JP2004194021A - 位相補償復調器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】データチャネル、制御チャネル及び第2制御チャネルを用いる移動体通信システムの復調器において、制御チャネルに含まれるパイロット信号から推定して得られる位相成分と、第2制御チャネルの繰返し信号から推定して得られる位相誤差とを合成する合成器503を備えて、この合成器出力で、データチャネルの位相補償信号を得て、位相を補償するようにした。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、移動体通信システムに用いられる復調器の精度向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
第3.5世代移動体通信として、3GPP(3rd generation partnership project)においてdownlink無線通信を高速に行うための規格(HSDPA:High Speed Downlink Packet Access)が定められている。
HSDPAにおいては3GPP規格TS25.211 v5.1.0に示されるように、通信の信頼性を高めるため、基地局から端末へのdownlink伝送において端末が正しく受信できなかった場合、端末は基地局に対してuplink伝送にて再送要求を行うことができる。また、端末はuplink伝送にて通信品質に関する情報を基地局に対して送出することができる。これらの情報を伝送するためのチャネルとしてHS−DPCCH(HSDPA用制御チャネル)が規定されており、従来の第3世代移動体通信のuplink伝送でも用いられているチャネルDPDCH(データチャネル)、及びDPCCH(制御チャネル)とともに多重化されて伝送される。
【0003】
HS−DPCCHのフォーマットを図12に示す。
図のように、HS−DPCCHはACK(Acknowledgement)/NACK(non‐Acknowledgement)信号により再送の要否を通知するためのHARQ−ACKと、通信品質を通知するためのCQIから構成されている。HARQ−ACKは信頼性を高めるために同一信号を複数回反復して送信し(kackビット)、CQIについては誤り訂正符号化((kcqi,kcqi _ org)符号化)を行うことによりデータの信頼性を高めている。図のようなHARQ−ACK及びCQIの1周期の単位をサブフレームと呼んでいる。
基地局において復調処理を行う際には、通信路でのフェージング等による位相及び振幅変動を補正するために、DPCCHにおける既知信号であるパイロットデータを用いて伝送路特性を推定し、この結果を用いてDPDCH受信信号の補正を行う。HS−DPCCHについても同様にDPCCHのパイロットデータより伝送路特性を推定し、これを用いて受信HS−DPCCH信号の補正を行う。
図11は例えば、特許文献1に示された従来の移動体通信システム基地局の復調器の構成を示す図である。
【0004】
次に動作について説明する。まず復調器に入力された信号を用いてパスサーチ部4によりパス検出が行われる。検出されたパス情報に基づき、以下の手順でDPDCH、DPCCH、及びHS−DPCCHの復調が行われる。
DPCCHは逆拡散部201によって逆拡散を行った後、パイロットシンボル抽出部202によって抽出されたパイロットシンボルを用いて伝送路推定部203及び204において位相及び振幅誤差の推定を行う。HS−DPCCH信号についても同様に、逆拡散部301によって逆拡散を行った後、上記伝送路推定部204で計算された推定伝送路特性を用いて受信シンボルの位相および振幅の補正を位相振幅補償部302において行う。この結果をRAKE合成部303にて合成した後、HARQ−ACKとCQIに分離され、HARQ−ACKについては判定処理部304によりACK/NACK判定を行う。またCQIについてはCQI復号部304において復号処理が行われる。DPDCHにおいても同様に逆拡散部101によって逆拡散を行った後、遅延回路102を経て、位相振幅補償部103において上記伝送路推定部203で計算された推定伝送路特性を用いて受信シンボルの位相および振幅の補正を行う。位相および振幅補償されたDPDCH受信信号はレイク合成部104にて合成された後、出力される。
【0005】
