JP2004222552A - 簡易式養液栽培容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】容器内の養液Xを貯留する貯留部2の上方に、空間Dを有し、その上方に、非通水性の仕切り部である底面4aを介して培養土Bが配置される培養土配置部を設けた。この仕切り部である底面4aの上面の水を回収して当該水が養液貯留部2に流入するのを防止する排水機構を設けた。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物を養液により栽培する簡易式養液栽培容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び解決しようとする課題】
従来、家庭の庭先やベランダ等の身近な場所で草花や野菜等の植物を栽培することが盛んに行われている。このような植物栽培では、プランター等の容器を用いた土耕栽培が一般的に行われている。しかし、この土耕栽培では、特に夏場において植物が枯れないように水やりするだけでも大変な労力を要する。また、野菜等の収穫を伴う植物では、栽培管理を充分に行わなければ満足できる収穫物を得ることは困難である。しかも、一作毎に培養土が劣化し、病虫害も発生しやすくなるという問題もある。
【0003】
一方、養液栽培は、培養土を用いずに植物の根を養液中に浸漬させて栽培するため、養液の処方で種々の作物の画一的な栽培ができ、連作障害の心配がない等の利点がある。ところが、植物は根から老廃物質等を排出するために、滞水状態の養液中に植物の根を長期間入れておくと、水質が劣化して根腐れを起こすおそれがある。そこで、滞水状態で長期間栽培する場合には、養液を循環させて浄化するか、または、根が直接養液に触れないようにする方法が用いられている。
【0004】
しかしながら、養液を循環させて浄化するためにはポンプ等の設備が必要になる。一方、根が直接養液に触れないようにするために、植物を定植する培地にスポンジを用い、このスポンジを養液内に浸漬することが行われているが、スポンジは外気温の変化と養液温の影響を直接受けやすいため、植物の生育が劣る。また、培地に培養土を用いると、降雨時の雨水が培養土を通過する等の際に、培養土が養液内に溶け出して養液が汚れるので、培地に培養土を用いることは出来なかった。また、温度が高く植物の生育が旺盛なときには、植物の根の酸素要求量が多くなり、養液中に含まれる酸素量では不十分となるので、根への酸素供給についても考慮しなければならない。さらに、養液栽培を行う場合、適切な養液処方を保持することが前提となるが、降雨による雨水が養液中に混入することにより、養液の組成や濃度が変化してしまい、適切な養液処方を保持できないという問題があった。以上の点から養液栽培を家庭の庭先やベランダ等で行うことは実質的に不可能であった。
【0005】
また、本発明者は、特願2001−228004において、養液の貯留部を有する容器本体と、当該貯留部の上方に設けられる培養土を収容する栽培ベッド、及び、培養土に養液を供給する給液手段等を備えた簡易式養液栽培容器であって、当該容器本体の上面を被う蓋を備える栽培容器を提案している。この発明では、植物を通す開口部を有する蓋により容器が被われているので、雨水の流入が抑えられ、雨水が養液中に混入するという問題は生じない。また、当該蓋によって栽培ベッドの培養土の湿度を適度に保つことができる等の利点がある。一方、当該蓋の存在により、蓋に設けられた開口部以外では植物を育てることができないため、植苗や種まき等の際に位置の制約をうけ作業が行いにくいという問題があった。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みて提案されたものであって、野菜等の植物を簡単に養液栽培することができる簡易式養液栽培容器を提供することを目的とする。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−275504号公報
【特許文献2】
特開平10−215713号公報
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の簡易式養液栽培容器は、植物を育成するための培養土が配置される培養土配置部と、前記培養土配置部の下方に位置する養液貯留部と、前記養液貯留部と前記培養土配置部とを仕切りかつ前記養液貯留部の上方に所定の空間をおいて設けられるとともに前記植物の根を培養土の下方へ導くための仕切り部開口を有し当該仕切り部開口以外の部分が非通水性である仕切り部と、前記培養土配置部に配置された培養土へ前記養液貯留部に貯留した養液を供給する給液手段と、前記仕切り部の上面の水を回収して当該水が養液貯留部に流入するのを防止する排水機構と、を有することを特徴とする(請求項1)。
【0009】
このように構成された簡易式養液栽培容器では、上記栽培ベッドと貯留部との間に空間を設けているので、当該栽培ベッドに収容された培養土によって養液が汚れにくい。また、栽培植物は栽培ベッドに収容された培養土から肥料と酸素とを取り込みながら根を張ることができるとともに、その生育に伴って貯留部の養液中にも直接根を出して養水分を吸収することができる。しかも、貯留部の養液は栽培植物に吸収されたり蒸発したりして経時的に減少していくので、栽培植物の根が養液中に長期間浸漬されるのが回避される。このため、栽培植物が根腐れしにくい。さらに、栽培植物の生育が旺盛で根の酸素要求量が多いときであっても、栽培植物は栽培ベッドの培養土より酸素を効果的に取り込むことができるので、酸素不足となる可能性が少ない。また、培養土に含まれる微生物の働きによって様々な養分を吸収することも可能である。さらに、養液貯留部と培養土配置部との間に非通水性の仕切り部を設け、仕切り部の上面の水を回収して、当該水が養液貯留部に流入するのを防止する排水機構が設けられている為、雨水や水やりの水が養液に混入することが抑制されるとともに、培養土が養液内に溶けだして養液が汚れることが抑えられる。
【0010】
前記簡易式養液栽培容器は、植物を育成するための培養土が収容されるとともに、前記植物の根を培養土の下方へ導くための前記仕切り部開口を有する栽培ベッドを備え、当該栽培ベッドに収容された培養土が前記培養土配置部に設けられるとともに、当該栽培ベッドの底面が、前記仕切り部を構成していることを特徴とするのが好ましい(請求項2)。この場合は、栽培ベッドが培養土を収容できるので、培養土の配置を簡便に行うことができ、栽培ベッドの底面自体が非通水性の仕切り部を構成しているため、栽培ベッドとは別個に底板等の仕切り部を設ける必要が無い。
【0011】
また前記簡易式養液栽培容器は、前記植物を育成するための培養土が収容されるとともに、前記植物の根を培養土の下方へ導くための開口部を有する栽培ベッドを備え、当該栽培ベッドに収容された培養土が前記培養土配置部に設けられ、当該栽培ベッドの底面部分の少なくとも一部は通水性を有し、さらに、当該栽培ベッドとは別体の前記仕切り部を、当該栽培ベッドの下方に備える構成としてもよい(請求項3)。なお、ここで底面部分とは、栽培ベッドの底面のうち、前記植物の根を培養土の下方に導くための開口部以外の部分をいう。この場合、栽培ベッドの底面部分は通水性を有するため、降雨等で過度の水分が培養土中に注入された場合でも、余分な水分を速やかに培養土外に放出できる。また、栽培ベッドとは別に設けられた仕切り部により、培養土が養液内に溶けだして養液が汚れることが抑制される。
【0012】
また、この場合において上記通水性を有する栽培ベッドの底面部分の少なくとも一部は、網目状に形成されているのが好ましく(請求項4)、この場合には、植物を育成するための培養土を収容し、かつ培養土内から仕切り部への排水がより円滑となる栽培ベッドを簡単に構成することができる。
【0013】
前記排水機構は、前記仕切り部の上面から流下する水を受ける樋状部を含むものが好ましい(請求項5)。このようにすると、単純な構造で排水機構を構成することができる。
【0014】
