JP2004239956A - 画像定着装置、および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録紙に充分な熱量を供給し、トナー画像の定着性を安定させる画像定着装置を提供することを目的とする。
【解決手段】記録材に形成された未定着画像を定着する回転可能な定着手段10に対して、交流磁界を印加する磁界発生部材55により誘導加熱される導電体を含む発熱部材51を、定着手段10の表面であって定着手段10の外周方向に長さを持った長手方向に亘る帯状領域に接触させ、定着手段10を加熱する外部加熱手段50を備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】記録材に形成された未定着画像を定着する回転可能な定着手段10に対して、交流磁界を印加する磁界発生部材55により誘導加熱される導電体を含む発熱部材51を、定着手段10の表面であって定着手段10の外周方向に長さを持った長手方向に亘る帯状領域に接触させ、定着手段10を加熱する外部加熱手段50を備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像定着装置に関し、より詳しくは例えば電子写真方式を利用した画像形成装置に用いられる画像定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置は、例えばドラム状に形成された感光体を一様に帯電し、この感光体を画像情報に基づいて制御された光で露光して感光体上に静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーで可視像とし、さらにこの可視像を記録紙に転写し、これを画像定着装置によって定着して画像形成している。
【0003】
かかる画像形成装置に用いられる画像定着装置は、図9に示したように、SUSなどの円筒で構成された芯金にシリコンゴムが被覆され、芯金内部に発熱体としてのハロゲンヒータを備えた定着ロール201と、同様に構成された加圧ロール202とが圧接されて構成されている。回転駆動される定着ロール201とこれに従動回転する加圧ロール202とは、圧接部において一定幅のニップ部203を形成している。そしてトナー画像205の転写された記録紙204はニップ部203を通過することで、トナー画像205が加熱および加圧されて記録紙204上に定着される。
【0004】
ここで、従来技術として、定着ロールと加圧ロールとで挟持しながらトナー画像を定着する技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−240060号公報(第4頁、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の画像定着装置では、記録紙が加熱ロールと加圧ロールとで形成されるニップ部を通過する際に、加熱ロールおよび加圧ロールから記録紙に熱が移行するためにそれぞれの表面温度が下がり、記録紙の後端側ほど充分な熱を供給することができない。そのためにトナー画像の定着性が低下し、特にミラーコート紙256GSMではそれが顕著となることから、プロセススピードを低速に設定しなければならないという技術的課題がみられた。
また、加熱ロールおよび加圧ロールから記録紙への熱の供給量を増やすために、ヒータへの電力を大きくすると、加熱ロールおよび加圧ロールに被覆されたシリコンゴムが剥がれるという現象が生じ、ヒータへ供給する電力量には一定の限界があるという技術的課題もあった。
【0007】
なお、上記の特許文献1に記載された技術では、記録紙に充分な熱量を供給し、トナー画像の定着性を安定させるための有効な技術は開示されていない。
【0008】
そこで本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、記録紙に充分な熱量を供給し、トナー画像の定着性を安定させる画像定着装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的のもと、本発明の画像定着装置は、記録材に形成された未定着画像を定着する回転可能な定着手段に対して、交流磁界を印加する磁界発生部材により誘導加熱される導電体を含む発熱部材を、定着手段の表面であって定着手段の外周方向に長さを持った長手方向に亘る帯状領域に接触させ、定着手段を加熱する外部加熱手段を備えたことを特徴としている。これによって、記録紙に充分な熱量を供給し、トナー画像の定着性を安定させることを可能とするものである。
【0010】
かかる構成の画像定着装置では、外部加熱手段は、定着手段の外周方向の長さが5mm以上の帯状領域を加熱するように配設されたことを特徴とすることができる。また、外部加熱手段は、発熱部材がベルト状に構成されたことを特徴とすることができる。さらに、外部加熱手段は、複数配設されたことを特徴とすることができる。また、外部加熱手段は、磁界発生部材がコイルと、コイルに交流電流を供給する交流電源を有することを特徴とすることができる。特に、交流電源は、電流量および周波数のいずれか又は双方が可変であることを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明の画像定着装置は、記録材に形成された未定着画像を定着する回転可能な定着ロールと、定着手段を圧接する加圧部材と、交流磁界を発生させる交流磁界発生部材と、交流磁界発生部材により誘導加熱される導電体層を有し、定着ロールの表面と所定の領域で接触して、定着ロールを外部から加熱する外部加熱ベルトとを備えたことを特徴としている。かかる構成の画像定着装置では、外部加熱ベルトは、定着ロールに対して接離自在に構成されたことを特徴とすることができる。また、外部加熱ベルトは、導電体層が強磁性体で構成され、外部加熱ベルトの内側であって定着ロールの表面と接触する領域の近傍に吸着磁界発生部材をさらに配設したことを特徴とすることができる。さらに、外部加熱ベルトは、表面温度がトナーの軟化点以下である場合に定着ロールから離隔されることを特徴とすることができる。
【0012】
また、本発明を画像形成装置として捉え、記録材上に画像情報に応じた未定着画像を形成する未定着画像形成手段と、回転可能な定着部材と、定着部材を圧接する加圧部材とにより記録材上に形成された未定着画像を定着する画像定着手段とを備え、画像定着手段は、磁界発生部材により誘導加熱される導電体を含む発熱部材を、定着部材の表面であって定着手段の外周方向に長さを持った長手方向に亘る帯状領域に接触させて、定着部材が加熱されることを特徴としている。かかる構成の画像形成装置では、画像定着手段は、発熱部材の発熱量を可変に構成したことを特徴とすることができる。特に、画像定着手段は、記録材に応じて発熱部材の発熱量を可変に構成したことを特徴とすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明について詳細に説明する。◎ 実施の形態1
図1に示すものは、本実施の形態における画像定着装置を説明する概略断面図である。この画像定着装置1は、加熱源を内蔵した定着ロール10、3つの支持ロール20、21、22に張架され定着ロール10に圧接されるエンドレスベルト30、エンドレスベルト30の所定の範囲を定着ロール10に向けてベルト内周面側から当接して押圧する圧力付与部材40、定着ロール10を外部から加熱する外部加熱部材50を備えている。
【0014】
定着ロール10は、アルミニウム等の熱伝導率の高い金属で形成された円筒状の芯金11上に、弾性材料で構成される弾性体層12と、耐熱性に優れた弾性材料で構成される表面層13とを積層して構成された、直径65mmのロールである。芯金11の円筒内部には、加熱源としての2本のハロゲンヒータ14が配設されている。また、定着ロール10の表面には、定着ロール10の表面温度を計測する温度センサ15が定着ロール10の表面と接触するように配設されている。
定着ロール10は、図示しない支持機構により回転自在に支持され、図示しない駆動装置によって図中の矢印方向に所定の速度で回転する。また、温度センサ15の計測信号により、図示しない温度制御部でハロゲンヒータ14が制御されて、定着ロール10の表面温度が所定の温度(例えば160℃)に維持されるように構成されている。
【0015】
エンドレスベルト30は、ポリイミドフィルム等の樹脂フィルムにより形成される。そして回転自在に支持されている3つの支持ロール20、21、22に張架された状態で配設されている。
支持ロール20は、定着ロール10の最下点よりも回転方向下流側に位置し、図示しない加圧機構により定着ロール10に圧接された状態で回転自在に配設されている。また、支持ロール21は、定着ロール10の最下点から水平方向上流側に位置し、回転自在に配設されている。支持ロール21の内部には、画像定着装置1の立ち上げ時における定着ロール10からエンドレスベルト30への熱伝導による定着ロール10の急激な温度低下を防止するため、エンドレスベルト30を予め一定の温度に高めておくためのハロゲンヒータ23が配設されている。
【0016】
さらに、支持ロール22は、一端が固定された軸受けに支持され、他端が変位駆動機構により水平方向に移動可能な軸受けによって支持されている。そして支持ロール22は、エンドレスベルト30の蛇行走行を検出する図示しないセンサからの検知信号に基づいて動作する駆動制御部により変位駆動機構が制御されて、エンドレスベルト30の蛇行を抑止する方向に所定量だけ移動するように構成されている。
【0017】
このように、エンドレスベルト30は3つの支持ロール20、21、22に所定の張力を加えられながら張架されている。特に、2つの支持ロール20、21により、エンドレスベルト30の外周面が定着ロール10の表面に所定量だけ巻きついた状態で圧接するように支持されている。これによって、未定着トナー像を担持した記録紙35が定着ロール10との間に挟持されるニップNが形成される。また、支持ロール22により、支持ロール20と支持ロール21から定着ロール10とは反対側に位置するエンドレスベルト30の部分が支持されるとともに、エンドレスベルト30の蛇行が抑止される。
【0018】
さらに、エンドレスベルト30には、エンドレスベルト30に摺擦してエンドレスベルト30表面を清掃するクリーニングロール24が配設されている。クリーニングロール24は、芯金と、芯金の表面に形成された多孔質のスポンジ層とで構成されている。スポンジ層には、ジメチルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、或いはポリエステルワックスなどの離型剤が含浸され、エンドレスベルト30表面へのトナーの付着を防止している。なお、芯金の表面に形成されたスポンジ層は、ゴアテックス(商標名)を表面に被覆したPTFE(フッ素樹脂の多孔質体)で形成してもよい。
