JP2004217703A - インクジェット用非水系顔料インク - Google Patents
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Abstract
【目的】インクジェット印刷に適した非水系顔料インクを提供する。
【構成】シリコーン系溶媒と顔料を含有し、さらに分散剤としてアミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイルおよび脂肪酸変性シリコーンオイルよりなる群から選ばれる一または複数の変性シリコーンオイルを含んでなり、該変性シリコーンオイルが顔料表面に吸着されていることを特徴とするインクジェット用非水系顔料インクである。変性シリコーンオイルの置換基の分子量は好ましくは1000以下である。
【選択図】なし
【構成】シリコーン系溶媒と顔料を含有し、さらに分散剤としてアミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイルおよび脂肪酸変性シリコーンオイルよりなる群から選ばれる一または複数の変性シリコーンオイルを含んでなり、該変性シリコーンオイルが顔料表面に吸着されていることを特徴とするインクジェット用非水系顔料インクである。変性シリコーンオイルの置換基の分子量は好ましくは1000以下である。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット用非水系顔料インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、インクの微小液滴を飛翔させて紙などのメディアに付着させることで文字・画像などの記録を行うものであるが、無版印刷/非接触印刷であることからカラー化が容易であり、低騒音である等の長所があるため、特にカラー画像の出力装置として種々の用途に急速に普及している。
【0003】
このようなインクジェット記録方式に使用されるインクは、従来、水系インクすなわち水ないし水と親水性溶媒の混合溶媒中に染料を溶解または顔料を分散したものが主流であった。特に近年では、高画質印刷に必要な耐光性および耐水性に優れていることから、顔料を色材とするインク(水系顔料インク)が増加傾向にある。
【0004】
インクジェットヘッドの高性能化および高速化に伴って、インクジェット用インクには高度の速乾性が求められるようになってきているが、従来の水系インクは乾燥速度が遅く、この要請を十分に満足させることができない。水系インクを用いて印刷した後に乾燥装置によって乾燥することによってインクジェットシステムの高速化を図ろうとする提案もなされているが、コスト増を招くだけでなく、印刷直後の色材が移動し得る状況下での強制乾燥は画像の乱れを生じるため、根本的な高速化対応策にはなり得ないものであった。また、水系インクを用いた場合はノズルへの目詰まりが起こりやすいため、ノズルのクリーニングを頻繁に行う必要があり、高速化の障害となっている。
【0005】
また、従来のインクで高画質印刷を行うためには、表面にインク受像層が形成された特別のメディアを用いることが要求されており、インク受像層を持たない普通紙はインクジェット印刷のメディアとして不適とされていた。これは、水系インクでは紙繊維が最も嫌う水を溶媒としているため、これを普通紙に印刷すると紙繊維が伸縮し、コックリングと言われる現象に起因してカール等の変形が印刷後に生じたり、搬送中に印刷部の擦れが生じたりして、致命的な印刷不良を起こすためである。水系インクの使用を前提とした普通紙対応策についても製紙技術および画像処理技術の両面で種々研究開発が行われているが、いまだに満足できる解決策が見出されていない。したがって、メディアを選ばず、普通紙にも高画質印刷が可能なインクジェット用インクの開発が切望されている。
【0006】
水系インクに対して、インク用溶媒として水を使用しない非水系インクも注目されてきており、その主流は有機溶媒を主成分とするいわゆる油性インクである。油性インクは水系インクに比べると乾燥性が良く、普通紙をメディアとした場合の印刷適性にも優れていると考えられるが、油性インクは高分子材料への適合性が低いため、PP材料のクリアファイル等を変形させるという問題が発生する。また、ロイコ染料と顕色剤からなる感熱記録紙は油に弱く、油性インク印字物とともに保管すると、経年により文字が消えてしまうという問題がある。さらに、油性インクの多くは電子写真トナーの樹脂成分を膨潤させ、裏移り等の問題を引き起こす。
【0007】
このような問題点に鑑みて、非水系インクであっても有機溶媒を用いずシリコーン系溶媒を用いたもの(以下「シリコーン系溶媒インク」)が提案されている(下記特許文献1〜3)。これらのシリコーン系溶媒インクは上述の油性インクが抱える問題点を解決することができるものとされている。
【0008】
【特許文献1】特開平04−161467号公報
【特許文献2】特開平04−248879号公報