前記排水機構は、前記仕切り部の上面から前記仕切り部開口への水の流入を阻止する流入阻止手段を含むものであってもよく(請求項6)、この場合には仕切り部の上面から仕切り部開口内に水が流入しにくくなり、養液内に水が流入することが効果的に抑制される。
【0015】
また、前記簡易式養液栽培容器は、前記培養土配置部に配置された培養土を透過することなく前記養液貯留部に養液を注入可能な養液注入部をさらに備えていてもよく(請求項7)、この場合には、前記養液注入部を通して培養土を透過させることなく貯留部に直接養液を注入することができるので、当該養液が培養土によって汚れるのを抑制することができる。
【0016】
前記簡易式養液栽培容器は、前記給液手段が、前記培養土配置部より前記養液中に垂下され、浸透圧によって前記培養土へと前記養液を供給する吸水部材であり、この吸水部材が、前記栽培ベッドの底面から下方に突出する通水可能な中空の突起部に収容されていてもよい(請求項8)。この場合には、養液中に垂下された吸水部材は、貯留部の養液を浸透圧の作用によって栽培ベッドに収容された培養土へ供給することができる。また、突起部を養液中に浸漬することによって、貯留部の養液を突起部内部の吸水部材を介して栽培ベッドに収容されている培養土へ効率的に供給することができる。また、発芽または苗の活着後、速やかに上記突起部に栽培植物の水中根を発生させることができるので、当該植物を良好に生育させることができる。
【0017】
また、前記簡易式養液栽培容器は、前記栽培ベッドが複数であり、かつそれら複数の栽培ベッドの配置が変更可能であってもよく(請求項9)、この場合には、比較的取り扱い易い大きさの栽培ベッドを複数用いて栽培容器を大型化できるため、栽培面積を広くすることができる。また、栽培ベッドの配置を自由に変えることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る簡易式養液栽培容器の一実施の形態を示す断面図であり、図2及び図3はそれぞれこの簡易式養液栽培容器に用いられる容器外殻部及び栽培ベッドを示す斜視図、図4は、図1のA−A線(図1参照)における断面図である。以下、図に基づいてこの簡易式養液栽培容器について説明する。
【0019】
図1に示す実施の形態の簡易式養液栽培容器は、養液Xを貯留する貯留部2を内部に有する容器外殻部3を備え、容器外殻部3内の上部には、栽培植物Aを定植または播種するための培養土Bが収容された栽培ベッド4が着脱自在に配置されている。培養土Bの厚さは3〜4cm程度である。容器外殻部3は合成樹脂からなり、図2に示すように底面と四方の側面とにより構成される上方開口した箱形であり、従来のプランターとほぼ同じ大きさのもので、最大幅が24cm程度、最大長さが75cm程度、高さが22cm程度のものである。この容器外殻部3の四方の側面の上部には縁部3aが設けられており、また図2に示すように、長辺側の2つの側面3bの内面には、栽培ベッド底面から流下する水を直接受けつつ、栽培ベッド4を支持する略凹形断面の樋状部3cが設けられている。
【0020】
図4に示すように、この図1に示す実施の形態においては、樋状部3cは容器外殻部3とは別体にて成形されたものであり、4方に側面を有する容器外殻部3のうち長辺側の側面内側に接着等により固着されている。樋状部3cの内側上端に栽培ベッド4が載置されることにより、栽培ベッド4は樋状部3cに支持されている。栽培ベッド4の底面4aの長辺部4a1(図4における底面4aの左右端)は、樋状部3cの溝部分にさしかかる位置に設けられており、これにより栽培ベッド4の底面4aから流下した水は貯留部2に落下することなく樋状部3cに流入するようになっている。このように、栽培ベッド4の底面4aの長辺部4a1は、当該端部4a1から流下した水が樋状部3cに落下するように配置されているが、かかる位置に栽培ベッド4を位置決めすべく、栽培ベッド4の長辺側側面4bの両端部には栽培ベッド4の位置決めをする位置決め用突起4g(図3参照)が設けられている。尚、樋状部の形状は本実施態様のような略凹形状に限定されず、断面U字型等であっても良いことは言うまでもない。また、図4に示すように、栽培ベッド4を容器外殻部3内に載置させた通常使用状態において、栽培ベッド4の周縁部上端4zは、容器外殻部3の周縁部上端3kよりも高くしている。このようにすると、容器外殻部3内に載置した栽培ベッド4を取り出し易くなり好ましい。また、樋状部は、容器外殻部とはそれぞれ別体にて成形し、容器外殻部に固着した方が、容器外殻部及び樋状部の成形が容易となり好ましい。樋状部3cの溝の深さは5〜7mm程度、溝幅は8〜12mm程度が好ましい。
【0021】
また、図2に示すように、容器外郭部3の四隅に、樋状部の溝内の水が容器外に排出されるように、樋状部の溝と連通した排水口3fが設けられている。また、栽培ベッド4の底面4aとその貯留部2との間に、好ましくは高さ2.5〜3.5mm程度の空間D(図4参照)が形成されるような位置に、水位限界排水口50を設けている。これにより、貯留部2に溜めた養液Xに培養土Bが浸漬されるのが回避されることになる。
【0022】
さらに、排出口3fから排出された水が流れ落ちる縦方向排水路3gが、4つの排水口3fのそれぞれの位置に設けられている。この縦方向排水路3gは、容器外殻部3の外側の面の四隅に容器内側に向かってくぼみを形成することで構成され、容器の長辺側側面3bと短辺側側面3d、3eとが交わる稜線に沿って、排水口3fから容器外殻部3の底面方向に向かって設けられている。この縦方向排水口により、排水を容器外殻部3の底面に導くことが出来る。なお、縦方向排水溝3gは、このように容器の外側面にくぼみを設ける場合に限らず、容器の外側面にはくぼみを設けずに容器の内部に溝を設ける場合や、パイプ状のもので排水するもの等でもよい。
【0023】
また、短辺側の一側面3dには、上下に2つの穴3hと、この2つの穴3eを連通する透明なパイプ状の水位計3iとが設けられている。この水位計3iよって、容器内に貯留された養液Xのレベルを確認することができる。また、水位計3iは、各穴3hに対して取り外し可能に嵌合されており、水位計3iを取り外した状態では下側の穴3hより容器本体3内に貯留された養液Xを排水することができるようになっている。なお、上記容器本体3の貯留部2は養液Xを20〜34リットル程度貯留できるものであるのが、養液Xの補給を頻繁に行う必要がないことから好ましい。なお、パイプ状の水位計3iの代わりに、容器外殻部3の側面の一部を透明にして養液Xの水位がわかるようにしてもよい。
【0024】
栽培ベッド4は合成樹脂からなり、図3に示すように底面4aと四方の側面のうち長辺側側面4bと、短辺側側面4cを備える直方体形のものである。なお、栽培ベッド4の形状はかかる直方体形に限られず、円筒形等種々のものが作製可能である。この栽培ベッド4の底面4aは、植物の根を培養土の下方に導くための仕切り部開口4xを除いて非通水性となっている。よって、この底面4aが仕切り部となっている。一方、長辺側側面4bは網目状に形成されており、その網目を通して培養土を透過した雨水等の水が、栽培ベッド4の底面4aの非通水性部分から樋状部3cへと流れ込むようになっている。また、上記底面5aには、吸水ひも5を通すためのひも穴4eが複数箇所設けられている。また、短辺側側面4cには、栽培ベッド4が持ちやすいように、くぼみ部4sが設けられている。
【0025】
図4の断面図に示すように、栽培ベッド4の底面4aは、その中央部分から、栽培ベッドの長辺側側面4a方向に向かって水が流下するように傾斜している。このような傾斜があると、培養土7を透過した雨水等の水が栽培ベッドの底面4a上を流下しやすくなるので好ましい。
【0026】
また、傾斜の態様としては、本実施形態のように2方向への傾斜でなく1方向への傾斜や複数方向への傾斜等でもよい。即ち、傾斜の態様を屋根の形状に例えると、本実施例の傾斜形状は長辺側の2方向に水が流下する切妻造り形状であるが、片流れ形状、寄棟造り形状、入母屋造り形状、宝形造り形状等のいずれでも良い。但し、水の流下経路が比較的短いため水が円滑に排出されやすく、かつ形状も単純で成形しやすいという点では、切妻造り形状が好ましい。
