JP2004276787A - 車両のバンパ構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、適正で十分なアプローチアングルと、歩行者の膝部を中心とした脚部の保護との双方を両立させることができる車両のバンパ構造を提供する。
【解決手段】本発明のバンパ構造は、車体の前部下方のバンパ部1として、車両後方側に移動可能な第1バンパ部材6、第1バンパ部材6の下方に前端が第1ダンパ部材6よりも車体後方側に配置された車両前方側に移動可能な第2バンパ部材9、第1バンパ部材6の車両後方側への変位に連動して第2バンパ部材9を車両前方側へ移動させるリンク機構13を設けた構成を採用して、通常時は、第1バンパ部材6と第2バンパ部材9のずれにより、アプローチアングルをかせぎ、衝突時に際しては、第1バンパ部材6の後退に連動して、第2バンパ部材9が前方へ突き出て、歩行者の脚部上方を車両後方側に移動させ、脚部下方を車両前方側に移動させる挙動を生じさせて、膝部を中心に歩行者の脚部を保護する。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明のバンパ構造は、車体の前部下方のバンパ部1として、車両後方側に移動可能な第1バンパ部材6、第1バンパ部材6の下方に前端が第1ダンパ部材6よりも車体後方側に配置された車両前方側に移動可能な第2バンパ部材9、第1バンパ部材6の車両後方側への変位に連動して第2バンパ部材9を車両前方側へ移動させるリンク機構13を設けた構成を採用して、通常時は、第1バンパ部材6と第2バンパ部材9のずれにより、アプローチアングルをかせぎ、衝突時に際しては、第1バンパ部材6の後退に連動して、第2バンパ部材9が前方へ突き出て、歩行者の脚部上方を車両後方側に移動させ、脚部下方を車両前方側に移動させる挙動を生じさせて、膝部を中心に歩行者の脚部を保護する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体の車両前後方向の端部下方部分に上下2段にバンパ部材を設けて構成される車両のバンパ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車(車両)では前後方向の端部にバンパ部を組付けて、外部から加わる衝撃に対処している。こうしたバンパ部では、衝突から歩行者の脚部を保護するために、衝突の際、意図的に歩行者の脚部上方を車両後方側に移動させ、脚部下方を車両前方側に移動させる挙動を生じさせて、衝突の衝撃から歩行者の膝部を保護する開発が進められている。
【0003】
同構造には、歩行者の膝部上側付近となる高さで、車体の前後方向端に車幅方向に沿って上段バンパ部材を固定し、膝部を挟んで下側となる高さで、上段側のバンパ部材と略平行に下段バンパ部材を固定するという、2段式のバンパ構造が提案されている。そして、衝突した際、初期の衝撃荷重を上段バンパ部材の塑性変形で吸収すると共に、下段バンパ部材で歩行者の脚部下方を車両前方側に移動させることにより、衝突時の際、膝部を中心に歩行者の脚部を保護するようにしている(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−274298号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、こうした上下2段のバンパ部材を用いて歩行者の脚部上方を車両後方側に移動させると共に脚部下方を車両前方側に移動させるためには、下段側のバンパ部材は、上段側のバンパ部材の前端位置に略揃えた地点に前端を配置してレイアウトしなければならない。
【0006】
ところが、これでは下段側のバンパ部材は、上段バンパ部材の直下にそのまま配置される構造となるために、上段側のバンパ部材の下側には、適正なアプローチアングル(タイヤ接地点とバンパ下端先端(後端)とを結んだ線の水平面に対する角度)の確保に必要なクリアランスが形成できない。このため、歩行者に対する保護は行えるが、適正なアプローチアングルが確保できないために、例えば勾配の有る路面を走行する際、バンパ部の最前部の部材、例えばバンパ部材の表面を覆うバンパフェイシャが路面と接触するおそれが高くなるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、適正で十分なアプローチアングルと、歩行者の膝部を中心とした脚部の保護との双方を両立させることができる車両のバンパ構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、前記目的を達成するために、車体の前部下方に組付くバンパ部として、車両後方側に移動可能な第1バンパ部材、第1バンパ部材の下方の地点に前端が第1ダンパ部材よりも車体後方側に配置されるように設けられた車両前方側に移動可能な第2バンパ部材、第1バンパ部材の車両後方側への変位に連動して第2バンパ部材を車両前方側へ移動させる移動手段を組み合わせた構成を採用した。
【0009】
同構成により、通常時は、第2バンパ部材の前端は、第1バンパ部材の前端より後方側にずれて配置されるために、第1バンパ部材の前端部の下側にはアプローチアングルをかせぐためのクリアランスが確保される。つまり、適正なアプローチアングルが十分に確保される。
【0010】
