JP2004219251A - 表面性状測定器及び表面性状測定器用治具並びに調整方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面性状測定器10において、ダイアモンド圧子16を圧子ホルダに固定して先端部の曲率半径を顕微コリメーション法により測定する。曲率半径測定に先立ち、ダイアモンド圧子16と同一のフランジを有し、その先端に単レンズを有する光軸調整用治具を圧子ホルダに固定する。光軸調整用治具を照射光軸に沿って移動させ、曲率中心と見かけ上の曲率中心におけるピンホール像を観測して圧子ホルダの傾きを調整する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は表面性状測定器に関し、特に被検体の曲率半径を測定する際の光軸調整に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、被検体表面の粗さやうねり、形状等の表面性状を測定するために種々の光学機器が使用されている。代表的なものは、着目している被検体の表面部分に対して参照面を用意し、表面部分と参照面からの反射光により生成される干渉縞を利用して着目している被検体の表面性状を測定するものである。
【0003】
被検体の一例として、機械機器等の硬度測定に用いられるダイアモンド圧子がある。ロックウエル硬さ試験機はダイアモンド圧子を試験体に押し込み、くぼみの永久変形量により試験体の硬度を測定するものである。圧入されるダイアモンド圧子は、先端部の頂部を曲率半径0.2mmの球面に加工した頂角120度の円錐形状のものが使用される。円錐形状の頂角及び曲率半径の誤差は硬度測定の結果に大きく影響するため、硬度測定を行う前にこれらの誤差を正確に評価する必要がある。
【0004】
このうち、ダイアモンド圧子の先端球面の曲率半径の測定に関しては、顕微コリメーション法(顕微コリメータ法)が知られている。顕微コリメーション法では、球面の先端と曲率中心とに光源の像を結像した場合に観測される光量がピークになることを利用したものである。
【0005】
図8には、顕微コリメーション法を用いた曲率半径測定の光学系(球面計)が示されている。光源からの光はピンホール200を経てレンズ202で平行光とされ、ハーフミラー204で反射し、対物レンズ206で集光されてダイアモンド圧子208に照射される。なお、図ではダイアモンド圧子の先端部(圧子部)は球面で表現されている。ダイアモンド圧子208はホルダに装着され、ホルダは光軸に沿って駆動機構により駆動される。ダイアモンド圧子208からの反射光は対物レンズ206、ハーフミラー204、レンズ210を経てCCDセンサ212に入射する。CCDセンサ212にはピンホール200が結像するが、ダイアモンド圧子208の頂点で反射したときと、曲率中心で反射したときにピンホール像が合焦し、このときのダイアモンド圧子208の光軸に沿った移動量がダイアモンド圧子208の曲率半径となる。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−54910号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、顕微コリメーション法を用いた曲率半径測定においては、被検体であるダイアモンド圧子に照射される光の光軸に対し、ダイアモンド圧子の円錐部の中心軸が一致していることが前提である。ダイアモンド圧子は表面性状測定器のホルダの座面に装着されるため、言い換えると光軸に対してホルダの座面、すなわちホルダの基準面を垂直にすることが前提となる。
【0008】
特に、表面性状測定器を用いてダイアモンド圧子の円錐部の頂角を測定する場合、光軸に対してダイアモンド圧子を傾けて測定するため、光軸とホルダ座面との位置関係が変化する。したがって、例えば円錐部の頂角を測定した後に円錐部の曲率半径を測定する場合、光軸に対してホルダ座面が垂直であるか否かを確認し、垂直でない場合には垂直に調整する必要がある。
【0009】
