ることができる。
【0021】
即ちその理由は必ずしも明らかではないが,ベアリング面12が有する2つの機能,即ち円柱形のアルミビレット8の直径と同等の大きさの径大のコンテナからアルミの進行速度を調整して押出加工速度を適正化する速度調整機能とアルミをダイス孔から吐出することによる所定形状の付与の成形機能がベアリング面12においてその押出方向に2区分されることによって,径大部13が速度調整機能部分をなし,径小部14が成形機能部分をなすようになり,ダイスライン発生原因をなす酸化アルミ層の形成がコンテナ側からなされるため,その形成が径大部13でなされるも,段差壁15を経てその後方に位置する径小部14にまで到達せずに段差壁15によってアルミの流れに変化が生じることによって酸化アルミ層の形成が段差部分で遮断されるようになる一方,径小部14の成形加工はそれ自体高速でなされ,またその幅(押出方向の長さ)も径大部13に比して短寸であることによって,該径小部14における酸化アルミ層の付着形成が回避されることになるためと見られる。従って径大部13における酸化アルミ層が押出方向に波打ち状をなすも該波打ち状の先端が径小部14に形成されることがなく,これによる線や筋目のダイスラインが形成される可能性を解消するとみられる。なお仮に径小部14に更に酸化アルミ層が新規に形成されると仮定しても,その幅が短寸であるためにこれが波打ち状となることなく,径小部14の全面にこれが形成されることによって,波打ち状の酸化アルミ層に起因するダイスラインの形成が抑制されることになり,同じくダイスラインの形成可能性を解消できることに変りはない。
【0022】
図示した例は以上のとおりとしたが,径大部を複数構成することによってベアリング面を単一の径小部と多数の段差面とすること,段差壁を傾斜面とすること,上記例はダイス孔に座ぐりを設置することなくベアリング面を備えたものとしたが,ダイス孔に座ぐりを設置したとき,これを介して押出方向後方に配置したベアリング面についてこれを複数の段差面として構成すること等を含めて,本発明の実施に当ってダイス,ダイス孔,ベアリング面,複数の段差面,アルミ押出形材,必要に応じて使用する窒化処理等の具体的形状,材質,構造,寸法,これらの関係,これらに対する付加,押出加工の方法等は,上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【0023】
【発明の効果】
本発明は以上のとおりに構成したから,請求項1に記載の発明は,押出加工に伴うダイスラインの発生を可及的に防止して表面状態の良好なアルミ押出形材を押出加工することができるアルミ押出加工用ダイスを提供することができる。
【0024】
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,ダイスラインの解消を更に確実になし得るアルミ押出加工用ダイスとすることができる。
【0025】
請求項3に記載の発明は,ダイスラインを肉視しえない程度に表面状態が良好なアルミ押出形材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイスの装着状態を示す押出機要部の縦断面図である。
【図2】ダイスによる押出状態を示す一部切欠き斜視図である。
【図3】ダイスとその周辺部材の一部切欠き分解斜視図である。
【図4】ダイスの一部切欠き拡大斜視図である。
【符号の説明】
1 ダイス
8 アルミビレット
9 アルミ押出形材
11 ダイス孔
12 ベアリング面
13 径大部
14 径小部
15 段差部
【発明の属する技術分野】
本発明はアルミ押出加工に使用するアルミ押出加工用ダイス及びこれを用いたアルミ押出形材に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種アルミ押出加工用ダイスはその中央位置にダイス孔を備えたものとされるところ,一般に該ダイス孔はコンテナからのアルミを整流化する目的の座ぐりを介してその押出方向後方に又はこれを介することなくダイスを直接に貫通するように形材形状に応じてダイス孔の内周面をなすように押出方向に同一の面とされるベアリング面を備えたものとされており,該ダイスはバッカーとともにダイリングに嵌合装着し,該ダイリングをダイスライドに載置装着しその前方にダイリング受止め用のボルスターを配置することによって押出機にセットして,コンテナに装填したアルミビレットをステムで加圧してアルミをダイスのダイス孔に強制通過させることによってアルミ押出形材を所定形状に押出加工するものとされる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし押出加工用ダイスによって押出加工したアルミ押出形材には,その長手方向,即ち押出方向に向けて線や筋目のダイスラインが不可避的に発生するが,この場合常法の表面処理を施すに際してその陽極酸化工程の前工程で行われるエッチングによってアルミ押出形材の表面が溶解されるためにある程度ダイスラインの目立ちが抑制されるに至るが,建材等の各種製品とされた状態でもなおダイスラインが残るのが一般であり,これが製品の品質感を損なう原因となっており,例えばブラック等の濃色の電解着色を施したとき,一見目立ちはなくなるようにも見えるが,このダイスラインに対する光が反射する角度から見ると,無着色のものや淡色のものに比して目立ちが顕著になる傾向がある。