JP2004226667A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】活性水素と反応可能な変性されたポリエステル系樹脂(A)を、伸長剤及び/又は架橋剤(B)と反応させて得られる変性ポリエステル系樹脂(i)と、未変性ポリエステル系樹脂(ii)をトナーバインダーとして含有するトナーにおいて、該ポリエステル系樹脂(A)を含むトナー組成物を有機溶媒中に溶解又は分散させた後、該伸長剤及び/又は該架橋剤(B)を投入たときの分散液の粘度の増加速度が1000〜10000mPa・s/minである、該ポリエステル系樹脂(A)と該伸長剤及び/又は該架橋剤(B)を用いることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷等に於ける静電荷像を現像する為の現像剤に使用されるトナー、現像剤、トナー容器及び画像形成方法に関する。更に詳しくは直接または間接電子写真現像方式を用いた複写機、レーザープリンター及び、普通紙ファックス等に使用される電子写真用トナー、電子写真用現像剤、電子写真用トナー容器及び電子写真画像形成方法に関する。更に直接または間接電子写真多色現像方式を用いたフルカラー複写機、フルカラーレーザープリンター及び、フルカラー普通紙ファックス等に使用される電子写真用トナー、電子写真用現像剤、電子写真用トナー容器及び電子写真画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法や静電記録法を利用した画像形成装置において、静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。例えば電子写真法においては、帯電工程に続く露光工程により感光体上に静電潜像を形成し、現像剤で静電潜像を顕像化し、転写、定着工程を経て画像情報が再生される。現像剤としては、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる一成分現像剤と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤とがある。トナーは、通常熱可塑性樹脂を顔料、必要に応じてワックス等の離型剤や帯電制御剤と共に溶融混練した後、微粉砕し、更に分級する混練粉砕法により製造されている。トナーには、必要ならば流動性やクリーニング性を改善するために、無機または有機の微粒子をトナー粒子表面に添加することもある。通常の混練粉砕法では、トナー形状および表面構造は不定形であり、使用材料の粉砕性や粉砕工程の条件により微妙に変化するものの、トナー形状および表面構造を任意に制御することは容易でない。また、トナーの粒度分布をさらに狭くすることは分級能力の限界やコストアップにつながることから更なる向上困難な状況にある。また、トナー粒度分布における平均粒径については収率、生産性、コストから考えた場合、小粒径特に6μm以下にすることは粉砕トナーにとって非常に大きな課題となる。
【0003】
次に、粉砕で作製された不定形のトナーの帯電性は、一成分現像剤では現像ロールへの付着面積、二成分現像剤ではキャリアとの付着面積がトナー粒子毎に相違するため、現像ロールまたはキャリアへの付着力が異なり現像されやすさも異なる。粒径が異なるトナーも1個のトナー粒子が持つ電荷量が異なるため、現像されやすさも異なる。これらの違いにより、現像されやすいトナーが選択的に現像され、現像され難いトナーが現像器内に残るので、現像性が経時変化してしまう。また、記録紙への転写においても、同様に転写されやすいトナーと転写され難いトナーが存在するため、トナーの飛び散り等の画質劣化が生じやすい。さらに、ワックス等の離型剤を内添してトナーを製造する場合、熱可塑性樹脂との組合せにより離型剤がトナー表面に露出することがある。特に、高分子量成分により弾性が付与されたやや粉砕され難い樹脂とポリプロピレンのような脆いワックスとの組合せでは、トナー表面にワックスの露出が多く見られる。離型剤の露出は定着時の離型性や転写後に感光体上に残留したトナーのクリーニングには有利であるが、トナー表面の流動化剤が機械力により容易に移動するため、現像ロール、感光体、キャリアのワックス汚染を招きやすくなり、画像形成装置の信頼性の低下に繋がる。
【0004】
粉砕法によるトナーの問題点を克服するため、懸濁重合法によるトナーの製造方法が提案されている。この方法は粉砕工程が含まれていないため、トナー工程が練り工程、粉砕工程が必要でなくエネルギーの節約、生産時間の短縮、工程収率の向上等のコスト削減の寄与が大きい。また、トナー粒子における粒度分布も粉砕法に比べシャープな分布が容易でなお且つ、ワックスの内包化による流動性向上の利点も広がる。このように多くの利点を有する懸濁重合法はバインダーの改良、工法改良等更なる研究が進められ多いに期待されている工法である。
重合法で得られるトナーは、重合過程における表面張力が作用するため、混練粉砕法に比較すると粒子の真球度が高く、帯電安定性、転写性については有利であるが、一方、クリーニング工程では、像担持体上に残留したトナーをブレードでかきとることが困難となり、クリーニング不良の発生や転写工程後に感光体状上に残留したトナーの影響で現像濃度が制御できないシステム的な問題をも発生させる。例えば、トナー形状に関わるところでは、特開平11−149177号公報(特許文献1)の中で形状係数SF−1が110以下の場合潜像担持体上に残った転写残トナーのクリーニングが難しくなりクリーニング不良が発生しやすいと記載されている。また、懸濁重合法の場合、懸濁状態において粒子を適当な大きさに調整する必要がある。このためには分散液を強度且つ高速に攪拌しトナー材料を微分散しなければ狙いの品質は作り込めない。しかし離型材とモノマーの粘度差が大きく且つ相溶性がないので、この段階で微分散することは極めて困難である。この結果ワックスが樹脂中に存在しない粒子が多数発生しトナー粒子間の偏在を招きトナー帯電不安定の問題を発生させる。
【0005】
また、例えば、特開平5−34979号公報(特許文献2)では、現像、転写、クリーニング手段を備えた2成分現像装置において現像担持体を介して現像剤により顕在化し、それを転写材に転写して画像を得る画像形成方法おいて、それに用いられるトナー粒子が凹凸状をなすものを含んだ現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法が記載されている。この公報で記載されている凹凸形状を有するトナーは、投影画像上に凸部があるトナーであり、キャリアを使用した2成分現像剤の中では、トナー凸部が攪拌によるストレスにより形状の変化が起こりクリーニング性の低下につながることも発生する。また、重合法が懸濁重合であるため、スチレンモノマーやアクリルモノマーの残留成分が含まれ環境上の問題として残される。また、ワックスを内包化するため流動性や感光体への付着は低減されるものの定着性については離型剤であるワックスが粒子界面状に存在する粉砕法に比べ内包化されている分、トナー表面に染み出にくく定着効率が悪い層構成となるので、消費電力に対しては不利なトナーとなってしまう。さらには、定着性向上を図るためワックスを増量したり、ワックスの分散粒径を大きくするためますますカラートナーにおける透明性が悪化するのでOHPによるプレゼンテーション用として用いるには困難となる。
【0006】
