JP2004276710A - 路面の摩擦係数の変化判定方法 - Google Patents

路面の摩擦係数の変化判定方法 Download PDF

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Hisahiro Yokota
尚大 横田
Takeshi Koibuchi
健 鯉渕
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】セルフアライニングトルク若しくはサイドフォースの変化に基づいて路面の摩擦係数の変化を高精度に且つ早期に推定する。
【解決手段】前輪のセルフアライニングトルクSAT及びサイドフォースSFが演算され(S20)、単位時間当りのセルフアライニングトルクの変化量ΔSATが演算され(S50)、セルフアライニングトルクの予測変化量ΔSATに基づいて基準値SATcが演算され(S60、70)、現在のセルフアライニングトルクSAT(n)とセルフアライニングトルクの変化量ΔSATとの積の符号に応じて(S80)、セルフアライニングトルクの変化量ΔSATの絶対値が基準値SATcよりも大きい状況が3サイクルに亘り連続的に継続したか否かの判別(S90〜120、S140〜170)により、路面の摩擦係数μが増加変化した(S130)又は低下変化した(S180)と判定される。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車輌に於ける路面の摩擦係数の判定に係り、更に詳細には路面の摩擦係数の変化を判定する方法に係る。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車輌に於いて車輪のグリップ状態を判定する装置の一つとして、例えば本願出願人の出願にかかる下記の特許文献1に記載されている如く、サイドフォースに基づいて演算されたセルフアライニングトルクに対する基準値と実際のセルフアライニングトルクとを比較し、車輌の旋回限界度合を判定するグリップ状態判定装置が従来より知られている。
【0003】
尚下記の特許文献2には、操舵輪の復元モーメント(セルフアライニングトルク)とコーナリングフォースとに基づき路面の摩擦係数を推定する技術が記載されている。
【特許文献1】
特開平7−137647号公報
【特許文献2】
特開平6−221968号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
セルフアライニングトルク及びサイドフォースはタイヤのグリップ状態に関するパラメータであり、上述の如き従来のグリップ状態判定装置によれば、操舵輪のグリップ状態を判定し車輌の旋回限界度合を判定することができるが、上記従来技術に於いては両者の動的な変化を見ていないため、操舵輪のグリップ状態や路面の摩擦係数の変化を高精度に判定することができない。
【0005】
また車輌の走行状態に基づき路面の摩擦係数を推定し、その変化を求めることにより路面の摩擦係数の変化を判定することができるが、路面の摩擦係数を高精度に推定することが困難であるため、推定された路面の摩擦係数に基づきその変化を高精度に判定することは困難であり、また路面の摩擦係数の変化を遅れなく早期に判定することが困難である。
【0006】
本発明は、サイドフォースに基づいて演算されたセルフアライニングトルクに対する基準値と実際のセルフアライニングトルクとを比較し、車輌の旋回限界度合を判定したり、推定された路面の摩擦係数に基づきその変化を判定する場合に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、路面の摩擦係数に変化がなければセルフアライニングトルク及びサイドフォースは漸次変化するが、路面の摩擦係数が変化すればセルフアライニングトルクが急激に変化し又はセルフアライニングトルク及びサイドフォースが急激に変化することに着目するにより、セルフアライニングトルクの変化又はセルフアライニングトルク及びサイドフォースの変化に基づいて路面の摩擦係数の変化を高精度に且つ早期に推定することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の主要な課題は、本発明によれば、操舵輪のセルフアライニングトルクの単位時間当りの変化量を演算し、前記変化量に基づき運転者の操舵操作の影響を排除して路面の摩擦係数の変化を判定することを特徴とする路面の摩擦係数の変化判定方法(請求項1の構成)、又は操舵輪のセルフアライニングトルク及びサイドフォースの単位時間当りの変化量を演算し、前記変化量に基づき運転者の操舵操作の影響を排除して路面の摩擦係数の変化を判定することを特徴とする路面の摩擦係数の変化判定方法。(請求項4の構成)によって達成される。
【0008】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、運転者の操舵操作若しくは車輌状態量に基づき基準値を可変設定し、前記変化量の大きさが前記基準値よりも大きいときに路面の摩擦係数が変化したと判定することにより、運転者の操舵操作の影響を排除して路面の摩擦係数の変化を判定するよう構成される(請求項2の構成)。
【0009】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項2の構成に於いて、運転者の操舵操作若しくは車輌状態量に基づき操舵輪のサイドフォースを求め、サイドフォースの単位時間当りの変化量を演算し、前記サイドフォースの単位時間当りの変化量及び車輌モデルに基づきセルフアライニングトルクの単位時間当りの予測変化量を演算し、前記予測変化量に基づき前記基準値を演算するよう構成される(請求項3の構成)。
【0010】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項4の構成に於いて、操舵輪のセルフアライニングトルク及びサイドフォースを求め、操舵輪のセルフアライニングトルク及びサイドフォースの単位時間当りの変化量を演算し、求められたセルフアライニングトルク及びサイドフォースに基づきサイドフォース−セルフアライニングトルク線図上のモデル曲線を推定し、推定後に求められたセルフアライニングトルク及びサイドフォースと前記モデル曲線との乖離度合を求め、前記セルフアライニングトルク及びサイドフォースの単位時間当りの変化量の大きさがその基準値よりも大きく且つ前記乖離度合がその基準値よりも大きいときに路面の摩擦係数が変化したと判定することにより、運転者の操舵操作の影響を排除して路面の摩擦係数の変化を判定するよう構成される(請求項5の構成)。
【0011】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項5の構成に於いて、サイドフォース−セルフアライニングトルク線図上で見て、前記推定後に求められたセルフアライニングトルク及びサイドフォースと前記モデル曲線との距離と、前記求められたセルフアライニングトルク及びサイドフォースの変化の傾きと前記モデル曲線に沿うセルフアライニングトルク及びサイドフォースの変化の傾きとの偏差の大きさと、に基づいて前記乖離度合を判定するよう構成される(請求項6の構成)。
【0012】
【発明の作用及び効果】
一般に、操舵輪のサイドフォースSFとセルフアライニングトルクSATとの間には路面の摩擦係数μに応じて図8及び図9に示されている如き関係があり、路面の摩擦係数μに変化がなければ、セルフアライニングトルク及びサイドフォースは運転者の操舵操作に伴いそのときの路面の摩擦係数μに対応する曲線に沿って漸次変化する。
【0013】
