JP2004194803A - 医療用チューブ - Google Patents

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Yoshio Nishihara
義夫 西原
Rina Sakazume
里奈 坂爪
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KIMURA FAIN TSUSHO KK
Nihon Matai Co Ltd
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KIMURA FAIN TSUSHO KK
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Abstract

【課題】耐キンク特性とともに、成形性、柔軟性、透明性、ポートとのアセンブリー加工性に優れ、さらに121℃のスチーム滅菌処理に対する耐熱性にも優れた医療用チューブを提供すること。
【解決手段】室温でキシレンに可溶な成分を10〜60重量%含み、室温でキシレンに可溶な成分中のプロピレン以外の炭素数2〜8のα-オレフィンの含有量が20重量%以下であるプロピレン系樹脂を80〜20重量%含有する樹脂組成物からなる医療用チューブであり、好適には樹脂組成物は、プロピレン系樹脂80〜20重量%とスチレン系エラストマー20〜80重量%とを含有する。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の輸液および排液システムに使用される医療用チューブに関し、詳しくは、耐キンク特性と柔軟性に優れ、さらに121℃のスチーム滅菌処理に対する耐熱性にも優れた新規な医療用チューブに関する。
【0002】
【従来の技術】
医療用チューブは、薬液や血液をバッグ容器から人体に投与し、あるいは体液や排液を人体から外部へ排出することを目的としたもので、腹膜透析あるいは血液透析を初め、さまざまな医療システムにおいて非常に多く使用されている。このような医療用チューブは、通常直径が1〜10mm、厚さが0.05〜3mmの単層もしくは厚さ方向で2層以上の多層構造で、断面形状が一般的には円形のプラスチック製チューブである。
【0003】
上記の医療用チューブは、実用に際して外部応力やチューブの形状に追随して座屈することなく撓むことにより、チューブ内の液体が滞留しないような特性、即ち耐キンク特性を有することが重要である。耐キンク性は、チューブの形状、寸法あるいは材料の機械的性質、とりわけ弾性率が大きく支配し、これらの三つの因子が相互に影響を及ぼす。
【0004】
医療用チューブの材料として、従来、塩化ビニル樹脂100重量部に各種の可塑剤を50〜100重量部添加した軟質塩化ビニル樹脂が耐キンク特性とともに、成形性、柔軟性、透明性、ポートとのアセンブリー加工性および経済性にも優れることから広汎に用いられてきた。しかしながら、近年急速に浮上してきた環境問題は、軟質塩化ビニル樹脂中の可塑剤に対する環境ホルモンの疑念および塩化ビニル樹脂に対する廃棄焼却時のダイオキシン発生の危惧から軟質塩化ビニル樹脂を直撃し、軟質塩化ビニル樹脂の使用、とりわけ食品、玩具あるいは医療器具などのように、直接人体に接触する可能性のある用途での使用は困難となってきた。
【0005】
このため、医療用チューブの材料として塩化ビニル系樹脂以外の樹脂が種々開発され、このような非塩化ビニル系樹脂を用いた医療用チューブが、例えば特許文献1、2、3に提案されている。
【特許文献1】特開2001-1432号公報(多層:フ゜ロフ゜ロヒ゜レン)
【特許文献2】特開2002-143293号公報(多層:スチレン/ホ゜リオレフィン/スチレン)
【特許文献3】特開2002-11092号公報(ウレタン)
【0006】
しかしながら、汎用の非塩化ビニル系樹脂は、単独では医療用チューブに必要とされる全ての特性、即ち耐キンク性、成形性、柔軟性、透明性、耐熱性などの特性を得ることが困難である。例えば、ホモ、ランダムあるいはブロックタイプの汎用のプロピレン系樹脂は耐熱性には優れるが、耐キンク特性や柔軟性に劣る。さらに上記の汎用のプロピレン系樹脂と、エチレンと少量のα-オレフィン、すなわちプロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1あるいはオクテン-1と共重合させたエチレン系エラストマーとの組成物も、耐キンク特性あるいは透明性の点で問題がある。