重合トナー工法には、懸濁重合の他、異型化が比較的可能な乳化重合法や溶解懸濁法などもあるが、乳化重合工法においてもスチレンモノマーの完全除去や乳化剤、分散剤の除去はむずかしく、昨今特に環境問題がクローズアップされるに至ってはますます課題は大きくなってきている。また、形状においても凹凸状にすることにより流動化剤として添加したシリカの凹部での付着が弱いことや、使用中の凹部へのシリカ移動により現像剤の長期使用においてシリカの脱離による感光体汚染の問題や定着ローラへの付着問題が発生しやすくなる。また、溶解懸濁法においては、低温定着が可能なポリエステルレジンを使用できるメリットはあるが、オイルレス定着を達成するため、離型幅を広げるための高分子制御と生産の中で樹脂や着色剤を溶剤に溶解又は分散する工程において高分子量成分を加えるため液粘度が上がり生産性上の問題が発生しやすくなる。それらがまだ解消されていない。特に溶解懸濁法においては特開平9−15903号公報(特許文献3)の中で、トナー表面形状について球形トナー且つ凹凸形状にすることによりクリーニングの改善を図っているが、規則性のない不定形トナーであるため帯電安定性にかけ、さらに基本的な耐久品質や離型性確保するための高分子量設計ができておらず満足すべき品質は得られていない。
【0007】
上記課題を解決し、流動性、転写性、耐熱保存性、低温定着性、ホットオフセット性の改良を目的として、特開平11−133665号公報(特許文献4)及び特開平11−133666号公報(特許文献5)では、トナーバインダーに、それぞれウレタン変性及びウレア変性されたポリエステルからなる実用球形度が0.90〜1.00の乾式トナーが提案されている。また、粉砕工程が不要で、かつ流動性、転写性、耐熱保存性、低温定着性、ホットオフセット性を改良した乾式トナーを経済的に得る方法として、特開平11−149180号公報(特許文献6)では、イソシアネート基含有プレポリマーを伸長反応および/または架橋反応させたトナーバインダーを含有する乾式トナー、および、該プレポリマーを水系媒体中でアミン類により伸長反応および/または架橋反応により粒子を形成させるトナーの製造方法を提案している。
【0008】
しかし、特開平11−133665号公報(特許文献4)及び特開平11−133666号公報(特許文献5)はポリエステルレジンを使用し球形であるため、定着や転写性、流動性は改善されているものの、球形であるための課題であるクリーニング性は不定形である粉砕トナーより低下することはまぬがれない。一方、特開平11−149180号公報(特許文献6)では水系分散媒体中で伸長反応及び架橋反応させて得られる乾式トナーを提案しているが、球形トナーの課題であるクリーニングとりわけブレードクリーニングと転写を両立させるまでには至っていない。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−149177号公報
【特許文献2】
特開平5−34979号公報
【特許文献3】
特開平9−15903号公報
【特許文献4】
特開平11−133665号公報
【特許文献5】
特開平11−133666号公報
【特許文献6】
特開平11−149180号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主たる課題は、転写効率にすぐれ、且つ転写残トナーが少なく、高品位な画像を与えるトナーを提供することにある。
本発明の他の課題は、クリーニング性に優れるトナーを提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、帯電安定性と低温定着性を両立させたオイルレストナーを提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、消費電力が少なく且つ、カラー画像に必要な高転写性とOHP透過性を高い次元で両立させるトナーを提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、前記トナーを用いる現像剤、該トナーを充填したトナー容器及び該トナーを用いる画像形成方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示すトナー、現像剤、トナー容器及び画像形成方法が提供される。
(1)活性水素と反応可能な変性されたポリエステル系樹脂(A)を、伸長剤及び/又は架橋剤(B)と反応させて得られる変性ポリエステル系樹脂(i)と、未変性ポリエステル系樹脂(ii)をトナーバインダーとして含有するトナーにおいて、該ポリエステル系樹脂(A)を含むトナー組成物を有機溶媒中に溶解又は分散させた後、該伸長剤及び/又は該架橋剤(B)を投入たときの分散液の粘度の増加速度が1000〜10000mPa・s/minである、該ポリエステル系樹脂(A)と該伸長剤及び/又は該架橋剤(B)を用いることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
(2)該トナーの形状が紡錘形であり、その形状係数SF−1が140〜200であることを特徴とする前記(1)に記載の静電荷像現像用トナー。
(3)該変性ポリエステル系樹脂(i)と該未変性ポリエステル系樹脂(ii)の重量比(i)/(ii)が5/95〜25/75であることを特徴とする前記(1)〜(2)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(4)該未変性ポリエステル系樹脂(ii)の酸価が、0.5〜15mgKOH/gであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(5)該トナーのガラス転移点(Tg)が、45〜75℃であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(6)該トナーの体積平均粒径が4〜8μmであり、(体積平均粒径/個数平均粒径)が1.00〜1.25であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(7)該トナーが離型剤としてワックスを含有することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(8)該トナーは着色剤を含有し、着色剤は予め、少なくとも樹脂と顔料分散剤と共に混練されたマスターバッチとして添加されることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(9)活性水素と反応可能な変性されたポリエステル系樹脂(A)を含むトナー組成物を有機溶媒中に溶解又は分散させ、該溶解物又は分散物を樹脂微粒子を含む水系媒体中で分散させ、かつ伸長剤及び/又は架橋剤(B)と反応させ、得られた分散液から溶媒を除去して得られる請求項前記(1)〜(8)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(10)該樹脂微粒子の平均粒径が5〜500nmであることを特徴とする前記(9)に記載の乾式トナー。
(11)前記(1)〜(10)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーとキャリアよりなる現像剤。
(12)前記(1)〜(10)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
(13)該画像が、カラー画像である前記(12)に記載の画像形成方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳述する。
(トナー組成物分散液の粘度)
本発明における、活性水素と反応可能な変性されたポリエステル系樹脂(A)を含むトナー組成物を有機溶媒中に溶解又は分散させた液に、伸長剤及び/又は架橋剤(B)を投入すると、それらの反応によって分散液の粘度が上昇する。分散液の粘度の増加速度(以後、増粘速度と呼ぶ)は、以下の方法で測定した。
(A)を含むトナー組成物の有機溶媒溶液に、伸長剤及び/又は架橋剤(B)を投入してから3分おきに分散液の粘度を測定した。粘度計としては、米国ブルックフィールド社製デジタル粘度計(型式:DV−E)を用い、スピンドルはRV6、回転数は30rpmとした。
【0013】
