JP2004217285A - 多層紙袋 - Google Patents
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Abstract
【課題】クラフト紙からなる多層紙袋は、その底部は内容物の取り出し口となるので通常は2回折り返して、開封用のテープを有する当て紙で封止している。しかしこれを所定の紙袋群を形成し、輸送用パレットに例えば25段積み重ねると、600Km程度の走行距離でも、荷崩れが生じ、曲がり変形癖のついた紙袋も3%程度発生するので、その問題点を解消する必要がある。
【解決手段】多層紙袋であって、該筒状体の下端の折り曲げ部を開封手段を備えた当て紙で包囲固定してなる底部閉鎖部において、最内部の筒状体を構成する層は折り曲げ部を有する非切断層とし、最外部の筒状体を構成する層は折り曲げ部の長さより短くなるように先端を切断除去された切断層とし、最内部の筒状体と最外部の筒状体の中間の筒状体を構成する層は、前記非切断層もしくは切断層のいずれかと同様に非切断層もしくは切断層を構成してなることを特徴とする多層紙袋。
【選択図】 図3
【解決手段】多層紙袋であって、該筒状体の下端の折り曲げ部を開封手段を備えた当て紙で包囲固定してなる底部閉鎖部において、最内部の筒状体を構成する層は折り曲げ部を有する非切断層とし、最外部の筒状体を構成する層は折り曲げ部の長さより短くなるように先端を切断除去された切断層とし、最内部の筒状体と最外部の筒状体の中間の筒状体を構成する層は、前記非切断層もしくは切断層のいずれかと同様に非切断層もしくは切断層を構成してなることを特徴とする多層紙袋。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてクラフト紙からなる多層紙袋の改良された底部閉鎖部の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
主としてクラフト紙から構成された多層紙袋は、肥料、米穀、セメント、栽培用の土など、ある程度の防湿、防水効果があり、輸送及び保存に耐えるものとして多く用いられている。
かかる多層袋は通常複数のまち付筒状体からなる紙袋であり、その底部は、たこ糸等でミシン縫いするか、端部全体を一方向(胴貼り部を構成するいわゆる裏面側)に折り曲げて接着剤で接着したものが知られているが、近時は内容物を排出しやすくするために底部を折り曲げて、当て紙で封止して、この当て紙に付されている剥ぎ取り用のテープ又は糸を用いて開封するようにしたものが、開封作業の容易性から多く用いられている。特に底部の折り曲げは、内容物の気密を保持するために通常は2回折り曲げられて構成されている。
なお、特許文献等としては下記のものがある。
【0003】
【特許文献】
特公昭60−1219号公報
実開昭62−130041号公報
実開昭62−115348号公報
特開平4−142257号公報
特開平7−285558号公報
特開2000−12184号公報
特開2001−39452号公報
【0004】
上記特許文献等の記載内容について概略説明すれば、特公昭60−1219号公報には、複数枚の原紙を円筒状にした縦方向において貼り合わせ、その底部は閉止されたものが記載されているが、閉止構造については何も説明されていない。実開昭62−130041号公報には、両側部にひだを有する多層筒状体のひだ部の接合構造に関し、両側面部にはひだを有する多層筒状体の底部は最外層を除いて他の内層は「の」の字状に丸めて、前記最外層で抑えて接着した構造が示されている。実開昭62−115348号公報には、多層紙袋で、折り曲げられた底部を別の当て紙で覆ってその端部を接着したものが記載されている。特開平4−142257号公報には、袋底部を改良し、複数層の襞付の筒状体からなる端部を2度折り曲げ巻き込むようにして3重折り曲げ部を形成し、この折り曲げ部を包囲するように開封用のテープ付当て紙をもって閉塞した構造が示されている。特開平7−285558号公報には、被包装物の落ちこぼれを防止するため端部を表面側に1回折り曲げて当て紙で包囲した底部閉鎖部、表面側に2回折り曲げて当て紙で包囲した底部閉鎖部が示されている。特開2000−12184号公報には、紙の片面に樹脂層を積層した積層部と、樹脂層が積層されていない非積層部が混在するようにしたもので、透気性と、透湿性とを備えた紙袋が提案されているが、底部に特別な考案はされていない。特開2001−39452号公報には、第1筋、第2筋、斜め筋で第1折込み部X,第2折込み部Y,斜め折込み部Zを折込み、吹き込み口側底貼り部を形成した多層紙袋で、内容物の粉もれ、粉ふきを防止したものが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術による多層紙袋について、更に図1、図6及び図7をもって詳述する。すなわち、図1は従来技術による多層紙袋を偏平にした状態を示す典型例である。
すなわち、その構成は、折られて形成された矩形状の多層紙袋11の、裏面側に胴貼り部13が設けられ、両側部には、まち12が設けられている。底部閉鎖部16の折り曲げ部15には、開封手段が付与されたクラフト紙等からなる当て紙Sが貼着され内容物を密閉するようになっている。又、図示していないが紙袋の上部の内容物投入口は、内容物を充填後1回折り曲げてミシン目や紙テープ等で封止される。
図6は、従来技術による3層からなる多層紙袋の代表例で、内側からa,b,及びcの3層から構成されている。
図6において、裏面側14b(図1における長さ方向に胴貼り部13を有する面)では、内側よりa1,b1,c1の3層構成で、表面側14a(裏面側14bとは反対の面)では内側よりa2,b2,c2の3層構成で構成され、底部は2回折り曲げられて折り曲げ部15はその外側には開封用テープもしくは開封用糸が付着されている当て紙Sが貼り付けられている。
図7は、図6で示した多層紙袋をより理解し易くするための図で表面側14aと裏面側14bの3層を一体化してモデル化し折り曲げた状態を示すものである。
【0006】
上記のような多層紙袋は、次のような荷姿で輸送され需要者に配送される。
