JP2004232824A - ストラットマウント - Google Patents
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Abstract
【課題】車両のボデーに対して締結されず、ボデーの重量に基づいてボデーの嵌込用の凹所の内面に押付状態で組み付けられるストラットマウントにおいて、軸直角方向のばね定数に対する軸方向のばね定数の比率(ばね比)を従来に増して小さく設定できるようにする。また組付時の位置決機能を高く保持し、組付性も良好に保持できるようにする。
【解決手段】車両ボデー24の嵌込用の凹所26に下方から上向きに嵌め込まれ、非締結状態でボデーの荷重により組み付けられるストラットマウント10において、ゴム弾性体36に、周壁部28の上端とアウタ部材32の上端との間の位置において、外周面から内部に向う切欠部38を設けることにより、ゴム弾性体36を下側のゴム本体部36Aと上壁部30に当接する上側のストッパ部36Bとに分けて構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】車両ボデー24の嵌込用の凹所26に下方から上向きに嵌め込まれ、非締結状態でボデーの荷重により組み付けられるストラットマウント10において、ゴム弾性体36に、周壁部28の上端とアウタ部材32の上端との間の位置において、外周面から内部に向う切欠部38を設けることにより、ゴム弾性体36を下側のゴム本体部36Aと上壁部30に当接する上側のストッパ部36Bとに分けて構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ショックアブソーバを備えたストラットを車両のボデーに対して弾性的に支持するストラットマウントに関し、詳しくはボデーに対して非締結状態で組み付けられる形式のストラットマウントに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、ストラット式のサスペンション装置では、ショックアブソーバとコイルスプリングとを有するストラットの上端と車両のボデーとの間に、ゴム弾性体を主要素として含むストラットマウントを介在させ、タイヤを通じて路面から伝わる振動をショックアブソーバとコイルスプリングとの協働作用で吸収するとともに、それらショックアブソーバ及びコイルスプリングにて吸収しきれない振動をストラットマウントで吸収し、路面からの振動がボデーに伝達されるのを防止ないし抑制するようにしている。
【0003】
従来、このサスペンション装置におけるストラットマウントとして種々の形態のものが用いられている。
図4(イ)はその一例を示している。
図4(イ)に示すストラットマウント200は、車両のボデーに対して締結固定される形式のストラットマウントで、円筒形状をなす金属製の剛性のアウタ部材202及びインナ部材204と、それらを一体的に連結するゴム弾性体206とを有している。
【0004】
このストラットマウント200は、インナ部材204においてショックアブソーバのピストンロッドに締結固定され、またアウタ部材202においてボデーに締結固定される。
詳しくは、アウタ部材202にはフランジ状の固定部208が設けられていて、その固定部208において締結ボルト210によりボデーに締結固定される。
【0005】
この図4(イ)に示すストラットマウント200の場合、ボデーに対してストラットマウント200を正しく位置決めした状態で締結ボルト210により強固に締結固定することができる。
【0006】
一方図4(ロ)のストラットマウント212は、ボデーに対して非締結状態で組み付けられる形式のもので、金属製且つ剛性のアウタ部材214,同じく金属製の剛性を有するインナ部材216及びそれらを一体的に連結するゴム弾性体218を有している。
尚220はショックアブソーバにおけるピストンロッドで、222はコイルスプリングの上端を受けるスプリングシートである。
【0007】
このストラットマウント212において、アウタ部材214及びインナ部材216は、それぞれの外面及び内面が薄肉のゴムにて被覆されている。
即ちアウタ部材214,インナ部材216は、それぞれゴム弾性体218の外周側,内周側においてゴム弾性体218の内部に埋込状態とされている。
【0008】
224はボデーパネルで、上方に凹陥する形態の嵌込用の凹所226が設けられており、そこにストラットマウント212が下方から上向きに嵌め込まれて、かかるボデーパネル224に組み付けられている。
このボデーパネル224は、周壁部228と上壁部230とを有していて、それら周壁部228,上壁部230の下側に上記凹所226を形成している。
【0009】
ここで周壁部228の内面は、ストラットマウント212を上向きに嵌め込むために上方に向って径が漸次小となるテーパ形状をなしている。
また上壁部230は、ストラットマウント212を凹所226に嵌め込む際の嵌込量を規定し、また上下変位の際のストッパ作用を行うべく、周壁部228の上端部から横向き、詳しくは上下方向(ストラットマウント212の軸方向)を縦向きとして横向きに且つ求心方向にフランジ状に延び出している。
【0010】
一方ストラットマウント212のアウタ部材214は、凹所226における周壁部228の下部の形状に対応して、上方に向け小径となるテーパ形状で且つその下部に対向して位置するように設けられており、またこれに対応してインナ部材216が上向きに小径となる略テーパ形状で形成されている。
【0011】
このストラットマウント212は、ボデーパネル224に対して締結されず、単にボデーの重みによって凹所226内面に押し当てられる状態で組み付けられているに過ぎないことから、万一ゴム弾性体218が破断しても、ショックアブソーバがボデーパネル224を突き抜けて走行不能とならないように、インナ部材216がボデーパネル224と上下方向にオーバーラップ(重合)するように、その形状及び大きさが定めてある。
