JP2004209188A - 密封容器に内包された物品の殺菌方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】密封容器に内包された物品に対し、包装内で効率的に無声放電を発生させることにより漏洩オゾンのない殺菌方法を提供する。
【解決手段】被処理物が密封された包装容器を電極に密着させ、交流高電圧による無声放電を包装内に効率的に発生させることにより、被処理物表面及び包装内空間を短時間で殺菌する方法。当該方法によれば包装内で放電が発生するため漏洩オゾンがなく人的作業環境に優れ、密封された状態で殺菌処理されるため、処理後の包装時における微生物汚染といった問題も皆無である。
【選択図】図1
【解決手段】被処理物が密封された包装容器を電極に密着させ、交流高電圧による無声放電を包装内に効率的に発生させることにより、被処理物表面及び包装内空間を短時間で殺菌する方法。当該方法によれば包装内で放電が発生するため漏洩オゾンがなく人的作業環境に優れ、密封された状態で殺菌処理されるため、処理後の包装時における微生物汚染といった問題も皆無である。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、種子や穀物食品その他漢方薬、医薬品、コンタクトレンズや注射針・カテーテル等の医療用具等包装材に内包された固体、粉体、ゲル状物品に適した簡便な交流高電圧殺菌方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品、薬材等を非加熱で殺菌するために、高電圧を用いた殺菌方法が既に提案されている。例えば、被処理物を導入すると共に酸素含有気体を流通させたケーシング内で電極を対峙させ、パルス・ストリーマ・コロナ放電により発生するオゾン、活性種、紫外線及び電気衝撃の相乗作用による殺菌方法が開示されている。しかしながら、電極が針−平板、線−円筒の場合、放電が針先端、線近傍に局部的に集中して発生するため全体を均一に殺菌できず、また流通させた酸素を放電により活性化させ、活性化された気体によって殺菌を行うことを特徴とするため気体の流通が不可欠であり、容器内被処理物に対しては殺菌できない。(特許文献1参照)
【0003】
全体を均一に殺菌するためには、放電が局部的に集中するのを防ぐ必要があり、電極を平行平板あるいは同軸とし、少なくとも一方を誘電体で覆うことによりアークに移行するのを抑制した無声放電による殺菌方法が提案されている。(特許文献2参照)
【0004】
気体を流通させることのできない容器内被処理物を殺菌するために、急峻な立ち上がりと高い波高値を特徴とするパルス状高電圧から発生する高エネルギーコロナ放電によって、電極間のみならず容器内気体雰囲気も含めて活性化状態とし殺菌する方法が提案されている。(特許文献3参照)
【0005】
また、全体を均一に殺菌するために針−平板電極を、千鳥状に多数配設された針−合成樹脂等のベルトコンベアを介した平板電極として殺菌むらをなくした連続殺菌処理装置とし、さらに処理装置をトンネル状の被覆体で覆ってクローズドタイプとすることにより、パルスストリーマ放電によりプラズマ化された空気の逸散が無くなり、電極間距離を大きくできる装置を提案している。(特許文献4参照)
【0006】
【特許文献1】
特開昭63−318947号
【特許文献2】
特開平10−309308号
【特許文献3】
特開平11−187872号
【特許文献4】
特開2002−263169号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献2、特許文献4のように、全体を均一に殺菌するためには針−平板電極のような極端な不平等電場では困難で、多針又は平板−平板電極のように不平等電場を緩和し、アーク移行抑制のため少なくとも一方を被覆した方がよく、さらにプラズマ化された空気の逸散をなくすためクローズドタイプとしたほうが好ましい。このようなクローズドタイプでは、プラズマ化された空気、殺菌要因の一つであるオゾンが処理装置外に漏洩する心配が無く、人的作業環境にも適している。
【0008】
しかしながらベルトコンベア上に被処理物を配置し連続的に処理する場合、垂れ幕では完全なクローズドタイプは困難で漏洩オゾンが発生し作業員の安全性に問題があり、エアーカーテン方式ではオゾン漏洩は無いが、プラズマ化された空気の吸引が発生する。ベルトコンベア停止の完全密閉バッチ方式ではパルスストリーマ放電が行われない箇所が発生し、殺菌むらが生じる。
