JP2004273216A - 電極体検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、従来と比して電極体に対する検査精度を一段と向上し得る電極体検査方法を実現する。
【解決手段】本発明は、被検査体である巻回電極体6A、6B、6C、……の正極2及び負極3間に異物や欠陥に起因してコロナ放電を発生させるように電圧値を選定した印加電圧Vを印加し、そのとき当該正極2及び負極3間で異物や欠陥に起因してコロナ放電が発生したか否かに応じて当該巻回電極体6A、6B、6C、……が不良品であるか否かを判定することで、当該異物や欠陥の存在する巻回電極体6A、6B、6C、……を不良品とほぼ確実に判定し得る電極体検査を行うことができる。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、被検査体である巻回電極体6A、6B、6C、……の正極2及び負極3間に異物や欠陥に起因してコロナ放電を発生させるように電圧値を選定した印加電圧Vを印加し、そのとき当該正極2及び負極3間で異物や欠陥に起因してコロナ放電が発生したか否かに応じて当該巻回電極体6A、6B、6C、……が不良品であるか否かを判定することで、当該異物や欠陥の存在する巻回電極体6A、6B、6C、……を不良品とほぼ確実に判定し得る電極体検査を行うことができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電極体検査方法に関し、例えば非水電解液二次電池に用いられる巻回電極体を検査する電極体検査方法に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、非水電解液二次電池においては、正極用活物質として、リチウムコバルト複合酸化物のようなリチウム複合酸化物が用いられ、負極用活物質としては、炭素素材等のようなリチウムイオンのドープ及び脱ドープの可能な物質が用いられている。
【0003】
そして、非水電解液二次電池においては、これら正極用活物質と負極用活物質とを電気化学的に反応させて電池として機能するものであり、比較的高い電池電圧が得られると共に、比較的高いエネルギー密度を有し、充放電のサイクル特性にも優れている等の多数の利点を有することにより、近年、広く利用されている。
【0004】
実際上、図9に示すように、非水電解液二次電池1においては、短冊状のアルミニウム箔等でなる正極用集電体の両面に正極用活物質が被膜状に塗布されて形成された正極2と、短冊状の銅箔等でなる負極用集電体の両面に負極用活物質が被膜状に塗布されて形成された負極3とを帯状の微多孔性ポリプロピレンフィルムでなる2枚の第1のセパレータ4及び第2のセパレータ5を介して互いに絶縁した状態で巻回して形成された巻回電極体6を有し、その正極2の巻回開始部分に正極リード7が溶接されると共に、負極3の巻回終了部分に負極リード8が溶接されている。
【0005】
また、非水電解液二次電池1においては、円筒状の負極缶9の内部に巻回電極体6が嵌挿されて負極リード8がその負極缶9の底部に電気的及び機械的に接続されると共に、当該負極缶9に非水電解液(図示せず)が充填されて第1のセパレータ4及び第2のセパレータ5に含浸されている。
【0006】
そして、非水電解液二次電池1においては、負極缶9の開口部に安全弁10及び正極蓋11が一体に嵌合されて気密封止され、当該正極蓋11に正極リード7が電気的及び機械的に接続されている。
【0007】
これにより、非水電解液二次電池1においては、内部の正極2及び負極3(すなわち、正極用活物質及び負極用活物質)の放電反応によって生じる電池電圧を負極缶9及び正極蓋11を介して外部に出力し得るようになされている。
【0008】
ところで上述の非水電解液二次電池1は、一般的に以下のような製造工程を経て製造される。
【0009】
まず電極形成工程において、帯状の正極用集電体の両面に正極用活物質を間欠的に塗布することにより正極2が多数連続する正極材を形成すると共に、帯状の負極用集電体の両面に負極用活物質を間欠的に塗布することにより負極3が多数連続する負極材を形成する。
【0010】
続いて巻回電極体形成工程において、正極材に対して正極用活物質の未塗布領域に正極リード材から切り離した正極リード7を溶接すると共に、負極材に対して負極用活物質の未塗布領域に負極リード材から切り離した負極リード8を溶接し、当該正極材及び負極材を第1のセパレータ4が多数連続する第1のセパレータ材及び第2のセパレータ5が多数連続する第2のセパレータ材と共に巻回した後、これら正極材、負極材、第1のセパレータ材及び第2のセパレータ材から正極2、負極3、第1のセパレータ4及び第2のセパレータ5を切り離すことにより、図10(A)及び(B)に示すように、正極2、負極3、第1のセパレータ4及び第2のセパレータ5を正極2、第1のセパレータ4、負極3、第2のセパレータ5……の順番で交互に重ねて、且つ最外周となる第2のセパレータ5の巻回終了部分に巻解防止用の巻止テープ20を貼着した巻回電極体6を形成する。
【0011】
次に電極体検査工程において、巻回電極体6に対する電極体検査を実施することにより、例えば巻回電極体形成工程で正極材、負極材を切断した際及び正極リード材、負極リード材を切断した際に生じる切粉状の金属片等(以下、これを異物と呼ぶ)が正極2や負極3の表面に付着していないか、また第1のセパレータ4及び第2のセパレータ5に例えばピンホールやキズ等(以下、これを欠陥と呼ぶ)が存在していないかを検査する。そして電極体検査の結果、異物や欠陥が存在しないと判定した巻回電極体6のみを次の巻回電極体嵌挿工程へ送る。
【0012】
巻回電極体嵌挿工程では、電極体検査工程で合格した巻回電極体6の負極リード8を負極缶9の底部に溶接し、当該巻回電極体6を負極缶9の内部に嵌挿する。
【0013】
次いで電解液充填工程において、巻回電極体6を嵌挿した負極缶9に非水電解液を充填し、続いて気密封止工程において、正極リード7を正極蓋11に溶接した後、負極缶9の開口部に安全弁10及び正極蓋11を一体に嵌合して気密封止することにより非水電解液二次電池1を製造する。
【0014】
ここで、従来の電極体検査においては、巻回電極体6の正極2及び負極3間に電圧を所定時間印加しながら電流を供給することにより、この結果異物や欠陥に起因して第1のセパレータ4や第2のセパレータ5が絶縁破壊して正極2及び負極3間に流れる漏れ電流を検出すると、当該巻回電極体6を不良品と判定していた。(例えば、特許文献1参照)。
【0015】
すなわちかかる電極体検査においては、まず図11(A)に示すように、例えば負極3と第1のセパレータ4との間に異物30が存在する場合、巻回電極体6の正極2及び負極3間に電圧を印加し、当該電圧の印加を継続すると、図11(B)に示すように、異物30から微小な放電(以下、これをコロナ放電と呼ぶ)が一時的に発生する。
【0016】
そしてコロナ放電の発生後も電圧を印加し続けると、図11(C)に示すように、異物30の周りの第1のセパレータ4が異物30を起点として放射状に炭化し始め、図11(D)に示すように、電圧の印加時間に応じて第1のセパレータ4の炭化が徐々に進んで異物30から樹枝状に広がるように炭素の結晶が成長して、当該炭素の結晶が異物30から正極3にまで達すると、その時点で第1のセパレータ4が絶縁破壊されることにより正極2及び負極3間が短絡され、その結果正極2及び負極3間に微小な漏れ電流が流れる。
