JP2004243549A - 平版印刷用不感脂化処理液 - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷適正が良好であり、画線部のインキ着肉性を落とさずに、地汚れや酸化汚れに対して優れた効果を有する平版印刷用不感脂化処理液を提供する。
【解決手段】少なくとも金属フッ化物とリン酸金属塩と硫酸金属塩とを含有することを特徴とする平版印刷用不感脂化処理液を提供する。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも金属フッ化物とリン酸金属塩と硫酸金属塩とを含有することを特徴とする平版印刷用不感脂化処理液を提供する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷用不感脂化処理液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
平版印刷は、画線部に対応する部分を感脂性面とし、非画線部に対応する部分を親水性面とした刷版を用いて印刷を行う印刷方式である。つまり、インキを感脂性面に付着させ、不感脂剤を含む湿し水を親水性面に付着させ、インキと湿し水と、適度なバランスをとって版面に供給することが大切であり、湿し水を与えすぎるとインキの乳化が激しくなり、転移不良が発生したり、一方、湿し水が少なすぎると、非画線部にインキが付着し汚れの原因となる。
【0003】
従来から一般的に知られているこのような不感脂化剤としては、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース(CMC)のような各種親水性物質と版表面酸化物を除去する整面剤としてリン酸等の酸、版の腐蝕防止剤としての重クロム酸アンモニウム、表面張力を下げるための添加剤としてイソプロピルアルコール(IPA)などを添加した水溶液がある(特許文献1〜5参照)。しかしながら、これらを用いた湿し水は、長く印刷を続けてゆくと、砂目の摩耗と共に、版表面の不感脂性が落ちてきて、非画線部にインキが付着し、いわゆる地汚れを起こすことがある。また、印刷を途中で止めてしばらく時間経過した後、再度印刷を開始した時に、点々状の汚れ、いわゆる酸化汚れが発生することがある。これらの地汚れや酸化汚れを防止するために、往々にして酸成分を多量に含ませた湿し水を使用する方法もあるが、この場合には、逆に不感脂化が強くなり過ぎて、画線の感脂性(インキ着肉性)を損なうことがある。
【0004】
また、新聞印刷のように、印刷版の端部が印刷面となってしまうような場合、この端部にインキが着肉し、紙に直線状の汚れとなって発生することがある。
【0005】
【特許文献1】
特公昭55−19757号公報
【特許文献2】
特開昭57−199693号公報
【特許文献3】
特開昭60−225798号公報
【特許文献4】
特開2002−187375号公報
【特許文献5】
特公昭62−61946号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、画線の感脂性を落とさずに、地汚れや酸化汚れ、更には印刷版の端部の不感脂化に対して優れた効果を発揮する平版印刷用不感脂化処理液および湿し水を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、少なくとも金属フッ化物とリン酸金属塩と硫酸金属塩を含有する平版印刷用不感脂化処理液に関するものである。具体的には、本発明によると、少なくとも金属フッ化物とリン酸金属塩と硫酸金属塩を含有することを特徴とする平版印刷用不感脂化処理液が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。不感脂化処理液は、通常商業ベースとするときは濃縮化して商品化するのが一般的である。従って、不感脂化処理液は、水道水あるいは純水等の水を使用して、下記の各種成分を溶解した濃縮水溶液として作られる。以下に本発明にかかる不感脂化処理液の各種成分について説明するが、各種成分の好ましい濃度は、濃縮された状態の不感脂化処理液における濃度として示す。また、本発明の不感脂化処理液の成分として、下記の各種成分の残余は水であり、希釈は水により行う。
本発明にかかる不感脂化処理液により版の汚れを除去する場合には、濃縮された不感脂化処理液を希釈して用い、本発明にかかる不感脂化処理液を湿し水として使用する場合には、濃縮された不感脂化処理液をさらに希釈して用いる。また、本発明の不感脂化処理液は印刷版の端面の不感脂化処理液としても使用できる。これらについては以下に詳述する。
【0009】
なお、本明細書中で、不感脂化処理液は、濃縮された不感脂化処理液の他、版の汚れを除去するために濃縮された不感脂化処理液を希釈して得られる不感脂化処理液、濃縮された不感脂化処理液をさらに希釈して得られる湿し水、および印刷版の端面用の不感脂化処理液等、平版印刷において不感脂化を行うための処理液であって、濃縮された不感脂化処理液を適宜希釈して得られる不感脂化処理液の全てを含む。
【0010】