次に伝送路推定の原理について示す。パイロットシンボルはDPCCH1スロットにおいてNp個挿入されている。第nスロットの第mシンボルの複素インパルスレスポンスの推定値をhハット(n,m)とすると、同期加算後の複素インパルスレスポンスは次の(式1)のようになる。さらに前後の複数スロットのパイロットシンボルを用いることにより次の(式2)のようになる。
【0006】
【数1】
【0007】
こうして推定伝送路特性が得られる。
ここでαi(≦1)は重み係数である。相関の高い前後のスロットの推定値を用いることにより伝送路推定の精度を向上できる。
位相振幅補償部103、302では上記の推定伝送路特性の複素共役値をそれぞれDPDCH、HS−DPCCHに乗ずることにより位相補正を行う。
(式2)のように複数スロットの推定値を使用して伝送路推定を行った場合は、伝送路推定部203の計算において遅延が発生する。そのためDPDCH信号については位相振幅補償部302の前に遅延回路102を介し、位相および振幅の補償を行うときのタイミングを合わせている。一方HS−DPCCH信号についてはフィードバックに使用するため高速に受信する必要があり、一般的に伝送路推定部204については使用するスロット数は1もしくは伝送路推定部203より小さい数となる。
【0008】
次に送信電力制御等で必要となるSIRの計算について述べる。SIR計算は図中のSIR計算部205においてパイロット信号より計算される。具体的な計算方法は例えば、非特許文献1等に示されており、以下のようになる。
パイロットシンボルはDPCCH1スロットにおいてNp個挿入されているとし、第nスロットの第mパイロットシンボルの逆拡散後の信号をy(n,m)とすると、第nスロットの信号電力Sチルダ(n)は、次の(式3)で表わされる。次に、第nスロットにおける干渉電力Iチルダ(n)は、次の(式5)で得られる。
【0009】
【数2】
【0010】
この干渉電力は次の(式6)のように複数スロットに渡り電力平均することにより、より高精度に干渉電力平均値を求めることができる。
ただし、μ(<1)は忘却係数である。従って、第nスロットのSIRλチルダ(n)は、次の(式7)で表わされる。また、複数のパスが存在する場合には各パスごとのSIRの総和は(式8)で表わされ、それが第nスロットのSIR値となる。
【0011】
【数3】
【0012】
【特許文献1】
特開2000−4212号公報
【非特許文献1】
立川監修「W−CDMA移動通信方式」(丸善株式会社、2001)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べてきた従来の移動体通信システム復調器では、位相及び振幅補償をDPCCHパイロット信号によって得られる推定伝送路特性のみを用いて行っていたため、補償精度の点で課題がある。また、SIR測定をDPCCHパイロット信号のみを用いて行っていたため、測定精度が必ずしも高くはないという課題もある。
【0014】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、DPDCH受信信号の位相及び振幅補償あるいはS/Nの精度を向上させることを目的とする。また、SIR測定の精度を向上させることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る位相補償復調器は、データチャネル、制御チャネル及び第2制御チャネルを用いる移動体通信システムの復調器において、制御チャネルに含まれるパイロット信号から推定して得られる位相成分と、第2制御チャネルの繰返し信号から推定して得られる位相誤差とを合成して、データチャネルの位相補償信号を得るようにした。
【0016】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における移動体通信システム復調器の構成を示す図である。
図において復調器は、受信信号に多重化されたDPDCH信号を復調するDPDCH(データチャネル)復調部1、受信信号に多重化されたDPCCH(制御チャネル)信号を復調するDPCCH復調部2、受信信号に多重化されたHS−DPCCH信号を復調するHS−DPCCH(第2制御チャネル)復調部3、受信信号からパスを検出し復調部1ないし3に報告するパスサーチ部4で構成される。また、内部構成として、受信信号に多重化されたDPDCH信号について逆拡散を行うDPDCH逆拡散部101、信号を遅延させる遅延部102、は信号の位相および振幅誤差を補正する位相振幅補償部103、DPDCHのRAKE合成を行うレイク(RAKE)合成部104があり、受信信号に多重化されたDPCCH信号について逆拡散を行うDPCCH逆拡散部201、DPCCH信号からパイロット系列を抽出するパイロット信号抽出部202、抽出されたパイロット結果に基づいてDPDCH用に伝送路特性を推定する伝送路推定部203、抽出されたパイロット結果に基づいてHS−DPCCH用に伝送路特性を推定する伝送路推定部204、受信信号の信号対雑音比(SIR)を測定するSIR計算部205がある。
