JP2004190509A - 気体圧縮機 - Google Patents

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Takashi Tamura
隆 田村
Keiichi Morita
圭一 森田
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Abstract

【課題】定常運転時における適正なベーン背圧を確保しつつ、圧縮機の起動直後から効率よく冷媒ガスの圧縮動作を行なうことのできる気体圧縮機を提供する。
【解決手段】オイル溜り27とベーン溝15の底部に連通するリア背圧空間28とを背圧オイル供給路29で連通させ、背圧オイル供給路29の途中に圧力差が所定値以下のとき開、所定値を越えたときに閉となる背圧開閉弁30を設けるとともに、圧縮機回転時に背圧オイル供給路29内のオイルを流動させる渦巻きポンプ40を設ける。これにより、圧縮機起動時に渦巻きポンプ40がオイル溜り27のオイルを背圧オイル供給路29を介してベーン溝15の底部に送出し、ベーン16をベーン溝15から飛び出させる。ベーン16が飛び出すと圧縮機が冷媒ガスの圧縮を開始し、オイル溜り27とリア背圧空間28との圧力差が所定値を越えたときに背圧開閉弁30が閉となり、適正なベーン背圧で定常運転される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はカーエアコンシステム等に用いられるベーンロータリー型の気体圧縮機に関し、特に、定常運転時における適正なベーン背圧を確保しつつ、圧縮機の起動直後から効率よく冷媒ガスの圧縮動作を行なうことができるベーンロータリー型気体圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のベーンロータリー型気体圧縮機においては、その定常運転時にベーン先端がシリンダ内面から離間することを防止するために、ベーンの底部空間、すなわち当該ベーンが摺動可能に装着されているロータのベーン溝底部に適正な圧力のオイルを背圧オイルとして供給している。この背圧オイルの適正な圧力は、ベーンが吸入行程から圧縮行程にある区間では、冷媒ガスの吸入圧力と圧縮し吐出される冷媒ガスの吐出圧力との中間圧であり、またベーンが吐出行程にある区間では、冷媒ガスの吐出圧力に相当する高圧である。これらの区間の圧力を総称してベーン背圧と呼ぶ。
【0003】
ところで、圧縮機の定常運転時と起動時とでは必要とされるベーン背圧の適正値が異なる。ベーン背圧の適正値を定常運転時に合せて低めに設定すると、起動時のベーン背圧が不足し、ベーンの飛び出し性が悪くなり、圧縮行程から吐出行程の区間においてベーン先端が瞬間的にベーン溝内に沈んで飛び上がりシリンダ内周面に衝突する現象、いわゆる起動チャタリングの問題が生じることがある。
【0004】
このような圧縮機の定常運転時と起動時に必要とされるベーン背圧の相違の問題を解決するために、従来は、起動時と定常運転時とでベーン溝底部に供給されるベーン背圧を変化させるものとしている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の従来の気体圧縮機によると、その定常運転時には問題がないものの、圧縮機の起動直後に以下のような問題を引き起こすことが考えられる。
【0006】
すなわち、この従来の気体圧縮機にあっては、起動時にベーンが飛び出すためにはベーン溝底部に微弱ながらもベーン背圧が供給されることが前提となる。かかる微弱なベーン背圧は、ロータ軸と一体にロータが回転を開始した後に発生する遠心力によって、ベーンの先端がロータの外周面より僅かでも突出して冷媒ガスを圧縮し吐出するという動作が行なわれない限り、発生し得ない。このため、たとえば、圧縮機を車両のエアコンシステムに取り付けた直後のように、ロータのベーン溝内に全てのベーンが埋没した状態で圧縮機を起動した場合には、圧縮機内のオイルに冷媒がまだ溶け込んでおらずオイルの粘度が高いため、ベーンに作用する遠心力がベーンとベーン溝との間の油膜の抵抗になかなか打ち勝てない。従って、ベーンの先端がロータの外周面から僅かでも突出するまでに時間がかかり、ベーン背圧の発生にさらなる時間を要し、圧縮機の起動直後から効率よく冷媒ガスの圧縮動作を行なうことができず、冷房の立ち上がりが悪い場合がある。
【0007】
また、従来の気体圧縮機によると、これを車両のエアコンシステムに取り付け後、繰り返し何度も運転を行なった後でも、取り付け直後と同様に、ベーン背圧の発生までに多大な時間を要し、圧縮機の起動直後から効率よく冷媒ガスの圧縮動作を行なうことができず、冷房の立ち上がりが悪い場合もある。この場合というのは、車両の放置状態によって圧縮機の吸入側の圧力が吐出側の圧力よりも高くなる場合である。例えば、車両のボンネット部には日射を受けているのに車室部分は日陰になって放置されているような状態で、ボンネット内にあるエアコンシステムのコンデンサが高温にさらされ、車室側にあるエバポレ−タがコンデンサよりも低温となる場合である。この場合は、圧縮機の取り付け直後と比べれば冷媒がオイルにある程度溶けているために、ベーンとベーン溝との間の油膜の抵抗は小さいが、ベーンの先端に加わる圧力に遠心力がなかなか打ち勝てず、ベーンの先端がロータの外周面より僅かでも突出するまでに時間がかかるのである。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−271772号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、定常運転時における適正なベーン背圧を確保しつつ、圧縮機の起動直後から効率よく冷媒ガスの圧縮動作を行なうことのできる気体圧縮機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、端面にサイドブロックを取り付けたシリンダと、上記シリンダの内側にロータ軸を介して回転可能に設置されたロータと、上記ロータの外周面に形成されたベーン溝に摺動可能に装着され、かつ、該ロータの外周面から上記シリンダの内周面に向かって出没するベーンと、上記シリンダ、サイドブロック、ロータおよびベーンにより仕切られたシリンダ内側の小室からなるとともに、上記ロータの回転により容積の大小変化を繰り返し、この容積変化により冷媒ガスを吸入し圧縮して吐出する圧縮室と、上記圧縮室から吐出される冷媒ガスの圧力が作用するオイル溜りと、上記ロータ軸のリア側端面を含む壁面で形成されるリア背圧空間と、上記リア背圧空間に連通し、かつ、上記ベーンが吸入行程から圧縮行程の区間で上記ベーン溝底部が連通するサライ溝と、上記オイル溜りに一端が開口し、他端が上記ベーン溝底部と上記サライ溝の連通を遮断された後の該ベーン溝底部に開口する高圧オイル供給路と、上記オイル溜りに入口が開口し、出口は上記リア背圧空間に開口する背圧オイル供給路と、上記背圧オイル供給路の途中に設けられ、上記オイル溜りの圧力と上記リア背圧空間の圧力との差が所定値以下のときに開となり、その差が所定値を超えたときに閉となる背圧開閉弁と、上記ロータ軸の回転により作動し上記背圧オイル供給路内のオイルを流動させる渦巻きポンプとを備えてなることを特徴とするものである。
【0011】
