JP2004283695A - セラミック触媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低熱膨張率で高温耐久性に優れ,触媒成分がセラミック担体に拡散し難く,触媒性能の低下やセラミック担体の劣化が生じ難く,優れた触媒性能を長期にわたり維持可能なセラミック触媒体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】触媒安定層12を構成する触媒安定層材料を作製し,触媒安定層材料を溶媒に均一分散混合した懸濁液を作製し,懸濁液をセラミック担体の表面に均一に付与すると共に触媒安定層材料を熱処理して触媒安定層12を形成する。上記懸濁液を作製する際は,上記触媒安定層材料と上記溶媒とを含む混合液を作製し,該混合液の流路に衝突部を設けて,上記混合液を高圧下で衝突部に衝突させることで触媒安定層材料を溶媒に均一分散混合する高圧分散混合処理を行う。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,自動車エンジン等の内燃機関の排気ガスを浄化する浄化用触媒体として使用することができ,特にリーンバーンエンジンやディーゼルエンジンからの排気ガス浄化用触媒体として最適なセラミック触媒体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より,自動車の排気ガス浄化用触媒に,CO及びHCの酸化とNOxの還元を同時に行って排気ガスを浄化する,いわゆる三元触媒が用いられている。
近年,地球環境保護のために,さらなる排気ガスのクリーン化とCO排出量の低減が要求されており,燃費向上による排気ガス量の低減が可能な希薄燃焼(リーンバーン)方式エンジンが広く採用されるようになっている。
【0003】
従来の三元触媒は,リーン側(酸素過剰雰囲気)でNOxの浄化性能が低下することから,本来の機能を発揮することができず,これを補うために,NOx吸蔵還元型の排気ガス浄化用触媒が開発されている。
NOx吸蔵還元型の排気ガス浄化用触媒は,従来の三元触媒に用いられるPt,Rh等の貴金属触媒からなる主触媒に加えて,リーン雰囲気ではNOxを吸蔵し,ストイキ(理論空燃比)及びリッチ雰囲気(還元雰囲気)で吸蔵されたNOxを放出するNOx吸蔵材を助触媒として添加してなる。
【0004】
NOx吸蔵材としては,塩基性の強い,Na,K,Cs等のアルカリ金属や,Mg,Sr,Ba等のアルカリ土類金属の化合物が使用されている。
NOx吸蔵還元型の排気ガス浄化用触媒に関しては,例えば,特開平6−31139号公報に記載があり,低熱膨張で耐熱性に優れるコーディエライト等からなるセラミック担体に,γ−アルミナ等の高比表面積材料をコートし,アルカリ金属酸化物とPtとを担持させた触媒によって,リーン状態でのNOx排出量の低減が可能であることが開示されている。
ここで吸着されたNOxは,ストイキないしリッチ雰囲気でNOx吸蔵材から放出され,Ptにより浄化される。一方,排気ガス温度が高温化する傾向にあることから,排気ガス浄化用触媒の高温耐久性の向上が重要となっている。
【0005】
ところが,コーディエライト担体にアルカリ金属化合物をNOx吸蔵材として担持した排気ガス浄化用触媒は,排気ガス温度が高くなると,NOx吸蔵能の低下とコーディエライト担体の劣化を引き起こす問題があった。
これは,アルカリ金属化合物が多孔性のγ−アルミナ等よりなるコート層内を容易に通過して,コーディエライト中のSiと反応することが原因と考えられている。
【0006】
この対策として,例えば,特開平10−165817号公報では,Siを含まない低熱膨張材料からなるセラミック担体またはメタル担体を使用することが提案されている。
しかしながら,特開平10−165817号公報に例示される,α−アルミナ,ジルコニア,チタニア,リン酸チタン,チタン酸アルミニウム,ステンレス鋼,Fe−Al−Cr合金のうち,実用上十分に低い熱膨張性を示すのは,非常に密度の大きい(重い)チタン酸アルミニウムのみである。
【0007】
チタン酸アルミニウムは,車両軽量化の面で不利で,価格が高い。またメタル担体も高価である。他のセラミック材料は,熱膨張が大きく,耐熱衝撃性を考慮すると実用的ではない。
このように,コーディエライトに代わる低熱膨張率で安価な材料は,得られていないのが実情である。
【0008】
さらに,特開平10−137590号公報では,ディーゼルエンジンから排出されるパティキュレートを捕集する排気ガス浄化フィルタを,コーディエライト等のセラミックフィルタにシリカ,ジルコニア,チタニア等よりなるコーティング層を設けた上に,アルカリ金属,アルカリ土類金属の硫酸塩を含む触媒成分を担持して構成しており,コーティング層によって,触媒成分のフィルタ内部への拡散が抑制されることが記載されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平6−31139号公報
【特許文献2】
特開平10−165817号公報
【特許文献3】
特開平10−137590号公報
【0010】
【解決しようとする課題】
しかしながら,本発明者等が検討した結果,従来技術に記載されたコーティング層の材料は,排気ガス浄化用触媒の使用温度である約800℃の条件において,アルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物と反応し,さらに余剰のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が内部を移動・拡散してフィルタ表面に到達可能であることが判明した。
【0011】
従って,排気ガスの最高温度が1000℃付近まで上昇する現状では,これら材料からなるコーティング層により,アルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物の拡散を抑えることは困難である。そして,上記触媒成分と反応してフィルタ基材となるコーディエライト等の組成が変化し,熱膨張係数が増加する問題は現状では充分に解決されたとは言い難い。
【0012】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,低熱膨張率で高温耐久性に優れ,触媒成分がセラミック担体に拡散し難く,触媒性能の低下やセラミック担体の劣化が生じ難く,優れた触媒性能を長期にわたり維持可能なセラミック触媒体及びその製造方法を提供しようとするものである。
【0013】
【課題の解決手段】
第1の発明は,セラミック担体と,該セラミック担体の表面を覆い,触媒成分の拡散を抑制する触媒安定層と,該触媒安定層の表面を覆い,触媒成分を含有する触媒層とからなると共に,
上記触媒安定層の表面電位と上記触媒層の表面電位は略同一であり,かつ上記触媒安定層は使用最高温度より高温の融点を有するセラミック触媒体の製造方法において,
上記触媒安定層を構成する触媒安定層材料を準備し,
該触媒安定層材料を溶媒に均一分散混合した懸濁液を作製し,
上記懸濁液を上記セラミック担体の表面に均一に付与すると共に上記触媒安定層材料を熱処理して上記触媒安定層を形成するに当たり,
上記懸濁液を作製する際は,上記触媒安定層材料と上記溶媒とを含む混合液を作製し,該混合液の流路に衝突部を設けて,上記混合液を高圧下で衝突部に衝突させることで触媒安定層材料を溶媒に均一分散混合する高圧分散混合処理を行うことを特徴とするセラミック触媒体の製造方法にある(請求項1)。
【0014】
また,第2の発明は,セラミック担体と,該セラミック担体の表面を覆い,触媒成分を含有する触媒層とからなると共に,
上記触媒層は,上記触媒成分を吸引して該触媒成分の拡散を抑制可能な触媒トラップ材を含有し,かつ該触媒トラップ材は使用最高温度より高温の融点を有する,
または上記触媒層は,水蒸気改質反応により水素を上記触媒成分に供給可能な触媒活性材を含有し,かつ該触媒活性材は使用最高温度より高温の融点を有するセラミック触媒体の製造方法において,
上記触媒層を構成する触媒層材料を準備し,
該触媒層材料を溶媒に均一分散混合した懸濁液を作製し,
上記懸濁液を上記セラミック担体の表面に均一に付与すると共に上記触媒層材料を熱処理して上記触媒層を形成するに当たり,
上記懸濁液を作製する際は,上記触媒層材料と上記溶媒とを含む混合液を作製し,該混合液の流路に衝突部を設けて,上記混合液を高圧下で衝突部に衝突させることで触媒層材料を溶媒に均一分散混合する高圧分散混合処理を行うことを特徴とするセラミック触媒体の製造方法にある(請求項2)。
【0015】
また,第3の発明は,セラミック担体と,該セラミック担体の表面を覆い,触媒成分の拡散を抑制する触媒安定層と,該触媒安定層の表面を覆い,触媒成分を含有する触媒層とからなると共に,
上記触媒安定層の表面電位と上記触媒層の表面電位は略同一であり,かつ上記触媒安定層は使用最高温度より高温の融点を有するセラミック触媒体の製造方法において,
上記触媒安定層を構成する触媒安定層材料を準備し,
該触媒安定層材料を溶媒に均一分散混合した懸濁液を作製し,
上記懸濁液を上記セラミック担体の表面に均一に付与すると共に上記触媒安定層材料を熱処理して上記触媒安定層を形成するに当たり,
上記懸濁液を作製する際は,上記触媒安定層材料と上記溶媒とを含む混合液を作製し,該混合液を密閉した空間で高速に攪拌して剪断力を加える高速密閉攪拌処理を行うことを特徴とするセラミック触媒体の製造方法にある(請求項5)。
【0016】
また,第4の発明は,セラミック担体と,該セラミック担体の表面を覆い,触媒成分を含有する触媒層とからなると共に,
上記触媒層は,上記触媒成分を吸引して該触媒成分の拡散を抑制可能な触媒トラップ材を含有し,かつ該触媒トラップ材は使用最高温度より高温の融点を有する,
または上記触媒層は,水蒸気改質反応により水素を上記触媒成分に供給可能な触媒活性材を含有し,かつ該触媒活性材は使用最高温度より高温の融点を有するセラミック触媒体の製造方法において,
上記触媒層を構成する触媒層材料を準備し,
該触媒層材料を溶媒に均一分散混合した懸濁液を作製し,
上記懸濁液を上記セラミック担体の表面に均一に付与すると共に上記触媒層材料を熱処理して上記触媒層を形成するに当たり,
上記懸濁液を作製する際は,上記触媒層材料と上記溶媒とを含む混合液を作製し,該混合液を密閉した空間で高速に攪拌して剪断力を加える高速密閉攪拌処理を行うことを特徴とするセラミック触媒体の製造方法にある(請求項6)。
【0017】
第1,第3の発明は,セラミック担体と触媒安定層と触媒層とからなるセラミック触媒体を製造する方法である。第2,第4の発明は,セラミック担体と触媒層とからなり,触媒層が触媒トラップ材または触媒活性材を含有するセラミック触媒体を製造する方法である。
更に,第1,第2の発明は,触媒安定層材料や触媒層材料を溶媒に均一分散混合する際に高圧分散混合処理を利用する製造方法であり,第3,第4の発明は,均一分散混合する際に高速密閉攪拌処理を用いる製造方法である。
【0018】
本発明の作用効果について説明する。
本発明において,触媒安定層(第1,第3の発明)または触媒トラップ材または触媒活性材を含む触媒層(第2,第4の発明)は,溶媒に触媒安定層材料や触媒層材料を均一分散混合して形成した懸濁液をセラミック担体に均一に付与し,その後熱処理することで形成する。
そして,上記懸濁液の形成に高圧分散混合処理(第1,第2の発明)または高速密閉撹拝手段(第3,第4の発明)を利用する。
【0019】