すなわち、多層紙袋は、図8(イ)、(ロ)に示すようにパレットPの上に多層紙袋群に別けて積み重ねられる。
この場合、(イ)に示すように1段目の4つの積み重ねられた多層紙袋群D1,D2,D3,D4 はその配置方向を縦、横、縦、横に相互に直角になるようにパレットPの上に配置し、(ロ)に示すように2段目の4つの積み重ねられた多層紙袋群U1,U2,U3,U4 を前記1段目の多層紙袋群D1,D2,D3,D4 に対して位置をずらせて積み重ねる。以下図示していないが、3段目以降の多層紙袋群も同様に下段の紙袋群とは位置をずらせて25段積み重ねられる。
なお、ここでいう多層紙袋群D1,D2,D3,D4及びU1,U2,U3,U4は、例えば図9に示すようにD1と、その上のU1に関する側面図のとおり積み重ねられるが、通常、底部封鎖部について同一方向に15袋重ね、その上に逆方向に10袋重ね、計25袋をもって一つの多層紙袋群を形成するように積み重ねている。図では下部の多層紙袋群D1について上からみて左側が15袋の底部閉鎖部L1を形成し、右側が10袋の底部閉鎖部L2を形成している。その上には多層紙袋群U1が積み重ねられている。
図9は1段目の多層紙袋群中D1の構成と2段目の多層紙袋群U1の関係を示している側面図であるが、この場合、多層紙袋群D1に於いて、底部閉鎖部L1が左側に位置するよう15袋重ねた側をX方向、底部閉鎖部L2が右側に位置するよう10袋重ねた側をY方向として示している。
【0007】
このようにして各段4つの多層紙袋群を25段積み重ねて、縦横それぞれ2条のバンドで緊縛し、その上にベニヤ板をあてがい、錘を載せて多層紙袋群の紙袋内を脱気した後、錘を除去し、全体を例えばポリ塩化ビニリデンフィルム(ダウケミカル社商品名:サラン)を用いてパレットに包括被覆して、トラック輸送をしていた。この場合、1段について25袋×4群としこれを25回繰り返して重ねる理由は、多層紙袋群をパレットに配置する場合に、各段100袋が25段すなわち2500袋荷造りされて輸送することになり、積む側にとっても、納入される側にとっても数値的にも管理しやすいので、この種の荷造りでは慣用の手段であり、稀に例外的に需要者の要請があれば、これに対処しているのが現実である。
【0008】
ところで、上記従来技術による多層紙袋は、その底部閉鎖部が折り曲げ部によりその他の部分より厚さが大きく異なるものであった。例えば、図6の従来技術による多層紙袋で言うならば、使用材料として厚さが0.12mmのクラフト紙を用いた紙袋の場合、当て紙Sのない胴部では0.12mm×6枚=0.72mmであり、当て紙Sのある底部閉鎖部では、0.12mm×20枚=2.4mm になる。これを図8、図9の要領にて先ず底部閉鎖部L1を左側に向けて15袋重ね、次に底部閉鎖部L2を逆方向に向けて10袋重ねると、15袋重ねた方向(図9のX方向)ではD1群の全体の厚みが(2.4mm ×15袋) +(0.72×10袋) =43.2mmとなる。
【0009】
一方、底部閉鎖部L2を左側に向けた10袋重ねた方向(図9のY方向)では、D1群の全体の厚みが(0.72×15袋) +(2.4mm ×10袋) =34.8mmとなる。
従って、図9のD1群の全体の厚みは、X方向とY方向とで、8.4mm もの格差が生じる。このように、多層紙袋群D1,D2,D3,D4及びU1,U2,U3,U4等にそれぞれ8.4mm もの格差があると、パレット上の荷姿で当初は完全に荷作りされていても長距離輸送で荷崩れが生じる。
【0010】
例えば600kmの遠隔地に納入する場合、どうしても前後左右の振動や荷重を受けるために、荷崩れが生ずる問題があった。その対応として需要者の工場に搬入する直前には荷崩れを修正して納入しているのが実状であるが、道路の粗悪度や距離、カーブ等の実条件によっては積荷の20%〜30%に荷崩れを生じており、この荷崩れは上段の紙袋群の荷の重さの影響と振動特に横触れの影響で下段側の紙袋群に多く発生し、この荷崩れによって袋は曲がり癖を生じやすく、曲がり癖の発生率は凡そ3%程度であるが、内容物の充填作業に著しい悪影響があるので、不良品として廃棄処分を余儀なくされており、これら輸送に伴う諸問題は結局、生産者、需要者共にコスト高を来し、廃棄物処理等のコストもかかるという問題を有するものであった。
【0011】
【課題を解決する手段】
本発明者はかかる実状に鑑み、紙袋群の積み重ね方を変更することなく、底部閉鎖部の構造を改良することで、前記問題点を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明者は、底部閉鎖部を従来よりも薄く構成することにより、底部閉鎖部と胴部の紙厚の差(まち12、胴貼り部13を除く)を減少させ、これにより上記の問題点を解決したものである。
【0012】
本発明は多層紙袋の底部閉鎖部を構成する紙層を裁断により少なくした構造とし底部閉鎖部の薄層化を実現し、輸送中の振動で、荷崩れを防止し、廃棄紙袋の発生を無くすることを目的とするものである。
すなわち、請求項1の発明は、複数層のまち付筒状体からなる紙袋であって、該筒状体の下端の折り曲げ部を開封手段を備えた当て紙で包囲固定してなる底部閉鎖部において、最内部の筒状体を構成する層は折り曲げ部を有する非切断層とし、最外部の筒状体を構成する層は折り曲げ部の長さより短くなるように先端を切断除去された切断層とし、最内部の筒状体と最外部の筒状体の中間の筒状体を構成する層は、前記非切断層もしくは切断層のいずれかと同様に非切断層もしくは切断層を構成してなることを特徴とする多層紙袋であり、請求項2の発明は、中間の筒状体を構成する層が1層以上ある紙袋であって、紙袋の表側に近い層と、裏側に近い層のいずれか一方の層を非切断層、他方の層を切断層としてなることを特徴とする請求項1に記載の多層紙袋であり、請求項3の発明は、中間の筒状体を構成する層が2層以上ある紙袋であって、内部側を非切断層、外部側を切断層としたことを特徴とする請求項1に記載の多層紙袋であり、請求項4の発明は、前記最内部の筒状体の内面にポリオレフィン樹脂層が設けられたことを特徴とする請求項1,2もしくは3のいずれかに記載の多層紙袋であり、請求項5の発明は、当て紙の層厚を前記切断紙層の層厚より薄くなるようにしたことを特徴とする請求項1,2,3もしくは4のいずれかに記載の多層紙袋である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下図面により本発明を詳述する。各図とも同一部分には同一符号を付して説明する。