また衝突時に際しては、上段の第1バンパ部材が歩行者の脚部の膝部の上側と当接して衝撃を吸収する挙動、さらには第1バンパ部材が後退する挙動により、初期の衝撃荷重が吸収される。と共に第1バンパ部材の後退変位に連動して、下段の第2バンパ部材が前方へ突き出て、同第2バンパ部材の前端が脚部の下側へ進み、歩行者の脚部上方を車両後方側に移動させ、脚部下方を車両前方側に移動させる挙動を生じさせて、膝部を中心に歩行者の脚部を保護し、歩行者の脚部を適切に保護する。
【0011】
請求項2に記載の発明は、車体の後部下方に組付くバンパ部にも、適正なアプローチアングルの確保、膝部を中心とした脚部の適切な保護が行えるよう、車体の後部下方に組付くバンパ部として、車両前方側に移動可能な第1バンパ部材、第1バンパ部材の下方の地点に前端が第1ダンパ部材よりも車体前方側に配置されるように設けられた車両後方側に移動可能な第2バンパ部材、第1バンパ部材の車両前方側への変位に連動して第2バンパ部材を車両後方側へ移動させる移動手段を組み合わせた構成を採用した。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記目的に加え、さらに簡単な構造で、第2バンパ部材を第1バンパ部材に連動させるよう、移動手段には、一端部が第1バンパ部材に回動自在に連結され、他端部が第2バンパ部材に回動自在に連結され、第1バンパ部材への連結部と第2バンパ部材への連結部との間が車体側に回動自在に支持されたリンク部材を有したリンク機構を採用した。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記目的に加え、膝部を中心とした脚部がより適切に保護されるよう、第1バンパ部材と第2バンパ部材のいずれか一方は衝撃吸収部材で形成した。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記目的に加え、リンク部材の連結が第1バンパ部材、第2バンパ部材の衝撃吸収性の低下をもたらさないよう、リンク部材には、第1バンパ部材および第2バンパ部材の後端に連結する構成を採用した。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1ないし図4に示す第1の実施形態にもとづいて説明する。
【0016】
図1は、本発明を適用した自動車(車両)の前部を示していて、図中1は同自動車の車体2の前部下方に設けたバンパ部である。
【0017】
バンパ部1は、例えば車体前面の造形の一部をなすバンパフェイシャ3と、同バンパフェイシャ3の内部に配置した上下2段式の衝撃吸収部4とを組み合わせた構造が用いてある。図2には同構造の断面図が示され、図3には衝撃吸収部4の全体の構造が示されている。
【0018】
バンパ部1の各部を説明すると、車体2の前端部に組付くバンパフェイシャ3は、所定の衝撃荷重が加わると変形する部材、例えば前端部が閉塞され後端部が開放した合成樹脂製の薄肉のカバー状に形成してある。同バンパフェイシャ3は、車体2の車幅方向に延在している。またバンパフェイシャ3の上部および車幅方向両側部は、車体1の前面や側面に連続する形状に形成されていて、車体2の前面一部を造形している。このバンパフェイシャ3の前面壁3a(車両前方側の壁部)のうち、例えば標準体型の歩行者を基準として定めた同歩行者の膝部に相当する中段部分は、図2にも示されるように車体1側へ退避するように凹陥している。この凹陥した部分で形成される凹部4は、車幅方向に沿って直線状に形成されている。この凹部4を挟む上側の突き出た前面壁部分3bが、例えば標準体型の歩行者における膝部上側付近の高さに対応した部分とし、下側の突き出た前面壁部分3cを例えば標準体型の歩行者における膝部下側付近の高さに対応した部分としている。そして、下段の前面壁部分3cは、上段の前面壁部分3bより、車体1側(車両後方側)に退避させてある。
【0019】
衝撃吸収部4には、図2に示されるように前面壁部分3bの内側(裏面側)に車幅方向に沿ってバンパ部材6を配置し、前面壁部分3cの内側(裏面側)に車幅方向に沿ってバンパ部材9を配置した構造が用いてある。このうちバンパ部材6は、例えば前面壁部分3bの内側の空間形状にならう帯形状をなしている。またバンパ部材6の下方に配置されるバンパ部材9は、例えば前面壁部分3cの内側の空間形状にならう帯形状をなしている。具体的には、上側のバンパ部材6は、例えば発泡ウレタンなどで帯形に形成された軟性の衝撃吸収部材6aと、この衝撃吸収部材6の後端部(車体2側の端部)の外周面に取着された例えば帯形枠のホルダ6bとを組み合わせて構成される。そして、衝撃吸収部材6aの有る前端が前面壁部分3bの内面に近接配置(あるいは当接配置)され、ホルダ6bの有る後端が車体2側に配置させてある。同バンパ部材9と対となる下側のバンパ部材9は、例えば金属部材などで帯形に形成された硬性の衝撃吸収部材9aと、この衝撃吸収部材9の後端部(車体2側の端部)に取着された例えば帯形枠のホルダ9bとを組み合わせて構成される。そして、バンパ部材6と同様、衝撃吸収部材9aの有る前端が前面壁部分3cの内面に近接配置(あるいは当接配置)され、ホルダ9bの有る後端が車体2側に配置させてある。つまり、下側のバンパ部材9は、前端が上側のバンパ部材6の前端より車体後方側へ退避(ずれた)した姿勢で配置させてある。こうしたバンパ部9a,9bの構造により、上側のバンパ部材6に初期の衝撃荷重の吸収に適した衝撃吸収特性を与え、下側のバンパ部材9に脚部下方を車両前方側に移動させる機能(上側のバンパ部材6の衝撃吸収性より低い衝撃吸収性であることにもよる)を与えている。
【0020】