【0027】
図1及び図3に示すように、栽培ベッド4の底面4aに、下方に突出しかつ栽培ベッド4の短辺に沿って延びる中空の突起部4iが、所定間隔毎に複数個形成されている。図3に示すように上記底面4aの突起部4iに対応する部分は開口しており、この開口が仕切り部開口4xであって、突起部4iの内部に後述する吸水部材C(図1参照)を収容できるようになっている。仕切り部開口4xの周縁には、仕切り部としての底面4aの上面から仕切り部開口4xへの水の流入を抑制する流入阻止手段として縁部段差4jが設けられている。この縁部段差の高さは4〜6mm程度が好ましい。底面4aにはひも穴4eが複数箇所設けられており、このひも穴4eに吸水ひも5が挿通されている。吸水ひも5は、収容された培養土Bに対して貯留部2の養液Xを供給するための給液手段であり、複数本垂れ下げられている。この吸水ひも5は、養液Xを浸透圧の作用により栽培ベッド5に収容された培養土Bへ供給する。このように、突起部4iと吸水ひも5の両方を備えることにより、養液の水位が高い場合には突起部4iにより養液が培養土Bへと供給され、養液の水位が比較的低い場合には吸水ひも5により養液が培養土Bへと供給されるので、養液の水位変動に対応することができる。
【0028】
なお、図1に示す実施の形態では、仕切り部開口4xの下方に中空の突起部4iを設けて当該中空部に吸水部材を充填したが、突起部4iを設けることなく、例えば平面網目状等のように、植物の根を培養土の下方に導くことが出来かつ培養土が落下しないような素材により仕切り部開口を形成することもできる。なお、仕切り部開口4xの開口面積は、仕切り部(図3に示す実施形態においては、仕切り部開口4xの開口面積を含む栽培ベッド4の底面全体の面積)の3%以上50%以下、更に好ましくは5%以上30%以下、特に好ましくは5%以上20%以下がよい。仕切り部開口4xの面積が大きすぎると、当該仕切り部開口4xから養液内に水が流れ込む可能性が高くなり、仕切り部開口4xの面積が小さすぎると、植物の根が培養土の下方にのびている部分の領域が制約され、植物の植苗位置や植物の植苗本数に制約を受けてしまい、あるいは植物の根が仕切り部開口に入りにくくなってしまうからである。
【0029】
上記栽培ベッド4の突起部4i内には、天然樹皮のチップやピートモス等の吸水部材Cが収容されており、栽培ベッド4には上記吸水部材Cを覆った状態で、栽培植物Aを定植または播種するための培養土Bが収容されている。この様に、仕切り部開口4xから下方に突出する中空の突起部4iを設け、その内部に、吸水部材Cを充填することにより、培養土Bが養液X内に落下することが抑制される。
【0030】
上記栽培ベッド4は、容器本体3に内に収容された状態で養液Xが最上位まで貯留されると、その突起部4iの根本付近まで養液Xに浸漬される(図1参照)。このため、養液Xを突起部4i内の吸水部材Cを介して栽培ベッド4の培養土Bへ効率よく供給することができる。また、発芽または苗の活着後、速やかに上記突起部4iに水中根を発生させることができるので、栽培植物Aを良好に生育させることができる。また、養液Xの水位が突起部4iの下方まで下がると、吸水ひも5を介して養液Xを培養土Bへ供給することができる。
【0031】
上記栽培ベッド4は、図5および図6に示すように底面4aに所定間隔で複数形成された突起部4iのうちの一部を他よりも深くした深突起部4kとしてもよく、この場合には、より長期間に亘って養液Xを培養土Bへ効率よく供給することができる。なお、この場合には、吸水ひも5は省略することができる。また、深突起部4kを栽培ベッド4と別体とし、突起部4iの一部に着脱自在に取り付けるようにしてもよい。図1に示す実施の形態のプランターの大きさでは、深突起部4kの長さは8〜10cm程度が適当である。
【0032】
また、図5に示す簡易式養液栽培容器の構成に加えて、栽培ベッド4の下方に所定の間隔を空けて、天然樹皮のチップからなる樹皮ベッド70を設けた構成としてもよい(図7参照)。この場合、樹皮ベッド70には、突起部4iおよび深突起部4kを挿通させる開口70aを設けておく。このような樹皮ベッド70を設けると、栽培植物Aの根の量をより多く確保することができるので、生育状態を極めて良好にすることができる。
【0033】
なお、上記突起部4iおよび深突起部4kは、栽培ベッド4の長辺に沿って延びるものであってもよく(図8参照)、この場合には、水中根をより効果的に発生させることができる。さらに、特に大型の栽培容器の場合には、上記突起部4iおよび深突起部4kは、栽培ベッドの長辺に沿って延びるものと短辺に沿ってのびるもの等、突起部の向きを種々変えたものを混在させることもできる。
【0034】
また、図3に示すように、栽培ベッド4内部の4方の隅のうち1箇所には、養液Xを貯留部2に注入するための養液注入部4hが設けられている。この養液注入部4hは、上側が開口しており、栽培ベッド内の非通水性の仕切り壁4p及び栽培ベッドの側面、さらに網目状の底面により構成される。
この養液注入部4hは、上端面が広口でかつ底面に向かって開口面積が若干狭くなるように略漏斗状に構成されている。ここで、側面4bのうち仕切り壁4pで仕切られた注入部内部側の部分は網目状でなく非通水性の板状になっている。従って、養液注入部4hの周囲の立壁は非通水性の壁により形成されている。また、栽培ベッドの底面4aは非通水性であるが、仕切り壁4pで仕切られた養液注入部内部の底面は網目状になっており、養液の注入を可能としている。また、仕切り壁4pは網目状の底面よりも下方に向かって垂下延長されており、養液注入の際に、養液が培養土内に入ることを防いでいる。また、4hの上面開口部の周囲には、養液注入時に養液が飛散することを防止する飛散防止縁部60が設けられている。さらに、この養液注入部4hの開口部分を塞ぐための蓋4nが設けられている。なお、養液注入部については成形状別体として取り扱っても良い。
【0035】
以上の構成により、上記養液注入部4hを通して貯留部2に養液Xを注入する際に、栽培ベッド4に収容された培養土Bが洗い流されないようになっている。即ち、栽培ベッド内の一部を仕切った養液注入部4hを設けることにより、養液Xが培養土を透過することなく直接貯留部2に注入されるので、養液注入時に養液Xが汚染されることがなく、また培養土Bが養液Xにより流出するのが防止される。また、養液を注入する時以外は、蓋4nにより養液注入部4hの開口部分を塞ぐことにより、雨水が貯留部2内に入ることが防止される。なお、養液注入部4hは、栽培ベッド4とは別に単独で成形するのが、栽培ベッド4の成形が容易になるので好ましい。
【0036】
また、この養液注入部4hは、養液配合を所望の配合に調整するのにも役立つ。即ち、養液注入部4hの内部に別途計量した肥料(固形、粒状、粉状等)を置き、上から所定量の液体(水等)を注入して、肥料を水等に溶解させつつ貯留部2内に養液Xを注入することにより、所望の養液配合を得ることが出来る。さらに、養液注入部4h自体を、肥料の計量カップとして利用することも可能である。即ち、養液注入部4h内部全体に肥料を充填することにより肥料が計量できるので、養液注入部4h内部に肥料を充填したのち、所定量の水を、肥料を溶解させつつ注入する事ができる。また、養液注入部4hの内壁に計量用の目盛りを設けることもできる。この場合は、肥料の計量の自由度が高くなり好ましい。また、養液注入部4hの底面は、網目状等の通水性を有する構造である必要があるが、粒状や粉状の肥料が透過せずに正確に計量できるようにするため、目の大きさが0.5〜3mm程度の比較的細かいものが好適である。
【0037】
なお、養液注入部として、このような養液注入部4hを設ける代わりに、栽培ベッド4と容器外殻部3の間に養液注入用の隙間を設けて、この隙間に、別体であって底面部がネット状になったカゴをはめ込み、この部分から養液を注入できるようにしてもよい。このカゴの底面部の両端を樋状部3cに載置させることにより、カゴを固定することができる。この場合、樋状部3cに水が流れ込まないようにするため、カゴの底面の両端から下方に向けて突出した壁状突起(ストッパー)を設ける。さらに、雨水等が養液貯留部に入らないようにするため、当該隙間(カゴ)を覆う開閉可能な蓋を設けるのがよい。この蓋は、その上面から樋状部3cに水が流れ込むようにするため、樋状部3cに流れ込むような溝を上面に有し、かつ取っ手を有する置き蓋とすることができる。
