JP2004250394A - 染毛料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水溶性染料の少なくとも1種0.1〜3重量%と、両性アクリル樹脂0.03〜2.4重量%と、染毛助剤2〜20重量%と、低級アルコール20〜80重量%とを含有し、かつ、pHを2〜5に調整してなることを特徴とする染毛料。
【効果】累積染毛性及び使用性に優れると共に、夏季などの高温多湿期による汗、雨などに対しても優れた耐水性を有する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用直後の洗髪が不要で一時着色料としての使用を繰り返すことにより徐々に毛髪が染色していく累積染毛性のヘアマニキュアタイプの染毛料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、一般に汎用される、永久染毛料(酸化染毛料)や半永久染毛料(酸性染料)は、使用時の染毛操作が複雑で、且つ面倒であり、周囲や衣服、被施術者の皮膚が染色されてしまうなどの大きな欠点を有している。
そのため、一般的には、理美容院で施術してもらうか、若しくは汚れても直ぐに洗い流せるように入浴時に自己施術しなくてならないなど、使用者に過大な負担を強いるものであった。
【0003】
これらの負担を軽減し、1回で染まる量は少なくても簡便に繰り返し使用することで累積的に染毛できるヘアマニキュアとして、例えば、本願出願人による着色剤として酸性染料を0.01〜3重量%、ノニオン若しくはアニオンのシリコーン系樹脂を1.5〜10重量%、染毛助剤を3〜20重量%と、低級アルコールを30〜80重量%と、水を5〜50重量%含有し、pHが2〜5、粘度が100mPa・s以下であることを特徴とする累積染毛性一時染毛料が知られており(特許文献1参照)、また、特定の両性高分子樹脂と、酸性染料と、顔料とを含有し、両性高分子樹脂の配合量が毛髪化粧料全量に対して0.01以上1重量%未満、両性高分子樹脂1重量部に対する酸性染料の配合量が0.01重量部以上0.1重量部未満、両性高分子樹脂と酸性染料の総和1重量部に対する顔料の配合量が0.0005重量部以上1重量部未満であることを特徴とするカラー毛髪化粧料(特許文献2参照)が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−172141号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】
特開平10−273431号公報(特許請求の範囲等)
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の染毛料は、累積的に染毛できるものとしては優れているが、耐水性が不十分であり、一時着色性を重視した染料濃度を上げた処方にした場合、夏季などの高温多湿期に汗で皮膚に二次付着し皮膚を汚したり、雨などで流れて衣服を汚す等の課題がある。この課題があるため、実際上、生え際専用に用途が限定されるのが現状であった。
また、上記特許文献2のカラー毛髪化粧料は、着色力、二次付着性、洗浄性及び使用感等を改良するものであり、シャンプー洗浄によって毛髪に付与された色調も完全に除去し、しかも、柔らかで自然な仕上がり感を得るために、顔料を必須とすると共に、酸性染料の配合量が0.1重量部未満とし、かつ、両性高分子樹脂の配合量も1重量%未満とする配合量であり、本願発明の累積的に毛髪を染めていくものとはその目的、技術思想などが全く相違するものである。
【0006】
一方、頭髪白髪用一時着色料の処方構成上、濃色、特に黒色401号を配合することは必須成分とするものであった。しかしながら、本発明者らの知見によれば、両性アクリル樹脂と黒色401号染料とを水アルコール系ベヒクルで一定量以上用いると、凝集沈降を起こして処方化することが困難であるという製造技術上の課題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、累積染毛性及び使用性に優れると共に、夏季などの高温多湿期による汗、雨などに対しても優れた耐水性を有する染毛料、更に、黒色401号染料と両性アクリル樹脂を併用しても凝集沈降がない安定性に優れた染毛料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の課題等について鋭意検討を重ねた結果、水溶性染料、両性アクリル樹脂、染毛助剤及び低級アルコールの含有量を夫々特定の範囲とすると共に、pHを特定の範囲とすることにより、上記目的の染毛料等が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(5)に存する。
