JP3909110B2 - 可搬式滅菌装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、滅菌装置に関し、詳しくは、所望の閉鎖された空間を無菌状態とすることができ、安全で、かつ効率よく滅菌できる可搬式滅菌装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
手術室等の医療設備や食料品などの包装に用いられる包装装置、或いは米、麦、大豆などの食品貯蔵室などを無菌状態とする場合、これらの閉鎖された空間を効率よく、安全に滅菌しうる装置を用いることが必要である。このような場合用いられる滅菌方法としては、乾式の殺菌方法であることが重要であり、例えば、酸化エチレンガス等の殺菌剤を用いる方法、ガンマ線や電子線等の放射線を照射する方法等が知られている。
【0003】
酸化エチレンガス等の殺菌剤を用いる殺菌方法は、使用する殺菌剤そのものが毒性を有することが多い。そのため、連続処理が困難であり、さらに、被処理物に殺菌剤が残存する虞もある。
【0004】
ガンマ線や電子線等の放射線を照射する方法は、前記殺菌剤を用いた場合の如き殺菌因子が残存する虞はない。しかし、放射線照射により被処理物の機械的強度を低下させたり、物品が樹脂である場合には、樹脂が分解等して悪臭を発生したり、変色する等の問題点がある(特公平3−73309号公報参照)。さらに、大規模な装置と放射線を扱うための専任者を必要とするため、汎用性に問題がある。
【0005】
これら従来技術が有する課題を解決できる殺菌方法としてプラズマを用いる方法が知られている(特開平5−229530号)。この方法は、例えば、複合酸化物からなるエネルギー変換体に電磁波を照射し、励起したエネルギー変換体と希ガス等を接触させたプラズマ状態とし、プラズマ状になった希ガス等を被殺菌体と接触させるものである。このプラズマを用いる方法は、包装材料等の被処理物を安全で、容易に殺菌でき、かつ殺菌した物品を変質させることが少なく、優れた方法といえる。本発明者らはプラズマを用いる方法について検討を進め、先に、より小型の装置で実施しうる、安全性の高い殺菌方法を見出し、出願を行った(特開平8−168516号)。本発明は、その殺菌方法の応用であり、その方法を任意の空間に適用して、所望の閉鎖空間を滅菌ブースとなしうるための好適な装置に関するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
即ち、本発明の目的は、医療設備、包装装置や食品貯蔵庫などの任意の閉鎖空間を滅菌ブースとなしうる、安全で、被処理物を変質させることが少なく、信頼性の高い滅菌を短時間で効率よく行い得る滅菌装置、さらには、自立、移動可能で構成が簡易な可搬式滅菌装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、大気圧プラズマを応用した可搬式滅菌装置であり、本発明の可搬式滅菌装置は、所望の滅菌ブースへプラズマ発生装置により生成される殺菌因子を供給するための可搬式滅菌装置であって、大気圧でプラズマを発生させるプラズマ発生器と、該プラズマ発生器からのプラズマにより生成される殺菌因子を所望の滅菌ブースへ連結して搬送する供給口を備える殺菌因子供給装置と、該滅菌ブース内の圧力を陽圧にする圧力調整器と、該滅菌ブースへ連結して残存する殺菌因子を含む排気を回収する排気回収口と、回収された排気の一部をキャリアガスとして再利用するためにプラズマ発生器へ導入する搬送パイプと、回収された排気の一部より殺菌因子を分離して処理する排気処理装置と、を有し、殺菌因子供給装置の供給口及び排気を回収する排気回収口が該滅菌ブースと任意に連結し得ることを特徴とする。
【0008】
この可搬式滅菌装置には前記プラズマ発生器へ不活性ガスなどのキャリアガスを供給するボンベを有することが滅菌効率上好ましい。また、殺菌因子を滅菌ブースへ搬送する殺菌因子供給装置は、ポンプ、コンプレッサー等の簡易な装置から選択して用いることもできる。