【0009】
また、せっかく殺菌された被処理物が、処理装置外に搬出された時点で雰囲気中の微生物に汚染される問題があり、包装されるまでクリーンブース等の無菌状態を保つ設備が必要となる。さらに被処理物の包装容器は、別に殺菌処理する必要が生じる。
【0010】
包装済み被処理物の殺菌については特許文献3で提案されているが、この方法では殺菌処理の必要ない容器外空間を含めた電極間全域を殺菌しており、被処理物に対する殺菌効率が低い。また、不平等電場でのコロナ放電の場合、放電側電極先端の電界強度が極端に大きく、その為先端近傍が電離し放電が集中するが、放電集中部は容器外であり、接地側電極上に配置された容器内空間を活性化させる寄与率は低く、容器外で発生したオゾンの漏洩といった問題がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、誘電体よりなる包装材で密閉された被処理物を電極間に挿入し、電極と包装材を密着させて交流高電圧を印加することにより、包装内空間のみで無声放電を発生させ、被処理物表面及び包装内空間を殺菌する方法に関する。
【0012】
放電による殺菌要因は、電極間空間で発生したオゾン、紫外線、ラジカル、電子・イオン衝撃の複合作用であるが、上記方法によれば電極と包装材を密着させているため、電極間に存在する空間は包装内に限られ、効率的に被処理物表面、包装内空間を殺菌することができる。発生したオゾンは密封された包装内に限られるので、包装外、処理装置外に漏洩することはない。
【0013】
また、被処理物は包装された状態で殺菌されるため、処理装置外に搬出された後も環境中の微生物に汚染されることはなく、人手に触れることなく貯蔵できる。
【0014】
包装材の一部を被処理物と接する導電体とし、該導電体に放電側電極あるいは接地側電極を接触させることにより、接触させた電極側を包装材と密着させずとも良い(請求項2)。
【0015】
包装内空間気体が空気の場合は無声放電でオゾンが発生し、被処理物の脱臭、脱色及び包装材変質が懸念される場合は、包装内空間気体に窒素、アルゴン等を混合させ抑制することができる(請求項3)。
【0016】
【発明の実施の形態】
図2は請求項1に対応する交流高電圧印加方法の一例である。交流高電圧電源1からの出力線が、アース接続された接地側電極2と高電圧を印加する放電側電極3にそれぞれ接続されている。両電極間に包装材4で密閉された被処理物6を挿入し密着させ、交流高電圧を印加する。印加された交流高電圧により放電空間5で無声放電が発生し、オゾン、ラジカル、紫外線、電子・イオン衝撃等の複合作用で被処理物6表面及び放電空間5が殺菌される。
【0017】
電源1はネオントランス等の高電圧トランスとスライダックにより構成され、商用周波数で最大20kVまで出力調整可能である。接地側電極2と放電側電極3はステンレス等の金属以外に、食塩水など導電性のある液体、ゾル、ゲル状物質を用いて包装材と密着可能なものであれば良い。
【0018】
包装材4は電極間が短絡しないよう誘電体が使用され、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニール等が好ましく、アルミをラミネートしたものでも被処理物が電界遮蔽されないよう一部であればかまわない。放電空間5は通常は空気である。殺菌要因の一つであるオゾンの発生効率を高めるためには酸素濃度が高い方が好ましいが、オゾンによる被処理物の脱臭、脱色及び包装材の劣化が懸念される場合は、窒素を混合し酸素濃度を低下しても良い。またアルゴンで置換すれば印加電圧が低くても放電が発生するため消費電力を抑えることができる。被処理物6は香辛料、種子や穀物食品その他漢方薬、医薬品や注射針・カテーテル等の医療用具等包装材に内包された固体、粉粒体、ゲル状物品である。
【0019】
本発明方法による上記装置において交流高電圧が印加されると、電極2、3は包装材4によって覆われているため短絡することはなく、無声放電が発生する。発生する場所は電極間空間であり、空間は包装材内のみに存在する放電空間5である。放電空間5は包装材によって密封されているため、無声放電によって発生したオゾン、ラジカルは包装外に漏洩することはなく、紫外線、電子・イオン衝撃も含めた複合作用により効率的に殺菌できる。