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので,その解決課題とするところは,押出加工に伴うダイスラインの発生を可及的に防止して表面状態の良好なアルミ押出形材を押出加工することができるアルミ押出加工用ダイスを提供するにあり,またこれによって押出加工することによってダイスラインを肉視しえない程度に表面状態が良好なアルミ押出形材を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題に添って鋭意研究した結果,上記座ぐりの有無を問わずに,ダイス孔の内周面をなすベアリング面に押出方向に複数の段差面,特に押出方向前方,即ちコンテナ側においてベアリング面の径を大,押出方向後方,即ちボルスター側においてベアリング面の径を小とする複数の段差面を形成したダイスを使用して押出加工を行うと,アルミ押出形材のダイスラインが解消するか又は殆ど解消するに至り,これにエッチングを施すことによって,ダイスラインの肉視がなし得ない程度の高品質の製品とすることができるとの事実を見出した。
【0006】
即ちダイス孔はコンテナから高温のアルミを加圧通過させることによってその成形を行うが,そのベアリング面は径大のコンテナからのアルミの進行速度を調整して押出加工速度を適正化する速度調整機能とアルミをダイス孔から吐出することによる所定形状の付与の成形機能の双方を有するところ,上記ダイスラインの発生は,アルミがベアリング面に摺接するに際して開口側から奥行方向に向けてベアリング面に薄く付着形成された酸化アルミ層の押出方向への長さが異なって奥行方向先端が不均一な波打ち状をなすため,酸化アルミ層の波打ち状の先端がこれを通過するアルミに線や筋目を形成するためと見られる。
【0007】
上記ベアリング面に段差面を形成したときにこれがダイスラインの解消に有益な理由は必ずしも明らかではないが,ベアリング面を段差面とすることによって,該ベアリング面が上記速度調整機能部分と成形機能部分に区分され,酸化アルミ層の形成がコンテナ側からなされるため,その形成が速度調整機能部分でなされるも,段差を経てその後方に位置する成形機能部分にまで到達せずに段差によってアルミの流れに変化が生じることによって酸化アルミ層の形成が段差部分で遮断されるようになる一方,成形機能部分の成形加工はそれ自体高速でなされ,またその幅(押出方向の長さ)も比較的短いことによって,該成形機能部分における酸化アルミ層の付着形成が回避されることになるためと見られ,また成形機能部分にも更に酸化アルミ層が新規に形成されるものと仮定すると,その幅が比較的短いためにこれが波打ち状となることなく,成形機能部分の全面にこれが形成されるために,波打ち状の酸化アルミ層に起因するダイスラインの発生が抑制されるからと見られる。
【0008】
本発明はかかる知見に基づいてなされたもので,即ち請求項1に記載の発明は,押出方向前方を押出速度調整用に径大部とし押出方向後方を押出成形用に径小部とするようにダイス孔のベアリング面を複数の段差面としてなることを特徴とするアルミ押出加工用ダイスとしたものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,上記ベアリング面の表面に窒化処理を施してこれを硬質とすることが,ダイスラインの解消を更に確実になし得ることから,これを,上記ベアリング面の表面を窒化処理して硬質としてなることを特徴とする請求項1に記載のアルミ押出加工用ダイスとしたものである。
【0010】
請求項3に記載の発明は,上記押出加工用ダイスを使用して押出成形したアルミ押出形材は,高品位にして建材等の各種製品に好適な形材とし得ることから,これを,請求項1又は2に記載のアルミ押出加工用ダイスを用いて押出加工することによって押出加工したことを特徴とするアルミ押出形材としたものである。
【0011】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【0012】
なお本発明においてベアリング面の径,径大,径大部,径小部等にいう径とは,アルミ押出形材を成形するダイス孔の外接円の径を意味し,もとよりアルミ押出形材の複雑形状に添ったダイス孔の形状が円形であることを意味するものではない。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下アルミ押出部分のモデルを示す図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば,1はアルミ押出加工用ダイス,3は該ダイス1をバッカー2とともに円形透孔に嵌合装着するダイリング,4はダイス1とバッカー2を装着したダイリング3を載置支持するダイスライド,5はダイリング2の受止め用のボルスター,6はコンテナ,7は押出用ディスク,8はアルミビレット,9はアルミ押出形材を示し,該アルミ押出形材9は,常法に従って,例えば450℃程度の高温に加熱したアルミビレット8をコンテナ6に装填し,2×107N程度の加圧力によってステム7を押圧進行させ,アルミビレット8の高温アルミをダイス1によって押出成形するものとしてある。