図2はクラフト紙を3枚使用して多層の筒状体を形成した本発明の1実施例の多層紙袋の縦断面図で、図3は上記多層紙袋の底部閉鎖部の簡略説明図である。
(中間の筒状体を構成する層は1層であり、)(2層カット、2層折り曲げを示している)
図に於いて、多層に構成された筒状体a,b,cは、裏面14b側では内側よりa1,b1,c1の3層構成で、表面14a側では内側よりa2,b2,c2の3層構成で構成されている。この場合a1およびa2の先端は、折り曲げ用として切断されることなく非切断層を形成し、一方、b1,c1及びb2,c2は先端を折り曲げしないので、余分な長さを直線切りで切断除去され、切断層を形成している。従って、切断層の先端が非切断層の先端よりも紙袋の底部方向に向かって短く切断された構成になっている。hは折り曲げ部15の高さであり、切断層の先端はhの僅かに上部に位置するようにし、当て紙Sにより折り曲げ部および切断層の先端を一体にして接着して包囲固定されている。
すなわち、図2、図3の実施例にて本発明の底部閉鎖部を形成するには、最内層を構成しているa1,a2のみが2回折り曲げられて折り曲げ部15を形成し、該折り曲げ部と前記切断層の先端とを接着機能付き当て紙Sで包囲接着固定している。
当て紙Sの接着剤は当て紙Sの内面全面に付してもよいが、図示のように切断層の先端に接する部分だけに付してあってもよい。
又、非切断層の折り曲げは1回でもよいが、袋の密封性を確保するためには本発明の図3及び図4に示すように少なくとも2回折り曲げるのが好ましい。
【0014】
この状態の厚さについて検討すると、図2、3は一実施例の3層紙袋の説明図で、使用材料として厚さを0.12mmのクラフト紙を用いた袋の場合、当て紙Sのない胴部では0.12mm×6=0.72mmであり、当て紙Sのある底部封止部では、0.12mm×8=0.96mmになる。これを先ず一方向に15袋重ね、次に前記15袋重ねの上に逆方向に10袋重ねると、図9のX方向では(0.96mm×15袋) +(0.72mm ×10袋) =21.6mmであるが、図9のY方向では、(0.72mm ×15袋) +(0.96mm ×10袋) =20.4mmであるから、図9でいうD1群の全体の厚みに於いて、X方向とY方向との格差は1.2mm となる。
これを段落0009で述べた従来技術によるX方向とY方向との格差、すなわち8.4mm と比較すると著しく小さいことが判る。
このようにD1群に相当する多層紙袋群を25段に積み重ねて荷造りし、600kmの距離をトラック輸送したが、荷崩れは生ずることはなかった。
【0015】
図4は本発明の請求項2に係る他の実施例の簡略説明図で、多層に構成された筒状体a,b,c,dは、裏面14b側では内側よりa1,b1,c1の3層構成で、表面14a側では内側よりa2,b2,c2で構成され3層構成である。この中でb1,c1,c 2の3層は先端の余分な長さを直線切りで切断除去され、切断層を形成している。また、非切断層であるa1,a2,b2は非切断層であり、2回折り曲げられて折り曲げ部15を形成し、該折り曲げ部15の外側を当て紙Sで包被しその端部を接着して構成されている。hは折り曲げ部15の高さであり、切断層の先端はhの僅かに上部に位置するようにし、これにより当て紙Sは端部を接着して固定されている。14aは表面側、14bは裏面側を示す。
【0016】
図4の多層紙袋について、積み重ねた場合の層の厚さは次のとおりとなる。
すなわち、使用材料として厚さを0.12mmのクラフト紙を用いた袋の場合、当て紙Sのない胴部では0.12mm×6=0.72mmであり、当て紙Sのある底部封止部では、0.12mm×11=1.32mmになる。これを先ず一方向に15袋重ね、次に逆方向に10袋重ねると、図9のX方向では(1.32mm×15袋)+(0.72mm×10袋) =19.8mm+7.2mm =27.0mmであるが、Y方向は(1.32mm×10袋)+(0.72mm×15袋) =13.2mm+10.8mm=24.0mmであるから、厚い方と薄い方の差は3.0mm となる。従って従来技術である図7と比べると、厚い方と薄い方の厚さの差が著しく小さいことがわかる。このようにしたものを従来同様にパレット上に25段積み重ねて荷造りして、600kmの距離をトラック輸送したが、荷崩れは生ぜず、曲がり癖の生じた袋は皆無であった。
【0017】
図5は本発明の請求項3に係る更に他の実施例の簡略説明図で、多層に構成された筒状体a,b,c,dは、裏面14b側では内側よりa1,b1,c1,d1の4層構成で、表面14a側では内側よりa2,b2,c2,d2で構成され4層構成である。この中でc1,d1,c2及びd2の4層はは先端を折り曲げしないので、余分な長さを直線切りで切断除去され、切断層を形成している。
従って、非切断層であるa1,a2,b1,b2の4層のみが2回折り曲げられて、折り曲げ部15を形成し、その外側を当て紙Sで包被しその端部を接着して構成されている。hは折り曲げ部の高さであり、切断層の先端はhの僅かに上部に位置するようにし、これにより当て紙Sは端部を接着して固定されている。
【0018】
図5で明らかなように、切断層の層数は4層、非切断層の層数は4層であるから、当て紙Sのない胴部の厚さは0.12mm×8=0.96mmで、当て紙Sのある底部封止部では、0.12mm×14=1.68mmでである。
これを先ず一方向に15袋重ね、次に逆方向に10袋重ねると、厚い方では25.2mm+9.6mm =34.8mmであるが、薄い方は14.4mm+16.8mm=31.2mmであるから、厚い方と薄い方の差は3.6mm となる。