【0019】
また、支持ロール21の上流側には未定着トナー像を担持する記録紙35をニップNに送り込むように誘導する入口ガイド27が配設されている。さらに、支持ロール20の下流側にはニップNを通過して定着ロール10から剥離される記録紙35を排出させるように誘導する排紙ガイド28が配設され、排紙ロール29により装置外部に排出される。
【0020】
圧力付与部材40は、図2に示すように、共にステンレス等で形成される上面が平滑な支持プレート41と支持プレート受け42との分割構造からなる支持体、支持体の支持プレート41の上面に取り付けられるシリコーンゴム(ゴム硬度23°)からなる弾性層43、ポリテトラフルオロエチレンを含浸させたガラス繊維シート(中興化成製:FGF−400−4)からなる低摩擦層44で構成されている。
【0021】
支持プレート41は断面T字形状からなり、その下面に定着ロール10の軸方向に沿った凸状部41aが形成されている。支持プレート受け42は、その上面に支持プレート41の下面の凸状部41aが嵌合される凹溝42aが形成されるとともに、その下面の両端部を僅かに除く部分に張出部42bが形成されている。弾性層43は、その上面が定着ロール10の表面に沿うような曲面形状に形成されるとともに、支持ロール20と定着ロール10との当接部近傍まで延びるような形状に形成されている。これにより、エンドレスベルト30がニップNを形成する範囲内では定着ロール10の表面に沿って確実に密着させることができるように構成されている。低摩擦層44は、支持プレート41と支持プレート受け42と弾性層43とを一体化したものの周囲全体を1周するように巻き付けた状態で取り付けられている。
【0022】
また、圧力付与部材40は、弾性層43が取り付けられた支持プレート41を支持プレート受け42に嵌合させ、ネジ等により一体化させて加圧フレーム45に着脱自在に取り付けられている。そして加圧フレーム45は一端が画像定着装置1本体の図示しない支軸に軸孔45bを介して揺動自在に取り付けられるとともに、加圧フレーム45の下部側がコイルスプリング46により定着ロール10に向けて所定の圧力で付勢されるようになっている。
【0023】
次に、外部加熱部材50について説明する。外部加熱部材50は、定着ロール10に接触しながら定着ロール10に従動するヒートベルト51、ヒートベルト51を張架するとともにヒートベルト51を従動回転させる3本の回転ロール52、53、54、ヒートベルト51面に対し略直交した交流磁界を発生させる磁界発生手段としての電磁石55を備えている。
【0024】
ヒートベルト51は、原形が直径80mmの円筒形状に形成された無端ベルトである。ヒートベルト51の層構造は、図3に示したように、耐熱性の高いシート状部材からなる基材層511、基材層511の上に積層された導電層512、最も上層となる表面離型層513の少なくとも3層を基本に備えている。
ヒートベルト51の基材層511は、厚さ10〜100μm、さらに好ましくは50〜100μm(例えば、75μm)の耐熱性の高いシートで形成され、例えばポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアミド等の耐熱性の高い合成樹脂からなるものが使用できる。
【0025】
ここで本実施の形態では、無端ベルトからなるヒートベルト51は、その両端部が回転ロール52、53、54の両端部に設けられたフランジに突き当たることによって、ヒートベルト51の蛇行が規制されるように構成されている。図4は、一例としてヒートベルト51が回転ロール52に支持されている場合の片側端部を示した概略断面図である。回転ロール52の両端部にはフランジ521が配設され、両フランジ521の内壁面間の距離がヒートベルト51の幅よりも若干長くなるように構成されている。そのため、ヒートベルト51の基材層511としては、ヒートベルト51の回転中に端部がフランジ521に突き当たった場合でも、このヒートベルト51に座屈等が生じない程度の剛性を有する必要があり、例えば、厚さ50μmのポリイミド製のシートが使用されている。
【0026】
また、ヒートベルト51の導電層512は、電磁石55によって生じる交流磁界の電磁誘導作用により誘導発熱する層であり、鉄・コバルト・ニッケル・SUS・アルミニウム・銅・クロム・銀等の金属を1〜100μm程度の厚みで形成したものが用いられる。ここで、アルミニウム・銅・銀等の電気伝導率の大きな金属では、後述する渦電流によるジュール熱を大きくするために、見かけの抵抗値が高くなるように構成している。すなわち、抵抗値Rは、R=ρl/S(ρ:抵抗率、l:長さ、S:断面積)で表されるため、導電層512の厚さを薄く構成することによって断面積Sを小さくすれば、見かけの抵抗値を高く構成することができる。したがって、導電層512として電気伝導率の大きな金属を用いる場合には、導電層512の厚さは数μm、例えば5〜10μmに形成する。他方、鉄・コバルト・ニッケル・SUS等の電気伝導率の比較的大きくない金属では、材料自体がある程度高い抵抗率ρを有しているので、導電層512の厚さは例えば30〜100μmに形成される。ただし、ヒートベルト51は後述するように定着ロール10と帯状の領域で接触するように構成されているため、フレキシブルなベルトである必要があり、そのために導電層512は薄層に形成することが好ましい。
【0027】
また、ヒートベルト51の表面離型層513は、未定着トナー像を担持する記録紙35からオフセットしたトナーが付着した定着ロール10と直接接触する層であるため、離型性のよい材料を使用することが必要である。この表面離型層513を構成する材料としては、例えば、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコン共重合体、またはこれらの複合層等が挙げられる。表面離型層513は、これらの材料のうちから適宜選択されたものを、1〜100μmの厚さでヒートベルト51の最上層に設けたものである。この表面離型層513の厚さは、薄すぎると耐摩耗性の観点から耐久性に難が生じて、ヒートベルト51の寿命が短くなる一方で、厚すぎるとヒートベルト51自体の熱容量が大きくなり、定着ロール10への熱エネルギーの伝達効率が悪くなるという問題が生じる。このため、表面離型層513の厚さは、耐久性および熱エネルギー伝達効率の観点から適宜設定することが必要である。
【0028】
上述した観点から、ヒートベルト51は、一例として、厚さ50μmのニッケル電鋳ベルトにプライマー層を介してシリコンゴムを厚さ100μmで被覆して構成されている。この場合、ニッケル電鋳ベルトが基材層511および導電層512を兼ねている。また他の例として、厚さ50〜70μmのポリイミド上に5〜10μmの銅メッキを施し、さらにその銅メッキ面にシリコンゴムを厚さ100μmで被覆して構成されている。さらに、表面離型層513としてのシリコンゴムの表面に厚さ数μmのフッ素樹脂を設けるように構成してもよい。
【0029】
ここで、回転ロール52、53、54は、アルミニウムや鉄などの金属で形成された芯金にフッ素コートされた厚さ20μmのPFAを被覆して構成され、図示しない駆動手段によって定着ロール10と同方向に回転する。そして、ヒートベルト51は、回転ロール52、53、54によって張架され、定着ロール10の表面の外周方向に長さを持った長手方向に亘る帯状の領域と接触しながら定着ロール10と従動する。すなわち、ヒートベルト51が定着ロール10と接触する領域は、定着ロール10の表面の外周方向には長さLを有し、定着ロール10の長手方向は少なくとも最大画像幅以上の長さで形成される帯状に広がる領域である。かかる帯状領域は、定着ロール10の外周方向の長さLが5mm以上の広がりを有している。
【0030】
ここで、例えば、直径65mmの定着ロール10に単なるロールが圧接される場合を考える。ロールの材質により異なりがあるものの、一般的にはこのロールによって形成されるニップ幅は3〜4mm程度とすることができる。本実施の形態では、上述の外周方向の長さLを、このロールによって形成されるニップ幅を超える長さにすることで、定着ロール10に対する充分な熱の伝達を可能とするものである。
【0031】
次に、磁界発生手段としての電磁石55について説明する。電磁石55は、ヒートベルト51の移動方向と直交する方向を長手方向とする横長に形成された部材であり、被加熱部材であるヒートベルト51とは0.5〜2mm程度のギャップを保持して、ヒートベルト51の外側に配設されている。
図5は電磁石55の構成を説明する断面図である。図5に示したように、電磁石55は、磁界を発生させる励磁コイル551と、磁路を形成する強磁性体からなる磁心552と、励磁コイル551に対してヒートベルト51とは反対側に設けられた磁場遮蔽部材553と、励磁コイル551に電流を供給する励磁回路554で形成されている。
【0032】
励磁コイル551としては、例えば、相互に絶縁された直径φ0.5mmの銅線材を16本束ねたリッツ線を直線状に所定の本数だけ並列的に配置したものが用いられる。
この励磁コイル551には、励磁回路554によって所定の周波数の交流電流が印加される。これによって励磁コイル551の周囲には交流磁界Hが発生する。この交流磁界Hがヒートベルト51の導電層512を横切る際に、この導電層512には、電磁誘導作用によってその交流磁界Hの変化を妨げる磁界を発生するように渦電流Bが生じる。この励磁コイル551に印加する交流電流の周波数は、例えば、10〜50kHzに設定されるが、本実施の形態では30kHzに設定されている。
このように、渦電流Bがヒートベルト51の導電層512を流れることによって、この導電層512の抵抗値Rに比例した電力W(W=B2R)によるジュール熱が発生し、ヒートベルト51を加熱するものである。
【0033】
また、磁心552は、強磁性体であるフェライト等で構成されている。励磁コイル551で発生した磁束はこの磁心552の内部を通過する磁路を形成するので、磁束を効率よく集中させることができ、ヒートベルト51に対する加熱効率を上げることができる。そのため、励磁回路554における励磁コイル551に交流電流を印加する高周波電源の周波数を低く設定することや、励磁コイル551の巻き線数を少なく設定することが可能となり、電源の小型化、励磁コイル551の小型化、低コスト化を実現することができる。
【0034】
また、磁場遮蔽部材553は、鉄・コバルト・ニッケル・フェライト等の磁性材料で構成されている。この磁場遮蔽部材553は、励磁コイル551から外部に漏れた磁束を集めて磁路を形成するものであり、効率のよい加熱を可能とするとともに、磁束が画像定着装置1の外に漏れて周辺部材が不本意に加熱されるのを防止することができる。
【0035】