【0017】
更に受信信号に多重化されたHS−DPCCH信号について逆拡散を行うHS−DPCCH逆拡散部301、信号の位相および振幅誤差を補正する位相振幅補償部302、HS−DPCCHのRAKE合成を行うレイク合成部303、HS−DPCCH信号よりHARQ−ACK信号のみを抽出し、ACK/NACK判定処理を行う判定処理回路304、HS−DPCCH信号よりCQI信号のみを抽出し、復号を行うCQI復号部305がある。またHS−DPCCH逆拡散部301出力とACK/NACK(アック/ナック)判定処理回路304の出力を比較し、位相誤差を求める位相誤差計算部502、DPCCH伝送路推定部203より出力された推定伝送路特性における位相誤差と、HS−DPCCH位相誤差計算部502より出力された位相誤差を合成する合成処理部503を備える。
【0018】
次にこの復調器の動作について説明する。
まず復調器に入力された信号を用いてパスサーチ部4によりパス検出が行われる。検出されたパス情報に基づき、以下の手順でDPDCH、DPCCH、及びHS−DPCCHの復調が行われる。DPCCHは逆拡散部201によって逆拡散を行った後、パイロットシンボル抽出部202によって抽出されたパイロットシンボルを用いて伝送路推定部203において位相及び振幅誤差の推定を行う。HS−DPCCH信号についても同様に、逆拡散部301によって逆拡散を行った後、上記伝送路推定結果を用いて受信シンボルの位相・振幅補正を位相振幅補償部302において行う。この結果をRAKE合成部303にて合成した後、HARQ−ACKとCQIに分離され、HARQ−ACKについては判定処理部304によりACK/NACK判定を行う。次に判定によって得られたACK/NACKビットについて、位相誤差計算部502において逆拡散部出力と比較を行うことにより、位相誤差を求める。
【0019】
このようにして求めた位相誤差と、上述のDPCCHによる伝送路推定結果から求めた位相誤差を、合成部503において平均処理などにより合成し、位相誤差推定合成値を得る。DPDCHにおいても同様に逆拡散部101によって逆拡散を行った後、遅延部102を経て、位相振幅補償部103において上記位相誤差合成値を用いて受信シンボルの位相補正を行う。また振幅については伝送路推定部203により求められた振幅誤差を使用し、補正を行う。位相および振幅を補償されたDPDCH受信信号はレイク合成部104にて合成された後、出力される。
【0020】
この動作の一例をフローチャートを用いて説明する。
図2は図1における復調器が行う位相補償方法を示した動作フローチャートである。ここでは第n番目のサブフレームについて説明する。まず、図1におけるHS−DPCCH位相振幅補償部302においてHS−DPCCH信号uハット(n,0)、uハット(n,1)、…、uハット(n,kack−1)の位相振幅補償を行い、rハット(n,0)、rハット(n,1)、…、rハット(n,kack−1)を得る(ステップS1)。
次に図1におけるRAKE合成部303の後、HARQ−ACK判定処理部304にてACK/NACKビットsハット(n)の判定を行う(ステップS2)。ここでsハット(n)はj,−jのいずれかの値を取る(ただしj2=−1)。次に図1における位相誤差計算部502において、ステップS1の入力であるuハット(n,0)、uハット(n,1)、…、uハット(n,kack−1)の位相とsハット(n)の位相の誤差平均∠σハット(n)を求める(ステップS3)。次に図1における合成部503においてDPCCH伝送路推定部203の出力であるDPCCH位相誤差∠ξハット(n)と上記∠σハット(n)の平均を求める(ステップS4)。このステップS4出力∠ξ´ハット(n)を用いて図1のDPDCH位相振幅補償部103において入力信号位相を補正する(ステップS5)。振幅については従来どおりDPCCH伝送路推定部203にて計算した振幅誤差を用いて補正を行う。