(1) 水溶性染料の少なくとも1種0.1〜3重量%と、両性アクリル樹脂0.03〜2.4重量%と、染毛助剤2〜20重量%と、低級アルコール20〜80重量%とを含有し、かつ、pHを2〜5に調整してなることを特徴とする染毛料。
(2) 水溶性染料が酸性染料、直接染料である上記(1)記載の染毛料。
(3) 両性アクリル樹脂が下記式(I)で示されるN−メタクロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体である上記(1)又は(2)記載の染毛料。
【化2】
(4) 染毛助剤がベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、炭酸プロピレン、フェノキシエタノール、プロピレングリコール、N−メチルピロリドン、グルコン酸ラクトン、レブリン酸、尿素、エチレンカーボネート、N−メチル−2−ピロリドン、α−ケトグルタール酸、γ−ブチルラクトン、プロピオンアミド、酢酸アミドの中から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の染毛料。
(5) 水溶性染料として、少なくとも黒色401号を0.03重量%以上含有すると共に、両性アクリル樹脂0.3〜4重量%及びノニオン若しくはアニオンのシリコーン系樹脂1.5〜6重量%含有する上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の染毛料。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の染毛料は、水溶性染料の少なくとも1種0.1〜3重量%と、両性アクリル樹脂0.03〜2.4重量%と、染毛助剤2〜20重量%と、低級アルコール20〜80重量%とを含有し、かつ、pHを2〜5に調整してなることを特徴とするものである。
【0010】
本発明で用いる水溶性染料としては、通常一時染毛料や半永久染毛料に用いられている水溶性のものであれば特に限定されない。好ましくは、優れた染毛性の点から、酸性染料、直接染料の使用が望ましい。
具体的には、人体に対して有害な作用を示さない医薬品、医薬部外品及び化粧料の着色に使用することが許可されている「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」(昭和41年告示、厚生省)により定められたものの中から選ばれる、1種又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0011】
酸性染料の具体例としては、赤色3号(エリスロシン)、赤色102(ニューコクシン)、橙色(オレンジ II)、黄色4号(タートラジン)、黄色402号(ポーラエロー5G)、黄色403号の(1)(ナフトールエローS)、緑色3号(ファーストグリーンFCF)、緑色204号(ピラニンコンク)、青色1号(ブリリアントブルーFCF)、青色202号(パテントブルーNA)、紫色401号(アリズロールパープル)、褐色201号(リゾルシンブラウン)、黒色401号(ナフトールブルーブラック)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
直接染料の具体例としては、Direct Black51、Direct Red23、Direct Red80、Direct Violet48、Direct Yellow12、Direct Red81等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの水溶性染料の含有量は、染毛料全量に対して、0.1〜3重量%(以下、単に「%」という)とすることが必要であり、好ましくは、0.1〜1%とすることが望ましい。
この水溶性染料の含有量が0.1%未満であると、染毛効果が十分に発揮されず、また、3%を越えると、皮膚等他への汚染が生じやすくなり、好ましくない。
【0012】
本発明に用いる両性アクリル樹脂は、一時着色性、累積染毛性を損なうことなく、全頭使用時の耐汗性、耐水性を向上させると共に、夏季などの高温多湿期に生じやすかった、皮膚、衣料への二次付着による汚染を更に阻止するために含有せしめるものである。