【0020】
包装材4の材質、厚みにより耐電圧が保持できない場合は、適切な誘電体シートを電極2、3と包装材に挿入し、密着することによりそれぞれの静電容量に相関して印加された高電圧が分圧されるため緩和することができる。
【0021】
図2は請求項2に対応する交流高電圧印加方法の一例である。包装材4の一部をアルミ等の導電体7とし放電側電極3を接触させれば、放電側電極3と被処理物6間の包装材4に分圧されず、より低い電圧、短時間で殺菌が可能となる。被処理物6の導電性が低い場合は、導電体7面積を被処理物6とほぼ同じにした方が、平等電場に近づき放電集中を抑制でき好ましい。導電性が高い場合は、あたかも被処理物6自体が電極となるため、その限りではない。
【0022】
なお、上記実施形態は本発明の一例であり、特許請求の範囲に記載の趣旨から逸脱しない範囲で各種の変形実施が可能である。
【0023】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、菌種、包装材等これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)樹脂シャーレに寒天培地を敷き、その上に大腸菌を約300個塗布し、ポリスチレンシートで密封した。図1に示すように交流高電圧処理した後、24時間培養後のコロニー数を測定し、初発菌数における生存率を求めた。印加電圧を7kV、放電空間ギャップを3.5mm、処理時間を10〜120秒とした場合の結果を図3に示した。
【0024】
(実施例2)実施例1と同様に密封し、図2に示すようシャーレ底の一部をアルミとし交流高電圧処理した後、生存率を求めた。印加電圧を7kV、放電空間ギャップを3.5mm、処理時間を0.5〜4秒とした場合の結果を図4に示した。
【0025】
実施例1及び実施例2ともに包装内で無声放電させているため、周囲にオゾンが漏洩することなく殺菌可能であった。また、同じ電圧を印加した場合、実施例2に示すよう一部を導電体とした方がより短時間で殺菌可能であった。
【0026】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の交流高電圧を利用した殺菌方法は、被処理物が密封された包装物を電極と密着することにより包装内で無声放電を効率的に発生させ、均一に常温、常圧で短時間に殺菌できるという顕著な効果を奏でる。さらに密封されているがゆえ、処理後の無菌包装処理が必要なく貯蔵でき、漏洩オゾンがなく、人的作業環境にも適している。
【0027】
本発明の請求項2記載の殺菌方法は、請求項1記載の包装材の一部に導電体を挿入することにより、さらに短時間で殺菌可能であり、大量生産等に適している。
【0028】
本発明の請求項3記載の殺菌方法は、請求項1及び請求項2記載の殺菌方法において、包装内空間に窒素、アルゴン等を混合させることにより、オゾンによる被処理物、包装材の変質を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の殺菌方法における処理状況を説明する模式図。
【図2】図1に示した本発明の殺菌方法における包装材の一部を導電体とした場合の模式図。
【図3】本発明の殺菌方法における実施例1記載の殺菌効果を示した図。
【図4】本発明の殺菌方法における実施例2記載の殺菌効果を示した図。
【符号の説明】
1 電源
2 接地側電極
3 放電側電極
4 包装材
5 放電空間
6 被処理物
7 導電体
【発明が属する技術分野】
本発明は、種子や穀物食品その他漢方薬、医薬品、コンタクトレンズや注射針・カテーテル等の医療用具等包装材に内包された固体、粉体、ゲル状物品に適した簡便な交流高電圧殺菌方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品、薬材等を非加熱で殺菌するために、高電圧を用いた殺菌方法が既に提案されている。例えば、被処理物を導入すると共に酸素含有気体を流通させたケーシング内で電極を対峙させ、パルス・ストリーマ・コロナ放電により発生するオゾン、活性種、紫外線及び電気衝撃の相乗作用による殺菌方法が開示されている。しかしながら、電極が針−平板、線−円筒の場合、放電が針先端、線近傍に局部的に集中して発生するため全体を均一に殺菌できず、また流通させた酸素を放電により活性化させ、活性化された気体によって殺菌を行うことを特徴とするため気体の流通が不可欠であり、容器内被処理物に対しては殺菌できない。(特許文献1参照)