即ちインナ部材216の下部が、斜め方向に長く延びた形態をなしている。
【0012】
このストラットマウント212は、凹所226への嵌込みによってボデーパネル224への組付位置が定まり、また上下方向の過大な変位を規制するために、凹所226内部に全体的にゴムを充填するようにしている。
詳しくは、周壁部228及び上壁部230と、インナ部材216との間の部分を、ほぼ全体的にゴムで埋め(溝232の部分を一部除いて)、ゴム弾性体218の外周面を、周壁部228の傾斜した内面全体に亘って接触させ、更に組付時のボデーの重量はかかった状態で上壁部230の内面に対しゴム弾性体218を当接させるようにしている。
【0013】
このストラットマウント212の場合、ゴム弾性体218の外周面が周壁部228の内面に対し全体的に接触するため、更にはゴム弾性体218の上面が上壁部230に対して当接するため、組付時の作業性を確保できるとともに、上下方向の変位に際しゴム弾性体の上壁部230に対する当接によって、上下方向の過大な変位を規制することができる。
【0014】
上記のように構成した結果として、このストラットマウント212の場合、ゴム弾性体218がインナ部材216とアウタ部材214及びボデーパネル224とによって、軸直角方向のみならず軸方向にも挟まれた状態となって、軸直角方向のばね定数のみならず軸方向のばね定数も大きくなってしまう。
軸直角方向のみなず軸方向の変位に際しても圧縮成分の占める割合が大となるからである。
即ちこのストラットマウント212の場合、軸直角方向のばね定数に対し、軸方向のばね定数の比率(ばね比)を下げたい場合にも、対応が難しいといった問題が内在している。
【0015】
本発明はこのような課題を解決するために案出されたものである。
尚、本発明に関連するものとして下記特許文献1,特許文献2,特許文献3に開示のものが公知である。
但しこれら特許文献1,特許文献2,特許文献3に開示のものは、何れもアウタ部材においてボデーに締結して固定される形式のものであり、本発明のストラットマウントとは異なったものである。
【0016】
【特許文献1】
実公平7−43508号公報
【特許文献2】
特許第3055412号公報
【特許文献3】
特開平9−264367号公報
【0017】
【課題を解決するための手段】
而して本発明の請求項1のストラットマウントは、剛性のインナ部材及びアウタ部材と、それらを一体的に連結するゴム弾性体とを有し、車両のボデーに上方に凹陥する形態で形成され、周壁部の内面が上方に進むにつれて小径となる傾斜ないし湾曲形状とされるとともに、周壁部の上端部からは上壁部が横向き且つ求心方向に延出した形態の嵌込用の凹所に対し、下方から上向きに嵌め込まれ、該ボデーに対し締結されることなく該ボデーの荷重により凹所内面に押し当てられた状態で該ボデーに組み付けられるストラットマウントであって、前記アウタ部材が、前記凹所における周壁部の内面の下部の形状に対応して上方に向け小径となる傾斜ないし湾曲形状で且つ該下部に対向して位置するように設けられており、また前記ゴム弾性体には該周壁部の上端と該アウタ部材の上端との間の位置において、外周側から内部に向う切欠部が設けられていて、該切欠部により下側のゴム本体部と、前記上壁部に対して上向きに当接する上側のストッパ部とが分けて構成してあることを特徴とする。
【0018】
請求項2のものは、請求項1において、前記切欠部が周方向に環状をなしていることを特徴とする。
【0019】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記ストッパ部は、組付状態で当初より前記上壁部に当接させてあることを特徴とする。
【0020】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記インナ部材が前記アウタ部材に対応して上向きに小径となる傾斜ないし湾曲形状とされており、且つ前記上壁部に対して上下方向に重合する形状及び大きさで形成されていることを特徴とする。
【0021】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記アウタ部材,インナ部材は前記ゴム弾性体の外周側,内周側においてそれぞれ該ゴム弾性体内に埋込状態とされていることを特徴とする。
【0022】
請求項6のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記切欠部は、前記ゴム弾性体の外周面から下向きに且つ軸方向に延びる形状で形成されており、且つ該切欠部の軸直角方向の幅が該切欠部の底から上端にかけて同等寸法か若しくは漸次増大する寸法とされていることを特徴とする。
【0023】
【作用及び発明の効果】
以上のように本発明は、ゴム弾性体に、周壁部の上端とアウタ部材の上端との間の位置において、外周側から内部に向う切欠部を設け、その切欠部により下側のゴム本体部と、上壁部に対し上向きに当接する上側のストッパ部とを分けて構成したもので、本発明によれば、上壁部に対するストッパ部の当接によってストラットマウントの上下方向、即ち軸方向の過度の変位を良好に規制することができる。
【0024】
またゴム弾性体に切欠部が設けてあることによって、上下方向即ち軸方向のばね定数を小さく、即ちばね特性を柔らかくすることができ、軸直角方向のばね定数と軸方向のばね定数とのばね比を、図4(ロ)に示す従来のストラットマウントに対してより小さく設定することが可能となり、ばね比を広い範囲でチューニングすることが可能となる。
【0025】
また併せて、上壁部に対するストッパ部の当接によるストッパ特性を初期において柔らかく、途中から必要な大きさに変化させることができる。
初期においては切欠部の存在によってストッパ部が容易に変形できる一方、ある程度ストッパ部が変形したところで切欠部即ち隙間が埋まって、ストッパ部の変形に対する抵抗が大となるからである。