これら各バンパ部材6,9の相互間は、移動手段、例えばリンク機構12を介して連結され、上側のバンパ部材6が車両後方側へ変位すると、下側のバンパ部材9が車両前方側へ移動する構造にしている。このリンク機構12には、例えば図2および図3に示されるように一対のリンク部材13で、バンパ部材6,9のホルダ6b、9b間(後端部間)を、バンパ部材6,9のずれた斜めの向きに沿って連結した構造が用いてある。具体的には、両側の各リンク部材13は、ホルダ6b,9bの幅方向両側の側壁6c,9c間に沿って斜め上下方向に延びる帯形部材が用いられる。そして、各リンク部材13のうちの上端部が、ホルダ6bの下部壁6dに形成してある開口7を貫通して、各側壁6cの内面に回転自在に軸支させてある。8はそのリンク部材13を回転自在に支持する軸部(連結部)を示している。また各リンク部材10の下端部は、ホルダ9bの上部壁9eに形成してある開口10を貫通して、各側壁9cの内面に回転自在に軸支させてある。11はそのリンク部材13を回転自在に支持する軸部(連結部)を示している。そして、各軸部8,11間(連結部間)のリンク部分(中間部)は、車体1の前部を構成する部材、例えば車体前端に向かって延びるサイドフレーム14の前部端に対し、一対のブラケット15および同ブラケット15に支持された軸部16を用いて回転自在に軸支させてある。このときのバンパ部材9がバンパ部材6よりも車両後方側に退いて並んだ姿勢を待機状態としてある。こうした各リンク部材13の支持により、バンパフェイシャ3へ衝撃荷重が加わると、突き出ていたバンパ部材6が車両後方へ変位するとともに、同変位に連動してバンパ部材9が車両前方へ移動するようにしてある。またリンク部材13が貫通する開口7の開口縁は、リンク部材13の車両前方側の端と当接する地点から車両前方側へ大きく切り欠かれ、同じく開口10の開口縁は、リンク部材13の車両後方側の端と当接する地点から車両後方側へ大きく切り欠かれていて、各バンパ部材6,9が略水平状態の姿勢のまま、車両前後方向に変位できるようにしてある。なお、各バンパ部材6,9のがたつき、リンク部材13が不用意に動くことがないようにする手段も講じてある。例えば各バンパ部材6,9のがたつき対策としては、位置決め手段として例えば互いに向き合うリンク部材13の側面と側壁6c,9cの内面との一方に凸部を形成し、他方に該凸部と弾性的に嵌まり合う凹部(いずれも図示せず)を形成してなる規制部17(図2にだけ図示)が用いてあり、リンク部材13の移動対策としては、位置決め手段として例えば互いに向き合うリンク部材13の側面とブラケット15の側面との一方に凸部を形成し、他方に該凸部と弾性的に嵌まり合う凹部(いずれも図示せず)を形成してなる規制部18(図2にだけ図示)が用いてある。
【0021】
このように構成された車体前部のバンパ部1は、通常時の状態としては、図2に示されるように下側のバンパ部材9の前端は、上側のバンパ部材6の前端から車両後方側に退いて配置されるから、バンパ部材6の前端部の下側にはアプローチアングルθをかせぐためのクリアランスαが確保される。このクリアランスαの確保により、車体前端における最下端部分となるバンパフェイシャ3の下端部と前輪19の接地面との間で、十分なアプローチアングルθが確保でき、バンパフェイシャ3が路面に接触するおそれを回避できる。
【0022】
また衝突、例えば標準体型の歩行者との衝突が起きた場合、図4に示されるように歩行者の脚部Lの膝部L1を挟んだ上側の部分が、まず、バンパフェイシャ3の前面壁部分3bと当接し、続いて前面壁部3cへ至る。これにより、バンパフェイシャ3は、加わる衝撃荷重により、変形を起こすと共にバンパフェイシャ3内の上段に収めてあるバンパ部材6が前面壁部3bと当接する。すると、バンパ部材6の衝撃吸収部材6aが変形、さらにはバンパ部材6の全体が車両後方へ変位して、歩行者の膝部L1の上側へ加わる初期の衝撃荷重を吸収する。なお、リンク部材13の各部の位置決め規制は、加わる衝撃により解かれる。
【0023】
一方、図4に示されるようにリンク部材9はバンパ部材6の後退変位を受けている。すると、リンク部材13は、図4中の矢印a,b(一重)に示されるように軸部16を支点として時計回りへ回動変位する。これにより、バンパフェイシャ3内の下段に収めてあるバンパ部材9は、図4中の矢印c(一重)に示されるようにバンパ部材6の後退(変位)に連動して、車両前方へ突き出される。すると、同バンパ部材9の前端は、そのバンパ部材9が後退するときの反動を利用して、バンパフェイシャ3の前面壁部分3cを介して、歩行者の膝部L2の下側へ突き当たり、歩行者の脚部上方を車両後方側に脚部下方を車両前方側に移動させる挙動を生じさせる。これにより、歩行者の膝部L1を中心とした脚部Lが衝撃荷重から保護される。
【0024】
したがって、適正で十分なるアプローチアングルの確保と、歩行者の膝部L1を中心とした脚部Lの保護との双方を両立させることができる。しかも、バンパ部6,9の双方は、衝撃吸収部材で構成してあるので、脚部上方を車両後方側に脚部下方を車両前方側に移動させる挙動を適切に誘発することができる。特にバンパ部材6の衝撃吸収性が高く、バンパ部材9がそれよりも低い衝撃吸収性にしたことにより、衝撃吸収性の違いを利用して、一層、歩行者の脚部上方を車両後方側に、脚部下方を車両前方側に移動させる挙動を適切に誘発させることができ、歩行者の膝部L2を中心とした脚部L1の保護には有効である。
【0025】
