JP2004204131A - 撥水コーティング剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期にわたって優れた撥水性、防汚性を発現し、かつ剥離が容易なコーティング膜を形成できる撥水コーティング剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)成分:一次粒子の平均径が1μm以下であって、且つ(B)成分に溶解せず、且つ表面に親水性官能基を有する表面疎水性超微粒子、(B)成分:炭化水素系溶媒およびシリコーン系溶媒の一種以上からなる、沸点が100℃〜360℃の揮発性溶媒、及び(C)成分:(B)成分の揮発性溶媒に溶解することができ、非揮発性のシリコーン化合物、を含有する撥水コーティング剤組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】(A)成分:一次粒子の平均径が1μm以下であって、且つ(B)成分に溶解せず、且つ表面に親水性官能基を有する表面疎水性超微粒子、(B)成分:炭化水素系溶媒およびシリコーン系溶媒の一種以上からなる、沸点が100℃〜360℃の揮発性溶媒、及び(C)成分:(B)成分の揮発性溶媒に溶解することができ、非揮発性のシリコーン化合物、を含有する撥水コーティング剤組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物質の表面、好ましくは屋外に存在する撥水を必要とする表面にコーティングすることで撥水性を付与することができる組成物に関し、特には撥水性に優れ、且つコーティング膜の剥離が容易な、自動車用(自動車の塗装部分やウインドウ部分等)として好適な撥水コーティング剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、フッ素樹脂やシリコーン樹脂などを用いてコーティングする等の化学的処理により、金属、ガラス、紙、布、プラスティックなどの基材表面に撥水性を付与することが行われている。また、例えば非特許文献1〜3には、基材表面に凹凸を形成する等の構造的処理により基材表面の撥水性が変化することが報告されており、上記方法の応用例として、フッ素樹脂やシリコーン樹脂等からなり、かつ凹凸を有するコーティング膜を基材表面に形成することによって撥水性を付与することが行われている。
【0003】
その具体例として、特許文献1には、表面張力が32dyne/cm以下の疎水性微粉末と吸水率0.5%以下の樹脂とからなる撥水性塗料が記載されており、撥水性の目安である水の接触角で170°以上の塗料が開発されている。また、特許文献2には、少なくとも表面が疎水性である平均粒径が1nm〜1mmの微粒子と樹脂塗膜からなり、該微粒子が該樹脂塗膜表面積の20%以上に露出されて固着されていることを特徴とする撥水性被膜が記載されており、水の接触角で160°以上の撥水性被膜が開発されている。また、特許文献3には、基材の表面に撥水性の塗膜を付与する撥水塗料であって、フッ素を含まない疎水性シランカップリング剤で表面処理された硬質微粒子と、該硬質微粒子を前記基材上に担持するためのバインダー樹脂と、該バインダー樹脂の溶剤とを少なくとも含むことを特徴とする撥水塗料が記載されており、接触角で150°以上の撥水塗料が開発されている。これらの技術は何れも、微粉末や微粒子をバインダー樹脂によって基材表面に固着させることにより、表面に凹凸を形成させ、撥水性と耐久性を発現するものである。
【0004】
また、特許文献4には、可視光透過率がガラス基板並以上である透明シリカ膜を基板上に形成することにより、接触角θが140°以上であることを特徴とする撥水性被膜が記載されている。
【0005】
一方、本出願人は、特許文献5にて表面の少なくとも一部に、大きい周期の凹凸構造が形成されその凹凸構造が前記周期よりも小さい周期の凹凸構造を含む多段凹凸構造を有し、その表面積倍増因子が5以上である撥水表面を有する固体を開示しており、最大174°以上の接触角を達成している。また、特許文献6にて使用環境温度以上の融点を有するワックス類、油脂類又はそれらの混合物を含有する撥水性塗料を開示しており、140〜150°の接触角を達成している。さらに、特許文献7においては、基材表面において、分子内に疎水基を有する反応性モノマー又はオリゴマーを重合させ、疎水基を有するポリマーからなる微細な凹凸構造を基材表面に形成させることを特徴とする基材表面への撥水性付与方法を開示しており、150〜160°程度の接触角を達成している。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−215570公報
【特許文献2】
特開平7−328532号公報
【特許文献3】
特開2000−230140号公報
【特許文献4】
特開平10−259037号公報
【特許文献5】
特開平7−197017号公報
【特許文献6】
特開平8−92499号公報
【特許文献7】
特開平8−323280号公報
【非特許文献1】
Physical Chemistry of Surfaces(John Wiley &; Sons, New York)
【非特許文献2】
小野周著「表面張力」(共立出版株式会社、昭和55年10月1日発行)
【非特許文献3】
ポリマーダイジェスト 第35巻第3号 第92〜101頁
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記のように、表面に疎水性を持たせた凹凸により撥水性を付与する技術は知られている。しかしながら、従来技術は、樹脂コーティング膜を形成させるために、特殊な機械加工、電気メッキ、加熱/冷却を必要とするものであり、また技術によっては乾燥又はエージングに数日を要するものであった。また樹脂コーティング膜を形成させる方法は、塗りムラが発生した場合や、部分的にコーティング膜が剥離した場合にコーティング膜全体を剥離することが困難であり、逆にコーティング膜用の樹脂を全く配合しない場合、剥離は容易になるが、コーティング膜の耐久性、特に降雨に対する耐久性は十分でなくなる。更には塗りムラを防ぐためにコーティング層を薄くする場合、特に透明膜の場合は干渉縞の問題が懸念された。従って、誰にでもコーティングにできる技術であるとは言い難く、用途も制限されるのが実状である。
【0008】
従って、本発明の課題は、撥水性が要求される用途、例えば、自動車の塗装表面やウインドウなどに簡単に処理することが可能であり、さらに詳細には、長期にわたって優れた撥水性、防汚性を発現するコーティング膜を与えるだけでなく、コーティング膜が汚れた場合や部分的に剥離した場合に剥離することが容易な撥水コーティング剤組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する撥水コーティング剤組成物に関する。
(A)成分:一次粒子の平均径が1μm以下であって、且つ(B)成分に溶解せず、且つ表面に親水性官能基を有する表面疎水性超微粒子
(B)成分:炭化水素系溶媒およびシリコーン系溶媒の一種以上からなる、沸点が100℃〜360℃の揮発性溶媒
(C)成分:(B)成分の揮発性溶媒に溶解することができ、非揮発性のシリコーン化合物
【0010】
【発明の実施の形態】
<(A)成分>
本発明の(A)成分である表面疎水性超微粒子は、少なくとも粒子表面に親水性官能基を有する超微粒子であり、(B)成分の溶媒に溶解することがなく、疎水性の指標として、以下に示す方法により測定した蒸留水の接触角が90°〜180°、好ましくは120°〜180°、特に好ましくは140°〜180°の超微粒子である。
【0011】
<表面疎水性超微粒子の蒸留水の接触角測定方法>
超微粒子をイソパラフィン(出光石油化学株式会社製IPソルベント2028)に3質量%となるように添加し、超音波洗浄器(ヤマト科学株式会社製ブランソニック251J−DTH)にて90分間分散する。次にこの分散物を、実際の自動車と同等の黒色メタリック塗装が施されたプレート(70mm×150mm、以後塗装プレートと呼ぶ)に25g/m2となるようにスプレーコーティングし、80℃に保温したホットプレート上にて1時間乾燥する。塗装プレートを室温まで冷却後、コーティング表面の蒸留水の接触角(協和界面化学製CA−X150型により測定、蒸留水の滴下量10μL)を測定する。
【0012】
また、本発明の超微粒子は、球状であることが好ましく、直径1μm以下の一次粒子の平均径を有するものであり、この平均径は、好ましくは5nm〜300nm、特に好ましくは5nm〜40nmである。
【0013】
平均径が5nm以上であると、粒子同士の凝集性が適正となり、溶媒中で均一な分散状態を得ることが容易となり、撥水性および仕上がりにむらが発生しにくくなる。一方、1μm以下であると、降雨に対する耐久性が向上し、かつ可視光散乱が抑制されるためコーティング膜の白化が防止され、良好な仕上がりが得られる。
【0014】
超微粒子は、(B)成分により膨潤することも考えられるが、一次粒子の平均径(以後粒径という)とは、コーティング後に(B)成分が揮発後の粒径を指し、走査型または透過型電子顕微鏡により粒子3,000個の粒径を計測し、個数で平均した粒径である。