【特許文献3】特開2001−342388号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シリコーン系溶媒は顔料を安定した状態で分散させることが非常に難しい。この点に鑑みて、特許文献1では分子骨格中にシロキサン結合を持たせた変性シリコーンオイルを溶媒とすることでインク化を達成し、特許文献2ではシリコーン溶媒のほかに炭化水素やアルコール等の有機溶媒を併用して安定性を向上させることが提案されているが、このようにして得られるインクは油性インクに近づく特性を有することになるため、クリアファイルを変形させる等の上述の油性インクの欠点が露呈してしまい、また、溶媒の粘度が高くインク設計の自由度(たとえば、顔料の配合比率をより高くする等の自由度)が低下する等の問題を有するものであった。また、特許文献3では分散剤にシリコーン系グラフトポリマーを使用しているが、実施例で用いられているシリコーン系グラフトポリマーの分子量はいずれも10000程度であってきわめて高分子化されており、特にグラフト部が大きいために粘度の増加を招きインク設計の自由度がきわめて狭いものであった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述の従来技術の問題点の改善方法について鋭意検討を重ねた結果、シリコーン系溶媒インクとすることで従来の水系インクおよび油性インクが抱えていた問題点をすべて解決することを目的とし、この目的を、分散剤として特定の変性シリコーンオイルを用いることによって達成し、高顔料濃度で低粘度の安定したシリコーン系溶媒インクを容易に製造できるようにしたものである。
【0011】
すなわち、本発明は、シリコーン系溶媒と顔料を含有し、さらに分散剤としてアミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイルおよび脂肪酸変性シリコーンオイルよりなる群から選ばれる一または複数の変性シリコーンオイルを含んでなり、該変性シリコーンオイルが顔料表面に吸着されていることを特徴とするインクジェット用非水系顔料インクである。
【0012】
顔料にはカーボンブラックおよび/または有機顔料を用いることが好ましい。
【0013】
シリコーン系溶媒の好適な一例はメチルポリシロキサン等の非変性シリコーンオイルである。
【0014】
変性シリコーンオイルの好適な例は下記化学構造式1ないし4のいずれかで表されるものである。
【0015】
【化5】
【0016】
【化6】
【0017】
【化7】
【0018】
【化8】
【0019】
変性シリコーンオイルの置換基の分子量は好ましくは1000以下である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット用非水系インクは、シリコーン系溶媒と、顔料と、分散剤としてアミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイルおよび脂肪酸変性シリコーンオイルよりなる群から選ばれる一または複数の変性シリコーンオイルとを含有する。
【0021】
シリコーン系溶媒は、毒性および臭気が少なく、引火性が低く、沸点が150℃の環境下で24時間揮発分が30%以上であることが好ましく、ジメチルシリコーンオイル、環状メチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等の中からこうした特性を有するものを選択して使用することができる。
【0022】
顔料は本発明インクの必須成分ではあるが本発明の主たる特徴を構成するものではなく、汎用の顔料から適宜選択して使用することができる。たとえば、黒色インク用の顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類、オルトニトロアニリンブラック等の有機顔料を単独または任意混合して使用することができる。
【0023】
また、カラーインク用顔料としては、トルイジンレッド、パーマネントカーミンFB、ジスアゾオレンジPMP、レーキレッドC、ブリリアントカーミン6B、キナクリドンレッド、ジオキサンバイオレット、オルトニトロアニリンオレンジ、ジニトロアニリンオレンジ、バルカンオレンジ、トルイジンレッド、塩素化パラレッド、ブリリアントファーストスカーレット、ナフトールレッド23、ビラゾロンレッド、バリウムレッド2B、カルシウムレッド2B、ストロンチウムレッド2B、マンガンレッド2B、バリウムリソームレッド、ピグメントスカーレッド3Bレーキ、レーキボルドー10B、アンソシン3Bレーキ、アンソシン5Bレーキ、ローダミン6Gレーキ、エオシンレーキ、べんがら、ファフトールレッドFGR、ローダミンBレーキ、メチルバイオレッドレーキ、ジオキサジンバイオレッド、ナフトールカーミンFB、ナフトールレッドM、ファストイエローAAA、ファストイエロー10G、ジスアゾイエローAAMX、ジスアゾイエローAAOT、ジスアゾイエローAAOA、ジスアゾイエローHR、イソインドリンイエロー、ファストイエローG、ジスアゾイエローAAA、フタロシアニンブルー、ピクトリアピュアブルー、ベーシックブルー5Bレーキ、ベーシックブルー6Gレーキ、ファストスカイブルー、アルカリブルーRトナー、ピーコックブルーレーキ、紺青、群青、レフレックスブルー2G、レフレックスブルーR、アルカリブルーGトナー、ブリリアントグリーンレーキ、ダイアモンドグリーンチオフラビンレーキ、フタロシアニングリーンG、グリーンゴールド、フタロシアニングリーンY、昼光蛍光顔料、パール顔料等を単独または任意混合して用いることができる。