本発明では、圧縮機の停止時は、オイル溜りとリア背圧空間の圧力差が殆どないため、背圧オイル供給路の背圧開閉弁が開となり、背圧オイル供給路を介しオイル溜りとリア背圧空間が連通する。圧縮機の起動直後は、渦巻きポンプのポンプ作用により、オイル溜りのオイルがリア背圧空間に導かれ、リア背圧空間からサライ溝を経由して積極的にベーン溝底部にオイルが供給される。これにより、ベーンがベーン溝から飛び出し、冷媒ガスの正常な圧縮が開始される。そうすると、オイル溜りの圧力がリア背圧空間よりも高くなり、それまで開いていた背圧開閉弁が閉じる。その後の圧縮機の定常運転においては、サライ溝と背圧オイル供給路が非連通となり、過剰なベーン背圧がベーンに作用せず、ベーン背圧として適正な中間圧が保たれ、余分な動力を必要とすることはない。
【0012】
本発明において、上記渦巻きポンプは、上記背圧オイル供給路の出口側に配置する構造を採用することができる。
【0013】
本発明において、上記渦巻きポンプは、上記ロータ軸のリア側端面と、上記ロータ軸リア側端面と所定の隙間を隔てて対向する上記リア背圧空間の壁面の一部と、上記リア背圧空間の一部の壁面に形成された渦巻き、及び/または上記ロータ軸リア側端面に形成された渦巻きとからなる構造を採用することができる。
【0014】
本発明においては、上記ロータ軸のリア側端面に渦巻きを設け、該渦巻きを正面から見たときに、その渦巻きは、渦巻きの内周から外周に延伸するに連れ上記ロータ軸の回転方向とは逆方向に傾斜する構造を採用することができる。
【0015】
本発明においては、上記ロータ軸のリア側端面と対向する上記背圧空間の一部の壁面に渦巻きを設け、該渦巻きを正面から見たときに、その渦巻きは、渦巻きの内周から外周に延伸するに連れ上記ロータ軸の回転方向と同方向に傾斜する構造を採用するものである。
【0016】
本発明において、上記渦巻きポンプの渦巻きは、上記ロータ軸リア側端面の直径と同じ直径とすることができる。
【0017】
本発明において、上記渦巻きポンプの上記所定の隙間は、その渦巻きの外周側が内周側よりも狭く設定されるものとしてもよい。
【0018】
本発明においては、上記圧縮室で圧縮された冷媒ガスを吐出するシリンダ吐出孔と、該シリンダ吐出孔を圧縮機の運転時に開閉する吐出弁が設けられ、上記吐出弁は圧縮機の停止時に上記シリンダ吐出孔を開とする構成を採用することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る気体圧縮機の実施形態について図1ないし図17を基に詳細に説明する。
【0020】
図1に示した本実施形態の気体圧縮機は、一端開口型コンプレッサケース1内に圧縮機構部2を収納し、かつ、該コンプレッサケース1の開口端にフロントヘッド3を取り付けてなる、いわゆるシェル構造を採用している。
【0021】
圧縮機構部2は内周略楕円状のシリンダ4を有し、シリンダ4の両端面にはサイドブロック5、6が取り付けられ、また、シリンダ4の内側にはロータ軸7を介して断面円形のロータ8が回転可能に設置されている。
【0022】
ロータ軸7はロータ8の軸心に一体に設けられ、かつ、フロント側およびリア側サイドブロック5、6の軸受9、10を介して支持されている。この両サイドブロック5、6の軸受9、10はそれぞれのサイドブロック5、6の表裏面を貫通する孔形状となっている。
【0023】
ロータ軸7のフロント側端部7Fは、フロント側サイドブロック5の軸受9からフロントヘッド3のボス部11を貫通して外部へ突出している。また、フロントヘッド3のボス部11外周にはベアリング12を介してプーリ13が回転可能に取り付けられており、このプーリ13の端面側に電磁式のクラッチ14が設けられている。このクラッチ14のオン動作によりプーリ13とロータ軸9が連結され、該プーリ13と一体にロータ軸9が回転する。プーリ13は図示しないベルト等を介してエンジン側プーリに連結され、かつ、エンジンの動力により回転する。
【0024】
図2に示したように、ロータ8の外周面にはスリット状のベーン溝15が5つ切り込み形成され、これらのベーン溝15にはそれぞれ1枚ずつベーン16が摺動可能に装着されている。この5枚のベーン16はロータ8の外周面からシリンダ4の内周面に向かって半径方向に出没可能に設けられている。
【0025】
シリンダ4の内側はシリンダ4内壁、サイドブロック5、6内面、ロータ8外周面およびベーン16先端側の両側面により複数の小室に仕切られており、この仕切り形成された各小室が圧縮室17である。この圧縮室17は、ロータ8が図中矢印Rの方向へ回転することにより容積の大小変化を繰り返し、この容積変化により冷媒ガスの吸入・圧縮・吐出を行なう構造となっている。
【0026】
すなわち、圧縮室17の容積変化が生じると、その容積増加時に、吸入室18内の低圧冷媒ガスが、フロント側サイドブロック5の吸入口5aやシリンダ4の吸入通路19と連通するようにリア側サイドブロック6の端面に掘られた吸入口(図示省略)を介して圧縮室17へ吸入される。そして、圧縮室17の容積が減少し始めると、その容積減少効果により圧縮室17内の冷媒ガスが圧縮され始める。その後、圧縮された冷媒ガスの圧力がシリンダ4外部空間の吐出チャンバ23側の圧力よりも高くなると、シリンダ4楕円短径部付近に位置するシリンダ吐出孔21の吐出弁22が開く。
【0027】
上記のように吐出弁22が開くと、圧縮室17内の高圧冷媒ガスがシリンダ吐出孔21からシリンダ4外部空間の吐出チャンバ23側へ流出する。ベーン16が吐出孔21を通過すると同時に、吐出弁22を挟んだ次の圧縮室17と吐出チャンバ23との圧力差が逆転し吐出弁22が閉じる。
【0028】
吐出チャンバ23側へ流出した高圧冷媒ガスは、図1に示したように、リア側サイドブロック6に取り付けられている油分離器24を経て吐出室25へ吐出される。また、吐出チャンバ23内に吐出した高圧冷媒ガス中には、圧縮機本体摺動部の潤滑や隙間部のシールのためのオイルがミストの状態で含まれている。この高圧冷媒ガス中のオイル成分は油分離器24の分離フィルタ26で分離捕獲され、かつ、吐出室25底部のオイル溜り27に滴下し貯留される。
【0029】
吐出室25底部のオイル溜り27には吐出室25の高圧、すなわち圧縮室17から吐出室25内に吐出した高圧冷媒ガスの圧力Pd(以下、吐出圧力という。)が作用している。
【0030】
油分離器24とリア側サイドブロック6との間には、リア背圧空間28が圧縮機構部2の回転軸中心部に設けられ、また、油分離器24には背圧オイル供給路29と背圧開閉弁30が設けられている。
【0031】
リア背圧空間28は、油分離器24およびリア側サイドブロック6の一部とロータ軸7のリア側端面(一端面)7Rを含む壁面で形成されている。
【0032】
背圧オイル供給路29の直径は2〜3mmであり、背圧オイル供給路29の入口はオイル溜り27に開口し、背圧オイル供給路29の出口はロータ軸7のリア側端面7Rの中心位置と対向する位置に開口している。
【0033】
背圧開閉弁30は、背圧オイル供給路29の入口直後に設置され、内面円筒状の弁室31−1と、内面円錐状のシール面31−2と、弁体として機能する鋼球32と、圧縮バネ33を具備する構造となっている。
【0034】
弁室31−1は、背圧オイル供給路29の入口に設けられ、該背圧供給路29の内径を拡大して形成されている。