次に、画像定着装置1の動作について説明する。まず、図示しない画像形成装置からの画像形成動作の開始信号を受けて、定着ロール10の表面がハロゲンヒータ14の加熱により所定の設定温度となり、定着ロール10が矢印方向に回転を始める。これと同期してエンドレスベルト30が3つの支持ロール20、21、22に張架された状態で定着ロール10に従動して矢印方向に回転し始める。さらに、外部加熱部材50のヒートベルト51が回転ロール52、53、54に張架された状態で定着ロール10に従動して矢印方向に回転し始める。
【0036】
その際、エンドレスベルト30は、支持ロール20、21による支持と圧力付与部材40による押圧とにより、定着ロール10との間にニップNを形成した状態で回転する。そして、トナー像が担持された記録紙35がニップNに搬送されて通過することにより、そのトナー像を構成するトナーが加熱加圧されて記録紙35上に定着される。定着処理後の記録紙35は、支持ロール20による押圧により弾性変形する定着ロール10の弾性体層12の領域を通過した後に、剥離装置を使用しなくとも定着ロール10の表面から自然に剥離され、排紙ガイド28へ排出される。
【0037】
一方、外部加熱部材50では、電磁石55からの誘導加熱によりヒートベルト51が加熱され、ヒートベルト51から定着ロール10に熱が供給される。具体的にはヒートベルト51は、定着ロール10の表面温度160℃よりも15°だけ高い175℃に加熱される。加熱されたヒートベルト51は定着ロール10に熱を供給し、定着ロール10の表面温度を迅速に所定温度に回復することが可能である。
【0038】
すなわち、定着ロール10は、未定着トナー像を担持する記録紙35をニップNで加熱定着する際に記録紙35に熱が奪われ、定着ロール10がニップNを通過した後は、定着ロール10の表面温度は低下する。特に、連続してプリントする場合や熱容量の大きな厚紙やOHPシートをプリントする場合等には、定着ロール10の表面温度の低下は著しい。これに対し、本実施の形態における画像定着装置1では、外部加熱部材50の加熱されたヒートベルト51が定着ロール10の表面とは定着ロール10の外周方向に長さLを持った長手方向に亘る帯状の領域で接触するので、定着ロール10に対して即時かつ充分な熱を供給することが可能である。このため、定着ロール10の表面温度がニップNを通過して低下しても、定着ロール10が1回転する間に外部加熱部材50から熱が充分に伝達されるので、再度ニップNに到達するまでの間に定着ロール10の表面温度を所定の温度に回復させることができる。したがって、連続してプリントする場合や厚紙やOHPシートをプリントする場合等においても、充分な定着性を得ることができる。
【0039】
特に、外部加熱部材50において電磁石55からの誘導加熱によりヒートベルト51を直接加熱するので、ヒートベルト51の温度を急速に上昇させることができる。このため、画像定着装置1の立ち上げ時や定着ロール10の表面温度の低下が著しい場合においても、定着ロール10に対して即時かつ充分な熱を供給することが可能である。
【0040】
ここで図6は、外部加熱部材50を配設した場合と、外部加熱部材50を配設しない場合とにおける立ち上がり時からの定着ロール10表面温度の変化を示した図である。図6に示すように、外部加熱部材50を配設しない場合には、定着ロール10の表面温度はプリント動作を重ねるに従い徐々に低下してしまうが、外部加熱部材50を配設した場合にはプリント動作を重ねても、定着ロール10表面温度をほぼ190℃に安定させることが可能となる。
【0041】
また、ヒートベルト51を加熱する熱量を変えることにより、記録紙35の定着画像の光沢を調整することが可能であり、ヒートベルト51に加える熱量を増やすほど定着画像の光沢を出すことができる。例えば、励磁回路554から励磁コイル551に供給する交流電流の電流量や周波数を変化させ、ヒートベルト51の導電層512を横切る交流磁界Hの強さを変えることによって、ミラーコート紙での光沢は、75度法で20差得ることができた。また、記録紙35の先端部と後端部とで一定の光沢を得ることができ、定着画像全体をフラットな光沢で形成することが可能となった。
【0042】
このように、励磁回路554から励磁コイル551に供給する交流電流の電流量や周波数を変化させ、ヒートベルト51の導電層512を横切る交流磁界Hの強さを変えることによって渦電流Bを調整して、ヒートベルト51に加える熱量を急速に制御することができるので、定着画像を所望の光沢に細かく調整することが可能である。さらに、記録材である記録紙35の種類に応じて、励磁コイル551に供給する交流電流の電流量や周波数を変化させることによって、定着画像の光沢を調整することも可能である。
特に、外部加熱部材50において電磁石55からの誘導加熱によりヒートベルト51を直接加熱するので、ヒートベルト51の表面温度を細かく調整できる。そのため、定着画像の光沢調整を容易に行うことができる。
【0043】
なお、本実施の形態では、ヒートベルト51は3本の回転ロール52、53、54によって張架したが、これに限定されるものではない。すなわち3本以上の回転ロールで張架することが可能である。さらに、外部加熱部材50は、ヒートベルト51が定着ロール10の表面とは定着ロール10の外周方向に長さLを持った長手方向に亘る帯状の領域で接触するように構成されるが、ヒートベルト51の定着ロール10側を向く一部に定着ロール10と非接触の領域を設けた構成としてもよい。
【0044】
また、ヒートベルト51と定着ロール10との接触面積は、伝熱面積を広く形成するため構成上許される限り大きくなるように構成するのが好ましい。また、外部加熱部材50の配置位置は、定着ロール10に供給した熱が放射して失われないようにニップNよりも定着ロール10回転方向上流側の近傍が好ましい。
また、ヒートベルト51に供給する熱量を大きくするために、少なくとも2本の回転ロールで張架されたヒートベルト51で構成される外部加熱部材50を定着ロール10の周囲に複数配設してもよい。さらに、外部加熱部材50は、電磁石55をヒートベルト51の周囲に複数配設するように構成することも可能である。
【0045】
◎ 実施の形態2
実施の形態1では、定着ロール10に接触しながら定着ロール10に従動するヒートベルト51の外部近傍に、電磁石55を配設してヒートベルト51を誘導加熱し、ヒートベルト51を定着ロール10の表面とは定着ロール10の外周方向に長さLを持った長手方向に亘る帯状の領域で接触させながら定着ロール10に熱を供給する外部加熱部材50を備えた画像定着装置1について説明した。実施の形態2では、定着ロール10の外周方向に長さLを持った長手方向に亘る帯状の領域に熱を供給する外部加熱部材60を定着ロール10に対して着脱自在に構成した画像定着装置2について説明する。尚、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
【0046】
図7に示すものは、本実施の形態における画像定着装置を説明する図である。この画像定着装置2は、加熱源を内蔵した定着ロール10、3つの支持ロール20、21、22に張架され定着ロール10に圧接されるエンドレスベルト30、エンドレスベルト30の所定の範囲を定着ロール10に向けてベルト内周面側から当接して押圧する圧力付与部材40、定着ロール10を外部から加熱する外部加熱部材60を備えている。
【0047】
ここで外部加熱部材60は、定着ロール10に接触しながら定着ロール10に従動するヒートベルト51、ヒートベルト51を張架するとともにヒートベルト51を従動回転させる4本の回転ロール52、53、56、57、ヒートベルト51面に対し略直交した交流磁界を発生させ、ヒートベルト51を誘導加熱させる誘導磁界発生手段としての電磁石55a、55b、55c、ヒートベルト51面に対し略直交した磁界を発生し、ヒートベルト51を吸着・離隔させる吸着磁界発生手段としての電磁石61a、61b、61cを備えている。
【0048】
電磁石55a、55b、55cは、実施の形態1で説明した電磁石55(図5参照)と同様に構成されており、ヒートベルト51の外側に0.5〜2mm程度のギャップを保持して配設されている。電磁石55aは回転ロール52と回転ロール56との間、電磁石55bは回転ロール56と回転ロール57との間、電磁石55cは回転ロール57と回転ロール53との間にそれぞれ配設され、ヒートベルト51を誘導加熱する。
回転ロール52、53は、図示しない着脱機構によりそれぞれ矢印A、B方向に移動可能に構成され、ヒートベルト51を定着ロール10に対し圧接状態と離隔状態とに切り換えることが可能となるように構成されている。他方、回転ロール56、57は、固定配置され、ヒートベルト51を支持している。
【0049】
電磁石61a、61b、61cは、ヒートベルト51の移動方向と直交する方向を長手方向とする横長に形成された部材であり、ヒートベルト51とは1〜5mm程度のギャップを保持して、ヒートベルト51の内側に配設されている。電磁石61a、61b、61cは、基本的には電磁石55a、55b、55cと同様に構成され、磁界を発生させる励磁コイルと、磁路を形成する強磁性体からなる磁心と、励磁コイルに電流を供給する励磁回路とで形成されているが、ヒートベルト51の導電層512(図3参照)に対し磁気吸着力を作用させることが可能であれば充分であるので、励磁コイルに供給する電流としては直流電流を使用することが可能である。
また、ヒートベルト51の導電層512はニッケルや鉄等の強磁性体で構成されている。
【0050】
次に、外部加熱部材60の定着ロール10に対する着脱について説明する。画像定着装置2が動作状態にある場合には、図示しない着脱機構は回転ロール52、53をヒートベルト51が定着ロール10に対し圧接するように位置させる。その際、電磁石61a、61b、61cには電流は供給せず、ヒートベルト51に対し電磁石61a、61b、61cからの磁気吸着力を働かせない。したがって、この場合には、ヒートベルト51は回転ロール52、53によって定着ロール10の外周方向に長さLを持った長手方向に亘る帯状の領域で定着ロール10に圧接された状態で定着ロール10に従動する。
【0051】
画像定着装置2が非動作状態にある場合には、回転ロール52、53は、図示しない着脱機構によりヒートベルト51を定着ロール10に対し離隔させるように位置させる。その結果、ヒートベルト51は定着ロール10と接触していた外周方向に長さLを持った長手方向に亘る帯状の領域において緩んだ状態となる。その際、電磁石61a、61b、61cに電流を供給して、ヒートベルト51に対し電磁石61a、61b、61cからの磁気吸着力を作用させる。したがって、この場合には、ヒートベルト51の導電層512は強磁性体で構成されているので、ヒートベルト51は電磁石61a、61b、61cからの磁気吸着力を受けて、電磁石61a、61b、61cに貼り付き、固定される。このようにして、ヒートベルト51は定着ロール10から離隔されることが可能となる。
【0052】