本発明の目的は、簡易に、かつ確実に光軸調整することができる表面性状測定器及びこれに用いる治具、並びに方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光源からの光を被検体に照射し、顕微コリメーション法を用いて前記被検体の曲率半径を測定する表面性状測定器であって、前記光源からの光を所定の光軸に沿って前記被検体に導くとともに、前記被検体からの反射光を観測装置に導く光学系と、前記被検体を支持するホルダと、前記ホルダを前記光軸に沿って移動させる第1調整手段と、前記ホルダの前記光軸に対する傾きを調整する第2調整手段と、先端に単レンズを有して前記ホルダに装着される光軸調整治具とを有し、前記光軸調整治具の前記単レンズに前記光学系からの光を照射して前記第1調整手段を駆動したときの前記観測装置での観測結果に基づき前記第2調整手段を駆動して前記光軸と前記ホルダとの位置関係を調整することを特徴とする。
【0011】
本発明では、ダイアモンド圧子等の被検体をホルダに装着して曲率半径を測定する際に、ダイアモンド圧子の代わりに先端に単レンズを有する光軸調整用治具を装着して光軸調整を行う。すなわち、光軸調整用治具をホルダに装着して光軸に沿って駆動させたときの観測結果は単レンズの中心軸と光軸との傾きを反映したものとなる。単レンズの中心軸とホルダとの位置関係は固定であるから、これは光軸とホルダとの位置関係を反映したものとなる。観測結果に応じて第2駆動手段を駆動して光軸とホルダとの位置関係を調整することで、光軸に対してホルダを正確に位置決めできる。より特定的には、ダイアモンド圧子等の被検体が装着されるホルダの基準面を光軸に対して垂直にする。これにより、ダイアモンド圧子等の被検体をホルダに装着したときにも、被検体は光軸に対して傾きなく正確に位置決めされる。
【0012】
本発明の1つの実施形態では、前記単レンズとして平凸レンズあるいは平凹レンズが用いられる。
【0013】
また、本発明は、表面性状測定器に用いられる治具を提供する。この治具は、前記表面性状測定器の被検体であるダイアモンド圧子のフランジと同一形状のフランジを有し、かつ先端部に単レンズを有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、表面性状測定器の光軸と被検体ホルダの基準面との角度を調整する調整方法を提供する。この方法は、先端部に単レンズを有する光軸調整用治具を前記基準面に取り付けるステップと、前記光軸調整用治具を前記光軸に沿って移動させ、前記単レンズの反射光から前記単レンズの曲率中心と見かけ上の曲率中心とを検出するステップと、前記曲率中心と見かけ上の曲率中心との位置関係に応じて前記基準面の角度を調整するステップとを有する。
【0015】
本発明の1つの実施形態では、前記調整するステップでは、前記単レンズの反射光の投影面上において前記曲率中心と見かけ上の曲率中心とが一致するように前記基準面の角度を調整することで前記光軸と前記基準面とを直交させる。なお、曲率中心とは単レンズのレンズ面の曲率中心であり、見かけ上の曲率中心とは、単レンズのレンズ面以外の面が形成する光学的な曲率中心である。見かけ上の曲率中心は、単レンズのレンズ面以外の面から入射した光の集光点として規定される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1には、本実施形態の表面性状測定器10の構成が示されている。表面性状測定器10は、被検体としてのダイアモンド圧子16の先端部の表面性状、円錐形状の頂角及び曲率半径を測定するものであり、光学系1、光源としてのレーザヘッド2、圧子位置調整機構86及び参照***置調整機構88を含んで構成される。なお、参照***置調整機構88は先端部の表面性状を測定する際に必要なものであり、曲率半径を測定する際には直接的には使用されない。
【0018】
圧子位置調整機構86は、ダイアモンド圧子16の位置及び姿勢を調整するものであり、XYステージ86a、並進機構86b、回転機構86c及び傾斜機構86dを含んで構成される。
【0019】
XYステージ86aは、照射光軸に対して直交方向の面内にダイアモンド圧子16を移動させる機構であり、水平方向及び鉛直方向を動作方向とし、各方向についてそれぞれ粗動機構と微動機構とを備えている。粗動機構にはステッピングモータとマイクロメータ機構の組み合わせが使用され、可動範囲は5mmである。微動機構には圧電素子が使用され、可動範囲は20μmである。XYステージ86aは、後述する位置制御部82の制御により0.01μmの分解能で直交面内の移動を制御できる。
【0020】
並進機構86bは、ダイアモンド圧子16を照射光軸と同方向に並進移動させる機構であり、インチワームモータ52からなる駆動機構を備えている。並進機構86bは、後述する位置制御部82の制御により、ダイアモンド圧子16の並進移動位置を0.01μmの分解能で制御できる。
【0021】
