JP2004270728A - 回転部品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】バリ取りを不要とできると共に、バリ剥離(バリ飛散)が生じないようにした回転部品及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】外周に歯車部を有する軸部(小径歯車部21)を備えた第1部材(段付き歯車部材)2と、軸部21の先端に圧入によって固定される筒部31を備えた第2部材(嵌め込み部材)3と、を有する回転部品1において、第1部材2の軸部21の先端が、第2部材3の軸方向端面33bより内側となるように配置されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンターまたはコピー機等の駆動機構に組み込まれる回転部品及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンターまたはコピー機等の駆動機構には、様々な回転部品が組み込まれている。例えば、駆動機構には、歯車等の回転部材に、軸部となる筒状の部材を圧入固定することによって、両者を一体化させた回転部品も、必要に応じて組み込まれて使用されている。
【0003】
歯車等の回転部品に軸部となる筒状の部材を圧入固定して回転部品を製造する場合、圧接部位が塑性変形してバリが発生する。バリは、回転部品の端面から突出する。そのため、回転部品を各種装置の駆動機構に組み込んだ際、回転部品から突出したバリが他の部位に接触し、回転部品から剥離する。この結果、バリが、装置内部の他の部品等に付着して、回転不良の原因となる恐れがある。
【0004】
従来から、上述した回転部品の端面等に発生するバリの剥離および他の部品への付着を防止する方法が種々開示されている。例えば、歯車の端面に凹部を設け、この凹部の入り口部分を塞いで内部にバリを封じ込めることにより、バリの飛散を防止する発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、回転部品となる歯車の歯部端面に形成されるバリを押しつぶして、歯部端面の傾斜面に密着させてしまうバリの処理方法が、特許文献2(特開2000−178608号公報)に開示されている。
【0005】
また、圧入時に発生するバリを圧入後に取り除く場合、従来は、ブラシ掛け等の手作業や特許文献3(特開平11−320249号公報)に示されるようなバリ処理装置を使用している。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−81614号公報(図1および図3)
【特許文献2】
特開2000−178608号公報(図2)
【特許文献3】
特開平11−320249号公報(要約書)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述の特許文献1、2記載の各発明は、共に、2つの部材を圧入固定した時に発生するバリを処理するためのものではなく、単品の回転部材を成形した時に当該回転部材の端面に発生するバリの処理に関する技術が開示されたものに過ぎない。しかし、バリ取りの一種であり、以下にその問題点を示す。
【0008】
まず、特許文献1記載の発明では、歯車形状が特殊なものとなり、歯車の成形に複雑な金型が必要となるため、製造コストが高くなるという問題がある。加えて、特許文献1記載の発明では、歯車の外周側に形成されるバリは、上述の凹部内に封じ込められるが、内周側に形成されるバリは、後工程で削り取らなくてはならず、製造コストが高くなるという問題がある。
【0009】
また、特許文献2記載の歯車の製造方法では、歯車を成形プレス機で焼結させて形成させた後、この成形工程時に発生したバリを、圧粉成形時にパンチによって押しつぶす工程を有している。したがって、バリ処理工程が後工程として発生し、製造コストが高くなるという問題がある。
【0010】