これに対し路面の摩擦係数μが変化すると、セルフアライニングトルクSATが急激に変化し又はセルフアライニングトルクSAT及びサイドフォースSFが急激に変化する。特に路面の摩擦係数μが増加しサイドフォースSFが変化しないときには、セルフアライニングトルクSATは図8に於いて実線の矢印にて示されている如く変化し、路面の摩擦係数μが低下しサイドフォースSFが変化しないときには、セルフアライニングトルクSATは図8に於いて破線の矢印にて示されている如く変化する。
【0014】
上記何れの変化の場合にも、セルフアライニングトルクSATの単位時間当たりの変化量は一般に路面の摩擦係数μが変化しない場合よりも大きいが、運転者の操舵操作によってもセルフアライニングトルクSATが変化するので、運転者の操舵操作の影響を排除してセルフアライニングトルクSATの単位時間当たりの変化を判定することにより、路面の摩擦係数μの増加変化及び低下変化を判定することができる。
【0015】
上記請求項1の構成によれば、操舵輪のセルフアライニングトルクの単位時間当りの変化量が演算され、該変化量に基づき運転者の操舵操作の影響を排除して路面の摩擦係数の変化が判定されるので、路面の摩擦係数を推定することなくその増減変化を高精度に判定することができ、また路面の摩擦係数を推定しその変化を判定する場合に比して早期に且つ高精度に路面の摩擦係数の変化を判定することができる。
【0016】
また上記請求項2の構成によれば、運転者の操舵操作若しくは車輌状態量に基づき基準値が可変設定され、前記変化量の大きさが基準値よりも大きいときに路面の摩擦係数が変化したと判定することにより、運転者の操舵操作の影響を排除して路面の摩擦係数の変化が判定されるので、運転者の操舵操作の影響を確実に排除して路面の摩擦係数の変化を判定することができる。
【0017】
また上記請求項3の構成によれば、運転者の操舵操作若しくは車輌状態量に基づき操舵輪のサイドフォースが求められ、サイドフォースの単位時間当りの変化量が演算され、サイドフォースの単位時間当りの変化量及び車輌モデルに基づきセルフアライニングトルクの単位時間当りの予測変化量が演算され、予測変化量に基づき前記基準値が演算されるので、運転者の操舵操作の影響が確実に排除されるよう運転者の操舵操作若しくは操舵操作により変化する車輌状態量に応じて基準値を可変設定することができる。
【0018】
また路面の摩擦係数μが増加し、これに伴ってサイドフォースSFも増加するときには、セルフアライニングトルクSATは図9に於いて実線の矢印にて示されている如く変化し、逆に路面の摩擦係数μが低下し、これに伴ってサイドフォースSFも低下するときには、セルフアライニングトルクSATは図9に於いて破線の矢印にて示されている如く変化する。
【0019】
上記何れの変化の場合にも、セルフアライニングトルクSAT及びサイドフォースSFの単位時間当たりの変化量は一般に路面の摩擦係数μが変化しない場合よりも大きいが、運転者の操舵操作によってもセルフアライニングトルクSAT及びサイドフォースSFが変化するので、運転者の操舵操作の影響を排除してセルフアライニングトルクSAT及びサイドフォースSFの単位時間当たりの変化を判定することにより、路面の摩擦係数μの変化を判定することができる。
【0020】
上記請求項4の構成によれば、操舵輪のセルフアライニングトルク及びサイドフォースの単位時間当りの変化量が演算され、前記変化量に基づき運転者の操舵操作の影響を排除して路面の摩擦係数の変化が判定されるので、路面の摩擦係数を推定することなくその変化を高精度に判定することができ、また路面の摩擦係数を推定しその変化を判定する場合に比して早期に且つ高精度に路面の摩擦係数の変化を判定することができる。
【0021】
また上記請求項5の構成によれば、操舵輪のセルフアライニングトルク及びサイドフォースが求められ、操舵輪のセルフアライニングトルク及びサイドフォースの単位時間当りの変化量が演算され、求められたセルフアライニングトルク及びサイドフォースに基づきサイドフォース−セルフアライニングトルク線図上のモデル曲線が推定され、推定後に求められたセルフアライニングトルク及びサイドフォースと前記モデル曲線との乖離度合が求められ、前記セルフアライニングトルク及びサイドフォースの単位時間当りの変化量の大きさがその基準値よりも大きく且つ前記乖離度合がその基準値よりも大きいときに路面の摩擦係数が変化したと判定することにより、運転者の操舵操作の影響を排除して路面の摩擦係数の変化が判定されるので、運転者の操舵操作の影響を確実に排除して路面の摩擦係数の変化を判定することができると共に、モデル曲線との乖離度合が判定されない場合に比して路面の摩擦係数の変化を高精度に判定することができる。
【0022】
また上記請求項6の構成によれば、サイドフォース−セルフアライニングトルク線図上で見て、モデル曲線推定後に求められたセルフアライニングトルク及びサイドフォースとモデル曲線との距離と、求められたセルフアライニングトルク及びサイドフォースの変化の傾きとモデル曲線に沿うセルフアライニングトルク及びサイドフォースの変化の傾きとの偏差の大きさと、に基づいて乖離度合が判定されるので、モデル曲線との乖離度合を高精度に判定することができる。
【0023】
【課題解決手段の好ましい態様】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、操舵輪のセルフアライニングトルクの大きさが判定許可基準値よりも大きいときにセルフアライニングトルクの単位時間当りの変化量を演算するよう構成される(好ましい態様1)。
【0024】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、前記単位時間よりも小さい所定の時間毎に操舵輪のセルフアライニングトルクを求めると共に、前記所定の時間毎にセルフアライニングトルクの単位時間当りの変化量を求めるよう構成される(好ましい態様2)。
【0025】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2の構成に於いて、前記変化量の大きさが前記基準値よりも大きいと所定の回数連続して判定したときに路面の摩擦係数が変化したと判定するよう構成される(好ましい態様3)。
【0026】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2の構成に於いて、左右何れかの旋回方向を正として現在のセルフアライニングトルクの符号と前記変化量の符号との関係に基づき路面の摩擦係数の変化が増加変化であるか低下変化であるかを判定するよう構成される(好ましい態様4)。
【0027】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3の構成に於いて、車速及び操舵角に基づき操舵輪のサイドフォースを演算すると共にその変化量を演算し、路面の摩擦係数を推定し、サイドフォースの単位時間当りの変化量、路面の摩擦係数及び車輌モデルに基づきセルフアライニングトルクの単位時間当りの予測変化量を演算するよう構成される(好ましい態様5)。
【0028】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3の構成に於いて、車輌状態量に基づき操舵輪のサイドフォースを演算すると共にその変化量を演算し、路面の摩擦係数を推定し、サイドフォースの単位時間当りの変化量、路面の摩擦係数及び車輌モデルに基づきセルフアライニングトルクの単位時間当りの予測変化量を演算するよう構成される(好ましい態様6)。
【0029】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4の構成に於いて、操舵輪のセルフアライニングトルクの大きさがその判定許可基準値よりも大きく且つサイドフォースの大きさがその判定許可基準値よりも大きいときにセルフアライニングトルク及びサイドフォースの単位時間当りの変化量を演算するよう構成される(好ましい態様7)。
