JP2004229655A - 大腸菌群判定装置および大腸菌群判定用合成酵素基質培地 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】大腸菌群判定装置1は、被試験水を貯留するための容器2と、容器2内に貯留された被試験水の温度を調節するための温度調節装置3と、容器2内に貯留された被試験水に対し、β−ガラクトシターゼと反応した場合に所定の色の発色物質を生成する合成酵素基質および当該所定の色の波長領域に吸収ピークを示さない色の色素を含む合成酵素基質培地を供給するための試薬供給装置4と、合成酵素基質培地の供給後における、合成酵素基質培地に含まれる色素による被試験水の変色を確認するための確認手段および合成酵素基質とβ−ガラクトシターゼとの反応による発色物質の生成を判定するための判定手段をそれぞれ含む制御装置7とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、大腸菌群判定装置および合成酵素基質培地、特に、被試験水中における大腸菌群の存否を判定するための判定装置および被試験水中における大腸菌群の存否を判定するための合成酵素基質培地法において用いられる合成酵素基質培地に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
飲料水や食品の衛生管理においては、大腸菌群の存否の検査が必要不可欠となっている。ここで、「大腸菌群」とは、好気性または通性嫌気性のグラム陰性無芽胞の桿菌であり、乳糖を分解して酸とガスとを生じるか、β−ガラクトシダーゼをもつ細菌群をいい(例えば、社団法人日本水道協会発行、「上水試験方法 解説編 2001年版」845頁参照)、「大腸菌」そのものとは異なる概念である。但し、大腸菌は、大腸菌群に属する細菌である。因みに、飲料水中に大腸菌群が含まれている場合、当該飲料水は、単に汚物で汚染されているということだけではなく、病原菌類も含んでいる可能性があることを示唆することになるため、水道法上の水質基準では飲用に不適なものと判定されることになる。
【0003】
ところで、大腸菌群の指標となる性状は乳糖発酵性であり、それに関与する酵素はβ−ガラクトシダーゼ(β−galactosidase)である。したがって、飲料水等の被試験水を細菌の培養環境に設定し、そこからβ−ガラクトシダーゼを検出することができると、間接的に大腸菌群の存在を証明することができる。そこで、このような大腸菌群の性状を利用した、飲料水等の被試験水中における大腸菌群の存否を迅速に判定するための方法として、合成酵素基質培地法が知られている。合成酵素基質培地法は、発色物質または発光物質を結合させた酵素基質を培地に使用し、目的とする細菌がもつ特異酵素により当該酵素基質が加水分解されて発色または発光することを利用した検査方法(判定方法)であり、大腸菌群の検出用の合成酵素基質培地法として、被試験水の変色の有無により大腸菌群の存否を判定するMMO−MUG法やXGal−MUG法が知られている。
【0004】
このうち、XGal−MUG法では、発色合成酵素基質である5−ブロモ−4−クロロ―3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(通称X−Gal)、大腸菌群の栄養素となるペプトン等およびピルビン酸ナトリウム等の炭素源、塩類、界面活性剤並びにpH調整剤を所定の濃度で含む合成酵素基質培地を一定量の被試験水中に所定量添加し、36±1℃で合成酵素基質培地の種類に応じて24〜48時間培養する。ここで、被試験水中に大腸菌群が含まれている場合は、大腸菌群が栄養素により培養され、β−ガラクトシダーゼが生成する。生成したβ−ガラクトシダーゼは、発色合成酵素基質であるXGalを加水分解し、青〜青緑色を呈する5,5−ジブロモ−4,4−ジクロロインジゴを生成させる。これにより、被試験水は青〜青緑色に変色するので、大腸菌群を含むものと判定することができる。一方、被試験水中に大腸菌群が含まれていない場合は、上述の合成酵素基質培地を添加しても大腸菌群が培養されることはないので、β−ガラクトシダーゼが生成することはなく、被試験水は上述のような青〜青緑色に変色しない。これにより、被試験水には大腸菌群が含まれないものと判定することができる。
【0005】
ところが、上述のような合成酵素基質培地法は、経験を積んだ検定者の手作業により実施され、被試験水の変色は当該検定者が目視で判断しているため、作業が煩雑である。
【0006】
本発明の目的は、被試験水中における大腸菌群の存否を合成酵素基質培地法に基づいて自動的に判定できるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る大腸菌群判定装置は、被試験水中における大腸菌群の存否を判定するためのものであり、被試験水を貯留するための容器と、容器内に貯留された被試験水の温度を調節するための温度調節装置と、β−ガラクトシダーゼと反応した場合に所定の色の発色物質を生成する第一合成酵素基質と、当該発色物質による所定の色の波長領域に吸収ピークを示さない色の色素とを含む合成酵素基質培地を、容器内に貯留された被試験水に対して供給するための試薬供給装置と、合成酵素基質培地の供給後における、色素による被試験水の変色を確認するための確認手段と、合成酵素基質培地の供給後における、第一合成酵素基質とβ−ガラクトシダーゼとの反応による発色物質の生成を判定するための第一判定手段とを備えている。
【0008】
この大腸菌群判定装置において、容器に貯留された被試験水は、試薬供給装置から上述の合成酵素基質培地が供給され、また、温度調節装置により、大腸菌の培養に適した温度環境に設定される。ここで、被試験水に大腸菌群が含まれる場合、大腸菌群が培養され、大腸菌群の特異酵素であるβ−ガラクトシダーゼが第一合成酵素基質と反応する。これにより、発色物質が生成し、その生成が第一判定手段により自動的に判定される。このような大腸菌群判定装置に動作過程において、被試験水は、合成酵素基質培地に含まれる色素により変色し、確認手段がその変色を確認する。すなわち、確認手段は、試薬供給装置が正常に作動し、被試験水に対して合成酵素基質培地を確実に供給したか否かを確認する。したがって、被試験水は、合成酵素基質培地が確実に供給されたことが確認された状態で大腸菌群の培養環境に設定されるので、第一判定手段は、被試験水における大腸菌群の存否をより正確に判定することができる。
【0009】
この大腸菌群判定装置において、確認手段は、例えば、色素による被試験水の変色により透過率が変化する光の被試験水における透過率の変化に基づいて、色素による被試験水の変色を確認している。
【0010】
また、この大腸菌群判定装置において用いられる第一合成酵素基質は、例えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシドである。この場合、第一合成酵素基質は、β−ガラクトシダーゼとの反応により、発色物質である5,5−ジブロモ−4,4−ジクロロインジゴを生成し、水を青〜青緑色に変色させる。そして、第一判定手段は、このような被試験水の変色の有無を判断し、発色物質の生成を判定する。
【0011】
上述のような第一合成酵素基質が用いられる場合、合成酵素基質培地に含まれる色素は、例えば、赤色の色素である。また、このような色素が用いられる場合、確認手段は、例えば、被試験水における緑色光の透過率の変化に基づいて、色素による被試験水の変色を確認している。
