JP2004216318A - 液滴吐出装置、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】機能液滴吐出ヘッドのノズル面と機能液タンクに貯留する機能液の液面との高低差が予め定められた液滴吐出装置において、機能液滴吐出ヘッドの近傍に機能液タンクを配設可能とする液滴吐出装置、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、および電子機器を提供することを課題としている。
【解決手段】ワークWを載置する載置テーブル41と機能液滴吐出ヘッド21を搭載したキャリッジ6とを相対移動させる移動機構(3および4)と、キャリッジ6に搭載され、機能液を供給する機能液タンク7と、を備え、載置テーブル41は、水平面に対して傾斜しており、機能液タンク7は、予め規定された、機能液滴吐出ヘッド21のノズル面28と当該機能液タンク7に貯留する機能液の液面との高低差を満たすように、機能液滴吐出ヘッド21より、傾斜した載置テーブル41の低い位置に配設されていることを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】ワークWを載置する載置テーブル41と機能液滴吐出ヘッド21を搭載したキャリッジ6とを相対移動させる移動機構(3および4)と、キャリッジ6に搭載され、機能液を供給する機能液タンク7と、を備え、載置テーブル41は、水平面に対して傾斜しており、機能液タンク7は、予め規定された、機能液滴吐出ヘッド21のノズル面28と当該機能液タンク7に貯留する機能液の液面との高低差を満たすように、機能液滴吐出ヘッド21より、傾斜した載置テーブル41の低い位置に配設されていることを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、機能液滴吐出ヘッドのノズル面と機能液タンクに貯留する機能液の液面との高低差、すなわち両者間の水頭差、が予め規定された液滴吐出装置、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、および電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液滴吐出装置の一種として、従来から知られるインクジェットプリンタでは、インクジェットヘッド(機能液滴吐出ヘッド)にインク(機能液)を供給するインクパック(機能液タンク)は、インク垂れを防止すべく、インクジェットヘッドよりも低い位置に配設されている。そして、インクジェットヘッドと水平に載置された印刷対象物とが、主走査方向および副走査方向に相対的に移動することで、印刷対象物(ワーク)に印刷が行われる。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このようなインクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドに対するインクパックからのインクの供給は、大気圧下で行われることを前提としている。したがって、インクジェットヘッドに形成された各ノズルから吐出されるインク滴の量的安定性を確保するために、インクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドとインクパックとの水頭差を精度良く保持するようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−248784号公報(第7頁−第8頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、工業応用の液滴吐出装置では、機能液滴吐出ヘッドのノズル面とワークとの間隔(ギャップ)を狭くすることにより、機能液滴吐出ヘッドから吐出される機能液滴の飛行曲がり等の影響を補償し、高い吐出性能を確保している。しかしながら、機能液滴吐出ヘッドとワークとのギャップを狭くした上で、機能液滴吐出ヘッド(のノズル面)よりも機能液タンクを低く配設しようとすると、機能液滴吐出ヘッドに対して相対的に走査するワークの走査領域を避けて機能液タンクを配設しなければならないため、設置スペースの自由度がなく、装置全体が大型化するという問題が生じる。
【0006】
また、ワークの走査領域を避けて機能液タンクを配設しなければならないため、機能液タンクを機能液滴吐出ヘッド近傍に設けることができない。したがって、機能液滴吐出ヘッドから機能液タンクに至る機能液流路が長くなり、機能液タンクから機能液滴吐出ヘッドに供給する機能液の供給圧に損失が生じる等の問題も生じる。
【0007】
そこで、本発明は、機能液滴吐出ヘッドのノズル面と機能液タンクに貯留する機能液の液面との高低差が予め定められた液滴吐出装置において、機能液滴吐出ヘッドの近傍に機能液タンクを配設可能とする液滴吐出装置、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、および電子機器を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、載置テーブルに搭載したワークとキャリッジに搭載した機能液吐出ヘッドとを、主走査方向および副走査方向に相対的に移動させながら、ノズル列を有する機能液滴吐出ヘッドから機能液を吐出させて、ワーク上に描画を行う液滴吐出装置において、載置テーブルおよびキャリッジを介して、機能液滴吐出ヘッドおよびワークを相対的に移動させる移動機構と、キャリッジに搭載され、機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給する機能液タンクと、を備え、載置テーブルは、水平面に対して傾斜しており、機能液タンクは、予め規定された、機能液滴吐出ヘッドのノズル面と当該機能液タンクに貯留する機能液の液面との高低差を満たすように、機能液滴吐出ヘッドより、傾斜した載置テーブルの低い位置に配設されていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、ワークを載置する載置テーブルを水平面に対して傾斜させることにより生じた載置テーブルの高低差を利用して、予め定められた機能液滴吐出ヘッドのノズル面と機能液タンクに貯留する機能液の液面との高低差を満たすように、機能液タンクを機能液滴吐出ヘッドよりも低い位置に配設することができる。したがって、(相対的に移動する)載置テーブルに干渉することなく、機能液タンクを載置テーブルの上方に配設することが可能となる。また、載置テーブルの移動範囲内に機能液タンクを配設できるため、機能液タンクを機能液滴吐出ヘッドの近傍に配置することができ、機能液タンクと機能液滴吐出ヘッドとを接続する給液チューブを短くすることが可能である。これにより、機能液供給時における機能液の管路抵抗を減少させ、機能液タンクから機能液滴吐出ヘッドに安定して機能液を供給することができると共に、給液チューブ内に留まる機能液量を減少させ、機能液を効率的に利用することができる。また、載置テーブルを傾斜させているので、載置テーブルを水平に配置する場合に比して、ワークの載置スペースを省スペース化することができる。
【0010】
この場合、移動機構は、載置テーブルを主走査方向に移動させ、かつ前記キャリッジを副走査方向に移動させ、載置テーブルは、主走査方向に傾斜していることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、載置テーブルが主走査方向に傾斜しているので、機能液滴吐出ヘッドに形成された各ノズルの高さを一様とすることができる。したがって、機能液滴吐出ヘッドの各ノズルと機能液タンクとの水頭差を同様に保つことができ、機能液滴吐出ヘッドと機能液タンクとの水頭差を精度良く確保することが可能である。また、移動テーブルを介して、載置テーブルが主走査方向に移動するので、機能液滴を吐出させる主走査時に機能液滴吐出ヘッドと共に機能液タンクを移動させることがなく、機能液滴吐出ヘッドから安定して機能液滴を吐出させることができる。すなわち、主走査時に機能液タンクを移動させると、特に移動の開始時および終了時に機能液タンクに貯留する機能液面が揺動するために、機能液滴吐出ヘッドからの機能液の吐出が不安定になりやすいが、載置テーブルを主走査方向に移動させる構成としているので、かかる問題は生じない。
【0012】
この場合、機能液タンクは、当該機能液タンクの底面が傾斜した前記載置テーブルと略平行となるように支持されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、機能液タンクは、当該機能液タンクの底面が傾斜した載置テーブルと略平行になるように支持されるので、傾斜した載置テーブルと機能液タンクの底面(すなわち下面)を近接させて配置することができる。そして、機能液タンクの底面を水平となるように機能液タンクを支持した場合に比べ、所定の水頭差を維持した状態で、より一層、機能液滴吐出ヘッドの近傍に機能液タンクを配設することができると共に機能液タンクに貯留させる機能液量を増量させることができる。