【0030】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4の構成に於いて、セルフアライニングトルクに基づきタイロッド軸力を演算し、タイロッド軸力及びサイドフォースの二乗和平方根がその判定許可基準値よりも大きいときにセルフアライニングトルク及びサイドフォースの単位時間当りの変化量を演算するよう構成される(好ましい態様8)。
【0031】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4の構成に於いて、セルフアライニングトルクに基づき演算される単位時間当りのタイロッド軸力の変化量及びサイドフォースの変化量の二乗和平方根をセルフアライニングトルク及びサイドフォースの単位時間当りの変化量として演算するよう構成される(好ましい態様9)。
【0032】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4の構成に於いて、前記単位時間よりも小さい所定の時間毎に操舵輪のセルフアライニングトルク及びサイドフォースを求めると共に、前記所定の時間毎にセルフアライニングトルク及びサイドフォースの単位時間当りの変化量を演算するよう構成される(好ましい態様10)。
【0033】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項5の構成に於いて、セルフアライニングトルク及びサイドフォースの単位時間当りの変化量の大きさが前記基準値よりも大きいと所定の回数連続して判定し且つ前記乖離度合がその基準値よりも大きいと判定したときに路面の摩擦係数が変化したと判定するよう構成される(好ましい態様11)。
【0034】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項5の構成に於いて、路面の摩擦係数を推定し、セルフアライニングトルク及びサイドフォースの単位時間当りの変化量の大きさがその基準値よりも大きく且つ乖離度合がその基準値よりも大きいことにより路面の摩擦係数が変化したと判定したときには、推定された路面の摩擦係数の変化に基づき路面の摩擦係数の変化が増加変化であるか低下変化であるかを判定するよう構成される(好ましい態様12)。
【0035】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様5又は6又は12の構成に於いて、車輌モデルに於ける路面の摩擦係数、セルフアライニングトルク、サイドフォースの関係と、求められたセルフアライニングトルク及びサイドフォースとに基づき路面の摩擦係数を推定するよう構成される(好ましい態様13)。
【0036】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項6の構成に於いて、前記距離がその基準値よりも大きく且つ前記傾きの偏差の大きさがその基準値よりも大きいときに、前記乖離度合がその基準値よりも大きいと判定するよう構成される(好ましい態様14)。
【0037】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項6の構成に於いて、モデル曲線を近似直線に近似し、モデル曲線の推定後に求められたセルフアライニングトルク及びサイドフォースと近似直線との距離を前記距離として演算するよう構成される(好ましい態様15)。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施の形態(以下単に実施形態という)について詳細に説明する。
【0039】
第一の実施形態
図1は電動式パワーステアリング装置を備えた後輪駆動車の車輌運動制御装置に適用された本発明による路面の摩擦係数の変化判定方法の第一の実施形態を示す概略構成図である。
【0040】
図1に於いて、10FL及び10FRはそれぞれ車輌12の左右の前輪を示し、10RL及び10RRはそれぞれ車輌12の左右の後輪を示している。従動輪であり操舵輪でもある左右の前輪10FL及び10FRは運転者によるステアリングホイール14の転舵に応答して駆動されるラック・アンド・ピニオン式の電動式パワーステアリング装置16によりタイロッド18L及び18Rを介して操舵され、駆動輪であり非操舵輪でもある左右の後輪10RL及び10RRは図1には示されていないエンジンにより駆動される。
【0041】
図示の実施形態に於いては、電動式パワーステアリング装置16はラック同軸型の電動式パワーステアリング装置であり、操舵用電子制御装置20により制御される。電動式パワーステアリング装置16は電動機22と、電動機22の回転トルクをラックバー24の往復動方向の力に変換する例えばボールねじ式の変換機構26とを有し、ハウジング28に対し相対的にラックバー24を駆動する補助転舵力を発生することにより、運転者の操舵負担を軽減する操舵アシストトルクを発生する。
【0042】
各車輪の制動力は制動装置30の油圧回路32によりホイールシリンダ34FL、34FR、34RL、34RRの制動圧が制御されることによって制御されるようになっている。図には示されていないが、油圧回路32はリザーバ、オイルポンプ、種々の弁装置等を含み、各ホイールシリンダの制動圧は通常時には運転者によるブレーキペダル36の踏み込み操作に応じて駆動されるマスタシリンダ38により制御され、また必要に応じて後に詳細に説明する如く制動用電子制御装置40により制御される。
【0043】
車輪10FL〜10RRのホイールシリンダ34FL〜34RRにはそれぞれ対応するホイールシリンダ内の圧力Pi(i=fl、fr、rl、rr)を検出する圧力センサ42FL〜42RRが設けられ、マスタシリンダ38にはマスタシリンダ圧力Pmを検出する圧力センサ44が設けられている。またステアリングシャフト46にはそれぞれ操舵角θ及び操舵トルクTsを検出する操舵角センサ48及びトルクセンサ50が設けられ、車輌12にはそれぞれ車速V、車輌の前後加速度Gx、車輌の横加速度Gy、車輌のヨーレートγを検出する車速センサ52、前後加速度センサ54、横加速度センサ56、ヨーレートセンサ58が設けられている。尚操舵角センサ48、トルクセンサ50、横加速度センサ56、ヨーレートセンサ58は車輌の左旋回方向を正としてそれぞれ操舵角θ、操舵トルクTs、横加速度Gy、ヨーレートγを検出する。
【0044】
図2に示されている如く、圧力センサ42FL〜42RRにより検出されたホイールシリンダ34FL〜34RR内の圧力Piを示す信号及び圧力センサ44により検出されたマスタシリンダ圧力Pmを示す信号は制動用電子制御装置40に入力される。また操舵角センサ48により検出された操舵角θを示す信号、車速センサ52により検出された車速Vを示す信号、前後加速度センサ54により検出された前後加速度Gxを示す信号、横加速度センサ56により検出された横加速度Gyを示す信号、ヨーレートセンサ58により検出されたヨーレートγを示す信号は運動制御用電子制御装置60に入力される。
【0045】
トルクセンサ50により検出された操舵トルクTsを示す信号は操舵用電子制御装置20に入力され、操舵用電子制御装置20には運動制御用電子制御装置60より車速Vを示す信号も入力される。操舵用電子制御装置20は操舵トルクTsを示す信号と共に電動式パワーステアリング装置16に対するトルクアシスト指令電流Itaを示す信号を運動制御用電子制御装置60へ出力する。
【0046】
尚図には詳細に示されていないが、電子制御装置20、40及び60はそれぞれ例えばCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成のマイクロコンピュータを含んでいる。
【0047】
