JP2004204320A - 蒸着方法及び蒸着装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板に薄膜形成させる蒸着方法に関し、汚染の危険性が低く、蒸着前の準備工程の簡略化を可能とし、製造コストが安く、かつリサイクル性に優れた蒸着方法を提供する。
【解決手段】ハースに収容された蒸着材料を加熱により蒸発させ、基板上に薄膜を形成させる蒸着方法において、前記ハースが、前記蒸着材料より高い融点を有するハース構成材料からなるハースであって、そのハース構成材料に含まれる金属元素が、前記蒸着材料に含まれている金属元素の少なくとも一部と同一である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空中で基板上に薄膜を形成する薄膜製造に関し、より簡便な工程でかつ欠陥のない薄膜を形成することを目的とする蒸着方法及び蒸着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
薄膜形成するための蒸着装置は、蒸着材料の種類によりさまざまな分野で用いられている。例えば、薄膜抵抗や、合金膜、複合膜等、電気、電子、半導体、光学用途等が挙げられる。この中で、特に光学部品においては、欠陥のない薄膜を非常に高い精度に積層しなければならないといった高位の品質を求められている。
【0003】
光学部品であるフィルタ、ミラー、レンズ等は、単層または多層のコーティングされた光学薄膜によって形成される。一般にこの光学薄膜は、透明なガラス基板上に真空蒸着により形成される。この光学薄膜の材料としては、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化シリコン(SiO2)、酸化チタン(TiO2)等の酸化物が多く使われている。
【0004】
近年、光学特性がよいという理由から多層膜タイプが多く使われている。このような多層膜フィルタの一例として、屈折率の異なる膜を交互に積層していく場合について説明する。図4に示すように、例えば、ガラス基板41の表面に、最初に高屈折率膜42(Ta2O5、屈折率:2.1)を蒸着後、その表面に重ねて低屈折率膜43(SiO2、屈折率:1.46)を蒸着し、さらに所要数のTa2O5膜とSiO2膜とを組み合わせて、多層膜44を形成する。その結果、光学フィルタ45ができるのである。
【0005】
このような光学薄膜の製造時に、大きく3つの問題点が指摘されている。第一に、加熱蒸着中に蒸着材料を収容したハースの一部が溶融し、蒸着材料へ混入するといった汚染の問題である。例えば、上記のTa2O5膜を形成する場合に、一般的には蒸着材料であるTa2O5を収容するハースとしては、熱伝導が高いという理由からCu製のものが使用されている。この場合、Ta2O5の融点が、2996℃である一方、Cuの融点が1083℃、沸点が2570℃であることから、Ta2O5の溶融加熱蒸着中に、次のような問題が発生する。電子ビームの照射が過剰になり、温度が急激に上昇することにより、ハース中のCuが溶け出して蒸着材料であるTa2O5に混入する。また、電子ビームが、Cuハースに直接照射された場合、蒸発したCuが基板に付着するといった汚染問題が発生する。一方、このような汚染問題を避けるために、現実には、かなりの蒸着材料をハース中に残した状態で、蒸着を終えてしまうといったプロセスが取られている。つまり、従来の蒸着方法は、蒸着材料への汚染の危険性を有し、またその危険を回避するために、蒸着材料の使用歩留まりが低く、製造コストが高い方法であったといえる。
【0006】
第二の問題としては、蒸着前の準備工程に関する問題である。蒸着材料が、顆粒状や粉末状、つまり緻密な状態でない場合に、蒸着工程の前段の工程として、蒸着材料を一度溶融固化させ、緻密な状態を作る必要がある。この工程を行なわないと、蒸着材料の蒸発が不安定となり、蒸着膜の組成変化が起きたり、膜の均一性が損なわれてしまう。例えば、光学フィルタの製造を例に取ると、蒸着材料Ta2O5は一般に顆粒状の状態で供給されるため、均一な膜質を得るために、ハース内で蒸着材料を溶解させる準備工程が行われている。
【0007】