ここで上記切欠部は、周方向に連続した環状をなすように形成しておくことができる(請求項2)。
【0026】
また上記ストッパ部は、組付当初から上壁部に対し当接状態としておくことが望ましい(請求項3)。
このようにストッパ部を組付当初から上壁部に当接させるようにしておくことで、ストラットマウントをボデーの凹所に嵌め込んで組み付ける際の組付けの位置決めをなすことができ、またストッパ作用時においても当初から上壁部に接触しているため、ストラットマウントがある程度変位したところで、そこで初めてストッパ部が上壁部に当る場合のように、そこで異音を発生する恐れがあるといった問題を回避できる利点が得られる。
【0027】
本発明は、インナ部材がアウタ部材に対応して上向きに小径となる傾斜ないし湾曲形状をなしており、且つ上壁部に対して上下方向に重合する形状及び大きさで形成されているストラットマウントに適用して効果が大である(請求項4)。またアウタ部材,インナ部材はそれぞれゴム弾性体の外周側,内周側においてゴム弾性体に埋込状態となしておくことができる(請求項5)。
【0028】
次に請求項6は、切欠部をゴム弾性体の外周面から下向きに且つ軸方向に延びる形状で形成し、また切欠部の軸直角方向の幅が切欠部の底から上端にかけて同等寸法か若しくは漸次増大する寸法となしたもので、このようにしておけば、ストラットマウントを加硫成形する際に成形型を軸方向に分割するだけで、簡単に製品(ストラットマウント)を成形型から取り出すことができ、成形型の構成が簡単となって、更には脱型作業も簡単となって、ストラットマウントの製造コストを安価となすことができる。
【0029】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
ここで図1は、ストラットマウントを車両のボデーに組み付けた状態を示したもので、図2はその組付構造を各部材に分解した状態、図3は図2における組付前のストラットマウントをそれぞれ示している。
【0030】
これらの図において、10は本例のストラットマウントで、12はショックアブソーバにおけるピストンロッド、14はコイルスプリングの上端を当接させてこれを受けるばね受けとしてのスプリングシートである。
【0031】
16はピストンロッド12の図中下向きの過大な相対変位を規制するためのストッパプレートで、ピストンロッド12に固定ナット18にて固定されている。このストッパプレート16の外周端部には、後述するボデーパネルの上壁部30に対し、下向きに当接するゴム当接部20が設けてある。
尚22はベアリングである。
【0032】
24はボデーパネルで、上方に凹陥した形態の嵌込用の凹所26を有している。
この凹所26は、ボデーパネル24に形成された周壁部28と、周壁部28の上端部の上壁部30とによってそれらの下側に形成されている。
【0033】
ここで凹所26は、ストラットマウント10を嵌込状態に組み付けるためのもので、周壁部28はその内面が上向きに漸次小径となるテーパ形状をなしている。
そしてこの周壁部28の上端から、上記の上壁部30が横向き且つ求心方向に延び出している。
この上壁部30の内側は開口部31となっている。
【0034】
ストラットマウント10は、金属製の剛性のアウタ部材32と、同じく金属製の剛性のインナ部材34と、それらを一体に連結するゴム弾性体36とを有している。
ここでアウタ部材32は、凹所26の略下半部に位置するような形状及び大きさで形成されており、またインナ部材34は、その上端が周壁部28の上端と略同じ高さに位置し、また下端が凹所26から下向きに僅かに突き出す形状及び大きさで形成されている。
【0035】
またこれらアウタ部材32,インナ部材34は、その外周側の面,内周側の面がそれぞれ薄肉のゴムで被覆されている。
即ちアウタ部材32,インナ部材34は、それぞれがゴム弾性体36の外周側,内周側においてゴム弾性体36内に埋込状態となっている。
【0036】
アウタ部材32及びインナ部材34は、周壁部28の内面のテーパ形状に対応して、それぞれ上方に小径となる概略テーパ形状をなしている。
但し厳密には、アウタ部材32はその下部が下向きに僅かに屈曲しており、またインナ部材34は、上下方向の中間部が求心方向に若干凹んだ形状をなしており、それより上部と下部とが僅かに湾曲した形状をなしている。またその上端部は上向きに湾曲しながら立ち上がった形状をなしている。
【0037】
ここでインナ部材34は、ボデーパネル24に対して、詳しくは凹所26を形成する上壁部30及び周壁部28に対し上下に重合(オーバーラップ)する形状及び大きさで形成されている。
詳しくは、この例の場合インナ部材34はその下端が上壁部30の外周端から更に周壁部28に差しかかった部分に位置している。
【0038】
このストラットマウント10におけるゴム弾性体36には、アウタ部材32の上端と周壁部28の上端との間の位置において、外周面から内部に向う切欠部38が設けられており、ゴム弾性体36は、この切欠部38によって下側のゴム本体部36Aと、上側のストッパ部36Bとが分かれた形態で構成してある。
【0039】
ここでゴム本体部36Aの外周面は、周壁部28の内面と概略同じ角度で傾斜するテーパ面とされており、その外周面全体が組付状態において周壁部28の内面と弾性接触している。
また一方、ストッパ部36Bは上向きに立ち上がった形態をなしており、その上端部が組付当初より上壁部30の内面に弾性的に当接した状態となっている。
【0040】
このストッパ部36Bは、組付前の状態において図2及び図3に示すように、図1に示すよりもその上向きの突出高さが高く、従って図1に示す組付状態の下で、かかるストッパ部36Bは上下方向に所定量弾性変形した状態で上壁部30に当接している。
【0041】
ここでストッパ部36Bは周方向に連続した環状をなしており、また切欠部38も同様に周方向に連続した環状をなしている。