しかも、バンパ部材9の連動構造には、バンパ部材6とバンパ部材9との間にリンク部材13を連結し、リンク部材13の中間部を車体1側に支持するという、部品点数を抑えたリンク機構12を採用してあるので、構造的に簡単であり、コスト的にも安価である。そのうえ、リンク機構12の採用により、リンク部材13のアーム比を変更、すなわちバンパ部材6の支持点となる軸部8からリンク部材13の支点となる軸部16までの長さAと、同軸部16からバンパ部材9の支持点となる軸部11までの長さBとの比を変更することにより、下側バンパ、すなわちバンパ部材9の押し出し量を容易にコントロールすることができる。加えて、リンク部材13には、バンパ部材6,9の後端(車体2側の端部)に連結した構造が採用してあるので、連結した部分が衝撃吸収性の低下をもたらすことはなく、バンパ部材6,9の衝撃吸収性を十分に活用して、歩行者の脚部を保護できる。
【0026】
図5は、本発明の第2の実施形態を示す。
【0027】
本実施形態は第1の実施形態の変形例である。同実施形態は、車体2の前部下方に設けたバンパ部でなく、車体2の後部下方に設けたバンパ部21に、第1の実施形態で述べたバンパ部6,9の構造、リンク機構12の構造を組付けて、上側のバンパ部材6が車両後方側へ変位すると、下側のバンパ部材9が車両前方側へ移動する構造にしたものである。
【0028】
但し、図5において、第1の実施形態と同じ部分には同一符号を附してその説明を省略した。但し、22は車体2の後部に組付く後輪を示す。
【0029】
このようにしても、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0030】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施してもよいことはいうまでもない。例えば上述した各実施形態では、上側のバンパ部材、下側のバンパ部材の両方とも、衝撃吸収部材で形成した例を挙げたが、これに限らず、少なくとも一方を衝撃吸収部材で形成する構造を採用してもよい。このようにしても脚部上方を車両後方側に脚部下方を車両前方側に移動させる挙動が適切に誘発される。また例えば各実施形態では、リンク部材の中間部をサイドフレームに支持させる構造を用いたが、これに限らず、リンク部材の中間部をフロントエンドクロスメンバに支持させる構造でもよい。また一実施形態では、リンク機構を採用して、下段のバンパ部材を上段のバンパ部材に連動して前方へ突き出せる構造を用いたが、これに限らず、他の構造、手段を採用しても構わない。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1、請求項2に記載の発明によれば、通常時は、第1バンパ部材の前端部の下側にアプローチアングルをかせぐためのクリアランスが確保でき、衝突時に際しては、第2バンパ部材が第1バンパ部材の後退に連動して前方へ突き出ることにより、歩行者の脚部上方を車両後方側に移動させ、脚部下方を車両前方側に移動させる挙動を生じさせて、膝部を中心に歩行者の脚部を保護することができる。
【0032】
それ故、適正で十分なアプローチアングルと、歩行者の膝部を中心とした脚部の保護との双方を両立させることができる。
【0033】
請求項3に記載の発明によれば、さらに第1バンパ部材と第2バンパ部材とをリンク部材で連結するというリンク機構により、簡単、かつ安価にして、第2バンパ部材を第1バンパ部材に連動して前方へ突き出させることができるといった効果を奏する。
【0034】
請求項4に記載の発明によれば、より適切に膝部を中心とした脚部の保護ができるといった効果を奏する。
【0035】
請求項5に記載の発明によれば、さらにリンク部材の連結部が、第1バンパ部、第2バンパ部の衝撃吸収性を低下させずに、第1、第2バンパ部材の衝撃吸収性を十分に活用して、歩行者の脚部を保護できるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るバンパ構造を、同構造を組付けた車両前部と共に示す斜視図。
【図2】同バンパ構造の断面図。
【図3】同バンパ構造の全体構成を示す斜視図。
【図4】同バンパ構造の衝突時における挙動を説明するための断面図。
【図5】本発明の第2の実施形態の要部を示す斜視図。
【符号の説明】
1,20…バンパ部、2…車体、3…バンパフェイシャ、6、9…バンパ部材(第1バンパ部材,第2バンパ部材)、6a,9a…衝撃吸収部材、6b、9b…ホルダ、12…リンク機構、13…リンク部材、14…サイドフレーム、15…ブラケット。
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体の車両前後方向の端部下方部分に上下2段にバンパ部材を設けて構成される車両のバンパ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車(車両)では前後方向の端部にバンパ部を組付けて、外部から加わる衝撃に対処している。こうしたバンパ部では、衝突から歩行者の脚部を保護するために、衝突の際、意図的に歩行者の脚部上方を車両後方側に移動させ、脚部下方を車両前方側に移動させる挙動を生じさせて、衝突の衝撃から歩行者の膝部を保護する開発が進められている。
【0003】
