JP2004224277A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トレッド部2におけるカーカス層3の外周側に少なくとも2層のベルト層6を有し、前記ベルト層6のタイヤ半径方向外側に、少なくとも1層よりなるベルト補強層7,8を該ベルト層6幅方向の少なくとも両端部を覆うように配設された空気入りタイヤ1であって、前記ベルト補強層7,8が、ポリエチレンナフタレートからなるテープ10をタイヤ周方向に実質的に平行になるように螺旋状に巻回し形成される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは軽量であり、高速耐久性を高め、操縦安定性に優れ、かつロードノイズや転がり抵抗を低減することのできる空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
乗用車用空気入りラジアルタイヤでは、ベルト層のタイヤ半径方向外周側に有機繊維コードをタイヤ周方向に実質的に平行になるように巻き付けたベルト補強層を配したタイヤが使用されている。このベルト補強層は、前記ベルト層外周を締め付けることによりベルト層の所謂「たが効果」を補強してベルト部周方向の張力、剛性を向上させることにより高速耐久性や操縦安定性を向上し転がり抵抗を低減し、また路面からの振動伝達を抑えロードノイズ(車内騒音)を低減するものである。
【0003】
近年では、自動車の高速化、高出力化、高級高質化に従いタイヤの偏平化が急速に普及し、これに伴ってトレッド部の重量増加によるタイヤ重量増やトレッド部にかかる遠心力の増大が高速耐久性を始めとする転がり抵抗やロードノイズ等のタイヤ性能に影響し、従来からのタイヤの軽量化要求に加え、高速耐久性や操縦安定性等のタイヤ諸性能も同時に高いレベルで維持することが要求されている。
【0004】
従来、このベルト補強層にはナイロン66等のナイロン繊維コードがゴムとの接着性や熱収縮特性等の点で一般に使用されてきたが、ナイロン繊維コードは比較的引張弾性率(モジュラス)が低いために、上記のタイヤ軽量化と高度な要求性能を両立して満たすことが困難な状況となっている。
【0005】
そこで、ベルト補強層におけるコードとして、従来のナイロン繊維コードよりも高モジュラスのコードを使用することが種々検討されている。例えば、特定条件下で測定した伸度を規定したポリエチレン−2,6−ナフタレート繊維を主構成材とする繊維コードによってベルト補強層とし、かつベルト層の拡張率を大きくしたラジアルタイヤ(特許文献1参照。)や、ベルト補強層がポリエステル繊維コードからなり、そのベルト補強層のタイヤ幅方向最端部を第1ベルト層外側端部と第2ベルト層外側端部の間に配した空気入りタイヤがある(特許文献2参照。)。
【0006】
また、ベルト層に埋設されたコードがポリエステル系モノフィラメントコードからなり、ベルト補強層に埋設されたコードがポリエステル系撚りコードからなるタイヤが提案されている(特許文献3参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−163009号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2002−79806号公報
【0009】
【特許文献3】
特開2002−96606号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1〜3に記載のタイヤは、高速耐久性やユニフォミティーの向上、ロードノイズの低減、操縦安定性や乗り心地の改善を図ることはできるが、いずれもタイヤの軽量化とを同時に満足するものではない。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みてなしたもので、タイヤ軽量化を実現し、かつ高速耐久性を高め、操縦安定性に優れ、さらにロードノイズや転がり抵抗を低減することのできる空気入りタイヤを提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の空気入りタイヤは、トレッド部におけるカーカス層の外周側に少なくとも2層のベルト層を有し、前記ベルト層のタイヤ半径方向外側に、少なくとも1層よりなるベルト補強層を該ベルト層幅方向の少なくとも両端部を覆うように配設した空気入りタイヤであって、前記ベルト補強層が、ポリエチレンナフタレートからなるテープをタイヤ周方向に実質的に平行になるように螺旋状に巻回し形成されたことを特徴とする。