上記高圧分散混合処理や上記高速密閉攪拌処理による分散は,触媒安定層材料や触媒層材料の溶媒中での凝集,二次粒子形成を防止して,これらを一次粒子径または一次粒子径近くの粒子径を備えた状態に分散させることができる。
更に,上記高圧分散混合処理や上記高速密閉攪拌処理により作製した懸濁液は,長期間にわたって分散状態が安定し,液中での各材料の再凝集が生じ難い。
【0020】
このように,再凝集し難い懸濁液をセラミック担体に均一分散混合状態で付与することから形成した触媒安定層や触媒層は,どの部分においても均一な表面電位や均一な混合組成を備えており,よって触媒成分のセラミック担体への拡散を防止することができる。
また,触媒成分がセラミック担体に拡散し難いため,触媒成分の拡散に伴う触媒性能の低下も,セラミック担体の劣化も生じ難く,よって,長期にわたって触媒性能が変化し難いセラミック触媒体を得ることができる。
すなわち,触媒成分がセラミック担体へ拡散し難いため,触媒層において各触媒成分は均一に分散した状態を維持して存在し続けることができる。このように触媒成分が触媒層に安定して存在するため,安定した触媒性能を維持したセラミック触媒体を得ることができる。
さらに,セラミック担体として従来触媒成分の拡散発生を前提として使用できなかった低熱膨張材料からなるものを使用することが可能となって,低熱膨張率のセラミック触媒体を得ることができる。
また,セラミック触媒体を高温に加熱しても,触媒成分の拡散は促進され難いため,セラミック触媒体を構成する各材料の耐熱限界まで使用できるセラミック触媒体を得ることができる。
【0021】
また,上記高圧分散混合処理や上記高速密閉攪拌処理は,触媒安定層材料や触媒層の分散を効率的かつ連続的に行うことができる。そして,安定した分散状態を備えた懸濁液を作り出すことができる。
よって,本発明にかかる上記処理によれば,均一な懸濁液を安定的に製造し,よって安定的にセラミック触媒体を製造することができる。
【0022】
また,第5の発明は,セラミック担体と,該セラミック担体の表面を覆い,触媒成分の拡散を抑制する触媒安定層と,該触媒安定層の表面を覆い,触媒成分を含有する触媒層とからなると共に,
上記触媒安定層の表面電位と上記触媒層の表面電位は略同一であり,かつ上記触媒安定層は使用最高温度より高温の融点を有することを特徴とするセラミック触媒体である(請求項23)。
【0023】
第5の発明にかかるセラミック触媒体は,触媒安定層と触媒層との表面電位を略同一(すなわち略等電位)としたため,触媒層に含まれる触媒成分が電気的引力または斥力の作用を受けることなく移動しないで触媒層に安定して存在することから,セラミック触媒体の使用最高温度において触媒成分のセラミック担体内部への拡散を防止することができる。更に触媒安定層はセラミック触媒体の使用最高温度より融点が高く,触媒安定層の熱劣化や変質を防止することができる。
【0024】
また,第6の発明は,セラミック担体と,該セラミック担体の表面を覆い,触媒成分を含有する触媒層とからなると共に,該触媒層は,上記触媒成分を吸引して該触媒成分の拡散を抑制可能な触媒トラップ材を含有し,かつ該触媒トラップ材は使用最高温度より高温の融点を有することを特徴とするセラミック触媒体にある(請求項25)。
すなわち,触媒トラップ材は触媒層に担持された触媒成分を表面電位で吸引して触媒トラップ材周辺に捕捉し,触媒成分のセラミック担体内部への拡散を防止する。よって,触媒成分を触媒層中に均一に分散保持することができる。
そして,触媒成分がセラミック担体へ拡散して反応し難いため,セラミック担体の熱膨張増といった問題が生じ難く,安価で高温耐久性に優れ,安定した触媒性能を長期にわたり維持するセラミック触媒体が得られる。
また,触媒トラップ材はセラミック触媒体の使用最高温度よりも高温の融点を持つため,触媒層の熱劣化や変質を防止することができる。
【0025】
また,第7の発明は,セラミック担体と,該セラミック担体の表面を覆い,触媒成分を含有する触媒層とからなると共に,該触媒層は,水蒸気改質反応により水素を上記触媒成分に供給可能な触媒活性材を含有し,かつ該触媒活性材は使用最高温度より高温の融点を有することを特徴とするセラミック触媒体にある(請求項27)。
【0026】
すなわち,触媒活性材は触媒層に担持された触媒成分を表面電位で吸引して触媒活性材周辺に捕捉し,触媒成分のセラミック担体内部への拡散を防止する。よって,触媒成分を触媒層中に均一に分散保持することができる。
そして,触媒成分がセラミック担体へ拡散して反応し難いため,セラミック担体の熱膨張増といった問題が生じ難く,安価で高温耐久性に優れ,安定した触媒性能を長期にわたり維持するセラミック触媒体が得られる。
このような効果に加えて,触媒活性剤が水蒸気改質反応により水素を触媒層に供給することで,触媒成分の表面活性が増加して触媒反応を促進させることができる。
また,触媒活性材はセラミック触媒体の使用最高温度よりも高温の融点を持つため,触媒層の熱劣化や変質を防止することができる。
【0027】
以上,本発明によれば,低熱膨張率で高温耐久性に優れ,触媒成分がセラミック担体に拡散し難く,触媒性能の低下やセラミック担体の劣化が生じ難く,優れた触媒性能を長期にわたり維持可能なセラミック触媒体及びその製造方法を提供することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下,第1〜第7の発明にかかる,セラミック担体,触媒層,触媒成分,触媒安定層,表面電位,使用最高温度,触媒トラップ材,触媒活性材,触媒安定層を構成する触媒安定層材料,触媒層を構成する触媒層材料,溶媒,懸濁液,高圧分散混合処理,高速密閉攪拌処理等について順次説明する。
【0029】
『セラミック担体』
第1〜第7の発明において,セラミック触媒体の基材となるのがセラミック担体である。このセラミック担体としてハニカム構造体よりなるものを用いることが好ましい。
ここにハニカム構造体とは,触媒性能を作用させたいガスの流路となる多数の孔部を備え,蜂の巣状の構造を備えた円筒形の構造である(後述する実施例1参照)。
上記セラミック担体において,触媒安定層や触媒層を形成する表面とは,ガス流路となる壁面だけでなく,壁面の内部に形成された細孔の内表面をも含むことが望ましい。
【0030】
本発明のセラミック担体として使用可能なハニカム構造体の作製例について説明する。
ハニカム構造体がコーディエライトからなる場合,コーディエライト化原料として,一般に,タルク,カオリン,アルミナ等の酸化物を使用することができる。
これらコーディエライト化原料を理論組成となるように調合し,更にバインダ,潤滑剤,保湿剤等の成形助剤及び水を添加して混練し,押出成形することにより所望の形状を備えたハニカム成形体を得る。
このハニカム成形体を大気中で加熱,脱脂した後,焼成してハニカム構造体を得る。このハニカム構造体を本発明にかかるセラミック担体として使用することができる。
なお,その他の材料からなるハニカム担体も同様に原料を調整して,作製することができる。
【0031】
『触媒層,触媒成分』
第1,第3,第5の発明において,触媒層はγ−アルミナ等の高比表面積材料よりなるコート層に触媒成分を担持させて形成することが好ましい。
また,第2,第4の発明にかかる触媒層は,触媒トラップ材または触媒活性材と触媒成分とを上記コート層に担持させて形成することが好ましい。
【0032】
また,内燃機関(自動車エンジンなど)の排気ガス浄化用触媒,例えば,リーンバーンエンジンやディーゼルエンジンのNOx吸蔵還元型触媒に,第1〜第4の発明にかかるセラミック触媒体を適用する際は,主触媒であるPt,Rh,Pd等の貴金属触媒に,NOx吸蔵材等の助触媒を加えた触媒成分を使用することが好ましい。
【0033】
『触媒安定層』
上記触媒安定層は使用最高温度より高温の融点を有し,触媒安定層材料から形成する。触媒安定層の具体組成については前述した請求項9〜請求項12等に記載した。なお,触媒安定層材料以外に,セラミック担体,触媒層を構成する材料または該材料の原料等を加えて触媒安定層を作製することもある。
【0034】
『表面電位』
第1,第3,第5の発明で作製したセラミック触媒体は,触媒安定層と触媒層との表面電位を略同一(すなわち略等電位)としたため,触媒層に含まれる触媒成分が電気的引力または斥力の作用を受けることなく移動しないで触媒層に安定して存在することから,セラミック触媒体の使用最高温度において触媒成分のセラミック担体内部への拡散を防止することができる。
【0035】
ここに表面電位について説明する。
各種材料の表面電位は,一般的にはゼータ電位をもって定義する。従って,本明細書においても,触媒安定層及び触媒層を構成する材料のゼータ電位を計測し,得られた計測値をそれぞれ『触媒安定層の表面電位』,『触媒層の表面電位』とする。
触媒安定層を構成する材料は触媒安定層材料であり,触媒層を構成する材料は触媒層材料である。従って,触媒安定層材料や触媒層材料の種類,組成比を調整することによって,触媒安定層と触媒層との表面電位の値が同等となるように制御することができる。
そして,触媒層材料の状態は触媒性能に影響するため,触媒安定層の種類や組成を調整することが,より触媒性能に優れたセラミック触媒体を得るためには望ましい。
【0036】
ゼータ電位の計測例について説明する。
触媒安定層材料や触媒層材料を水等の溶媒に分散した分散液を作製し,該分散液を作製する。これらの分散液を評価サンプルとして,ゼータ電位計で測定する。
ゼータ電位計の測定メカニズムにはいくつか種類がある。
例えば,電位泳動法は,外部から電場を与えて,各分散液内の分散粒子の表面電位に対応する泳動速度を計測し,泳動速度と電場から電気移動度を算出し,smoiuhowskiの式等を用いて電気移動度からゼータ電位を得る方法である。また,ゼータ電位を計測する評価サンプル調整の際に溶媒として水を用いたが,この場合,水の水素イオン濃度(pH値,以下pHと記す)を通例pH3〜11の範囲として,任意のpHにおいてゼータ電位を計測する。
なお,pHは硝酸溶液及びアンモニア溶液で調整して,所望のpHとなるようにする。このようにしてpHに応じたゼータ電位を得ることができる。
【0037】
また,上記触媒安定層材料や触媒層材料からゼータ電位を求める方法の他,セラミック担体に形成した触媒安定層や触媒層の表面に対して流動電位法を利用してゼータ電位を計測することもできる。
ここに流動電位法は,測定するサンプルの表面に媒体を流し,発生する電位差と圧力差との関係によりゼータ電位を求める方法である。
【0038】
また,上記触媒安定層は,その表面電位を調整するために,触媒安定層を複数の触媒安定層材料を用いて多層構成として作製することができる。
すなわち,多層の触媒安定層を作製するために,各層ごとに懸濁液を用意し,各懸濁液へのセラミック担体の浸漬,乾燥,焼成の一連の工程を繰り返して多層の触媒安定層を得ることができる。
【0039】
『使用最高温度』
触媒安定層を構成する触媒安定層材料は,セラミック触媒体の使用最高温度より高い融点を有する材料とする。内燃機関の排気ガス浄化用触媒の場合,使用時の触媒温度は,通常800〜900℃程度で,最高温度1000℃付近まで上昇する。よって1000℃以上の融点を有する材料を用いる。
融点が使用最高温度未満である場合,使用最高温度で触媒安定層が溶融するため,触媒成分の拡散を抑制する効果が低下するおそれがある。
【0040】
『触媒層材料』