【0015】
(A)成分の材質としては、無機超微粒子および有機超微粒子両方使用可能であり、本発明の無機超微粒子には、粒子のコアが無機性のもので、有機性の変性剤等で表面を疎水化したものも含まれる。無機超微粒子としてはケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、アンチモン、スズ、タングステンから選ばれる金属の酸化物、好ましくはケイ素の酸化物、特に好ましくは二酸化ケイ素の表面に、アルキル基やフルオロアルキル基等が結合(特には共有結合)したものを挙げることができる。無機超微粒子の表面をアルキル基やフルオロアルキル基で変性させる方法としてはシリル化剤、チタンカップリング剤、アルキルアルミニウムから選ばれる有機金属化合物またはジメチルシリコーンを用いる方法を挙げることができ、特に処理しやすさとコストの点からシリル化剤が好ましい。
【0016】
具体的に好ましいシリル化剤とは、無機材料に対して親和性のある反応性を有する加水分解性シリル基に、アルキル基、アリール基、フルオロアルキル基等を結合させた化合物である。
【0017】
ケイ素に結合した加水分解性基としては、アルコキシ基、ハロゲン、アセトキシ基が挙げられるが、通常メトキシ基、エトキシ基、塩素からなるシリル化剤がよく用いられる。例えば、トリメチルシリル化剤、アルキルシラン類、アリールシラン類、フルオロアルキルシラン類を挙げることができる。
【0018】
トリメチルシリル化剤は、特に限定されないが、例えばトリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、n−トリメチルシリルイミダゾール、ビス(トリメチルシリル)ウレア、トリメチルシリルアセトアミド、ビストリメチルシリルアセトアミド、トリメチルシリルイソシアネート、トリメチルメトキシシランを挙げることができる。
【0019】
アルキルシラン類としては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン、t−ブチルジフェニルクロロシラン、トリイソプロピルクロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ジメチルシリルジイソシアネート、メチルシリルトリイソシアネートを挙げることができる。
【0020】
アリールシラン類としては、例えばフェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルシリルトリイソシアネートを挙げることができる。
【0021】
フルオロアルキルシラン類としては、例えばパーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。
【0022】
一方、有機超微粒子としては、フッ素系樹脂超微粒子、シリコーン樹脂超微粒子、架橋アクリル樹脂超微粒子、ポリプロピレン樹脂超微粒子、ポリエチレン樹脂超微粒子、ポリエステル樹脂超微粒子を挙げることができる。これら粒子のうち、表面に親水性官能基を有しない場合は、親水性官能基を有するモノマーと共重合させることにより、表面の疎水性が低下しない程度に、親水性官能基を付与する必要がある。有機超微粒子は、(B)成分に溶解しないものが選択される。
【0023】
本発明に用いる表面疎水性超微粒子は、これらの中でも、特に無機超微粒子、とりわけシリル化剤で処理された無機超微粒子が溶媒への易分散性、撥水性、コストの点で好ましい。
【0024】
シリル化剤を用いる方法は、コアの粒子の表面に親水性官能基を有する化合物の場合、処理後は、表面は前記疎水性を示すものであっても未反応の少量の親水性官能基が残留する。本発明ではこの親水性官能基の存在が重要であり、特に(C)成分として親水性官能基を有する化合物を用いる場合、(C)成分の親水性官能基とのインタラクションにより安定性、分散性に影響を与えるためである。なお親水性官能基を有しない化合物については、前記の方法の他にプラズマ処理により親水性官能基を導入する方法が挙げられる。なお本発明において、(A)成分の親水性官能基は、水酸基、アミノ基、ポリエーテル基、カルボキシル基及びこれらを含む有機基から選ばれる一種以上が挙げられ、水酸基、アミノ基、カルボキシル基及びこれらを含む有機基から選ばれる一種以上が最も好ましい。最も好ましい超微粒子としてシリカをコア粒子としてシリル化処理したものの残留親水性官能基は、水酸基である。
【0025】
なお、本発明において、疎水性超微粒子表面に親水性官能基が存在することは、例えば、赤外線吸収スペクトルにより確認できる。
【0026】
親水性官能基の量は微量であり、厳密に定量することは困難であるが、好ましくは1nm2あたりにおよそ0.05個以上、更に0.1個以上が好ましい。その上限は、前記接触角を下げない程度の量である。この測定方法については、例えばシリカをコア粒子としてシリル化処理したものを用いる場合、該超微粒子を130℃、1時間真空脱気し、次に室温で水素化アルミニウム・リチウムで処理し、発生した水素の容量を測定することによって、親水性官能基である水酸基の量を定量することができる。
【0027】
本発明の撥水コーティング剤組成物中の(A)成分の含有量は0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜3質量%が更に好ましい。0.1質量%以上では、対象物に十分な撥水性能を発現させることができ、また、10質量%以下では、膜厚が適正となり、可視光乱反射を抑制できるためコーティング膜の白化を防止でき、良好な仕上がりが得られる。
【0028】
<(B)成分>
(A)成分は、(C)成分とともに(B)成分の溶媒中に分散されて撥水コーティング剤組成物を構成する。該組成物を対象物にコーティングした後、(B)成分が揮発することにより(A)成分および(C)成分からなる撥水コーティング膜が形成される。従って、(B)成分の溶媒は、対象物の一つであるプラスティック表面、金属塗装表面、特には自動車の塗装表面などへの濡れ(親和性)が良好で、基材損傷が少なく、悪臭が少なくかつ揮発性を有することが必要とされ、これらの性能をすべて満足するものとして、炭化水素系溶媒およびシリコーン系溶媒の一種以上から構成される。炭化水素系溶媒およびシリコーン系溶媒として低沸点のものは引火の問題が懸念されることや、臭いの問題があり、さらに夏場等の高温でコーティングする場合には、揮発が速すぎるために処理時および乾燥過程に十分な(A)成分と(C)成分のレベリング性が得られず、良好な仕上がりが得られないため好ましくない。一方、高沸点のものは冬場等の低温で揮発性が良好でないため好ましくない。好ましい沸点の範囲は100℃〜360℃、特に150℃〜360℃である。
【0029】
また、炭化水素系溶媒としては、水酸基やエステル結合又はエーテル結合を有していてもよい炭素数4〜20の有機化合物が挙げられ、iso−パラフィン等の飽和炭化水素が好ましい。
【0030】
一方シリコーン系溶媒は、下記式(I)で示される基及び式(I’)で示される基から選ばれる基を少なくとも一つ有し、20℃において液状であるポリオルガノシロキサンが好ましく、より好ましくは環状又は直鎖状ジメチルシロキサン、特にオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン及び直鎖状ジメチルシロキサン(25℃における粘度が0.65〜2mm2/s)の一種以上であることが揮発性の点から好ましい。
【0031】
【化1】
【0032】
(式中R1、R2及びR3は、同一又は異なって、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキルもしくはアルコキシ基、水素原子、又は水酸基である。)。
【0033】
(B)成分は、(A)成分の分散媒として用いられ、(A)成分/(B)成分の質量比は、1/1〜1/999、更に1/3〜1/999であることが好ましい。(B)成分の配合量は、組成物中に好ましくは10〜99.9質量%、より好ましくは50〜99.9質量%である。なお組成物が非水系の場合、(B)成分は、(A)成分、(C)成分及び必要に応じて用いられるその他の任意成分以外の残部として含有されることが望ましい。
【0034】
<(C)成分>
(C)成分として使用するシリコーン化合物は、(B)成分により溶解することができるものであり、非揮発性である点で、前記(A)成分のシリコーン樹脂超微粒子、(B)成分のシリコーン系溶媒と区別される。なお、ここでいう“溶解している”とは、溶媒により膨潤し、溶媒とともに実質的に均一な溶液を形成することも含む。また(C)成分のシリコーン化合物は、−SiO−の酸素原子が弱い親水性を有することから、(A)成分の超微粒子の親水性官能基との相互作用により(A)成分の分散性に影響する。本発明では特に、(C)成分は親水性官能基を有するシリコーン化合物がより好ましい。親水性官能基とは、(A)成分である超微粒子表面の親水性官能基と相互作用する官能基であれば特に限定されないが、例えば、水酸基、アミノ基、、ポリエーテル基、カルボキシ基及びこれらを含む有機基から選ばれる一種以上が挙げられる。これらの中でも特に、水酸基、アミノ基、、ポリエーテル基及びこれらを含む有機基から選ばれる一種以上の親水性官能基を有するシリコーン化合物が、(A)成分の分散安定性のみならず、(B)成分揮発後の仕上がりが優れる点から好ましい。