【0017】
また、微小な漏れ電流が流れた後も電圧を印加し続けると、図11(E)に示すように、第1のセパレータ4の絶縁破壊がさらに進んで正極2及び負極3間に大きな漏れ電流が流れることにより、このときの漏れ電流を検出すると、巻回電極体6を内部に異物30の存在している不良品であると判定していた。
【0018】
【特許文献1】
特開平5−290896号公報(第2項、第2図)
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
ところがかかる電極体検査においては、例えば異物30がごく小さなものであったとすると、コロナ放電の発生後に正極2及び負極3間への電圧の印加を継続しても予め設定した検査時間内では異物30の周りの第1のセパレータ4の炭化が異物30の周りにとどまることにより漏れ電流が流れない場合や、実際に炭素の結晶が正極2まで達して第1のセパレータ4が絶縁破壊して漏れ電流が流れても、その漏れ電流が微小であれば検出できない場合がある。
【0020】
このようにかかる電極体検査においては、巻回電極体6内に異物や欠陥が存在しても、正極2及び負極3間に流れる漏れ電流を検出することができなければ当該巻回電極体6を良品と判定することにより未だ巻回電極体6を的確に検査できるとは言い難いという問題があった。
【0021】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、従来と比して電極体に対する検査精度を一段と向上し得る電極体検査方法を提案しようとするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために本発明においては、正極と負極とが絶縁体を介して互いに絶縁された状態で層状に形成された電極体を検査する電極体検査方法において、電極体の正極及び負極間で異物や絶縁体の欠陥に起因してコロナ放電を発生させるように電圧値が選定された印加電圧を正極及び負極間に印加すると共に、印加電圧を印加している間の正極及び負極間の電圧変化を測定し、当該測定した電圧変化に基づいて電極体の正極及び負極間でコロナ放電が発生したか否かを判断し、コロナ放電が発生したと判断した場合に電極体を不良品と判定し、コロナ放電が発生していないと判断した場合に電極体を良品と判定するようにした。
【0023】
従って異物や欠陥の存在する電極体を不良品とほぼ確実に判定することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0025】
(1)本実施の形態による電極体検査装置の構成
図1において、40は全体として本発明による電極体検査装置を示し、前段の巻回電極体形成工程で形成された巻回電極体6A、6B、6C、……を後段の巻回電極体嵌挿工程に搬送する搬送用ベルトコンベア41の途中に電極体固定部42が設けられ、当該搬送用ベルトコンベア41で前段から搬送された巻回電極体6A、6B、6C、……を電極体固定部42により順に所定の検査位置で固定するようになされている。
【0026】
また電極体固定部42の近傍には、当該電極体固定部42において検査用に固定した例えば巻回電極体6Bの正極リード7B及び負極リード8Bを介して正極2及び負極3間にインパルス電圧(以下、これを印加電圧Vと呼ぶ)を印加するインパルス電極体検査器でなる検査部43が配置されると共に、当該検査部43によって正極2及び負極3間に印加した印加電圧Vに基づいて巻回電極体6A、6B、6C、……に対する良品及び不良品を判定する制御部44が配置されている。
【0027】
(2)電極体検査処理
次に、電極体検査処理について図2のフローチャートを用いて説明する。制御部44は、ルーチンRT1の開始ステップから入ってステップSP1へ移る。
【0028】
ステップSP1において制御部44は、搬送用ベルトコンベア41によって搬送されてきた例えば巻回電極体6Bを電極体固定部42で所定の検査位置に固定し、次のステップSP2へ移る。
【0029】
ステップSP2において制御部44は、検査部43により巻回電極体6Bの正極リード7B及び負極リード8Bを介して正極2及び負極3間に、異物や欠陥に起因してコロナ放電を発生させるように電圧値(例えば、1.0[kV])及び印加継続時間(例えば100[ms])が選定された印加電圧Vを印加し、且つ当該印加電圧Vの印加に合わせて正極2及び負極3間の電圧(以下、これを電極間電圧EVと呼ぶ)の測定を開始して、次のステップSP3へ移る。
【0030】
ステップSP3において制御部44は、印加電圧Vの印加終了後、所定時間(例えば200[ms])待機(すなわち巻回電極体6Bを放置)することにより、正極2及び負極3に溜まった巻回電極体6Bの電極間電圧EVを自然放電させ、次のステップSP4へ移る。
【0031】
ステップSP4において制御部44は、検査部43による電極間電圧EVの測定を終了させ、当該検査部43から電極間電圧EVの測定結果を取得して、次のステップSP5へ移る。
【0032】
ここで検査部43により測定した電極間電圧EVは、図3に示すように、巻回電極体6B内に異物や欠陥が存在しなければ、図4の電圧波形W1に示すように、電圧値が電圧印加開始時点tsから徐々に増加し、時点t1で印加電圧Vの電圧値とほぼ等しい最大電圧値EVmaxに到達して、そのまま電圧印加終了時点t2までは変化せず、当該電圧印加終了時点t2から測定終了時点teにかけて自然放電によって徐々に低下するように変化する。
【0033】
また電極間電圧EVは、例えば図5に示すように、巻回電極体6Bの表面に付着した異物30が第1のセパレータ4に押し付けられているような場合、例えば図6の電圧波形W2に示すように、電圧値が電圧印加開始時点tsから徐々に増加するものの最大電圧値EVmaxよりも低い電圧値EV1に達した時点t3において異物30にコロナ放電が発生することにより当該時点t3からt4にかけて電圧値EV2まで一旦急激に低下する。そして電極間電圧EVは、このように電圧値が時点t4で低下するものの、このときには正極2及び負極3間に印加電圧Vが印加されたままであるため時点t4から電圧値が再び増加して時点t5で最大電圧値EVmaxに到達し、そのまま電圧印加終了時点t6までは変化せず、当該電圧印加終了時点t6から測定終了時点teにかけて自然放電によって徐々に低下するように変化する。
【0034】
因みに巻回電極体6Bにおいては、第1のセパレータ4及び第2のセパレータ5に欠陥が存在している場合、その欠陥箇所を介して対向する正極2及び負極3間の箇所同士の絶縁性が当該正極2及び負極3間の他の部分同士よりも低いことにより、印加電圧Vが印加されたとき、その正極2及び負極3において、第1のセパレータ4及び第2のセパレータ5の欠陥箇所と対向する箇所からコロナ放電が発生する。従って電極間電圧EVは、第1のセパレータ4及び第2のセパレータ5に欠陥が存在している場合も、その欠陥に起因したコロナ放電により、例えば図6に示す電圧波形W2と同様に電圧値が変化する。
【0035】
このように電極間電圧EVは、巻回電極体6B内に異物30や欠陥が存在する場合、印加電圧Vの印加に応じて徐々に電圧値が増加するものの、当該異物30や欠陥に起因してコロナ放電が発生することにより電圧値が最大電圧値EVmaxに到達するまでの増加途中や、当該最大電圧値EVmaxに到達してから電圧終了時点t6までの間に一旦急激に低下した後、再び増加するように変化する。