【0013】
本発明の空気入りタイヤによれば、ベルト補強層をポリエチレンナフタレート(以下、PENという)からなるテープにより形成することにより、ベルト補強層の厚みを確実に減少しトレッド部を薄肉化してタイヤの軽量化を実現することができる。
【0014】
また、PENが備える優れた引張弾性率(モジュラス)、高強度、熱安定性等の特性はポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)やナイロンよりも優れ、そのPENからなるテープをベルト補強層に用いることにより、高速走行時の高発熱下においてもタイヤ周方向の張力、剛性を高度に維持してベルト層の締め付け効果を低下させることなく十分に確保し、遠心力によるベルト端部のせり上がりやベルト層間の剪断歪みを抑えて高速耐久性を向上し、操縦安定性に優れ、転がり抵抗を低減し、また路面凹凸からの振動伝達を抑えロードノイズを低減することができる。
【0015】
前記テープの断面寸法は、厚みが0.05〜0.5mm、幅が1〜10mmの範囲にあり、かつ前記幅と前記厚みの比(幅/厚み)が5〜50の範囲にあることが好ましく、これにより上記軽量化とタイヤ性能が得やすくなると共に、テープを螺旋状に巻回しやすくしてベルト補強層の形成が行いやすくなりタイヤ生産性を向上することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、実施形態の空気入りタイヤ1を示すタイヤ右半断面図である。図において、2はトレッド部、3はサイドウォール部、4はビード部である。
【0018】
カーカス層5はビード部4に埋設された左右一対のビードコア41間に装架され、その端部51がビードコア41の廻りにビードフィラー42を挟み込むようにして内側から外側に折り返して巻き上げ係止されている。トレッド部2のカーカス層5の外周側には互いに交差する2層のベルト層6a,6bからなるベルト層6が配設され、さらに前記ベルト層6のタイヤ半径方向外側にベルト補強層7,8がベルト層6を覆うように周方向に配設されている。
【0019】
カーカス層5は、ポリエステル等の繊維コードをタイヤ周方向とほぼ直交する方向に配列された、少なくとも1枚のカーカスプライから構成されている。
【0020】
ベルト層6は、スチールコードをタイヤ周方向に対して15〜35°の傾斜角度で配列した2層のベルト層6a,6bから構成され、2層のスチールコードが互いに交差する方向に配設されている。
【0021】
ベルト補強層7,8は、ベルト層6のタイヤ半径方向外側に配され、ベルト層6の幅方向の全幅に渡って覆う第1ベルト補強層7と、第1ベルト補強層7の外側に設けられたベルト層6の両端部域を覆う幅狭の第2ベルト補強層8とから構成されている。
【0022】
ベルト補強層7,8は、ポリエチレンナフタレートからなるテープ10により形成され、テープ10がタイヤ周方向に実質的に平行に(タイヤ周方向に対して0〜5°の角度)なるように螺旋状(スパイラル状)に巻き付けられ形成されている。
【0023】
ベルト補強層7,8は、図2に示すように、テープ10の幅方向がベルト層6と平行に配されてトレッドゴム内に埋設されている。
【0024】
テープ10を形成するPENは、エチレン−2,6−ナフタレートを85モル%以上、好ましくは90モル%以上含む重合体からなり、この重合体は公知の方法、例えば特開平5−163612号公報に記載の方法に従い合成することができる。
【0025】
上記テープ10は、例えば、PENの溶融樹脂を押出成形して得られる通常のフィルムキャスティング法により、または2軸延伸法等により作成した所定厚みのフィルムをテープ状の細幅に裁断して作成することもでき、テープの形成方法は特に限定されるものではない。
【0026】