触媒層をγ−アルミナ等の高比表面積材料よりなるコート層に触媒成分,触媒トラップ材,触媒活性材等を担持させて形成する場合は,γ−アルミナ及び触媒成分(例えば貴金属触媒等の主触媒やNOx吸蔵材等の助触媒)が触媒層材料となる。その他,γ−アルミナの熱劣化防止のために,TiO,ZrOを使用することができる。
【0041】
『触媒トラップ材』
触媒層に触媒トラップ材が分散することで,次のような効果を得ることができる。
すなわち,触媒トラップ材は触媒層に担持された触媒成分を表面電位で吸引して触媒トラップ材周辺に捕捉し,触媒成分のセラミック担体内部への拡散を防止する。よって,触媒成分を触媒層中に均一に分散保持することができる。
そして,触媒成分がセラミック担体へ拡散して反応し難いため,セラミック担体の熱膨張増といった問題が生じ難く,安価で高温耐久性に優れ,安定した触媒性能を長期にわたり維持するセラミック触媒体が得られる。
また,触媒トラップ材はセラミック触媒体よりも高融点の材料で構成することが好ましい。
【0042】
また,触媒トラップ材の使用量は特に限定する必要はないが,触媒層のコート層を構成するγ−アルミナ等の高比表面積材料に対して重量で3〜30%の範囲で添加することが好ましい。
触媒トラップ材の添加量を3%以上とすることで際立った効果を得ることができ,30%を越えると添加量に応じた効果の向上がなくなり,効果が飽和する。
なお,触媒トラップ材の具体例については後述する。
【0043】
『触媒活性材』
触媒層に触媒活性材が分散することで,次のような効果を得ることができる。
すなわち,触媒活性材は触媒層に担持された触媒成分を表面電位で吸引して触媒活性材周辺に捕捉し,触媒成分のセラミック担体内部への拡散を防止する。よって,触媒成分を触媒層中に均一に分散保持することができる。
そして,触媒成分がセラミック担体へ拡散して反応し難いため,セラミック担体の熱膨張増といった問題が生じ難く,安価で高温耐久性に優れ,安定した触媒性能を長期にわたり維持するセラミック触媒体が得られる。
このような効果に加えて,触媒活性剤が水蒸気改質反応により水素を触媒層に供給することで,触媒成分の表面活性が増加して触媒反応を促進させることができる。
また,触媒活性材はセラミック触媒体よりも高融点の材料で構成することが好ましい。
【0044】
また,触媒活性材は,水蒸気改質反応により生成する水素を触媒成分,特にPt,Rh等の貴金属触媒に供給する作用を有する。これにより,触媒成分の表面において活性面が増加する。活性面の増大は触媒反応を促進するため,触媒性能を高めることができる。
従って,触媒活性剤を含む触媒層を備えたセラミック触媒体は,長期にわたる高浄化性能,高活性を維持する必要のあるガソリンエンジンの三元触媒やPM(パティキュレートマター:粒子状物質)の燃焼を同時に行うディーゼルエンジンのNOx触媒,DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)等に好適に用いることができる。
【0045】
また,触媒活性材の使用量は特に限定する必要はないが,触媒層のコート層を構成するγ−アルミナ等の高比表面積材料に対して重量で3〜50%の範囲で添加することが好ましい。
触媒活性材の添加量を3%以上とすることで際立った効果を得ることができ,50%を越えると添加量に応じた効果の向上がなくなり,飽和する。
【0046】
『懸濁液』及び『溶媒』
上記懸濁液は,第1,第3の発明では,触媒安定層材料を溶媒に均一分散混合して作製し,第2,第4の発明では,触媒層材料を溶媒に均一分散混合して作製した。触媒安定層材料や触媒層材料を分散させる溶媒としては,水,アルコール,エチレングリコール,分散剤,それらの混合溶媒などを用いることができる。
【0047】
『高圧分散混合処理』,『高速密閉攪拌処理』
本発明者らは触媒安定層材料が溶媒に均一分散混合した懸濁液を得るために,または触媒層材料が溶媒に均一分散混合した懸濁液を得るために高圧分散混合処理を使用した。
上記高圧分散混合処理は,触媒安定層材料または触媒層材料と溶媒とを含む混合液を作製し,該混合液を高圧下で互いに衝突させることで触媒安定層材料または触媒層材料を溶媒に均一分散混合することである。
【0048】
また,触媒安定層材料が溶媒に均一分散混合した懸濁液を得るために,または触媒層材料溶媒が溶媒に均一分散混合した懸濁液を得るために高速密閉撹拝処理を利用した。
上記高速密閉撹拝処理は,触媒安定層材料または触媒層材料と溶媒とを含む混合液を作製し,該混合液を密閉した空間で高速に攪拌して剪断力を加えることで触媒安定層材料または触媒層材料を溶媒に均一分散混合することである。
【0049】
触媒安定層材料または触媒層材料を溶媒に均一分散混合して得た再凝集し難い懸濁液をセラミック担体に均一分散混合状態で付与することから形成した触媒安定層や触媒層は,どの部分においても均一な表面電位や均一な混合組成を備えており,よって触媒成分のセラミック担体への拡散を防止することができる。
【0050】
次に,第1,第2の発明において,上記高圧分散混合処理を,可動オリフィスを上下作動するよう設けてなる混合分散部にて行うに当たり,
上記混合分散部の内部に露出する可動オリフィスの先端に,上記混合分散部に圧送した混合液を高圧下で衝突させることが好ましい(請求項3)(図3,図4参照)。
【0051】
上記方法によれば,混合液が可動オリフィスに衝突した場所の近傍において圧力変化や衝撃波を形成することができる。この圧力変化や衝撃波が混合液に対し高度の微細化,分散,乳化,混合等の作用を与え,触媒安定層材料(第1の発明の場合)や触媒層材料(第2の発明の場合)を溶媒に対し効率的かつ確実に均一分散混合させて,長期間安定した分散状態にある懸濁液を作製することができる。
【0052】
また,上記可動オリフィスにより導入した混合液が流路の体積を可変に制御できるので,材料の粒径や濃度に応じて流路の体積を調整することができる。
これにより,分散混合を最適制御できかつ安定的に行うことができる。
【0053】
また,上記高圧分散処理に高圧ホモジナイザーを用いることができる。高圧ホモジナイザーだは,混合液を高圧で圧送し,高速流を形成し,該高速流による衝撃波を形成して触媒安定層材料(第1の発明の場合)や触媒層材料(第2の発明の場合)の凝集部を破壊,一次粒子の状態まで分散させることで,均一な懸濁液を得ることができる。更に,高圧で混合液を圧送することで,機械的なせん断力を混合液に加えて,触媒安定層材料(第1の発明の場合)や触媒層材料(第2の発明の場合)を溶媒に均一に分散させることができる。
【0054】
次に,第1,第2の発明において,上記高圧分散混合処理は50〜400MPaの圧力において行うことが好ましい(請求項4)。
【0055】
これにより懸濁液中の触媒安定層材料(第1の発明の場合)や触媒層材料(第2の発明の場合)を効率的かつ確実に溶媒に対し均一分散混合して,長期間安定した分散状態にある懸濁液を得ることができる。
50MPa未満では圧力が低く,溶媒への分散が不十分となったり,比較的短い時間で懸濁液に沈殿が発生するおそれがある。また,400MPaを越える圧力を混合液に付与することは困難で,コスト高となるおそれがある。よって,このような高圧は現実的な選択ではない。
【0056】
第3,第4の発明において,上記高速密閉攪拌処理は,密閉耐圧容器と該密閉耐圧容器の内部に設けた回転軸に回転可能に取り付け,上記密閉耐圧容器の内径よりも僅かに小径の回転羽根とを有する攪拌槽において,
上記混合液を高速に攪拌して剪断力を加えることが好ましい(請求項7)。
【0057】
上記触媒安定層材料または上記触媒層材料を上記溶媒に混合した混合液を作製して,該混合液を上記攪拌槽に圧送する。攪拌槽内に圧送された混合液は,密閉耐圧容器内の回転羽根が回転して形成する遠心力により密閉耐圧容器の内壁面に押し付けられる。これにより発生したずり応力による機械的なせん断力を混合液に与えることができる。
【0058】
また,上記構成において,密閉耐圧容器と回転羽根との間の隙間は大変小さいため,回転羽根の先端(内壁面に近い側の端部)付近に存在する混合液は回転羽根ですべて撹拝されて高度の微細化,分散,混合,乳化等の作用が与えられる。
また,回転羽根の回転面の内外にある混合液は,混合液自体の慣性による回転運動中の速度差,渦流の発生等による混合作用を受ける。
【0059】
これによれば,触媒安定層材料(第1の発明の場合)や触媒層材料(第2の発明の場合)を溶媒に対し効率的かつ確実に均一分散混合させて,長期間安定した分散状態にある懸濁液を得ることができる。
【0060】
次に,触媒安定層の形成,触媒層の形成について説明する。
第1,第3の発明では,触媒安定層を形成し,その上に触媒層を形成する。
触媒安定層をセラミック担体に形成する一例を説明する。
高圧分散混合処理及び高速密閉撹拝手段により触媒安定層を構成する触媒安定層材料を溶媒に均一分散混合して懸濁液を調製する。その後,上記懸濁液にセラミック担体を浸漬し,通常の方法で乾燥・焼成する。
【0061】
上記触媒安定層をセラミック担体の表面に均一に形成するため,触媒安定層の形成に先立って,セラミック担体の表面に中間層を形成することが好ましい。
一般に,セラミック担体表面は,焼成時に形成された多数の細孔からなる凹凸が存在するため,表面に触媒安定層を孔や亀裂等を生じることなく均一に形成することは容易ではない。
【0062】
そこで,予め中間層を形成し,セラミック担体表面の凹凸を緩和し,中間層上に触媒安定層を形成することで,孔や亀裂等のない均一な触媒安定層を得ることができる。このような触媒安定層の表面に触媒層を設けることで,触媒層中の触媒成分のセラミック担体への拡散を防止することができる。
【0063】
上記中間層を構成するセラミック材料は,特に限定されないが,使用最高温度より融点が高いセラミック材料,好ましくは1000℃以上の融点を有するセラミック材料であることが好ましい。
また,セラミック担体及び触媒安定層の熱膨張係数に近い熱膨張係数を備えたセラミック材料を選択すると,熱膨張差による応力を緩和する効果を得る。
中間層の形成方法も,触媒安定層を形成する方法と同様であり,中間層を構成するセラミックス材料を含む懸濁液に,セラミック担体を浸漬し,乾燥・焼成することで中間層を得ることができる。
【0064】
なお,触媒安定層及び中間層を形成するセラミック粒子は,一次粒子の平均粒径が,セラミック担体の平均細孔径(通常5μm程度)以下,好ましくは平均細孔径の10分の1以下とすることが好ましい。これにより,セラミック担体の細孔表面の凹凸形状に沿って触媒安定層及び中間層を均一かつ容易に形成することができる。
なお,ここでいうところの細孔とは,セラミック担体の表面及び表面から内部へ連通する空間に形成される孔部をさし,不定形の孔空間である。
【0065】
また,触媒安定層及び中間層はセラミック担体の細孔を埋めることなく,細孔の表面を薄く覆うように形成することが好ましく,またこの時の厚みは例えば,1〜3μm程度とすることが好ましい。
仮に細孔が触媒安定層及び中間層で埋められると,熱膨張差により亀裂等が生じやすくなる。また,その上に触媒層を形成する際のアンカー効果が期待できず,触媒層の接着力が低下するおそれがある。
【0066】
また,触媒層を触媒安定層の表面に形成する方法としては,例えば触媒成分をγ−アルミナ等の高比表面積材料を含むスラリー中に分散させ,セラミック担体にコート層を形成すると同時に触媒成分を同時に担持形成することができる。
また,触媒安定層を設けたセラミック担体の表面をγ−アルミナ等の高比表面積材料よりなるコート層で覆い,その後,触媒成分を含む溶液に浸漬,乾燥してコート層に触媒成分を担持させることもできる。
【0067】