また、画像定着装置2が非動作状態にある場合だけでなく動作状態にある場合においても、ヒートベルト51の表面温度がトナーの軟化点(トナーが柔らかくなる温度)である110℃以下である場合には、ヒートベルト51は定着ロール10から離隔した状態にしておく。すなわち、画像定着装置2が非動作状態から動作状態になった直後であっても、ヒートベルト51の表面温度がトナーの軟化点以下である場合には、ヒートベルト51は定着ロール10から離隔した状態に維持しておく。そして、ヒートベルト51の表面温度がトナーの軟化点以上の温度となった場合に、必要に応じてヒートベルト51を定着ロール10に圧接した状態に設定する。
【0053】
具体的には、ヒートベルト51の表面に接触して配設した温度センサ62によりヒートベルト51の表面温度を検出し、その結果、ヒートベルト51の表面温度がトナーの軟化点よりも低い場合にはヒートベルト51を定着ロール10から離隔させる。他方、トナーの軟化点よりも高い場合には、画像定着装置2が動作状態にあるか否か等を図示しない制御部で判断し、必要に応じてヒートベルト51を定着ロール10に圧接させる。
【0054】
これは以下の理由に基づくものである。すなわち、画像定着装置2の非動作時およびヒートベルト51の表面温度がトナーの軟化点以下である状態では、ヒートベルト51の表面離型層513(図3参照)表面には冷えて固体化したトナーが付着している。そのため、ヒートベルト51を定着ロール10に圧接された状態のままに維持しておくと、固体化したトナーは定着ロール10の弾性体層12よりも固いために、ヒートベルト51表面と定着ロール10表面とが摺擦された際に、定着ロール10表面を傷つけてしまう。その結果、定着画像にスジ状の汚れが生じる等、画像品位の低下を引き起こす原因となる場合がある。
これに対し上記したように、ヒートベルト51の表面離型層513表面に付着したトナーが固体化している状態においては、ヒートベルト51を定着ロール10から離隔させる構成とすることにより、定着ロール10表面を傷つけることを防ぎ、定着画像の品位を低下させることを防止することができる。
【0055】
◎ 実施の形態3
次に、実施の形態1における画像定着装置1を備えたカラー画像形成装置を説明する。なお、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
図8は本実施の形態におけるカラー画像形成装置を示している。カラー画像形成装置100は、4個の感光体ドラム101A、101B、101C、101Dを中間転写ベルト107の周囲に配置して構成されている。それぞれの感光体ドラム101A、101B、101C、101D、例えば感光体ドラム101Aの周囲には感光体ドラム101A上を一様に帯電する帯電器102A、画像情報に基づいて制御された光を露光するLEDプリントヘッド(LPH)103A、感光体ドラム101A上に形成された潜像を現像する現像器120A、トナー像を中間転写ベルト107に転写する1次転写ロール112A、感光体ドラム101A上から転写残トナーを除去するクリーナ105A、感光体ドラム101A上の残余の電荷を除去する除電器106Aを備えている。さらに、中間転写ベルト107上に転写されたトナー像を記録紙35に転写する2次転写ロール113、記録紙35を搬送する用紙搬送ベルト110、そして記録紙35上のトナー像を定着する定着装置1を備えている。なお、感光体ドラム101B、101C、101Dの周囲も同様に構成されている。
【0056】
帯電器102Aは、導電性ゴムまたは導電性スポンジと導電性ゴムとを積層して形成された帯電ロールで構成され、電源(図示せず)に接続されて電圧が供給されている。そして感光体ドラム101Aの表面を一定電圧で一様に帯電する。LPH103Aは、図示しないホストコンピュータからの画像データに基づき制御された光を照射し、感光体ドラム101A上に潜像を形成する。
【0057】
現像器120Aは、トナーと磁性粒子であるキャリアとを混合させた現像剤を現像剤担持体上に担持させながら感光体ドラム101Aに搬送し、感光体ドラム101A上に形成された潜像をイエロー(Y)のトナーで現像し、トナー像を形成する。また、現像器120B、120C、120Dにはそれぞれマゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナーを用いた現像剤が備えられ、それぞれ静電潜像を現像して、M、C、Kのトナー像を形成する。
【0058】
1次転写ロール112Aは、導電性ゴムまたは導電性スポンジと導電性ゴムとを積層して形成され、電源(図示せず)に接続されて電圧が供給されている。そして中間転写ベルト107上にトナー像を転写する。クリーナ105Aは、クリーニングブレードとクリーナハウジングで構成される。クリーニングブレードは感光体ドラム101Aの回転方向とはカウンター方向に当接され、転写の際に感光体ドラム101A上に残った転写残トナーを掻き取り、クリーナハウジングに貯蔵する。
【0059】
除電器106Aは、導電性ゴムまたは導電性スポンジと導電性ゴムとを積層して形成され、電源(図示せず)に接続されて電圧が供給されている。そして感光体ドラム101A上に残っている電荷を除去し、感光体ドラム101A上の表面電位をほぼ0Vに均一化する。また、中間転写ベルト107はポリイミドなどの可撓性のフィルムで構成され、感光体ドラム101A〜101Dと1次転写ロール112A〜112Dとで狭持されながら移動する。そしてそれぞれの感光体ドラム101A〜101D上に形成されたY、M、C、Kのトナー像がそれぞれ1次転写ロール112A〜112Dによってレジセンサ108で位置合わせをしながら中間転写ベルト107上に転写されて合成される。
【0060】
中間転写ベルト107に転写して合成されたカラートナー像は、2次転写ロール113によって記録紙35に一括して転写する。そして記録紙35は用紙搬送ベルト110で定着器1に運ばれる。なお、中間転写ベルト107に転写残として残ったトナーはクリーナ114で除去される。
【0061】
定着装置1は、画像形成装置100からの画像形成動作の開始信号を受けると定着ロール10の表面がハロゲンヒータ14の加熱により所定の設定温度となり、定着ロール10が矢印方向に回転し始める。これと同期してエンドレスベルト30が3つの支持ロール20、21、22に張架された状態で定着ロール10に従動して矢印方向に回転し始める。一方、各感光体ドラム101A〜101Dで形成されたカラートナー像が記録紙35上に転写され合成される。そしてその記録紙35が定着装置1に搬送される。
【0062】
その際、エンドレスベルト30は、支持ロール20、21による支持と圧力付与部材40による押圧とにより、定着ロール10との間にニップNを形成した状態で回転する。そして、トナー像が担持された記録紙35がニップNに搬送されて通過することにより、そのカラートナー像が加熱加圧されて記録紙35上に定着され、カラー画像が形成される。
【0063】
ここで、外部加熱部材50では、電磁石55による誘導加熱によりヒートベルト51が直接加熱されるので、定着ロール10との接触領域において定着ロール10に熱を急速に供給することができる。さらに外部加熱部材50のヒートベルト51と定着ロール10との接触領域は、定着ロール10の外周方向に長さLを持った長手方向に亘る帯状の領域で形成されているので、定着ロール10に対して即時かつ充分な熱を供給することが可能である。このため、定着ロール10の温度がニップNを通過して低下しても、定着ロール10が1回転する間に外部加熱部材50から熱が急速かつ充分に伝達されるので、再度ニップNに到達するまでの間に定着ロール10の温度を所定の温度に回復させることができる。したがって、連続してプリントする場合や熱容量の大きな厚紙をプリントする場合等においても、画像形成装置100のプロセススピードを低速にすることなく、充分に定着されたカラー画像を形成することができる。
【0064】
また、励磁回路554から励磁コイル551に供給する交流電流の電流量や周波数を変化させ、ヒートベルト51の導電層512を横切る交流磁界Hの強さを変えることによって渦電流Bを調整して、ヒートベルト51に加える熱量を急速に制御することができるので、記録紙35の定着画像の光沢を微妙に調整することが可能である。また、記録紙35の先端部と後端部とを含めた全面で均一な光沢を得ることができ、定着画像全体をフラットな光沢で形成することが可能となった。さらに、記録材である記録紙の種類に応じて、定着画像の光沢を調整することも容易に行うことが可能となった。
なお、本実施の形態のカラー画像形成装置に限らず、白黒画像を形成する画像形成装置においても同様の効果を得ることができる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、記録紙に充分な熱量を供給し、トナー画像の定着性を安定させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像定着装置を説明する概略断面図である。
【図2】圧力付与部材を説明する図である。
【図3】ヒートベルトの層構造を説明する断面図である。
【図4】ヒートベルトを支持する回転ロールの片側端部を示した概略断面図である。
【図5】電磁石の構成を説明する断面図である。
【図6】立ち上がり時からの定着ロール表面温度の変化を示した図である。
【図7】画像定着装置を説明する図である。
【図8】カラー画像形成装置を説明する図である。
【図9】従来の画像定着装置を説明する図である。
【符号の説明】
10…定着ロール、14…ハロゲンヒータ、15…温度センサ、20,21,22…支持ロール、24…クリーニングロール、30…エンドレスベルト、40…圧力付与部材、50,60…外部加熱部材、51…ヒートベルト、52,53,54,56,57…回転ロール、55…電磁石、551…励磁コイル、552…磁心、553…磁場遮蔽部材、554…励磁回路、61a,61b,61c…電磁石
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像定着装置に関し、より詳しくは例えば電子写真方式を利用した画像形成装置に用いられる画像定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置は、例えばドラム状に形成された感光体を一様に帯電し、この感光体を画像情報に基づいて制御された光で露光して感光体上に静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーで可視像とし、さらにこの可視像を記録紙に転写し、これを画像定着装置によって定着して画像形成している。
【0003】