【0007】
また上記の汎用のプロピレン系樹脂と、特定のスチレン系エラストマーとの組成物は、汎用のプロピレン系樹脂の構成比が50重量%未満であると、耐キンク特性は多少改善されるのみであり、スチーム滅菌耐熱性が劣る傾向にあり、成形加工性あるいは経済性の点で問題がある。逆に、汎用のプロピレン系樹脂の構成比が50重量%以上であると、スチーム滅菌耐熱性は向上するが、耐キンク特性が悪くなる傾向にある。
【0008】
従って、従来の医療用チューブでは、特性の異なる樹脂を組み合わせた多層構造とし、医療用チューブに求められる各種特性を得るようにしている。例えば、上述した特許文献1及び2に開示される医療用チューブはいずれも多層チューブである。しかし、この場合、製造工程の複雑化に加え、層間の接着性或いは剥離性などの新たな問題を生じる。
【0009】
一方、一般に食品包装分野や上述した医療分野などにおいて、柔軟性、耐熱性及び透明性等を併せ持つ材料が要望されており、近年そのような材料として、ポリプロピレンを軟質化した材料が提案されている。例えば特許文献4、特許文献5、特許文献6には、透明性と柔軟性を改善した多段重合によるプロピレン重合体組成物が開示されている。しかしここで開示されたプロピレン重合体組成物は、最も柔軟なものでも曲げ弾性率300Mpa程度と報告されており、医療用チューブとしては十分な柔軟性を備えているとはいえない。また特許文献6にも、同様な多段重合によるプロピレン系重合体組成物が開示されており、曲げ弾性率100Mpa以下の柔軟性に優れるものも報告されているが、透明性の点で不充分である。
【0010】
【特許文献4】特開平9-324022号公報
【特許文献5】特開平10-316810号公報
【特許文献6】特開平6-25367号公報
またポリプロピレン系樹脂と他の樹脂とを配合した樹脂組成物として、特許文献7には、プロピレン及び/又は1-ブテン成分含有率が50重量%以上の非晶質ポリオレフィンと結晶性ポリプロピレンからなる樹脂組成物が開示されている。本発明者らの検討によれば、この樹脂組成物には、耐熱性と透明性を備え且つ曲げ弾性率100MPa前後の柔軟性を備えたものが存在するが、経時的に非晶質ポリオレフィンがブリードアウトし、表面がべたつくという問題が見られた。これは結晶性ポリオレフィンの、非晶質ポリオレフィンに対する親和性が乏しいためと考えられ、医療用チューブに適用した場合には、ブロッキングや塵等の付着の問題が生じる可能性がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の実情に鑑みなされたものであり、その目的は、各種の輸液および排液システムに使用される医療用チューブであって、耐キンク特性とともに、成形性、柔軟性、透明性、ポートとのアセンブリー加工性に優れ、さらに121℃のスチーム滅菌処理に対する耐熱性にも優れた医療用チューブを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特開2001-172454号公報に開示された、耐熱性、柔軟性、透明性及び引張破断点強度や耐衝撃性等の機械物性に優れている特定のプロピレン系樹脂に着目しこのプロピレン系樹脂とブレンド可能な樹脂について鋭意検討を重ねた結果、このプロピレン系樹脂を特定の割合で含む樹脂組成物を使用することにより、耐キンク性、耐熱性に優れた医療用チューブが得られること、また特に、特定のスチレン系エラストマー或いは特定の非晶性オレフィンを含有せしめることにより、柔軟性及び耐キンク性をさらに向上させうることを見出し、本発明の完成に至ったものである。
【0013】
すなわち、本発明の医療用チューブは、室温でキシレンに可溶な成分を10〜60重量%含み、室温でキシレンに可溶な成分中のプロピレン以外の炭素数2〜8のα-オレフィンの含有量が20重量%以下であるプロピレン系樹脂を80〜20重量%含有する樹脂組成物からなる医療用チューブである。