本発明における増粘速度は1000〜10000mPa・s/min、好ましくは3000〜8000Pa・s/minである。増粘速度が1000mPa・s/min以下の場合は、(A)と(B)の反応が緩やかに起きることを意味し、強い撹拌力を与えてもシェアが加わらず、トナー形状は球形を保ったままで異形化することが難しい。増粘速度が10000mPa・s/min以上の場合は、(A)と(B)の反応が急激に起きることを意味し、形状を制御するのが非常に難しくなる。また撹拌によるシェアは加わりやすいが、粒径や粒径分布が所定の値に収束するより先にトナー形状が固定してしまい、所望の粒径や粒径分布が得られなくなる。
【0014】
(変性ポリエステル系樹脂)
本発明において、活性水素と反応可能な変性されたポリエステル系樹脂(A)としてはイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を用いることが好ましい。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーとしては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(3)と反応させた物などが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
【0015】
ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)および3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独、または(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。
ジオール(1−1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0016】
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)および3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、(2−1)単独、および(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。
ジカルボン酸(2−1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
【0017】
ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0018】
ポリイソシアネート(3)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0019】
ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)構成成分の含有量は、通常0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、架橋及び/又は伸長後の変性ポリエステル系樹脂(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0020】
(伸長剤及び架橋剤)
本発明において、伸長剤及び/又は架橋剤(B)としては、アミン類(B)を用いることが好ましい。アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0021】
さらに、必要により架橋及び/又伸長は停止剤(B)を用いて反応終了後の変性ポリエステル系樹脂(i)の分子量を調整することができる。停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0022】
(未変性ポリエステル)
本発明においては、前記変性されたポリエステル(i)単独使用だけでなく、この(i)と共に、0.5〜15mgKOH/gの酸価を持った未変性ポリエステル(ii)をトナーバインダー成分として含有させることが重要である。(ii)を併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上する。そして上記の酸価を持つことによって(A)と(B)の伸長又は/及び架橋反応に伴う粘度変化挙動を適切に保つことができ、目的とする紡錘形のトナー形状を得ることができるばかりか、低温定着性・耐ホットオフセット性を両立する優れた定着性を示す。
【0023】
酸価が0.5mgKOH/gより小さい場合は、(A)と(B)の伸長又は/及び架橋反応が急激に起こるため、トナー形状、粒径、粒径分布などを制御すること自体が困難である。また、伸長又は/及び架橋反応した樹脂成分多いため、低温定着性が著しく損なわれる。酸価が15mgKOHより大きい場合は、(A)と(B)の伸長又は/及び架橋反応が不十分となり、系の粘度が低すぎてトナー形状の異形化が困難となる。また、伸長又は/及び架橋反応した樹脂成分少ないため、耐ホットオフセット性も低下する。また、2成分現像方式でのキャリアのトナースペントや1成分現像方式での摩擦帯電付与部材などへのトナーフィルミングが発生し、摩擦帯電性が阻害されてしまいトナーの帯電不良となり、地汚れやトナー飛散が発生する。
【0024】
(ii)としては、前記(A)のポリエステル成分と同様なポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(A)と同様である。(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(i)のポリエステル成分と(ii)は類似の組成が好ましい。(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の重量比は、通常5/95〜25/75、好ましくは10/90〜25/75、さらに好ましくは12/88〜25/75、特に好ましくは12/88〜22/78である。(i)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
(ii)のピーク分子量は、通常1000〜30000、好ましくは1500〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、10000を超えると低温定着性が悪化する。
【0025】
本発明において、未変性ポリエステル(ii)のガラス転移点(Tg)は通常40〜70℃、好ましくは45〜55℃である。40℃未満ではトナーの耐熱保存性が悪化し、70℃を超えると低温定着性が不十分となる。架橋及び/又は伸長された変性ポリエステル樹脂(i)の共存により、本発明の乾式トナーのTgは通常45〜75℃、好ましくは50〜60℃となり、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。トナーバインダーの貯蔵弾性率としては、測定周波数20Hzにおいて10000dyne/cm2となる温度(TG’)が、通常100℃以上、好ましくは110〜200℃である。100℃未満では耐ホットオフセット性が悪化する。トナーバインダーの粘性としては、測定周波数20Hzにおいて1000ポイズとなる温度(Tη)が、通常180℃以下、好ましくは90〜160℃である。180℃を超えると低温定着性が悪化する。すなわち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、TG’はTηより高いことが好ましい。言い換えるとTG’とTηの差(TG’−Tη)は0℃以上が好ましい。さらに好ましくは10℃以上であり、特に好ましくは20℃以上である。差の上限は特に限定されない。また、耐熱保存性と低温定着性の両立の観点から、TηとTgの差は0〜100℃が好ましい。さらに好ましくは10〜90℃であり、特に好ましくは20〜80℃である。
【0026】
(トナー形状)
本発明において、トナー形状を表すSF−1は下記式で定義され、球からの歪みの度合いを表す。
SF−1=(L2/S)×(π/4)×100
(ただし、Lはトナー粒子径の最大長、Sはトナー粒子の投影面積)