同構造には、歩行者の膝部上側付近となる高さで、車体の前後方向端に車幅方向に沿って上段バンパ部材を固定し、膝部を挟んで下側となる高さで、上段側のバンパ部材と略平行に下段バンパ部材を固定するという、2段式のバンパ構造が提案されている。そして、衝突した際、初期の衝撃荷重を上段バンパ部材の塑性変形で吸収すると共に、下段バンパ部材で歩行者の脚部下方を車両前方側に移動させることにより、衝突時の際、膝部を中心に歩行者の脚部を保護するようにしている(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−274298号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、こうした上下2段のバンパ部材を用いて歩行者の脚部上方を車両後方側に移動させると共に脚部下方を車両前方側に移動させるためには、下段側のバンパ部材は、上段側のバンパ部材の前端位置に略揃えた地点に前端を配置してレイアウトしなければならない。
【0006】
ところが、これでは下段側のバンパ部材は、上段バンパ部材の直下にそのまま配置される構造となるために、上段側のバンパ部材の下側には、適正なアプローチアングル(タイヤ接地点とバンパ下端先端(後端)とを結んだ線の水平面に対する角度)の確保に必要なクリアランスが形成できない。このため、歩行者に対する保護は行えるが、適正なアプローチアングルが確保できないために、例えば勾配の有る路面を走行する際、バンパ部の最前部の部材、例えばバンパ部材の表面を覆うバンパフェイシャが路面と接触するおそれが高くなるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、適正で十分なアプローチアングルと、歩行者の膝部を中心とした脚部の保護との双方を両立させることができる車両のバンパ構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、前記目的を達成するために、車体の前部下方に組付くバンパ部として、車両後方側に移動可能な第1バンパ部材、第1バンパ部材の下方の地点に前端が第1ダンパ部材よりも車体後方側に配置されるように設けられた車両前方側に移動可能な第2バンパ部材、第1バンパ部材の車両後方側への変位に連動して第2バンパ部材を車両前方側へ移動させる移動手段を組み合わせた構成を採用した。
【0009】
同構成により、通常時は、第2バンパ部材の前端は、第1バンパ部材の前端より後方側にずれて配置されるために、第1バンパ部材の前端部の下側にはアプローチアングルをかせぐためのクリアランスが確保される。つまり、適正なアプローチアングルが十分に確保される。
【0010】
また衝突時に際しては、上段の第1バンパ部材が歩行者の脚部の膝部の上側と当接して衝撃を吸収する挙動、さらには第1バンパ部材が後退する挙動により、初期の衝撃荷重が吸収される。と共に第1バンパ部材の後退変位に連動して、下段の第2バンパ部材が前方へ突き出て、同第2バンパ部材の前端が脚部の下側へ進み、歩行者の脚部上方を車両後方側に移動させ、脚部下方を車両前方側に移動させる挙動を生じさせて、膝部を中心に歩行者の脚部を保護し、歩行者の脚部を適切に保護する。
【0011】
請求項2に記載の発明は、車体の後部下方に組付くバンパ部にも、適正なアプローチアングルの確保、膝部を中心とした脚部の適切な保護が行えるよう、車体の後部下方に組付くバンパ部として、車両前方側に移動可能な第1バンパ部材、第1バンパ部材の下方の地点に前端が第1ダンパ部材よりも車体前方側に配置されるように設けられた車両後方側に移動可能な第2バンパ部材、第1バンパ部材の車両前方側への変位に連動して第2バンパ部材を車両後方側へ移動させる移動手段を組み合わせた構成を採用した。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記目的に加え、さらに簡単な構造で、第2バンパ部材を第1バンパ部材に連動させるよう、移動手段には、一端部が第1バンパ部材に回動自在に連結され、他端部が第2バンパ部材に回動自在に連結され、第1バンパ部材への連結部と第2バンパ部材への連結部との間が車体側に回動自在に支持されたリンク部材を有したリンク機構を採用した。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記目的に加え、膝部を中心とした脚部がより適切に保護されるよう、第1バンパ部材と第2バンパ部材のいずれか一方は衝撃吸収部材で形成した。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記目的に加え、リンク部材の連結が第1バンパ部材、第2バンパ部材の衝撃吸収性の低下をもたらさないよう、リンク部材には、第1バンパ部材および第2バンパ部材の後端に連結する構成を採用した。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1ないし図4に示す第1の実施形態にもとづいて説明する。
【0016】
図1は、本発明を適用した自動車(車両)の前部を示していて、図中1は同自動車の車体2の前部下方に設けたバンパ部である。
【0017】
バンパ部1は、例えば車体前面の造形の一部をなすバンパフェイシャ3と、同バンパフェイシャ3の内部に配置した上下2段式の衝撃吸収部4とを組み合わせた構造が用いてある。図2には同構造の断面図が示され、図3には衝撃吸収部4の全体の構造が示されている。
【0018】
