JP2004279628A - 電気化学表示装置 - Google Patents

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Akio Machida
暁夫 町田
Hiroyuki Mihashi
裕之 三橋
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Abstract

【課題】画像を高精細に表示することができ、更に、消費電力を削減することができる電気化学表示装置を提供する。
【解決手段】表示基板11の全面に形成された第1電極12と、駆動基板13にマトリクス状に形成された第2電極14とが電解質15を介して対向配置されている。第2電極14の幅Wは数8に示した範囲内とされている。これにより白黒表示がはっきりした高精細の画像が得られる。また、第1電極12と第2電極14との間隔は100μm未満であることが好ましく、更には62μm未満であればより好ましい。これにより、消費電力が削減され、かつ滲みが小さくなる。
【数8】
Figure 2004279628

【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1電極と第2電極とが電解質を介して対向配置され、その対向領域に対応して複数の画素を有する電気化学表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ネットワークの普及につれ、従来印刷物として配布されていた文書類が、いわゆる電子書類で配信されるようになってきた。更に、書籍や雑誌などもいわゆる電子出版の形で提供される場合が多くなりつつある。これらの情報を閲覧するために、従来より、コンピュータのCRT(Cathode−Ray Tube;ブラウン管)または液晶ディスプレイが用いられている。
【0003】
しかし、これら発光型のディスプレイでは、人間工学的理由から疲労が著しく、長時間の読書には耐えられないことが指摘されている。また、読む場所がコンピュータの設置場所に限られるという難点もある。
【0004】
最近では、ノート型コンピュータの普及により、携帯型のディスプレイとして使えるものもあるが、それらは主にバックライトによる発光型であることに加えて消費電力との関係で、これも数時間以上の読書に用いることが難しい。また、反射型液晶ディスプレイも開発され、これによれば低消費電力で駆動することができるが、液晶の無表示(白色表示)における反射率は30%であり、紙への印刷物に比べ著しく視認性が悪く、疲労が生じやすく、これも長時間の読書に耐えるものではない。
【0005】
これらの問題点を解決するために、最近、主に電気泳動法により着色粒子を電極間で移動させるか、あるいは二色性を有する粒子を電場で回転させることにより着色させたディスプレイが開発されつつある。しかし、このディスプレイでは、粒子間の隙間が光を吸収し、その結果としてコントラストが悪くなり、また駆動する電圧を100V以上にしなければ実用上の書き込み速度(1秒以内)が得られないという難点がある。
【0006】
一方、電圧の印加により色が変化することを利用したエレクトロクロミック表示装置(ElectroChromic Display;ECD)も開発されている。このようなエレクトロクロミック表示装置としては、例えば、Hなどのイオンが入ることにより透明から青色に変化する酸化タングステン(WO)、または、酸化あるいは還元により発色する有機材料を用いたものが知られている。これらは、コントラストの高さという点では上記電気泳動方式のものなどに比べて優れているが、黒色の品位が悪い他、マトリクス駆動の必要性がない調光ガラスあるいは時計用ディスプレイの用途として開発が進められているため、現状では、ペーパーライクディスプレイ、あるいは電子ペーパーなどのマトリクス駆動の表示装置用には用いることは難しい。なお、マトリクス駆動のもの(特許文献1参照)も知られるが、駆動素子は液晶表示装置との組み合わせでその一部を構成するに過ぎない。
【0007】
更に、有機材料は、一般的に、耐光性に乏しいので、用途上太陽光や室内光などの光に晒され続けることになる電子ペーパーに用いた場合、長時間使用すると褪色して黒色濃度が低下するという問題が生ずる。
【0008】
そこで、金属イオンを含む白く着色した電解質を介して電極を対向配置し、表示側の電極に金属を析出させることにより画像の書き込みを行い、その析出させた金属を電解質に溶解させることにより画像の消去を行うエレクトロデポジション型表示装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。これによれば、マトリクス駆動が容易であり、かつコントラストおよび黒色濃度を高くすることが可能となる。