SF−1は、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い倍率500倍に拡大したトナー像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報をインターフェイスを介して例えばニコレ社製画像解析装置(LuzexIII)に導入し解析を行うことにより得ることができる。
【0027】
多色現像で転写せしめるフルカラー複写機を用いた場合においては、モノクロ複写機に用いられる黒トナー1色の場合と比較し感光体上のトナー量が増加し、従来の粉砕法による不定形トナーを用いただけでは転写効率を向上させることが困難である。従って、通常の不定形トナーを用いた場合には、感光体とクリーニング部材との間、及び/又は、感光体と中間転写体の間でのズリ力や摺擦力のために感光体表面や中間転写体表面にトナーの融着やフィルミングが発生してさらに転写効率が悪化しやすい。このように、フルカラー画像の形成においては4色のトナー像が均一に転写されにくく、さらに中間転写体を用いる場合には色ムラやカラーバランスの面で問題が生じやすく、高画質のフルカラー画像を安定して出力するのは容易でない。
【0028】
上述した転写性とブレードクリーニング性の両立をさせるためには、トナー形状は紡錘形で、その形状係数SF−1が140〜200、好ましくは150〜180であることが必要である。転写性とブレードクリーニング性は、転写のプロセス条件、およびクリーニングブレードの材質や当て方などにも大きく影響されるので、上記範囲の中でプロセス条件に応じた設計をすることが好ましい。SF−1が140より小さいとブレードクリーニングが困難になる。またSF−1が200より大きいと粒子が均一でなくなり、帯電の不安定さや粒子のもろさが発現し、耐久性低下の要因となる。一方、通常の粉砕トナーはSF−1は150を越えるが、形状は不定形で丸みを帯びておらず、転写性を満足させることはできない。
【0029】
(体積重量平均粒径/個数平均粒径の比)
該トナーの体積平均粒径が4〜8μmであり、個数平均粒径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)が1.25以下、好ましくは1.10〜1.25であるトナーは、二成分現像剤においては、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なくなり、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。また、一成分現像剤として用いた場合において、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なくなると共に、現像ローラーへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期の使用(攪拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。
【0030】
一般的には、トナーの粒子径は小さければ小さい程、高解像で高画質の画像を得る為に有利であると言われているが、逆に転写性やクリーニング性に対しては不利である。また、本発明の範囲よりも体積平均粒子径が小さい場合、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させたり、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラーへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着を発生させやすくなる。
また、これらの現象は微粉の含有率が本発明の範囲より多いトナーにおいても同様である。
逆に、トナーの粒子径が本発明の範囲よりも大きい場合には、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなる場合が多い。また、重量平均粒子径/個数平均粒子径が1.25よりも大きい場合も同様であることが明らかとなった。
【0031】
(離型剤)
また、本発明においては、トナーバインダー、着色剤とともにワックスを含有させることもできる。本発明のワックスとしては公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。これらのうち好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。本発明のワックスの融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点が40℃未満のワックスは耐熱保存性に悪影響を与え、160℃を超えるワックスは低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすい。また、ワックスの溶融粘度は、融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、さらに好ましくは10〜100cpsである。1000cpsを超えるワックスは、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果に乏しい。トナー中のワックスの含有量は通常0〜40重量%であり、好ましくは3〜30重量%である。
【0032】
(マスターバッチ)
本発明では、着色剤を予め、少なくとも樹脂と顔料分散剤と共に、有機溶剤または水の存在下で混練させることによりマスターバッチ化して用いることが好ましい。顔料分散剤と共にマスターバッチ化することにより、初期的に結着樹脂と着色剤が十分に付着した状態となって分散が効果的に行なわれる条件になるばかりか、分散の安定性も良く、いかなる製造工程を経ても高度な分散状態を保つことができる。得られるトナーは着色剤の分散が良好で、着色剤の分散径が小さく、良好な透明性が得られる。
【0033】
混練される結着樹脂としては、ポリエステル樹脂の他にポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0034】
前記の結着樹脂と着色剤と顔料分散剤の混合物を予め有機溶剤または水と共に混練させる具体的な方法としては、例えば、結着樹脂、着色剤、顔料分散剤及び有機溶剤を、ヘンシェルミキサー等のブレンダーにて混合した後、得られた混合物を二本ロール、三本ロール等の混練機により、結着樹脂の溶融温度よりも低い温度で混練して、サンプルを得る。また、有機溶剤としては、結着樹脂との溶解性を考慮しながら、一般的なものを使用できるが、特に、アセトン、トルエン、ブタノン等が、着色剤の分散性の面から好ましい。
またいわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と顔料分散剤と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
また、マスターバッチ中での着色剤の樹脂への分散をさらに高めるため、公知の顔料分散助剤をさらに加えて混練しても良い。
これらの製法によると、得られるカラートナーに含有される着色剤粒子の粒径が小さくなるばかりでなく、該粒子の分散状態の均一性が高くなるため、OHPによる投影像の色の再現性がより一層良くなる。
【0035】
(着色剤)
本発明の着色剤としては公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0036】
(顔料分散剤/顔料分散助剤)