【0024】
本発明のインクジェット用非水系顔料インクは、分散剤としてアミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイルおよび脂肪酸変性シリコーンオイルよりなる群から選ばれる一または複数の変性シリコーンオイルを用いることを主たる特徴としており、これらの特定の変性シリコーンオイルによれば顔料を安定した状態で分散させることができる。この理由は十分に解明されていないが、アミノ変性シリコーンオイルおよびエポキシ変性シリコーンオイルについてはその優れた吸着性が、またカルボキシル変性シリコーンオイルおよび脂肪酸変性シリコーンオイルについてはその優れた極性が、顔料分散性能を向上させることに大きく寄与しているものと推測される。
【0025】
これら変性シリコーンオイルは、その構造が化学式1ないし4のいずれかによって表されるものであり、また、置換基の分子量が1000以下であることが好ましい。このようにシンプルな構造とすることにより顔料への吸着が容易となり、使用できる顔料の種類も増え、さらに、完成したインクの粘度を低く押さえることができる等の効果が期待できる。また、このようにシンプルな構造の変性シリコーンオイルは、グラフト部が大きなポリマーであるシリコーン系グラフトポリマーと比べてその設計や製造が容易であり、結果としてコスト面でのメリットもある。
【0026】
分散剤の配合量は、顔料100重量部に対して5〜500重量部の範囲とすることが好ましい。配合量が5重量部に満たないと顔料を安定した状態で分散させることが困難となり、500重量部を越えると粘度が高くなってインク化することが困難となる。なお、動作時の温度を0〜50℃に設定した場合におけるインク粘度は、インクジェットプリンタのヘッドの高速応答下におけるインクの供給安定性およびインクの滴形成飛翔安定性の観点より、吐出時ノズル付近において30mPa・s以下であることが好ましい。
【0027】
本発明のインクジェット用非水系インクにはさらに、一般の樹脂や、界面活性剤、消泡剤、表面張力改質剤等の添加剤を使用することができる。
【0028】
インク製造における顔料分散は、汎用の分散機(ボールミル、アトライター、サンドミル等)を使用して行うことができる。
【0029】
以下に本発明のインクジェット用非水系インクの実施例および比較例を挙げる。
【0030】
実施例1
溶媒としてのジメチルポリシロキサンKF−96L−5CS(信越化学工業社製)90部に、アミノ変性シリコーンオイルTSF4702(GE東芝シリコーン社製)5部とカーボンブラックMA−7(三菱化学社製)5部を添加して混合液とした。この混合液にさらにガラスビーズを150部加えてサンドミル(カンペ社製)2160rpmにて1時間分散した後、遠心分離機(日立工機社製)にて粗大粒子を除去し、インクジェット用非水系顔料ブラックインクを得た。
【0031】
実施例2
溶媒としての環状メチルポリシロキサンWACKER SILICONE FLUID Z040(旭化成ワッカーシリコーン社製)85部に、アミノ変性シリコーンオイルTSF4701(GE東芝シリコーン社製)10部とカーボンブラックPrintex 150T(デグサ社製)5部を添加して混合液とした。この混合液にさらにガラスビーズを150部加えてサンドミル(カンペ社製)2160rpmにて1時間分散した後、遠心分離機(日立工機社製)にて粗大粒子を除去し、インクジェット用非水系顔料ブラックインクを得た。
【0032】
実施例3
実施例1のカーボンブラックMA−7に代えてシアン顔料ブルーNo.32(大日精化社製)を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット用非水系顔料シアンインクを得た。
【0033】
実施例4
実施例1のカーボンブラックMA−7に代えてマゼンタ顔料HOSTAPERM RED E5B02(クラリアント社製)、アミノ変性シリコーンオイルTSF4702に代えてアミノ変性シリコーンオイルKF−8005(信越化学工業社製)を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット用非水系顔料マゼンタインクを得た。
【0034】
実施例5
実施例1のカーボンブラックMA−7に代えてイエロー顔料クロモファインイエロー(大日精化社製)を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット用非水系顔料イエローインクを得た。
【0035】
実施例6
実施例1のカーボンブラックMA−7に代えてイエロー顔料Toner Yellow HG(クラリアント社製)を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット用非水系顔料イエローインクを得た。
【0036】
実施例7
実施例1のアミノ変性シリコーンオイルTSF4702に代えてエポキシ変性シリコーンオイルKF−1001(信越化学工業社製)を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット用非水系顔料ブラックインクを得た。