かかる画像形成装置に用いられる画像定着装置は、図9に示したように、SUSなどの円筒で構成された芯金にシリコンゴムが被覆され、芯金内部に発熱体としてのハロゲンヒータを備えた定着ロール201と、同様に構成された加圧ロール202とが圧接されて構成されている。回転駆動される定着ロール201とこれに従動回転する加圧ロール202とは、圧接部において一定幅のニップ部203を形成している。そしてトナー画像205の転写された記録紙204はニップ部203を通過することで、トナー画像205が加熱および加圧されて記録紙204上に定着される。
【0004】
ここで、従来技術として、定着ロールと加圧ロールとで挟持しながらトナー画像を定着する技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−240060号公報(第4頁、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の画像定着装置では、記録紙が加熱ロールと加圧ロールとで形成されるニップ部を通過する際に、加熱ロールおよび加圧ロールから記録紙に熱が移行するためにそれぞれの表面温度が下がり、記録紙の後端側ほど充分な熱を供給することができない。そのためにトナー画像の定着性が低下し、特にミラーコート紙256GSMではそれが顕著となることから、プロセススピードを低速に設定しなければならないという技術的課題がみられた。
また、加熱ロールおよび加圧ロールから記録紙への熱の供給量を増やすために、ヒータへの電力を大きくすると、加熱ロールおよび加圧ロールに被覆されたシリコンゴムが剥がれるという現象が生じ、ヒータへ供給する電力量には一定の限界があるという技術的課題もあった。
【0007】
なお、上記の特許文献1に記載された技術では、記録紙に充分な熱量を供給し、トナー画像の定着性を安定させるための有効な技術は開示されていない。
【0008】
そこで本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、記録紙に充分な熱量を供給し、トナー画像の定着性を安定させる画像定着装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的のもと、本発明の画像定着装置は、記録材に形成された未定着画像を定着する回転可能な定着手段に対して、交流磁界を印加する磁界発生部材により誘導加熱される導電体を含む発熱部材を、定着手段の表面であって定着手段の外周方向に長さを持った長手方向に亘る帯状領域に接触させ、定着手段を加熱する外部加熱手段を備えたことを特徴としている。これによって、記録紙に充分な熱量を供給し、トナー画像の定着性を安定させることを可能とするものである。
【0010】
かかる構成の画像定着装置では、外部加熱手段は、定着手段の外周方向の長さが5mm以上の帯状領域を加熱するように配設されたことを特徴とすることができる。また、外部加熱手段は、発熱部材がベルト状に構成されたことを特徴とすることができる。さらに、外部加熱手段は、複数配設されたことを特徴とすることができる。また、外部加熱手段は、磁界発生部材がコイルと、コイルに交流電流を供給する交流電源を有することを特徴とすることができる。特に、交流電源は、電流量および周波数のいずれか又は双方が可変であることを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明の画像定着装置は、記録材に形成された未定着画像を定着する回転可能な定着ロールと、定着手段を圧接する加圧部材と、交流磁界を発生させる交流磁界発生部材と、交流磁界発生部材により誘導加熱される導電体層を有し、定着ロールの表面と所定の領域で接触して、定着ロールを外部から加熱する外部加熱ベルトとを備えたことを特徴としている。かかる構成の画像定着装置では、外部加熱ベルトは、定着ロールに対して接離自在に構成されたことを特徴とすることができる。また、外部加熱ベルトは、導電体層が強磁性体で構成され、外部加熱ベルトの内側であって定着ロールの表面と接触する領域の近傍に吸着磁界発生部材をさらに配設したことを特徴とすることができる。さらに、外部加熱ベルトは、表面温度がトナーの軟化点以下である場合に定着ロールから離隔されることを特徴とすることができる。
【0012】
また、本発明を画像形成装置として捉え、記録材上に画像情報に応じた未定着画像を形成する未定着画像形成手段と、回転可能な定着部材と、定着部材を圧接する加圧部材とにより記録材上に形成された未定着画像を定着する画像定着手段とを備え、画像定着手段は、磁界発生部材により誘導加熱される導電体を含む発熱部材を、定着部材の表面であって定着手段の外周方向に長さを持った長手方向に亘る帯状領域に接触させて、定着部材が加熱されることを特徴としている。かかる構成の画像形成装置では、画像定着手段は、発熱部材の発熱量を可変に構成したことを特徴とすることができる。特に、画像定着手段は、記録材に応じて発熱部材の発熱量を可変に構成したことを特徴とすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明について詳細に説明する。◎ 実施の形態1
図1に示すものは、本実施の形態における画像定着装置を説明する概略断面図である。この画像定着装置1は、加熱源を内蔵した定着ロール10、3つの支持ロール20、21、22に張架され定着ロール10に圧接されるエンドレスベルト30、エンドレスベルト30の所定の範囲を定着ロール10に向けてベルト内周面側から当接して押圧する圧力付与部材40、定着ロール10を外部から加熱する外部加熱部材50を備えている。
【0014】
定着ロール10は、アルミニウム等の熱伝導率の高い金属で形成された円筒状の芯金11上に、弾性材料で構成される弾性体層12と、耐熱性に優れた弾性材料で構成される表面層13とを積層して構成された、直径65mmのロールである。芯金11の円筒内部には、加熱源としての2本のハロゲンヒータ14が配設されている。また、定着ロール10の表面には、定着ロール10の表面温度を計測する温度センサ15が定着ロール10の表面と接触するように配設されている。
定着ロール10は、図示しない支持機構により回転自在に支持され、図示しない駆動装置によって図中の矢印方向に所定の速度で回転する。また、温度センサ15の計測信号により、図示しない温度制御部でハロゲンヒータ14が制御されて、定着ロール10の表面温度が所定の温度(例えば160℃)に維持されるように構成されている。
【0015】
エンドレスベルト30は、ポリイミドフィルム等の樹脂フィルムにより形成される。そして回転自在に支持されている3つの支持ロール20、21、22に張架された状態で配設されている。
支持ロール20は、定着ロール10の最下点よりも回転方向下流側に位置し、図示しない加圧機構により定着ロール10に圧接された状態で回転自在に配設されている。また、支持ロール21は、定着ロール10の最下点から水平方向上流側に位置し、回転自在に配設されている。支持ロール21の内部には、画像定着装置1の立ち上げ時における定着ロール10からエンドレスベルト30への熱伝導による定着ロール10の急激な温度低下を防止するため、エンドレスベルト30を予め一定の温度に高めておくためのハロゲンヒータ23が配設されている。
【0016】
さらに、支持ロール22は、一端が固定された軸受けに支持され、他端が変位駆動機構により水平方向に移動可能な軸受けによって支持されている。そして支持ロール22は、エンドレスベルト30の蛇行走行を検出する図示しないセンサからの検知信号に基づいて動作する駆動制御部により変位駆動機構が制御されて、エンドレスベルト30の蛇行を抑止する方向に所定量だけ移動するように構成されている。
【0017】
このように、エンドレスベルト30は3つの支持ロール20、21、22に所定の張力を加えられながら張架されている。特に、2つの支持ロール20、21により、エンドレスベルト30の外周面が定着ロール10の表面に所定量だけ巻きついた状態で圧接するように支持されている。これによって、未定着トナー像を担持した記録紙35が定着ロール10との間に挟持されるニップNが形成される。また、支持ロール22により、支持ロール20と支持ロール21から定着ロール10とは反対側に位置するエンドレスベルト30の部分が支持されるとともに、エンドレスベルト30の蛇行が抑止される。
【0018】
さらに、エンドレスベルト30には、エンドレスベルト30に摺擦してエンドレスベルト30表面を清掃するクリーニングロール24が配設されている。クリーニングロール24は、芯金と、芯金の表面に形成された多孔質のスポンジ層とで構成されている。スポンジ層には、ジメチルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、或いはポリエステルワックスなどの離型剤が含浸され、エンドレスベルト30表面へのトナーの付着を防止している。なお、芯金の表面に形成されたスポンジ層は、ゴアテックス(商標名)を表面に被覆したPTFE(フッ素樹脂の多孔質体)で形成してもよい。
【0019】
また、支持ロール21の上流側には未定着トナー像を担持する記録紙35をニップNに送り込むように誘導する入口ガイド27が配設されている。さらに、支持ロール20の下流側にはニップNを通過して定着ロール10から剥離される記録紙35を排出させるように誘導する排紙ガイド28が配設され、排紙ロール29により装置外部に排出される。
【0020】
圧力付与部材40は、図2に示すように、共にステンレス等で形成される上面が平滑な支持プレート41と支持プレート受け42との分割構造からなる支持体、支持体の支持プレート41の上面に取り付けられるシリコーンゴム(ゴム硬度23°)からなる弾性層43、ポリテトラフルオロエチレンを含浸させたガラス繊維シート(中興化成製:FGF−400−4)からなる低摩擦層44で構成されている。
【0021】
支持プレート41は断面T字形状からなり、その下面に定着ロール10の軸方向に沿った凸状部41aが形成されている。支持プレート受け42は、その上面に支持プレート41の下面の凸状部41aが嵌合される凹溝42aが形成されるとともに、その下面の両端部を僅かに除く部分に張出部42bが形成されている。弾性層43は、その上面が定着ロール10の表面に沿うような曲面形状に形成されるとともに、支持ロール20と定着ロール10との当接部近傍まで延びるような形状に形成されている。これにより、エンドレスベルト30がニップNを形成する範囲内では定着ロール10の表面に沿って確実に密着させることができるように構成されている。低摩擦層44は、支持プレート41と支持プレート受け42と弾性層43とを一体化したものの周囲全体を1周するように巻き付けた状態で取り付けられている。
【0022】
また、圧力付与部材40は、弾性層43が取り付けられた支持プレート41を支持プレート受け42に嵌合させ、ネジ等により一体化させて加圧フレーム45に着脱自在に取り付けられている。そして加圧フレーム45は一端が画像定着装置1本体の図示しない支軸に軸孔45bを介して揺動自在に取り付けられるとともに、加圧フレーム45の下部側がコイルスプリング46により定着ロール10に向けて所定の圧力で付勢されるようになっている。