【0009】
さらに、この可搬式滅菌装置においては、プラズマ発生器、殺菌因子供給装置、圧力調整器及び排気処理装置等の構成部材が全て、可動式の枠体内に配置されていることが、搬送の容易性の観点から好ましい。
【0010】
本発明の可搬式滅菌装置においては、任意の滅菌ブースと連結することにより、プラズマ発生器により生成される滅菌因子を滅菌ブースに供給して殺菌因子によりブース内を短時間で満たすことにより、簡易にクリーンルームに匹敵する滅菌条件を達成することができる。さらに、該滅菌ブースからの排気を装置内に取り込んで安全に処理したのち、大気中へ排気することができるため、任意の場所で使用することができ、設置場所の制約がないという利点を有する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
本発明の滅菌装置に用いる大気圧下でプラズマを発生させるプラズマ発生器は、電界を発生させるためにパルス電圧を用い、気体と液体との混合物の少なくとも一部を電離させる機能を有している。本発明の滅菌装置においては、この気体と液体との混合物を電離させて得た殺菌因子を被処理物に接触させて滅菌することが特徴である。
【0013】
図1は本発明の可搬式滅菌装置の一態様を示す概略断面図である。可搬式滅菌装置10は、プラズマ発生器12を備えており、ここにキャリアガスと過酸化水素水等の殺菌因子の原料を供給するためのパイプが連結されている。キャリアガスは図示されないコンプレッサーから供給される圧縮空気を導入口14からバルブ16を開放して導入してもよく、装置内に配置された不活性ガスなどを充填したキャリアガスボンベ18から切り替えバルブ20を調整することにより供給してもよい。プラズマ発生器12で生成した殺菌因子は所望の殺菌ブース(図示せず)に滅菌因子供給装置22を経て供給される。供給を円滑に行うため、滅菌因子供給装置22にはポンプが配置されている。
【0014】
殺菌ブース内で使用されたのちの排気は、吸引用ポンプを備えた排気回収口24より、可搬式滅菌装置10内に回収され、バルブ25により一部が排気ガス処理装置28へと導入され、そこで活性炭処理などにより有害成分が除去された後、排気口30から大気中へと排気される。また、一部がキャリアガスとして再利用に供されるために搬送パイプ32から水分吸収装置34を経て余分な水分を除去された後、再びプラズマ発生器12へと導入される。
【0015】
図2は、本発明の可搬式滅菌装置10に好適に用いられる大気圧プラズマ発生器12の一例を示す概略断面図である。石英被覆電極36と金属電極37によって筒状の接地電極38を構成しており、その筒状の接地電極38の略中央部には棒状の金属電極40が配置されて高圧電極を構成する。電圧を印加することにより、この接地電極38と高圧電極40との間に電界が形成される。ここに気体又は気体と液体の混合物の導入管(パイプ42)及び気体と液体の混合物の導入管(パイプ44)が配置されている。
【0016】
パイプ42は、図示していないが、過酸化水素水等の液体を満たしたネブライザーを介してまた直接気体の供給源と連絡している。また、パイプ44は、図示していないが、過酸化水素水等の液体を満たしたネブライザーを介して気体の供給源と連絡している。
【0017】
気体と液体との混合物を直接電離させる場合には、気体を過酸化水素水等の液体を満たしたネブライザーに通して得られる霧状の混合物をパイプ42から電界中に供給する。接地電極38と高圧電極40の間を通過したガスは、少なくとも一部が電離し、殺菌因子を形成する。この場合には、パイプ44は使用しない。また、気体を電離させ、次いで電離した気体と、気体と液体との混合物を混合する場合には、電離用の気体をパイプ42から導入し、パイプ44からは、気体を過酸化水素水等の液体を満たしたネブライザーに通して得られる霧状の混合物を導入する。接地電極38と高圧電極40との間を通過した気体は、少なくとも一部が電離し、この電離気体はパイプ44から供給される霧状の混合物と混合され、殺菌因子を形成する。