【0009】
【特許文献1】
特公平4−73764号公報
【特許文献2】
特開2002−258327号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このエレクトロデポジション型表示装置は、電気化学反応を利用して電流駆動するので、1画素(ピクセル)の表示に必要な最低電荷密度は、使用温度および材料により決まってしまい、ある程度以上は減らすことができない。よって、駆動時に印加する電圧次第では消費電力の削減が難しい。更に、表示側の1つの電極を、対向する2以上の電極に対して配置した場合、表示側の電極には反対側の電極と対向している領域のみならず、反対側の電極と対向していない領域にも電流が流れ込み金属が析出してしまうので、画像に滲みが生じ、高精細な表示の妨げとなる。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、画像を高精細に表示することができ、更に、消費電力を削減することができる電気化学表示装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明による電気化学表示装置は、第1電極と第2電極とが電解質を介して対向配置され、その対向領域に対応して複数の画素を有し、第1電極の側から画像を視認可能なものであって、第2電極の幅をWμm、第1電極と前記第2電極との間隔をXμm、1μm当たりの画素数を1/Yとすると、第2電極の幅Wは数2に示した範囲内のものである。
【0013】
【数2】
Figure 2004279628
【0014】
本発明による電気化学表示装置では、第1電極と第2電極との間隔が数2に示した範囲内とされているので、白黒表示がはっきりした高精細の画像が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施の形態に係る電気化学表示装置の要部の構成を表すものである。この電気化学表示装置は、表示基板11の全面に形成された第1電極12と、駆動基板13にマトリクス状に形成された複数の第2電極14とが電解質15およびスペーサービーズ16を介して対向配置されたものである。すなわち、1つの第1電極12に対して、2以上の第2電極14が対向するように配置されている。なお、図示しないが、表示基板11,電解質15および駆動基板13の側面は、樹脂などよりなる封止部材により封止されている。
【0017】
表示基板11は、透明性を有する材料、具体的には、石英ガラスなどにより構成されている。また、この他にも、例えば、合成樹脂、具体的には、ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンテレフタレートあるいはポリカーボネートなどのエステル、または、酢酸セルロースなどのセルロースエステル、または、ポリフッ化ビニリデンあるいはポリテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体などのフッ素ポリマー、または、ポリオキシメチレンなどのポリエーテル、または、ポリアセタール,ポリスチレン,ポリエチレン,ポリプロピレンあるいはメチルペンテンポリマーなどのポリオレフィン、または、ポリアミドイミドあるいはポリエーテルイミドなどのポリイミド、または、ポリアミドにより構成してもよい。これら合成樹脂は、容易に曲がらないような剛性基板状であってもよく、また、可とう性を有するフィルム状の構造体であってもよい。
【0018】
第1電極12は、画素として表示する後述の金属を析出させる析出基板として機能するものであり、例えば、透明導電性膜により構成されている。具体的には、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、あるいはスズ(Sn)とインジウム(In)との酸化物であるITO(Indium Tin oxide)、または、これらにスズあるいはアンチモン(Sb)などをドーピングしたものにより構成されることが好ましい。また、酸化マグネシウム(MgO)あるいは酸化亜鉛(ZnO)などにより構成してもよい。
【0019】