上記テープ10は、厚みが0.05〜0.5mm、好ましくは0.05〜0.3mmであり、厚みが0.05mm未満であると薄すぎるためにPENの素材特性、特に強度やモジュラスをテープに十分活用することができず、ベルト層の補強効果を発揮できず所望のタイヤ性能が得難く、また均一な厚みのテープ製造も難しくなる。また、厚みが0.5mmを超えると、ベルト補強層の厚みを減少することができないためトレッド部の薄肉化が不可能となりタイヤ軽量化が実現できず、またタイヤ走行中の発熱が高くなり熱故障の原因になりやすくなる共に、テープ端部でのゴムとの接着破壊が生じやすくゴムとの剥離故障(セパレーション)のイニシエーションとなり好ましくない。また、加硫成形時に金型内でトレッド部の適度な伸びが得にくくなり、トレッド部変形等の製品不良が発生しやすくなる。
【0027】
また、テープ幅は1〜10mm、好ましくは2〜5mmであり、幅が1mm未満では、タイヤ製造時の巻き付け等の製造工程でテープの取り扱い性が悪く、しかもテープを螺旋状に巻回する工数も増し、テープ自体の生産性も低下し好ましくない。テープ幅が10mmを超えると、ベルト層外周に対してその曲面に沿ってテープを密着させ貼り付けるのが難しく、特に曲率変化の大きいベルト端部では密着性が悪くなりタイヤ内にボイドを生じたり、ベルト補強層の成形精度が低下し、耐久性低下の原因となり本発明の目的を達成できなくなる。
【0028】
また、テープの幅/厚みの比が5〜50の範囲であることが好ましく、より好ましくは5〜40の範囲である。この5〜50の範囲においてテープの素材特性と形状特性とを両立し、ベルト層の補強効果と耐屈曲疲労性を良好に維持し上記タイヤ性能を得ることができると共に、ベルト補強層の螺旋巻き工程を容易なものとして成形精度を向上し、また成型効率を高めることができる。
【0029】
また、引張弾性率(モジュラス)は10GPa〜200GPaの範囲にあることが好ましく、30GPa〜100GPaであることがより好ましい。さらには、高温下においても前記モジュラスの低下が小さいことが好ましい。なお、引張弾性率とはJIS K7127 に規定されている方法に準じて室温で測定した値である。
【0030】
上記テープ10のモジュラスが10GPa未満ではタイヤ周方向の張力、剛性が十分に得難く、高速耐久性や操縦安定性が満足できず、剛性を確保するには使用量が増加しタイヤ重量が増し、コストの上昇を来し、200GPaを超えるとテープが剛直になりすぎてゴムとのモジュラス差に起因するセパレーションを生じやすくなる。
【0031】
また、上記テープ10は、ゴムとの接着性を向上するために、通常のタイヤコード用接着処理に用いられる、例えばレゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックス(RFL)を主成分とする処理剤、或いはエポキシ系接着剤を含む処理剤を用いて表面処理することが好ましい。
【0032】
さらにテープ10は、少なくとも片面、好ましくは両面がゴム被覆されていることが好ましく、テープ10と周辺ゴムとの接着性を良好にしタイヤ耐久性を向上することができる。特に、この被覆ゴムは前記RFL等の処理剤を介してテープ10との接着性を良好にする接着系ゴム配合を使用することで、より高度な耐久性の向上を図ることができるようになる。
【0033】
このテープ10をベルト層6の外周上にタイヤ周方向に実質的に平行に(タイヤ周方向に対して0〜5°の角度で)螺旋状に巻き付ける方法としては、1本のテープ10をベルト層6の周面に対して、ベルト層6の一端側から幅方向に所定間隔を置いて平行にずらしながらスパイラル状に巻き付けるもの、また複数のテープ10を平行に引き揃えてゴム被覆しリボン状とし、このリボンをベルト層6の外周面に螺旋状に巻き付ける方法でもよい。
【0034】
なお、ベルト補強層7,8は、ベルト層6の幅方向外側にはみ出し、ベルト層6端部を覆うように設けるのがよい。
【0035】
ベルト補強層7,8におけるテープ10間の間隔は特に限定されず、テープ10の端部同士を重ね合わせた状態、或いはテープ10間に隙間を設けて螺旋状に巻き付けてもよい。しかし、ベルト補強層内でのテープ10と周辺ゴムとの接着性を高度なものとするには、平行するテープ10間に適度な間隔を設けてテープ10の上下ゴム同士の架橋部を設けておくことが好ましい。この場合のテープ間隔はテープ幅の10〜100%程度であり、テープ間隔が狭いと前記架橋部でのゴム同士の投錨効果が小さくなり、また広すぎるとテープによる補強効果が十分に発揮されなくなる。