この準備工程について、図5を使って説明する。顆粒状の蒸着材料Ta2O5(顆粒材料51)少量をハース52(一般には、Cu製)に入れる(図5(a))。次いで、電子ビーム58により飛散しないように加熱溶融し、溶解材料53を作成する(図5(b))。溶融終了後、さらに顆粒材料51を追加し(図5(c))、電子ビーム58により飛散しないように加熱溶融させ、溶解材料53の量を順次増やす(図5(d)及び図5(e))。図5(d)−(e)の工程を繰り返すことにより、最終的にハース全体に溶解材料53で満たす(図5(f))。Ta2O5等の金属酸化物は、熱伝導率が低いため、一度に溶解することができず、そのため少量ずつこのような工程を行う。
【0008】
このように準備工程では、1)少量ずつ均一に溶解し、材料を何度も追加するため、時間がかかり、蒸着装置の稼働率が低くなる、2)蒸着材料の追加を行う際に、装置内雰囲気を真空から大気圧を繰り返すため、先に溶解された部分と追加溶解された部分との間に界面56ができるなどの蒸着材料の溶解が均一になりにくい、3)ハースの内面付近は汚染の問題等から溶解できないため、蒸着時にはこの付近の材料(未溶解材料57)は使用できない、といった問題点が挙げられる。
【0009】
第三の問題点としては、リサイクル性に関する問題点である。例えば上記のようにハースを構成する材料(Cu)と、蒸着材料がTa2O5である場合に、ハースを構成する材料と蒸着材料に共通性がないために、使用済みハースのリサイクルが難しい。なお、一般には使用済のハースは、産業廃棄物処理が行なわれ、リサイクルはされていない。
【0010】
従来技術として、特許文献1には、蒸着材料を加熱溶融させて、基板上に薄膜を形成する製造方法及び薄膜製造装置についての開示がある。詳しくは、突沸現象を抑えるために、低熱伝導率材料より構成されるハース内にガス遮断層を介して蒸着材料より高い融点を有する材料からなる坩堝を設置して、この坩堝中に着材料を収容し、蒸着することを特徴とする薄膜の製造方法について開示されている。しかしながら、ハースの極近傍の蒸着材料を蒸発させる場合に、ハース構成材料の一部溶融による蒸着材料への汚染やその汚染を防ぐための手段、あるいは顆粒状若しくは粉末状の蒸着材料を予め溶融させる準備工程に関する技術課題及びそれを解決するための手段等についての開示がない。
【0011】
【特許文献1】
特開平5−222521号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術に関する課題を解決し、汚染の危険性が低く、蒸着前の準備工程の簡略化を可能とし、製造コストが安く、さらに望ましくはリサイクル性に優れた蒸着方法及び蒸着装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以上の問題点に鑑み、鋭意検討を行った結果、本発明に至った。本発明はすなわち、ハースに収容された蒸着材料を加熱により蒸発させ、基板上に薄膜を形成させる蒸着方法において、前記ハースが、前記蒸着材料より高い融点を有するハース構成材料からなるハースであって、そのハース構成材料に含まれる金属元素が、前記蒸着材料に含まれている金属元素の少なくとも一部と同一であることを特徴とする蒸着方法に関する。
【0014】
さらには、本発明は、前記蒸着材料を前記ハースに収容した状態で、予め加熱炉で加熱溶融させることを特徴とする蒸着方法に関する。これにより、ハース内で蒸着材料の緻密な溶解物が形成されるために、その後の薄膜形成において、工程の簡略化が達成される。
【0015】
また、本発明の蒸着方法において、ハース構成材料が、タンタル金属からなり、蒸着材料がタンタル酸化物である場合、さらには、ハース構成材料が、ニオブ金属からなり、蒸着材料がニオブ酸化物からなる場合などは、本発明の好ましい態様の一つである。
【0016】
また、本発明は、上記蒸着方法により製造された光フィルタに関する。
【0017】
さらには、本発明は、本発明の蒸着方法で用いる、予め加熱溶融しされた蒸着材料を収容したハースに関する。
【0018】
さらには、本発明の蒸着方法の好ましい一態様において、ハース構成材料が、タンタル金属からなり、蒸着材料がタンタル酸化物であるである場合の、タンタル金属からなるハース、さらには、ハース構成材料が、ニオブ金属からなり、蒸着材料がニオブ酸化物であるである場合の、ニオブ金属からなるハースに関する。
【0019】