駆動基板13は、透明であっても、透明でなくてもよく、例えば、石英ガラス、白板ガラスあるいはセラミックスにより構成することができる。また、この他にも、表示基板11で説明した合成樹脂により構成するようにしてもよい。なお、この駆動基板13には、第2電極14への通電を制御するためのTFT(Thin Film transistor;薄膜トランジスタ)が第2電極14にそれぞれ対応して形成されていてもよい。
【0020】
第2電極14は、電気化学的に安定な金属により構成されていることが好ましく、中でも、金(Au),白金(Pt),クロム(Cr),アルミニウム(Al),コバルト(Co),パラジウム(Pd),ビスマス(Bi)および銀(Ag)からなる群のうちの少なくとも1種により構成されることが好ましい。また、析出させる金属と同じ金属により構成するようにすれば、電気化学的により安定な電極反応を実現できるのでより好ましい。この他にも、主反応に用いる金属を予めあるいは随時十分に補うことができれば、カーボンにより構成するようにしてもよい。カーボンを使用することで、第2電極14の低価格化を図ることができるからである。
【0021】
電解質15は、例えば、溶媒と、酸化還元反応により析出および溶解する析出溶解材料とを含んでいる。溶媒としては、例えば、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、あるいはこれらの混合物などの親水性を有するもの、または、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、アセトニトリル、スルホラン、ジメトキシエタン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンあるいはこれらの混合物などの疎水性を有するものが挙げられる。
【0022】
析出溶解材料は、析出した状態と溶解した状態とで色が変化することを利用して画素の表示を可能にするためのものである。析出溶解材料としては、還元により金属として析出する金属イオンが挙げられる。金属イオンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ビスマスイオン,銅イオン,銀イオン,ナトリウムイオン,リチウムイオン,鉄イオン,クロムイオン,ニッケルイオンあるいはカドミウムイオンが挙げられる。その中でも特に好ましい金属イオンはビスマスイオンあるいは銀イオンであり、更に好ましいのは銀イオンである。ビスマスイオンおよび銀イオンは、可逆的な反応を容易に進めることができると共に、析出時の変色度が高く、特に、銀イオンはイオン価数が通常1であるので、イオン価数が通常3であるビスマスイオンに比べて、1原子を還元させて金属にするのに必要な電荷量が3分の1となるからである。金属イオンは、例えば、金属塩として溶媒に添加されている。金属塩としては、銀塩であれば、例えば、硝酸銀、ホウフッ化銀、ハロゲン化銀、過塩素酸銀、シアン化銀あるいはチオシアン化銀が挙げられる。金属塩には、いずれか1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0023】
電解質15は、また、必要に応じて支持電解質塩と着色剤と各種添加剤とを含んでいてもよい。
【0024】
支持電解質塩は、電解質15のイオン伝導性を高めることにより、析出溶解材料の析出溶解反応がより効果的に、かつ安定して行われるようにするためのものである。支持電解質塩としては、例えば、LiCl,LiBr,LiI,LiBF,LiClO,LiPFあるいはLiCFSOなどのリチウム塩、または、KCl,KIあるいはKBrなどのカリウム塩、または、NaCl,NaIあるいはNaBrなどのナトリウム塩、または、ホウフッ化テトラエチルアンモニウム塩,過塩素酸テトラエチルアンモニウム塩,ホウフッ化テトラブチルアンモニウム塩,過塩素酸テトラブチルアンモニウム塩あるいはテトラブチルアンモニウムハライド塩などのテトラアルキル四級アンモニウム塩が挙げられる。支持電解質塩にはいずれか1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0025】
着色剤は、コントラストを向上させるためのものである。着色剤としては、例えば、無機顔料あるいは有機顔料が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。例えば、銀のように金属の発色が黒色の場合には、白色の隠蔽性の高い材料が好ましい。このような材料として、例えば、二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウムあるいは酸化アルミニウムなどの無機粒子を使用することができる。また、色素を用いることもできる。色素としては、油溶性染料を用いることが好ましい。
