JP2004198659A - 画像定着装置、および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】記録紙35に形成された未定着画像を定着する回転可能な定着ロール10を、外部加熱部材50によって定着ロール10の表面の外周方向に長さを持った長手方向に亘る帯状領域Lを外部から加熱するように構成されている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像定着装置に関し、より詳しくは例えば電子写真方式を利用した画像形成装置に用いられる画像定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置は、例えばドラム状に形成された感光体を一様に帯電し、この感光体を画像情報に基づいて制御された光で露光して感光体上に静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーで可視像とし、さらにこの可視像を記録紙に転写し、これを画像定着装置によって定着して画像形成している。
【0003】
かかる画像形成装置に用いられる画像定着装置は、図7に示したように、SUSなどの円筒で構成された芯金にシリコンゴムが被覆され、芯金内部に発熱体としてのハロゲンヒータを備えた定着ロール101と、同様に構成された加圧ロール102とが圧接されて構成されている。回転駆動される定着ロール101とこれに従動回転する加圧ロール102とは、圧接部において一定幅のニップ部103を形成している。そしてトナー画像105の転写された記録紙104はニップ部103を通過することで、トナー画像105が加熱および加圧されて記録紙104上に定着される。
【0004】
ここで、従来技術として、定着ロールと加圧ロールとで挟持しながらトナー画像を定着する技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−240060号公報(第4頁、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の画像定着装置では、記録紙が加熱ロールと加圧ロールとで形成されるニップ部を通過する際に、加熱ロールおよび加圧ロールから記録紙に熱が移行するためにそれぞれの表面温度が下がり、記録紙の後端側ほど充分な熱を供給することができない。そのためにトナー画像の定着性が低下し、特にミラーコート紙256GSMではそれが顕著となることから、プロセススピードを低速に設定しなければならないという技術的課題がみられた。
また、加熱ロールおよび加圧ロールから記録紙への熱の供給量を増やすために、ヒータへの電力を大きくすると、加熱ロールおよび加圧ロールに被覆されたシリコンゴムが剥がれるという現象が生じ、ヒータへ供給する電力量には一定の限界があるという技術的課題もあった。
【0007】
なお、上記の特許文献1に記載された技術では、記録紙に充分な熱量を供給し、トナー画像の定着性を安定させるための有効な技術は開示されていない。
【0008】
そこで本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、記録紙に充分な熱量を供給し、トナー画像の定着性を安定させる画像定着装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的のもと、本発明の画像定着装置は、記録材に形成された未定着画像を定着する回転可能な定着手段を、外部加熱手段によって定着手段の表面の外周方向に長さを持った長手方向に亘る帯状領域を外部から加熱することで、記録紙に充分な熱量を供給して、トナー画像の定着性を安定させることを可能とするものである。
【0010】