本発明で使用される金属フッ化物としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、ヘキサフルオロジルコニウムナトリウム、ヘキサフルオロジルコニウムカリウム、ヘキサフルオロチタン酸ナトリウム、ヘキサフルオロチタン酸カリウム、ヘキサフルオロジルコニウム水素酸、ヘキサフルオロチタン水素酸、ヘキサフルオロジルコニウムアンモニウム、ヘキサフルオロチタン酸アンモニム、ヘキサフルオロジケイ酸、フッ化ニッケル、フッ化鉄、フッ化リン酸、フッ化リン酸アンモニウムなどが挙げられる。特に好ましくは、フッ化ナトリウム、フッ化カリウムである。本発明において、金属フッ化物は1種でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0011】
本発明で使用されるリン酸金属塩としては、リン酸アルカリ金属塩またはリン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。具体的には、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸第一鉄、リン酸第二鉄、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸鉛、リン酸二水素カルシウム、リン酸リチウム、リンタングステン酸、リンタングステン酸ナトリウムなどが挙げられる。また、本明細書において、リン酸金属塩は、正リン酸の金属塩の他、亜リン酸金属塩、トリポリリン酸金属塩、ピロリン酸金属塩等の各種リン酸も含み、具体的には、亜リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムなども挙げることができる。特に好ましくは、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムが挙げられる。本発明において、リン酸金属塩は1種でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0012】
本発明で使用される硫酸金属塩としては、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ストロンチウム、硫酸第一鉄、硫酸チタン、硫酸ナトリウム、硫酸ニッケル、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸リチウムなどが挙げられる。特に好ましくは、硫酸アルミニウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムである。本発明において、硫酸金属塩は1種でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0013】
本発明においては、少なくとも上記の金属フッ化物、リン酸金属塩及び硫酸金属塩を水に溶解させて、水溶液として用い、平版印刷用の不感脂化処理液(エッチ液)、またはこれをさらに希釈した形で平版印刷用の湿し水として用いることができる。
【0014】
濃縮された不感脂化処理液中における金属フッ化物の濃度は、0.5g/リットル〜200g/リットルが適当であり、特に好ましくは1g/リットル〜100g/リットルである。これより多いとき、アルミニウム表面の陽極酸化皮膜を腐蝕させるような好ましくない場合があり、これより少ない場合、不感脂化効果が薄れる場合がある。また濃縮された不感脂化処理液中におけるリン酸金属塩の濃度は、10g/リットル〜300g/リットルが適当であり、特に好ましくは15g/リットル〜250g/リットルである。これより多いとき、耐刷性を悪くする場合があり、これより少ない場合、汚れ除去性が悪くなる場合がある。更に濃縮された不感脂化処理液中における硫酸金属塩の濃度は、1g/リットル〜200g/リットルが適当であり、特に好ましくは5g/リットル〜150g/リットルである。これより多いとき、耐刷性を悪くする場合があり、これより少ない場合、感脂性を損なう場合がある。
【0015】
本発明の不感脂化処理液には、汚れ防止成分として水溶性高分子化合物をさらに含有させることができる。このような水溶性高分子化合物としては、アラビアガム、繊維素及びその誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等)、澱粉誘導体(例えばデキストリン、酵素分解デキストリン、ヒドロキシプロピル澱粉、カルボキシメチル澱粉、リン酸化澱粉等)、アルギン酸及びその誘導体ポリビニルアルコール及びその共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びその誘導体、並びにポリアクリル酸及びその共重合体等が挙げられる。水溶性高分子化合物の含有量は、濃縮された不感脂化処理液において1g/リットル〜200g/リットルが適しており、より好ましくは5g/リットル〜150g/リットルである。これより多いとき、感脂性が悪くなる場合があり、これより少ない場合、不感脂性効果が悪くなる場合がある。
【0016】