本発明の顔料分散剤、顔料分散助剤としては公知のものが全て使用できる。液体中の微粒子の分散を安定化させるには、ポテンシャルエネルギー障壁を高くして粒子同士の接触を防ぐ方法、または粒子同士がファンデルワールス力が働く距離に近づけないように、微粒子表面に吸着した項分子の立体障害的効果を利用する方法がある。本発明における着色剤の分散媒体は結着樹脂を溶解した有機溶剤であるが、このような非水系の分散媒体の場合、誘電率の低さゆえに静電気的斥力が期待できない。従って、高分子系分散剤および分散助剤を使用するのが好ましい。特に、着色剤表面と強い相互剤用を持つ官能基を分子中に持ち、着色剤表面に吸着した後、分散媒体中に溶媒和して広がったセグメントが立体障害的斥力を発揮できるような化学構造であることが好ましい。なかでも、官能基は高分子の末端に持つと効果的であり、市販品のソルスパースなどは好適である。
添加量は着色剤の表面積により異なるが、着色剤に対して重量比1〜30%添加するのが良い。
【0037】
(帯電制御剤)
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよいが、有色材料を用いると色の変化が起こるため、無色、白色に近い材料が好ましい。帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的には第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
本発明において荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。これらの帯電制御剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練した後溶解分散させる事もできるし、有機溶剤に直接溶解、分散する際に加えても良いし、トナー表面にトナー粒子作成後固定化させてもよい。
【0038】
(外添剤)
本発明で得られた着色粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5mμ〜2μmであることが好ましく、特に5mμ〜500mμであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
この他高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
【0039】
このような外添剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01から1μmのものが好ましい。
【0040】
本発明の乾式トナーは以下の方法で製造することができるが勿論これらに限定されることはない。
(水系媒体中でのトナー製造法)
本発明に用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
トナー粒子は、水系媒体中でプレポリマー(A)からなる分散体を、(B)と反応させて形成させることが好ましい。水系媒体中でプレポリマー(A)や未変性ポリエステル樹脂(ii)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にプレポリマー(A)や未変性ポリエステル樹脂(ii)からなるトナー原料の組成物を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。プレポリマー(A)と未変性ポリエステル樹脂(ii)と他のトナー組成物である(以下トナー原料と呼ぶ)着色剤、着色剤マスターバッチ、離型剤、荷電制御剤などは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめトナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、着色剤、離型剤、荷電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
【0041】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは5〜30℃である。分散温度が高温になると、顔料の凝集、及びワックスのトナー粒子表面への露出が起こるため、低温のほうが好ましい。本発明においては、この工程条件を適宜調節することによって、形状制御を行う。強い撹拌力で液撹拌を行うことにより、適切な粘度を持つ分散液(水系媒体中の油滴)に強いシェアが与えられて、紡錘形のトナーが得られ、SF−1の制御が可能となる。
【0042】
プレポリマー(A)や未変性ポリエステル樹脂(ii)を含むトナー組成物100部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
プレポリマー(A)から変性ポリエステル(i)を合成する工程は水系媒体中でトナー組成物を分散する前に伸長剤及び/又は架橋剤(B)を加えて反応させても良いし、水系媒体中に分散した後に伸長剤及び/又は架橋剤(B)を加えて粒子界面から反応を起こしても良い。この場合製造されるトナー表面に優先的に変性ポリエステルが生成し、粒子内部で濃度勾配を設けることもできる。
【0043】
トナー組成物が分散された油性相を水が含まれる液体に乳化、分散するための分散剤として、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0044】
またフルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−l02、(ダイキン工業社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0045】
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級もしくは二級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−l21(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業社製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−l32(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0046】
また、水に難溶の無機化合物分散剤としてリン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなども用いる事が出来る。
また、無機分散剤と同様にして有機樹脂微粒子を使用することもできる。使用される樹脂微粒子は、水性分散体を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂も使用でき、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよいが、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0047】
樹脂微粒子の平均粒径は5〜500nmの物が用いられる。5nm以下では保存性改良効果が低下し、500nm以上では低温定着性を阻害する。樹脂微粒子のTgとしては55℃以上100℃以下の物が好ましい。Tgが55℃以下では保存性が不十分となり、100℃以上では低温定着性が不十分となる。
【0048】
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ピニル、プロピオン酸ピニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ピニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0049】
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
【0050】
分散剤として有機樹脂微粒子を使用した場合には、耐熱保存性の向上等の観点から、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできる。
【0051】