これに対して、図示してないが、従来技術に従い、全部の紙層を2回折り曲げて当て紙Sを包被接着させて底部閉鎖部を形成した場合には、胴部の厚さは0.12mm×8=0.96mmで、当て紙Sのある底部封鎖部では、0.12mm×26=3.12 mm である。従ってこれを一方向に15袋重ね、次に逆方向に10袋重ねると、図9のX方向は46.8mm+9.6mm =56.4mmであるが、Y方向は14.4mm+31.2mm=45.6mmであるから、厚い方と薄い方の差は10.8mmとなる。
それ故前記図5に示したものの方が遙に底部封鎖部と胴部との厚さの差が小さいことが判る。
このようにした図5に示したものを従来同様にパレット上に25段積み重ねて荷造りして、600kmトラック輸送したが、荷崩れは生ぜず、曲がり癖の生じた袋は皆無であったが、従来技術による多層紙袋をカットせずに底部閉鎖部を形成したものでは600kmの距離をトラック輸送したときには実条件によっては20〜30%荷崩れを発生し、袋に変形癖のあるものを3%程度発生した。
【0019】
また、当て紙の枚数は通常1枚でよいが、切断除去した紙層の数より当て紙の数が少ない限り底部封鎖部を薄く形成することができるので、本発明の荷崩れ防止効果を発揮することはできるが、場合により2枚以上としても当て紙の数を増やせば底部閉鎖部の補強にはなるが、底部封鎖部の形成工程が複雑化する不利益があるので、寧ろ紙袋をその分だけ切断しなければよいことになる。
【0020】
本発明は、上記で説明したように筒状体は、図3、図4のように3重の場合のみに限られず、図5のように4重でも実施することができることは容易に理解することができるであろう。
この場合、請求項3で特定するように、中間の筒状体を構成する層が2層以上ある紙袋であって、内部側(b1,b2)を非切断層とし、外部側(C1,C2)を切断層としたりすることができる。また、中間層の全体を最内部の筒状体の非切断層同様に全く切断しない非切断層としたり、全部最外部の筒状体と同様に切断層とするほか、紙袋の表面側に存在する層、もしくは裏面側に存在する層のいずれか一方を非切断層とし、他方を切断層とすることもできる。
特に、層の多い場合はこれらの切断層、非切断層の設け方について上記の層形成技術を組合わせて適宜実施すればよいが、切断層をランダムに設けるよりは、切断層グループ層と非切断層グループ層とを内外で画然と2分するようにした方が端部の気密性を高め、底部閉鎖部の厚さを薄く形成しうる点で好ましい。
【0021】
なお、本発明では、最内部の筒状体と、最外部の筒状体の中間の筒状体を構成する層(偏平にしたときには裏面側と表面側の2層構成となる)は、その構成層の全てが、最内部の筒状体もしくは最外部の筒状体に合わせて非切断層としたり切断層とする場合に限らず、例えば裏面側を非切断層とし表面側を切断層とするか、或いはその逆であってもよい。更にまた、中間の筒状体が2以上の場合について言えば、内部側を非切断層とし、外部側を切断層と区分した層構成とすることもできるので、実用上の要求に応じたものを提供することができる。
【0022】
又、本発明の多層紙袋は請求項4で特定するように、構成する複数の紙層のうち、少なくとも内容物に近接する内層にポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂層を設けることが好ましい。これにより内容物に対する防湿効果を助長することが期待される。
【0023】
又、本発明の多層紙袋は、請求項5に規定するように、当て紙の層厚を切断紙層の厚さより薄くするよう、当て紙の枚数や紙厚を選択することが好ましい。これにより、図8の要領にて、本発明の多層紙袋を積層した場合に、荷崩れを良好に防止することができる。
更に又、本発明を構成する「開封手段が付与された当て紙」とは、内容物を底部閉鎖部を開封して取り出す際、作業者が容易に開封できるよう例えば開封用のテープとか糸等の開封手段が貼着された当て紙をいう。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、まち付筒状体からなる多層紙袋の底部の閉鎖部の折り返し部分の厚さを胴部の厚さよりも小さくすることができ、パレット上に従来同様に積み重ねても袋の底部の閉鎖部とその他の部分の厚さとの差を従来よりも少なくできるので、荷崩れを起こすことなく、荷積み及び輸送の作業能率を向上することができる。なお、請求項2、3のようにすることで、切断する紙層は、ランダムに切断されず、残存する紙層は連続した状態で形成されているので、紙層間に空気の残存するおそれが少なく、積層された紙袋群をコンパクトに保持することができるので、荷崩れ防止にも有効である。
なお又、請求項4のように最内部の筒状体の内面にポリオレフィン樹脂層を設けた場合は、内部に充填する内容物を吸湿しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術による多層紙袋の代表例を示す平面図
【図2】本発明に係る一実施例のクラフト紙袋の底部閉鎖部の縦断面図
【図3】図2の簡略説明図
【図4】本発明に係る他の実施例の簡略説明図
【図5】本発明に係る他の実施例の簡略説明図
【図6】従来技術によるクラフト紙袋からなる多層紙袋の底部閉鎖部の縦断面図
【図7】図6の簡略説明図
【図8】パレットへの多層紙袋群の配置説明図で(イ)は1段目の多層紙袋群の配置状態の上面図、(ロ)は2段目の多層紙袋群の配置状態の上面図
【図9】多層紙袋群D1の構成と、多層紙袋群U1の関係を示す側面説明図
【符号の説明】11 多層紙袋
12 まち
13 胴貼り部
14a 表面
14b 裏面
15 折り曲げ部
16 底部閉鎖部
a,b,c 紙製の筒状体
a1,a2,b1,b2,c1,c2 紙層
h 折り曲げ部の長さ
D1,D2,D3,D4 第1段目の多層紙袋群
U1,U2,U3,U4 第2段目の多層紙袋群
P パレット
L1 15袋の底部閉鎖部
L2 10袋の底部閉鎖部
X 15袋の底部閉鎖部の方向
Y 10袋の底部閉鎖部の方向
S 当て紙
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてクラフト紙からなる多層紙袋の改良された底部閉鎖部の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