【0026】
添加剤としては、アニオン種に起因した副反応を抑制するための還元剤または酸化剤のいずれか1種または2種以上を混合して含んでいることが好ましい。アニオン種に起因した副反応を防止し、所望の発色以外の発色が生じることを防止するためである。
【0027】
なお、この電解質15は、これら液状の溶媒,析出溶解材料および添加剤などからなる液状のいわゆる電解液とされていてもよいが、更に、これらを保持する高分子化合物を含み、ゲル状とされていてもよい。ゲル状とする場合、単層により構成してもよいが、複数層により構成してもよい。複数層にする場合、着色剤は複数層に含有させる必要はなく、少なくとも1層に含有させるようにすればよい。
【0028】
高分子化合物としては、主骨格単位、もしくは側鎖単位、もしくはその両方に、アルキレンオキサイド、アルキレンイミン、アルキレンスルフィドの繰り返し単位を有するもの、または、これらの異なる単位を複数含む共重合物、または、ポリメチルメタクリレート誘導体、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリルあるいはポリカーボネート誘導体が挙げられる。高分子化合物には、いずれか1種を用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
【0029】
スペーサービーズ16は、第1電極12と第2電極14との位置関係を保持するものであり、例えば、絶縁性のプラスチックにより構成されている。
【0030】
また、この電気化学表示装置では、第2電極14の幅W(μm)が、第1電極12と第2電極14との間隔(以下、電極間隔という。)をX(μm)、1μm当たりの画素数を1/Y、すなわち画素の幅をY(μm)とすると、数3に示した範囲内とされている。これにより、白黒表示をはっきりさせ高精細の画像を得ることができるからである。なお、第2電極14の幅Wとは、1つの第1電極12に対して複数の第2の電極14が配置されている方向における1つの第2電極14の長さを意味する。すなわち、この電気化学表示装置では、第2電極14の縦および横のそれぞれの長さである。
【0031】
【数3】
Figure 2004279628
【0032】
また、電極間隔Xは狭い方が好ましい。消費電力を削減しかつ滲みを小さくすることができるからである。特に、電極間隔Xは100μm未満であることが好ましく、62μm未満であればより好ましい。解像度が150ppi(pixel per inch)以上の高精細な表示を得ることができるからである。
【0033】
なお、これら第2電極14の幅Wおよび電極間隔Xの好ましい範囲は、以下に説明するシミュレーションの結果により得られたものである。
【0034】
シミュレーションに際しては、第1電極をITOにより構成し、第2電極を銀により構成し、析出溶解材料として銀イオンを用いた電気化学表示装置を想定し、回路シミュレーターB2SPICEA/D2000(ベージュ・バッグ・ソフトウェア(Beige Bag Software)社製)を用いて、図1に示した構造の等価回路を作成した。
【0035】
電解質15は電解質15の体積抵抗を格子状に組み合わせた抵抗体として、また、第1電極12と電解質15との界面での銀イオンの反応は電圧スイッチとキャパシタで組み込んで、電極の各微小エリアに組み込んだ電流計で電流値をモニターする形にした。その際、計算においては、実験結果を参考とし、第1電極12と電解質15との界面に0.5Vの閾値電位差以上が印加されると通電し銀が析出するとした電圧スイッチを用いた。なお、この閾値電圧は、電解質15の材料によって異なることがあるがここでは一般的な値とした。また、電解質15の体積抵抗は、実際に電気化学表示装置を作製した条件で等価回路を作成して、流れる電流量を合わせ込んで見積もった。
【0036】
なお、第2電極14への通電を制御するTFTを考慮するか否かについては、TFTの一般的なオン抵抗、オフ抵抗および容量を計算に入れた等価回路と、それらを全く計算に入れない等価回路とについて、それぞれ第2電極14の中心からの距離に対する書き込み電荷量を計算し、検討した。その結果、TFTを考慮した場合には、TFTのオン抵抗、オフ抵抗および容量が大きいために、計算上はオン抵抗分の駆動電圧を上げる必要が出るものの、プロファイルの挙動そのものは、電圧でシフトさせてしまえば、図2に示したように、TFTを考慮しない場合と全く変わらなかった。よって、シミュレーションに際しては、閾値電圧と駆動電圧との関係を分かりやすくするために、TFTは考慮しないこととした。