【0018】
このような電界の発生装置は、例えばコロナ放電等に用いられる高圧電極と接地電極とをそのまま用いることができ、高圧電極及び接地電極の少なくともいずれか一方の表面が固体誘電体で被覆されているものを用いることができる。なお、固体誘電体には特に制限はないが、例えば石英等のセラミックスやハイパロンラバー、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルの積層体等を用いることができる。また、高圧電極40及び接地電極38のいずれもが、金属電極であることもできる。
【0019】
また、大気圧プラズマ発生器12の高圧電極40と接地電極38の数及び形状等には特に制限はなく、発生させた電界内を通過する気体又は気体と液体の混合物をどの程度電離させる必要があるか否かにより適宜決定できる。例えば、気体又は気体と液体の混合物の流量が多い場合は 電離の方法には、電界中に気体と液体の混合物を通して、前記混合物の少なくとも一部を電離させる方法と、電界中に気体を通して得られる少なくとも一部を電離させた気体と、気体と液体の混合物とを前記電界外で混合して少なくとも一部が電離した気体と液体の混合物を得る方法とがある。
【0020】
これら、殺菌因子の原料となる気体、液体を一定以上の割合で電離させる目的で、電界中における滞在時間が長くなるように調整することができ、その手段としては、高圧電極と接地電極を並列に複数設けたり、或いは高圧電極と接地電極の少なくとも一方を帯状の形状にすることもできる。また、局部放電を防止する目的で、高圧電極の表面積を大きくするために、電極に突起や凹凸等を設けることもできる。
【0021】
本発明の滅菌装置に用いられる大気圧プラズマ発生装置において、殺菌因子を発生させるための、パルス電圧の立ち上がり速度は、いずれも0.01kV/ns〜10kV/nsの範囲にあることが適当である。パルス電圧の立ち上がり速度が0.01kV/ns未満では、滅菌効果も低下する傾向がある。パルス電圧の立ち上がり速度が10kV/nsを超えても、滅菌効果に悪影響はないが、電圧発生が困難となる。
【0022】
パルス電圧の立ち上がり速度の好ましい範囲は0.1kV/ns〜1kV/nsの範囲である。
【0023】
また、上記パルス電圧のパルス幅は10-9秒〜10-1秒の範囲にあることが適当である。パルス幅が滅菌効果には大きな影響はないが、発振可能なパルス幅は上記の範囲である。パルス幅の好ましい範囲は10-8秒〜10-6秒である。
【0024】
パルス電圧のピーク電圧は1kVp〜100kVpの範囲にあることが適当である。ピーク電圧が1kVp未満では、電界強度が小さく、ピーク電圧が100kVpを超えると装置を大型化する必要がでてくる等の問題がある。ピーク電圧の好ましい範囲は8〜50kVpである。
【0025】
パルス電圧の周波数は1Hz〜100kHzの範囲であることが適当である。周波数が1Hz未満では、滅菌効率が低下し、100kHzを超えると電界内のガスの温度が大幅に上昇する。パルス電圧の周波数の好ましい範囲は、50Hz〜500Hzの範囲である。
【0026】
殺菌因子である電離混合物発生のために、大気圧プラズマ発生器内で電界を通過させる原料となる気体は、前記の電界中で電離可能な気体である。そのような気体として、例えば、酸素、窒素、希ガス(アルゴン、ヘリウム及びネオン)、水素、空気等を挙げることができる。空気を用いる場合は、直接、大気中からコンプレッサーを経て取り込んだ圧縮空気を用いることができる。また、希ガスを用いてもよく、なかでも、アルゴンは電離し易く、コスト的に優れているので好ましい。また、ヘリウムは電離が連続的になり易いという観点から好ましい。特に、アルゴンは、ヘリウムよりも比重が空気により近く、大気圧下での取扱が容易であるため、より好適に使用することができる。また、上記気体の2種以上を混合して併用することもできる。