【0023】
次に、外部加熱部材50について説明する。外部加熱部材50は、定着ロール10に接触しながら定着ロール10に従動するヒートベルト51、ヒートベルト51を張架するとともにヒートベルト51を従動回転させる3本の回転ロール52、53、54、ヒートベルト51面に対し略直交した交流磁界を発生させる磁界発生手段としての電磁石55を備えている。
【0024】
ヒートベルト51は、原形が直径80mmの円筒形状に形成された無端ベルトである。ヒートベルト51の層構造は、図3に示したように、耐熱性の高いシート状部材からなる基材層511、基材層511の上に積層された導電層512、最も上層となる表面離型層513の少なくとも3層を基本に備えている。
ヒートベルト51の基材層511は、厚さ10〜100μm、さらに好ましくは50〜100μm(例えば、75μm)の耐熱性の高いシートで形成され、例えばポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアミド等の耐熱性の高い合成樹脂からなるものが使用できる。
【0025】
ここで本実施の形態では、無端ベルトからなるヒートベルト51は、その両端部が回転ロール52、53、54の両端部に設けられたフランジに突き当たることによって、ヒートベルト51の蛇行が規制されるように構成されている。図4は、一例としてヒートベルト51が回転ロール52に支持されている場合の片側端部を示した概略断面図である。回転ロール52の両端部にはフランジ521が配設され、両フランジ521の内壁面間の距離がヒートベルト51の幅よりも若干長くなるように構成されている。そのため、ヒートベルト51の基材層511としては、ヒートベルト51の回転中に端部がフランジ521に突き当たった場合でも、このヒートベルト51に座屈等が生じない程度の剛性を有する必要があり、例えば、厚さ50μmのポリイミド製のシートが使用されている。
【0026】
また、ヒートベルト51の導電層512は、電磁石55によって生じる交流磁界の電磁誘導作用により誘導発熱する層であり、鉄・コバルト・ニッケル・SUS・アルミニウム・銅・クロム・銀等の金属を1〜100μm程度の厚みで形成したものが用いられる。ここで、アルミニウム・銅・銀等の電気伝導率の大きな金属では、後述する渦電流によるジュール熱を大きくするために、見かけの抵抗値が高くなるように構成している。すなわち、抵抗値Rは、R=ρl/S(ρ:抵抗率、l:長さ、S:断面積)で表されるため、導電層512の厚さを薄く構成することによって断面積Sを小さくすれば、見かけの抵抗値を高く構成することができる。したがって、導電層512として電気伝導率の大きな金属を用いる場合には、導電層512の厚さは数μm、例えば5〜10μmに形成する。他方、鉄・コバルト・ニッケル・SUS等の電気伝導率の比較的大きくない金属では、材料自体がある程度高い抵抗率ρを有しているので、導電層512の厚さは例えば30〜100μmに形成される。ただし、ヒートベルト51は後述するように定着ロール10と帯状の領域で接触するように構成されているため、フレキシブルなベルトである必要があり、そのために導電層512は薄層に形成することが好ましい。
【0027】
また、ヒートベルト51の表面離型層513は、未定着トナー像を担持する記録紙35からオフセットしたトナーが付着した定着ロール10と直接接触する層であるため、離型性のよい材料を使用することが必要である。この表面離型層513を構成する材料としては、例えば、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコン共重合体、またはこれらの複合層等が挙げられる。表面離型層513は、これらの材料のうちから適宜選択されたものを、1〜100μmの厚さでヒートベルト51の最上層に設けたものである。この表面離型層513の厚さは、薄すぎると耐摩耗性の観点から耐久性に難が生じて、ヒートベルト51の寿命が短くなる一方で、厚すぎるとヒートベルト51自体の熱容量が大きくなり、定着ロール10への熱エネルギーの伝達効率が悪くなるという問題が生じる。このため、表面離型層513の厚さは、耐久性および熱エネルギー伝達効率の観点から適宜設定することが必要である。
【0028】
上述した観点から、ヒートベルト51は、一例として、厚さ50μmのニッケル電鋳ベルトにプライマー層を介してシリコンゴムを厚さ100μmで被覆して構成されている。この場合、ニッケル電鋳ベルトが基材層511および導電層512を兼ねている。また他の例として、厚さ50〜70μmのポリイミド上に5〜10μmの銅メッキを施し、さらにその銅メッキ面にシリコンゴムを厚さ100μmで被覆して構成されている。さらに、表面離型層513としてのシリコンゴムの表面に厚さ数μmのフッ素樹脂を設けるように構成してもよい。
【0029】
ここで、回転ロール52、53、54は、アルミニウムや鉄などの金属で形成された芯金にフッ素コートされた厚さ20μmのPFAを被覆して構成され、図示しない駆動手段によって定着ロール10と同方向に回転する。そして、ヒートベルト51は、回転ロール52、53、54によって張架され、定着ロール10の表面の外周方向に長さを持った長手方向に亘る帯状の領域と接触しながら定着ロール10と従動する。すなわち、ヒートベルト51が定着ロール10と接触する領域は、定着ロール10の表面の外周方向には長さLを有し、定着ロール10の長手方向は少なくとも最大画像幅以上の長さで形成される帯状に広がる領域である。かかる帯状領域は、定着ロール10の外周方向の長さLが5mm以上の広がりを有している。
【0030】
ここで、例えば、直径65mmの定着ロール10に単なるロールが圧接される場合を考える。ロールの材質により異なりがあるものの、一般的にはこのロールによって形成されるニップ幅は3〜4mm程度とすることができる。本実施の形態では、上述の外周方向の長さLを、このロールによって形成されるニップ幅を超える長さにすることで、定着ロール10に対する充分な熱の伝達を可能とするものである。
【0031】
次に、磁界発生手段としての電磁石55について説明する。電磁石55は、ヒートベルト51の移動方向と直交する方向を長手方向とする横長に形成された部材であり、被加熱部材であるヒートベルト51とは0.5〜2mm程度のギャップを保持して、ヒートベルト51の外側に配設されている。
図5は電磁石55の構成を説明する断面図である。図5に示したように、電磁石55は、磁界を発生させる励磁コイル551と、磁路を形成する強磁性体からなる磁心552と、励磁コイル551に対してヒートベルト51とは反対側に設けられた磁場遮蔽部材553と、励磁コイル551に電流を供給する励磁回路554で形成されている。
【0032】
励磁コイル551としては、例えば、相互に絶縁された直径φ0.5mmの銅線材を16本束ねたリッツ線を直線状に所定の本数だけ並列的に配置したものが用いられる。
この励磁コイル551には、励磁回路554によって所定の周波数の交流電流が印加される。これによって励磁コイル551の周囲には交流磁界Hが発生する。この交流磁界Hがヒートベルト51の導電層512を横切る際に、この導電層512には、電磁誘導作用によってその交流磁界Hの変化を妨げる磁界を発生するように渦電流Bが生じる。この励磁コイル551に印加する交流電流の周波数は、例えば、10〜50kHzに設定されるが、本実施の形態では30kHzに設定されている。
このように、渦電流Bがヒートベルト51の導電層512を流れることによって、この導電層512の抵抗値Rに比例した電力W(W=B2R)によるジュール熱が発生し、ヒートベルト51を加熱するものである。
【0033】
また、磁心552は、強磁性体であるフェライト等で構成されている。励磁コイル551で発生した磁束はこの磁心552の内部を通過する磁路を形成するので、磁束を効率よく集中させることができ、ヒートベルト51に対する加熱効率を上げることができる。そのため、励磁回路554における励磁コイル551に交流電流を印加する高周波電源の周波数を低く設定することや、励磁コイル551の巻き線数を少なく設定することが可能となり、電源の小型化、励磁コイル551の小型化、低コスト化を実現することができる。
【0034】
また、磁場遮蔽部材553は、鉄・コバルト・ニッケル・フェライト等の磁性材料で構成されている。この磁場遮蔽部材553は、励磁コイル551から外部に漏れた磁束を集めて磁路を形成するものであり、効率のよい加熱を可能とするとともに、磁束が画像定着装置1の外に漏れて周辺部材が不本意に加熱されるのを防止することができる。
【0035】
次に、画像定着装置1の動作について説明する。まず、図示しない画像形成装置からの画像形成動作の開始信号を受けて、定着ロール10の表面がハロゲンヒータ14の加熱により所定の設定温度となり、定着ロール10が矢印方向に回転を始める。これと同期してエンドレスベルト30が3つの支持ロール20、21、22に張架された状態で定着ロール10に従動して矢印方向に回転し始める。さらに、外部加熱部材50のヒートベルト51が回転ロール52、53、54に張架された状態で定着ロール10に従動して矢印方向に回転し始める。
【0036】
その際、エンドレスベルト30は、支持ロール20、21による支持と圧力付与部材40による押圧とにより、定着ロール10との間にニップNを形成した状態で回転する。そして、トナー像が担持された記録紙35がニップNに搬送されて通過することにより、そのトナー像を構成するトナーが加熱加圧されて記録紙35上に定着される。定着処理後の記録紙35は、支持ロール20による押圧により弾性変形する定着ロール10の弾性体層12の領域を通過した後に、剥離装置を使用しなくとも定着ロール10の表面から自然に剥離され、排紙ガイド28へ排出される。
【0037】
一方、外部加熱部材50では、電磁石55からの誘導加熱によりヒートベルト51が加熱され、ヒートベルト51から定着ロール10に熱が供給される。具体的にはヒートベルト51は、定着ロール10の表面温度160℃よりも15°だけ高い175℃に加熱される。加熱されたヒートベルト51は定着ロール10に熱を供給し、定着ロール10の表面温度を迅速に所定温度に回復することが可能である。
【0038】