本発明に用いる両性アクリル樹脂としては、下記式(I)で示されるN−メタクロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体を用いることが望ましく、更に、使用性、取り扱い性等の点から、上記共重合体の水、エタノール、変性アルコール又はこれらの混液の溶液の使用が望ましい。
【化3】
【0013】
上記式(I)で示される共重合体は、N−メタクロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタインと、メタクリル酸アルキル(C1〜C4、C6、C8、C12、C13、C18等)との共重合体である。
具体的に用いることができる両性アクリル樹脂としては、市販のユカフォーマーSM(固形分30%、平均分子量13万、エタノール70%液)、ユカフォーマー202(固形分30%、平均分子量8万、エタノール70%液)、ユカフォーマー301(固形分30%、平均分子量10万以下、エタノール70%液)(以上、三菱化学社製)等を挙げることができる。
【0014】
本発明における上記両性アクリル系樹脂の含有量は、固形分換算で染毛料全量に対して、0.03〜2.4%とすることが必要であり、好ましくは、0.1〜0.9%、更に好ましくは、0.1〜0.45%とすることが望ましい。
この両性アクリル系樹脂の含有量が0.03%未満では、耐水性が弱くなり、また、2.4%を越えると、粘度が上昇すると共に、低温での凝集が発生しやすくなり、好ましくない。
【0015】
本発明に用いる染毛助剤としては、例えば、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノール、プロピレングリコール、N−メチルピロリドン、グルコン酸ラクトン、レブリン酸、尿素、エチレンカーボネート、N−メチル−2−ピロリドン、α−ケトグルタル酸、γ−ブチロラクトン、プロピオンアミド、n−酢酸アミド等、一般的な酸性染毛料(半永久染毛料)で使用されるものが1種又は2種以上を混合して用いられるが、これらのうち、染毛効果や処方系の安定性より、ベンジルアルコールやフェニルエチルアルコールの使用が好ましい。
また、これらの染毛助剤の含有量は、染毛料全量に対して、2〜20%とすることが必要であり、好ましくは、5〜15%とすることが望ましい。
この染毛助剤の含有量が2%未満であると、染毛効果が十分に発揮されず、また、20%を越えると、乾燥性が低下し、好ましくない。
【0016】
本発明に用いる低級アルコールとしては、例えば、エチルアルコール(エタノール)、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール等が1種又は2種以上が用いられるが、安全性、乾燥性、匂い等からエチルアルコールが望ましい。
上記低級アルコールの含有量は、染毛料全量に対して、20〜80%とすることが必要であり、好ましくは、40〜70%とすることが望ましい。
この低級アルコールの含有量が20%未満であると、乾燥性が低下し、また、80%を越えると、染毛効果が十分に発揮されないこととなり、好ましくない。
【0017】
本発明における染毛料の残部は、水で調整され、例えば、精製水、イオン交換水、純水、蒸留水、海洋深層水等を使用でき、その含有量としては、染毛料全量に対して、5〜50%とすることが望ましく、更に好ましくは、10〜35%とすることが望ましい。
この水の含有量が5%未満であると、頭髪を充分に膨潤させることができず、染毛効果が低下することとなり、また、50%を越えると、乾燥性が低下し、好ましくない。
なお、本発明の染毛料は、本発明の効果や、系の安定性を損なわない範囲でその他の任意成分を適宜含有することができる。例えば、各種界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、還元防止剤、キレート剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、油性成分、シリコーン誘導体、香料、動植物抽出物、公知のポリマー成分等が挙げられる。
【0018】
本発明の染毛料のpHは、2〜5に調整することが必要であり、好ましくは、2〜4とすることが望ましい。
この染毛料のpHが2未満であると、皮膚への刺激がある場合があり、また、pHが5を越えると、染毛効果が低下することとなり、好ましくない。
本発明において、pHの調整は、ギ酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸等の有機酸、無機酸又はその塩、場合によってはアルカリを用いて行うことができる。
【0019】