また切欠部38は、図2に示しているように組付前の状態、即ち加硫成形した状態で、ストラットマウント10の軸方向に延びており、且つ軸直角方向の幅が切欠部38の底から上端にかけて僅かに増大する形状で形成されている。
【0042】
この例のストラットマウント10は、ボデーパネル24に対し非締結状態で組み付けられる。
詳しくは、図2に示しているようにボデーパネル24の嵌込用の凹所26に対し下方から上向きに嵌め込まれ、その後ピストンロッド12に対し、ストッパプレート16を固定ナット18で固定することによって、ボデーパネル24に抜止状態に組み付けられる。
【0043】
このとき、ストラットマウント10はボデーの重量によって凹所26の内面に押し当てられた状態となる。
而してその組付けの際、ゴム本体部36Aの外周面及びゴムストッパ部36Bが組付けのガイドとなって組付位置を定める。
【0044】
本例のストラットマウント10においては、車両走行時において軸方向及び軸直角方向の振動入力が加わったとき、ゴム弾性体36が軸方向及び軸直角方向に弾性変形して振動を吸収し、路面からの振動がボデーパネル24に対し伝達されるのを防止ないし抑制する。
【0045】
またストラットマウント10に対し上向きの荷重がかかってゴム弾性体36が同方向に弾性変形する際、ストッパ部36Bのストッパ作用によりその過大な変位が規制される。
その際、ストッパ部36Bは切欠部38の存在によって、即ちストッパ部36Bの周りに空間があることによって、容易に上下方向に弾性変形でき、従って初期のストッパ特性は柔らかなものとなる。
また併せて、上下方向の振動入力の際のストラットマウント10のばね特性を柔らかなものとする。
【0046】
一方ストッパ部36Bが一定量変形すると、その時点で切欠部38はストッパ部36Bの変形したゴムにより埋まった状態となり、この時点からストッパ部36Bの変形は抑制された状態となって、その変形に対する抵抗は急激に増大し、過大なる変位を効果的に抑制する。
【0047】
また本例のストラットマウント10にあっては、ゴム弾性体36が、切欠部38によってゴム本体部36Aとストッパ部36Bとに分けられた結果、切欠部38がゴムの変形で埋まるまでの上下の変位領域では、ゴム本体部36Aが主として剪断弾性変形する結果、更にはストッパ部36Bが容易に弾性変形する結果、軸方向に柔らかなばね特性を発現する。
一方ゴム本体部36Aの軸直角方向の変形は主として圧縮弾性変形となり、大なるばね特性を発現する。
【0048】
以上のように本例によれば、上壁部30に対するストッパ部36Bの当接によってストラットマウント10の上下方向、即ち軸方向の過度の変位を良好に規制することができる。
【0049】
またゴム弾性体36に切欠部38が設けてあることによって、上下方向即ち軸方向の初期のばね定数を小さく、即ちばね特性を柔らかくすることができ、軸直角方向のばね定数と軸方向のばね定数とのばね比を、図4(ロ)に示す従来のストラットマウントに対してより小さく設定することが可能となり、ばね比を広い範囲でチューニングすることが可能となる。
【0050】
また併せて、ストッパ部36Bの初期のストッパ特性を柔らかく、必要な変位領域からは十分な大きさに変化させることができる。
初期においては切欠部38の存在によってストッパ部36Bが容易に変形でき、またストッパ部36Bが変形して切欠部38即ち隙間が埋まってからは、ストッパ部36Bの変形に対する抵抗が大となるからである。
【0051】
またストッパ部36Bを組付当初から上壁部30に当接させるようにしておくことで、そのストッパ部36Bに、ストラットマウント10組付時の位置決め作用をさせることができ、更にまたストッパ作用時においても当初からストッパ部36Bが上壁部30に接触しているため、上下の変位途中から上壁部30に当る場合のように、そこで異音を発生する恐れがある問題を回避することができる。
【0052】
また本例のような形状で切欠部38を形成することにより、ストラットマウント10を加硫成形する際に、成形型を軸方向に分割するだけで簡単に製品(ストラットマウント)を成形型から取り出すことができ、成形型の構成が簡単となって、更には脱型作業も簡単となって、ストラットマウント10の製造コストを安価となすことができる。
【0053】
以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば上記凹所26における周壁部28の内面の形状は多少湾曲した形状であっても良いし、またストラットマウント10におけるアウタ部材32及びインナ部材34の形状も、上向きに漸次小径となるような形状で上例以外の他の様々な形状となすことができる。
【0054】
その他本発明においては、ゴム弾性体36におけるストッパ部36Bを組付時において当初から上壁部30に当接させず、上壁30部との間に所定の隙間を形成する形態で形成しておくことも場合により可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるストラットマウントを車両ボデーへの組付状態で示す図である。
【図2】図1の組付構造を各部材に分解した状態で示す図である。
【図3】図1のストラットマウントの斜視図及び平面図である。
【図4】従来のストラットマウントを示す図である。
【符号の説明】
10 ストラットマウント
24 ボデーパネル
26 凹所
28 周壁部
30 上壁部
32 アウタ部材
34 インナ部材
36 ゴム弾性体
36A ゴム本体部
36B ストッパ部
38 切欠部
【発明の属する技術分野】
この発明は、ショックアブソーバを備えたストラットを車両のボデーに対して弾性的に支持するストラットマウントに関し、詳しくはボデーに対して非締結状態で組み付けられる形式のストラットマウントに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、ストラット式のサスペンション装置では、ショックアブソーバとコイルスプリングとを有するストラットの上端と車両のボデーとの間に、ゴム弾性体を主要素として含むストラットマウントを介在させ、タイヤを通じて路面から伝わる振動をショックアブソーバとコイルスプリングとの協働作用で吸収するとともに、それらショックアブソーバ及びコイルスプリングにて吸収しきれない振動をストラットマウントで吸収し、路面からの振動がボデーに伝達されるのを防止ないし抑制するようにしている。