【0035】
シール面31−2は、弁室31−1の奥に続けて設けられ、弁室31−1側が大径の90°テーパ状に形成されている。
【0036】
鋼球32は、弁室31−1の内径よりも僅かに小さい直径で弁室31−1内を自在に移動可能であり、シール面31−2に密着することが可能なように設けられている。この鋼球32がシール面31−2に密着していると、背圧開閉弁30は閉となり、背圧オイル供給路29は閉鎖される。この鋼球32がシール面31−2から離れると、背圧開閉弁30は開となり、背圧オイル供給路29は開放される。また、この鋼球32には、背圧オイル供給路29の入口側からオイル溜り27の圧力、すなわち吐出圧力Pdが作用すると同時に、シール面31−2の底側からリア背圧空間28の圧力が作用する。
【0037】
圧縮バネ33は、その一端がシール面31−2の底から鋼球32に当接し、かつ該鋼球32を常時シール面31−2から引き離す方向に付勢するように設けられている。
【0038】
オイル溜り27の圧力(吐出圧力Pd)がリア背圧空間28の圧力より高くても、その差が所定値以下である場合には、圧縮バネ33のバネ力で鋼球32はシール面31−2から引き離される。これにより、背圧開閉弁30は開となり、背圧オイル供給路29は開放状態に設定される。オイル溜り27の圧力(吐出圧力Pd)がリア背圧空間28の圧力より高く、かつ、その差が所定値を超える場合には、その差圧力により鋼球32は圧縮バネ33のバネ力に抗してシール面31−2側に移動し、該シール面31−2に鋼球32が密着する。これにより、背圧開閉弁30は閉となり、背圧オイル供給路29は閉鎖状態に設定される。
【0039】
特に、本実施形態の気体圧縮機では、定常運転時における適正なベーン背圧が吐出圧力Pdの約55〜70%であるため、オイル溜り27の圧力(吐出圧力Pd)がリア背圧空間28の圧力よりも0.3〜0.5MPa以上高くなると、鋼球32がシール面31−2に密着して背圧オイル供給路29を閉とするように、圧縮バネ33のバネ力が設定されている。このバネ力設定は冷媒ガスとしてR134aを用いた場合の例であるが、使用する冷媒ガスの種類により上記圧縮バネ33のバネ力設定は異なる。たとえば、冷媒ガスとしてR22、R407Cを用いる場合は、定常運転時の吐出圧力PdがR134a使用時に比べ30〜50%高い。従って、オイル溜り27の圧力(吐出圧力Pd)がリア背圧空間28の圧力よりも0.5〜0.9MPa以上高くなると、鋼球32がシール面31−2に密着して背圧オイル供給路29を閉とするように、圧縮バネ33のバネ力が設定される。
【0040】
尚、本実施形態の背圧開閉弁30を所望の圧力差で開閉させるための手段としては、バネ力の設定のみならず、弁室31−1の内径と鋼球32の外径との間で形成される隙間を適宜選択することでも可能である。仮に、バネ力を一定として弁室31−1の内径と鋼球32の外径との隙間を広げると、開閉動作に要する圧力差が大きくなって背圧開閉弁30は閉じにくくなり、隙間を狭めると開閉動作に要する圧力差は小さくなって閉じ易くなる。
【0041】
リア側サイドブロック6のシリンダ対向面には軸受10の周囲にサライ溝34が形成されている。このサライ溝34(以下、リア側サライ溝という。)は、冷媒ガスの吸入行程から圧縮行程の時期にベーン溝15底部がその側面から対向し連通するように形成されている。
【0042】
さらに、このリア側サライ溝34は、リア側サイドブロック6の連通孔35を介してリア背圧空間28にも連通するように構成されている。
【0043】
したがって、背圧開閉弁30が開いて背圧オイル供給路29が開放状態に設定されている場合は、背圧オイル供給路29、リア背圧空間28および連通孔35を介してオイル溜り27とリア側サライ溝34が連通する。
【0044】
本実施形態の気体圧縮機は、内面楕円形状のシリンダ4の中心に真円のロータ8を配置し、三日月型のシリンダ室を180°対向する位置に2つ形成しているため、双方のシリンダ室で冷媒ガスの吸入・圧縮・吐出という一連の動作を行なうことが可能となっている。この構造との関係から、リア側サライ溝34はロータ軸7を介して180°対向する位置にそれぞれ1つずつ合計2つ設けている。これと同様に、図2に示した通り、前述した吸入通路19、吸入口20、シリンダ吐出孔21、吐出弁22、吐出チャンバ23等もそれぞれ2つずつ設けられている。
【0045】
さらに、本実施形態の気体圧縮機は、ロータ8にベーン16を5枚配設しているため、ロータ8が1回転する間に一方の三日月型シリンダ室内でベーンに仕切られた圧縮室が5回形成される。従って、ロータ8が1回転する間に、一方の三日月型シリンダ室で冷媒ガスの吸入・圧縮・吐出という一連の動作が5回行われ、双方のシリンダ室で都合10回行われる。そして、ベーンの枚数の5枚というのは奇数であるため、双方のシリンダ室における吸入・圧縮・吐出の動作は位相が反対で交互に行われる。
【0046】
リア側サライ溝34とオイル溜り27は、さらにリア側サイドブロック6のオイル供給孔36と軸受10のクリアランスを介して連通している。この連通ルートではオイル溜り27のオイルが軸受10のクリアランス通過時に減圧され、この減圧オイルがリア側サライ溝34に供給される。この減圧オイルの圧力は冷媒ガスの吸入圧力と吐出圧力の中間圧である。
【0047】
フロント側サイドブロック5のシリンダ対向面にもサライ溝37が形成されている。このフロント側サライ溝37は、リア側サライ溝34と同様、冷媒ガスの吸入行程から圧縮行程の時期にベーン溝15底部がその側面から対向し連通するように形成される。
【0048】
また、このフロント側サライ溝37は、フロント側サイドブロック5の軸受9のクリアランスと、フロント側サイドブロック5、シリンダ4およびリア側サイドブロック6のオイル供給孔36、36、36を通じてオイル溜り27に連通している。この連通ルートでも、オイル溜り27のオイルが軸受9のクリアランス通過時に減圧され、この減圧オイルがフロント側サライ溝37に供給される。なお、フロント側サライ溝37もリア側サライ溝34と同様の理由から2つ形成されている。また、この減圧オイルの圧力も冷媒ガスの吸入圧力と吐出圧力の中間圧である。
【0049】
リア側サイドブロック6には高圧オイル供給路38が設けられている。高圧オイル供給路38の一端は、リア側サイドブロック6の軸受10内面を一部刳り貫いてなる環状溝39を介して同リア側サイドブロック6のオイル供給孔36に連通し、かつ、該オイル供給孔36を介してオイル溜り27側に開口する構造となっている。また、この高圧オイル供給路38の他端は、ベーン溝15底部とサライ溝34、37との連通を遮断された後の該ベーン溝15底部に開口する構造となっている。
【0050】
