JP2004205853A - 半透過型カラー液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】透過モードと反射モードのRGBからなるホワイトバランスを独立に設定し得るようにした半透過型カラー液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置Aにおいて、ガラス基板1上に光反射膜2と着色層3とオーバーコート層4と透明電極5と配向膜6とを順次積層するに当り、光反射膜2に対し個々の着色層3に対応して異なる光通過面積の光透過部7を設ける。また、ガラス基板9上にストライプ状透明電極群10と配向膜11を形成し、ガラス基板9とガラス基板1とを液晶層12を介して貼り合わせる。
【選択図】図1
【解決手段】液晶表示装置Aにおいて、ガラス基板1上に光反射膜2と着色層3とオーバーコート層4と透明電極5と配向膜6とを順次積層するに当り、光反射膜2に対し個々の着色層3に対応して異なる光通過面積の光透過部7を設ける。また、ガラス基板9上にストライプ状透明電極群10と配向膜11を形成し、ガラス基板9とガラス基板1とを液晶層12を介して貼り合わせる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は反射型(反射モード)と透過型(透過モード)の双方の機能を有する半透過型カラー液晶表示装置に関し、とくにホワイトバランス調整をおこなう半透過型カラー液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示装置は小型もしくは中型の携帯情報端末やノートパソコンの他に、大型かつ高精細のモニターにまで使用されている。とくに携帯情報端末などのように屋外・屋内両方にわたって使用される機器においては、外光が十分強い環境では表示装置の照明手段として積極的に外光を利用し、外光が弱い環境ではバックライトを使用するという半透過型の表示装置が主流として用いられている。
【0003】
反射型液晶表示装置には、後方に配設した基板の内面に対し凹凸形状の光反射層を形成した散乱反射型があるが、バックライトを用いないことで、周囲の光を有効に利用している。
【0004】
また、光反射層に代えて、半透過膜を形成し、バックライトを設け、反射モードや透過モードに使い分ける半透過型液晶表示装置も開発されている。
【0005】
この半透過型液晶表示装置によれば、太陽光、蛍光灯などの外部照明によって反射型の装置として用いたり、あるいはバックライトを装着して透過型の装置として使用するが、双方の機能を併せ持たせるために、半透過膜を使用している(特許文献1参照)。また、アクティブマトリクス型半透過型液晶表示装置に同様な目的で半透過膜を使用することも提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
また、かかるハーフミラーの半透過膜を使用すると、反射率と透過率の双方の機能をともに向上させることが難しいという課題があり、この課題を解消するために、光透過用ホールを設けた反射膜を上記の半透過膜に代えて使用する半透過型液晶表示装置も提案されている(特許文献3参照)。
【0007】
さらに、上記半透過液晶表示装置では、透過モードでは光はカラーフィルターを1回通過するのに対して、反射モードは光がカラーフィルターを2回通過することで、反射モードに比べて透過モードの色純度が低下していた。そのため、透過モードと反射モードで使用する領域を空間分割し、透過モードの領域のカラーフィルターを、反射モードの領域のカラーフィルターに比べて、膜厚を厚くすることによって、透過モードの色純度を向上させた半透過型液晶表示装置も提案されている(特許文献4と特許文献5参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−292413号公報
【特許文献2】
特開平7−318929号公報
【特許文献3】
特許第2878231号公報
【特許文献4】
特開2000-298271号公報
【特許文献5】