バンパ部1の各部を説明すると、車体2の前端部に組付くバンパフェイシャ3は、所定の衝撃荷重が加わると変形する部材、例えば前端部が閉塞され後端部が開放した合成樹脂製の薄肉のカバー状に形成してある。同バンパフェイシャ3は、車体2の車幅方向に延在している。またバンパフェイシャ3の上部および車幅方向両側部は、車体1の前面や側面に連続する形状に形成されていて、車体2の前面一部を造形している。このバンパフェイシャ3の前面壁3a(車両前方側の壁部)のうち、例えば標準体型の歩行者を基準として定めた同歩行者の膝部に相当する中段部分は、図2にも示されるように車体1側へ退避するように凹陥している。この凹陥した部分で形成される凹部4は、車幅方向に沿って直線状に形成されている。この凹部4を挟む上側の突き出た前面壁部分3bが、例えば標準体型の歩行者における膝部上側付近の高さに対応した部分とし、下側の突き出た前面壁部分3cを例えば標準体型の歩行者における膝部下側付近の高さに対応した部分としている。そして、下段の前面壁部分3cは、上段の前面壁部分3bより、車体1側(車両後方側)に退避させてある。
【0019】
衝撃吸収部4には、図2に示されるように前面壁部分3bの内側(裏面側)に車幅方向に沿ってバンパ部材6を配置し、前面壁部分3cの内側(裏面側)に車幅方向に沿ってバンパ部材9を配置した構造が用いてある。このうちバンパ部材6は、例えば前面壁部分3bの内側の空間形状にならう帯形状をなしている。またバンパ部材6の下方に配置されるバンパ部材9は、例えば前面壁部分3cの内側の空間形状にならう帯形状をなしている。具体的には、上側のバンパ部材6は、例えば発泡ウレタンなどで帯形に形成された軟性の衝撃吸収部材6aと、この衝撃吸収部材6の後端部(車体2側の端部)の外周面に取着された例えば帯形枠のホルダ6bとを組み合わせて構成される。そして、衝撃吸収部材6aの有る前端が前面壁部分3bの内面に近接配置(あるいは当接配置)され、ホルダ6bの有る後端が車体2側に配置させてある。同バンパ部材9と対となる下側のバンパ部材9は、例えば金属部材などで帯形に形成された硬性の衝撃吸収部材9aと、この衝撃吸収部材9の後端部(車体2側の端部)に取着された例えば帯形枠のホルダ9bとを組み合わせて構成される。そして、バンパ部材6と同様、衝撃吸収部材9aの有る前端が前面壁部分3cの内面に近接配置(あるいは当接配置)され、ホルダ9bの有る後端が車体2側に配置させてある。つまり、下側のバンパ部材9は、前端が上側のバンパ部材6の前端より車体後方側へ退避(ずれた)した姿勢で配置させてある。こうしたバンパ部9a,9bの構造により、上側のバンパ部材6に初期の衝撃荷重の吸収に適した衝撃吸収特性を与え、下側のバンパ部材9に脚部下方を車両前方側に移動させる機能(上側のバンパ部材6の衝撃吸収性より低い衝撃吸収性であることにもよる)を与えている。
【0020】
これら各バンパ部材6,9の相互間は、移動手段、例えばリンク機構12を介して連結され、上側のバンパ部材6が車両後方側へ変位すると、下側のバンパ部材9が車両前方側へ移動する構造にしている。このリンク機構12には、例えば図2および図3に示されるように一対のリンク部材13で、バンパ部材6,9のホルダ6b、9b間(後端部間)を、バンパ部材6,9のずれた斜めの向きに沿って連結した構造が用いてある。具体的には、両側の各リンク部材13は、ホルダ6b,9bの幅方向両側の側壁6c,9c間に沿って斜め上下方向に延びる帯形部材が用いられる。そして、各リンク部材13のうちの上端部が、ホルダ6bの下部壁6dに形成してある開口7を貫通して、各側壁6cの内面に回転自在に軸支させてある。8はそのリンク部材13を回転自在に支持する軸部(連結部)を示している。また各リンク部材10の下端部は、ホルダ9bの上部壁9eに形成してある開口10を貫通して、各側壁9cの内面に回転自在に軸支させてある。11はそのリンク部材13を回転自在に支持する軸部(連結部)を示している。そして、各軸部8,11間(連結部間)のリンク部分(中間部)は、車体1の前部を構成する部材、例えば車体前端に向かって延びるサイドフレーム14の前部端に対し、一対のブラケット15および同ブラケット15に支持された軸部16を用いて回転自在に軸支させてある。このときのバンパ部材9がバンパ部材6よりも車両後方側に退いて並んだ姿勢を待機状態としてある。こうした各リンク部材13の支持により、バンパフェイシャ3へ衝撃荷重が加わると、突き出ていたバンパ部材6が車両後方へ変位するとともに、同変位に連動してバンパ部材9が車両前方へ移動するようにしてある。またリンク部材13が貫通する開口7の開口縁は、リンク部材13の車両前方側の端と当接する地点から車両前方側へ大きく切り欠かれ、同じく開口10の開口縁は、リンク部材13の車両後方側の端と当接する地点から車両後方側へ大きく切り欠かれていて、各バンパ部材6,9が略水平状態の姿勢のまま、車両前後方向に変位できるようにしてある。なお、各バンパ部材6,9のがたつき、リンク部材13が不用意に動くことがないようにする手段も講じてある。例えば各バンパ部材6,9のがたつき対策としては、位置決め手段として例えば互いに向き合うリンク部材13の側面と側壁6c,9cの内面との一方に凸部を形成し、他方に該凸部と弾性的に嵌まり合う凹部(いずれも図示せず)を形成してなる規制部17(図2にだけ図示)が用いてあり、リンク部材13の移動対策としては、位置決め手段として例えば互いに向き合うリンク部材13の側面とブラケット15の側面との一方に凸部を形成し、他方に該凸部と弾性的に嵌まり合う凹部(いずれも図示せず)を形成してなる規制部18(図2にだけ図示)が用いてある。
【0021】