また,第2,第4の発明では,セラミック担体の表面に触媒成分と共に触媒トラップ材または触媒活性材を含む触媒層を形成するが,この触媒層形成には上記触媒安定層形成と同様の手順を利用することができる。
すなわち,γ−アルミナを含むスラリー中に触媒成分や触媒トラップ材または触媒活性材を均一分散混合させ,本発明にかかる懸濁液を得て,該懸濁液にセラミック担体を浸漬,乾燥して触媒層を担持形成することができる。
【0068】
また,第1〜第4の発明において,上記懸濁液を上記セラミック担体の表面に均一に付与する際は,上記懸濁液に超音波を与えることが好ましい(請求項8)。
これにより,懸濁液中での触媒安定層材料(第1,第3の発明)や触媒層材料(第2,第4の発明)の凝集,二次粒子形成を防止して,一次粒子または一次粒子径程度の粒子径を備えた分散状態を維持することができる。
【0069】
第1,第3の発明において,上記触媒安定層は,元素周期律表第1B族,第2B族,第3A族,第3B族,第4A族,第5A族,第6A族,第7A族及び第8族の元素から選択される少なくとも1種以上の元素を含む材料からなることが好ましい(請求項9)。
これら元素を含む材料を含ませることで,触媒安定層の表面電位を触媒層の表面電位と同等電位に容易に制御することができる。
【0070】
また,上記触媒安定層は,La,Y,Sc,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Yb,Lu,Al,Ga,Zn,Cu,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,Mn,Tc,Re,Fe,Co,Ni,Ru,Rh,Pd,Os,Ir及びPtから選択される少なくとも1種以上の元素を含む材料からなることが好ましい(請求項10)。
【0071】
そして,これら元素から任意に選択した1種以上の元素を含む化合物,例えば,酸化物及び複合酸化物等を,触媒安定層に用いることができる。
具体的には,上記触媒安定層は,Y,Sc,TiO,Cr,MnO,Mn,Mn,Fe2O,Fe,Co,NiO,ZnO,CuO,Ga,ZrO,Zr,Nb,SnO,CeO,Pr,PrO,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,HO,Er,Tm,Yb,Lu,HfO,Ta,Y及びAlから選択される1種以上の材料からなることが好ましい(請求項11)。
【0072】
中でも,上記触媒安定層は,Y及びCeOの少なくとも一方を含むことがもっとも好ましい(請求項12)。この物質は,触媒安定層と触媒層の表面電位を同等に保ち,触媒成分の拡散・拡散を抑制する効果が非常に高い。
【0073】
また,酸化物(複合酸化物)以外にも,炭化物,窒化物等の非酸化物(複合非酸化物でも使用できる)を用いることも可能であり,これらの複合材料も触媒安定層の構成材料として使用することができる。
このように触媒成分を含有する触媒層の表面電位に応じて,上述した化合物から適当な物質を選択したり,複数の化合物を選択して適当な組成比で組み合わせて,触媒安定層と触媒層の表面電位を同等となるように制御する。
【0074】
また,第2,第4の発明において,上記触媒トラップ材は,平均一次粒子径が500nm以下である粉末よりなることが好ましい(請求項13)。
平均一次粒子径が500nm以下の微粒子を触媒トラップ材は単位重量当たりの表面積が大きいため,少量の添加で本発明にかかる効果を得ることができ,材料費の節約を図ることができる。
なお,平均一次粒子径が10nm未満であるものは,粒子同士の凝集や二次粒子形成が生じ,均一分散混合が困難となるおそれがあるため,触媒トラップ材の下限径は10nmとすることが好ましい。
【0075】
また,第2,第4の発明において,上記触媒トラップ材は,Y,Sc,NiO,ZnO,CuO,CeO,Pr,PrO,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu及びAlから選択される1種以上の材料からなることが好ましい(請求項14)。
上記材料からなる触媒トラップ材は,触媒層に均一に分散しているだけで,触媒層のほかの成分(触媒成分等)と反応し難い。従って,副生成物等の形成もなく,安定した触媒特性を備えた触媒層を得ることができる。
【0076】
また,第2,第4の発明において,上記触媒活性材は,ランタノイド元素から選択される少なくとも1種以上の元素を含む材料からなることが好ましい(請求項15)。
この材料は高い選択性で水蒸気改質反応が起こり,効率よく水素を触媒層に供給できる。
更に,上記元素を含む材料の具体例としては,Y,CeO,Pr,PrO,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb及びLuから選択される1種以上の材料を挙げることができる(請求項16)。
これらの材料はいずれも熱的に安定した酸化物材料である。従って,高温で長期使用した際にセラミック触媒体の熱劣化が生じ難い。
【0077】
また,特に好ましい化合物は,特に水蒸気改質反応に高活性で,効率よく水素を上記触媒層に供給できる,少なくともCeの酸化物または複合酸化物から選択される1種以上の材料である(請求項17)。
Ceの酸化物または複合酸化物は,酸素の吸着・脱離性能に優れた特性を有し,水蒸気改質反応が円滑に進行するためと考えられる。
【0078】
更に,上記触媒活性材は,CeOと,Y,TiO,ZrO及びAlから選択される1種以上の酸化物を混合してなる混合酸化物からなることが好ましい(請求項18)。
また,CeOは,特に水蒸気改質反応に高活性で,Y,TiO,ZrO及びAlの1種以上を選択して混合した混合酸化物とすることで,より選択的に水蒸気改質反応を起こし,効率よく水素を触媒層に供給できる。
【0079】
なお,触媒活性材として例示した上記材料の中には触媒トラップ材として機能する材料もある。このように触媒活性剤と機能トラップ材と双方を含む触媒層を得ることもできる。
この場合,触媒成分に水素を供給して活性を高める効果に加えて,触媒成分を吸引,捕捉して拡散を抑制してセラミック担体を守ることができる。
【0080】
また,第1〜第4の発明において,上記触媒成分は,アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素から選択される少なくとも1種以上の元素からなる化合物を含むこと(請求項19)が好ましい。
これら金属元素の化合物は高いNOx吸蔵効果を有する。そのため,触媒成分がこれらの化合物を含むことで,排気ガス浄化用触媒として本発明にかかるセラミック触媒体を用いることができる。
【0081】
また,上記化合物の中でも,特にLi,Na,K,Ba,Rb,Be,Mg,Ca及びSrから選択される少なくとも1種以上の元素からなる化合物を含むことが好ましい(請求項20)。
具体的には,上記元素にかかる酸化物や酢酸塩,硝酸塩,硫酸塩等の塩,これらの酸化物や塩からなる複合化合物等を使用することができる。
更に好ましくは,NOx吸蔵能に優れるBa,K,Liを含む化合物,例えば,酢酸バリウム,酢酸カリウム,硝酸リチウム等を好適に用いることができる。なお,ここで挙げた触媒成分は一例であり,他の目的に使用するセラミック触媒体を作製する際には異なる触媒成分からなる触媒層を採用する。
【0082】
また,上記セラミック担体は熱膨張係数が1.5×10/℃以下であることが好ましい(請求項21)。
このようなセラミック担体は,耐熱衝撃性が高く,高温の排気ガスが流入する排気ガス浄化用触媒に使用した際に熱衝撃破壊が生じ難い。
熱膨張係数が1.5×10/℃より大きい場合は,耐衝撃性が悪化して高温耐久性が劣化するおそれがある。
また,上記熱膨張係数の下限は,一般にセラミック触媒体は金属ハウジング内に固定して使用することから,著しく収縮して固定が困難とならないように0以上とする,すなわち熱で収縮しないようにすることが好ましい。
【0083】
また,上記セラミック担体はコーディエライトを含有することが好ましい(請求項22)。
セラミック担体として熱膨張係数の低いコーディエライト材料を用いることで,耐熱衝撃性に優れたセラミック触媒体を得ることができる。熱衝撃性に優れた触媒体は高温の排気ガスが流入する排気ガス浄化用触媒に使用した際に熱衝撃破壊が生じ難い。
また,コーディエライトは高温耐久性に優れる材料である。従って,触媒層の触媒成分の性能を長期に渡り維持することができる。更に,コーディエライトは安価であり,製造コストを引き下げることもできる。
【0084】
なお,コーディエライトとは,2MgO・2Al・5SiOの化学式で表される複合酸化物であり,低熱膨張材料で耐熱性に優れかつ安価である。
また,セラミック担体として,例えば,SiC,Si等のSiを含むセラミック材料からなるものを用いることもできる。
【0085】
また,第5の発明において,Y及びCeOの少なくとも一方を含むことがもっとも好ましい(請求項24)。この物質は,触媒安定層と触媒層の表面電位を同等に保ち,触媒成分の拡散・拡散を抑制する効果が非常に高い。
また,第6の発明において,上記触媒トラップ材は,Y,Sc,NiO,ZnO,CuO,CeO,Pr,PrO,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu及びAlから選択される1種以上の材料からなることが好ましい(請求項26)。
上記材料からなる触媒トラップ材は,触媒層に均一に分散しているだけで,触媒層のほかの成分(触媒成分等)と反応し難い。従って,副生成物等の形成もなく,安定した触媒特性を備えた触媒層を得ることができる。
【0086】
また,第7の発明における,上記触媒活性材は,CeOと,Y,TiO,ZrO及びAlから選択される1種以上の酸化物を混合してなる混合酸化物からなることが好ましい(請求項28)。
CeOは,特に水蒸気改質反応に高活性で,Y,TiO,ZrO及びAlの1種以上を選択して混合した混合酸化物とすることで,より選択的に水蒸気改質反応を起こし,効率よく水素を触媒層に供給できる。
【0087】
【実施例】
以下に,図面を用いて本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
本発明にかかるセラミック触媒体について,図1,図2を用いて説明する。
本例にかかるセラミック触媒体1は,セラミック担体と,該セラミック担体の表面を覆い,触媒成分の拡散を抑制する触媒安定層12と,該触媒安定層12の表面を覆い,触媒成分を含有する触媒層13とからなると共に,上記触媒安定層12の表面電位と上記触媒層13の表面電位は略同一であり,かつ上記触媒安定層12は使用最高温度より高温の融点を有する。
【0088】
このセラミック触媒体1を製造する際は,まず上記触媒安定層12を構成する触媒安定層材料を準備して,該触媒安定層材料を溶媒に均一分散混合した懸濁液を作製する。次いで,上記懸濁液を上記セラミック担体の表面に均一に付与すると共に上記触媒安定層材料を熱処理して上記触媒安定層12を形成する。
そして,上記懸濁液を作製する際は,上記触媒安定層材料と上記溶媒とを含む混合液を作製し,該混合液を高圧下で互いに衝突させることで触媒安定層材料を溶媒に均一分散混合する高圧分散混合処理を行う。
【0089】
以下,詳細に説明する。
図1,図2に示すごとく,本例にかかるセラミック触媒体1は,コーディエライトからなるセラミック担体を基材とし,その表面にシリカからなる中間層(図示略)を形成し,該中間層の表面に触媒安定層12を形成し,該触媒安定層12の表面に触媒層13を形成してなる。