特開2001-166289号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したごとき半透過型液晶表示装置においては、透過モードにて光源としてLEDランプを使用し、他方、反射モードにおいては、室内で使用する際、光源として蛍光灯を、屋外で使用する際、光源として太陽光を利用することになり、このように透過モードと反射モードにおいて光源が異なっていた。
【0010】
したがって、透過モードおよび反射モードとの双方に対し、色設計、ホワイトバランス設計をそれぞれ独立して行う必要がある。
【0011】
また、カラーフィルターについては、R(赤)G(青)B(緑)により形成するが、特許文献4と特許文献5により提案された技術でもってしても、透過モードと反射モードのRGBからなるホワイトバランスを独立に設定することはできなかった。
【0012】
したがって、本発明の目的は透過モードと反射モードのRGBからなるホワイトバランスを独立に設定し得るようにした半透過型カラー液晶表示装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の半透過型カラー液晶表示装置は、基板の一主面上に光反射膜と透明樹脂層とを順次積層し、さらに着色が異なる複数の着色層を積層し、これら着色層の上に透明導電材からなる一方電極と配向膜とを順次積層してなる一方部材と、透明基板上に透明導電材からなる他方電極と配向層とを順次積層してなる他方部材とを、これら一方電極と他方電極とにより各着色層に対応して画素を形成するように液晶層を介して貼り合わせるとともに、上記光反射膜に対し個々の着色層に対応して異なる光通過面積の光透過部を設けて、この光透過部にて透過モードとなし、光透過部以外の領域にて反射モードとなしたことを特徴とする。
【0014】
以上のごとく、本発明の半透過型カラー液晶表示装置によれば、上記構成のように、上記光反射性金属層に対し画素ごとに光透過部を設けて、この光透過部にて透過モードとなし、光透過部以外の領域にて反射モードとなし、これによって半透過型液晶表示装置としている。
【0015】
そして、本発明の半透過型カラー液晶表示装置によれば、上記のごとく光反射性金属層に対し画素ごとに光透過部を設けて、透過モードと反射モードの双方に適用するに当り、かかる光反射膜に対し個々の着色層に対応して異なる光通過面積の光透過部を設け、これによって透過モードと反射モードのRGBからなるホワイトバランスを独立に設定し得るようになし、このようなホワイトバランス調整をおこなうことで高品質かつ高性能な半透過型カラー液晶表示装置が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明をSTN型単純マトリックス方式の液晶表示装置でもって図面により説明する。
【0017】
図1は本発明の半透過型液晶表示装置Aの断面模式図である。図2〜図4は半透過型液晶表示装置Aに係る光反射膜と着色層との双方の関係を示す模式図であり、図2はその平面図であり、図3は図2に示す切断面線X−Xによる断面図であり、図4は図2に示す切断面線Y−Yによる断面図である。
【0018】
液晶表示装置Aの一方部材によれば、1はコモン側のガラス基板であり、このガラス基板1の上に、たとえばアルミニウム金属材などからなる光反射膜2を形成し、この光反射膜2上に、たとえば新日鉄化学製PHA094X、PHA103X等のアクリルからなる透明樹脂層Pを形成する。望ましくは、光反射膜2の上に対してのみに透明樹脂層Pを積層するとよい。
【0019】
さらに透明樹脂層Pの上に着色層3を形成し、さらに着色層3を覆うようにアクリル系樹脂からなるオーバーコート層4を被覆する。そして、オーバーコート層4の上に多数平行にストライプ状配列したITOから成る透明電極5、および一定方向にラビングしたポリイミド樹脂から成る配向膜6を順次積層する。なお、透明電極5と配向膜6との間に樹脂やSiO2等から成る絶縁膜を介在させてもよい。
【0020】
本発明においては、光反射膜2に対し個々の着色層3に対応して、すなわち赤、緑、青という色の違いに応じて異なる光通過面積の光透過部7を設ける。
【0021】
かかる構成の光反射膜2は、まずガラス基板1の上にスパッタリングにより一様にアルミニウム金属膜を成膜し、次いでこのアルミニウム金属膜に対し、レジスト塗布、露光、現像、アルミニウム金属膜のエッチング、レジスト剥離という一連のフォトリソグラフィ工程によって、所要通りの形状になるように光透過部7をパターニングして取り除く。