また、ブラシ掛け等の手作業によるバリ取りは、工数が必要となり、コストが上昇すると共に、バリ除去品質が安定せず、かえってバリが不安定なまま付着し、その後、剥離しやすくなる場合が発生する。さらに、特許文献3記載の発明のように、バリ取り装置を使用すると、装置使用によるコスト増とバリ処理工程によるコスト増が重なり、製造コストがかなり高くなるという問題が発生する。しかも、バリ取りの際に、除去されたバリが回転部品に付着しないように十分注意する必要があると共に、時には回転部品に剥離したバリが付着したまま次工程に移行されてしまう危険性も生ずる。
【0011】
本発明の目的は、上述の問題点に鑑みて、バリ取りを不要とできると共に、バリ剥離(バリ飛散)が生じないようにした回転部品及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題点に鑑み、外周に歯車部を有する軸部を備えた第1部材と、軸部の先端に圧入によって固定される筒部を備えた第2部材と、を有する回転部品において、第1部材の軸部の先端が、第2部材の軸方向端面より内側となるように配置されていることを特徴としている。
【0013】
外周に歯車部を有する軸部に筒状部材を圧入する場合、抜け防止対策として、筒状部材の内周径を歯車部の外周径に対して若干小さいものとし、強い圧力で一体化させる。そのため、圧入部位には、両部材の一側もしくは両側が圧接による塑性変形によってバリが発生しやすい。
【0014】
しかし、上述の発明によれば、第1部材の先端が第2部材の先端より内側となるように段差が形成されるため、バリが生じても、バリが回転部材の軸方向端面から突出しない。また、第2部材に対する第1部材の圧入量自体を減少させるため、圧接する面積も少なく、発生するバリの絶対量が減少する。このため、バリが他の部位(部材)に接触する恐れがなく、バリが剥離して装置内の他の部位に付着する可能性が少なくなる。
【0015】
他の発明は、上述の各回転部材において、第2部材の筒部の先端部分を、内周の圧接面側が外周の非圧接面側に比べて軸方向内側に凹む傾斜面としたことを特徴としている。
【0016】
上述の発明によれば、傾斜面を備えた分、圧接面から見た軸方向における第2部材の軸方向への突出量を、外周の非圧接面側の端部によって稼ぐことができる。そのため、第1部材と第2部材との圧接面積を稼いで圧接強度を確保しつつ、筒部の突出量を確保して、バリの突出を防止することができる。この結果、バリが、他の部位(部材)に接触する恐れがなく、バリが剥離して装置内の他の部位に付着する可能性が少なくなる。
【0017】
他の発明は、上述の各回転部材において、圧入時に発生したバリが、第2部材の軸方向端面より突出しないように構成したことを特徴としている。
【0018】
上述の発明によれば、バリが軸方向外側に突出しない構成となるため、バリが他の部位に接触する恐れがなく、バリが剥離して装置内の他の部位に付着する可能性が少なくなる。
【0019】
他の発明は、上述の各回転部材において、第1部材は、段部を境に大径部と小径部とを備え、第2部材は、軸部の外側にはめ込まれる筒部と、この筒部の一端側から外周方向に突出するフランジ部とを有し、筒部を小径部の先端に圧入固定することにより、段部とフランジ部とを軸方向において間隔をあけて対向配置させたことを特徴としている。
【0020】
上述の発明によれば、第1部材の段部と第2部材のフランジ部とを軸方向において間隔をあけて対向配置させたため、段部とフランジ部との間の歯車に係合する部材の軸方向における抜けを、段部及びフランジ部によって防止することができる。
【0021】
他の発明は、上述の回転部材において、第2部材は、中央に孔が設けられた板状部材の孔の周囲をプレス加工によって湾曲させて立ち上げ、その立ち上がった部分を筒部とし、残りの部分をフランジ部とし、かつ筒部のフランジ部からの突出量を、板状部材の板厚寸法の0.5倍以上2倍以下としたことを特徴としている。
【0022】
上述の発明によれば、板厚寸法の0.5倍以上2倍以下となる短い筒部が形成されるように、板状部材をプレス加工して第2部材が形成される。このため、板状部材の孔の縁の部分であって第2部材の筒部先端部位となる部分は、材料の伸縮によって、圧接面とならない外周側が高く、圧接面となる内周側が低くなる傾斜面が容易に形成される。この結果、傾斜面の分、内周側の圧接面から見た軸方向における高さを稼ぐことができ、より圧接面積を稼ぎつつ、短い寸法で筒部の突出量を稼ぐことが可能となる。