そして,本例のセラミック触媒体は自動車エンジンの排気管に設置して,エンジンから排出される排気ガス浄化に使用する。
【0090】
セラミック担体はハニカム構造体で,図1,図2に示すごとく,触媒を作用させる排気ガスの流路となる多数の孔部10を有し,触媒安定層12を形成する表面は,ガス流路に面する孔部10の壁面100である。また,図2に示した矢線Zは,触媒を作用させる排気ガスの流路となる方向である。
図1(a)は孔部10を拡大した状態の説明図である。このように壁面100を覆うように触媒安定層12が,さらに触媒安定層12を覆うように後述する触媒成分を含む触媒層13が形成されている。なお,図1(b)は,壁面100を更に拡大して図示した。
【0091】
上記触媒安定層12はCeOとYとからなり,上記触媒層13はγ−アルミナからなるコート層に主触媒及び助触媒からなる触媒成分を担持してなる。上記触媒層13におけるγ−アルミナからなるコート層の表面は凹凸面であり,該凹凸面に触媒成分が物理吸着している。
主触媒は貴金属触媒で,助触媒はNOx吸蔵材である。具体的には,主触媒はPtとRhからなり,助触媒はカリウム化合物(KO)からなる。上記主触媒は従来から知られた三元触媒であり,助触媒はリーン雰囲気でNOxを吸蔵し,ストイキ(理論空燃比)及びリッチ雰囲気(還元雰囲気)で吸蔵されたNOxを放出するNOx吸蔵材である。
また,触媒層13の表面電位と触媒安定層12の表面電位は略等しく,本例のセラミック触媒体の実使用域のpH7〜10において,双方共にpH7では2mV,pH8で−2mV,pH9で−7mV,pH10で−7mVである。
ここに表面電位の測定方法について説明すると,表面電位を測定したい触媒層や触媒安定層の評価サンプルを準備して,pH5〜11の範囲に希塩酸溶液及び水酸化カリウム溶液で調整して,表面電位の代用値であるゼータ電位を測定する。
【0092】
ゼータ電位の測定は,ゼータ電位測定装置(日本シーベルヘグナー EKA)を用いて流動電位法にて計測した(測定温度:23〜25℃,pH調整溶液:0.01N−HCl及び0.01N−KOH)。
測定の手順は以下に示す。
1)評価サンプル(板状,21mm×60mm×2mm)をゼータ電位測定装置の評価部のキャピラリー管内に配置する。
2)圧縮空気で一定圧力で電解溶液(0.01N−HCl及び0.01N−KOH)をキャピラリー管に押し出す。
3)発生する流動起電力を計測する。
以下,キャピラリー管に発生する流動起電力を,差圧を変えながら測定する。
また,評価する電解液のpH値は0.01N−HCl及び0.01N−KOH溶液を調整して,酸性側及びアルカリ側のpHで流動起電力を計測する。なお,pH値は測定終了時の値を用いた。
【0093】
次に,本例にかかるセラミック触媒体の製造方法について説明する。
まずハニカム構造体のセラミック担体を作製する。
コーディエライト化原料として,タルク,カオリン,アルミナ及び水酸化アルミニウムを作製し,これら原料粉末をコーディエライト理論組成点付近となるように調合した。
調合原料に,バインダ,潤滑剤,保湿剤及び水分を適量添加し,混練した。混練物を壁厚100μm,セル密度400cpsi(1平方インチ当たりの孔部の個数),直径50mmのハニカム成形体として押出成形した。
このハニカム成形体を大気雰囲気で800℃まで加熱して脱脂した後,1390℃で2時間かけて焼成した。これによりセラミック担体を得た。
【0094】
次に,セラミック担体に中間層を設ける。
この中間層は触媒安定層の均一なコーティングを可能とするために,セラミック担体をシリカゾル(日産化学(株)製,コロイダルシリカ)液に浸漬してコーティングし,乾燥,焼成により形成した。
【0095】
次に,触媒安定層を形成する。
触媒安定層材料として,いずれも平均粒子径が100〜300nmの超微粒子(シーアイ化成(株)製,ナノテック超微粒子)を用いた。この超微粒子はCeOとYとからなり,いずれも融点が1000℃以上である。
そして,上記超微粒子を純水(本例は純水を溶媒として用いた)に分散均一混合させて,懸濁液を調整した。
【0096】
本例にかかる懸濁液は,高圧分散混合処理を利用して作製した。
すなわち,本例は高圧分散混合処理において高圧ホモジナイザーを用いるが,高圧ホモジナイザー内に純水に触媒安定層材料を混合した混合液を高圧で圧送し,高速流を形成し,該高速流による衝撃波を形成して溶媒中における触媒安定層材料の凝集部を破壊,一次粒子の状態まで触媒安定層材料を分散させることで,均一な懸濁液を作製する。
更に,高圧ホモジナイザーへの圧送は高圧で行われるため,圧送時に機械的な剪断力を混合液に加えることができる。この剪断力も混合液中の触媒安定層材料の分散に有効である。
なお,この時の高圧ホモジナイザー内部の圧力は200MPaであった。
【0097】
以上の要領で作製した懸濁液中に,中間層を設けたセラミック担体全体を浸漬し,次いで懸濁液からこれを引き上げて乾燥させる。これにより,懸濁液をセラミック担体の表面に均一に付与した。
乾燥後,大気中,1000℃で焼成することで,懸濁液中の触媒安定層材料を焼結させて,表面に触媒安定層を持つセラミック担体を得た。
【0098】
次いで,触媒安定層を備えたセラミック担体に触媒層を形成する。
まず,γ−アルミナと触媒成分である主触媒(Pt,Rh),助触媒(KO)を溶媒の水に懸濁させてスラリー化した。このスラリーを上記触媒安定層を備えたセラミック担体をコートし,乾燥後,大気中,1000℃で焼成し,表面に触媒層を形成した。
これにより本例にかかるセラミック触媒体を得た。
【0099】
本例にかかる作用効果について説明する。
本例にかかるセラミック触媒体は,触媒安定層形成に使用する懸濁液を得る際に高圧分散混合処理を利用した。また,上記処理を行うにあたり,高圧ホモジナイザーを使用した。
【0100】
上記高圧分散混合処理による分散は,触媒安定層材料の溶媒中での凝集,二次粒子形成を防止して,これらを一次粒子径または一次粒子径近くの粒子径を備えた状態に分散させることができる。
更に,上記高圧分散混合処理により作製した懸濁液は,長期間にわたって分散状態が安定し,液中での各材料の再凝集が生じ難い。
【0101】
このような特性を備えた懸濁液から得た触媒安定層は触媒成分のセラミック担体への拡散を防止することができる。
そして,触媒成分がセラミック担体に拡散し難いため,触媒成分の拡散に伴う触媒性能の低下も,セラミック担体の劣化も生じ難く,よって,長期にわたって触媒性能が変化し難いセラミック触媒体を得ることができる。
【0102】
さらに,セラミック担体として従来触媒成分の拡散発生を前提として使用できなかった低熱膨張のコーディエライトからなるものを使用することが可能となって,低熱膨張率のセラミック触媒体を得ることができる。
また,セラミック触媒体を高温に加熱しても,触媒成分の拡散は促進され難いため,セラミック触媒体を構成する各材料の耐熱限界まで使用できるセラミック触媒体を得ることができる。
【0103】
よって,本例の製造方法によれば,低熱膨張率で高温耐久性に優れ,触媒成分がセラミック担体に拡散し難く,触媒性能の低下やセラミック担体の劣化が生じ難く,優れた触媒性能を長期にわたり維持可能なセラミック触媒体を得ることができる。
【0104】
また,懸濁液を作成する際の高圧分散混合処理を,図3,図4に示すごとき,可動オリフィス24を上下作動するよう設けてなる混合分散部22にて行うことができる。
図4に示すごとく,ここで使用する高圧分散混合処理装置2は,混合分散部22の内部に露出する可動オリフィス24の先端240に,上記混合分散部22に圧送した混合液を高圧下で衝突させる。
図3に示すごとく,配管e1,e2,e3で結合された混合分散部22と貯蔵槽23との間で懸濁液(混合液)を循環させて上記の操作を行う。
配管e1から入った懸濁液(混合液)は先端240に衝突して分岐して二つの出口221,222から流出して配管e3で合流し,貯蔵槽23に戻る。貯蔵槽23から配管e2及びe1を通じて再び懸濁液は上記混合分散部22に循環する。
そして,高圧ポンプ21は可動オリフィス24の駆動用に設けてあり,該高圧ポンプ21及び可動オリフィスは矢線d1,d2にかかる圧縮空気で駆動させる。
【0105】
(実施例2)
本例は実施例1と異なる方法で触媒安定層を形成する懸濁液を作製する。
本例では懸濁液の作製に,触媒安定層材料と溶媒とを含む混合液を作製し,該混合液を密閉した空間で高速に攪拌して剪断力を加える高速密閉攪拌処理を利用して,触媒安定層材料のCeOとYとを溶媒である純水に均一分散混合する。
すなわち,図5,図6に示すごとく,密閉耐圧容器314と該密閉耐圧容器314の内部に設けた回転軸312に回転可能に取り付け,上記密閉耐圧容器314の内径よりも僅かに小径の回転羽根313とを有する攪拌槽31において,混合液を高速に攪拌して剪断力を加えることにより行った。
【0106】
以下,詳細に説明する。
本例において,触媒安定層材料を溶媒に均一分散混合した懸濁液を得る高速密閉攪拌処理は,高速ミクサー装置(T.K.フィルミクス80−50型,特殊機化工業製)を用いて行った。これにより触媒安定層材料の一次粒子径,または一次粒子径近くの粒子径まで分散した均一性の高い懸濁液を得た。
なお,本例では,実施例1と同様に,超微粒子CeOとY(シーアイ化成製)を純水に均一混合させて調整した混合液を用いる。
【0107】
図5,図6に示すごとく,高速ミクサー装置3は,密閉耐圧容器314と該密閉耐圧容器314の内部に設けた回転軸312に回転可能に取り付け,上記密閉耐圧容器314の内径よりも僅かに小径の回転羽根313とを有する攪拌槽31貯蔵槽32,ポンプ装置33と,これらを結ぶ配管a1〜a4からなる。
また,図6に示すごとく,上記の高速ミクサー装置3では,密閉耐圧容器314の外面に冷却部34を構成して冷却水b1,b2を流すことで密閉耐圧容器31内が高温となることを抑制している。
特に,高速ミクサー装置3は液媒での混合・分散・乳化を目的とし,本例では水を液媒として使用するため,水の沸点である100℃以下で運転し,好ましくは60℃程度以下で運転する。
【0108】
図6に示すごとく,上記密閉耐圧容器314は流路入口315と流路出口316とを有する。
また,上記攪拌槽31内に高速モータ311に接続した回転軸312を設置して,該回転軸312は上記密閉耐圧容器314と同心状に配置する。
この回転軸312に密閉耐圧容器314より僅かに小径の回転羽根313を取り付けてなる。
なお,図5,図6においては分かりやすく記載するために回転羽根313と密閉耐圧容器314との間を広く記載したが,実際は2mm程度と非常に狭い。
【0109】
上記高速ミクサー装置3において,混合液は流路a1〜a4で接続された,密閉耐圧容器314と貯蔵槽32,ポンプ33との間を循環する。
密閉耐圧容器314内において,上記混合液は回転羽根313のエネルギーを受けて回転し,遠心力で密閉耐圧容器314の内面に圧着されて圧力が上昇し,中空の薄膜状になって回転する。
【0110】
この混合液の回転は,回転羽根313に接触する部分のみならず,回転羽根313で回転された混合液の動きにつられて回転羽根313から離れた部分で生じ,また密閉耐圧容器内314に空気が存在するときは,該空気の回転を介して混合液に回転が伝達される。
回転羽根313の回転速度は混合液の回転速度より大きく,密閉耐圧容器314と回転羽根313の隙間は小さいから,回転羽根313の端部付近に存在する混合液は回転羽根313ですべて攪拌されて高度の微細化による分散・混合・乳化等の作用が生じる。