【0014】
これら場合、機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給する供給管路の上流端は、傾斜した機能液タンクの最深部に浸漬されていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、供給管路の上流端が、傾斜した機能液タンクの最深部に浸漬されているので、機能液タンクが空になるまで当該機能液タンクに貯留する機能液を利用することができ、高価な機能液を無駄にすることがない。
【0016】
これら場合、移動機構を介して、キャリッジおよび載置テーブルを支持する支持台をさらに備え、支持台は、キャリッジおよび載置テーブルの水平面に対する傾斜角度を調整可能な角度調整手段を有していることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、角度調整手段を用いてキャリッジおよび載置テーブルの傾斜角度を調整することにより、機能液滴吐出ヘッドに導入する機能液に応じた水頭差を管理することが可能である。また、水頭差を変化させることにより、機能液滴吐出ヘッドから吐出させる機能液量を変化させることも可能である。また、載置テーブルの傾斜角度を調整できるため、ワーク交換時には操作性および作業性の良い角度に載置テーブルを調節可能である。したがって、ワーク交換時には、例えば、載置テーブルを水平に調節するなどして、ワーク交換時における作業性および操作性を向上させることができる。さらに、大気圧の変化に応じて、水頭差を変化させることが可能である。
【0018】
この場合、機能液滴吐出ヘッドの駆動に伴い減少する、機能液タンクに貯留される機能液の液位を連続的に検出する液位検出手段と、角度調整手段を制御する制御手段と、をさらに備え、制御手段は、液位検出手段の検出結果に基づいて、機能液滴吐出ヘッドのノズル面と機能液タンクに貯留する機能液の液面との高低差が一定になるように角度調整手段を制御することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、機能液滴吐出ヘッドの駆動に伴い、機能液タンクに貯留する機能液が減少しても、液位検出手段の検出結果に基づいて、機能液滴吐出ヘッドのノズル面と機能液タンクに貯留する機能液の液面との高低差が一定になるように角度調整手段が制御されるので、機能液の減少によって、両者間の水頭差に変動を生じることがない。したがって、機能液タンクの機能液量が減少しても、安定して機能液滴吐出ヘッドから機能液を吐出させることができる。
【0020】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の電気光学装置は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする。
【0022】
これらの構成によれば、大気圧下での機能液の供給を前提として、機能液タンクを機能液滴吐出ヘッドの近傍に設けることが可能な液滴吐出装置を用いて製造されるため、電気光学装置を効率よく製造することが可能となる。なお、電気光学装置(デバイス)としては、液晶表示装置、有機EL(Electro−Luminescence)装置、電子放出装置、PDP(Plasma Display Panel)装置および電気泳動表示装置等が考えられる。なお、電子放出装置は、いわゆるFED(Field Emission Display)装置を含む概念である。さらに、電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等を包含する装置が考えられる。
【0023】
本発明の電子機器は、上記した電気光学装置を搭載したことを特徴とする
【0024】
この場合、電子機器としては、いわゆるフラットパネルディスプレイを搭載した携帯電話、パーソナルコンピュータの他、各種の電気製品がこれに該当する。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1に示すように、この液滴吐出装置1は、機能液を吐出する機能液滴吐出ヘッド21を搭載したヘッドユニット2と、ワークWを載置する載置テーブル41を有し、載置テーブル41を介してワークWをX軸方向(主走査方向)に移動させるX軸テーブル3と、X軸テーブル3と直交し、ヘッドユニット2をY軸方向(副走査方向)に移動させるY軸テーブル4と、を有している。
【0026】
図2に示すように、この液滴吐出装置1は、直方体状の機台11を備え、機台11には、傾斜角度θ0で、水平面に対して(主走査方向に)傾斜した傾斜テーブル5が設けられている。すなわち、機台11と傾斜テーブル5により、請求項にいう支持台が構成されている。傾斜テーブル5には、X軸テーブル3が直接支持されており、ワークWが傾斜した状態でセットされるようになっている。また、傾斜テーブル5には、傾斜テーブル5に対して垂直に立設したY軸スタンド12がX軸テーブル3を跨ぐように配設されている。また、傾斜テーブル5には、傾斜テーブル5の傾斜角度を調整するための角度調整機構53が組み込まれている。
【0027】
同図に示すように、Y軸スタンド12には、Y軸テーブル4の両端が支持されており、Y軸テーブル4には、キャリッジ6を介してヘッドユニット2が支持されている。また、キャリッジ6には、機能液滴吐出ヘッド21に機能液を供給する機能液タンク7をタンクキャリッジ75が設けられている。本実施形態の液滴吐出装置1では、大気圧下での機能液の供給を前提として、機能液滴吐出ヘッド21の吐出ノズル29と機能液タンク7に貯留する機能液の液面との水頭差(高低差)が予め規定されており、この高低差を満たすように、機能液タンク7は、タンクキャリッジ75により支持されている。
【0028】
また、この液滴吐出装置1には、装置全体をコントロールするコントローラ8が設けられており、コントローラ8により各部が制御されている。そして、コントローラ8が、X軸テーブル3およびY軸テーブル4を駆動して、ヘッドユニット2とワークWとを相対的に移動させながら、機能液滴吐出ヘッド21を駆動して機能液を選択的に吐出させることにより、ワークWに対して描画が行われるようになっている(図1参照)。
【0029】
以下、液滴吐出装置1の各部について説明する。ヘッドユニット2は、機能液滴吐出ヘッド21と、後述するキャリッジ6のキャリッジプレート74と、で構成されている。図1に示すように、機能液滴吐出ヘッド21は、多数(180個の)吐出ノズル29(後述する)を有しており、多数の吐出ノズル29が副走査方向に連続するように配設されている。なお、全吐出ノズル29が副走査方向に連続していれば、機能液滴吐出ヘッド21の個数や配列は、上記したものに限られるものではなく任意である。
【0030】
図示省略したが、機能液滴吐出ヘッド21は、機能液タンク7から連続的に機能液の供給を受ける機能液導入部と、機能液導入部に連なるヘッド基板と、機能液導入部の下方に連なり、内部に機能液で満たされるヘッド内流路が形成されたヘッド本体と、を備えている。ヘッド本体は、図示省略のポンプ部(ピエゾ圧電素子)と、多数の吐出ノズル29を形成したノズルプレート26と、を有しており、この機能液滴吐出ヘッド21は、ポンプ部の作用により吐出ノズル29から機能液滴を吐出するようになっている。ノズルプレート26の下面は、ノズル面27となっており、ノズル面27には、1列のノズル列28が形成されている。ノズル列28は、等間隔に並べられた180個の吐出ノズル29で構成されている。
【0031】
X軸テーブル3は、載置テーブル41と、傾斜テーブル5に支持され、載置テーブル41をX軸方向にスライド自在に支持するX軸エアースライダ(図示省略)と、X軸エアースライダに併設したX軸リニアモータ(図示省略)と、を有している。Y軸テーブル4は、傾斜テーブル5に立設されたY軸スタンド12に固定されており、図示省略したが、キャリッジ6を介してヘッドユニット2および機能液タンク7をスライド自在に支持するY軸スライダと、Y軸スライダをY軸方向に移動させるY軸ボールねじと、サーボモータで構成され、Y軸ボールねじを正逆回転させるY軸モータと、を有している。
【0032】
図2および図3に示すように、傾斜テーブル5は、機台11に固定された支持ベース51と、一端を支持ベース51に回動自在に固定され、X軸テーブル3を直接支持すると共にY軸スタンド12を立設した支持テーブル52と、支持テーブル52を回動させることにより、支持テーブル52を介して載置テーブル41の傾斜角度を調整する角度調整機構53と、支持テーブル52の回動を案内する移動ガイド54と、を有している。
【0033】