【0038】
上記栽培ベッド4に収容される培養土Bとしては、ピートモス、堆肥、腐葉土、バーミキュライト、パーライト、赤玉土、鹿沼土、木質廃材等から1種または2種以上が選択されるが、特に通気性の良い赤玉土の配合割合が高いものが好ましい。また、市販されている園芸用土を用いるのが、配合する手間がかからないので好ましい。
【0039】
上記のように構成された簡易式養液栽培容器を用いて植物を栽培するには、まず中空の突起部4iに内部に吸水部材Cを収容した後、栽培ベッド4に培養土Bを収容する。次に、培養土Bに種を播くか或いは苗を定植する。このように定植または播種を終えてから、養液注入部4hから養液を入れ、養液を底面吸収させると水はねも無く作業もしやすい。この際栽培ベッド4を容器外殻部3から取り外した状態のみならず、栽培ベッド4を前記培養土配置部に配置した状態であっても、培養土Bの収容及び種まきや植苗が可能である。前記非通水性の仕切り部としての栽培ベッド4の底面4cが存在することにより、培養土Bの収容時に培養土Bが養液収容部2に落下することが抑えられるからである。また、水やりを行って培養土Bを安定させる場合もあるが、この際、栽培ベッド4を前記培養土配置部に配置した状態であっても水やりが可能である。これは、水やりの際栽培ベッド4から流出する水は、養液貯留部2に流入することなく栽培ベッド4の底面4aから樋状部3cを通って容器外に排出され、養液Xを汚染することがないからである。また別途、養液注入部4hを通して貯留部2を満たすまで養液Xを注入しておく。養液の注入は栽培ベッド4を配置した後に行い、この養液Xを吸水させることによって、培養土Bを安定させることもできる。以後、容器本体3の貯留部2の養液Xが液切れしない程度の間隔で、容器本体3の外部から養液注入部4hを通して養液Xを補給する。この際、養液Xは培養土Bを透過することなく直接貯留部2に注入されるので、養液Xが汚染されることがなく、また、培養土Bが養液Xにより流出するのが防止される。
【0040】
以上により、栽培植物Aは栽培ベッド4の培養土Bで肥料と酸素とを取り込みながら根を張り、その生育に伴って養液X中にも直接根を出して養水分を吸収しながら成長することができる。
【0041】
養液Xについては、ハイポネックス(登録商標)又は、固形あるいは粒状の肥料等の市販の肥料を水で希釈したものを使用する。ハイポネックス(登録商標)の場合は、水で1000〜3000倍程度希釈したものを使用する。
【0042】
また、栽培ベッドについては、図3に示す実施の形態の栽培ベッド4に代え、図9に示すように、図3に示す実施の形態の栽培ベッド4の底面にさらに多数の小開口部4qを設ける態様としてもよい。小開口部4qは、穴の大きさは直径が7〜8mm程度とするのがよい。また、穴の周縁部分には高さ5mm前後の縁部段差が設けられており、かかる縁部段差によりパイプ状突起を形成する。この段差により底面4aから小開口部4q内に水が流れ込みにくい様になっている。小開口部4qの設置間隔は、近接する小開口部間における縁部段差の最小距離が10mm程度の間隔となるように設置するのが好ましい。以上のような構成とすると、小開口部4qより水または培養土Bが養液X内に流入する可能性があるので、図3に示す実施の形態と比較して養液が汚染または希釈される可能性が高まるが、小開口部4qより根が出ることによりより多数の水中根を発生させることができ、また、定植または播種の位置の自由度が高まる。
【0043】
また、栽培ベッド底面に関して、図3に示す実施の形態に代えて、図10のように細かい傾斜をさらに設けた形態としても良い。図10では、図3(図4)に示す実施の形態における切妻造り形状の傾斜に加えて、さらに細かい傾斜が設けられている。この細かい傾斜は、栽培ベッド4の長手方向に向かって山、谷、山、谷・・・と連続して設けられており、山の稜線及び谷を形成する線は栽培ベッドの短辺側側面4cと略平行になっている。更に、栽培ベッド4の長手方向の位置に関し、山の稜線の位置は、仕切り部開口4xの領域内に設ける。好ましくは山の稜線位置を仕切り部開口4xの中心位置と略一致させる。このように、仕切り部の上面から仕切り部開口への水の流入を阻止する流入阻止手段として、仕切り部開口4xに水が流れ込みにくくなるような傾斜を仕切り部に設けることにより、仕切り部開口4xに水がより一層流れ込みにくくなる。さらに、山の稜線の長手方向位置を中空の突起部4iの中心位置と略一致させた場合、栽培ベッド底面4aから突起部4iに水が流れ込むことがより効果的に防止される。また、仕切り部の上面から仕切り部開口への水の流入を阻止する流入阻止手段として、仕切り部開口4xに水が流れ込みにくくなるような傾斜を仕切り部に設けることにより、仕切り部開口4xの周縁に周縁段差を設けなくても仕切り部開口からの水の流入が抑えられる。この場合、周縁段差がないので植物の根が仕切り部開口に入りやすくなるという利点がある。
【0044】
図3に示す実施の形態においては、栽培ベッドの長辺側側面4bは網目状であったが、図11のように、長辺側側面を網目状でなく非通水性の側面板4tとし、側面版4tの最下部に、底面側面板4tと底面4aとの接合部分に沿って側面開口部4vを適宜設けることも可能である。側面開口部4vは、栽培ベッド底面4a上の水を排出できる位置に設ける。このようにした場合には、図3に示した実施の形態の栽培ベッドと比較すると、長辺側側面の全面が通水性を有さないため排水性が若干劣るが、生産コストが安くなるという利点がある。
【0045】
以上のように、上記簡易式養液栽培容器は培養土Bと養液Xとを併用して植物を栽培するものであり、また培養土Bと養液Xの間に仕切り部を有し、かつ、当該仕切り部の上面から容器外へと水が排水される排水機構を有するので、以下の利点を有している。
(1)非通水性の仕切り部を有するため、培養土Bが養液X内に落下することが防止され、培養土Bにより養液Xが汚染されることが少ない。
(2)培養土Bが降雨等により過度の水分を含んだ場合でも、培養土Bを透過した水分は仕切り部である栽培ベッド4の底面4aから樋状部3cを経由して容器外へと排出されるので、養液Xに水分が流れ込むことが抑制され、養液Xの組成が保持されやすくなる。
(3)夏期におけるコンクリート上等の渇水環境下においても、少ない水やりで栽培が可能である。
(4)養液栽培では不可能な、土付きポット苗の定植が可能である。
(5)病害虫は主として土の中より発生しやすいが、排水性が良く、また気相の割合が高いので、土耕栽培と比較して使用する土の量が少ないため、病害虫の発生が土耕栽培よりも少ない。
(6)培養土Bを覆う蓋が無いため、雨水が培養土Bに供給される。よって、特に夏期において、水やりの手間を省くことが出来る。
(7)培養土Bを覆う蓋が無いため、植苗や種まきの位置の制約が少なく、かつ、植苗や種まきの作業が容易である。
(8)従来の養液栽培では、栽培植物Aの種類に応じて肥料の専門的な処方が必要であるが、上記簡易式養液栽培容器を用いると、栽培植物Aが培養土Bと養液Xの双方から養分をバランスよく吸収することができるので、肥料の専門的な処方が不要であり、培養土Bの有する緩衝能と相まって、肥培管理が容易となる。
(9)草花を栽培する場合は、養液濃度(処方)の幅が特に広いため、栽培が一層容易となる。
(10)根の酸素要求量が多くなる栽培植物Aの生育が旺盛なときであっても、栽培植物Aは栽培ベッド5の培養土Bより酸素を取り込むことができるので、酸素不足になるおそれがない。
(11)容器本体3内に貯留した養液Xは、栽培植物Aに吸収されたり蒸発したりして経時的に減少していくので、栽培植物Aの根が養液中に長期間浸漬されるのが回避され、栽培植物Aが根腐れするおそれがない。
(12)栽培植物Aは、従来の養液栽培では不可能であった培養土B中の微生物の働きによる種々の養分の吸収が可能であるので、栽培植物Aを効率よく生育させることができる。