また、本発明の染毛料の粘度は、頭髪への塗布を容易に行う観点から、15mPa・s以下、好ましくは、10mPa・s以下、更に好ましくは、3〜8mPa・sとすることが望ましい。
この染毛料の粘度が15mPa・sを越えると、頭髪へ薄く均一に塗り延ばすことがしにくくなり、好ましくない。
【0020】
本発明における染毛料は、上記水溶性染料、両性アクリル樹脂、染毛助剤、低級アルコールなどの各成分を上記各含有量の範囲で配合し均一に攪拌・混合することにより、製造することができる。
このように構成される本発明の染毛料では、一時着色性、累積染毛性に優れると共に、夏季などの高温多湿期による汗、雨などに対しても優れた耐水性を有するものが得られることとなる。
【0021】
本発明の染毛料は、黒髪用一時着色料、白髪用一時着色料などとして好適に用いることができるものである。
本発明において、白髪用一時着色料として調製する場合に、水溶性染料として少なくとも黒色401号染料を0.03%以上、特に、0.1%以上と両性アクリル樹脂とを上述の如く、水アルコール系ベヒクルで用いると、凝集沈降を起こして処方化することができないことがあるので、この場合は、両性アクリル樹脂(固形分換算)の含有量は上記0.03〜2.4%を0.3〜4%、更に好ましくは、1〜4%にすると共に、更に、ノニオン若しくはアニオンのシリコーン系樹脂を固形分換算で1.5〜6%含有することが好ましい。これにより、凝集沈降を起こすことがなく、一時着色性、累積染毛性に優れると共に、夏季などの高温多湿期による汗、雨などに対しても優れた耐水性を有するものが得られるものとなる。
【0022】
用いるノニオン若しくはアニオンのシリコーン系樹脂は、凝集沈降を防止して、更に、二次付着性、耐水性を向上させるために含有せしめるものである。なお、このノニオン若しくはアニオンのシリコーン系樹脂とは、ノニオン性モノマー単位及び/又はアニオン性モノマー単位とポリシロキサン単位とのブロック共重合体を意味する。
ポリシロキサン単位としては、ポリジメチルシロキサンが好ましい。
アニオン性モノマーとしては、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられるが、中でもメタクリル酸やアクリル酸が好ましい。また、ノニオン性モノマーとしては、スチレン等の芳香族炭化水素、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等の(メタ)クリル酸アルキル系エステルが挙げられるが、中でもメタクリル酸と炭素数6以下の脂肪族アルコールとのエステルが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0023】
用いる上記シリコーン系樹脂は、更なる凝集沈降の防止、二次付着性、耐水性の更なる向上の点から、特に、ポリジメチルシロキサンとメタクリル酸及び/又はメタクリル酸と炭素数6以下の脂肪族アルコールとのエステルとのブロック共重合体が好ましい。なお、上記シリコーン系樹脂であるブロック共重合体の合成方法は、ポリシロキサン化合物の末端に重合活性を残しておき、これにノニオン性モノマー若しくはアニオン性モノマーを加えて重合させることで得られる。通常は、アニオン重合開始剤の存在下にリビングポリマーとしておき、上記のノニオン性モノマー若しくはアニオン性モノマー等を共重合させることにより得られる。
【0024】
また、シリコーン系樹脂であるブロック共重合体中のポリシロキサン化合物の構成比率は特に限定されないが、10〜80%、より好ましくは20〜70%が好ましい。この比率が10%未満では風合いが悪くなり、また、80%を越えると、水や低級アルコール等の溶剤に対する溶解性が悪化して、好ましくない。
更に、ブロック共重合体の数平均分子量は、特に限定されないが、分子量が小さすぎるとブロック共重合体の耐湿性が悪化し汗や雨等により色落ちしやすいものとなってしまうため、5万以上、好ましくは、6万以上とすることが望ましい。
【0025】
上記ノニオン若しくはアニオンのシリコーン系樹脂の含有量は固形分換算で、染毛料全量に対して、1.5〜6%とすることが好ましく、更に好ましくは、2.5〜4%とすることが望ましい。
このシリコーン系樹脂の含有量が1.5%未満では、上記黒色401号を用いた場合の凝集沈降を防止することができず、また、6%を越えると、使用後の仕上がりでセット力が強すぎる、粘度が急激に上昇する等の不具合が生じ、好ましくない。
また、上記において、両性アクリル樹脂の含有量が4%を越えると、凝集沈降を起こして、黒色401号を用いた場合の課題等を解決できないこととなる。