図2に示すように、支持テーブル52は、略方形の厚板で構成されおり、支持テーブル52のY軸方向と一致する一端(基部)は、支持ベース51に回動自在に固定されている。そして、支持テーブル52は、予め傾斜角度θ0で(X軸方向に)傾斜しており、載置テーブル41を傾斜角度θ0で支持している。図示省略したが、支持テーブル52の支持ベース51に固定されていない他端の側部には、移動ガイド54のガイド溝を摺動する摺動片(図示省略)が設けられている。また、移動ガイド54は、支持テーブル52を安定して上下方向に回動させるためのもので、支持ベース51に固定された、左右一対のガイド部材55で構成されている。図示省略したが、ガイド部材55には、支持テーブル52を回動させたときの軌跡に合わせて形成され、支持テーブル52の摺動片を案内する円弧状のガイド溝を有している(図3参照)。
【0034】
図3に示すように、角度調整機構53は、一端を支持テーブル52に回動自在に取り付けられ、他端を支持ベース51に取り付けられた、菱形のねじ機構からなるジャッキアップ機構61と、ジャッキアップ機構61のリードねじ62に連結したギヤードモータ65と、で構成されている。ジャッキアップ機構61は、逆「V」字状の上リンク63と、「V」字状の下リンク64と、を2つの雌ねじで連結したものであり、ギヤードモータ65を正逆回転させ、リードねじ62を介してその菱形形状を変形させることにより、支持ベース51に対して支持テーブル52を上下方向に回動させる。これにより、支持テーブル52は、固定された基部側のヒンジを介して傾動し、角度調節される。
【0035】
図2に示すように、キャリッジ6は、背面に、上記したY軸テーブル4のY軸スライダに取り付けられたキャリッジ本体71と、キャリッジ本体6に支持され、ヘッドユニット2を支持するヘッドキャリッジ72と、キャリッジ本体71に支持され、機能液タンク7を支持するタンクキャリッジ75と、を有している。
【0036】
ヘッドキャリッジ72は、(キャリッジプレート74を介してヘッドユニット2の)θ方向に対する位置補正を行うためのθテーブル73と、θテーブル73の下方に設けられ、ヘッドユニット2を構成するキャリッジプレート74と、で構成されている。キャリッジプレート74には、機能液滴吐出ヘッド21を遊嵌するための方形の開口を有しており、機能液滴吐出ヘッド21を位置決め固定するようになっている。なお、θテーブル73およびキャリッジプレート74は、支持テーブル52(載置テーブル41)と略平行に配設されており、搭載した機能液滴吐出ヘッド21のノズル面27をワークWに平行かつ近接させて保持することができるようになっている。一方、タンクキャリッジ75は、一端をキャリッジ本体71に固定した固定部(図示省略)と、固定部からX軸方向に延在したアーム部76と、アーム部76の他端に形成され、機能液タンク7を支持するタンク支持部77と、を有している。なお、タンクキャリッジ75には、機能液タンク7と機能液滴吐出ヘッド21とを接続し、機能液タンク7から機能液滴吐出ヘッド21に機能液を供給するための給液チューブ(供給管路)81が固定されている。
【0037】
図2に示すように、機能液タンク7は、傾斜テーブル5の傾斜を利用して、ヘッドユニット2(機能液滴吐出ヘッド21)に比し、傾斜テーブル5の低い位置に配設されており、機能液タンク7に貯留する機能液の液面と機能液滴吐出ヘッド21のノズル面27との水頭差が規定された値に保たれている。機能液タンク7は、機能液滴吐出ヘッド21に供給する機能液を貯留するタンク本体91と、タンク本体91に貯留されている機能液の液位を連続的に検出する液位検出器92と、を備えている。
【0038】
同図に示すように、タンク本体91は、傾斜テーブル5(支持テーブル52)の傾斜角度θ0に対応させて底面が形成されており、タンク本体91の底面を傾斜テーブル5(載置テーブル41)に近接し、かつタンク本体91の底面と支持テーブル52とが略平行になるようにタンク本体91は配設されている。これにより、載置テーブル41上の空間を有効に利用して、効率的に機能液を貯留可能となっている。また、タンク本体91の上面には、上記した給液チューブ81が繋ぎ込まれており、機能液に浸漬される給液チューブ81の一端部がタンク本体91の最も低い位置(最深部)に位置している。したがって、タンク本体91の機能液を残さず機能液滴吐出ヘッド21に供給することができ、タンク本体91に貯留する機能液を効率的に利用可能となっている。
【0039】
このように、本実施形態の液滴吐出装置1では、載置テーブル41を傾斜させることによって生じた載置テーブル41の高低差を利用して、機能液滴吐出ヘッド21と機能液タンク7を配設することにより、規定された水頭差を満たした上で、X軸方向に移動する載置テーブル41に干渉せずに、機能液タンク7がヘッドユニット2(機能液滴吐出ヘッド21)と共に移動可能となっている。また、これにより、載置テーブル41の移動範囲内に機能液タンク7を配設することができるので、機能液タンク7をヘッドユニット2の近傍に配設することができる。そして、機能液タンク7とヘッドユニット2とを接続する給液チューブ81を短くすることが可能である。さらに、機能液タンク7がヘッドユニット2と共に移動するので、給液チューブ81を固定した状態で支持することができ、機能液タンク7から機能液滴吐出ヘッド21に、安定して機能液を供給することが可能となっている。
【0040】
ところで、本実施形態の液滴吐出装置1では、機能液滴吐出ヘッド21の駆動に伴って機能液タンク7に貯留する機能液が減少しても、水頭差を一定に保つよう、コントローラ8によって制御されている。図2および図3を参照して具体的に説明する。コントローラ8には、上記した液位検出器92が接続されており、コントローラ8は、液位検出器92による検出結果に基づいて、傾斜テーブル5の傾斜角度を調節することにより、水頭差を一定に保っている。
【0041】
すなわち、機能液タンク7の液量が減少して機能液の液位が低下すると、水頭差が大きくなるので、角度調整機構53のギヤードモータ65を駆動させ、支持テーブル52の傾斜角度を連続的にθ0からθ1にする(ただしθ0>θ1)。これにより、ヘッドユニット2の高さ位置を下降させると共に、機能液タンクの高さ位置を上昇させることができるので、吐出ノズル29(ノズル列28)と機能液タンク7の液面との相対的な高低差を維持し、両者の水頭差を一定に保つことができるようになっている。
【0042】
本実施形態の液滴吐出装置1では、機能液タンク7は、カートリッジ形式のものを採用しており、機能液タンク7内に貯留する機能液が空になって機能液タンク7が交換されると、再びギヤードモータ65が駆動して支持テーブル52の傾斜角度をθ0となり、水頭値が適切に保持されるようになっている。なお、カートリッジ形式ではなく、機能液を大量に貯留したメインタンクから連続的に機能液の供給を受けるサブタンク形式のものを採用しても良い。この場合、機能液滴吐出ヘッド21から機能液を吐出しているときには、吐出を安定させるためにメインタンクから機能液タンク7に機能液の補給が為されないので、液位検出器92の検出結果に基づいて、支持テーブル52の傾斜角度をθ0からθ1に減少させるようにし、機能液タンク7に機能液の補給を受け、機能液タンクに貯留する機能液量が増したときには、液位検出器92の検出結果に基づいて、支持テーブル52の傾斜角度をθ1からθ0に調節する。
【0043】
なお、本実施形態の液滴吐出装置1では、水頭差を一定に保つために、液位検出器92による検出結果に基づいて傾斜テーブル5の傾斜角度を調節する構成としているが、機能液タンク7自身を機能液滴吐出ヘッド21(のノズル面27)に対して相対的に上下させる機構としても良い。この場合、液位検出器92の検出結果に基づいて、機能液タンク7自身をワークWに干渉しない範囲で上下させることにより、機能液滴吐出ヘッド21と機能液タンク7との水頭差を一定に保つことができる。
【0044】
次に、上記の液滴吐出装置1を液晶表示装置の製造に適用した場合について説明する。図4は、液晶表示装置301の断面構造を表している。同図に示すように、液晶表示装置301は、ガラス基板321を主体として対向面に透明導電膜(ITO膜)322および配向膜323を形成した上基板311および下基板312と、この上下両基板311,312間に介設した多数のスペーサ331と、上下両基板311,312間を封止するシール材332と、上下両基板311、312間に充填した液晶333とで構成されると共に、上基板311の背面に位相基板341および偏光板342aを積層し、且つ下基板312の背面に偏光板342bおよびバックライト343を積層して、構成されている。
【0045】
通常の製造工程では、それぞれ透明導電膜322のパターニングおよび配向膜323の塗布を行って上基板311および下基板312を別々に作製した後、下基板312にスペーサ331およびシール材332を作り込み、この状態で上基板311を貼り合わせる。次いで、シール材332の注入口から液晶333を注入し、注入口を閉止する。その後、位相基板341、両偏光板342a,342bおよびバックライト343を積層する。