【0111】
そして,この回転羽根313の回転面の内外にある混合液は,該混合液自体の慣性による回転運動中の速度差,渦流の発生等によっても分散,混合,乳化等の作用を受ける。
以上により,混合液は密閉耐圧容器314と貯蔵槽32,ポンプ33との間を循環する間に分散,混合の作用を受けて,均一分散混合した懸濁液となる。
製造方法のその他詳細については実施例1と同様である。
【0112】
本例は懸濁液の作製を高速密閉攪拌処理を利用して行うため,触媒安定層材料の溶媒中での凝集,二次粒子形成を防止して,これらを一次粒子径または一次粒子径近くの粒子径を備えた状態に分散させることができる。
更に,上記高圧分散混合処理により作製した懸濁液は,長期間にわたって分散状態が安定し,液中での各材料の再凝集が生じ難い。
【0113】
このような特性を備えた懸濁液から得た触媒安定層は触媒成分のセラミック担体への拡散を防止することができる。
そして,触媒成分がセラミック担体に拡散し難いため,触媒成分の拡散に伴う触媒性能の低下も,セラミック担体の劣化も生じ難く,よって,長期にわたって触媒性能が変化し難いセラミック触媒体を得ることができる。
さらに,セラミック担体として従来触媒成分の拡散発生を前提として使用できなかった低熱膨張のコーディエライトからなるものを使用することが可能となって,低熱膨張率のセラミック触媒体を得ることができる。
また,セラミック触媒体を高温に加熱しても,触媒成分の拡散は促進され難いため,セラミック触媒体を構成する各材料の耐熱限界まで使用できるセラミック触媒体を得ることができる。
【0114】
よって,本例の製造方法によれば,低熱膨張率で高温耐久性に優れ,触媒成分がセラミック担体に拡散し難く,触媒性能の低下やセラミック担体の劣化が生じ難く,優れた触媒性能を長期にわたり維持可能なセラミック触媒体を得ることができる。
その他詳細は実施例1と同様である。
【0115】
(実施例3)
本例のセラミック触媒体は,セラミック担体と,該セラミック担体の表面を覆い,触媒成分を含有する触媒層とからなる。
セラミック担体はハニカム構造体で,図7(a)に示すごとく,触媒を作用させる排気ガスの流路となる多数の孔部10を有し,触媒層13は,ガス流路に面する壁面100に形成する。図7(b)は孔部10を拡大した状態の説明図である。このように壁面100を覆うように触媒成分と触媒トラップ材131を含む触媒層13が形成されている。なお,図1(b)は,孔部10付近を更に拡大して図示した。
【0116】
上記触媒層はγ−アルミナからなるコート層に主触媒及び助触媒からなる触媒成分と上記触媒成分の拡散を防止する触媒トラップ材を担持してなる。
主触媒は貴金属触媒で,助触媒はNOx吸蔵材である。具体的には,主触媒はPtとRhからなり,助触媒はカリウム化合物(KO)からなる。
触媒トラップ材は平均粒子径が100〜300nmの超微粒子(シーアイ化成(株)製,ナノテック超微粒子)のCeOで,コート層を構成するγ−Alに対して重量で10%(外%)添加してなる。
【0117】
次に,本例にかかるセラミック触媒体の製造方法について説明する。
実施例1と同様の方法でセラミック担体を作製し,実施例1に示した高圧分散混合処理を利用して,触媒トラップ材とγ−Alとを純水に加えた懸濁液を作製した。また,この懸濁液を作製するに,実施例2に示した高速密閉攪拌処理を利用することもできる。
得られた懸濁液にセラミック担体を浸漬し,乾燥した後焼成して,触媒層を備えたセラミック触媒体を得た。製造方法のその他詳細は実施例1と同様である。
【0118】
本例にかかるセラミック触媒体において触媒層は触媒トラップ材を含有する。
高圧分散混合処理による分散は,触媒層材料となるγ−アルミナや触媒トラップ材の溶媒中での凝集,二次粒子形成を防止して,これらを一次粒子径または一次粒子径近くの粒子径を備えた状態に分散させることができる。
更に,上記高圧分散混合処理により作製した懸濁液は,長期間にわたって分散状態が安定し,液中での各材料の再凝集が生じ難い。
【0119】
このような特性を備えた懸濁液から得た触媒層は触媒層の全体に均一に触媒トラップ材が含有されてなり,従って触媒成分のセラミック担体への拡散を防止することができる。
すなわち,この触媒トラップ材は,触媒層に担持された触媒成分を表面電位で吸引して触媒トラップ材周辺に捕捉して,セラミック触媒体の使用温度において触媒成分のセラミック担体内部への拡散を防止できる。よって,触媒成分を触媒層中に均一に分散保持することができる。
【0120】
そして,触媒成分がセラミック担体に拡散し難いため,触媒成分の拡散に伴う触媒性能の低下も,セラミック担体の劣化も生じ難く,よって,長期にわたって触媒性能が変化し難いセラミック触媒体を得ることができる。
さらに,セラミック担体として従来触媒成分の拡散発生を前提として使用できなかった低熱膨張のコーディエライトからなるものを使用することが可能となって,低熱膨張率のセラミック触媒体を得ることができる。
また,セラミック触媒体を高温に加熱しても,触媒成分の拡散は促進され難いため,セラミック触媒体を構成する各材料の耐熱限界まで使用できるセラミック触媒体を得ることができる。
【0121】
よって,本例の製造方法によれば,低熱膨張率で高温耐久性に優れ,触媒成分がセラミック担体に拡散し難く,触媒性能の低下やセラミック担体の劣化が生じ難く,優れた触媒性能を長期にわたり維持可能なセラミック触媒体を得ることができる。
その他詳細は実施例1と同様である。
【0122】
なお,本例は触媒層にトラップ材を含有させたが,これの代わりに触媒活性材を含有させた触媒層を設けることもできる。
この場合,触媒活性材は平均粒子径が100〜300nmの超微粒子(シーアイ化成(株)製,ナノテック超微粒子)のCeOとAlとを1対1で混ぜたもので,触媒層を構成するγ−Alに対して重量で10%(外%)を添加した。
【0123】
触媒活性材が水蒸気改質反応により水素を触媒層に供給することで,触媒成分のセラミック担体内部への拡散を防止することができる。
従ってセラミック触媒体の使用温度において触媒成分のセラミック担体内部への拡散を防止できる。よって,触媒成分を触媒層中に均一に分散保持できる。
そして,触媒成分がセラミック担体へ拡散して反応し難いため,セラミック担体の熱膨張増といった問題が生じ難く,安価で高温耐久性に優れ,安定した触媒性能を長期にわたり維持するセラミック触媒体が得られる。
その他詳細は実施例1と同様である。
【0124】
(実施例4)
本発明にかかるセラミック触媒体の性能を比較試料と共に説明する。
試料1〜8,比較試料C1,C2にかかるセラミック触媒体は,実施例1にかかるセラミック担体の表面にシリカよりなる中間層を,該中間層の表面にCeOとイットリア(Y)からなる触媒安定化層を,更にその表面にγ−アルミナのコート層と触媒成分とからなる触媒層を設けてなる。
【0125】
触媒成分は主触媒(貴金属触媒)のPt,Rh,Pdからなり,助触媒(NOx吸蔵材)はカリウム化合物(KO)からなる。これらの触媒成分がコート層表面に物理吸着することで触媒層が形成される。また,触媒層の表面電位と触媒安定層の表面電位が略等しく,本例のセラミック触媒体の実使用域のpH7〜10において,双方共にpH7では2mV,pH8で−2mV,pH9で−7mV,pH10で−7mVである(詳細は実施例1参照)。
【0126】
試料1〜5にかかるセラミック触媒体は,実施例1に記載した高圧分散混合処理にて触媒安定層用の懸濁液を作製した。高圧分散混合処理に用いた装置は高圧ホモジナイザー(Emulsi Flex (R) C−5,AVESTIN社製)で,圧力を少しずつ変えてある。
試料6〜8にかかるセラミック触媒体は,実施例2に記載した高速ミクサー装置(T.K.フィルミクス80−50型,特殊機化工業製)を利用して触媒安定層用の懸濁液を作製した。回転羽根(実施例2参照)は30,40,50M/秒(単位はrpm)と少しずつ変えてある。
【0127】
また,比較試料1は従来の分散方法であるプロペラ攪拌混合を(後述する比較例1),比較試料2は従来の分散方法である媒体撹拝ミル(後述する比較例2)を利用して懸濁液を作製した。
【0128】
そして各試料1〜8,比較試料1,2を作製する際の懸濁液作製条件と得られた懸濁液の状態との関係について,表1に記載した。
表1において懸濁液の濃度は,重量%濃度で全懸濁液重量に対する分散している粒子の重量比である。そして,各懸濁液の作製条件と懸濁液の濃度において,懸濁液中に分散した粒子(触媒安定層材料となるCeOとイットリア(Y))の粒径は,マイクロトラック(UPA150,日機装製)粒度分析計でレーザードップラー法で濃度ごとに測定した。
【0129】
以上の測定結果より,従来の分散方法と比較して,本発明にかかる高圧分散混合処理や高速密閉攪拌処理を利用した分散は,非常に細かな粒径の分散状態が得られることがわかった。
なお,CeOとイットリア(Y)の一次粒子の粒径は理論的には,CeOは50nm(0.05μm),Yは150nm(0.15μm)程度であると考えられるため,高圧分散混合処理や高速密閉攪拌処理による懸濁液中の粒子は平均一次粒子かそれに近い状態にあることが分かった。
【0130】
【表1】
Figure 2004283695
【0131】
次に,試料1〜8,比較試料1,2のセラミック触媒体に対し実機エンジンからの排気ガスによる耐久試験を実施した。また,各試料の作成に用いた懸濁液の濃度は10%とした。
耐久試験は,セラミック触媒体に実機エンジンを用いて900℃で10時間,排気ガスを導入して行った。そして,NOx吸蔵量,セラミック触媒体の流路方向(図2に記載)の熱膨張係数をそれぞれ測定し,表2に記載した。
表2におけるNOx吸蔵量は,触媒安定層のないセラミック触媒体(耐久後)のNOx吸蔵量を1として,これに対する比で記載した。
また,熱膨張係数は押棒式熱膨張計法で,25℃から800℃の間の平均の熱膨張係数で評価した。
【0132】
表2から明らかなように,従来のプロペラ混合や媒体攪拌ミルで得た懸濁液より触媒安定層を形成した比較試料1では,熱膨張係数が1.75×10−6/℃,比較試料2では,1.56×10−6/℃と高かった。
比較試料1や2にかかるセラミック触媒体について,耐久試験後のセラミック担体をEPMA(=電子線マイクロアナライザー)で分析した結果,コーディエライト構造中にNOx吸蔵材に含まれるカリウムが移動,拡散していることが確認され,セラミック担体の組成が変化(副生成物を形成)して熱膨張係数が増加したことが確認された。
【0133】
これに対し,表2に示されるように,試料1〜8のセラミック触媒体は,いずれも流路方向の熱膨張係数が1.5×10−6/℃以下と実用上十分に低い。また,NOx吸蔵量(耐久後)は,比較試料1及び2に比べ多くなっており,長期にわたり触媒性能が維持できることがわかった。
また,試料1〜8のセラミック触媒体の触媒成分,特にカリウム化合物の分散状態をEPMAで分析した結果,いずれの試料もカリウム化合物が触媒層中にほぼ均一に分散していることが確認された。これは試料1〜8のセラミック触媒体では,触媒安定層によりカリウムの移動,拡散が防止され,セラミック担体を構成するコーディエライトとカリウム化合物の反応が生じていないことを示している。
【0134】
【表2】
Figure 2004283695
【0135】
(実施例5)
本例は,実施例1と同様のセラミック担体の表面にシリカよりなる中間層を,該中間層の表面にγ−アルミナのコート層と触媒成分,触媒トラップ材からなる触媒層を設けてなるセラミック触媒体について性能を評価した。