なお、黒色401号染料以外の染料は上記水溶性染料の上限(3%)を越えない範囲で併用することができ、また、その他の成分である、染毛助剤、低級アルコールなどの成分、pH、粘度は上述の各範囲で調整される。
【0026】
このように構成される本発明の染毛料を使用に供するにあたっては、毛髪用塗布具を用いるものであるが、用いる毛髪用塗布具の形状、構造等は特に限定されるものではない。
本発明において、用いることができる毛髪用塗布具としては、好ましくは、毛髪への塗布性、塗布部位に含ませる液量のコントロール性、衣服、皮膚、家具などの汚損の発生も少ない点、また、使用性の点から、内部に本発明の染毛料の貯留部を有する塗布具本体部と、該塗布具本体部の先端部に設けた塗布部とを備え、上記染毛料貯留部より塗布部に本発明の染毛料を流出させて毛髪に染毛料を塗布する毛髪用塗布具が挙げられる。
【0027】
このような構成となる毛髪用塗布具としては、例えば、図1〜図3に示される毛髪用塗布具A、図4に示される毛髪用塗布具B、図5に示される毛髪用塗布具Cが挙げられる。以下に、これらの毛髪用塗布具A〜Cを具体的に説明する。
毛髪用塗布具Aは、所謂中綿式(吸蔵体)の塗布具であり、図1〜図3に示されるように、塗布具本体をなす軸体10の内部に上記構成の染毛料を吸蔵した吸蔵体11を染毛料貯留部10aに収容し、複数の毛細管作用を有する塗布用の櫛態様となる芯体12を直線状の列の配置で軸体10の先端部に固定して、芯体12の後端部を吸蔵体11に接続すると共に、芯体12の先端部を軸体10の前方へ突出させ、芯体12の側部には、櫛部13を設け、軸体10の先端部には、キャップ本体20を螺合により着脱自在とし、芯体12の先端部が接触するフェルトなどの芯先端受け部材21を取り付けると共に、その側部に櫛部13の先端部を収容する凹部22を設けた中キャップ23をキャップ本体20の内部に軸方向に移動自在で、かつ円周方向に回動自在に配して、中キャップ23をスプリング部材24によりキャップ本体20の開口方向へ付勢状態としたものである。
このような構成となる毛髪用塗布具Aでは、上記貯留部10aに本発明の上記構成の染毛料を吸蔵した吸蔵体11より、塗布部となる芯体12の先端部まで必要な染毛料を供給しつつも「たれ落ち」や不本意な液体の吐出を生じることがなく、持ち運びやハンドリング性に優れると共に、使用性、耐水性、累積染毛性に優れる毛髪用塗布具とすることができる。
【0028】
この毛髪用塗布具Aを用いて、本発明の染毛料を使用する際には、先端塗布体として芯体12を有するので、使用の際の頭皮への汚染を極力回避することができると共に、頭皮近辺の毛髪(生え際)へ簡単に染毛料を塗布することができ、本発明の染毛料の性質を充分に生かして吸蔵体に染毛料を一時的に保持し塗布部を介して毛髪に最適量の染毛料を塗布できるものである。
【0029】
また、毛髪用塗布具Bは、ノック式のバルブ装置を備えた塗布具であり、図4(a)〜(c)に示されるように、塗布具本体部30の先端部に台座31が固着され、該台座31にブラシ体32a,32a……からなる塗布部32が設けられている。また、台座31の外周には先軸33が固着されており、該先軸33には、櫛歯部35a,35a……を備えた櫛体35が着脱自在に取り付けられている。台座31の中心孔に塗布部32と接触するスポンジ等からなる含浸体36が嵌着され、台座31の後方に含浸体止め37を挟んで後述するバルブ装置の先端に連通する染毛料誘導管38が設けられている。
また、塗布具本体部30内には、染毛料貯留部となる筒状体の内軸40を有し、その先端部に弁棒41、弁座42、弁ばね43、ばね受け44からなるバルブ装置45が取り付けられると共に、後端部にノック体46が設けられている。
このような構成となる毛髪用塗布具Bでは、上記貯留部40に本発明の上記構成の染毛料を充填し、ノック体46をノックすることにより、染毛料が染毛料誘導管38を介して含浸体36に流出してブラシ体32a,32a……からなる塗布部32に供給されて、使用に供されることとなる。
この毛髪用塗布具Bでは、染毛料が含浸体36からブラシ体32a,32a……からなる塗布部32に供給される構造となるので、「たれ落ち」や不本意な液体の吐出を生じることがなく、また、櫛体35を有するので、直接染毛料が指等に付着することがなく、持ち運びやハンドリング性に優れると共に、使用性、耐水性、累積染毛性に優れる毛髪用塗布具とすることができる。
【0030】
更に、毛髪用塗布具Cは、マスカラタイプの塗布具であり、図5に示されるように、有底筒状体となる塗布具本体50と、該塗布具本体50の上端開口部を螺合により密封する蓋体55とを備えている。