【0014】
押出加工用ダイス1は,例えば直径20cm程度にして厚さ5cm程度のブロックをなし,中央にベアリング面12によって外周を区画した押出形材9の形状に添うダイス孔11を透設し,またその後方に該ダイス孔11を相似的に押出方向に傾斜拡大した押出形材9の非接触孔16を透設してある。
【0015】
このとき押出加工用ダイス1は,そのダイス孔11のベアリング面12を,押出方向前方を押出速度調整用に径大部13とし押出方向後方を押出成形用に径小部14とするように複数の段差面としてあり,本例にあって該段差面は各単一の径大部13と径小部14の2段構成のものとしてあり,このとき本例の上記ベアリング面12は,その表面を窒化処理して硬質としたものとしてあり,該窒化処理は,ダイス1をアンモニアガス等の窒素を含む媒剤中で加熱して行なうことによって,上記ベアリング面12のみならず,これを含むダイス1表面全体を硬質化したものとしてある。
【0016】
本例の押出加工用ダイス1は,例えばH字形状のアルミ押出形材9を押出加工するようにH字形状のダイス孔11を備えたものとしてあるところ,そのベアリング面12もこの形状のものとされた上,該形状による径大部13と径小部14との2段の段差面によって形成されたものとしてある。
【0017】
本例にあってベアリング面12は,押出加工用ダイス1の厚さから上記非接触孔16の厚さ(押出方向長さ)を除いた,例えば1cm程度の幅(同上)のものとしてあり,このとき上記径大部13と径小部14の幅の比は,3対1程度とし,6〜7mm程度以上を径大部13,数mm程度以下を径小部14とするように微小の段差面を形成するものとしてある。
【0018】
径大部13と径小部14の間には垂直の段差壁15を配置し,径小部14に対して直角のエッジをなすようにしてあり,本例にあって該段差壁15は最大でも1mmを超えない僅少の高さとしてある。該段差壁15の高さは可及的に僅少とするのが好ましく,例えば1mm程度とすると,アルミの流れがスムーズになされず押出不良の原因となる傾向が強くなるので,これを避ける必要があり,例えば0.5mm程度以下とするのが押出成形の形状に影響を与えずに後述のダイスラインを解消する上で好ましい。
【0019】
段差壁15を介した径大部13と径小部14による段差面を有するダイス孔11の透設は,この種押出加工用ダイス1の製作に使用される放電加工によってこれを容易になし得るので特殊なダイスの製作加工方法を採用する必要はない。
【0020】
このように形成した押出加工用ダイス1を用いて上記常法による押出加工を行うと,一般に見られる線や筋目のダイスラインが解消した,少なくとも肉視し得ない程度に表面状態が良好なアルミ押出形材9を押出成形することができる。従って一般になされる表面処理を施せば,そのエッチング工程が更にアルミ押出形材9の表面をエッチングすることによって極めて表面状態が良好な高品質な建材等の各種製品を得ることができる。
【0021】
即ちその理由は必ずしも明らかではないが,ベアリング面12が有する2つの機能,即ち円柱形のアルミビレット8の直径と同等の大きさの径大のコンテナからアルミの進行速度を調整して押出加工速度を適正化する速度調整機能とアルミをダイス孔から吐出することによる所定形状の付与の成形機能がベアリング面12においてその押出方向に2区分されることによって,径大部13が速度調整機能部分をなし,径小部14が成形機能部分をなすようになり,ダイスライン発生原因をなす酸化アルミ層の形成がコンテナ側からなされるため,その形成が径大部13でなされるも,段差壁15を経てその後方に位置する径小部14にまで到達せずに段差壁15によってアルミの流れに変化が生じることによって酸化アルミ層の形成が段差部分で遮断されるようになる一方,径小部14の成形加工はそれ自体高速でなされ,またその幅(押出方向の長さ)も径大部13に比して短寸であることによって,該径小部14における酸化アルミ層の付着形成が回避されることになるためと見られる。従って径大部13における酸化アルミ層が押出方向に波打ち状をなすも該波打ち状の先端が径小部14に形成されることがなく,これによる線や筋目のダイスラインが形成される可能性を解消するとみられる。なお仮に径小部14に更に酸化アルミ層が新規に形成されると仮定しても,その幅が短寸であるためにこれが波打ち状となることなく,径小部14の全面にこれが形成されることによって,波打ち状の酸化アルミ層に起因するダイスラインの形成が抑制されることになり,同じくダイスラインの形成可能性を解消できることに変りはない。
【0022】