操舵用電子制御装置20は、操舵トルクTsの大きさが大きいほどアシストトルクTabの大きさが大きくなり、車速Vが高いほどアシストトルクTabの大きさが小さくなるよう、操舵トルクTs及び車速Vに基づき図7に示されたグラフに対応するマップよりアシストトルクTabを演算し、少なくともアシストトルクTabに基づき操舵用電子制御装置20を介して電動式パワーステアリング装置16によるアシストトルクを制御し、これにより運転者の操舵負担を軽減する。尚電動式パワーステアリング装置16によるアシストトルクの制御自体は本発明の要旨をなすものではなく、当技術分野に於いて公知の任意の要領にて実行されてよい。
【0048】
制動用電子制御装置40は、マスタシリンダ圧力Pmに基づき油圧回路32を制御することにより、運転者の制動操作量に応じてホイールシリンダ34FL〜34RR内の圧力Piを制御し、これにより運転者によるブレーキペダル36の踏み込み操作に応じて車輌の減速度を制御する。
【0049】
運動制御用電子制御装置60は、車輌のヨーレートγ等に基づきスピンの程度を示すスピン状態量の如き車輌の運動制御の必要度合を示す指標値Vvmを演算し、指標値Vvmが基準値Vvmo以上であるときには制動用電子制御装置40を介して各車輪の制動力を制御することにより、車輌の運動を安定化させる車輌運動制御を行う。尚車輌運動制御も本発明の要旨をなすものではなく、当技術分野に於いて公知の任意の要領にて実行されてよい。
【0050】
更に図示の第一の実施形態に於いては、運動制御用電子制御装置60は、図3に示されたフローチャートに従い、路面の摩擦係数μの増加又は低下を判定し、路面の摩擦係数μが増加したと判定されたときには、予め設定された上限値Vvmohを越えないよう基準値Vvmoを高くし、これにより車輌運動制御が開始され難くして不必要な車輌運動制御が実行されることを抑制し、逆に路面の摩擦係数μが低下したと判定されたときには、予め設定された下限値Vvmolよりも小さくならないよう基準値Vvmoを低くし、これにより車輌運動制御が早期に開始されるようにして車輌の走行状態に悪化を効果的に抑制する。
【0051】
特に図示の第一の実施形態に於いては、運動制御用電子制御装置60は、電動式パワーステアリング装置16によるアシストトルクTab及びトルクセンサ50により検出された操舵トルクTsに基づき前輪のセルフアライニングトルクSATを演算し、前輪のセルフアライニングトルクの単位時間当たりの変化量ΔSATを演算し、セルフアライニングトルクの変化量ΔSATの大きさが基準値よりも大きいか否かにより路面の摩擦係数μが変化したか否かを判定する。
【0052】
この場合運動制御用電子制御装置60は、セルフアライニングトルクSAT及びその変化量ΔSATの符号の関係に基づき路面の摩擦係数μの変化が増加であるか低下であるかを判別し、またサイドフォースの単位時間当たりの変化量ΔSFに基づきセルフアライニングトルクの予測変化量ΔSATmを演算すると共に、セルフアライニングトルクの変化量ΔSATの大小判定の基準値をセルフアライニングトルクの予測変化量ΔSATmに基づいて演算し、これにより運転者による操舵操作に起因するセルフアライニングトルクSATの変化の影響を排除して路面の摩擦係数μの増減変化の判定を行う。
【0053】
一般に、セルフアライニングトルクSATは路面の摩擦係数μ及びサイドフォースSFによって変化し、これらの間には車輌モデルとして下記の式1の関係がある。尚下記の式1に於けるα、β、d、eはそれぞれ正の定数である。
【数1】
Figure 2004276710
【0054】
上記式1をサイドフォースSFにて偏微分することにより、下記の式2の通りサイドフォースSFの変化に対するセルフアライニングトルクSATの変化の割合を求めることができる。
【数2】
Figure 2004276710
【0055】
従って路面の摩擦係数μ及びサイドフォースSFを推定することにより、サイドフォースの変化量ΔSFに基づき下記の式3に従って車輌モデルに基づくセルフアライニングトルクの予測変化量ΔSATmを演算することができる。
【数3】
Figure 2004276710
【0056】
尚サイドフォースSFは、ヨーレートγの時間微分値γdを演算すると共に、Izを車輌のヨー慣性モーメントとし、Lf及びLrをそれぞれ重心と前輪車軸及び後輪車軸との間の距離とし、Mを車輌の重量として、車輌の横加速度Gy及びヨーレートの時間微分値γdに基づき下記の式4に従って演算可能である。また路面の摩擦係数μは演算されたセルフアライニングトルクSAT及びサイドフォースSFを上記式1に代入し、それを路面の摩擦係数μについて解くことにより演算可能である。
【数4】
Figure 2004276710
【0057】
次に図3を参照して、第一の実施形態に於ける路面の摩擦係数の変化判定ルーチンについて説明する。尚図3に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0058】
まずステップ10に於いてはトルクセンサ50により検出された操舵トルクTsを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いてはトルクアシスト指令電流Itaにトルク定数(正の定数)との積として電動式パワーステアリング装置16によるアシストトルクTabが演算され、トルクセンサ50により検出された操舵トルクTsとアシストトルクTabとの和より操舵系の摩擦力に対応する値を減算することにより、前輪のセルフアライニングトルクSATが演算され、また上記式4に従ってサイドフォースSFが演算される。
【0059】
尚前輪のセルフアライニングトルクSATは当技術分野に於いて公知の他の要領にて演算されてもよく、またタイロッド18L及び18Rの軸力が検出され、タイロッド軸力より演算されてもよく、更には車輪に組み込まれたセンサにより検出されてもよい。
【0060】
ステップ30に於いてはセルフアライニングトルクSATが小さい領域に於ける路面の摩擦係数の変化の誤判定を防止するための基準値をSATo(正の定数)として、現在のセルフアライニングトルクSAT(n)の絶対値が基準値SAToよりも大きいか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ50へ進み、否定判別が行われたときにはステップ40へ進む。
【0061】
ステップ40に於いては路面の摩擦係数μが増加した旨の判定の回数を示す後述のフラグFmiが0にリセットされると共に、路面の摩擦係数μが低下した旨の判定の回数を示す後述のフラグFmdが0にリセットされ、しかる後ステップ10へ戻る。
【0062】
ステップ50に於いては現在のセルフアライニングトルクSAT(n)と3サイクル前のステップ20に於いて演算されたセルフアライニングトルクSAT(n−3)との偏差として、下記の式5に従って単位時間(図3に示されたフローチャートのサイクルタイムの3倍)当りのセルフアライニングトルクの変化量ΔSATが演算される。
ΔSAT=SAT(n)−SAT(n−3) ……(5)
【0063】
ステップ60に於いては現在及び3サイクル前のサイドフォースをそれぞれSF(n)、SF(n−3)とし、後述の図4に示されたルーチンに従って演算された現在及び3サイクル前の路面の摩擦係数をそれぞれμ(n)、μ(n−3)として、上記式3に対応する下記の式6に従ってセルフアライニングトルクの予測変化量ΔSATmが演算される。
【数5】
Figure 2004276710
【0064】
ステップ70に於いてはC1及びC2をそれぞれ安全係数に相当する一定の正の係数及びセルフアライニングトルクの計測誤差に相当する正の定数とし、signΔSATをセルフアライニングトルクの変化量ΔSATの符号として、セルフアライニングトルクの予測変化量ΔSATmに基づき下記の式7に従って路面の摩擦係数の増減判定のための基準値SATcが演算される。