【0012】
さらに、この大腸菌群判定装置において、第一判定手段は、例えば、被試験水における赤色光の透過率の変化に基づいて、上述の発色物質の生成を判定している。
【0013】
本発明の大腸菌群判定装置は、例えば、合成酵素基質培地がβ−グルクロニダーゼと反応した場合に蛍光物質を生成する第二合成酵素基質をさらに含んでおり、また、合成酵素基質培地の供給後における、第二合成酵素基質とβ−グルクロニダーゼとの反応による蛍光物質の生成を判定するための第二判定手段をさらに備えていてもよい。
【0014】
この場合、被試験水に大腸菌が含まれていると、その特異酵素であるβ−グルクロニダーゼにより第二合成酵素基質が加水分解されて蛍光物質が生成し、その生成が第二判定手段により自動的に判定される。したがって、この場合の大腸菌群判定装置は、被試験水に大腸菌群が含まれるか否かを判定すると共に、当該被試験水中に大腸菌が含まれるか否かも併せて判定することができる。
【0015】
このような大腸菌群判定装置において用いられる第二判定手段は、例えば、蛍光物質を蛍光させるための紫外線を被試験水に対して照射可能な紫外線ランプと、蛍光を受光可能な受光素子とを備え、受光素子による蛍光の受光の有無により、蛍光物質の生成を判定している。
【0016】
また、ここで用いられる第二合成酵素基質は、例えば、4−メチルウンベリフェリル−β−グルクロニドである。この場合、第二合成酵素基質は、β−グルクロニダーゼとの反応により、蛍光物質である4−メチルウンベリフェロンを生成する。そして、第二判定手段は、被試験水が当該蛍光物質により蛍光するか否かを判断し、蛍光物質の生成を判定する。
【0017】
なお、本発明の大腸菌群判定装置において用いられる合成酵素基質培地は、例えば、色素が添加された、大腸菌群を検出するためのXGal−MUG培地である。
【0018】
また、本発明の大腸菌群判定装置において用いられる合成酵素基質培地の濃度は、通常、被試験水中における大腸菌群の存否を判定するための合成酵素基質培地法において用いられる合成酵素基質培地の規定濃度の少なくとも2倍に設定されているのが好ましい。合成酵素基質培地の濃度がこのように設定されている場合、合成酵素基質培地において雑菌の繁殖が抑制されるので、被試験水における大腸菌群の存否を正確に判定することができる。
【0019】
本発明の大腸菌群判定装置は、通常、容器に被試験水を供給するための供給路と、容器内に貯留された被試験水を容器の外部に排出するための排出路と、供給路を通じて容器に洗浄液を供給するための洗浄液供給装置とをさらに備えている。ここで、洗浄液は、例えば、殺菌剤を含んでいる。また、このような大腸菌群判定装置は、例えば、被試験水に対して試薬供給装置が合成酵素基質培地を供給する前に、容器の洗浄状態を確認するための洗浄確認手段をさらに備えている。
【0020】
このような大腸菌群判定装置は、容器を洗浄しながら容器に貯留する被試験水を交換することができるので、別の異なる被試験水中における大腸菌群の存否を連続的にかつ正確に判定することができる。
【0021】
本発明の大腸菌群判定用合成酵素基質培地は、被試験水中における大腸菌群の存否を判定するための合成酵素基質培地法において用いられるものであり、β−ガラクトシダーゼと反応した場合に所定の色の発色物質を生成する第一合成酵素基質と、当該発色物質による所定の色の波長領域に吸収ピークを示さない色の色素とを含んでいる。ここで、第一合成酵素基質および色素は、例えば、それぞれ5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシドおよび赤色の色素である。
【0022】
このような大腸菌群判定用合成酵素基質培地は、色素を含んでいるので、被試験水に供給された場合、当該色素により被試験水を着色することができる。このため、この合成酵素基質培地は、被試験水に供給されたか否かを容易に確認することができる。
【0023】
また、この大腸菌群判定用合成酵素基質培地は、例えば、β−グルクロニダーゼと反応した場合に蛍光物質を生成する第二合成酵素基質をさらに含んでいてもよい。ここで、第二合成酵素基質は、例えば、4−メチルウンベリフェリル−β−グルクロニドである。
【0024】
このような大腸菌群判定用合成酵素基質培地は、第二合成酵素基質が大腸菌の特異酵素であるβ−グルクロニダーゼと反応して蛍光物質を生成するため、被試験水中における大腸菌群の存否と共に、大腸菌の存否も併せて判定するために用いることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、本発明の実施の一形態に係る大腸菌群判定装置を説明する。図において、大腸菌群判定装置1は、合成酵素基質培地法の一つであるXGal−MUG法により被試験水中の大腸菌群の存否を自動的に判定するためのものであり、容器2、温度調節装置3、試薬供給装置4、洗浄液供給装置5、透過率測定装置6および制御装置7を主に備えている。
【0026】
容器2は、大腸菌群の存否の判定対象となる被試験水を貯留するためのものであり、例えば、石英ガラスなどの透光性を有する無色透明の材料を用いて形成された、底部を有する円筒状のものである。容器2の上端部は、栓27により気密に封止されている。また、この容器2は、被試験水を内部に供給するための供給路20と、容器2に貯留された被試験水を外部に排出するための排出路21とを備えている。供給路20は、被試験水を供給するための供給ポンプ22と、被試験水の流通を制御するための第一電磁弁23とを備えており、一端が栓27を通じて容器2内の下方に向けて延びている。また、供給路20の他端は、例えば、飲料水等の被試験水を貯留するための貯留タンク(図示せず)に連絡している。一方、排出路21は、容器2内に貯留された被試験水を排出するためのものであり、栓27から容器2の外部に向けて延びている。
【0027】
上述の容器2は、マグネチックスターラー25上に配置されており、また、内部の底部には磁石を内蔵した攪拌子26が配置されている。
【0028】
温度調節装置3は、容器2内に貯留された被試験水の温度を大腸菌群の培養に適した温度に調節するためのものであり、容器2の上部外周に配置された、例えばアルミニウム等の良伝熱性材料からなるブロック30と、このブロック30を加熱するためのヒーター31とを備えている。
【0029】
試薬供給装置4は、容器2内に貯留された被試験水に対してXGal−MUG法において用いられる合成酵素基質培地を供給するためのものであり、当該合成酵素基質培地を貯蔵するための試薬タンク40と、試薬タンク40から容器2内に延びる試薬供給路41とを備えている。試薬供給路41は、試薬タンク40内の合成酵素基質培地を容器2内に送り出すための試薬ポンプ42と、逆止弁43とを有している。
【0030】
洗浄液供給装置5は、容器2および被試験水の供給路20を洗浄するためのものであり、洗浄液を貯蔵するための洗浄液タンク50と、洗浄液タンク50から延びる洗浄液供給路51とを備えている。洗浄液供給路51は、洗浄液タンク50内の洗浄液を送り出すための洗浄液ポンプ52と、洗浄液の流量を制御するための第二電磁弁53とを有しており、供給路20において、供給ポンプ22と第一電磁弁23との間に連絡している。
