JP2004189932A - 固形燃料ガス化装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガス発生炉本体11と、前記ガス発生炉本体11の上部に設けられた固形バイオマス燃料導入手段と、前記ガス発生炉本体11の中央部に設けられた空気噴出ノズル部116を有する空気導入手段と、前記ガス発生炉本体11の下部に設けられた火格子と、前記火格子の下方に設けられた発生ガス排出手段117とから構成される固形バイオマス燃料ガス化装置において、前記ガス発生炉本体11は、当該ガス発生炉本体11の外周部に蓄熱層113を設けると共に、導入空気に水蒸気を混合する水蒸気混合手段114を備えていることを特徴とする固形燃料ガス化装置。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固形燃料を燃焼する分散型電源に使用されるガス発生炉の空気導入手段の構成であり、前記ガス発生炉内の温度安定化を図るとともに、生成ガスの発熱量を増加させるための固形燃料ガス化装置に関するものである。本明細書でいう前記固形燃料とは、固形バイオマス燃料あるいはそれ以外の固形燃料からなる。たとえば、固形バイオマス燃料は、木炭、木材のチップ、おが屑やもみ殻を固形化したもの、鶏糞、あるいは生ゴミ等を固形化したもの等を含む。また、前記固形燃料としては、石炭等の化石化燃料等を含むものである。
【0002】
【従来の技術】
太陽エネルギーが植物の光合成によって生体内に固定、蓄積された生体量(バイオマス)は、その内部に、炭素および水素等燃料となる成分が多く含まれているため、石油あるいは天然ガスの代替エネルギー源として注目されている。
【0003】
従来のバイオマスを燃料に使用した発電方式は、たとえば、
1) バイオマス燃料を直接ボイラーで燃焼させ、その熱で蒸気タービンを動かす発電
2) 微生物を利用して、バイオマス燃料を発酵させて、メタンガスを取り出し、燃料電池に供給する発電
3) バイオマス燃料をガス発生炉においてガス化して可燃ガスを発生させて、前記可燃ガスをガスエンジンやディーゼルエンジンに供給する発電
等がある。
【0004】
前記3)のバイオマス燃料をガス化する方式としては、既に、昭和58年に、おが屑をガス化し、前記発生ガスがガス清浄化装置を介してガスエンジン等に供給され、数十KVAの発電を行う、所謂、おが屑発電が実施されている(塩ノ谷幸造著「木炭自動車」、1996年、パワー社発行、第17頁〜第18頁参照)。
前記おが屑発電は、おが屑が粉状であるため、燃焼効率が低いという問題があった。
【0005】
前記おが屑発電は、おが屑が固形チップ化され、この固形バイオマス燃料をガス化し、前記生成されたガスを燃料として使用している。前記固形バイオマス燃料は、発電を行うための取り扱いが容易であるという特徴を有する。
【0006】
しかしながら、前記固形バイオマス燃料を使用した発電は、木炭等のように、炭化された燃料と異なり、発生するガス中のタール分が多く含まれ、このタール分がガスエンジン等の吸入弁や配管等に付着し、長期連続運転が困難であるという問題があった。前記問題を解決するために、固形バイオマス燃料のガス化方法及び装置にかかる発明が特開平2002−282879号公報に示されている。
【0007】
図10は従来例の固形バイオマス燃料ガス化装置を説明するための模式図であり、(a)は定常運転時、(b)は(a)における燃料供給ゲートの概略を説明するための図である。なお、図10に示す固形バイオマス燃料ガス化装置は、前記公報に示されたものである。
【0008】
図10(a)において、固形バイオマス燃料ガス化装置は、固形バイオマス燃料を燃焼してガスを生成するガス発生炉本体21と、前記生成ガスを精製するサイクロン22と、前記生成ガスの吸込みファン23とから構成されている。また、前記ガス発生炉本体21は、ガス排出パイプ221を介して、前記サイクロン22に接続されている。前記サイクロン22は、ガス排出パイプ222を介して、前記吸込みファン23に接続されている。
【0009】
前記ガス発生炉本体21において、発生した生成ガスは、前記ガス排出パイプ221、前記サイクロン22、前記ガス排出パイプ222を介して吸込みファン23によって吸引されて、図示されていない、ガスエンジン側に供給される。また、前記サイクロン22は、遠心分離作用によって、生成ガス中に含まれる固形不純物等を除去するものである。
【0010】
前記ガス発生炉本体21は、固形バイオマス燃料供給用ホッパー211と、燃料供給ゲート212と、炉燃焼部213と、火格子214と、金属球(金属ボール)215と、バーナポート216と、空気取入パイプ217とから構成されている。前記ガス発生炉本体21は、起動時に、図示されていない、バーナの棒状部材が前記バーナポート216に挿入される。前記金属球215は、層状かつ略均一に配設される。また、前記金属球215の材質は、ステンレス鋼、鋳鉄製、セラミック製等の耐火球が使用される。
【0011】
燃料供給ゲート212は、燃料供給用ホッパー211から固形バイオマス燃料24を炉燃焼部213の半径方向に対して、できる限り均一に供給可能な構成になっている。たとえば、図10(b)に示すように、燃料供給ゲート212は、回転ゲート構造となっている。
【0012】
図10(b)において、燃料供給ゲート212は、上部に回転ゲート212aが、下部にホッパー底面遮蔽部211bが配設されている。前記回転ゲート212aは、回転円板の一部を円板中心からたとえば、約30度切欠いた切欠き部212bを備え、前記ホッパー底面211aは、前記切欠き部212bをカバーするホッパー底面遮蔽部211bを備えている。
【0013】