【0003】
従来、このサスペンション装置におけるストラットマウントとして種々の形態のものが用いられている。
図4(イ)はその一例を示している。
図4(イ)に示すストラットマウント200は、車両のボデーに対して締結固定される形式のストラットマウントで、円筒形状をなす金属製の剛性のアウタ部材202及びインナ部材204と、それらを一体的に連結するゴム弾性体206とを有している。
【0004】
このストラットマウント200は、インナ部材204においてショックアブソーバのピストンロッドに締結固定され、またアウタ部材202においてボデーに締結固定される。
詳しくは、アウタ部材202にはフランジ状の固定部208が設けられていて、その固定部208において締結ボルト210によりボデーに締結固定される。
【0005】
この図4(イ)に示すストラットマウント200の場合、ボデーに対してストラットマウント200を正しく位置決めした状態で締結ボルト210により強固に締結固定することができる。
【0006】
一方図4(ロ)のストラットマウント212は、ボデーに対して非締結状態で組み付けられる形式のもので、金属製且つ剛性のアウタ部材214,同じく金属製の剛性を有するインナ部材216及びそれらを一体的に連結するゴム弾性体218を有している。
尚220はショックアブソーバにおけるピストンロッドで、222はコイルスプリングの上端を受けるスプリングシートである。
【0007】
このストラットマウント212において、アウタ部材214及びインナ部材216は、それぞれの外面及び内面が薄肉のゴムにて被覆されている。
即ちアウタ部材214,インナ部材216は、それぞれゴム弾性体218の外周側,内周側においてゴム弾性体218の内部に埋込状態とされている。
【0008】
224はボデーパネルで、上方に凹陥する形態の嵌込用の凹所226が設けられており、そこにストラットマウント212が下方から上向きに嵌め込まれて、かかるボデーパネル224に組み付けられている。
このボデーパネル224は、周壁部228と上壁部230とを有していて、それら周壁部228,上壁部230の下側に上記凹所226を形成している。
【0009】
ここで周壁部228の内面は、ストラットマウント212を上向きに嵌め込むために上方に向って径が漸次小となるテーパ形状をなしている。
また上壁部230は、ストラットマウント212を凹所226に嵌め込む際の嵌込量を規定し、また上下変位の際のストッパ作用を行うべく、周壁部228の上端部から横向き、詳しくは上下方向(ストラットマウント212の軸方向)を縦向きとして横向きに且つ求心方向にフランジ状に延び出している。
【0010】
一方ストラットマウント212のアウタ部材214は、凹所226における周壁部228の下部の形状に対応して、上方に向け小径となるテーパ形状で且つその下部に対向して位置するように設けられており、またこれに対応してインナ部材216が上向きに小径となる略テーパ形状で形成されている。
【0011】
このストラットマウント212は、ボデーパネル224に対して締結されず、単にボデーの重みによって凹所226内面に押し当てられる状態で組み付けられているに過ぎないことから、万一ゴム弾性体218が破断しても、ショックアブソーバがボデーパネル224を突き抜けて走行不能とならないように、インナ部材216がボデーパネル224と上下方向にオーバーラップ(重合)するように、その形状及び大きさが定めてある。
即ちインナ部材216の下部が、斜め方向に長く延びた形態をなしている。
【0012】
このストラットマウント212は、凹所226への嵌込みによってボデーパネル224への組付位置が定まり、また上下方向の過大な変位を規制するために、凹所226内部に全体的にゴムを充填するようにしている。
詳しくは、周壁部228及び上壁部230と、インナ部材216との間の部分を、ほぼ全体的にゴムで埋め(溝232の部分を一部除いて)、ゴム弾性体218の外周面を、周壁部228の傾斜した内面全体に亘って接触させ、更に組付時のボデーの重量はかかった状態で上壁部230の内面に対しゴム弾性体218を当接させるようにしている。
【0013】
このストラットマウント212の場合、ゴム弾性体218の外周面が周壁部228の内面に対し全体的に接触するため、更にはゴム弾性体218の上面が上壁部230に対して当接するため、組付時の作業性を確保できるとともに、上下方向の変位に際しゴム弾性体の上壁部230に対する当接によって、上下方向の過大な変位を規制することができる。
【0014】
上記のように構成した結果として、このストラットマウント212の場合、ゴム弾性体218がインナ部材216とアウタ部材214及びボデーパネル224とによって、軸直角方向のみならず軸方向にも挟まれた状態となって、軸直角方向のばね定数のみならず軸方向のばね定数も大きくなってしまう。
軸直角方向のみなず軸方向の変位に際しても圧縮成分の占める割合が大となるからである。
即ちこのストラットマウント212の場合、軸直角方向のばね定数に対し、軸方向のばね定数の比率(ばね比)を下げたい場合にも、対応が難しいといった問題が内在している。
【0015】
本発明はこのような課題を解決するために案出されたものである。
尚、本発明に関連するものとして下記特許文献1,特許文献2,特許文献3に開示のものが公知である。
但しこれら特許文献1,特許文献2,特許文献3に開示のものは、何れもアウタ部材においてボデーに締結して固定される形式のものであり、本発明のストラットマウントとは異なったものである。
【0016】