つまり、本実施形態の気体圧縮機においては、ベーン溝15底部とサライ溝34、37との連通が遮断された後に、高圧オイル供給路38の他端にベーン溝15底部がその側面方向から連通し、かつ、オイル溜り27に存在する吐出圧力Pd相当の高圧オイルが、リア側サイドブロック6のオイル供給孔36、環状溝39および高圧オイル供給路38を介しベーン背圧としてベーン溝15底部に直接圧送される。すなわち、本実施形態の気体圧縮機においては、定常運転状態での吸入・圧縮行程にあるベーン16のベーン溝15底部には、吐出圧力と吸入圧力との中間圧力がベーン背圧として作用し、吐出行程にあるベーン16のベーン溝15底部には、吐出圧力がベーン背圧として作用するようになっている。ベーン溝15底部とサライ溝34、37との連通が遮断される前に、高圧オイル供給路38の他端がベーン溝15底部と連通してしまうと、吸入・圧縮行程にあるベーン16のベーン背圧が、高圧オイル供給路38からの吐出圧力の影響により高くなってしまう。そのため、ベーン16の先端部がシリンダ4の楕円内周面に押し付けられる荷重が大きくなり、摺動抵抗が増加して動力が増大し、車両の燃費に悪影響してしまう。
【0051】
ロータ8の5つのベーン溝15底部空間と、両サイドブロック5、6にそれぞれ2つずつ設けた合計4つのサライ溝34、37と、リア側サイドブロック6のリア背圧空間28とはリア側サイドブロック6の連通孔35により一つの空間として互いに連通する構造となる。この互いに連通する一つの空間全体を単に背圧空間と称する。この背圧空間の合計容積は、5枚のベーン16が全てシリンダ4の楕円内周面に当接した状態のときに形成される、5つのベーン溝15底部空間容積の合計値の約2倍となっている。背圧空間の合計容積をこのようにした理由は、圧縮機定常運転中のベーン16の出入りに伴うベーン溝15底部のオイル、すなわち背圧オイルの脈動の周囲への伝達を緩和させるために大きくしたいことと、オイル溜り27のオイル量が少なくなり過ぎないように小さくしたいこととの、程よいバランスを考慮したためである。
【0052】
本実施形態の気体圧縮機には、背圧オイル供給路29の出口側開口部に渦巻きポンプ40が設けられている。この渦巻きポンプ40は非接触タイプのポンプであり、渦巻きポンプ40の外周部空間は、油分離器24とリア側サイドブロック6とにより形成される前記リア背圧空間28である。
【0053】
上記のような渦巻きポンプ40の渦巻きは、(1)ロータ軸7のリア側端面7Rに形成するか、または、(2)ロータ軸リア側端面7aと対向する面に形成することができる。
【0054】
<上記(1)渦巻きポンプの構造説明>
図1には、渦巻きポンプ40の渦巻き40−1をロータ軸7のリア側端面7Rに形成したタイプが示されている。
【0055】
このタイプの場合には、ロータ軸7の回転により渦巻き40−1自体が回転する。渦巻き40−1の外径は、ロータ軸リア側端面7Rの直径と同じ大きさに形成されているが、それより小さく形成してもよく、また、別部材をロータ軸リア側端面7Rに取り付けてロータ軸リア側端面7Rの直径よりも大きな渦巻きを形成してもよい。
【0056】
図3ないし図6は、いずれも渦巻きを正面から見た図である。本実施形態の気体圧縮機では、ロータ軸7をクラッチ14側正面からみた場合には、運転時に時計回りに回転する。したがって、ロータ軸7のリア側端面7Rに渦巻き40−1が設けられているこのタイプでは、図3ないし図6においてロータ軸7の回転方向は反時計回りである。
【0057】
図3ないし図6に示されるように、渦巻き40−1は、渦の内周から外周に向かって延伸するにつれ、右へ右へと時計回りの方向に傾斜するように形成されている。すなわち、渦巻き40−1は、渦の内周から外周に向かって延伸するにつれ、ロータ軸7の回転方向とは逆方向に傾斜するように形成されている。
【0058】
また、渦巻き40−1の渦形状は、図3と図4に示した直線状でもよいし、図5と図6に示したように渦半径が大きくなるにつれ傾斜が大きくなるような曲線状としてもよい。
【0059】
図4に示される直線状の渦は、渦の最内径部が中心円の接線となるように形成されている。この中心円は、これに向かいあって位置する背圧オイル供給路29の出口の開口円に相当する円である。この開口円相当円に外接するように渦を形成させることにより、オイルの粘性摩擦抵抗による回転動力の上昇を抑えつつ、オイルを流動させることができる。
【0060】
図5に示される渦は、図4で示した渦の直線部を曲線状にしたものである。この渦によれば、渦の最内径部を開口円相当円に外接するようにして回転動力の上昇を抑えることに加え、渦の半径が大きくなるに従い傾斜が緩くなるため、径の大きい部分でもオイルの粘性摩擦抵抗が低減される。よって、回転動力の上昇を一層抑えて、オイルを流動させることができる。
【0061】
図6に示される渦は、図5で示した渦の曲線の傾斜をより大きくし、最外径部でロータ軸リア側端面7Rの外径円に内接するように形成したものである。この渦によれば、最も回転動力に影響を与え易い最外径部でのオイルの粘性摩擦抵抗が殆どないため、回転動力の上昇を最低限に抑えられる。よって、回転動力の上昇が殆どないまま、オイルを流動させることができる。
【0062】
<上記(2)渦巻きポンプの構造説明>
図7には、渦巻きポンプ40の渦巻き40−1をロータ軸リア側端面7Rと対向する部位側、すなわちリア背圧空間28の壁面を構成する油分離器24側に形成したタイプが示されている。
【0063】
このタイプの場合は、ロータ軸9が回転しても渦巻き40−1自体は回転しない。この渦巻き40−1の外径は、渦巻き40−1と対向するロータ軸リア側端面9Fの直径と同じ大きさに形成したが、それより大きく形成しても小さく形成してもよい。また、この渦巻き40−1の中心には背圧オイル供給路29の出口が開口している。
【0064】
この渦巻き40−1を油分離器24側に形成したタイプでも、渦巻きを正面から見た図は、図3ないし図6に示されるものとほぼ同様である。しかしながらこのタイプでは、図3ないし図6におけるロータ軸7の回転方向は時計回りとなる。従って、渦巻き40−1は、渦の内周から外周に向かって延伸するにつれ、ロータ軸7の回転方向と同方向に傾斜するように形成されていることになる。また、図3ないし図6における渦巻き40−1の中心円は、背圧オイル供給路29の出口開口部そのものである。
【0065】
このタイプの渦巻き40−1は回転しないが、図3ないし図6に示される渦巻きの個々の構成・作用及びそれらの違いについては、(1)渦巻きポンプの構造説明のところで説明した内容と同様である。
【0066】
<上記(1)と(2)の渦巻きポンプに共通の構造説明>
図1と図7に示した渦巻きポンプ40の渦巻き40−1は、これを円周方向の断面としてみると、図8のような凹凸の形状である。
【0067】
▲1▼ 渦巻き40−1の凹凸の数は1つでも複数でもよい。但し、凹凸の数が複数の場合は、渦巻き40−1の最内径部で、凹凸の1ピッチ(図8に示すP)が1.0mm以上となるように形成するのが好ましい。
【0068】
例えば、渦巻き40−1の最内径部の直径が3mmの場合は、その最内径部での円周長さが約9mmとなるため、凹凸の数は多くても9個以下とする。その理由は要するに、細かな凹凸を形成するには高い加工精度を要するためコストアップとなる等、製造上の問題もあるが、あまりに凹凸が細かすぎると、ベーンロータリー型気体圧縮機に使用される高粘度(動粘度が40℃で90cSt以上、100℃で18cSt以上)のオイルが凹部に入り込み難くなり、渦巻きポンプ40としてのオイル送出機能が低くなるためである。
【0069】
▲2▼ 渦巻き40−1の凹凸の高低差は高いほどオイルの送出量が増えて好ましい。しかし、凹凸成形の困難性の観点から、凹凸の高低差は、渦巻き40−1の最内径部側では凹凸のピッチの値と同程度か、それより小さめの値とする。渦巻き40−1の外径部側における凹凸の高低差については後述の▲4▼で詳述する。