【0023】
また、他の発明は、外周に歯車部を有する軸部を備えた第1部材を、第2部材の筒部に対して圧入固定することにより一体化される回転部品の製造方法において、軸部と筒部とが接近する方向に相対移動させ、筒部に軸部を挿入していき、圧入固定時に発生するバリの先端が、筒部の軸方向の先端より軸方向外側に突出しない位置で、その相対移動を停止させることを特徴としている。
【0024】
上述の発明によれば、バリが筒部の先端より軸方向外側へ突出しないため、他の部材等に接触しない。したがって、接触によるバリの剥離が発生して、当該方法で製造された回転部品を取り付けた装置内で剥離したり、他の部位に付着する等の不具合が生じない。また、バリ自体も小さいものとなるため、剥離しにくく、剥離したとしてもそのバリ自体が小さく、他の部品等を傷つけにくいという効果も期待できる。
【0025】
また、他の発明は、外周に歯車部を有する軸部を備えた第1部材を、第2部材の筒部に対して圧入固定することにより一体化される回転部品の製造方法において、軸部と筒部とが接近する方向に相対移動させ、筒部に軸部を挿入していき、軸部の圧入部分の軸方向先端が、筒部の軸方向先端との間で間隔を有する位置でその相対移動を停止させることを特徴としている。
【0026】
上述の発明によれば、軸部の圧入部分の軸方向先端が筒部の軸方向先端より軸方向において内側に凹んだ状態となるため、圧接面で発生するバリが筒部の先端より軸方向外側へ突出しない。そのため、他の部材等に接触しない。したがって、接触によるバリの剥離が発生して、当該方法で製造された回転部品を取り付けた装置内で剥離したり、他の部位に付着する等の不具合が生じない。また、バリ自体も小さいものとなるため、剥離しにくく、剥離したとしてもそのバリ自体が小さく、他の部品等を傷つけにくいという効果も期待できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明に係る回転部品及びその製造方法の実施の形態を、図1から4に基づいて詳細に説明する。以下の実施の形態で説明する、図1等に示した回転部品1は、インクジェットプリンター装置等の印刷機能を備えた装置における、紙送り用駆動機構の一部として用いられるものである。具体的には、この回転部品1にタイミング・プーリーベルトが巻回されて、プリンターのキャリッジが駆動される。しかし、特に用途はこれに限定されるものではなく、本発明は、プリンターのキャリッジの駆動以外の回転部品、タイミング・プーリーベルト以外のベルトが巻回される場合の回転部品にも適用できる。また、本発明は、コピー機、他の形式のプリンター装置またはスキャナー装置等、他の装置にも広く適用できる。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態に係る回転部品を示す斜視図である。図2は、図1に示す回転部品の縦断面図である。
【0029】
図1及び図2に示すように、回転部品1は、外周に歯車部を備えた軸部である小径歯車部21を有する第1部材としての段付き歯車部材2と、小径歯車部21の先端に圧入によって固定される第2部材としての嵌め込み部材3と、から構成されている。
【0030】
段付き歯車部材2は、例えば、焼結その他の方法により成形された部材で、その回転中心に軸方向に貫通する貫通孔20を備えていると共に、外周側に段部22を有している。
【0031】
段付き歯車部材2は、貫通孔20に対して図示しない軸を挿通させることにより、その軸を中心に回転する部材である。また、段付き歯車部材2は、段部22を境に、半径の大きい大径歯車部23と、上述の半径の小さい小径歯車部21とを有している。
【0032】
大径歯車部23は、図示しない他の歯車に噛み合う。一方、小径歯車部21は、プーリーとしての役割を有する部位であり、その外周歯車面には、内周面に歯が形成された歯付きのタイミング・プーリーベルト(図示省略)が巻回される。段付き歯車部材2は、他の歯車から大径歯車部23が回転力を受けると回転し、その回転によって歯付きのタイミング・プーリーベルトを回転送りするものである。