また、本発明は、蒸着材料を加熱溶融し蒸発させるための加熱源と、蒸着材料を収容するハースであって、ハースを構成するハース構成材料の融点が、前記蒸着材料より高く、そのハース構成材料に含まれる金属元素が、前記蒸着材料に含まれている金属元素の少なくとも一部と同一であるハースと、を有することを特徴とする蒸着装置に関する。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の蒸着方法は、蒸着材料を加熱により蒸発させて、所定の基板上に薄膜を形成させる方法に関し、加熱源としては、抵抗加熱や、電子ビーム、レーザ光その他を問わない。
【0021】
本発明で用いる方法の用途は、特に限定はされないが、薄膜抵抗や、合金膜、複合膜、光フィルタ、その等の一般的に蒸着方法が採用されている用途が挙げられるが、それぞれの用途に応じて、蒸着材料、ハース等の材料選定が行われる。
【0022】
光学フィルタの製造方法を例に示しながら、詳細に本発明の実施態様について詳細に説明を行う。
【0023】
例えば、光フィルタ用の薄膜として、タンタル酸化物であるTa2O5を蒸着材料として用いて、Ta2O5薄膜を形成する場合について説明する。この場合、蒸着材料の融点は、1800℃であり、ハースとしては、融点2996℃のタンタル金属をハース構成材料とするハースを用いる。なお、本発明におけるハースは、蒸着時に蒸着材料が収容する容器であって、蒸着材料が直接触れるものをいう。このハースの純度としては、99%以上が好ましく、さらに好ましくは、99.9%以上である。この純度については、タンタルのみならず、本発明のハースに用いられる後に述べる他の材料についても、同様である。
【0024】
このハースの作り方としては、タンタル板をハース形状に合わせて切断し、溝を作るための絞り加工を行なうことで、高純度のハースを製造することができる。
【0025】
このように、蒸着材料であるタンタル酸化物より、ハース構成材料であるタンタル金属が、1000℃以上融点が高いために、タンタル酸化物が溶解する温度では、タンタル金属は溶解せず、汚染の危険性は、大幅に低下する。さらに、ハース構成材料の含まれる金属(タンタル)が、蒸着材料であるTa2O5の金属と同一であるため、ハース構成材料の一部が、蒸着材料の中に混入したとしても、蒸着膜の汚染や欠陥につながる可能性が非常に少ない。したがって、蒸着物質を、ほぼ使いきるまで加熱溶融及び蒸着作業をすることが可能となり、製造コストの引き下げにつながる。
【0026】
さらには、一部蒸着材料の残余がある使用済のハースについても、蒸着材料と、ハースの構成材料に共通性があるために、リサイクルしやすいといった利点がある。例えば、上記の例であれば、残余の蒸着材料とハースとを、加熱溶融し、精製するといった方法を取ることもできる。
【0027】
次に準備工程について説明を行う。ハース構成材料の融点が、蒸着材料の融点より高く、さらには、ハース構成材料に含まれる金属元素が、その蒸着材料に含まれている金属元素の少なくとも一部と同一であるような条件であれば、準備工程を簡略化するとともに、蒸着工程を短時間に均一に行うことができる。
【0028】
図1を参照しながら、本発明における準備工程について、蒸着材料が顆粒状Ta2O5(顆粒材料11)ある場合について説明する。顆粒状Ta2O5材料(顆粒材料11)をハース12内に入れ、加熱炉内で加熱溶融し、溶解材料を製造する(図1(a))。加熱炉は真空加熱炉または大気の加熱炉を使用する。どちらも一般的に使われている装置である。炉の雰囲気は真空加熱炉の場合、真空または不活性ガス(Ar、He、等)、酸素、窒素雰囲気が考えられる。大気の場合は、不活性ガス(Ar、He、等)、窒素雰囲気が考えられる。 加熱温度は材料の融点以上で、ハースまたは容器の融点以下であればよい。Taのハースまたは容器を使う場合は約1800℃から約2900℃の間で溶融できるが、ハースへのダメージを考えると、温度を低く、短時間で行うことが好ましく、一例としては、真空中で2000℃、30分程度の加熱で十分で溶解し、ハース12内を均一な溶解材料13で満たすことができる。また、ハースに収容された蒸発材料を複数個同時に溶解することができる。これにより、従来1つのハースあたり16時間かかっていた準備工程が、数分の1以下の時間で完了する。
【0029】
以上説明したように、従来蒸着装置内で、電子ビームを用いて非常に時間をかけながら準備工程を行なっていたが、本発明においては、加熱炉にて材料を一括して溶解するため、多くのハースを同時に、均一に、短時間で処理できる。