【0070】
▲3▼ 渦巻き40−1の凹凸の円周方向断面形状は矩形がよい。これにより、オイルが渦巻き40−1の内周から外周へ効率よく送出される。渦巻き40−1の凹凸の円周方向断面に斜面が形成されていると、オイルにロータ軸7方向の余分な力が発生し、ロータ軸7にスラスト荷重(アキシャル荷重)が作用し、動力増加の原因となる可能性がある。
【0071】
▲4▼ 渦巻き40−1の凸部上面とこれに対向する平面との間には、円周状に開口する隙間G1が設けられる。この隙間G1は渦巻き40−1の最外径部で0.1〜1.0mm程度とし、この値を当該隙間G1の最小値とする。この隙間G1の最小部における円周状の開口面積と、背圧オイル供給路29出口の開口円の面積とが等しくなるように、上記隙間G1および渦巻き40−1の凹凸の高低差と円周方向長さが、渦巻き40−1の直径の変化に応じて決定されるものとする。このように構成した場合は、ベーン背圧用のオイルが背圧オイル供給路29出口から渦巻きポンプ40を通ってリア背圧空間28に達するまでの通路断面積が一定となり、オイル流路内でのオイルの圧力変化が最小限に抑制され、効率よく渦巻きポンプ40を作用させることができる。
【0072】
尚、渦巻き40−1を互いに対向する双方の面に形成した場合には、外径が小さい方の渦巻き40−1の最外径部での双方の凸部上面間の隙間G1を0.1〜1.0mm程度とすれば良い。
【0073】
▲5▼ 渦巻きポンプの渦巻き形状とその寸法の一例を下記に示す。なお、下記例は、背圧オイル供給路29出口の開口円の面積を7.07mm(開口円の直径は3mm)とし、渦巻き40−1の外径(=ロータ軸リア側端面7Rの直径)を15mmとし、渦巻き40−1の最外周部の凸部上面とこれに対向する平面との隙間G1を0.1mmとした場合の例である。
【0074】
A. 渦巻きの最外周部
渦巻き40−1の最外周部では、凹凸がなければ、隙間G1の最小部における円周状の開口面積は約4.71mm(=15×π×0.1)となり、背圧オイル供給路29出口の開口円の面積よりも2.36mm(=7.07−4.71)小さい。よって、この2.36mm分だけ渦巻き40−1の最外周部に溝(渦巻きの凹部)を設けることができる。その溝の深さを0.1mmとすれば、円周方向長さの合計が23.6mmに相当する溝を掘れることになる。この23.6mmは全外周長さ47.12mm(=15×π)の約50%に相当するため、渦巻きの山(凸部)と溝(凹部)の円周方向長さが略等しくなる。
【0075】
B.渦巻きの直径12mm(半径6mm)の部分
渦巻き40−1の直径12mmの部分では、仮に渦巻き40−1の凸部上面とこれに対向する平面との隙間G1が0.1mmのままであるとすると、その部分における円周状の開口面積は約3.77mm(=12×π×0.1)となり、背圧オイル供給路29出口の開口円の面積よりも3.30mm(=7.07−3.77)小さい。よって、この3.30mm分だけ渦巻き40−1の直径12mmの部分に溝(渦巻きの凹部)を設けることができる。その溝の深さを0.1mmとすれば、円周方向長さの合計が33.0mmに相当する溝を掘れることになる。しかし、この渦巻き40−1の直径12mmの部分では、その全周が37.7mm(=12×π)であり、そこに円周方向長さ33.0mmの溝を掘ってしまうと、渦巻き40−1の凸部が非常に狭くなってしまう。このため、溝の深さを変えるか、渦巻きの凸部上面とこれに対向する平面との隙間G1を変える必要がある。
【0076】
上記のような溝の深さや、渦巻きの凸部上面とこれに対向する平面との隙間G1を変更する場合には、渦巻きの凹凸の長さの比率を渦巻きの最外周部に合せて行なう(ここでは50%の比率とする)。仮に溝の深さだけを深くした場合には、その溝の深さは約0.18mm(=3.30÷(37.7×0.5))となる。
【0077】
C. 渦巻きの直径7mm(半径3.5mm)の部分
渦巻き40−1の直径7mmの部分では、仮に渦巻きの凸部上面とこれに対向する平面との隙間G1が0.1mmのままであるとすると、その部分における円周状の開口面積は約2.20mm(=7×π×0.1)となり、背圧オイル供給路29出口の開口円の面積よりも4.87mm(=7.07−2.20)小さい。よって、この4.87mm分だけ渦巻きの直径7mmの部分に溝(渦巻きの凹部)を設けることができる。仮に溝の深さだけを深くした場合には、渦巻きの凹凸の長さの比率が50%であるときの溝の深さは、約0.44mm(=4.87÷((7×π)×0.5))となる。
【0078】
D. 渦巻きポンプの課題と好適な形態
以上のA、B、Cでの計算結果が示すように、渦巻き40−1の外周と内周において凸部上面とこれに対向する平面との隙間G1を一定とし、かつ、渦巻き40−1のどの直径部分でも凹凸の長さの比率を一定にしようとすると、次のような問題がある。すなわち、渦巻きポンプ40内のオイル流路の開口断面積を、背圧オイル供給路29出口の開口円の面積としてそのまま維持するためには、溝の深さは2次曲線的にラッパ状に変化させなければならない。
【0079】
図9は、ロータ軸7のリア側端面7Rに渦巻き40−1を形成した場合における、上記状態を示した断面図であり、破線で示した溝底部が2次曲線的にラッパ状となっている。図9に示した形態でも渦巻きポンプとしての流体移送という機能上の問題はないが、部品製造上、表面に露出しない溝底部の2次曲線的な形状・寸法を管理するのは困難である。そのため、溝底部は直線状のテーパ面とするか又は平面とし、それによるオイル流路の開口断面積の不足分を、渦巻きの凸部上面とこれに対向する平面との隙間G1を広げていくことで補うことが好ましい。
【0080】
渦巻き40−1の凸部上面とこれに対向する平面との隙間G1を広げる手段については、たとえば、渦巻き40−1の凸部上面を2次曲線的なラッパ状の斜面としてもよいし、また渦巻き40−1と対向する面側をラッパ状の斜面としてもよい。このように構成すると、図10ないし図15に示したように、当該隙間G1は渦巻き40−1の内周側で広く、かつ、同渦巻き40−1の外周側で狭くなるように設定される。
【0081】
図10ないし図13には、図1のようにロータ軸リア側端面7Rに渦巻き40−1が形成されるタイプにおいて、破線で示す溝底部が直線状のテーパ面か平面かのいずれかとなっている好適な形態が示されている。図10ないし図13に示す形態では、さらにその渦巻き40−1の凸部上面を前述の2次曲線的なラッパ状の斜面や直線状のテーパ面等とすることにより、流路断面積が一定となるようにしている。よって、渦巻き40−1の凸部上面とこれに対向する平面との隙間G1が渦巻き40−1の内周側で広く、かつ外周側で狭くなっている。
【0082】
図10の渦巻き40−1は、渦巻きの凸部上面をラッパ状の斜面とし、渦巻きの凹部底面を傾斜したフラットな面とするとともに、渦巻きの内周から外周に亘って全体的に渦巻きの凸部上面と凹部底面とに高低差が設けられる形状となっている。すなわち、図10に示す例は、渦巻きの溝が比較的深く形成されており、凸部の円周方向幅が凹部の円周方向幅よりも大きい場合に多い形状である。
【0083】