【0003】
全体を均一に殺菌するためには、放電が局部的に集中するのを防ぐ必要があり、電極を平行平板あるいは同軸とし、少なくとも一方を誘電体で覆うことによりアークに移行するのを抑制した無声放電による殺菌方法が提案されている。(特許文献2参照)
【0004】
気体を流通させることのできない容器内被処理物を殺菌するために、急峻な立ち上がりと高い波高値を特徴とするパルス状高電圧から発生する高エネルギーコロナ放電によって、電極間のみならず容器内気体雰囲気も含めて活性化状態とし殺菌する方法が提案されている。(特許文献3参照)
【0005】
また、全体を均一に殺菌するために針−平板電極を、千鳥状に多数配設された針−合成樹脂等のベルトコンベアを介した平板電極として殺菌むらをなくした連続殺菌処理装置とし、さらに処理装置をトンネル状の被覆体で覆ってクローズドタイプとすることにより、パルスストリーマ放電によりプラズマ化された空気の逸散が無くなり、電極間距離を大きくできる装置を提案している。(特許文献4参照)
【0006】
【特許文献1】
特開昭63−318947号
【特許文献2】
特開平10−309308号
【特許文献3】
特開平11−187872号
【特許文献4】
特開2002−263169号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献2、特許文献4のように、全体を均一に殺菌するためには針−平板電極のような極端な不平等電場では困難で、多針又は平板−平板電極のように不平等電場を緩和し、アーク移行抑制のため少なくとも一方を被覆した方がよく、さらにプラズマ化された空気の逸散をなくすためクローズドタイプとしたほうが好ましい。このようなクローズドタイプでは、プラズマ化された空気、殺菌要因の一つであるオゾンが処理装置外に漏洩する心配が無く、人的作業環境にも適している。
【0008】
しかしながらベルトコンベア上に被処理物を配置し連続的に処理する場合、垂れ幕では完全なクローズドタイプは困難で漏洩オゾンが発生し作業員の安全性に問題があり、エアーカーテン方式ではオゾン漏洩は無いが、プラズマ化された空気の吸引が発生する。ベルトコンベア停止の完全密閉バッチ方式ではパルスストリーマ放電が行われない箇所が発生し、殺菌むらが生じる。
【0009】
また、せっかく殺菌された被処理物が、処理装置外に搬出された時点で雰囲気中の微生物に汚染される問題があり、包装されるまでクリーンブース等の無菌状態を保つ設備が必要となる。さらに被処理物の包装容器は、別に殺菌処理する必要が生じる。
【0010】
包装済み被処理物の殺菌については特許文献3で提案されているが、この方法では殺菌処理の必要ない容器外空間を含めた電極間全域を殺菌しており、被処理物に対する殺菌効率が低い。また、不平等電場でのコロナ放電の場合、放電側電極先端の電界強度が極端に大きく、その為先端近傍が電離し放電が集中するが、放電集中部は容器外であり、接地側電極上に配置された容器内空間を活性化させる寄与率は低く、容器外で発生したオゾンの漏洩といった問題がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、誘電体よりなる包装材で密閉された被処理物を電極間に挿入し、電極と包装材を密着させて交流高電圧を印加することにより、包装内空間のみで無声放電を発生させ、被処理物表面及び包装内空間を殺菌する方法に関する。
【0012】
放電による殺菌要因は、電極間空間で発生したオゾン、紫外線、ラジカル、電子・イオン衝撃の複合作用であるが、上記方法によれば電極と包装材を密着させているため、電極間に存在する空間は包装内に限られ、効率的に被処理物表面、包装内空間を殺菌することができる。発生したオゾンは密封された包装内に限られるので、包装外、処理装置外に漏洩することはない。
【0013】
また、被処理物は包装された状態で殺菌されるため、処理装置外に搬出された後も環境中の微生物に汚染されることはなく、人手に触れることなく貯蔵できる。
【0014】
包装材の一部を被処理物と接する導電体とし、該導電体に放電側電極あるいは接地側電極を接触させることにより、接触させた電極側を包装材と密着させずとも良い(請求項2)。