(13)培養土Bによって根が酸素不足になるのが防止されるので、容器本体3に一度に多量の養液Xを注入することができる。このため、養液補給のための労力が少なくて済む。
(14)養液栽培では見られない自然栽培と同様な体積の大きい毛細根が発達し、酸素を十分に取り込むことができる。
(15)培養土Bと養液Xを組み合わせることにより、少ない培養土で野菜類、草花類の栽培が可能となる。
(16)少ない水やりで栽培することが可能であるため、渇水環境における栽培、例えば屋上緑化用の栽培容器として好適である。
したがって、素人でも簡単かつ効率よく植物を栽培することができる栽培容器となる。
【0046】
また、図1(図4)に示す実施の形態では、樋状部3cの上端に栽培ベッド4が載置されることにより、栽培ベッド4が樋状部3cに支持されているが、かかる樋状部により支持する場合に限られず、例えば栽培ベッド周縁部上端の4zを容器外側に向けて折り曲げる形状として水平方向に延長した水平面を設け、当該水平面を容器外殻部3の周縁部上端3k上に載置してもよい。
【0047】
図12は簡易式養液栽培容器のさらに他の実施の形態を示す断面図であり、図13はこの簡易式養液栽培容器の栽培ベッドを示す斜視図である。また、図14は、栽培ベッドの下方に設けられる仕切り部としての板状部材の斜視図、図15はB−B断面(図12参照)における断面図である。以下、図に基づいてこの簡易式養液栽培容器について、図1に示す実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0048】
図12に示す実施の形態の容器では、栽培ベッド4と養液貯留部2の間に、養液貯留部2から2.5〜3.5mm程度の所定の間隔をおいて養液貯留部2を覆うように、栽培ベッド4とは別体の板状部材9が設けられている。栽培ベッド4は、図12及び図13に示すように、植物を底面から下方に突出しかつ栽培ベッド4の短辺に沿って延びる開口部4xと、当該開口部4xから下方に突出する中空の突起部4iが、所定間隔毎に複数個形成されている。この突起部4iの内部に吸水部材Cを収容できるようになっている。図3に示す実施の形態と異なり、側面は板状の樹脂でありかつその底面4a全体が目の大きさが2〜3mm程度の網目状に形成されている。従ってこの底面4aは、開口部4x以外の底面部分4yを含め通水性を有する。また、側面4bの上部には水平方向に突出した枠部4mが設けられている。また、図12に示す実施の形態では、図1に示す実施の形態と異なり、底面4aにはひも穴4eを設けず、突起部4iの底面にひも穴を設け、ここに吸水ひも5aを挿通している(図12の吸水ひも5aを参照)。この場合は、底面4aに設けるひも穴の数を減らすことができる。なお、図13に示す実施の形態においても、養液注入部4hは別体とすることが好ましい。かかる別体の養液注入部は、その周囲の立壁が一体となって成形されたもので、この立壁は、前記仕切り壁4p及び、図13に示す実施形態で栽培ベッド4の側面4bのうち仕切り壁4pで仕切られた注入部内部側の部分、から構成されている。この別体の養液注入部は底面を有さず、栽培ベッド4の網目状の底面4yが養液注入部の底面を兼ねている。かかる別体の養液注入部は、栽培ベッド4の側面4cまたは4bの上端縁部に係止されることにより固定される。このような別体の養液注入部は、形状が単純で成形しやすいので好ましい。
【0049】
図14に示すように、板状部材9には、栽培ベッド4の突起部4iに対応する位置に仕切り部開口9aが設けられ、栽培ベッド4の突起部4iを収容する。また、当該仕切り部開口9aの周縁には高さ7〜8mm程度の段差9bが設けられている。さらに、板状部材の周縁部数カ所には、位置決め用の突出部9cを備える。
【0050】
図15に示すように、栽培ベッド4はその上端周縁から水平方向にのびる枠部4mを有しており、この枠部4mが容器外殻部3の縁部3a上に着脱自在に戴置されている。板状部材9は、樋状部3cの端部に戴置されるとともに、位置決め用突出部9c(図14及び図15参照)が容器外殻部3の内面に当接することにより、その縁部9dが樋状部3cの溝部分にさしかかる位置に配置される。これによって、栽培ベッド4の底面4aを通過した水は、板状部材9から樋状部3cへと流れて、養液貯留部2に流れ込むことがない。
【0051】
ここで、栽培ベッド4の底面4aと板状部材9の間には隙間Eを設けている(図15参照)。この隙間Eは、栽培ベッド4の深さと、仕切り板である板状部材9の配置位置を調整することにより形成される。このような隙間を設けると、栽培ベッドの底面4a内の水が滞留することなく底面4aを透過し水が栽培ベッド4の外に速やかに排出されるので好ましい。この隙間Eは5mm程度が好ましい。なお、板状部材9においては、図4に示す実施の形態における栽培ベッド底面部4aと同様、傾斜を設けても良いが、前述のごとく、栽培ベッド4の底面4aと板状部材9の間には隙間Eを設けているため、かかる傾斜が無くても円滑な排水が可能である。従って、板状部材9は平面状という単純形状のもので済み、生産コストが低くなる。また、傾斜を設けないで済む分、板状部材9の設置スペース(高さ方向のスペース)が少なくて済み、栽培容器全体の高さを低く抑えることが可能となる。
【0052】
以上の図1〜図15に示す実施の形態においては、一の栽培容器について栽培ベッドが一つであったが、栽培ベッドを2つ以上の複数としても良い。図16に断面図を示す実施の形態では、栽培ベッドが2つとなっていることと、容器が大きくなっていること以外は、図15に示す実施の形態とほぼ同様の構造である。2つの栽培ベッド4、4は、隣接境界20を挟んで並列して配置される。図17はこの変形例の斜視図である。図16に示すように、各栽培ベッド4、4の上方開口を形成する周縁の四辺のうち隣接境界20側の一辺以外の3辺は枠部4mを形成している。この枠部4mは栽培ベッド4、4の前記3辺の上方周縁から水平方向に延びており、この枠部4mが容器外殻部3の縁部3a上に載置され、これにより各栽培ベッド4、4がそれぞれ固定されている。このように栽培ベッド4、4はその隣接境界20側の1辺を除く3辺に枠部4mを設け、この枠部4mが容器外殻部図3の縁部3a上に載置されることにより、図16に記載する隙間Eを確保している。また図16に示す実施の形態は図15に示す実施の形態と比較して大型の容器のため、図17に示すように移動を容易とすべくキャスター23をその底面四隅に取り付けている。このキャスター23は着脱可能としており、移動させるとき以外は車輪をはずすことにより容器が安定的に設置される。容器外殻部3の四方の側面のうち短辺側の一の側面には、養液水位確認用の透明窓21と養液排水口22が設けられている。この養液水位確認用の透明窓21に水量を示す目盛り(例えば10リットル間隔の目盛り)を設けておくと、肥料の投入量に対応した水量を確認しつつ水を注入して、養液の組成を正確に設定することが容易となる。なお、養液注入部4hは、複数の栽培ベッドのうち一の栽培ベッドに設ければ足りる。また、栽培容器の底面から下方に延びる突起である足部を適宜設け、キャスター23を取り外した際はかかる足部により地面と栽培容器底面との間に隙間を確保するのもよい。かかる隙間により、地面、特に屋上などのコンクリート面からの熱伝達が抑制され、栽培容器や養液の温度が上昇するのが抑制されるからである。
【0053】
このように、複数の栽培ベッドを搭載できるようにすると、比較的取り扱いの容易なサイズの栽培ベッドを用いて、大型の栽培容器とすることができるため、とくに、広い面積にわたって緑化が必要な屋上緑化用の栽培容器として好適なものとなる。本発明の栽培容器は、夏場やコンクリート上などの高温渇水環境においても水やりの手間が省ける利点があるため、屋上緑化用の栽培容器として適するが、さらに容器の大型化が容易となることにより屋上緑化用の栽培容器として優れたものとなる。比較的取り扱いの容易なサイズの栽培ベッドとするためには、栽培ベッド単体の大きさを幅20cm〜24cm程度、長さが68cm〜72cm程度、深さが3cm〜5cm程度とすることが望ましい。また、屋上緑化用として使用する場合、屋上は比較的風が強いことから、栽培容器の高さは20cm〜24cm程度と低めにした方が好ましい。