図11の渦巻き40−1は、渦巻きの凸部上面をラッパ状の斜面とし、渦巻きの凹部底面は傾斜のないフラットな面とするとともに、渦巻きの内周側では渦巻きの凸部上面と凹部底面に高低差がなく、渦巻きの外周へ向かうのに従い連続的にその高低差が大きくなる形状となっている。この図11に示す例が、図10ないし図13に示される4つの例の中で、唯一溝底部が傾斜のない平面であるため製造上最も好都合である。
【0084】
図12の渦巻き40−1は、渦巻きの凸部上面を2次曲線的なラッパ状の斜面とし、渦巻きの凹部底面は傾斜したフラットな面とするとともに、渦巻きの外周側では渦巻きの凸部上面と凹部底面に高低差がなく、渦巻きの内周へ向かうのに従い連続的にその高低差が大きくなる形状となっている。この図12の例は、先の図9で示した例と同様に、渦巻きの山と溝との円周方向幅の比率が、渦巻きの半径が変化しても一定の場合に得られる形状である。しかし、図9の例と比較すれば溝底部が直線的であるため、製造面では好都合である。
【0085】
図13の渦巻き40−1は、渦巻きの凸部上面と凹部底面を双方とも一律に同じ高低差のある傾斜したフラットな面とした形状となっている。この図13の例では、山も溝もテーパ状の面(すなわち円錐面)であるため、一見製造し易いように感じられるが、流路断面積を一定とするためには、溝の側壁面である渦巻きそのものの曲率を渦巻きの直径に応じて変化させる必要があるため、それほど容易ではない。
【0086】
図14と図15に示す例は、共に図7のようにロータ軸リア側端面7Rと対向する部位側(リア背圧空間28の壁面を構成する油分離器24側)に渦巻き40−1が形成されるタイプであり、両者共、渦巻き40−1の最内周側が背圧オイル供給路29の出口側開口円と一致し、最外周側が対向するロータ軸7のリア側端面7Rの直径と一致している。さらに、両者共、渦巻き40−1の凸部上面とこれに対向する面(ロータ軸リア側端面7R)との隙間G1が渦巻き40−1の内周側で広く、かつ外周側で狭くなるように形成している。
【0087】
図14の渦巻き40−1は、渦巻きの凸部上面を傾斜したフラットな面とするとともに、渦巻きの凹部底面をラッパ状の斜面とした形状となっている。よって、機能的には問題ないが、製造面ではそれほど好ましい形状ではない。
【0088】
図15の渦巻き40−1は、先の図10で示した形状と同様のものをリア背圧空間28の壁面を構成する油分離器24側に形成させた例であるが、渦巻きの凸部上面のラッパ状の斜面と凹部底面の傾斜したフラットな面それぞれの勾配を、より大きくした形状となっている。渦巻きの外径に比べ内径の割合が比較的大きい場合には、このように勾配が大きくなる。
【0089】
以上のように、渦巻き40−1の断面形状はいろいろ考えられる。渦巻き40−1をロータ軸リア側端面7Rに設けようと、これと対向する油分離器24側に設けようと機能的な差は殆どない。但し、製造面では、通常ロータ軸7は硬い焼き入れ鋼を用いるため、端面に細かな溝を形成させるには時間をかけて機械加工しなければならない。これに対して油分離器24は、通常アルミ合金ダイカストが用いられるため金型にて溝形成しておけば、あとで1つ1つ機械加工する必要がなく、同じ形状の渦巻き40−1をもった油分離器が多量に安価に製作できる。従って、製造面からの判断では、回転しない油分離器側に渦巻き40−1を形成させることが好ましい。
【0090】
尚、上記の例では、渦巻き40−1をロータ軸リア側端面7R側とこれと対向する油分離器24側のいずれか一方に設けるという方法であったが、双方同時に渦巻き40−1を設けても良い。又、渦巻き40−1の凸部上面と凹部底面を両者共フラットな平面で形成し、流路断面積を一定にするためのラッパ状の2次曲線的斜面または円錐状のテーパ面等を、当該渦巻き40−1と対向する面側に設けるという方法でも良い。
【0091】
<上記(1)渦巻きポンプ(渦巻きが回転するタイプ)の動作説明>
圧縮機の起動によりロータ軸7が回転を開始すると、渦巻きポンプ40内に介在するオイルに、ロータ軸7の回転方向と同じ回転方向の粘性流が生じる。この回転するオイルの粘性流は、遠心力の作用で渦巻き40−1の内周から外周へ向かう方向に流れるが、渦巻き40−1とこれに対向し回転しない面との間の粘性摩擦抵抗により、ロータ軸7の回転速度よりも遅く回転する。このようにオイルの回転が渦巻き40−1の回転よりも遅いため、オイルは渦巻き40−1の凹部(溝)の側壁で押され、さらに遠心力が加わり渦巻きの外周側へ送られ、リア背圧空間28側に送出される。
【0092】
上記のようにしてオイルの流れ方向が背圧空間28側に向かうため、渦巻きポンプ40の上流側の背圧オイル供給路29から渦巻きポンプ40の内周側にオイルが吸い込まれ、この渦巻きポンプ40からその下流側のリア背圧空間28側にオイルが続々と連続的に送出される。このため、オイルはさらにリア背圧空間28から連通孔35を介してサライ溝34に供給される。
【0093】
上記のようにして、サライ溝34にも続々とオイルが供給されるため、オイルはサライ溝34からベーン溝15底部に入ろうとする。そして、オイルがベーン溝15底部に入ると同時にベーン16がベーン溝15から飛び出し、冷媒ガスの吸入・圧縮・吐出が開始される。
【0094】
上記のように動作説明すると、ロータ軸7が回転してからベーン16が飛び出すまでにかなりの時間がかかるように感じられるが、ロータ軸7の回転開始からベーン16の飛び出し動作までは瞬時に行なわれる。これは、リア背圧空間28やサライ溝34およびベーン溝15底部には、ロータ軸7の回転開始前から既にオイルが存在している。オイルは非圧縮性流体であるため、渦巻きポンプ40からオイルの送出が開始されると同時に、この送出されたオイルが下流側のベーン溝15底部のオイルを押し出すように作用するためである。
【0095】
上記の如く冷媒ガスの吸入・圧縮・吐出が開始されると、その吐出圧力によりオイル溜り27の上部空間の吐出室25が徐々に高圧となる。この高圧がオイル溜り27のオイルに作用し、オイル溜り27から背圧オイル供給路29へさらにオイルが送出されるとともに、オイル溜り27からリア側サイドブロック6のオイル供給孔36を介してリア側サイドブロックの軸受10へのオイル供給が開始される。また、リア側サイドブロック6、シリンダ4およびフロント側サイドブロック5のオイル供給孔36を通じてオイル溜り27からフロント側サイドブロックの軸受9へのオイル供給も開始される。
【0096】
冷媒ガスの吸入・圧縮・吐出が何度か繰り返されると、吐出室25がさらに高圧となり、オイル溜り27のオイルにもその高圧が作用する。そして、オイル溜り27のオイルの圧力がリア背圧空間28の圧力よりも0.3〜0.5MPa以上高くなると、背圧オイル供給路29の背圧開閉弁30が作動する。つまり、圧縮バネ33が収縮し、鋼球32がシール面31−2に密着する。これにより、背圧開閉弁30が閉となり、背圧オイル供給路29が閉鎖される。そうすると、ベーン溝15底部にはフロントおよびリア側サイドブロック5、6の軸受9、10のクリアランスを介して減圧された中間圧のオイルが供給され、この気体圧縮機は定常状態の運転に入る。
【0097】
<上記(2)渦巻きポンプ(渦巻きが回転しないタイプ)の動作説明>