【0031】
透過率測定装置6は、容器2の下部近傍に配置された、第一透過率測定部61と第二透過率測定部62とを主に備えている。第一透過率測定部61は、緑色ダイオード等の緑色光を発光する第一発光素子63と、容器2を挟んで第一発光素子63と対向する、例えばフォトトランジスタ等の第一受光素子64とを主に備えており、第一発光素子63から照射されかつ容器2を通過する緑色光の透過率を測定するためのものである。一方、第二透過率測定部62は、赤色ダイオード等の赤色光を発光する第二発光素子65と、容器2を挟んで第二発光素子65と対向する、例えばフォトトランジスタ等の第二受光素子66とを主に備えており、第二発光素子65から照射されかつ容器2を通過する赤色光の透過率を測定するためのものである。
【0032】
制御装置7は、大腸菌群判定装置1の動作を制御するためのものであり、図2に示すように、中央処理装置(CPU)70、大腸菌群判定装置1の動作プログラムを記憶している読出し専用メモリー(ROM)71、各種の電子情報を記憶するためのランダムアクセスメモリー(RAM)72および入出力ポート73を主に備えている。入出力ポート73の入力側には、オペレータが大腸菌群判定装置1に対して各種の動作指令を入力するためのスイッチ類74、第一受光素子64、第二受光素子66およびその他の装置が接続されている。一方、入出力ポート73の出力側には、第一発光素子63、第二発光素子65、各電磁弁23,53、各ポンプ22,42,52、マグネチックスターラー25、ヒーター31、大腸菌群の存否の判定結果等を表示するための表示装置75、当該判定結果等を印字するためのプリンタおよびその他の装置が接続されている。
【0033】
なお、この制御装置7に記憶された動作プログラムは、第一透過率測定部61で測定する緑色光の透過率に基づいて被試験水の変色を確認する確認プログラム(確認手段の一例)、第二透過率測定部62で測定する赤色光の透過率に基づいて被試験水の変色の有無を判定する判定プログラム(第一判定手段の一例)、および第二透過率測定部62で測定する赤色光の透過率に基づいて容器2の洗浄状態を確認するための洗浄確認プログラム(洗浄確認手段の一例)を含んでいる。
【0034】
上述の大腸菌群判定装置1において用いられる合成酵素基質培地、すなわち、試薬タンク40内に貯蔵される合成酵素基質培地は、基本的には、XGal−MUG法において用いられる合成酵素基質培地(XGal−MUG培地)である。より具体的には、例えば、社団法人日本水道協会発行、「上水試験方法 解説編2001年版」842〜843頁の表に挙げられたピルビン酸添加XGal−MUG培地であり、1リットル中において次のような酵素基質、大腸菌群培養のための栄養成分、塩類、界面活性剤およびpH調製剤を含みかつpHが7.1±0.2に調整されたものである。
【0035】
酵素基質
β−ガラクトシターゼと反応して発色する発色合成酵素基質(第一合成酵素基質)であるXGal(5−ブロモ−4−クロロ―3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド)を0.10g、大腸菌群酵素誘導剤であるIPTG(1−イソプロピル−β−D−1−チオガラクトピラノシド)を0.10gおよび大腸菌の特異酵素であるβ−グルクロニダーゼと反応して蛍光物質を生成する合成酵素基質(第二合成酵素基質)であるMUG(4−メチルアンベルリフェリル−β−グルクロニド)を0.10g。
大腸菌群培養のための栄養成分
ペプトンを5.0gおよびその他の炭素源としてピルビン酸ナトリウムを1.0g。
塩類
塩化物として塩化ナトリウムを5.0g、硝酸塩として硝酸カリウムを1.0g。
界面活性剤
ラウリル硫酸ナトリウムを0.10g。
pH調整剤
リン酸二水素カリウムを1.0g、リン酸水素二カリウムを4.0g。
【0036】
なお、上述のようなピルビン酸添加XGal−MUG培地は市販されており、一例として日水製薬株式会社の商品名“ECブルー”を挙げることができる。
【0037】
但し、この大腸菌群判定装置1では、上述の合成酵素基質培地として、各成分の濃度が規定濃度の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも6倍、より好ましくは少なくとも11倍に設定されているものを用いるのが好ましい。ここで、規定濃度とは、例えば上述の「上水試験方法 解説編 2001年版」842〜843頁の表等において規定された、大腸菌群検出のための合成酵素基質培地法において用いる合成酵素基質培地の濃度をいう。因みに、ピルビン酸添加XGal−MUG培地の規定濃度は、上述のような各成分の含有量により規定されている。
【0038】
上述のような高濃度の合成酵素基質培地は、所要の成分をその含有量が規定濃度の少なくとも2倍になるよう水中に溶解するか、あるいは、規定濃度に調製された既存の合成酵素基質培地を液量が少なくとも1/2になるまで濃縮すると調製することができる。
【0039】
因みに、規定濃度の合成酵素基質培地は、上述のような栄養素を含んでいるため、試薬タンク40での貯蔵中において各種の雑菌が繁殖し易く、これらの雑菌により短時間のうちに汚染される可能性が極めて高い。したがって、大腸菌群判定装置1において規定濃度の合成酵素基質培地を試薬タンク40で貯蔵しながら用いると、被試験水における大腸菌群の存否の判定が不正確で信頼性を欠く可能性がある。これに対し、上述のような高濃度の合成酵素基質培地は、高濃度の塩類を含むため、試薬タンク40内で貯蔵しても雑菌の繁殖が抑制されるので、すなわち、雑菌により汚染される可能性が小さくなるので、被試験水における大腸菌群の存否を正確に判定することができる。
【0040】
なお、上述のような高濃度の合成酵素基質培地を用いると、規定濃度のものを用いる場合に比べて試薬タンク40の容量を小さく設定することができるので、大腸菌群判定装置1を小型化することもできる。
【0041】
この実施の形態の大腸菌群判定装置1において用いられる合成酵素基質培地は、上述のような高濃度の合成酵素基質培地であって、所定の色素をさらに含むものである。ここで用いられる色素は、緑色光の透過率が低下するように被試験水を着色させることができるものであり、かつ青〜青緑色の波長領域である600〜700nmの波長領域に吸収ピークを示さないものである。このような色素としては、例えば、520nm付近に極大吸収ピークを示す赤色の色素を用いることができる。但し、ここで用いる色素は、大腸菌群の存否の判定結果の信頼性を損ね難いもの、すなわち、大腸菌群の培養を妨げ難いものが好ましい。大腸菌群の培養を妨げ難い赤色の色素の具体例としては、エオシンYを挙げることができる。
【0042】
合成酵素基質培地における上述の色素の含有量は、被試験水に合成酵素基質培地を添加したときに、被試験水が当該色素の色に変色可能なように設定されていれば特に限定されるものではないが、通常、1〜40mg/l、好ましくは4〜20mg/lに設定されているのが好ましい。
【0043】
なお、上述の色素を含む合成酵素基質培地は、例えば、上述の合成酵素基質培地の調製時において、上述の各成分と共に色素を混合すると調製することができる。
【0044】