前記燃料供給ゲート212は、前記回転ゲート212aを回転することにより、切欠き部212bが円周方向に順次移動し、前記切欠き部212bから固形バイオマス燃料24を略均一に炉燃焼部213に供給する。前記回転ゲート212aおよびホッパー底面遮蔽部211bが重なった位置が燃料供給ゲート212を閉ざした場合である。
【0014】
次に、図10に示す固形バイオマス燃料ガス化装置の動作について説明する。
図10(a)において、固形バイオマス燃料24の投入前、バーナにより、金属球215は、500度Cから800度Cに予熱される。前記複数個の金属球215は、前記バーナの燃焼排ガスが前記金属球215の間の隙間を経て火格子214の下方から排出されるので、略均等に加熱される。前記バーナは、バーナポート216から取り出された後、バーナポート216が閉ざされる。
【0015】
その後、固形バイオマス燃料24は、燃料供給用ホッパー211から炉燃焼部213に供給される。前記固形バイオマス燃料24は、所定量が供給された後、燃料供給ゲート212が閉ざされる。炉燃焼部213における固形バイオマス燃料24は、予熱された金属球215の上層部から燃焼を開始する。前記固形バイオマス燃料24は、空気取入口が炉燃焼部213の略中央部に設けられているので、上方に向けて、次第に燃焼層(酸化層)が移動する。
【0016】
これにより、前記金属球215の真上層は、還元層となり、空気取入口付近の中央部層は、燃焼層(酸化層)となる。前記燃焼層(酸化層)の上層は、予熱層(乾留層)となる。なお、ガス中に含まれるタール分は、還元層を通過する間に燃焼し、かつ、還元された可燃性ガスとなる。
【0017】
炉燃焼部213の固形バイオマス燃料24は、消費されて燃料レベルが低下すると、図示されていないレベルセンサにより、燃料レベルが所定のレベルに到達したことを検知し、この検知信号に基づき、燃料供給ゲート212を開として、再度燃料供給を行う。
【0018】
前記特開平2002−282879号公報に記載された固形バイオマス燃料ガス化装置は、発生ガスにタール分を含まず、起動停止が容易であり、さらに、安定した組成のガスが得られ、かつ、安定組成のガスが得られるまでの立ち上がり時間が短いという利点がある。しかし、前記出願の固形バイオマス燃料ガス化装置において、ガス発生炉本体21の中央部に設けられた空気取入パイプ217の空気噴出ノズル部は、高温度にさらされるため、空気噴出ノズル部の寿命が比較的短いという問題があった。
【0019】
また、従来の空気噴出ノズル部の構造は、一点噴出構造であって、比較的広い範囲にわたって均一に空気を吹き出す構造ではないため、安定したガスの発生を阻害するという問題があった。さらに、燃料の種類や導入空気量によっては、ガス発生炉燃焼部の温度分布が安定せずに、空気噴出ノズル部が、さらに、高温度にさらされるという問題があった。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
図8は従来例の問題を解決した固形バイオマス燃料ガス化装置を説明するための模式図である。図9(a)および(b)は図8に示された固形バイオマス燃料ガス化装置の経過時間に対する燃焼層の温度変化を説明するための図である。図8における固形バイオマス燃料ガス化装置は、図10に示す固形バイオマス燃料ガス化装置における空気噴出ノズル部の空気導入手段を一部改良したものである。
【0021】
図8において、図10に示す固形バイオマス燃料ガス化装置と同一構成部材は、同一の番号が付されているため、詳細な説明を省略する。また、前記図8において、図10のバーナポートや金属球は、一部省略されている。
【0022】
図8において、空気導入手段251は、ガス発生炉本体21の下部から配管を水平に導入し、ガス発生炉本体21の略中央部で垂直に立ち上げ、空気噴出ノズル部253を構成している。前記空気噴出部ノズル部253は、中空円筒配管の軸方向先端部における円筒部に、空気流通用の複数個の孔を備えている構造になっている。
【0023】
図9に示すグラフは、図8に示す固形バイオマス燃料ガス化装置を運転した際の、空気噴出ノズル部253の近傍におけるノズル表面から円周方向に110mm離れた位置の燃焼層の温度の時間的推移の一例を示している。図9(a)に示すグラフは、温度が比較的安定している場合で、図9(b)は、燃料の種類、燃料の充填状態、導入空気量等が図9(a)と異なる場合であって、温度変動が大きい場合の一例を示す。
【0024】
図9(a)の場合、燃焼層の温度は、最高約1000度Cであり、850度C〜1000度Cの範囲内で変動している。これに対して、図9(b)の場合、燃焼層の最高温度は、約1500度Cに達し、空気噴出ノズル部は、異常高温度にさらされる。さらに、温度の変動幅は、図9(b)において、大きく、安定したガスの発生が得られない状態となっている。図9(b)のように、温度変動が大きい要因としては、たとえば、次のようなことが考えられる。
【0025】
たとえば、もみがらをすり潰した後、固形化した燃料は、酸素の供給に伴って、一気に燃焼する傾向がある。前記固形化した燃料の充填量が多い場合の燃焼は、持続するが、少ない場合、燃料の補給が不十分となって、一気に燃焼した後、温度が直ちに低下する傾向がある。すなわち、前記固形バイオマス燃料ガス化装置は、燃料の量、導入空気量、および導入状態等種々の要因によっても温度が大きく変動するという課題があった。
【0026】
以上のような課題を解決するために、本発明は、前記空気噴出ノズル部が異常な高温にさらされることがなく、かつ、固形バイオマス燃料の安定した燃焼と、品質の高い生成ガスの発生を可能とする固形バイオマス燃料ガス化装置を提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
(第1発明)