【0054】
以上、図1〜図16に示す実施の形態においては樋状部を設けたが、樋状部を設けないことも可能である。図17に示す実施の形態は、樋状部を用いない例である。図18は図17に示す実施の形態の斜視図であり、図19は、図18のC−C線の位置における断面図、図21は、図18のD−D線の位置における断面図である。図20は、この実施の形態における、栽培ベッドとは別体の仕切り部としての板状部材30の斜視図である。この実施の形態では、栽培ベッドとは別体の仕切り部として、板状部材30を用いる(図20参照)。この点は図4及び図15に示す実施の形態と同様であるが、異なる点は、仕切り部である板状部材30の上面の水が、その周縁の縁部30cから直接容器外に排水される点である。
【0055】
図18に示すように、本実施形態では6つの栽培ベッドを用い、これらの栽培ベッドが仕切り部である板状部材30の上に並列的に載置されている。個々の栽培ベッドの大きさは図13に示す実施の形態と同程度である。また図18のC−C線の位置における断面図である図19に示すように、この実施の形態では、養液貯留部を有し上方に開口した箱状の貯留容器33の上に板状部材30が載っており、この板状部材30は、貯留容器33の上方開口を蓋状に塞ぐように設けられている。したがって、貯留容器33の上縁33aは板状部材30と隙間無く当接している。
【0056】
図19にあるように、板状部材30は、その四辺のうち短辺側の2辺に沿って、その下側面の周縁部付近から下側に延びる突起30aを有している。この突起30aは、貯留容器33の上方開口の輪郭形状に対応した位置に適宜設けられている。そして、突起30aは貯留容器33の内面上部に内嵌するように当接することにより、板状部材30は容器下部33の上に位置決め固定されつつ載置される。また、図21にあるように、6つの栽培ベッド4は、それぞれ複数の開口4xを有しており、この開口部から下方に突起部4iが延びている。図20に示す板状部材30に設けられた開口30bは、栽培ベッドの突起部4iの位置に対応する位置に設けられている。そして、図21に示すように、栽培ベッド4の突起部4iが板状部材30の開口30bに挿入され、これによって栽培ベッド4が位置決めされている。また、板状部材30の仕切り部開口30bには周縁段差30dがあり、この段差30dの上に栽培ベッド4が載っている。従って、この周縁段差30dの高さ分だけ隙間Eが形成されている。
【0057】
また、図17に示す実施の形態と同様、移動しやすくするために着脱自在なキャスター23を設けている。貯留容器33の四方の側面のうち短辺側の一の側面には、水位限界排水口31と、養液を排水するための養液排水口22を設けている。この水位限界排水口31は、好ましくは仕切り部である板状部材30と養液貯留部2との間に2.5〜3.5mm程度の空間ができるような位置に設ける。養液注入部4hは、図17に示す実施の形態と同様、一の栽培ベッドに設ければ足りる。養液注入部4hには、栽培ベッド4とは別体のカゴを収容するようにするとよい。このカゴは、その中に肥料を置いた状態で水を流し込んで、肥料を溶かすことのできるネット状のものである。なお、このカゴの底面部には、肥料を計量することのできる筒状にした突起物を、カゴの底面部から上方にむかって立設させてもよい。
【0058】
図19に示すように、板状部材30は、貯留容器33の上方開口に蓋をするように貯留容器33上に載置され、板状部材30は、貯留容器33の上方開口形状と同様の形状で、かつ当該上方開口と同一の大きさもしくは少し大きくなっている。従って、板状部材30の縁部30cは、貯留容器33の上縁33aと同じ位置か又は上縁33aよりも外側に突出した状態となる。また、貯留容器33の上縁33aは板状部材30と隙間無く当接している。よって、上縁33aから落下した水は、貯留容器33に入ることなく容器外に排水される。
【0059】
図20に図示される板状部材30の開口部30bの周縁には段差30dが設けられている。この段差30dにより、隙間Eが形成されることに加えて、板状部材30上の水が開口30b内に流れ込みにくくなっている。段差30dの高さは5〜7mm程度が好ましい。さらに、板状部材30には、その領域を区切るように線上突起30eが設けられている。本実施形態では、載置される個々の栽培ベッドの位置に対応させて5本の線上突起30eを設けていることにより、板状部材30が6つの領域に区切られている。このような線上突起を設けることにより、板状部材30上の水がその縁部30cより排水される場合に、この排水が特定の箇所に集中することがなく分散されるので、排水が板状部材30上の仕切り部開口30bの周縁段差30dを越えて仕切り部開口30b内に流入されることがより効果的に抑制される。即ち、仕切り部の上面から仕切り部開口への水の流入を阻止する流入阻止手段として仕切り部開口30b周囲の周縁段差30dに加えて、板状部材の領域を区切る線状突起30eを設けることにより、仕切り部開口30b内に水が流入するのを抑制している。この線上突起の高さは5〜10mm程度が好ましい。
【0060】
図19に示すように、栽培ベッド4と板状部材30の間には隙間Eがある。この隙間Eは、板状部材30に設けた仕切り部開口30bの周縁段差30dにより形成されているが、当該隙間Eの存在により、栽培ベッド4からの排水が円滑に行われると共に、板状部材30上の水が滞留することなくより円滑に排水される。尚ここで、板状部材30は傾斜させていない。図4に示す実施の形態のように適宜傾斜を設けてもよいが、前記隙間Eの存在により傾斜を設けなくても円滑な排水が可能となる点は図15に示す実施の形態と同様である。
【0061】
図18に示す実施の形態では、仕切り部である板状部材30が側面に露出しているが、樋状部を設けない比較的単純な形状の貯留容器33と、同じく形状が比較的単純な板状の仕切り板である板状部材30の組み合わせであるため、製造コストが安いという利点がある。従って、特に大量の栽培容器を設置する必要のある屋上用の栽培容器として好適である。また、屋上用栽培容器の場合、栽培面積をより広くするため、複数の栽培容器を並列的に多数並べて使用する場合が多いと考えられるが、この場合栽培容器の側面はあまり目に触れない状況となるので、仕切り部が側面に露出していても美感上あまり気にならないと言える。なお、複数の栽培ベッド4の並べ方は、図18に示す実施の形態では、略長方形の栽培ベッド4の長辺側が隣り合うように並べられているが、これに限られず、特に屋上の緑化部分を縁取る場合は、例えば栽培ベッド4を縦列的に(栽培ベッド4の長方形の短辺側が隣り合うように)配置したものを2列程度並列して並べても良い。図18に示す実施の形態では、単純な方法として栽培ベッドの内部に養液注入部4hを設けているが、別の態様として、図示しないが、この板状部材30上で栽培ベッド4で隠れない位置に、養液注入部4h、水位確認用窓並びに循環ポンプ取付け部の三つの部分に仕切られたボックス部を設けてもよい。このボックス部は、三つの各仕切りごとに開閉可能な蓋を設けて、養液X内に雨水等が流入するのを防止するのがよい。ボックス部の高さは、栽培ベッド4よりも1〜2cm高くするのが好ましい。また、このボックス部は、栽培ベッド4等とは別個の別体とするのが好ましい。ボックス部は、板状部材30の上であってかつ栽培ベッド4が載っていない部分にボックス部用のスペースを設けて、このスペースにボックス部をはめ込み式で固定できるようにすることにより、設置することができる。
【0062】
ここで、設置された複数の栽培ベッド相互間の隙間に関し、隙間なく設置される必要は必ずしも無く、適宜隙間Fを設けてもよい(図19参照)。当該隙間から雨水が浸入したとしても、当該雨水は仕切り部である板状部材30の上面からその縁部30cへと流れて、養液貯留部2内に落下することなく容器外に排出される。また、当該隙間が無い場合には、栽培ベッドの大きさに個体間で誤差があった場合、栽培ベッドの設置が困難になる場合や配置の変更が困難となるが考えられるが、隙間を設けておけば、そのような個体間の誤差が当該隙間に吸収される。したがって、適宜隙間を設けるほうが好ましい。