すなわち、本発明の画像定着装置は、記録材に形成された未定着画像を定着する回転可能な定着手段と、定着手段を圧接する加圧手段と、定着手段の表面であって定着手段の外周方向に長さを持った長手方向に亘る帯状領域を外部から加熱する外部加熱手段とを備えたことを特徴としている。また、外部加熱手段は、定着手段の外周方向の長さが5mm以上の帯状領域を加熱するように配設されたことを特徴とすることができる。さらに、外部加熱手段は、定着手段と帯状領域で接触するように配設されたことを特徴とすることができる。特に、外部加熱手段は、定着手段に対して接離可能に構成されたことを特徴とすることができる。また、外部加熱手段は、複数配設されたことを特徴とすることができる。さらに、外部加熱手段は、定着手段とは非接触に配設されたことを特徴とすることができる。特に、外部加熱手段は、赤外線を輻射する発熱体を備えたことを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明の画像定着装置は、記録材に形成された未定着画像を定着する回転可能な定着ロールと、定着手段を圧接する加圧部材と、複数のロールで張架され、定着ロールの表面と所定の領域で接触して、定着ロールを外部から加熱する外部加熱ベルトとを備えたことを特徴としている。また、外部加熱ベルトは、複数のロールのうちいずれか1または複数に配設された発熱体から熱が供給されることを特徴とすることができる。また、外部加熱ベルトは、ベルトの片寄りを防止する片寄り防止部材をさらに備えたことを特徴とすることができる。さらに、外部加熱ベルトは、定着手段に対して接離可能に構成されたことを特徴とすることができる。
【0012】
また、本発明を画像形成装置として捉え、記録材上に画像情報に応じた未定着画像を形成する未定着画像形成手段と、記録材に形成された未定着画像を定着する回転可能な定着部材と、定着部材を圧接する加圧部材と、定着部材の表面であって定着手段の外周方向に長さを持った長手方向に亘る帯状領域を外部から加熱する外部加熱部材とを備えた画像定着手段とから構成されたことを特徴としている。また、画像定着手段は、外部加熱部材に配設した発熱体の熱量を可変に構成したことを特徴とすることができる。さらに、画像定着手段は、外部加熱部材が記録材に応じて発熱体の熱量を可変に構成したことを特徴とすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明について詳細に説明する。
◎ 実施の形態1
図1に示すものは、本実施の形態における画像定着装置を説明する図である。この画像定着装置1は、加熱源を内蔵した定着ロール10、3つの支持ロール20、21、22に張架され定着ロール10に圧接されるエンドレスベルト30、エンドレスベルト30の所定の範囲を定着ロール10に向けてベルト内周面側から当接して押圧する圧力付与部材40、定着ロール10を外部から加熱する外部加熱部材50を備えている。
【0014】
定着ロール10は、アルミニウム等の熱伝導率の高い金属で形成された円筒状の芯金11上に、弾性材料で構成される弾性体層12と、耐熱性に優れた弾性材料で構成される表面層13とを積層して構成された、直径65mmのロールである。芯金11の円筒内部には、加熱源としての2本のハロゲンヒータ14が配設されている。また、定着ロール10の表面には、定着ロール10の表面温度を計測する温度センサ15が配設されている。
定着ロール10は、図示しない支持機構により回転自在に支持され、図示しない駆動装置によって図中の矢印方向に所定の速度で回転する。また、温度センサ15の計測信号により、図示しない温度制御部でハロゲンヒータ14が制御されて、定着ロール10の表面温度が所定の温度(例えば160℃)に維持される。
【0015】
エンドレスベルト30は、ポリイミドフィルム等の樹脂フィルムにより形成される。そして回転自在に支持されている3つの支持ロール20、21、22に張架された状態で設置されている。
支持ロール20は、定着ロール10の最下点よりも回転方向下流側に位置し、図示しない加圧機構により定着ロール10に圧接された状態で回転自在に配設されている。また、支持ロール21は、定着ロール10の最下点から水平方向上流側に位置し、回転自在に配設されている。支持ロール21の内部には、画像定着装置1の立ち上げ時における定着ロール10からエンドレスベルト30への熱伝導による定着ロール10の急激な温度低下を防止するため、エンドレスベルト30を予め一定の温度に高めておくためのハロゲンヒータ23が配設されている。
【0016】
さらに、支持ロール22は、一端が固定された軸受けに支持され、他端が変位駆動機構により水平方向に移動可能な軸受けによって支持されている。そして支持ロール22は、エンドレスベルト30の蛇行走行を検出する図示しないセンサからの検知信号に基づいて動作する駆動制御部により変位駆動機構が制御されて、エンドレスベルト30の蛇行を抑止する方向に所定量だけ移動するように構成されている。