一方、大腸菌群判定装置1において用いられる洗浄液、すなわち、洗浄液タンク50に貯蔵される洗浄液は、容器2内および被試験水の供給路20を洗浄するためのものであり、通常、界面活性剤、酸類(有機酸類若しくは無機酸類またはこれらの任意の混合物)、アルカリ類(例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩若しくはケイ酸塩またはこれらの任意の混合物)および酵素(例えば、アミラーゼ、プロテアーゼ若しくはリパーゼまたはこれらの任意の混合物)のうちの一つまたは二つ以上を洗浄剤として含む水溶液である。特に、この洗浄液は、供給路20および容器2内が各種の細菌類により汚染されていない清浄な状態に維持するために、殺菌剤を含むのが好ましい。ここで利用可能な殺菌剤は、特に限定されるものではないが、通常、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素系殺菌剤、過酸化水素、逆性石鹸および両性石鹸のうちの一つまたは二つ以上のものが好ましく用いられる。
【0045】
なお、殺菌剤として特に好ましいものは、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素系殺菌剤である。塩素系殺菌剤は、各種の菌類に対して殺菌作用を示すだけではなく、漂白剤としても機能するため、後述する容器2の洗浄工程において、容器2の透明性を高めることができる。特に、合成酵素基質培地として色素を含むピルビン酸添加XGal−MUG培地を用いると、被試験水中に大腸菌群が含まれる場合は当該被試験水が青〜青緑色に変色し、また、被試験水中に大腸菌群が含まれていない場合であっても当該被試験水が色素のために変色するため、容器2の内面がそのような色で着色する場合があるが、塩素系殺菌剤を用いると、そのような着色も洗浄工程において容易に除去することができる。そして、その結果、後述する確認工程や判定工程における結果の信頼性を高めることができる。
【0046】
次に、図3〜図6に示す動作プログラムのフローチャートに基づいて、大腸菌群判定装置1の動作を説明する。なお、ここでは、合成酵素基質培地として、赤色の色素を含むXGal−MUG培地を用いる場合について説明する。
オペレータが大腸菌群判定装置1の電源をONにすると、プログラムは、ステップS1において、第一電磁弁23を開放状態に設定し、また、第二電磁弁53を閉鎖する等の初期設定動作を実施する。
【0047】
次に、プログラムは、ステップS2において、オペレータが判定開始スイッチをONしたか否かを判断する。ここで、オペレータが判定開始スイッチをONにしない場合、プログラムはそのまま待機状態を維持する。一方、オペレータが判定開始スイッチをONにすると、プログラムはステップS3に移行し、制御装置7の判定開始識別フラグをONに設定する。
【0048】
次に、ステップS4において、プログラムは、被試験水の採水工程を実施する。ここでは、供給ポンプ22が動作し、目的とする被試験水が供給路20を通じて容器2内に供給される。そして、所定量の被試験水(通常は50ml)が容器2内に供給されると、第一電磁弁23が閉鎖すると共に供給ポンプ22が停止し、被試験水の供給は停止する。
【0049】
次に、プログラムは、ステップS5において、第一透過率測定部61の第一発光素子63を点灯する。そして、次のステップS6において、容器2を通過する、第一発光素子63からの緑色光を第一受光素子64で受光し、その透過率を測定する。続いて、次のステップS7において、ステップS6で測定した透過率が、一定の基準値Cより大きいか否かを判断する(第一洗浄確認工程)。なお、基準値Cは、例えば、容器2内に蒸留水が貯留されている場合における緑色光の透過率を100%とした場合、当該透過率の90%以上の範囲において任意に設定される透過率である。
【0050】
ここで、透過率が基準値C以下の場合、容器2において緑色光の透過を妨げるような汚れがあるか、若しくは容器2内に貯留された被試験水が異常に濁っているものと判断することができるので、プログラムはステップS35に移行し、後述する洗浄工程を実施する。一方、ステップS6において測定した緑色光の透過率が基準値Cより大きい場合、プログラムはステップS7からステップS8に移行する。
【0051】
ステップS8において、プログラムは、第二透過率測定部62の第二発光素子65を点灯する。そして、次のステップS9において、容器2を通過する、第二発光素子65からの赤色光を第二受光素子66で受光し、その透過率を測定する。続いて、次のステップS10において、ステップS9で測定した赤色光の透過率が、一定の基準値Aより大きいか否かを判断する(第二洗浄確認工程)。なお、基準値Aは、例えば、容器2内に蒸留水が貯留されている場合における赤色光の透過率を100%とした場合、当該透過率の90%以上の範囲において任意に設定される透過率である。
【0052】
ここで、透過率が基準値A以下の場合、容器2において赤色光の透過を妨げるような汚れがあるか、若しくは容器2内に貯留された被試験水が異常に濁っているものと判断することができるので、プログラムはステップS35に移行し、後述する洗浄工程を実施する。一方、ステップS7において測定した赤色光の透過率が基準値Aより大きい場合、プログラムはステップS10からステップS11に移行する。
【0053】
ステップS11において、プログラムは、判定開始識別フラグがONであるか否かを判断する。判定開始識別フラグがONの場合、プログラムはステップS12に移行する。
【0054】
ステップS12において、プログラムは、試薬供給工程を実施する。ここでは、試薬供給装置4において、試薬ポンプ42を作動させる。この結果、試薬タンク40内に貯留されている合成酵素基質培地が試薬ポンプ42により送り出され、試薬供給路41を通じて容器2内に貯留されている被試験水中に注入される。ここで、合成酵素基質培地は、上述のように濃縮されている場合、被試験水中に溶解したときの濃度が被試験水に対して規定濃度の合成酵素基質培地を規定量注入した場合の濃度と等しくなるよう注入量が設定される。この注入量は、試薬ポンプ42の動作により制御される。また、このような合成酵素基質培地の注入時には、同時にマグネチックスターラー25が作動し、容器2内の被試験水が攪拌子26により攪拌される。この結果、注入された合成酵素基質培地は、被試験水中において均等に分散することになる。所定量の合成酵素基質培地が被試験水に注入されると、試薬ポンプ42が停止し、試薬供給工程は終了する。また、マグネチックスターラー25が停止し、被試験水の攪拌が停止される。
【0055】
ステップS12の終了後、プログラムは、ステップS13に移行し、第一透過率測定部61の第一発光素子63を点灯する。そして、次のステップS14において、容器2を通過する、第一発光素子63からの緑色光を第一受光素子64で受光し、その透過率を測定する。ここで、被試験水は、合成酵素基質培地に含まれる色素により赤色に着色(変色)しているため、緑色光の透過率が低下することになる。そこで、プログラムは、次のステップS15において、ステップS14で測定した透過率が一定の基準値Dより小さいか否かを判断する(確認工程)。なお、基準値Dは、例えば、容器2内に蒸留水が貯留されている場合における緑色光の透過率を100%とした場合、当該透過率の90%未満の範囲において任意に設定される透過率である。
【0056】