本発明の不感脂化処理液には、平版印刷版支持体の適度なエッチング又は防腐蝕若しくはpH調整の目的で、水溶性の有機酸、無機酸又はそれらの塩を添加することができる。好ましい有機酸としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、酢酸、グルコン酸、蓚酸、p−トルエンスルホン酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。無機酸としては例えばリン酸、硝酸、硫酸、亜リン酸、ポリリン酸等が挙げられる。更にこれらの有機酸又は無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩あるいはアンモニウム塩(有機アミンによる塩を含む)等が挙げられる。本発明において、これら有機酸、無機酸又はそれらの塩は、1種で又は2種以上の混合物として使用してもよい。濃縮された不感脂化処理液中におけるこれらの添加量は、好ましくは0.01g/リットル〜50g/リットル、より好ましくは0.05g/リットル〜30g/リットルである。これより多いとき、感脂性が悪くなる場合があり、これより少ない場合、酸化汚れが発生しやすくなる場合がある。
【0017】
本発明の不感脂化処理液には、非画線部への濡れ性を良くする目的で、湿潤剤として界面活性剤や溶剤を含有させることができる。界面活性剤としては、アニオン型界面活性剤、非イオン界面活性剤、弗素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤などを利用することができる。界面活性剤を使用する場合、濃縮された不感脂化処理液中におけるその含有量は発泡の点を考慮すると、50g/リットル以下が適当であり、また、2種以上併用することもできる。
【0018】
本発明の不感脂化処理液に含有させることのできる溶剤としては、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ブリセリン、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。これらの溶剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。一般にこれらの溶剤は、濃縮された不感脂化処理液中において1g/リットル〜30g/リットルの範囲で使用するのが適当で、特に好ましくは3g/リットル〜20g/リットルである。
【0019】
その他添加できるものとして、防腐剤、着色剤、キレート剤、防錆剤、又は消泡剤などがある。
防腐剤としては、フェノール若しくはその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、ベンズトリアゾール誘導体、4級アンモニウム塩、ピルジン、ダイアジン若しくはトリアゾールの誘導体、又はブロモニトロアルコール系のブロモニトロプロパノール等が挙げられる。好ましい添加量は、濃縮された不感脂化処理液に対して0.01g/リットル〜10g/リットルの範囲が好ましく、種々のカビ、細菌、酵母に対して効力のあるような2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。
【0020】
本発明で使用できる着色剤としては、一般的な水溶性染料、食品用色素、水にとけて発色する無機金属化合物などが使用できる。
【0021】
本発明で使用できるキレート剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;フイチン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩等を挙げることができる。好ましい添加量は、濃縮された不感脂化処理液に対して0.01g/リットル〜10g/リットルの範囲が好ましく、使用時の不感脂化処理液或いは湿し水中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものが好ましい。
【0022】
本発明で使用できる防錆剤としては、チオサリチル酸、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール等が挙げられる。濃縮された不感脂化処理液中におけるその添加量は、好ましくは0.01〜10g/リットルである。
【0023】
本発明で使用できる消泡剤としては、シリコン消泡剤あるいはフッ系消泡剤が好ましく、その中で乳化分散型及び可溶化型等いずれも使用することができる。濃縮された不感脂化処理液中におけるその添加量は、好ましくは0.01〜10g/リットルである。
【0024】
上記したように、本発明の不感脂化処理液の成分として残余は水である。不感脂化処理液は、通常商業ベースとするときは濃縮化して商品化するのが一般的である。従って、不感脂化処理液は、水道水あるいは純水を使用して、上記の各種成分を溶解した濃縮水溶液として作られる。本発明にかかる不感脂化処理液は、平版印刷版の不感脂化処理に供することができ、例えば、版の汚れを除去するために使用することができる。また、湿し水として、もしくは印刷版の端面の不感脂化処理液として使用することもできる。なお、本発明にかかる平版印刷版の不感脂化処理には、任意の平版印刷版を用いることができる。
【0025】