【0036】
従ってステップSP5(図2)において制御部44は、正極2及び負極3間に印加電圧Vを印加している間の電極間電圧EVの電圧値を、予め設定された閾値となる検査基準電圧値EVminと比較することにより巻回電極体6Bの正極2及び負極3間にコロナ放電が発生したか否かを判断する。
【0037】
このステップSP5において肯定結果が得られると、このことは電極間電圧EVの電圧値が、印加電圧Vの印加が継続している間、一度は増加したもののコロナ放電の発生により一旦検査基準電圧値EVmin以下の値まで低下したことにより巻回電極体6B内に異物30や欠陥が存在すると判断したことを表しており、このとき制御部44は、次のステップSP6へ移る。
【0038】
ステップSP6において制御部44は、巻回電極体6Bを不良品と判定すると共に、電極体固定部42による当該巻回電極体6Bの固定を解除して、その巻回電極体6Bを不良品として搬送用ベルトコンベア41で後段側に搬送した後、次のステップSP8へ移る。
【0039】
これに対してステップSP5において否定結果が得られると、このことは電極間電圧EVの電圧値が、印加電圧Vの印加が継続している間、徐々に増加して検査基準電圧値EVmin以下の値に一度も低下することなく最大電圧値EVmaxに到達したままとなっていたことにより巻回電極体6B内に異物30や欠陥が存在してはいないと判断したことを表しており、このとき制御部44は、次のステップSP7へ移る。
【0040】
ステップSP7において制御部44は、巻回電極体6Bを良品と判定すると共に、電極体固定部42による当該巻回電極体6Bの固定を解除し、当該巻回電極体6Bを良品として搬送用ベルトコンベア41で後段側に搬送した後、次のステップSP8へ移る。
【0041】
ステップSP8において制御部44は、電極体検査処理を終了する。
【0042】
ところで巻回電極体6Bは、正極2及び負極3間に印加される印加電圧Vの電圧値が所定値以上に選定されると、図7に示すように当該巻回電極体6B内に異物や欠陥が存在していないにもかかわらず、印加電圧Vの印加継続時間内に正極2及び負極3の縁部間で空中放電が発生する場合がある。
【0043】
そして制御部44は、巻回電極体6Bの正極2及び負極3の縁部間で空中放電が発生すると、これに合わせて電極間電圧EVの電圧値がそれまでの増加から急激に検査基準電圧値EVmin以下の値に低下することにより、当該巻回電極体6Bを異物や欠陥の存在しない良品であるにもかかわらずに不良品であると誤判定してしまう恐れがある。
【0044】
従って制御部44は、巻回電極体6Bの正極2及び負極3の縁部間で空中放電を発生させず、且つ異物や欠陥に起因してのみ確実にコロナ放電を発生させることができるように電圧値が選定された印加電圧Vを正極2及び負極3間に印加している。
【0045】
ここで、巻回電極体6Bに対して印加電圧Vの電圧値により、どのように不良品判定率及び良品誤判定率が変化するかを図8に示すグラフを用いて説明する。
【0046】
まず不良品判定率とは、実際に異物や欠陥が存在している巻回電極体6A、6B、6C、……をどの程度的確に不良品として判定できるかを示す割合であり、例えば100個の巻回電極体6A、6B、6C、……に対して異物や欠陥が存在する巻回電極体6A、6B、6C、……が10個あったとし、そのうち8個を不良品と判定すれば、不良品判定率は80%であるといえる。
【0047】
また良品誤判定率とは、実際には異物や欠陥が存在していない巻回電極体6A、6B、6C、……を空中放電の発生により不良品と誤って判定してしまう割合であり、例えば100個の巻回電極体6A、6B、6C、……に対して異物や欠陥が存在しない巻回電極体6A、6B、6C、……が90個あったとし、そのうち9個を不良品と誤って判定すれば、良品誤判定率は10%であるといえる。
【0048】
因みに図8のグラフは、18650サイズと呼ばれている非水電解液二次電池に用いられる巻回電極体6A、6B、6C、……の正極2及び負極3間に、印加継続時間を100[ms]程度に固定的に選定し、且つ電圧値を0.4〜3.0[kV]に可変した印加電圧Vを実際に印加した場合の当該印加電圧Vと不良品判定率及び良品誤判定率との関係を示している。
【0049】
この場合不良品判定率は、正極2及び負極3間に0.4[kV]の印加電圧Vを印加したときに約65%であり、0.6[kV]の印加電圧Vを印加したときには約85%、さらに1.0[kV]の印加電圧Vを印加したときには約90%となり、印加電圧Vの電圧値が0.4〜1.0[kV]程度の間はその印加電圧Vの電圧値が高い程、異物及び欠陥の存在する巻回電極体6A、6B、6C、……を不良品であると的確に判定し得る割合が大幅に増加することがわかる。
【0050】
また不良品判定率は、正極2及び負極3間に1.5[kV]の印加電圧Vを印加したときには約95%となり、2.0[kV]の印加電圧Vを印加したときには約98%、さらに3.0[kV]の印加電圧Vを印加したときには100%となり、印加電圧Vの電圧値が1.0〜3.0[kV]程度の間でもその印加電圧Vの電圧値が高い程、異物及び欠陥の存在する巻回電極体6A、6B、6C、……を不良品であると的確に判定し得る割合がわずかずつではあるが増加し、印加電圧Vの電圧値が3.0[kV]であれば、異物及び欠陥の存在する巻回電極体6A、6B、6C、……を不良品であると確実に判定し得ることがわかる。
【0051】
一方、良品誤判定率は、正極2及び負極3間に0.4〜1.5[kV]の印加電圧Vを印加したときには0%であり、2.0[kV]の印加電圧Vを印加したときには約5%、2.5[kV]の印加電圧Vを印加したときには約35%、3.0[kV]の印加電圧Vを印加したときには約95%となり、印加電圧Vの電圧値が高くなる程、異物及び欠陥の存在しない巻回電極体6A、6B、6C、……を不良品であると誤判定する割合が増加し、特に2.0[kV]以上の印加電圧Vを印加したときには、誤判定が急激に増加することがわかる。
【0052】
従ってかかる巻回電極体6A、6B、6C、……に対する電極体検査においては、印加電圧Vの電圧値を1.0〜1.5[kV]の範囲に選定することにより、正極2及び負極3の縁部間に空中放電を発生させずに実際に異物や欠陥に起因してほぼ確実にコロナ放電を発生させることができ、かくして巻回電極体6A、6B、6C、……に対して良品を不良品と誤判定することなく、本来の不良品をほぼ確実に検出することができる。
【0053】
ところで、以上の説明においては、巻回電極体6A、6B、6C、……の正極2及び負極3間に印加する印加電圧Vの最適な電圧値の範囲は1.0〜1.5[kV]であったが、かかる範囲は巻回電極体6A、6B、6C、……の大きさや、正極2、負極3、第1のセパレータ4及び第2のセパレータ5の素材等により変化する。従って巻回電極体6A、6B、6C、……の大きさや素材等に合わせて最適な印加電圧Vの電圧値を選定することにより、種々の巻回電極体6A、6B、6C、……に対して的確に良品及び不良品を判定することができる。
【0054】
(3)動作及び効果
以上の構成において、電極体検査装置40は、巻回電極体6A、6B、6C、……の正極2及び負極3間に、異物や欠陥に起因してコロナ放電を発生させるように電圧値が選定された印加電圧Vを印加しながら当該巻回電極体6A、6B、6C、……に対する電極間電圧EVを測定する。
