JP2004219268A - ガスセンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性の向上を図りつつ、組立作業性の低下を抑制することができるガスセンサを提供すること。
【解決手段】ガスセンサ1は、ゴム材料からなる外側シール部材24と内側シール部材23とを有する二重構造のシール部材11を備えて構成されており、特に、加締め部88と当接する外側シール部材24は、耐熱性に優れたパーフロロゴムで構成されているため、ケーシング4(外筒部材16)からの熱伝導による劣化・破損が生じ難くなり、耐熱性に優れるという特徴を有する。内側シール部材23は、弾性変形しやすいフッ素ゴムで形成されており、シール部材リード線挿通孔17へのリード線19,20,21,22の挿通作業が容易になる。したがって、ガスセンサ1によれば、耐熱性能の向上を図ることができると共に、組立作業性の低下を防止することができる。
【選択図】 図2
【解決手段】ガスセンサ1は、ゴム材料からなる外側シール部材24と内側シール部材23とを有する二重構造のシール部材11を備えて構成されており、特に、加締め部88と当接する外側シール部材24は、耐熱性に優れたパーフロロゴムで構成されているため、ケーシング4(外筒部材16)からの熱伝導による劣化・破損が生じ難くなり、耐熱性に優れるという特徴を有する。内側シール部材23は、弾性変形しやすいフッ素ゴムで形成されており、シール部材リード線挿通孔17へのリード線19,20,21,22の挿通作業が容易になる。したがって、ガスセンサ1によれば、耐熱性能の向上を図ることができると共に、組立作業性の低下を防止することができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リード線挿通孔を有する弾性シール部材を備えて構成され、高温環境下で用いられるガスセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、被測定ガスに応じたガス検出信号を出力する検出素子を保持すると共に、外部から内部空間に通じる筒状開口部を有するケーシングと、検出素子に接続するリード線を外部からケーシングの内部空間に導入するためのリード線挿通孔を有し、ケーシングの内部に配置される弾性シール部材と、を備えて構成されるガスセンサが知られている。
【0003】
ガスセンサは、例えば、エンジンの排気ガス中における被測定ガスを検出するために排気管に備えられて使用に供されるが、排気管からの熱伝導や輻射熱によりセンサ自身が高温下に晒される。
このような高温環境下で使用されるガスセンサにおいては、弾性シール部材の耐熱性を向上させるために、耐熱性に優れた材料(パーフロロゴムなど)を用いて弾性シール部材(ゴムブッシュ33)を形成する技術が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、樹脂材料からなる部材(ブッシュ7)を主体にして、その部材のリード線挿通孔に相当する部分にゴム材料(被覆体8)を配置することで、耐熱性を向上させる技術(特許文献2)や、セラミック材料からなる部材(絶縁ハウジング構成成分11)を主体にして、その部材のリード線挿通孔に相当する部分にシール部材(シール8)を配置することで、耐熱性を向上させる技術(特許文献3)が提案されている。
【0005】
さらに、リード線挿通孔を有する部材(ゴムブッシュ31)の周囲に樹脂材料(ポリテトラフルオロエチレン層)からなる部材(チューブ35)を配置することで、耐熱性を向上させる技術(特許文献4)が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−196885号公報(請求項2、図3)
【0007】
【特許文献2】
特開平5−87769号公報(図2、段落番号[0017])
【0008】
【特許文献3】
特開平8−68776号公報(図1、段落番号[0006])
【0009】
【特許文献4】
特開平9−178694号公報(図2、段落番号[0019])
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成においては、耐熱性を向上させるために、弾性シール部材をゴム以外の材料(樹脂やセラミックなど)で構成することから、弾性シール部材の全体的な硬度が高くなり硬質化するため、リード線挿通孔へのリード線の挿通作業が煩雑となる。そして、このようにリード線挿通作業が煩雑になると、ガスセンサの組立作業性が低下するという問題がある。
【0011】
組立作業性を優先する場合には、弾性変形しやすい軟質のゴム材料のみを用いて弾性シール部材を形成することが考えられるが、そのようなゴム材料は耐熱性に劣るため、高温環境下での使用が難しくなるという問題が生じる。
なお、分子量を大きくしたり、架橋密度を調整するなどの手法により、耐熱性を向上させたゴム材料を用いることで、高温環境下で使用可能な弾性シール部材を形成できる。しかし、このようなゴム材料は硬度が高くなるために、樹脂などを用いてシール部材を形成する場合と同様に、リード線挿通作業が煩雑となり、組立作業性が低下してしまう。
【0012】
また、全体をパーフロロゴムで形成した弾性シール部材は、全体的に硬度が比較的高い状態にあり、かつ、パーフロロゴム材料自身が高価であるため、ガスセンサのコストが増大するという問題が生じる。
そこで、本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、耐熱性の向上を図りつつ、組立作業性の低下を抑制することができるガスセンサを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明方法は、検出部にて検出される被測定ガスに応じたガス検出信号を信号出力部から出力する検出素子と、検出部を被測定ガスに晒しつつ、信号出力部を内部空間に収容する状態で検出素子を保持する素子保持部を有すると共に、外部から内部空間に通じる筒状開口部を有するケーシングと、信号出力部に接続するリード線を外部からケーシングの内部空間に導入するためのリード線挿通孔を有し、ケーシングの内部に配置される弾性シール部材と、を有するガスセンサであって、弾性シール部材は、柱状形状に形成されたゴム材料からなる内側シール部材と、内側シール部材の周囲を囲む筒状形状に形成されたゴム材料からなる外側シール部材とを有して構成されると共に、外側シール部材がケーシングの内面に当接する状態で該ケーシングの内部に配置され、外側シール部材は、内側シール部材よりも耐熱性能に優れたゴム材料で形成され、内側シール部材は、外側シール部材よりも硬度が低く、かつリード線挿通孔を備えて形成されていることを特徴とする。
【0014】
このガスセンサに備えられる弾性シール部材は、内側シール部材と外側シール部材とを有して構成されており、外側シール部材が耐熱性能に優れたゴム材料で形成されていることから、ケーシングからの熱伝導による劣化・破損が生じ難くなる。
【0015】
また、内側シール部材は、外側シール部材よりも硬度が低いため、弾性変形しやすい軟質のゴム材料で形成することができる。このため、この弾性シール部材に備えられるリード線挿通孔は、リード線挿通作業時に弾性変形し易くなることから、リード線挿通孔へのリード線挿通作業が容易となり、ガスセンサの組立作業性が低下するのを防ぐことができる。
【0016】
よって、本発明のガスセンサによれば、耐熱性能の向上を図ることができると共に、ガスセンサの組立作業性の低下を防止できることから、耐熱性能の向上および組立作業性の低下防止を両立することができる。
なお、ガスセンサには、弾性シール部材がケーシングにより挟持固定される構造のものがあり、ケーシングにより弾性シール部材を挟持固定する手法としては、例えば、弾性シール部材が配置された部分のケーシングを径方向内側に加締め変形して、ケーシングの内径寸法を縮小する方法がある。そのような構造のガスセンサにおいては、弾性シール部材が軟らかい材料で形成されていると、弾性シール部材が弾性変形することにより弾性シール部材とケーシングとの間に生じる圧力が低下して、ケーシングによる挟持固定力が不充分となる虞がある。そして、場合によっては、弾性シール部材とケーシングとの間や、弾性シール部材のリード線挿通孔とリード線との間に隙間が生じて、ガスセンサの気密性(シール性)が低下することになる。
【0017】
そこで、弾性シール部材は、請求項2に記載のように、外側シール部材の径方向外側に位置するケーシングを径方向内側に加締めることにより、ケーシングの内側に加締め固定されているとよい。
つまり、硬度が高い材料からなる外側シール部材を有する弾性シール部材は、加締め変形したケーシングにより挟持される際に、弾性シール部材の全体としての弾性変形量が縮小されることになる。このことから、弾性シール部材とケーシングとの間に生じる圧力の低下を防止でき、ケーシングによる挟持固定力を増大させることができ、弾性シール部材を確実にケーシングの内部に固定することができる。
【0018】
また、この弾性シール部材においては、内側シール部材を軟質の材料で構成できるため、リード線挿通作業時におけるリード線挿通孔の弾性変形量が不足するのを防止でき、リード線挿通作業の作業性が低下することはない。
