JP2004269601A - ポリエステル組成物およびフィルム - Google Patents

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良宏 本間
Jun Sakamoto
純 坂本
Masatoshi Aoyama
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Abstract

【課題】ポリエステルフィルムの製造時においてろ圧上昇が少なく、製膜性が良好であり、かつ従来品に比べて異物が少なく、溶融比抵抗も小さく、生産性に優れたポリエステル組成物およびフィルムを提供する。
【解決手段】特定の官能基を置換基として有するチタン化合物をポリエステルに対するチタン原子重量で0.5〜150ppm含有し、アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物をポリエステルに対するアルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子重量の合計量で400〜1,500ppm含有し、リン化合物をポリエステルに対するリン原子重量で0.1〜1,500ppm含有し、かつ、アンチモン化合物のポリエステルに対する含有量がアンチモン原子重量で30ppm以下であるポリエステル組成物とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【従来の技術】
ポリエステルはその機能性の有用さから多目的に用いられており、例えば、衣料用、資材用、医療用に用いられている。その中でも、汎用性、実用性の点でポリエチレンテレフタレートが優れ、好適に使用されている。
【0002】
一般にポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから製造されるが、高分子量のポリマーを製造する商業的なプロセスでは、重縮合触媒としてアンチモン化合物が広く用いられている。しかしながら、アンチモン化合物を含有するポリマーは以下に述べるような幾つかの好ましくない特性を有している。
【0003】
例えば、アンチモン触媒を使用して得られたポリマーを溶融紡糸して繊維とするときに、アンチモン触媒の残渣が口金孔周りに堆積することが知られている。この堆積が進行するとフィラメントに欠点が生じる原因となるため、適時除去する必要が生じる。アンチモン触媒残渣の堆積が生じるのは、ポリマー中のアンチモン化合物が口金近傍で変性し、一部が気化、散逸した後、アンチモンを主体とする成分が口金に残るためであると考えられている。また、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルの製造において、アンチモン化合物を重縮合触媒として使用した場合、ポリエステルを長時間にわたって連続的に製膜すると、口金周辺に異物が付着堆積し、フィルムとした場合に口金筋が発生したり、フィルムの表面に析出して表面欠点の原因となる問題がある。
【0004】
さらに、ポリマー中のアンチモン触媒残渣は比較的大きな粒子状となりやすく、異物となって成形加工時のフィルターの濾圧上昇、紡糸の際の糸切れあるいは製膜時のフイルム破れの原因になるなどの好ましくない特性を有しており、操業性を低下させる一因となっている。
【0005】
上記のような背景からアンチモン含有量が少ないか、あるいは含有しないポリエステルが求められている。そこで、重縮合触媒の役割をアンチモン系化合物以外の化合物に求める場合、触媒としてゲルマニウム化合物が知られているが、ゲルマニウム化合物は非常に高価であり汎用的に用いることは難しい。
【0006】
さらにアンチモン化合物以外の重縮合触媒としてチタンテトラブトキシドなどのようなチタン化合物を用いることも提案されているが、このようなチタン化合物を使用すると上記のような口金筋やフィルムの表面欠点などの問題は解決されるものの、得られたポリエステル自身が黄色く着色し、また、溶融熱安定性も不安定となり、フィルムの破れなどが生じ、生産性の悪化を招くという問題がある。
【0007】
これに対し重合用触媒としてチタン化合物とリン化合物とからなるチタン錯体をポリエステル重合用触媒として用いる提案がされている(特許文献1〜3参照)。この方法によれば触媒に起因した異物を少なくすることができるものの、得られるポリマーの色調は十分なものではなく、さらに溶融比抵抗が大きくフィルムとして使用した場合に生産性が大きくないという問題があった。従って、チタン化合物においてもさらなる改善が求められている。
【0008】
【特許文献1】特表2001−524536号公報
【0009】
【特許文献2】特表2002−512267号公報
【0010】
【特許文献3】特開2002−293909号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題を解決し、ポリエステルフィルムの製造時においてろ圧上昇が少なく、製膜性が良好であり、かつ従来品に比べて異物が少なく、溶融比抵抗も小さく、生産性に優れたポリエステル組成物およびフィルムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明は、化学式(I)〜(VI)で表される官能基からなる群から選ばれる少なくとも1種を置換基として有するチタン化合物をポリエステルに対するチタン原子重量で0.5〜150ppm含有し、アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物をポリエステルに対するアルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子重量の合計量で400〜1,500ppm含有し、リン化合物をポリエステルに対するリン原子重量で0.1〜1,500ppm含有し、かつ、アンチモン化合物のポリエステルに対する含有量がアンチモン原子重量で30ppm以下であるポリエステル組成物を特徴とする。
【0013】
【化7】
Figure 2004269601
【0014】
【化8】
Figure 2004269601
【0015】
【化9】
Figure 2004269601
【0016】
【化10】
Figure 2004269601
【0017】
【化11】
Figure 2004269601
【0018】
【化12】
Figure 2004269601
【0019】
(ただし、式(I)〜(VI)において、R〜Rはそれぞれ独立に以下に示すいずれかの基。
【0020】
水素
炭素数1〜30の有機基)
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステル組成物はジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーであれば特に限定はない。繊維、フィルム、ボトル等の成形品として用いることができるものが好ましい。
【0022】
このようなポリエステル組成物としては、全酸成分に対して共重合成分を含有していてもよい。具体的には、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
【0023】