回転機構86cは、ダイアモンド圧子16をその軸線を中心として回転させる機構であり、ステッピングモータが使用される。この回転機構86cによりダイアモンド圧子16表面の任意の母線に光を照射することができる。
【0022】
傾斜機構86dは、照射光軸に直交する軸を中心としてダイアモンド圧子16を傾斜させる機構であり、圧電素子が使用されている。この傾斜機構86dによりダイアモンド圧子16は照射光軸に対してピッチ方向に±30度まで傾斜することができ、これによりダイアモンド圧子16の姿勢を微調整できる。
【0023】
参照***置調整機構88は、参照体66の位置を調整するものであり、圧子位置調整機構86におけるものとそれぞれ略同様のXYステージ88aを含んで構成される。
【0024】
リニアエンコーダ54は、ダイアモンド圧子16の照射光軸方向の移動距離を読み取るために使用される。ロータリエンコーダ80は、ダイアモンド圧子16を照射光軸に直交する軸を中心として回転させたときの回転角度を読み取るために使用される。
【0025】
図2には図1における光学系1の内部構造が示されている。特に、顕微コリメーション法によりダイアモンド圧子16の先端部の曲率半径を測定する場合の使用状態が示されている。
【0026】
レーザヘッド2から光ファイバ18を通じて入射するレーザ光はピンホール12から出射し、対物レンズ14により集光されてダイアモンド圧子16の先端部17に照射される。
【0027】
ここで、光ファイバ18からの光は光アイソレータ19を挟むレンズ20,22により集光され、その後、回転拡散板24により拡散される。光アイソレータ19は偏光板19aと1/4波長板19bとから構成されており、光アイソレータ19を回転させることで光量が調整される。回転拡散板24は干渉ノイズ低減のために設けられる。拡散された光はレンズ26,28によりピンホール12に集光され、その後、レンズ30により平行とされてハーフミラー32(あるいはビームスプリッタ)に入射する。ハーフミラー32で反射した光は対物レンズ14によりダイアモンド圧子16の先端部17に集光される。
【0028】
ダイアモンド圧子16の先端部17から反射した光は対物レンズ14に戻り、対物レンズ14からの光はハーフミラー46(ビームスプリッタ)により分割され、一方はレンズ36によりピンホール48に集光された後フォトセンサ42で検出される。検出光は電気信号に変換され解析部50に供給される。分割されたもう一方の光はレンズ38及びレンズ40により集光されCCDセンサ44にてピンホール像の画像信号に変換される。
【0029】
虹彩絞り56は可変であり、ダイアモンド圧子16の頂部の曲率を有する領域の大きさに応じて開口数を調整することが可能であり、本実施形態では最大0.65に設定可能である。
【0030】
他方、ハーフミラー32により分割された光のうち参照体側対物レンズ58に向かう光は、シャッタ60により選択的に遮光可能とされている。シャッタ60は、入射する光が反射して対物レンズ14からの光と干渉しないように吸収効率の高い材質で構成される。干渉光学系により圧子の表面性状や圧子の頂角を測定する場合、シャッタ60は開いて使用される。逆に、曲率半径を測定する場合、シャッタ60は閉じられる。被検体または参照体の位置調整及び測定を行う場合、調整/測定を行う側の他方はシャッタを閉じておくため、虹彩絞り56の前、すなわちハーフミラー32と虹彩絞り56との間の光路上にもシャッタを設けることもできる。
【0031】
図3(a)にはダイアモンド圧子16の側面図が示されており、図3(b)にはダイアモンド圧子16の先端部17の一部(図3(a)における点線囲み部)を拡大した図が示されている。ダイアモンド圧子16はロックウエルダイアモンド圧子16であり、その先端部17は略円錐形状をなし、かつその頂部17aは所定の曲率半径をもつ球面の一部となるように加工されている。円錐形状の頂角は略120度であり、頂部17aの曲率半径は略0.2mmである。頂角や曲率半径を測定することで、その誤差が評価される。ダイアモンド圧子16はフランジを有し、この圧子フランジを表面性状測定器10のホルダ座面に押しつけて固定する。曲率半径を測定する際には、その前提として照射光軸とホルダ座面とが垂直であることが必要である。ダイアモンド圧子16の円錐部の中心軸はフランジ座面に垂直となるように規定されており、したがって照射光軸とホルダ座面とを垂直に設定することで、ダイアモンド圧子16をホルダ座面に押しつけて固定した場合、照射光軸とダイアモンド圧子16の円錐部の中心軸が略平行になる。ダイアモンド圧子16の位置をXYステージ上で調整することで、ダイアモンド圧子16の先端球面の曲率中心を正確に照射光軸上に合わせることができる。