【0046】
上記した液滴吐出装置1は、例えば、スペーサ331の形成や、液晶333の注入に利用することができる。具体的には、機能液としてセルギャップを構成するスペーサ材料(例えば、紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂)や液晶を導入し、これらを所定の位置に均一に吐出(塗布)させていく。先ずシール材332を環状に印刷した下基板312を吸着テーブルにセットし、この下基板312上にスペーサ材料を粗い間隔で吐出し、紫外線照射してスペーサ材料を凝固させる。次に、下基板312のシール材332の内側に、液晶333を所定量だけ均一に吐出して注入する。その後、別途準備した上基板311と、液晶を所定量塗布した下基板312を真空中に導入して貼り合わせる。
【0047】
このように、上基板311と下基板312とを貼り合わせる前に、液晶333をセルの中に均一に塗布(充填)するようにしているため、液晶333がセルの隅など細部に行き渡らない等の不具合を解消することができる。
【0048】
なお、機能液(シール材用材料)として紫外線硬化樹脂或いは熱硬化樹脂を用いることで、上記のシール材332の印刷をこの液滴吐出装置1で行うことも可能である。同様に、機能液(配向膜材料)としてポリイミド樹脂を導入することで、配向膜323を液滴吐出装置1で作成することも可能である。
【0049】
上記した液滴吐出装置1は、ヘッドユニット2と共に機能液タンクを移動させ、ワークWに精度良く描画を行うことができるため、効率よく液晶表示装置301を製造することができる。また、ワークWを載置する載置テーブル41を傾斜させることで、ワークWの設置面積を減少させることができ、装置の省スペース化を図り、効率よく液晶表示装置301を製造することができる。
【0050】
ところで、上記した液滴吐出装置1は、携帯電話やパーソナルコンピュータ等の電子機器に搭載される上記の液晶表示装置301の他、各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることが可能である。すなわち、有機EL装置、FED装置、PDP装置および電気泳動表示装置等の製造に適用することができ、これらを効率よく製造することが可能である。
【0051】
有機EL装置の製造に、上記した液滴吐出装置1を応用した例を簡単に説明する。有機EL装置は、図5に示すように、有機EL装置401は、基板421、回路素子部422、画素電極423、バンク部424、発光素子425、陰極426(対向電極)、および封止用基板427から構成された有機EL素子411に、フレキシブル基板(図示省略)の配線および駆動IC(図示省略)を接続したものである。回路素子部422は基板421上に形成され、複数の画素電極423が回路素子部422上に整列している。そして、各画素電極423間にはバンク部424が格子状に形成されており、バンク部424により生じた凹部開口431に、発光素子425が形成されている。陰極426は、バンク部424および発光素子425の上部全面に形成され、陰極426の上には、封止用基板427が積層されている。
【0052】
有機EL装置401の製造工程では、予め回路素子部422上および画素電極423が形成されている基板421(ワークW)上の所定の位置にバンク部424が形成された後、発光素子425を適切に形成するためのプラズマ処理が行われ、その後に発光素子425および陰極426(対向電極)を形成される。そして、封止用基板427を陰極426上に積層して封止して、有機EL素子411を得た後、この有機EL素子411の陰極426をフレキシブル基板の配線に接続すると共に、駆動ICに回路素子部422の配線を接続することにより、有機EL装置401が製造される。
【0053】
液滴吐出装置1は、発光素子425の形成に用いられる。具体的には、機能液滴吐出ヘッド31に発光素子材料(機能液)を導入し、バンク部424が形成された基板421の画素電極423の位置に対応して、発光素子材料を吐出させ、これを乾燥させることで発光素子425を形成する。なお、上記した画素電極423や陰極426の形成等においても、それぞれに対応する液体材料を用いることで、液滴吐出装置1を利用して作成することも可能である。
【0054】
また、他の電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の他、上記したプレパラート形成を包含する装置が考えられる。上記した液滴吐出装置1を各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。
【0055】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明の液滴吐出装置によれば、ワークを載置する載置テーブルを傾斜させることにより、傾斜した載置テーブルの高低差を利用して、機能液滴吐出ヘッドよりも機能液タンクを低く配置することができ、機能液滴吐出ヘッドと機能液タンクの液面との水頭差を規定された所定の水頭差に維持した状態で、ヘッドユニット(機能液滴吐出ヘッド)と共に機能液タンクを移動する構成とすることができる。また、載置テーブルに機能液タンクが干渉することがなく、載置テーブルの移動領域内に機能液タンクを配設することが可能となるため、機能液タンクをヘッドユニットの近傍に配設することができ、機能液タンクとヘッドユニット(機能液滴吐出ヘッド)とを接続する給液チューブを短くすることができる。したがって、給液チューブ内に貯留される機能液量を削減して、機能液を効率よく利用可能であると共に、機能液を送液する際の摩擦抵抗による影響を低減させることができ、安定的に機能液を供給することが可能となる。さらに、ヘッドユニットと共に機能液タンクが移動するため、ヘッドユニットの移動により給液チューブの曲率が変化することがなく、給液チューブを一定の状態で保持することができる。これにより、より安定した状態で、機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給することが可能となり、機能液滴吐出ヘッドから機能液を安定して吐出させることができる。
【0056】
また、本発明の電気光学装置の製造方法、電気光学装置、および電子機器によれば、上記した液滴吐出装置を用いて製造されるので、効率よくこれらを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における機能液滴吐出装置の模式図である。
【図2】本実施形態における機能液滴吐出装置を側面視したときの模式図である。
【図3】角度調整機構回りの模式図である。
【図4】本発明の製造方法を用いて製造した液晶表示装置の断面図である。
【図5】本発明の製造方法を用いて製造した有機EL装置の断面図である。
【符号の説明】
1 液滴吐出装置 2 ヘッドユニット
3 X軸テーブル 4 Y軸テーブル
5 傾斜テーブル 6 キャリッジ
7 機能液タンク 8 コントローラ
21 機能液滴吐出ヘッド 29 吐出ノズル
41 載置テーブル 52 支持テーブル
53 角度調整機構 81 給液チューブ
92 液位検出器
【発明が属する技術分野】
本発明は、機能液滴吐出ヘッドのノズル面と機能液タンクに貯留する機能液の液面との高低差、すなわち両者間の水頭差、が予め規定された液滴吐出装置、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、および電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液滴吐出装置の一種として、従来から知られるインクジェットプリンタでは、インクジェットヘッド(機能液滴吐出ヘッド)にインク(機能液)を供給するインクパック(機能液タンク)は、インク垂れを防止すべく、インクジェットヘッドよりも低い位置に配設されている。そして、インクジェットヘッドと水平に載置された印刷対象物とが、主走査方向および副走査方向に相対的に移動することで、印刷対象物(ワーク)に印刷が行われる。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このようなインクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドに対するインクパックからのインクの供給は、大気圧下で行われることを前提としている。したがって、インクジェットヘッドに形成された各ノズルから吐出されるインク滴の量的安定性を確保するために、インクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドとインクパックとの水頭差を精度良く保持するようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−248784号公報(第7頁−第8頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、工業応用の液滴吐出装置では、機能液滴吐出ヘッドのノズル面とワークとの間隔(ギャップ)を狭くすることにより、機能液滴吐出ヘッドから吐出される機能液滴の飛行曲がり等の影響を補償し、高い吐出性能を確保している。しかしながら、機能液滴吐出ヘッドとワークとのギャップを狭くした上で、機能液滴吐出ヘッド(のノズル面)よりも機能液タンクを低く配設しようとすると、機能液滴吐出ヘッドに対して相対的に走査するワークの走査領域を避けて機能液タンクを配設しなければならないため、設置スペースの自由度がなく、装置全体が大型化するという問題が生じる。