【0055】
そして電極体検査装置40は、電極間電圧EVの電圧値が増加途中又はEVmaxまで増加した後に、異物や欠陥に起因してコロナ放電が発生することにより急減したときには、そのとき検査を行った巻回電極体6Bを不良品であると判定する。
【0056】
このようにして電極体検査装置40は、巻回電極体6A、6B、6C、……の正極2及び負極3に電流を供給せずに、異物や欠陥に起因してコロナ放電を発生させるように電圧値が選定された印加電圧Vを印加し、そのとき当該正極2及び負極3間で異物や欠陥に起因してコロナ放電が発生したか否かに応じて当該巻回電極体6A、6B、6C、……が不良品であるか否かを判定することで、当該異物や欠陥の存在する巻回電極体6A、6B、6C、……を不良品とほぼ確実に判定し得る電極体検査を行うことができる。
【0057】
以上の構成によれば、電極体検査装置40は、巻回電極体6A、6B、6C、……の正極2及び負極3間に異物や欠陥に起因してコロナ放電を発生させるように電圧値が選定された印加電圧Vを印加しながら当該巻回電極体6A、6B、6C、……に対する電極間電圧EVを測定し、その測定結果に基づいて当該巻回電極体6A、6B、6C、……内でコロナ放電が発生したか否かを判断して、コロナ放電が発生したと判断した場合に当該巻回電極体6A、6B、6C、……を不良品であると判定し、コロナ放電が発生していないと判断した場合に当該巻回電極体6A、6B、6C、……を良品であると判定するようにしたことにより、異物や欠陥の存在する巻回電極体6A、6B、6C、……を不良品とほぼ確実に判定することができ、かくして従来と比して電極体に対する検査精度を一段と向上し得る電極体検査方法を実現できる。
【0058】
また電極体検査装置40は、巻回電極体6A、6B、6C、……の正極2及び負極3の縁部間で空中放電を発生させず、且つ異物や欠陥に起因してのみ確実にコロナ放電を発生させることができるように電圧値が選定された印加電圧Vを正極2及び負極3間に印加するようにしたことにより、異物や欠陥の存在しない良品の巻回電極体6A、6B、6C、……を不良品と誤判定することなく、且つ異物や欠陥の存在する巻回電極体6A、6B、6C、……を不良品とほぼ確実に判定することができる。
【0059】
さらに電極体検査装置40は、巻回電極体6A、6B、6C、……内でコロナ放電が発生した段階で当該巻回電極体6A、6B、6C、……を不良品であると判定することにより、巻回電極体6A、6B、6C、……の第1のセパレータ4及び第2のセパレータ5が絶縁破壊されるまで電圧を印加し続ける必要がないので、巻回電極体6A、6B、6C、……の第1のセパレータ4及び第2のセパレータ5を絶縁破壊することなく、且つ従来の検査装置よりも短時間で検査を行うことができる。
【0060】
(4)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、非水電解液二次電池の巻回電極体を披検査体として用いる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、正極と負極とを絶縁体としてのセパレータを介して互いに絶縁した状態で層状に形成された電極体であれば、例えば、ポリマ電解質二次電池の電極体等のように、他の種々の電池の電極体を被検査体として用いてもよい。
【0061】
また上述の実施の形態においては、非水電解液二次電池の巻回電極体形成工程後に当該巻回電極体形成工程で形成された巻回電極体6A、6B、6C、……に対して電極体検査を行うようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば巻回電極体嵌挿工程後に負極間9の内部に嵌挿された巻回電極体6A、6B、6C、……に対して電極体検査を行うようにしてもよい。
【0062】
さらに上述の実施の形態においては、巻回電極体6A、6B、6C、……の正極2及び負極3間に印加電圧Vを印加する電圧印加手段及び当該印加電圧Vを印加している間の当該正極2及び負極3間の電圧変化を測定する測定手段としての検査部43や、検査部43から取得した電圧変化を基に当該巻回電極体6A、6B、6C、……が不良品であるか否かを判定する判定手段としての制御部44によって電極体検査装置40を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他の種々の構成により電極体検査装置40を構成するようにしてもよい。
【0063】
さらに上述の実施の形態においては、電極間電圧EVが自然放電している間も検査部43で電極間電圧EVの電圧変化を測定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、印加電圧Vの印加が継続している間のみ電極間電圧EVの電圧変化を測定し、またはコロナ放電の発生により電極間電圧EVの電圧値が急激に低下したときまでのみその電極間電圧EVを測定してもよい。
【0064】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、正極と負極とが絶縁体を介して互いに絶縁された状態で層状に形成された電極体を検査する電極体検査方法において、電極体の正極及び負極間で異物や絶縁体の欠陥に起因してコロナ放電を発生させるように電圧値が選定された印加電圧を正極及び負極間に印加すると共に、印加電圧を印加している間の正極及び負極間の電圧変化を測定する測定し、当該測定した電圧変化に基づいて電極体の正極及び負極間でコロナ放電が発生したか否かを判断し、コロナ放電が発生したと判断した場合に電極体を不良品と判定し、コロナ放電が発生していないと判断した場合に電極体を良品と判定するようにしたことにより、異物や欠陥の存在する電極体を不良品とほぼ確実に判定することができ、かくして従来と比して電極体に対する検査精度を一段と向上し得る電極体検査方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における電極体検査装置の全体構成の一実施の形態を示す略線図である。
【図2】電極体検査処理手順を示すフローチャートである。
【図3】巻回電極体の状態(良品判定時)を示す略線図である。
【図4】電極間電圧の変化の様子(良品判定時)を示す略線図である。
【図5】巻回電極体の状態(不良品判定時)を示す略線図である。
【図6】電極間電圧の変化の様子(不良品判定時)を示す略線図である。
【図7】正極及び負極の縁部間で発生する空中放電の様子を示す略線図である。
【図8】印加電圧と不良品判定率及び良品誤判定率との関係を示す略線図である。
【図9】非水電解液二次電池の構成を示す略線図である。
【図10】巻回電極体の構成を示す略線図である。
【図11】従来の電極体検査処理手順を示す略線図である。
【符号の説明】
1……非水電解液二次電池、2……正極、3……負極、4……第1のセパレータ、5……第2のセパレータ、6……巻回電極体、7……正極リード、8……負極リード、30……異物、40……電極体検査装置、43……検査部、44……制御部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電極体検査方法に関し、例えば非水電解液二次電池に用いられる巻回電極体を検査する電極体検査方法に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、非水電解液二次電池においては、正極用活物質として、リチウムコバルト複合酸化物のようなリチウム複合酸化物が用いられ、負極用活物質としては、炭素素材等のようなリチウムイオンのドープ及び脱ドープの可能な物質が用いられている。