【0027】
また、液体は、例えば、水、過酸化水素水、過酢酸、過酢酸水溶液、エタノール、エタノールと水との混合物等であることができる。
【0028】
過酸化水素水を用いる場合、過酸化水素水の濃度は、市販され、入手が容易であるという観点からは、例えば過酸化水素濃度50%以下のものであることが適当である。それ以下の濃度においては、滅菌条件等を考慮して、市販の過酸化水素水を水で希釈して適宜濃度を調整することができる。但し、滅菌効果を考慮すると1%以上の過酸化水素水を用いることが好ましい。
【0029】
上記液体は、霧状であることが好ましく、霧状の液体は、液体の供給源と接続しているネブライザーに上記気体をキャリアーガスとして通すことにより発生させることができる。また、霧状の気体は、これらにキャリアーガスをバブリングさせることによっても発生させることができる。また、気体の一部をキャリアーガスとし、気体とキャリアーガスとで得られた霧状物を残りの気体と混合することによっても調製することができる。
【0030】
気体(キャリアーガスも含む全ての気体)と液体との割合は、特に制限はないが、気体1リットル当たり1mg〜100mgの範囲とすることが、放電持続と被処理物への圧力と言う観点から適当である。
【0031】
さらに、霧状物の粒子径は、例えば約5〜3000μmの範囲とすることが局所放電防止と言う観点から好ましい。
【0032】
電界中を通過させる気体又は気体と液体の混合物は、前記の如く少なくとも一部が電離して殺菌因子を形成することが必要である。そこで、気体又は気体と液体の混合物の流量、電界発生のため投入する電圧及び電流(電力)量、電極の数及び形状、等は、気体又は気体と液体の混合物は、少なくとも一部が電離できるように適宜決定する。又、ガス圧は、通常は大気圧付近であることが、操作が容易であることから好ましい。
【0033】
以下に、本発明の可搬式滅菌装置10による滅菌処理の工程について説明する。
【0034】
本発明の可搬式滅菌装置10は所望の滅菌ブースに連結して使用するものであり、閉鎖された空間であれば滅菌ブースとして適用が可能である。具体的には、手術室などの医療設備、食品包装装置(クローズされたもの)あるいはそれらを配置したクリーンルーム、米、麦、豆などの食料品貯蔵庫、公知のチャンバー類等が挙げられる。
【0035】
この滅菌ブースに所定の開口部を2ヵ所設けて、それぞれを可搬式滅菌装置10の滅菌因子供給装置(供給口)22および排気回収口24と連結する。
【0036】
その後、可搬式滅菌装置10のプラズマ発生器12を作動させて、気体又は気体と液体の混合物を電離して得られた殺菌因子を供給口22を経て滅菌ブース内に供給する。有効量の殺菌因子を供給するために、プラズマ発生器12の電離混合物生成能力から予め設定された所定時間、プラズマ発生器12を作動させ、その後、滅菌処理を開始することが好ましい。
【0037】
また、系内の滅菌処理を開始する前に滅菌装置及び/又は滅菌ブース内にスチームを流して殺菌しておくこともできる。スチームを滅菌装置外から供給する場合には、系内の滅菌状態を阻害しないように、スチームの導入経路に図1に示すような滅菌用フィルター46を設けることが好ましい。
【0038】
滅菌ブース内に殺菌因子が満たされることによって、滅菌ブース内の雰囲気及びそこに配置された被処理物が滅菌ブース内に充満している殺菌因子と接触することにより、滅菌処理が行われる。
【0039】
ここで、滅菌因子の供給時間と滅菌ブース内の圧力等を制御して、滅菌ブースの内部が殺菌因子と接触する時間や条件を調整する。滅菌ブース内に十分な殺菌因子の貯留がなされた場合には、滅菌ブース内での滞留時間は15秒間以上、好ましくは30秒間程度で十分な滅菌処理を行うことができる。