【0017】
このように、エンドレスベルト30は3つの支持ロール20、21、22に所定の張力を加えられながら張架されている。特に、2つの支持ロール20、21により、エンドレスベルト30の外周面が定着ロール10の表面に所定量だけ巻きついた状態で圧接するように支持されている。これによって、未定着トナー像を担持した記録紙35が定着ロール10との間に挟持されるニップNが形成される。また、支持ロール22により、支持ロール20と支持ロール21から定着ロール10とは反対側に位置するエンドレスベルト30の部分が支持されるとともに、エンドレスベルト30の蛇行が抑止される。
【0018】
さらに、エンドレスベルト30には、エンドレスベルト30に摺擦してエンドレスベルト30表面を清掃するクリーニングロール24が配設されている。クリーニングロール24は、芯金と、芯金の表面に形成された多孔質のスポンジ層とで構成されている。スポンジ層には、ジメチルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、或いはポリエステルワックスなどの離型剤が含浸され、エンドレスベルト30表面へのトナーの付着を防止している。なお、芯金の表面に形成されたスポンジ層は、ゴアテックス(商標名)を表面に被覆したPTFE(フッ素樹脂の多孔質体)で形成してもよい。
【0019】
また、支持ロール21の上流側には未定着トナー像を担持する記録紙35をニップNに送り込むように誘導する入口ガイド27が配設されている。さらに、支持ロール20の下流側にはニップNを通過して定着ロール10から剥離される記録紙35を排出させるように誘導する排紙ガイド28が配設され、排紙ロール29により装置外部に排出される。
【0020】
圧力付与部材40は、図2に示すように、共にステンレス等で形成される上面が平滑な支持プレート41と支持プレート受け42との分割構造からなる支持体、支持体の支持プレート41の上面に取り付けられるシリコーンゴム(ゴム硬度23°)からなる弾性層43、ポリテトラフルオロエチレンを含浸させたガラス繊維シート(中興化成製:FGF−400−4)からなる低摩擦層44で構成されている。
【0021】
支持プレート41は断面T字形状からなり、その下面に定着ロール10の軸方向に沿った凸状部41aが形成されている。支持プレート受け42は、その上面に支持プレート41の下面の凸状部41aが嵌合される凹溝42aが形成されるとともに、その下面の両端部を僅かに除く部分に張出部42bが形成されている。弾性層43は、その上面が定着ロール10の表面に沿うような曲面形状に形成されるとともに、支持ロール20と定着ロール10との当接部近傍まで延びるような形状に形成されている。これにより、エンドレスベルト30がニップNを形成する範囲内では定着ロール10の表面に沿って確実に密着させることができるように構成されている。低摩擦層44は、支持プレート41と支持プレート受け42と弾性層43とを一体化したものの周囲全体を1周するように巻き付けた状態で取り付けられている。
【0022】
また、圧力付与部材40は、弾性層43が取り付けられた支持プレート41を支持プレート受け42に嵌合させ、ネジ等により一体化させて加圧フレーム45に着脱自在に取り付けられている。そして加圧フレーム45は一端が画像定着装置1本体の図示しない支軸に軸孔45bを介して揺動自在に取り付けられるとともに、加圧フレーム45の下部側がコイルスプリング46により定着ロール10に向けて所定の圧力で付勢されるようになっている。
【0023】
次に、外部加熱部材50について説明する。外部加熱部材50は、定着ロール10に接触しながら定着ロール10に従動するヒートベルト51、ヒートベルト51を張架するとともにヒートベルト51を加熱するヒートロール52、53、ヒートベルト51を張架するとともにヒートベルト51を駆動する金属ロール54を備えている。
【0024】
ヒートベルト51は、原形が直径80mmの円筒形状に形成された無端ベルトである。ヒートベルト51の構造は、厚さ50μmのニッケル電鋳ベルトに硬度Hs33のシリコンゴムを厚さ100μmで被覆して構成されているか、または、厚さ75μmのポリイミドに硬度Hs33のシリコンゴムを厚さ100μmで被覆して構成されている。