【0032】
図4には、本実施形態に係る制御系の概念図が示されている。位置制御部82は、圧子位置調整機構86に接続されている。圧子位置調整機構86に配設されているロータリエンコーダ80及びリニアエンコーダ54の出力は、それぞれ位置制御部82に供給され、ダイアモンド圧子16の現在位置及び姿勢が常時検出可能となっている。また、位置制御部82には例えばキーボード及びマウスからなる入力装置85が接続されている。
【0033】
解析部50は、フォトセンサ42及びCCDセンサ44に接続されており、これによりフォトセンサ42からの光強度信号、CCDセンサ44により検出されたピンホール像等の画像情報が解析部50に供給される。解析部50の出力側は位置制御部82及び表示装置84に接続されており、例えば光信号の強度変化やピンホール像の画像等を出力可能となっている。
【0034】
なお、解析部50、位置制御部82、表示装置84及び入力装置85は、これらの機能を実行するコンピュータハードウェア及びプログラムとして周知のパーソナルコンピュータに実装されている。
【0035】
以上のような構成において、ダイアモンド圧子16の先端部17の曲率半径は以下のようにして測定される。ダイアモンド圧子16を照射光軸と同方向に並進移動させると、フォトセンサ42で検出される光量が変化する。すなわち、照射光がダイアモンド圧子16の頂点に結像する位置では、頂点で反射した光は頂点が理想的な球面であると仮定すると全てレンズ14に戻るため、フォトセンサ42により観測される光強度はその位置で極大となり、第1のピークとして現れる。次に、ダイアモンド圧子16を対物レンズ14に向けて照射光軸に沿って移動させると、光の強度は一旦減少するが極小点を経た後、再び上昇し始め、照射光が曲率中心で結像する位置で第2のピークとして現れる。これは、対物レンズ14から入射してきた光が正反射されるためである。第1のピーク位置と第2のピーク位置との距離をリニアエンコーダ54を使用して精密測定することで、ダイアモンド圧子16の先端部17の曲率半径を測定することができる。
【0036】
一方、このような曲率半径測定においては、ダイアモンド圧子16の頂点が照射光軸上に正確に配置されている必要がある。より詳しくは、ダイアモンド圧子16の頂点が照射光軸上に位置し、かつ円錐部の中心軸が照射光軸上に位置する必要がある。そこで、ダイアモンド圧子16の頂点を照射光軸上に位置させるためにはXYステージ86を駆動すればよいが、円錐部の中心軸を照射光軸上に位置させるためにはダイアモンド圧子16の傾きを傾斜機構86dで調整する必要がある。ダイアモンド圧子16は、圧子ホルダに装着されてインチワームモータ52に取り付けられており、圧子ホルダはダイヤモンド圧子16のフランジ座面が当接する基準面を備える。したがって、圧子ホルダの基準面の傾きを調整して基準面が照射光軸と垂直となるように傾斜機構86dで調整することで、ダイアモンド圧子16を圧子ホルダに押しつけて装着したときにダイアモンド圧子16の先端部17の円錐中心軸は照射光軸に対して略平行となる。
【0037】
本実施形態では、このように圧子ホルダの基準面、すなわちダイアモンド圧子16のフランジが当接する座面の傾きを特定の光軸調整用治具を用いて簡易に調整する。
【0038】
図5には、照射光軸に対して圧子ホルダの基準面(フランジが当接する座面)を垂直に調整するために用いる治具215が示されている。治具215は本体部216と先端部217とから構成されており、本体部216はダイアモンド圧子16と同一形状のフランジを有する。したがって、治具215はダイアモンド圧子16が装着される圧子ホルダ210(図中一点鎖線で示す)に対してダイアモンド圧子16と全く同様に装着できる。治具215のフランジは圧子ホルダ210の基準面210aに当接し、この状態で治具215の中心軸は圧子ホルダ210の基準面210aに対して垂直となる。一方、治具215の先端部217には単レンズ(以下、単レンズ217と称する)が設けられる。単レンズ217は、芯取りしたレンズを使用すればよいが、平凸レンズあるいは平凹レンズを用いてレンズの平面を治具本体216の座に平行に配置することで、レンズの芯出しを行う手間が省け、芯出しによる精度低下も抑制される。図においては、下側に平面が形成された平凸レンズが示されている。
【0039】