なお、上記ではステップS4において単純平均を行っているが、次の(式9)のように重み付け平均を行ってもよい。この場合α+β=1である。
【0021】
【数4】
【0022】
また上記の実施の形態では、HSDPA uplink復調部に関して述べているが、繰り返し信号が使用されているチャネルが存在するような通信システムならば、これに限らず適用することが可能である。
また上記の実施例ではsハット(n)の値としてj,−jのいずれかを仮定しているが、取りうる値が既知であればj,−jに限らず他の値でもよい。
【0023】
本実施の形態では以上のように、DPCCH受信信号より得られる位相・振幅誤差推定値に加え、HARQ−ACK情報が繰り返しであることを利用して位相誤差推定値を求め、これらを合成した値を用いてDPDCH復調信号の位相補償をするようにしているので、精度の高い位相補償を行うことができ、誤り率など受信特性を向上できる効果がある。そしてその結果、スループットを向上させることができる。
【0024】
図1の構成によれば、DPDCH復調信号の位相補償をするようにしたが、位相誤差に加えて振幅誤差についてもHARQ−ACK情報を利用して補償するようにしてもよい。
図3は実施の形態における他の移動体通信システム復調器の構成を示す図である。図3において図1の各要素と異なる要素として、HS−DPCCH逆拡散部301出力とACK/NACK判定処理回路304の出力を比較し、位相及び振幅誤差を求める位相・振幅誤差計算部502aと、DPCCH伝送路推定部203より出力された推定伝送路特性における位相及び振幅誤差と、HS−DPCCH位相・振幅誤差計算部502aより出力された位相及び振幅誤差を合成する合成処理部503aがある。その他の要素は図1の同番号のそれらと同じものである。
【0025】
次に図3の復調器の動作について説明する。
HARQ−ACKについて判定処理部304によりACK/NACK判定を行うところまでは図1の復調器による動作と同様である。次に判定によって得られたACK/NACKビットについて、位相・振幅誤差計算部502aにおいて逆拡散部出力と比較を行うことにより、位相及び振幅誤差を求める。このようにして求めた位相・振幅誤差と、上述のDPCCHによる伝送路推定結果から求めた位相・振幅誤差を合成部503aにおいて平均処理などにより合成し、位相誤差推定合成値を得る。DPDCHにおいても同様に逆拡散部101によって逆拡散を行った後、遅延回路102を得て、位相振幅補償部103において上記位相・振幅誤差合成値を用いて受信シンボルの位相及び振幅の補正を行う。位相および振幅を補償されたDPDCH受信信号はレイク合成部104にて合成された後、出力される。
【0026】
この動作の一例をフローチャートを用いて説明する。
図4は図3における復調器が行う位相及び振幅補償動作を示したフローチャートである。図2と同様にここでは第n番目のサブフレームについて説明する。図4において、ステップS2までの動作は図2と同様である。次に図3における位相・振幅誤差計算部502aにおいて、まずsハット(n)をステップS1の入力であるuハット(n,0)、uハット(n,1)、…、uハット(n,kack−1)の平均レベルに正規化し、次にuハット(n,0)、uハット(n,1)、…、uハット(n,kack−1)と上記正規化ベクトルの誤差平均σハット(n)を求める(ステップS6)。次に図3における合成部503aにおいてDPCCH伝送路推定部203の出力であるDPCCH位相振幅誤差ξハット(n)と上記σハット(n)の重み付け平均を求める(ステップS7)。このステップS7出力ξ´ハット(n)の複素共役値を図3のDPDCH位相振幅補償部103において入力信号に乗ずることにより位相振幅補償を行う(ステップS5)。なお上記実施の形態では、HSDPA uplink復調部に関して述べているが、繰り返し信号が使用されているチャネルが存在するような通信システムならば、これに限らず適用することが可能である。
【0027】
以上のように、DPCCH受信信号より得られる位相・振幅誤差推定値に加え、HARQ−ACK情報が繰り返しであることを利用して位相及び振幅誤差推定値を求め、これらを合成した値を用いてDPDCH復調信号の位相・振幅補償をするようにしているので、精度の高い位相及び振幅の補償を行うことができ、誤り率など受信特性を向上できる効果がある。
【0028】
実施の形態2.