【0030】
以上、蒸着材料とハース構成材料の組み合わせは多くの組み合わせが考えられ、その一例を表1に示す。
【0031】
【表1】
Figure 2004204320
【0032】
本発明で用いるハースのバリエーションとして、図1(b)に示すようにハースの外側に熱伝導率を調整する目的あるいは、ハースを蒸着装置に設置するための作業の都合上、ハースを覆うような形で、例えば銅製の外部容器14aを用いることは本発明の構成上可能である。この場合、例えばハース12は、外部容器14aから脱着可能であり、ハース12のみを先に述べた一括加熱処理工程で顆粒材料の一括溶解が可能である。図中外部容器14aと14b(蒸着装置設置用外部容器)は、同一のものであっても良いし、異なっていても良い。例えば、14bは、ハース固定用に蒸着装置に予め設置されていてもよい。
【0033】
また、図6に示すように例えば蒸着材料がTa2O5である場合に、ハースとしては、金属あるいは金属酸化物、セラミックス製容器62にTaなどの金属を用いて、10μm程度、好ましくは、100μm程度のコート層61を設けることも可能である。コート層は例えば蒸着等の方法により形成することができる。このようにコート層を設けた場合、リサイクル性を多少犠牲にするが、汚染の問題、準備工程の問題を解決することができ、本発明の好ましい態様の一つである。この場合、薄膜の形成方法としては、メッキや真空中での蒸着、スパッタ、イオンプレーティング等が挙げられる。
【0034】
次に、本発明の蒸着装置について、説明する。図2に蒸着装置全体の概略図、図3に蒸着時のハース及び加熱蒸発機構部の拡大図を示す。本発明の蒸着装置は、基板27、基板を固定するための回転可動な基板ホルダ28、加熱源として、基板を加熱するための加熱ヒータ29、電子ビーム加熱源24及び加熱蒸発機構23、さらに蒸着材料21a、21bをそれぞれ収容したハース22a、22b、蒸発物質を遮断するための、シャッター25a、25b、酸素アシスト装置26、蒸発装置内部を真空にするための排気手段30などから構成されている。ハース22は、加熱蒸発機構23及び電子ビーム加熱源24により発生する電子ビーム20により直接加熱され溶融し、拡大図図3に示す蒸着材料の溶融部31から蒸気32を放出し、基板に蒸着する。ここで、加熱蒸発機構は、ハースを置くホルダーを有し、ホルダーの固定と、冷却を行う。通常、熱伝導の良いCuで作り冷却効率を上げるために水冷する。
【0035】
本発明の蒸発装置においては、ハース22を構成するハース構成材料の融点が、前記蒸発材料21より高く、そのハース構成材料に含まれる金属元素が、前記蒸着材料に含まれている金属元素の少なくとも一部と同一である。なお、一つの蒸着装置のなかで、幾つかの蒸着材料を蒸着させる場合において、少なくとも1つの蒸着材料及びハースの組み合わせが、上記の条件で行われる場合は、本発明の範囲に入る。
【0036】
図4に、本発明の光学フィルタの断面図を示す。例えば、ガラス基板41の上に、89nmの高屈折率膜、及び126nmの低屈折率膜が、順次繰り返し形成された構造(多層膜44)を有する。高屈折率膜や低屈折率の膜厚や層構成については、光学フィルタの設計により、種々のバリエーションを取りうる。
【0037】
この光学フィルタの蒸着方法について説明する。Ta2O5とSiO2の多層膜による光学フィルタの製作工程について図2の蒸発装置概略図を参照しながら説明する。最初にガラス基板27と金属Taからなるハース中で、既に加熱溶解され冷却固化したTa2O5を加熱蒸発機構23にセットする。さらに、ハースとほぼ同じ形状に加工された第2の蒸発材料SiO2を加熱機構23にセットする。 このSiO2は、ほぼハースの形状に成形されたいわゆる溶融ブロック品である。真空中で基板を加熱し、蒸着を始める。酸化物の蒸着は酸素が減少するため、酸素のイオンビームを酸素アシスト装置26から供給して組成値を制御する。最初にTa2O5膜が所定の厚さに達すると、加熱蒸発機構23によるTa2O5の加熱を中断し、シャッタ25aを閉じる。そして、シャッタ25bを開き、同様の方法でSiO2を加熱蒸発させて、それを前記Ta2O5膜の表面に付着させてSiO2膜を形成する。
【0038】