【0035】
(C)成分の前記分子内に親水性官能基を有するシリコーン化合物としては、(C1)25℃における粘度が100mm2/s以上、好ましくは1,000mm2/s以上のシリコーンオイル〔以下、(C1)成分とする〕及び(C2)重量平均分子量が1,000以上、好ましくは2,000以上の架橋シリコーン樹脂〔以下、(C2)成分とする〕から選ばれる一種以上を用いる。ここで、(C2)成分の重量平均分子量は、ポリスチレンを標準とし、ゲル浸透型液体クロマトグラフィーにより求めたものである。
【0036】
本発明において、(C1)成分のシリコーンオイルはジメチルポリシロキサンを主骨格として、メチル基の一部以上が別の有機基に変性されたものを含むものであり、流動性がないものも(B)成分に溶解可能できるものであれば、本発明に含むものとし、(C2)成分の架橋シリコーン樹脂とは架橋構造の有無により分けるものとする。(C1)成分のシリコーンオイルのうち流動性がなく粘度測定の困難なものは、シリコーンガムと称される場合があるが、これは、本発明では(C1)成分に含むものとする。(C1)成分の粘度が100mm2/s以上である、あるいは(C2)成分の重量平均分子量が1,000以上であることで、処理表面の降雨に対する耐久性が良好となるため好ましい。
【0037】
本発明では、(C)成分の重量平均分子量が100万以下のものを用いることがより好ましい。ここで、(C)成分の重量平均分子量は、(C2)成分と同様に測定されたものである。
【0038】
これらの中でも、シリコーンオイルとしては、特にアミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、水酸基を有するシリコーンオイルが好ましい。一方シリコーンレジンとしては、水酸基を有するシリコーンレジン、特にM単位(トリメチルシルヘミオキサン)とQ単位(シリケート)から構成されるシリコーンレジン(トリメチルシロキシケイ酸)が好ましい。これらのシリコーン化合物は、異ポリマーとの共重合体として用いてもかまわず、また複数を組み合わせて使用してもかまわない。
【0039】
本発明の撥水コーティング剤組成物中の(C)成分の含有量は0.0005〜5質量%が好ましく、0.001〜0.5質量%が更に好ましい。0.0005質量%以上では、(A)成分の最適かつ良好な分散性能が得られ、5質量%以下では、(A)成分による凹凸の形成を阻害せず、良好な撥水性能や仕上がりが得られる。
【0040】
本発明では、(A)成分の(B)成分中での分散性能は、(C)成分の添加に影響される。さらには(C)成分同士あるいは(C)成分の親水性官能基と(A)成分との相互作用の強さにより、(A)成分の(B)成分中での分散の形態が変化する。例えば、(C)成分としてアミノ変性シリコーンオイルを用い、(A)成分として表面に一部水酸基を有する疎水性シリカ(シリカ表面をトリメチルシリル化処理したもの)を用い、(B)成分としてiso−パラフィンを用いる場合を例にとると、一分子当たりのアミノ基数が多いアミノ変性シリコーンを用いる場合(すなわちアミノ当量が小さい場合、特には300〜5000の範囲の場合)は、疎水性シリカ同士をアミノ基により連結させるように作用し、三次元的な網目構造を形成して分散され、逆に一分子当たりのアミノ基数が少ないアミノ変性シリコーンを用いる場合(すなわちアミノ当量が大きい場合、特には5,000〜50,000の範囲の場合)疎水性シリカ同士の連結を阻害するように作用し、比較的小さい凝集粒子として分散される。
【0041】
前者の場合(三次元的な網目構造を形成して分散される場合)、対象物にコーティングして乾燥後に形成されるコーティング膜は非透明性でやや白濁しており、干渉縞は観察されない場合が多い。一方後者の場合(比較的小さい凝集粒子を形成する場合)、対象物にコーティングして乾燥後に形成される膜は比較的均一で、若干の干渉縞が観察される場合がある。前者及び後者の場合ともに撥水性能は良好であり、何れも(C)成分として使用可能であり、干渉縞の無い仕上がりが求められる場合は前者を、コーティング膜の透明性が求められる場合には後者を用いるのが好ましい。しかしながら、干渉縞は日中の屋外等の比較的明るい環境にて見出されるため、自動車用の撥水コーティング剤として用いる場合は、前記でいうところのアミノ当量は小さい方が好ましい。なお、(C2)成分としてトリメチルシロキシケイ酸を用いる場合も同様であり、分子内に水酸基が多い場合は、分散性が優れるため均一な膜を形成しやすいが、光源下では干渉縞が現れやすくなり、一方で、分子内に水酸基が少ない場合は、干渉縞は改善されるが、塗付時の透明性に留意する必要がある。
【0042】
本発明では、(C)成分は、(A)成分の(B)成分中での分散性と、対象物にコーティングして乾燥後の仕上がりとを考慮した場合、(A)成分/(C)成分を質量比で、1/50〜10,000/1、更に3/5〜3,000/1で配合することが望ましい。
【0043】
本発明では、形成されるコーティング膜は非透明性であることが好ましい。ここでいう非透明性とは、以下の方法により測定した時の透過率が99.99%以下、好ましくは99.90%以下、特に好ましくは99.50%以下である場合をいう。
【0044】
<透過率測定方法>
スライドガラス(マイクロスライドガラス;マツナミ製No.S-1225)片面に(A)成分と(C)成分の質量が合計0.18g/m2となるように塗布し、80℃に保温したホットプレート上で1時間乾燥する。測定波長660nmにて、スライドガラスのみで測定した透過率を100%とし、前記乾燥後のスライドガラスの透過率を10ヶ所測定し、その平均値を透過率とする。
【0045】
コーティング膜を非透明性とすることで、特に自動車の塗装表面に塗布した時に観察される干渉縞を目立ちにくくすることが可能となる。
【0046】
また本発明では、対象物にコーティングし、(B)成分が揮発した後に形成されるコーティング膜が、雨や雪等の気象因子に対しては良好な耐久性を有するが、通常の洗車作業により容易に除去できることが望ましい。
【0047】
すなわち、コーティング膜に塗りムラの発生した場合や汚れを巻き込んだ場合、コーティング膜ごと除去する必要がある。ところがこの時に、対象物または面に比較的多量のバインダー樹脂等を用いて強固に(A)成分を固着させた場合、気象因子に対する耐久性は良好である反面、通常の洗車では完全に除去することができず、その上から再度コーティングを行っても良好な仕上がりが得られない。
【0048】
通常の洗車にて容易に除去でき、かつ気象因子に対する耐久性が良好である目安として、コーティング膜の鉛筆引っかき値(JIS K 5400)が6B以下であり、かつ下記に示す耐水性試験が3回以上であることが好ましい。
【0049】
なお、耐水性試験、すなわち雨や雪等の気象因子に対する耐久性を向上させるためには、前記(C1)成分として25℃における粘度が10万mm2/s以上のシリコーンオイルやシリコーンガム(シリコーンオイルのうち流動性がなく粘度測定の困難なもの)を添加あるいは併用することが有効である。
【0050】
<耐水性試験>
トリガースプレーを装着した市販洗浄剤ボトル(かんたんマイペットボトル 花王(株))に蒸留水を入れ、コーティング被膜表面に3cmの距離からスプレーし、剥離するまでの回数を測定する。
【0051】
前述したように、本発明では(A)成分が(C)成分とともに(B)成分の溶媒中に分散されて撥水コーティング剤組成物を構成する。本発明にて使用する(A)成分は超微粒子であり、良好な分散性能を得るためにはコロイドミル、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、三本ロールミル、ニーダー及びエクストルーダー、超音波分散あるいはハイスピードディスパーサー等を用いて製造することができる。
【0052】
分散力が弱すぎる場合、コーティング膜中の分散不良による凝集粒子が混在し、良好な仕上がりが得られないばかりか、撥水性も不良となる場合がある。一方で、(C)成分として親水性官能基が少ないシリコーン化合物(例えば、アミノ当量が5000〜50000g/mol)を用いる場合、撥水コーティング剤組成物の調製に過度の分散力を与えると、輝度性の高い表面上での干渉縞が顕著となる傾向がある。従って、組成物の調製に係る分散力については十分注意すべきである。
【0053】
また、本発明の撥水コーティング剤組成物は、そのコーティング方法については特に限定されず、従来のコーティング方法を適用することができる。すなわち、刷毛塗り、エアガンあるいはエアレスガン塗装機による直接コーティング、エアゾールスプレーあるいはトリガースプレー形態にて直接スプレーコーティング、ローラー式刷毛を用いたコーティング、シート状基体にてコーティング等何れでも良い。
【0054】