【0006】
また、ワークの走査領域を避けて機能液タンクを配設しなければならないため、機能液タンクを機能液滴吐出ヘッド近傍に設けることができない。したがって、機能液滴吐出ヘッドから機能液タンクに至る機能液流路が長くなり、機能液タンクから機能液滴吐出ヘッドに供給する機能液の供給圧に損失が生じる等の問題も生じる。
【0007】
そこで、本発明は、機能液滴吐出ヘッドのノズル面と機能液タンクに貯留する機能液の液面との高低差が予め定められた液滴吐出装置において、機能液滴吐出ヘッドの近傍に機能液タンクを配設可能とする液滴吐出装置、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、および電子機器を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、載置テーブルに搭載したワークとキャリッジに搭載した機能液吐出ヘッドとを、主走査方向および副走査方向に相対的に移動させながら、ノズル列を有する機能液滴吐出ヘッドから機能液を吐出させて、ワーク上に描画を行う液滴吐出装置において、載置テーブルおよびキャリッジを介して、機能液滴吐出ヘッドおよびワークを相対的に移動させる移動機構と、キャリッジに搭載され、機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給する機能液タンクと、を備え、載置テーブルは、水平面に対して傾斜しており、機能液タンクは、予め規定された、機能液滴吐出ヘッドのノズル面と当該機能液タンクに貯留する機能液の液面との高低差を満たすように、機能液滴吐出ヘッドより、傾斜した載置テーブルの低い位置に配設されていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、ワークを載置する載置テーブルを水平面に対して傾斜させることにより生じた載置テーブルの高低差を利用して、予め定められた機能液滴吐出ヘッドのノズル面と機能液タンクに貯留する機能液の液面との高低差を満たすように、機能液タンクを機能液滴吐出ヘッドよりも低い位置に配設することができる。したがって、(相対的に移動する)載置テーブルに干渉することなく、機能液タンクを載置テーブルの上方に配設することが可能となる。また、載置テーブルの移動範囲内に機能液タンクを配設できるため、機能液タンクを機能液滴吐出ヘッドの近傍に配置することができ、機能液タンクと機能液滴吐出ヘッドとを接続する給液チューブを短くすることが可能である。これにより、機能液供給時における機能液の管路抵抗を減少させ、機能液タンクから機能液滴吐出ヘッドに安定して機能液を供給することができると共に、給液チューブ内に留まる機能液量を減少させ、機能液を効率的に利用することができる。また、載置テーブルを傾斜させているので、載置テーブルを水平に配置する場合に比して、ワークの載置スペースを省スペース化することができる。
【0010】
この場合、移動機構は、載置テーブルを主走査方向に移動させ、かつ前記キャリッジを副走査方向に移動させ、載置テーブルは、主走査方向に傾斜していることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、載置テーブルが主走査方向に傾斜しているので、機能液滴吐出ヘッドに形成された各ノズルの高さを一様とすることができる。したがって、機能液滴吐出ヘッドの各ノズルと機能液タンクとの水頭差を同様に保つことができ、機能液滴吐出ヘッドと機能液タンクとの水頭差を精度良く確保することが可能である。また、移動テーブルを介して、載置テーブルが主走査方向に移動するので、機能液滴を吐出させる主走査時に機能液滴吐出ヘッドと共に機能液タンクを移動させることがなく、機能液滴吐出ヘッドから安定して機能液滴を吐出させることができる。すなわち、主走査時に機能液タンクを移動させると、特に移動の開始時および終了時に機能液タンクに貯留する機能液面が揺動するために、機能液滴吐出ヘッドからの機能液の吐出が不安定になりやすいが、載置テーブルを主走査方向に移動させる構成としているので、かかる問題は生じない。
【0012】
この場合、機能液タンクは、当該機能液タンクの底面が傾斜した前記載置テーブルと略平行となるように支持されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、機能液タンクは、当該機能液タンクの底面が傾斜した載置テーブルと略平行になるように支持されるので、傾斜した載置テーブルと機能液タンクの底面(すなわち下面)を近接させて配置することができる。そして、機能液タンクの底面を水平となるように機能液タンクを支持した場合に比べ、所定の水頭差を維持した状態で、より一層、機能液滴吐出ヘッドの近傍に機能液タンクを配設することができると共に機能液タンクに貯留させる機能液量を増量させることができる。
【0014】
これら場合、機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給する供給管路の上流端は、傾斜した機能液タンクの最深部に浸漬されていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、供給管路の上流端が、傾斜した機能液タンクの最深部に浸漬されているので、機能液タンクが空になるまで当該機能液タンクに貯留する機能液を利用することができ、高価な機能液を無駄にすることがない。
【0016】
これら場合、移動機構を介して、キャリッジおよび載置テーブルを支持する支持台をさらに備え、支持台は、キャリッジおよび載置テーブルの水平面に対する傾斜角度を調整可能な角度調整手段を有していることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、角度調整手段を用いてキャリッジおよび載置テーブルの傾斜角度を調整することにより、機能液滴吐出ヘッドに導入する機能液に応じた水頭差を管理することが可能である。また、水頭差を変化させることにより、機能液滴吐出ヘッドから吐出させる機能液量を変化させることも可能である。また、載置テーブルの傾斜角度を調整できるため、ワーク交換時には操作性および作業性の良い角度に載置テーブルを調節可能である。したがって、ワーク交換時には、例えば、載置テーブルを水平に調節するなどして、ワーク交換時における作業性および操作性を向上させることができる。さらに、大気圧の変化に応じて、水頭差を変化させることが可能である。
【0018】
この場合、機能液滴吐出ヘッドの駆動に伴い減少する、機能液タンクに貯留される機能液の液位を連続的に検出する液位検出手段と、角度調整手段を制御する制御手段と、をさらに備え、制御手段は、液位検出手段の検出結果に基づいて、機能液滴吐出ヘッドのノズル面と機能液タンクに貯留する機能液の液面との高低差が一定になるように角度調整手段を制御することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、機能液滴吐出ヘッドの駆動に伴い、機能液タンクに貯留する機能液が減少しても、液位検出手段の検出結果に基づいて、機能液滴吐出ヘッドのノズル面と機能液タンクに貯留する機能液の液面との高低差が一定になるように角度調整手段が制御されるので、機能液の減少によって、両者間の水頭差に変動を生じることがない。したがって、機能液タンクの機能液量が減少しても、安定して機能液滴吐出ヘッドから機能液を吐出させることができる。
【0020】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の電気光学装置は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする。
【0022】
これらの構成によれば、大気圧下での機能液の供給を前提として、機能液タンクを機能液滴吐出ヘッドの近傍に設けることが可能な液滴吐出装置を用いて製造されるため、電気光学装置を効率よく製造することが可能となる。なお、電気光学装置(デバイス)としては、液晶表示装置、有機EL(Electro−Luminescence)装置、電子放出装置、PDP(Plasma Display Panel)装置および電気泳動表示装置等が考えられる。なお、電子放出装置は、いわゆるFED(Field Emission Display)装置を含む概念である。さらに、電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等を包含する装置が考えられる。