よって、本発明によれば、弾性シール部材を確実にケーシングに固定できることから、気密性の低下を防止でき、また、リード線挿通作業の作業性が低下しないことから、ガスセンサの組立作業性の低下を防止することができる。
【0019】
ところで、ケーシングに対して全体を挿入可能に形成された弾性シール部材を用いる場合、弾性シール部材をケーシングのどの位置まで挿入するのが適切であるのかを判断するのが難しく、また、挿入作業を誤って、本来配置すべき位置よりも深い位置まで弾性シール部材を挿入してしまうことも考えられる。
【0020】
そこで、上述のガスセンサにおいては、請求項3に記載のように、弾性シール部材が、内側シール部材の外面から周方向外側に向けて延設されると共に外側シール部材よりも周方向外側に突出して形成される鍔部を備え、鍔部が、ケーシングの内面に当接して、ケーシングの内部での弾性シール部材の設置位置を規定するように、ガスセンサを構成すると良い。
【0021】
鍔部を備える弾性シール部材は、ケーシングに対して挿入する際に、鍔部がケーシングの内面に当接するまで挿入することで、ケーシングに対する弾性シール部材の相対位置(配置位置)を一定に定めることができる。つまり、この鍔部は、弾性シール部材をケーシングに挿入配置する際に、ケーシングの内面に当接することで、ケーシングにおける弾性シール部材の位置決めを行う位置決め部としての機能を発揮することができる。
【0022】
よって、本発明によれば、ケーシングにおける弾性シール部材の設置位置(配置位置)を容易に決定できるため、弾性シール部材をケーシングに挿入する際の位置決め作業の煩雑さを解消できる。
なお、鍔部は、内側シール部材に嵌合された状態の外側シール部材に当接する位置に形成しても良く、それにより、内側シール部材に対する外側シール部材の位置決めが可能となり、外側シール部材と内側シール部材との相対位置を容易に決定することができ、弾性シール部材を正確に組み立てることができる。
【0023】
また、鍔部は、内部空間に配置される内部構成物とケーシングとの間で挟持可能な位置に、挟持可能な形状で形成しても良い。特に、鍔部が、内側シール部材の周方向にわたり連続的に形成されると共に、内部構成物とケーシングとの間で周方向にわたり連続的に挟持される場合には、弾性シール部材とケーシングとの間における気密性をさらに向上することができる。
【0024】
次に、上述のガスセンサは、請求項4に記載のように、外側シール部材が、パーフロロゴムで形成されているとよい。
つまり、パーフロロゴムは、耐熱性に優れたゴム材料であることから、外側シール部材として用いることで、ケーシングからの熱伝導により高温になる場合であっても、劣化・破損し難い弾性シール部材を構成することができる。また、内側シール部材は、外側シール部材よりも軟質なゴム材料(例えば、フッ素ゴムなど)で構成されることから、リード線の挿通作業が容易である。
【0025】
また、弾性シール部材のうち、内側シール部材および外側シール部材の双方(弾性シール部材の全体)ではなく、外側シール部材のみをパーフロロゴムで形成することで、高価なパーフロロゴムの使用量を低減でき、コストの増大を抑制することができる。
【0026】
よって、本発明によれば、耐熱性能の向上を図ることができると共に、組立作業性の低下を防止できるガスセンサを実現することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を適用した実施例であるガスセンサを図面と共に説明する。なお、本実施例では、内燃機関の排気管等に装着されて排気ガス中の酸素を検出するガスセンサ(換言すれば、酸素センサ)について説明する。図1は、本実施例のガスセンサ1の全体構成を示す断面図である。
【0028】
なお、本実施例においては、図1に示すガスセンサ1のうち、図中の下側を「ガスセンサの先端側」として、図中の上側を「ガスセンサの後端側」として説明する。
図1に示すように、ガスセンサ1は、ジルコニア(ZrO2 )を主成分とする酸素イオン伝導性固体電解質体により先端部が閉じた中空軸状に形成された検出素子2、検出素子2の内部に配置された軸状のセラミックヒータ3、検出素子2を収容するケーシング4などから構成されている。
【0029】
検出素子2は、被測定ガスを検出するための検出部25を先端部(図における下側端部)に備えると共に、後端部(図における上側端部)には、検出部25にて検出される被測定ガスに応じたガス検出信号を出力するための一対の信号出力電極(外側信号出力電極26および内側信号出力電極27)を備えて構成されている。なお、外側信号出力電極26および内側信号出力電極27は、例えば、PtあるいはPt合金により形成された多孔質電極として構成される。
【0030】
セラミックヒータ3は、棒状形状に形成されると共に、内部に抵抗発熱線(図示せず)を有する発熱部42を備えており、後述するヒータ用リード線19,22を経て通電されることにより発熱部42が発熱して、検出素子2の先端部(検出部25)を加熱する。
【0031】
ケーシング4は、検出素子2を保持すると共にその検出部25を排気管等の内部に突出させる主体金具5と、主体金具5の後端側開口部に接続される筒状形状の内筒部材14と、内筒部材14の後端側開口部に接続される筒状形状の外筒部材16と、を備えて構成されている。主体金具5、内筒部材14および外筒部材16が接続されてケーシング4が形成されると、ケーシング4の内部に、ガス検知(本実施例では、酸素検知)に用いる基準ガス(例えば、大気など)を蓄積するための基準ガス空間58(内部空間)が形成される。
【0032】
主体金具5は、ガスセンサ1を排気管等の取付部に取り付けるためのネジ部66を有する円筒状に形成されると共に、検出素子2を先端側から支持する支持部材51と、支持部材51の後端側に充填される滑石粉末からなる充填部材52と、充填部材52を後端側から先端側に向けて押圧するスリーブ53と、を内部に収容可能に構成されている。
【0033】
すなわち、主体金具5の先端側の内周には、内向きに突出した金具段部54が設けられており、この金具段部54にリング55を介して支持部材51が係止されることにより、検出素子2が先端側から支持されている。そして、支持部材51の後端側における主体金具5の内周面と検出素子2の外周面との間に充填部材52が配設され、さらに、この充填部材52の後端側に筒状のスリーブ53およびリング15が順次同軸状に内挿された状態で配置される。
【0034】
このあと、主体金具5の後端側開口部に内筒部材14が配置され、内筒部材14の先端側の拡径した開口端部(先端開口端部59)がリング15に当接した状態で、主体金具5の後端部(金具後端部60)が内側先端方向に加締められることで、充填部材52が加圧充填され、それにより、検出素子2が主体金具5に対して強固に固定される。
【0035】
内筒部材14は、軸線方向(先端側から後端側に向かう方向)における略中央位置に内筒段付き部83が形成されており、内筒段付き部83よりも先端側が内筒先端側胴部61として形成され、内筒段付き部83よりも後端側が内筒後端側胴部62として形成される。内筒後端側胴部62は、内筒先端側胴部61よりも径方向寸法が小さく形成されると共に、周方向に沿って複数の内筒気体導入孔67を備えて形成されている。また、内筒後端側胴部62は、外筒部材16が外嵌可能で、かつ、セラミックで筒状に形成された絶縁性のセパレータ7を内挿可能な筒状形状に形成されている。
【0036】
外筒部材16は、後端側(図1における上側)に、外部から内部空間に通じる筒状開口部63を備え、先端側(図1における下側)に、内筒部材14に対して後端側からほぼ同軸的に連結できる筒状形状の外筒先端側部分64を備えて構成されている。なお、筒状開口部63は、後述する加締め部88の形成前においては、ゴム材料からなる円柱状のシール部材11(詳細には、後述する外側シール部材24に相当する部分)を遊嵌状に内挿可能な内径寸法で形成されており、また、筒状開口部63は、外筒先端側部分64よりも径方向寸法が縮小されて形成されている。外筒部材16のうち、筒状開口部63と外筒先端側部分64との境界部分には、外筒段部35が形成されている。
【0037】
また、主体金具5の先端側(図1における下側端部)外周には、検出素子2の突出部分を覆うと共に、複数のガス透過孔を有する金属製の二重のプロテクタ81,82が溶接によって取り付けられている。
つまり、ケーシング4は、検出部25を被測定ガスに晒しつつ、信号出力電極(外側信号出力電極26および内側信号出力電極27)を基準ガス空間58に収容する状態で検出素子2を保持するよう構成されている。なお、金具段部54が、特許請求の範囲に記載の素子保持部に相当する。
【0038】
次に、ガスセンサ1のうち、外筒部材16および内筒部材14の連結部分の拡大断面図を、図2に示す。
図2に示すように、内筒部材14の内筒後端側胴部62の外側には、内筒気体導入孔67を塞ぐための筒状のフィルタ68が配置されている。なお、フィルタ68は、例えばポリテトラフルオロエチレンの多孔質繊維構造体(商品名:例えばゴアテックス(ジャパンゴアテックス(株)))等により、水滴等の水を主体とする液体の透過は阻止し、かつ空気や水蒸気などの気体の透過は許容する撥水性フィルタとして構成されている。
【0039】