また、本発明では、対象物に該撥水コーティング剤組成物を塗布する際の塗布量も重要な因子となる。すなわち、傾斜面や垂直面(自動車のドア部分等)に過剰塗布する場合、乾燥過程で液ダレが生じ、均一な仕上がりが得られないばかりか、形成されるコーティング膜が厚いため、可視光乱反射が激しくなるためコーティング膜が白化し、良好な仕上がりが得られにくくなり好ましくない。一方、塗布量が少なすぎる場合、必要十分なコーティング膜厚が得られないため、対象物に十分な撥水性が得られないため好ましくない。好ましい塗布量としては4〜25g/m2、特に好ましくは6〜20g/m2である。
【0055】
また、本発明の効果を阻害しない限り、本発明の組成物に必要があれば香料、防腐剤、消泡剤、界面活性剤、着色剤、ワックス成分、アルカリ剤、UV吸収剤、光安定剤、増粘剤、触媒、硬化剤、酸化防止剤、水等を配合しても良い。しかしながら、汚れが付着した時の剥離性を向上させるため、(C)成分以外の樹脂、具体的にはアクリル樹脂等で知られている表面疎水性超微粒子を対象表面に固着させるためのバインダー樹脂の配合濃度は1質量%以下、好ましくは実質的に含有しない(0.1質量%以下)ことが好ましい。また、本組成物は一液型であっても二液型であってもかまわない。
【0056】
本発明の最も好ましい組成を以下に示す。
(A)疎水性シリカ(ヘキサメチルジシラザンにより表面をトリメチルシリル化一次粒子の平均径7〜20nm) 0.5〜3質量%
(B)iso−パラフィン又はn−パラフィン(炭素数10〜20) 残部
(C)アミノ変性シリコーンオイル(25℃における粘度1,000〜70,000mm2/s、アミノ等量300〜5,000)0.001〜0.3質量%及びその他成分(シリコーンガム、香料、酸化防止剤等)を含有し、
(C)成分以外の樹脂を実質的に含有しない(特には0.1質量%以下)撥水コーティング剤組成物。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、長期にわたって優れた撥水性、防汚性を発現するだけでなく、剥離が容易なコーティング膜を簡単な処理で形成できる撥水コーティング剤組成物が得られる。本発明の撥水コーティング剤組成物は、撥水性が要求される種々の物質に適用でき、例えば屋外に存在する撥水を必要とする表面、好ましくは自動車用として好適に使用される。
【0058】
【実施例】
実施例1
<撥水コーティング剤組成物の調製>
(A)〜(C)成分を表1に示した配合割合で混合し、超音波洗浄器(ヤマト科学株式会社製ブランソニック251J−DTH)にて90分間分散し(配合例13のみ300分間分散)、撥水コーティング剤組成物を調製した。
【0059】
<性能評価方法>
表1に示した撥水コーティング剤組成物を、実際の自動車と同等の黒色メタリック塗装が施されたプレート(70mm×150mm、以後塗装プレートと呼ぶ)に12g/m2となるようにコーティングし、80℃に保温したホットプレート上にて1時間乾燥し、塗布面の蒸留水の接触角、干渉縞、白化、鉛筆硬度、降雨耐久性、形成されたコーティング膜の非透明性及び防汚性を以下に示す方法にて評価した。
【0060】
(接触角)
協和界面化学製CA−X150型により蒸留水滴下量10μLの接触角を測定した。
【0061】
(干渉縞及び白化)
日中の屋外の日陰にて、干渉縞及び白化を下記の判定基準で3人のパネラーにより判定した。判定結果を平均し、平均点が1以上2未満の場合を○、2以上3未満を△、3以上を×とした。
【0062】
干渉縞判定基準
干渉縞が見られない:1
やや干渉縞が見られるが満足できるレベルである:2
干渉縞が見られる:3
かなり干渉縞が見られる:4
白化判定基準
白化が見られない:1
やや白化が見られるが満足できるレベルである:2
白化が見られる:3
かなり白化が見られる:4。
【0063】
(鉛筆硬度)
JIS K 5400に準じてコーティング膜の鉛筆引っかき値を測定した。なお6Bにて傷が付く場合は6B以下と表示した。
【0064】
(降雨耐久性)
トリガースプレーを装着した市販洗浄剤ボトル(かんたんマイペットボトル、花王(株))に蒸留水を入れ、コーティング被膜表面に3cmの距離からスプレーし、剥離するまでの回数を測定し、スプレー回数が5以上の場合を○、3以上5未満の場合を△、3未満の場合を×とした。
【0065】
(コーティング膜の非透明性)
スライドガラス(マイクロスライドガラス;マツナミ製No.S-1225)片面に(A)成分と(C)成分の質量が0.18g/m2となるように塗布し、80℃に保温したホットプレート上で1時間乾燥させた。測定波長660nmにて、スライドガラスのみで測定した透過率を100%とし、前記コーティング及び乾燥後のスライドガラスの透過率を10ヶ所測定し、その平均値を算出した。
【0066】
(防汚性)
45°の角度を有する屋外暴露試験台に装着して2週間(雨天日3日)暴露後、下記の判定基準で3人のパネラーにより判定した。判定結果を平均し、平均点が1以上2未満の場合を○、2以上3未満を△、3以上を×とした。
【0067】
防汚性判定基準
汚れの付着が見られない:1
やや汚れの付着が見られるが満足できるレベルである:2
汚れの付着が見られる:3
かなり汚れの付着が見られる:4
【0068】
【表1】
【0069】
(注)表中の成分は以下の通りである。
1)疎水性シリカ(1):RX300(日本アエロジル製、一次粒子の平均径7nm、シリカ表面をヘキサメチルジシラザン処理、超微粒子表面の蒸留水の接触角155°)
2)疎水性シリカ(2):RX50(日本アエロジル製、一次粒子の平均径40nm、シリカ表面をヘキサメチルジシラザン処理、超微粒子表面の蒸留水の接触角155°)
3)シリコーン粒子:トスパール120(ジーイー東芝シリコーン製、一次粒子径2μm、シリコーンレジン粒子、粒子表面の水の接触角123°)
4)n−ドデカン:和光純薬工業製、沸点216.3℃
5)イソパラフィン:IPソルベント2028(出光石油化学製、沸点262℃)
6)デカメチルシクロペンタシロキサン:KF995(信越化学工業製、沸点210℃)
7)n−ヘキサン:和光純薬工業製、沸点68.7℃
8)アミノ変性シリコーン(1):BY16−849(東レ・ダウコーニング・シリコーン製、25℃における粘度1,300mm2/s、アミノ当量600g/mol)
9)アミノ変性シリコーン(2):KF8005(信越化学工業製、25℃における粘度1,200mm2/s、アミノ当量1,100g/mol)
10)ポリエーテル変性シリコーン:KF6015(信越化学工業製、25℃における粘度150mm2/s)
11)シリコーンレジン:KF7312J〔信越化学工業製、重量平均分子量4,200のトリメチルシロキシケイ酸をデカメチルシクロペンタシロキサンで希釈したもの、トリメチルシロキシケイ酸/デカメチルシクロペンタシロキサン=50/50(質量比)〕
12)ジメチルシリコーン(1):KF−96A−1000cs(信越化学工業製、25℃における粘度1,000mm2/s)
13)ジメチルシリコーン(2):TSE200A(ジーイー東芝シリコーン製、シリコーンガム)
14)非イオン界面活性剤:ラウリルアルコールにエチレンオキサイドを6モル付加させた非イオン界面活性剤
15)カチオン界面活性剤:ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド。
【0070】
実施例2
実施例1の配合例8を用いて、自動車の塗装表面以外の用途に使用した例について説明する。
【0071】
<網戸>
配合例8を15g/m2となるようにスプレーコーティングして乾燥させたポリプロピレン製網戸に水をかけたところ、優れた撥水性を示し、干渉色や白化は全く見られなかった。また1ヶ月後に汚れの付着具合を観察したところ、コーティングしていない部分よりも綿埃、土埃の付着が明らかに少なく、撥水性も良好であった。
【0072】
<窓ガラス>
配合例8を10g/m2となるようにコーティングして乾燥させた屋外側窓ガラスに水をかけたところ、優れた撥水性を示し、やや干渉色が見られるが問題のない仕上がりを示した。また1ヶ月後に汚れの付着具合を観察したところ、コーティングしていない部分よりも土埃の付着が明らかに少なく、撥水性も良好であった。
【0073】
<雨傘>
配合例8を20g/m2となるようにスプレーコーティングして乾燥させた雨傘に水をかけたところ、優れた撥水性を示し、干渉色や白化は全く見られなかった。この雨傘を雨天時に使用したところ、撥水性が良好であり、コーティング面がほとんど雨に濡れていないために車内、電車内、建物内に持ち込む時に好都合であった。
【0074】
<雨合羽>