また本発明の医療用チューブは、上記プロピレン系樹脂80〜20重量%と特定のスチレン系エラストマー20〜80重量%とを含む樹脂組成物からなるものである。更に本発明の医療用チューブは、上記プロピレン系樹脂80〜20重量%と特定の非晶性オレフィン樹脂20〜80重量%とを含む樹脂組成物からなるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の医療用チューブの実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
本発明の第1の態様では、医療用チューブは特定のプロピレン系樹脂80〜20重量%とスチレン系エラストマー20〜80重量%とを含む樹脂組成物からなる。
【0016】
プロピレン系樹脂は、2段重合によって得られるものであり、第1段重合によって得られた成分(A)と第2段重合によって得られた成分(B)とを含有し、両成分の合計に対する成分(A)の割合が10〜60重量%で、成分(B)の割合が40〜90重量%である。第1段重合で得られる成分(A)は、アイソタクティックインデックスが90%以上のプロピレンを主成分とする重合体成分であり、第2段重合によって得られる成分(B)は、プロピレンとエチレンを必須成分とする、プロピレンと炭素原子数が8以下の他のα-オレフィンとの共重合体である。炭素原子数が8以下の、プロピレン以外のα-オレフィンとしては、例えば、エチレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等が挙げられる。
【0017】
ここで、成分(A)の割合が10重量%未満で成分(B)の割合が90重量%を超える場合は、プロピレン系樹脂の耐熱性が劣る傾向となり、成分(A)の割合が60重量%を超え、成分(B)の割合が40重量%未満の場合は、柔軟性と透明性が不十分となる。
【0018】
またこのプロピレン系樹脂は、室温でキシレンに不溶な成分(結晶性成分)が成分(A)および成分(B)を合わせた全重合体中の20〜70重量%であり、かつ室温でキシレンに可溶な成分(非結晶性成分)が全重合体中の10〜60重量%であって、室温でキシレンに可溶な成分中のプロピレン以外のα-オレフィンの含有量が20重量%未満である共重合体である。
ここで結晶成分の含有割合はアイソタクティックインデックスに実質的に対応し、成分(A)のアイソタクティックインデックスが90%未満であると、得られるプロピレン系樹脂の耐熱性が損なわれる。
【0019】
また、結晶性成分が全重合体の20重量%未満では、得られるプロピレン系樹脂の透明性が低下し、一方、70重量%超では柔軟性に劣る。非結晶性成分が全重合体の10重量%未満では、得られるプロピレン系樹脂の柔軟性が低下し、一方、60重量%超では耐熱性が劣る。さらに、非結晶性成分中のプロピレン以外のα-オレフィンの含有量が20重量%以上では、得られるプロピレン系樹脂の透明性が悪化する。
【0020】
このようなプロピレン系樹脂は、例えば、特開2001-172454号公報に開示される製造方法によって製造することができ、各成分(A)、(B)の含有量は各段階において重合させる単量体の量により、また成分(A)のアイソタクティックインデックスは使用する触媒の種類や重合条件や仕込み単量体の組成によりそれぞれ調節できる。さらに結晶性成分及び非結晶性成分についても、各段階で仕込む単量体の組成や各段階における重合体の生成量や触媒の種類の選択により調節が可能である。
【0021】
次にこのプロピレン系樹脂と配合するスチレン系エラストマーについて説明する。ここでスチレン系エラストマーとは、ビニル芳香族炭化水素・共役ジエンブロック共重合体の水素添加誘導体である。このブロック共重合体を構成する単量体のビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、α-メチルスチレン、(o-、m-、p-)メチルスチレン、1,3-ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられ、特にスチレンまたはα-メチルスチレンが好ましい。また共役ジエン単量体としては、ブタジエンおよび/またはイソプレンが好ましい。
【0022】