【0037】
実施例8
実施例6のアミノ変性シリコーンオイルTSF4702に代えてカルボキシル変性シリコーンオイルX−22−3701E(信越化学工業社製)を使用した以外は実施例6と同様にしてインクジェット用非水系顔料イエローインクを得た。
【0038】
実施例9
実施例1のカーボンブラックMA−7に代えてカーボンブラック#2650(三菱化学社製)、アミノ変性シリコーンオイルTSF4702に代えて脂肪酸変性シリコーンオイルKF−3935(信越化学工業社製)を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット用非水系顔料ブラックインクを得た。
【0039】
実施例10
溶媒としてのジメチルポリシロキサンKF−96L−2CS(信越化学工業社製)87部に、アミノ変性シリコーンオイルTSF4700(GE東芝シリコーン社製)3部とカーボンブラックMA−7(三菱化学社製)10部を添加して混合液とした。この混合液にさらにガラスビーズを150部加えてサンドミル(カンペ社製)2160rpmにて1時間分散した後、遠心分離機(日立工機社製)にて粗大粒子を除去し、インクジェット用非水系顔料ブラックインクを得た。
【0040】
比較例1
実施例1のアミノ変性シリコーンオイルTSF4702に代えてノニオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル・ノイゲンEA70(第一工業製薬社製)を使用した以外は実施例1と同様にして実施したが、最終生成物は凝集してインクとはならなかった。
【0041】
比較例2
実施例1のアミノ変性シリコーンオイルTSF4702に代えて高分子型分散剤Solsperse17000(アビシア社製)を使用した以外は実施例1と同様にして実施したが、最終生成物は凝集してインクとはならなかった。
【0042】
比較例3
実施例1のアミノ変性シリコーンオイルTSF4702に代えてポリエーテル変性シリコーンオイルADDID100(旭化成ワッカーシリコーン社製)を使用した以外は実施例1と同様にして実施したが、最終生成物は凝集してインクとはならなかった。
【0043】
比較例4
実施例6のアミノ変性シリコーンオイルTSF4702に代えてポリエーテル変性シリコーンオイルADDID100(旭化成ワッカーシリコーン社製)を使用した以外は実施例6と同様にして実施したが、最終生成物は凝集してインクとはならなかった。
【0044】
比較例5
実施例1のアミノ変性シリコーンオイルTSF4702に代えてオレフィン変性シリコーンオイルX−22−174DX(信越化学工業社製)を使用した以外は実施例1と同様にして実施したが、最終生成物は凝集してインクとはならなかった。
【0045】
比較例6
脂肪族炭化水素系溶媒・日石アイソゾール(日本石油化学社製)85部に、高分子型分散剤Solsperse17000(アビシア社製)5部とカーボンブラックMA−7(三菱化学社製)10部を添加して混合液とした。この混合液にさらにガラスビーズを150部加えてサンドミル(カンペ社製)2160rpmにて1時間分散した後、遠心分離機(日立工機社製)にて粗大粒子を除去し、油性ブラックインクを得た。
【0046】
比較例7
市販のインクジェット用非水系顔料インクを比較例7とした。
【0047】
これら実施例1〜10および比較例1〜7のインクについて、安定性、ノズル目詰まりおよびクリアファイル変形の各特性を調べ、その結果を表1に示した。安定性については、促進試験として60℃恒温槽に1週間放置した際の前後の粘度変化を評価した。粘度計は東機産業社製のBL型粘度計を使用した。ノズル目詰まりは、インクをピエゾ型インクジェットヘッドに搭載し、室温で1週間放置した後、クリーニングにより復帰するかどうかを評価し、軽いクリーニングで復帰したものに○印を、復帰しなかったものに×印を付した。クリアファイル変形は、上記ヘッドで印字したサンプルを、PP材料クリアファイル・CLEAR HOLDER A4 フ−780(コクヨ社製)に1週間室温保管したときの形状変化を評価し、変形が見られなかったものに○印を、凹付き変形が見られたものに×印を付した。
【0048】
【表1】
【0049】
表1より明らかなように、分散剤としてアミノ変性シリコーンオイルを用いた実施例1〜6および10、エポキシ変性シリコーンオイルを用いた実施例7、カルボキシル変性シリコーンオイルを用いた実施例8および脂肪酸変性シリコーンオイルを用いた実施例9ではいずれも十分に低粘度であり高顔料濃度のインクとした場合においてもインクとしての安定性が高く且つノズル目詰まりもクリアファイル変形も見られないものであったのに対して、これら特定の変性シリコーンオイル以外の分散剤を用いた比較例1〜5では凝集のためにインク化することができず、比較例6および7ではクリアファイル変形が生じて実用に適さないものであった。