【0040】
このとき、滅菌ブース内が大気圧よりやや加圧状態(大気圧より最大1気圧までの陽圧)になるようにして操作することが、滅菌効果を高めることができるという観点から好ましい。従って、滅菌ブースに連結する供給口22に配置されたポンプを作動させて滅菌ブース内の気圧が所定の範囲に保持されるように調整する。
【0041】
このように滅菌ブース内は、前記のように大気圧よりやや加圧状態(本発明ではこの大気圧よりやや加圧状態とした状態を陽圧状態と称する)、例えば、2〜10mmH2 O、好ましくは2.5〜5mmH2 O程度の微加圧状態(陽圧)として処理を行うことが、滅菌効果の向上の観点から好ましい。また、滅菌ブース内を陽圧にすることにより、滅菌ブース内の無菌状態を維持することが容易となる。
【0042】
滅菌ブースを構成する材料は気密性や耐オゾン性などの物性の要求を満たす限りにおいて特に制限はないが、強度、耐久性及び入手容易性の観点から、SUS304などの金属材料、硬質樹脂材料、セラミック等を好適に挙げることができる。
【0043】
所定時間、滅菌ガスを供給して滅菌処理を完了したのち、供給口22および排気回収口24のバルブ23、25を閉めて、滅菌ブース内の滅菌因子の濃度が減衰して滅菌性がなくなるまでその状態を保持することができる。
【0044】
処理が終了した後、無菌の滅菌ブース内に滅菌用フィルター46でろ過された無菌エアーを導入し、排気回収口24から滅菌ブース内の殺菌因子が残留した排気を回収しながら、滅菌ブース内の残留ガスを置換させて滅菌工程を終了する。
【0045】
滅菌処理を完了した後、滅菌ブース内より回収された気体の排気は、排気中に残存する殺菌因子による環境への影響を低減するため、排気ガス分解装置(排気処理装置)28によってオゾンなどの有害物質が分解処理された後、外気へと排出される。
【0046】
殺菌因子が残存する排気は一部が排気ガス分解装置(排気処理装置)28により処理された後、外気へと排出されるが、この殺菌因子が残存する排気をすべて排出せずに、その一部又は全部を移送管32を設けて滅菌ブースからプラズマ発生器12へ移送して再利用することもできる。このように、殺菌因子が残存する排気を循環、再利用することは、環境及び処理効率の観点から好ましい。
【0047】
本発明の可搬式滅菌装置10の各構成要素を図1に示すように一つの枠体、例えば、移動式の車輪を備えた金属製や樹脂製の箱体内に配置することにより、コンパクトで移動を円滑に行いうる小型の可搬式滅菌装置とすることができる。
【0048】
本発明の可搬式滅菌装置によれば所望の滅菌ブースと連結することにより、簡易に クリーンルームを形成できるのみならず、好適な閉鎖空間を形成できる密閉容器等を用いて、容器内に滅菌したい被処理物を配置することにより、滅菌処理を行うことができる場所が任意に選択できるという利点を有する。ここで、滅菌ブース内に配置される被処理物には特に限定はないが、例えば、カテーテル、注射針などの医療材料及びその包装材料、食料品、飲料、医薬品及びその包装材料等に対して、好適に使用することができる。
【0049】
滅菌できる細菌にも特に限定はない。本発明の可搬式滅菌装置を用いれば、例えば、大腸菌(E.coli)、サルモネラ・ティフィ(Sal.typhi)、枯草菌(B.subtilis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus.aureus)、アスペルギルス・ニガー(Asp.niger)等の菌を滅菌することができる。
【0050】
本発明の可搬式滅菌装置は、小型で移動が可能であり、所望の滅菌ブース内部の雰囲気を加熱を行わず、常温で、且つ、僅かな加圧条件で滅菌状態となすことができるため、耐圧性チャンバーや加熱装置等の高価な装置や多大なエネルギーを要さず、効率よく、信頼性の高い滅菌条件を有する空間を所望の場所にて達成することができる。