本発明にかかる不感脂化処理液により版の汚れを除去する場合には、濃縮された不感脂化処理液を好ましくは5〜10倍位の比較的希釈率を少なくした液を用いる。これより多いとき、画像を痛めつけたり、耐刷性を悪くしたり、アルミニウム表面を腐食するような場合があり、これより少ない場合、汚れが落ちづらくなる場合がある。このとき、本発明にかかる不感脂化処理液は、例えば以下のように使用することができる。すなわち、希釈された当該不感脂化処理液を染みこませたスポンジ、布、脱脂綿等を用いて、汚れが発生した部分を拭き上げ、その後に印刷を再稼動させる。また、別な使用法としては、前もって不感脂化処理液を染みこませたスポンジ、布、脱脂綿等で版面を拭いて、汚れが発生するのを防止してから印刷する場合もある。
【0026】
本発明にかかる不感脂化処理液を湿し水として使用する場合には、濃縮された不感脂化処理液を好ましくは50〜200倍程度に希釈して用いる。これより多いとき、インキ着肉性を落としたり、耐刷性を悪くする場合があり、これより少ない場合、印刷中地汚れが発生しやすくなる場合がある。このとき、本発明にかかる不感脂化処理液は、例えば以下のように使用することができる。すなわち、希釈された当該不感脂化処理液を給水タンクに貯蔵し、そこから湿し水ローラーまたはモルトンロール等により版面上に補給して使用する。
【0027】
また、本発明の不感脂化処理液は印刷版の端面の不感脂化処理液としても使用できる。この場合は、濃縮された不感脂化処理液を好ましくは原液〜10倍程度に希釈して用いる。これより多いとき、端面の不感脂化効果が少なくなる場合がある。このとき、本発明にかかる不感脂化処理液は、例えば以下のように使用することができる。すなわち、当該不感脂化処理液を現像前あるいは現像後の印刷版の端面に、当該不感脂化処理液を染みこませたスポンジ、布、脱脂綿等を用いて薄く塗布する。また、印刷版を多数枚積み重ねて、その端面の同じように当該不感脂化処理液を塗布して使用する場合もある。
【0028】
本発明にかかる不感脂化処理液は、印刷適正が極めて良好であり、画線部のインキ着肉性を落とさずに、地汚れや酸化汚れに対して優れた効果を有する。我々の知見によると、これは以下のように説明できる。すなわち、金属フッ化物とリン酸金属塩において、地汚れや酸化汚れを防ぐことはできるが、これだけでは、エッチ効果(不感脂化効果)が効きすぎて、インキ着肉性を損なう場合があるので、そこに硫酸金属塩を含ませることにより、インキ着肉性を落とさずに不感脂化効果が発揮できることを見出したものである。
【0029】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明の内容がこれらに限定されるものではない。
【0030】
[実施例1〜3及び比較例1及び2]
表1の組成に従って、各種組成物を調製した。各成分を水に溶かし、最終的に1000mLとした。湿し水として使用する場合には、使用時に希釈する。
【0031】
【表1】
【0032】
上記のように調液した実施例1〜3及び比較例1及び2の組成物を、各々水道水で100倍に希釈し、湿し水として印刷テストに供した。印刷機はリョービ480D機を使用して、大日本インキ化学工業(株)のFグロス墨と、使用プレートとしては岡本化学工業(株)製のJP−5を標準条件で製版したものを用いて、下記の印刷テストを実施した。
地汚れの評価として、地汚れが発生する印刷枚数で評価した。
酸化汚れの評価として、5000部印刷した時点で印刷機を止め、2時間後に再印刷した時に、点々状の汚れが発生しているか否かで評価した。
インキ着肉性の評価として、ベタ部に完全にインキが付着するまでの印刷枚数(初期着肉性)で評価した。その結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
[実施例4及び比較例3及び4]
岡本化学工業(株)製新聞印刷用PS版UNL−Nを398x1100にカットし500枚積み重ねた。その外周端面に実施例2で用いた不感脂化処理液をスポンジで塗り付けて室温で乾燥させた(実施例4)。比較のために、不感脂化処理液を塗布しないでカットのままの版(比較例3)と外周端面を12°ボーメのアラビアガム水溶液でガム引きした版(比較例4)をオフセット輪転機に取り付け、常法に従って3万枚印刷した。その結果を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】
これらの結果から、本発明にかかる不感脂化処理液が、印刷適正が良好である、地汚れを生じにくい、酸化汚れを生じにくい、インキ着肉性が良好である、印刷版端部の不感脂化に対して優れた効果を有する等の種々の優れた効果を有することがわかる。
【0037】
【発明の効果】
本発明の不感脂化処理液およびそれを希釈した湿し水は、印刷適正が極めて良好であり、画線部のインキ着肉性を落とさずに、地汚れや酸化汚れに対して優れた効果を有する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷用不感脂化処理液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
平版印刷は、画線部に対応する部分を感脂性面とし、非画線部に対応する部分を親水性面とした刷版を用いて印刷を行う印刷方式である。つまり、インキを感脂性面に付着させ、不感脂剤を含む湿し水を親水性面に付着させ、インキと湿し水と、適度なバランスをとって版面に供給することが大切であり、湿し水を与えすぎるとインキの乳化が激しくなり、転移不良が発生したり、一方、湿し水が少なすぎると、非画線部にインキが付着し汚れの原因となる。