配合例8を20g/m2となるようにスプレーコーティングして乾燥させた雨合羽に水をかけたところ、優れた撥水性を示し、干渉色や白化は全く見られなかった。この雨合羽を雨天時に使用したところ、撥水性が良好であり、コーティング面がほとんど雨に濡れていないために使用後に干す必要がなく、好都合であった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、物質の表面、好ましくは屋外に存在する撥水を必要とする表面にコーティングすることで撥水性を付与することができる組成物に関し、特には撥水性に優れ、且つコーティング膜の剥離が容易な、自動車用(自動車の塗装部分やウインドウ部分等)として好適な撥水コーティング剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、フッ素樹脂やシリコーン樹脂などを用いてコーティングする等の化学的処理により、金属、ガラス、紙、布、プラスティックなどの基材表面に撥水性を付与することが行われている。また、例えば非特許文献1〜3には、基材表面に凹凸を形成する等の構造的処理により基材表面の撥水性が変化することが報告されており、上記方法の応用例として、フッ素樹脂やシリコーン樹脂等からなり、かつ凹凸を有するコーティング膜を基材表面に形成することによって撥水性を付与することが行われている。
【0003】
その具体例として、特許文献1には、表面張力が32dyne/cm以下の疎水性微粉末と吸水率0.5%以下の樹脂とからなる撥水性塗料が記載されており、撥水性の目安である水の接触角で170°以上の塗料が開発されている。また、特許文献2には、少なくとも表面が疎水性である平均粒径が1nm〜1mmの微粒子と樹脂塗膜からなり、該微粒子が該樹脂塗膜表面積の20%以上に露出されて固着されていることを特徴とする撥水性被膜が記載されており、水の接触角で160°以上の撥水性被膜が開発されている。また、特許文献3には、基材の表面に撥水性の塗膜を付与する撥水塗料であって、フッ素を含まない疎水性シランカップリング剤で表面処理された硬質微粒子と、該硬質微粒子を前記基材上に担持するためのバインダー樹脂と、該バインダー樹脂の溶剤とを少なくとも含むことを特徴とする撥水塗料が記載されており、接触角で150°以上の撥水塗料が開発されている。これらの技術は何れも、微粉末や微粒子をバインダー樹脂によって基材表面に固着させることにより、表面に凹凸を形成させ、撥水性と耐久性を発現するものである。
【0004】
また、特許文献4には、可視光透過率がガラス基板並以上である透明シリカ膜を基板上に形成することにより、接触角θが140°以上であることを特徴とする撥水性被膜が記載されている。
【0005】
一方、本出願人は、特許文献5にて表面の少なくとも一部に、大きい周期の凹凸構造が形成されその凹凸構造が前記周期よりも小さい周期の凹凸構造を含む多段凹凸構造を有し、その表面積倍増因子が5以上である撥水表面を有する固体を開示しており、最大174°以上の接触角を達成している。また、特許文献6にて使用環境温度以上の融点を有するワックス類、油脂類又はそれらの混合物を含有する撥水性塗料を開示しており、140〜150°の接触角を達成している。さらに、特許文献7においては、基材表面において、分子内に疎水基を有する反応性モノマー又はオリゴマーを重合させ、疎水基を有するポリマーからなる微細な凹凸構造を基材表面に形成させることを特徴とする基材表面への撥水性付与方法を開示しており、150〜160°程度の接触角を達成している。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−215570公報
【特許文献2】
特開平7−328532号公報
【特許文献3】
特開2000−230140号公報
【特許文献4】
特開平10−259037号公報
【特許文献5】
特開平7−197017号公報
【特許文献6】
特開平8−92499号公報
【特許文献7】
特開平8−323280号公報
【非特許文献1】
Physical Chemistry of Surfaces(John Wiley &; Sons, New York)
【非特許文献2】
小野周著「表面張力」(共立出版株式会社、昭和55年10月1日発行)
【非特許文献3】
ポリマーダイジェスト 第35巻第3号 第92〜101頁
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記のように、表面に疎水性を持たせた凹凸により撥水性を付与する技術は知られている。しかしながら、従来技術は、樹脂コーティング膜を形成させるために、特殊な機械加工、電気メッキ、加熱/冷却を必要とするものであり、また技術によっては乾燥又はエージングに数日を要するものであった。また樹脂コーティング膜を形成させる方法は、塗りムラが発生した場合や、部分的にコーティング膜が剥離した場合にコーティング膜全体を剥離することが困難であり、逆にコーティング膜用の樹脂を全く配合しない場合、剥離は容易になるが、コーティング膜の耐久性、特に降雨に対する耐久性は十分でなくなる。更には塗りムラを防ぐためにコーティング層を薄くする場合、特に透明膜の場合は干渉縞の問題が懸念された。従って、誰にでもコーティングにできる技術であるとは言い難く、用途も制限されるのが実状である。
【0008】
従って、本発明の課題は、撥水性が要求される用途、例えば、自動車の塗装表面やウインドウなどに簡単に処理することが可能であり、さらに詳細には、長期にわたって優れた撥水性、防汚性を発現するコーティング膜を与えるだけでなく、コーティング膜が汚れた場合や部分的に剥離した場合に剥離することが容易な撥水コーティング剤組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する撥水コーティング剤組成物に関する。
(A)成分:一次粒子の平均径が1μm以下であって、且つ(B)成分に溶解せず、且つ表面に親水性官能基を有する表面疎水性超微粒子
(B)成分:炭化水素系溶媒およびシリコーン系溶媒の一種以上からなる、沸点が100℃〜360℃の揮発性溶媒
(C)成分:(B)成分の揮発性溶媒に溶解することができ、非揮発性のシリコーン化合物
【0010】
【発明の実施の形態】
<(A)成分>
本発明の(A)成分である表面疎水性超微粒子は、少なくとも粒子表面に親水性官能基を有する超微粒子であり、(B)成分の溶媒に溶解することがなく、疎水性の指標として、以下に示す方法により測定した蒸留水の接触角が90°〜180°、好ましくは120°〜180°、特に好ましくは140°〜180°の超微粒子である。
【0011】
<表面疎水性超微粒子の蒸留水の接触角測定方法>
超微粒子をイソパラフィン(出光石油化学株式会社製IPソルベント2028)に3質量%となるように添加し、超音波洗浄器(ヤマト科学株式会社製ブランソニック251J−DTH)にて90分間分散する。次にこの分散物を、実際の自動車と同等の黒色メタリック塗装が施されたプレート(70mm×150mm、以後塗装プレートと呼ぶ)に25g/m2となるようにスプレーコーティングし、80℃に保温したホットプレート上にて1時間乾燥する。塗装プレートを室温まで冷却後、コーティング表面の蒸留水の接触角(協和界面化学製CA−X150型により測定、蒸留水の滴下量10μL)を測定する。
【0012】
また、本発明の超微粒子は、球状であることが好ましく、直径1μm以下の一次粒子の平均径を有するものであり、この平均径は、好ましくは5nm〜300nm、特に好ましくは5nm〜40nmである。
【0013】
平均径が5nm以上であると、粒子同士の凝集性が適正となり、溶媒中で均一な分散状態を得ることが容易となり、撥水性および仕上がりにむらが発生しにくくなる。一方、1μm以下であると、降雨に対する耐久性が向上し、かつ可視光散乱が抑制されるためコーティング膜の白化が防止され、良好な仕上がりが得られる。
【0014】
超微粒子は、(B)成分により膨潤することも考えられるが、一次粒子の平均径(以後粒径という)とは、コーティング後に(B)成分が揮発後の粒径を指し、走査型または透過型電子顕微鏡により粒子3,000個の粒径を計測し、個数で平均した粒径である。
【0015】
(A)成分の材質としては、無機超微粒子および有機超微粒子両方使用可能であり、本発明の無機超微粒子には、粒子のコアが無機性のもので、有機性の変性剤等で表面を疎水化したものも含まれる。無機超微粒子としてはケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、アンチモン、スズ、タングステンから選ばれる金属の酸化物、好ましくはケイ素の酸化物、特に好ましくは二酸化ケイ素の表面に、アルキル基やフルオロアルキル基等が結合(特には共有結合)したものを挙げることができる。無機超微粒子の表面をアルキル基やフルオロアルキル基で変性させる方法としてはシリル化剤、チタンカップリング剤、アルキルアルミニウムから選ばれる有機金属化合物またはジメチルシリコーンを用いる方法を挙げることができ、特に処理しやすさとコストの点からシリル化剤が好ましい。
【0016】
具体的に好ましいシリル化剤とは、無機材料に対して親和性のある反応性を有する加水分解性シリル基に、アルキル基、アリール基、フルオロアルキル基等を結合させた化合物である。
【0017】
ケイ素に結合した加水分解性基としては、アルコキシ基、ハロゲン、アセトキシ基が挙げられるが、通常メトキシ基、エトキシ基、塩素からなるシリル化剤がよく用いられる。例えば、トリメチルシリル化剤、アルキルシラン類、アリールシラン類、フルオロアルキルシラン類を挙げることができる。