主としてクラフト紙から構成された多層紙袋は、肥料、米穀、セメント、栽培用の土など、ある程度の防湿、防水効果があり、輸送及び保存に耐えるものとして多く用いられている。
かかる多層袋は通常複数のまち付筒状体からなる紙袋であり、その底部は、たこ糸等でミシン縫いするか、端部全体を一方向(胴貼り部を構成するいわゆる裏面側)に折り曲げて接着剤で接着したものが知られているが、近時は内容物を排出しやすくするために底部を折り曲げて、当て紙で封止して、この当て紙に付されている剥ぎ取り用のテープ又は糸を用いて開封するようにしたものが、開封作業の容易性から多く用いられている。特に底部の折り曲げは、内容物の気密を保持するために通常は2回折り曲げられて構成されている。
なお、特許文献等としては下記のものがある。
【0003】
【特許文献】
特公昭60−1219号公報
実開昭62−130041号公報
実開昭62−115348号公報
特開平4−142257号公報
特開平7−285558号公報
特開2000−12184号公報
特開2001−39452号公報
【0004】
上記特許文献等の記載内容について概略説明すれば、特公昭60−1219号公報には、複数枚の原紙を円筒状にした縦方向において貼り合わせ、その底部は閉止されたものが記載されているが、閉止構造については何も説明されていない。実開昭62−130041号公報には、両側部にひだを有する多層筒状体のひだ部の接合構造に関し、両側面部にはひだを有する多層筒状体の底部は最外層を除いて他の内層は「の」の字状に丸めて、前記最外層で抑えて接着した構造が示されている。実開昭62−115348号公報には、多層紙袋で、折り曲げられた底部を別の当て紙で覆ってその端部を接着したものが記載されている。特開平4−142257号公報には、袋底部を改良し、複数層の襞付の筒状体からなる端部を2度折り曲げ巻き込むようにして3重折り曲げ部を形成し、この折り曲げ部を包囲するように開封用のテープ付当て紙をもって閉塞した構造が示されている。特開平7−285558号公報には、被包装物の落ちこぼれを防止するため端部を表面側に1回折り曲げて当て紙で包囲した底部閉鎖部、表面側に2回折り曲げて当て紙で包囲した底部閉鎖部が示されている。特開2000−12184号公報には、紙の片面に樹脂層を積層した積層部と、樹脂層が積層されていない非積層部が混在するようにしたもので、透気性と、透湿性とを備えた紙袋が提案されているが、底部に特別な考案はされていない。特開2001−39452号公報には、第1筋、第2筋、斜め筋で第1折込み部X,第2折込み部Y,斜め折込み部Zを折込み、吹き込み口側底貼り部を形成した多層紙袋で、内容物の粉もれ、粉ふきを防止したものが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術による多層紙袋について、更に図1、図6及び図7をもって詳述する。すなわち、図1は従来技術による多層紙袋を偏平にした状態を示す典型例である。
すなわち、その構成は、折られて形成された矩形状の多層紙袋11の、裏面側に胴貼り部13が設けられ、両側部には、まち12が設けられている。底部閉鎖部16の折り曲げ部15には、開封手段が付与されたクラフト紙等からなる当て紙Sが貼着され内容物を密閉するようになっている。又、図示していないが紙袋の上部の内容物投入口は、内容物を充填後1回折り曲げてミシン目や紙テープ等で封止される。
図6は、従来技術による3層からなる多層紙袋の代表例で、内側からa,b,及びcの3層から構成されている。
図6において、裏面側14b(図1における長さ方向に胴貼り部13を有する面)では、内側よりa1,b1,c1の3層構成で、表面側14a(裏面側14bとは反対の面)では内側よりa2,b2,c2の3層構成で構成され、底部は2回折り曲げられて折り曲げ部15はその外側には開封用テープもしくは開封用糸が付着されている当て紙Sが貼り付けられている。
図7は、図6で示した多層紙袋をより理解し易くするための図で表面側14aと裏面側14bの3層を一体化してモデル化し折り曲げた状態を示すものである。
【0006】
上記のような多層紙袋は、次のような荷姿で輸送され需要者に配送される。
すなわち、多層紙袋は、図8(イ)、(ロ)に示すようにパレットPの上に多層紙袋群に別けて積み重ねられる。
この場合、(イ)に示すように1段目の4つの積み重ねられた多層紙袋群D1,D2,D3,D4 はその配置方向を縦、横、縦、横に相互に直角になるようにパレットPの上に配置し、(ロ)に示すように2段目の4つの積み重ねられた多層紙袋群U1,U2,U3,U4 を前記1段目の多層紙袋群D1,D2,D3,D4 に対して位置をずらせて積み重ねる。以下図示していないが、3段目以降の多層紙袋群も同様に下段の紙袋群とは位置をずらせて25段積み重ねられる。
なお、ここでいう多層紙袋群D1,D2,D3,D4及びU1,U2,U3,U4は、例えば図9に示すようにD1と、その上のU1に関する側面図のとおり積み重ねられるが、通常、底部封鎖部について同一方向に15袋重ね、その上に逆方向に10袋重ね、計25袋をもって一つの多層紙袋群を形成するように積み重ねている。図では下部の多層紙袋群D1について上からみて左側が15袋の底部閉鎖部L1を形成し、右側が10袋の底部閉鎖部L2を形成している。その上には多層紙袋群U1が積み重ねられている。
図9は1段目の多層紙袋群中D1の構成と2段目の多層紙袋群U1の関係を示している側面図であるが、この場合、多層紙袋群D1に於いて、底部閉鎖部L1が左側に位置するよう15袋重ねた側をX方向、底部閉鎖部L2が右側に位置するよう10袋重ねた側をY方向として示している。
【0007】