【0036】
ベルト補強層7,8にPENのテープ10を用いることにより、従来のナイロンやPET製の繊維コードよりもコード径(厚み)が細くなることで、ベルト補強層の厚みを確実に減少させトレッド部を薄肉化しタイヤの軽量化を実現することができる。
【0037】
また、テープ10が備える高温での安定した高モジュラス特性、寸法安定性によりタイヤ周方向の張力、剛性を確保し、高速走行時の高発熱下においてもベルト層締め付け効果を従来のナイロンコードのように低下させることなく十分に発揮し、走行中の遠心力によるタイヤ径方向の成長を抑え、ベルト層端部のベルトコードのせり上がり現象や層間の剪断歪みの発生を抑制し高速耐久性を向上することができる。
【0038】
また、テープ10を螺旋状に巻回しベルト補強層を形成することにより、ベルト層を締め付け「たが効果」の補強効果が高度に発揮され、操縦安定性や転がり抵抗性を向上し、またトレッド部の周方向の張力が大きくなって路面からの振動をひろいにくくしロードノイズを低減することができ、さらにジョイント部の減少によりユニフォミティーを良好にし、従来のナイロンコードを使用するタイヤと同等以上の性能を維持することができる。
【0039】
なお、このベルト補強層の構成は、図1に示す構造以外に、ベルト層6の全幅に渡り1層の補強層9aでなるもの(図3(a)参照)、また全幅で2層の補強層9b,9c(図3(b)参照)に設けたもの、またベルト層の両端部域のみに2層の補強層9d,9eを設けたもの(図3(c)参照)、等であってもよい。
【0040】
(実施例)
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0041】
実施例及び比較例の各空気入りタイヤは、タイヤサイズが225/50R16のラジアルタイヤであり、カーカスは1100dtex/2、撚り数47×47回/10cmのPET製コードの打ち込み数55本/5cmのものを2枚、ベルト層は2+2×0.25構造のスチールコードの打ち込み数が40本/5cmのものを用い、タイヤ周方向に対して25°の角度で2枚を交差させて配置した、通常の空気入りラジアルタイヤの内部構造とトレッドパターンを有する一般的なラジアルタイヤである。
【0042】
ベルト補強層は図1に示すように、第1ベルト補強層7はベルト層6の全幅を覆うように両端部でベルト層6よりも5mm幅広く設け、第2ベルト補強層8はベルト層6の両端部域のみを覆うように幅30mmで、やはり両端部で5mm幅広くなるように設け、タイヤ周方向に対してテープ角度がほぼ0°になるように配されている。
【0043】
ベルト補強層に用いたテープ、コードは下記の通りであり、テープの場合はいずれも表面をRFL系接着剤で接着処理を施した後、両面に0.1mm厚の接着系ゴムを被覆し、ベルト層6の外周に沿って通常の方法により下記の所定密度で1本のテープ又はコードを螺旋状に巻き付けベルト補強層7,8を形成し、常法に従い各タイヤを成型、加硫し試験用ラジアルタイヤを製造した。
【0044】
[テープ及びコードの構造]
・実施例:PENの厚み0.1mm、幅3mmのテープ、打ち込み密度は7本/25mmである。
【0045】
・比較例1:PENの1100dtex/2の撚りコード、撚り数は48×48回/10cmである。打ち込み密度は19本/25mmである。
【0046】
・比較例2:PENの厚み0.7mm、幅3mmのテープ、打ち込み密度は7本/25mmである。
【0047】
・比較例3:PENの厚み0.1mm、幅11mmのテープ、打ち込み密度は2本/25mmである。
【0048】
・比較例4:PENの厚み0.03mm、幅3mmのテープ、打ち込み密度は7本/25mmである。
【0049】
・比較例5:PETの厚み0.1mm、幅3mmのテープ、打ち込み密度は7本/25mmである。
【0050】
・比較例6:ナイロン66の厚み0.1mm、幅3mmのテープ、打ち込み密度は7本/25mmである。
【0051】
上記実施例及び各比較例のタイヤを下記試験方法によりタイヤ重量、耐久性能、高速耐久性能を評価し、結果を表1及び表2に示す。なお、比較例5,6については、耐久性能の評価を省略した。