【0051】
また、本発明の可搬式滅菌装置は所望の閉鎖された空間(滅菌ブース)に連結して使用するものであるが、生成する殺菌因子に対して大過剰の被処理物、例えば、土壌、砂場の砂等の滅菌に使用する場合には、被処理物と接触せずにそのまま大気中に放出される殺菌因子の後処理を必要としないことから、開放部位に対しても適用が可能である。この場合、排気回収口24は閉鎖し、供給口22のパイプ先端を滅菌を行う土壌や砂等に所定の深さに挿入したのち、装置を作動させて滅菌処理を行えばよい。
【0052】
【実施例】
以下本発明を実施例によりさらに説明する。
(実施例1)
図1に示す可搬式滅菌装置10を用いて、無菌充填包装装置のチャンバー内の滅菌処理を行った。図3は、無菌充填包装装置48を配置したチャンバー50に可搬式滅菌装置10を接続した状態を、チャンバー50内部を可視状態として表した概略図である。
【0053】
滅菌チャンバー50としては、肉厚2mmのステンレス鋼(sus304)で、長さ2.0m、幅2.0m、高さ1.0mのサイズの直方体で、気密状態に構成されている箱体を用いた。
【0054】
また、チャンバー50の一壁面の下方には、滅菌因子を導入するための開口部52が設けられ、可搬式滅菌装置10の供給口22と連結され、同じ壁面の上方には可搬式滅菌装置10の排気回収口24と連結された排気用の開口部54が備えられている。
【0055】
プラズマ発生器12として、高電圧方形波パルス発生器(ピーク電圧18〜20kV、波形:方形波、周波数:240Hz〜328.5Hz)を用い、さらに気体と液体の混合にはネプライザーを用い、パイプ42から気体(O2 、供給量400リットル/分)と液体(35%H2 2 )の混合物を電界内に供給した。また、液体の消費量は300g/hrであった。
【0056】
まず、プラズマ発生器12を15分間作動させてチャンバー50内に殺菌因子を貯留した後、供給口22に備えられたポンプを稼働させて、チャンバー50内の圧力が2.5mmH2 Oになった場合、供給を停止し、3.5mmH2 Oになった場合には排気回収口24のバルブ25を開放して排気するようになしてチャンバー50内の圧力を微陽圧(2.5〜3.5mm/H2 O)に調整しながら滅菌処理をスタートさせた。
【0057】
殺菌因子の供給を30分間行うことによりチャンバー50内及びその内部に配置された充填包装装置48は、内部の殺菌因子と接触することにより滅菌処理が行われる。殺菌因子の供給を30分間行った後、殺菌因子を減衰させるために滅菌処理工程を終了した後、無菌フィルター46を介して得られる無菌エアーをチャンバー50に供給して、チャンバー50内に残留するガスを排気回収口24のポンプを作動させて回収する。
【0058】
回収された排気ガスの一部は、滅菌中は循環パイプ32によって再びプラズマ発生器12へ送られて再利用されるが、他の一部及び最終的に処理が完了し、滅菌処理が完了した場合には、チャンバー内より回収された排気ガスは、排気ガス分解装置(排気処理装置)28によって排気ガス中に残存する殺菌因子や有害なオゾン等を除去された後、大気中へ排出される。
【0059】
本実施例では、滅菌効果の確認のために、テストピースとしてポリエステルフィルムを短冊状に切断し、この一部に枯草菌(バシルス・スブチリス:B.subtilis)の芽胞子(endspore)を1ピース当たり1×106 個になるように付着させて強制汚染し、このテストピースをチャンバー内面及び充填包装装置48の図3中に示す各部分(a)〜(h)、即ち、(a)給袋部吸盤(右側)、(b)グリッパー、(c)円盤上面(中央)、(d)円盤下面(側面)、(e)開袋口枡、(f)充填ノズル下方、(g)ホッパー側面及び(h)冷却シールバー側面に貼付して、滅菌処理後に無菌状態で当該部分を回収して菌数の測定を行った。