このようにして各段4つの多層紙袋群を25段積み重ねて、縦横それぞれ2条のバンドで緊縛し、その上にベニヤ板をあてがい、錘を載せて多層紙袋群の紙袋内を脱気した後、錘を除去し、全体を例えばポリ塩化ビニリデンフィルム(ダウケミカル社商品名:サラン)を用いてパレットに包括被覆して、トラック輸送をしていた。この場合、1段について25袋×4群としこれを25回繰り返して重ねる理由は、多層紙袋群をパレットに配置する場合に、各段100袋が25段すなわち2500袋荷造りされて輸送することになり、積む側にとっても、納入される側にとっても数値的にも管理しやすいので、この種の荷造りでは慣用の手段であり、稀に例外的に需要者の要請があれば、これに対処しているのが現実である。
【0008】
ところで、上記従来技術による多層紙袋は、その底部閉鎖部が折り曲げ部によりその他の部分より厚さが大きく異なるものであった。例えば、図6の従来技術による多層紙袋で言うならば、使用材料として厚さが0.12mmのクラフト紙を用いた紙袋の場合、当て紙Sのない胴部では0.12mm×6枚=0.72mmであり、当て紙Sのある底部閉鎖部では、0.12mm×20枚=2.4mm になる。これを図8、図9の要領にて先ず底部閉鎖部L1を左側に向けて15袋重ね、次に底部閉鎖部L2を逆方向に向けて10袋重ねると、15袋重ねた方向(図9のX方向)ではD1群の全体の厚みが(2.4mm ×15袋) +(0.72×10袋) =43.2mmとなる。
【0009】
一方、底部閉鎖部L2を左側に向けた10袋重ねた方向(図9のY方向)では、D1群の全体の厚みが(0.72×15袋) +(2.4mm ×10袋) =34.8mmとなる。
従って、図9のD1群の全体の厚みは、X方向とY方向とで、8.4mm もの格差が生じる。このように、多層紙袋群D1,D2,D3,D4及びU1,U2,U3,U4等にそれぞれ8.4mm もの格差があると、パレット上の荷姿で当初は完全に荷作りされていても長距離輸送で荷崩れが生じる。
【0010】
例えば600kmの遠隔地に納入する場合、どうしても前後左右の振動や荷重を受けるために、荷崩れが生ずる問題があった。その対応として需要者の工場に搬入する直前には荷崩れを修正して納入しているのが実状であるが、道路の粗悪度や距離、カーブ等の実条件によっては積荷の20%〜30%に荷崩れを生じており、この荷崩れは上段の紙袋群の荷の重さの影響と振動特に横触れの影響で下段側の紙袋群に多く発生し、この荷崩れによって袋は曲がり癖を生じやすく、曲がり癖の発生率は凡そ3%程度であるが、内容物の充填作業に著しい悪影響があるので、不良品として廃棄処分を余儀なくされており、これら輸送に伴う諸問題は結局、生産者、需要者共にコスト高を来し、廃棄物処理等のコストもかかるという問題を有するものであった。
【0011】
【課題を解決する手段】
本発明者はかかる実状に鑑み、紙袋群の積み重ね方を変更することなく、底部閉鎖部の構造を改良することで、前記問題点を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明者は、底部閉鎖部を従来よりも薄く構成することにより、底部閉鎖部と胴部の紙厚の差(まち12、胴貼り部13を除く)を減少させ、これにより上記の問題点を解決したものである。
【0012】
本発明は多層紙袋の底部閉鎖部を構成する紙層を裁断により少なくした構造とし底部閉鎖部の薄層化を実現し、輸送中の振動で、荷崩れを防止し、廃棄紙袋の発生を無くすることを目的とするものである。
すなわち、請求項1の発明は、複数層のまち付筒状体からなる紙袋であって、該筒状体の下端の折り曲げ部を開封手段を備えた当て紙で包囲固定してなる底部閉鎖部において、最内部の筒状体を構成する層は折り曲げ部を有する非切断層とし、最外部の筒状体を構成する層は折り曲げ部の長さより短くなるように先端を切断除去された切断層とし、最内部の筒状体と最外部の筒状体の中間の筒状体を構成する層は、前記非切断層もしくは切断層のいずれかと同様に非切断層もしくは切断層を構成してなることを特徴とする多層紙袋であり、請求項2の発明は、中間の筒状体を構成する層が1層以上ある紙袋であって、紙袋の表側に近い層と、裏側に近い層のいずれか一方の層を非切断層、他方の層を切断層としてなることを特徴とする請求項1に記載の多層紙袋であり、請求項3の発明は、中間の筒状体を構成する層が2層以上ある紙袋であって、内部側を非切断層、外部側を切断層としたことを特徴とする請求項1に記載の多層紙袋であり、請求項4の発明は、前記最内部の筒状体の内面にポリオレフィン樹脂層が設けられたことを特徴とする請求項1,2もしくは3のいずれかに記載の多層紙袋であり、請求項5の発明は、当て紙の層厚を前記切断紙層の層厚より薄くなるようにしたことを特徴とする請求項1,2,3もしくは4のいずれかに記載の多層紙袋である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下図面により本発明を詳述する。各図とも同一部分には同一符号を付して説明する。
図2はクラフト紙を3枚使用して多層の筒状体を形成した本発明の1実施例の多層紙袋の縦断面図で、図3は上記多層紙袋の底部閉鎖部の簡略説明図である。
(中間の筒状体を構成する層は1層であり、)(2層カット、2層折り曲げを示している)
図に於いて、多層に構成された筒状体a,b,cは、裏面14b側では内側よりa1,b1,c1の3層構成で、表面14a側では内側よりa2,b2,c2の3層構成で構成されている。この場合a1およびa2の先端は、折り曲げ用として切断されることなく非切断層を形成し、一方、b1,c1及びb2,c2は先端を折り曲げしないので、余分な長さを直線切りで切断除去され、切断層を形成している。従って、切断層の先端が非切断層の先端よりも紙袋の底部方向に向かって短く切断された構成になっている。hは折り曲げ部15の高さであり、切断層の先端はhの僅かに上部に位置するようにし、当て紙Sにより折り曲げ部および切断層の先端を一体にして接着して包囲固定されている。
すなわち、図2、図3の実施例にて本発明の底部閉鎖部を形成するには、最内層を構成しているa1,a2のみが2回折り曲げられて折り曲げ部15を形成し、該折り曲げ部と前記切断層の先端とを接着機能付き当て紙Sで包囲接着固定している。
当て紙Sの接着剤は当て紙Sの内面全面に付してもよいが、図示のように切断層の先端に接する部分だけに付してあってもよい。