第1発明の固形燃料ガス化装置は、ガス発生炉本体と、前記ガス発生炉本体の上部に設けられた固形燃料導入手段と、前記ガス発生炉本体の略中央部に設けられた空気噴出ノズル部を有する空気導入手段と、前記ガス発生炉本体の下部に設けられた火格子と、前記火格子の下方に設けられた発生ガス排出手段とから構成される固形燃料ガス化装置において、前記ガス発生炉本体は、当該ガス発生炉本体の外周部に蓄熱層を設けると共に、導入空気に水蒸気を混合する水蒸気混合手段を備えていることを特徴とする。
【0028】
(第2発明)
第2発明の固形燃料ガス化装置は、ガス発生炉本体と、前記ガス発生炉本体の上部に設けられた固形燃料導入手段と、前記ガス発生炉本体の略中央部に設けられた空気噴出ノズル部を有する空気導入手段と、前記ガス発生炉本体の下部に設けられた火格子と、前記火格子の下方に設けられた発生ガス排出手段と、前記発生ガス排出手段から発生したガスを精製する生成ガス精製手段とから構成される固形燃料ガス化装置において、前記ガス発生炉本体は、当該ガス発生炉本体の外周部に蓄熱層を設けると共に、導入空気に水蒸気を混合する水蒸気混合手段を備えていることを特徴とする。
【0029】
(第3発明)
第3発明の固形燃料ガス化装置において、蓄熱層の外周部には、水蒸気を発生する予熱層(水蒸気発生層)が設けられていることを特徴とする。
【0030】
(第4発明)
第4発明の固形燃料ガス化装置において、予熱層(水蒸気発生層)の外周部には、断熱層が設けられていることを特徴とする。
【0031】
(第5発明)
第5発明の固形燃料ガス化装置において、生成ガス精製手段の外周部には、空気予熱層が設けられていることを特徴とする。
【0032】
(第6発明)
第6発明の固形燃料ガス化装置において、前記生成ガスの一部は、水蒸気とともにガス発生炉本体の燃焼部に戻されて再循環することを特徴とする。
【0033】
(第7発明)
第7発明の固形燃料ガス化装置において、空気噴出ノズル部における空気噴出ノズルは、燃焼部の略中央部から下向きの通風となるようにしてガス化を行うことを特徴とする。
【0034】
(第8発明)
第8発明の固形燃料ガス化装置において、ガス発生炉本体の中央部には、固形燃料の温度検出器を備え、前記温度検出器の出力値が所定の上限に達した際に、前記水蒸気の混合および/または発生ガスの混合を開始するような制御を行う制御装置を備えていることを特徴とする。
【0035】
(第9発明)
第9発明の固形燃料ガス化装置において、発生ガス排出手段には、発生ガス吸引用ファンを備え、前記温度検出器によって検出された温度が上限値に達した際に、前記制御装置によって前記発生ガス吸引用ファンの回転数を低下させるような制御を行う制御装置を備えていることを特徴とする。
【0036】
(第10発明)
第10発明の固形燃料ガス化装置において、空気噴出ノズル部は、中空円筒配管の軸方向先端部における円筒部に、空気流通用の複数の孔を備えていることを特徴とする。
【0037】
(第11発明)
第11発明の固形燃料ガス化装置において、複数の孔を備えた円筒部は、当該円筒部の軸芯と同心円状に着脱自在に設けられたキャップ円筒部材を備え、前記キャップ円筒部材は、空気流通用の複数個の孔を備えていることを特徴とする。
【0038】
(第12発明)
第12発明の固形燃料ガス化装置において、キャップ円筒部材の孔径は、前記円筒部の孔径より小さいことを特徴とする。
【0039】
(第13発明)
第13発明の固形燃料ガス化装置において、中空円筒配管は、内管および外管からなる同心二重中空配管とし、前記内管の中空部には、導入空気を流通し、外管と内管との中空部には、前記空気噴出ノズル部冷却用の冷却水を通流する構成としたことを特徴とする。
【0040】
(第14発明)
第14発明の固形燃料ガス化装置において、孔を備えた同心二重中空配管の円筒部は、前記円筒部の軸芯と同心円状に着脱自在に設けられたキャップ円筒部材を備え、前記キャップ円筒部材は、空気流通用の複数個の孔を備えていることを特徴とする。
【0041】
(第15発明)
第15発明の固形燃料ガス化装置において、火格子上には、複数個の金属球またはセラミック球等の耐火球を層状かつ略均一に配設した耐火球敷設層と、前記耐火球の予備加熱手段とを備えていることを特徴とする。
【0042】
【発明の実施の形態】
(第1発明)
第1発明の固形燃料ガス化装置は、ガス発生炉本体と、固形燃料導入手段と、空気導入手段と、火格子と、発生ガス排出手段とから構成される。固形燃料ガス化装置における前記ガス発生炉本体には、当該ガス発生炉本体の外周部に蓄熱層を設けると共に、導入空気に水蒸気を混合する水蒸気混合手段が備えられている。前記固形燃料導入手段は、たとえば、燃料供給用ホッパーと燃料供給ゲート等から構成されている。
【0043】
前記空気導入手段は、ガス発生炉本体の底部から垂直で、かつ、ガス発生炉本体の略中央部に設けられている空気噴出ノズル部等から構成されている。前記水蒸気混合手段は、空気および水を導入するとともに、前記蓄熱層の熱により水蒸気にして、前記空気噴出ノズル部に送る。前記蓄熱層は、たとえば、金属球やセラミック球のようにガス発生炉本体の熱を蓄えることができる部材から構成されている。
【0044】
第1発明の固形燃料ガス化装置は、導入空気に水蒸気を混合して、空気の酸素濃度を下げるとともに、ガス発生炉本体の外周部に設けられた蓄熱層によって炉内の温度を安定に保つことができる。前記ガス発生炉本体内は、次に示すような反応式から判るように、燃焼熱の一部が消費されるために、総合的に燃焼温度の上昇と温度変動とを抑制することができる。
【0045】
C−H2O=CO+2H2−131〔kJ/kmol〕
C+2H2O=CO2+2H2−90〔kJ/kmol〕