図4に示したように、基板41の表面にまずTa2O5膜(高屈折率膜42)を形成し、かつそのTa2O5膜(高屈折率膜42)に重ねてSiO2膜(低屈折率膜43)を設け、さらに高屈折率、低屈折率膜を順次所定数重ねて多層膜44を構成して、光学フィルタ45を形成する。加熱蒸発機構にセットした蒸着材料Ta2O5は、あらかじめ顆粒状の膜材料Ta2O5を加熱溶融し形成したものであるため、蒸着中にガスの発生やスプラッシュはない。従って基板ホルダにセットした各基板の表面が汚染される恐れはなく、均質な膜が形成できる。また歩留まり、収率の向上が図れる。従ってこの方法で製作したフィルタ等の光学部品、光通信用の部品の特性も向上する。光学フィルタ45の多層膜44は、Ta2O5とSiO2との組合わせで構成しているが、この多層膜44の組合わせは屈折率を考慮すれば多くの組み合わせが考えられる。また蒸着工程も所定の多層膜の層構成に応じて変更可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の蒸着方法及び蒸着装置の使用により、ハースに起因する汚染の危険性を抑えることができ、複数のハースに対する準備工程を一括して行なうことが可能なことから、製造コストが安く、かつ使用済ハースのリサイクルが容易なことから環境負荷が少ないといった効果が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の準備工程説明図
【図2】本発明の蒸着装置図
【図3】本発明の蒸着装置におけるハース及び加熱蒸発機構の周辺図
【図4】本発明の多層膜の断面図
【図5】従来方法の準備工程説明図
【図6】本発明で用いるハース実施例説明図
【符号の説明】
11 顆粒材料
12 ハース
13 溶解材料
14a 外部容器
14b 外部容器
20 電子ビーム
21a 蒸着材料
21b 蒸着材料
22a ハース
22b ハース
23 加熱蒸発機構
24 電子ビーム加熱源
25a、b シャッタ
26 酸素アシスト装置
27 基板
28 基板ホルダ
29 加熱ヒータ
30 排気手段
31 溶融部
32 蒸気
41 ガラス基板
42 高屈折率膜
43 低屈折率膜
44 多層膜
45 光学フィルタ
51 顆粒材料
52 ハース
53 溶解材料
56 界面
57 未溶解材料
58 電子ビーム
61 コート層
62 容器

Claims (11)

  1. ハースに収容された蒸着材料を加熱により蒸発させ、基板上に薄膜を形成させる蒸着方法において、前記ハースが、前記蒸着材料より高い融点を有するハース構成材料からなるハースであって、そのハース構成材料に含まれる金属元素が、前記蒸着材料に含まれている金属元素の少なくとも一部と同一であることを特徴とする蒸着方法。
  2. 前記蒸着材料を前記ハースに収容した状態で、予め加熱炉で加熱溶融させることを特徴とする請求項1記載の蒸着方法。
  3. 前記ハース構成材料が、タンタル金属からなり、前記蒸着材料が、タンタル酸化物からなることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸着方法。
  4. 前記ハース構成材料が、ニオブ金属からなり、前記蒸着材料が、ニオブ酸化物からなることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸着方法。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の蒸着方法により製造された光学フィルタ。
  6. 請求項2に記載の蒸着方法で用いる予め加熱溶融された蒸着材料を収容したハース。
  7. 請求項3に記載の蒸着方法で用いるタンタル金属からなるハース。
  8. 請求項4に記載の蒸着方法で用いるニオブ金属からなるハース。
  9. 蒸着材料を加熱溶融し蒸発させるための加熱源と、蒸着材料を収容するハースであって、ハースを構成するハース構成材料の融点が、前記蒸着材料より高く、そのハース構成材料に含まれる金属元素が、前記蒸着材料に含まれている金属元素の少なくとも一部と同一であるハースと、を有することを特徴とする蒸着装置。
  10. 前記ハース構成材料が、タンタル金属からなり、前記蒸着材料が、タンタル酸化物からなることを特徴とする請求項9記載の蒸着装置。
  11. 前記ハース構成材料が、ニオブ金属からなり、前記蒸着材料が、ニオブ酸化物からなることを特徴とする請求項9記載の蒸着装置。
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