【0063】
複数の栽培ベッド4はすべて同一の外形形状としているため、配置を自由に変更することができる。配置を自由に変えられると、草花の外観を好みに合わせて変更でき、また日当たり等を変えることで植物の生育を調整する等が可能になる。また、別途栽培ベッド4と同じ栽培ベッドを用意しておき、植物が発根するまで別の場所で植物を育てた栽培ベッドを、カートリッジのように入れ替えることが容易になる。なお、栽培ベッドの配置が変更可能とするためには、複数の栽培ベッドが同一形状である場合に限らず、例えば、栽培ベッドにおける四方の辺のうち長辺方向の辺の幅は同一で、短辺方向の辺の幅を適宜変化させるような場合や、長辺方向が短くなるように栽培ベッドをさらに分割するような場合がある。いずれにしても、栽培ベッドの配置変更の前後で、栽培ベッド4の突起部4iに対応した位置に設けられた板状部材30の仕切り部開口30bの位置が栽培ベッドの突起部4iに対応していれば、栽培ベッドの配置変更は可能となる。複数の栽培ベッドが同一形状、または同一の外形形状であれば、栽培ベッドの製造金型の種類が少なくて済み、また大量生産が可能になる等コスト的に有利であるという利点がある。また、この栽培ベッド4は平面図において長方形の形状であるが、これと異なり、栽培ベッドを円形状にして、バラエティーに富んだ栽培法を取り入れることもできる。なお、特に図18に示す実施の形態のように栽培ベッドが比較的大型の場合は、養液を循環させるための循環ポンプを取り付けてもよい。この循環ポンプは特に野菜類の栽培に有効である。なお、ミニトマト、ナスなどの大型野菜を栽培する場合は、養水分(養液)の消費量が著しく多いため、栽培ベッドからの無駄な水分の蒸発を少しでも防ぐべく、ビニールシート等のマルチ資材を用いて栽培ベッドを被覆するか、あるいは苗を貫通できる植穴を設けた蓋を被せるのが好ましい。このようにすると、栽培ベッド4の水分の揮散を抑制することができる。
【0064】
このように、比較的扱いやすい大きさの栽培ベッドを複数用いて栽培容器を大型化することにより、とくに屋上緑化用容器として好ましい態様としている。また、栽培ベッドの配置が変更可能であるため、例えば草花等の外観を変更したい場合に好みに応じて自由に配置を変更できる。また、植物の日当たり等、栽培ベッドの位置により栽培環境が異なる場合に、栽培ベッドの配置を変更することにより植物の生育を調整することもできる。
【0065】
また、図22及び図23には、さらに別の実施形態の断面図を示す。図22及び図23に示す実施の形態においては、栽培ベッド4の構造は、図4に示す実施の形態と同じであるが、容器外殻部3の構造は、図4に示す実施の形態と異なる。図4に示す実施の形態では、樋状部3cと容器外殻部3は別体であったが、図22及び図23に示す実施の形態では、樋状部3cが容器外殻部3と一体となっており、樋状部3cが容器外殻部3と一体成形されている。
【0066】
図22及び図23に示す実施の形態では、略長方形で上方開口した容器外殻部3が、上下方向の所定位置から上側の部分において、前記略長方形の短辺方向にかつ容器中心に対して対称に拡幅されている。このため、容器外殻部3の養液を貯留する貯留部2の短辺方向の幅よりも、前記所定位置から上側の短辺方向の幅のほうが大きくなっている。この拡幅された部分に栽培ベッド4が置かれている。
【0067】
図22に示す実施の形態においては、樋状部3cは、容器外殻部3の前記所定位置から水平方向に延びる水平延出部100と、前記所定位置から貯留部2の立壁が垂直方向に延長されて突出した垂直突出部101を有する。樋状部3cは、前記水平延出部100を底面とし、前記垂直突出部101を内側の立壁とし、前記水平突出部100の外側端から垂直方向に延びる容器外殻部3の拡幅部102のうち下側寄りの部分を外側の立壁として形成される。栽培ベッド4は、前記垂直突出部101の上端面の上に載置されている。栽培ベッド4の底面4aの長辺部4a1(図22における底面4aの左右端)は、樋状部3cの溝部分にさしかかる位置に設けられており、これにより栽培ベッド4の底面4aから流下した水は貯留部2に落下することなく樋状部3cに流入するようになっている。また、樋状部3cの底面である水平突出部100に排水口(図示省略)を設けることにより、樋状部3c内の水を容器外に排水することができる。この排水口は、例えば樋状部3cの長手方向両端付近に設けることができる。なお、水平突出部100の幅は10mm程度とし、排水口の直径も10mm程度とするのが好ましい。垂直突出部101の高さは5mm程度がよい。また、拡幅部102の高さは、栽培ベッド4の高さに合わせて4〜5cmとするのがよい。
【0068】
また、図22に示す実施の形態では、栽培ベッド4は図4に示す実施の形態と同一としたが、栽培ベッド4を別の形態としてもよい。例えば、栽培ベッド4の底面4aのうち樋状部3cに差しかかった部分4a2の少なくとも一部に通水性をもたせて、そこから樋状部3cへと排水するようにすることもできる。例えば、4a2を網目状のネットとしたり、あるいはこの4a2に排水用孔を設けて、これら4a2の通水部から排水するようにすることもできる。このようにした場合は、前記4a2の通水性を有する部分から排水できるので、栽培ベッド4の長辺側側面4bを通水性のある網目状等とする必要がない。また、長辺側側面4bから排水する必要が無いので、栽培ベッドの長辺側側面4bと容器外殻部の側面(図22に示す実施の形態では拡幅部102)との隙間を設けなくても良い。この隙間を設けない場合は、位置決め用突起4gは不要である。
【0069】
図23に示す実施の形態においては、樋状部3cは、容器外殻部3の前記所定位置から外側に向かって下方に傾斜して延びる傾斜延出部103を有する。図22に示す実施の形態における垂直突出部101は有していない。樋状部3cは、前記傾斜延出部103を底面とし、前記傾斜突出部103の外側端から垂直方向に延びる容器外殻部3の拡幅部102の一部を外側の立壁として形成される。傾斜延出部103は前述のように容器内側から外側に向かって下方に傾斜しているので、傾斜延出部103上の水は傾斜に沿って流下し容器外側寄りに溜まる。このため、傾斜延出部103及び前記拡幅部102の立壁の下側寄りの部分が樋状部3cとして機能する。栽培ベッド4は、前記傾斜延出部103の内側の頂点104上に載置されている。また、栽培ベッド4の底面4aの長辺部4a1(図22における底面4aの左右端)は、樋状部3cの溝となる部分、即ち傾斜延出部103にさしかかる位置に設けられており、これにより栽培ベッド4の底面4aから流下した水は貯留部2に落下することなく樋状部3cに流入するようになっている。また、図22に示す実施の形態と同様、傾斜延出部103に排水口を設けることにより、樋状部3c内の水を排水することができる。
【0070】
図22及び図23に示す実施の形態では、上記のような構造としたので、樋状部3cを含む容器外殻部3を成形することが容易となり、特に樋状部3cを含む容器外殻部3を一体成形することが容易となる。従って、樋状部3cを有する栽培容器を容易に、かつ低コストで作製することができる。
【0071】
なお、本発明に係る栽培容器の材質については、特に道路や公園等の屋外で使用する場合は、風などで倒れないようにする必要があるので、硬質の材料、あるいは、比重の比較的重い材料を使用するのが好ましい。例えばコンクリートや硬質プラスチック等を使用できる。この場合、養液の水位を確認するための水位計は、容器の側面に水位窓となる開口部を設けて、容器の内側から透明のプラスチックを貼り付ける等の構成とすることができる。なお、この場合も季節に応じた花を植栽できるように、別の場所で育てたものをカートリッジ方式にして入れ替えるとよい。即ち、栽培ベッド4にて別の場所で育てた植物をカートリッジ方式で入れ替えることが出来る。また、特に大量に生産される栽培容器、栽培ベッドにおいては、栽培ベッド4における吸水用の突起部4iの突出長さを7〜8cmに統一して、できるだけ作業性が良く生産性の高いものとした方が良く、併せて吸水ひも5を用いた栽培ベッド4とするのが好ましい。また、一度使用した培養土Bについては再利用(リサイクル)が可能である。例えば、花などの栽培植物を処分した後、この花などを栽培した使用済の培養土に、別の培養土を少量追加することにより、培養土を再利用(リサイクル)することもできる。