【0022】
このように光反射膜2に対し個々の着色層3に対応して、赤、緑、青という色の違いに応じて異なる光通過面積の光透過部7を設けるが、かように画素ごとに光透過部を設けることで、この光透過部にて透過モードとなし、光透過部以外の領域にて反射モードとなす。
【0023】
なお、光反射膜2の材料としてAl材に代えて、AlNdなどのAl合金、Ag金属およびAg合金等の金属膜を使用してもよい。
【0024】
着色層3であるカラーフィルターは顔料分散方式、すなわちあらかじめ顔料(赤、緑、青)により調合された感光性レジストを基板上に塗布し、フォトリソグラフィにより形成してもよい。この顔料分散方式によれば、そのフォトリソグラフィにおいて同時に形成することができる。
【0025】
なお、着色層3であるカラーフィルターを形成するに当り、上記のような顔料分散方式に代えて、染色法を用いてもよい。
【0026】
また、光反射膜2と着色層3との双方の関係を示す図2によれば、各着色層3をブラックマトリックス18によって囲んだ構成にしてもよい。
【0027】
つぎに他方部材においては、9はセグメント側のガラス基板であり、このガラス基板9の上には多数平行に配列したITOからなるストライプ状透明電極群10とを順次形成し、さらにストライプ状透明電極群10上に一定方向にラビングしたポリイミド樹脂からなる配向膜11を形成している。
【0028】
ついで、これらガラス基板9とガラス基板1とを、たとえば200〜260°の角度でツイストされたカイラルネマチック液晶からなる液晶層12を介して、双方のストライプ状透明電極群5、10が交差(直交)するように、シール部材(図示せず)により貼り合わせる。また、図示していないが、両ガラス基板1、9間には液晶層12の厚みを一定にするためにスペーサを多数個配している。
【0029】
さらにガラス基板9の外側にポリカーボネートからなる第1位相差板13、第2位相差板14、ヨウ素系の偏光板15とを順次積み重ね、ガラス基板1の外側にポリカーボネートからなる第3位相差板16、ヨウ素系の偏光板17とを順次積み重ねている。これらの配設にあたっては、アクリル系の材料からなる粘着材を塗布することで貼り付ける。
【0030】
そして、ガラス基板1側の偏光板17に対し、たとえばLEDや冷陰極管などの光源部と導光板からなるバックライトユニットを密着させて配設する。
【0031】
かくして本発明の半透過型液晶表示装置Aによれば、上記のごとく光反射膜2に対し個々の着色層3に対応して、赤、緑、青という色の違いに応じて異なる光通過面積の光透過部7を設け、これによって各RGBに対し、それぞれ透過率と反射率とを違えて、透過モードと反射モードのRGBからなるホワイトバランスを独立に設定し得るように色設計をなし、このような色設計とホワイトバランス調整をおこなうことで高品質かつ高性能な半透過型液晶表示装置Aが得られる。
【0032】
つぎに実施例を述べる。
上述した本発明の半透過型液晶表示装置Aに対し、透過モード、反射モードそれぞれ独立して色設計、ホワイトバランスを設定すべく、各着色層3に対し、RGBごとに透過率と反射率を所要とおりに決定する。
【0033】
すなわち、実施例においては、光反射膜2に対し個々の着色層3に対応して、赤、緑、青という色の違いに応じて異なる光通過面積の光透過部7を形成するが、表1に示すごとく、この光透過部7の面積は、R(赤)の画素において画素全体に対して39%、G(緑)の画素では画素全体に対して39%、B(青)の画素では画素全体に対して27%を占めるような構造にする。
【0034】
【表1】
【0035】
また、従来例(比較例)として、上記構成の半透過型液晶表示装置Aにおいて、その光反射膜2に対し個々の着色層3に対応して、赤、緑、青という各色に対し同じ大きさの光通過面積の光透過部7を形成し、その他の構成を半透過型液晶表示装置Aと同じにした半透過型液晶表示装置Bを作製した。
【0036】
かかる半透過型液晶表示装置Bに係る光反射膜と着色層との双方の関係を示す模式図として図5〜図6を示す。なお、図5は図2に対応する模式図である。図6は図5に示す切断面線Z−Zによる断面図である。