本発明は、なかでも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたは主としてエチレンテレフタレート単位を含むポリエステル共重合体において好適である。
【0024】
また、本発明のポリエステル組成物には、ジオール成分の共重合成分を含有してもよい。具体的には、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等またはそのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0025】
本発明のポリエステル組成物においては、以下の化学式(I)〜(VI)で表される官能基からなる群から選ばれる少なくとも1種を置換基として有するチタン化合物を含んでいる。なおこのチタン化合物は、触媒、特に重縮合触媒として、用いることが好ましい。
【0026】
【化13】
Figure 2004269601
【0027】
【化14】
Figure 2004269601
【0028】
【化15】
Figure 2004269601
【0029】
【化16】
Figure 2004269601
【0030】
【化17】
Figure 2004269601
【0031】
【化18】
Figure 2004269601
【0032】
(ただし、式(I)〜(VI)において、R〜Rはそれぞれ独立に以下に示すいずれかの基。
【0033】
水素
炭素数1〜30の有機基)
なお、上記の炭素数1〜30の有機基としては、その構造中にアルキル基、アルコキシ基、水酸基、カルボニル基、アセチル基、カルボキシル基、エステル基およびアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を含んでいることが好ましい。
【0034】
また、好ましい態様としては、チタン化合物としてこれら式(I)〜式(VI)で表される置換基の2種以上を含んでなるチタンジイソプロポキシビスアセチルアセトナートやチタントリエタノールアミネートイソプロポキシド等がある。
【0035】
なお、チタン化合物が置換基として式(I)〜式(III)で表される官能基を有し、式(I)〜式(III)におけるR〜Rが、それぞれ独立に水素または炭素数1〜30の有機基であると、置換基が立体障害になりPET主鎖を拘束し熱分解を抑制するため好ましい。
【0036】
また、式(I)〜式(III)におけるR〜Rの少なくとも1つの置換基が、水素であるか、または水酸基であるか、またはアルキル基、アルコキシ基、水酸基、カルボニル基、アセチル基、カルボキシル基、エステル基およびアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を含んでいる炭素数が1〜30の有機基である場合には、置換基が立体障害となりPET主鎖を拘束し好ましいが、さらに官能基が水酸基、カルボニル基、アセチル基、カルボキシル基などの極性基であると、PETのカルボニル基と親和性が良く、強い立体障害効果を発現できるためより好ましい。
【0037】
さらに、チタン化合物が置換基として式(I)で表される官能基を有し、式(I)におけるR〜Rの少なくとも1つの置換基が、水素であるか、またはアルキル基、カルボキシル基およびエステル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数1〜30の有機基であると、チタンと配位子の結合がより強固となり、上記の効果が強化され耐熱性が良好となる。
【0038】
また、チタン化合物が置換基として式(IV)で表される官能基を有し、式(IV)におけるRが炭素数1〜30の有機基であると、耐熱性の点で好ましい。この場合、炭素数1〜30の有機基としては、その構造中にアルキル基、アルコキシ基、水酸基、カルボニル基、アセチル基、カルボキシル基、エステル基およびアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を含んでいることが好ましい。
【0039】
具体的には、式(I)で表される基としては、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、ブトキシド、2−エチルヘキソキシド等のアルコキシ基、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等を主骨格とするヒドロキシ多価カルボン酸などの官能基が挙げられる。
【0040】
また、式(II)で表される基としては、アセチルアセトン等のβ−ジケトン系化合物、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル系化合物を主骨格とする官能基が挙げられる。
【0041】
また、式(III)で表される基としては、フェノキシ、クレシレイト、サリチル酸等を主骨格とする官能基が挙げられる。
【0042】
また、式(IV)で表される基としては、ラクテート、ステアレート等のアシレート基、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸またはそれらの無水物等の多価カルボン酸系化合物、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等の含窒素多価カルボン酸を主骨格とする官能基が挙げられる。
【0043】
また、式(V)で表される基としては、アニリン、フェニルアミン、ジフェニルアミン等を主骨格とする官能基が挙げられる。
【0044】
中でも式(I)及び/または式(IV)で表される基が含まれていることがポリマーの熱安定性及び色調の観点から好ましい。
【0045】
なお、本発明において触媒とは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーにおいて、以下の(1)〜(3)の反応全てまたは一部の素反応の反応促進に実質的に寄与する化合物を指す。
(1)ジカルボン酸成分とジオール成分との反応であるエステル化反応
(2)ジカルボン酸のエステル形成性誘導体成分とジオール成分との反応であるエステル交換反応
(3)実質的にエステル反応またはエステル交換反応が終了し、得られたポリエチレンテレフタレート低重合体を脱ジオール反応にて高重合度化せしめる重縮合反応
なお、チタン化合物としてチタン酸化物を用いてもよい。このチタン酸化物としては、主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物や超微粒子酸化チタンが挙げられる。
【0046】