また、外筒部材16の外筒先端側部分64は、フィルタ68が備えられた内筒部材14(内筒後端側胴部62)を外側から覆う形状に形成されており、外筒先端側部分64のうち、フィルタ68に対応する位置の壁部には、周方向に沿って所定の間隔で複数の外筒気体導入孔84が形成されている。
【0040】
外筒部材16を内筒部材14に嵌合した後、外筒部材16の外筒先端側部分64のうち、外筒気体導入孔84よりも後端側の少なくとも一部を周方向内側に加締めて第1加締め部56を形成し、外筒気体導入孔84よりも先端側の少なくとも一部を周方向内側に加締めて第2加締め部57を形成することで、外筒部材16と内筒部材14とが加締め固定される。このとき、フィルタ68は、第1加締め部56、第2加締め部57を形成した部分において、周方向全周にわたり内筒部材14と外筒部材16との間で保持される。
【0041】
これにより、基準ガスとしての大気(外気)は、外筒気体導入孔84、フィルタ68および内筒気体導入孔67を介して、内筒部材14(ケーシング4)の内部(基準ガス空間58)に導入される。また、水滴等の異物については、フィルタ68を通過できないことから、内筒部材14の内部への浸入が阻止される。
【0042】
他方、外筒部材16は、内筒先端側胴部61において内筒部材14に対し外側からこれに重なりを生じるように配置され、その重なり部の少なくとも一部が周方向の内側に向けて加締められることで、環状の外筒内筒連結加締部75が形成されている。この外筒内筒連結加締部75により、外筒部材16が内筒部材14に対して結合される。
【0043】
外筒部材16の内部に配置されるシール部材11は、検出素子2に接続される素子用リード線20,21と、セラミックヒータ3に接続されるヒータ用リード線19,22とを挿通するためのシール部材リード線挿通孔17が、先端側から後端側にかけて貫通するように形成されている。
【0044】
また、内筒部材14の内筒後端側胴部62に挿入配置されるセパレータ7は、素子用リード線20,21と、ヒータ用リード線19,22とを挿通するためのセパレータリード線挿通孔71が、先端側から後端側にかけて貫通するように形成されている。
【0045】
素子用リード線20,21およびヒータ用リード線19,22は、シール部材リード線挿通孔17、セパレータリード線挿通孔71を通じて、外部からケーシング4の内部に設けられる基準ガス空間58に向けて配設される。
素子用リード線20は、素子外面固定金具43を経て、検出素子2の外側信号出力電極26(図1参照)と電気的に接続されている。他方の素子用リード線21は、素子内面固定金具44を経て検出素子2の内側信号出力電極27(図1参照)と電気的に接続されている。
【0046】
つまり、ガスセンサ1においては、前述の通り、外筒部材16の外筒気体導入孔84からフィルタ68を介して基準ガスとしての大気が導入される一方、検出素子2の外面にはプロテクタ81,82のガス透過口を介して導入された排気ガス(被測定ガス)が接触し、検出素子2には、その内外面の酸素濃度差に応じて酸素濃淡電池起電力が生じる。そして、この酸素濃淡電池起電力を、排気ガス中の酸素濃度の検出信号として外側信号出力電極26,内側信号出力電極27から素子用リード線20,21を介して取り出すことにより、排気ガス中の酸素濃度を検出できる。
【0047】
次に、シール部材11について詳細に説明する。
シール部材11は、図2に示すように、柱状形状に形成されたゴム材料(フッ素ゴム)からなる内側シール部材23と、内側シール部材23の周囲を囲む筒状形状に形成されたゴム材料(パーフロロゴム)からなる外側シール部材24とを有して構成されると共に、外側シール部材24が外筒部材16の内面に当接する状態で外筒部材16(ケーシング4)の内部に配置されている。
【0048】
なお、内側シール部材23を形成するフッ素ゴムは、デュロメータ硬度が70〜75度の範囲内であり、外側シール部材24を形成するパーフロロゴムは、デュロメータ硬度が約80度である。
内側シール部材23と外側シール部材24とを嵌合して、シール部材11が組み立てられる状態を表す説明図を図3に示す。また、図1における後端側から見たとき(上側から下向きに見たとき)の内側シール部材23の平面図を図4に示し、図4におけるA−A視部分を断面として表した内側シール部材23の側面図を図5に示す。さらに、図1における後端側から見たとき(上側から下向きに見たとき)の外側シール部材24の平面図を図6に示し、図6におけるB−B視部分を断面として表した外側シール部材24の側面図を図7に示す。
【0049】
図4および図5に示すように、内側シール部材23は、本体部31と、本体部31の先端側(図5における下側)の外側面から径方向外側(周方向外側)に向けて延設されるシール部材鍔部32とを備えて、高さ寸法Xe(=5.50[mm])で構成されている。なお、シール部材鍔部32は、図2に示すように、外側シール部材24よりも周方向外側に突出するように形成されている。
【0050】
本体部31は、本体部外径寸法Xa(=8.10[mm])の円柱形状であり、軸線方向(先端側から後端側に向かう方向、図5における上下方向)に貫通する4個のシール部材リード線挿通孔17が形成されている。シール部材リード線挿通孔17は、前述したように、素子用リード線20,21とヒータ用リード線19,22とを挿通するために備えられており、軸線方向に垂直な断面における本体部31の中心から孔位置半径寸法Xb(=2.35[mm])だけ離れた位置を中心として、孔内径寸法Xc(=1.72[mm])で形成されている。
【0051】
なお、シール部材リード線挿通孔17の孔内径寸法Xcは、リード線19,20,21,22の外径寸法よりも小さく設定されている。
シール部材鍔部32は、鍔部外径寸法Xd(=12.40[mm])の環状鍔型形状となるように、本体部31の先端側(図5における下側)の外側面から周方向外向きに延設されており、シール部材鍔部32の外縁には、本体部31との接続部よりも肉厚に形成された厚肉部34が備えられている。厚肉部34は、断面直径寸法Xf(=1.00[mm])の円形断面が環状に連続する環状形状に形成されている。
【0052】
外側シール部材24は、図6および図7に示すように、外径寸法Xg(=10.00[mm])、内径寸法Xh(=8.05[mm])および高さ寸法Xi(=4.4[mm])の筒型形状に形成されている。
なお、本体部31および外側シール部材24は、本体部31の本体部外径寸法Xaと外側シール部材24の内径寸法Xhとが、「Xa≧Xh」の関係を満足するように構成される。これにより、本体部31と外側シール部材24とを密着させることができ、本体部31から外側シール部材24が抜け落ちるのを防止することができる。
【0053】
内側シール部材23と外側シール部材24とを嵌合することで構成されるシール部材11(図3参照)は、ガスセンサ1に備えられる際には、図2に示すように、シール部材鍔部32が外筒部材16(詳細には、外筒段部35の内面)とセパレータ7との間で挟持される状態で配置される。
【0054】
なお、セパレータ7は、図2に示すように、内筒部材14(詳細には、内筒後端側胴部62)に対して後端側開口部から内側に挿入可能なセパレータ本体部85を有するとともに、セパレータ本体部85の後端部(図2における上側端部)から周方向外側に延設されたセパレータフランジ部86を備えて構成されている。つまり、セパレータ7は、セパレータ本体部85が内筒部材14に挿入されると共に、セパレータフランジ部86が内筒部材14の開口端面により支持される状態で、ケーシング4の内部に配置される。
【0055】
このとき、フッ素ゴムからなる環状形状の環状シール部材40が、セパレータ7のセパレータフランジ部86の先端面と内筒部材14の開口端面と外筒部材16の内面とにそれぞれ接する形で、セパレータ本体部85の外側に嵌め込まれる形で配置されている。
【0056】
また、外筒部材16の外筒段部35の内面とセパレータ7のセパレータフランジ部86の後端面との間には、シール部材11のシール部材鍔部32が配置されている。シール部材鍔部32の厚肉部34は、前述のように、円形断面が環状に連続した環状形状に形成されていることから、外筒段部35とセパレータフランジ部86との間で挟持されて断面形状が変形することで、外筒部材16の内面とセパレータ7との間に隙間が生じるのを防ぎ、外筒部材16とセパレータ7との間の気密性(シール性)を高めている。
【0057】
他方、外筒部材16には、シール部材11が挿入配置された後に、外側シール部材24の径方向外側に位置する部分を径方向内側に加締めて形成される加締め部88が備えられており、シール部材11が加締め部88により挟持されると共に、外筒部材16(筒状開口部63)の内面とシール部材11(外側シール部材24)の外面とが、隙間無く密着している。
【0058】
なお、シール部材11は、外側シール部材24と内側シール部材23とを有する二重構造であり、とりわけ、加締め部88と当接する外側シール部材24は、耐熱性に優れた材料であるパーフロロゴムで構成されているため、ケーシング4(外筒部材16)からの熱伝導による劣化・破損が生じ難くなる。つまり、このシール部材11は、少なくともシール部材リード線挿通孔17が形成される部分については、高温の影響による劣化・破損が生じ難くなるため、耐熱性に優れるという特徴を有する。
【0059】