【0033】
なお、この実施の形態において、大径歯車部23及び小径歯車部21のいずれを、入力側とし、いずれを出力側とするかに関しては、特に限定されるものではない。すなわち、上述した構成とは逆に、歯付きのタイミング・プーリーベルト側から回転力を受けて、その回転力を大径歯車部23を介して他の歯車に伝達するようにしても良い。
【0034】
図1から図6に示すように、嵌め込み部材3は、小径歯車部21の外周端部に圧入固定されている。図5は、図2の矢示Aで示す点線円内の圧入部位を拡大して示した拡大断面図である。
【0035】
嵌め込み部材3は、アルミ、もしくはその他の金属材料で構成され、小径歯車部21に圧入固定される筒部31と、この筒部31の一端側から外周方向に突出するフランジ部32とを有するものである。
【0036】
筒部31は、フランジ部32が形成された側と軸方向において反対側の先端部分に傾斜面33を有している。この傾斜面33は、小径歯車部21との圧接面となる内周端33aが、非圧接面となる外周端33bに比べて軸方向内側に凹むように傾斜した面である。
【0037】
嵌め込み部材3は、後述するように、筒部31のフランジ部32が設けられた側の端部から、段付き歯車部材2の小径歯車部21に挿入され圧入固定される。このため、段付き歯車部材2と嵌め込み部材3との圧接面において塑性変形が起こり、筒部31の内周端33a及び小径歯車部21の歯の外周端の一方もしくはその両方の端面にバリ35が発生している。この実施の形態では、嵌め込み部材3側が段付き歯車部材2に比べ軟らかい部材となっているため、嵌め込み部材3側の内周面の一部がバリ35となっている。
【0038】
筒部31の先端、厳密には外周端33bは、上述のバリ35の先端より軸方向外側(図5における上側)に突出している。この実施の形態における回転部品1は、このように、圧入固定時に形成されたバリ35が除去されずに残ったままの状態を有する構成を備えている。
【0039】
しかしながら、回転部品1は、上述したように、バリ35が筒部31の軸方向端面33cよりも外側には突出しない構成である。そのため、駆動機構の動作が開始し、回転部品1が装置内で回転しても、バリ35が他の部位、たとえば小径歯車部21や大径歯車部23や他の部品に接触することはない。このため、バリ35が剥離し、歯車部分や他の部品に付着する恐れが大きく減少する。
【0040】
加えて、本実施の形態においては、嵌め込み部材3への段付き歯車部材2の圧入が、筒部31の軸方向端面33c(外周端33bによって形成される平端面)の内部にバリ35が収まる程度に抑えられている。換言すれば、バリ35を発生させる段付き歯車部材2の圧入量は、その小径歯車部21の圧軸部分の軸方向先端が、筒部31の軸方向先端(軸方向端面33c)との間で間隔を有する位置で両者(段付き歯車部材2と嵌め込み部材3)の相対移動を停止させている。このため、圧入固定時に発生するバリ35は、小径歯車部21の先端部分を軸方向端面33cの位置まで圧入する場合に比べて少量となる。
【0041】
このような構成となっているため、回転部品1が回転してもバリ35が他の部品に接触する危険性は大きく減少し、回転部品1からバリ35が剥離する危険性はほとんど無くなる。したがって、剥離したバリ35が、装置内の他の部位や他の部品に付着するという不具合が生じない。
【0042】
しかも、従来、バリ35に関する不具合を解消するために、製造工程においてバリ35を除去する工程が必要であるが、本実施の形態によれば、バリ35を除去する工程を無くすことができる。このため、本実施の形態によれば、製造コストの面において有利になる。
【0043】
フランジ部32は、軸方向において、段部22と間隔をあけて対向配置される。フランジ部32は、小径歯車部21の段部22とフランジ部32との間に配置されるもので、小径歯車部21の歯と係合される歯付きのタイミング・プーリーベルトの軸方向への抜けを防止するためのものである。この実施の形態では、図3に示されるように、フランジ部32の最外周と、大径歯車部23の最外周23aとが軸方向から見て重なる位置とされている。このため、タイミング・プーリーベルトの外れは、両側において同一程度に防止されている。