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の簡易式養液栽培容器によれば、培養土を用いて養液栽培を行うことができ、降雨等により雨水が養液内に流入することが抑えられるので、養液が希釈または汚染されるのが抑制でき、水やりの手間が省き、植物を簡単かつ良好に栽培することができる。
請求項2記載の簡易式養液栽培容器によれば、栽培ベッドの底面が非通水性の仕切り部を兼用しているので、栽培ベッドの他に仕切り部材を設ける必要が無く構造が簡単となる。また栽培ベッドから培養土が落ちることが極めて少なくなるので、当該養液が培養土によって汚れるのを抑制することができる。このため、植物をより良好な条件で栽培することができる。
請求項3記載の簡易式養液栽培容器によれば、栽培ベッドの底面部分の少なくとも一部は通水性を有するため、降雨等で過度の水分が培養土中に注入された場合でも、余分な水分を速やかに培養土外に放出できる。また、栽培ベッドとは別に設けられた仕切り部により、培養土が養液内に溶けだして養液が汚れることが抑制される。
請求項4記載の簡易式養液栽培容器によれば、栽培ベッドの開口部を網目状に形成しているので、余分な水分を速やかに培養土外に放出できる栽培ベッドを簡単に得ることができる。
請求項5記載の簡易式養液栽培容器によれば、仕切り部の上面の水を回収して当該水が養液貯留部に流入するのを抑制する排水機構を簡単な構造により構成できる。
請求項6記載の簡易式養液栽培容器によれば、仕切り部開口への水の流入しにくくなるので、養液内に水が流れ込みにくい。
請求項7記載の簡易式養液栽培容器によれば、養液注入部によって、養液を栽培ベッドに収容された培養土を透過させることなく貯留部に注入することができるので、当該養液が培養土によって汚れるのを抑制することができる。このため、植物をより良好な条件で栽培することができる。
請求項8記載の簡易式養液栽培容器によれば、吸水部材を養液中に垂下させるだけで、給液手段を簡単に構成することができ、また貯留部の養液を突起部内部の吸水部材を介して栽培ベッドの培養土へ効率的に供給することができる。また、発芽または苗の活着後、速やかに上記突起部に栽培植物の水中根を発生させることができるので、当該植物を良好に生育させることができる。
請求項9に記載の簡易式養液栽培容器によれば、栽培容器の大型化が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る簡易式養液栽培容器の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】上記簡易式養液栽培容器の容器外殻部を示す斜視図である。
【図3】上記簡易式養液栽培容器の栽培ベッドを示す斜視図である。
【図4】上記簡易式養液栽培容器のA−A断面図である。
【図5】本発明に係る簡易式養液栽培容器の他の実施の形態を示す断面図である。
【図6】図5の簡易式養液栽培容器の栽培ベッドを示す斜視図である。
【図7】本発明に係る簡易式養液栽培容器の他の実施の形態を示す断面図である。
【図8】突起部の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る簡易式養液栽培容器の栽培ベッドの他の実施形態を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る簡易式養液栽培容器の栽培ベッドのさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る簡易式養液栽培容器の栽培ベッドのさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【図12】本発明に係る簡易式養液栽培容器のさらに他の実施の形態を示す断面図である。
【図13】図12の簡易式栽培容器の栽培ベッドを示す斜視図である。
【図14】図12の簡易式栽培容器の仕切り用板状部材の斜視図である。
【図15】図12の簡易式栽培容器のB−B断面図である。
【図16】本発明に係る簡易式養液栽培容器のさらに他の実施の形態を示す断面図である。
【図17】図16の簡易式栽培容器の斜視図である。
【図18】本発明に係る簡易式養液栽培容器のさらに他の実施の形態を示す断面図である。
【図19】図18の栽培容器のC−C線の位置における断面図である。
【図20】図18の栽培容器の板状部材の斜視図である。
【図21】図18の栽培容器のD−D線の位置における断面図である。
【図22】本発明に係る簡易式養液栽培容器のさらに他の実施の形態を示す断面図である。
【図23】本発明に係る簡易式養液栽培容器のさらに他の実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 簡易式養液栽培容器
2 貯留部
3 容器外殻部
4 栽培ベッド
4a 底面
3c 樋状部
4i 突起部
4x 仕切り部開口
5 吸水ひも(吸水部材)
4h 養液注入部
9 板状部材
9a 仕切り部開口
30 板状部材
30b 仕切り部開口
33 貯留容器
A 栽培植物
B 培養土
C 吸水部材
D 空間
E 隙間
X 養液
Claims (9)
- 植物を育成するための培養土が配置される培養土配置部と、
前記培養土配置部の下方に位置する養液貯留部と、
前記養液貯留部と前記培養土配置部とを仕切り、かつ前記養液貯留部の上方に所定の空間をおいて設けられるとともに、前記植物の根を培養土の下方へ導くための仕切り部開口を有し、当該仕切り部開口以外の部分が非通水性である仕切り部と、
前記培養土配置部に配置された培養土へ前記養液貯留部に貯留した養液を供給する給液手段と、
前記仕切り部の上面の水を回収して、当該水が養液貯留部に流入するのを防止する排水機構と、
を有することを特徴とする簡易式養液栽培容器 - 前記植物を育成するための培養土が収容されるとともに、植物の根を培養土の下方へ導くための前記仕切り部開口を有する栽培ベッドを備え、当該栽培ベッドに収容された培養土が前記培養土配置部に設けられるとともに、
当該栽培ベッドの底面が、前記仕切り部を構成している請求項1に記載の簡易式養液栽培容器 - 前記植物を育成するための培養土が収容されるとともに、前記植物の根を培養土の下方へ導くための開口部を有する栽培ベッドを備え、当該栽培ベッドに収容された培養土が前記培養土配置部に設けられ、当該栽培ベッドの底面部分の少なくとも一部は通水性を有し、
さらに、当該栽培ベッドとは別体の前記仕切り部を、当該栽培ベッドの下方に備える請求項1に記載の簡易式養液栽培容器 - 前記栽培ベッドの底面部分の少なくとも一部が、網目状に形成されている請求項3に記載の簡易式養液栽培容器。
- 前記排水機構は、前記仕切り部の上面から流下する水を受ける樋状部を含む請求項1乃至4のいずれかに記載の簡易式養液栽培容器
- 前記排水機構は、前記仕切り部の上面から前記仕切り部開口への水の流入を阻止する流入阻止手段を含む請求項1乃至5のいずれかに記載の簡易式養液栽培容器
- 前記培養土配置部に配置された培養土を透過することなく、前記養液貯留部に養液を注入可能な養液注入部をさらに備える請求項1乃至6に記載の簡易式養液栽培容器。
- 前記給液手段が、前記培養土配置部より前記養液中に垂下され、浸透圧によって前記培養土へと前記養液を供給する吸水部材であり、この吸水部材が、前記栽培ベッドの底面から下方に突出する通水可能な中空の突起部に収容されている請求項1乃至7のいずれかに記載の簡易式養液栽培容器。
- 前記栽培ベッドが複数であり、かつ当該複数の栽培ベッドの配置が変更可能である請求項3または4に記載の簡易式養液栽培容器
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