【0037】
図3および図4は、通電された第2電極14の中心からの距離と、書き込み電荷量とを電極間隔Xを変えてシミュレーションした結果をそれぞれ表すものである。シミュレーションに際し、書き込み時間は100ms、第2電極14は130μm角、第2電極間距離は40μmとし、解像度を150ppi、すなわち、画素の幅Yを約170μmとした。図3は、駆動電圧を2Vとした場合を表し、図4は、最大書き込み電荷量が同じくなるように駆動電圧を変えた場合を表している。最大書き込み電荷量は、電極間隔Xを100μm、書き込み時間を100ms、駆動電圧を2Vとした場合に安定な黒白表示の繰り返しが可能であったので、この場合に合わせた。また、図3および図4において、OD1は反射率が真っ黒と認識される10%以下となる電荷量を表し、R50は反射率が、真っ白と認識される反射率と真っ黒と認識される反射率との中心値となる電荷量を表している。これらOD1およびR50は実験結果をもとに規定した値であり、書き込み電荷量がR50を越える領域を黒表示と判断することとした。
【0038】
図3から、同じ電圧で同じ時間内に書き込まれる電荷量は電極間隔Xが短いほど多いことがわかる。すなわち、駆動時間中の反応が理想的に一定で変わらない場合、電極間隔Xが短いほど低い電圧で速く書き込まれることが分かる。また、2Vの電圧で書き込んだ場合は、電極間隔Xによらず、隣の画素との境界における書き込み電荷量がR50を越えているので、隣の画素まで滲んで見えることが分かる。
【0039】
一方、図4から、電極間隔Xが100μm、60μm、30μmと狭くなるほど黒表示の幅は、画素の幅Y=170μmに対して300μm、224μm、176μmと徐々に小さくなり、隣の画素への滲みが小さくなることが分かる。必要な駆動電圧も小さくなることから、電極間隔Xを狭くすることは滲みを低減するだけでなく、消費電力の削減にも関わることが分かる。また、同じ理由から、高い電圧では短い時間で同じ量の電荷を流し込むことが可能となるので、駆動時間の高速化にも有利であることが分かる。
【0040】
図5は、通電された第2電極14の幅Wを変えてシミュレーションした結果をそれぞれ表すものである。シミュレーションに際し、解像度は150ppiすなわち、画素の幅Yを約170μmとし、第2電極14は画素の中心に配置して、その大きさは図6に示したように20μm角、50μm角、100μm角、130μm角、150μm角とした。
【0041】
図5から分かるように、第2電極14の幅Wが小さいほど隣の画素の滲みは少ないが、第2電極14の幅Wが50μm以下では、黒表示部分が画素の幅Yの半分にも満たなく、表示特性として十分ではない。従って、解像度が150ppiにおいて電極間隔Xを30μmとする場合には、第2電極14の幅Wは100μm以上であることが望ましく、130μm以上であれば更に望ましいことが分かる。また、150μmとしても滲みの広がりの影響はそれ程感じられない。よって、両側黒表示による滲みの影響を評価した結果で問題がなければ、電極の面積は大きいほど画素の表示は綺麗に駆動電圧も低くすることができると分かる。
【0042】
図7および図8は、両隣の第2電極14に通電し、真ん中の第2電極14には通電しない場合について、隣の第2電極14の中心からの距離と、書き込み電荷量とを第2電極14の幅Wを変えてシミュレーションした結果を表すものである。図7は、図9に示したように、白表示の画素に隣接する2画素が黒表示の場合であり、図8は、図10に示したように白表示の画素に隣接する4画素が黒表示の場合である。なお、図9および図10において、矢印は評価位置を示している。
【0043】
図8から分かるように、電極間隔Xが30μm、第2電極14が150μm角の場合、白表示の画素に隣接する4画素が黒表示であると画素の白色部分が多少小さくなり、これ以上第2電極14の幅Wを大きくすることは好ましくない。一方で、それ以外の第2電極14の幅では白表示に特に問題は見られなかった。
【0044】
すなわち、解像度が150ppiにおいて電極間隔Xを30μmとする場合には、第2電極14の幅は、50μmよりも大きい必要があり、100μm以上であることが望ましく、130μm以上であれば更に望ましいが、150μmを超えないことが望ましいことが分かる。また、最適値は130μmである。但し、この結果は電極間隔Xを30μmと一定した場合に得られたものであり、最適な表示には電極間隔X、電極設計等の組み合わせが必要となる。