塗布具本体50には、その内部に染毛料の貯留部51を有すると共に、該貯留部51の上部には払拭部52が取り付けられている。また、蓋体55には塗布棒体56が固着され、該塗布棒体56の先端にはブラシ体57a、57a……を有する塗布部57が設けられている。
このような構成となる毛髪用塗布具Cでは、蓋体55の螺合を解いて、蓋体55を塗布具本体50から取り出せば、蓋体55の先端部には、染毛料が付着した塗布部57が現れるので、該塗布部57を染色すべき毛髪部位に塗布することにより染毛することができるものとなる。
この毛髪用塗布具Cでは、毛髪の生え際などの部分、眉毛などに好適に適用でき、持ち運びやハンドリング性に優れると共に、使用性、耐水性、累積染毛性に優れる毛髪用塗布具とすることができる。
【0031】
【実施例】
次に、実施例及び比較例により、本発明を更に詳述するが、本発明は下記実施例により制限されるものではない。
【0032】
〔実施例1〜5及び比較例1〜3〕
下記表1に示す配合組成にて汎用のプロペラミキサーにより、均一に攪拌・混合して、各染毛料を得た。
上記で得られた実施例1〜5及び比較例1〜3の各染毛料について、下記方法により、pH、粘度、低温経時安定性について測定等した。
これらの結果を下記表1に示す。
【0033】
(pHの測定方法)
pH(25℃)をガラス電極pH計により常法にて測定した。
(粘度の評価方法)
25℃における各粘度をELD型粘度計(東機産業社製)にて測定した。
(低温経時安定性の評価方法)
−20℃に100mlのサンプルビンで1週間放置した後、目視により、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:変化はなく、全て均一な状態である。
○:ビン壁に若干色分かれを認める。
△:ビン底に薄く沈殿も認める。
×:明瞭な凝集物を認める。
【0034】
次いで、上記で得られた各染毛料10mlを、図1〜図3に示す、下記構成の毛髪用塗布具に充填し、下記方法により、耐水性、一時着色性、累積染毛性、塗布後の乾燥性の評価を行った。
これらの結果を下記表1に示す。
【0035】
(毛髪用塗布具の構成)
芯体:PET製、芯体と芯体の縦横の間隔:3.4mm、気孔率:80%
櫛部:PBT製
【0036】
(耐水性の評価方法)
2gの毛髪に約0.1mlを塗布し、常温で120分間乾燥後(以下、単に「毛髪に塗布・乾燥後」という)に、水で湿らせた濾紙を押し当て、濾紙への色の付き具合を、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:濾紙に全く付着しない
○:濾紙に薄く付着する
△:濾紙にやや濃く付着する。
×:濾紙に濃く付着する。
【0037】
(一時着色性の評価方法)
毛髪に塗布・乾燥後の、一次染毛料としての性能評価を、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:市販の一時着色剤と同等。
○:実用上の問題なし。
△:やや染まりにくい。
×:染まらない。
【0038】
(累積染毛性の評価方法)
毛髪に塗布・乾燥後、洗髪を繰り返し3回行った後の、累積染毛性の評価を下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:市販の酸化染毛料と同等。
○:実用上の問題なし。
△:やや染まりにくい。
×:染まらない。
【0039】
(塗布後の乾燥性の評価方法)
25℃−65RH%下で、1gの人毛毛束に0.2gを塗布し、30秒毎に指で触れ、指への付着がなくなる時間を測定し、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:1分以内
○:3分以内
△:5分以内
×:5分超過
【0040】
【表1】
【0041】
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜5は、本発明の範囲外となる比較例1〜3に較べて、低温経時安定性、耐水性、一時着色性、累積染毛性、使用性、塗布後の乾燥性の全ての面で優れていることが判明した。
比較例を個別的に見ると、比較例1は、両性アクリル樹脂を含有しない場合であり、この場合は、耐水性に著しく劣ることが判明した。比較例2は、両性アクリル樹脂の含有量が2.4重量%を越える場合であり、この場合は、累積染毛性、塗布後の乾燥性に劣ることが判明した。比較例3は、低級アルコールの含有量が少ない場合であり、この場合は、低温経時安定性、耐水性、塗布後の乾燥性に劣ることが判明した。