【0023】
本発明の電子機器は、上記した電気光学装置を搭載したことを特徴とする
【0024】
この場合、電子機器としては、いわゆるフラットパネルディスプレイを搭載した携帯電話、パーソナルコンピュータの他、各種の電気製品がこれに該当する。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1に示すように、この液滴吐出装置1は、機能液を吐出する機能液滴吐出ヘッド21を搭載したヘッドユニット2と、ワークWを載置する載置テーブル41を有し、載置テーブル41を介してワークWをX軸方向(主走査方向)に移動させるX軸テーブル3と、X軸テーブル3と直交し、ヘッドユニット2をY軸方向(副走査方向)に移動させるY軸テーブル4と、を有している。
【0026】
図2に示すように、この液滴吐出装置1は、直方体状の機台11を備え、機台11には、傾斜角度θ0で、水平面に対して(主走査方向に)傾斜した傾斜テーブル5が設けられている。すなわち、機台11と傾斜テーブル5により、請求項にいう支持台が構成されている。傾斜テーブル5には、X軸テーブル3が直接支持されており、ワークWが傾斜した状態でセットされるようになっている。また、傾斜テーブル5には、傾斜テーブル5に対して垂直に立設したY軸スタンド12がX軸テーブル3を跨ぐように配設されている。また、傾斜テーブル5には、傾斜テーブル5の傾斜角度を調整するための角度調整機構53が組み込まれている。
【0027】
同図に示すように、Y軸スタンド12には、Y軸テーブル4の両端が支持されており、Y軸テーブル4には、キャリッジ6を介してヘッドユニット2が支持されている。また、キャリッジ6には、機能液滴吐出ヘッド21に機能液を供給する機能液タンク7をタンクキャリッジ75が設けられている。本実施形態の液滴吐出装置1では、大気圧下での機能液の供給を前提として、機能液滴吐出ヘッド21の吐出ノズル29と機能液タンク7に貯留する機能液の液面との水頭差(高低差)が予め規定されており、この高低差を満たすように、機能液タンク7は、タンクキャリッジ75により支持されている。
【0028】
また、この液滴吐出装置1には、装置全体をコントロールするコントローラ8が設けられており、コントローラ8により各部が制御されている。そして、コントローラ8が、X軸テーブル3およびY軸テーブル4を駆動して、ヘッドユニット2とワークWとを相対的に移動させながら、機能液滴吐出ヘッド21を駆動して機能液を選択的に吐出させることにより、ワークWに対して描画が行われるようになっている(図1参照)。
【0029】
以下、液滴吐出装置1の各部について説明する。ヘッドユニット2は、機能液滴吐出ヘッド21と、後述するキャリッジ6のキャリッジプレート74と、で構成されている。図1に示すように、機能液滴吐出ヘッド21は、多数(180個の)吐出ノズル29(後述する)を有しており、多数の吐出ノズル29が副走査方向に連続するように配設されている。なお、全吐出ノズル29が副走査方向に連続していれば、機能液滴吐出ヘッド21の個数や配列は、上記したものに限られるものではなく任意である。
【0030】
図示省略したが、機能液滴吐出ヘッド21は、機能液タンク7から連続的に機能液の供給を受ける機能液導入部と、機能液導入部に連なるヘッド基板と、機能液導入部の下方に連なり、内部に機能液で満たされるヘッド内流路が形成されたヘッド本体と、を備えている。ヘッド本体は、図示省略のポンプ部(ピエゾ圧電素子)と、多数の吐出ノズル29を形成したノズルプレート26と、を有しており、この機能液滴吐出ヘッド21は、ポンプ部の作用により吐出ノズル29から機能液滴を吐出するようになっている。ノズルプレート26の下面は、ノズル面27となっており、ノズル面27には、1列のノズル列28が形成されている。ノズル列28は、等間隔に並べられた180個の吐出ノズル29で構成されている。
【0031】
X軸テーブル3は、載置テーブル41と、傾斜テーブル5に支持され、載置テーブル41をX軸方向にスライド自在に支持するX軸エアースライダ(図示省略)と、X軸エアースライダに併設したX軸リニアモータ(図示省略)と、を有している。Y軸テーブル4は、傾斜テーブル5に立設されたY軸スタンド12に固定されており、図示省略したが、キャリッジ6を介してヘッドユニット2および機能液タンク7をスライド自在に支持するY軸スライダと、Y軸スライダをY軸方向に移動させるY軸ボールねじと、サーボモータで構成され、Y軸ボールねじを正逆回転させるY軸モータと、を有している。
【0032】
図2および図3に示すように、傾斜テーブル5は、機台11に固定された支持ベース51と、一端を支持ベース51に回動自在に固定され、X軸テーブル3を直接支持すると共にY軸スタンド12を立設した支持テーブル52と、支持テーブル52を回動させることにより、支持テーブル52を介して載置テーブル41の傾斜角度を調整する角度調整機構53と、支持テーブル52の回動を案内する移動ガイド54と、を有している。
【0033】
図2に示すように、支持テーブル52は、略方形の厚板で構成されおり、支持テーブル52のY軸方向と一致する一端(基部)は、支持ベース51に回動自在に固定されている。そして、支持テーブル52は、予め傾斜角度θ0で(X軸方向に)傾斜しており、載置テーブル41を傾斜角度θ0で支持している。図示省略したが、支持テーブル52の支持ベース51に固定されていない他端の側部には、移動ガイド54のガイド溝を摺動する摺動片(図示省略)が設けられている。また、移動ガイド54は、支持テーブル52を安定して上下方向に回動させるためのもので、支持ベース51に固定された、左右一対のガイド部材55で構成されている。図示省略したが、ガイド部材55には、支持テーブル52を回動させたときの軌跡に合わせて形成され、支持テーブル52の摺動片を案内する円弧状のガイド溝を有している(図3参照)。
【0034】
図3に示すように、角度調整機構53は、一端を支持テーブル52に回動自在に取り付けられ、他端を支持ベース51に取り付けられた、菱形のねじ機構からなるジャッキアップ機構61と、ジャッキアップ機構61のリードねじ62に連結したギヤードモータ65と、で構成されている。ジャッキアップ機構61は、逆「V」字状の上リンク63と、「V」字状の下リンク64と、を2つの雌ねじで連結したものであり、ギヤードモータ65を正逆回転させ、リードねじ62を介してその菱形形状を変形させることにより、支持ベース51に対して支持テーブル52を上下方向に回動させる。これにより、支持テーブル52は、固定された基部側のヒンジを介して傾動し、角度調節される。
【0035】
図2に示すように、キャリッジ6は、背面に、上記したY軸テーブル4のY軸スライダに取り付けられたキャリッジ本体71と、キャリッジ本体6に支持され、ヘッドユニット2を支持するヘッドキャリッジ72と、キャリッジ本体71に支持され、機能液タンク7を支持するタンクキャリッジ75と、を有している。
【0036】
ヘッドキャリッジ72は、(キャリッジプレート74を介してヘッドユニット2の)θ方向に対する位置補正を行うためのθテーブル73と、θテーブル73の下方に設けられ、ヘッドユニット2を構成するキャリッジプレート74と、で構成されている。キャリッジプレート74には、機能液滴吐出ヘッド21を遊嵌するための方形の開口を有しており、機能液滴吐出ヘッド21を位置決め固定するようになっている。なお、θテーブル73およびキャリッジプレート74は、支持テーブル52(載置テーブル41)と略平行に配設されており、搭載した機能液滴吐出ヘッド21のノズル面27をワークWに平行かつ近接させて保持することができるようになっている。一方、タンクキャリッジ75は、一端をキャリッジ本体71に固定した固定部(図示省略)と、固定部からX軸方向に延在したアーム部76と、アーム部76の他端に形成され、機能液タンク7を支持するタンク支持部77と、を有している。なお、タンクキャリッジ75には、機能液タンク7と機能液滴吐出ヘッド21とを接続し、機能液タンク7から機能液滴吐出ヘッド21に機能液を供給するための給液チューブ(供給管路)81が固定されている。
【0037】
図2に示すように、機能液タンク7は、傾斜テーブル5の傾斜を利用して、ヘッドユニット2(機能液滴吐出ヘッド21)に比し、傾斜テーブル5の低い位置に配設されており、機能液タンク7に貯留する機能液の液面と機能液滴吐出ヘッド21のノズル面27との水頭差が規定された値に保たれている。機能液タンク7は、機能液滴吐出ヘッド21に供給する機能液を貯留するタンク本体91と、タンク本体91に貯留されている機能液の液位を連続的に検出する液位検出器92と、を備えている。
【0038】