【特許文献1】
実公平7−43508号公報
【特許文献2】
特許第3055412号公報
【特許文献3】
特開平9−264367号公報
【0017】
【課題を解決するための手段】
而して本発明の請求項1のストラットマウントは、剛性のインナ部材及びアウタ部材と、それらを一体的に連結するゴム弾性体とを有し、車両のボデーに上方に凹陥する形態で形成され、周壁部の内面が上方に進むにつれて小径となる傾斜ないし湾曲形状とされるとともに、周壁部の上端部からは上壁部が横向き且つ求心方向に延出した形態の嵌込用の凹所に対し、下方から上向きに嵌め込まれ、該ボデーに対し締結されることなく該ボデーの荷重により凹所内面に押し当てられた状態で該ボデーに組み付けられるストラットマウントであって、前記アウタ部材が、前記凹所における周壁部の内面の下部の形状に対応して上方に向け小径となる傾斜ないし湾曲形状で且つ該下部に対向して位置するように設けられており、また前記ゴム弾性体には該周壁部の上端と該アウタ部材の上端との間の位置において、外周側から内部に向う切欠部が設けられていて、該切欠部により下側のゴム本体部と、前記上壁部に対して上向きに当接する上側のストッパ部とが分けて構成してあることを特徴とする。
【0018】
請求項2のものは、請求項1において、前記切欠部が周方向に環状をなしていることを特徴とする。
【0019】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記ストッパ部は、組付状態で当初より前記上壁部に当接させてあることを特徴とする。
【0020】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記インナ部材が前記アウタ部材に対応して上向きに小径となる傾斜ないし湾曲形状とされており、且つ前記上壁部に対して上下方向に重合する形状及び大きさで形成されていることを特徴とする。
【0021】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記アウタ部材,インナ部材は前記ゴム弾性体の外周側,内周側においてそれぞれ該ゴム弾性体内に埋込状態とされていることを特徴とする。
【0022】
請求項6のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記切欠部は、前記ゴム弾性体の外周面から下向きに且つ軸方向に延びる形状で形成されており、且つ該切欠部の軸直角方向の幅が該切欠部の底から上端にかけて同等寸法か若しくは漸次増大する寸法とされていることを特徴とする。
【0023】
【作用及び発明の効果】
以上のように本発明は、ゴム弾性体に、周壁部の上端とアウタ部材の上端との間の位置において、外周側から内部に向う切欠部を設け、その切欠部により下側のゴム本体部と、上壁部に対し上向きに当接する上側のストッパ部とを分けて構成したもので、本発明によれば、上壁部に対するストッパ部の当接によってストラットマウントの上下方向、即ち軸方向の過度の変位を良好に規制することができる。
【0024】
またゴム弾性体に切欠部が設けてあることによって、上下方向即ち軸方向のばね定数を小さく、即ちばね特性を柔らかくすることができ、軸直角方向のばね定数と軸方向のばね定数とのばね比を、図4(ロ)に示す従来のストラットマウントに対してより小さく設定することが可能となり、ばね比を広い範囲でチューニングすることが可能となる。
【0025】
また併せて、上壁部に対するストッパ部の当接によるストッパ特性を初期において柔らかく、途中から必要な大きさに変化させることができる。
初期においては切欠部の存在によってストッパ部が容易に変形できる一方、ある程度ストッパ部が変形したところで切欠部即ち隙間が埋まって、ストッパ部の変形に対する抵抗が大となるからである。
ここで上記切欠部は、周方向に連続した環状をなすように形成しておくことができる(請求項2)。
【0026】
また上記ストッパ部は、組付当初から上壁部に対し当接状態としておくことが望ましい(請求項3)。
このようにストッパ部を組付当初から上壁部に当接させるようにしておくことで、ストラットマウントをボデーの凹所に嵌め込んで組み付ける際の組付けの位置決めをなすことができ、またストッパ作用時においても当初から上壁部に接触しているため、ストラットマウントがある程度変位したところで、そこで初めてストッパ部が上壁部に当る場合のように、そこで異音を発生する恐れがあるといった問題を回避できる利点が得られる。
【0027】
本発明は、インナ部材がアウタ部材に対応して上向きに小径となる傾斜ないし湾曲形状をなしており、且つ上壁部に対して上下方向に重合する形状及び大きさで形成されているストラットマウントに適用して効果が大である(請求項4)。またアウタ部材,インナ部材はそれぞれゴム弾性体の外周側,内周側においてゴム弾性体に埋込状態となしておくことができる(請求項5)。
【0028】
次に請求項6は、切欠部をゴム弾性体の外周面から下向きに且つ軸方向に延びる形状で形成し、また切欠部の軸直角方向の幅が切欠部の底から上端にかけて同等寸法か若しくは漸次増大する寸法となしたもので、このようにしておけば、ストラットマウントを加硫成形する際に成形型を軸方向に分割するだけで、簡単に製品(ストラットマウント)を成形型から取り出すことができ、成形型の構成が簡単となって、更には脱型作業も簡単となって、ストラットマウントの製造コストを安価となすことができる。
【0029】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
ここで図1は、ストラットマウントを車両のボデーに組み付けた状態を示したもので、図2はその組付構造を各部材に分解した状態、図3は図2における組付前のストラットマウントをそれぞれ示している。
【0030】
これらの図において、10は本例のストラットマウントで、12はショックアブソーバにおけるピストンロッド、14はコイルスプリングの上端を当接させてこれを受けるばね受けとしてのスプリングシートである。