このように構成された車体前部のバンパ部1は、通常時の状態としては、図2に示されるように下側のバンパ部材9の前端は、上側のバンパ部材6の前端から車両後方側に退いて配置されるから、バンパ部材6の前端部の下側にはアプローチアングルθをかせぐためのクリアランスαが確保される。このクリアランスαの確保により、車体前端における最下端部分となるバンパフェイシャ3の下端部と前輪19の接地面との間で、十分なアプローチアングルθが確保でき、バンパフェイシャ3が路面に接触するおそれを回避できる。
【0022】
また衝突、例えば標準体型の歩行者との衝突が起きた場合、図4に示されるように歩行者の脚部Lの膝部L1を挟んだ上側の部分が、まず、バンパフェイシャ3の前面壁部分3bと当接し、続いて前面壁部3cへ至る。これにより、バンパフェイシャ3は、加わる衝撃荷重により、変形を起こすと共にバンパフェイシャ3内の上段に収めてあるバンパ部材6が前面壁部3bと当接する。すると、バンパ部材6の衝撃吸収部材6aが変形、さらにはバンパ部材6の全体が車両後方へ変位して、歩行者の膝部L1の上側へ加わる初期の衝撃荷重を吸収する。なお、リンク部材13の各部の位置決め規制は、加わる衝撃により解かれる。
【0023】
一方、図4に示されるようにリンク部材9はバンパ部材6の後退変位を受けている。すると、リンク部材13は、図4中の矢印a,b(一重)に示されるように軸部16を支点として時計回りへ回動変位する。これにより、バンパフェイシャ3内の下段に収めてあるバンパ部材9は、図4中の矢印c(一重)に示されるようにバンパ部材6の後退(変位)に連動して、車両前方へ突き出される。すると、同バンパ部材9の前端は、そのバンパ部材9が後退するときの反動を利用して、バンパフェイシャ3の前面壁部分3cを介して、歩行者の膝部L2の下側へ突き当たり、歩行者の脚部上方を車両後方側に脚部下方を車両前方側に移動させる挙動を生じさせる。これにより、歩行者の膝部L1を中心とした脚部Lが衝撃荷重から保護される。
【0024】
したがって、適正で十分なるアプローチアングルの確保と、歩行者の膝部L1を中心とした脚部Lの保護との双方を両立させることができる。しかも、バンパ部6,9の双方は、衝撃吸収部材で構成してあるので、脚部上方を車両後方側に脚部下方を車両前方側に移動させる挙動を適切に誘発することができる。特にバンパ部材6の衝撃吸収性が高く、バンパ部材9がそれよりも低い衝撃吸収性にしたことにより、衝撃吸収性の違いを利用して、一層、歩行者の脚部上方を車両後方側に、脚部下方を車両前方側に移動させる挙動を適切に誘発させることができ、歩行者の膝部L2を中心とした脚部L1の保護には有効である。
【0025】
しかも、バンパ部材9の連動構造には、バンパ部材6とバンパ部材9との間にリンク部材13を連結し、リンク部材13の中間部を車体1側に支持するという、部品点数を抑えたリンク機構12を採用してあるので、構造的に簡単であり、コスト的にも安価である。そのうえ、リンク機構12の採用により、リンク部材13のアーム比を変更、すなわちバンパ部材6の支持点となる軸部8からリンク部材13の支点となる軸部16までの長さAと、同軸部16からバンパ部材9の支持点となる軸部11までの長さBとの比を変更することにより、下側バンパ、すなわちバンパ部材9の押し出し量を容易にコントロールすることができる。加えて、リンク部材13には、バンパ部材6,9の後端(車体2側の端部)に連結した構造が採用してあるので、連結した部分が衝撃吸収性の低下をもたらすことはなく、バンパ部材6,9の衝撃吸収性を十分に活用して、歩行者の脚部を保護できる。
【0026】
図5は、本発明の第2の実施形態を示す。
【0027】
本実施形態は第1の実施形態の変形例である。同実施形態は、車体2の前部下方に設けたバンパ部でなく、車体2の後部下方に設けたバンパ部21に、第1の実施形態で述べたバンパ部6,9の構造、リンク機構12の構造を組付けて、上側のバンパ部材6が車両後方側へ変位すると、下側のバンパ部材9が車両前方側へ移動する構造にしたものである。
【0028】
但し、図5において、第1の実施形態と同じ部分には同一符号を附してその説明を省略した。但し、22は車体2の後部に組付く後輪を示す。
【0029】
このようにしても、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0030】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施してもよいことはいうまでもない。例えば上述した各実施形態では、上側のバンパ部材、下側のバンパ部材の両方とも、衝撃吸収部材で形成した例を挙げたが、これに限らず、少なくとも一方を衝撃吸収部材で形成する構造を採用してもよい。このようにしても脚部上方を車両後方側に脚部下方を車両前方側に移動させる挙動が適切に誘発される。また例えば各実施形態では、リンク部材の中間部をサイドフレームに支持させる構造を用いたが、これに限らず、リンク部材の中間部をフロントエンドクロスメンバに支持させる構造でもよい。また一実施形態では、リンク機構を採用して、下段のバンパ部材を上段のバンパ部材に連動して前方へ突き出せる構造を用いたが、これに限らず、他の構造、手段を採用しても構わない。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1、請求項2に記載の発明によれば、通常時は、第1バンパ部材の前端部の下側にアプローチアングルをかせぐためのクリアランスが確保でき、衝突時に際しては、第2バンパ部材が第1バンパ部材の後退に連動して前方へ突き出ることにより、歩行者の脚部上方を車両後方側に移動させ、脚部下方を車両前方側に移動させる挙動を生じさせて、膝部を中心に歩行者の脚部を保護することができる。