ヒートロール52、53は、アルミニウムや鉄などの金属で形成された芯金にフッ素コートされた厚さ20μmのPFAが被覆して構成されている。芯金の内部には、ともにそれぞれ300Wのハロゲンヒータ55、56が配設されている。また、金属ロール54は、アルミニウムや鉄などの金属で形成されたロールである。
【0025】
そして、ヒートベルト51は、ヒートロール52、53と金属ロール54とによって張架され、定着ロール10の表面の外周方向に長さを持った長手方向に亘る帯状の領域と接触しながら定着ロール10と従動するように構成されている。すなわち、ヒートベルト51が定着ロール10と接触する領域は、定着ロール10の表面の外周方向には長さLを有し、定着ロール10の長手方向は少なくとも最大画像幅以上の長さで形成される帯状に広がる領域である。かかる帯状領域は、定着ロール10の外周方向の長さLが5mm以上の広がりを有している。
【0026】
ここで、例えば、直径65mmの定着ロール10に単なるロールが圧接される場合を考える。ロールの材質により異なりがあるものの、一般的にはこのロールによって形成されるニップ幅は3〜4mm程度とすることができる。本実施の形態では、上述の外周方向の長さを、このロールによって形成されるニップ幅を超える長さにすることで、定着ロール10に対する充分な熱の伝達が可能となる。
【0027】
ここで、ヒートベルト51には、ヒートベルト51の片寄りを防止するために、ヒートベルト51の幅方向の傾きを調整する片寄り防止部材60が配設されている。図3は、片寄り防止部材60を説明する断面図である。片寄り防止部材60は、ヒートベルト51を押圧するテンションロール61、テンションロール61を軸支する軸受け62、軸受け62を介してテンションロール61を支持する支持体63、テンションロール61のヒートベルト51への当接位置を決める位置決め部材64で構成されている。
【0028】
テンションロール61は、アルミニウムや鉄などの金属で形成された芯金にフッ素コートされた厚さ20μmのPFAが被覆されて構成されている。テンションロール61は、テンションロール61の傾きが調整された後、位置決め部材64によって画像定着装置1本体に設けられた固定部材65に対しネジ等で固定される。これによって、ヒートベルト51が進行方向に対して左右いずれにも片寄らないように設定することができる。また、テンションロール61内部には、ハロゲンヒータが配設されており、ヒートベルト51はテンションロール61からも熱の供給を受けることができる。
【0029】
また、外部加熱部材50には、外部加熱部材50を定着ロール10に当接させた状態と離隔させた状態とに設定する不図示の接離機構が設けられている。そして、画像定着装置1でのジャム処理やヒートベルト51に付着したトナーなどの汚れを清掃する場合等に外部加熱部材50を定着ロール10から離隔させることが可能である。
【0030】
次に、画像定着装置1の動作について説明する。まず、図示しない画像形成装置からの画像形成動作の開始信号を受けて、定着ロール10の表面がハロゲンヒータ14の加熱により所定の設定温度となり、定着ロール10が矢印方向に回転を始める。これと同期してエンドレスベルト30が3つの支持ロール20、21、22に張架された状態で定着ロール10に従動して矢印方向に回転し始める。さらに、外部加熱部材50のヒートベルト51がヒートロール52、53、および金属ロール54に張架された状態で定着ロール10に従動して矢印方向に回転し始める。
【0031】
その際、エンドレスベルト30は、支持ロール20、21による支持と圧力付与部材40による押圧とにより、定着ロール10との間にニップNを形成した状態で回転する。そして、トナー像が担持された記録紙35がニップNに搬送されて通過することにより、そのトナー像を構成するトナーが加熱加圧されて記録紙35上に定着される。定着処理後の記録紙35は、支持ロール20による押圧により弾性変形する定着ロール10の弾性体層12の領域を通過した後に、剥離装置を使用しなくとも定着ロール10の表面から自然に剥離され、排紙ガイド28へ排出される。
【0032】
一方、外部加熱部材50では、ヒートロール52、53の加熱によりヒートベルト51に熱が伝わり、さらに定着ロール10に熱を供給する。具体的にはヒートロール52、53は、定着ロール10の表面温度160℃よりも15°だけ高い175℃にヒートベルト51が加熱される。加熱されたヒートベルト51は定着ロール10に熱を供給し、定着ロール10の表面温度を迅速に所定温度に回復することが可能である。