【0003】
そして、非水電解液二次電池においては、これら正極用活物質と負極用活物質とを電気化学的に反応させて電池として機能するものであり、比較的高い電池電圧が得られると共に、比較的高いエネルギー密度を有し、充放電のサイクル特性にも優れている等の多数の利点を有することにより、近年、広く利用されている。
【0004】
実際上、図9に示すように、非水電解液二次電池1においては、短冊状のアルミニウム箔等でなる正極用集電体の両面に正極用活物質が被膜状に塗布されて形成された正極2と、短冊状の銅箔等でなる負極用集電体の両面に負極用活物質が被膜状に塗布されて形成された負極3とを帯状の微多孔性ポリプロピレンフィルムでなる2枚の第1のセパレータ4及び第2のセパレータ5を介して互いに絶縁した状態で巻回して形成された巻回電極体6を有し、その正極2の巻回開始部分に正極リード7が溶接されると共に、負極3の巻回終了部分に負極リード8が溶接されている。
【0005】
また、非水電解液二次電池1においては、円筒状の負極缶9の内部に巻回電極体6が嵌挿されて負極リード8がその負極缶9の底部に電気的及び機械的に接続されると共に、当該負極缶9に非水電解液(図示せず)が充填されて第1のセパレータ4及び第2のセパレータ5に含浸されている。
【0006】
そして、非水電解液二次電池1においては、負極缶9の開口部に安全弁10及び正極蓋11が一体に嵌合されて気密封止され、当該正極蓋11に正極リード7が電気的及び機械的に接続されている。
【0007】
これにより、非水電解液二次電池1においては、内部の正極2及び負極3(すなわち、正極用活物質及び負極用活物質)の放電反応によって生じる電池電圧を負極缶9及び正極蓋11を介して外部に出力し得るようになされている。
【0008】
ところで上述の非水電解液二次電池1は、一般的に以下のような製造工程を経て製造される。
【0009】
まず電極形成工程において、帯状の正極用集電体の両面に正極用活物質を間欠的に塗布することにより正極2が多数連続する正極材を形成すると共に、帯状の負極用集電体の両面に負極用活物質を間欠的に塗布することにより負極3が多数連続する負極材を形成する。
【0010】
続いて巻回電極体形成工程において、正極材に対して正極用活物質の未塗布領域に正極リード材から切り離した正極リード7を溶接すると共に、負極材に対して負極用活物質の未塗布領域に負極リード材から切り離した負極リード8を溶接し、当該正極材及び負極材を第1のセパレータ4が多数連続する第1のセパレータ材及び第2のセパレータ5が多数連続する第2のセパレータ材と共に巻回した後、これら正極材、負極材、第1のセパレータ材及び第2のセパレータ材から正極2、負極3、第1のセパレータ4及び第2のセパレータ5を切り離すことにより、図10(A)及び(B)に示すように、正極2、負極3、第1のセパレータ4及び第2のセパレータ5を正極2、第1のセパレータ4、負極3、第2のセパレータ5……の順番で交互に重ねて、且つ最外周となる第2のセパレータ5の巻回終了部分に巻解防止用の巻止テープ20を貼着した巻回電極体6を形成する。
【0011】
次に電極体検査工程において、巻回電極体6に対する電極体検査を実施することにより、例えば巻回電極体形成工程で正極材、負極材を切断した際及び正極リード材、負極リード材を切断した際に生じる切粉状の金属片等(以下、これを異物と呼ぶ)が正極2や負極3の表面に付着していないか、また第1のセパレータ4及び第2のセパレータ5に例えばピンホールやキズ等(以下、これを欠陥と呼ぶ)が存在していないかを検査する。そして電極体検査の結果、異物や欠陥が存在しないと判定した巻回電極体6のみを次の巻回電極体嵌挿工程へ送る。
【0012】
巻回電極体嵌挿工程では、電極体検査工程で合格した巻回電極体6の負極リード8を負極缶9の底部に溶接し、当該巻回電極体6を負極缶9の内部に嵌挿する。
【0013】
次いで電解液充填工程において、巻回電極体6を嵌挿した負極缶9に非水電解液を充填し、続いて気密封止工程において、正極リード7を正極蓋11に溶接した後、負極缶9の開口部に安全弁10及び正極蓋11を一体に嵌合して気密封止することにより非水電解液二次電池1を製造する。
【0014】
ここで、従来の電極体検査においては、巻回電極体6の正極2及び負極3間に電圧を所定時間印加しながら電流を供給することにより、この結果異物や欠陥に起因して第1のセパレータ4や第2のセパレータ5が絶縁破壊して正極2及び負極3間に流れる漏れ電流を検出すると、当該巻回電極体6を不良品と判定していた。(例えば、特許文献1参照)。
【0015】
すなわちかかる電極体検査においては、まず図11(A)に示すように、例えば負極3と第1のセパレータ4との間に異物30が存在する場合、巻回電極体6の正極2及び負極3間に電圧を印加し、当該電圧の印加を継続すると、図11(B)に示すように、異物30から微小な放電(以下、これをコロナ放電と呼ぶ)が一時的に発生する。
【0016】
そしてコロナ放電の発生後も電圧を印加し続けると、図11(C)に示すように、異物30の周りの第1のセパレータ4が異物30を起点として放射状に炭化し始め、図11(D)に示すように、電圧の印加時間に応じて第1のセパレータ4の炭化が徐々に進んで異物30から樹枝状に広がるように炭素の結晶が成長して、当該炭素の結晶が異物30から正極3にまで達すると、その時点で第1のセパレータ4が絶縁破壊されることにより正極2及び負極3間が短絡され、その結果正極2及び負極3間に微小な漏れ電流が流れる。
【0017】
また、微小な漏れ電流が流れた後も電圧を印加し続けると、図11(E)に示すように、第1のセパレータ4の絶縁破壊がさらに進んで正極2及び負極3間に大きな漏れ電流が流れることにより、このときの漏れ電流を検出すると、巻回電極体6を内部に異物30の存在している不良品であると判定していた。
【0018】
【特許文献1】
特開平5−290896号公報(第2項、第2図)
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
ところがかかる電極体検査においては、例えば異物30がごく小さなものであったとすると、コロナ放電の発生後に正極2及び負極3間への電圧の印加を継続しても予め設定した検査時間内では異物30の周りの第1のセパレータ4の炭化が異物30の周りにとどまることにより漏れ電流が流れない場合や、実際に炭素の結晶が正極2まで達して第1のセパレータ4が絶縁破壊して漏れ電流が流れても、その漏れ電流が微小であれば検出できない場合がある。
【0020】
このようにかかる電極体検査においては、巻回電極体6内に異物や欠陥が存在しても、正極2及び負極3間に流れる漏れ電流を検出することができなければ当該巻回電極体6を良品と判定することにより未だ巻回電極体6を的確に検査できるとは言い難いという問題があった。