その結果、第1発明の固形燃料ガス化装置は、ガス発生炉本体内における安定した燃焼と、品質の優れた生成ガスの発生を可能とすることができる。また、前記安定した燃焼は、空気導入手段である空気噴出ノズル部を異常な高温にさらすことがない。
【0046】
(第2発明)
第2発明の固形燃料ガス化装置は、ガス発生炉本体と、固形燃料導入手段と、空気導入手段と、火格子と、発生ガス排出手段と、生成ガス精製手段とから構成される。固形燃料ガス化装置における前記ガス発生炉本体には、当該ガス発生炉本体の外周部に蓄熱層を設けると共に、導入空気に水蒸気を混合する水蒸気混合手段が備えられている。第2発明は、前記生成ガス精製手段を備えている点で、第1発明と異なっており、前記生成ガス精製手段によって、生成ガスの不純物を遠心分離作用で除去することができるため、第1発明より品質の良い生成ガスを得ることができる。
【0047】
(第3発明)
第3発明の固形燃料ガス化装置において、第1発明および第2発明の蓄熱層の外周部に設けられた予熱層(水蒸気発生層)は、蓄熱層に蓄えられた熱を利用して水蒸気を発生する。第3発明は、ガス発生炉本体における燃焼部の熱を外部に放出することなく、有効に利用するだけでなく、前記予熱層(水蒸気発生層)によって、前記燃焼部の温度を安定にするとともに、生成ガスの発熱量を増加させることができる。
【0048】
(第4発明)
第4発明の固形燃料ガス化装置において、第3発明の予熱層(水蒸気発生層)の外周部に設けられた断熱層は、前記蓄熱層および前記予熱層(水蒸気発生層)と相まって、ガス発生炉本体における燃焼部の温度を均一かつ安定に保持することができるため、生成ガスの発熱量を増加させることができる。
【0049】
(第5発明)
第5発明の固形燃料ガス化装置において、発生した生成ガスは、生成ガス精製手段、たとえば、サイクロンの遠心分離作用により、精製される。前記生成ガス精製手段の外周部には、空気予熱層が設けられ、前記生成ガス精製手段により発生する熱を利用して、空気を予熱する。前記生成ガス精製手段における空気予熱層は、発生した生成ガスの熱を利用できるので、効率のよい固形燃料ガス化装置を得ることができる。また、前記空気予熱層の外周部には、断熱材が必要に応じて設けられている。
【0050】
(第6発明)
第6発明の固形燃料ガス化装置において、ガス発生炉本体で生成された生成ガスの一部は、ファンによりガス発生炉本体の燃焼部に、水蒸気とともに戻されて、再循環する。前記生成ガスの一部は、ガス発生炉本体にフィードバックされることにより、ガス発生炉本体内温度の安定化が図れるとともに、炉内温度を低減することができるため、ガス発生炉本体の寿命を延長させることができる。
【0051】
(第7発明)
第7発明の固形燃料ガス化装置において、空気噴出ノズル部における空気噴出ノズルは、燃焼部の略中央部から下向きの通風となるような構成になっている。
すなわち、前記空気噴出ノズル部の構成は、ガス発生炉本体の下部から燃焼層を順次上方に移動させることにより、最上部を乾留層とすることができるため、効率良く生成ガスを得ることが可能である。
【0052】
(第8発明)
第8発明の固形燃料ガス化装置には、固形燃料の温度検出器および水蒸気の混合および/または発生ガスの混合を制御する制御装置を備えている。前記温度検出器は、ガス発生炉本体の中央部における固形燃料の温度を検出する。そして、前記温度検出器において、固形燃料の温度が予め定められた所定の値(上限)に達した際に、前記制御装置は、前記水蒸気の混合および/または生成ガスの混合を開始するような制御を行う。前記温度検出器および制御装置は、ガス発生炉本体の温度を安定して保つことができるため、品質の高いガスを生成することができるとともに、前記ガス発生炉本体あるいは空気噴出ノズル部の寿命を延長させることができる。
【0053】
(第9発明)
第9発明の固形燃料ガス化装置において、発生ガス排出手段は、たとえば、発生ガス吸引用ファンである。前記固形燃料の燃焼温度を検出する温度検出器によって検出された温度が予め定められた所定の値(上限)に達した際に、前記制御装置は、前記発生ガス吸引用ファンの回転数を低下させるように制御を行う。すなわち、第9発明は、前記温度検出器と制御装置によって、ガス発生炉本体内の温度を所定の温度に制御することができるため、生成ガスの品質を向上させることができるとともに、ガス発生炉本体あるいは空気噴出ノズル部の寿命を延ばすことができる。
【0054】
(第10発明)
第10発明の固形燃料ガス化装置において、空気噴出ノズル部は、中空円筒配管の軸方向先端部における円筒部に、空気流通用の複数の孔を備えているため、固形燃料の燃焼が一カ所に集中することがなく、前記空気噴出ノズル部近傍から徐々に広がって行く。このため、固形燃料の燃焼が急激に一部のみで行われないため、燃焼部および前記空気噴出ノズル部の温度が上がり過ぎず、ガス発生炉本体あるいは空気噴出ノズル部の寿命を延ばすことができるとともに、良質な生成ガスを得ることができる。
【0055】
(第11発明)
第11発明の固形燃料ガス化装置において、第10発明における複数の孔を備えた円筒部は、当該円筒部の軸芯と同心円状に着脱自在に設けたキャップ円筒部材を備え、前記キャップ円筒部材は、空気流通用の複数個の孔を備えているため、第10発明と同様な効果を奏するとともに、前記円筒部の交換が容易にできる。また、前記円筒部の孔およびキャップ円筒部材の孔は、互いに作用して、導入空気の均一分散化を図ることができ、より良い生成ガスを得ることができる。
【0056】
(第12発明)
第12発明の固形燃料ガス化装置において、第11発明におけるキャップ円筒部材の孔径は、前記円筒部の孔径より小さくしているため、固形燃料が空気噴出ノズル内に入り難く、品質のよい生成ガスを発生させることができる。