図5に示された治具215を圧子ホルダ210に装着した後、以下のようにして圧子ホルダ210の基準面210aの傾きを調整する。
【0040】
図6(a)及び図6(b)には、治具215を用いた調整方法が模式的に示されている。治具215のフランジを圧子ホルダ210の基準面(座面)210aに押しつけて固定した後、治具215の位置をXYステージ86aを駆動して調整し、次に並進機構86bを駆動して治具215を照射光軸に沿って移動させる。対物レンズ14からの照射光が図6(a)に示されるように単レンズ217の見かけ上の曲率中心に結像するとフォトセンサ42により検出される光強度はその位置で極大となり、表示装置84にはCCDセンサ44にて検出された合焦状態のピンホール像が観測される。なお、見かけ上の曲率中心とは、単レンズ217の下面に形成された平面により見かけ上形成される曲率中心であって、単レンズ217の屈折力により決定され、幾何学的な曲率中心とは異なる。見かけ上の曲率中心は、単レンズ217の平面側から入射した光が集光する点である。
【0041】
次に、治具215を照射光軸に沿って対物レンズ14の方向に移動させると、光の強度は一旦減少するが再び上昇し始め、照射光が単レンズ217の曲率中心(単レンズ217の上面に形成された凸面の曲率中心)に結像すると極大となり、再び合焦状態のピンホール像が観測される。単レンズ217の曲率中心と見かけ上の曲率中心を結ぶ直線は治具215の中心軸と平行であり、治具215のフランジに垂直である。したがって、図6(a)の位置において得られたピンホール像の位置と、図6(b)において得られたピンホール像の位置とを比較し、両位置が一致している場合には単レンズ217の曲率中心と見かけ上の曲率中心とを結ぶ直線が照射光軸に平行であって、照射光軸と圧子ホルダ210の基準面210aは垂直であると判定できる。一方、両位置が異なる場合には単レンズ217の曲率中心と見かけ上の曲率中心とを結ぶ直線が照射光軸に平行でなく、照射光軸と圧子ホルダ210の基準面210aも垂直でないと判定できる。この場合、両位置が一致するまで傾斜機構86d、さらには必要であればXYステージ86aを駆動する。
【0042】
なお、単レンズ217の曲率中心と見かけ上の曲率中心とを結ぶ直線が照射光軸となす角(傾き)をβ、曲率中心間の距離をDとすると、ピンホール像の移動量dは、
【数1】
d=β・D ・・・(1)
の関係にあるので、両位置が一致しない場合、(1)式に基づいて傾きの調整角度を算出すればよい。傾きの調整は、操作者がピンホール像を表示装置84で視認しながらマニュアルで傾斜機構86dを駆動してもよく、あるいは画面上からdを検出し、予めメモリ等に記憶しておいたDを用いて(1)式に基づきβを算出し、傾斜機構86dを自動駆動してもよい。フォトセンサ42、CCDセンサ44、解析部50及び表示装置84がピンホール像を観測する観測装置として機能する。
【0043】
図7には、本実施形態における治具215を用いた光軸調整方法のフローチャートが示されている。まず、ダイアモンド圧子16を表面形状測定器の圧子ホルダ210に装着するに先立ち、治具215を圧子ホルダ210に装着する(S101)。すなわち、治具のフランジを圧子ホルダ210の基準面(座面)210aに押しつけて固定する。治具215(ダイアモンド圧子16)の位置をXYステージ86aを駆動して調整し、次に、並進機構86bを駆動して治具215を圧子ホルダ210毎照射光軸に沿って移動させ、治具215の先端部に設けられた単レンズ217の曲率中心位置及び見かけ上の曲率中心位置に照射光を集光させ、ピンホール像をCCDセンサ44に結像させる(S102)。そして、2つの位置におけるピンホール像位置を比較し、両位置が一致するか否かを判定する(S103)。
【0044】
両位置が一致しない場合、照射光軸と圧子ホルダ210の基準面210aとは垂直ではないことを意味するから、傾斜機構86dを駆動して圧子ホルダ210の基準面210aの傾きを調整する(S104)。なお、照射光軸自体の傾きを調整してもよい。傾きを調整した後、再び2つの曲率位置におけるピンホール像を観測し、2つのピンホール像の位置が一致するか否かを確認する。両位置が一致する場合、照射光軸と圧子ホルダ210の基準面210aとは垂直であることを意味するから、光軸調整が完了したとして治具215を圧子ホルダ210から取り外し(S105)、ダイアモンド圧子16を圧子ホルダ210に装着してダイアモンド圧子16の先端部17の曲率半径を測定する(S106)。すなわち、治具215の位置をXYステージ86aを駆動して調整し、並進機構86bを駆動してダイアモンド圧子16を照射光軸に沿って移動させ、照射光を先端部17の頂部及び曲率中心に集光させ、そのときの移動量を測定する。