圧縮機の起動によりロータ軸7が回転を開始すると、渦巻きポンプ40内に介在しロータ軸リア側端面7Rに接触しているオイルも粘性摩擦により回転しようとする。しかし、オイルの回転速度は、ロータ軸リア側端面7Rと対向し回転しない渦巻き40−1に接触しているオイルの粘性摩擦抵抗により、ロータ軸7の回転速度よりも遅くなる。このようにオイルの回転速度は遅いが、オイルには回転による遠心力も作用する。回転するオイルが渦巻き40−1の凹部(溝)内にあるオイルにも粘性摩擦により回転を与え、この凹部内の回転するオイルが遠心力を伴い溝の側壁に沿って渦巻き40−1の外周側へ流動する。これによりオイルの流れ方向がリア背圧空間28側に向かうので、渦巻きポンプ40の上流側の背圧オイル供給路29から渦巻きポンプ40内にオイルが吸い込まれ、この渦巻きポンプ40からその下流側のリア背圧空間28側にオイルが送出される。この後の動作は上記(1)渦巻きポンプと同様である。
【0098】
<リア背圧空間の形状とその容積についての詳細説明>
リア背圧空間28は、渦巻きポンプ40の外周にこれに沿って円周状に形成される。つまり、本実施形態の場合、渦巻きポンプ40の上側と下側に一連の連通するリア背圧空間28が形成される。この渦巻きポンプ40の下側に形成される下部リア背圧空間28−1の容積は、同渦巻きポンプ40の上側に形成される上部リア背圧空間28−2の容積よりも小さくした方がよい。これは、圧縮機起動時における渦巻きポンプ40の空回りを防止し、圧縮機起動直後から迅速かつスムーズに、渦巻きポンプ40からベーン溝15底部側へオイルが送出されるようにするためである。
【0099】
すなわち、通常、圧縮機の定常運転がなされると、オイル中に冷媒ガスが溶け込み、圧縮機停止後にその溶けた冷媒ガスは気体に戻る。このため、圧縮機再起動時に渦巻きポンプ40内に介在する液体(冷媒ガス含有オイル)の量が減少するということが考えられる。渦巻きポンプ40内の液体の貯留量が減少し少量であると、圧縮機再起動の際に渦巻きポンプ40が空回りする可能性があり、これが渦巻きポンプ40からベーン溝15底部へのオイルの送出遅れ原因になるものと考えられる。
【0100】
したがって、渦巻きポンプ40内の液体の貯留量が少なくても確実にポンプ作用を有効に発揮させるためには、前述の通り、渦巻きポンプ40の下側に形成される下部リア背圧空間28−1の容積はできるだけ小さい方がよい。
【0101】
上記のような下部リア背圧空間28−1の小容積化を実現するための具体的な手段としては、たとえば、図16に示したように、上部リア背圧空間28−2の深さ(ロータ軸7の軸線方向に沿って測った長さ)を下部リア背圧空間28−1よりも深くする方法がある。この場合、下部リア背圧空間28−1と上部リア背圧空間28−2の径を同一とすることができる。また、これに代えて、図17に示したように、上部リア背圧空間28−2の径を下部リア背圧空間28−1の径よりも拡大する方法を採用してもよい。この場合、下部リア背圧空間28−1と上部リア背圧空間28−2の深さを同一とすることができる。図16及び図17に示した2種類のリア背圧空間28は、いずれも渦巻き40−1に対して同心状に設けたものである。しかし、例えば、円筒状の背圧空間28の中心位置を渦巻き40−1の中心位置よりも高い位置に偏心させて配置することによっても、渦巻き40−1の下方の下部リア背圧空間28−1の容積を上部リア背圧空間28−2の容積より小さくすることができる。ただし、いずれの場合においても、図16及び図17に示すように、リア側サライ溝34への連通孔35を塞いでしまうことがないように形成する。
【0102】
<圧縮機起動直後からさらに効率よく渦巻きポンプを動作させる構造の説明>
圧縮機起動時に渦巻きポンプ40のポンプ作用を効率よく引き出すには、オイル溜り27にオイルをできるだけ多く貯留させておいた方がよい。圧縮機をエアコンシステムに取り付けた直後は、圧縮機出荷時にオイル溜りにオイルが封入されているため、渦巻きポンプ40は効率よく作用する。しかし、圧縮機の運転が繰り返し行なわれた後は、圧縮機停止後に、オイル溜り27のオイルが軸受9、10へのオイル供給孔36を通じて低圧の吸入室18側へ移行するため、オイル溜り27にオイルが貯留されない状態が起こり得る。
【0103】
ところで、従来、オイルが吸入室18側へ送出されている状態で圧縮機を再起動したときのオイル圧縮による起動トルクの増大や、それに伴う起動騒音の増大を抑制することが技術的課題とされ、その対策として次のような手段が提案、実施されている。例えば、▲1▼吸入室18に連通するフロントヘッド3の吸入ポート41に逆止弁を設ける、または、▲2▼軸受9、10へのオイル供給孔36の入口に開閉弁を設けるなどである。これらの手段により、圧縮機停止後にもオイルが吸入室18側へ送出されないようにし、オイル溜り27に十分に貯留されるようにしている。
【0104】
本発明における気体圧縮機において、渦巻きポンプ40を効率よく作用させるために、オイル溜り27にオイルを貯留させておく手段として、上記▲1▼または▲2▼の手段を併用することも有効ではある。しかし、より好ましい手段としては、図2に示した通り、圧縮機停止時に吐出弁22がシリンダ吐出孔21を完全に塞がないように、そのシリンダ吐出孔21の吐出弁側開口端と吐出弁22との間に微小な隙間G2を設ける方法がある。この場合、吐出弁22が板厚0.15〜0.3mmのリードバルブであるときは、この微小な隙間G2は0.1〜0.5mm程度とし、圧縮機運転時のシリンダ吐出孔21を開閉可能な構成とする。
【0105】
上記のような構成を採用すると、圧縮機停止直後は、リードバルブタイプの吐出弁22の弾性力でシリンダ吐出孔21が開となり、これによりシリンダ吐出孔21から高圧冷媒ガスが吸入室18側へ移行するため、吐出室25底部のオイル溜り27に高圧が作用しなくなる。したがって、前述の▲1▼や▲2▼の手段のように逆止弁や開閉弁等の機構を設けることなく、圧縮機停止後にもオイル溜り27にオイルを十分貯留させておくことができるため、次回の圧縮機起動直後から渦巻きポンプ40を効率よく作用させることができる。また、圧縮機停止時にシリンダ吐出孔21との間に隙間を有するリードバルブは、運転時におけるシリンダ吐出孔21を閉じようとするときに衝突する速度が、圧縮機停止時にシリンダ吐出孔21との間に隙間をもたないリードバルブよりも遅いため、騒音低減を図ることもできる。
【0106】
前述した(1)と(2)の渦巻きポンプ40内でオイルが流動する共通の理由は、以下の通りである。すなわち、渦巻きポンプ40内のオイルが回転側と固定側とに分けられ、互いの接触部分で粘性摩擦抵抗が働き、オイル自身はロータ軸7の回転速度よりも遅く回転し、さらに遠心力を伴い渦巻き40−1の凹部(溝)の側壁に沿って流動するというものである。
【0107】
背圧開閉弁30に関する他の構成としては、鋼球32に代えて、たとえばシール面31−2が90度のテーパ面となっている円柱状の弁体を用いてもよい。またシール面31−2はテーパ面であれば90度以外のものも適用することができる。
【0108】
背圧オイル供給路29と背圧開閉弁30は、油分離器24でなく、リア側サイドブロック6に組み込み形成することもできる。
【0109】
上記実施形態では、油分離器24とロータ軸7を利用して渦巻きポンプ40を構成したが、渦巻きポンプは、油分離器24の代わりにリア側サイドブロック6を用い、リア側サイドブロック6とロータ軸7を利用して構成してもよい。