【0044】
嵌め込み部材3は、プレスの絞り加工によって、平板状部材の中央の丸穴部分を軸方向に湾曲させることによって、筒部31が成形されたものである。フランジ部32や筒部31の板厚W1に対し、筒部31のフランジ部32からの突出量W2は、板厚W1の0.5倍以上で2倍以下となるように設定されるのが好ましく、より好ましいのは板厚W1の0.7倍以上で1倍以下である。
【0045】
筒部31のフランジ部32からの突出量W2を、板厚W1の2倍以下として短く構成すると、塑性変形によって、筒部31の先端面に傾斜面33が形成されやすい。上述の突出量W2を板厚W1の1倍以下とすると、嵌め込み部材3が薄型化し、回転部材1の軸方向長さを短くすることができる。
【0046】
一方、突出量W2を板厚W1の0.5倍以上とすると、小径歯車部21と嵌め込み部材3との圧入代を大きくでき、圧入時の固定力を強くすることができる。また、突出量W2を板厚W1の0.7倍以上とすると、小径歯車部21の圧入の際に軸方向端面33cとの間隔を大きくした位置、すなわち圧入を十分行わない位置で圧入を停止しても、圧入強度を高くすることができ、圧入強度の向上とバリ35の発生抑制と、さらにはバリ35の剥離防止を図ることができる。
【0047】
しかし、突出量W2の板厚W1に対する寸法は、これらに限定されるものではない。また、加工方法も、プレスの絞り加工に限定されるものではなく、切削加工等、他の加工方法を用いるようにしても良い。
【0048】
なお、図3および図4で示すように、小径歯車部21の歯の数は14個で、大径歯車部23の歯の数は20個で、大径歯車部23の歯の数の方が小径歯車部21の歯の数より多くされている。大径歯車部23から小径歯車部21へは減速系となり、逆方向では増速系となるように構成されている。また、小径歯車部21の歯数が少ないため、一つ一つの歯の部分で削り取られる嵌め込み部材3の内周面の量、すなわち、バリ35の量が多く、しかも長くなりがちとなる。このため、このような、外周に歯車を有する軸部を圧入する場合、図5に示すような構成とするのが、特に好ましい。しかし、軸部の外周に歯車を有しないものでも、本実施の形態を適用すると、バリの剥離防止の面で十分な効果を有する。
【0049】
なお、ここで、筒部31の突出量W2とは、フランジ部32の根元部、すなわち湾曲が始まっている部分となる根元部から図5における最上部までの寸法と定義する。
【0050】
次に、上述したように構成される回転部品1の製造方法について、図7を用いて説明する。図7は、回転部品1の製造工程を(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の順に示した図である。
【0051】
図7(A)は、第2部材となる嵌め込み部材3の加工前の状態となる円形の板状部材30の断面図を示している。板状部材30の中央には、円形の孔30aが設けられている。この孔30aの内径は、嵌め込み部材3の筒部31のフランジ部32からの突出量W2の寸法によって設定される。
【0052】
すなわち、筒部31の突出量W2を大きめに設定する場合、孔30aの内径は小さく設定される。逆に、筒部31の突出量W2を小さめに設定する場合、孔30aの内径は大きく設定される。本実施の形態では、上述したように、筒部31のフランジ部32からの突出量W2(図5参照)は、板状部材30の板厚寸法W1の0.5倍以上2倍以下に設定される。
【0053】
まず、図7(A)に示す板状部材30の一側の面(具体的には図7(A)における下面)の外縁部を、旋盤加工もしくは切削加工などによりエッジングする。これにより、図7(B)に示すように、板状部材30の下面外縁部には、テーパー30bが形成される。このテーパー30bは、嵌め込み部材3と段付き歯車部材2とを圧入固定して形成する回転部材1において、フランジ部32の軸方向内側の面となる。
【0054】
次に、図7(B)に示す板状部材30の一側の面(具体的には図7(B)における下面)側から、パンチ(図示省略)を矢印X1方向に押し付けて絞り加工を伴うプレスを成形する。パンチは、嵌め込み部材3の筒部31の内径とほぼ同じ外径であると共に、後から圧入固定する段付き歯車部材2の小径歯車部21の外径とほぼ同じ外径となる円柱部材で構成される。