すなわち、定着ロール10は、未定着トナー像を担持する記録紙35をニップNで加熱定着する際に記録紙35に熱が奪われ、定着ロール10がニップNを通過した後は、定着ロール10の表面温度は低下する。特に、連続してプリントする場合や熱容量の大きな厚紙やOHPシートをプリントする場合等には、定着ロール10の表面温度の低下は著しい。これに対し、本実施の形態における画像定着装置1では、外部加熱部材50の加熱されたヒートベルト51が定着ロール10の表面とは定着ロール10の外周方向に長さLを持った長手方向に亘る帯状の領域で接触するので、定着ロール10に対して即時かつ充分な熱を供給することが可能である。このため、定着ロール10の表面温度がニップNを通過して低下しても、定着ロール10が1回転する間に外部加熱部材50から熱が充分に伝達されるので、再度ニップNに到達するまでの間に定着ロール10の表面温度を所定の温度に回復させることができる。したがって、連続してプリントする場合や厚紙やOHPシートをプリントする場合等においても、充分な定着性を得ることができる。
【0039】
特に、外部加熱部材50において電磁石55からの誘導加熱によりヒートベルト51を直接加熱するので、ヒートベルト51の温度を急速に上昇させることができる。このため、画像定着装置1の立ち上げ時や定着ロール10の表面温度の低下が著しい場合においても、定着ロール10に対して即時かつ充分な熱を供給することが可能である。
【0040】
ここで図6は、外部加熱部材50を配設した場合と、外部加熱部材50を配設しない場合とにおける立ち上がり時からの定着ロール10表面温度の変化を示した図である。図6に示すように、外部加熱部材50を配設しない場合には、定着ロール10の表面温度はプリント動作を重ねるに従い徐々に低下してしまうが、外部加熱部材50を配設した場合にはプリント動作を重ねても、定着ロール10表面温度をほぼ190℃に安定させることが可能となる。
【0041】
また、ヒートベルト51を加熱する熱量を変えることにより、記録紙35の定着画像の光沢を調整することが可能であり、ヒートベルト51に加える熱量を増やすほど定着画像の光沢を出すことができる。例えば、励磁回路554から励磁コイル551に供給する交流電流の電流量や周波数を変化させ、ヒートベルト51の導電層512を横切る交流磁界Hの強さを変えることによって、ミラーコート紙での光沢は、75度法で20差得ることができた。また、記録紙35の先端部と後端部とで一定の光沢を得ることができ、定着画像全体をフラットな光沢で形成することが可能となった。
【0042】
このように、励磁回路554から励磁コイル551に供給する交流電流の電流量や周波数を変化させ、ヒートベルト51の導電層512を横切る交流磁界Hの強さを変えることによって渦電流Bを調整して、ヒートベルト51に加える熱量を急速に制御することができるので、定着画像を所望の光沢に細かく調整することが可能である。さらに、記録材である記録紙35の種類に応じて、励磁コイル551に供給する交流電流の電流量や周波数を変化させることによって、定着画像の光沢を調整することも可能である。
特に、外部加熱部材50において電磁石55からの誘導加熱によりヒートベルト51を直接加熱するので、ヒートベルト51の表面温度を細かく調整できる。そのため、定着画像の光沢調整を容易に行うことができる。
【0043】
なお、本実施の形態では、ヒートベルト51は3本の回転ロール52、53、54によって張架したが、これに限定されるものではない。すなわち3本以上の回転ロールで張架することが可能である。さらに、外部加熱部材50は、ヒートベルト51が定着ロール10の表面とは定着ロール10の外周方向に長さLを持った長手方向に亘る帯状の領域で接触するように構成されるが、ヒートベルト51の定着ロール10側を向く一部に定着ロール10と非接触の領域を設けた構成としてもよい。
【0044】
また、ヒートベルト51と定着ロール10との接触面積は、伝熱面積を広く形成するため構成上許される限り大きくなるように構成するのが好ましい。また、外部加熱部材50の配置位置は、定着ロール10に供給した熱が放射して失われないようにニップNよりも定着ロール10回転方向上流側の近傍が好ましい。
また、ヒートベルト51に供給する熱量を大きくするために、少なくとも2本の回転ロールで張架されたヒートベルト51で構成される外部加熱部材50を定着ロール10の周囲に複数配設してもよい。さらに、外部加熱部材50は、電磁石55をヒートベルト51の周囲に複数配設するように構成することも可能である。
【0045】
◎ 実施の形態2
実施の形態1では、定着ロール10に接触しながら定着ロール10に従動するヒートベルト51の外部近傍に、電磁石55を配設してヒートベルト51を誘導加熱し、ヒートベルト51を定着ロール10の表面とは定着ロール10の外周方向に長さLを持った長手方向に亘る帯状の領域で接触させながら定着ロール10に熱を供給する外部加熱部材50を備えた画像定着装置1について説明した。実施の形態2では、定着ロール10の外周方向に長さLを持った長手方向に亘る帯状の領域に熱を供給する外部加熱部材60を定着ロール10に対して着脱自在に構成した画像定着装置2について説明する。尚、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
【0046】
図7に示すものは、本実施の形態における画像定着装置を説明する図である。この画像定着装置2は、加熱源を内蔵した定着ロール10、3つの支持ロール20、21、22に張架され定着ロール10に圧接されるエンドレスベルト30、エンドレスベルト30の所定の範囲を定着ロール10に向けてベルト内周面側から当接して押圧する圧力付与部材40、定着ロール10を外部から加熱する外部加熱部材60を備えている。
【0047】
ここで外部加熱部材60は、定着ロール10に接触しながら定着ロール10に従動するヒートベルト51、ヒートベルト51を張架するとともにヒートベルト51を従動回転させる4本の回転ロール52、53、56、57、ヒートベルト51面に対し略直交した交流磁界を発生させ、ヒートベルト51を誘導加熱させる誘導磁界発生手段としての電磁石55a、55b、55c、ヒートベルト51面に対し略直交した磁界を発生し、ヒートベルト51を吸着・離隔させる吸着磁界発生手段としての電磁石61a、61b、61cを備えている。
【0048】
電磁石55a、55b、55cは、実施の形態1で説明した電磁石55(図5参照)と同様に構成されており、ヒートベルト51の外側に0.5〜2mm程度のギャップを保持して配設されている。電磁石55aは回転ロール52と回転ロール56との間、電磁石55bは回転ロール56と回転ロール57との間、電磁石55cは回転ロール57と回転ロール53との間にそれぞれ配設され、ヒートベルト51を誘導加熱する。
回転ロール52、53は、図示しない着脱機構によりそれぞれ矢印A、B方向に移動可能に構成され、ヒートベルト51を定着ロール10に対し圧接状態と離隔状態とに切り換えることが可能となるように構成されている。他方、回転ロール56、57は、固定配置され、ヒートベルト51を支持している。
【0049】
電磁石61a、61b、61cは、ヒートベルト51の移動方向と直交する方向を長手方向とする横長に形成された部材であり、ヒートベルト51とは1〜5mm程度のギャップを保持して、ヒートベルト51の内側に配設されている。電磁石61a、61b、61cは、基本的には電磁石55a、55b、55cと同様に構成され、磁界を発生させる励磁コイルと、磁路を形成する強磁性体からなる磁心と、励磁コイルに電流を供給する励磁回路とで形成されているが、ヒートベルト51の導電層512(図3参照)に対し磁気吸着力を作用させることが可能であれば充分であるので、励磁コイルに供給する電流としては直流電流を使用することが可能である。
また、ヒートベルト51の導電層512はニッケルや鉄等の強磁性体で構成されている。
【0050】
次に、外部加熱部材60の定着ロール10に対する着脱について説明する。画像定着装置2が動作状態にある場合には、図示しない着脱機構は回転ロール52、53をヒートベルト51が定着ロール10に対し圧接するように位置させる。その際、電磁石61a、61b、61cには電流は供給せず、ヒートベルト51に対し電磁石61a、61b、61cからの磁気吸着力を働かせない。したがって、この場合には、ヒートベルト51は回転ロール52、53によって定着ロール10の外周方向に長さLを持った長手方向に亘る帯状の領域で定着ロール10に圧接された状態で定着ロール10に従動する。
【0051】
画像定着装置2が非動作状態にある場合には、回転ロール52、53は、図示しない着脱機構によりヒートベルト51を定着ロール10に対し離隔させるように位置させる。その結果、ヒートベルト51は定着ロール10と接触していた外周方向に長さLを持った長手方向に亘る帯状の領域において緩んだ状態となる。その際、電磁石61a、61b、61cに電流を供給して、ヒートベルト51に対し電磁石61a、61b、61cからの磁気吸着力を作用させる。したがって、この場合には、ヒートベルト51の導電層512は強磁性体で構成されているので、ヒートベルト51は電磁石61a、61b、61cからの磁気吸着力を受けて、電磁石61a、61b、61cに貼り付き、固定される。このようにして、ヒートベルト51は定着ロール10から離隔されることが可能となる。
【0052】
また、画像定着装置2が非動作状態にある場合だけでなく動作状態にある場合においても、ヒートベルト51の表面温度がトナーの軟化点(トナーが柔らかくなる温度)である110℃以下である場合には、ヒートベルト51は定着ロール10から離隔した状態にしておく。すなわち、画像定着装置2が非動作状態から動作状態になった直後であっても、ヒートベルト51の表面温度がトナーの軟化点以下である場合には、ヒートベルト51は定着ロール10から離隔した状態に維持しておく。そして、ヒートベルト51の表面温度がトナーの軟化点以上の温度となった場合に、必要に応じてヒートベルト51を定着ロール10に圧接した状態に設定する。
【0053】
具体的には、ヒートベルト51の表面に接触して配設した温度センサ62によりヒートベルト51の表面温度を検出し、その結果、ヒートベルト51の表面温度がトナーの軟化点よりも低い場合にはヒートベルト51を定着ロール10から離隔させる。他方、トナーの軟化点よりも高い場合には、画像定着装置2が動作状態にあるか否か等を図示しない制御部で判断し、必要に応じてヒートベルト51を定着ロール10に圧接させる。
【0054】
これは以下の理由に基づくものである。すなわち、画像定着装置2の非動作時およびヒートベルト51の表面温度がトナーの軟化点以下である状態では、ヒートベルト51の表面離型層513(図3参照)表面には冷えて固体化したトナーが付着している。そのため、ヒートベルト51を定着ロール10に圧接された状態のままに維持しておくと、固体化したトナーは定着ロール10の弾性体層12よりも固いために、ヒートベルト51表面と定着ロール10表面とが摺擦された際に、定着ロール10表面を傷つけてしまう。その結果、定着画像にスジ状の汚れが生じる等、画像品位の低下を引き起こす原因となる場合がある。
これに対し上記したように、ヒートベルト51の表面離型層513表面に付着したトナーが固体化している状態においては、ヒートベルト51を定着ロール10から離隔させる構成とすることにより、定着ロール10表面を傷つけることを防ぎ、定着画像の品位を低下させることを防止することができる。