【0057】
(第13発明)
第13発明の固形燃料ガス化装置において、第10発明の中空円筒配管は、内管および外管からなる同心二重中空配管とし、前記内管の中空部には、導入空気を流通し、外管と内管との中空部には、前記空気噴出ノズル部冷却用の冷却水を通流する構成としたため、冷却水により、空気噴出ノズル部の寿命をさらに延ばすことができる。
【0058】
(第14発明)
第14発明の固形燃料ガス化装置において、孔を備えた同心二重中空配管の円筒部は、前記円筒部の軸芯と同心円状に着脱自在に設けたキャップ円筒部材を備えているため、空気噴出ノズル部を保護することができる。また、前記キャップ円筒部材は、空気流通用の複数個の孔を備えているため、導入空気の均一分散化を図ることができる。
【0059】
(第15発明)
第15発明の固形燃料ガス化装置において、ガス発生炉本体における火格子上には、複数個の金属球またはセラミック球等の耐火球を層状かつ略均一に配設した耐火球敷設層と、前記耐火球の予備加熱手段とを備えているため、燃焼部における温度が比較的所望通りになり、生成ガスの発生が効率的で、かつ、ガス発生炉本体の寿命を延ばすことができる。
【0060】
【実施例】
図1は本発明の第一実施例で、固形バイオマス燃料ガス化装置を説明するための模式図である。図1において、固形バイオマス燃料ガス化装置は、固形バイオマス燃料10を燃焼するガス発生炉本体11と、ガス発生炉本体11で生成された生成ガスから未燃焼物等の不純物を除去する、たとえば、サイクロン12と、前記生成ガスを取り出すファン13と、生成された生成ガスの一部をガス発生炉本体11にフィードバックするファン14とから構成されている。
【0061】
前記ガス発生炉本体11は、固形バイオマス燃料10を燃焼する燃焼部111と、固形バイオマス燃料を保持する燃料供給用ホッパー112と、前記ガス発生炉本体11の外周に設けられた蓄熱層113と、前記蓄熱層113の外周に設けられた予熱層(水蒸気発生層)114と、前記予熱層114の外周に設けられた断熱層115と、前記固形バイオマス燃料10を燃焼するための空気等を送る空気噴出ノズル部116と、生成ガス取出管117と、水取入口118と、灰分取出口119とから構成されている。
【0062】
前記空気噴出ノズル部116は、水取入口118に通じ、燃焼部111の下部に配設されている導通管1161に連通しているとともに、垂直で燃焼部111の略中心部に配置され、その先端部に空気噴出口1162が設けられている。なお、前記空気噴出口1162については後述する。
【0063】
前記サイクロン12は、遠心分離作用により、未燃焼分を取り出した後、生成ガスを生成ガス取出口15から外部に送り出す。また、サイクロン12は、外周部に設けられた空気予熱層121と、前記空気予熱層121の外周部に設けられた断熱層122と、空気予熱層121に通ずる空気取入口123と、前記ガス発生炉本体11の蓄熱層113に通じる生成ガス取出管117とから構成されている。
【0064】
前記ガス発生炉本体11において発生した生成ガスは、ファン13によって、生成ガス取出管117を介してサイクロン12に吸引され、遠心分離作用によって、不純物を除去した後、生成ガス取出口15から、図示されていない、ガスエンジン側に供給される。前記ガス発生炉本体11で発生した生成ガスの一部は、サイクロン12において、空気導入管1211および予熱層(水蒸気発生層)114を介してフィードバックされ、空気噴出ノズル部116から水蒸気とともに前記燃焼部111に供給される。
【0065】
図1に示された前記ガス発生炉本体11は、燃料供給用ホッパー112に設けられている燃料供給ゲートと、燃焼部111の下部に設けられている火格子、金属球(金属ボール)、バーナ、バーナポート等が省略されている。
【0066】
前記ガス発生炉本体11は、起動時に、図示されていない、バーナの棒状部材が前記バーナポートに挿入される。前記金属球は、層状かつ略均一に配設されている。また、前記燃料供給ゲートは、燃料供給用ホッパー112から固形バイオマス燃料10を燃焼部111の半径方向に対して、できる限り均一に供給可能な構成になっている。
【0067】
次に、図1に示された固形バイオマス燃料ガス化装置の動作について説明する。図1において、固形バイオマス燃料10の投入前、バーナにより、金属球は、500度Cから800度Cに予熱される。燃焼部111の外周は、蓄熱層113、予熱層(水蒸気発生層)114、および断熱材115によって囲まれているため、燃焼部111の内部の温度を略一定に保ち易い構造になっている。
【0068】
前記複数個の金属球は、前記バーナの燃焼排ガスが前記金属球の間の隙間を経て火格子の下方から排出されるので、略均等に加熱される。前記バーナは、バーナポートから取り出された後、バーナポートが閉ざされる。
【0069】
その後、固形バイオマス燃料10は、燃料供給用ホッパー112から燃焼部111に供給される。前記固形バイオマス燃料10は、所定量が供給された後、図示されていない、燃料供給ゲートが閉ざされる。燃焼部111における固形バイオマス燃料10は、図示されていない、予熱された金属球の上層部から燃焼を開始する。前記固形バイオマス燃料10は、水取入口118から取り入れた水が前記燃焼部111の外周を取り巻くように設けられた蓄熱層113の熱により気化され、水蒸気となって燃焼部111の略中央部に設けられている空気噴出ノズル部116から噴出される。
【0070】
前記固形バイオマス燃料10は、図示されていない、加熱された金属球と加熱された水蒸気とにより、上方に向けて、次第に燃焼層(酸化層)が移動する。すなわち、前記金属球の真上層は、還元層となり、空気取入口123付近の中央部層は、燃焼層(酸化層)となる。前記燃焼層(酸化層)の上層は、予熱層(乾留層)となる。なお、ガス中に含まれるタール分は、還元層を通過する間に燃焼し、かつ、還元された可燃性ガスとなる。