【0018】
トリメチルシリル化剤は、特に限定されないが、例えばトリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、n−トリメチルシリルイミダゾール、ビス(トリメチルシリル)ウレア、トリメチルシリルアセトアミド、ビストリメチルシリルアセトアミド、トリメチルシリルイソシアネート、トリメチルメトキシシランを挙げることができる。
【0019】
アルキルシラン類としては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン、t−ブチルジフェニルクロロシラン、トリイソプロピルクロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ジメチルシリルジイソシアネート、メチルシリルトリイソシアネートを挙げることができる。
【0020】
アリールシラン類としては、例えばフェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルシリルトリイソシアネートを挙げることができる。
【0021】
フルオロアルキルシラン類としては、例えばパーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。
【0022】
一方、有機超微粒子としては、フッ素系樹脂超微粒子、シリコーン樹脂超微粒子、架橋アクリル樹脂超微粒子、ポリプロピレン樹脂超微粒子、ポリエチレン樹脂超微粒子、ポリエステル樹脂超微粒子を挙げることができる。これら粒子のうち、表面に親水性官能基を有しない場合は、親水性官能基を有するモノマーと共重合させることにより、表面の疎水性が低下しない程度に、親水性官能基を付与する必要がある。有機超微粒子は、(B)成分に溶解しないものが選択される。
【0023】
本発明に用いる表面疎水性超微粒子は、これらの中でも、特に無機超微粒子、とりわけシリル化剤で処理された無機超微粒子が溶媒への易分散性、撥水性、コストの点で好ましい。
【0024】
シリル化剤を用いる方法は、コアの粒子の表面に親水性官能基を有する化合物の場合、処理後は、表面は前記疎水性を示すものであっても未反応の少量の親水性官能基が残留する。本発明ではこの親水性官能基の存在が重要であり、特に(C)成分として親水性官能基を有する化合物を用いる場合、(C)成分の親水性官能基とのインタラクションにより安定性、分散性に影響を与えるためである。なお親水性官能基を有しない化合物については、前記の方法の他にプラズマ処理により親水性官能基を導入する方法が挙げられる。なお本発明において、(A)成分の親水性官能基は、水酸基、アミノ基、ポリエーテル基、カルボキシル基及びこれらを含む有機基から選ばれる一種以上が挙げられ、水酸基、アミノ基、カルボキシル基及びこれらを含む有機基から選ばれる一種以上が最も好ましい。最も好ましい超微粒子としてシリカをコア粒子としてシリル化処理したものの残留親水性官能基は、水酸基である。
【0025】
なお、本発明において、疎水性超微粒子表面に親水性官能基が存在することは、例えば、赤外線吸収スペクトルにより確認できる。
【0026】
親水性官能基の量は微量であり、厳密に定量することは困難であるが、好ましくは1nm2あたりにおよそ0.05個以上、更に0.1個以上が好ましい。その上限は、前記接触角を下げない程度の量である。この測定方法については、例えばシリカをコア粒子としてシリル化処理したものを用いる場合、該超微粒子を130℃、1時間真空脱気し、次に室温で水素化アルミニウム・リチウムで処理し、発生した水素の容量を測定することによって、親水性官能基である水酸基の量を定量することができる。
【0027】
本発明の撥水コーティング剤組成物中の(A)成分の含有量は0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜3質量%が更に好ましい。0.1質量%以上では、対象物に十分な撥水性能を発現させることができ、また、10質量%以下では、膜厚が適正となり、可視光乱反射を抑制できるためコーティング膜の白化を防止でき、良好な仕上がりが得られる。
【0028】
<(B)成分>
(A)成分は、(C)成分とともに(B)成分の溶媒中に分散されて撥水コーティング剤組成物を構成する。該組成物を対象物にコーティングした後、(B)成分が揮発することにより(A)成分および(C)成分からなる撥水コーティング膜が形成される。従って、(B)成分の溶媒は、対象物の一つであるプラスティック表面、金属塗装表面、特には自動車の塗装表面などへの濡れ(親和性)が良好で、基材損傷が少なく、悪臭が少なくかつ揮発性を有することが必要とされ、これらの性能をすべて満足するものとして、炭化水素系溶媒およびシリコーン系溶媒の一種以上から構成される。炭化水素系溶媒およびシリコーン系溶媒として低沸点のものは引火の問題が懸念されることや、臭いの問題があり、さらに夏場等の高温でコーティングする場合には、揮発が速すぎるために処理時および乾燥過程に十分な(A)成分と(C)成分のレベリング性が得られず、良好な仕上がりが得られないため好ましくない。一方、高沸点のものは冬場等の低温で揮発性が良好でないため好ましくない。好ましい沸点の範囲は100℃〜360℃、特に150℃〜360℃である。
【0029】
また、炭化水素系溶媒としては、水酸基やエステル結合又はエーテル結合を有していてもよい炭素数4〜20の有機化合物が挙げられ、iso−パラフィン等の飽和炭化水素が好ましい。
【0030】
一方シリコーン系溶媒は、下記式(I)で示される基及び式(I’)で示される基から選ばれる基を少なくとも一つ有し、20℃において液状であるポリオルガノシロキサンが好ましく、より好ましくは環状又は直鎖状ジメチルシロキサン、特にオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン及び直鎖状ジメチルシロキサン(25℃における粘度が0.65〜2mm2/s)の一種以上であることが揮発性の点から好ましい。
【0031】
【化1】
【0032】
(式中R1、R2及びR3は、同一又は異なって、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキルもしくはアルコキシ基、水素原子、又は水酸基である。)。
【0033】
(B)成分は、(A)成分の分散媒として用いられ、(A)成分/(B)成分の質量比は、1/1〜1/999、更に1/3〜1/999であることが好ましい。(B)成分の配合量は、組成物中に好ましくは10〜99.9質量%、より好ましくは50〜99.9質量%である。なお組成物が非水系の場合、(B)成分は、(A)成分、(C)成分及び必要に応じて用いられるその他の任意成分以外の残部として含有されることが望ましい。
【0034】
<(C)成分>
(C)成分として使用するシリコーン化合物は、(B)成分により溶解することができるものであり、非揮発性である点で、前記(A)成分のシリコーン樹脂超微粒子、(B)成分のシリコーン系溶媒と区別される。なお、ここでいう“溶解している”とは、溶媒により膨潤し、溶媒とともに実質的に均一な溶液を形成することも含む。また(C)成分のシリコーン化合物は、−SiO−の酸素原子が弱い親水性を有することから、(A)成分の超微粒子の親水性官能基との相互作用により(A)成分の分散性に影響する。本発明では特に、(C)成分は親水性官能基を有するシリコーン化合物がより好ましい。親水性官能基とは、(A)成分である超微粒子表面の親水性官能基と相互作用する官能基であれば特に限定されないが、例えば、水酸基、アミノ基、、ポリエーテル基、カルボキシ基及びこれらを含む有機基から選ばれる一種以上が挙げられる。これらの中でも特に、水酸基、アミノ基、、ポリエーテル基及びこれらを含む有機基から選ばれる一種以上の親水性官能基を有するシリコーン化合物が、(A)成分の分散安定性のみならず、(B)成分揮発後の仕上がりが優れる点から好ましい。
【0035】
(C)成分の前記分子内に親水性官能基を有するシリコーン化合物としては、(C1)25℃における粘度が100mm2/s以上、好ましくは1,000mm2/s以上のシリコーンオイル〔以下、(C1)成分とする〕及び(C2)重量平均分子量が1,000以上、好ましくは2,000以上の架橋シリコーン樹脂〔以下、(C2)成分とする〕から選ばれる一種以上を用いる。ここで、(C2)成分の重量平均分子量は、ポリスチレンを標準とし、ゲル浸透型液体クロマトグラフィーにより求めたものである。
【0036】
本発明において、(C1)成分のシリコーンオイルはジメチルポリシロキサンを主骨格として、メチル基の一部以上が別の有機基に変性されたものを含むものであり、流動性がないものも(B)成分に溶解可能できるものであれば、本発明に含むものとし、(C2)成分の架橋シリコーン樹脂とは架橋構造の有無により分けるものとする。(C1)成分のシリコーンオイルのうち流動性がなく粘度測定の困難なものは、シリコーンガムと称される場合があるが、これは、本発明では(C1)成分に含むものとする。(C1)成分の粘度が100mm2/s以上である、あるいは(C2)成分の重量平均分子量が1,000以上であることで、処理表面の降雨に対する耐久性が良好となるため好ましい。