【0055】
上述のプレスによる絞り成形加工によって、嵌め込み部材3が形成される。図7(C)は、この嵌め込み部材3を示す断面図である。嵌め込み部材3は、筒部31の一端側にフランジ部32を備えた形状を有している。上記プレス加工により、中央に設けられた円形の孔30aの周囲を湾曲させて立ち上げた部分は筒部31に、残りの部分はフランジ部32になる。また、筒部31の先端(図7における上端)には、内周端33aが外周端33bより軸方向内側に凹むように構成される斜面部33が形成される。
【0056】
次に、図7(D)に示すように、嵌め込み部材3の筒部31に対して、段付き歯車部材2の小径歯車部21が接近する方向(矢印X2方向)に歯車部材2を移動させ、小径歯車部21を軸方向におけるフランジ部32側から筒部31内に挿入していく。なお、両者(嵌め込み部材3と段付き歯車部材2)のどちらを移動させて小径歯車部21を筒部31内に挿入するかは、限定されない。嵌め込み部材3側を矢印X2と反対方向へ移動させることによって、小径歯車部21を筒部31へ挿入しても良い。この工程により、嵌め込み部材3と、段付き歯車部材2とが圧入固定される。
【0057】
この圧入固定時、嵌め込み部材3と段付き歯車部材2との圧接面においては、塑性変形が起こる。すると、圧接面、すなわち、筒部31の内周端33a及び小径歯車部21の歯先面(外周)の一方もしくはその両方の端面にバリ35が発生する。なお、この実施の形態では、図7(E)に示すように、嵌め込み部材3が段付き歯車部材2より材質的に軟らかく、嵌め込み部材3の内周面の一部が削られてバリ35が発生する。
【0058】
しかし、本実施の形態では、図7(E)の部分拡大図(図中の円内参照)に示すように、嵌め込み部材3から発生するバリ35の先端が、筒部31の軸方向の先端(外周端33b)より軸方向外側(図7(E)における上側)に突出しない位置で、嵌め込み部材3と段付き歯車部材2との相対移動を停止し、それ以上圧入しないようにしている。これによって、バリ35は、軸方向外側へ突出しない回転部品1が形成される。この結果、回転部品1は、装置に組み込み後において回転させられても、バリ35が他の部位や他の部材に接触し剥離するという不具合が生じないものとなる。
【0059】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施の形態では、嵌め込み部材3の筒部31の先端に傾斜面33が形成されているが、筒部31の先端を傾斜面とせず、水平面としても良い。
【0060】
また、上述の実施の形態では、嵌め込み部材3を圧入固定する部材として、段部22を備えた段付き歯車部材2を用いたが、この段付き歯車部材2の代わりに、段部22を備えていない、軸方向におけるどの位置でも半径の寸法が同一の歯車部材を用いてもよい。
【0061】
また、上述の実施の形態では、嵌め込み部材3が、筒部31とフランジ部32とを備えた部材で構成されている。しかし、嵌め込み部材3は、軸部となる小径歯車部21に圧入固定される筒部31を有し、フランジ部32を有していない構成としても良い。
【0062】
また、上述の実施の形態では、嵌め込み部材3の筒部31の外周端33bを、段付き歯車部材2の小径歯車部21の先端より突出させ、斜面部33の凹み側となる内周端33aは、小径歯車部21の先端とほぼ面一となるように構成した。しかし、図8に示すように、嵌め込み部材3と段付き歯車部材2との圧入量をさらに少なくし、内周端33aが小径歯車部21より軸方向外側に突出し、この圧接部分に段差が生じる構成としても良い。
【0063】
すなわち、小径歯車部21の圧入部分(外周)の軸方向先端が、嵌め込み部材3の軸方向先端(内周端33a)との間で間隔を有する位置で、嵌め込み部材3と段付き歯車部材2との相対移動による圧入を停止する構成としても良い。このように構成すると、圧接面の面積は少なくなるものの、その分、バリの発生はさらに抑えられ、かつバリが軸方向外側に突出する可能性および剥離する可能性もより抑えられる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の回転部品によれば、バリ取りを不要とできると共に、バリ剥離(バリ飛散)が生じないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回転部品の実施の形態における斜視図である。