【0136】
上記触媒層はγ−アルミナからなるコート層に主触媒及び助触媒からなる触媒成分と上記触媒成分の拡散を防止する触媒トラップ材を担持して構成する。
主触媒は貴金属触媒で,助触媒はNOx吸蔵材である。具体的には,主触媒はPtとRhからなり,助触媒はカリウム化合物(KO)からなる。
触媒トラップ材は平均粒子径が100〜300nmの超微粒子(シーアイ化成(株)製,ナノテック超微粒子)のCeOで,触媒層を構成するγ−Alに対して重量で10%(外%)を添加した。
【0137】
試料9〜13は,実施例1に記載した高圧分散混合処理を利用して懸濁液を作製した。各試料において高圧分散混合処理に用いた装置は高圧ホモジナイザーで,圧力を少しずつ変えてある。
試料14〜16は,実施例2に記載した高速密閉攪拌処理を利用して懸濁液を作製した。各試料において回転羽根(実施例2参照)の周速を少しずつ変えてある。
また,比較試料3は,従来の分散方法であるスクリュー混合を,比較試料4は媒体撹拝ミルを利用して懸濁液を作製した。
なお,各懸濁液作製の詳細は実施例4と同様である。
【0138】
次に,試料9〜16,比較試料3,4のセラミック触媒体に対し実機エンジンから排出される排気ガスを利用した耐久試験を実施例4と同様に行った。
その結果,表3から明らかなように,従来のプロペラ混合や媒体攪拌ミルで得た懸濁液より触媒層を形成した比較試料3では,熱膨張係数が1.82×10−6/℃,比較試料4では,1.65×10−6/℃と高かった。
【0139】
また,実施例4の比較試料1,2と同様に,コーディエライト構造中にNOx吸蔵材であるカリウムが移動,拡散していることが確認され,セラミック担体の組成が変化(副生成物を形成)し,熱膨張係数が増加したことが確認された。
【0140】
これに対し,試料9〜16のセラミック触媒体は,いずれも流路方向の熱膨張係数が1.5×10−6/℃以下と実用上十分に低い。また,NOx吸蔵量(耐久後)は,比較試料1及び2に比べ多くなっており,長期にわたり触媒性能が維持できることがわかった。
また,実施例4の試料1〜8と同様に,いずれの試料もカリウム化合物が触媒層中にほぼ均一に分散し,カリウムの移動,拡散が防止され,セラミック担体を構成するコーディエライトとカリウム化合物の反応が生じていなかった。
【0141】
【表3】
Figure 2004283695
【0142】
(実施例6)
本例は,実施例1と同様のセラミック担体の表面にシリカよりなる中間層を,該中間層の表面にγ−アルミナのコート層と触媒成分,触媒活性材からなる触媒層を設けてなるセラミック触媒体について性能を評価した。
上記触媒層はγ−アルミナからなるコート層に主触媒及び助触媒からなる触媒成分と上記触媒成分の拡散を防止する触媒活性材を担持して構成する。
【0143】
主触媒は貴金属触媒で,助触媒はNOx吸蔵材である。具体的には,主触媒はPtとRhからなり,助触媒はカリウム化合物(KO)からなる。
触媒活性材は平均粒子径が100〜300nmの超微粒子(シーアイ化成(株)製,ナノテック超微粒子)のCeOとAlとを1対1で混ぜたもので,触媒層を構成するγ−Alに対して重量で10%(外%)を添加した。
【0144】
試料17〜21は,実施例1に記載した高圧分散混合処理で懸濁液を作製した。各試料において高圧分散混合処理に用いた装置は高圧ホモジナイザーで,混合の圧力を少しずつ変えてある。
試料22〜24は,実施例2に記載した高速密閉攪拌処理で懸濁液を作製した。各試料において回転羽根(実施例2参照)の周速を少しずつ変えてある。
また,比較試料5は,従来の分散方法であるスクリュー混合を,比較試料6は媒体撹拝ミルを利用して懸濁液を作製した。
詳細は実施例4と同様である。
【0145】
次に,試料17〜24,比較試料5,6のセラミック触媒体に対し実機エンジンからの排気ガスによる耐久試験を実施例4と同様に行った。
その結果,表4から明らかなように,従来のプロペラ混合や媒体攪拌ミルで得た懸濁液より触媒層を形成した比較試料5では,熱膨張係数が1.89×10−6/℃,比較試料6では,1.62×10−6/℃と高かった。
また,実施例4の比較試料1,2と同様に,コーディエライト構造中にNOx吸蔵材であるカリウムが移動,拡散していることが確認され,セラミック担体の組成が変化(副生成物を形成)して熱膨張係数が増加したことが確認された。
【0146】
これに対し,試料17〜24のセラミック触媒体は,いずれも流路方向の熱膨張係数が1.5×10−6/℃以下と実用上十分に低い。また,NOx吸蔵量(耐久後)は,比較試料1及び2に比べ多くなっており,長期にわたり触媒性能が維持できることがわかった。
また,いずれの試料もカリウム化合物が触媒層中にほぼ均一に分散し,カリウムの移動,拡散が防止され,セラミック担体を構成するコーディエライトとカリウム化合物の反応が生じていなかった。
【0147】
なお,実施例4〜6では,触媒成分の中でも特にカリウムの移動・拡散について調べたが,他のアルカリ金属,アルカリ土類金属系の化合物からなる触媒成分が触媒層に含まれていた場合も同様の結果を得た。
また,セラミック担体として,コーディエライト以外のSiC,Si,ムライトからなる材料で構成したハニカム構造体を用いた場合も同様の結果を得た。
【0148】
そして,表2〜表4に記載したように,プロペラ混合や媒体攪拌ミルを利用して触媒安定層や触媒層用の懸濁液を作製してセラミック触媒体を得た場合,該セラミック触媒体は,水蒸気存在下で600℃程度からNOx吸蔵材等の触媒成分の拡散が始まってしまう。
このため自動車排気ガスにさらされるような最高温度が1000℃程度まで上昇する使用環境では,触媒成分の拡散による触媒性能の低下,触媒成分とセラミック担体との反応が原因の担体劣化が発生する。
【0149】
これに対し,試料1〜24にかかるセラミック触媒体は,懸濁液を高圧分散混合処理や高速密閉攪拌処理を利用して作製した懸濁液を利用する。
そのため,触媒安定層材料または触媒層材料を溶媒に均一分散混合して得た再凝集し難い懸濁液をセラミック担体に均一分散混合状態で付与することから形成した触媒安定層や触媒層は,どの部分においても均一な表面電位や均一な混合組成を備えており,高温,水分存在下(一般に排気ガスの水分率10〜20重量%である)で,触媒成分がセラミック担体へ拡散してセラミック担体劣化などの問題を生じ難い。
このように,各実施例に記載した試料1〜24にかかるセラミック触媒体は,リーンバーンシステムやディーゼルエンジンの自動車排気ガス浄化用触媒として好適に用いることができる。
【0150】
さらに,各実施例に記載した試料1〜24にかかるセラミック触媒体は,ガソリンエンジンの三元触媒に好適に用いることができる。
ガソリンエンジンの三元触媒は長期にわたり浄化性能を高活性で維持することが要求されるが,本例にかかるセラミック触媒体を利用することで,触媒層中の触媒活性材からPt,Rh等の貴金属触媒に水素を供給することで(試料17〜試料24),活性面を増加させ,安定した触媒反応を長期に渡り維持できる。
【0151】
また,ディーゼルエンジンから排出されるすす等のPM(パティキュレートマター:粒子状物質)を捕集し,貴金属触媒により燃焼・除去するセラミックフィルタでは,触媒成分が排気ガス中のイオウ等の触媒被毒物質の影響を受けて劣化する。
ここに試料17〜24を適用し,Pt,Rh等の貴金属触媒に水素を供給することで,触媒被毒物質の除去を促進することができる。よって,活性面に触媒被毒物質が残留・堆積することがないので,触媒反応を安定して維持できる。
【0152】
【表4】
Figure 2004283695
【0153】
(比較例1)
比較のために,従来の分散方法であるプロペラ攪拌混合を利用して懸濁液を作成し,この懸濁液から触媒安定層,更触媒層を形成して実施例1と同様のNOx吸蔵還元型のセラミック触媒体を作成した。
本例では,懸濁液を調整するためにプロペラ攪拌混合装置(アスワン(株)SM−102)を用いる。このプロペラ攪拌混合装置による混合条件は回転数500rpmで行う。なお,ここで使用する混合液は実施例1と同様に超微粒子CeOとY(シーアイ化成製)を純粋に均一混合させて調整した混合液を用いる。
【0154】
本例のプロペラ攪拌混合操作では,超微粒子CeOとY(シーアイ化成製)を純水に均一混合させて調整した懸濁液をビーカ(1リットル)に入れ,攪拌混合装置のシャフトの先端に攪拌羽根としてプロペラ羽根を取り付けたシャフトの先端を前記ビーカに入れて,プロペラ羽根を回転させて混合する。この際,ビーカの懸濁液が飛散しないように回転数を制御するが,最高回転数500rpmが限界であった。
【0155】
(比較例2)
比較のために,従来の分散方法である媒体攪拌ミルを利用して懸濁液を作成し,この懸濁液から触媒安定層,更触媒層を形成して実施例1と同様のNOx吸蔵還元型のセラミック触媒体を作成した。
本例では,媒体攪拌ミルはバールミル装置(アシザワ(株)RV1V,有効容量1.0リットル,実容量0.5リットル)を用いる。バールミル装置による混合条件は,粉砕媒体としてジルコニア製ボール直径0.5mmを3.0kg使用し,攪拌槽体積の80%をジルコニア製ボールで充填する。
なお,ここで使用する混合液は実施例1と同様に超微粒子CeOとY(シーアイ化成製)を純粋に均一混合させて調整した混合液を用いる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における,セラミック触媒体の要部説明図。
【図2】実施例1における,セラミック触媒体の全体説明図。
【図3】実施例1における,高圧分散混合処理装置の全体を示す説明図。
【図4】図3にかかる混合分散部の構成を示す説明図。
【図5】実施例2における,高速ミクサー装置の全体を示す説明図。
【図6】図5にかかる密閉耐圧容器の構成を示す説明図。
【図7】実施例3における,セラミック触媒体の要部説明図。
【符号の説明】
1...セラミック触媒体,
10...孔部,
11...セラミック担体,
12...触媒安定層,
13...触媒層,
2...高圧分散混合処理装置,
21...高圧ポンプ,
22...混合分散部,
23...貯蔵槽,
24...可動オリフィス,
240...先端,
d1,d2...圧縮空気,
e1〜e3...配管,
3...高速ミクサー装置,
31...攪拌槽,
312...回転軸,
313...回転羽根,
314...密閉耐圧容器,
32...貯蔵槽,
a1〜a4...配管,

Claims (28)

  1. セラミック担体と,該セラミック担体の表面を覆い,触媒成分の拡散を抑制する触媒安定層と,該触媒安定層の表面を覆い,触媒成分を含有する触媒層とからなると共に,
    上記触媒安定層の表面電位と上記触媒層の表面電位は略同一であり,かつ上記触媒安定層は使用最高温度より高温の融点を有するセラミック触媒体の製造方法において,
    上記触媒安定層を構成する触媒安定層材料を準備し,
    該触媒安定層材料を溶媒に均一分散混合した懸濁液を作製し,
    上記懸濁液を上記セラミック担体の表面に均一に付与すると共に上記触媒安定層材料を熱処理して上記触媒安定層を形成するに当たり,
    上記懸濁液を作製する際は,上記触媒安定層材料と上記溶媒とを含む混合液を作製し,該混合液の流路に衝突部を設けて,上記混合液を高圧下で衝突部に衝突させることで触媒安定層材料を溶媒に均一分散混合する高圧分散混合処理を行うことを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  2. セラミック担体と,該セラミック担体の表面を覆い,触媒成分を含有する触媒層とからなると共に,