【0050】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、非水系顔料インクを前提として分散剤に特定の変性シリコーンオイルを用いることによって、顔料を安定的に分散させることができ、メディアを問わずに、インクジェット印刷の高速化および高画質化に十分に対応することが可能なインクが提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット用非水系顔料インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、インクの微小液滴を飛翔させて紙などのメディアに付着させることで文字・画像などの記録を行うものであるが、無版印刷/非接触印刷であることからカラー化が容易であり、低騒音である等の長所があるため、特にカラー画像の出力装置として種々の用途に急速に普及している。
【0003】
このようなインクジェット記録方式に使用されるインクは、従来、水系インクすなわち水ないし水と親水性溶媒の混合溶媒中に染料を溶解または顔料を分散したものが主流であった。特に近年では、高画質印刷に必要な耐光性および耐水性に優れていることから、顔料を色材とするインク(水系顔料インク)が増加傾向にある。
【0004】
インクジェットヘッドの高性能化および高速化に伴って、インクジェット用インクには高度の速乾性が求められるようになってきているが、従来の水系インクは乾燥速度が遅く、この要請を十分に満足させることができない。水系インクを用いて印刷した後に乾燥装置によって乾燥することによってインクジェットシステムの高速化を図ろうとする提案もなされているが、コスト増を招くだけでなく、印刷直後の色材が移動し得る状況下での強制乾燥は画像の乱れを生じるため、根本的な高速化対応策にはなり得ないものであった。また、水系インクを用いた場合はノズルへの目詰まりが起こりやすいため、ノズルのクリーニングを頻繁に行う必要があり、高速化の障害となっている。
【0005】
また、従来のインクで高画質印刷を行うためには、表面にインク受像層が形成された特別のメディアを用いることが要求されており、インク受像層を持たない普通紙はインクジェット印刷のメディアとして不適とされていた。これは、水系インクでは紙繊維が最も嫌う水を溶媒としているため、これを普通紙に印刷すると紙繊維が伸縮し、コックリングと言われる現象に起因してカール等の変形が印刷後に生じたり、搬送中に印刷部の擦れが生じたりして、致命的な印刷不良を起こすためである。水系インクの使用を前提とした普通紙対応策についても製紙技術および画像処理技術の両面で種々研究開発が行われているが、いまだに満足できる解決策が見出されていない。したがって、メディアを選ばず、普通紙にも高画質印刷が可能なインクジェット用インクの開発が切望されている。
【0006】
水系インクに対して、インク用溶媒として水を使用しない非水系インクも注目されてきており、その主流は有機溶媒を主成分とするいわゆる油性インクである。油性インクは水系インクに比べると乾燥性が良く、普通紙をメディアとした場合の印刷適性にも優れていると考えられるが、油性インクは高分子材料への適合性が低いため、PP材料のクリアファイル等を変形させるという問題が発生する。また、ロイコ染料と顕色剤からなる感熱記録紙は油に弱く、油性インク印字物とともに保管すると、経年により文字が消えてしまうという問題がある。さらに、油性インクの多くは電子写真トナーの樹脂成分を膨潤させ、裏移り等の問題を引き起こす。
【0007】
このような問題点に鑑みて、非水系インクであっても有機溶媒を用いずシリコーン系溶媒を用いたもの(以下「シリコーン系溶媒インク」)が提案されている(下記特許文献1〜3)。これらのシリコーン系溶媒インクは上述の油性インクが抱える問題点を解決することができるものとされている。
【0008】
【特許文献1】特開平04−161467号公報
【特許文献2】特開平04−248879号公報
【特許文献3】特開2001−342388号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シリコーン系溶媒は顔料を安定した状態で分散させることが非常に難しい。この点に鑑みて、特許文献1では分子骨格中にシロキサン結合を持たせた変性シリコーンオイルを溶媒とすることでインク化を達成し、特許文献2ではシリコーン溶媒のほかに炭化水素やアルコール等の有機溶媒を併用して安定性を向上させることが提案されているが、このようにして得られるインクは油性インクに近づく特性を有することになるため、クリアファイルを変形させる等の上述の油性インクの欠点が露呈してしまい、また、溶媒の粘度が高くインク設計の自由度(たとえば、顔料の配合比率をより高くする等の自由度)が低下する等の問題を有するものであった。また、特許文献3では分散剤にシリコーン系グラフトポリマーを使用しているが、実施例で用いられているシリコーン系グラフトポリマーの分子量はいずれも10000程度であってきわめて高分子化されており、特にグラフト部が大きいために粘度の増加を招きインク設計の自由度がきわめて狭いものであった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述の従来技術の問題点の改善方法について鋭意検討を重ねた結果、シリコーン系溶媒インクとすることで従来の水系インクおよび油性インクが抱えていた問題点をすべて解決することを目的とし、この目的を、分散剤として特定の変性シリコーンオイルを用いることによって達成し、高顔料濃度で低粘度の安定したシリコーン系溶媒インクを容易に製造できるようにしたものである。