さらに、トナー組成物の粘度を低くするために、プレポリマー(A)や未変性ポリエステル(ii)が可溶の溶剤を使用することもできる。溶剤を用いたほうが粒度分布がシャープになる点で好ましい。該溶剤は沸点が100℃未満の揮発性であることが除去が容易である点から好ましい。該溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。プレポリマー(A)100部に対する溶剤の使用量は、通常0〜300部、好ましくは0〜100部、さらに好ましくは25〜70部である。溶剤を使用した場合は、伸長および/または架橋反応後、常圧または減圧下にて加温し除去する。
【0052】
伸長および/または架橋反応時間は、プレポリマー(A)の有する構造と伸長剤及び/又は架橋剤(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0053】
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。脱溶剤時の条件としては、分散液の油相固形分濃度が5〜50%、脱溶剤温度が10〜50℃、トナーの脱溶剤時の滞留時間を30分以内で行うのが好ましい。あるいはまた、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合せて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。
【0054】
分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行っても良いが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、または粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子、または粗粒子はウェットの状態でも構わない。
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
得られた乾燥後のトナーの粉体と離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
【0055】
(二成分用キャリア)
本発明のトナーを2成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良く、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部が好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等があげられる。またポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等が使用できる。また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
また、本発明のトナーはキャリアを使用しない1成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
【0056】
本発明における画像形成方法及び画像形成装置の実施の形態を図1を用いて説明する。ここで、図1は、本発明のトナーを用いて画像を形成するための方法及び装置の一例を示す概略構成図である。
【0057】
図1において、像担持体である感光体1は図中の矢印方向(反時計回り)に回転され、帯電ローラ2により一様に帯電される。その後、図示しない露光部からの原稿像の露光あるいは図示しない光書き込み装置からのレーザ光による光書き込み等により像露光され、感光体1上には静電潜像が形成される。現像装置(画像形成装置)3内には、現像剤4が入っている。この現像剤4には、キャリアとトナーの混合体である二成分現像剤が用いられる。現像剤4を攪拌すると、摩擦帯電によりトナーが帯電する。現像装置3の感光体1との対向位置には、内部に複数の磁石あるいは複数の磁極を有するマグネットローラが配設された現像スリーブ5が配置されており、現像剤4は磁力により現像スリーブ5上に担持されて感光体1との対向位置に搬送され、感光体1上の静電潜像をトナーで現像する。
【0058】
感光体1の回転方向で現像装置3の下流側には転写ベルト6が配設されており、この転写ベルト6は駆動ローラと従動ローラに張架されて図中の矢印方向に回動される。また、転写ベルト6は図示しない接離機構により感光体1に対して接離可能に設けられており、転写時には感光体1に接触してニップ部を形成し転写紙Sを搬送する。また、転写ベルト6の裏面側にはバイアスローラ6aを介して図示しない電源によりトナーと逆極性の電圧(転写出力)が印加されている。
【0059】
図示しない給紙部から搬送された転写紙Sは、感光体1への作像タイミングに合わせてレジストローラ18により感光体1と転写ベルト6のニップ部に給紙され、感光体1上に現像されたトナー像は、上記転写ベルト6と感光体1間の電界により、感光体1と転写ベルト6の間に挾まれた転写紙S上に転写される。トナー像が転写された転写紙Sは、その後、転写ベルト6により搬送され、図示しない定着装置を通り抜け、この際、トナー像は転写紙上に熱溶着される。そして定着後の転写紙Sは図示しない排紙部に排紙される。一方、転写しきれずに感光体上に残ったトナーは、クリーニングブレード7により堰き止められ、回収ばね8により回収コイル9の上に入れられる。そして回収コイル9によりトナーはリサイクルトナーとして、現像装置3に戻される。またクリーニング後の感光体1は除電ランプ20で除電される。
【0060】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。
【0061】
実施例1
(樹脂微粒子エマルションの合成)
攪拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間攪拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子水性分散液1]を得た。[微粒子水性分散液1]をLA−920で測定した体積平均粒径は、105nmであった。[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは59℃であり、重量平均分子量は15万であった。
【0062】
(水相の調製)
水990部、[微粒子水性分散液1]83部、ドデシルジフェニルェーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合攪拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
【0063】
[(低分子ポリエステル1)(酸価(mgKOH/g)=1)の合成]
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物319部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物449部、テレフタル酸243部、アジピン酸53部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸7部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[低分子ポリエステル1]を得た。[低分子ポリエステル1]は、数平均分子量1900、重量平均分子量6100、Tg43℃、酸価(AV)1.1であった。
【0064】
[プレポリマー(変性ポリエステル樹脂前駆体)の合成]
冷却管、攪拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリツト酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2100、重量平均分子量9500、Tg55℃、酸価0.5、水酸基価(mgKOH/g)51であった。