【0045】
図11は、同様のシミュレーションを電極間隔Xが5μm等、第2電極14を2mm角等と極端な数値に設定して行った結果を、第2電極14からの漏れ幅Bと電極間隔Xとの関係で表すものである。なお、第2電極14からの漏れ幅Bとは、第2電極14の端部から第2電極14の幅方向において書き込み電荷量がR50となる位置までの距離をいう。図11から、漏れは電極間隔Xに最も影響を受け、次いで第2電極14の配置に影響を受けることがわかる。特に同じ電極設計の場合、例えば、第2電極14を130μm角で第2電極間距離を40μmとした場合で比較すると、漏れ幅Bと電極間隔Xとの関係が線形的であることが分かる。
【0046】
いくつかの電極配置における計算結果を線形に結んで、対応する電極間隔X(μm)に対して考えられる漏れ幅B(μm)を見積もったところ、漏れ幅Bが最小となったのは、図11において破線で示した数4に示した関係式を満たす場合で、滲み幅が最大となったのは、一点鎖線で示した数5に示した関係を満たす場合と想定することができる。
【0047】
【数4】
Figure 2004279628
【0048】
【数5】
Figure 2004279628
【0049】
従って、図12に示すように、第2電極14の幅Wに、第2電極14からの漏れ幅Bの2倍を足したものを黒表示の幅Mとし、黒表示の幅Mが画素の幅Yの8割を満たすこと、すなわち画素の面積の64%が黒であることを黒表示の最低条件とすると、第2電極14の幅Wは最小でも数6の関係式を満たす必要がある。一方、白表示の幅Nが画素の幅Yの8割を満たすこと、すなわち画素の面積の64%が白であることを白表示の最低条件とすると、図13に示したように、隣接する画素からの黒表示の滲みの幅Dの最大値は、画素の幅Yの1割未満とする必要がある。よって、第2電極14の幅Wを最大でも数7に示した関係式を満たすようにすれば、漏れによる表示への影響を最低限に抑制することができる。
【0050】
【数6】
Figure 2004279628
【0051】
【数7】
Figure 2004279628
【0052】
図14は、解像度が150ppiで第2電極14を130μm角とした場合(図11の実線)について、電極間隔Xが表示特性に与える影響をシミュレーションした結果を表すものである。表示特性としては、画素の面積に対して、書き込み電荷量がOD1よりも小さくなる擦れた色の面積がどの程度の割合Rであるかを調べた。また、図15に、その擦れの割合を反映させた画素で「O」を表したものを示す。なお、図15では、書き込み電荷量がOD1以上の真っ黒の部分を太い線の斜線で表し、擦れた色の部分を細い斜線で表した。図15に示したように、擦れた色の面積が画素の面積の75%に達すると表示が擦れたように見えてくるため、電極間隔Xは100μm未満であることが好ましく、更に擦れた色の面積を60%以下とすれば表示特性も良好であるので、電極間隔Xは62μm未満とすればより好ましいことが分かる。
【0053】
次に、上述した電気化学表示装置の製造方法について説明する。
【0054】
まず、表示基板11上に、例えば、蒸着あるいはスパッタリングにより第1電極12を形成する。また、駆動基板13に例えばTFTを形成したのち、その上に、例えば、蒸着,スパッタリングあるいはメッキにより第2電極14を形成する。そののち、第2電極14の上にスペーサービーズ16を散布する。
【0055】
次いで、駆動基板13の縁に図示しない封止部材を形成したのち、その中に電解質15を注入する。そののち、駆動基板13に電解質15を介して表示基板11を載置する。これにより、図1に示した電気化学表示装置が完成する。
【0056】
この電気化学表示装置では、第1電極12と第2電極14との間に所定の電圧が印加されると、これら第1電極12と第2電極14との間に存在する電解質15中の金属イオンが第1電極12に移動し、第1電極12において金属イオンが還元されて第1電極12に金属が析出し、書き込みが行われる。析出した金属は表示基板11を通して画像として認識される。一方、第1電極12と第2電極14との間に所定の逆電圧が印加されると第1電極12に析出した金属が酸化されて電解質15に金属イオンとなって溶解し、消去が行われる。その際、第2電極14の幅Wが数3に示した範囲内とされているので、白黒表示がはっきりした高精細の画像が得られる。
【0057】
このように本実施の形態では、第2電極14の幅Wを数3に示した範囲内とするようにしたので、白黒表示がはっきりした高精細の画像を得ることができる。
【0058】