【0011】
すなわち、本発明は、シリコーン系溶媒と顔料を含有し、さらに分散剤としてアミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイルおよび脂肪酸変性シリコーンオイルよりなる群から選ばれる一または複数の変性シリコーンオイルを含んでなり、該変性シリコーンオイルが顔料表面に吸着されていることを特徴とするインクジェット用非水系顔料インクである。
【0012】
顔料にはカーボンブラックおよび/または有機顔料を用いることが好ましい。
【0013】
シリコーン系溶媒の好適な一例はメチルポリシロキサン等の非変性シリコーンオイルである。
【0014】
変性シリコーンオイルの好適な例は下記化学構造式1ないし4のいずれかで表されるものである。
【0015】
【化5】
【0016】
【化6】
【0017】
【化7】
【0018】
【化8】
【0019】
変性シリコーンオイルの置換基の分子量は好ましくは1000以下である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット用非水系インクは、シリコーン系溶媒と、顔料と、分散剤としてアミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイルおよび脂肪酸変性シリコーンオイルよりなる群から選ばれる一または複数の変性シリコーンオイルとを含有する。
【0021】
シリコーン系溶媒は、毒性および臭気が少なく、引火性が低く、沸点が150℃の環境下で24時間揮発分が30%以上であることが好ましく、ジメチルシリコーンオイル、環状メチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等の中からこうした特性を有するものを選択して使用することができる。
【0022】
顔料は本発明インクの必須成分ではあるが本発明の主たる特徴を構成するものではなく、汎用の顔料から適宜選択して使用することができる。たとえば、黒色インク用の顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類、オルトニトロアニリンブラック等の有機顔料を単独または任意混合して使用することができる。
【0023】
また、カラーインク用顔料としては、トルイジンレッド、パーマネントカーミンFB、ジスアゾオレンジPMP、レーキレッドC、ブリリアントカーミン6B、キナクリドンレッド、ジオキサンバイオレット、オルトニトロアニリンオレンジ、ジニトロアニリンオレンジ、バルカンオレンジ、トルイジンレッド、塩素化パラレッド、ブリリアントファーストスカーレット、ナフトールレッド23、ビラゾロンレッド、バリウムレッド2B、カルシウムレッド2B、ストロンチウムレッド2B、マンガンレッド2B、バリウムリソームレッド、ピグメントスカーレッド3Bレーキ、レーキボルドー10B、アンソシン3Bレーキ、アンソシン5Bレーキ、ローダミン6Gレーキ、エオシンレーキ、べんがら、ファフトールレッドFGR、ローダミンBレーキ、メチルバイオレッドレーキ、ジオキサジンバイオレッド、ナフトールカーミンFB、ナフトールレッドM、ファストイエローAAA、ファストイエロー10G、ジスアゾイエローAAMX、ジスアゾイエローAAOT、ジスアゾイエローAAOA、ジスアゾイエローHR、イソインドリンイエロー、ファストイエローG、ジスアゾイエローAAA、フタロシアニンブルー、ピクトリアピュアブルー、ベーシックブルー5Bレーキ、ベーシックブルー6Gレーキ、ファストスカイブルー、アルカリブルーRトナー、ピーコックブルーレーキ、紺青、群青、レフレックスブルー2G、レフレックスブルーR、アルカリブルーGトナー、ブリリアントグリーンレーキ、ダイアモンドグリーンチオフラビンレーキ、フタロシアニングリーンG、グリーンゴールド、フタロシアニングリーンY、昼光蛍光顔料、パール顔料等を単独または任意混合して用いることができる。
【0024】
本発明のインクジェット用非水系顔料インクは、分散剤としてアミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイルおよび脂肪酸変性シリコーンオイルよりなる群から選ばれる一または複数の変性シリコーンオイルを用いることを主たる特徴としており、これらの特定の変性シリコーンオイルによれば顔料を安定した状態で分散させることができる。この理由は十分に解明されていないが、アミノ変性シリコーンオイルおよびエポキシ変性シリコーンオイルについてはその優れた吸着性が、またカルボキシル変性シリコーンオイルおよび脂肪酸変性シリコーンオイルについてはその優れた極性が、顔料分散性能を向上させることに大きく寄与しているものと推測される。
【0025】