【0037】
また、光反射膜2の光透過部7の光通過面積は、表1に示すごとく、RGB各画素とも画素全体に対し30%を占めている。
【0038】
また、本発明の半透過型液晶表示装置Aと比較例の半透過型液晶表示装置Bとの双方の光学特性における色度図を図6と図7に示す。
【0039】
図7は双方の透過モードにおける色度図を示し、図8は双方の反射モードにおける色度図を示す。
【0040】
以上のごとく、本発明に係る実施例については、従来例(比較例)に比べて、R、G、BのホワイトバランスWの色度が、透過モードでは(x、y)=(0.016、0.017)大きくなり、反射モードでは(x、y)=(0.010、0.009)小さくなっている。そして、実施例によれば、従来例に比べて、ホワイトバランスが、透過モードにて黄色い方向に、反射モードにて青い方向に移動していることが分かる。
【0041】
参考までに、本実施例にて用いた光学特性の評価方法を説明する。
反射モードの場合には、図9の(a)に示すごとく、液晶表示装置の表示面に対し、斜め上部15°から光(C光源)を入射させ、そして、液晶表示装置を駆動させた際(白表示、黒表示、赤表示、緑表示、青表示)の垂直方向の反射光の反射率、コントラスト、色域面積を測定することで評価結果を得た。
【0042】
また、透過モードについては、図9の(b)に示すごとく、バックライトを除く液晶パネルの裏面に対し、光(C光源)を入射させ、そして、液晶表示装置を駆動させた際(白表示、黒表示、赤表示、緑表示、青表示)の垂直方向の透過光の透過率、コントラスト、色域面積を測定することで評価結果を得た。
【0043】
さらにまた、図10において色域面積の定義図を示す。色域面積は各RGB色度点を囲んだ面積とNTSCとの比を示す。この面積が大きいほど、色再現性が高くなり、色純度の高いパネル表示が得られる。
【0044】
なお、本発明は上記の実施形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更や改良等はなんら差し支えない。たとえば、上記半透過型液晶表示装置AはSTN型単純マトリックス方式であるが、この方式に代えてTFTやTFDを内設したアクティブ型の液晶表示装置でも同じ作用効果を奏する。
【0045】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の半透過型カラー液晶表示装置によれば、基板の一主面上に光反射膜と、着色が異なる複数の着色層とを順次積層し、さらに透明導電材からなる一方電極と配向膜とを順次積層してなる一方部材と、透明基板上に透明導電材からなる他方電極と配向層とを順次積層してなる他方部材とを、これら一方電極と他方電極とにより各着色層ごとに画素を形成するように液晶層を介して貼り合わせ、そして、上記光反射膜に対し個々の着色層に対応して異なる光通過面積の光透過部を設けて、半透過型となし、これによって透過モードと反射モードのRGBからなるホワイトバランスを独立に設定し得るようになし、その結果、高品質かつ高性能な半透過型カラー液晶表示装置が提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半透過型液晶表示装置の断面模式図である。
【図2】本発明の半透過型液晶表示装置に係る光反射膜と着色層との双方の関係を示す模式図である。
【図3】図2に示す切断面線X−Xによる断面図である。
【図4】図2に示す切断面線Y−Yによる断面図である。
【図5】従来の半透過型液晶表示装置に係る光反射膜と着色層との双方の関係を示す模式図である。
【図6】図5に示す切断面線Z−Zによる断面図である。
【図7】本発明の半透過型液晶表示装置と比較例の半透過型液晶表示装置との双方の透過モードにおける色度図である。
【図8】本発明の半透過型液晶表示装置と比較例の半透過型液晶表示装置との双方の反射モードにおける色度図である。
【図9】(a)は反射モードにおける測定方法を示す説明図であり、(b)は透過モードにおける測定方法を示す説明図である。
【図10】色域面積の定義図を示す図である。
【符号の説明】
1…コモン側のガラス基板