【0045】
このように、本実施形態では、ダイアモンド圧子16のフランジと同様のフランジを有し、その先端に単レンズを有する治具を用いて光軸調整するので、容易にかつ確実に照射光軸と圧子ホルダの基準面とを垂直に調整でき、これによりダイアモンド圧子の曲率半径を正確に測定することができる。
【0046】
本実施形態では、表面性状測定器10を用いてダイアモンド圧子16の先端部17の曲率半径を測定する場合の光軸調整について説明した。表面性状測定器10の機能としては、この他にダイアモンド圧子16の先端部17の頂角の測定や先端部の表面性状の測定が可能である。頂角測定の後に曲率測定を行う場合、頂角測定時には圧子ホルダ210を傾けて測定するため、頂角測定後は照射光軸と圧子ホルダ210の基準面210aとのなす角は必ずしも垂直となっていない。この場合、本実施形態の光軸調整用治具215を用いて圧子ホルダ210の基準面210aを照射光軸に対して垂直に設定した後で曲率半径を測定するのが有効である。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、簡易に、かつ確実に光軸調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の全体構成図である。
【図2】図1における光学系の構成図である。
【図3】ダイアモンド圧子の説明図である。
【図4】制御系の構成ブロック図である。
【図5】光軸調整用治具の説明図である。
【図6】光軸調整用治具を用いた光軸調整方法の説明図である。
【図7】光軸調整の処理フローチャートである。
【図8】顕微コリメーション方法の説明図である。
【符号の説明】
1 光学系、16 ダイアモンド圧子、17 先端部、42 フォトセンサ、44 CCDセンサ、52 インチワームモータ、86a XYステージ、86b 並進機構、86c 回転機構、86d 傾斜機構、210 圧子ホルダ、215 光軸調整用治具。
Claims (7)
- 光源からの光を被検体に照射し、顕微コリメーション法を用いて前記被検体の曲率半径を測定する表面性状測定器であって、
前記光源からの光を所定の光軸に沿って前記被検体に導くとともに、前記被検体からの反射光を観測装置に導く光学系と、
前記被検体を支持するホルダと、
前記ホルダを前記光軸に沿って移動させる第1調整手段と、
前記ホルダの前記光軸に対する傾きを調整する第2調整手段と、
先端に単レンズを有して前記ホルダに装着される光軸調整治具と、
を有し、前記光軸調整治具の前記単レンズに前記光学系からの光を照射して前記第1調整手段を駆動したときの前記観測装置での観測結果に基づき前記第2調整手段を駆動して前記光軸と前記ホルダとの位置関係を調整することを特徴とする表面性状測定器。 - 請求項1記載の表面性状測定器において、
前記単レンズは平凸レンズあるいは平凹レンズであることを特徴とする表面性状測定器。 - 表面性状測定器に用いられる治具であって、
前記表面性状測定器の被検体であるダイアモンド圧子のフランジと同一形状のフランジを有し、かつ先端部に単レンズを有する
ことを特徴とする表面性状測定器用治具。 - 請求項3記載の治具において、
前記単レンズは平凸レンズあるいは平凹レンズであることを特徴とする表面性状測定器用治具。 - 表面性状測定器の光軸と被検体ホルダの基準面との角度を調整する調整方法であって、
先端部に単レンズを有する光軸調整用治具を前記基準面に取り付けるステップと、
前記光軸調整用治具を前記光軸に沿って移動させ、前記単レンズの反射光から前記単レンズの曲率中心と見かけ上の曲率中心とを検出するステップと、
前記曲率中心と見かけ上の曲率中心との位置関係に応じて前記基準面の角度を調整するステップと、
を有することを特徴とする調整方法。 - 請求項5記載の方法において、
前記調整するステップでは、前記単レンズの反射光の投影面上において前記曲率中心と見かけ上の曲率中心とが一致するように前記基準面の角度を調整することで前記光軸と前記基準面とを直交させることを特徴とする調整方法。 - 請求項5、6のいずれかに記載の方法において、
前記単レンズは、平凸レンズあるいは平凹レンズであることを特徴とする調整方法。
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