同図に示すように、タンク本体91は、傾斜テーブル5(支持テーブル52)の傾斜角度θ0に対応させて底面が形成されており、タンク本体91の底面を傾斜テーブル5(載置テーブル41)に近接し、かつタンク本体91の底面と支持テーブル52とが略平行になるようにタンク本体91は配設されている。これにより、載置テーブル41上の空間を有効に利用して、効率的に機能液を貯留可能となっている。また、タンク本体91の上面には、上記した給液チューブ81が繋ぎ込まれており、機能液に浸漬される給液チューブ81の一端部がタンク本体91の最も低い位置(最深部)に位置している。したがって、タンク本体91の機能液を残さず機能液滴吐出ヘッド21に供給することができ、タンク本体91に貯留する機能液を効率的に利用可能となっている。
【0039】
このように、本実施形態の液滴吐出装置1では、載置テーブル41を傾斜させることによって生じた載置テーブル41の高低差を利用して、機能液滴吐出ヘッド21と機能液タンク7を配設することにより、規定された水頭差を満たした上で、X軸方向に移動する載置テーブル41に干渉せずに、機能液タンク7がヘッドユニット2(機能液滴吐出ヘッド21)と共に移動可能となっている。また、これにより、載置テーブル41の移動範囲内に機能液タンク7を配設することができるので、機能液タンク7をヘッドユニット2の近傍に配設することができる。そして、機能液タンク7とヘッドユニット2とを接続する給液チューブ81を短くすることが可能である。さらに、機能液タンク7がヘッドユニット2と共に移動するので、給液チューブ81を固定した状態で支持することができ、機能液タンク7から機能液滴吐出ヘッド21に、安定して機能液を供給することが可能となっている。
【0040】
ところで、本実施形態の液滴吐出装置1では、機能液滴吐出ヘッド21の駆動に伴って機能液タンク7に貯留する機能液が減少しても、水頭差を一定に保つよう、コントローラ8によって制御されている。図2および図3を参照して具体的に説明する。コントローラ8には、上記した液位検出器92が接続されており、コントローラ8は、液位検出器92による検出結果に基づいて、傾斜テーブル5の傾斜角度を調節することにより、水頭差を一定に保っている。
【0041】
すなわち、機能液タンク7の液量が減少して機能液の液位が低下すると、水頭差が大きくなるので、角度調整機構53のギヤードモータ65を駆動させ、支持テーブル52の傾斜角度を連続的にθ0からθ1にする(ただしθ0>θ1)。これにより、ヘッドユニット2の高さ位置を下降させると共に、機能液タンクの高さ位置を上昇させることができるので、吐出ノズル29(ノズル列28)と機能液タンク7の液面との相対的な高低差を維持し、両者の水頭差を一定に保つことができるようになっている。
【0042】
本実施形態の液滴吐出装置1では、機能液タンク7は、カートリッジ形式のものを採用しており、機能液タンク7内に貯留する機能液が空になって機能液タンク7が交換されると、再びギヤードモータ65が駆動して支持テーブル52の傾斜角度をθ0となり、水頭値が適切に保持されるようになっている。なお、カートリッジ形式ではなく、機能液を大量に貯留したメインタンクから連続的に機能液の供給を受けるサブタンク形式のものを採用しても良い。この場合、機能液滴吐出ヘッド21から機能液を吐出しているときには、吐出を安定させるためにメインタンクから機能液タンク7に機能液の補給が為されないので、液位検出器92の検出結果に基づいて、支持テーブル52の傾斜角度をθ0からθ1に減少させるようにし、機能液タンク7に機能液の補給を受け、機能液タンクに貯留する機能液量が増したときには、液位検出器92の検出結果に基づいて、支持テーブル52の傾斜角度をθ1からθ0に調節する。
【0043】
なお、本実施形態の液滴吐出装置1では、水頭差を一定に保つために、液位検出器92による検出結果に基づいて傾斜テーブル5の傾斜角度を調節する構成としているが、機能液タンク7自身を機能液滴吐出ヘッド21(のノズル面27)に対して相対的に上下させる機構としても良い。この場合、液位検出器92の検出結果に基づいて、機能液タンク7自身をワークWに干渉しない範囲で上下させることにより、機能液滴吐出ヘッド21と機能液タンク7との水頭差を一定に保つことができる。
【0044】
次に、上記の液滴吐出装置1を液晶表示装置の製造に適用した場合について説明する。図4は、液晶表示装置301の断面構造を表している。同図に示すように、液晶表示装置301は、ガラス基板321を主体として対向面に透明導電膜(ITO膜)322および配向膜323を形成した上基板311および下基板312と、この上下両基板311,312間に介設した多数のスペーサ331と、上下両基板311,312間を封止するシール材332と、上下両基板311、312間に充填した液晶333とで構成されると共に、上基板311の背面に位相基板341および偏光板342aを積層し、且つ下基板312の背面に偏光板342bおよびバックライト343を積層して、構成されている。
【0045】
通常の製造工程では、それぞれ透明導電膜322のパターニングおよび配向膜323の塗布を行って上基板311および下基板312を別々に作製した後、下基板312にスペーサ331およびシール材332を作り込み、この状態で上基板311を貼り合わせる。次いで、シール材332の注入口から液晶333を注入し、注入口を閉止する。その後、位相基板341、両偏光板342a,342bおよびバックライト343を積層する。
【0046】
上記した液滴吐出装置1は、例えば、スペーサ331の形成や、液晶333の注入に利用することができる。具体的には、機能液としてセルギャップを構成するスペーサ材料(例えば、紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂)や液晶を導入し、これらを所定の位置に均一に吐出(塗布)させていく。先ずシール材332を環状に印刷した下基板312を吸着テーブルにセットし、この下基板312上にスペーサ材料を粗い間隔で吐出し、紫外線照射してスペーサ材料を凝固させる。次に、下基板312のシール材332の内側に、液晶333を所定量だけ均一に吐出して注入する。その後、別途準備した上基板311と、液晶を所定量塗布した下基板312を真空中に導入して貼り合わせる。
【0047】
このように、上基板311と下基板312とを貼り合わせる前に、液晶333をセルの中に均一に塗布(充填)するようにしているため、液晶333がセルの隅など細部に行き渡らない等の不具合を解消することができる。
【0048】
なお、機能液(シール材用材料)として紫外線硬化樹脂或いは熱硬化樹脂を用いることで、上記のシール材332の印刷をこの液滴吐出装置1で行うことも可能である。同様に、機能液(配向膜材料)としてポリイミド樹脂を導入することで、配向膜323を液滴吐出装置1で作成することも可能である。
【0049】
上記した液滴吐出装置1は、ヘッドユニット2と共に機能液タンクを移動させ、ワークWに精度良く描画を行うことができるため、効率よく液晶表示装置301を製造することができる。また、ワークWを載置する載置テーブル41を傾斜させることで、ワークWの設置面積を減少させることができ、装置の省スペース化を図り、効率よく液晶表示装置301を製造することができる。
【0050】
ところで、上記した液滴吐出装置1は、携帯電話やパーソナルコンピュータ等の電子機器に搭載される上記の液晶表示装置301の他、各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることが可能である。すなわち、有機EL装置、FED装置、PDP装置および電気泳動表示装置等の製造に適用することができ、これらを効率よく製造することが可能である。
【0051】
有機EL装置の製造に、上記した液滴吐出装置1を応用した例を簡単に説明する。有機EL装置は、図5に示すように、有機EL装置401は、基板421、回路素子部422、画素電極423、バンク部424、発光素子425、陰極426(対向電極)、および封止用基板427から構成された有機EL素子411に、フレキシブル基板(図示省略)の配線および駆動IC(図示省略)を接続したものである。回路素子部422は基板421上に形成され、複数の画素電極423が回路素子部422上に整列している。そして、各画素電極423間にはバンク部424が格子状に形成されており、バンク部424により生じた凹部開口431に、発光素子425が形成されている。陰極426は、バンク部424および発光素子425の上部全面に形成され、陰極426の上には、封止用基板427が積層されている。
【0052】
有機EL装置401の製造工程では、予め回路素子部422上および画素電極423が形成されている基板421(ワークW)上の所定の位置にバンク部424が形成された後、発光素子425を適切に形成するためのプラズマ処理が行われ、その後に発光素子425および陰極426(対向電極)を形成される。そして、封止用基板427を陰極426上に積層して封止して、有機EL素子411を得た後、この有機EL素子411の陰極426をフレキシブル基板の配線に接続すると共に、駆動ICに回路素子部422の配線を接続することにより、有機EL装置401が製造される。