2…光反射膜
3…着色層
4…オーバーコート層
5、10…透明電極
6、11…配向膜
7…光透過部
8…切欠部
18…ブラックマトリックス
9…セグメント側のガラス基板
12…液晶層
13、14、16…位相差板
17…偏光板
【発明の属する技術分野】
本発明は反射型(反射モード)と透過型(透過モード)の双方の機能を有する半透過型カラー液晶表示装置に関し、とくにホワイトバランス調整をおこなう半透過型カラー液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示装置は小型もしくは中型の携帯情報端末やノートパソコンの他に、大型かつ高精細のモニターにまで使用されている。とくに携帯情報端末などのように屋外・屋内両方にわたって使用される機器においては、外光が十分強い環境では表示装置の照明手段として積極的に外光を利用し、外光が弱い環境ではバックライトを使用するという半透過型の表示装置が主流として用いられている。
【0003】
反射型液晶表示装置には、後方に配設した基板の内面に対し凹凸形状の光反射層を形成した散乱反射型があるが、バックライトを用いないことで、周囲の光を有効に利用している。
【0004】
また、光反射層に代えて、半透過膜を形成し、バックライトを設け、反射モードや透過モードに使い分ける半透過型液晶表示装置も開発されている。
【0005】
この半透過型液晶表示装置によれば、太陽光、蛍光灯などの外部照明によって反射型の装置として用いたり、あるいはバックライトを装着して透過型の装置として使用するが、双方の機能を併せ持たせるために、半透過膜を使用している(特許文献1参照)。また、アクティブマトリクス型半透過型液晶表示装置に同様な目的で半透過膜を使用することも提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
また、かかるハーフミラーの半透過膜を使用すると、反射率と透過率の双方の機能をともに向上させることが難しいという課題があり、この課題を解消するために、光透過用ホールを設けた反射膜を上記の半透過膜に代えて使用する半透過型液晶表示装置も提案されている(特許文献3参照)。
【0007】
さらに、上記半透過液晶表示装置では、透過モードでは光はカラーフィルターを1回通過するのに対して、反射モードは光がカラーフィルターを2回通過することで、反射モードに比べて透過モードの色純度が低下していた。そのため、透過モードと反射モードで使用する領域を空間分割し、透過モードの領域のカラーフィルターを、反射モードの領域のカラーフィルターに比べて、膜厚を厚くすることによって、透過モードの色純度を向上させた半透過型液晶表示装置も提案されている(特許文献4と特許文献5参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−292413号公報
【特許文献2】
特開平7−318929号公報
【特許文献3】
特許第2878231号公報
【特許文献4】
特開2000-298271号公報
【特許文献5】
特開2001-166289号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したごとき半透過型液晶表示装置においては、透過モードにて光源としてLEDランプを使用し、他方、反射モードにおいては、室内で使用する際、光源として蛍光灯を、屋外で使用する際、光源として太陽光を利用することになり、このように透過モードと反射モードにおいて光源が異なっていた。
【0010】
したがって、透過モードおよび反射モードとの双方に対し、色設計、ホワイトバランス設計をそれぞれ独立して行う必要がある。
【0011】
また、カラーフィルターについては、R(赤)G(青)B(緑)により形成するが、特許文献4と特許文献5により提案された技術でもってしても、透過モードと反射モードのRGBからなるホワイトバランスを独立に設定することはできなかった。
【0012】