また、シール部材11のうちでシール部材リード線挿通孔17が形成される内側シール部材23は、外側シール部材24と比較して、弾性変形しやすい軟質のゴム材料の1つであるフッ素ゴムで形成されているため、シール部材リード線挿通孔17へのリード線19,20,21,22の挿通作業時には、挿通作業に応じて弾性変形することになる。このため、シール部材11は、全体を硬質のゴム材料で形成する場合に比べて、リード線挿通作業を容易に実行することができ、ガスセンサ1の組立作業性が低下するのを防ぐことができる。なお、シール部材11は、外筒部材16(ケーシング4)の内面と、各リード線19,20,21,22の外面との間の気密性(シール性)を維持する役割を果たしている。
【0060】
なお、本実施例のガスセンサ1においては、信号出力電極(外側信号出力電極26および内側信号出力電極27)が特許請求の範囲に記載した信号出力部に相当し、基準ガス空間58が内部空間に相当し、シール部材11が弾性シール部材に相当し、シール部材鍔部32が弾性シール部材の鍔部に相当する。
【0061】
以上説明したように、本実施例のガスセンサ1は、ゴム材料からなる外側シール部材24と内側シール部材23とを有する二重構造のシール部材11を備えて構成されており、特に、加締め部88と当接する外側シール部材24は、耐熱性に優れたパーフロロゴムで構成されている。このため、シール部材11は、少なくともシール部材リード線挿通孔17に相当する部分について、ケーシング4(外筒部材16)からの熱伝導による劣化・破損が生じ難くなり、耐熱性に優れるという特徴を有する。
【0062】
また、パーフロロゴムは、フッ素ゴムに比べて、硬質なゴム材料であることから、このシール部材11は、フッ素ゴムのみで全体が構成されたシール部材に比べて、外筒部材16の加締め部88により挟持された際に、筒状開口部63とシール部材11との間に生じる圧力が大きくなる。このことから、筒状開口部63によるシール部材11の挟持固定力が増大することになり、このガスセンサ1は、シール部材11を確実にケーシング4の内部に固定することができる。
【0063】
このように、筒状開口部63によるシール部材11の挟持固定力が増大すると、シール部材リード線挿通孔17の内径が縮小されることから、シール部材11とリード線19,20,21,22との間に隙間が生じ難くなり、より一層、気密性の低下を抑制することができる。
【0064】
また、シール部材11のうちでシール部材リード線挿通孔17が形成される内側シール部材23は、外側シール部材24に比べて、弾性変形しやすい軟質なフッ素ゴムで形成されており、シール部材リード線挿通孔17へのリード線19,20,21,22の挿通作業が容易になることから、ガスセンサ1は、組立作業性が低下するのを防ぐことができる。
【0065】
したがって、本実施例のガスセンサ1によれば、耐熱性能の向上を図ることができると共に、組立作業性の低下を防止することができる。
なお、シール部材11のシール部材リード線挿通孔17に各リード線19,20,21,22を挿通した際の各リード線に対する圧力が過大になると、高温環境下での使用中に、各リード線の外周を被覆する弾性被覆部材(塩化ビニルなど)が、シール部材リード線挿通孔17から溶け出すことがある。そして、シール部材リード線挿通孔17とリード線19,20,21,22との間に、隙間が生じてしまう虞がある。
【0066】
これに対して、本実施例のガスセンサ1においては、内側シール部材23が軟質のゴム材料(フッ素ゴム)で構成されていることから、各リード線19,20,21,22の絶縁被覆部材への印加圧力が過大になるのを抑制できるため、リード線の弾性被覆部材が溶け出すのを防止できる。したがって、本実施例のガスセンサ1によれば、リード線の絶縁被服材料の漏洩による隙間の発生を抑制でき、シール部材とリード線との間の気密性が低下するのを防止できる。
【0067】
また、シール部材11は、シール部材鍔部32を備えており、ガスセンサ1は、シール部材11をケーシング4の内部に配置する際に、シール部材鍔部32が外筒部材16の内面に当接するよう構成されている。
これにより、外筒部材16に対するシール部材11の相対位置(配置位置)を一定に定めることができる。つまり、シール部材11をケーシング4の内部に配置するにあたり、シール部材鍔部32を、ケーシング4(外筒部材16)に対するシール部材11の位置決めを行うために用いることができる。
【0068】
なお、シール部材11のうち、内側シール部材23におけるシール部材鍔部32の形成位置は、内側シール部材23に嵌合された状態の外側シール部材24に当接する位置である。このため、外側シール部材24を内側シール部材23に嵌合するにあたり、外側シール部材24の端部をシール部材鍔部32に当接させることで、外側シール部材24と内側シール部材23との相対位置の決定が容易となり、シール部材11を組み立てる際の嵌合作業の煩雑さを解消できる。
【0069】
また、シール部材鍔部32は、ケーシング4の内部において、セパレータ7とケーシング4(詳細には、外筒部材16の外筒段部35)との間で挟持可能な形状に形成されると共に、挟持可能な位置に配置されている。特に、シール部材鍔部32は、内側シール部材23の周方向にわたり連続的に形成されると共に、セパレータ7とケーシング4との間で周方向にわたり連続的に挟持される形状であるため、シール部材11とケーシング4との間における気密性をさらに向上することができる。
【0070】
なお、気密性の向上を図るための手法としては、別途、Oリングのような気密維持部材を設けることも考えられるが、本実施例のように、弾性シール部材と一体に形成される厚肉部を気密維持部材として備えることで、部品点数の増大を抑制できる。これにより、コストの低減を図ることができると共に、ガスセンサの組立作業が煩雑になるのを防ぐことができる。
【0071】
さらに、シール部材鍔部32は、セパレータ7とケーシング4との間に配置されて緩衝部材として機能することで、セパレータ7とケーシング4とが衝突して破損するのを防止することができる。
また、シール部材11は、内側シール部材23および外側シール部材24が共にゴム材料で形成されているため、内側シール部材および外側シール部材を高価な樹脂製材料で形成する場合に比べて、コストの低減を図ることができる。
【0072】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、上記実施例に限定されることはなく、種々の態様をとることができる。
例えば、上記実施例では、弾性シール部材として、内側シール部材23がフッ素ゴムからなり、外側シール部材24がパーフロロゴムからなるシール部材11について説明したが、内側シール部材および外側シール部材は、それぞれ他のゴム材料で構成されていても良い。なお、その場合においても、内側シール部材はリード線挿通作業が容易な軟質のゴム材料を用い、外側シール部材は耐熱性に優れた硬質のゴム材料を用いて、弾性シール部材を構成することで、本発明の効果を得ることができる。例えば、フッ素ゴムで形成された外側シール部材と、シリコンゴムで形成された内側シール部材とを組み合わせて構成される弾性シール部材を用いることができる。
【0073】
また、弾性シール部材の鍔部に備えられる厚肉部は、断面形状が円形に限られることはなく、矩形形状断面などの他の形状で形成してもよく、弾性シール部材とケーシングとの間の気密性を向上できる形状で有ればよい。また、厚肉部の形成位置は、鍔部の端縁に限られることはなく、本体部31との接続部と径方向端縁との中間位置に形成しても良く、弾性シール部材とケーシングとの間の気密性を向上できるよう、厚肉部が周方向にわたり連続的に形成されると良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のガスセンサの全体構成を示す断面図である。
【図2】ガスセンサのうち、外筒部材および内筒部材の連結部分の拡大断面図である。
【図3】内側シール部材と外側シール部材とを嵌合して、シール部材が組み立てられる状態を表す説明図である。
【図4】後端側から見たときの内側シール部材の平面図である。
【図5】図4におけるA−A視部分を断面として表した内側シール部材の側面図である。
【図6】後端側から見たときの外側シール部材の平面図である。
【図7】図6におけるB−B視部分を断面として表した外側シール部材の側面図である。
【符号の説明】
1…ガスセンサ、2…検出素子、4…ケーシング、5…主体金具、7…セパレータ、11…シール部材、14…内筒部材、16…外筒部材、17…シール部材リード線挿通孔、19,22…ヒータ用リード線、20,21…素子用リード線、23…内側シール部材、24…外側シール部材、25…検出部、26…外側信号出力電極、27…内側信号出力電極、31…本体部、32…シール部材鍔部、51…支持部材、52…充填部材、53…スリーブ、54…金具段部、58…基準ガス空間、63…筒状開口部、88…加締め部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、リード線挿通孔を有する弾性シール部材を備えて構成され、高温環境下で用いられるガスセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、被測定ガスに応じたガス検出信号を出力する検出素子を保持すると共に、外部から内部空間に通じる筒状開口部を有するケーシングと、検出素子に接続するリード線を外部からケーシングの内部空間に導入するためのリード線挿通孔を有し、ケーシングの内部に配置される弾性シール部材と、を備えて構成されるガスセンサが知られている。