【0033】
すなわち、定着ロール10は、未定着トナー像を担持する記録紙35をニップNで加熱定着する際に記録紙35に熱が奪われ、定着ロール10がニップNを通過した後は、定着ロール10の表面温度は低下する。特に、連続してプリントする場合や熱容量の大きな厚紙やOHPシートをプリントする場合等には、定着ロール10の表面温度の低下は著しい。これに対し、本実施の形態における画像定着装置1では、外部加熱部材50の加熱されたヒートベルト51が定着ロール10の表面とは定着ロール10の外周方向に長さLを持った長手方向に亘る帯状の領域で接触するので、定着ロール10に対して即時かつ充分な熱を供給することが可能である。このため、定着ロール10の温度がニップNを通過して低下しても、定着ロール10が1回転する間に外部加熱部材50から熱が充分に伝達されるので、再度ニップNに到達するまでの間に定着ロール10の温度を所定の温度に回復させることができる。したがって、連続してプリントする場合や厚紙やOHPシートをプリントする場合等においても、充分な定着性を得ることができる。
【0034】
ここで図4は、外部加熱部材50を配設した場合と、外部加熱部材50を配設しない場合とにおける立ち上がり時からの定着ロール10表面温度の変化を示した図である。図4に示すように、外部加熱部材50を配設しない場合には、定着ロール10の表面温度はプリント動作を重ねるに従い徐々に低下してしまうが、外部加熱部材50を配設した場合にはプリント動作を重ねても、定着ロール10表面温度をほぼ190℃に安定させることが可能となる。
【0035】
また、ヒートベルト51を加熱する熱量を変えることにより、記録紙35の定着画像の光沢を調整することが可能であり、ヒートベルト51に加える熱量を増やすほど定着画像の光沢を出すことができる。例えば、ヒートロール52、53に配設するハロゲンヒータ55、56として、それぞれ500Wのものを配設して全体で1kWの熱量でヒートベルト51を加熱した場合と、それぞれ1kWのものを配設して全体で2kWの熱量でヒートベルト51を加熱した場合とを比較すると、ミラーコート紙での光沢は、2kWの方が1kWに比べ、75度法で20差得ることができた。また、記録紙35の先端部と後端部とで一定の光沢を得ることができ、定着画像全体をフラットな光沢で形成することが可能となった。
【0036】
したがって、ハロゲンヒータ55、56の定格を選択したり、または供給する電力を可変とすることで定着画像を所望の光沢に調整することが可能である。さらに、記録材である記録紙35の種類に応じて、ハロゲンヒータ55、56に供給する電力を調整することでヒートロール52、53の発熱量を制御し、定着画像の光沢を調整することも可能である。
【0037】
なお、本実施の形態では、ヒートロール53にハロゲンヒータ56を配設したが配設せずに構成してもよい。一方、金属ロール54にはハロゲンヒータを配設していないが配設してもよい。
また、本実施の形態では、ヒートベルト51はヒートロール52、53と金属ロール54との3本のロールによって張架したが、これに限定されるものではない。すなわち3本以上のロールで張架してもよく、またハロゲンヒータを配設するロールの数は適宜設定することが可能である。
【0038】
さらに、外部加熱部材50は、ヒートベルト51が定着ロール10の表面とは定着ロール10の外周方向に長さLを持った長手方向に亘る帯状の領域で接触するように構成されるが、ヒートベルト51の定着ロール10側を向く一部に定着ロール10と非接触の領域を設けた構成としてもよい。また、ヒートベルト51と定着ロール10との接触面積は、伝熱面積を広く形成するため構成上許される限り大きくなるように構成するのが好ましい。また、外部加熱部材50の配置位置は、定着ロール10に供給した熱が放射して失われないようにニップNよりも定着ロール10回転方向上流側の近傍が好ましい。また、少なくとも1本のヒートロール52と、少なくとも2本のロールで張架されたヒートベルト51とから構成される外部加熱部材50を定着ロール10の周囲に複数配設してもよい。
【0039】
◎ 実施の形態2