又、非切断層の折り曲げは1回でもよいが、袋の密封性を確保するためには本発明の図3及び図4に示すように少なくとも2回折り曲げるのが好ましい。
【0014】
この状態の厚さについて検討すると、図2、3は一実施例の3層紙袋の説明図で、使用材料として厚さを0.12mmのクラフト紙を用いた袋の場合、当て紙Sのない胴部では0.12mm×6=0.72mmであり、当て紙Sのある底部封止部では、0.12mm×8=0.96mmになる。これを先ず一方向に15袋重ね、次に前記15袋重ねの上に逆方向に10袋重ねると、図9のX方向では(0.96mm×15袋) +(0.72mm ×10袋) =21.6mmであるが、図9のY方向では、(0.72mm ×15袋) +(0.96mm ×10袋) =20.4mmであるから、図9でいうD1群の全体の厚みに於いて、X方向とY方向との格差は1.2mm となる。
これを段落0009で述べた従来技術によるX方向とY方向との格差、すなわち8.4mm と比較すると著しく小さいことが判る。
このようにD1群に相当する多層紙袋群を25段に積み重ねて荷造りし、600kmの距離をトラック輸送したが、荷崩れは生ずることはなかった。
【0015】
図4は本発明の請求項2に係る他の実施例の簡略説明図で、多層に構成された筒状体a,b,c,dは、裏面14b側では内側よりa1,b1,c1の3層構成で、表面14a側では内側よりa2,b2,c2で構成され3層構成である。この中でb1,c1,c 2の3層は先端の余分な長さを直線切りで切断除去され、切断層を形成している。また、非切断層であるa1,a2,b2は非切断層であり、2回折り曲げられて折り曲げ部15を形成し、該折り曲げ部15の外側を当て紙Sで包被しその端部を接着して構成されている。hは折り曲げ部15の高さであり、切断層の先端はhの僅かに上部に位置するようにし、これにより当て紙Sは端部を接着して固定されている。14aは表面側、14bは裏面側を示す。
【0016】
図4の多層紙袋について、積み重ねた場合の層の厚さは次のとおりとなる。
すなわち、使用材料として厚さを0.12mmのクラフト紙を用いた袋の場合、当て紙Sのない胴部では0.12mm×6=0.72mmであり、当て紙Sのある底部封止部では、0.12mm×11=1.32mmになる。これを先ず一方向に15袋重ね、次に逆方向に10袋重ねると、図9のX方向では(1.32mm×15袋)+(0.72mm×10袋) =19.8mm+7.2mm =27.0mmであるが、Y方向は(1.32mm×10袋)+(0.72mm×15袋) =13.2mm+10.8mm=24.0mmであるから、厚い方と薄い方の差は3.0mm となる。従って従来技術である図7と比べると、厚い方と薄い方の厚さの差が著しく小さいことがわかる。このようにしたものを従来同様にパレット上に25段積み重ねて荷造りして、600kmの距離をトラック輸送したが、荷崩れは生ぜず、曲がり癖の生じた袋は皆無であった。
【0017】
図5は本発明の請求項3に係る更に他の実施例の簡略説明図で、多層に構成された筒状体a,b,c,dは、裏面14b側では内側よりa1,b1,c1,d1の4層構成で、表面14a側では内側よりa2,b2,c2,d2で構成され4層構成である。この中でc1,d1,c2及びd2の4層はは先端を折り曲げしないので、余分な長さを直線切りで切断除去され、切断層を形成している。
従って、非切断層であるa1,a2,b1,b2の4層のみが2回折り曲げられて、折り曲げ部15を形成し、その外側を当て紙Sで包被しその端部を接着して構成されている。hは折り曲げ部の高さであり、切断層の先端はhの僅かに上部に位置するようにし、これにより当て紙Sは端部を接着して固定されている。
【0018】
図5で明らかなように、切断層の層数は4層、非切断層の層数は4層であるから、当て紙Sのない胴部の厚さは0.12mm×8=0.96mmで、当て紙Sのある底部封止部では、0.12mm×14=1.68mmでである。
これを先ず一方向に15袋重ね、次に逆方向に10袋重ねると、厚い方では25.2mm+9.6mm =34.8mmであるが、薄い方は14.4mm+16.8mm=31.2mmであるから、厚い方と薄い方の差は3.6mm となる。
これに対して、図示してないが、従来技術に従い、全部の紙層を2回折り曲げて当て紙Sを包被接着させて底部閉鎖部を形成した場合には、胴部の厚さは0.12mm×8=0.96mmで、当て紙Sのある底部封鎖部では、0.12mm×26=3.12 mm である。従ってこれを一方向に15袋重ね、次に逆方向に10袋重ねると、図9のX方向は46.8mm+9.6mm =56.4mmであるが、Y方向は14.4mm+31.2mm=45.6mmであるから、厚い方と薄い方の差は10.8mmとなる。
それ故前記図5に示したものの方が遙に底部封鎖部と胴部との厚さの差が小さいことが判る。
このようにした図5に示したものを従来同様にパレット上に25段積み重ねて荷造りして、600kmトラック輸送したが、荷崩れは生ぜず、曲がり癖の生じた袋は皆無であったが、従来技術による多層紙袋をカットせずに底部閉鎖部を形成したものでは600kmの距離をトラック輸送したときには実条件によっては20〜30%荷崩れを発生し、袋に変形癖のあるものを3%程度発生した。
【0019】
また、当て紙の枚数は通常1枚でよいが、切断除去した紙層の数より当て紙の数が少ない限り底部封鎖部を薄く形成することができるので、本発明の荷崩れ防止効果を発揮することはできるが、場合により2枚以上としても当て紙の数を増やせば底部閉鎖部の補強にはなるが、底部封鎖部の形成工程が複雑化する不利益があるので、寧ろ紙袋をその分だけ切断しなければよいことになる。
【0020】
本発明は、上記で説明したように筒状体は、図3、図4のように3重の場合のみに限られず、図5のように4重でも実施することができることは容易に理解することができるであろう。