図示した例は以上のとおりとしたが,径大部を複数構成することによってベアリング面を単一の径小部と多数の段差面とすること,段差壁を傾斜面とすること,上記例はダイス孔に座ぐりを設置することなくベアリング面を備えたものとしたが,ダイス孔に座ぐりを設置したとき,これを介して押出方向後方に配置したベアリング面についてこれを複数の段差面として構成すること等を含めて,本発明の実施に当ってダイス,ダイス孔,ベアリング面,複数の段差面,アルミ押出形材,必要に応じて使用する窒化処理等の具体的形状,材質,構造,寸法,これらの関係,これらに対する付加,押出加工の方法等は,上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【0023】
【発明の効果】
本発明は以上のとおりに構成したから,請求項1に記載の発明は,押出加工に伴うダイスラインの発生を可及的に防止して表面状態の良好なアルミ押出形材を押出加工することができるアルミ押出加工用ダイスを提供することができる。
【0024】
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,ダイスラインの解消を更に確実になし得るアルミ押出加工用ダイスとすることができる。
【0025】
請求項3に記載の発明は,ダイスラインを肉視しえない程度に表面状態が良好なアルミ押出形材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイスの装着状態を示す押出機要部の縦断面図である。
【図2】ダイスによる押出状態を示す一部切欠き斜視図である。
【図3】ダイスとその周辺部材の一部切欠き分解斜視図である。
【図4】ダイスの一部切欠き拡大斜視図である。
【符号の説明】
1 ダイス
8 アルミビレット
9 アルミ押出形材
11 ダイス孔
12 ベアリング面
13 径大部
14 径小部
15 段差部
Claims (3)
- 押出方向前方を押出速度調整用に径大部とし押出方向後方を押出成形用に径小部とするようにダイス孔のベアリング面を複数の段差面としてなることを特徴とするアルミ押出加工用ダイス。
- 上記ベアリング面の表面を窒化処理して硬質としてなることを特徴とする請求項1に記載のアルミ押出加工用ダイス。
- 請求項1又は2に記載のアルミ押出加工用ダイスを用いて押出加工することによって押出加工したことを特徴とするアルミ押出形材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003080192A JP2004283881A (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | アルミ押出加工用ダイス及びこれを用いたアルミ押出形材 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003080192A JP2004283881A (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | アルミ押出加工用ダイス及びこれを用いたアルミ押出形材 |
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ID=33294123
Family Applications (1)
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JP2003080192A Pending JP2004283881A (ja) | 2003-03-24 | 2003-03-24 | アルミ押出加工用ダイス及びこれを用いたアルミ押出形材 |
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JP (1) | JP2004283881A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106862459A (zh) * | 2017-03-22 | 2017-06-20 | 重庆交通大学 | 具有纵向多层预应力的组合模具 |
CN110180912A (zh) * | 2019-06-13 | 2019-08-30 | 江苏银奕达科技股份有限公司 | 一种用于铝包木型材的基于氮气保护出料模具 |
-
2003
- 2003-03-24 JP JP2003080192A patent/JP2004283881A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106862459A (zh) * | 2017-03-22 | 2017-06-20 | 重庆交通大学 | 具有纵向多层预应力的组合模具 |
CN110180912A (zh) * | 2019-06-13 | 2019-08-30 | 江苏银奕达科技股份有限公司 | 一种用于铝包木型材的基于氮气保护出料模具 |
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