【0003】
ガスセンサは、例えば、エンジンの排気ガス中における被測定ガスを検出するために排気管に備えられて使用に供されるが、排気管からの熱伝導や輻射熱によりセンサ自身が高温下に晒される。
このような高温環境下で使用されるガスセンサにおいては、弾性シール部材の耐熱性を向上させるために、耐熱性に優れた材料(パーフロロゴムなど)を用いて弾性シール部材(ゴムブッシュ33)を形成する技術が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、樹脂材料からなる部材(ブッシュ7)を主体にして、その部材のリード線挿通孔に相当する部分にゴム材料(被覆体8)を配置することで、耐熱性を向上させる技術(特許文献2)や、セラミック材料からなる部材(絶縁ハウジング構成成分11)を主体にして、その部材のリード線挿通孔に相当する部分にシール部材(シール8)を配置することで、耐熱性を向上させる技術(特許文献3)が提案されている。
【0005】
さらに、リード線挿通孔を有する部材(ゴムブッシュ31)の周囲に樹脂材料(ポリテトラフルオロエチレン層)からなる部材(チューブ35)を配置することで、耐熱性を向上させる技術(特許文献4)が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−196885号公報(請求項2、図3)
【0007】
【特許文献2】
特開平5−87769号公報(図2、段落番号[0017])
【0008】
【特許文献3】
特開平8−68776号公報(図1、段落番号[0006])
【0009】
【特許文献4】
特開平9−178694号公報(図2、段落番号[0019])
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成においては、耐熱性を向上させるために、弾性シール部材をゴム以外の材料(樹脂やセラミックなど)で構成することから、弾性シール部材の全体的な硬度が高くなり硬質化するため、リード線挿通孔へのリード線の挿通作業が煩雑となる。そして、このようにリード線挿通作業が煩雑になると、ガスセンサの組立作業性が低下するという問題がある。
【0011】
組立作業性を優先する場合には、弾性変形しやすい軟質のゴム材料のみを用いて弾性シール部材を形成することが考えられるが、そのようなゴム材料は耐熱性に劣るため、高温環境下での使用が難しくなるという問題が生じる。
なお、分子量を大きくしたり、架橋密度を調整するなどの手法により、耐熱性を向上させたゴム材料を用いることで、高温環境下で使用可能な弾性シール部材を形成できる。しかし、このようなゴム材料は硬度が高くなるために、樹脂などを用いてシール部材を形成する場合と同様に、リード線挿通作業が煩雑となり、組立作業性が低下してしまう。
【0012】
また、全体をパーフロロゴムで形成した弾性シール部材は、全体的に硬度が比較的高い状態にあり、かつ、パーフロロゴム材料自身が高価であるため、ガスセンサのコストが増大するという問題が生じる。
そこで、本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、耐熱性の向上を図りつつ、組立作業性の低下を抑制することができるガスセンサを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明方法は、検出部にて検出される被測定ガスに応じたガス検出信号を信号出力部から出力する検出素子と、検出部を被測定ガスに晒しつつ、信号出力部を内部空間に収容する状態で検出素子を保持する素子保持部を有すると共に、外部から内部空間に通じる筒状開口部を有するケーシングと、信号出力部に接続するリード線を外部からケーシングの内部空間に導入するためのリード線挿通孔を有し、ケーシングの内部に配置される弾性シール部材と、を有するガスセンサであって、弾性シール部材は、柱状形状に形成されたゴム材料からなる内側シール部材と、内側シール部材の周囲を囲む筒状形状に形成されたゴム材料からなる外側シール部材とを有して構成されると共に、外側シール部材がケーシングの内面に当接する状態で該ケーシングの内部に配置され、外側シール部材は、内側シール部材よりも耐熱性能に優れたゴム材料で形成され、内側シール部材は、外側シール部材よりも硬度が低く、かつリード線挿通孔を備えて形成されていることを特徴とする。
【0014】
このガスセンサに備えられる弾性シール部材は、内側シール部材と外側シール部材とを有して構成されており、外側シール部材が耐熱性能に優れたゴム材料で形成されていることから、ケーシングからの熱伝導による劣化・破損が生じ難くなる。
【0015】
また、内側シール部材は、外側シール部材よりも硬度が低いため、弾性変形しやすい軟質のゴム材料で形成することができる。このため、この弾性シール部材に備えられるリード線挿通孔は、リード線挿通作業時に弾性変形し易くなることから、リード線挿通孔へのリード線挿通作業が容易となり、ガスセンサの組立作業性が低下するのを防ぐことができる。
【0016】
よって、本発明のガスセンサによれば、耐熱性能の向上を図ることができると共に、ガスセンサの組立作業性の低下を防止できることから、耐熱性能の向上および組立作業性の低下防止を両立することができる。
なお、ガスセンサには、弾性シール部材がケーシングにより挟持固定される構造のものがあり、ケーシングにより弾性シール部材を挟持固定する手法としては、例えば、弾性シール部材が配置された部分のケーシングを径方向内側に加締め変形して、ケーシングの内径寸法を縮小する方法がある。そのような構造のガスセンサにおいては、弾性シール部材が軟らかい材料で形成されていると、弾性シール部材が弾性変形することにより弾性シール部材とケーシングとの間に生じる圧力が低下して、ケーシングによる挟持固定力が不充分となる虞がある。そして、場合によっては、弾性シール部材とケーシングとの間や、弾性シール部材のリード線挿通孔とリード線との間に隙間が生じて、ガスセンサの気密性(シール性)が低下することになる。
【0017】
そこで、弾性シール部材は、請求項2に記載のように、外側シール部材の径方向外側に位置するケーシングを径方向内側に加締めることにより、ケーシングの内側に加締め固定されているとよい。
つまり、硬度が高い材料からなる外側シール部材を有する弾性シール部材は、加締め変形したケーシングにより挟持される際に、弾性シール部材の全体としての弾性変形量が縮小されることになる。このことから、弾性シール部材とケーシングとの間に生じる圧力の低下を防止でき、ケーシングによる挟持固定力を増大させることができ、弾性シール部材を確実にケーシングの内部に固定することができる。
【0018】
また、この弾性シール部材においては、内側シール部材を軟質の材料で構成できるため、リード線挿通作業時におけるリード線挿通孔の弾性変形量が不足するのを防止でき、リード線挿通作業の作業性が低下することはない。
よって、本発明によれば、弾性シール部材を確実にケーシングに固定できることから、気密性の低下を防止でき、また、リード線挿通作業の作業性が低下しないことから、ガスセンサの組立作業性の低下を防止することができる。
【0019】
ところで、ケーシングに対して全体を挿入可能に形成された弾性シール部材を用いる場合、弾性シール部材をケーシングのどの位置まで挿入するのが適切であるのかを判断するのが難しく、また、挿入作業を誤って、本来配置すべき位置よりも深い位置まで弾性シール部材を挿入してしまうことも考えられる。
【0020】
そこで、上述のガスセンサにおいては、請求項3に記載のように、弾性シール部材が、内側シール部材の外面から周方向外側に向けて延設されると共に外側シール部材よりも周方向外側に突出して形成される鍔部を備え、鍔部が、ケーシングの内面に当接して、ケーシングの内部での弾性シール部材の設置位置を規定するように、ガスセンサを構成すると良い。
【0021】
鍔部を備える弾性シール部材は、ケーシングに対して挿入する際に、鍔部がケーシングの内面に当接するまで挿入することで、ケーシングに対する弾性シール部材の相対位置(配置位置)を一定に定めることができる。つまり、この鍔部は、弾性シール部材をケーシングに挿入配置する際に、ケーシングの内面に当接することで、ケーシングにおける弾性シール部材の位置決めを行う位置決め部としての機能を発揮することができる。
【0022】
よって、本発明によれば、ケーシングにおける弾性シール部材の設置位置(配置位置)を容易に決定できるため、弾性シール部材をケーシングに挿入する際の位置決め作業の煩雑さを解消できる。
なお、鍔部は、内側シール部材に嵌合された状態の外側シール部材に当接する位置に形成しても良く、それにより、内側シール部材に対する外側シール部材の位置決めが可能となり、外側シール部材と内側シール部材との相対位置を容易に決定することができ、弾性シール部材を正確に組み立てることができる。
【0023】
また、鍔部は、内部空間に配置される内部構成物とケーシングとの間で挟持可能な位置に、挟持可能な形状で形成しても良い。特に、鍔部が、内側シール部材の周方向にわたり連続的に形成されると共に、内部構成物とケーシングとの間で周方向にわたり連続的に挟持される場合には、弾性シール部材とケーシングとの間における気密性をさらに向上することができる。