【0003】
従来から一般的に知られているこのような不感脂化剤としては、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース(CMC)のような各種親水性物質と版表面酸化物を除去する整面剤としてリン酸等の酸、版の腐蝕防止剤としての重クロム酸アンモニウム、表面張力を下げるための添加剤としてイソプロピルアルコール(IPA)などを添加した水溶液がある(特許文献1〜5参照)。しかしながら、これらを用いた湿し水は、長く印刷を続けてゆくと、砂目の摩耗と共に、版表面の不感脂性が落ちてきて、非画線部にインキが付着し、いわゆる地汚れを起こすことがある。また、印刷を途中で止めてしばらく時間経過した後、再度印刷を開始した時に、点々状の汚れ、いわゆる酸化汚れが発生することがある。これらの地汚れや酸化汚れを防止するために、往々にして酸成分を多量に含ませた湿し水を使用する方法もあるが、この場合には、逆に不感脂化が強くなり過ぎて、画線の感脂性(インキ着肉性)を損なうことがある。
【0004】
また、新聞印刷のように、印刷版の端部が印刷面となってしまうような場合、この端部にインキが着肉し、紙に直線状の汚れとなって発生することがある。
【0005】
【特許文献1】
特公昭55−19757号公報
【特許文献2】
特開昭57−199693号公報
【特許文献3】
特開昭60−225798号公報
【特許文献4】
特開2002−187375号公報
【特許文献5】
特公昭62−61946号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、画線の感脂性を落とさずに、地汚れや酸化汚れ、更には印刷版の端部の不感脂化に対して優れた効果を発揮する平版印刷用不感脂化処理液および湿し水を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、少なくとも金属フッ化物とリン酸金属塩と硫酸金属塩を含有する平版印刷用不感脂化処理液に関するものである。具体的には、本発明によると、少なくとも金属フッ化物とリン酸金属塩と硫酸金属塩を含有することを特徴とする平版印刷用不感脂化処理液が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。不感脂化処理液は、通常商業ベースとするときは濃縮化して商品化するのが一般的である。従って、不感脂化処理液は、水道水あるいは純水等の水を使用して、下記の各種成分を溶解した濃縮水溶液として作られる。以下に本発明にかかる不感脂化処理液の各種成分について説明するが、各種成分の好ましい濃度は、濃縮された状態の不感脂化処理液における濃度として示す。また、本発明の不感脂化処理液の成分として、下記の各種成分の残余は水であり、希釈は水により行う。
本発明にかかる不感脂化処理液により版の汚れを除去する場合には、濃縮された不感脂化処理液を希釈して用い、本発明にかかる不感脂化処理液を湿し水として使用する場合には、濃縮された不感脂化処理液をさらに希釈して用いる。また、本発明の不感脂化処理液は印刷版の端面の不感脂化処理液としても使用できる。これらについては以下に詳述する。
【0009】
なお、本明細書中で、不感脂化処理液は、濃縮された不感脂化処理液の他、版の汚れを除去するために濃縮された不感脂化処理液を希釈して得られる不感脂化処理液、濃縮された不感脂化処理液をさらに希釈して得られる湿し水、および印刷版の端面用の不感脂化処理液等、平版印刷において不感脂化を行うための処理液であって、濃縮された不感脂化処理液を適宜希釈して得られる不感脂化処理液の全てを含む。
【0010】
本発明で使用される金属フッ化物としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、ヘキサフルオロジルコニウムナトリウム、ヘキサフルオロジルコニウムカリウム、ヘキサフルオロチタン酸ナトリウム、ヘキサフルオロチタン酸カリウム、ヘキサフルオロジルコニウム水素酸、ヘキサフルオロチタン水素酸、ヘキサフルオロジルコニウムアンモニウム、ヘキサフルオロチタン酸アンモニム、ヘキサフルオロジケイ酸、フッ化ニッケル、フッ化鉄、フッ化リン酸、フッ化リン酸アンモニウムなどが挙げられる。特に好ましくは、フッ化ナトリウム、フッ化カリウムである。本発明において、金属フッ化物は1種でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0011】