ここで、透過率が基準値D以上の場合、被試験水は、合成酵素基質培地に含まれる色素により赤色に変色していないものと判断することができる。すなわち、ステップS12において、試薬ポンプ42の作動不良等の原因により、試薬タンク40から被試験水に対して合成酵素基質培地が正常に添加されなかったものと判断することができる。この場合、プログラムは、ステップS16に移行して大腸菌群判定装置1に異常が発生している旨を表示装置75に表示し、続くステップS17において、オペレータが異常確認スイッチをONしたか否かを判断する。オペレータが異常確認スイッチをONすると、プログラムは、ステップS34に移行し、後述する被試験水の排出工程および洗浄工程を実施する。
【0057】
一方、透過率が基準値Dよりも小さい場合、被試験水は、合成酵素基質培地に含まれる色素により正常に赤色に変色したものと判断することができる。すなわち、ステップS12において、試薬ポンプ42が正常に作動し、試薬タンク40から被試験水に対して合成酵素基質培地が正常に添加されたものと判断することができる。この場合、プログラムは、ステップS18に移行する。
【0058】
ステップS18に移行したプログラムは、培養設定工程を実施する。ここでは、温度調節装置3においてヒーター31が作動し、ブロック30を加熱する。この結果、容器2がブロック30により加熱され、容器2内の被試験水は温められる。さらに、マグネチックスターラー25が作動し、被試験水が加熱撹拌される。そして、プログラムは、次のステップS19において、被試験水の温度が大腸菌群の培養に適した温度、例えば36±1℃に達したか否かを判断する。被試験水の温度が当該温度に達すると、プログラムは、ステップS20において内部タイマーを作動させ(すなわち、経過時間tを0に設定し)、続いてステップS21において大腸菌群の培養に必要な所要の経過時間、例えばピルビン酸添加XGal−MUG培地を用いる本実施の形態の場合は24時間が経過したか否か(すなわち、t=24時間になったか否か)を判断する。これにより、被試験水は、上述の合成酵素基質培地の存在下で24時間培養されることになる。
【0059】
t=24時間になると、プログラムはステップS22に移行し、判定設定工程を実施する。ここでは、ヒーター31およびマグネチックスターラー25の作動を停止し、培養を停止する。次に、プログラムは、ステップS23に移行し、第二透過率測定部62の第二発光素子65を点灯する。そして、次のステップS24において、容器2を通過する、第二発光素子65からの赤色光を第二受光素子66で受光し、当該赤色光の透過率を測定する。
【0060】
ここで、容器2を通過する赤色光の透過率について説明する。合成酵素基質培地(以下、試薬という場合がある)が供給されかつ培養された被試験水は、大腸菌群を含まない場合、上述のような5,5−ジブロモ−4,4−ジクロロインジゴが生成しないため変色せず、赤色光の透過率は低下しにくい。これに対し、試薬が供給されかつ培養された被試験水は、大腸菌群を含む場合、青〜青緑色を呈する5,5−ジブロモ−4,4−ジクロロインジゴが生成するために青〜青緑色に変色するので、赤色光の透過率が急激に低下する。したがって、一般には、赤色光の透過率の大小により、被試験水の青〜青緑色への変色を判定することができる。すなわち、一般に、赤色光の透過率が低下すれば、被試験水が青〜青緑色に変色している(すなわち、被試験水が大腸菌群を含み、5,5−ジブロモ−4,4−ジクロロインジゴが生成している)ものと判断することができる。
【0061】
但し、被試験水は、大腸菌群以外の他の細菌を含む場合、青〜青緑色に変色せずに濁るため、赤色光の透過率はやはり低下することになる。したがって、被試験水が濁っているだけ(便宜上、「濁り」という)なのか、或いは青〜青緑色に変色している(便宜上、「変色」という)のかの判別が必要になる。
【0062】
そこで、濁りと変色とを判別するために、濁り時の赤色光の透過率と変色時の赤色光の透過率との差に基づいて、赤色光の透過率に判別のための基準値を設定する。そして、赤色光の透過率が当該基準値よりも低下している場合は変色と判定し、当該基準値より大きい場合は濁りと判定する。具体的には、被試験水が大腸菌群を含まず、他の細菌を含む場合、被試験水は、ピルビン酸添加XGal−MUG培地の存在下、36±1℃で24時間培養されると、図7に点線で示すように、赤色光の透過率が12時間を経過したあたりから濁りのために低下するが、その低下の程度は一定レベルで維持される。これに対し、被試験水が大腸菌群を含む場合、図7に実線で示すように、赤色光の透過率は15時間を経過したあたりから急激に低下し続ける。このため、培養開始から24時間後では、濁りの場合と変色の場合とでは赤色光の透過率に大きな差(E)が生じる。したがって、この差Eの範囲内において、赤色光の透過率についての任意の基準値Bを設定すれば、赤色光の透過率が当該基準値Bよりも大きい側にあるか小さい側にあるかを判定することにより、濁りか変色かを判別することができる。
【0063】
なお、上述の差Eは、第二発光素子65および第二受光素子66の種類や感度により異なるので、判別のための基準値Bは、これらの種類や感度等に応じて適宜設定するのが好ましい。
【0064】
そこで、プログラムは、次のステップS25において、ステップS24で測定した赤色光の透過率が基準値Bより小さいか否かを判断する。ここで、赤色光の透過率が基準値Bよりも小さい場合、プログラムはステップS26に移行し、被試験水中に大腸菌群が存在していることを示す「大腸菌群陽性」の旨を表示装置75に表示すると共にその旨をプリンタで印字する。
【0065】
一方、赤色光の透過率が基準値B以上の場合、プログラムはステップS25からステップS27に移行し、被試験水中に大腸菌群が存在しないことを示す「大腸菌群陰性」の旨を表示装置75に表示すると共にその旨をプリンタで印字する。
【0066】
ステップS26またはステップS27の後、プログラムは、ステップS28において、ステップS26またはステップS27から一定時間(例えば、数分)が経過したか否かを判断する。一定時間が経過すると、プログラムは、ステップS29において制御装置7の判定開始識別フラグをOFFに設定する。その後、プログラムは、ステップS30に移行し、殺菌設定工程を実施する。ここでは、ヒーター31およびマグネチックスターラー25を作動させ、容器2内の被試験水を再度加熱して撹拌する。
【0067】
そして、次のステップS31において、プログラムは、被試験水の温度が大腸菌群の殺菌に適した温度、例えば80℃に達したか否かを判断する。被試験水の温度が80℃に達すると、プログラムはステップS32において内部タイマーを作動させ(すなわち、経過時間tを0に設定し)、続いてステップS33において大腸菌群の殺菌に必要な所定の経過時間、例えば30分が経過したか否か(すなわち、t=30分になったか否か)を判断する。t=30分になると、プログラムは次のステップS34に移行する。なお、このような殺菌工程により、容器2は、被試験水中での培養により生育した高濃度の大腸菌群による汚染が防止されることになる。
【0068】
ステップS34において、プログラムは、被試験水の排出工程を実施する。ここでは、供給ポンプ22を一定時間作動させて容器2に被試験水を再度供給する。これにより、容器2内の被試験水は、新たに供給される被試験水により押出され、排出路21を通じて外部に排出される。この結果、容器2内の被試験水は、新たに供給される被試験水により置換されることになる。