【図2】図1に示す回転部品の縦断面図である。
【図3】図1に示す回転部品を矢示III方向から見た端面図である。
【図4】図1に示す回転部品を矢示IV方向から見た一部断面端面図である。
【図5】図2のAで示す点線円内を拡大して示した拡大断面図である。
【図6】図4で示す回転部品の一部(外周端近傍)を拡大して示した一部拡大図である。
【図7】本発明に係る回転部品の製造方法における実施の形態を示す図であって、製造工程を(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の順に示した模式的に示した縦断面図で、(A)は、板状部材、(B)は(A)の板状部材にフランジ加工を施した後の状態、(C)は(B)の状態の板状部材にプレスの絞り加工を施すことにより形成された嵌め込み部材、(D)は嵌め込み部材に対する段付き歯車部材の圧入を示した状態、(E)は圧入により形成された回転部材を、それぞれ示す図である。
【図8】本発明に係る回転部材における実施の形態の変形例の要部を示す一部拡大断面図である。
【符号の説明】
1 回転部品
2 段付き歯車部材(第1部材)
21 小径歯車部(軸部でかつ小径部)
22 段部
23 大径歯車部(大径部)
3 嵌め込み部材(第2部材)
30 板状部材
30a 孔
31 筒部
32 フランジ部
33 傾斜面
33b 外周端(第2部材の軸方向端面)
35 バリ

Claims (7)

  1. 外周に歯車部を有する軸部を備えた第1部材と、上記軸部の先端に圧入によって固定される筒部を備えた第2部材と、を有する回転部品において、
    上記第1部材の上記軸部の先端が、上記第2部材の軸方向端面より内側となるように配置されていることを特徴とする回転部品。
  2. 前記第2部材の前記筒部の先端部分を、内周の圧接面側が外周の非圧接面側に比べて軸方向内側に凹む傾斜面としたことを特徴とする請求項1記載の回転部品。
  3. 圧入時に発生したバリが、前記第2部材の軸方向端面より突出しないように構成したことを特徴とする請求項1または2記載の回転部品。
  4. 前記第1部材は、段部を境に大径部と小径部とを備え、前記第2部材は、前記軸部の外側にはめ込まれる筒部と、この筒部の一端側から外周方向に突出するフランジ部とを有し、上記筒部を上記小径部の先端に圧入固定することにより、上記段部と上記フランジ部とを軸方向において間隔をあけて対向配置させたことを特徴とする請求項1,2または3記載の回転部品。
  5. 前記第2部材は、中央に孔が設けられた板状部材の前記孔の周囲をプレス加工によって湾曲させて立ち上げ、その立ち上がった部分を前記筒部とし、残りの部分を前記フランジ部とし、かつ前記筒部の前記フランジ部からの突出量を、上記板状部材の板厚寸法の0.5倍以上2倍以下としたことを特徴とする請求項4記載の回転部品。
  6. 外周に歯車部を有する軸部を備えた第1部材を、第2部材の筒部に対して圧入固定することにより一体化される回転部品の製造方法において、
    上記軸部と上記筒部とが接近する方向に相対移動させ、上記筒部に上記軸部を挿入していき、
    上記圧入固定時に発生するバリの先端が、上記筒部の軸方向の先端より軸方向外側に突出しない位置で、その相対移動を停止させることを特徴とする回転部品の製造方法。
  7. 外周に歯車部を有する軸部を備えた第1部材を、第2部材の筒部に対して圧入固定することにより一体化される回転部品の製造方法において、
    上記軸部と上記筒部とが接近する方向に相対移動させ、上記筒部に上記軸部を挿入していき、
    上記軸部の圧入部分の軸方向先端が、上記筒部の軸方向先端との間で間隔を有する位置でその相対移動を停止させることを特徴とする回転部品の製造方法。
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