これら変性シリコーンオイルは、その構造が化学式1ないし4のいずれかによって表されるものであり、また、置換基の分子量が1000以下であることが好ましい。このようにシンプルな構造とすることにより顔料への吸着が容易となり、使用できる顔料の種類も増え、さらに、完成したインクの粘度を低く押さえることができる等の効果が期待できる。また、このようにシンプルな構造の変性シリコーンオイルは、グラフト部が大きなポリマーであるシリコーン系グラフトポリマーと比べてその設計や製造が容易であり、結果としてコスト面でのメリットもある。
【0026】
分散剤の配合量は、顔料100重量部に対して5〜500重量部の範囲とすることが好ましい。配合量が5重量部に満たないと顔料を安定した状態で分散させることが困難となり、500重量部を越えると粘度が高くなってインク化することが困難となる。なお、動作時の温度を0〜50℃に設定した場合におけるインク粘度は、インクジェットプリンタのヘッドの高速応答下におけるインクの供給安定性およびインクの滴形成飛翔安定性の観点より、吐出時ノズル付近において30mPa・s以下であることが好ましい。
【0027】
本発明のインクジェット用非水系インクにはさらに、一般の樹脂や、界面活性剤、消泡剤、表面張力改質剤等の添加剤を使用することができる。
【0028】
インク製造における顔料分散は、汎用の分散機(ボールミル、アトライター、サンドミル等)を使用して行うことができる。
【0029】
以下に本発明のインクジェット用非水系インクの実施例および比較例を挙げる。
【0030】
実施例1
溶媒としてのジメチルポリシロキサンKF−96L−5CS(信越化学工業社製)90部に、アミノ変性シリコーンオイルTSF4702(GE東芝シリコーン社製)5部とカーボンブラックMA−7(三菱化学社製)5部を添加して混合液とした。この混合液にさらにガラスビーズを150部加えてサンドミル(カンペ社製)2160rpmにて1時間分散した後、遠心分離機(日立工機社製)にて粗大粒子を除去し、インクジェット用非水系顔料ブラックインクを得た。
【0031】
実施例2
溶媒としての環状メチルポリシロキサンWACKER SILICONE FLUID Z040(旭化成ワッカーシリコーン社製)85部に、アミノ変性シリコーンオイルTSF4701(GE東芝シリコーン社製)10部とカーボンブラックPrintex 150T(デグサ社製)5部を添加して混合液とした。この混合液にさらにガラスビーズを150部加えてサンドミル(カンペ社製)2160rpmにて1時間分散した後、遠心分離機(日立工機社製)にて粗大粒子を除去し、インクジェット用非水系顔料ブラックインクを得た。
【0032】
実施例3
実施例1のカーボンブラックMA−7に代えてシアン顔料ブルーNo.32(大日精化社製)を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット用非水系顔料シアンインクを得た。
【0033】
実施例4
実施例1のカーボンブラックMA−7に代えてマゼンタ顔料HOSTAPERM RED E5B02(クラリアント社製)、アミノ変性シリコーンオイルTSF4702に代えてアミノ変性シリコーンオイルKF−8005(信越化学工業社製)を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット用非水系顔料マゼンタインクを得た。
【0034】
実施例5
実施例1のカーボンブラックMA−7に代えてイエロー顔料クロモファインイエロー(大日精化社製)を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット用非水系顔料イエローインクを得た。
【0035】
実施例6
実施例1のカーボンブラックMA−7に代えてイエロー顔料Toner Yellow HG(クラリアント社製)を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット用非水系顔料イエローインクを得た。
【0036】
実施例7
実施例1のアミノ変性シリコーンオイルTSF4702に代えてエポキシ変性シリコーンオイルKF−1001(信越化学工業社製)を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット用非水系顔料ブラックインクを得た。
【0037】
実施例8
実施例6のアミノ変性シリコーンオイルTSF4702に代えてカルボキシル変性シリコーンオイルX−22−3701E(信越化学工業社製)を使用した以外は実施例6と同様にしてインクジェット用非水系顔料イエローインクを得た。
【0038】
実施例9
実施例1のカーボンブラックMA−7に代えてカーボンブラック#2650(三菱化学社製)、アミノ変性シリコーンオイルTSF4702に代えて脂肪酸変性シリコーンオイルKF−3935(信越化学工業社製)を使用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット用非水系顔料ブラックインクを得た。
【0039】
実施例10
溶媒としてのジメチルポリシロキサンKF−96L−2CS(信越化学工業社製)87部に、アミノ変性シリコーンオイルTSF4700(GE東芝シリコーン社製)3部とカーボンブラックMA−7(三菱化学社製)10部を添加して混合液とした。この混合液にさらにガラスビーズを150部加えてサンドミル(カンペ社製)2160rpmにて1時間分散した後、遠心分離機(日立工機社製)にて粗大粒子を除去し、インクジェット用非水系顔料ブラックインクを得た。