【0024】
次に、上述のガスセンサは、請求項4に記載のように、外側シール部材が、パーフロロゴムで形成されているとよい。
つまり、パーフロロゴムは、耐熱性に優れたゴム材料であることから、外側シール部材として用いることで、ケーシングからの熱伝導により高温になる場合であっても、劣化・破損し難い弾性シール部材を構成することができる。また、内側シール部材は、外側シール部材よりも軟質なゴム材料(例えば、フッ素ゴムなど)で構成されることから、リード線の挿通作業が容易である。
【0025】
また、弾性シール部材のうち、内側シール部材および外側シール部材の双方(弾性シール部材の全体)ではなく、外側シール部材のみをパーフロロゴムで形成することで、高価なパーフロロゴムの使用量を低減でき、コストの増大を抑制することができる。
【0026】
よって、本発明によれば、耐熱性能の向上を図ることができると共に、組立作業性の低下を防止できるガスセンサを実現することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を適用した実施例であるガスセンサを図面と共に説明する。なお、本実施例では、内燃機関の排気管等に装着されて排気ガス中の酸素を検出するガスセンサ(換言すれば、酸素センサ)について説明する。図1は、本実施例のガスセンサ1の全体構成を示す断面図である。
【0028】
なお、本実施例においては、図1に示すガスセンサ1のうち、図中の下側を「ガスセンサの先端側」として、図中の上側を「ガスセンサの後端側」として説明する。
図1に示すように、ガスセンサ1は、ジルコニア(ZrO2 )を主成分とする酸素イオン伝導性固体電解質体により先端部が閉じた中空軸状に形成された検出素子2、検出素子2の内部に配置された軸状のセラミックヒータ3、検出素子2を収容するケーシング4などから構成されている。
【0029】
検出素子2は、被測定ガスを検出するための検出部25を先端部(図における下側端部)に備えると共に、後端部(図における上側端部)には、検出部25にて検出される被測定ガスに応じたガス検出信号を出力するための一対の信号出力電極(外側信号出力電極26および内側信号出力電極27)を備えて構成されている。なお、外側信号出力電極26および内側信号出力電極27は、例えば、PtあるいはPt合金により形成された多孔質電極として構成される。
【0030】
セラミックヒータ3は、棒状形状に形成されると共に、内部に抵抗発熱線(図示せず)を有する発熱部42を備えており、後述するヒータ用リード線19,22を経て通電されることにより発熱部42が発熱して、検出素子2の先端部(検出部25)を加熱する。
【0031】
ケーシング4は、検出素子2を保持すると共にその検出部25を排気管等の内部に突出させる主体金具5と、主体金具5の後端側開口部に接続される筒状形状の内筒部材14と、内筒部材14の後端側開口部に接続される筒状形状の外筒部材16と、を備えて構成されている。主体金具5、内筒部材14および外筒部材16が接続されてケーシング4が形成されると、ケーシング4の内部に、ガス検知(本実施例では、酸素検知)に用いる基準ガス(例えば、大気など)を蓄積するための基準ガス空間58(内部空間)が形成される。
【0032】
主体金具5は、ガスセンサ1を排気管等の取付部に取り付けるためのネジ部66を有する円筒状に形成されると共に、検出素子2を先端側から支持する支持部材51と、支持部材51の後端側に充填される滑石粉末からなる充填部材52と、充填部材52を後端側から先端側に向けて押圧するスリーブ53と、を内部に収容可能に構成されている。
【0033】
すなわち、主体金具5の先端側の内周には、内向きに突出した金具段部54が設けられており、この金具段部54にリング55を介して支持部材51が係止されることにより、検出素子2が先端側から支持されている。そして、支持部材51の後端側における主体金具5の内周面と検出素子2の外周面との間に充填部材52が配設され、さらに、この充填部材52の後端側に筒状のスリーブ53およびリング15が順次同軸状に内挿された状態で配置される。
【0034】
このあと、主体金具5の後端側開口部に内筒部材14が配置され、内筒部材14の先端側の拡径した開口端部(先端開口端部59)がリング15に当接した状態で、主体金具5の後端部(金具後端部60)が内側先端方向に加締められることで、充填部材52が加圧充填され、それにより、検出素子2が主体金具5に対して強固に固定される。
【0035】
内筒部材14は、軸線方向(先端側から後端側に向かう方向)における略中央位置に内筒段付き部83が形成されており、内筒段付き部83よりも先端側が内筒先端側胴部61として形成され、内筒段付き部83よりも後端側が内筒後端側胴部62として形成される。内筒後端側胴部62は、内筒先端側胴部61よりも径方向寸法が小さく形成されると共に、周方向に沿って複数の内筒気体導入孔67を備えて形成されている。また、内筒後端側胴部62は、外筒部材16が外嵌可能で、かつ、セラミックで筒状に形成された絶縁性のセパレータ7を内挿可能な筒状形状に形成されている。
【0036】
外筒部材16は、後端側(図1における上側)に、外部から内部空間に通じる筒状開口部63を備え、先端側(図1における下側)に、内筒部材14に対して後端側からほぼ同軸的に連結できる筒状形状の外筒先端側部分64を備えて構成されている。なお、筒状開口部63は、後述する加締め部88の形成前においては、ゴム材料からなる円柱状のシール部材11(詳細には、後述する外側シール部材24に相当する部分)を遊嵌状に内挿可能な内径寸法で形成されており、また、筒状開口部63は、外筒先端側部分64よりも径方向寸法が縮小されて形成されている。外筒部材16のうち、筒状開口部63と外筒先端側部分64との境界部分には、外筒段部35が形成されている。
【0037】
また、主体金具5の先端側(図1における下側端部)外周には、検出素子2の突出部分を覆うと共に、複数のガス透過孔を有する金属製の二重のプロテクタ81,82が溶接によって取り付けられている。
つまり、ケーシング4は、検出部25を被測定ガスに晒しつつ、信号出力電極(外側信号出力電極26および内側信号出力電極27)を基準ガス空間58に収容する状態で検出素子2を保持するよう構成されている。なお、金具段部54が、特許請求の範囲に記載の素子保持部に相当する。
【0038】
次に、ガスセンサ1のうち、外筒部材16および内筒部材14の連結部分の拡大断面図を、図2に示す。
図2に示すように、内筒部材14の内筒後端側胴部62の外側には、内筒気体導入孔67を塞ぐための筒状のフィルタ68が配置されている。なお、フィルタ68は、例えばポリテトラフルオロエチレンの多孔質繊維構造体(商品名:例えばゴアテックス(ジャパンゴアテックス(株)))等により、水滴等の水を主体とする液体の透過は阻止し、かつ空気や水蒸気などの気体の透過は許容する撥水性フィルタとして構成されている。
【0039】
また、外筒部材16の外筒先端側部分64は、フィルタ68が備えられた内筒部材14(内筒後端側胴部62)を外側から覆う形状に形成されており、外筒先端側部分64のうち、フィルタ68に対応する位置の壁部には、周方向に沿って所定の間隔で複数の外筒気体導入孔84が形成されている。
【0040】
外筒部材16を内筒部材14に嵌合した後、外筒部材16の外筒先端側部分64のうち、外筒気体導入孔84よりも後端側の少なくとも一部を周方向内側に加締めて第1加締め部56を形成し、外筒気体導入孔84よりも先端側の少なくとも一部を周方向内側に加締めて第2加締め部57を形成することで、外筒部材16と内筒部材14とが加締め固定される。このとき、フィルタ68は、第1加締め部56、第2加締め部57を形成した部分において、周方向全周にわたり内筒部材14と外筒部材16との間で保持される。
【0041】
これにより、基準ガスとしての大気(外気)は、外筒気体導入孔84、フィルタ68および内筒気体導入孔67を介して、内筒部材14(ケーシング4)の内部(基準ガス空間58)に導入される。また、水滴等の異物については、フィルタ68を通過できないことから、内筒部材14の内部への浸入が阻止される。
【0042】
他方、外筒部材16は、内筒先端側胴部61において内筒部材14に対し外側からこれに重なりを生じるように配置され、その重なり部の少なくとも一部が周方向の内側に向けて加締められることで、環状の外筒内筒連結加締部75が形成されている。この外筒内筒連結加締部75により、外筒部材16が内筒部材14に対して結合される。
【0043】
外筒部材16の内部に配置されるシール部材11は、検出素子2に接続される素子用リード線20,21と、セラミックヒータ3に接続されるヒータ用リード線19,22とを挿通するためのシール部材リード線挿通孔17が、先端側から後端側にかけて貫通するように形成されている。
【0044】
また、内筒部材14の内筒後端側胴部62に挿入配置されるセパレータ7は、素子用リード線20,21と、ヒータ用リード線19,22とを挿通するためのセパレータリード線挿通孔71が、先端側から後端側にかけて貫通するように形成されている。
【0045】
素子用リード線20,21およびヒータ用リード線19,22は、シール部材リード線挿通孔17、セパレータリード線挿通孔71を通じて、外部からケーシング4の内部に設けられる基準ガス空間58に向けて配設される。