    上記触媒層は,上記触媒成分を吸引して該触媒成分の拡散を抑制可能な触媒トラップ材を含有し,かつ該触媒トラップ材は使用最高温度より高温の融点を有する,
    または上記触媒層は,水蒸気改質反応により水素を上記触媒成分に供給可能な触媒活性材を含有し,かつ該触媒活性材は使用最高温度より高温の融点を有するセラミック触媒体の製造方法において,
    上記触媒層を構成する触媒層材料を準備し,
    該触媒層材料を溶媒に均一分散混合した懸濁液を作製し,
    上記懸濁液を上記セラミック担体の表面に均一に付与すると共に上記触媒層材料を熱処理して上記触媒層を形成するに当たり,
    上記懸濁液を作製する際は,上記触媒層材料と上記溶媒とを含む混合液を作製し,該混合液の流路に衝突部を設けて,上記混合液を高圧下で衝突部に衝突させることで触媒層材料を溶媒に均一分散混合する高圧分散混合処理を行うことを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  3. 請求項1または2において,上記高圧分散混合処理を,可動オリフィスを上下作動するよう設けてなる混合分散部にて行うに当たり,
    上記混合分散部の内部に露出する可動オリフィスの先端に,上記混合分散部に圧送した混合液を高圧下で衝突させることを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において,上記高圧分散混合処理は50〜400MPaの圧力において行うことを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  5. セラミック担体と,該セラミック担体の表面を覆い,触媒成分の拡散を抑制する触媒安定層と,該触媒安定層の表面を覆い,触媒成分を含有する触媒層とからなると共に,
    上記触媒安定層の表面電位と上記触媒層の表面電位は略同一であり,かつ上記触媒安定層は使用最高温度より高温の融点を有するセラミック触媒体の製造方法において,
    上記触媒安定層を構成する触媒安定層材料を準備し,
    該触媒安定層材料を溶媒に均一分散混合した懸濁液を作製し,
    上記懸濁液を上記セラミック担体の表面に均一に付与すると共に上記触媒安定層材料を熱処理して上記触媒安定層を形成するに当たり,
    上記懸濁液を作製する際は,上記触媒安定層材料と上記溶媒とを含む混合液を作製し,該混合液を密閉した空間で高速に攪拌して剪断力を加える高速密閉攪拌処理を行うことを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  6. セラミック担体と,該セラミック担体の表面を覆い,触媒成分を含有する触媒層とからなると共に,
    上記触媒層は,上記触媒成分を吸引して該触媒成分の拡散を抑制可能な触媒トラップ材を含有し,かつ該触媒トラップ材は使用最高温度より高温の融点を有する,
    または上記触媒層は,水蒸気改質反応により水素を上記触媒成分に供給可能な触媒活性材を含有し,かつ該触媒活性材は使用最高温度より高温の融点を有するセラミック触媒体の製造方法において,
    上記触媒層を構成する触媒層材料を準備し,
    該触媒層材料を溶媒に均一分散混合した懸濁液を作製し,
    上記懸濁液を上記セラミック担体の表面に均一に付与すると共に上記触媒層材料を熱処理して上記触媒層を形成するに当たり,
    上記懸濁液を作製する際は,上記触媒層材料と上記溶媒とを含む混合液を作製し,該混合液を密閉した空間で高速に攪拌して剪断力を加える高速密閉攪拌処理を行うことを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  7. 請求項5または6において,上記高速密閉攪拌処理は,密閉耐圧容器と該密閉耐圧容器の内部に設けた回転軸に回転可能に取り付け,上記密閉耐圧容器の内径よりも僅かに小径の回転羽根とを有する攪拌槽において,
    上記混合液を高速に攪拌して剪断力を加えることにより行うことを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項において,上記懸濁液を上記セラミック担体の表面に均一に付与する際は,上記懸濁液に超音波を与えることを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  9. 請求項1,3,4,5,7,8のいずれか1項において,上記触媒安定層は,元素周期律表第1B族,第2B族,第3A族,第3B族,第4A族,第5A族,第6A族,第7A族及び第8族の元素から選択される少なくとも1種以上の元素を含む材料からなることを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  10. 請求項1,3,4,5,7〜9のいずれか1項において,上記触媒安定層は,La,Y,Sc,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Yb,Lu,Al,Ga,Zn,Cu,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,Mn,Tc,Re,Fe,Co,Ni,Ru,Rh,Pd,Os,Ir及びPtから選択される少なくとも1種以上の元素を含む材料からなることを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  11. 請求項1,3,4,5,7〜10のいずれか1項において,上記触媒安定層は,Y,Sc,TiO,Cr,MnO,Mn,Mn,Fe2O,Fe,Co,NiO,ZnO,CuO,Ga,ZrO,Zr,Nb,SnO,CeO,Pr,PrO,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,HO,Er,Tm,Yb,Lu,HfO,Ta,Y及びAlから選択される1種以上の材料からなることを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  12. 請求項1,3,4,5,7〜11のいずれか1項において,上記触媒安定層は,Y及びCeOの少なくとも一方を含むことを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  13. 請求項2,3,4,6,7のいずれか1項において,上記触媒トラップ材は,平均一次粒子径が500nm以下である粉末よりなることを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  14. 請求項2,3,4,6,7,13のいずれか1項において,上記触媒トラップ材は,Y,Sc,NiO,ZnO,CuO,CeO,Pr,PrO,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu及びAlから選択される1種以上の材料からなることを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  15. 請求項2,3,4,6,7のいずれか1項において,上記触媒活性材は,ランタノイド元素から選択される少なくとも1種以上の元素を含む材料からなることを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  16. 請求項2,3,4,6,7,15のいずれか1項において,上記触媒活性材は,Y,CeO,Pr,PrO,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb及びLuから選択される1種以上の材料からなることを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  17. 請求項2,3,4,6,7,15,16のいずれか1項において,上記触媒活性材は,少なくともCeの酸化物または複合酸化物から選択される1種以上の材料からなることを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  18. 請求項2,3,4,6,7,15〜17のいずれか1項において,上記触媒活性材は,CeOと,Y,TiO,ZrO及びAlから選択される1種以上の酸化物を混合してなる混合酸化物からなることを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  19. 請求項1〜18のいずれか1項において,上記触媒成分は,アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素から選択される少なくとも1種以上の元素からなる化合物を含むことを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  20. 請求項1〜19のいずれか1項において,上記触媒成分は,Li,Na,K,Ba,Rb,Be,Mg,Ca及びSrから選択される少なくとも1種以上の元素からなる化合物を含むことを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  21. 請求項1〜20のいずれか1項において,上記セラミック担体は熱膨張係数が1.5×10/℃以下であることを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  22. 請求項1〜21のいずれか1項において,上記セラミック担体はコーディエライトを含有することを特徴とするセラミック触媒体の製造方法。
  23. セラミック担体と,該セラミック担体の表面を覆い,触媒成分の拡散を抑制する触媒安定層と,該触媒安定層の表面を覆い,触媒成分を含有する触媒層とからなると共に,
    上記触媒安定層の表面電位と上記触媒層の表面電位は略同一であり,かつ上記触媒安定層は使用最高温度より高温の融点を有することを特徴とするセラミック触媒体。
  24. 請求項23において,上記触媒安定層は,Y及びCeOの少なくとも一方を含むことを特徴とするセラミック触媒体。
  25. セラミック担体と,該セラミック担体の表面を覆い,触媒成分を含有する触媒層とからなると共に,該触媒層は,上記触媒成分を吸引して該触媒成分の拡散を抑制可能な触媒トラップ材を含有し,かつ該触媒トラップ材は使用最高温度より高温の融点を有することを特徴とするセラミック触媒体。
  26. 請求項25において,上記触媒トラップ材は,Y,Sc,NiO,ZnO,CuO,CeO,Pr,PrO,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu及びAlから選択される1種以上の材料からなることを特徴とするセラミック触媒体。
  27. セラミック担体と,該セラミック担体の表面を覆い,触媒成分を含有する触媒層とからなると共に,該触媒層は,水蒸気改質反応により水素を上記触媒成分に供給可能な触媒活性材を含有し,かつ該触媒活性材は使用最高温度より高温の融点を有することを特徴とするセラミック触媒体。
  28. 請求項27において,上記触媒活性材は,CeOと,Y,TiO,ZrO及びAlから選択される1種以上の酸化物を混合してなる混合酸化物からなることを特徴とするセラミック触媒体。
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