本発明で使用されるリン酸金属塩としては、リン酸アルカリ金属塩またはリン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。具体的には、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸第一鉄、リン酸第二鉄、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸鉛、リン酸二水素カルシウム、リン酸リチウム、リンタングステン酸、リンタングステン酸ナトリウムなどが挙げられる。また、本明細書において、リン酸金属塩は、正リン酸の金属塩の他、亜リン酸金属塩、トリポリリン酸金属塩、ピロリン酸金属塩等の各種リン酸も含み、具体的には、亜リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムなども挙げることができる。特に好ましくは、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムが挙げられる。本発明において、リン酸金属塩は1種でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0012】
本発明で使用される硫酸金属塩としては、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ストロンチウム、硫酸第一鉄、硫酸チタン、硫酸ナトリウム、硫酸ニッケル、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸リチウムなどが挙げられる。特に好ましくは、硫酸アルミニウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムである。本発明において、硫酸金属塩は1種でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0013】
本発明においては、少なくとも上記の金属フッ化物、リン酸金属塩及び硫酸金属塩を水に溶解させて、水溶液として用い、平版印刷用の不感脂化処理液(エッチ液)、またはこれをさらに希釈した形で平版印刷用の湿し水として用いることができる。
【0014】
濃縮された不感脂化処理液中における金属フッ化物の濃度は、0.5g/リットル〜200g/リットルが適当であり、特に好ましくは1g/リットル〜100g/リットルである。これより多いとき、アルミニウム表面の陽極酸化皮膜を腐蝕させるような好ましくない場合があり、これより少ない場合、不感脂化効果が薄れる場合がある。また濃縮された不感脂化処理液中におけるリン酸金属塩の濃度は、10g/リットル〜300g/リットルが適当であり、特に好ましくは15g/リットル〜250g/リットルである。これより多いとき、耐刷性を悪くする場合があり、これより少ない場合、汚れ除去性が悪くなる場合がある。更に濃縮された不感脂化処理液中における硫酸金属塩の濃度は、1g/リットル〜200g/リットルが適当であり、特に好ましくは5g/リットル〜150g/リットルである。これより多いとき、耐刷性を悪くする場合があり、これより少ない場合、感脂性を損なう場合がある。
【0015】
本発明の不感脂化処理液には、汚れ防止成分として水溶性高分子化合物をさらに含有させることができる。このような水溶性高分子化合物としては、アラビアガム、繊維素及びその誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等)、澱粉誘導体(例えばデキストリン、酵素分解デキストリン、ヒドロキシプロピル澱粉、カルボキシメチル澱粉、リン酸化澱粉等)、アルギン酸及びその誘導体ポリビニルアルコール及びその共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びその誘導体、並びにポリアクリル酸及びその共重合体等が挙げられる。水溶性高分子化合物の含有量は、濃縮された不感脂化処理液において1g/リットル〜200g/リットルが適しており、より好ましくは5g/リットル〜150g/リットルである。これより多いとき、感脂性が悪くなる場合があり、これより少ない場合、不感脂性効果が悪くなる場合がある。
【0016】
本発明の不感脂化処理液には、平版印刷版支持体の適度なエッチング又は防腐蝕若しくはpH調整の目的で、水溶性の有機酸、無機酸又はそれらの塩を添加することができる。好ましい有機酸としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、酢酸、グルコン酸、蓚酸、p−トルエンスルホン酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。無機酸としては例えばリン酸、硝酸、硫酸、亜リン酸、ポリリン酸等が挙げられる。更にこれらの有機酸又は無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩あるいはアンモニウム塩(有機アミンによる塩を含む)等が挙げられる。本発明において、これら有機酸、無機酸又はそれらの塩は、1種で又は2種以上の混合物として使用してもよい。濃縮された不感脂化処理液中におけるこれらの添加量は、好ましくは0.01g/リットル〜50g/リットル、より好ましくは0.05g/リットル〜30g/リットルである。これより多いとき、感脂性が悪くなる場合があり、これより少ない場合、酸化汚れが発生しやすくなる場合がある。
【0017】
本発明の不感脂化処理液には、非画線部への濡れ性を良くする目的で、湿潤剤として界面活性剤や溶剤を含有させることができる。界面活性剤としては、アニオン型界面活性剤、非イオン界面活性剤、弗素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤などを利用することができる。界面活性剤を使用する場合、濃縮された不感脂化処理液中におけるその含有量は発泡の点を考慮すると、50g/リットル以下が適当であり、また、2種以上併用することもできる。