【0071】
燃焼部111の固形バイオマス燃料10は、消費されて燃料レベルが低下すると、図示されていないレベルセンサにより、燃料レベルが所定のレベルに到達したことを検知し、この検知信号に基づき、図示されていない、燃料供給ゲートを開として、再度燃料供給を行い、前記同様に生成ガスが生成される。
【0072】
図2は本発明の第二実施例で、固形バイオマス燃料ガス化装置を説明するための模式図である。図2において、固形バイオマス燃料ガス化装置は、従来例である図10に示す構成部材と同じ部材に同一番号を付して、詳細な説明を省略する。図10と図2に示す固形バイオマス燃料ガス化装置の第1の相違は、空気導入手段251が導入空気に水蒸気を混合する水蒸気混合手段262を備えている点にある。
【0073】
第2の相違は、前記空気導入手段251が、ガス発生炉本体21の外周部において導入空気を予熱する空気予熱部252と、ガス発生炉本体21の外周下部において注入水を加熱する水蒸気発生部252aと、前記予熱された空気と水蒸気を混合した後、前記混合気体を空気噴出ノズル部253へ誘導する前記ガス発生炉本体21の下部から略中央部に向けて垂直に設けられた空気噴出用配管253aとを備えている点にある。なお、図2において、符号263aは水注入弁、263bは水排出弁である。
【0074】
次に、図2に示された固形バイオマス燃料ガス化装置の空気導入系の動作について説明する。吸込みファン23は、空気導入手段251から空気を取り込む。
前記取り込まれた空気は、空気予熱部252を通過する間に水注入弁263aから注入された水と混合され、ガス発生炉本体21の熱伝導により予熱され、最終的に水蒸気となって、空気噴出ノズル部253から噴出される。
【0075】
さらに、詳述すると、空気予熱部252の下段に連通する水蒸気混合手段262には、水注入弁263aおよび水排出弁263bが取り付けられている。前記水注入弁263aが開となった場合、水排出弁263bの上部の水蒸気発生部252aに水が注入され、貯留する。ガス発生炉本体21の下方で、リング皿状に貯留された水は、ガス発生炉本体21の熱伝導により加熱されて水蒸気となり、流入空気と混合される。
【0076】
前記混合空気は、空気噴出用配管253aを介して、空気噴出ノズル部253に導入され、前記空気噴出ノズル部253の先端部からガス発生炉本体21内に噴出する。水蒸気の混合を停止する場合は、水排出弁263bを開として、水を排出することにより行う。
【0077】
なお、前記水蒸気混合手段262は、前記のようにリング皿状の水蒸気発生部と水注入弁263aおよび水排出弁263bとを備えた構成に限定されるものではない。たとえば、空気予熱部252の下方の水注入弁263aの水出口付近に、エジェクタを配置し、導入空気に水の噴出作用により混合する構成とすることもできる。
【0078】
図3は図2の固形バイオマス燃料ガス化装置により水蒸気を混合した場合の効果を確認した実験結果の一例を説明するための図である。図3に示すグラフは、前記図9(b)のような温度推移を示す場合において、前記燃焼層の温度が、1050度Cの時点で、水蒸気の混合を開始した後の温度推移を示している。
【0079】
図3の結果によれば、水蒸気混合後、燃焼層温度は、1050度Cから850度Cに低下して、ほぼ安定した状態になることが判る。また、水蒸気の混合により、木質系燃料の発生ガス中の水素は、9.8%から12.3%に上昇した。
【0080】
次に、図4は本発明の第三実施例で、固形バイオマス燃料ガス化装置を説明するための模式図である。図4において、図2と同じ構成部材には、同一番号を付して、詳細な説明を省略する。図4と図2との相違点は、図4において、空気導入手段251が導入空気の酸素濃度を下げるために、導入空気に発生ガスの一部を混合する発生ガス混合手段44aを備えている点である。なお、符号44は、発生ガス混合弁、符号46は吸込みファンである。
【0081】
図5は本発明の第三実施例における固形バイオマス燃料ガス化装置により発生した生成ガスの一部を混合した場合の効果を確認した実験結果の一例を説明するための図である。図5に示すグラフは、発生ガス混合手段44aによって、発生ガスの一部を混合した時の燃焼層の温度推移が判る。図5に示すグラフは、発生ガスの一部を混合した後、930度Cから840度Cに低下して、ほぼ安定した状態になっている。
【0082】
図4に示す固形バイオマス燃料ガス化装置は、導入空気の酸素濃度を下げるために、発生ガスの一部を混合したり、あるいは水蒸気の混合の少なくとも一方を実施することができる。また、前記固形バイオマス燃料ガス化装置は、発生ガスあるいは水蒸気の混合量を調節することもできる。
【0083】
図6は本発明の第四実施例であり、固形バイオマス燃料ガス化装置に温度検出器を設けた例を説明するための図である。図6に示す固形バイオマス燃料ガス化装置は、図4と同様に、同一構成部材には同一番号を付して詳細な説明を省略する。図4と図6に示す固形バイオマス燃料ガス化装置の相違は、図6において、ガス発生炉本体21の中央部に設けた固形バイオマス燃料の温度検出器261と、前記温度検出器261の出力値が所定の上限値に到達した際に、水蒸気の混合および/または発生ガスの混合を開始する制御を行う制御装置61を備えていることである。
【0084】
前記制御装置61は、温度検出器261の出力値が予め定められた所定の上限値に到達した際に、吸込みファン23の回転数を低下させるような制御を行う機能を備えている。図6に示す固形バイオマス燃料ガス化装置は、水蒸気の混合および/または発生ガスの混合を行って導入空気の酸素濃度を下げるための制御、あるいは導入空気量を減少させるための制御の少なくとも一つの制御を行うことができ、これにより、連続的に安定した燃焼が可能となる。