【0055】
◎ 実施の形態3
次に、実施の形態1における画像定着装置1を備えたカラー画像形成装置を説明する。なお、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
図8は本実施の形態におけるカラー画像形成装置を示している。カラー画像形成装置100は、4個の感光体ドラム101A、101B、101C、101Dを中間転写ベルト107の周囲に配置して構成されている。それぞれの感光体ドラム101A、101B、101C、101D、例えば感光体ドラム101Aの周囲には感光体ドラム101A上を一様に帯電する帯電器102A、画像情報に基づいて制御された光を露光するLEDプリントヘッド(LPH)103A、感光体ドラム101A上に形成された潜像を現像する現像器120A、トナー像を中間転写ベルト107に転写する1次転写ロール112A、感光体ドラム101A上から転写残トナーを除去するクリーナ105A、感光体ドラム101A上の残余の電荷を除去する除電器106Aを備えている。さらに、中間転写ベルト107上に転写されたトナー像を記録紙35に転写する2次転写ロール113、記録紙35を搬送する用紙搬送ベルト110、そして記録紙35上のトナー像を定着する定着装置1を備えている。なお、感光体ドラム101B、101C、101Dの周囲も同様に構成されている。
【0056】
帯電器102Aは、導電性ゴムまたは導電性スポンジと導電性ゴムとを積層して形成された帯電ロールで構成され、電源(図示せず)に接続されて電圧が供給されている。そして感光体ドラム101Aの表面を一定電圧で一様に帯電する。LPH103Aは、図示しないホストコンピュータからの画像データに基づき制御された光を照射し、感光体ドラム101A上に潜像を形成する。
【0057】
現像器120Aは、トナーと磁性粒子であるキャリアとを混合させた現像剤を現像剤担持体上に担持させながら感光体ドラム101Aに搬送し、感光体ドラム101A上に形成された潜像をイエロー(Y)のトナーで現像し、トナー像を形成する。また、現像器120B、120C、120Dにはそれぞれマゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナーを用いた現像剤が備えられ、それぞれ静電潜像を現像して、M、C、Kのトナー像を形成する。
【0058】
1次転写ロール112Aは、導電性ゴムまたは導電性スポンジと導電性ゴムとを積層して形成され、電源(図示せず)に接続されて電圧が供給されている。そして中間転写ベルト107上にトナー像を転写する。クリーナ105Aは、クリーニングブレードとクリーナハウジングで構成される。クリーニングブレードは感光体ドラム101Aの回転方向とはカウンター方向に当接され、転写の際に感光体ドラム101A上に残った転写残トナーを掻き取り、クリーナハウジングに貯蔵する。
【0059】
除電器106Aは、導電性ゴムまたは導電性スポンジと導電性ゴムとを積層して形成され、電源(図示せず)に接続されて電圧が供給されている。そして感光体ドラム101A上に残っている電荷を除去し、感光体ドラム101A上の表面電位をほぼ0Vに均一化する。また、中間転写ベルト107はポリイミドなどの可撓性のフィルムで構成され、感光体ドラム101A〜101Dと1次転写ロール112A〜112Dとで狭持されながら移動する。そしてそれぞれの感光体ドラム101A〜101D上に形成されたY、M、C、Kのトナー像がそれぞれ1次転写ロール112A〜112Dによってレジセンサ108で位置合わせをしながら中間転写ベルト107上に転写されて合成される。
【0060】
中間転写ベルト107に転写して合成されたカラートナー像は、2次転写ロール113によって記録紙35に一括して転写する。そして記録紙35は用紙搬送ベルト110で定着器1に運ばれる。なお、中間転写ベルト107に転写残として残ったトナーはクリーナ114で除去される。
【0061】
定着装置1は、画像形成装置100からの画像形成動作の開始信号を受けると定着ロール10の表面がハロゲンヒータ14の加熱により所定の設定温度となり、定着ロール10が矢印方向に回転し始める。これと同期してエンドレスベルト30が3つの支持ロール20、21、22に張架された状態で定着ロール10に従動して矢印方向に回転し始める。一方、各感光体ドラム101A〜101Dで形成されたカラートナー像が記録紙35上に転写され合成される。そしてその記録紙35が定着装置1に搬送される。
【0062】
その際、エンドレスベルト30は、支持ロール20、21による支持と圧力付与部材40による押圧とにより、定着ロール10との間にニップNを形成した状態で回転する。そして、トナー像が担持された記録紙35がニップNに搬送されて通過することにより、そのカラートナー像が加熱加圧されて記録紙35上に定着され、カラー画像が形成される。
【0063】
ここで、外部加熱部材50では、電磁石55による誘導加熱によりヒートベルト51が直接加熱されるので、定着ロール10との接触領域において定着ロール10に熱を急速に供給することができる。さらに外部加熱部材50のヒートベルト51と定着ロール10との接触領域は、定着ロール10の外周方向に長さLを持った長手方向に亘る帯状の領域で形成されているので、定着ロール10に対して即時かつ充分な熱を供給することが可能である。このため、定着ロール10の温度がニップNを通過して低下しても、定着ロール10が1回転する間に外部加熱部材50から熱が急速かつ充分に伝達されるので、再度ニップNに到達するまでの間に定着ロール10の温度を所定の温度に回復させることができる。したがって、連続してプリントする場合や熱容量の大きな厚紙をプリントする場合等においても、画像形成装置100のプロセススピードを低速にすることなく、充分に定着されたカラー画像を形成することができる。
【0064】
また、励磁回路554から励磁コイル551に供給する交流電流の電流量や周波数を変化させ、ヒートベルト51の導電層512を横切る交流磁界Hの強さを変えることによって渦電流Bを調整して、ヒートベルト51に加える熱量を急速に制御することができるので、記録紙35の定着画像の光沢を微妙に調整することが可能である。また、記録紙35の先端部と後端部とを含めた全面で均一な光沢を得ることができ、定着画像全体をフラットな光沢で形成することが可能となった。さらに、記録材である記録紙の種類に応じて、定着画像の光沢を調整することも容易に行うことが可能となった。
なお、本実施の形態のカラー画像形成装置に限らず、白黒画像を形成する画像形成装置においても同様の効果を得ることができる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、記録紙に充分な熱量を供給し、トナー画像の定着性を安定させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像定着装置を説明する概略断面図である。
【図2】圧力付与部材を説明する図である。
【図3】ヒートベルトの層構造を説明する断面図である。
【図4】ヒートベルトを支持する回転ロールの片側端部を示した概略断面図である。
【図5】電磁石の構成を説明する断面図である。
【図6】立ち上がり時からの定着ロール表面温度の変化を示した図である。
【図7】画像定着装置を説明する図である。
【図8】カラー画像形成装置を説明する図である。
【図9】従来の画像定着装置を説明する図である。
【符号の説明】
10…定着ロール、14…ハロゲンヒータ、15…温度センサ、20,21,22…支持ロール、24…クリーニングロール、30…エンドレスベルト、40…圧力付与部材、50,60…外部加熱部材、51…ヒートベルト、52,53,54,56,57…回転ロール、55…電磁石、551…励磁コイル、552…磁心、553…磁場遮蔽部材、554…励磁回路、61a,61b,61c…電磁石
Claims (13)
- 記録材に形成された未定着画像を定着する回転可能な定着手段と、
前記定着手段を圧接する加圧手段と、
導電体を含む発熱部材と、当該導電体に対し交流磁界を印加する磁界発生部材とを有し、前記定着手段の表面であって当該定着手段の外周方向に長さを持った長手方向に亘る帯状領域に接触して当該定着手段を加熱する外部加熱手段と
を備えたことを特徴とする画像定着装置。 - 前記外部加熱手段は、前記定着手段の外周方向の長さが5mm以上の前記帯状領域を加熱するように配設されたことを特徴とする請求項1記載の画像定着装置。
- 前記外部加熱手段は、前記発熱部材がベルト状に構成されたことを特徴とする請求項1記載の画像定着装置。
- 前記外部加熱手段は、複数配設されたことを特徴とする請求項1記載の画像定着装置。
- 前記外部加熱手段は、前記磁界発生部材がコイルと、当該コイルに交流電流を供給する交流電源を有することを特徴とする請求項1記載の画像定着装置。
- 前記交流電源は、電流量および周波数のいずれか又は双方が可変であることを特徴とする請求項5記載の画像定着装置。
- 記録材に形成された未定着画像を定着する回転可能な定着ロールと、
前記定着手段を圧接する加圧部材と、
交流磁界を発生させる交流磁界発生部材と、
前記交流磁界発生部材により誘導加熱される導電体層を有し、前記定着ロールの表面と所定の領域で接触して、当該定着ロールを外部から加熱する外部加熱ベルトと
を備えたことを特徴とする画像定着装置。 - 前記外部加熱ベルトは、前記定着ロールに対して接離自在に構成されたことを特徴とする請求項7記載の画像定着装置。
- 前記外部加熱ベルトは、前記導電体層が強磁性体で構成され、当該外部加熱ベルトの内側であって前記定着ロールの表面と接触する前記領域の近傍に吸着磁界発生部材をさらに配設したことを特徴とする請求項8記載の画像定着装置。
- 前記外部加熱ベルトは、表面温度がトナーの軟化点以下である場合に前記定着ロールから離隔されることを特徴とする請求項8記載の画像定着装置。
- 記録材上に画像情報に応じた未定着画像を形成する未定着画像形成手段と、
回転可能な定着部材と、当該定着部材を圧接する加圧部材とにより前記記録材上に形成された未定着画像を定着する画像定着手段とを備え、
前記画像定着手段は、磁界発生部材により誘導加熱される導電体を含む発熱部材を、前記定着部材の表面であって当該定着部材の外周方向に長さを持った長手方向に亘る帯状領域に接触させて、当該定着部材が加熱されることを特徴とする画像形成装置。 - 前記画像定着手段は、前記発熱部材の発熱量を可変に構成したことを特徴とする請求項11記載の画像形成装置。
- 前記画像定着手段は、前記記録材に応じて前記発熱部材の発熱量を可変に構成したことを特徴とする請求項12記載の画像形成装置。
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