【0110】
【発明の効果】
本発明に係る気体圧縮機によると、ロータ軸の回転により作動し背圧オイル供給路内のオイルを流動させる渦巻きポンプを備える構成を採用したため、定常運転時のベーン背圧を適正に維持しつつ、以下の効果を有する。
【0111】
(1)圧縮機の起動によるロータ軸の回転開始と同時に、渦巻きポンプのポンプ作用によりベーン溝底部にオイルが供給されてベーンが飛び出すため、圧縮機起動直後から直ぐに正常な冷媒ガスの圧縮動作を開始することが可能となる。正常な圧縮動作が開始されると、直ちに背圧開閉弁が閉じて渦巻きポンプによるベーン溝底部へのオイル供給が停止するため、圧縮機の定常運転時に過剰なベーン背圧が生ぜず、動力の上昇を防止することができる。したがって、車両の低燃費を維持したまま冷房の立ち上がりが早くなる。
【0112】
(2)上記のような渦巻きポンプのポンプ作用によりベーン溝底部にオイルが供給されることで、圧縮機の定常運転時とは別個独立に、圧縮機起動時のベーン背圧を十分に確保することが可能となり、圧縮機起動時のチャタリングの発生を防止することができ、車室内に伝わる騒音が低減される。
【0113】
(3)圧縮機起動の際に冷媒ガスをリア背圧空間に供給しないので、潤滑に対する悪影響がなくなり、圧縮機の耐久性が向上する。
【0114】
(4)圧縮機起動時のベーン飛び出しの際に、ベーンに加わる遠心力を必要としないため、ベーンのさらなる軽量化が図れ、ベーン溝のオフセット量の設計自由度が広がる。
【0115】
(5)圧縮機起動時のベーン飛び出しの際に、ベーン溝内のオイルの粘性抵抗の影響を殆ど受けなくなるため、より一層高粘度のオイルを使用することが可能となり、油膜によるシール部分の漏れ(内部リーク)を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である気体圧縮機の断面図。
【図2】図1のII‐II線断面図。
【図3】渦巻きの渦が直線状である一実施形態の正面図。
【図4】渦巻きの渦が直線状である他の実施形態の正面図。
【図5】渦巻きの渦が曲線状である一実施形態の正面図。
【図6】渦巻きの渦が曲線状である他の実施形態の正面図。
【図7】本発明の他の実施形態である気体圧縮機の断面図。
【図8】渦巻きの円周方向断面図。
【図9】渦巻きの一実施形態の断面図。
【図10】渦巻きの他の実施形態の断面図。
【図11】渦巻きの他の実施形態の断面図。
【図12】渦巻きの他の実施形態の断面図。
【図13】渦巻きの他の実施形態の断面図。
【図14】渦巻きの他の実施形態の断面図。
【図15】渦巻きの他の実施形態の断面図。
【図16】リア背圧空間の一実施形態の正面図。
【図17】リア背圧空間の他の実施形態の正面図。
【符号の説明】
1 コンプレッサケース
2 圧縮機構部
3 フロントヘッド
4 シリンダ
5 フロント側サイドブロック
5a 吸入口
6 リア側サイドブロック
7 ロータ軸
7F ロータ軸フロント側端部
7R ロータ軸リア側端面
8 ロータ
9、10 軸受
11 ボス部
12 ベアリング
13 プーリ
14 クラッチ
15 ベーン溝
16 ベーン
17 圧縮室
18 吸入室
19 吸入通路
20 吸入口
21 シリンダ吐出孔
22 吐出弁
23 吐出チャンバ
24 油分離器
25 吐出室
26 分離フィルタ
27 オイル溜り
28 リア背圧空間
28−1 下部リア背圧空間
28−2 上部リア背圧空間
29 背圧オイル供給路
30 背圧開閉弁
31−1 弁室
31−2 シール面
32 鋼球
33 圧縮バネ
34 リア側サライ溝
35 連通孔
36 オイル供給孔
37 フロント側サライ溝
38 高圧オイル供給路
39 環状溝
40 渦巻きポンプ
40−1 渦巻き
41 吸入ポート
G1 渦巻きの凸部上面とこれに対向する平面との隙間
G2 シリンダ吐出孔の吐出弁側開口端と吐出弁との間の隙間

Claims (8)

  1. 端面にサイドブロックを取り付けたシリンダと、
    上記シリンダの内側にロータ軸を介して回転可能に設置されたロータと、
    上記ロータの外周面に形成されたベーン溝に摺動可能に装着され、かつ、該ロータの外周面から上記シリンダの内周面に向かって出没するベーンと、
    上記シリンダ、サイドブロック、ロータおよびベーンにより仕切られたシリンダ内側の小室からなるとともに、上記ロータの回転により容積の大小変化を繰り返し、この容積変化により冷媒ガスを吸入し圧縮して吐出する圧縮室と、
    上記圧縮室から吐出される冷媒ガスの圧力が作用するオイル溜りと、
    上記ロータ軸のリア側端面を含む壁面で形成されるリア背圧空間と、
    上記リア背圧空間に連通し、かつ、上記ベーンが吸入行程から圧縮行程の区間で上記ベーン溝底部が連通するサライ溝と、
    上記オイル溜りに一端が開口し、他端が上記ベーン溝底部と上記サライ溝の連通を遮断された後の該ベーン溝底部に開口する高圧オイル供給路と、
    上記オイル溜りに入口が開口し、出口は上記リア背圧空間に開口する背圧オイル供給路と、
    上記背圧オイル供給路の途中に設けられ、上記オイル溜りの圧力と上記リア背圧空間の圧力との差が所定値以下のときに開となり、その差が所定値を超えたときに閉となる背圧開閉弁と、
    上記ロータ軸の回転により作動し上記背圧オイル供給路内のオイルを流動させる渦巻きポンプとを備えてなること
    を特徴とする気体圧縮機。
  2. 上記背圧オイル供給路の出口側に、上記渦巻きポンプを配置したことを特徴とする請求項1に記載の気体圧縮機。
  3. 上記渦巻きポンプは、
    上記ロータ軸のリア側端面と、
    上記ロータ軸リア側端面と所定の隙間を隔てて対向する上記リア背圧空間の壁面の一部と、
    上記リア背圧空間の一部の壁面に形成された渦巻き、及び/または上記ロータ軸リア側端面に形成された渦巻きと、
    からなることを特徴とする請求項1に記載の気体圧縮機。
  4. 上記ロータ軸のリア側端面に渦巻きを設け、該渦巻きを正面から見たときに、その渦巻きは、渦巻きの内周から外周に延伸するに連れ上記ロータ軸の回転方向とは逆方向に傾斜することを特徴とする請求項3に記載の気体圧縮機。
  5. 上記ロータ軸のリア側端面と対向する上記背圧空間の一部の壁面に渦巻きを設け、該渦巻きを正面から見たときに、その渦巻きは、渦巻きの内周から外周に延伸するに連れ上記ロータ軸の回転方向と同方向に傾斜することを特徴とする請求項3に記載の気体圧縮機。
  6. 上記渦巻きポンプの渦巻きは、上記ロータ軸リア側端面の直径と同じ直径であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載の気体圧縮機。
  7. 上記渦巻きポンプの上記所定の隙間は、その渦巻きの外周側が内周側よりも狭く設定されていることを特徴とする請求項3に記載の気体圧縮機。
  8. 上記圧縮室で圧縮された冷媒ガスを吐出するシリンダ吐出孔と、該シリンダ吐出孔を圧縮機の運転時に開閉する吐出弁が設けられ、
    上記吐出弁は圧縮機の停止時に上記シリンダ吐出孔を開とすることを特徴とする請求項1に記載の気体圧縮機。
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