主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物及び超微粒子酸化チタンの製造方法は、特に限定されないが、例えば、チタンのアルコキシド化合物を原料として、加水分解反応により製造する方法において、この加水分解の速度を制御することによって得られる。具体的には、例えば主原料であるチタンアルコキシド化合物に対して、ケイ素やジルコニウム等の少量の他の金属アルコキシド化合物や多価アルコール化合物を共存させ、両者の共沈法、部分加水分解法、配位化学ゾル・ゲル法等によって合成することができる。ここで共沈法とは2種あるいはそれ以上の成分を含有する所定の組成の溶液を調製し、その組成のまま加水分解反応を進行させる方法である。また、部分加水分解法とは、一方の成分をあらかじめ加水分解した状態としておき、そこへもう一方の成分を加えさらに加水分解を進行させる方法である。また、配位化学ゾル・ゲル法とは、チタンアルコキシド原料とともに分子内に官能基を複数持つ多価アルコール化合物等を共存させ、両者の間であらかじめ反応物を形成させることによって、その後の加水分解反応の速度を制御しようとするものである。以上のような化合物の合成方法は、例えば、上野ら、「金属アルコキシドを用いる触媒調製」、第321頁第1行〜第353頁第16行、(アイピーシー、1993年8月10日発行)等に記載されている。なお、触媒として用いる超微粒子酸化チタンは分子量が100,000(g/mol)より小さいと触媒活性、異物抑制の点で好ましい。超微粒子酸化チタンの分子量はより好ましくは500〜100,000(g/mol)、更に好ましくは1,000〜50,000(g/mol)、特に好ましくは1,500〜20,000(g/mol)である。
【0047】
本発明における重縮合用触媒としてのチタン化合物は、得られるポリマー重量(ポリエステル)に対してチタン原子重量として0.5〜150ppm含まれていると重合活性が高く、得られるポリマーの色調及び耐熱性も良好となり好ましい。150ppmを超える量を含有していると耐熱性が悪化し、さらに触媒起因の異物の要因となる。含有量として、より好ましくは1〜50ppm、更に好ましくは1〜20ppmである。これらチタン化合物の所定量をポリマに含有させるためには、それら化合物の添加時に所定量を添加すればよい(添加量がそのままポリマ中に保持される)。
【0048】
また、本発明のポリエステル組成物は、アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物をポリエステルに対するアルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子重量の合計量で400〜1,500ppm含有している。これは、たとえば、ポリエステルの製造時の任意の時点でアルカリ、アルカリ土類金属化合物をポリエステルに対するアルカリ、アルカリ土類金属化合物原子合計重量で400〜1,500ppm添加することにより実現でき、これにより溶融比抵抗が減少し生産性を向上させることができる。この含有量は、500〜1,000ppmが特に生産性が良好でかつ耐熱性も維持できて好ましい。
【0049】
アルカリ、アルカリ土類金属化合物としては、特に限定されないが具体的には、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウムなどを用いることができる。そして、ナトリウム化合物、マグネシウム化合物が特に好ましく、これらの併用系でも構わない。この場合に用いるナトリウム、マグネシウム化合物としては特に限定はないが、具体的には、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、臭化ナトリウム、臭化マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、ナトリウムアセチルアセトネート、マグネシウムアセチルアセトネート、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ナトリウム四水塩、酢酸マグネシウム四水塩、酢酸ナトリウム二水塩、酢酸マグネシウム二水塩等が挙げられる。
【0050】
また、本発明のポリエステル組成物には、上記チタン化合物と共に、リン化合物をポリエステルに対するリン原子重量で0.1〜1,500ppm含有している。なお、製糸時におけるポリエステルの熱安定性や色調の観点からリン含有量は、100〜800ppmが好ましく、さらに好ましくは200〜800ppmである。
【0051】
なお、本発明のポリエステルに含有されるリンは、ポリエステルの製造過程でリン化合物として添加されることが好ましい。このようなリン化合物としてはリン酸系、亜リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系、ホスフィンオキサイド系、亜ホスホン酸系、亜ホスフィン酸系、ホスフィン系のいずれか1種または2種であることが好ましい。具体的には、例えば、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル等のリン酸系、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸系、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アントリルホスホン酸、2−カルボキシフェニルホスホン酸、3−カルボキシフェニルホスホン酸、4−カルボキシフェニルホスホン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、メチルホスホン酸ジエチルエステル、エチルホスホン酸ジメチルエステル、エチルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジフェニルエステル、ベンジルホスホン酸ジメチルエステル、ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、ベンジルホスホン酸ジフェニルエステル、リチウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ナトリウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、マグネシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、カルシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ジエチルホスホノ酢酸、ジエチルホスホノ酢酸メチル、ジエチルホスホノ酢酸エチル等のホスホン酸系化合物、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、メチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸、プロピルホスフィン酸、イソプロピルホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、トリルホスフィン酸、キシリルホスフィン酸、ビフェニリルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ジイソプロピルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、ジトリルホスフィン酸、ジキシリルホスフィン酸、ジビフェニリルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アントリルホスフィン酸、2−カルボキシフェニルホスフィン酸、3−カルボキシフェニルホスフィン酸、4−カルボキシフェニルホスフィン