【0053】
液滴吐出装置1は、発光素子425の形成に用いられる。具体的には、機能液滴吐出ヘッド31に発光素子材料(機能液)を導入し、バンク部424が形成された基板421の画素電極423の位置に対応して、発光素子材料を吐出させ、これを乾燥させることで発光素子425を形成する。なお、上記した画素電極423や陰極426の形成等においても、それぞれに対応する液体材料を用いることで、液滴吐出装置1を利用して作成することも可能である。
【0054】
また、他の電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の他、上記したプレパラート形成を包含する装置が考えられる。上記した液滴吐出装置1を各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。
【0055】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明の液滴吐出装置によれば、ワークを載置する載置テーブルを傾斜させることにより、傾斜した載置テーブルの高低差を利用して、機能液滴吐出ヘッドよりも機能液タンクを低く配置することができ、機能液滴吐出ヘッドと機能液タンクの液面との水頭差を規定された所定の水頭差に維持した状態で、ヘッドユニット(機能液滴吐出ヘッド)と共に機能液タンクを移動する構成とすることができる。また、載置テーブルに機能液タンクが干渉することがなく、載置テーブルの移動領域内に機能液タンクを配設することが可能となるため、機能液タンクをヘッドユニットの近傍に配設することができ、機能液タンクとヘッドユニット(機能液滴吐出ヘッド)とを接続する給液チューブを短くすることができる。したがって、給液チューブ内に貯留される機能液量を削減して、機能液を効率よく利用可能であると共に、機能液を送液する際の摩擦抵抗による影響を低減させることができ、安定的に機能液を供給することが可能となる。さらに、ヘッドユニットと共に機能液タンクが移動するため、ヘッドユニットの移動により給液チューブの曲率が変化することがなく、給液チューブを一定の状態で保持することができる。これにより、より安定した状態で、機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給することが可能となり、機能液滴吐出ヘッドから機能液を安定して吐出させることができる。
【0056】
また、本発明の電気光学装置の製造方法、電気光学装置、および電子機器によれば、上記した液滴吐出装置を用いて製造されるので、効率よくこれらを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における機能液滴吐出装置の模式図である。
【図2】本実施形態における機能液滴吐出装置を側面視したときの模式図である。
【図3】角度調整機構回りの模式図である。
【図4】本発明の製造方法を用いて製造した液晶表示装置の断面図である。
【図5】本発明の製造方法を用いて製造した有機EL装置の断面図である。
【符号の説明】
1 液滴吐出装置 2 ヘッドユニット
3 X軸テーブル 4 Y軸テーブル
5 傾斜テーブル 6 キャリッジ
7 機能液タンク 8 コントローラ
21 機能液滴吐出ヘッド 29 吐出ノズル
41 載置テーブル 52 支持テーブル
53 角度調整機構 81 給液チューブ
92 液位検出器
Claims (9)
- 載置テーブルに搭載したワークとキャリッジに搭載した機能液吐出ヘッドとを、主走査方向および副走査方向に相対的に移動させながら、ノズル列を有する前記機能液滴吐出ヘッドから機能液を吐出させて、前記ワーク上に描画を行う液滴吐出装置において、
前記載置テーブルおよび前記キャリッジを介して、前記機能液滴吐出ヘッドおよび前記ワークを相対的に移動させる移動機構と、
前記キャリッジに搭載され、前記機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給する機能液タンクと、を備え、
前記載置テーブルは、水平面に対して傾斜しており、
前記機能液タンクは、予め規定された、前記機能液滴吐出ヘッドのノズル面と当該機能液タンクに貯留する機能液の液面との高低差を満たすように、前記機能液滴吐出ヘッドより、傾斜した前記載置テーブルの低い位置に配設されていることを特徴とする液滴吐出装置。 - 前記移動機構は、前記載置テーブルを主走査方向に移動させ、かつ前記キャリッジを副走査方向に移動させ、
前記載置テーブルは、前記主走査方向に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。 - 前記機能液タンクは、当該機能液タンクの底面が傾斜した前記載置テーブルと略平行となるように支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液滴吐出装置。
- 前記機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給する供給管路の上流端は、傾斜した前記機能液タンクの最深部に浸漬されていることを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出装置。
- 前記移動機構を介して、前記キャリッジおよび前記載置テーブルを支持する支持台をさらに備え、
前記支持台は、前記キャリッジおよび前記載置テーブルの水平面に対する傾斜角度を調整可能な角度調整手段を有していることを特徴とする請求項2または3に記載の液滴吐出装置。 - 前記機能液滴吐出ヘッドの駆動に伴い減少する、前記機能液タンクに貯留される前記機能液の液位を連続的に検出する液位検出手段と、
前記角度調整手段を制御する制御手段と、をさらに備え、
前記制御手段は、前記液位検出手段の検出結果に基づいて、前記機能液滴吐出ヘッドの前記ノズル面と前記機能液タンクに貯留する前記機能液の液面との高低差が一定になるように前記角度調整手段を制御することを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出装置。 - 請求項1ないし6のいずれかに記載の液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液滴による成膜部を形成したことを特徴とする電気光学装置。
- 請求項8に記載の電気光学装置を搭載したことを特徴とする電子機器。
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JP2003008753A JP2004216318A (ja) | 2003-01-16 | 2003-01-16 | 液滴吐出装置、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、および電子機器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003008753A JP2004216318A (ja) | 2003-01-16 | 2003-01-16 | 液滴吐出装置、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、および電子機器 |
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ID=32898463
Family Applications (1)
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JP2003008753A Pending JP2004216318A (ja) | 2003-01-16 | 2003-01-16 | 液滴吐出装置、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、および電子機器 |
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JP (1) | JP2004216318A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103140352A (zh) * | 2010-09-29 | 2013-06-05 | 京瓷株式会社 | 液体喷出头及使用了其的液体喷出头装置、液体喷出装置以及印刷方法 |
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2003
- 2003-01-16 JP JP2003008753A patent/JP2004216318A/ja active Pending
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