【0018】
本発明の不感脂化処理液に含有させることのできる溶剤としては、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ブリセリン、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。これらの溶剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。一般にこれらの溶剤は、濃縮された不感脂化処理液中において1g/リットル〜30g/リットルの範囲で使用するのが適当で、特に好ましくは3g/リットル〜20g/リットルである。
【0019】
その他添加できるものとして、防腐剤、着色剤、キレート剤、防錆剤、又は消泡剤などがある。
防腐剤としては、フェノール若しくはその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、ベンズトリアゾール誘導体、4級アンモニウム塩、ピルジン、ダイアジン若しくはトリアゾールの誘導体、又はブロモニトロアルコール系のブロモニトロプロパノール等が挙げられる。好ましい添加量は、濃縮された不感脂化処理液に対して0.01g/リットル〜10g/リットルの範囲が好ましく、種々のカビ、細菌、酵母に対して効力のあるような2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。
【0020】
本発明で使用できる着色剤としては、一般的な水溶性染料、食品用色素、水にとけて発色する無機金属化合物などが使用できる。
【0021】
本発明で使用できるキレート剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;フイチン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩等を挙げることができる。好ましい添加量は、濃縮された不感脂化処理液に対して0.01g/リットル〜10g/リットルの範囲が好ましく、使用時の不感脂化処理液或いは湿し水中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものが好ましい。
【0022】
本発明で使用できる防錆剤としては、チオサリチル酸、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール等が挙げられる。濃縮された不感脂化処理液中におけるその添加量は、好ましくは0.01〜10g/リットルである。
【0023】
本発明で使用できる消泡剤としては、シリコン消泡剤あるいはフッ系消泡剤が好ましく、その中で乳化分散型及び可溶化型等いずれも使用することができる。濃縮された不感脂化処理液中におけるその添加量は、好ましくは0.01〜10g/リットルである。
【0024】
上記したように、本発明の不感脂化処理液の成分として残余は水である。不感脂化処理液は、通常商業ベースとするときは濃縮化して商品化するのが一般的である。従って、不感脂化処理液は、水道水あるいは純水を使用して、上記の各種成分を溶解した濃縮水溶液として作られる。本発明にかかる不感脂化処理液は、平版印刷版の不感脂化処理に供することができ、例えば、版の汚れを除去するために使用することができる。また、湿し水として、もしくは印刷版の端面の不感脂化処理液として使用することもできる。なお、本発明にかかる平版印刷版の不感脂化処理には、任意の平版印刷版を用いることができる。
【0025】
本発明にかかる不感脂化処理液により版の汚れを除去する場合には、濃縮された不感脂化処理液を好ましくは5〜10倍位の比較的希釈率を少なくした液を用いる。これより多いとき、画像を痛めつけたり、耐刷性を悪くしたり、アルミニウム表面を腐食するような場合があり、これより少ない場合、汚れが落ちづらくなる場合がある。このとき、本発明にかかる不感脂化処理液は、例えば以下のように使用することができる。すなわち、希釈された当該不感脂化処理液を染みこませたスポンジ、布、脱脂綿等を用いて、汚れが発生した部分を拭き上げ、その後に印刷を再稼動させる。また、別な使用法としては、前もって不感脂化処理液を染みこませたスポンジ、布、脱脂綿等で版面を拭いて、汚れが発生するのを防止してから印刷する場合もある。
【0026】
本発明にかかる不感脂化処理液を湿し水として使用する場合には、濃縮された不感脂化処理液を好ましくは50〜200倍程度に希釈して用いる。これより多いとき、インキ着肉性を落としたり、耐刷性を悪くする場合があり、これより少ない場合、印刷中地汚れが発生しやすくなる場合がある。このとき、本発明にかかる不感脂化処理液は、例えば以下のように使用することができる。すなわち、希釈された当該不感脂化処理液を給水タンクに貯蔵し、そこから湿し水ローラーまたはモルトンロール等により版面上に補給して使用する。
【0027】