素子用リード線20は、素子外面固定金具43を経て、検出素子2の外側信号出力電極26(図1参照)と電気的に接続されている。他方の素子用リード線21は、素子内面固定金具44を経て検出素子2の内側信号出力電極27(図1参照)と電気的に接続されている。
【0046】
つまり、ガスセンサ1においては、前述の通り、外筒部材16の外筒気体導入孔84からフィルタ68を介して基準ガスとしての大気が導入される一方、検出素子2の外面にはプロテクタ81,82のガス透過口を介して導入された排気ガス(被測定ガス)が接触し、検出素子2には、その内外面の酸素濃度差に応じて酸素濃淡電池起電力が生じる。そして、この酸素濃淡電池起電力を、排気ガス中の酸素濃度の検出信号として外側信号出力電極26,内側信号出力電極27から素子用リード線20,21を介して取り出すことにより、排気ガス中の酸素濃度を検出できる。
【0047】
次に、シール部材11について詳細に説明する。
シール部材11は、図2に示すように、柱状形状に形成されたゴム材料(フッ素ゴム)からなる内側シール部材23と、内側シール部材23の周囲を囲む筒状形状に形成されたゴム材料(パーフロロゴム)からなる外側シール部材24とを有して構成されると共に、外側シール部材24が外筒部材16の内面に当接する状態で外筒部材16(ケーシング4)の内部に配置されている。
【0048】
なお、内側シール部材23を形成するフッ素ゴムは、デュロメータ硬度が70〜75度の範囲内であり、外側シール部材24を形成するパーフロロゴムは、デュロメータ硬度が約80度である。
内側シール部材23と外側シール部材24とを嵌合して、シール部材11が組み立てられる状態を表す説明図を図3に示す。また、図1における後端側から見たとき(上側から下向きに見たとき)の内側シール部材23の平面図を図4に示し、図4におけるA−A視部分を断面として表した内側シール部材23の側面図を図5に示す。さらに、図1における後端側から見たとき(上側から下向きに見たとき)の外側シール部材24の平面図を図6に示し、図6におけるB−B視部分を断面として表した外側シール部材24の側面図を図7に示す。
【0049】
図4および図5に示すように、内側シール部材23は、本体部31と、本体部31の先端側(図5における下側)の外側面から径方向外側(周方向外側)に向けて延設されるシール部材鍔部32とを備えて、高さ寸法Xe(=5.50[mm])で構成されている。なお、シール部材鍔部32は、図2に示すように、外側シール部材24よりも周方向外側に突出するように形成されている。
【0050】
本体部31は、本体部外径寸法Xa(=8.10[mm])の円柱形状であり、軸線方向(先端側から後端側に向かう方向、図5における上下方向)に貫通する4個のシール部材リード線挿通孔17が形成されている。シール部材リード線挿通孔17は、前述したように、素子用リード線20,21とヒータ用リード線19,22とを挿通するために備えられており、軸線方向に垂直な断面における本体部31の中心から孔位置半径寸法Xb(=2.35[mm])だけ離れた位置を中心として、孔内径寸法Xc(=1.72[mm])で形成されている。
【0051】
なお、シール部材リード線挿通孔17の孔内径寸法Xcは、リード線19,20,21,22の外径寸法よりも小さく設定されている。
シール部材鍔部32は、鍔部外径寸法Xd(=12.40[mm])の環状鍔型形状となるように、本体部31の先端側(図5における下側)の外側面から周方向外向きに延設されており、シール部材鍔部32の外縁には、本体部31との接続部よりも肉厚に形成された厚肉部34が備えられている。厚肉部34は、断面直径寸法Xf(=1.00[mm])の円形断面が環状に連続する環状形状に形成されている。
【0052】
外側シール部材24は、図6および図7に示すように、外径寸法Xg(=10.00[mm])、内径寸法Xh(=8.05[mm])および高さ寸法Xi(=4.4[mm])の筒型形状に形成されている。
なお、本体部31および外側シール部材24は、本体部31の本体部外径寸法Xaと外側シール部材24の内径寸法Xhとが、「Xa≧Xh」の関係を満足するように構成される。これにより、本体部31と外側シール部材24とを密着させることができ、本体部31から外側シール部材24が抜け落ちるのを防止することができる。
【0053】
内側シール部材23と外側シール部材24とを嵌合することで構成されるシール部材11(図3参照)は、ガスセンサ1に備えられる際には、図2に示すように、シール部材鍔部32が外筒部材16(詳細には、外筒段部35の内面)とセパレータ7との間で挟持される状態で配置される。
【0054】
なお、セパレータ7は、図2に示すように、内筒部材14(詳細には、内筒後端側胴部62)に対して後端側開口部から内側に挿入可能なセパレータ本体部85を有するとともに、セパレータ本体部85の後端部(図2における上側端部)から周方向外側に延設されたセパレータフランジ部86を備えて構成されている。つまり、セパレータ7は、セパレータ本体部85が内筒部材14に挿入されると共に、セパレータフランジ部86が内筒部材14の開口端面により支持される状態で、ケーシング4の内部に配置される。
【0055】
このとき、フッ素ゴムからなる環状形状の環状シール部材40が、セパレータ7のセパレータフランジ部86の先端面と内筒部材14の開口端面と外筒部材16の内面とにそれぞれ接する形で、セパレータ本体部85の外側に嵌め込まれる形で配置されている。
【0056】
また、外筒部材16の外筒段部35の内面とセパレータ7のセパレータフランジ部86の後端面との間には、シール部材11のシール部材鍔部32が配置されている。シール部材鍔部32の厚肉部34は、前述のように、円形断面が環状に連続した環状形状に形成されていることから、外筒段部35とセパレータフランジ部86との間で挟持されて断面形状が変形することで、外筒部材16の内面とセパレータ7との間に隙間が生じるのを防ぎ、外筒部材16とセパレータ7との間の気密性(シール性)を高めている。
【0057】
他方、外筒部材16には、シール部材11が挿入配置された後に、外側シール部材24の径方向外側に位置する部分を径方向内側に加締めて形成される加締め部88が備えられており、シール部材11が加締め部88により挟持されると共に、外筒部材16(筒状開口部63)の内面とシール部材11(外側シール部材24)の外面とが、隙間無く密着している。
【0058】
なお、シール部材11は、外側シール部材24と内側シール部材23とを有する二重構造であり、とりわけ、加締め部88と当接する外側シール部材24は、耐熱性に優れた材料であるパーフロロゴムで構成されているため、ケーシング4(外筒部材16)からの熱伝導による劣化・破損が生じ難くなる。つまり、このシール部材11は、少なくともシール部材リード線挿通孔17が形成される部分については、高温の影響による劣化・破損が生じ難くなるため、耐熱性に優れるという特徴を有する。
【0059】
また、シール部材11のうちでシール部材リード線挿通孔17が形成される内側シール部材23は、外側シール部材24と比較して、弾性変形しやすい軟質のゴム材料の1つであるフッ素ゴムで形成されているため、シール部材リード線挿通孔17へのリード線19,20,21,22の挿通作業時には、挿通作業に応じて弾性変形することになる。このため、シール部材11は、全体を硬質のゴム材料で形成する場合に比べて、リード線挿通作業を容易に実行することができ、ガスセンサ1の組立作業性が低下するのを防ぐことができる。なお、シール部材11は、外筒部材16(ケーシング4)の内面と、各リード線19,20,21,22の外面との間の気密性(シール性)を維持する役割を果たしている。
【0060】
なお、本実施例のガスセンサ1においては、信号出力電極(外側信号出力電極26および内側信号出力電極27)が特許請求の範囲に記載した信号出力部に相当し、基準ガス空間58が内部空間に相当し、シール部材11が弾性シール部材に相当し、シール部材鍔部32が弾性シール部材の鍔部に相当する。
【0061】
以上説明したように、本実施例のガスセンサ1は、ゴム材料からなる外側シール部材24と内側シール部材23とを有する二重構造のシール部材11を備えて構成されており、特に、加締め部88と当接する外側シール部材24は、耐熱性に優れたパーフロロゴムで構成されている。このため、シール部材11は、少なくともシール部材リード線挿通孔17に相当する部分について、ケーシング4(外筒部材16)からの熱伝導による劣化・破損が生じ難くなり、耐熱性に優れるという特徴を有する。
【0062】
また、パーフロロゴムは、フッ素ゴムに比べて、硬質なゴム材料であることから、このシール部材11は、フッ素ゴムのみで全体が構成されたシール部材に比べて、外筒部材16の加締め部88により挟持された際に、筒状開口部63とシール部材11との間に生じる圧力が大きくなる。このことから、筒状開口部63によるシール部材11の挟持固定力が増大することになり、このガスセンサ1は、シール部材11を確実にケーシング4の内部に固定することができる。
【0063】
このように、筒状開口部63によるシール部材11の挟持固定力が増大すると、シール部材リード線挿通孔17の内径が縮小されることから、シール部材11とリード線19,20,21,22との間に隙間が生じ難くなり、より一層、気密性の低下を抑制することができる。