【0052】
タイヤ重量:各試験タイヤの重量を測定し、測定数10の平均値を求めた。
【0053】
耐久性評価:各タイヤを25±2℃の室内でJIS規格の最大空気圧に調整した後24時間放置後、空気圧の再調整を行い、JIS規格の最大荷重の2倍をタイヤに負荷し、直径1.707mのドラム上で速度60Km/hで走行させ、故障発生までの走行距離とセパレーション故障発生位置を観察した(耐久性1)。また、17,000Km走行時点で走行を中止したタイヤを解体し、ベルト部のセパレーション発生状況を観察し、ベルト補強層のテープ又はコードを採取しその強力保持率を求めた(耐久性2)。
【0054】
高速耐久性評価:米国規格FMVSS No109 に規定の方法に準じたステップスピード方式にて行い、即ち規定速度で規定時間の走行試験を行った後に故障の発生が認められず合格したものは、更に30分毎に速度を8Km/hずつ増分して故障するまでドラム走行を続けた。故障発生時の速度(Km/h)とその速度での経過時間(分)を測定し、その故障状態を観察した。また、速度260Km/h時点でのトレッド部の最高温度(℃)とタイヤ外径の成長量(mm)を測定した。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
表1において、実施例のタイヤは耐久性、高速耐久性を良好に維持し、軽量化を実現することができる。比較例1のPENの撚りコードを用いたタイヤは、耐久性能は実施例と同等であるが、コード径が従来通り大きくタイヤ軽量化が達成されない。比較例2はPENテープの厚みが大であるため、トレッド部の薄肉化が実施できず軽量化が未達であり、またテープ側部の接着破壊に起因するセパレーションがベルト部とベルト補強層間に発生して耐久性が劣り、またテープにクラックが生じ強力保持率が低下している。比較例3は、テープ幅が広くベルト層との密着性が悪く、ベルト層とベルト補強層との間にボイドが発生し耐久性の低下が著しい。また比較例4はテープが薄すぎるため素材のモジュラスが活用されずに締め付けによる補強効果が十分に得られず、高速耐久性が劣り、操縦安定性や転がり抵抗にも影響を及ぼしている。
【0058】
また、表2に示す通り、実施例と素材が異なる同一形状のテープを用いた比較例5,6は、タイヤ径の成長が大きく高速耐久性に悪影響し、故障状態もベルト補強層に起因するものとなり、素材特性の差が顕著に表れてタイヤ性能への影響が明確であることが分かる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の空気入りタイヤは上記構成としたので、タイヤの軽量化を実現し、かつ高速耐久性を高め、操縦安定性に優れ、さらにロードノイズや転がり抵抗を低減する空気入りタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の空気入りタイヤの右半断面図である。
【図2】トレッド部の部分拡大図である。
【図3】ベルト補強層の構造例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1……空気入りタイヤ
2……トレッド部
3……サイドウォール部
4……ビード部
5……カーカス層
6……ベルト層
7……第1ベルト補強層
8……第2ベルト補強層
10……テープ
Claims (2)
- トレッド部におけるカーカス層の外周側に少なくとも2層のベルト層を有し、前記ベルト層のタイヤ半径方向外側に、少なくとも1層よりなるベルト補強層を該ベルト層幅方向の少なくとも両端部を覆うように配設した空気入りタイヤであって、
前記ベルト補強層が、ポリエチレンナフタレートからなるテープをタイヤ周方向に実質的に平行になるように螺旋状に巻回し形成された
ことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記テープの断面寸法が、厚みが0.05〜0.5mm、幅が1〜10mmの範囲にあり、かつ前記幅と厚みの比(幅/厚み)が5〜50の範囲にある
ことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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