【0015】
包装内空間気体が空気の場合は無声放電でオゾンが発生し、被処理物の脱臭、脱色及び包装材変質が懸念される場合は、包装内空間気体に窒素、アルゴン等を混合させ抑制することができる(請求項3)。
【0016】
【発明の実施の形態】
図2は請求項1に対応する交流高電圧印加方法の一例である。交流高電圧電源1からの出力線が、アース接続された接地側電極2と高電圧を印加する放電側電極3にそれぞれ接続されている。両電極間に包装材4で密閉された被処理物6を挿入し密着させ、交流高電圧を印加する。印加された交流高電圧により放電空間5で無声放電が発生し、オゾン、ラジカル、紫外線、電子・イオン衝撃等の複合作用で被処理物6表面及び放電空間5が殺菌される。
【0017】
電源1はネオントランス等の高電圧トランスとスライダックにより構成され、商用周波数で最大20kVまで出力調整可能である。接地側電極2と放電側電極3はステンレス等の金属以外に、食塩水など導電性のある液体、ゾル、ゲル状物質を用いて包装材と密着可能なものであれば良い。
【0018】
包装材4は電極間が短絡しないよう誘電体が使用され、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニール等が好ましく、アルミをラミネートしたものでも被処理物が電界遮蔽されないよう一部であればかまわない。放電空間5は通常は空気である。殺菌要因の一つであるオゾンの発生効率を高めるためには酸素濃度が高い方が好ましいが、オゾンによる被処理物の脱臭、脱色及び包装材の劣化が懸念される場合は、窒素を混合し酸素濃度を低下しても良い。またアルゴンで置換すれば印加電圧が低くても放電が発生するため消費電力を抑えることができる。被処理物6は香辛料、種子や穀物食品その他漢方薬、医薬品や注射針・カテーテル等の医療用具等包装材に内包された固体、粉粒体、ゲル状物品である。
【0019】
本発明方法による上記装置において交流高電圧が印加されると、電極2、3は包装材4によって覆われているため短絡することはなく、無声放電が発生する。発生する場所は電極間空間であり、空間は包装材内のみに存在する放電空間5である。放電空間5は包装材によって密封されているため、無声放電によって発生したオゾン、ラジカルは包装外に漏洩することはなく、紫外線、電子・イオン衝撃も含めた複合作用により効率的に殺菌できる。
【0020】
包装材4の材質、厚みにより耐電圧が保持できない場合は、適切な誘電体シートを電極2、3と包装材に挿入し、密着することによりそれぞれの静電容量に相関して印加された高電圧が分圧されるため緩和することができる。
【0021】
図2は請求項2に対応する交流高電圧印加方法の一例である。包装材4の一部をアルミ等の導電体7とし放電側電極3を接触させれば、放電側電極3と被処理物6間の包装材4に分圧されず、より低い電圧、短時間で殺菌が可能となる。被処理物6の導電性が低い場合は、導電体7面積を被処理物6とほぼ同じにした方が、平等電場に近づき放電集中を抑制でき好ましい。導電性が高い場合は、あたかも被処理物6自体が電極となるため、その限りではない。
【0022】
なお、上記実施形態は本発明の一例であり、特許請求の範囲に記載の趣旨から逸脱しない範囲で各種の変形実施が可能である。
【0023】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、菌種、包装材等これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)樹脂シャーレに寒天培地を敷き、その上に大腸菌を約300個塗布し、ポリスチレンシートで密封した。図1に示すように交流高電圧処理した後、24時間培養後のコロニー数を測定し、初発菌数における生存率を求めた。印加電圧を7kV、放電空間ギャップを3.5mm、処理時間を10〜120秒とした場合の結果を図3に示した。
【0024】
(実施例2)実施例1と同様に密封し、図2に示すようシャーレ底の一部をアルミとし交流高電圧処理した後、生存率を求めた。印加電圧を7kV、放電空間ギャップを3.5mm、処理時間を0.5〜4秒とした場合の結果を図4に示した。
【0025】
実施例1及び実施例2ともに包装内で無声放電させているため、周囲にオゾンが漏洩することなく殺菌可能であった。また、同じ電圧を印加した場合、実施例2に示すよう一部を導電体とした方がより短時間で殺菌可能であった。