したがって、本発明の目的は透過モードと反射モードのRGBからなるホワイトバランスを独立に設定し得るようにした半透過型カラー液晶表示装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の半透過型カラー液晶表示装置は、基板の一主面上に光反射膜と透明樹脂層とを順次積層し、さらに着色が異なる複数の着色層を積層し、これら着色層の上に透明導電材からなる一方電極と配向膜とを順次積層してなる一方部材と、透明基板上に透明導電材からなる他方電極と配向層とを順次積層してなる他方部材とを、これら一方電極と他方電極とにより各着色層に対応して画素を形成するように液晶層を介して貼り合わせるとともに、上記光反射膜に対し個々の着色層に対応して異なる光通過面積の光透過部を設けて、この光透過部にて透過モードとなし、光透過部以外の領域にて反射モードとなしたことを特徴とする。
【0014】
以上のごとく、本発明の半透過型カラー液晶表示装置によれば、上記構成のように、上記光反射性金属層に対し画素ごとに光透過部を設けて、この光透過部にて透過モードとなし、光透過部以外の領域にて反射モードとなし、これによって半透過型液晶表示装置としている。
【0015】
そして、本発明の半透過型カラー液晶表示装置によれば、上記のごとく光反射性金属層に対し画素ごとに光透過部を設けて、透過モードと反射モードの双方に適用するに当り、かかる光反射膜に対し個々の着色層に対応して異なる光通過面積の光透過部を設け、これによって透過モードと反射モードのRGBからなるホワイトバランスを独立に設定し得るようになし、このようなホワイトバランス調整をおこなうことで高品質かつ高性能な半透過型カラー液晶表示装置が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明をSTN型単純マトリックス方式の液晶表示装置でもって図面により説明する。
【0017】
図1は本発明の半透過型液晶表示装置Aの断面模式図である。図2〜図4は半透過型液晶表示装置Aに係る光反射膜と着色層との双方の関係を示す模式図であり、図2はその平面図であり、図3は図2に示す切断面線X−Xによる断面図であり、図4は図2に示す切断面線Y−Yによる断面図である。
【0018】
液晶表示装置Aの一方部材によれば、1はコモン側のガラス基板であり、このガラス基板1の上に、たとえばアルミニウム金属材などからなる光反射膜2を形成し、この光反射膜2上に、たとえば新日鉄化学製PHA094X、PHA103X等のアクリルからなる透明樹脂層Pを形成する。望ましくは、光反射膜2の上に対してのみに透明樹脂層Pを積層するとよい。
【0019】
さらに透明樹脂層Pの上に着色層3を形成し、さらに着色層3を覆うようにアクリル系樹脂からなるオーバーコート層4を被覆する。そして、オーバーコート層4の上に多数平行にストライプ状配列したITOから成る透明電極5、および一定方向にラビングしたポリイミド樹脂から成る配向膜6を順次積層する。なお、透明電極5と配向膜6との間に樹脂やSiO2等から成る絶縁膜を介在させてもよい。
【0020】
本発明においては、光反射膜2に対し個々の着色層3に対応して、すなわち赤、緑、青という色の違いに応じて異なる光通過面積の光透過部7を設ける。
【0021】
かかる構成の光反射膜2は、まずガラス基板1の上にスパッタリングにより一様にアルミニウム金属膜を成膜し、次いでこのアルミニウム金属膜に対し、レジスト塗布、露光、現像、アルミニウム金属膜のエッチング、レジスト剥離という一連のフォトリソグラフィ工程によって、所要通りの形状になるように光透過部7をパターニングして取り除く。
【0022】
このように光反射膜2に対し個々の着色層3に対応して、赤、緑、青という色の違いに応じて異なる光通過面積の光透過部7を設けるが、かように画素ごとに光透過部を設けることで、この光透過部にて透過モードとなし、光透過部以外の領域にて反射モードとなす。
【0023】
なお、光反射膜2の材料としてAl材に代えて、AlNdなどのAl合金、Ag金属およびAg合金等の金属膜を使用してもよい。
【0024】
着色層3であるカラーフィルターは顔料分散方式、すなわちあらかじめ顔料(赤、緑、青)により調合された感光性レジストを基板上に塗布し、フォトリソグラフィにより形成してもよい。この顔料分散方式によれば、そのフォトリソグラフィにおいて同時に形成することができる。
【0025】
なお、着色層3であるカラーフィルターを形成するに当り、上記のような顔料分散方式に代えて、染色法を用いてもよい。