特に、第1電極12と第2電極14との間隔を、100μm未満とするようにすれば、消費電力を削減しかつ滲みを小さくすることができ、とりわけ、第1電極12と第2電極14との間隔を62μm未満とするようにすれば、解像度を150ppi以上としても、高精細に表示することができる。
【0059】
なお、本実施の形態に係る電気化学表示装置では、図16に示したように、第1電極12を表示基板11にストライプ状に形成し、第2電極14を駆動基板13にストライプ状に形成し、第1電極12と第2電極14とが互いに直交するように対向配置させるようにしてもよい。この場合にも、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。なお、図16では、電解質15とスペーサービーズ16とを省略して表している。
【0060】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、本発明は、電気化学的な酸化還元反応により色が変化する他の表示装置についても適用することができる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の電気化学表示装置によれば、第2電極の幅を数1に示した範囲内とするようにしたので、白黒表示がはっきりした高精細の画像を得ることができる。
【0062】
特に、請求項2の電気化学表示装置によれば、第1電極と第2電極との間隔を100μm未満としたので、消費電力の削減および滲みの低減を図ることができると共に、擦れが少なく、高精細な表示を得ることができ、とりわけ、請求項3記載の電気化学表示装置によれば、解像度を150ppi以上としても、高精細に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電気化学表示装置の構成を表す斜視図である。
【図2】TFTのオン抵抗が画素の表示に与える影響を表す特性図である。
【図3】表示特性に対する電極間隔の影響をシミュレーションした結果を表す特性図である。
【図4】表示特性に対する電極間隔の影響をシミュレーションした結果を表す他の特性図である。
【図5】表示特性に対する第2電極の幅の影響をシミュレーションした結果を表す特性図である。
【図6】画素の幅と第2電極の幅との関係を表す図である。
【図7】表示特性に対する第2電極の幅の影響をシミュレーションした結果を表す他の特性図である。
【図8】表示特性に対する第2電極の幅の影響をシミュレーションした結果を表す他の特性図である。
【図9】図7に示した結果を得た表示画像を表す模式図である。
【図10】図8に示した結果を得た表示画像を表す模式図である。
【図11】第2電極からの漏れ幅と電極間隔との関係をシミュレーションした結果を表す特性図である。
【図12】黒表示となる最低条件を表す説明図である。
【図13】白表示となる最低条件を表す説明図である。
【図14】表示特性に対する電極間間隔の影響をシミュレーションした結果を表す特性図である。
【図15】図14に示した結果に基づいた表示画像を表す模式図である。
【図16】本発明の一実施の形態に係る他の電気化学表示装置の構成を表す斜視図である。
【符号の説明】
11…表示基板、12…第1電極、13…駆動基板、14…第2電極、15…電解質、16…スペーサービーズ、W…第2電極の幅、X…電極間隔、Y…画素の幅

Claims (5)

  1. 第1電極と第2電極とが電解質を介して対向配置され、その対向領域に対応して複数の画素を有し、前記第1電極の側から画像を視認可能な電気化学表示装置であって、
    前記第2電極の幅をWμm、前記第1電極と前記第2電極との間隔をXμm、1μm当たりの画素数を1/Yとすると、前記第2電極の幅Wは数1に示した範囲内であることを特徴とする電気化学表示装置。
    Figure 2004279628
  2. 前記第1電極と前記第2電極との間隔は、100μm未満であることを特徴とする請求項1記載の電気化学表示装置。
  3. 前記第1電極と前記第2電極との間隔は、62μm未満であることを特徴とする請求項1記載の電気化学表示装置。
  4. 前記第1電極の1つに対して、前記第2電極の2以上が対向するように配置されていることを特徴とする請求項1記載の電気化学表示装置。
  5. 前記電解質は、酸化還元反応により析出および溶解する析出溶解材料を含むことを特徴とする請求項1記載の電気化学表示装置。
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