【0021】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、従来と比して電極体に対する検査精度を一段と向上し得る電極体検査方法を提案しようとするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために本発明においては、正極と負極とが絶縁体を介して互いに絶縁された状態で層状に形成された電極体を検査する電極体検査方法において、電極体の正極及び負極間で異物や絶縁体の欠陥に起因してコロナ放電を発生させるように電圧値が選定された印加電圧を正極及び負極間に印加すると共に、印加電圧を印加している間の正極及び負極間の電圧変化を測定し、当該測定した電圧変化に基づいて電極体の正極及び負極間でコロナ放電が発生したか否かを判断し、コロナ放電が発生したと判断した場合に電極体を不良品と判定し、コロナ放電が発生していないと判断した場合に電極体を良品と判定するようにした。
【0023】
従って異物や欠陥の存在する電極体を不良品とほぼ確実に判定することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0025】
(1)本実施の形態による電極体検査装置の構成
図1において、40は全体として本発明による電極体検査装置を示し、前段の巻回電極体形成工程で形成された巻回電極体6A、6B、6C、……を後段の巻回電極体嵌挿工程に搬送する搬送用ベルトコンベア41の途中に電極体固定部42が設けられ、当該搬送用ベルトコンベア41で前段から搬送された巻回電極体6A、6B、6C、……を電極体固定部42により順に所定の検査位置で固定するようになされている。
【0026】
また電極体固定部42の近傍には、当該電極体固定部42において検査用に固定した例えば巻回電極体6Bの正極リード7B及び負極リード8Bを介して正極2及び負極3間にインパルス電圧(以下、これを印加電圧Vと呼ぶ)を印加するインパルス電極体検査器でなる検査部43が配置されると共に、当該検査部43によって正極2及び負極3間に印加した印加電圧Vに基づいて巻回電極体6A、6B、6C、……に対する良品及び不良品を判定する制御部44が配置されている。
【0027】
(2)電極体検査処理
次に、電極体検査処理について図2のフローチャートを用いて説明する。制御部44は、ルーチンRT1の開始ステップから入ってステップSP1へ移る。
【0028】
ステップSP1において制御部44は、搬送用ベルトコンベア41によって搬送されてきた例えば巻回電極体6Bを電極体固定部42で所定の検査位置に固定し、次のステップSP2へ移る。
【0029】
ステップSP2において制御部44は、検査部43により巻回電極体6Bの正極リード7B及び負極リード8Bを介して正極2及び負極3間に、異物や欠陥に起因してコロナ放電を発生させるように電圧値(例えば、1.0[kV])及び印加継続時間(例えば100[ms])が選定された印加電圧Vを印加し、且つ当該印加電圧Vの印加に合わせて正極2及び負極3間の電圧(以下、これを電極間電圧EVと呼ぶ)の測定を開始して、次のステップSP3へ移る。
【0030】
ステップSP3において制御部44は、印加電圧Vの印加終了後、所定時間(例えば200[ms])待機(すなわち巻回電極体6Bを放置)することにより、正極2及び負極3に溜まった巻回電極体6Bの電極間電圧EVを自然放電させ、次のステップSP4へ移る。
【0031】
ステップSP4において制御部44は、検査部43による電極間電圧EVの測定を終了させ、当該検査部43から電極間電圧EVの測定結果を取得して、次のステップSP5へ移る。
【0032】
ここで検査部43により測定した電極間電圧EVは、図3に示すように、巻回電極体6B内に異物や欠陥が存在しなければ、図4の電圧波形W1に示すように、電圧値が電圧印加開始時点tsから徐々に増加し、時点t1で印加電圧Vの電圧値とほぼ等しい最大電圧値EVmaxに到達して、そのまま電圧印加終了時点t2までは変化せず、当該電圧印加終了時点t2から測定終了時点teにかけて自然放電によって徐々に低下するように変化する。
【0033】
また電極間電圧EVは、例えば図5に示すように、巻回電極体6Bの表面に付着した異物30が第1のセパレータ4に押し付けられているような場合、例えば図6の電圧波形W2に示すように、電圧値が電圧印加開始時点tsから徐々に増加するものの最大電圧値EVmaxよりも低い電圧値EV1に達した時点t3において異物30にコロナ放電が発生することにより当該時点t3からt4にかけて電圧値EV2まで一旦急激に低下する。そして電極間電圧EVは、このように電圧値が時点t4で低下するものの、このときには正極2及び負極3間に印加電圧Vが印加されたままであるため時点t4から電圧値が再び増加して時点t5で最大電圧値EVmaxに到達し、そのまま電圧印加終了時点t6までは変化せず、当該電圧印加終了時点t6から測定終了時点teにかけて自然放電によって徐々に低下するように変化する。
【0034】
因みに巻回電極体6Bにおいては、第1のセパレータ4及び第2のセパレータ5に欠陥が存在している場合、その欠陥箇所を介して対向する正極2及び負極3間の箇所同士の絶縁性が当該正極2及び負極3間の他の部分同士よりも低いことにより、印加電圧Vが印加されたとき、その正極2及び負極3において、第1のセパレータ4及び第2のセパレータ5の欠陥箇所と対向する箇所からコロナ放電が発生する。従って電極間電圧EVは、第1のセパレータ4及び第2のセパレータ5に欠陥が存在している場合も、その欠陥に起因したコロナ放電により、例えば図6に示す電圧波形W2と同様に電圧値が変化する。
【0035】
このように電極間電圧EVは、巻回電極体6B内に異物30や欠陥が存在する場合、印加電圧Vの印加に応じて徐々に電圧値が増加するものの、当該異物30や欠陥に起因してコロナ放電が発生することにより電圧値が最大電圧値EVmaxに到達するまでの増加途中や、当該最大電圧値EVmaxに到達してから電圧終了時点t6までの間に一旦急激に低下した後、再び増加するように変化する。
【0036】
従ってステップSP5(図2)において制御部44は、正極2及び負極3間に印加電圧Vを印加している間の電極間電圧EVの電圧値を、予め設定された閾値となる検査基準電圧値EVminと比較することにより巻回電極体6Bの正極2及び負極3間にコロナ放電が発生したか否かを判断する。
【0037】
このステップSP5において肯定結果が得られると、このことは電極間電圧EVの電圧値が、印加電圧Vの印加が継続している間、一度は増加したもののコロナ放電の発生により一旦検査基準電圧値EVmin以下の値まで低下したことにより巻回電極体6B内に異物30や欠陥が存在すると判断したことを表しており、このとき制御部44は、次のステップSP6へ移る。
【0038】
ステップSP6において制御部44は、巻回電極体6Bを不良品と判定すると共に、電極体固定部42による当該巻回電極体6Bの固定を解除して、その巻回電極体6Bを不良品として搬送用ベルトコンベア41で後段側に搬送した後、次のステップSP8へ移る。
【0039】
これに対してステップSP5において否定結果が得られると、このことは電極間電圧EVの電圧値が、印加電圧Vの印加が継続している間、徐々に増加して検査基準電圧値EVmin以下の値に一度も低下することなく最大電圧値EVmaxに到達したままとなっていたことにより巻回電極体6B内に異物30や欠陥が存在してはいないと判断したことを表しており、このとき制御部44は、次のステップSP7へ移る。
【0040】
ステップSP7において制御部44は、巻回電極体6Bを良品と判定すると共に、電極体固定部42による当該巻回電極体6Bの固定を解除し、当該巻回電極体6Bを良品として搬送用ベルトコンベア41で後段側に搬送した後、次のステップSP8へ移る。