SATc=C1・ΔSATm+C2・signΔSAT ……(7)
【0065】
ステップ80に於いては上記ステップ20に於いて演算された現在のセルフアライニングトルクSAT(n)とステップ50に於いて演算されたセルフアライニングトルクの変化量ΔSATとの積が正であるか否かの判別が行われ、否定判別、即ちSAT(n)及びΔSATの一方が正であり他方が負である旨の判別が行われたときにはステップ140へ進み、肯定判別、即ちSAT(n)及びΔSATの両方が正又は負である旨の判別が行われたときにはステップ90へ進む。
【0066】
ステップ90に於いてはsignΔSAT(n)を現在のセルフアライニングトルクの変化量ΔSAT(n)の符号として、signΔSAT(n)とセルフアライニングトルクの変化量ΔSATとの積がsignΔSAT(n)と基準値SATcとの積よりも大きいか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ100に於いてフラグFmiが1インクリメントされ、否定判別が行われたときにはステップ110に於いてフラグFmiが0にリセットされた後ステップ10へ戻る。
【0067】
ステップ120に於いてはフラグFmiが3であるか否かの判別、即ちステップ90に於ける肯定判別が3回連続して行われたか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ10へ戻り、肯定判別が行われたときにはステップ130に於いて路面の摩擦係数μが増加変化したと判定される。
【0068】
同様に、ステップ140に於いてはsignΔSAT(n)とセルフアライニングトルクの変化量ΔSATとの積がsignΔSAT(n)と基準値SATcとの積よりも小さいか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ150に於いてフラグFmdが1インクリメントされ、否定判別が行われたときにはステップ160に於いてフラグFmdが0にリセットされた後ステップ10へ戻る。
【0069】
ステップ170に於いてはフラグFmdが3であるか否かの判別、即ちステップ140に於ける肯定判別が3回連続して行われたか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ10へ戻り、肯定判別が行われたときにはステップ180に於いて路面の摩擦係数μが低下変化したと判定される。
【0070】
次に図4を参照して、路面の摩擦係数μの演算ルーチンについて説明する。尚図4に示されたフローチャートによる制御も図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、図3に示されたフローチャートのサイクルタイム毎に繰り返し実行される。
【0071】
まずステップ210に於いては路面の摩擦係数μを推定するための路面の摩擦係数の暫定値μが0.1に設定されると共にμi+1が0.2に設定され、ステップ220に於いては現在のサイドフォースSFに基づきそれぞれ下記の式8及び9に従ってμがμ及びμi+1であるときの前輪のセルフアライニングトルクSAT(μ,SF)及びSAT(μi+1,SF)が演算される。
【数6】
Figure 2004276710
【0072】
ステップ230に於いては現在のセルフアライニングトルクSATがSAT(μ,SF)よりも大きいか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ250へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ240へ進む。
【0073】
ステップ240に於いては現在のセルフアライニングトルクSATがSAT(μi+1,SF)よりも小さいか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ260へ進み、否定判別が行われたときにはステップ250に於いてμ及びμi+1がそれぞれ0.1インクリメントされる。
【0074】
ステップ260に於いては下記の式10に従って路面の摩擦係数μが演算され、しかる後図4に示されたルーチンによる制御を一旦終了する。
【数7】
Figure 2004276710
【0075】
ステップ270に於いてはμが1.0であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ220へ戻り、肯定判別が行われたときにはステップ280へ進む。
【0076】
ステップ280に於いては現在のサイドフォースSFに基づき暫定値μが1.0であるときのセルフアライニングトルクSAT(1.0,SF)がμ=1.0として上記式8に従って演算されると共に、現在のセルフアライニングトルクSATがSAT(1.0,SF)よりも大きいか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ290に於いて路面の摩擦係数μが1.0に設定され、否定判別が行われたときにはステップ300に於いて路面の摩擦係数μが0.1に設定される。
【0077】
かくして図示の第一の実施形態によれば、ステップ20に於いて電動式パワーステアリング装置16によるアシストトルクTab及びトルクセンサ50により検出された操舵トルクTsに基づき前輪のセルフアライニングトルクSATが演算されると共に、車輌の横加速度Gy及びヨーレートの時間微分値γdに基づきサイドフォースSFが演算され、ステップ50に於いて現在のセルフアライニングトルクSAT(n)と3サイクル前のセルフアライニングトルクSAT(n−3)との偏差として単位時間当りのセルフアライニングトルクの変化量ΔSATが演算される。
【0078】
またステップ60に於いてセルフアライニングトルクの予測変化量ΔSATmが演算され、ステップ70に於いてセルフアライニングトルクの変化量ΔSATの大きさの大小判定による路面の摩擦係数の増減判定のための基準値SATcがセルフアライニングトルクの予測変化量ΔSATmに基づいて演算される。
【0079】
そしてステップ80に於いて現在のセルフアライニングトルクSAT(n)とセルフアライニングトルクの変化量ΔSATとの積が正であると判別されたときには、ステップ90〜120に於いてsignΔSAT(n)とセルフアライニングトルクの変化量ΔSATとの積がsignΔSAT(n)と基準値SATcとの積よりも大きい状況が3サイクルに亘り連続的に継続したか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ130に於いて路面の摩擦係数μが増加変化したと判定される。
【0080】
またステップ80に於いて現在のセルフアライニングトルクSAT(n)とセルフアライニングトルクの変化量ΔSATとの積が正ではないと判別されたときには、ステップ140〜170に於いてsignΔSAT(n)とセルフアライニングトルクの変化量ΔSATとの積がsignΔSAT(n)と基準値SATcとの積よりも小さい状況が3サイクルに亘り連続的に継続したか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ180に於いて路面の摩擦係数μが低下変化したと判定される。
【0081】
従ってセルフアライニングトルクSAT及びその変化量ΔSATの符号の関係に基づき路面の摩擦係数μの変化が増加する状況であるか低下する状況であるかを判別し、単位時間当りのセルフアライニングトルクの変化量ΔSATの大きさに基づき、路面の摩擦係数μ自体の変化を求めることなく、路面の摩擦係数μの増加変化及び低下変化を判定することができ、また路面の摩擦係数μの増減変化に応じて運動制御の基準値Vvmoを増減し、これにより車輌の運動制御を最適に実行することができる。