【0031】
16はピストンロッド12の図中下向きの過大な相対変位を規制するためのストッパプレートで、ピストンロッド12に固定ナット18にて固定されている。このストッパプレート16の外周端部には、後述するボデーパネルの上壁部30に対し、下向きに当接するゴム当接部20が設けてある。
尚22はベアリングである。
【0032】
24はボデーパネルで、上方に凹陥した形態の嵌込用の凹所26を有している。
この凹所26は、ボデーパネル24に形成された周壁部28と、周壁部28の上端部の上壁部30とによってそれらの下側に形成されている。
【0033】
ここで凹所26は、ストラットマウント10を嵌込状態に組み付けるためのもので、周壁部28はその内面が上向きに漸次小径となるテーパ形状をなしている。
そしてこの周壁部28の上端から、上記の上壁部30が横向き且つ求心方向に延び出している。
この上壁部30の内側は開口部31となっている。
【0034】
ストラットマウント10は、金属製の剛性のアウタ部材32と、同じく金属製の剛性のインナ部材34と、それらを一体に連結するゴム弾性体36とを有している。
ここでアウタ部材32は、凹所26の略下半部に位置するような形状及び大きさで形成されており、またインナ部材34は、その上端が周壁部28の上端と略同じ高さに位置し、また下端が凹所26から下向きに僅かに突き出す形状及び大きさで形成されている。
【0035】
またこれらアウタ部材32,インナ部材34は、その外周側の面,内周側の面がそれぞれ薄肉のゴムで被覆されている。
即ちアウタ部材32,インナ部材34は、それぞれがゴム弾性体36の外周側,内周側においてゴム弾性体36内に埋込状態となっている。
【0036】
アウタ部材32及びインナ部材34は、周壁部28の内面のテーパ形状に対応して、それぞれ上方に小径となる概略テーパ形状をなしている。
但し厳密には、アウタ部材32はその下部が下向きに僅かに屈曲しており、またインナ部材34は、上下方向の中間部が求心方向に若干凹んだ形状をなしており、それより上部と下部とが僅かに湾曲した形状をなしている。またその上端部は上向きに湾曲しながら立ち上がった形状をなしている。
【0037】
ここでインナ部材34は、ボデーパネル24に対して、詳しくは凹所26を形成する上壁部30及び周壁部28に対し上下に重合(オーバーラップ)する形状及び大きさで形成されている。
詳しくは、この例の場合インナ部材34はその下端が上壁部30の外周端から更に周壁部28に差しかかった部分に位置している。
【0038】
このストラットマウント10におけるゴム弾性体36には、アウタ部材32の上端と周壁部28の上端との間の位置において、外周面から内部に向う切欠部38が設けられており、ゴム弾性体36は、この切欠部38によって下側のゴム本体部36Aと、上側のストッパ部36Bとが分かれた形態で構成してある。
【0039】
ここでゴム本体部36Aの外周面は、周壁部28の内面と概略同じ角度で傾斜するテーパ面とされており、その外周面全体が組付状態において周壁部28の内面と弾性接触している。
また一方、ストッパ部36Bは上向きに立ち上がった形態をなしており、その上端部が組付当初より上壁部30の内面に弾性的に当接した状態となっている。
【0040】
このストッパ部36Bは、組付前の状態において図2及び図3に示すように、図1に示すよりもその上向きの突出高さが高く、従って図1に示す組付状態の下で、かかるストッパ部36Bは上下方向に所定量弾性変形した状態で上壁部30に当接している。
【0041】
ここでストッパ部36Bは周方向に連続した環状をなしており、また切欠部38も同様に周方向に連続した環状をなしている。
また切欠部38は、図2に示しているように組付前の状態、即ち加硫成形した状態で、ストラットマウント10の軸方向に延びており、且つ軸直角方向の幅が切欠部38の底から上端にかけて僅かに増大する形状で形成されている。
【0042】
この例のストラットマウント10は、ボデーパネル24に対し非締結状態で組み付けられる。
詳しくは、図2に示しているようにボデーパネル24の嵌込用の凹所26に対し下方から上向きに嵌め込まれ、その後ピストンロッド12に対し、ストッパプレート16を固定ナット18で固定することによって、ボデーパネル24に抜止状態に組み付けられる。
【0043】
このとき、ストラットマウント10はボデーの重量によって凹所26の内面に押し当てられた状態となる。
而してその組付けの際、ゴム本体部36Aの外周面及びゴムストッパ部36Bが組付けのガイドとなって組付位置を定める。
【0044】
本例のストラットマウント10においては、車両走行時において軸方向及び軸直角方向の振動入力が加わったとき、ゴム弾性体36が軸方向及び軸直角方向に弾性変形して振動を吸収し、路面からの振動がボデーパネル24に対し伝達されるのを防止ないし抑制する。
【0045】
またストラットマウント10に対し上向きの荷重がかかってゴム弾性体36が同方向に弾性変形する際、ストッパ部36Bのストッパ作用によりその過大な変位が規制される。
その際、ストッパ部36Bは切欠部38の存在によって、即ちストッパ部36Bの周りに空間があることによって、容易に上下方向に弾性変形でき、従って初期のストッパ特性は柔らかなものとなる。
また併せて、上下方向の振動入力の際のストラットマウント10のばね特性を柔らかなものとする。
【0046】
一方ストッパ部36Bが一定量変形すると、その時点で切欠部38はストッパ部36Bの変形したゴムにより埋まった状態となり、この時点からストッパ部36Bの変形は抑制された状態となって、その変形に対する抵抗は急激に増大し、過大なる変位を効果的に抑制する。
【0047】