【0026】
また、光反射膜2と着色層3との双方の関係を示す図2によれば、各着色層3をブラックマトリックス18によって囲んだ構成にしてもよい。
【0027】
つぎに他方部材においては、9はセグメント側のガラス基板であり、このガラス基板9の上には多数平行に配列したITOからなるストライプ状透明電極群10とを順次形成し、さらにストライプ状透明電極群10上に一定方向にラビングしたポリイミド樹脂からなる配向膜11を形成している。
【0028】
ついで、これらガラス基板9とガラス基板1とを、たとえば200〜260°の角度でツイストされたカイラルネマチック液晶からなる液晶層12を介して、双方のストライプ状透明電極群5、10が交差(直交)するように、シール部材(図示せず)により貼り合わせる。また、図示していないが、両ガラス基板1、9間には液晶層12の厚みを一定にするためにスペーサを多数個配している。
【0029】
さらにガラス基板9の外側にポリカーボネートからなる第1位相差板13、第2位相差板14、ヨウ素系の偏光板15とを順次積み重ね、ガラス基板1の外側にポリカーボネートからなる第3位相差板16、ヨウ素系の偏光板17とを順次積み重ねている。これらの配設にあたっては、アクリル系の材料からなる粘着材を塗布することで貼り付ける。
【0030】
そして、ガラス基板1側の偏光板17に対し、たとえばLEDや冷陰極管などの光源部と導光板からなるバックライトユニットを密着させて配設する。
【0031】
かくして本発明の半透過型液晶表示装置Aによれば、上記のごとく光反射膜2に対し個々の着色層3に対応して、赤、緑、青という色の違いに応じて異なる光通過面積の光透過部7を設け、これによって各RGBに対し、それぞれ透過率と反射率とを違えて、透過モードと反射モードのRGBからなるホワイトバランスを独立に設定し得るように色設計をなし、このような色設計とホワイトバランス調整をおこなうことで高品質かつ高性能な半透過型液晶表示装置Aが得られる。
【0032】
つぎに実施例を述べる。
上述した本発明の半透過型液晶表示装置Aに対し、透過モード、反射モードそれぞれ独立して色設計、ホワイトバランスを設定すべく、各着色層3に対し、RGBごとに透過率と反射率を所要とおりに決定する。
【0033】
すなわち、実施例においては、光反射膜2に対し個々の着色層3に対応して、赤、緑、青という色の違いに応じて異なる光通過面積の光透過部7を形成するが、表1に示すごとく、この光透過部7の面積は、R(赤)の画素において画素全体に対して39%、G(緑)の画素では画素全体に対して39%、B(青)の画素では画素全体に対して27%を占めるような構造にする。
【0034】
【表1】
【0035】
また、従来例(比較例)として、上記構成の半透過型液晶表示装置Aにおいて、その光反射膜2に対し個々の着色層3に対応して、赤、緑、青という各色に対し同じ大きさの光通過面積の光透過部7を形成し、その他の構成を半透過型液晶表示装置Aと同じにした半透過型液晶表示装置Bを作製した。
【0036】
かかる半透過型液晶表示装置Bに係る光反射膜と着色層との双方の関係を示す模式図として図5〜図6を示す。なお、図5は図2に対応する模式図である。図6は図5に示す切断面線Z−Zによる断面図である。
【0037】
また、光反射膜2の光透過部7の光通過面積は、表1に示すごとく、RGB各画素とも画素全体に対し30%を占めている。
【0038】
また、本発明の半透過型液晶表示装置Aと比較例の半透過型液晶表示装置Bとの双方の光学特性における色度図を図6と図7に示す。
【0039】
図7は双方の透過モードにおける色度図を示し、図8は双方の反射モードにおける色度図を示す。
【0040】
以上のごとく、本発明に係る実施例については、従来例(比較例)に比べて、R、G、BのホワイトバランスWの色度が、透過モードでは(x、y)=(0.016、0.017)大きくなり、反射モードでは(x、y)=(0.010、0.009)小さくなっている。そして、実施例によれば、従来例に比べて、ホワイトバランスが、透過モードにて黄色い方向に、反射モードにて青い方向に移動していることが分かる。
【0041】
参考までに、本実施例にて用いた光学特性の評価方法を説明する。