【0082】
特に図示の第一の実施形態によれば、ステップ60に於いてサイドフォースSF及び路面の摩擦係数μの変化量に基づきセルフアライニングトルクの予測変化量ΔSATmが演算され、ステップ70に於いて路面の摩擦係数の増減判定のための基準値SATcがセルフアライニングトルクの予測変化量ΔSATmに基づいて演算される。
【0083】
従ってステップ90及び140に於いて運転者による操舵操作に応じて設定された基準値に基づきセルフアライニングトルクの変化量ΔSATの大きさが大きいか否かを判定することができ、これにより運転者による操舵操作に起因するセルフアライニングトルクSATの変化の影響を排除して路面の摩擦係数μの増減変化を判定することができる。
【0084】
また図示の第一の実施形態によれば、ステップ90〜120に於いてsignΔSAT(n)とセルフアライニングトルクの変化量ΔSATとの積がsignΔSAT(n)と基準値SATcとの積よりも大きい状況が3サイクルに亘り連続的に継続したと判定されたときにステップ130に於いて路面の摩擦係数μが増加変化したと判定され、ステップ140〜170に於いてsignΔSAT(n)とセルフアライニングトルクの変化量ΔSATとの積がsignΔSAT(n)と基準値SATcとの積よりも小さい状況が3サイクルに亘り連続的に継続したと判定されたときにステップ180に於いて路面の摩擦係数μが低下変化したと判定されるので、ステップ90及び140に於いて肯定判別が行われた場合にそれぞれ路面の摩擦係数μが増加変化し低下変化したと判定される場合に比して、路面の摩擦係数μの増減変化を正確に判定することができる。
【0085】
また図示の第一の実施形態によれば、ステップ30に於いて現在のセルフアライニングトルクSAT(n)の絶対値が基準値SAToよりも大きいか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにステップ50以降が実行されるので、セルフアライニングトルクSATの大きさが小さい状況に於いてステップ50以降が実行され路面の摩擦係数μの増減変化の判定が行われることに起因して路面の摩擦係数の変化が誤判定されることを確実に防止することができる。
【0086】
第二の実施形態
この第二の実施形態に於いては、運動制御用電子制御装置60は、前輪のセルフアライニングトルクSAT及びサイドフォースSFを演算し、セルフアライニングトルクSAT及びサイドフォースSFの単位時間当たりの変化量SRSを演算し、セルフアライニングトルク及びサイドフォースの単位時間当たりの変化量SRSが基準値SRSo(正の定数)よりも大きいか否かを判定する。
【0087】
また運動制御用電子制御装置60は、図10に示されている如く、前輪のセルフアライニングトルクSAT及びサイドフォースSFに基づきサイドフォース−セルフアライニングトルク(タイロッド軸力)線図上のモデル曲線として静的近似曲線Crnを演算し、静的近似曲線を近似直線Lrnに近似し、静的近似曲線演算後の検出値に基づいて演算されたセルフアライニングトルクSAT及びサイドフォースSFと近似直線Lrnとの間の距離Dを演算する。
【0088】
更に運動制御用電子制御装置60は、実際のセルフアライニングトルクSAT及びサイドフォースSFの変化の傾きINCaと、静的近似曲線に沿うセルフアライニングトルク及びサイドフォースの変化の傾きINCmとを演算し、セルフアライニングトルク及びサイドフォースの単位時間当たりの変化量SRSが基準値SRSoよりも大きく、距離Dが基準値Do(正の定数)よりも大きく、変化の傾きINCaと変化の傾きINCmとの偏差の大きさが基準値よりも大きいときに路面の摩擦係数μが変化したと判定する。
【0089】
尚運動制御用電子制御装置60は、セルフアライニングトルクSAT及びサイドフォースSFに基づき路面の摩擦係数μを所定の時間毎に推定し、上記判定により路面の摩擦係数μが変化したと判定されたときには、推定された路面の摩擦係数μの変化に基づき路面の摩擦係数の変化が増加変化であるか低下変化であるかを判定する。
【0090】
次に図5及び図6を参照して、第二の実施形態に於ける路面の摩擦係数の変化判定ルーチンについて説明する。尚図5及び図6に示されたフローチャートによる制御も図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0091】
まずステップ310〜330はそれぞれ上述の第一の実施形態に於けるステップ10〜30と同様に実行され、ステップ330に於いて否定判別が行われたときにはそのままステップ390へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ340へ進む。
【0092】
ステップ340に於いては路面の摩擦係数の変化の誤判定を防止するための基準値をSFo(正の定数)として、現在のサイドフォースSF(n)の絶対値が基準値SFoよりも大きいか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ350へ進み、否定判別が行われたときにはそのままステップ390へ進む。
【0093】
尚現在のセルフアライニングトルクSAT(n)の大きさ及び現在のサイドフォースSF(n)の大きさが路面の摩擦係数の変化の誤判定を防止するための基準値よりも大きいか否かの判別は、例えばセルフアライニングトルクSATをタイロッド軸力に変換するための係数をKtとして、下記の式11に従って現在のセルフアライニングトルクSAT(n)に基づくタイロッド軸力及び現在のサイドフォースSF(n)の二乗和の平方根SQRが求められ、平方根SQRが基準値SQRo(正の定数)よりも大きいか否かの判別により行われてもよい。
【数8】
Figure 2004276710
【0094】
ステップ350に於いては現在のセルフアライニングトルクSAT(n)と3サイクル前のステップ320に於いて演算されたセルフアライニングトルクSAT(n−3)との偏差として、下記の式12に従って単位時間(図5及び図6に示されたフローチャートのサイクルタイムの3倍)当りのセルフアライニングトルクの変化量ΔSATが演算され、また現在のサイドフォースSF(n)と3サイクル前のステップ320に於いて演算されたサイドフォースSF(n−3)との偏差として、下記の式13に従って単位時間当りのサイドフォースの変化量ΔSFが演算される。
ΔSAT=SAT(n)−SAT(n−3) ……(12)
ΔSF=SF(n)−SF(n−3) ……(13)
【0095】
ステップ360に於いては下記の式14に従ってセルフアライニングトルクSAT及びサイドフォースSFの変化量SRSが演算される。
【数9】
Figure 2004276710
【0096】
ステップ370に於いてはセルフアライニングトルク及びサイドフォースの変化量SRSが基準値SRSo(正の定数)よりも大きいか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ380に於いて路面の摩擦係数が変化した旨の判定の回数を示すフラグFsが1インクリメントされ、否定判別が行われたときにはステップ390に於いてフラグFsが0にリセットされ、しかる後ステップ310へ戻る。
【0097】
ステップ400に於いてはフラグFsが3であるか否かの判別、即ちステップ370に於ける肯定判別が連続して3回行われたか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ310へ戻り、肯定判別が行われたときにはステップ410へ進む。
【0098】