【0037】
本発明では、(C)成分の重量平均分子量が100万以下のものを用いることがより好ましい。ここで、(C)成分の重量平均分子量は、(C2)成分と同様に測定されたものである。
【0038】
これらの中でも、シリコーンオイルとしては、特にアミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、水酸基を有するシリコーンオイルが好ましい。一方シリコーンレジンとしては、水酸基を有するシリコーンレジン、特にM単位(トリメチルシルヘミオキサン)とQ単位(シリケート)から構成されるシリコーンレジン(トリメチルシロキシケイ酸)が好ましい。これらのシリコーン化合物は、異ポリマーとの共重合体として用いてもかまわず、また複数を組み合わせて使用してもかまわない。
【0039】
本発明の撥水コーティング剤組成物中の(C)成分の含有量は0.0005〜5質量%が好ましく、0.001〜0.5質量%が更に好ましい。0.0005質量%以上では、(A)成分の最適かつ良好な分散性能が得られ、5質量%以下では、(A)成分による凹凸の形成を阻害せず、良好な撥水性能や仕上がりが得られる。
【0040】
本発明では、(A)成分の(B)成分中での分散性能は、(C)成分の添加に影響される。さらには(C)成分同士あるいは(C)成分の親水性官能基と(A)成分との相互作用の強さにより、(A)成分の(B)成分中での分散の形態が変化する。例えば、(C)成分としてアミノ変性シリコーンオイルを用い、(A)成分として表面に一部水酸基を有する疎水性シリカ(シリカ表面をトリメチルシリル化処理したもの)を用い、(B)成分としてiso−パラフィンを用いる場合を例にとると、一分子当たりのアミノ基数が多いアミノ変性シリコーンを用いる場合(すなわちアミノ当量が小さい場合、特には300〜5000の範囲の場合)は、疎水性シリカ同士をアミノ基により連結させるように作用し、三次元的な網目構造を形成して分散され、逆に一分子当たりのアミノ基数が少ないアミノ変性シリコーンを用いる場合(すなわちアミノ当量が大きい場合、特には5,000〜50,000の範囲の場合)疎水性シリカ同士の連結を阻害するように作用し、比較的小さい凝集粒子として分散される。
【0041】
前者の場合(三次元的な網目構造を形成して分散される場合)、対象物にコーティングして乾燥後に形成されるコーティング膜は非透明性でやや白濁しており、干渉縞は観察されない場合が多い。一方後者の場合(比較的小さい凝集粒子を形成する場合)、対象物にコーティングして乾燥後に形成される膜は比較的均一で、若干の干渉縞が観察される場合がある。前者及び後者の場合ともに撥水性能は良好であり、何れも(C)成分として使用可能であり、干渉縞の無い仕上がりが求められる場合は前者を、コーティング膜の透明性が求められる場合には後者を用いるのが好ましい。しかしながら、干渉縞は日中の屋外等の比較的明るい環境にて見出されるため、自動車用の撥水コーティング剤として用いる場合は、前記でいうところのアミノ当量は小さい方が好ましい。なお、(C2)成分としてトリメチルシロキシケイ酸を用いる場合も同様であり、分子内に水酸基が多い場合は、分散性が優れるため均一な膜を形成しやすいが、光源下では干渉縞が現れやすくなり、一方で、分子内に水酸基が少ない場合は、干渉縞は改善されるが、塗付時の透明性に留意する必要がある。
【0042】
本発明では、(C)成分は、(A)成分の(B)成分中での分散性と、対象物にコーティングして乾燥後の仕上がりとを考慮した場合、(A)成分/(C)成分を質量比で、1/50〜10,000/1、更に3/5〜3,000/1で配合することが望ましい。
【0043】
本発明では、形成されるコーティング膜は非透明性であることが好ましい。ここでいう非透明性とは、以下の方法により測定した時の透過率が99.99%以下、好ましくは99.90%以下、特に好ましくは99.50%以下である場合をいう。
【0044】
<透過率測定方法>
スライドガラス(マイクロスライドガラス;マツナミ製No.S-1225)片面に(A)成分と(C)成分の質量が合計0.18g/m2となるように塗布し、80℃に保温したホットプレート上で1時間乾燥する。測定波長660nmにて、スライドガラスのみで測定した透過率を100%とし、前記乾燥後のスライドガラスの透過率を10ヶ所測定し、その平均値を透過率とする。
【0045】
コーティング膜を非透明性とすることで、特に自動車の塗装表面に塗布した時に観察される干渉縞を目立ちにくくすることが可能となる。
【0046】
また本発明では、対象物にコーティングし、(B)成分が揮発した後に形成されるコーティング膜が、雨や雪等の気象因子に対しては良好な耐久性を有するが、通常の洗車作業により容易に除去できることが望ましい。
【0047】
すなわち、コーティング膜に塗りムラの発生した場合や汚れを巻き込んだ場合、コーティング膜ごと除去する必要がある。ところがこの時に、対象物または面に比較的多量のバインダー樹脂等を用いて強固に(A)成分を固着させた場合、気象因子に対する耐久性は良好である反面、通常の洗車では完全に除去することができず、その上から再度コーティングを行っても良好な仕上がりが得られない。
【0048】
通常の洗車にて容易に除去でき、かつ気象因子に対する耐久性が良好である目安として、コーティング膜の鉛筆引っかき値(JIS K 5400)が6B以下であり、かつ下記に示す耐水性試験が3回以上であることが好ましい。
【0049】
なお、耐水性試験、すなわち雨や雪等の気象因子に対する耐久性を向上させるためには、前記(C1)成分として25℃における粘度が10万mm2/s以上のシリコーンオイルやシリコーンガム(シリコーンオイルのうち流動性がなく粘度測定の困難なもの)を添加あるいは併用することが有効である。
【0050】
<耐水性試験>
トリガースプレーを装着した市販洗浄剤ボトル(かんたんマイペットボトル 花王(株))に蒸留水を入れ、コーティング被膜表面に3cmの距離からスプレーし、剥離するまでの回数を測定する。
【0051】
前述したように、本発明では(A)成分が(C)成分とともに(B)成分の溶媒中に分散されて撥水コーティング剤組成物を構成する。本発明にて使用する(A)成分は超微粒子であり、良好な分散性能を得るためにはコロイドミル、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、三本ロールミル、ニーダー及びエクストルーダー、超音波分散あるいはハイスピードディスパーサー等を用いて製造することができる。
【0052】
分散力が弱すぎる場合、コーティング膜中の分散不良による凝集粒子が混在し、良好な仕上がりが得られないばかりか、撥水性も不良となる場合がある。一方で、(C)成分として親水性官能基が少ないシリコーン化合物(例えば、アミノ当量が5000〜50000g/mol)を用いる場合、撥水コーティング剤組成物の調製に過度の分散力を与えると、輝度性の高い表面上での干渉縞が顕著となる傾向がある。従って、組成物の調製に係る分散力については十分注意すべきである。
【0053】
また、本発明の撥水コーティング剤組成物は、そのコーティング方法については特に限定されず、従来のコーティング方法を適用することができる。すなわち、刷毛塗り、エアガンあるいはエアレスガン塗装機による直接コーティング、エアゾールスプレーあるいはトリガースプレー形態にて直接スプレーコーティング、ローラー式刷毛を用いたコーティング、シート状基体にてコーティング等何れでも良い。
【0054】
また、本発明では、対象物に該撥水コーティング剤組成物を塗布する際の塗布量も重要な因子となる。すなわち、傾斜面や垂直面(自動車のドア部分等)に過剰塗布する場合、乾燥過程で液ダレが生じ、均一な仕上がりが得られないばかりか、形成されるコーティング膜が厚いため、可視光乱反射が激しくなるためコーティング膜が白化し、良好な仕上がりが得られにくくなり好ましくない。一方、塗布量が少なすぎる場合、必要十分なコーティング膜厚が得られないため、対象物に十分な撥水性が得られないため好ましくない。好ましい塗布量としては4〜25g/m2、特に好ましくは6〜20g/m2である。
【0055】
また、本発明の効果を阻害しない限り、本発明の組成物に必要があれば香料、防腐剤、消泡剤、界面活性剤、着色剤、ワックス成分、アルカリ剤、UV吸収剤、光安定剤、増粘剤、触媒、硬化剤、酸化防止剤、水等を配合しても良い。しかしながら、汚れが付着した時の剥離性を向上させるため、(C)成分以外の樹脂、具体的にはアクリル樹脂等で知られている表面疎水性超微粒子を対象表面に固着させるためのバインダー樹脂の配合濃度は1質量%以下、好ましくは実質的に含有しない(0.1質量%以下)ことが好ましい。また、本組成物は一液型であっても二液型であってもかまわない。
【0056】
本発明の最も好ましい組成を以下に示す。
(A)疎水性シリカ(ヘキサメチルジシラザンにより表面をトリメチルシリル化一次粒子の平均径7〜20nm) 0.5〜3質量%