反射モードの場合には、図9の(a)に示すごとく、液晶表示装置の表示面に対し、斜め上部15°から光(C光源)を入射させ、そして、液晶表示装置を駆動させた際(白表示、黒表示、赤表示、緑表示、青表示)の垂直方向の反射光の反射率、コントラスト、色域面積を測定することで評価結果を得た。
【0042】
また、透過モードについては、図9の(b)に示すごとく、バックライトを除く液晶パネルの裏面に対し、光(C光源)を入射させ、そして、液晶表示装置を駆動させた際(白表示、黒表示、赤表示、緑表示、青表示)の垂直方向の透過光の透過率、コントラスト、色域面積を測定することで評価結果を得た。
【0043】
さらにまた、図10において色域面積の定義図を示す。色域面積は各RGB色度点を囲んだ面積とNTSCとの比を示す。この面積が大きいほど、色再現性が高くなり、色純度の高いパネル表示が得られる。
【0044】
なお、本発明は上記の実施形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更や改良等はなんら差し支えない。たとえば、上記半透過型液晶表示装置AはSTN型単純マトリックス方式であるが、この方式に代えてTFTやTFDを内設したアクティブ型の液晶表示装置でも同じ作用効果を奏する。
【0045】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の半透過型カラー液晶表示装置によれば、基板の一主面上に光反射膜と、着色が異なる複数の着色層とを順次積層し、さらに透明導電材からなる一方電極と配向膜とを順次積層してなる一方部材と、透明基板上に透明導電材からなる他方電極と配向層とを順次積層してなる他方部材とを、これら一方電極と他方電極とにより各着色層ごとに画素を形成するように液晶層を介して貼り合わせ、そして、上記光反射膜に対し個々の着色層に対応して異なる光通過面積の光透過部を設けて、半透過型となし、これによって透過モードと反射モードのRGBからなるホワイトバランスを独立に設定し得るようになし、その結果、高品質かつ高性能な半透過型カラー液晶表示装置が提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半透過型液晶表示装置の断面模式図である。
【図2】本発明の半透過型液晶表示装置に係る光反射膜と着色層との双方の関係を示す模式図である。
【図3】図2に示す切断面線X−Xによる断面図である。
【図4】図2に示す切断面線Y−Yによる断面図である。
【図5】従来の半透過型液晶表示装置に係る光反射膜と着色層との双方の関係を示す模式図である。
【図6】図5に示す切断面線Z−Zによる断面図である。
【図7】本発明の半透過型液晶表示装置と比較例の半透過型液晶表示装置との双方の透過モードにおける色度図である。
【図8】本発明の半透過型液晶表示装置と比較例の半透過型液晶表示装置との双方の反射モードにおける色度図である。
【図9】(a)は反射モードにおける測定方法を示す説明図であり、(b)は透過モードにおける測定方法を示す説明図である。
【図10】色域面積の定義図を示す図である。
【符号の説明】
1…コモン側のガラス基板
2…光反射膜
3…着色層
4…オーバーコート層
5、10…透明電極
6、11…配向膜
7…光透過部
8…切欠部
18…ブラックマトリックス
9…セグメント側のガラス基板
12…液晶層
13、14、16…位相差板
17…偏光板
Claims (1)
- 基板の一主面上に光反射膜と透明樹脂層とを順次積層し、さらに着色が異なる複数の着色層を積層し、これら着色層の上に透明導電材からなる一方電極と配向膜とを順次積層してなる一方部材と、透明基板上に透明導電材からなる他方電極と配向層とを順次積層してなる他方部材とを、これら一方電極と他方電極とにより各着色層に対応して画素を形成するように液晶層を介して貼り合わせるとともに、上記光反射膜に対し個々の着色層に対応して異なる光通過面積の光透過部を設けて、この光透過部にて透過モードとなし、光透過部以外の領域にて反射モードとなした半透過型カラー液晶表示装置。
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