ステップ410に於いては上述のステップ370に於ける瞬間的判定3回目の終点データを(SF(n),SAT(n))とすると、瞬間的判定1回目の始点データは(SF(n−5),SAT(n−5))であるので、瞬間的判定1回目の始点データに於ける路面の摩擦係数μ(μ(n−5))について静的近似曲線Crnが演算される。
【0099】
例えば図10に示されている如くサイドフォースSFを横軸としタイロッド軸力(セルフアライニングトルクSATをナックルアーム長さにて除算した値)を縦軸とする直交座標に於ける瞬間的判定1回目の始点データに於ける路面の摩擦係数μについての静的近似曲線Crnを下記の式15にて表わされる近似直線Lrnに直線近似し、下記の式15に於けるa、b、cを演算する。
a・SF(n)+b・SAT(n)・Kt+c=0 ……(15)
【0100】
尚図10に於いて、*は各サイクルタイム毎に演算されたサイドフォースSF及びセルフアライニングトルクSATを示し、○は図10の上から順に瞬間的判定1回目、2回目、3回目の始点データを示し、□は瞬間的判定3回目の終点データを示している。
【0101】
ステップ420に於いては現在のサイドフォースSF(n)及びセルフアライニングトルクSAT(n)の点より近似直線Lrnまでの距離Dが下記の式16に従って演算される。
【数10】
Figure 2004276710
【0102】
ステップ430に於いては距離Dが基準値Do(正の定数)よりも大きいか否かの判別、即ち現在のサイドフォースSF(n)及びセルフアライニングトルクSAT(n)と静的近似曲線Crnとの距離の点で見た乖離度合が大きいか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのまステップ310へ戻り、肯定判別が行われたときにはステップ440へ進む。
【0103】
ステップ440に於いては瞬間的判1回目の始点データ(SF(n−5),SAT(n−5))の点と瞬間的判定3回目の終点データ(SF(n),SAT(n))の点とを結ぶ直線Linの傾きとしてSF−SAT曲線の傾きINCaが下記の17に従って演算される。
【数11】
Figure 2004276710
【0104】
ステップ450に於いてはサイドフォースSFが瞬間的判定1回目の始点データ(SF(n−5),SAT(n−5))の値SF(n−5)であるときの静的近似曲線Crnの傾きINCm(図10の接線Ltの傾き)が下記の式18に従って演算される。
【数12】
Figure 2004276710
【0105】
ステップ460に於いてはCoを正の定数として実際のSF−SAT曲線の傾きINCaの絶対値が「静的近似曲線Crnの傾きINCmの絶対値−Co」よりも大きいか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ310へ戻り、肯定判別が行われたときにはステップ470へ進む。
【0106】
ステップ470に於いては実際のSF−SAT曲線の傾きINCaの絶対値が「静的近似曲線Crnの傾きINCmの絶対値+Co」よりも小さいか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ310へ戻り、肯定判別が行われステップ480へ進む。
【0107】
かくしてステップ460及び470に於いては、実際のサイドフォースSF及びセルフアライニングトルクSATの変化の傾きと、静的近似曲線Crnに沿うサイドフォースSF及びセルフアライニングトルクSATの変化の傾きとの偏差の点で見た場合の乖離度合が基準値よりも大きいか否かの判別が行われる。
【0108】
ステップ480に於いては前述の図4に示されたルーチンに従って演算された現在の路面の摩擦係数μ(n)と該ルーチンの1サイクル前の路面の摩擦係数μ(n−1)との偏差Δμが正であるか否かの判別により、路面の摩擦係数の変化が増加であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ490に於いて路面の摩擦係数μが増加変化したと判定され、否定判別が行われたときにはステップ510に於いて路面の摩擦係数μが低下変化したと判定される。
【0109】
かくして図示の第二の実施形態によれば、ステップ320に於いて前輪のセルフアライニングトルクSAT及びサイドフォースSFが演算され、ステップ350に於いて単位時間当りのセルフアライニングトルクの変化量ΔSAT及び単位時間当りのサイドフォースの変化量ΔSFが演算され、ステップ360に於いてセルフアライニングトルクSAT及びサイドフォースSFの変化量SRSが演算される。
【0110】
そしてステップ370〜400に於いてセルフアライニングトルク及びサイドフォースの変化量SRSが基準値SRSo(正の定数)よりも大きい旨の判別が3回連続して行われると、ステップ410以降のステップに於いて実際のセルフアライニングトルク及びサイドフォースとモデル曲線としての静的近似曲線との乖離度合の判定が行われ、乖離度合が基準値よりも大きいと判定されると、路面の摩擦係数μが変化したと判定され、図4に示されたルーチンに従って推定された路面の摩擦係数μの変化に基づきステップ480〜500に於いて路面の摩擦係数μの変化が増加変化であるか低下変化であるかが判定される。
【0111】
従ってセルフアライニングトルク及びサイドフォースの両者の変化に着目しそれらの変化に基づいて路面の摩擦係数μの増加変化及び低下変化を早期に且つ運転者の操舵操作の影響を排除して判定することができ、また路面の摩擦係数μの増減変化に応じて運動制御の基準値Vvmoを増減し、これにより車輌の運動制御を最適に実行することができる。
【0112】
特に図示の第二の実施形態によれば、実際のセルフアライニングトルク及びサイドフォースとモデル曲線としての静的近似曲線との乖離度合の判定は、実際のセルフアライニングトルク及びサイドフォースと静的近似曲線(厳密にはその近似直線)までの距離Dの大きさと、実際のセルフアライニングトルク及びサイドフォースの変化の傾きINCaと静的近似曲線Crnの傾きINCmとの偏差の大きさについて行われるので、例えば乖離度合の判定が距離Dの大きさ又は傾きの偏差の大きさの一方についてのみ行われる場合に比して、乖離度合を正確に判定し、これにより路面の摩擦係数μが変化したか否かを正確に判定することができる。
【0113】
また図示の第二の実施形態によれば、路面の摩擦係数μは図4に示されたルーチンに従ってセルフアライニングトルクSAT及びサイドフォースSFに基づいて推定されるので、他の態様にて路面の摩擦係数μが推定される場合に比して、路面の摩擦係数μが増加変化したか低下変化したかを正確に判定することができる。
【0114】
また図示の第二の実施形態によれば、ステップ370〜400に於いてセルフアライニングトルク及びサイドフォースの変化量SRSが基準値SRSoよりも大きい状況が3サイクルに亘り連続的に継続したと判定されたときにステップ410以降が実行されるので、ステップ370に於いて肯定判別が行われた場合に直ぐにステップ410以降が実行される場合に比して、路面の摩擦係数μの変化を正確に判定することができる。
【0115】
また図示の第二の実施形態によれば、ステップ330に於いて現在のセルフアライニングトルクSAT(n)の絶対値が基準値SAToよりも大きいか否かの判別が行われ、ステップ340に於いて現在のサイドフォースSF(n)の絶対値が基準値SFoよりも大きいか否かの判別が行われ、これらのステップに於いて肯定判別が行われたときにステップ350以降が実行されるので、セルフアライニングトルクSAT及びサイドフォースSFの大きさが小さい状況に於いてステップ350以降が実行され路面の摩擦係数μの変化の判定が行われることに起因して路面の摩擦係数の変化が誤判定されることを確実に防止することができる。
【0116】