(B)iso−パラフィン又はn−パラフィン(炭素数10〜20) 残部
(C)アミノ変性シリコーンオイル(25℃における粘度1,000〜70,000mm2/s、アミノ等量300〜5,000)0.001〜0.3質量%及びその他成分(シリコーンガム、香料、酸化防止剤等)を含有し、
(C)成分以外の樹脂を実質的に含有しない(特には0.1質量%以下)撥水コーティング剤組成物。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、長期にわたって優れた撥水性、防汚性を発現するだけでなく、剥離が容易なコーティング膜を簡単な処理で形成できる撥水コーティング剤組成物が得られる。本発明の撥水コーティング剤組成物は、撥水性が要求される種々の物質に適用でき、例えば屋外に存在する撥水を必要とする表面、好ましくは自動車用として好適に使用される。
【0058】
【実施例】
実施例1
<撥水コーティング剤組成物の調製>
(A)〜(C)成分を表1に示した配合割合で混合し、超音波洗浄器(ヤマト科学株式会社製ブランソニック251J−DTH)にて90分間分散し(配合例13のみ300分間分散)、撥水コーティング剤組成物を調製した。
【0059】
<性能評価方法>
表1に示した撥水コーティング剤組成物を、実際の自動車と同等の黒色メタリック塗装が施されたプレート(70mm×150mm、以後塗装プレートと呼ぶ)に12g/m2となるようにコーティングし、80℃に保温したホットプレート上にて1時間乾燥し、塗布面の蒸留水の接触角、干渉縞、白化、鉛筆硬度、降雨耐久性、形成されたコーティング膜の非透明性及び防汚性を以下に示す方法にて評価した。
【0060】
(接触角)
協和界面化学製CA−X150型により蒸留水滴下量10μLの接触角を測定した。
【0061】
(干渉縞及び白化)
日中の屋外の日陰にて、干渉縞及び白化を下記の判定基準で3人のパネラーにより判定した。判定結果を平均し、平均点が1以上2未満の場合を○、2以上3未満を△、3以上を×とした。
【0062】
干渉縞判定基準
干渉縞が見られない:1
やや干渉縞が見られるが満足できるレベルである:2
干渉縞が見られる:3
かなり干渉縞が見られる:4
白化判定基準
白化が見られない:1
やや白化が見られるが満足できるレベルである:2
白化が見られる:3
かなり白化が見られる:4。
【0063】
(鉛筆硬度)
JIS K 5400に準じてコーティング膜の鉛筆引っかき値を測定した。なお6Bにて傷が付く場合は6B以下と表示した。
【0064】
(降雨耐久性)
トリガースプレーを装着した市販洗浄剤ボトル(かんたんマイペットボトル、花王(株))に蒸留水を入れ、コーティング被膜表面に3cmの距離からスプレーし、剥離するまでの回数を測定し、スプレー回数が5以上の場合を○、3以上5未満の場合を△、3未満の場合を×とした。
【0065】
(コーティング膜の非透明性)
スライドガラス(マイクロスライドガラス;マツナミ製No.S-1225)片面に(A)成分と(C)成分の質量が0.18g/m2となるように塗布し、80℃に保温したホットプレート上で1時間乾燥させた。測定波長660nmにて、スライドガラスのみで測定した透過率を100%とし、前記コーティング及び乾燥後のスライドガラスの透過率を10ヶ所測定し、その平均値を算出した。
【0066】
(防汚性)
45°の角度を有する屋外暴露試験台に装着して2週間(雨天日3日)暴露後、下記の判定基準で3人のパネラーにより判定した。判定結果を平均し、平均点が1以上2未満の場合を○、2以上3未満を△、3以上を×とした。
【0067】
防汚性判定基準
汚れの付着が見られない:1
やや汚れの付着が見られるが満足できるレベルである:2
汚れの付着が見られる:3
かなり汚れの付着が見られる:4
【0068】
【表1】
【0069】
(注)表中の成分は以下の通りである。
1)疎水性シリカ(1):RX300(日本アエロジル製、一次粒子の平均径7nm、シリカ表面をヘキサメチルジシラザン処理、超微粒子表面の蒸留水の接触角155°)
2)疎水性シリカ(2):RX50(日本アエロジル製、一次粒子の平均径40nm、シリカ表面をヘキサメチルジシラザン処理、超微粒子表面の蒸留水の接触角155°)
3)シリコーン粒子:トスパール120(ジーイー東芝シリコーン製、一次粒子径2μm、シリコーンレジン粒子、粒子表面の水の接触角123°)
4)n−ドデカン:和光純薬工業製、沸点216.3℃
5)イソパラフィン:IPソルベント2028(出光石油化学製、沸点262℃)
6)デカメチルシクロペンタシロキサン:KF995(信越化学工業製、沸点210℃)
7)n−ヘキサン:和光純薬工業製、沸点68.7℃
8)アミノ変性シリコーン(1):BY16−849(東レ・ダウコーニング・シリコーン製、25℃における粘度1,300mm2/s、アミノ当量600g/mol)
9)アミノ変性シリコーン(2):KF8005(信越化学工業製、25℃における粘度1,200mm2/s、アミノ当量1,100g/mol)
10)ポリエーテル変性シリコーン:KF6015(信越化学工業製、25℃における粘度150mm2/s)
11)シリコーンレジン:KF7312J〔信越化学工業製、重量平均分子量4,200のトリメチルシロキシケイ酸をデカメチルシクロペンタシロキサンで希釈したもの、トリメチルシロキシケイ酸/デカメチルシクロペンタシロキサン=50/50(質量比)〕
12)ジメチルシリコーン(1):KF−96A−1000cs(信越化学工業製、25℃における粘度1,000mm2/s)
13)ジメチルシリコーン(2):TSE200A(ジーイー東芝シリコーン製、シリコーンガム)
14)非イオン界面活性剤:ラウリルアルコールにエチレンオキサイドを6モル付加させた非イオン界面活性剤
15)カチオン界面活性剤:ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド。
【0070】
実施例2
実施例1の配合例8を用いて、自動車の塗装表面以外の用途に使用した例について説明する。
【0071】
<網戸>
配合例8を15g/m2となるようにスプレーコーティングして乾燥させたポリプロピレン製網戸に水をかけたところ、優れた撥水性を示し、干渉色や白化は全く見られなかった。また1ヶ月後に汚れの付着具合を観察したところ、コーティングしていない部分よりも綿埃、土埃の付着が明らかに少なく、撥水性も良好であった。
【0072】
<窓ガラス>
配合例8を10g/m2となるようにコーティングして乾燥させた屋外側窓ガラスに水をかけたところ、優れた撥水性を示し、やや干渉色が見られるが問題のない仕上がりを示した。また1ヶ月後に汚れの付着具合を観察したところ、コーティングしていない部分よりも土埃の付着が明らかに少なく、撥水性も良好であった。
【0073】
<雨傘>
配合例8を20g/m2となるようにスプレーコーティングして乾燥させた雨傘に水をかけたところ、優れた撥水性を示し、干渉色や白化は全く見られなかった。この雨傘を雨天時に使用したところ、撥水性が良好であり、コーティング面がほとんど雨に濡れていないために車内、電車内、建物内に持ち込む時に好都合であった。
【0074】
<雨合羽>
配合例8を20g/m2となるようにスプレーコーティングして乾燥させた雨合羽に水をかけたところ、優れた撥水性を示し、干渉色や白化は全く見られなかった。この雨合羽を雨天時に使用したところ、撥水性が良好であり、コーティング面がほとんど雨に濡れていないために使用後に干す必要がなく、好都合であった。
Claims (7)
- 下記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する撥水コーティング剤組成物。
(A)成分:一次粒子の平均径が1μm以下であって、且つ(B)成分に溶解せず、且つ表面に親水性官能基を有する表面疎水性超微粒子
(B)成分:炭化水素系溶媒およびシリコーン系溶媒の一種以上からなる、沸点が100℃〜360℃の揮発性溶媒
(C)成分:(B)成分の揮発性溶媒に溶解することができ、非揮発性のシリコーン化合物 - (C)成分が、(C1)25℃における粘度が100mm2/s以上のシリコーンオイル、及び(C2)重量平均分子量が1,000以上の架橋シリコーン樹脂から選ばれる一種以上である請求項1記載の撥水コーティング剤組成物。
- (A)成分の親水性官能基が、水酸基、アミノ基、、ポリエーテル基、カルボキシル基及びこれらを含む有機基から選ばれる一種以上である請求項1又は2何れか1項記載の撥水コーティング剤組成物。
- (C)成分が、親水性官能基を有するシリコーン化合物である請求項1〜3何れか1項記載の撥水コーティング組成物。
- (C)成分の親水性官能基が、水酸基、アミノ基、ポリエーテル基、カルボキシ基及びこれらを含む有機基から選ばれる一種以上である請求項4記載の撥水コーティング剤組成物。
- 非透明性のコーティング被膜を形成する請求項1〜5何れか1項記載の撥水コーティング剤組成物
- 自動車用である請求項1〜6何れか1項記載の撥水コーティング剤組成物。
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