上記スチレン系エラストマー(水素添加ブロック共重合体)の分子構造は、直鎖状、分岐上、放射状、これら任意の組み合わせのいずれであってもよい。また重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定したポリスチレン換算値として、通常10〜50万である。重量平均分子量が10万未満では、ゴム弾性や機械的性質が劣り、50万を超えると、粘度が高くなり成形加工性が劣る。
【0023】
このようなブロック共重合体は、公知の製造方法、例えば特公昭40-23798号公報、特許第2764746号などに記載された方法により製造することができ、また特公昭42-8704号公報、特公昭43-6636号公報、特開昭59-133203号公報、特開昭60-79005号公報などに記載された方法により水素添加を行なうことができる。このようなスチレン系エラストマー(水素添加ブロック共重合体)としては、例えば、クレイトンポリマー社の「クレイトンG」、クラレ社の「セプトン」、「ハイブラー」、旭化成社の「タフテック」あるいはJSR社の「ダイナロン」などの市販品を挙げることができる。
【0024】
本実施形態の医療用チューブは、上述したプロピレン系樹脂80〜20重量%とスチレン系エラストマー20〜80重量%とを含む樹脂組成物から構成される。ここで、プロピレン系樹脂が80重量%を超え、スチレン系エラストマーが20重量%未満である場合には得られる医療用チューブは剛直になり、耐キンク特性が劣る。逆に、プロピレン系樹脂が20重量%未満で、スチレン系エラストマーが80重量%を超える場合には得られる医療用チューブは、柔軟性は良好であるが、スチーム滅菌耐熱性が劣る。
【0025】
この樹脂組成物には、その耐キンク特性、スチーム滅菌耐熱性を損なわない範囲で、エチレン系樹脂やエチレン系エラストマーあるいはプロピレン系樹脂やプロピレン系エラストマーなどを配合しても良い。また、本発明の効果を損なわない範囲で、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、マイカなどの各種の無機フィラー類や酸化防止剤、光安定剤、滑剤、アンチブロッキング剤などの各種の添加剤を配合しても良い。
【0026】
上記の樹脂組成物の配合方法には特に制限がなく、従来から慣用されている方法、例えば、ニーダー、バンバリーミキサーなどの混練機または単軸もしくは二軸押出機などを用いて加熱溶融下で混合することができる。あるいは、予め、組成物を溶融混練せずに、2種類の原料樹脂をドライブレンドしたものを用いることもできる。
【0027】
本実施形態の医療用チューブは、配合後の樹脂組成物を押出成形、射出成形などの従来から公知の成形方法によってチューブ状に成形することにより得られる。押出成形の場合には、押出機の先端に異形押出用ダイス(断面形状が円形のときは、丸型リップ取り付け)をセットし、円筒状に押出された溶融樹脂を空冷もしくは水冷する。好ましくは減圧状態に保持されたサイジング装置を通過させながら、チューブの形状を保持しながら冷却する。
【0028】
医療用チューブの形状は、例えば、直径1〜10mm、厚さ0.05〜3mm、断面形状が円形である。またこの樹脂組成物は、単独で、医療用チューブに必要とされる成形性、柔軟性、透明性、加工性、耐キンク性、耐熱性等の性質を備えているので、層構造は単層とすることができる。但し、本実施形態の医療用チューブは、厚さ方向で2層以上の多層構造としてもよい。この場合、上記の組成物からなる層を少なくとも1層以上含み、他の層には要求性能に応じて、他の樹脂や組成物を適宜選択できる。
【0029】
次に本発明の第2の態様による医療用チューブについて説明する。
本発明の第2の態様では、医療用チューブは、上記のプロピレン系樹脂80〜20重量%と20〜80重量%の非晶性オレフィン樹脂とを含む樹脂組成物からなる。
【0030】
次にこのプロピレン系樹脂と配合する非晶性オレフィン樹脂について説明する。この非晶性オレフィン樹脂は、プロピレンと1−ブテン及び/又はエチレンとからなる共重合体であって、重量平均分子量50000以上150000以下のものである。但し、プロピレンが50重量%未満であると、樹脂組成物の透明性が乏しくなる傾向となるため、プロピレンの含有量は50重量%以上とする。重量平均分子量が50000より小さいと、非晶性オレフィン樹脂が樹脂組成物からなるチューブの表面にブリードアウトしやすくなり、引張り破断点伸びも劣る傾向となる。一方、150000を超えると、樹脂組成物の流動性が低下する傾向となり、加工性が劣る。