【0032】
それ故、適正で十分なアプローチアングルと、歩行者の膝部を中心とした脚部の保護との双方を両立させることができる。
【0033】
請求項3に記載の発明によれば、さらに第1バンパ部材と第2バンパ部材とをリンク部材で連結するというリンク機構により、簡単、かつ安価にして、第2バンパ部材を第1バンパ部材に連動して前方へ突き出させることができるといった効果を奏する。
【0034】
請求項4に記載の発明によれば、より適切に膝部を中心とした脚部の保護ができるといった効果を奏する。
【0035】
請求項5に記載の発明によれば、さらにリンク部材の連結部が、第1バンパ部、第2バンパ部の衝撃吸収性を低下させずに、第1、第2バンパ部材の衝撃吸収性を十分に活用して、歩行者の脚部を保護できるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るバンパ構造を、同構造を組付けた車両前部と共に示す斜視図。
【図2】同バンパ構造の断面図。
【図3】同バンパ構造の全体構成を示す斜視図。
【図4】同バンパ構造の衝突時における挙動を説明するための断面図。
【図5】本発明の第2の実施形態の要部を示す斜視図。
【符号の説明】
1,20…バンパ部、2…車体、3…バンパフェイシャ、6、9…バンパ部材(第1バンパ部材,第2バンパ部材)、6a,9a…衝撃吸収部材、6b、9b…ホルダ、12…リンク機構、13…リンク部材、14…サイドフレーム、15…ブラケット。
Claims (5)
- 車体の前部下方に車幅方向に沿って延在するバンパ部を有して構成される車両のバンパ構造において、
前記バンパ部は、
車幅方向に延在する車両後方側に移動可能な第1バンパ部材と、
前記第1バンパ部材よりも下方に位置して車幅方向に延在し、前端が前記第1バンパ部材よりも車体後方側に配置されるように設けられた車両前方側に移動可能な第2バンパ部材と、
前記第1バンパ部材の車両後方側への変位に連動して前記第2バンパ部材を車両前方側へ移動させる移動手段と
を有して構成されることを特徴とする車両のバンパ構造。 - 車体の後部下方に車幅方向に沿って延在するバンパ部を有して構成される車両のバンパ構造において、
前記バンパ部は、
車幅方向に延在する車両前方側に移動可能な第1バンパ部材と、
前記第1バンパ部材よりも下方に位置して車幅方向に延在し、前端が前記第1ダンパ部材よりも車体前方側に配置されるように設けられた車両後方側に移動可能な第2バンパ部材と、
前記第1バンパ部材の車両前方側への変位に連動して前記第2バンパ部材を車両後方側へ移動させる移動手段と
を有して構成されることを特徴とする車両のバンパ構造。 - 前記移動手段は、一端部が前記第1バンパ部材に回動自在に連結され、他端部が前記第2バンパ部材に回動自在に連結され、かつ前記第1バンパ部材への連結部と前記第2バンパ部材への連結部との間が車体側に回動自在に支持されたリンク部材を有して構成されたリンク機構であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両のバンパ構造。
- 前記第1バンパ部材と前記第2バンパ部材との少なくとも一方は衝撃吸収部材で形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の車両のバンパ構造。
- 前記リンク部材は、前記第1バンパ部材および前記第2バンパ部材の後端に連結されていることを特徴とする請求項3に記載の車両のバンパ構造。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003072056A JP2004276787A (ja) | 2003-03-17 | 2003-03-17 | 車両のバンパ構造 |
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JP2003072056A JP2004276787A (ja) | 2003-03-17 | 2003-03-17 | 車両のバンパ構造 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004276787A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7575259B2 (en) | 2006-02-06 | 2009-08-18 | Fuji Jukogyo Kabushiki Kaisha | Impact absorbing member and vehicle bumper structure |
CN104139759A (zh) * | 2013-05-08 | 2014-11-12 | 铃木株式会社 | 车辆前部结构 |
CN109927657A (zh) * | 2019-04-19 | 2019-06-25 | 合肥市强科达科技开发有限公司 | 一种汽车保险杠 |
CN112793527A (zh) * | 2021-01-07 | 2021-05-14 | 刘美红 | 车辆保险杠自适应调控*** |
-
2003
- 2003-03-17 JP JP2003072056A patent/JP2004276787A/ja not_active Withdrawn
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