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,6−トリカルボキフェニルホスフィン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、ビス(2−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3−ジカルボキルシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,6−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,4−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、及びビス(2,4,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、メチルホスフィン酸メチルエステル、ジメチルホスフィン酸メチルエステル、メチルホスフィン酸エチルエステル、ジメチルホスフィン酸エチルエステル、エチルホスフィン酸メチルエステル、ジエチルホスフィン酸メチルエステル、エチルホスフィン酸エチルエステル、ジエチルホスフィン酸エチルエステル、フェニルホスフィン酸メチルエステル、フェニルホスフィン酸エチルエステル、フェニルホスフィン酸フェニルエステル、ジフェニルホスフィン酸メチルエステル、ジフェニルホスフィン酸エチルエステル、ジフェニルホスフィン酸フェニルエステル、ベンジルホスフィン酸メチルエステル、ベンジルホスフィン酸エチルエステル、ベンジルホスフィン酸フェニルエステル、ビスベンジルホスフィン酸メチルエステル、ビスベンジルホスフィン酸エチルエステル、ビスベンジルホスフィン酸フェニルエステル等のホスフィン酸系、トリメチルホスフィンオキサイド、トリエチルホスフィンオキサイド、トリプロピルホスフィンオキサイド、トリイソプロピルホスフィンオキサイド、トリブチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド系、メチル亜ホスホン酸、エチル亜ホスホン酸、プロピル亜ホスホン酸、イソプロピル亜ホスホン酸、ブチル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸等の亜ホスホン酸系、メチル亜ホスフィン酸、エチル亜ホスフィン酸、プロピル亜ホスフィン酸、イソプロピル亜ホスフィン酸、ブチル亜ホスフィン酸、フェニル亜ホスフィン酸、ジメチル亜ホスフィン酸、ジエチル亜ホスフィン酸、ジプロピル亜ホスフィン酸、ジイソプロピル亜ホスフィン酸、ジブチル亜ホスフィン酸、ジフェニル亜ホスフィン酸等の亜ホスフィン酸系、メチルホスフィン、ジメチルホスフィン、トリメチルホスフィン、メエルホスフィン、ジエチルホスフィン、トリエチルホスフィン、フェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン系が挙げられ、これらのいずれか1種または2種であることが好ましい。特に熱安定性及び色調改善の観点から、リン酸系及び/またはホスホン酸系であることが好ましい。
【0052】
また、本発明のポリエステル組成物には、アンチモン化合物が含まれないか、あるいはポリエステルに対する含有量がアンチモン原子重量で30ppm以下である。この範囲とすることで、成形加工時の口金汚れの発生等が少なく、かつ比較的安価なポリマーを得ることができる。より好ましくは、10ppm以下、特には実質的に含有しないことが好ましい。
【0053】
本発明で用いるチタン化合物及びリン化合物は、ポリエステルの反応系にそのまま添加してもよいが、予めエチレングリコールやプロピレングリコール等のポリエステルを形成するジオール成分を含む溶媒と混合し、溶液またはスラリーとし、必要に応じてチタン化合物またはリン化合物合成時に用いたアルコール等の低沸点成分を除去した後、反応系に添加すると、ポリマー中での異物生成がより抑制されるため好ましい。添加時期はエステル化反応触媒やエステル交換反応触媒として、原料添加直後に触媒を添加する方法や、原料と同伴させて添加する方法がある。また、重縮合反応触媒として添加する場合は、実質的に重縮合反応開始前であればよく、エステル化反応やエステル交換反応の前、あるいは反応終了後、重縮合反応触媒が開始される前に添加してもよい。この場合、チタン化合物とリン化合物が接触することによる触媒の失活を抑制するために、異なる反応槽に添加する方法や、同一の反応槽においてチタン化合物とリン化合物の添加間隔を1〜15分とする方法や添加位置を離す方法がある。
【0054】
また、本発明においてチタン化合物を予めリン化合物と反応させたものを触媒として用いることもできる。この場合には、(1)チタン化合物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合溶液にリン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下する。(2)ヒドロキシカルボン酸系化合物や多価カルボン酸系化合物等のチタン化合物の配位子を用いる場合は、チタン化合物または配位子化合物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合溶液に配位子化合物またはチタン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下する。また、この混合溶液にさらにリン化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下すると、熱安定性及び色調改善の観点から好ましい。上記の反応条件は0〜200℃の温度で1分以上、好ましくは20〜100℃の温度で2〜100分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力には特に制限はなく、常圧でも良い。また、ここで用いる溶媒としては、チタン化合物、リン化合物及びカルボニル基含有化合物の一部または全部を溶解し得るものから選択することができるが、好ましくは、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ベンゼン、キシレンから選ばれる。
【0055】
また、得られるポリマーの色調やポリマーの耐熱性を向上させる目的で、鉄化合物、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、スズ化合物等を添加してもよい。
【0056】
さらに、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、カーボンブラック等の顔料のほか、着色防止剤、安定剤、抗酸化剤等の添加剤を含有しても差支えない。
【0057】
また、本発明のポリエステル組成物には蛍光増白剤、たとえば、“Plastics Additives Handbook”,Ed.R.Gacher and H.Muller,Hanser verlag,3rd Ed.,1990 P775−789”に列挙されているような蛍光増白剤を添加することにより色調を改善することも可能である。
【0058】