実施の形態1では、定着ロール10に接触しながら定着ロール10に従動するヒートベルト51の内部に、ヒートロール52、53を配設してヒートベルト51を加熱し、ヒートベルト51を定着ロール10の表面とは定着ロール10の外周方向に長さLを持った長手方向に亘る帯状の領域で接触させながら定着ロール10に熱を供給する外部加熱部材50を備えた画像定着装置1について説明した。実施の形態2では、定着ロール10と非接触に配置された発熱体からの輻射によって、定着ロール10の外周方向に長さLを持った長手方向に亘る帯状の領域に熱を供給する外部加熱部材70を備えた画像定着装置2について説明する。尚、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
【0040】
図5に示すものは、本実施の形態における画像定着装置を説明する図である。この画像定着装置2は、加熱源を内蔵した定着ロール10、定着ロール10に圧接されながら従動するエンドレスベルト30、エンドレスベルト30の所定の範囲を定着ロール10に向けてベルト内周面側から当接して押圧する圧力付与部材40、エンドレスベルト30を支持するガイド47、定着ロール10を外部から加熱する外部加熱部材70を備えている。
エンドレスベルト30は、定着ロール10との摩擦による駆動力に従ってガイド47の周囲を従動走行する。そして、定着ロール10と圧力付与部材40とで挟まれるニップNの部分では、両者の変形に応じて変形するようになっている。
【0041】
外部加熱部材70は、3本のフラッシュランプ71、反射板72で構成されている。フラッシュランプ71から照射された赤外線は、一部が直接定着ロール10を照射し、一部は反射板72により反射されて定着ロール10に集光され、定着ロール10の表面の定着ロール10の外周方向に長さLを持った長手方向に亘る帯状の領域に赤外線の輻射熱を供給する。
本実施の形態における画像定着装置2では、外部加熱部材70のフラッシュランプ71が定着ロール10の表面の定着ロール10の外周方向に長さLを持った長手方向に亘る帯状の領域に対して即時かつ充分な熱を供給することが可能である。このため、定着ロール10の温度がニップNを通過して低下しても、定着ロール10が1回転する間に外部加熱部材70から熱が即時かつ充分に供給されるので、再度ニップNに到達するまでの間に定着ロール10の温度を所定の温度に回復させることができる。したがって、連続してプリントする場合や厚紙やOHPシートをプリントする場合等においても、充分な定着性を得ることができる。
なお、発熱源としてフラッシュランプのほか、ラジアント、ハロゲンランプ等の赤外線を放射する光源を用いることができる。
【0042】
◎ 実施の形態3
次に、実施の形態1における画像定着装置1を備えたカラー画像形成装置を説明する。なお、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
図6は本実施の形態におけるカラー画像形成装置を示している。カラー画像形成装置100は、4個の感光体ドラム101A、101B、101C、101Dを中間転写ベルト107の周囲に配置して構成されている。それぞれの感光体ドラム101A、101B、101C、101D、例えば感光体ドラム101Aの周囲には感光体ドラム101A上を一様に帯電する帯電器102A、画像情報に基づいて制御された光を露光するLEDプリントヘッド(LPH)103A、感光体ドラム101A上に形成された潜像を現像する現像器120A、トナー像を中間転写ベルト107に転写する1次転写ロール112A、感光体ドラム101A上から転写残トナーを除去するクリーナ105A、感光体ドラム101A上の残余の電荷を除去する除電器106Aを備えている。さらに、中間転写ベルト107上に転写されたトナー像を記録紙35に転写する2次転写ロール113、記録紙35を搬送する用紙搬送ベルト110、そして記録紙35上のトナー像を定着する定着装置1を備えている。なお、感光体ドラム101B、101C、101Dの周囲も同様に構成されている。
【0043】
帯電器102Aは、導電性ゴムまたは導電性スポンジと導電性ゴムとを積層して形成された帯電ロールで構成され、電源(図示せず)に接続されて電圧が供給されている。そして感光体ドラム101Aの表面を一定電圧で一様に帯電する。LPH103Aは、図示しないホストコンピュータからの画像データに基づき制御された光を照射し、感光体ドラム101A上に潜像を形成する。