【0031】
このような非晶性オレフィン樹脂は、公知の製造方法、例えば、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒等の均一系触媒の存在下、溶液法またはバルク法等のプロセスにより製造することができる。
【0032】
本実施形態の医療用チューブは、上述したプロピレン系樹脂20〜80重量%、好適には30〜70重量%と、非晶性オレフィン樹脂80〜20重量%、好適には70〜30重量%とを配合した樹脂組成物をチューブ状に成形することにより得られる。ここで非晶性オレフィン樹脂が20重量%未満で、プロピレン系樹脂が80重量%を超えた場合には、常温域での柔軟性が劣る傾向となる。一方、非晶性オレフィン樹脂が80重量%を超え、プロピレン系樹脂が20重量%未満の場合には、機械的強度や耐熱性が低下し、さらに非晶性オレフィン樹脂が樹脂組成物からなるチューブ表面にブリードアウトしやすくなり実用に適さない。
【0033】
また樹脂組成物には、プロピレン系樹脂と非晶性オレフィン樹脂との他に、その耐キンク特性、スチーム滅菌耐熱性を損なわない範囲で、エチレン系樹脂やエチレン系エラストマーあるいはプロピレン系樹脂やプロピレン系エラストマーなどを配合しても良い。また、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の酸化防止剤、中和剤、耐候剤、滑剤、核剤、帯電防止剤などの添加剤、炭酸力ルシウム、シリカ、タルク、マイカなどの各種の無機フィラー類などを配合しても良い。
【0034】
上記の樹脂組成物の配合方法には特に制限がなく、従来から慣用されている方法、例えば、ニーダー、バンバリーミキサーなどの混練機または単軸もしくは二軸押出機などを用いて加熱溶融下で混合することができる。あるいは、予め、組成物を溶融混練せずに、2種類の原料樹脂をドライブレンドしたものを用いることもできる。
【0035】
本実施形態の医療用チューブは、第1の態様による医療用チューブと同様に、配合後の樹脂組成物を押出成形、射出成形などの従来から公知の成形方法によって、例えば、直径1〜10mm、厚さ0.05〜3mm、断面形状が円形のチューブ状に成形することにより製造することができる。但し、本実施形態で用いる樹脂組成物は、第1の態様において用いた樹脂組成物に比べ、ややベタツキやすい特性を有する。従って単層とすることも可能であるが、好適には内層、外層を備えた多層構造とし、これらの中間層とすることが好ましい。この場合、内層、中間層及び外層の厚みの比率は特に限定されないが、内層/中間層/外層を1/1/1〜1/5/1の範囲とすることにより、医療用チューブとして必要な透明性、柔軟性及び耐熱性を確保することができ、またアセンブリー加工性も良好である。なお、内層及び外層を構成する樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、ランダム或いはブロック共重合体のポリプロピロピレン、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン系重合体、無水マレイン酸等で変性された接着性ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル等を挙げることができる。特にランダム共重合体のポリプロピロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体が好適である。
【0036】
【実施例】
以下、実施例を用いてさらに具体的に本発明を説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。尚、以下の実施例において「部」及び「%」は、特に断らない限り、それぞれ「重量部」、「重量%」を示す。
以下の実施例及び比較例でそれぞれ用いた樹脂とその略称及び特性(メルトフローレート(MFR、230℃)、曲げ弾性率(Mpa)及び引張降伏強度(MPa))を表1に示す。
【0037】
【表1】
Figure 2004194803
【0038】
1.樹脂組成物の成形