【0069】
次に、ステップS35において、プログラムは容器2の洗浄工程を実施する。ここでは、マグネチックスターラー25を作動させ、同時に洗浄液供給装置5の第二電磁弁53を開放状態に設定すると共に洗浄液ポンプ52を一定時間作動させる。これにより、洗浄液タンク50内の洗浄液は、洗浄液供給路51から供給路20を経由して容器2内に連続的に供給され、容器2内の被試験水を排出路21を通じて外部に押出す。この結果、容器2内の被試験水は洗浄液により置換され、また、当該洗浄液は、この間、攪拌子26により攪拌されながら容器2内を洗浄、殺菌する。なお、洗浄液は、供給路20を通過して容器2内に供給されることになるため、同時に供給路20を洗浄、殺菌することもできる。
【0070】
上述の洗浄工程の終了後、すなわち、ステップS35における一定時間が経過して洗浄液ポンプ52が停止した後、プログラムはステップS36に移行し、洗浄確認準備工程を実施する。ここでは、第二電磁弁53を閉鎖すると共にマグネッチクスターラー25を停止する。これにより、容器2内では、先のステップS35で供給された洗浄液が静置した状態で貯留されることになる。
【0071】
次に、プログラムは、ステップS5に戻り、再度ステップS5〜S10の第一洗浄確認工程および第二洗浄確認工程を実施する。この際、第一洗浄確認工程のステップS7において、緑色光の透過率が基準値Cより小さい場合は、容器2が合成酵素基質培地に含まれる色素により赤色に着色しているか、培養に由来する汚れが残っており、先の洗浄工程による容器2の洗浄が不十分なことになる。したがって、プログラムは、ステップS7からステップS35に移行して容器2の洗浄工程を再度実施し、ステップS7において緑色光の透過率が基準値Cより大きいと判断されるまで、すなわち、色素による容器2の着色または他の汚れが除去されたものと判断されるまで、ステップS35〜ステップS7を繰返す。
【0072】
一方、第二洗浄確認工程のステップS10において、赤色光の透過率が基準値Aより小さい場合は、大腸菌群の存在の結果青〜青緑色に変色した被試験水により容器2が着色しているか、培養に由来する汚れが残っており、先の洗浄工程による容器2の洗浄が不十分なことになる。したがって、プログラムは、ステップS10からステップS35に移行して容器2の洗浄工程を再度実施し、ステップS10において赤色光の透過率が基準値Aより大きいと判断されるまで、すなわち、青〜青緑色に変色した被試験水による容器2の着色または他の汚れが除去されたものと判断されるまで、ステップS35〜ステップS10を繰返す。
【0073】
上述のような洗浄確認工程でのステップS10の終了後、プログラムは、ステップS11において、判定開始識別フラグがONであるか否かを判定する。ここでは、先のステップS29において判定開始識別フラグがOFFに設定されているため、プログラムは、ステップS37において別の被試験水についての大腸菌群存否の判定が可能の旨の「判定開始可能」を表示装置75に表示する。その後、プログラムは、ステップS2に戻り、オペレータが判定開始スイッチをONするのを待つ。そして、オペレータが判定開始スイッチをONにすると、プログラムは上述の工程を繰り返し、別の被試験水における大腸菌群の存否を判定することになる。なお、この際、容器2に貯留されている洗浄液は、ステップS4において新たに供給される被試験水により押出され、当該被試験水により置換されることになる。
【0074】
以上のように、この大腸菌群判定装置1は、被試験水中における大腸菌群の存否を合成酵素基質培地法により自動的に高精度で判定することができるので、検定者の手作業による場合に比べて判定作業を簡素にかつ容易にすることができる。しかも、この大腸菌群判定装置1では、上述の確認工程において、被試験水に合成酵素基質培地が添加されていることを確認しているので、大腸菌群が存在しているにも拘わらず大腸菌群が存在していないと誤判定してしまうのを防止することができる。より具体的には、試薬供給装置4の作動不良等により被試験水に試薬タンク40内の合成酵素基質培地が添加されていない場合、被試験水は、実際は大腸菌群を含む場合であっても青〜青緑色に変色することがなく、上述の判定工程において大腸菌群陰性と判断されてしまうことになるが、この大腸菌群判定装置1では、被試験水に合成酵素基質培地が添加されているか否かを確認した上で培養工程を実施しているので、上述のような誤判定を防止することができる。したがって、この大腸菌群判定装置1は、上述のような誤判定の防止のために、被試験水に合成酵素基質培地が添加されたか否かをオペレータが監視する必要がないため、より確実で信頼性の高い自動化を達成することができる。
【0075】
また、この実施の形態に係る大腸菌群判定装置1は、上述のような洗浄液供給装置5を備えており、これが上述のように容器2および供給路20、さらには排出路21を確実に洗浄するので、容器2、供給路20および排出路21を交換せずに、異なる別の被試験水についての大腸菌群の存否を連続的に判定することができる。
【0076】
[他の実施の形態]
(1)上述の実施の形態では、確認工程において、被試験水に合成酵素基質培地が添加されたか否かのみを確認するようにしたが、上述の大腸菌群判定装置1は、被試験水に合成酵素基質培地の所定量が適切に添加されたか否かをさらに確認するように設定することもできる。
【0077】
この場合は、図8に示すように、被試験水における緑色光の透過率が被試験水中における赤色の色素の濃度が高まるに従って低下することから、緑色光の特定の透過率(X)と当該透過率(X)が達成される場合の被試験水における色素の濃度(Y)との関係を予め調べておく。そして、試薬タンク40内に貯留する合成酵素基質培地において、被試験水に上述の所定量が注入された場合における被試験水中の色素の濃度が上記濃度(Y)になるよう色素の添加量を設定し、また、特定の透過率(X)のデータを制御装置7に記憶しておく。さらに、動作プログラムのステップS15において、緑色光の透過率が特定の透過率(X)に到達したか否かを判定するようように設定する。
【0078】
このように設定しておくと、ステップS14で測定した緑色光の透過率が特定の透過率(X)に到達している場合、ステップS15において、被試験水に所定量の合成酵素基質培地が適切に注入されたものと判断することができる。一方、ステップS14で測定した緑色光の透過率が特定の透過率(X)に到達していない場合、ステップS15において、被試験水には所定量の合成酵素基質培地が注入されなかったものと(すなわち、ステップS12の試薬供給工程に異常が発生したものと)判断することができる。
【0079】
したがって、この場合、被試験水中に含まれる大腸菌群をより適切な環境で培養することができるようになるので、大腸菌群の存否をより正確に判断することができる。
【0080】