【0041】
ステップSP8において制御部44は、電極体検査処理を終了する。
【0042】
ところで巻回電極体6Bは、正極2及び負極3間に印加される印加電圧Vの電圧値が所定値以上に選定されると、図7に示すように当該巻回電極体6B内に異物や欠陥が存在していないにもかかわらず、印加電圧Vの印加継続時間内に正極2及び負極3の縁部間で空中放電が発生する場合がある。
【0043】
そして制御部44は、巻回電極体6Bの正極2及び負極3の縁部間で空中放電が発生すると、これに合わせて電極間電圧EVの電圧値がそれまでの増加から急激に検査基準電圧値EVmin以下の値に低下することにより、当該巻回電極体6Bを異物や欠陥の存在しない良品であるにもかかわらずに不良品であると誤判定してしまう恐れがある。
【0044】
従って制御部44は、巻回電極体6Bの正極2及び負極3の縁部間で空中放電を発生させず、且つ異物や欠陥に起因してのみ確実にコロナ放電を発生させることができるように電圧値が選定された印加電圧Vを正極2及び負極3間に印加している。
【0045】
ここで、巻回電極体6Bに対して印加電圧Vの電圧値により、どのように不良品判定率及び良品誤判定率が変化するかを図8に示すグラフを用いて説明する。
【0046】
まず不良品判定率とは、実際に異物や欠陥が存在している巻回電極体6A、6B、6C、……をどの程度的確に不良品として判定できるかを示す割合であり、例えば100個の巻回電極体6A、6B、6C、……に対して異物や欠陥が存在する巻回電極体6A、6B、6C、……が10個あったとし、そのうち8個を不良品と判定すれば、不良品判定率は80%であるといえる。
【0047】
また良品誤判定率とは、実際には異物や欠陥が存在していない巻回電極体6A、6B、6C、……を空中放電の発生により不良品と誤って判定してしまう割合であり、例えば100個の巻回電極体6A、6B、6C、……に対して異物や欠陥が存在しない巻回電極体6A、6B、6C、……が90個あったとし、そのうち9個を不良品と誤って判定すれば、良品誤判定率は10%であるといえる。
【0048】
因みに図8のグラフは、18650サイズと呼ばれている非水電解液二次電池に用いられる巻回電極体6A、6B、6C、……の正極2及び負極3間に、印加継続時間を100[ms]程度に固定的に選定し、且つ電圧値を0.4〜3.0[kV]に可変した印加電圧Vを実際に印加した場合の当該印加電圧Vと不良品判定率及び良品誤判定率との関係を示している。
【0049】
この場合不良品判定率は、正極2及び負極3間に0.4[kV]の印加電圧Vを印加したときに約65%であり、0.6[kV]の印加電圧Vを印加したときには約85%、さらに1.0[kV]の印加電圧Vを印加したときには約90%となり、印加電圧Vの電圧値が0.4〜1.0[kV]程度の間はその印加電圧Vの電圧値が高い程、異物及び欠陥の存在する巻回電極体6A、6B、6C、……を不良品であると的確に判定し得る割合が大幅に増加することがわかる。
【0050】
また不良品判定率は、正極2及び負極3間に1.5[kV]の印加電圧Vを印加したときには約95%となり、2.0[kV]の印加電圧Vを印加したときには約98%、さらに3.0[kV]の印加電圧Vを印加したときには100%となり、印加電圧Vの電圧値が1.0〜3.0[kV]程度の間でもその印加電圧Vの電圧値が高い程、異物及び欠陥の存在する巻回電極体6A、6B、6C、……を不良品であると的確に判定し得る割合がわずかずつではあるが増加し、印加電圧Vの電圧値が3.0[kV]であれば、異物及び欠陥の存在する巻回電極体6A、6B、6C、……を不良品であると確実に判定し得ることがわかる。
【0051】
一方、良品誤判定率は、正極2及び負極3間に0.4〜1.5[kV]の印加電圧Vを印加したときには0%であり、2.0[kV]の印加電圧Vを印加したときには約5%、2.5[kV]の印加電圧Vを印加したときには約35%、3.0[kV]の印加電圧Vを印加したときには約95%となり、印加電圧Vの電圧値が高くなる程、異物及び欠陥の存在しない巻回電極体6A、6B、6C、……を不良品であると誤判定する割合が増加し、特に2.0[kV]以上の印加電圧Vを印加したときには、誤判定が急激に増加することがわかる。
【0052】
従ってかかる巻回電極体6A、6B、6C、……に対する電極体検査においては、印加電圧Vの電圧値を1.0〜1.5[kV]の範囲に選定することにより、正極2及び負極3の縁部間に空中放電を発生させずに実際に異物や欠陥に起因してほぼ確実にコロナ放電を発生させることができ、かくして巻回電極体6A、6B、6C、……に対して良品を不良品と誤判定することなく、本来の不良品をほぼ確実に検出することができる。
【0053】
ところで、以上の説明においては、巻回電極体6A、6B、6C、……の正極2及び負極3間に印加する印加電圧Vの最適な電圧値の範囲は1.0〜1.5[kV]であったが、かかる範囲は巻回電極体6A、6B、6C、……の大きさや、正極2、負極3、第1のセパレータ4及び第2のセパレータ5の素材等により変化する。従って巻回電極体6A、6B、6C、……の大きさや素材等に合わせて最適な印加電圧Vの電圧値を選定することにより、種々の巻回電極体6A、6B、6C、……に対して的確に良品及び不良品を判定することができる。
【0054】
(3)動作及び効果
以上の構成において、電極体検査装置40は、巻回電極体6A、6B、6C、……の正極2及び負極3間に、異物や欠陥に起因してコロナ放電を発生させるように電圧値が選定された印加電圧Vを印加しながら当該巻回電極体6A、6B、6C、……に対する電極間電圧EVを測定する。
【0055】
そして電極体検査装置40は、電極間電圧EVの電圧値が増加途中又はEVmaxまで増加した後に、異物や欠陥に起因してコロナ放電が発生することにより急減したときには、そのとき検査を行った巻回電極体6Bを不良品であると判定する。
【0056】
このようにして電極体検査装置40は、巻回電極体6A、6B、6C、……の正極2及び負極3に電流を供給せずに、異物や欠陥に起因してコロナ放電を発生させるように電圧値が選定された印加電圧Vを印加し、そのとき当該正極2及び負極3間で異物や欠陥に起因してコロナ放電が発生したか否かに応じて当該巻回電極体6A、6B、6C、……が不良品であるか否かを判定することで、当該異物や欠陥の存在する巻回電極体6A、6B、6C、……を不良品とほぼ確実に判定し得る電極体検査を行うことができる。
【0057】
以上の構成によれば、電極体検査装置40は、巻回電極体6A、6B、6C、……の正極2及び負極3間に異物や欠陥に起因してコロナ放電を発生させるように電圧値が選定された印加電圧Vを印加しながら当該巻回電極体6A、6B、6C、……に対する電極間電圧EVを測定し、その測定結果に基づいて当該巻回電極体6A、6B、6C、……内でコロナ放電が発生したか否かを判断して、コロナ放電が発生したと判断した場合に当該巻回電極体6A、6B、6C、……を不良品であると判定し、コロナ放電が発生していないと判断した場合に当該巻回電極体6A、6B、6C、……を良品であると判定するようにしたことにより、異物や欠陥の存在する巻回電極体6A、6B、6C、……を不良品とほぼ確実に判定することができ、かくして従来と比して電極体に対する検査精度を一段と向上し得る電極体検査方法を実現できる。