尚上述の第一及び第二の実施形態に於いては、セルフアライニングトルクの単位時間当たりの変化量ΔSAT、サイドフォースSFの単位時間当たりの変化量ΔSF、セルフアライニングトルク及びサイドフォースの単位時間当たりの変化量SRSは現在の値と3サイクル前の値との偏差として演算されるので、各判定ルーチンのサイクルタイムを長くすることなく、換言すれば路面の摩擦係数μの変化の判定頻度を低下させることなく、各変化量を大きい値に演算し、検出誤差の影響等に起因する誤判定の虞れを低減することができる。
【0117】
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0118】
例えば上述の各実施形態に於いては、セルフアライニングトルクの単位時間当たりの変化量ΔSAT等は現在の値と3サイクル前の値との偏差として演算されるようになっているが、サイクルの差は3以外であってもよい。
【0119】
また上述の第一の実施形態に於いては、サイドフォースSFは横加速度センサ56により検出された車輌の横加速度Gy及びヨーレートセンサ58により検出されたヨーレートγの時間微分値γdに基づき上記式4に従って演算されるようになっているが、横加速度Gy及びヨーレートγの時間微分値γdはそれぞれ例えば下記の式19及び20に従って演算される推定値であってもよい。
【数13】
Figure 2004276710
【0120】
また上述の第一の実施形態に於いては、ステップ90〜120に於いてsignΔSAT(n)とセルフアライニングトルクの変化量ΔSATとの積がsignΔSAT(n)と基準値SATcとの積よりも大きい状況が3サイクルに亘り連続的に継続したと判定されたときにステップ130に於いて路面の摩擦係数μが増加変化したと判定され、ステップ140〜170に於いてsignΔSAT(n)とセルフアライニングトルクの変化量ΔSATとの積がsignΔSAT(n)と基準値SATcとの積よりも小さい状況が3サイクルに亘り連続的に継続したと判定されたときにステップ180に於いて路面の摩擦係数μが低下変化したと判定され、また上述の第二の実施形態に於いては、ステップ370〜400に於いてセルフアライニングトルク及びサイドフォースの変化量SRSが基準値SRSoよりも大きい状況が3サイクルに亘り連続的に継続したと判定されたときにステップ410以降が実行されるようになっているが、連続判定の回数は3に限定されるものではない。
【0121】
また上述の各実施形態に於いては、路面の摩擦係数μの変化の判定が運動制御に適用され、路面の摩擦係数μの増減変化に対応させて運動制御の開始基準値が増減されるようになっているが、本発明による路面の摩擦係数の変化判定方法は例えばトラクション制御や四輪操舵制御の如く、車輌の任意の制御に使用されてよい。
【0122】
更に上述の各実施形態に於いては、車輌は後輪駆動車であるが、本発明の方法は前輪駆動車や四輪駆動車に適用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動式パワーステアリング装置を備えた後輪駆動車の車輌運動制御装置に適用された本発明による路面の摩擦係数の変化判定方法の第一の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】第一の実施形態に於ける制御系を示すブロック図である。
【図3】第一の実施形態に於ける路面の摩擦係数の変化判定ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】路面の摩擦係数演算ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】本発明による路面の摩擦係数の変化判定方法の第二の実施形態に於ける路面の摩擦係数の変化判定ルーチンの前半を示すフローチャートである。
【図6】第二の実施形態に於ける路面の摩擦係数の変化判定ルーチンの後半を示すフローチャートである。
【図7】操舵トルクTs及び車速VとアシストトルクTabとの間の関係を示すグラフである。
【図8】前輪のサイドフォースSFとセルフアライニングトルクSATとの間の関係としてサイドフォースSFが一定での路面の摩擦係数の増加変化(実線の矢印)及び低下変化(破線の矢印)を示すグラフである。
【図9】前輪のサイドフォースSFとセルフアライニングトルクSATとの間の関係として路面の摩擦係数の増加変化(実線の矢印)及び低下変化(破線の矢印)を示すグラフである。
【図10】サイドフォースSF−タイロツド軸力線図で見たモデル曲線としての静的近似曲線Crn、実際のサイドフォースSFと及びセルフアライニングトルクSATの変化、実際のサイドフォースSFと及びセルフアライニングトルクSATと静的近似曲線Crnの近似直線Lrnとの距離D等を示す説明図である。
【符号の説明】
16…電動式パワーステアリング装置
20…操舵用電子制御装置
30…制動装置
38…マスタシリンダ
40…制動用電子制御装置
48…操舵角センサ
50…トルクセンサ
52…車速センサ
54…前後加速度センサ
56…横加速度センサ
58…ヨーレートセンサ
60…運動制御用電子制御装置

Claims (6)

  1. 操舵輪のセルフアライニングトルクの単位時間当りの変化量を演算し、前記変化量に基づき運転者の操舵操作の影響を排除して路面の摩擦係数の変化を判定することを特徴とする路面の摩擦係数の変化判定方法。
  2. 運転者の操舵操作若しくは車輌状態量に基づき基準値を可変設定し、前記変化量の大きさが前記基準値よりも大きいときに路面の摩擦係数が変化したと判定することにより、運転者の操舵操作の影響を排除して路面の摩擦係数の変化を判定することを特徴とする請求項1に記載の路面の摩擦係数の変化判定方法。
  3. 運転者の操舵操作若しくは車輌状態量に基づき操舵輪のサイドフォースを求め、サイドフォースの単位時間当りの変化量を演算し、前記サイドフォースの単位時間当りの変化量及び車輌モデルに基づきセルフアライニングトルクの単位時間当りの予測変化量を演算し、前記予測変化量に基づき前記基準値を演算することを特徴とする請求項2に記載の路面の摩擦係数の変化判定方法。
  4. 操舵輪のセルフアライニングトルク及びサイドフォースの単位時間当りの変化量を演算し、前記変化量に基づき運転者の操舵操作の影響を排除して路面の摩擦係数の変化を判定することを特徴とする路面の摩擦係数の変化判定方法。
  5. 操舵輪のセルフアライニングトルク及びサイドフォースを求め、操舵輪のセルフアライニングトルク及びサイドフォースの単位時間当りの変化量を演算し、求められたセルフアライニングトルク及びサイドフォースに基づきサイドフォース−セルフアライニングトルク線図上のモデル曲線を推定し、推定後に求められたセルフアライニングトルク及びサイドフォースと前記モデル曲線との乖離度合を求め、前記セルフアライニングトルク及びサイドフォースの単位時間当りの変化量の大きさがその基準値よりも大きく且つ前記乖離度合がその基準値よりも大きいときに路面の摩擦係数が変化したと判定することにより、運転者の操舵操作の影響を排除して路面の摩擦係数の変化を判定することを特徴とする請求項4に記載の路面の摩擦係数の変化判定方法。
  6. サイドフォース−セルフアライニングトルク線図上で見て、前記推定後に求められたセルフアライニングトルク及びサイドフォースと前記モデル曲線との距離と、前記求められたセルフアライニングトルク及びサイドフォースの変化の傾きと前記モデル曲線に沿うセルフアライニングトルク及びサイドフォースの変化の傾きとの偏差の大きさと、に基づいて前記乖離度合を判定することを特徴とする請求項5に記載の路面の摩擦係数の変化判定方法。
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