【0040】
比較例1
実施例1のアミノ変性シリコーンオイルTSF4702に代えてノニオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル・ノイゲンEA70(第一工業製薬社製)を使用した以外は実施例1と同様にして実施したが、最終生成物は凝集してインクとはならなかった。
【0041】
比較例2
実施例1のアミノ変性シリコーンオイルTSF4702に代えて高分子型分散剤Solsperse17000(アビシア社製)を使用した以外は実施例1と同様にして実施したが、最終生成物は凝集してインクとはならなかった。
【0042】
比較例3
実施例1のアミノ変性シリコーンオイルTSF4702に代えてポリエーテル変性シリコーンオイルADDID100(旭化成ワッカーシリコーン社製)を使用した以外は実施例1と同様にして実施したが、最終生成物は凝集してインクとはならなかった。
【0043】
比較例4
実施例6のアミノ変性シリコーンオイルTSF4702に代えてポリエーテル変性シリコーンオイルADDID100(旭化成ワッカーシリコーン社製)を使用した以外は実施例6と同様にして実施したが、最終生成物は凝集してインクとはならなかった。
【0044】
比較例5
実施例1のアミノ変性シリコーンオイルTSF4702に代えてオレフィン変性シリコーンオイルX−22−174DX(信越化学工業社製)を使用した以外は実施例1と同様にして実施したが、最終生成物は凝集してインクとはならなかった。
【0045】
比較例6
脂肪族炭化水素系溶媒・日石アイソゾール(日本石油化学社製)85部に、高分子型分散剤Solsperse17000(アビシア社製)5部とカーボンブラックMA−7(三菱化学社製)10部を添加して混合液とした。この混合液にさらにガラスビーズを150部加えてサンドミル(カンペ社製)2160rpmにて1時間分散した後、遠心分離機(日立工機社製)にて粗大粒子を除去し、油性ブラックインクを得た。
【0046】
比較例7
市販のインクジェット用非水系顔料インクを比較例7とした。
【0047】
これら実施例1〜10および比較例1〜7のインクについて、安定性、ノズル目詰まりおよびクリアファイル変形の各特性を調べ、その結果を表1に示した。安定性については、促進試験として60℃恒温槽に1週間放置した際の前後の粘度変化を評価した。粘度計は東機産業社製のBL型粘度計を使用した。ノズル目詰まりは、インクをピエゾ型インクジェットヘッドに搭載し、室温で1週間放置した後、クリーニングにより復帰するかどうかを評価し、軽いクリーニングで復帰したものに○印を、復帰しなかったものに×印を付した。クリアファイル変形は、上記ヘッドで印字したサンプルを、PP材料クリアファイル・CLEAR HOLDER A4 フ−780(コクヨ社製)に1週間室温保管したときの形状変化を評価し、変形が見られなかったものに○印を、凹付き変形が見られたものに×印を付した。
【0048】
【表1】
【0049】
表1より明らかなように、分散剤としてアミノ変性シリコーンオイルを用いた実施例1〜6および10、エポキシ変性シリコーンオイルを用いた実施例7、カルボキシル変性シリコーンオイルを用いた実施例8および脂肪酸変性シリコーンオイルを用いた実施例9ではいずれも十分に低粘度であり高顔料濃度のインクとした場合においてもインクとしての安定性が高く且つノズル目詰まりもクリアファイル変形も見られないものであったのに対して、これら特定の変性シリコーンオイル以外の分散剤を用いた比較例1〜5では凝集のためにインク化することができず、比較例6および7ではクリアファイル変形が生じて実用に適さないものであった。
【0050】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、非水系顔料インクを前提として分散剤に特定の変性シリコーンオイルを用いることによって、顔料を安定的に分散させることができ、メディアを問わずに、インクジェット印刷の高速化および高画質化に十分に対応することが可能なインクが提供される。
Claims (5)
- シリコーン系溶媒と顔料を含有し、さらに分散剤としてアミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイルおよび脂肪酸変性シリコーンオイルよりなる群から選ばれる一または複数の変性シリコーンオイルを含んでなり、該変性シリコーンオイルが顔料表面に吸着されていることを特徴とするインクジェット用非水系顔料インク。
- 前記顔料がカーボンブラックおよび/または有機顔料であることを特徴とする請求項1のインクジェット用非水系顔料インク。
- 前記シリコーン系溶媒が非変性シリコーンオイルであることを特徴とする請求項2のインクジェット用非水系顔料インク。
- 前記変性シリコーンオイルの置換基の分子量が1000以下であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット用非水系顔料インク。
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