次に、冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。[プレポリマー1]の遊離イソシアネート重量%は、1.53%であった。
【0065】
(ケチミンの合成)
攪拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、[ケチミン化合物1]を得た。[ケチミン化合物1]のアミン価は418であった。
【0066】
(マスターバッチの合成)
水30部、C.I.PigmentBlue15:3(ECB−301:大日精化製)50部、[低分子ポリエステル1]50部、顔料分散剤(ソルスパースS24000sc:Avecia製)15部、顔料分散助剤(ソルスパースS5000:Avecia製)2.5部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。混合物を2本ロールを用いて130℃で45分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[シアンマスターバッチ1]を得た。
【0067】
(油相の作成)
攪拌棒および温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル1]378部、ワックス(合成エステルワックスWEP−5:日本油脂)110部、CCA(サリチル酸金属錯体E−84:オリエント化学工業)22部、酢酸エチル947部を仕込み、攪拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで容器に[シアンマスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[シアン原料油性溶解液1]を得た。
[シアン原料油性溶解液1]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、顔料、WAXの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液1324部加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[シアン顔料・WAX油性分散液1]を得た。[シアン顔料・WAX油性分散液1]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
【0068】
(乳化⇒脱溶剤)
[シアン顔料・WAX油性分散液1]664部、[プレポリマー1]を139部、[ケチミン化合物1]5.9部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで20分間混合し[シアン乳化スラリー1]を得た。
攪拌機および温度計をセットした容器に、[シアン乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、[シアン分散スラリー1]を得た。
【0069】
(洗浄⇒乾燥)
[シアン分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、
▲1▼:濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
▲2▼:▲1▼の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
▲3▼:▲2▼の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
▲4▼:▲3▼の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い[シアン濾過ケーキ1]を得た。
[シアン濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩った後、トナー粒子100部に疎水性シリカ0.5部と、疎水化酸化チタン0.5部をヘンシェルミキサーにて混合して、[シアントナー1]を得た。
【0070】
実施例2
[低分子ポリエステル2(酸価=0.5)の合成]
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物309部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物480部、テレフタル酸159部、アジピン酸114部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸4部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[低分子ポリエステル2]を得た。[低分子ポリエステル2]は、数平均分子量2100、重量平均分子量5800、Tg43℃、酸価0.5であった。
以降、[低分子ポリエステル1]を[低分子ポリエステル2]に変えること以外は実施例1と同様にして、[シアントナー2]を得た。
【0071】
実施例3
[低分子ポリエステル3(酸価=15)の合成]
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物196部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物553部、テレフタル酸210部、アジピン酸79部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸26部を入れ、180℃、上圧で2時間反応し、[低分子ポリエステル3]を得た。[低分子ポリエステル3]は、数平均分子量2400、重量平均分子量6200、Tg43℃、酸価15であった。
以降、[低分子ポリエステル1]を[低分子ポリエステル3]に変えること以外は実施例1と同様にして、[シアントナー3]を得た。
【0072】
実施例4(H/L=30/70)
[シアン顔料・WAX油性 分散液1]581部、[プレポリマー1]を198部、[ケチミン化合物1]8.4部の比に変えること以外は実施例1と同様に乳化して、[シアントナー4]を得た。
【0073】
実施例5(H/L=10/90)
[シアン顔料・WAX油性分散液1]747部、[プレポリマー1]を66部、[ケチミン化合物1]2.8部の比に変えること以外は実施例1と同様にして、[シアントナー5]を得た。
【0074】
比較例1
[比較低分子ポリエステル1(酸価=0.1)の合成]
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物255部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物480部、テレフタル酸223部、アジピン酸49部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸1部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[比較低分子ポリエステル1]を得た。
[比較低分子ポリエステル1]は、数平均分子量1900、重量平均分子量6100、Tg43℃、酸価0.1であった。
以降、[低分子ポリエステル1]を[比較低分子ポリエステル1]に変えること以外は実施例1と同様にして、[比較シアントナー1]を得た。
【0075】
比較例2
[比較低分子ポリエステル2(酸価=40)の合成]
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物562部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物75部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物87部、テレフタル酸143部、アジピン酸126部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸69部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[比較低分子ポリエステル2]を得た。[比較低分子ポリエステル2]は、数平均分子量3700、重量平均分子量7200、Tg43℃、酸価40であった。