【0042】
〔実施例6〜10及び比較例4〜6〕
下記表2に示す配合組成にて汎用プロペラミキサーにより、均一に攪拌・混合して、各染毛料を得た。なお、シリコーン系樹脂は、ポリシロキサンセグメントを有するアゾ基含有ポリシロキサンアミド(平均アゾ基結合数;4.3個)・メタクリル酸・メタクリル酸ブチル(各重量比37:45:18)をエタノールに溶かし、窒素還流下、70〜80℃で10時間反応させて得られたメタクリル酸・メタクリル酸ブチル・ジメチルポリシロキサンブロック共重合体を用いた。
上記で得られた実施例6〜10及び比較例4〜6の各染毛料について、上記方法により、pH、粘度、低温経時安定性、耐水性、一時着色性、累積染毛性、塗布後の乾燥性の評価を行うと共に、下記方法により、凝集沈降性について評価した。
なお、撹拌・混合の前に、ブロック共重合体のシリコーン系樹脂とエタノールとの混合ビヒクルを作製し、この混合ビヒクルに対して、下記表1に示す水、及び、その他の成分を配合し均一に攪拌・混合して、染毛料を得た。
これらの結果を下記表2に示す。
【0043】
(凝集沈降性の評価方法)
25℃―65RH%下に100mlのサンプルビンで放置した後、目視により、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:変化はなく、全て均一な状態である。
○:ビン壁に若干色分かれを認める。
△:ビン底に薄く沈殿も認める。
×:明瞭な凝集物を認める。
【0044】
【表2】
【0045】
上記表2の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例6〜10は、本発明の範囲外となる比較例4〜6に較べて、凝集沈降もなく、低温経時安定性、耐水性、一時着色性、累積染毛性、使用性、塗布後の乾燥性の全ての面で優れていることが判明した。
これに対して、比較例を個別的に見ると、比較例4は、両性アクリル樹脂の含有量が多い場合であり、この場合、低温経時安定性、凝集沈降性に劣ることが判明した。また、比較例5は、両性アクリル樹脂を含有しない場合であり、この場合、耐水性に劣ることが判明した。比較例6は、シリコーン系樹脂を含有しない場合であり、この場合は低温経時安定性、凝集沈降性に劣ることが判明した。
【0046】
【発明の効果】
請求項1〜4の発明によれば、累積染毛性及び使用性に優れると共に、夏季などの高温多湿期による汗、雨などに対しても優れた耐水性を有する染毛料が提供される。
請求項5に記載の発明によれば、凝集沈降もなく、安定性に優れると共に、累積染毛性及び使用性に優れ、かつ、夏季などの高温多湿期による汗、雨などに対しても優れた耐水性を有する染毛料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の一例を示す側面図である。
【図2】図1の側面態様の縦断面図である。
【図3】図1の正面態様の縦断面図である。
【図4】(a)は、本発明の実施形態の他例を示す縦断面図であり、(b)はI−I線断面図であり、(C)は櫛体の平面図である。
【図5】本発明の実施形態の他例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
A 毛髪用塗布具
10 塗布具本体
Claims (5)
- 水溶性染料の少なくとも1種0.1〜3重量%と、両性アクリル樹脂0.03〜2.4重量%と、染毛助剤2〜20重量%と、低級アルコール20〜80重量%とを含有し、かつ、pHを2〜5に調整してなることを特徴とする染毛料。
- 水溶性染料が酸性染料、直接染料である請求項1記載の染毛料。
- 染毛助剤がベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、炭酸プロピレン、フェノキシエタノール、プロピレングリコール、N−メチルピロリドン、グルコン酸ラクトン、レブリン酸、尿素、エチレンカーボネート、N−メチル−2−ピロリドン、α−ケトグルタール酸、γ−ブチルラクトン、プロピオンアミド、酢酸アミドの中から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3の何れか一つに記載の染毛料。
- 水溶性染料として、少なくとも黒色401号を0.03重量%以上含有すると共に、両性アクリル樹脂0.3〜4重量%及びノニオン若しくはアニオンのシリコーン系樹脂1.5〜6重量%含有する請求項1〜4の何れか一つに記載の染毛料。
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