【0058】
また電極体検査装置40は、巻回電極体6A、6B、6C、……の正極2及び負極3の縁部間で空中放電を発生させず、且つ異物や欠陥に起因してのみ確実にコロナ放電を発生させることができるように電圧値が選定された印加電圧Vを正極2及び負極3間に印加するようにしたことにより、異物や欠陥の存在しない良品の巻回電極体6A、6B、6C、……を不良品と誤判定することなく、且つ異物や欠陥の存在する巻回電極体6A、6B、6C、……を不良品とほぼ確実に判定することができる。
【0059】
さらに電極体検査装置40は、巻回電極体6A、6B、6C、……内でコロナ放電が発生した段階で当該巻回電極体6A、6B、6C、……を不良品であると判定することにより、巻回電極体6A、6B、6C、……の第1のセパレータ4及び第2のセパレータ5が絶縁破壊されるまで電圧を印加し続ける必要がないので、巻回電極体6A、6B、6C、……の第1のセパレータ4及び第2のセパレータ5を絶縁破壊することなく、且つ従来の検査装置よりも短時間で検査を行うことができる。
【0060】
(4)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、非水電解液二次電池の巻回電極体を披検査体として用いる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、正極と負極とを絶縁体としてのセパレータを介して互いに絶縁した状態で層状に形成された電極体であれば、例えば、ポリマ電解質二次電池の電極体等のように、他の種々の電池の電極体を被検査体として用いてもよい。
【0061】
また上述の実施の形態においては、非水電解液二次電池の巻回電極体形成工程後に当該巻回電極体形成工程で形成された巻回電極体6A、6B、6C、……に対して電極体検査を行うようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば巻回電極体嵌挿工程後に負極間9の内部に嵌挿された巻回電極体6A、6B、6C、……に対して電極体検査を行うようにしてもよい。
【0062】
さらに上述の実施の形態においては、巻回電極体6A、6B、6C、……の正極2及び負極3間に印加電圧Vを印加する電圧印加手段及び当該印加電圧Vを印加している間の当該正極2及び負極3間の電圧変化を測定する測定手段としての検査部43や、検査部43から取得した電圧変化を基に当該巻回電極体6A、6B、6C、……が不良品であるか否かを判定する判定手段としての制御部44によって電極体検査装置40を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他の種々の構成により電極体検査装置40を構成するようにしてもよい。
【0063】
さらに上述の実施の形態においては、電極間電圧EVが自然放電している間も検査部43で電極間電圧EVの電圧変化を測定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、印加電圧Vの印加が継続している間のみ電極間電圧EVの電圧変化を測定し、またはコロナ放電の発生により電極間電圧EVの電圧値が急激に低下したときまでのみその電極間電圧EVを測定してもよい。
【0064】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、正極と負極とが絶縁体を介して互いに絶縁された状態で層状に形成された電極体を検査する電極体検査方法において、電極体の正極及び負極間で異物や絶縁体の欠陥に起因してコロナ放電を発生させるように電圧値が選定された印加電圧を正極及び負極間に印加すると共に、印加電圧を印加している間の正極及び負極間の電圧変化を測定する測定し、当該測定した電圧変化に基づいて電極体の正極及び負極間でコロナ放電が発生したか否かを判断し、コロナ放電が発生したと判断した場合に電極体を不良品と判定し、コロナ放電が発生していないと判断した場合に電極体を良品と判定するようにしたことにより、異物や欠陥の存在する電極体を不良品とほぼ確実に判定することができ、かくして従来と比して電極体に対する検査精度を一段と向上し得る電極体検査方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における電極体検査装置の全体構成の一実施の形態を示す略線図である。
【図2】電極体検査処理手順を示すフローチャートである。
【図3】巻回電極体の状態(良品判定時)を示す略線図である。
【図4】電極間電圧の変化の様子(良品判定時)を示す略線図である。
【図5】巻回電極体の状態(不良品判定時)を示す略線図である。
【図6】電極間電圧の変化の様子(不良品判定時)を示す略線図である。
【図7】正極及び負極の縁部間で発生する空中放電の様子を示す略線図である。
【図8】印加電圧と不良品判定率及び良品誤判定率との関係を示す略線図である。
【図9】非水電解液二次電池の構成を示す略線図である。
【図10】巻回電極体の構成を示す略線図である。
【図11】従来の電極体検査処理手順を示す略線図である。
【符号の説明】
1……非水電解液二次電池、2……正極、3……負極、4……第1のセパレータ、5……第2のセパレータ、6……巻回電極体、7……正極リード、8……負極リード、30……異物、40……電極体検査装置、43……検査部、44……制御部。
Claims (3)
- 正極と負極とが絶縁体を介して互いに絶縁された状態で層状に形成された電極体を検査する電極体検査方法において、
上記電極体の正極及び負極間で異物や上記絶縁体の欠陥に起因してコロナ放電を発生させるように電圧値が選定された印加電圧を当該正極及び負極間に印加すると共に、当該印加電圧を印加している間の上記正極及び負極間の電圧変化を測定する測定ステップと、
上記測定ステップにより測定された電圧変化に基づいて上記電極体の上記正極及び負極間で上記コロナ放電が発生したか否かを判断し、当該コロナ放電が発生したと判断した場合に当該電極体を不良品と判定し、当該コロナ放電が発生していないと判断した場合に当該電極体を良品と判定する判定ステップと
を具えることを特徴とする電極体検査方法。 - 上記測定ステップは、
上記正極及び負極間で上記異物や上記絶縁体の欠陥に起因して上記コロナ放電を発生させ、且つ当該正極及び負極の縁部間で空中放電を発生させないように電圧値が選定された上記印加電圧を当該正極及び負極間に印加する
ことを特徴とする請求項1に記載の電極体検査方法。 - 正極と負極とが絶縁体を介して互いに絶縁された状態で層状に形成された電極体を検査する電極体検査装置において、
上記電極体の正極及び負極間で異物や上記絶縁体の欠陥に起因してコロナ放電を発生させるように電圧値が選定された印加電圧を当該正極及び負極間に印加する電圧印加手段と、
上記印加電圧手段により上記正極及び負極間に上記印加電圧を印加している間の当該正極及び負極間の電圧変化を測定する測定手段と、
上記測定手段により測定された電圧変化に基づいて上記電極体の上記正極及び負極間で上記コロナ放電が発生したか否かを判断し、当該コロナ放電が発生したと判断した場合に当該電極体を不良品と判定し、当該コロナ放電が発生していないと判断した場合に当該電極体を良品と判定する判定手段と
を具えることを特徴とする電極体検査装置。
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