さらに、アゾ系、トリフェニルメタン系、キノリン系、メチン系、ジオキサジン系、キナクリドン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系などの有機青色顔料および無機青色顔料の1種以上からなる整色剤を添加することができる。
【0059】
上記したポリエステル組成物は、フィルムとして好適に用いることができる。
【0060】
中でも、主層と副層とを有する積層フィルムとすることが好ましい。積層フィルムは、例えば、ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ溶融し製造することができる。この場合、溶融温度は特に限定されず、ポリエステル(A)、(B)を口金から押し出しするのに支障の無い温度であればよい。次いで、溶融されたポリエステル(A)、(B)の両者を積層し、積層シートを形成する。積層方法はポリエステル(A)、(B)を押し出し機から口金までの間、あるいは、口金内などで合流積層させ、積層シートとして口金から吐出させる方法、いわゆる共押し出し法、あるいは、相異なるスリット状の口金からポリエステル(A)、(B)をそれぞれシート状にして吐出させ、その両者を積層する方法などいずれであっても良いが、共押し出し法が好ましい。なお、積層シートの層構成は少なくとも、ポリエステル(A)、(B)が積層されておればよいが、(A)/(B)二層構成や、(A)/(B)/(A)、(B)/(A)/(B)、の三層構成を採ることもできる。特に、三層構成が好ましい。
【0061】
なお、主層と、主層にたいして厚みの小さい副層とが積層された層構成を有している場合、前記副層が本発明のポリエステル組成物を含み、前記副層の厚みが全体の厚みの1/200〜4/10である積層ポリエステルフィルムとすることが好ましい。副層が1/200未満では製造されたフィルムの耐電圧が低下し、また、4/10を超える場合はシートの厚さむらが大きくなるため静電印加キャスト速度が低下する。かくして得られた積層シートを、種々の移動冷却体、好ましくは回転ドラムで引き取ると共に、シートに静電荷を析出させて移動冷却体で冷却固化する。シートに静電荷を析出する方法はいずれの方法であっても良い。たとえば、口金と移動冷却体間の近傍で、かつ、シートが移動冷却体と接しない側のシート面上にワイヤ電極を設け、そのワイヤ電極と移動冷却体との間に電圧を印加する方法などを用いることができる。冷却固化された積層シート、すなわち、未延伸シートは次いで、種々の延伸法、たとえば、ロール延伸法あるいはテンター延伸法により一軸もしくは二軸に延伸しこれを巻き取る。延伸の順序は逐次でも同時でもいずれでも良い。
【0062】
次に、本発明のポリエステル組成物の製造方法を説明する。具体例としてポリエチレンテレフタレートの例を記載するがこれに限定されるものではない。
【0063】
ポリエチレンテレフタレートは通常、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスである。ここでエステル化反応は無触媒でも反応は進行するが、前述のチタン化合物を触媒として添加してもよい。また、エステル交換反応においては、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム等の化合物や前述のチタン化合物を触媒として用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加することが行われる。
【0064】
本発明の製造方法は、(1)または(2)の一連の反応の任意の段階、好ましくは(1)または(2)の一連の反応の前半で得られた低重合体に、各種の添加物を添加した後、重縮合触媒として前述のチタン化合物を添加し重縮合反応を行い、高分子量のポリエチレンテレフタレートを得るというものである。
【0065】
また、上記の反応は回分式、半回分式あるいは連続式等の形式に適応し得る。
【0066】
また、ポリエステル組成物を例えばフィルムとして使用する場合、ポリエステル組成物の溶融比抵抗の値が5×10Ω・cm未満であることが好ましい。好ましくは3×10Ω・cm未満、特に好ましくは1×10Ω・cm未満である。溶融比抵抗の値が5×10Ω・cm以上であると、制電印加キャスト性が不良となり、溶融押し出しキャスト時にフィルムとキャスティングドラムとの間に空気が入りやすくなり、製膜速度を下げざるを得ない状況になりやすく、生産性の低下を招く。また、1×10Ω・cm以上ならば熱安定性の点で好ましい。上記式を満足させるために用いるアルカリ金属元素含有化合物やアルカリ土類金属元素含有化合物としては、特に限定されないが具体的には、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウムなどを用いることができる。
【0067】
特に好ましいのは本発明のポリエステル組成物を副層に含む積層ポリエステルフィルムとした場合である。副層を構成する樹脂(ポリエステル)の溶融比抵抗が5×10Ω・cm〜20×10Ω・cmならば磁気記録媒体用ベースフィルム、特に蒸着用またはメタル用ベースフィルムとして好適である。また、1×10Ω・cm〜10×10Ω・cmならば、コンデンサー用ベースフィルムとして好適である。主層を構成する樹脂(ポリエステル)の溶融比抵抗は副層を構成する樹脂(ポリエステル)よりも高いことが好ましいが、5×10Ω・cm以上、特に好ましくは10×10Ω・cm以上であると積層フィルムの熱安定性が改良され、フィッシュアイの生成を抑える効果があるため好適である。さらに本発明のポリエステル組成物を副層として用いた場合、副層のを構成するポリエステル組成物の厚みは、積層フィルム全体の厚みの1/200〜4/10であることが好ましい。副層の厚みが1/200未満の場合、静電印加キャスト性が低下し、製膜生産性の低下や印加むらを発生させる傾向がある。一方、副層の厚みが4/10を超える場合には、静電印加キャスト性は改良されるものの、熱安定性が低下し、ゲル状異物を生成させやすい。本発明の積層フィルムの厚みは特に限定されないが、好ましくは0.5〜100μm、特に1〜80μmが好ましい。
【0068】
本発明の製造方法で得られるフィルムは、コンデンサー用ベースフィルム、電気絶縁用ベースフィルムに特に適しているが、そのほか、写真用ベースフィルム、蒸着用ベースフィルム、包装用ベースフィルム、粘着テープ用ベースフィルム、磁気テープ用ベースフィルム、光学用ベースフィルムにも使用される。
【0069】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
【0070】
(1)ポリエチレンテレフタレート中のチタン元素、マグネシウム元素、アンチモン元素及びゲルマニウム元素の含有量
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)により求めた。なお、必要に応じて、対象となるポリエチレンテレフタレート中の酸化チタン粒子等の無機粒子の影響を除去するために次の前処理をした上で蛍光X線を行った。すなわち、ポリエチレンテレフタレートをオルソクロロフェノールに溶解し、必要に応じてクロロホルムで該ポリマー溶液の粘性を調製した後、遠心分離器で粒子を沈降させる。その後、傾斜法で上澄み液のみを回収し、アセトン添加によりポリマーを再析出、濾過、洗浄して粒子を除去したポリマーとする。以上の前処理を施して得られた粒子を除去したポリマーについてチタン元素量、アンチモン元素及びゲルマニウム元素の分析を行った。