この場合、請求項3で特定するように、中間の筒状体を構成する層が2層以上ある紙袋であって、内部側(b1,b2)を非切断層とし、外部側(C1,C2)を切断層としたりすることができる。また、中間層の全体を最内部の筒状体の非切断層同様に全く切断しない非切断層としたり、全部最外部の筒状体と同様に切断層とするほか、紙袋の表面側に存在する層、もしくは裏面側に存在する層のいずれか一方を非切断層とし、他方を切断層とすることもできる。
特に、層の多い場合はこれらの切断層、非切断層の設け方について上記の層形成技術を組合わせて適宜実施すればよいが、切断層をランダムに設けるよりは、切断層グループ層と非切断層グループ層とを内外で画然と2分するようにした方が端部の気密性を高め、底部閉鎖部の厚さを薄く形成しうる点で好ましい。
【0021】
なお、本発明では、最内部の筒状体と、最外部の筒状体の中間の筒状体を構成する層(偏平にしたときには裏面側と表面側の2層構成となる)は、その構成層の全てが、最内部の筒状体もしくは最外部の筒状体に合わせて非切断層としたり切断層とする場合に限らず、例えば裏面側を非切断層とし表面側を切断層とするか、或いはその逆であってもよい。更にまた、中間の筒状体が2以上の場合について言えば、内部側を非切断層とし、外部側を切断層と区分した層構成とすることもできるので、実用上の要求に応じたものを提供することができる。
【0022】
又、本発明の多層紙袋は請求項4で特定するように、構成する複数の紙層のうち、少なくとも内容物に近接する内層にポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂層を設けることが好ましい。これにより内容物に対する防湿効果を助長することが期待される。
【0023】
又、本発明の多層紙袋は、請求項5に規定するように、当て紙の層厚を切断紙層の厚さより薄くするよう、当て紙の枚数や紙厚を選択することが好ましい。これにより、図8の要領にて、本発明の多層紙袋を積層した場合に、荷崩れを良好に防止することができる。
更に又、本発明を構成する「開封手段が付与された当て紙」とは、内容物を底部閉鎖部を開封して取り出す際、作業者が容易に開封できるよう例えば開封用のテープとか糸等の開封手段が貼着された当て紙をいう。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、まち付筒状体からなる多層紙袋の底部の閉鎖部の折り返し部分の厚さを胴部の厚さよりも小さくすることができ、パレット上に従来同様に積み重ねても袋の底部の閉鎖部とその他の部分の厚さとの差を従来よりも少なくできるので、荷崩れを起こすことなく、荷積み及び輸送の作業能率を向上することができる。なお、請求項2、3のようにすることで、切断する紙層は、ランダムに切断されず、残存する紙層は連続した状態で形成されているので、紙層間に空気の残存するおそれが少なく、積層された紙袋群をコンパクトに保持することができるので、荷崩れ防止にも有効である。
なお又、請求項4のように最内部の筒状体の内面にポリオレフィン樹脂層を設けた場合は、内部に充填する内容物を吸湿しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術による多層紙袋の代表例を示す平面図
【図2】本発明に係る一実施例のクラフト紙袋の底部閉鎖部の縦断面図
【図3】図2の簡略説明図
【図4】本発明に係る他の実施例の簡略説明図
【図5】本発明に係る他の実施例の簡略説明図
【図6】従来技術によるクラフト紙袋からなる多層紙袋の底部閉鎖部の縦断面図
【図7】図6の簡略説明図
【図8】パレットへの多層紙袋群の配置説明図で(イ)は1段目の多層紙袋群の配置状態の上面図、(ロ)は2段目の多層紙袋群の配置状態の上面図
【図9】多層紙袋群D1の構成と、多層紙袋群U1の関係を示す側面説明図
【符号の説明】11 多層紙袋
12 まち
13 胴貼り部
14a 表面
14b 裏面
15 折り曲げ部
16 底部閉鎖部
a,b,c 紙製の筒状体
a1,a2,b1,b2,c1,c2 紙層
h 折り曲げ部の長さ
D1,D2,D3,D4 第1段目の多層紙袋群
U1,U2,U3,U4 第2段目の多層紙袋群
P パレット
L1 15袋の底部閉鎖部
L2 10袋の底部閉鎖部
X 15袋の底部閉鎖部の方向
Y 10袋の底部閉鎖部の方向
S 当て紙
Claims (5)
- 複数層のまち付筒状体からなる紙袋であって、該筒状体の下端の折り曲げ部を開封手段を備えた当て紙で包囲固定してなる底部閉鎖部において、最内部の筒状体を構成する層は折り曲げ部を有する非切断層とし、最外部の筒状体を構成する層は折り曲げ部の長さより短くなるように先端を切断除去された切断層とし、最内部の筒状体と最外部の筒状体の中間の筒状体を構成する層は、前記非切断層もしくは切断層のいずれかと同様に非切断層もしくは切断層を構成してなることを特徴とする多層紙袋。
- 中間の筒状体を構成する層が1層以上ある紙袋であって、紙袋の表側に近い層と、裏側に近い層のいずれか一方の層を非切断層、他方の層を切断層としてなることを特徴とする請求項1に記載の多層紙袋。
- 中間の筒状体を構成する層が2層以上ある紙袋であって、内部側を非切断層、外部側を切断層としたことを特徴とする請求項1に記載の多層紙袋。
- 前記最内部の筒状体の内面にポリオレフィン樹脂層が設けられたことを特徴とする請求項1,2もしくは3のいずれかに記載の多層紙袋。
- 当て紙の層厚を前記切断紙層の層厚より薄くなるようにしたことを特徴とする請求項1,2,3もしくは4のいずれかに記載の多層紙袋。
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JP2009154957A (ja) * | 2007-12-28 | 2009-07-16 | Taiheiyo Materials Corp | プレミックスモルタル包袋物 |
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2003
- 2003-01-17 JP JP2003009175A patent/JP2004217285A/ja active Pending
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