以上の実施の形態1では、HARQ−ACK情報を利用して求めた位相誤差推定値を使用し、DPCCH受信信号より得られる位相誤差推定値と合成してDPDCH復調信号の位相補償をするようにしたが、次に通信品質を通知するための情報であるチャネル品質指標CQI(Channel Quality Indicator)情報を利用して求めた位相誤差推定値を使用し、DPCCH受信信号より得られる位相誤差推定値と合成してDPDCH復調信号の位相補償をする実施の形態を示す。
図5は、本実施の形態における移動体通信システム復調器の構成を示す図である。図5において位相誤差計算部502cは逆拡散部301の出力と、CQI複合部305の出力を再符号化した出力との誤差を計算する。その他の各要素は図1のそれと同等のものである。
【0029】
次に動作について説明する。
まず復調器に入力された信号を用いてパスサーチ部4によりパス検出が行われる。検出されたパス情報に基づき、先の実施の形態と同様にDPDCH、DPCCH、及びHS−DPCCHでの復調が行われる。DPCCHは逆拡散部201による逆拡散の後、パイロットシンボル抽出部202により抽出されたパイロットシンボルを用いて伝送路推定部203が位相及び振幅誤差の推定を行う。HS−DPCCH信号についても同様に、逆拡散部301による逆拡散の後、上記伝送路推定結果を用いて位相振幅補償部302が受信シンボルの位相・振幅補正を行う。この結果をRAKE合成部303が合成した後、HARQ−ACKとCQIに分離され、CQIについてはCQI復号部305によって復号処理を行う。
次に復号処理によって得られたCQI情報をCQI再符号化部504において再符号化し、位相誤差計算部502において逆拡散部出力と比較して、位相誤差を求める。このようにして求めた位相誤差と、上述のDPCCHによる伝送路推定結果から求めた位相誤差を合成部503において平均処理などにより合成し、位相誤差推定合成値を得る。DPDCHにおいても同様に逆拡散部101により逆拡散を行った後、遅延部102を経て、位相振幅補償部103において上記位相誤差合成値を用いて受信シンボルの位相補正を行う。また振幅については伝送路推定部203により求められた振幅誤差を使用し、補正を行う。位相および振幅を補償されたDPDCH受信信号はレイク合成部104にて合成された後、出力される。
【0030】
この動作の一例をフローチャートを用いて説明する。
図6は図5における復調器が行う位相補償動作を示したフローチャートである。第n番目のサブフレームについて説明する。まず、図5におけるHS−DPCCH位相振幅補償部302においてHS−DPCCH信号νハット(n,0)、νハット(n,1)、…、νハット(n,kcqi−1)の位相振幅補償を行い、qハット(n,0)、qハット(n,1)、…、qハット(n,kcqi−1)を得る(ステップS1)。次に図5におけるRAKE合成部303の後、CQI復号部305にてCQI復号処理を行い、cハット(n,0)、cハット(n,1)、…、cハット(n,kcqi _ org−1)を得る(ステップS8)。ここでcハット(n,0)、cハット(n,1)、…、cハット(n,kcqi _ org−1)はj,−jのいずれかの値を取る(ただしj2=−1、また復号処理内部ではj→0,−j→1として処理を行う)。
【0031】
次に図5におけるCQI再符号化部504において上記cハット(n,0)、cハット(n,1)、…、cハット(n,kcqi _ org−1)の再符号化を行い、q´ハット(n,0)、q´ハット(n,1)、…、q´ハット(n,kcqi−1)を得る(ステップS9)。次に図5における位相誤差計算部502において、ステップS1の入力であるνハット(n,0)、νハット(n,1)、…、νハット(n,kcqi−1)の位相とq´ハット(n,0)、q´ハット(n,1)、…、q´ハット(n,kcqi−1)の位相の誤差平均∠σハット(n)を求める(ステップS10)。