【0026】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の交流高電圧を利用した殺菌方法は、被処理物が密封された包装物を電極と密着することにより包装内で無声放電を効率的に発生させ、均一に常温、常圧で短時間に殺菌できるという顕著な効果を奏でる。さらに密封されているがゆえ、処理後の無菌包装処理が必要なく貯蔵でき、漏洩オゾンがなく、人的作業環境にも適している。
【0027】
本発明の請求項2記載の殺菌方法は、請求項1記載の包装材の一部に導電体を挿入することにより、さらに短時間で殺菌可能であり、大量生産等に適している。
【0028】
本発明の請求項3記載の殺菌方法は、請求項1及び請求項2記載の殺菌方法において、包装内空間に窒素、アルゴン等を混合させることにより、オゾンによる被処理物、包装材の変質を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の殺菌方法における処理状況を説明する模式図。
【図2】図1に示した本発明の殺菌方法における包装材の一部を導電体とした場合の模式図。
【図3】本発明の殺菌方法における実施例1記載の殺菌効果を示した図。
【図4】本発明の殺菌方法における実施例2記載の殺菌効果を示した図。
【符号の説明】
1 電源
2 接地側電極
3 放電側電極
4 包装材
5 放電空間
6 被処理物
7 導電体
Claims (3)
- 交流高電圧を印加する放電側電極と接地側電極を有する処理装置において、誘電体よりなる包装材に密封された被処理物を電極間に挿入し、交流高電圧を印加して被処理物表面及び包装内空間を殺菌する方法であって、包装材と電極を密着させることにより包装内空間のみで無声放電を発生させることを特徴とする殺菌方法。
- 被処理物と接する前記包装材の一部を導電体とし、該導電体に放電側電極あるいは接地側電極を接触させることにより、接触させた電極側を包装材と密着させずに包装内空間のみで無声放電を発生させることを特徴とする請求項1の殺菌方法。
- 包装内に窒素ガスやアルゴン等を充填し、請求項1並びに請求項2の方法にて行う殺菌方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003032971A JP2004209188A (ja) | 2003-01-06 | 2003-01-06 | 密封容器に内包された物品の殺菌方法 |
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JP2003032971A JP2004209188A (ja) | 2003-01-06 | 2003-01-06 | 密封容器に内包された物品の殺菌方法 |
Publications (1)
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JP2004209188A true JP2004209188A (ja) | 2004-07-29 |
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Family Applications (1)
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JP2003032971A Pending JP2004209188A (ja) | 2003-01-06 | 2003-01-06 | 密封容器に内包された物品の殺菌方法 |
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JP (1) | JP2004209188A (ja) |
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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GB2517729A (en) * | 2013-08-29 | 2015-03-04 | Ozonica Ltd | Disinfection of packaged articles |
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