以降、[低分子ポリエステル1]を[比較低分子ポリエステル2]に変えること以外は実施例1と同様にして、[比較シアントナー2]を得た。
【0076】
比較例3(H/L=0/100)
[シアン顔料・WAX油性分散液1]803部に、[プレポリマー1]および[ケチミン化合物1]は加えずに、[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで20分間混合し、以降は実施例1と同様にして、[比較シアントナー3]を得た。
【0077】
(評価項目)
▲1▼ 粒径
トナーの粒径は、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器「コールターカウンターTAII」を用い、アパーチャー径100μmで測定した。体積平均粒径および個数平均粒径は上記粒度測定器により求めた。
【0078】
▲2▼ 定着性
リコー製imagioNeo450に図2に示すベルト加熱定着装置を搭載した改造機を用いて、薄紙及び厚紙の転写紙(NBSリコー製複写印刷用紙<45>及びNBSリコー製複写印刷用紙<135>)にベタ画像で、1.0±0.1mg/cm2のトナーが現像される様に調整を行ない、定着ローラの温度が可変となる様に調整を行なって、薄紙でオフセットの発生しない温度を、厚紙で定着下限温度を測定した。定着下限温度は、得られた定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって定着下限温度とした。
なお、ベルトの基体は100μmのポリイミド、中間弾性層が100μmのシリコンゴム、表面のオフセット防止層が15μmのPFA、定着ローラーがシリコン発泡体、加圧ローラーの金属シリンダーがSUSで厚さ1mm、加圧ローラーのオフセット防止層がPFAチューブ+シリコンゴムで厚さ2mm、加熱ローラーが厚さ2mmのアルミ、面圧1×105Paの構成のものを用いた。
【0079】
▲3▼ 転写性
定着性の評価と同様の複写機を用い、転写紙に転写中に複写機を停止させ、感光体上に残存しているトナー量を目視で確認し以下のランク付けを行った。
◎:転写残トナーが非常に少なく転写性に優れる
○:転写残トナーが少なく転写性に優れる
△:従来のトナーと同等の転写性
×:転写残トナーが非常に多く転写性に劣る
【0080】
▲4▼ クリーニング性
清掃工程を通過した感光体上の転写残トナーをスコッチテープ(住友スリーエム(株)製)で白紙に移し、それをマクベス反射濃度計RD514型で測定し、ブランクとの差が0.01以下のものを○(良好)、それを越えるものを×(不良)として評価した。
【0081】
▲6▼ 保存性
トナー10gを30mlの容器に入れ、150回タッピングした後50℃で24時間保存した後、目開き74μmの篩でふるい、篩上に残った固着したトナー量から以下のランク付けを行った。
◎:篩上にトナーが残らない
○:篩上に残ったトナー量が1g未満
△:篩上に残ったトナー量が1g以上4g未満
×:篩上に残ったトナー量が4g以上
作製したトナーの特性を表1に、評価結果を表2に示す。本発明で得られる紡錘形トナーの写真を図3に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【発明の効果】
本発明の乾式トナーは、転写効率にすぐれ、且つ転写残トナーが少なく高品位な画像を与える。また、本発明のトナーは、クリーニング性に優れ、その上、低温定着性と耐ホットオフセット性を両立させ、さらに耐熱保存性にすぐれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成方法及び装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】ベルト定着装置の説明図を示す。
【図3】本発明トナーの写真を示す。
【符号の説明】
1 感光体(像担持体)
2 帯電ローラ
3 現像装置
4 現像剤
5 現像スリーブ(現像剤担持体)
6 転写ベルト(転写手段)
6a バイアスローラ
7 クリーニングブレード
8 回収ばね
9 回収コイル
10 感光体及びクリーニングユニット(PCU)
13 搬送スクリュー
14 パドル(攪拌機構)
16 反射濃度検知センサー(Pセンサー)
17 トナー濃度センサー
18 レジストローラ
20 除電ランプ
S 転写紙
R1 定着ローラー
R2 加圧ローラー
R3 加熱ローラー
R4 クリーニングローラー
B 定着ベルト
P 加圧バネ
G ガイド
H 加熱源
Claims (13)
- 活性水素と反応可能な変性されたポリエステル系樹脂(A)を、伸長剤及び/又は架橋剤(B)と反応させて得られる変性ポリエステル系樹脂(i)と、未変性ポリエステル系樹脂(ii)をトナーバインダーとして含有するトナーにおいて、該ポリエステル系樹脂(A)を含むトナー組成物を有機溶媒中に溶解又は分散させた後、該伸長剤及び/又は該架橋剤(B)を投入たときの分散液の粘度の増加速度が1000〜10000mPa・s/minである、該ポリエステル系樹脂(A)と該伸長剤及び/又は該架橋剤(B)を用いることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
- 該トナーの形状が紡錘形であり、その形状係数SF−1が140〜200であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 該変性ポリエステル系樹脂(i)と該未変性ポリエステル系樹脂(ii)の重量比(i)/(ii)が5/95〜25/75であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 該未変性ポリエステル系樹脂(ii)の酸価が、0.5〜15mgKOH/gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 該トナーのガラス転移点(Tg)が、45〜75℃であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 該トナーの体積平均粒径が4〜8μmであり、(体積平均粒径/個数平均粒径)が1.00〜1.25であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 該トナーが離型剤としてワックスを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 該トナーは着色剤を含有し、着色剤は予め、少なくとも樹脂と顔料分散剤と共に混練されたマスターバッチとして添加されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 活性水素と反応可能な変性されたポリエステル系樹脂(A)を含むトナー組成物を有機溶媒中に溶解又は分散させ、該溶解物又は分散物を樹脂微粒子を含む水系媒体中で分散させ、かつ伸長剤及び/又は架橋剤(B)と反応させ、得られた分散液から溶媒を除去して得られる請求項1〜8のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 該樹脂微粒子の平均粒径が5〜500nmであることを特徴とする請求項9に記載の乾式トナー。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーとキャリアよりなる現像剤。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
- 該画像が、カラー画像である請求項12に記載の画像形成方法。
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