次に図5における合成部503においてDPCCH伝送路推定部203の出力であるDPCCH位相誤差∠ξハット(n)と上記∠σハット(n)の平均を求める(ステップS4)。このステップS4出力∠ξ´ハット(n)を用いて図5のDPDCH位相振幅補償部103において入力信号位相を補正する(ステップS5)。振幅については従来どおりDPCCH伝送路推定部203にて計算した振幅誤差を用いて補正を行う。
上記ではステップS4において単純平均を行っているが、次の(式10)のように重み付け平均を行ってもよい。この場合α+β=1である。
【0032】
【数5】
【0033】
また上記の実施の形態では、HSDPA uplink復調部に関して述べているが、先の実施の形態と同様、符号化された信号が使用されているチャネルが存在するような通信システムならば、そのチャネルに適用してもよい。
本実施の形態では以上のように、DPCCH受信信号より得られる位相誤差推定値に加え、CQI情報が符号化されていることを利用して位相誤差推定値を求め、これらを合成した値を用いてDPDCH復調信号の位相補償をするようにしているので、精度の高い位相補償を行うことができ、誤り率など受信特性を向上できる効果がある。
【0034】
図5の構成によれば、DPDCH復調信号の位相補償をするようにしたが、図の構成と組合わせて位相誤差に加えて振幅誤差についてもCQI情報を利用した構成としてもよい。
図7は、本実施の形態における他の移動体通信システム復調器の構成を示す図である。図7において図1、図3、及び図5と同一符号の各要素は、それぞれ先のそれと同一または相当の部分を表している。
【0035】
次に動作について説明する。復号処理によって得られたCQI情報をCQI再符号化部504において再符号化するところまでは図5の復調器による動作と同様である。次に位相振幅誤差計算部502eにおいて逆拡散部出力と比較を行って、位相及び振幅誤差を求める。このようにして求めた位相・振幅誤差と、上述のDPCCHによる伝送路推定結果から求めた位相・振幅誤差を合成部503aにおいて平均処理などにより合成し、位相・振幅誤差推定合成値を得る。DPDCHにおいても同様に逆拡散部101による逆拡散の後、遅延部102を経て、位相振幅補償部103による上記位相誤差合成値を用いた位相及び振幅の補正を行う。位相および振幅補償後のDPDCH受信信号は、レイク合成部104から合成後に出力される。
【0036】
この動作の一例をフローチャートを用いて説明する。
図8は図7における復調器の位相補償動作を示したフローチャートである。図8において、ステップS9までの動作は図6と同様である。次に図7における位相・振幅誤差計算部502eにおいて、まずq´ハット(n,0)、q´ハット(n,1)、…、q´ハット(n,kcqi−1)をステップS1の入力であるνハット(n,0)、νハット(n,1)、…、νハット(n,kcqi−1)の平均レベルに正規化し、次にνハット(n,0)、νハット(n,1)、…、νハット(n,kcqi−1)と上記正規化ベクトルの誤差平均σハット(n)を求める(ステップS11)。
次に図7における合成部503aにおいてDPCCH伝送路推定部203の出力であるDPCCH位相振幅誤差ξハット(n)と上記σハット(n)の重み付け平均を求める(ステップS7)。このステップS7出力ξ´ハット(n)の複素共役値を図7のDPDCH位相振幅補償部103において入力信号に乗ずることにより位相振幅補償を行う(ステップS5)。
なおこれらの動作は、もちろん、符号化された信号が使用されているチャネルが存在するような通信システムならば、それらにも適用が可能である。
【0037】
以上の実施の形態では、それぞれHARQ−ACKまたはCQIを使用してDPDCH復調信号の位相・振幅補償を行っているが、両方を用いて位相・振幅補償を行ってもよい。
また、通信状況やHS−DPCCH信号の有無に合わせて従来の方式(DPCCH伝送路推定のみからDPDCH位相・振幅補償を行う)と本方式を切り替えて使用するようにしてもよい。
【0038】
実施の形態3.
先の実施の形態では、HARQ−ACK情報またはCQI情報を利用して求めた位相誤差推定値を使用し、DPCCH受信信号より得られる位相誤差推定値と合成してDPDCH復調信号の位相補償または位相・振幅補償をするようにしていたが、次にHARQ−ACK情報を利用して求めた受信電力・干渉電力比を使用し、DPCCH受信信号より得られるSIR計算値と合成してSIR測定値を求める実施の形態について示す。
図9は、本実施の形態における移動体通信システム復調器の構成を示す図である。図において、合成部506bをSIR計算部205,205aの出力に適用してSIR測定値を得る情報としている。その他の各要素は、図1、図3、図5、及び図7の同一符号、同一または相当の要素を表している。
【0039】
次に動作について説明する。図9においてHS−DPCCH逆拡散後の信号のうちHARQ−ACKについて、SIR計算部205aにおいてSIR計算を行う。次にDPCCH信号より計算したSIR値であるSIR計算部205出力とHS−DPCCH信号より計算したSIR値であるSIR計算部205a出力を合成部503bによって合成し、SIR測定値を得る。
上述のSIR計算部205aと合成部503bにおける動作の一例を以下に示す。HARQ−ACKシンボルはHS−DPCCH1スロットにおいてkack個挿入されているとし、第nスロットの逆拡散後の第mHARQ−ACKシンボルをuハット(n,m)とすると、第nスロットの信号電力Shsチルダ(n)は、次の(式11)で表わされる。ただし、uバー(n)は(式12)で表わされる。次に、第nスロットにおける干渉電力Ihsチルダ(n)は、次の(式13)で得られる。
【0040】
【数6】
【0041】
この干渉電力は次の(式14)のように複数スロットに渡り電力平均することにより、より高精度に干渉電力平均値を求めることができる。ただし、μ(<1)は忘却係数である。従って、第nスロットのSIRλhsチルダ(n)は次の(式15)となる。また、複数のパスが存在する場合には各パスごとのSIRの総和がHS−DPCCHに関する第nスロットのSIR値として(式16)で得られる。これと、(式8)にて求めたDPCCHに関する第nスロットのSIR値を(式17)のように重み付け平均し、SIR測定値を得る。このときα+β=1である。
【0042】
【数7】
【0043】
なお上記の実施の形態では、HSDPA uplink復調部に関して述べているが、繰り返し信号が使用されているチャネルが存在する通信システムなら、これに限らず適用できる。
本実施の形態では以上のように、HARQ−ACK情報を利用して求めた受信電力・干渉電力比を使用し、DPCCH受信信号より得られるSIR計算値と合成してSIR測定値を求めるようにしているので、精度の高いSIR値が得られる効果がある。
【0044】
図9の構成によれば、HARQ−ACK情報を利用して求めた受信電力・干渉電力比を使用し、DPCCH受信信号より得られるSIR計算値と合成してSIR測定値を求めていたが、CQI情報を利用して求めた受信電力・干渉電力比を使用し、DPCCH受信信号より得られるSIR計算値と合成してSIR測定値を求めるようにしてもよい。
図10は、本実施の形態における他の移動体通信システム復調器の構成を示す図である。図10において各番号の要素は、図1、図3、図5、図7及び図9における同一符号の要素と同一または相当の部分を表している。
【0045】
次に動作について説明する。復号処理によって得られたCQI情報をCQI再符号化部504において再符号化するところまでは実施の形態2における動作と同様である。次にこの再符号化結果を考慮し、位相調整部505においてHS−DPCCH逆拡散後の信号のうちCQIについて全シンボルの送信位相が揃うよう、一部のシンボルの位相反転を行う。次にSIR計算部205aにおいてSIR計算を行う。次にDPCCH信号より計算したSIR値であるSIR計算部205出力とHS−DPCCH信号より計算したSIR値であるSIR計算部205a出力を合成部503bによって合成し、SIR測定値を得る。
【0046】
上述の位相調整部505、SIR計算部205a、及び合成部503bにおける動作の一例を以下に示す。CQIシンボルはHS−DPCCH1スロットにおいてk´cqi個挿入されているとし、第nスロットの逆拡散後の第mCQIシンボルをvハット(n,m)とすると、第nスロットの信号電力Shsチルダ(n)は、次の(式18)で得られる。ただし、νバー(n)は(式19)で表わされる。
【0047】
【数8】
【0048】
またq'(n,m)は図10におけるCQI再符号化部504における第nスロット第mシンボルの出力である。(なお、符号化処理内部ではj→0、−j→1として処理される。)
(式20)においてq'(n,m)=−jのときにνハット(n,m)を反転処理させているのが、図10における位相調整部505の処理に該当する。次に、第nスロットにおける干渉電力Ihsチルダ(n)は、次の(式21)により得られる。この干渉電力は次式のように複数スロットに渡り電力平均することにより、より高精度に干渉電力平均値を次の(式22)で求めることができる。
ただし、μ(<1)は忘却係数である。
従って、第nスロットのSIRλhsチルダ(n)は、(式23)となる。複数のパスが存在する場合には各パスごとのSIRの総和は第nスロットのSIR値として(式24)で得られ、これと、(式8)にて求めたDPCCHに関する第nスロットのSIR値を(式25)のように重み付け平均し、SIR測定値λ’バー(n)を得る。このときα+β=1である。
【0049】
【数9】
【0050】
以上の実施の形態では、それぞれHARQ−ACKまたはCQIを使用してSIR値の計算を行っているが、両方を用いてSIR値の計算を行ってもよい。
また、通信状況やHS−DPCCH信号の有無に合わせて従来の方式(DPCCHのみからSIR計算を行う)と本方式を切り替えて使用するようにしてもよい。
【0051】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、制御チャネル中のパイロット信号から位相成分を推定し、第2制御チャネルの繰返し信号から誤差を推定して合成し、データチャネルの位相補償信号としたので、受信信号の受信精度が高まり、受信誤り率を低減する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1における移動体通信システム用復調器の構成を示す図である。
【図2】実施の形態1における移動体通信システム用復調器の動作を示すフロー図である。
【図3】実施の形態1における他の移動体通信システム用復調器の構成を示す図である。
【図4】実施の形態1における他の移動体通信システム用復調器の動作を示すフロー図である。
【図5】この発明の実施の形態2における移動体通信システム用復調器の構成を示す図である。
【図6】実施の形態2における移動体通信システム用復調器の動作を示すフロー図である。
【図7】実施の形態2における他の移動体通信システム用復調器の構成を示す図である。
【図8】実施の形態2における他の移動体通信システム用復調器の動作を示すフロー図である。
【図9】この発明の実施の形態3における移動体通信システム用復調器の構成を示す図である。
【図10】実施の形態3における他の移動体通信システム用復調器の構成を示す図である。
【図11】従来の移動体通信システム用復調器の構成図である。
【図12】第2制御チャネルでの伝送フォーマットを示す図である。
【符号の説明】
1 データチャネル復調部、2 制御チャネル復調部、3 第2制御チャネル復調部、4 パスサーチ部、101 逆拡散部、102 遅延部、103 位相振幅補償部、104 レイク合成部、201 逆拡散部、202 パイロット信号抽出部、203,204 伝送路推定部、205,205a 信号対雑音比計算部、301 逆拡散部、302 位相振幅補償部、303 レイク合成部、304 アック/ナック判定処理部、305 チャネル品質指標復号部、502,502c 位相誤差計算部、502a,502e 位相・振幅誤差計算部、503,503a,503b 合成部、504 チャネル品質指標再符号化部。
Claims (5)
- データチャネル、制御チャネル及び第2制御チャネルを用いる移動体通信システム用復調器において、
上記制御チャネルに含まれるパイロット信号から推定して得られる位相成分と、上記第2制御チャネルの繰返し信号から推定して得られる位相誤差とを合成する合成器を備えて、該合成器の出力により上記データチャネルの位相補償信号を得るようにしたことを特徴とする位相補償復調器。 - 第2制御チャネルの繰返し信号として、アック信号またはチャネル品質指標信号を抽出して、該信号の位相誤差を合成するようにしたことを特徴とする請求項1記載の位相補償復調器。
- 合成器は、位相成分と共に振幅成分も推定して、位相補償と共に振幅補償も同時に行なうようにしたことを特徴とする請求項1記載の位相補償復調器。
- データチャネル、制御チャネル及び第2制御チャネルを用いる移動体通信システム用復調器において、
上記制御チャネルに含まれるパイロット信号から抽出して得られる信号対雑音比と、上記第2制御チャネルの信号から抽出して得られる信号対雑音比とを合成する合成器を備えて、該合成器の出力により信号対雑音比を得るようにしたことを特徴とする位相補償復調器。 - 合成器は、第2制御チャネルの繰返し信号から推定して得られる位相誤差を勘案して得られる上記第2制御チャネルの信号対雑音比を、合成するようにしたことを特徴とする請求項4記載の位相補償復調器。
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