【0071】
(2)ポリマーの固有粘度(η)
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。以降ηと記す。
【0072】
(3)融点
測定する試料10mgを精秤し、アルミニウム製オープンパン及びパンカバーを用いて封入し、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製、DSC7型)を用いて、窒素気流下、20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温させ、その途中で観察される融点ピーク温度を融点とした。
【0073】
(4)溶液ヘイズ
測定する試料約2gをオルソクロロフェノール20mLに溶解させ、ヘイズメーター(スガ試験機(株)社製,HGM−2DP型)を用い、積分球式光電光度法にて分析を行った。なお、対象となるポリエチレンテレフタレート中の酸化チタン粒子等の無機粒子の影響を除去するため、上記(1)記載と同様な前処理を施してポリマーを得た。
【0074】
なお、溶液ヘイズが1%より小さければ異物の含有率が少なく、製膜性に優れたポリマーであるといえる。
【0075】
(5)ポリマーの色調
スガ試験機(株)社製の色差計(SMカラーコンピュータ形式SM−3)を用いて、ハンター値(L、a、b値)として測定した。
【0076】
(6)ポリマーのゲル化率(%)
ポリマーチップ2g程度を フリーザミルで凍結粉砕し#42(350μ以下)でふるいわけし、減圧乾燥(100℃、40分、圧力133Pa)、秤量(1.0±0.01g)後、熱処理(2.5時間、300℃、大気下)流量100ml/分)を行う。
【0077】
熱処理終了後、80℃×0.5hrで溶解し(オルソクロロフェノール)、ガラスフィルター(3G3)でろ過し、ジクロロメタン50〜100ml程度で洗浄し、減圧乾燥(110℃×2.0hr、圧力133Pa)し、フィルター上のろ上物を秤量し、処理ポリマーの重量に対するゲル化率(%)を算出した。
【0078】
(7)異物数
クラス100のクリーンルームにてチップを(濃塩酸:純水=1:1)で1分間超音波洗浄した後、純水で1分間超音波洗浄し、その後、ホットプレート上のカバーガラス上で融解し、気泡が入らないようにカバーガラスを載せてサンプルを作成し、キーエンス社製デジタル顕微鏡(VHZ−450)を用いて暗視野法(450倍)で4視野測定しその平均で観察した。1μm以上の欠点を異物と判断した。視野面積0.0034cm、厚み約40μmから0.02mgチップ中の異物を測定している。
【0079】
(8)フィルムの粗大突起数H1、H2
測定面(100cm)同士を2枚重ね合わせて静電気力(印加電圧5.4kV)で密着させた後、2枚のフィルム間で粗大突起の光の干渉によって生じるニュートン環から粗大突起の高さを判定し、1重環以上の粗大突起数をH1、2重環以上の粗大突起数をH2とした。なお、光源はハロゲンランプに564nmのバンドパスフィルタをかけて用いた。
【0080】
ただし、上記測定面積で測定困難である場合には、測定面積を適宜変更し、100cmに換算しても良い。(例えば、測定面積1cmとして、50視野について測定し、100cmに換算する。)
また、上記手法での測定が困難である場合は、3次元粗さ計(小坂研究所製SE−3AK:下記条件で、フィルム幅方向に走査して50回測定を行う。触針先端半径2μm、触針荷重0.07g、測定面積幅0.5mm×長さ15mm(ピッチ0.1mm)、カットオフ値0.08mm)を用いて、高さ0.28μm以上の突起個数と高さ0.56μm以上の突起個数を測定し、100cmに換算することによって、H1、H2を求めても良い。さらに、必要に応じて、原子間力顕微鏡(AFM)や4検出式SEMなど種々のフィルム表面の突起個数測定手法を併用しても良い。
【0081】
(9)溶融比抵抗:
銅板2枚を電極として、間にテフロン(登録商標)のスペーサーを挟んで銅板22cm、銅板間隔9mmの電極を作成する。この電極を290℃で溶融したポリマー中に沈め、電極間に5,000Vの電圧を加えたときの電流量から抵抗値を算出した。
【0082】
(10)静電印加キャスト性
溶融押し出ししたフィルムの上部に設置した電極と回転冷却体間に6kvの直流電圧を印加し、キャスト速度を少しずつ上昇させ、印加ムラが発生したときのキャスト速度(m/min)を判定し、次の基準に従って判定した。B以上を合格とした。
【0083】
60 m/min以上 S
50〜60 m/min未満 A
40〜50 m/min未満 B
30〜40 m/min未満 C
30 m/min未満 D
(11)フィルムのフィッシュアイ
フィルムを100倍の偏光顕微鏡を用いて、ポリマー中の異物に基づく高さ0.25μ以上の魚目状に延伸された欠点の存在箇所を測定し、次のようにランク付けした。
【0084】
Figure 2004269601
B以上を合格とした。
【0085】
(実施例1)
A.ポリエチレンテレフタレートの製造
高純度テレフタル酸(三井化学社製)100kgとエチレングリコール(日本触媒社製)45kgのスラリーを予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約123kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×10Paに保持されたエステル化反応槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、このエステル化反応生成物の123kgを重縮合槽に移送した。
【0086】
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に、酢酸マグネシウムのエチレングリコール溶液を得られるポリマーに対して、マグネシウム原子重量で500ppmとなるように加えた。更に5分間撹拌した後、{触媒i}を得られるポリマーに対してチタン原子重量で10ppmとなるように添加し、5分後、エチルジエチルホスホノアセテートの10重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してリン原子重量で600ppmとなるように添加し、その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリマーのペレットを得た。(ポリエステル組成物a)なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は3時間であった。
【0087】
得られたポリマーのηは0.66、ポリマーの融点は259℃、溶液ヘイズは0.7%であった。また、ポリマーから測定したチタン触媒由来のチタン原子の含有量は10ppm、リン原子の含有量は600ppmであり、アンチモン原子の含有量は0ppmであることを確認した。
【0088】
(実施例2〜10)
実施例1で用いた触媒iの代わりとして(触媒ii〜x)を用いるほかはすべて実施例1と同様にしてポリマーのペレット(ポリエステル組成物b〜j)を得た。得られたポリマー物性を表1に示す。