(2)上述の実施の形態では、合成酵素基質培地としてピルビン酸添加XGal−MUG培地を利用し、また、当該合成酵素基質培地に添加する色素として赤色の色素を用いたが、ここで利用する色素はこれに限定されるものではない。すなわち、上述の実施の形態において、合成酵素基質培地に添加する色素は、既述の条件を満たすものであれば他の色素であってもよい。そのような色素としては、例えば、被試験水を黄色に着色するo−ニトロフェノールを挙げることができる。但し、o−ニトロフェノールを色素として用いる場合、第一透過率測定部61は、緑色光を発光する第一発光素子63に代えて、赤色光以外であって被試験水が黄色に変色した場合に透過率が低下する色の光を発光可能な発光装置を用いる必要がある。このような発光装置としては、例えば、可視紫外光を照射可能な光源と、当該光源からの可視紫外光から特定の波長の光を選択するためのフイルタとを備たものを利用することができる。
【0081】
(3)上述の実施の形態に係る大腸菌群判定装置1は、被試験水中に大腸菌群が含まれているか否かのみを判定することができるが、大腸菌群に属する特定の細菌である大腸菌が被試験水中に含まれるか否かを併せて判定するよう変更することができる。
【0082】
この場合、大腸菌群判定装置1において、図9に示すように、蛍光認識装置160を付加する(図9において、第二透過率測定部62は、第一透過率測定部61の下方に位置するため、表示されていない)。蛍光認識装置160は、紫外線ランプ161と蛍光受光素子162とを備えている。紫外線ランプ161は、容器2内の被試験水に対して紫外線を照射可能なものであり、容器2の底部近傍に配置されている。紫外線ランプ161が照射する紫外線は、長波長のもの、例えば、360nm〜370nmの波長のものが好ましい。また、蛍光受光素子162は、容器2内から照射される蛍光を受光した場合に電気信号を発信するものであり、紫外線ランプ161からの紫外線を直接受光しないようにするため、紫外線ランプ161に隣接して配置されている。なお、紫外線ランプ161は、制御装置7の入出力ポート73の出力側に接続されており、蛍光受光素子162は、入出力ポート73の入力側に接続されている。
【0083】
また、制御装置7は、蛍光認識装置160が付加されていることに伴い、被試験水の蛍光を判定するための判定プログラム(第二判定手段の一例)をさらに含んでいる。
【0084】
なお、この変更例において用いられる合成酵素基質培地は、上述の実施の形態の場合と同じく、ピルビン酸添加XGal−MUG培地等のXGal−MUG培地である。XGal−MUG培地は、MUG(すなわち、第二合成酵素基質)が大腸菌の特異酵素であるβ−グルクロニダーゼにより加水分解され、蛍光物質である4−メチルウンベリフェロンを生成する。4−メチルウンベリフェロンは、360〜370nmの波長の紫外線の照射を受けた場合、460nmの波長の蛍光を発する。
【0085】
次に、このような大腸菌群判定装置1の動作を説明する。この大腸菌群判定装置1の動作プログラムのフローチャートは、図3〜図6に示された上述の実施の形態に係る大腸菌群判定装置1の動作プログラムのフローチャートにおいて、図10および図11に示す点が異なっている。そこで、ここでは、上述の実施の形態に係る大腸菌群判定装置1と動作の異なる部分を中心に説明する。なお、以下の説明および図10および図11において、上述の実施の形態に係る大腸菌群判定装置1と同じ動作の部分には、同じ符号(ステップの番号)を用いている。
【0086】
この大腸菌群判定装置1では、ステップS9において測定した赤色光の透過率が基準値Aより大きい場合(容器2において赤色光の透過を妨げるような汚れが無く、また、容器2内に貯留された被試験水が異常に濁っていない場合)、プログラムはステップS10からステップS100に移行する。ステップS100において、プログラムは、蛍光認識装置160の紫外線ランプ161を点灯する。そして、次のステップS101において、蛍光受光素子162が蛍光を受光したか否かを判断する(第三洗浄確認工程)。ここで、蛍光受光素子162が蛍光を受光した場合、大腸菌判定の支障となる蛍光物質が容器2内に存在しているものと判断することができるので、プログラムはステップS35に移行し、洗浄工程を実施する。一方、ステップS101において、蛍光受光素子162が蛍光を受光していないと判断した場合、プログラムはステップS101からステップS11に移行し、ステップS11からステップS26またはステップS27を実施する。
【0087】
そして、ステップS26またはステップS27の終了後、プログラムは、ステップS102に移行する。ステップS102において、プログラムは、蛍光認識装置160の紫外線ランプ161を点灯する。そして、次のステップS103において、蛍光受光素子162が蛍光を受光したか否かを判断する。
【0088】
ここで、上記蛍光について説明する。合成酵素基質培地が供給されかつ培養された被試験水は、大腸菌を含まない場合、XGal−MUG培地に含まれるMUGがβ−グルクロニダーゼにより加水分解されないため、蛍光物質である4−メチルウンベリフェロンが生成しない。したがって、被試験水は、紫外線を照射しても蛍光しない。このため、蛍光受光素子162は、蛍光を受光し得ない。これに対し、合成酵素基質培地が供給されかつ培養された被試験水は、大腸菌を含む場合、そのβ−グルクロニダーゼによりMUGが加水分解され、蛍光物質である4−メチルウンベリフェロンが生成する。したがって、被試験水は、紫外線の照射により蛍光を発し、この蛍光は、蛍光受光素子162により受光される。このため、蛍光受光素子162が蛍光を受光した場合、被試験水が大腸菌を含んでいるものと判断することができる。
【0089】
そこで、蛍光受光素子162が蛍光を受光した場合、被試験水中に大腸菌が存在していることになるため、プログラムはステップS103からステップS104に移行し、被試験水中に大腸菌が存在していることを示す「大腸菌陽性」の旨を表示装置75に表示すると共にその旨をプリンタで印字する。一方、蛍光受光素子162が蛍光を受光していない場合、被試験水中には大腸菌が存在していないため、プログラムは、ステップS103からステップS105に移行し、被試験水中に大腸菌が存在しないことを示す「大腸菌陰性」の旨を表示装置75に表示すると共にその旨をプリンタで印字する。
【0090】
上述のようなステップS104またはステップS105の後、プログラムはステップS34に移行し、それ以降、上述の実施の形態の場合と同様に作動する。
【0091】
このように、この実施の形態に係る大腸菌群判定装置1は、被試験水中における大腸菌群および大腸菌の存否を併せて判定することができるため、大腸菌群を判定するための透過率測定装置6等に異常が発生したり、被試験水に大腸菌群が含まれているにもかかわらず含まれていないと誤判定したりしたような場合であっても、大腸菌の存否の判定結果によりそのような不具合を補償することができ、装置の信頼性を高めることができる。
【0092】
(4)上述の各実施の形態は、合成酵素基質培地としてピルビン酸添加XGal−MUG培地を利用する場合を例に説明したが、他の合成酵素基質培地、例えば、通常のXGal−MUG培地、MMO−MUG培地、IPTG添加MMO−MUG培地等を用いる場合も本発明は同様に実施することができる。なお、MMO−MUG培地では、MMO(Minimal Medium ONPG)におけるONPG(o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド)が第一合成酵素基質として機能し、MUGが第二合成酵素基質として機能する。但し、MMO−MUG培地を用いる場合、被試験水は大腸菌群が含まれていると黄色に変色するため、透過率測定装置6では、XGal−MUG培地を用いる場合とは異なる波長の光、すなわち、XGal−MUG培地を用いる場合とは異なる色の光を発光可能な発光装置を用いる必要がある。そのような発光装置としては、例えば、上述の他の実施の形態(2)において説明した、光源とフイルタとを備えたものを利用することができる。因みに、MMO−MUG培地に添加する色素は、黄色の波長領域において吸収ピークを持たない色のものを用いる必要がある。