また本例のストラットマウント10にあっては、ゴム弾性体36が、切欠部38によってゴム本体部36Aとストッパ部36Bとに分けられた結果、切欠部38がゴムの変形で埋まるまでの上下の変位領域では、ゴム本体部36Aが主として剪断弾性変形する結果、更にはストッパ部36Bが容易に弾性変形する結果、軸方向に柔らかなばね特性を発現する。
一方ゴム本体部36Aの軸直角方向の変形は主として圧縮弾性変形となり、大なるばね特性を発現する。
【0048】
以上のように本例によれば、上壁部30に対するストッパ部36Bの当接によってストラットマウント10の上下方向、即ち軸方向の過度の変位を良好に規制することができる。
【0049】
またゴム弾性体36に切欠部38が設けてあることによって、上下方向即ち軸方向の初期のばね定数を小さく、即ちばね特性を柔らかくすることができ、軸直角方向のばね定数と軸方向のばね定数とのばね比を、図4(ロ)に示す従来のストラットマウントに対してより小さく設定することが可能となり、ばね比を広い範囲でチューニングすることが可能となる。
【0050】
また併せて、ストッパ部36Bの初期のストッパ特性を柔らかく、必要な変位領域からは十分な大きさに変化させることができる。
初期においては切欠部38の存在によってストッパ部36Bが容易に変形でき、またストッパ部36Bが変形して切欠部38即ち隙間が埋まってからは、ストッパ部36Bの変形に対する抵抗が大となるからである。
【0051】
またストッパ部36Bを組付当初から上壁部30に当接させるようにしておくことで、そのストッパ部36Bに、ストラットマウント10組付時の位置決め作用をさせることができ、更にまたストッパ作用時においても当初からストッパ部36Bが上壁部30に接触しているため、上下の変位途中から上壁部30に当る場合のように、そこで異音を発生する恐れがある問題を回避することができる。
【0052】
また本例のような形状で切欠部38を形成することにより、ストラットマウント10を加硫成形する際に、成形型を軸方向に分割するだけで簡単に製品(ストラットマウント)を成形型から取り出すことができ、成形型の構成が簡単となって、更には脱型作業も簡単となって、ストラットマウント10の製造コストを安価となすことができる。
【0053】
以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば上記凹所26における周壁部28の内面の形状は多少湾曲した形状であっても良いし、またストラットマウント10におけるアウタ部材32及びインナ部材34の形状も、上向きに漸次小径となるような形状で上例以外の他の様々な形状となすことができる。
【0054】
その他本発明においては、ゴム弾性体36におけるストッパ部36Bを組付時において当初から上壁部30に当接させず、上壁30部との間に所定の隙間を形成する形態で形成しておくことも場合により可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるストラットマウントを車両ボデーへの組付状態で示す図である。
【図2】図1の組付構造を各部材に分解した状態で示す図である。
【図3】図1のストラットマウントの斜視図及び平面図である。
【図4】従来のストラットマウントを示す図である。
【符号の説明】
10 ストラットマウント
24 ボデーパネル
26 凹所
28 周壁部
30 上壁部
32 アウタ部材
34 インナ部材
36 ゴム弾性体
36A ゴム本体部
36B ストッパ部
38 切欠部
Claims (6)
- 剛性のインナ部材及びアウタ部材と、それらを一体的に連結するゴム弾性体とを有し、車両のボデーに上方に凹陥する形態で形成され、周壁部の内面が上方に進むにつれて小径となる傾斜ないし湾曲形状とされるとともに、周壁部の上端部からは上壁部が横向き且つ求心方向に延出した形態の嵌込用の凹所に対し、下方から上向きに嵌め込まれ、該ボデーに対し締結されることなく該ボデーの荷重により凹所内面に押し当てられた状態で該ボデーに組み付けられるストラットマウントであって、
前記アウタ部材が、前記凹所における周壁部の内面の下部の形状に対応して上方に向け小径となる傾斜ないし湾曲形状で且つ該下部に対向して位置するように設けられており、また前記ゴム弾性体には該周壁部の上端と該アウタ部材の上端との間の位置において、外周側から内部に向う切欠部が設けられていて、該切欠部により下側のゴム本体部と、前記上壁部に対して上向きに当接する上側のストッパ部とが分けて構成してあることを特徴とするストラットマウント。 - 請求項1において、前記切欠部が周方向に環状をなしていることを特徴とするストラットマウント。
- 請求項1,2の何れかにおいて、前記ストッパ部は、組付状態で当初より前記上壁部に当接させてあることを特徴とするストラットマウント。
- 請求項1〜3の何れかにおいて、前記インナ部材が前記アウタ部材に対応して上向きに小径となる傾斜ないし湾曲形状とされており、且つ前記上壁部に対して上下方向に重合する形状及び大きさで形成されていることを特徴とするストラットマウント。
- 請求項1〜4の何れかにおいて、前記アウタ部材,インナ部材は前記ゴム弾性体の外周側,内周側においてそれぞれ該ゴム弾性体内に埋込状態とされていることを特徴とするストラットマウント。
- 請求項1〜5の何れかにおいて、前記切欠部は、前記ゴム弾性体の外周面から下向きに且つ軸方向に延びる形状で形成されており、且つ該切欠部の軸直角方向の幅が該切欠部の底から上端にかけて同等寸法か若しくは漸次増大する寸法とされていることを特徴とするストラットマウント。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070724 |
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A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20071120 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |