JP2004193546A - 半導体装置配線シード層形成用銅合金スパッタリングターゲット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Mo:0.001〜0.5質量%を含み、さらに必要に応じて、AgおよびZnのいずれか1種もしくは2種を合計で0.01〜2質量%、またはFe,NiおよびAlの内の1種または2種以上を合計で0.01〜0.2質量%を含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金からなる。
【選択図】 なし
Description
【産業上の利用分野】
この発明は、LSIなどの半導体装置におけるエレクトロマイグレーションやストレスマイグレーション耐性に優れた銅配線を形成する際に下地層として形成するシード層およびこのシード層を得るための銅合金スパッタリングターゲットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、LSIなどの半導体デバイスの内部配線は、SiO2、SiONなどの基板またはSiウエハの表面にSiO2、SiONなどのを被覆したものを基板とし、その上に純度:99.9999質量%以上の高純度銅からなるターゲットまたはTi,Zr,V,Cr,Nb,Ta,Y,LaおよびScのうちの種または2種以上:0.00005〜0.025質量%含有した銅合金からなるターゲットを用いてスパッタリングすることにより形成されている。この高純度銅または銅合金からなる配線をSiO2、SiONなどの基板に形成するには、まず基板に微細な配線溝を形成しておき、その上面に銅薄膜をスパッタリング法によって堆積せしめ、しかる後に堆積した銅薄膜を550℃以下の低温度で加熱流動(リフロー)せしめて前記配線溝に流し込み、過剰量の銅薄膜を研磨処理によって除去することによって所定の微細な銅配線パターンを形成する加熱リフロー処理(ダマシン処理)することにより形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、Cu配線の場合はCuがSiO2、SiONなどの基板またはSiウエハ基板に拡散すること防止するためのバリア層を形成することが必要であり、このバリア層としてTaN層が有効であることが明らかになった。そのため、近年、基板に微細な銅配線を形成するには、図1に示されるように、基板1に形成した微細な配線溝2にTaN層3を形成し、このTaN層3の上に純銅からなるシード層4をスパッタリングにより形成し、この純銅からなるシード層4の上に電解メッキ法により銅メッキ層5をしたのち、銅メッキ層5の安定化のために熱処理を行い、次いで過剰量のTaN層3、シード層4および銅メッキ層5を研磨処理によって除去することにより図2の断面説明図に示される所定の微細な銅配線6を形成する方法が提案されている。このとき、シード層を形成するためのターゲットは、AgおよびAuのうちの1種または2種を合計で0.005〜500ppm含有し、不純物元素として含まれるFe,Ni,Cr,Ti,Al,NaおよびKのうちの1種または2種以上は合計で10ppm以下に抑えた成分組成の銅合金からなるターゲットが好ましいとされている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−176769号公報
【特許文献2】
特開2001−342560号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようにして得られた銅配線は微細化するに伴い、銅配線を流れる電流密度が増大し、それに伴って銅配線にエレクトロマイグレーションやストレスマイグレーションによるボイドが生成して銅配線の電気抵抗が増加し、さらにエレクトロマイグレーションやストレスマイグレーションにより生成したボイドがさらに成長して銅配線が断線することがある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、エレクトロマイグレーションやストレスマイグレーションによる銅配線のボイド発生を少なくすべく研究を行った。その結果、
(イ)エレクトロマイグレーションやストレスマイグレーションによる銅配線のボイド発生はシード層とTaN層の界面から生じることが多いところから、このボイド発生を防止するためにはTaN層の上に形成されたシード層を加熱してもシード層に凝集やボイドが発生しない程度にTaN層とシード層の界面の密着性を向上させることが必要である、
(ロ)かかるシード層は、純度:99.9999%以上の高純度銅に、Mo:0.001〜0.5質量%添加して得られた銅合金からなるターゲットを用いて用いてスパッタリングすることにより得られる、
(ハ)前記(ロ)記載の銅合金に、さらにAgおよびZnのいずれか1種または2種を合計で0.01〜2質量%を添加して得られた銅合金からなるターゲットを用いてスパッタリングことにより得られたシード層は、凝集やボイドの発生が一層阻止される、
(ニ)前記(ロ)記載の銅合金にさらにFe,NiおよびAlの内の1種または2種以上を合計で0.01〜0.2質量%添加した銅合金からなるターゲットを用いてスパッタリングことにより得られたシード層は、凝集やボイドの発生が一層阻止される、という研究結果が得られたのである。
【0007】
この発明は、上記の研究結果に基づいてなされたものであって、
(1)Mo:0.001〜0.5質量%を含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金からなる半導体装置配線シード層形成用銅合金スパッタリングターゲット、
(2)Mo:0.001〜0.5質量%を含み、さらにAgおよびZnのいずれか1種または2種を合計で0.01〜2質量%を含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金からなる半導体装置配線シード層形成用銅合金スパッタリングターゲット、
(3)Mo:0.001〜0.5質量%を含み、さらにFe,NiおよびAlの内の1種または2種以上を合計で0.01〜0.2質量%を含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金からなる半導体装置配線シード層形成用銅合金スパッタリングターゲット、に特徴を有するものである。
【0008】
前記(1)、(2)または(3)記載のターゲットを用いてスパッタリングすることにより得られたCu合金シード層は、TaN層との密着性に優れており、このCu合金シード層をバリア層であるTaN層の上に形成し、そのCu合金シード層の上に形成した銅配線は、エレクトロマイグレーションやストレスマイグレーションによるボイド発生を抑制したり断線を防止することができる。したがって、この発明は、
(4)前記(1)、(2)または(3)記載のターゲットを用いてスパッタリングすることにより得られたボイドを発生させることの少ない半導体装置配線シード層、に特徴を有するものである。
【0009】
この発明の半導体装置配線シード層形成用銅合金スパッタリングターゲットを製造するには、純度:99.9999%以上の高純度電解銅を、不活性ガス雰囲気中、高純度グラファイトルツボ内で高周波溶解し、得られた高純度溶解銅にMo:0.001〜0.5質量%添加し、さらに必要に応じてAgおよびZnのいずれか1種または2種を合計で0.01〜2質量%またはFe,NiおよびAlの内の1種もしくは2種以上を合計で0.01〜0.2質量%を添加して銅合金溶湯を作製し、得られた銅合金溶湯を鋳造して板状インゴットを作製し、このインゴットを熱間圧延して熱延板を作製し、この熱延板を切抜いて円板を作製することにより製造することができる。
【0010】
次に、この発明の半導体装置配線シード層形成用銅合金スパッタリングターゲットにおける成分組成の限定理由を説明する。
Mo:
Moは、Taとの全率固溶のためにTaとの濡れ性が非常に高く、Cu中に含有させることでTaNとの密着性を向上させ、凝集を阻止してボイドの発生を抑制する作用があるが、Mo:0.001質量%未満含んでも所望の効果が得られず、一方、0.5質量%を越えて含有すると、比抵抗が著しく増加するのでLSIなど半導体デバイスのCuシード層として使用するには好ましくない。したがって、この発明の半導体装置配線シード層形成用銅合金スパッタリングターゲットに含まれるMoの含有量は0.001〜0.5質量%に定めた。
一方、Cuシード層の電気抵抗は純銅の電気抵抗の3倍以内、好ましくは2倍以内に抑えることが好ましいとされている。したがって、この発明の半導体装置配線シード層形成用銅合金スパッタリングターゲットに含まれるMoの一層好ましい含有量は0.02〜0.2質量%である。
【0011】
Ag、Zn:
これら成分は、Cuの表面張力を低下させ、比較的多量に添加してもCuの比抵抗への影響が少ないので必要に応じて添加するが、その含有量は0.01質量%未満では効果がなく、一方、2質量%を越えて含有すると、比抵抗が著しく増加するのでLSIなど半導体デバイスのCuシード層として使用するには好ましくない。したがって、この発明の半導体装置配線シード層形成用銅合金スパッタリングターゲットに含まれるAg、Znの内のいずれか1種または2種以上の合計は0.01〜2質量%に定めた。
一方、Cuシード層の電気抵抗は純銅の電気抵抗の3倍以内、好ましくは2倍以内に抑えることが好ましいとされている。したがって、この発明の半導体装置配線シード層形成用銅合金スパッタリングターゲットに含まれるAgおよび/またはZnの一層好ましい含有量は0.5〜1.5質量%である。
【0012】
Fe,NiおよびAl:
これら成分は、Taとの間にこれの単体より融点の高い安定した金属間化合物を持つことからTaとの濡れ性が高く、これらをCu中に含有させることによりTaNとの密着性を高め、もって凝集を阻止してボイドの発生を抑制する作用があるので必要に応じて添加するが、0.01質量%未満含んでも所望の効果が得られず、一方、0.2質量%を越えて含有すると、比抵抗が著しく増加するのでLSIなど半導体デバイスのCuシード層として使用するには好ましくない。したがって、この発明の半導体装置配線シード層形成用銅合金スパッタリングターゲットに含まれるFe,NiおよびAlの内のいずれか1種または2種以上の合計は0.01〜0.2質量%に定めた。
一方、Cuシード層の電気抵抗は純銅の電気抵抗の3倍以内、好ましくは2倍以内に抑えることが好ましいとされている。したがって、この発明の半導体装置配線シード層形成用銅合金スパッタリングターゲットに含まれるFe,NiおよびAlの一層好ましい含有量は0.03〜0.1質量%である。
【0013】
【発明の実施の態様】
つぎに、この発明の半導体装置配線シード層形成用銅合金スパッタリングターゲットを実施例により具体的に説明する。
純度:99.9999質量%の高純度電解銅を用意し、この高純度電解銅をArガス雰囲気中、高純度グラファイトルツボ内で高周波誘導溶解して高純度電解銅溶湯を作製し、このようにして得られた高純度電解銅溶湯にMoを添加し、さらに必要に応じてAgおよびZnの内のいずれか1種または2種、並びにFe,NiおよびAlの内のいずれか1種または2種以上を添加することにより銅合金溶湯を作製し、これら銅合金溶湯を水冷銅板上に載置されたカーボン鋳型に鋳造して引け巣部分を切断したのち縦:140mm、横:140mm、厚さ:20mmの寸法を有する板状インゴットを作製した。このインゴットを温度:500℃、1時間加熱後、厚さ:8mmになるまで熱間圧延して熱延板を作製し、この熱延板を切抜いて直径:152mm、厚さ:8mmの寸法を有する円板を作製した。この円板をさらに機械加工を施すことにより直径:152mm、厚さ:6mmの寸法を有し、表1〜2に示される成分組成を有する本発明銅合金シード層形成用ターゲット(以下、本発明ターゲットという)1〜17、および比較銅合金シード層形成用ターゲット(以下、比較ターゲットという)1〜8を作製した。さらに高純度電解銅および高純度電解銅にAg:0.0689質量%を添加して従来銅合金シード層形成用ターゲット(以下、従来ターゲットという)1〜2を作製した。
【0014】
さらに、無酸素銅製バッキングプレートを用意し、この無酸素銅製バッキングプレートに前記本発明ターゲット1〜17、比較ターゲット1〜8および従来ターゲット1〜2をInハンダによりハンダ付けし、バッキングプレート付きターゲットを作製した。
さらに、直径:152mm、厚さ:6mmの寸法を有する市販のTaターゲットを用意し、このターゲットを無酸素銅製バッキングプレートにInハンダによりハンダ付けし、バッキングプレート付きTaターゲットを作製した。さらに、基板としてSiウエハ表面に厚さ:100nmのSiO2層を形成した酸化膜付きシリコンウエハを用意した。
【0015】
前記用意したバッキングプレート付きTaターゲットおよび基板を、通常の直流マグネトロンスパッタ装置に、ターゲットと基体との距離が60mmとなるように取り付け、
スパッターパワー:DC1000W、
チャンバー内到達真空度:1×10−5Pa、
スパッタリング中の真空度:0.5Pa、
スパッタリングに使用したガスとその流量比:Ar:N2=9:1
の条件でスパッタリングすることにより、厚さ:30nmを有するTaN膜を基板表面のSiO2層表面の上に形成した。
【0016】
このようにして形成したTaN膜上に、本発明ターゲット1〜17、比較ターゲット1〜8および従来ターゲット1〜2をそれぞれバッキングプレートに取付けたバッキングプレート付きターゲットを前記直流マグネトロンスパッタ装置にセットし、ターゲットと基体との距離が70mmとなるようにして、
スパッターパワー:DC600W、
チャンバー内到達真空度:1×10−5Pa、
スパッタリング中の真空度:0.3Pa、
スパッタリングに使用したガス:Ar、
の条件でスパッタリングすることにより、本発明ターゲット1〜17、比較ターゲット1〜8および従来ターゲット1〜2と同一組成を有し、厚さ:300nmおよび厚さ:20nmを有する銅合金スパッタリング薄膜を形成した。
【0017】
本発明ターゲット1〜17、比較ターゲット1〜8および従来ターゲット1〜2を用いてTaN層表面に形成した厚さ:300nmの銅合金スパッタリング薄膜について4探針法により比抵抗を測定し、この結果を表1〜2に示した。この際、銅合金薄膜の比抵抗はTaN膜の比抵抗に比べて2桁ほど低く、したがって下地であるTaN膜の存在は無視できるものとした。
【0018】
さらに、TaN層表面に本発明ターゲット1〜17、比較ターゲット1〜8および従来ターゲット1〜2を用いて形成した厚さ:20nmの銅合金スパッタリング薄膜について真空中で450℃、30分間保持の条件の熱処理を施し、熱処理後における銅合金スパッタリング薄膜の表面をSEMにて観察し、2万倍の視野(4.5μm×6μm)にて観察し、発生したボイドの発生数とボイド径を測定し、これを表1〜2に示すことによりシード層としての評価を行なった。ここで濡れ性が悪く、完全に凝集してしまい、ボイド数として計測不可能なものは「凝集」と記した。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
表1〜2に示される結果から、本発明ターゲット1〜17用いて形成したTaN層上の銅合金スパッタリング薄膜は従来ターゲット1〜2を用いて作製したTaN層上の銅合金スパッタリング薄膜に比べて、凝集がないところからボイドの発生がなく、したがって本発明ターゲット1〜17を用いて形成した銅合金スパッタリング薄膜は従来ターゲット1〜2用いて作製した銅合金スパッタリング薄膜に比べてTaN層の上に形成するシード層として優れていることが分かる。
しかし、この発明の条件から外れている組成の比較ターゲット1〜8を用いてTaN層上に銅合金スパッタリング薄膜を形成すると、平均径の大きなボイドが発生したり、ボイドの発生がなくても比抵抗が大きかったりするのでシード層として好ましくない特性を示すことが分かる。
【0022】
【発明の効果】
この発明のターゲットを用いてTaN膜表面に形成した銅合金スパッタリング薄膜は、ボイド発生、凝集が少ないことから、この銅合金スパッタリング薄膜をTaN層の上に形成してシード層として使用したときにエレクトロマイグレーションやストレスマイグレーション耐性に優れた銅配線を形成することができ、LSIなどの半導体装置の配線パターンの微細化進展、歩留まりの向上に寄与するものであり、半導体装置産業上優れた効果を奏するものである。
なお、最近、バリア層としてTaNの代わりにTaを用いる場合や、TaN層の上にさらにTa層を積層したものを用いる場合があるが、これらを下地バリア層として用いる場合でも同様の効果を有することが確認できた。したがって、本発明ターゲットを用いることでTaをバリア層として用いた場合でも、同様にエレクトロマイグレーションやストレスマイグレーション耐性に優れた銅配線を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】配線溝にTaN層およびシード層を形成した基体に銅メッキ層を形成し熱処理した後の状態を示す断面説明図である。
【図2】過剰なTaN層、シード層および銅メッキ層を研磨処理によって除去した状態の配線溝の断面説明図である。
【符号の説明】
1:基板、
2:配線溝、
3:TaN層、
4:シード層
5:銅メッキ層、
6:銅配線、
Claims (4)
- Mo:0.001〜0.5質量%を含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金からなることを特徴とする半導体装置配線シード層形成用銅合金スパッタリングターゲット。
- Mo:0.001〜0.5質量%を含み、さらにAgおよびZnのいずれか1種または2種を合計で0.01〜2質量%を含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金からなることを特徴とする半導体装置配線シード層形成用銅合金スパッタリングターゲット。
- Mo:0.001〜0.5質量%を含み、さらにFe,NiおよびAlの内のいずれか1種または2種以上を合計で0.01〜0.2質量%を含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金からなることを特徴とする半導体装置配線シード層形成用銅合金スパッタリングターゲット。
- 請求項1、2または3記載のターゲットを用いて形成したことを特徴とする半導体装置配線シード層。
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- 2003-06-04 JP JP2003159224A patent/JP2004193546A/ja active Pending
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