【0085】
図7(a)ないし(c)は空気噴出ノズル部の異なる実施例を説明するための図である。図7(a)において、中空円筒配管の軸方向先端部における円筒部70には、空気流通用の複数個の孔70a(破線で示す)を備え、かつ、円筒部70の軸芯と同心円状に着脱自在が可能なように設けられたキャップ円筒部材72を備えている。
【0086】
前記キャップ円筒部材72は、空気流通用の複数個の孔72a(実線で示す)を備えている。さらに、前記破線で示す孔70aよりも、実線で示す孔72aの方を小径とすることにより、導入空気の均一分散化を図っている。たとえば、孔70aの直径は、5mmないし10mm、孔72aの直径は、1mmないし3mmが好ましい。
【0087】
次に、図7(b)に示す実施例は、内部水冷二重管構造の例であり、空気噴出ノズル部を含む空気噴出用配管は、内管70bおよび外管70cからなる同心二重中空配管とし、前記内管の中空部には、導入空気(燃焼用空気)を通流し、外管70cと内管70bとの間の中空部には、前記空気噴出ノズル部冷却用の冷却水を通流する構成としている。図7(c)に示す実施例は、図7(b)に示す実施例に対して、さらに、前記キャップ円筒部材72を設けたものである。
【0088】
前記構成により、空気噴出ノズル部253の異常温度上昇を抑制しながらガス発生炉本体21の寿命の向上を図ることができ、また、導入空気の均一分散化が図れる。
【0089】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。たとえば、本実施例は、固形バイオマス燃料ガス化装置で説明したが、その他の固体燃料をガス化して、生成ガスを発生させることができる。
【0090】
本発明のガス発生炉本体およびサイクロンを構成する蓄熱層、予熱層、断熱層、あるいは配管に使用する材料は、公知または周知のいかなる材料を使用することもできる。特に、前記蓄熱層は、金属球あるいはセラミック球等が使用できる。
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、ガス発生炉本体と、前記ガス発生炉本体に設けた固形燃料の導入手段と、前記ガス発生炉本体中央部に設けた空気噴出ノズル部を有する空気導入手段と、前記ガス発生炉本体下部に設けた火格子と、前記火格子の下方に設けた発生ガスの排出手段と、ガス発生炉本体の外周を覆った蓄熱層、予熱層(水蒸気発生層)、あるいは断熱層を設けた下方通風式ガス化装置とすることで、空気噴出ノズル部における異常高温にさらされないようにした。
【0092】
本発明によれば、蓄熱層、予熱層(水蒸気発生層)、および断熱層が相まって、ガス発生炉本体における燃焼部の温度を均一かつ安定に保持することができるため、効率良く生成ガスの発熱量を増加させることができるとともに、品質の高い生成ガスを発生する。
【0093】
本発明によれば、生成された生成ガスの一部が、ガス発生炉本体に再循環されることにより、ガス発生炉本体内温度の安定化が図れるとともに、炉内温度を低減することができるため、ガス発生炉本体の寿命を延長させることができる。
【0094】
本発明によれば、前記構成とすることで、導入空気の酸素濃度を下げる制御、あるいは導入空気量の減少制御の少なくとも一つの制御を行うことができるため、生成ガスの品質を向上させることができた。
【0095】
本発明によれば、温度検出器と制御装置を設けることによって、ガス発生炉本体内の温度を所定の温度に制御することができるため、生成ガスの品質を向上させることができるとともに、ガス発生炉本体あるいは空気噴出ノズル部の寿命を延ばすことができる。
【0096】
本発明によれば、空気流通用の複数の孔を備えることにより、固形燃料の燃焼が一カ所に集中することがなく、前記空気噴出ノズル部近傍から徐々に広がって行くため、固形燃料の燃焼が急激に一部のみで行われなく、燃焼部および前記空気噴出ノズル部の温度が上がり過ぎず、ガス発生炉本体あるいは空気噴出ノズル部の寿命を延ばすことができる。
【0097】
本発明によれば、空気噴出ノズル部に着脱自在な中空円筒部を設け、固形燃料が空気噴出ノズル部内部に入り難くするとともに、前記空気噴出ノズル部の保護を行うことができるため、寿命をさらに延ばすことができる。
【0098】
本発明によれば、空気噴出ノズル部を中空円筒配管の軸方向先端部における円筒部に、空気流通用の複数個の孔を備えてなるものとし、さらに、空気噴出ノズル部を冷却可能な構成としたので、空気噴出ノズル部が異常な高温度にさらされることがなく、かつ、安定した燃焼と生成ガスの発生を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例で、固形バイオマス燃料ガス化装置を説明するための模式図である。
【図2】本発明の第二実施例で、固形バイオマス燃料ガス化装置を説明するための模式図である。
【図3】図2の固形バイオマス燃料ガス化装置により水蒸気を混合した場合の効果を確認した実験結果の一例を説明するための図である。
【図4】本発明の第三実施例で、固形バイオマス燃料ガス化装置を説明するための模式図である。
【図5】本発明の第三実施例における固形バイオマス燃料ガス化装置により発生した生成ガスの一部を混合した場合の効果を確認した実験結果の一例を説明するための図である。
【図6】本発明の第四実施例であり、固形バイオマス燃料ガス化装置に温度検出器を設けた例を説明するための図である。
【図7】(a)ないし(c)は空気噴出ノズル部の異なる実施例を説明するための図である。
【図8】従来例の問題を解決した固形バイオマス燃料ガス化装置を説明するための模式図である。