<実施例1>
プロピレン系樹脂(2段重合プロピレン系樹脂、ゼラス7023:三菱化学)及びスチレン系エラストマー(水添スチレンブタジエンゴム、ダイナロン1320P:JSR)をそれぞれ50部ずつドライブレンドしたものを、チューブ成形装置(50mmφ単軸押出機:小野製作所)を用い、ダイス設定温度220℃、吐出量30kg/時間で中空状に押出し、水冷式真空サイジングダイで成形冷却後、キャプスタン型引取機にて巻き取り、外径6.5mmφ、厚さ0.8mmのチューブを得た。一方、この樹脂組成物の特性を測定するためのシートとして、同配合比の樹脂ブレンドをホットプレスを用い、設定温度200℃、プレス圧力10Mpaで溶融プレス後、常温の水に投入し、0.5mm厚さのシートを得た。
【0039】
<実施例2、3及び比較例1、2>
プロピレン系樹脂及びスチレン系エラストマーとして実施例1と同じものを用い、但し、その配合割合を表2に示すように変えて、実施例1と同様に外径6.5mmφ、厚さ0.8mmのチューブ及び0.5mm厚さのシートを得た。
【0040】
<実施例4>
実施例1で用いたスチレン系エラストマーの代わりに種類の異なるスチレン系エラストマー(スチレンエチレンブタジエンブロック共重合体、タフテックH1062:旭化成)を用い、それ以外は実施例1と同様に外径6.5mmφ、厚さ0.8mmのチューブ及び0.5mm厚さのシートを得た。
【0041】
<比較例3>
実施例1で用いたプロピレン系樹脂の代わりに種類の異なるプロピレン系樹脂(ランダムポリプロピレン、ノバテックEG7C:日本ポリケム)を用い、それ以外は実施例1と同様に外径6.5mmφ、厚さ0.8mmのチューブ及び0.5mm厚さのシートを得た。
【0042】
<比較例4>
プロピレン系樹脂及びスチレン系エラストマーとして比較例1と同じものを用い、但し、その配合割合を表2に示すように変えて、実施例1と同様に外径6.5mmφ、厚さ0.8mmのチューブ及び0.5mm厚さのシートを得た。
【0043】
<比較例5>
実施例1で用いたスチレン系エラストマーの代わりに種類の異なるエチレン系エラストマー(エチレンブテン-1共重合体、タフマーA1085:三井化学)を用い、それ以外は実施例1と同様に外径6.5mmφ、厚さ0.8mmのチューブ及び0.5mm厚さのシートを得た。
【0044】
<実施例5および比較例6、7>
プロピレン系樹脂(2段重合プロピレン系樹脂、ゼラス7023:三菱化学)及び非晶性オレフィン樹脂(プロピレン−ブテン2元系共重合体、ウベタックUT2780:宇部興産)を用い、但し、その配合割合を表2に示すように変えて、実施例1と同様に外径6.5mmφ、厚さ0.8mmのチューブ及び0.5mm厚さのシートを得た。
【0045】
【表2】
Figure 2004194803
【0046】
2.物性の評価
1)弾性率(MPa)及び柔軟性
上記実施例及び比較例で得られた0.5mmのシートをJIS2号型ダンベルで打ち抜いた引張試験用試験片について、JISK7113「プラスチックの引張試験方法」に準拠して、チャック間距離80mm、クロスヘッド速度50mm/分で常温での引張試験を行い、柔軟性の目安となる弾性率を求めた。結果を表2に示す。表中、弾性率はMPaを単位とする数値で、柔軟性は弾性率150MPa以下を○(柔軟性良好)、150MPaを超える場合を×(柔軟性不足)として示した。
【0047】
2)ヘイズ(%)及び透明性
上記シートについて、JISK7105「プラスチックの光学的特性試験方法」に準拠して、ヘイズメータによりヘイズ(入射光に対する出射光の割合%)を測定するとともに、ヘイズ値が10未満である場合を透明性が良好(○)、10以上の場合を透明性が劣る(×)と評価した。結果を表2に示す。
【0048】
3)耐熱性
上記シートについて、20×100mm角の短冊状に打ち抜いた2枚を重ねて、120℃の恒温槽中に60分の放置した後、取り出して室温まで冷却して2枚のシートのブロッキング性を評価した。容易にシートが剥がれるものを耐熱性が良好(○)、ブロッキングが著しくて剥離しにくいものを劣る(×)と評価した。結果を表2に示す。
【0049】
4)曲率半径(mm)及び耐キンク性