【0064】
また、シール部材11のうちでシール部材リード線挿通孔17が形成される内側シール部材23は、外側シール部材24に比べて、弾性変形しやすい軟質なフッ素ゴムで形成されており、シール部材リード線挿通孔17へのリード線19,20,21,22の挿通作業が容易になることから、ガスセンサ1は、組立作業性が低下するのを防ぐことができる。
【0065】
したがって、本実施例のガスセンサ1によれば、耐熱性能の向上を図ることができると共に、組立作業性の低下を防止することができる。
なお、シール部材11のシール部材リード線挿通孔17に各リード線19,20,21,22を挿通した際の各リード線に対する圧力が過大になると、高温環境下での使用中に、各リード線の外周を被覆する弾性被覆部材(塩化ビニルなど)が、シール部材リード線挿通孔17から溶け出すことがある。そして、シール部材リード線挿通孔17とリード線19,20,21,22との間に、隙間が生じてしまう虞がある。
【0066】
これに対して、本実施例のガスセンサ1においては、内側シール部材23が軟質のゴム材料(フッ素ゴム)で構成されていることから、各リード線19,20,21,22の絶縁被覆部材への印加圧力が過大になるのを抑制できるため、リード線の弾性被覆部材が溶け出すのを防止できる。したがって、本実施例のガスセンサ1によれば、リード線の絶縁被服材料の漏洩による隙間の発生を抑制でき、シール部材とリード線との間の気密性が低下するのを防止できる。
【0067】
また、シール部材11は、シール部材鍔部32を備えており、ガスセンサ1は、シール部材11をケーシング4の内部に配置する際に、シール部材鍔部32が外筒部材16の内面に当接するよう構成されている。
これにより、外筒部材16に対するシール部材11の相対位置(配置位置)を一定に定めることができる。つまり、シール部材11をケーシング4の内部に配置するにあたり、シール部材鍔部32を、ケーシング4(外筒部材16)に対するシール部材11の位置決めを行うために用いることができる。
【0068】
なお、シール部材11のうち、内側シール部材23におけるシール部材鍔部32の形成位置は、内側シール部材23に嵌合された状態の外側シール部材24に当接する位置である。このため、外側シール部材24を内側シール部材23に嵌合するにあたり、外側シール部材24の端部をシール部材鍔部32に当接させることで、外側シール部材24と内側シール部材23との相対位置の決定が容易となり、シール部材11を組み立てる際の嵌合作業の煩雑さを解消できる。
【0069】
また、シール部材鍔部32は、ケーシング4の内部において、セパレータ7とケーシング4(詳細には、外筒部材16の外筒段部35)との間で挟持可能な形状に形成されると共に、挟持可能な位置に配置されている。特に、シール部材鍔部32は、内側シール部材23の周方向にわたり連続的に形成されると共に、セパレータ7とケーシング4との間で周方向にわたり連続的に挟持される形状であるため、シール部材11とケーシング4との間における気密性をさらに向上することができる。
【0070】
なお、気密性の向上を図るための手法としては、別途、Oリングのような気密維持部材を設けることも考えられるが、本実施例のように、弾性シール部材と一体に形成される厚肉部を気密維持部材として備えることで、部品点数の増大を抑制できる。これにより、コストの低減を図ることができると共に、ガスセンサの組立作業が煩雑になるのを防ぐことができる。
【0071】
さらに、シール部材鍔部32は、セパレータ7とケーシング4との間に配置されて緩衝部材として機能することで、セパレータ7とケーシング4とが衝突して破損するのを防止することができる。
また、シール部材11は、内側シール部材23および外側シール部材24が共にゴム材料で形成されているため、内側シール部材および外側シール部材を高価な樹脂製材料で形成する場合に比べて、コストの低減を図ることができる。
【0072】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、上記実施例に限定されることはなく、種々の態様をとることができる。
例えば、上記実施例では、弾性シール部材として、内側シール部材23がフッ素ゴムからなり、外側シール部材24がパーフロロゴムからなるシール部材11について説明したが、内側シール部材および外側シール部材は、それぞれ他のゴム材料で構成されていても良い。なお、その場合においても、内側シール部材はリード線挿通作業が容易な軟質のゴム材料を用い、外側シール部材は耐熱性に優れた硬質のゴム材料を用いて、弾性シール部材を構成することで、本発明の効果を得ることができる。例えば、フッ素ゴムで形成された外側シール部材と、シリコンゴムで形成された内側シール部材とを組み合わせて構成される弾性シール部材を用いることができる。
【0073】
また、弾性シール部材の鍔部に備えられる厚肉部は、断面形状が円形に限られることはなく、矩形形状断面などの他の形状で形成してもよく、弾性シール部材とケーシングとの間の気密性を向上できる形状で有ればよい。また、厚肉部の形成位置は、鍔部の端縁に限られることはなく、本体部31との接続部と径方向端縁との中間位置に形成しても良く、弾性シール部材とケーシングとの間の気密性を向上できるよう、厚肉部が周方向にわたり連続的に形成されると良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のガスセンサの全体構成を示す断面図である。
【図2】ガスセンサのうち、外筒部材および内筒部材の連結部分の拡大断面図である。
【図3】内側シール部材と外側シール部材とを嵌合して、シール部材が組み立てられる状態を表す説明図である。
【図4】後端側から見たときの内側シール部材の平面図である。
【図5】図4におけるA−A視部分を断面として表した内側シール部材の側面図である。
【図6】後端側から見たときの外側シール部材の平面図である。
【図7】図6におけるB−B視部分を断面として表した外側シール部材の側面図である。
【符号の説明】
1…ガスセンサ、2…検出素子、4…ケーシング、5…主体金具、7…セパレータ、11…シール部材、14…内筒部材、16…外筒部材、17…シール部材リード線挿通孔、19,22…ヒータ用リード線、20,21…素子用リード線、23…内側シール部材、24…外側シール部材、25…検出部、26…外側信号出力電極、27…内側信号出力電極、31…本体部、32…シール部材鍔部、51…支持部材、52…充填部材、53…スリーブ、54…金具段部、58…基準ガス空間、63…筒状開口部、88…加締め部。
Claims (4)
- 検出部にて検出される被測定ガスに応じたガス検出信号を信号出力部から出力する検出素子と、
前記検出部を前記被測定ガスに晒しつつ、前記信号出力部を内部空間に収容する状態で前記検出素子を保持する素子保持部を有すると共に、外部から前記内部空間に通じる筒状開口部を有するケーシングと、
前記信号出力部に接続するリード線を外部から前記ケーシングの前記内部空間に導入するためのリード線挿通孔を有し、前記ケーシングの内部に配置される弾性シール部材と、
を有するガスセンサであって、
前記弾性シール部材は、柱状形状に形成されたゴム材料からなる内側シール部材と、前記内側シール部材の周囲を囲む筒状形状に形成されたゴム材料からなる外側シール部材とを有して構成されると共に、前記外側シール部材が前記ケーシングの内面に当接する状態で該ケーシングの内部に配置され、
前記外側シール部材は、前記内側シール部材よりも耐熱性能に優れたゴム材料で形成され、
前記内側シール部材は、前記外側シール部材よりも硬度が低く、かつ前記リード線挿通孔を備えて形成されていること、
を特徴とするガスセンサ。 - 前記弾性シール部材は、前記外側シール部材の径方向外側に位置する前記ケーシングを径方向内側に加締めることにより、前記ケーシングの内側に加締め固定されていること、
を特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。 - 前記弾性シール部材は、前記内側シール部材の外面から周方向外側に向けて延設されると共に前記外側シール部材よりも周方向外側に突出して形成される鍔部を備え、
前記鍔部は、前記ケーシングの内面に当接して、前記ケーシングの内部での前記弾性シール部材の設置位置を規定すること、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のガスセンサ。 - 前記外側シール部材は、パーフロロゴムで形成されたこと、
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のガスセンサ。
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JP2014231063A (ja) * | 2013-05-28 | 2014-12-11 | 本田技研工業株式会社 | 遠心鋳造装置及び遠心鋳造方法 |
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-
2003
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