【0093】
なお、上述のような他の合成酵素基質培地を用いる場合、その濃度は、ピルビン酸添加XGal−MUG培地の場合と同様に、規定濃度の少なくとも2倍、好ましくは6倍、より好ましくは11倍に設定するのが好ましい。因みに、他の合成酵素基質培地の規定濃度は、上述の社団法人日本水道協会発行、「上水試験方法 解説編 2001年版」842〜843頁、或いはその他の文献に記載の通りである。
【0094】
[合成酵素基質培地濃度の実験例]
規定濃度のピルビン酸添加XGal−MUG培地と、その数種類の濃縮物(濃縮培地)とを用意した。そして、各培地に大腸菌(グラム陰性菌)、緑膿菌(グラム陰性菌)および黄色ブドウ球菌(グラム陽性菌)を濃度が102個/mlになるよう個別に添加して9日間培養し、菌類の生育の有無を確認した。結果を表1〜表3に示す。なお、各表において、+は菌が生育したことを示し、−は菌が生育しなかったことを示している。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
また、各培地に各菌を濃度が107個/mlになるよう個別に添加して同様に培養し、菌類の生育の有無を確認した。結果を表4〜表6に示す。各表における+,−は表1〜表3の場合と同様である。
【0099】
【表4】
【0100】
【表5】
【0101】
【表6】
【0102】
表1〜表6によると、規定濃度のピルビン酸添加XGal−MUG培地は、培養開始後1日で添加した菌が生育している。これに対し、濃縮した培地は、濃縮倍率が高い程、高濃度の菌を含む場合でも菌の生育を効果的に抑制できる。これによれば、上述の大腸菌群判定装置1において用いる合成酵素基質培地は、被試験水中に含まれる大腸菌群が一般には102個/ml以下の比較的低濃度で微量であるため、濃縮倍率が2倍以上であれば、試薬タンク40内に貯蔵しても雑菌が生育しにくく、判定結果の信頼性を損ないにくくなることがわかる。
【0103】
【発明の効果】
本発明の大腸菌群判定装置は、上述のような容器、温度調節装置、試薬供給装置、確認手段および第一判定手段を備えているため、被試験水中における大腸菌群の存否を合成酵素基質培地法により自動的に、しかも正確に判定することができる。
【0104】
また、本発明の大腸菌群判定装置は、上述のような第二判定手段をさらに備えている場合、被試験水中における大腸菌群の存否と共に、大腸菌群に属する特定の細菌である大腸菌の存否も合成酵素基質培地法により自動的に、しかも正確に、併せて判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る大腸菌群判定装置の概略構成図。
【図2】前記大腸菌群判定装置において用いられる制御装置の概略図。
【図3】前記大腸菌群判定装置の動作フローチャート。
【図4】前記大腸菌群判定装置の動作フローチャート。
【図5】前記大腸菌群判定装置の動作フローチャート。
【図6】前記大腸菌群判定装置の動作フローチャート。
【図7】合成酵素基質培地を含む被試験水における、赤色光の一般的な経時的透過率変化を示す図。
【図8】被試験水における緑色光の透過率と、被試験水中における赤色の色素の濃度との一般的な関係を示す図。
【図9】前記大腸菌群判定装置の変更例の平面部分概略図。
【図10】前記変更例の動作フローチャートの一部。
【図11】前記変更例の動作フローチャートの一部。
【符号の説明】
1 大腸菌群判定装置
2 容器
3 温度調節装置
4 試薬供給装置
5 洗浄液供給装置
6 透過率測定装置
7 制御装置
20 供給路
21 排出路
160 蛍光認識装置
Claims (10)
- 被試験水中における大腸菌群の存否を判定するための大腸菌群判定装置であって、
前記被試験水を貯留するための容器と、
前記容器内に貯留された前記被試験水の温度を調節するための温度調節装置と、
β−ガラクトシダーゼと反応した場合に所定の色の発色物質を生成する第一合成酵素基質と、前記所定の色の波長領域に吸収ピークを示さない色の色素とを含む合成酵素基質培地を、前記容器内に貯留された前記被試験水に対して供給するための試薬供給装置と、
前記合成酵素基質培地の供給後における、前記色素による前記被試験水の変色を確認するための確認手段と、
前記合成酵素基質培地の供給後における、前記第一合成酵素基質と前記β−ガラクトシダーゼとの反応による前記発色物質の生成を判定するための第一判定手段と、
を備えた大腸菌群判定装置。 - 前記確認手段は、前記色素による前記被試験水の前記変色により透過率が変化する光の前記被試験水における透過率の変化に基づいて、前記色素による前記被試験水の前記変色を確認している、請求項1に記載の大腸菌群判定装置。
- 前記確認手段は、前記被試験水における緑色光の透過率の変化に基づいて、前記色素による前記被試験水の前記変色を確認している、請求項2に記載の大腸菌群判定装置。
- 前記第一判定手段は、前記被試験水における赤色光の透過率の変化に基づいて、前記発色物質の生成を判定している、請求項1から3のいずれかに記載の大腸菌群判定装置。
- 前記合成酵素基質培地がβ−グルクロニダーゼと反応した場合に蛍光物質を生成する第二合成酵素基質をさらに含んでおり、また、前記合成酵素基質培地の供給後における、前記第二合成酵素基質と前記β−グルクロニダーゼとの反応による前記蛍光物質の生成を判定するための第二判定手段をさらに備えている、請求項1から4のいずれかに記載の大腸菌群判定装置。
- 前記第二判定手段は、前記蛍光物質を蛍光させるための紫外線を前記被試験水に対して照射可能な紫外線ランプと、前記蛍光を受光可能な受光素子とを備え、前記受光素子による前記蛍光の受光の有無により、前記蛍光物質の生成を判定している、請求項5に記載の大腸菌群判定装置。
- 前記容器に前記被試験水を供給するための供給路と、前記容器内に貯留された前記被試験水を前記容器の外部に排出するための排出路と、前記供給路を通じて前記容器に洗浄液を供給するための洗浄液供給装置とをさらに備えている、請求項1から6のいずれかに記載の大腸菌群判定装置。
- 前記被試験水に対して前記試薬供給装置が前記合成酵素基質培地を供給する前に、前記容器の洗浄状態を確認するための洗浄確認手段をさらに備えている、請求項7に記載の大腸菌群判定装置。
- 被試験水中における大腸菌群の存否を判定するための合成酵素基質培地法において用いられる合成酵素基質培地であって、
β−ガラクトシダーゼと反応した場合に所定の色の発色物質を生成する第一合成酵素基質と、
前記所定の色の波長領域に吸収ピークを示さない色の色素と、
を含む大腸菌群判定用合成酵素基質培地。 - β−グルクロニダーゼと反応した場合に蛍光物質を生成する第二合成酵素基質をさらに含む、請求項9に記載の大腸菌群判定用合成酵素基質培地。
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