【0089】
(参考例1)
高純度テレフタル酸(三井化学社製)100kgとエチレングリコール(日本触媒社製)45kgのスラリーを予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約123kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×10Paに保持されたエステル化反応槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、このエステル化反応生成物の123kgを重縮合槽に移送した。
【0090】
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に、{触媒i}を得られるポリマーに対してチタン原子重量で10ppmとなるように添加し、5分後、エチルジエチルホスホノアセテートの10重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してリン原子重量で6ppmとなるように添加し、その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリマーのペレットを得た。(ポリエステル組成物k)
(比較例1)
触媒に三酸化アンチモン(住友金属鉱山社製)を、得られるポリマーに対してアンチモン原子重量で200ppm添加したこと以外は実施例1と同様にして重合しポリマーのペレットを得た。(ポリエステル組成物l)
得られたポリマー物性を表1に示す。
【0091】
(比較例2)
触媒にテトラブチルチタネート(マツモト製薬社製)を、得られるポリマーに対してチタン原子重量で10ppm添加したこと以外は実施例1と同様にして重合しポリマーのペレットを得た。(ポリエステル組成物m)
得られたポリマー物性を表1に示す。
【0092】
(実施例11)
押出機2台を用い、参考例1で得られたポリエステル組成物kを180℃で3時間、133Paで減圧乾燥して280℃に加熱された押出機Aに供給した。また、実施例1で得たポリエステル組成物aを180℃で3時間、133Paで減圧乾燥して280℃に加熱された押出機Bに供給した。Tダイ中で合流させ、二層ダイからキャスティングドラム上に溶融押出して、表面温度25℃のキャストドラム上に静電印加6KVの直流電圧をかけながら融着させて急冷固化し、A/B型(厚み比100/1)の二層未延伸フィルムとした。次いで、この未延伸フィルムをロール式延伸機にて90℃で縦に3.5倍、さらに、テンターを用いて、105℃で横に3.5倍ずつ延伸し、定長下で温度200℃で10秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、厚み12μmの積層ポリエステルフィルムを得た(B層の積層厚み0.12μm)。製膜性は良好であった。こうして得られたフィルムは、粗大突起が少なく、色調が良好であった。結果を表2に示す。
【0093】
(実施例12〜20)
実施例11で用いたポリエステル組成物aの代わりとしてポリエステル組成物b〜jを用いるほかはすべて実施例11と同様にしてポリエステルフィルムを得た。結果を表2に示す。
【0094】
(実施例21)
押出機2台を用い、参考例1で得られたポリエステル組成物kを180℃で3時間、133Paで減圧乾燥して280℃に加熱された押出機Aに供給した。また、実施例4で得たポリエステル組成物dを5重量部 参考例1のポリエステル組成物Kを95重量部混合し、180℃で3時間、133Paで減圧乾燥して280℃に加熱された押出機Bに供給した。Tダイ中で合流させ、二層ダイからキャスティングドラム上に溶融押出して、表面温度25℃のキャストドラム上に静電印加6KVの直流電圧をかけながら融着させて急冷固化し、A/B型(厚み比10/1)の二層未延伸フィルムとした。次いで、この未延伸フィルムをロール式延伸機にて90℃で縦に3.5倍、さらに、テンターを用いて、105℃で横に3.5倍ずつ延伸し、定長下で温度200℃で10秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、厚み12μmの積層ポリエステルフィルムを得た(B層の積層厚み1.2μm)。製膜性は良好であった。こうして得られたフィルムは、粗大突起が少なく、色調が良好であった。結果を表2に示す。
【0095】
(比較例3)
実施例11で用いたポリエステル組成物aの代わりとしてポリエステル組成物lを用いるほかはすべて実施例11と同様にしてポリエステルフィルムを得た。結果を表2に示す。
【0096】
(比較例4)
実施例11で用いたポリエステル組成物aの代わりとしてポリエステル組成物mを用いるほかはすべて実施例11と同様にしてポリエステルフィルムを得た。結果を表2に示す。
【0097】
(比較例5)
実施例21で用いたポリエステル組成物dの代わりとしてポリエステル組成物kを用いるほかはすべて実施例21と同様にしてポリエステルフィルムを得た。結果を表2に示す。
【0098】
なお、以下に触媒の合成方法を記す。
【0099】
(触媒i.クエン酸キレートチタン化合物の合成方法)
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を減圧下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして減圧下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。{触媒i}
(触媒ii.クエン酸キレートチタン化合物(フェニルホスホン酸混合)の合成方法)
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を減圧下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして減圧下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。この混合溶液に対し、フェニルホスホン酸(158g、1.00モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量2.49重量%)。{触媒ii}
(触媒iii.クエン酸キレートチタン化合物(フェニルホスホン酸、リン酸混合)の合成方法)
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を減圧下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして減圧下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。この混合溶液に対し、フェニルホスホン酸(158g、1.00モル)及びリン酸の85重量/重量%水溶液(39.9g、0.35モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量3.36重量%)。{触媒iii}
(触媒iv.乳酸キレートチタン化合物の合成方法)
乳酸チタン化合物:“オルガチックスTC−310”(登録商標 マツモト製薬社製)(261g、1.00モル)に滴下漏斗からクエン酸(384g 2.00モル)とエチレングリコール(218g、3.51モル)混合溶液を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして減圧下で加熱して水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。{触媒iv}
(触媒v.乳酸キレートチタン化合物(フェニルホスホン酸混合)の合成方法)
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。この混合溶液に対し、フェニルホスホン酸(158g、1.00モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量4.23重量%)。{触媒v}
(触媒vi.乳酸キレートチタン化合物(フェニルホスホン酸、リン酸混合)の合成方法)
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。この混合溶液に対し、フェニルホスホン酸(158g、1.00モル)及びリン酸の85重量/重量%水溶液(39.9g、0.35モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量5.71重量%)。{触媒vi}
(触媒vii.チタンアルコキシド化合物の合成方法)
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(496g、8.00モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応フラスコに、NaOH(125g、1.00モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えて透明な黄色の液体を得た(Ti含有量4.44重量%)。{触媒vii}
(触媒viii.チタンアルコキシド化合物(リン酸混合)の合成方法)
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(496g、8.00モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応フラスコに、NaOH(125g、1.00モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えて透明な黄色の液体を得た(Ti含有量4.44重量%)。この混合溶液に対し、リン酸の85重量/重量%水溶液(114g、1.00モル)を加えた(P含有量2.87重量%)。{触媒viii}
(触媒ix.チタンアルコキシド化合物(ジエチルホスホノ酢酸エチル混合)の合成方法)
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(496g、8.00モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応フラスコに、NaOH(125g、1.00モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えて透明な黄色の液体を得た(Ti含有量4.44重量%)。この混合溶液に対し、ジエチルホスホノ酢酸エチル(224g、1.00モル)を加えることで、リン化合物を含有するチタン化合物を得た(P含有量2.87重量%)。{触媒 ix}
(触媒x.アコーディス社製のチタン及びケイ素からなる複合酸化物)
アコーディス社製のチタン及びケイ素からなる複合酸化物(商品名:C−94、以降Ti/Si複合酸化物と記す)の0.15重量%エチレングリコール溶液{触媒 x}
【0100】
【表1】
Figure 2004269601
【0101】
【表2】
Figure 2004269601
【0102】
【発明の効果】
本発明のポリエステル組成物とすることにより、その製造においてろ圧上昇や口金汚れなどの問題が解消される。

Claims (8)

  1. 化学式(I)〜(VI)で表される官能基からなる群から選ばれる少なくとも1種を置換基として有するチタン化合物をポリエステルに対するチタン原子重量で0.5〜150ppm含有し、アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物をポリエステルに対するアルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子重量の合計量で400〜1,500ppm含有し、リン化合物をポリエステルに対するリン原子重量で0.1〜1,500ppm含有し、かつ、アンチモン化合物のポリエステルに対する含有量がアンチモン原子重量で30ppm以下であるポリエステル組成物。
    Figure 2004269601
    Figure 2004269601
    Figure 2004269601
    Figure 2004269601
    Figure 2004269601
    Figure 2004269601
    (ただし、式(I)〜(VI)において、R〜Rはそれぞれ独立に以下に示すいずれかの基。
    水素
    炭素数1〜30の有機基)
  2. チタン化合物が置換基として式(I)〜式(III)で表される官能基を有し、式(I)〜式(III)におけるR〜Rが、それぞれ独立に水素または炭素数1〜30の有機基である、請求項1に記載のポリエステル組成物。
  3. 式(I)〜式(III)におけるR〜Rの少なくとも1つの置換基が、水素であるか、または水酸基であるか、またはアルキル基、アルコキシ基、水酸基、カルボニル基、アセチル基、カルボキシル基、エステル基およびアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数が1〜30の有機基である、請求項2記載のポリエステル組成物。
  4. チタン化合物が置換基として式(I)で表される官能基を有し、式(I)におけるR〜Rの少なくとも1つの置換基が、水素であるか、またはアルキル基、カルボキシル基およびエステル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数1〜30の有機基である、請求項1記載のポリエステル組成物。
  5. チタン化合物が置換基として式(IV)で表される官能基を有し、式(IV)におけるRが炭素数1〜30の有機基である、請求項1記載のポリエステル組成物。
  6. 溶融比抵抗の値が5×10Ω・cm未満である、請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル組成物を含むポリエステルフィルム。
  8. 主層と、この主層よりも厚みの小さい副層とが積層された層構成を有し、前記副層が請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル組成物を含み、前記副層の厚みが全体の厚みの1/200〜4/10である積層ポリエステルフィルム。
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