【0044】
現像器120Aは、トナーと磁性粒子であるキャリアとを混合させた現像剤を現像剤担持体上に担持させながら感光体ドラム101Aに搬送し、感光体ドラム101A上に形成された潜像をイエロー(Y)のトナーで現像し、トナー像を形成する。また、現像器120B、120C、120Dにはそれぞれマゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナーを用いた現像剤が備えられ、それぞれ静電潜像を現像して、M、C、Kのトナー像を形成する。
【0045】
1次転写ロール112Aは、導電性ゴムまたは導電性スポンジと導電性ゴムとを積層して形成され、電源(図示せず)に接続されて電圧が供給されている。そして中間転写ベルト107上にトナー像を転写する。クリーナ105Aは、クリーニングブレードとクリーナハウジングで構成される。クリーニングブレードは感光体ドラム101Aの回転方向とはカウンター方向に当接され、転写の際に感光体ドラム101A上に残った転写残トナーを掻き取り、クリーナハウジングに貯蔵する。
【0046】
除電器106Aは、導電性ゴムまたは導電性スポンジと導電性ゴムとを積層して形成され、電源(図示せず)に接続されて電圧が供給されている。そして感光体ドラム101A上に残っている電荷を除去し、感光体ドラム101A上の表面電位をほぼ0Vに均一化する。また、中間転写ベルト107はポリイミドなどの可撓性のフィルムで構成され、感光体ドラム101A〜101Dと1次転写ロール112A〜112Dとで狭持されながら移動する。そしてそれぞれの感光体ドラム101A〜101D上に形成されたY、M、C、Kのトナー像がそれぞれ1次転写ロール112A〜112Dによってレジセンサ108で位置合わせをしながら中間転写ベルト107上に転写されて合成される。
【0047】
中間転写ベルト107に転写して合成されたカラートナー像は、2次転写ロール113によって記録紙35に一括して転写する。そして記録紙35は用紙搬送ベルト110で定着器1に運ばれる。なお、中間転写ベルト7に転写残として残ったトナーはクリーナ114で除去される。
【0048】
定着装置1は、画像形成装置100からの画像形成動作の開始信号を受けると定着ロール10の表面がハロゲンヒータ14の加熱により所定の設定温度となり、定着ロール10が矢印方向に回転し始める。これと同期してエンドレスベルト30が3つの支持ロール20、21、22に張架された状態で定着ロール10に従動して矢印方向に回転し始める。一方、各感光体ドラム101A〜101Dで形成されたカラートナー像が記録紙35上に転写され合成される。そしてその記録紙35が定着装置1に搬送される。
【0049】
その際、エンドレスベルト30は、支持ロール20、21による支持と圧力付与部材40による押圧とにより、定着ロール10との間にニップNを形成した状態で回転する。そして、トナー像が担持された記録紙35がニップNに搬送されて通過することにより、そのカラートナー像が加熱加圧されて記録紙35上に定着され、カラー画像が形成される。
【0050】
ここで、外部加熱部材50では、ヒートロール52、53の加熱によりヒートベルト51に熱が伝わり、さらに定着ロール10に熱を供給する。外部加熱部材50のヒートベルト51は、定着ロール10の表面とは定着ロール10の外周方向に長さLを持った長手方向に亘る帯状の領域で接触するので、定着ロール10に対して即時かつ充分な熱を供給することが可能である。このため、定着ロール10の温度がニップNを通過して低下しても、定着ロール10が1回転する間に外部加熱部材50から熱が充分に伝達されるので、再度ニップNに到達するまでの間に定着ロール10の温度を所定の温度に回復させることができる。したがって、連続してプリントする場合や熱容量の大きな厚紙をプリントする場合等においても、画像形成装置100のプロセススピードを低速にすることなく、充分に定着されたカラー画像を形成することができる。
【0051】
また、ヒートベルト51を加熱する熱量を変えることにより、記録紙35の定着画像の光沢を調整することが可能で、ヒートベルト51に加える熱量を増やすほど定着画像の光沢度を増加することができる。また、記録紙35の先端部と後端部とを含めた全面で均一な光沢を得ることができ、定着画像全体をフラットな光沢で形成することが可能となった。さらに、記録材である記録紙の種類に応じて、ハロゲンヒータ55、56に供給する電力を調整することでヒートロール52、53の発熱量を制御し、定着画像の光沢を調整することも可能である。