【0060】
滅菌処理後の被処理物に貼付した各テストピースに残存する菌数を以下の方法で算出し、測定結果を下記表1に示した。
【0061】
【表1】
Figure 0003909110
【0062】
評価方法(残存胞子数検査)
殺菌試験に供した被処理物を、滅菌した界面活性剤0.2%トゥイーン80(Tween80:商品名、東京化成工業(株)製)を含む生理食塩水10mlに1時間浸漬後攪拌して、残存胞子を抽出した。得られた残存胞子抽出液を、標準寒天培地を用いて、35℃で72時間培養した。培養後、出現したコロニー数から1ピース当たりの残存胞子を算出した。結果を表1に示す。なお、表1中、未処理品とは、滅菌処理を行わず、同じ時間常温にて放置したものであり、残存胞子数は1.0×106 (胞子数/ピース)であった。
【0063】
表1から明らかな如く、各テストピースからはいずれも常法による測定操作において生菌は検出されず、本発明の可搬式滅菌装置を用いることにより、所望の滅菌雰囲気が形成され、チャンバー内に配置された被処理物の滅菌処理が完全に達成された。
【0064】
同程度の滅菌処理に通常のエチレンオキサイドガスを用いた場合、数時間を要し、且つ、殺菌用の薬剤残留の危険性が常に伴うことから、本実施例の可搬式滅菌装置が効率よく、信頼性の高い滅菌処理を達成しうることがわかる。
【0065】
【発明の効果】
本発明の可搬式滅菌装置によれば、医療設備、包装装置や食品貯蔵庫などの任意の閉鎖空間を滅菌ブースとなしうる、安全で、被処理物を変質させることが少なく、信頼性の高い滅菌を短時間で効率よく行い得るという効果を奏する。さらに、本発明の可搬式滅菌装置は、自立、移動可能で構成が簡易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で用いた可搬式滅菌装置の一態様を示す概略断面図である。
【図2】本発明の可搬式滅菌装置に好適に用いられる大気圧プラズマ発生器を示す概略断面図である。
【図3】実施例1で用いた可搬式滅菌装置を接続した滅菌チャンバー内に包装充填装置を配置した状態を示す概略図である。
【符号の説明】
10 可搬式滅菌装置
12 大気圧プラズマ発生器
18 キャリアガス用ボンベ
22 滅菌因子供給装置(滅菌因子供給口)
24 排気回収口
28 排気ガス分解装置(排気処理装置)
36 石英被覆電極
37 金属電極
38 接地電極
40 高圧電極
46 滅菌フィルター
48 充填包装装置
50 チャンバー

Claims (4)

  1. 所望の滅菌ブースへプラズマ発生装置により生成される殺菌因子を供給するための可搬式滅菌装置であって、
    大気圧でプラズマを発生させるプラズマ発生器と、
    該プラズマ発生器からのプラズマにより生成される殺菌因子を所望の滅菌ブースへ連結して搬送する供給口を備える殺菌因子供給装置と、
    該滅菌ブース内の圧力を陽圧にする圧力調整器と、
    該滅菌ブースへ連結して残存する殺菌因子を含む排気を回収する排気回収口と、
    回収された排気の一部をキャリアガスとして再利用するためにプラズマ発生器へ導入する搬送パイプと、
    回収された排気の一部より殺菌因子を分離して処理する排気処理装置と、
    を有する可搬式滅菌装置。
  2. 前記プラズマ発生器へキャリアガスを供給するボンベを有することを特徴とする請求項1に記載の可搬式滅菌装置。
  3. 前記殺菌因子供給装置が、ポンプ、コンプレッサーから選択されることを特徴とする請求項1に記載の可搬式滅菌装置。
  4. 前記プラズマ発生器、殺菌因子供給装置、圧力調整器及び排気処理装置が、可動式の枠体内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の可搬式滅菌装置。
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