また、本発明の不感脂化処理液は印刷版の端面の不感脂化処理液としても使用できる。この場合は、濃縮された不感脂化処理液を好ましくは原液〜10倍程度に希釈して用いる。これより多いとき、端面の不感脂化効果が少なくなる場合がある。このとき、本発明にかかる不感脂化処理液は、例えば以下のように使用することができる。すなわち、当該不感脂化処理液を現像前あるいは現像後の印刷版の端面に、当該不感脂化処理液を染みこませたスポンジ、布、脱脂綿等を用いて薄く塗布する。また、印刷版を多数枚積み重ねて、その端面の同じように当該不感脂化処理液を塗布して使用する場合もある。
【0028】
本発明にかかる不感脂化処理液は、印刷適正が極めて良好であり、画線部のインキ着肉性を落とさずに、地汚れや酸化汚れに対して優れた効果を有する。我々の知見によると、これは以下のように説明できる。すなわち、金属フッ化物とリン酸金属塩において、地汚れや酸化汚れを防ぐことはできるが、これだけでは、エッチ効果(不感脂化効果)が効きすぎて、インキ着肉性を損なう場合があるので、そこに硫酸金属塩を含ませることにより、インキ着肉性を落とさずに不感脂化効果が発揮できることを見出したものである。
【0029】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明の内容がこれらに限定されるものではない。
【0030】
[実施例1〜3及び比較例1及び2]
表1の組成に従って、各種組成物を調製した。各成分を水に溶かし、最終的に1000mLとした。湿し水として使用する場合には、使用時に希釈する。
【0031】
【表1】
【0032】
上記のように調液した実施例1〜3及び比較例1及び2の組成物を、各々水道水で100倍に希釈し、湿し水として印刷テストに供した。印刷機はリョービ480D機を使用して、大日本インキ化学工業(株)のFグロス墨と、使用プレートとしては岡本化学工業(株)製のJP−5を標準条件で製版したものを用いて、下記の印刷テストを実施した。
地汚れの評価として、地汚れが発生する印刷枚数で評価した。
酸化汚れの評価として、5000部印刷した時点で印刷機を止め、2時間後に再印刷した時に、点々状の汚れが発生しているか否かで評価した。
インキ着肉性の評価として、ベタ部に完全にインキが付着するまでの印刷枚数(初期着肉性)で評価した。その結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
[実施例4及び比較例3及び4]
岡本化学工業(株)製新聞印刷用PS版UNL−Nを398x1100にカットし500枚積み重ねた。その外周端面に実施例2で用いた不感脂化処理液をスポンジで塗り付けて室温で乾燥させた(実施例4)。比較のために、不感脂化処理液を塗布しないでカットのままの版(比較例3)と外周端面を12°ボーメのアラビアガム水溶液でガム引きした版(比較例4)をオフセット輪転機に取り付け、常法に従って3万枚印刷した。その結果を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】
これらの結果から、本発明にかかる不感脂化処理液が、印刷適正が良好である、地汚れを生じにくい、酸化汚れを生じにくい、インキ着肉性が良好である、印刷版端部の不感脂化に対して優れた効果を有する等の種々の優れた効果を有することがわかる。
【0037】
【発明の効果】
本発明の不感脂化処理液およびそれを希釈した湿し水は、印刷適正が極めて良好であり、画線部のインキ着肉性を落とさずに、地汚れや酸化汚れに対して優れた効果を有する。
Claims (1)
- 少なくとも金属フッ化物とリン酸金属塩と硫酸金属塩とを含有することを特徴とする平版印刷用不感脂化処理液。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003033150A JP2004243549A (ja) | 2003-02-12 | 2003-02-12 | 平版印刷用不感脂化処理液 |
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ID=33019224
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JP2003033150A Pending JP2004243549A (ja) | 2003-02-12 | 2003-02-12 | 平版印刷用不感脂化処理液 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011177983A (ja) * | 2010-02-26 | 2011-09-15 | Fujifilm Corp | 新聞印刷用平版印刷版原版及びその製造方法 |
JP2011189718A (ja) * | 2010-03-17 | 2011-09-29 | Mitsubishi Paper Mills Ltd | 感熱型平版印刷版の印刷方法 |
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2003
- 2003-02-12 JP JP2003033150A patent/JP2004243549A/ja active Pending
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