なお、本実施の形態のカラー画像形成装置に限らず、白黒画像を形成する画像形成装置においても同様の効果を得ることができる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、記録紙に充分な熱量を供給し、トナー画像の定着性を安定させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像定着装置を説明する図である。
【図2】圧力付与部材を説明する図である。
【図3】片寄り防止部材を説明する断面図である。
【図4】立ち上がり時からの定着ロール表面温度の変化を示した図である。
【図5】画像定着装置を説明する図である。
【図6】カラー画像形成装置を説明する図である。
【図7】従来の画像定着装置を説明する図である。
【符号の説明】
10…定着ロール、14…ハロゲンヒータ、15…温度センサ、20,21,22…支持ロール、24…クリーニングロール、30…エンドレスベルト、40…圧力付与部材、50…外部加熱部材、51…ヒートベルト、52,53…ヒートロール、54…金属ロール、55,56…ハロゲンヒータ、60…片寄り防止部材、61…テンションロール、62…軸受け、63…支持体、64…位置決め部材、70…外部加熱部材、71…フラッシュランプ、72…反射板
Claims (14)
- 記録材に形成された未定着画像を定着する回転可能な定着手段と、
前記定着手段を圧接する加圧手段と、
前記定着手段の表面であって当該定着手段の外周方向に長さを持った長手方向に亘る帯状領域を外部から加熱する外部加熱手段と
を備えたことを特徴とする画像定着装置。 - 前記外部加熱手段は、前記定着手段の外周方向の長さが5mm以上の前記帯状領域を加熱するように配設されたことを特徴とする請求項1記載の画像定着装置。
- 前記外部加熱手段は、前記定着手段と前記帯状領域で接触するように配設されたことを特徴とする請求項1記載の画像定着装置。
- 前記外部加熱手段は、前記定着手段に対して接離可能に構成されたことを特徴とする請求項3記載の画像定着装置。
- 前記外部加熱手段は、複数配設されたことを特徴とする請求項1記載の画像定着装置。
- 前記外部加熱手段は、前記定着手段とは非接触に配設されたことを特徴とする請求項1記載の画像定着装置。
- 前記外部加熱手段は、赤外線を輻射する発熱体を備えたことを特徴とする請求項6記載の画像定着装置。
- 記録材に形成された未定着画像を定着する回転可能な定着ロールと、
前記定着手段を圧接する加圧部材と、
複数のロールで張架され、前記定着ロールの表面と所定の領域で接触して、当該定着ロールを外部から加熱する外部加熱ベルトと
を備えたことを特徴とする画像定着装置。 - 前記外部加熱ベルトは、前記複数のロールのうちいずれか1または複数に配設された発熱体から熱が供給されることを特徴とする請求項8記載の画像定着装置。
- 前記外部加熱ベルトは、前記ベルトの片寄りを防止する片寄り防止部材をさらに備えたことを特徴とする請求項8記載の画像定着装置。
- 前記外部加熱ベルトは、前記定着手段に対して接離可能に構成されたことを特徴とする請求項8記載の画像定着装置。
- 記録材上に画像情報に応じた未定着画像を形成する未定着画像形成手段と、
前記記録材に形成された未定着画像を定着する回転可能な定着部材と、当該定着部材を圧接する加圧部材と、当該定着部材の表面であって当該定着手段の外周方向に長さを持った長手方向に亘る帯状領域を外部から加熱する外部加熱部材とを備えた画像定着手段と
から構成されたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記画像定着手段は、前記外部加熱部材に配設した発熱体の熱量を可変に構成したことを特徴とする請求項12記載の画像形成装置。
- 前記画像定着手段は、前記外部加熱部材が前記記録材に応じて前記発熱体の熱量を可変に構成したことを特徴とする請求項13記載の画像形成装置。
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