【図9】(a)および(b)は図8に示された固形バイオマス燃料ガス化装置の経過時間に対する燃焼層の温度変化を説明するための図である。
【図10】従来例の固形バイオマス燃料ガス化装置を説明するための模式図であり、(a)は定常運転時、(b)は(a)における燃料供給ゲートの概略を説明するための図である。
【符号の説明】
10・・・・固形バイオマス燃料
11・・・・ガス発生炉本体
111・・・燃焼部
112・・・燃料供給用ホッパー
113・・・蓄熱層
1131・・蓄熱体
114・・・予熱層(水蒸気発生層)
115・・・断熱層
116・・・空気噴出ノズル部
1161・・導通管
1162・・孔(空気噴出口)
117・・・生成ガス取出管
118・・・水取入口
119・・・灰分取出口
12・・・・サイクロン
121・・・空気予熱層
122・・・断熱層
1211・・空気導入管
123・・・空気取入口
13・・・・ファン
14・・・・ファン
15・・・・生成ガス取出口
16・・・・未燃焼分取出口
Claims (15)
- ガス発生炉本体と、
前記ガス発生炉本体の上部に設けられた固形燃料導入手段と、
前記ガス発生炉本体の略中央部に設けられた空気噴出ノズル部を有する空気導入手段と、
前記ガス発生炉本体の下部に設けられた火格子と、
前記火格子の下方に設けられた発生ガス排出手段と、
から構成される固形燃料ガス化装置において、
前記ガス発生炉本体は、当該ガス発生炉本体の外周部に蓄熱層を設けると共に、導入空気に水蒸気を混合する水蒸気混合手段を備えていることを特徴とする固形燃料ガス化装置。 - ガス発生炉本体と、
前記ガス発生炉本体の上部に設けられた固形燃料導入手段と、
前記ガス発生炉本体の略中央部に設けられた空気噴出ノズル部を有する空気導入手段と、
前記ガス発生炉本体の下部に設けられた火格子と、
前記火格子の下方に設けられた発生ガス排出手段と、
前記発生ガス排出手段から発生したガスを精製する生成ガス精製手段と、
から構成される固形燃料ガス化装置において、
前記ガス発生炉本体は、当該ガス発生炉本体の外周部に蓄熱層を設けると共に、導入空気に水蒸気を混合する水蒸気混合手段を備えていることを特徴とする固形燃料ガス化装置。 - 前記蓄熱層の外周部には、水蒸気を発生する予熱層(水蒸気発生層)が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された固形燃料ガス化装置。
- 前記予熱層(水蒸気発生層)の外周部には、断熱層が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載された固形燃料ガス化装置。
- 前記生成ガス精製手段の外周部には、空気予熱層が設けられていることを特徴とする請求項2に記載された固形燃料ガス化装置。
- 前記生成ガスの一部は、水蒸気とともにガス発生炉本体の燃焼部に戻されて再循環することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載された固形燃料ガス化装置。
- 前記空気噴出ノズル部における空気噴出ノズルは、燃焼部の略中央部から下向きの通風となるようにしてガス化を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載された固形燃料ガス化装置。
- 前記ガス発生炉本体の中央部には、固形燃料の温度検出器を備え、前記温度検出器の出力値が所定の上限に達した際に、前記水蒸気の混合および/または発生ガスの混合を開始するような制御を行う制御装置を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載された固形燃料ガス化装置。
- 前記発生ガス排出手段には、発生ガス吸引用ファンを備え、前記温度検出器によって検出された温度が上限値に達した際に、前記制御装置によって前記発生ガス吸引用ファンの回転数を低下させるような制御を行う制御装置を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載された固形燃料ガス化装置。
- 前記空気噴出ノズル部は、中空円筒配管の軸方向先端部における円筒部に、空気流通用の複数の孔を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載された固形燃料ガス化装置。
- 前記複数の孔を備えた円筒部は、当該円筒部の軸芯と同心円状に着脱自在に設けられたキャップ円筒部材を備え、前記キャップ円筒部材は、空気流通用の複数個の孔を備えていることを特徴とする請求項10に記載された固形燃料ガス化装置。
- 前記キャップ円筒部材の孔径は、前記円筒部の孔径より小さいことを特徴とする請求項11に記載された固形燃料ガス化装置。
- 前記中空円筒配管は、内管および外管からなる同心二重中空配管とし、前記内管の中空部には、導入空気を流通し、外管と内管との中空部には、前記空気噴出ノズル部冷却用の冷却水を通流する構成としたことを特徴とする請求項12に記載された固形燃料ガス化装置。
- 前記孔を備えた同心二重中空配管の円筒部は、前記円筒部の軸芯と同心円状に着脱自在に設けられたキャップ円筒部材を備え、前記キャップ円筒部材は、空気流通用の複数個の孔を備えていることを特徴とする請求項13に記載された固形燃料ガス化装置。
- 前記火格子上には、複数個の金属球またはセラミック球等の耐火球を層状かつ略均一に配設した耐火球敷設層と、前記耐火球の予備加熱手段とを備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載された固形燃料ガス化装置。
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