上記実施例及び比較例で得られたチューブをループ状に曲げて、その両端を2個のチャックに固定し、チャックの感覚を次第に狭めていき、チューブの折れ曲がりが発生したときのチャック間距離から曲率半径の下限値を求めた。この曲率半径が25mm以下の場合を耐キンク性が良好(○)、25〜30mmの場合をやや劣る(△)、30mmを超える場合を劣る(×)と評価した。結果を表2に示す。
【0050】
表2に示す結果からもわかるように、実施例1〜4で得られたチューブはいずれも耐キンク性、耐熱性に優れ、また試験片についての結果からも明らかなように柔軟性、透明性も優れるものであった。また、実施例5で得られたチューブもややべたつきがあるものの、耐キンク性、柔軟性、透明性に優れており、多層構造にすることで欠陥を克服できることが示された。
【0051】
これに対し、プロピレン系樹脂の割合が多すぎる場合にも少なすぎる場合にも、すべての評価で良好な結果を得ることはできず、具体的にはプロピレン系樹脂が90%のものでは柔軟性、耐キンク性が劣り、一方プロピレン系樹脂が10%のものでは十分な耐熱性が得られなかった。
またプロピレン系樹脂として、本発明のプロピレン系樹脂とは異なる樹脂を用いた場合や、スチレン系エラストマーの代わりにエチレン系エラストマーを用いたものでは、柔軟性、透明性、耐キンク性、耐熱性のいずれかが劣り、これら単独では医療用チューブとして不適当であることが示された。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、軟質ポリ塩化ビニルと同様に、曲げ弾性率100MPa前後の室温域における柔軟性、透明性、強度および耐熱性とのバランスに優れた医療用チューブを提供することができる。

Claims (7)

  1. 室温でキシレンに可溶な成分を10〜60重量%含み、室温でキシレンに可溶な成分中のプロピレン以外の炭素数2〜8のα-オレフィンの含有量が20重量%以下であるプロピレン系樹脂を80〜20重量%含有する樹脂組成物からなる医療用チューブ。
  2. 請求項1記載の医療用チューブであって、前記樹脂組成物は前記プロピレン系樹脂80〜20重量%とスチレン系エラストマー20〜80重量%とを含有することを特徴とする医療用チューブ。
  3. 前記プロピレン系樹脂は、第1段重合によって得られた下記(A)成分と第2段重合によって得られた下記(B)成分とを含有し、両成分の合計量に対する(A)成分の割合が10〜60重量%で、(B)成分の割合が40〜90重量%であり、
    且つ室温でキシレンに不溶な成分が成分(A)および成分(B)を合わせた全重合体中の20〜70重量%であり、かつ室温でキシレンに可溶な成分が成分(A)および成分(B)を合わせた全重合体中の10〜60重量%であって、室温でキシレンに可溶な成分中のプロピレン以外のα-オレフィンの含有量が20重量%未満である共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用チューブ。成分(A)とは、アイソタクティックインデックスが90%以上のプロピレンを主成分とする重合体成分であり、成分(B)とは、プロピレンとエチレンを必須成分とする、プロピレンと炭素原子数が8以下の他のα-オレフィンとの共重合体である。
  4. 前記スチレン系エラストマーが、ビニル芳香族炭化水素・共役ジエンブロック共重合体の水素添加誘導体である請求項2又は3に記載の医療用チューブ。
  5. 前記樹脂組成物の単層からなる請求項1ないし4いずれか1項記載の医療用チューブ。
  6. 請求項1記載の医療用チューブであって、前記樹脂組成物は前記プロピレン系樹脂の他に、プロピレンを50重量%以上と1−ブテン及び/又はエチレンとを含む、重量平均分子量50000以上150000以下の非晶性オレフィン樹脂20〜80重量%を含有することを特徴とする医療用チューブ。
  7. 複数の層からなる医療用チューブであって、少なくとも中間層が、請求項1記載のプロピレン系樹脂80〜20重量%、及びプロピレンを50重量%以上と1−ブテン及び/又はエチレンとを含む、重量平均分子量50000以上150000以下の非晶性オレフィン樹脂20〜80重量%を含有する樹脂組成物からなる医療用チューブ。
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